JP4771714B2 - パターン検査装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パターン検査装置および方法に関し、より具体的には、例えば、設計データに基づき製造された、半導体集積回路(LSI)や液晶パネルおよびそれらのホトマスク(レチクル)などの微細パターンを検査するためのパターン検査装置および方法に関する。
半導体集積回路の製造工程におけるウェーハのパターン検査、あるいはそのパターン形成用のホトマスクのパターン検査には、ダイ・ツー・ダイ(die to die)比較方法を用いた光学式パターン検査装置が使われている。このダイ・ツー・ダイ比較方法は、検査対象のダイと呼ばれる半導体デバイスとその近接ダイの同じ位置から得られる画像どうしを比較することで欠陥を検出する方法である。
一方、近接ダイの存在しないレチクルと呼ばれるホトマスクの検査には、ダイ・ツー・データベース(die to database)比較と呼ばれる方法が使用されている。この方法は、マスクデータを画像に変換して近接ダイの画像の代わりとし、前述同様の検査をする方法である。マスクデータとは設計データにホトマスク用の補正を施して得られるデータである。当該技術は、たとえば米国特許5563702号“Automated photomask inspection apparatus and method”に記載されている。
しかし、ダイ・ツー・データベース比較方法をウェーハ検査に使用すると、実際にウェーハに形成されたパターンのコーナーラウンドなどが欠陥として検出される。その問題の回避策として、マスクデータから変換された画像にスムージングフィルタでコーナーラウンドをもたせる前処理が使用されている。しかしながら、この前処理によるコーナーラウンドは、ウェーハに形成された全てのパターンのコーナーラウンドに等しくない。そこで、この違いを無視するように許容パターン変形量を設定すると、コーナー以外に存在する微少欠陥を検出できないという問題が発生している。
ホトマスクはマスクデータに可能な限り一致する必要があるので、上記の問題はダイ・ツー・データベース比較ホトマスク検査では致命的ではない。よって、現在、ダイ・ツー・データベース比較ホトマスク検査が実用化されている。しかしながら、ウェーハに形成されたパターンは電気特性が保証される限りパターン変形が許されている。この許容パターン変形量はかなり大きい。また、実際に、ステッパーの露光条件の違いなどに起因して上記の許容パターン変形が発生している。これらが原因で、上記の問題はダイ・ツー・データベース比較ウェーハ検査では致命的である。よってダイ・ツー・データベース比較ウェーハ検査は実用化されていない。
半導体集積回路生産での問題に注目すると、ゴミなどに起因するランダム欠陥よりもシステマティック欠陥が重要視されている。システマティック欠陥(繰り返し発生する欠陥)とは、ホトマスク不良などを原因としてウェーハ上の全ダイにおいて繰り返し発生する欠陥と定義される。システマティック欠陥は検査対象のダイおよびその比較対象の近接ダイの両方に発生しているため、ダイ・ツー・データベース比較では検出できない。ゆえに、ダイ・ツー・データベース比較方式でのウェーハ検査が必要とされている。
そこで、計算コストなどで問題があり実用化には至っていないが、設計データとウェーハ画像を使う検査方法が提案されている。たとえば、NEC技報Vol.50 No.6/1997の「電子ビームテスタを用いたロジックLSIの自動故障箇所トレース法」がある。この文献では、配線エッジのX,Y軸へのプロジェクションを用いる方法、配線コーナーに着目した方法、遺伝的アルゴリズムを応用した方法が記述されている。また、この文献で採用した方法として、エッジを直線近似した後に閉領域を抽出し、この閉領域を使うマッチング方法が説明されている。しかし、これらいずれの方法も高速検査に使用可能な速度を実現できず、さらに、パターン変形量を検出しながらマッチングすることができない。
また現在では、欠陥を含む画像を使用する自動欠陥種分類(Auto Defect Classification:ADC)が使われている。しかし、この方法では欠陥が回路のどの部分を破壊しているか認識できないので、致命的欠陥とそうでない欠陥の分類ができない。
さらに、ダイ・ツー・ダイ比較での検査で得られる欠陥の位置は、検査装置のステージ精度および光学系精度に起因する誤差をもっており、その誤差は配線線幅より10倍程度以上大きい。これらの誤差が原因で、欠陥位置を設計データに関連付けても、欠陥が設計データ上のどの位置に存在しているか分からない。
近年、半導体集積回路の線幅はリソグラフィー工程で使用する光源波長を大きく下回るようになってきている。このようなリソグラフィー工程には、OPC(Optical Proximity Correction、光近接効果補正)パターンを付加する方法が使用されている。この方法は、設計データにOPCパターンを付加して生成したマスクデータを使用してホトマスクを製造する方法であり、このホトマスクを使用して製造されるウェーハ上のパターンを設計データに可能なかぎり一致させることを目的にする。OPCパターンを付加することはホトマスク用の補正の最も重要なものの一つである。
OPCパターンがウェーハ上に形成されたパターンの補正として有効に作用してないとシステマティック欠陥が発生するが、ダイ・ツー・ダイ比較ウェーハ検査ではこの欠陥は検出できない。この解決として、許容パターン変形量を考慮して、ウェーハに形成されたパターンと設計データとを比較検査する方法が必要とされている。
また、システムオンチップ(system-on-a-chip:SoC)生産工程などの多品種少量生産工程では、短納期が求められている。この生産工程では、最終検査である電気的検査でシステマティック欠陥を発見しても、短納期に応えられない場合がある。この対策として、リソグラフィー工程ごとにウェーハ上に形成されたパターンと設計データとの差異を検査することが必要とされる。この検査方法では、電気特性に影響しないパターン変形を許容パターン変形量として設定しておき、許容パターン変形量以上の変形を検出する必要がある。
また現在では、OPCパターンの評価として、リソグラフィ・シミュレータにより設計データとOPCパターンのチェックが行われている。リソグラフィ・シミュレータはデバイス全体の検証が可能であるが、必ずしも実際に発生する欠陥をシミュレーションできない。また、リソグラフィ・シミュレータではOPCパターン以外の問題に起因する欠陥が検出できない。このような欠陥としてホトマスクに存在するランダム欠陥、ステッパーの歪などがある。
さらに、このシミュレーションの正当性を検証するために、リソグラフィ・シミュレータが出力したシミュレーションパターンと実際にウェーハ上形成されたパターンの画像との比較検討手段が必要とされている。また、設計データに対するパターン変形量を厳密に設定することにより、回路設計上の技術を向上させることがますます重要になっている。
現在、半導体集積回路の製造工程におけるウェーハの線幅管理用に、CD−SEM(Critical Dimension Scanning Electron Microscope)が用いられている。CD−SEMは、ラインプロファイルを使って指定された位置にある直線形状パターンの線幅を自動的に測長するものである。CD−SEMを使ってステッパーの露光条件を管理するために、1ロットごとに、数枚のウェーハ上の数ショット中の数ヶ所が測長される。
回路パターンの管理としては線幅以外にも、配線終端の縮み、孤立パターンの位置なども重要であるが、CD−SEMの自動測長機能は1次元対応で線幅など長さしか測定できない。したがって、これら2次元形状は、CD−SEMや他の顕微鏡から得られた画像を使って操作者が手動で検査している。
OPCパターンは、ゲート線幅の線幅を確保するのはもとより、コーナーや孤立パターンの形状形成にも重要な役目を担っている。またさらに、動作周波数の向上により現在では、ゲート線幅に加えて、エンドキャップやフィールドエクステンションと呼ばれるゲートパターンの終端や付け根の形状管理も重要になってきている。
このような2次元パターンの検査は、製造工程での抜き取り検査でも、試作段階でも重要であり、特に試作段階では、ウェーハ上に形成された全パターンの検査が必要とされる。しかし、2次元形状の管理は人的作業によっているのが現状で、完全に実施されていない。この問題を解決するために、自動化されたダイ・ツー・データベース比較ウェーハ検査が求められている。
これらの自動化の要請の具体的なものとして、以下の課題があげられる。
(1)各半導体デバイスに繰り返し発生する欠陥を求めるために、膨大な欠陥情報を比べて同一箇所に欠陥があるか調べるのは実用上困難がある。
(2)半導体デバイスのプロセス管理を目的とした、直線形状パターンの線幅検査、平均線幅検査、スペース幅検査、平均スペース幅検査の自動化が必要とされる。また、複雑な計算を必要とするが、曲線形状パターンであるコーナー部分についても、線幅検査、平均線幅検査、スペース幅検査、平均スペース幅検査が必要とされる。
特に全半導体デバイスのゲート線幅の自動検査は、性能向上に重要であるが、ゲート部分を特定するためにはポリシリコンレイアとアクティブレイア(ポリシリコンレイアの前工程)の重なった部分を抽出しなければならず非常に労力が必要とされる。
また、欠陥種として重要な切断もしくは短絡したという情報を得るために、作業者が画像を再検査する必要がある。さらに、薄いコントラストで観察される切断もしくは短絡した欠陥の認識力を強化する必要がある。
他の要求として、上記の検査の対象となる部位の近傍部分のみを走査するような方式を用いて画像取得時間を短縮することが必要とされる。
(3)配線レイアの終端とコンタクトホール/ビアホールの接触面積を管理する検査方法が必要とされる。この検査方法では、終端とコンタクトホール/ビアホールに十分マージンがあるかどうか判断することにより終端の縮み管理としての許容パタ−ン変形量を自動的に決定する必要がある。また、評価値としての接触面積を使う検査方法も必要とされる。
(4)OPCパターンの一種としてそのパターンの近傍に存在するパターンを補正する目的で付加されているが、そのパターン自身はウェーハに形成されないものがある。このようなパターンが形成されて欠陥となることがある。この様な欠陥の検査方法が必要とされる。
(5)膨大な検査結果を半導体デバイス全体のパターン変形量やステッパーの歪の評価などに適する情報に変換して表示する方法が必要である。
(6)ステージ移動による試料の回転などにより検査対象パターン画像が回転することがある。また、帯電現象などによりスキューを含む回転や倍率変化などの変形を受けることがある。これらの影響で上記の歪量以下の微細な欠陥を検出することができない。この歪は、時間的に不連続に発生し、予測が困難である。この現象の対策として、画像取得時点で毎回検査対象パターン画像の歪量を検出して補正する方法が必要である。
(7)広い視野を持つ画像生成装置の画像歪を補正する方法が必要である。画像歪として非線形画像歪および画像位置に依存する線幅の変動がある。この方法は、自動的に高精度に短時間で実施できることが望まれる。
(8)欠陥情報は非常に膨大であるので、パターン変形量を大域的パターン変形量と局所パターン変形量に分離することにより検出欠陥数を低減することと重要な欠陥を確実に検出する方法が求められる。
(9)長時間検査ではビーム径が時間的に緩やかに変動することがある。ビーム径が太くなれば、太くなった量だけ線幅測定値が大きくなる。このようなビーム径の変動による線幅の測定値の変化を補正する必要がある。
(10)欠陥が発生する傾向を容易に認識するために基準パターンの幾何学情報、設計データの情報、もしくは設計データに関連するデータの情報によって定められた欠陥種を用いて膨大な欠陥を種別する必要がある。
(11)一種類の欠陥種の欠陥が非常に多く、他の欠陥種の欠陥が少ない場合に、後者の画像が登録できないという問題がある。
(12)少なく検出された同じ欠陥種を持つ欠陥は、多く検出された同じ欠陥種を持つ欠陥に比べ十分に再検査対象にすることができないという問題がある。
(13)パターンが細く密な部分で検出された欠陥と疎な部分で検出された欠陥の分離をして欠陥が発生する傾向を容易に認識する必要がある。
(14)2次荷電粒子発生率や捕獲率の変動などに起因する現象により、対向する線分のうち最も近い線分間の距離が指定値よりも小さい線分、もしくは指定値よりも大きい線分などは、信号強度補正を必要とする。この信号強度補正の方法が求められている。
(15)画像調整に適した領域は作業者の目視で決められていたが、設計データを成す線分の幾何学情報もしくは接するか近接する設計データを成す線分同士の関係をもとに画像調整に適した領域を自動的に抽出する方法を使った自動化が求められている。また、画像の一部を画像調整に使用すると自動調整が高精度に実施されるが、従来は画像全体を使用する方法しかないという問題がある。
(16)設計データの多くは横線と縦線である。この性質を使って、設計データから得られたエッジの水平垂直方向への射影データと検査対象パターン画像から検出されたエッジの水平垂直方向への射影データを使ってマッチングを高速化する必要がある。
(17)単純なマッチングでは、周期的に同じパターンが並んだ部分とそうでない部分の境界を正確にマッチングすることが難しい。この問題を解決する必要がある。
(18)ホールパターン、島パターンのマッチングは直線形状パターンより小さい多角形がより多いのでマッチングにより計算時間が必要とされる。この課題を解決するために高速計算方法が必要とされる。
(19)ホールパターン、島パターンは、帯電現象などの影響で画像の明るさの分布が場所によって不均一になることがある。この変動に強いマッチング方法が必要とされる。
(20)検査単位領域が複数の副検査単位領域に分割されているときに、高速化を目的として最もマッチングに適した副検査単位領域を使ってマッチングする方法が必要とされる。
(21)検査対象パターンの下層に前工程パターンが存在している場合は、下層に前工程パターンが存在している検査対象パターンの部分と下層に前工程パターンが存在していない検査対象パターンの部分では検査対象パターンの形成や観察される形状が異なる。この対策として、前工程の影響を受けた検査対象パターンと前工程の影響を受けない検査対象パターンとで異なる検査パラメータを使用する検査方法が必要とされる。
(22)検査結果に対応する、設計データ、補正パターンが追加された設計データ、設計データを使ったシミュレーションで得られた形状、または、設計データに関連する別の情報と対応づけし、対応づけられた情報と検査結果である欠陥形状もしくは欠陥画像とを並列表示もしくは上書き表示をすると欠陥が発生する傾向が理解しやすくなる。この要求にかなう表示方法が必要とされる。
(23)リソグラフィー工程において、シリコン基板上のレジスト膜に形成されたパターンが検査される。この場合、レジスト膜に形成されたパターンを電子線(荷電粒子線)を用いて検査を行うと、レジストは一般的に高分子化合物で構成されている絶縁物であるため、帯電現象によって検査対象パターン画像のパターン形状が変形する。これは部分的に帯電したレジスト膜の上面によって電子線が曲げられることで、電子線がレジストの正確な位置に照射されないからである。それゆえ、帯電現象の発生を防止して変形のないパターン画像を得ることが必要である。
(24)走査型電子顕微鏡を用い、電子線(荷電粒子線)のすべての走査方向を一定にして自動計測をする方法が実施されている。しかしながら、この方法では、線分の方向によって計測誤差が発生していた。そのために基準データをもとにして各種の計測条件を自動設定することができる方法が必要とされる。
本発明は、これらの課題に対して、設計データの情報を使ったパターン検査装置および方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のパターンマッチング装置は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いてマッチングするパターンマッチング装置であって、前記検査対象データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを、基準パターンの線分の上下左右の4向の情報を使って、マッチングするマッチング手段を備え、前記マッチング手段は、上下左右の4方向の各方向ごとに前記基準パターンの線分を水平軸(X軸)と垂直軸(Y軸)に射影して2つの1次元データを得て、上下左右の4方向の各方向ごとに前記検査対象パターン画像のエッジを水平軸(X軸)と垂直軸(Y軸)に射影して2つの1次元データを得て、対応する前記基準パターンの1次元データと前記検査対象パターン画像のエッジの1次元データとをマッチングすることにより、前記基準パターンと前記検査対象パターン画像をマッチングすることを特徴とするものである
発明のパターン検査装置は、上記パターンマッチング装置を用いて、検査対象パターン画像を検査する。
本発明のパターンマッチング方法は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いてマッチングするパターンマッチング方法であって、前記検査対象データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、前記検査対象パターン画像を生成する生成し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを、基準パターンの周期の情報を使って、マッチングし、前記マッチングは、前記基準パターンの周期を使い、もとの基準パターンと一周期ずらした基準パターンを比較してもとの基準パターンにあって1周期ずらした基準パターンにないパターンを求め、求めたパターンをユニークパターンとして抽出し、前記ユニークパターンを一周期ずらし、前記一周期ずれた部分に前記基準パターンが存在しない場合に前記一周期ずらしたユニークパターンをネガティブパターンとして抽出し、基準パターンに使うマッチングの重み付けより強い重み付けをユニークパターンにつけ、前記の重み付けに(−1)を乗じた重み付けをネガティブパターンにつけることにより、周期的に同じパターンが並んだ部分とそうでない部分の境界をマッチング可能であることを特徴とするものである。
発明のパターンマッチング方法の一態様は、上記パターンマッチング方法において、前記検査対象パターン画像を分割し、前記分割された画像に対応する前記基準パターンを得て、前記基準パターンの中で最もマッチングに適したものを選択し、前記選択された基準パターンとこれに対応する前記分割された画像を使用してマッチングを実施することを特徴とする。
本発明のパターン検査方法は、上記パターンマッチング方法を用いて、検査対象パターン画像を検査する。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、同一の前記データに基づいて製造された複数の半導体デバイスに対して同じ検査領域から得られた欠陥情報を得て、前記得られた欠陥情報から繰り返し発生する欠陥を認識してもよい。
本発明の好ましい態様は、前記複数の半導体デバイスから得られた前記欠陥情報のうち、少なくとも一つの前記半導体デバイスについては前記検査領域の全体から前記欠陥情報を得て、それ以外の前記半導体デバイスについては前記全体から得られた欠陥情報にある欠陥が発生した位置の近傍の部分を検査して前記欠陥情報を得てもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、複数の前記エッジを用いる検査に適した前記基準パターンを、前記データを成す線分の幾何学情報もしくは接するか近接する前記データを成す線分同士の関係を使用して抽出してもよい。
記複数の前記エッジを用いる検査として、直線形状パターンの線幅検査、スペース幅検査、平均線幅検査、平均スペース幅検査、曲線形状パターンの線幅検査、スペース幅検査、平均線幅検査、平均スペース幅検査、もしくは切断・短絡検査のうち少なくとも一つであってもよい。
また、前記基準パターンを前記データから抽出する手段が、検査時の工程に関する前記データの多角形と前記検査時の工程に関連する工程に関する前記データの多角形との論理演算の結果を使用してもよい。
また、前記エッジとは異なった方向に前記エッジを検出することにより切断もしくは短絡した欠陥であるか検査してもよい。
また、前記検査対象パターン画像を得る走査型顕微鏡を具備し、前記走査型顕微鏡は前記複数の前記エッジを用いる検査に適した前記基準パターンに対応する部分およびその近傍のみを走査してもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、検査パラメータもしくは検査評価値が検査時の工程に関する前記データの多角形と前記検査時の工程に関連する工程に関する前記データの多角形との論理演算の結果を使用して得られてもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データに付加された補正パターンおよび前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、前記検査対象パターンが形成された試料に形成されてはならない前記補正パターンを検査する場合に、前記補正パターンから生成された前記基準パターンと前記検査対象パターン画像のエッジを対応づけてもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、分割された検査領域ごとに統計量を求めて、前記統計量を分布図として表示してもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、前記検査対象パターン画像の生成直後における前記検査対象パターン画像の歪量の検出により、前記基準パターンおよび前記検査対象パターン画像の少なくとも一つが補正されてもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段は、予め前記検査対象パターン画像の歪量を求めておき、前記歪量を用いて、前記検査対象パターン画像を補正してもよい。
記画像歪量として、非線形画像歪量または画像位置に依存する線幅の変動量であってもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査してパターン変形量を求める検査手段とを備え、前記パターン変形量を大域的パターン変形量と局所パターン変形量に分離してもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段は、複数回検査されるべき分割された検査領域を決定し、前記複数回検査されるべき分割された検査領域を検査して検査結果を得た後に、検査中に前記複数回検査されるべき分割された検査領域から再度前記検査結果を得て、前記予め得た検査結果と前記再度得られた検査結果を使って前記検査対象パターン画像の時間的変動を補正してもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、欠陥種を前記基準パターンの幾何学情報、前記データの情報、もしくは前記データに関連するデータの情報を使って決定してもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、欠陥画像の最大登録数を欠陥種ごとに持ち、新たな前記欠陥画像が検出された場合、新たな前記欠陥画像が属する前記欠陥種の最大登録数を超えるまで新たな前記欠陥画像を登録し、前記最大登録数を超えた場合に新たな前記欠陥画像を登録するか否か判断してもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、再検査対象とする欠陥の最大登録数を欠陥種ごとに持ち、この最大登録数を用いて前記再検査対象とする欠陥を選択してもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、前記検査手段で検出された欠陥を、前記検出された欠陥の位置の近傍に対応する前記基準パターンの特徴に基づいてグループ分けを実施してもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、前記基準パターンから、信号強度補正を必要とする線分を抽出して、前記信号強度補正の量に応じて前記線分の位置を補正すること、もしくは、許容パターン変形量を設定してもよい。
記信号強度補正を必要とする前記線分として、対向する線分のうち最も近い線分間の距離が指定値よりも小さい線分もしくは指定値よりも大きい線分であってもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、前記データを成す線分の幾何学情報もしくは接するか近接する前記データを成す線分同士の関係を使用して前記検査対象パターン画像調整に適した領域を抽出してもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、前記検査手段は、前工程の影響を受けた前記検査対象パターンの部分と前工程の影響を受けない前記検査対象パターンの部分とで異なる検査パラメータを使用してもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査装置であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査する検査手段とを備え、前記検査手段の出力結果として、前記基準パターンのエッジに対応する前記データの情報を持ち、前記データの情報を使って補正パターンが追加された前記データ、前記データを使ったシミュレーションで得られた形状、または、前記データに関連する別のデータのいずれかと前記検査手段の出力結果とを対応づけてもよい。
本発明の好ましい態様は、帯電しやすい試料上に形成された検査対象パターンの画像と前記帯電しやすい試料上に形成された検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、前記帯電しやすい試料上に形成された前記検査対象パターン上にカーボンをコーティングし、前記コーティングされた帯電しやすい試料上に形成された前記検査対象パターンに荷電粒子線を走査して前記コーティングされた帯電しやすい試料上に形成された前記検査対象パターンの画像を得て、前記コーティングされた帯電しやすい試料上に形成された前記検査対象パターンの画像のエッジを検出し、前記コーティングされた帯電しやすい試料上に形成された前記検査対象パターンの画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記コーティングされた帯電しやすい試料上に形成された前記検査対象パターンを検査してもよい。
本発明の好ましい態様は、帯電しやすい試料上に形成された検査対象パターンの画像と前記帯電しやすい試料上に形成された検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、前記帯電しやすい試料上に形成された前記検査対象パターンに荷電粒子線を一度に取得すべき領域より広範囲に走査して前記帯電しやすい試料上に形成された前記検査対象パターンの画像を得て、前記帯電しやすい試料上に形成された前記検査対象パターンの画像のエッジを検出し、前記帯電しやすい試料上に形成された前記検査対象パターンの画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記帯電しやすい試料上に形成された前記検査対象パターンを検査し、前記検査を同一の前記データに基づいて製造された複数の半導体デバイスに実施して複数の検査結果を得て、前記複数の検査結果を融合させて検査結果を得てもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、前記検査対象パターン画像を生成し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査し、同一の前記データに基づいて製造された複数の半導体デバイスに対して同じ検査領域から得られた欠陥情報を得て、前記得られた欠陥情報から繰り返し発生する欠陥を認識してもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、前記検査対象パターン画像を生成し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査し、複数の前記エッジを用いる検査に適した前記基準パターンを、前記データを成す線分の幾何学情報もしくは接するか近接する前記データを成す線分同士の関係を使用して抽出してもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、前記検査対象パターン画像を生成し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査し、欠陥種を前記基準パターンの幾何学情報、前記データの情報、もしくは前記データに関連するデータの情報を使って決定してもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、前記検査対象パターン画像を生成し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査し、前記検査手段で検出された欠陥を、前記検出された欠陥の位置の近傍に対応する前記基準パターンの特徴に基づいてグループ分けを実施してもよい。
本発明の好ましい態様は、検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いて検査するパターン検査方法であって、前記データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、前記検査対象パターン画像を生成し、前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを比較することにより、前記検査対象パターンを検査し、前記検査結果として、前記基準パターンのエッジに対応する前記データの情報を持ち、前記データの情報から前記検査結果に対応する、補正パターンが追加された前記データ、前記データを使ったシミュレーションで得られた形状、または、前記データに関連する別のデータのいずれかと対応づけてもよい。
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)複数の半導体デバイスから得られた欠陥情報を使って自動的に繰り返し発生する欠陥を認識することができる。この結果、オペレータの大量の単純労働を不要にし、オペレータのミスによる欠陥認識低下を防ぐことが可能になる。また、後述するカーボンコートなどにより試料が汚染された場合に、汚染物が異なるダイの同一箇所に存在することがほとんど無いので、汚染物を繰り返し発生する欠陥として認識することがない。
(2)領域検査が実現できる。領域検査方法とは対向するエッジを使用する検査方法を意味している。具体的には直線形状パターンの線幅検査、平均線幅検査、スペース幅検査、平均スペース幅検査が自動的に実施できる。さらに、曲線形状パターンであるコーナー部分の線幅検査、スペース幅検査、平均線幅検査、平均スペース幅検査、ゲート線幅検査も自動的に実施できる。
これらにより上記のプロセス管理を目的とした検査が省力化されるのみならず、オペレータの検査では不可能な広い範囲の検査が可能になる。特に全半導体デバイスのゲート線幅の自動的検査は、半導体デバイスの性能向上に大きく貢献することができる。これらの領域検査は複数の欠陥情報の平均値を使用しているので、欠陥検出能力、および欠陥認識精度が単一のエッジを使用する検査方法に比べて非常に向上する。
また、切断もしくは短絡しやすい部分の検査方法が実現できる。この方法によれば、薄いコントラストで観察される切断もしくは短絡した欠陥を認識できる。また、切断もしくは短絡したという情報を持つ欠陥種を設定できる。
他の効果として、領域検査の対象になる領域の近傍部分のみを走査するような方式を用いれば画像取得時間を短縮することができる。また、走査の方向とエッジの方向が直交するようにできるので、エッジ検出精度を向上できる。
(3)ポリシリコンレイアとアクティブレイア(ポリシリコンレイアの前工程)との論理積演算を使用してゲート線幅検査とエンドキャップ検査に適した基準パターンが得られる。この方法により、ゲート部分を自動的に抽出できる。また、ゲートのエンドキャップに単純な終端とは異なる許容パターン変形量を自動的に設定することができるので、ゲートのエンドキャップを厳密に検査することが可能になる。
さらに、配線レイアの設計データの多角形とコンタクトホール/ビアホールの設計データの多角形との論理積演算の結果を使用してマージンを求め、得たマージンに適応してコンタクトホール/ビアホールとの接続に使用する終端の許容パターン変形量を設定することができる。また、これらの多角形の論理積演算を使って、評価値としての接触面積も求めることができる。
(4)OPCパターンの一種としてそのパターンの近傍に存在するパターンを補正する目的で付加されているが、そのパターン自身はウェーハに形成されないものがある。しかし、このようなパターンが形成されて欠陥となることがある。このようなウェーハに形成されてはならない補正パターンの検査方法がエッジ検出を応用することにより実現可能になる。
(5)分割された検査領域ごとに検査結果から統計量を求めて、この統計量を分布図として表示することにより半導体デバイス全体のパターン変形量が視覚的に把握できる。これによりステッパーの歪が認識できる。
(6)検査対象パターン画像の歪量の線形量を検出して補正することができる。この結果、欠陥として認識する必要のない歪量を無視することができて擬似欠陥の発生を防止できる。
(7)広い視野を持つ画像生成装置の画像歪補正が自動的に高精度に短時間で実施できる。また、画像位置に依存する線幅の変動を補正することができる。よって、この補正が可能な部分まで視野を拡張することが可能になる。
(8)パターン変形量を大域的パターン変形量と局所パターン変形量に分離することにより、取得欠陥数を低減することができる。この結果、重要な欠陥を十分に検出して、擬似欠陥の検出を低減することが可能になる。
(9)ArFレジストで作成されたパターンを走査型電子顕微鏡で何度も検査するとパターンが段々と縮んでいく。しかし本実施例によれば同じ場所を2回だけ検査するのでこのパターンの縮みは無視できる。従って、前記のパターンを検査する場合であっても、ビーム径の緩やかな変動による線幅の測定値の変動を補正することが可能になる。
(10)基準パターンの幾何学情報、設計データの情報、もしくは設計データに関連するデータの情報を使った欠陥種を使って欠陥を区分することにより、欠陥が発生する傾向が容易になる。また、欠陥の発生原因の特定が容易に把握でできる。
(11)一種類の欠陥種の欠陥が非常に多く、他の欠陥種の欠陥が少ない場合でも、より多くの種類の画像が登録できるようになる。
(12)少なく検出された同じ欠陥種を持つ欠陥も、多く検出された同じ欠陥種を持つ欠陥も、十分に再検査対象にすることができる。
(13)欠陥の近傍の基準パターンの特徴に基づいてグループ分けが実現できる。この結果、「細い縦線で込み入ったパターンに欠陥が多く発生している」などの欠陥が発生する傾向が容易に把握できる。また、同じような形状の基準パターンごとに欠陥を分類できる。さらに、欠陥の発生原因の特定が容易になる。
(14)2次荷電粒子発生率や捕獲率の変動などの現象により、対向する線分のうち最も近い線分間の距離が指定値よりも小さい線分、もしくは指定値よりも大きい線分などは、信号強度補正を必要とする。この信号強度補正のために、基準パターンの線分の位置を補正すること、もしくは、許容パターン変形量を設定することにより、これらの現象の効果を低減することができる。
(15)設計データを成す線分の幾何学情報もしくは接するか近接する設計データを成す線分同士の関係をもとに領域を抽出することにより、画像調整に適した領域が自動的に最適に抽出できる。また、この領域が分離された領域である場合は、画像全体を使用する場合より自動調整が高精度に実施される。
(16)設計データの多くは横線と縦線である。この性質を使って、設計データから得られたエッジの水平垂直方向への射影データと検査対象画像から検出されたエッジの水平垂直方向への射影データを使ってマッチングが可能になる。この方法を使用すれば、ピクセルごとにシフトする代わりに、飛び飛びの間隔でシフトできるので計算時間が大幅に短縮できる。
(17)ネガティブパターンが最適なマッチング位置からの一周期のズレに対して大きなペナルティーを課すので、周期的に同じパターンが並んだ部分とそうでない部分の境界を正確にマッチングできる。ここで、ネガティブパターンは以下のように認識される。
周期性のある基準パターンの境界に存在する基準パターンをユニークパターンとして認識して、前記ユニークパターンを一周期ずらし、前記一周期ずらしたユニークパターンの近傍に基準パターンが存在しない場合に前記一周期ずらしたユニークパターンをネガティブパターンとして認識する。
(18)ホールパターン、島パターンのマッチングは直線形状パターンより小さい多角形がより多いのでマッチングにより計算時間が必要とされる。この課題の解決するために、複数のエッジをまとめた情報を使用してマッチングする方法が実現できる。この方法は、個々のエッジを使用してマッチングする方法に比べて高速に実行できる。さらに、大幅に計算量が減らせる。
(19)評価値としてホールパターン、島パターンの内部と外部の差分ヒストグラムを使用することで、帯電現象などの影響で下地部分の画像の明るさの分布が場所によって変動しても影響を受けにくいマッチング方法が実現できる。
(20)検査単位領域が複数の副検査単位領域に分割されているときに、最もマッチングに適した副検査単位領域を求めることができる。これによって検査単位領域全体を使用するマッチングより高速に実行可能になる。
(21)検査対象パターンの下層に前工程パターンが存在している場合は、下層に前工程パターンが存在している検査対象パターンの部分と下層に前工程パターンが存在していない検査対象パターンの部分では検査対象パターンの形成や観察される形状が異なる。この対策として、前工程の影響を受けた検査対象パターンと前工程の影響を受けない検査対象パターンとで異なる検査パラメータを使用する検査方法が実現される。これによって、擬似欠陥を検出する確率を低減できる。
(22)検査結果に対応する、設計データ、補正パターンが追加された設計データ、設計データを使ったシミュレーションで得られた形状、または、設計データに関連する別の情報と対応づけし、対応づけられた情報と検査結果である欠陥形状もしくは欠陥画像とを並列表示もしくは上書き表示をすると欠陥が発生する傾向が理解しやすくなる。この結果、欠陥の発生原因の特定が容易に把握できるので、設計変更が容易になる。
(23)リソグラフィー工程において、シリコン基板上のレジスト膜に形成されたパターンを電子線(荷電粒子線)を用いて検査を行う前に、レジスト膜に形成されたパターン上にカーボン膜をコーティングする。このようにカーボン膜をコートすることにより、電子線を照射した際に、電子線がカーボン膜を介してシリコン基板に流れる。その結果、シリコン基板からグラウンドに流れるため、帯電現象を防ぐことができ、変形のないパターン画像を得ることができる。
(24)リソグラフィー工程において、シリコン基板上のレジスト膜に形成されたパターンを電子線を用いて検査を行うときに特殊な処理をせずに検査ができる。この検査方法では、均一に帯電された画像の中心部のみを検査する。
(25)検査対象パターンの画像を得るために、最小限度の電子線(荷電粒子線)を走査すればよく、したがって最小の時間で検査対象パターンの画像を得ることができる。
(26)走査可能なエリアを最大限に活用して広範囲のブロックをできるだけ小さい数のブロックで実現する。更に走査方向に依存するエッジの検出精度の低下を防ぐために基準パターンを使う最適な条件で画像を取得することができる。
(27)走査経路を変えることによって走査線間のデータをとる方法、もしくは2回走査する方法、もしくはフィルタをかける方法等で、X方向とY方向の画質の僅差を極力低減することができる。
(28)サンプルの帯電現象によるプロファイルの変形が低減でき、エッジ検出精度を向上する効果がある。また、全体をラスタースキャンをしてデータを取得するのではなく、計測に最も重要であるエッジ部分のみの走査を行うことによって、高速に画像を取得することができる。
(29)内挿による画質低下を伴わない回転画像を取得することができ、エッジの検出精度の低下を避けられる。
以下、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施形態について詳しく説明する。
内容
1.概要
2.ハードウェア構成
2.1 画像生成装置の基本構成
2.2 画像生成装置の走査方法
2.2.1 走査方法1
2.2.2 走査方法2
2.2.3 走査方法3
2.3 パターン検査装置の基本構成
2.4 機能ブロック図
3.用語の説明
3.1 エッジ
3.2 基準パターン
3.3 レシピデータ
3.4 検査単位領域
3.5 検査結果
4.基本検査処理
4.1 第1のエッジ検出
4.1.1 第1のエッジ検出方法1
4.1.2 第1のエッジ検出方法2
4.2 直線形状パターンのマッチング方法
4.2.1 ユニークパターンを使うマッチング方法
4.2.2 ネガティブパターンを使うマッチング方法
4.2.3 エッジの垂直軸水平軸への射影データを使ったマッチング方法
4.3 幾何学情報を使うホールパターン、島パターンのマッチング方法
4.4 統計量を使うホールパターン、島パターンのマッチング方法
4.5 マッチング後の処理
4.6 第1の検査
4.6.1 異常パターン変形量欠陥の認識方法
4.6.2 ピクセルの輝度分布を使う欠陥の認識方法
4.7 画像から得られる特徴量を使った欠陥種
4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量
4.9 パターンの属性単位で検出される欠陥の認識方法
4.9.1 終端の位置ずれ欠陥
4.9.2 直線部分、コーナーの位置ずれ欠陥
4.9.3 孤立パターンの位置ずれ欠陥
4.9.4 他の孤立パターン欠陥
4.9.5 コーナーの曲率異常欠陥
4.10 パターンの属性の抽出ルール
4.11 第2のエッジ検出
4.12 第2の検査
5.応用検査処理
5.1 繰り返し発生する欠陥の認識方法
5.2 領域検査方法
5.2.1 直線形状パターンの線幅検査方法、平均線幅検査方法、スペース幅検査方法、および平均スペース幅検査方法
5.2.2 曲線形状パターンの線幅、平均線幅、スペース幅、および、平均スペース幅検査方法
5.2.3 切断もしくは短絡しやすい部分の検査方法
5.3 検査対象に関するレイアの設計データの多角形とこれに関連するレイアの設計データの多角形との論理演算を使用する検査方法
5.3.1 ゲート線幅検査方法
5.3.2 エンドキャップ検査方法
5.3.3 コンタクトホール/ビアホールに接する配線レイアの終端に対する許容パターン変形量の適応設定方法
5.3.4 接触面積の検査方法
5.4 ウェーハに形成されてはならない補正パターンの検査方法
5.5 信号強度補正を必要とするパターンの検査方法
5.6 パターン変形量の大域的パターン変形量と局所パターン変形量への分離方法
5.6.1 線幅測定値の時間的変動の補正方法
5.7 基準パターンの幾何学情報、設計データの情報、もしくは設計データに関連するデータの情報を使った欠陥種
5.8 欠陥の近傍の基準パターンを使ったグループ分け
5.9 画像登録対象とする欠陥の選択方法
5.10 再検査対象とする欠陥の選択方法
5.11 半導体デバイス全体のパターン変形量の分布図表示方法
6.画像生成装置の他の走査方法
6.1 電子線の18度方向の走査方法、六角形ブロックの走査方法走査、基準パターンに基づく走査条件の自動設定方法
6.2 画像生成装置における電子線の走査経路
6.3 エッジの近傍部分のみの走査方法
6.4 領域検査の対象になる領域の近傍部分のみの走査方法
7.検査対象パターン画像の補正方法
7.1 画像取得直後における検査対象パターン画像の歪量の検出による基準パターンおよび画像のうち少なくとも一つの補正方法
7.2 非線形画像歪補正方法
7.3 パターン画像の位置に依存する線幅変動の補正方法
8.その他の方法
8.1 画像調整に適した領域の抽出方法
8.2 最もマッチングに適した副検査単位領域の選択方法
8.3 高倍画像および低倍画像を用いた検査方法
8.4 前工程のパターンの影響がある検査対象パターンの検査方法
8.5 欠陥情報とその欠陥に対応する情報の上書き表示方法
9.帯電しやすい試料の検査方法
9.1 レジスト試料のカーボンコーティング方法
9.2 画像の中央部のみを検査する検査方法
10.本発明の変種
1.概要
本実施形態に係るパターン検査装置は、図1に示す画像生成装置7により得られた検査対象パターン画像を、基準パターンと比較して検査する。
図9は、設計データから得られた基準パターンの例を示す図である。図10は、設計データに基づいて製造された検査対象パターン画像の例を示す図である。図10に示すように、検査対象パターン画像には、短絡欠陥があったり、粒子欠陥があったり、許容変形量内の変形があったりする。特にコーナーには大きなコーナーラウンドがある。このように、検査対象パターン画像は、基準パターンとはかなり異なったものになる。
図11は、本実施形態に係るパターン検査装置が行う検査処理の概要を示す図である。検査処理では、まず、検査対象パターン画像から第1のエッジを検出する。次に、検出された第1のエッジと第1の基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターン画像と基準パターンとのマッチングを行う。マッチングを行った結果、シフト量S1が求まるので、このシフト量S1を用いて第1の基準パターンをシフトする。次に、検出された第1のエッジとシフトした第1の基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターンを検査する。この第1の検査では、検出された第1のエッジと第1の基準パターンのエッジとを比較することにより、パターン変形量を求め、求めたパターン変形量から欠陥を検出する。パターン変形量の1つとしてシフト量S2が求まる。
次に、検査対象パターン画像から第2のエッジを検出するため、対応する第2の基準パターンをシフト量S1+S2分シフトする。シフトした第2の基準パターンを用いて、検査対象パターン画像上でプロファイルを求め、第2のエッジを検出する。そして、検出された第2のエッジとシフトした第2の基準パターンのエッジとを比較することにより、検査対象パターンを検査する。この第2の検査においても、検出された第のエッジと第の基準パターンのエッジとを比較することにより、パターン変形量を求め、求めたパターン変形量から欠陥を検出する。パターン変形量の1つとしてシフト量S3が求まる。
以上の方法により、検査対象パターン画像から、短絡欠陥、粒子欠陥、パターン変形量を検出し、設計データの持つ属性などから欠陥種を得て欠陥やパターン変形量をクラス分けすることが可能になる。
2.ハードウェア構成
2.1 画像生成装置の基本構成
図1は、本発明のパターン検査装置における画像生成装置の基本構成を示す概略図である。図1に示すように本発明のパターン検査装置における画像生成装置7は、照射系装置310と試料室320と2次電子検出器330とから構成されている。
照射系装置310は、電子銃311と、電子銃311から放出された1次電子を集束する集束レンズ312と、電子線(荷電粒子線)を偏向するX偏向器313およびY偏向器314と、対物レンズ315とから構成されている。試料室320はXYステージ321を備えている。試料室320にはウェーハ搬送装置340によって試料であるウェーハWが搬出入されるようになっている。
照射系装置310においては、電子銃311から放出された1次電子は集束レンズ312で集束された後に、X偏向器313およびY偏向器314で偏向されつつ対物レンズ315により集束されて試料であるウェーハWの表面に照射される。
ウェーハWに1次電子が照射されるとウェーハWからは2次電子が放出され、2次電子は2次電子検出器330により検出される。集束レンズ312および対物レンズ315はレンズ制御装置316に接続され、このレンズ制御装置316は制御コンピュータ350に接続されている。2次電子検出器330は画像取得装置317に接続され、この画像取得装置317も同様に制御コンピュータ350に接続されている。前記X偏向器313およびY偏向器314は、偏向制御装置318に接続され、この偏向制御装置318も同様に制御コンピュータ350に接続されている。XYステージ321は、XYステージ制御装置322に接続され、このXYステージ制御装置322は制御コンピュータ350に接続されている。またウェーハ搬送装置340も同様に制御コンピュータ350に接続されている。制御コンピュータ350は、操作コンピュータ360に接続されている。
2.2 画像生成装置の走査方法
図2は、図1で示す2次電子検出器330で検出した2次電子の強度をあらわす模式図である。図2は、1本の電子線をX方向に走査した場合の2次電子検出器330によって得られた2次電子の強度をあらわしており、パターンPのエッジ部がエッジ効果により強度が強く、パターンPの中心部の強度が弱くなっている。また、パターンPの左側と右側とでは対称ではなく、電子線の進入側のエッジ(図の左側のエッジ)が、反対側のエッジ(図の右側のエッジ)に比べて信号量が弱く観測される。
図3は、図2に示すパターンPを90度回転させ、このパターンPのプロファイルを取得した場合の模式図である。図3は、X方向に複数の電子線を走査することにより2次電子の強度を図示したものである。図3に示すように、走査方向と平行なエッジ部では図2に比べてエッジ効果を明瞭に得ることが難しい。
図4は、本発明のパターン検査装置によりパターン検査を行う場合の走査エリアを示す模式図である。図4において、実線で書かれている部分は検査対象となるパターンPを示している。一点鎖線で書かれている正方形のブロックは、1回の走査によって取得する領域の範囲(走査エリア)を示している。このブロックは、この例においては縦3つ横3つの計9つのブロックB1〜B9から構成されている。また、点線で書かれている部分は観察エリアOAである。
図5は、横方向(X方向)の走査を行った場合の検査精度を説明するための図である。図5に示すように、横方向の走査をした場合、図2と同様に縦線についての検査精度は良好であるが、横線については良好な検査精度が得られない。
図6は、下から上方向に向かって縦方向(Y方向)の走査を行った場合の検査精度を説明するための図である。図6に示すように、縦方向の走査をした場合、横線についての検査精度は良好であるが、縦線については良好な検査精度が得られない。
縦横のパターンがある図4の左下のブロックB7においては、横線と縦線の両方について良好な検査精度を得ようとすると、図5に示す横方向の走査と図6に示す縦方向の走査の2回の走査を行わなければ良好な検査精度が得られない。その右隣に示す横線のみのブロックB8においては、図6に示す縦方向の走査のみを行えばよい。また、中段1番左に示す縦線のみのパターンのブロックB4においては、図5に示す横方向の走査のみを行えばよい。このように、横方向、縦方向にそれぞれ走査を行う、あるいは横方向および縦方向2回の走査を行うという方法で、走査を制御して所望の画像を得るようにしている。
走査方向が0度(X方向)の場合、パターンがX方向(横方向)に延びているパターンについてのエッジ検出精度が弱く、走査方向が90度(Y方向)の場合には、Y方向(縦方向)に延びているパターンのエッジ検出精度が弱い。従って、良好なエッジ検出精度を得るためには、走査方向は0度および90度の2方向の走査を行うことが必要である。検出すべき半導体集積回路(LSI)や液晶パネルのパターンの大部分は、横方向(X方向)に延びるパターンと縦方向(Y方向)に延びるパターンとで構成されているために、これらのパターンを精度良く検出するためにはX方向(0度)およびY方向(90度)の2方向の走査を行う必要がある。
図7は、双方向の走査を行う方法の模式図である。図2〜図6を使って説明したように、走査方向とエッジが直行しないと、エッジ効果による輝度が得られないので検査精度が悪いことを説明した。さらに、走査線の進入側のエッジ(図2の左側のエッジ)が、反対側のエッジ(図2の右側のエッジ)に比べて精度が出にくい。そこで、図7に示すように、走査方向を交互に逆転して画像を取得する。すなわち、左方向と右方向の交互の走査を行って画像を取得する。左方向走査の画像で走査方向の進入側のエッジを計測し、右方向走査の画像で反対側のエッジを計測することにより、いずれのエッジにおいても良好な検査精度を得ることができる。
図8(a)、図8(b)および図8(c)は、走査方向を45度および−45度の場合を示す模式図である。このような走査方向が0度、90度の場合、ほぼ確実に2回の走査を行う必要があったが、本方式においては、図8(a)において横線と縦線のみのパターンP1については図8(b)に示す45度、もしくは図8(c)に示す−45度の走査を1回行うことによって縦線および横線の検査精度を確保することができる。
もし、図8(a)において45度の線P2があった場合、45度、−45度の2回の走査を行う必要があるが、この頻度は縦線・横線のみのパターンP1に比べて、1回の走査で済む場合が比較的多いことが期待される。よって、走査方向45度または−45度の走査が一回の走査で検査精度を得る方法として有効である。
次に、走査方向45度と−45度の走査が実施される場合を説明する。図8(b)において、パターンP2のような右下がりのパターンについては45度方向の走査で精度が得られるが、右上がりのパターンについては走査方向と検出すべきエッジが一平行なので精度が得られない。このパターンは、図8(c)に示す−45度に走査して得た画像を用いて検査する。走査方向45度と−45度の走査が必要な頻度は、走査方向0度、90度が必要な頻度に比べて少ないことが期待される。
図2ないし図8で説明したように、画像生成装置7は、以下の3方法のいずれかによって検査対象パターンの画像を得る。
2.2.1 走査方法1
0度、90度、45度あるいは−45度の1方向の走査
2.2.2 走査方法2
0度と180度の交互の走査
2.2.3 走査方法3
0度および90度の2方向の走査もしくは45度と−45度の2方向の走査
ここで、座標系は、X軸を右方向、Y方向を上方向に取り、検査すべきパターンの最頻度の方向を右方向(0度方向)にした座標系である。エッジ方向は、右手側がパターン内部になるような方向として定義する。図4のブロックB4には、上下に走るエッジが2本あるが、左側のエッジの方向が90度、右側のエッジの方向が270度となる。
4.1 第1のエッジ検出で後述するように、第1のエッジは局所的な画像から検出されたエッジである。この第1のエッジの方向は検出された時点で決められる。以下では、前記走査方法1から前記走査方法3で得られた検査対象パターンの画像からエッジを検出する方法を説明する。
前記走査方法1である1方向の走査と前記走査方法2である交互の走査では、1枚の画像からエッジを検出する。前記走査方法3である2方向の走査では、2枚の画像からエッジを検出し、そのエッジ情報を融合させる。0度および90度の2方向の走査の場合は、0度の画像から45度から135度と、225度から−45度の間のエッジのみを抽出し、90度の画像から135度から225度と、−45度から45度の間のエッジのみを抽出し、両者を合成して1画像から検出されたエッジとして扱う。
45度および−45度の2方向の走査の場合は、45度の画像から90度から180度と270度から360度の間のエッジのみを抽出し、−45度の画像から0度から90度と180度から270度の間のエッジのみを抽出し、両者を合成して、1画像から検出されたエッジとして扱う。
第2のエッジ検出で後述するように、第2のエッジはプロファイル(1次元データ)から検出されたエッジである。この第2のエッジの方向はプロファイルが設定された時点で決められる。以下では、前記走査方法1から前記走査方法3で得られたプロファイルからエッジを検出する方法を説明する。
前記走査方法1である1方向の走査では、プロファイルは同一の画像から求める。
前記走査方法2である0度、180度交互の走査では右側のエッジ(180度から360度のエッジ)を得るプロファイルを0度の画像から、左側(0度から180度のエッジ)のエッジを検出するプロファイルを180度の画像から求める。
前記走査方法3である2方向の走査では、45度から135度と、225度から−45度の間のエッジを検出するプロファイルを0度の画像から、135度から225度と、−45度から45度の間のエッジを検出するプロファイルを90度の画像から求める。
図12は、0度の画像もしくは90度の画像を用いて検査されるべき線分の例を示している。図12で示されるように、0度方向の走査による画像から縦方向(90度または270度の方向)、左上がり(135度)、右下がり(−45度)方向の直線部分、コーナー、終端の線分を検査する。また、90度方向の走査による画像から横方向(0度または180度)、右上がり(45度)、左下がり(225度)方向の直線部分、コーナー、終端の線分を検査すれば良い。
45度および−45度の2方向の走査の場合は、90度から180度と270度から360度の間のエッジを検出するプロファイルを45度の画像から、0度から90度と180度から270度の間のエッジを検出するプロファイルを−45度の画像から求める。
画像が45度もしくは−45度傾斜で取得された場合においては、基準パターンと画像の間に回転が存在するので、その回転を補正する作業が必要である。一つの方法としては、基準パターンを回転する方法であるが、基準パターンを回転すると傾斜画像が最終出力となるので見難いという欠点がある。そこで、本実施例では画像を回転する方法を採用した。しかしながら、X,Y方向に均等にサンプリングする走査をした場合に、その画像を回転すると、ピクセル間の内挿値を回転した画像の値として用いなければならない。この場合には、得られた画像が内挿によってぼけたりする弊害があるので、本実施例では内挿を用いずに、ピクセルの位置を置き換えることによってのみ回転した画像を得る方法を採用した。この方法を用いる場合は、次に述べるような特別な走査方法を採用する必要がある。
図13はピクセルの位置を置き換えることによってのみ回転した画像を得る方法に基づいて作成した画像の具体例を示す図である。左側の45度傾斜走査方法と右側の45度傾斜画像は全く同じものを45度回転して描いてある。最終的に取得しようとする画像は右側の形のものである。図中、碁盤の目の格子点はX,Y方向に均等にサンプリングされて得られるべき画像の位置である。黒丸(●)については実際にサンプリングされたデータで、黒丸が無いところはこの走査方法では取得できないところである。この右側の形の画像を取得するために左側の走査方法で行う。
この場合は、X方向のサンプリング間隔Sは各々の走査線で同一であるが、Y方向のサンプリング間隔についてはX方向のサンプリング間隔Sの半分である。また奇数行と偶数行では、X方向のサンプリング間隔Sの半分だけずれている。このサンプリング間隔Sは、右側のピクセル間隔に√2をかけたものになる。そうすると、左側の図を横に寝かせるだけで所望の画像が得られるということになる。この場合は、実際にサンプリングされた順番とは違う順番で値を入れていく作業が必要となる。
図13は45度の角度の走査方法を示すものであるが、図14は、arctan(2)の角度の走査方法および回転した画像を示す図である。
本実施例を使用すれば、検査対象パターンの画像を得るために、最小限度の電子線(荷電粒子線)を走査すればよく、したがって最小の時間で検査対象パターンの画像を得ることができる。また、ラスタースキャンが持っているデータの欠落部分を2回走査する方法で、X方向とY方向の画質の僅差を極力低減することができる。更に、内挿による画質低下を伴わない回転画像を取得することができ、エッジの検出精度の低下を避けられる。
2.3 パターン検査装置の基本構成
図15は、本実施形態におけるパターン検査装置の基本構成を示す図である。本実施形態に係るパターン検査装置は、主制御部1、記憶装置2、入出力制御部3、入力装置4、表示装置5、印刷装置6および、図1に示す画像生成装置7を備える。
主制御部1はCPU(Central Processing Unit)等により構成され、装置全体を統括的に制御する。主制御部1には記憶装置2が接続されている。記憶装置2は、ハードディスク、フレキシブルディスク、光ディスク等の形態をとることができる。また、主制御部1には、入出力制御部3を介して、キーボード、マウス等の入力装置4、入力データ、計算結果等を表示するディスプレイ等の表示装置5、および計算結果等を印刷するプリンタ等の印刷装置6が接続されている。
主制御部1は、OS(Operating System)等の制御プログラム、パターン検査のためのプログラム、および所要データ等を格納するための内部メモリ(内部記憶装置)を有し、これらプログラム等によりパターン検査を実現している。これらのプログラムは、フレキシブルディスク、光ディスク等に記憶しておき、実行前にメモリ、ハードディスク等に読み込ませて実行されるようにすることができる。
2.4 機能ブロック図
図16は、本実施形態におけるパターン検査装置の機能ブロック図を示す図である。基準パターン生成部11、検査部12、出力部13および欠陥種認識部14はプログラムにより実現されている。基幹データベース21、レシピデータベース22および欠陥種参照データベース23は記憶装置2内に設けられている。
基幹データベース21を外部に設け、パターン検査装置がLAN(Local Area Network)を経由して基幹データベース21にアクセスするようにしてもよい。
図17は、本実施形態におけるパターン検査装置の機能ブロック図の他の例を示す図である。図17に示す例は、繰り返し発生する欠陥を認識する機能を有した構成を示す図であり、図16の機能ブロック図に対して、欠陥情報記憶部24と、繰り返し発生する欠陥認識部25とが追加されている。
3.用語の説明
3.1 エッジ
エッジは、検査対象パターンの内部と下地の境を意味する。エッジとして、図60に示すように、検査対象画像のエッジと基準パターンのエッジが使用される。検査対象画像のエッジは、エッジ検出方法で検出され、基準パターンのエッジは直線もしくは曲線をピクセル単位で分割して得られる。
エッジは、ピクセルごとに開始点(サブピクセル精度)、方向、および強度の情報を有するベクトルで表現される。検査対象画像のエッジの場合は、強度は、ベクトルの長さとエッジの明確さを乗じた値である。また、基準パターンのエッジの場合は、強度は、ベクトルの長さとマッチングに寄与する度合いを乗じた値である。
3.2 基準パターン
基準パターンとは線分もしくは曲線で表現されたもので、検査対象画像と比較されるものである。基準パターンにもっとも適したものとして設計データが使われる。この設計データとして、たとえばGDSII(Graphic Design System II)データストリ−ム形式のレイアウトデータに、レイアの融合やフラクチャリングを行ったものが使える。
まず、検査対象パターン画像から検出されるエッジの位置に最も適したように設計データに対し、シュリンク処理(倍率を変える処理)、サイズ処理(線幅を変える処理)などを施す。また、第1のエッジ検出と第2のエッジ検出とでは一般的に検出するエッジの位置が異なるので、第1エッジ検出用、および第2エッジ検出用に基準パターンを2種類用意する。
次に、この処理で得られた多角形を、視野にステージの誤差分および検査対象パターンの最大変形量を加えた長さを一辺とする長方形エリアでクリッピングする。
次に、得られた多角形のコーナーに丸みがつけられる。図18に示すように、通常、設計データは、鋭角をもった多角形(図中点線)である一方、実際に形成される回路パターンはコーナーに丸み(図中実線)がつく。そこで、コーナー部分に円、楕円、直線、もしくは他の方法で記述した曲線を適用し、実際のパターンに近くなるように補正する。
最後に、以上で得られた結果を基準パターンとし、レシピデータベース22に格納する。ステージ誤差分が検査対象パターンの最大変形量に比べ無視し得る場合は、パターン変形の絶対座標値が計測できる。本実施形態では、ステージの誤差分および検査対象パターンの最大変形量を考慮し、基準パターンを検査対象パターン画像よりも大きくとって処理しているが、代わりに検査対象パターン画像を基準パターンよりも大きくとって処理するようにしてもよい。
基準パターンに設計データを使えば、ウェーハ上に形成されたパターンが設計データと比較される欠陥検査が実行できる。この場合は、許容パターン変形量として電気特性に影響しない許容量を設定する。この許容パターン変形量は、配線の属性ごとに設定でき、さらに、パターンの込み入っている場所とそうでない場所とで可変にすることも可能である。
基準パターンにリソグラフィ・シミュレータで得られた露光パターンの外形を形成する曲線(図73の実線)を使えば、シミュレーションの正当性を検証する検査が実行できる。リソグラフィ・シミュレータの出力データは、光学的にシミュレートして得られた光強度分布である。この分布から外形の曲線を得る。この場合の許容パターン変形量は、シミュレーションとして許される誤差を設定する。
本実施形態においては、基準パターンに設計データを使う方法を説明する。
図22は基準パターンの例を示す図であり、図23は図22の基準パターンSをピクセルごとのエッジに変換した例を示す図である。図22において、基準パターンS(点線)はサブピクセル精度で示されている。通常、基準パターンのエッジ方向は、ピクセルの横方向(X方向)または縦方向(Y方向)に平行である。基準パターンのエッジも、検査対象パターン画像のエッジと同様に、ピクセルごとに開始点(サブピクセル精度)、方向、および強度の情報を有する。本実施形態においては、後述の4.2.1 ユニークパターンを使うマッチング方法4.2.2 ネガティブパターンを使うマッチング方法を除いて基準パターンのエッジの強度をすべて1にしている。
図24に示すように、基準パターンに曲線が含まれる場合がある。基準パターンの曲線部分を基準パターンのエッジに変換するために、ピクセルの中心261に最も近い基準パターン上の点262での接線263を生成する。
3.3 レシピデータ
検査の前に、以下のレシピデータと称される検査パラメータの組を設定する。レシピデータの内でオペレータ入力パラメータとして、設計データ検索用パラメータ、画像取得パラメータ、およびにエッジ検出および検査のためのパラメータがある。また、レシピデータの内で出力データとして、基準パターン生成部11が生成する基準パターンがある。
設計データ検索用パラメータとして、検査対象ウェーハ(試料)のデバイス名、およびプロセス名を指定するパラメータを設定する。画像取得パラメータとして、ウェーハを特定するためのスロット番号、照射系装置310の条件設定パラメータ、ピクセル間隔、ピクセル数、および検査領域を設定する。
ピクセル間隔とは、検査対象パターン画像のピクセル間隔に対するウェーハ上の距離を意味する。ピクセル数には、1024×1024、8192×8192などの値が使われる。ピクセル間隔にピクセル数を乗じた数は、検査対象パターン画像の大きさに対する試料上でのサイズになる。以降このサイズを視野(FOV:Field Of View)と呼ぶ。例えば、ピクセル間隔が9nmでピクセル数が8192×8192であれば、視野は約70μm×70μmである。
エッジ検出および検査のためのパラメータとして、以下のパラメータを設定する。
(1)検査すべきパターン変形量
エッジ位置の移動量
線幅の変形量
最小線幅
スペース幅の変形量
最小スペース幅
接触面積検査比
ホールパターン、島パターンの場合のシフト量と直径変形量
ウェーハに形成されてはならない補正パターンの欠陥判断係数
(2)上記パターン変形量に対応する許容パターン変形量の−側の限界値および+側の限界値、ならびにマッチングで使用するエッジの許容方向差の限界値
これらの変形量は、配線の属性ごとに設定される。
(3)画質から経験的に決められる第1のエッジ検出パラメータ
第1のエッジ検出方法
エッジ膨張用のフィルタ係数
検査対象パターン画像のエッジの2値化しきい値
検査対象パターン画像のエッジのpタイル法の係数p
(4)基準パターンの属性(直線部分、コーナー、終端、孤立パターン等)を認識するための抽出ルールが使用するパラメータ
基準パターンの属性は、基準パターンの一部もしくは全部を区別するために使用される。典型的な基準パターンの属性は3種類ある。1つ目は、終端(基準パターンの終端に対応する直線部分)もしくは直線部分(基準パターンの終端に対応しない直線部分)である。2つ目はコーナー(終端の属性を持つ直線部分に接触しない頂点の部分)である。3つ目は孤立パターン(他のパターンから孤立しているパターン)である。
(5)領域検査に適した部分を認識するための抽出ルールが使用するパラメータ
線幅検査用に適した基準パターンの最大線幅、最小線長、終端非使用長
スペース検査用に適した基準パターンの最大線幅、最小線長、終端非使用長
切断しやすい部分の最大線幅
切断しやすい部分の最大線長
短絡しやすい部分の最大スペース幅
短絡しやすい部分の最大スペース長
(6)画質から経験的に決められる第2のエッジ検出パラメータ
プロファイル取得区間の長さ
プロファイル取得区間の間隔
プロファイル取得区間内のサンプリングポイントの間隔
プロファイルからエッジを認識する方法(しきい値法を使うかなど)
プロファイル取得区間をレシピデータ設定時に設定するか第1のエッジを検出してから設定するかのフラグ
(7)ホールパターンの大きさの最小値と最大値および安全係数
(8)大域的パターン変形量を求めるために平均値を求める対象になる検査単位領域の数
(9)欠陥画像の最大登録数
(10)再検査対象とする欠陥の最大登録数
(11)自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整に適した場所
(12)歪補正回路が持つ代表歪ベクトルの間隔
レシピデータは、設計データ検索用パラメータであるデバイス名、プロセス名、および検査モードをキーにして管理される。検査モードとは、画像取得パラメータとエッジ検出および検査のためのパラメータを総称した名前である。
図19は、本実施形態におけるレシピ登録処理の例を示すフローチャートである。まず、オペレータは、入力装置4を介して基準パターン生成部11に、オペレータ入力パラメータ(設計データ検索用パラメータ等)を入力する(ステップS202)。
基準パターン生成部11は、設計データ検索用パラメータ(デバイス名、およびプロセス名)をキーとして基幹データベース21を検索し、設計データを取り出す(ステップS204)。基幹データベース21は、検査対象パターン画像に対する設計データを格納したデータベースである。次に、基準パターン生成部11は、設計データから基準パターンを生成する(ステップS206)。
最後に、基準パターン生成部11は、レシピデータ(基準パターン、オペレータ入力パラメータ)を、レシピデータベース22に登録する(ステップS208)
3.4 検査単位領域
検査は、入力された検査領域を、視野で分割して得られる検査単位領域ごとに行われるので、基準パターンは検査単位領域ごとに生成される。検査には、逐次検査およびランダム検査がある。
図20は、逐次検査を説明するための図である。検査領域は、図20で示されるようにウェーハ全面を単位として設定されるのではなく、長方形で指定された複数の領域(図20のように上側の短い長方形と下側の長い長方形など)として設定されるので、その領域を高速検査するために、検査単位領域ごとに逐次走査を実施する。検査単位領域ごとに基準パターンを作成する。
図21は、ランダム検査を説明するための図である。ランダム検査においては、ある領域を逐次に検査するのではなく、限定的に検査する。図21では、検査単位領域301〜304についてのみ検査を行う。
3.5 検査結果
検査結果として、以下の種類の基本情報がある。
(1)異常パターン変形量欠陥の情報
(2)ピクセルの輝度分布から検出される欠陥の情報
(3)検査単位領域全体から得られるパターン変形量
パターンの属性単位でパターン変形量を使用する情報として以下の情報がある。
(4)パターンの属性単位で検出される欠陥の情報
対向するエッジを使用する情報として以下の情報がある。
(5)領域検査方法で検出される欠陥の情報
4.基本検査処理
図25は、本実施形態における基本検査処理の例を示すフローチャートである。図26および図27は、本実施形態における検査処理の他の例を示すフローチャートであり、繰り返し発生する欠陥を認識する場合の検査処理の例を示すフローチャートである。図27のブロックAは図26のブロックAと同じものであり、検査の前に準備する工程を示している。図27のブロックBは図26のブロックBと同じものであり、各検査領域の検査の工程を表すフローチャートである。
図25に示すフローチャートに基づく基本検査処理において、まず、オペレータは、入力装置4を介して検査部12に、レシピ検索用パラメータ(デバイス名、プロセス名および検査モード)を入力する(ステップS302)。
検査部12は、レシピ検察用パラメータをキーとしてレシピデータベース22を検索し、レシピデータを取り出す(ステップS304)。そして、検査対象パターン画像を取得するため、画像生成装置7に対して画像取得パラメータを設定し、ウェーハ搬送、アライメント、および照射系装置310の条件設定を指示する(ステップS306)。
アライメントとは、設計データが使用している座標系とウェーハ観察位置を管理する座標系との変換係数を求める方法をいう。これはCAD(Computer Aided Design)ナビゲーションで具現化されている。CADナビゲーションは、アライメントの後に、CADデータ上の観察したい座標値をウェーハ観察位置を管理する座標値に変換し、その位置へ撮像装置の視野を移動させて、その位置の画像を入手する方法で、よく知られているものである。
画像生成装置7としては、図1に示す走査型電子顕微鏡が最も適しているが、走査型フォーカスイオンビーム顕微鏡、走査型レーザー顕微鏡や走査型プローブ顕微鏡などの各種の走査型顕微鏡もしくは各種顕微鏡を使用することができる。
画像生成装置7は、検査単位領域ごとに、検査対象パターン画像(およびその中心位置)を検査部12に出力する(ステップS308)。
4.1 第1のエッジ検出
次に、検査部12は、検査対象パターン画像から第1のエッジを検出する(ステップS310)。第1のエッジ検出として次の2つのエッジ検出方法が使用できる。第1のエッジ検出方法は、前述の3.3 レシピデータ「(3)第1のエッジ検出方法」によって選択される。
4.1.1 第1のエッジ検出方法1
1つは、パターン内部と下地との間にコントラストがある画像に適した方法である。このような画像の多くは2値化処理でエッジを検出できるが、コントラストが比較的明瞭でない場合は明確にエッジを検出できない。このときに、[文献1]:R.M.Haralick, “Digital step edges from ZERO crossing of second directional derivatives”, IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intell., vol. PAMI-6,No.1,pp.58-68,1984に開示の方法を応用してエッジを検出することができる。この方法によれば、エッジ部分の変曲点をサブピクセル精度で検出することができる。
4.1.2 第1のエッジ検出方法2
もう1つは、エッジが明るくパターン内部と下地との間にコントラストがない画像からエッジを検出する方法である。たとえば、[文献2]:“Cartan Steger. An unbiased detector of curvilinear structures”, IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intell., 20(2), February 1998に開示の方法が使用できる。この方法によれば、エッジ部分の峰をサブピクセル精度で検出することができる。ただし、この方法ではパターンの内部と下地を区別できないのでエッジの方向は0〜180度の値のみをもつ。
前述の4.1.1 第1のエッジ検出方法1の別の方法として前述の文献2の方法を使用しても良い。この場合はパターン内部と下地との間にコントラストがある画像に微分フィルタ(例えば、Sobelフィルタやバンドパスフィルタ)をかけてエッジ強度画像を得て、得られたエッジ強度画像からエッジが検出される。この場合はパターン内部と下地を区別できる。
これらの方法はある程度大きな窓を使った処理であるので、サブピクセル度が得られるだけでなく、エッジの方向も安定している。ゆえに、エッジを連結し直線近似をして線分情報を得る方法を使用してエッジ検出精度を向上する必要が必ずしもない。
ステップS310の第1のエッジ検出では、検査対象パターン画像からピクセル単位でエッジの強度および方向を求める。強度は、明確なエッジであるほど大きい値を取る。前述の第1のエッジ検出方法1で説明したパターン内部と下地との間にコントラストがある画像の場合は、前述の文献1の方法を用いて、画像の1次微分値の絶対値を強度とし、画像の2次微分値のゼロクロス点をエッジ位置とするエッジが認識される。
一方、前述の第1のエッジ検出方法2でエッジのみが明るい画像の場合には、前述の文献2の方法を用いて、画像の2次微分値の符号反転値(絶対値)を強度とし、画像の1次微分値のゼロクロス点をエッジ位置とするエッジが認識される。いずれの画像もエッジはサブピクセル精度で得られる。
図28は、前述の第1のエッジ検出方法1で説明したパターン内部と下地との間にコントラストがある画像の例を示す図であり、図29は図28の画像から検出したエッジを示す図である。図28には、ピクセルごとにその輝度値が示されている。図29に示すように、エッジはピクセルごとに検出され、ピクセルごとに開始点(サブピクセル精度)、方向(0〜360度)、および強度の情報が得られる。強度は、前述のように、明確なエッジであるほど大きい値を取る。
図30は、前述の第1のエッジ検出方法2で説明した、エッジが明るくパターン内部と下地との間にコントラストがない画像の例を示す図であり、図31は図30の画像から検出したエッジを示す図である。図30においても、ピクセルごとにその輝度値が示されている。また、図31に示すように、エッジはピクセルごとに検出され、ピクセルごとに開始点(サブピクセル精度)、方向(0〜180度)、および強度の情報が得られる。
4.2 直線形状パターンのマッチング方法
次に、検査部12は、検査対象パターン画像のエッジを膨張させる。以降、得られた結果を膨張エッジと呼ぶ(ステップS312)。本実施形態においては、電気特性的に影響しない許容パターン変形量分膨張させている。この段階では許容パターン変形量は正の整数である。この値は、前述の3.3 レシピデータ「(2)許容パターン変形量の−側の限界値および+側の限界値」の値の最大値を整数化した値である。許容パターン変形量分膨張させることにより、電気特性的に影響を与えないパターン変形を許容してマッチングすることができる。
図32は1次元の検査対象パターン画像のエッジの強度の例を示す図であり、図33は図32のエッジを膨張させた例を示す図である。図32および図33では、説明を簡単にするために、1次元データが使用されている。許容パターン変形量内の変形を無視するために、許容パターン変形量の2倍の大きさの窓を持った最大値フィルタを検査対象パターン画像のエッジにかける。最大値フィルタとは、対象となるピクセルの近傍である窓の中の各ピクセルが持つ値の最大値を求め、その値をフィルタ後のピクセルの値とするものである。図33では、図32のエッジを左右に2ピクセル分膨張させている。これは許容パターン変形量が2ピクセルの場合の例である。
基準パターンのエッジが図34である場合を考察する。まず、図34をシフトして得られる図を作成する。シフト量はおのおの左方向に2ピクセルから右方向に2ピクセルである。次に、図33およびシフトされた各図から後述するマッチング評価値を求めると、各マッチング評価値は同じ値になる。よって、シフト量は一意的に決められない。
この問題を解決するために、図35に示すように、図32のエッジを重み付けをして膨張する。図35の膨張を実現するには、係数が0.5、0.75、1.0、0.75、0.5のスムージングフィルタを用いればよい。図35で示した例の場合、図34(基準パターンのエッジ)が左右に1ピクセル以上シフトすると評価値が下がる。
次に、図36に示すように、図34で示された基準パターンのエッジに対して2ピクセル分広かった基準パターンのエッジを考察する。まず、図36をシフトして得られる図を作成する。シフト量は左方向に1ピクセルと右方向に1ピクセルである。次に、図35およびシフトされた各図から後述するマッチング評価値を求めると、各マッチング評価値は同じ値になる。よって、シフト量は一意的に決められない。
この問題を解決するために、図37に示すように、図32のエッジを重み付けをして膨張すればよい。図37の膨張を実現するには、係数が0.5、0.9、1.0、0.9、0.5のスムージングフィルタ(図38)を用いればよい。
以上の考察から、図37に示すような膨張が最も適している。処理速度やエッジの込み具合などの観点から図33や図35に示すような膨張を用いてもよい。
スムージングフィルタの係数を決めた後、前述の3.3 レシピデータ「(3)エッジ膨張用のフィルタ係数」に登録されて使用される。
図39は2次元の検査対象パターン画像のエッジ強度の例を示す図であり、図40および図41は図39のエッジを膨張させた例を示す図である。図39において、エッジの強度は、20のところ以外はすべて0である。図40は図33と同様の膨張を行った場合の結果を示し、図41は図37と同様の膨張を行った場合の結果を示す。
図42は2次元の検査対象パターン画像のエッジベクトルの例を示す図であり、図43および図44は図42のエッジを膨張させた例を示す図である。図43は図33と同様の膨張を行った場合の結果を示し、図44は図37と同様の膨張を行った場合の結果を示す。膨張はX、Y成分ごとに行っている。
検査部12は、膨張エッジと基準パターンのエッジとを比較して、検査対象パターン画像と基準パターンとのピクセルごとにマッチングを行う(ステップS314)。
本実施形態においては、後述する4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量の中で説明するように、サブピクセル精度でのシフト量S2を使用してマッチングを行う。よって、ここでは高速化を目的としてピクセル単位でのマッチングを行う。したがって、図45で示すように、図23の基準パターンのエッジベクトルをピクセル単位で表したエッジベクトルを使用してマッチングを実施する。
本実施形態におけるマッチングでは、評価値F0が最大になる位置を得るために、検査対象パターン画像に対して基準パターンをピクセルごとに上下左右にシフトし、得られ評価値F0が最大になる位置をマッチング位置とする(図46)。本実施形態においては、以下の式で示すように、基準パターンのエッジが存在するピクセルにおける膨張エッジの強度の総和を評価値F0としている。
ここで、E(x,y)は、膨張エッジの強度をその大きさとして持ち、膨張エッジの方向をその方向として持つベクトルである。エッジの存在しない場所ではE(x,y)の大きさは0である。R(x+xs,y+ys)は、基準パターンのエッジ方向をその方向として持つベクトルである。ただし、R(x+xs,y+ys)の大きさは、基準パターンのピクセル内での長さである。ここで、(xs,ys)は基準パターンのエッジのシフト量S1である。
評価値F0の計算においてR(x,y)が0でないピクセルのみを記憶すれば、高速に計算が行え、記憶領域が少なくてすむ。さらに、残差逐次検定法(SSDA:Sequential Similarity Detection Algorithm)で使われている計算の打切りを用いれば計算がさらに高速化される。
図47および図48は、図43(膨張エッジ)と図45(基準パターンのエッジ)とを重ね合わせた図である。図47において、ピクセル254は、図43のピクセル251および図45のピクセル252に対応する。図48は、図47で示される位置関係から図43を右に1ピクセル、下に1ピクセルシフトさせた場合の位置関係を示している。したがって、ピクセル255は、図43のピクセル251および図45のピクセル253に対応する。評価値F0を用いれば、エッジの存在するピクセルが重なり合う度合いが大きいほど、評価値が高くなる。評価値F0を用いる場合には、図39〜図41で示したような膨張処理を行えばよい。なお、評価値F0は、前述の4.1.1 第1のエッジ検出方法1と前述の4.1.2 第1のエッジ検出方法2で説明したいずれの画像にも適応可能である。
本実施形態においては、上記評価値F0を用いているが、他の評価値を用いることもできる。例えば、前述の4.1.1 第1のエッジ検出方法1で説明したパターン内部と下地との間にコントラストがある画像の場合には、以下の評価値Faを用いることができる。
また、例えば、前述の4.1.2 第1のエッジ検出方法2で説明したエッジのみが明るい画像の場合には、以下の評価値Fbを用いることができる。
評価値FaまたはFbを用いる場合には、図42〜図44で示したような膨張処理を行えばよい。
ここで、評価値F0、Fa、およびFbを考察する。評価値F0はデータがスカラのため高速計算に関して有利である。一方、評価値FaおよびFbは、例えば、図49に示すような場合に有効である。評価値FaおよびFbを用いた場合には、基準パターン(図49(a))の縦線部分のエッジ(ベクトル)と検査対象パターン画像(図49(b))の横線部分のエッジ(ベクトル)との内積をとると0に近くなるため、101の部分と102の部分とがうまくマッチングする。しかし、評価値F0を用いた場合には、方向は関係なく強度のみで判断するため、101の部分と103の部分とがマッチングする可能性がある。
評価値Faはパターン内部と下地の区別がつくので評価値Fbよりマッチングが堅牢である。例えば、図50に示すように、線幅111、113とスペース幅112、114が同じ場合にFaを用いると、どちらがラインかスペースかの区別がつくのでFbより望ましい結果が得られる。
本実施形態においては、検査対象パターン画像のエッジを膨張してマッチングを行っているが、代わりに基準パターンのエッジを膨張してマッチングを行うこともできる。
4.2.1 ユニークパターンを使うマッチング方法
前述の方法では全ての基準パターンのエッジの強度を同等に扱って処理を実施した。この方法とは別の方法として、基準パターンのエッジの強度に異なる重み付けを与えてマッチングを堅牢にすることができる。この方法は図51を用いて以下の手順で実施される。
図51において、(a)は基準パターンの例を示し、(b)は(a)の基準パターン(点線)および基準パターンに対応する検査対象パターン画像(実線)の例を示す。図51(a)に示す基準パターンは周期的なパターンであるが、1ヶ所ギャップがある。この基準パターンと検査対象パターン画像とのマッチングを行う際に、図51(b)に示すように、両パターンが1周期ずれていても、ギャップの部分以外は一致するので、マッチングの評価値は高くなってしまう。そこで、このギャップの部分に対応するエッジの強度の重み付けを大きくして、検査対象パターン画像のギャップと基準パターンのギャップとが一致しない場合にはマッチング評価値が大きく低下するようにする。
重み付けの手順としては、まず自己相関法で基準パターンの周期を求める。次に、もとの基準パターンと一周期ずらした基準パターンを比較してもとの基準パターンにあって1周期ずらした基準パターンにないパターンを求める。そして、求めたパターンをユニークパターンとして認識し、それ以外のパターンよりマッチングに重み付け(寄与する度合い)を強くする。寄与する度合いを表現するために基準パターンの強度に1より大きい重みを付ける。この値は経験から得られた固定値もしくは、固定値÷全パターン中のユニークパターンの比率などが使用できる。
4.2.2 ネガティブパターンを使うマッチング方法
ユニークパターンをより効率的に使う方法として、ユニークパターンの対であるネガティブパターンを使うマッチング方法がある。図52(a)および図52(b)は長方形が周期的に並んだ基準パターンのマッチング評価値の計算方法を模式的に示す図である。図52(a)および図52(b)の検査対象画像の右側にも長方形が周期的に並んでいるが画像が限定されているので、右側の基準パターンの終わりがどこか分からない。このような場合に、前述の4.2.1 ユニークパターンを使うマッチング方法を使ってマッチングを施すと図52の(a)と(b)とではマッチング評価値がほぼ同じになり、マッチング位置が一意的に決まらない。
この対策として以下の手順でユニークパターンの対であるネガティブパターンを抽出してマッチング評価値計算に使用する。
図53(a)、図53(b)および図53(c)はユニークパターンの対であるネガティブパターンを使う方法を模式的に示す図である。もとの基準パターンから左方向に一周期ずれた部分に基準パターンが無い場合に、もとの基準パターンの位置はユニークパターン(点線で示された長方形)とする。ユニークパターンを左側に一周期ずらした部分をネガティブパターン(実線で示された長方形)とする。同様に、右方向、上方向、下方向などの他の方向についても実施する。
ユニークパターンについては、前述のように寄与する度合いを表現するために基準パターンの強度に1より大きい値を使う。一方ネガティブパターンについては、寄与する度合いを表現するために基準パターンの強度に前述の1より大きい値に(−1)を乗じたものを使う。
ここでネガティブパターンを使う評価値を考察する。1つのユニークパターンにパターンが存在しているときの評価値をF1とする。図53(a)の評価値は(3・F1)、図53(b)は、(0)である。図53(c)は、(3・F1)-(3・F1)≒(0)である。この計算から、図53(a)がマッチング位置と判断される。
本実施例によれば、ネガティブパターンが最適なマッチング位置からの一周期のズレに対して大きなペナルティーを課すので、周期的に同じパターンが並んだ部分とそうでない部分の境界を正確にマッチングできる。
4.2.3 エッジの垂直軸水平軸への射影データを使ったマッチング方法
以上のマッチング方法は十分高速であるが、より高速に実行できる方法が求められる。高速化するために、ステップS314の中の「ピクセルごとにマッチングを行う」部分を改良する。
設計データの多くは横線と縦線である。この性質を使って、設計データから得られたエッジの水平垂直軸への射影データと検査対象画像から検出されたエッジの水平垂直軸への射影データを使ってより高速にマッチングをすることが可能になる。
図54(a)および図54(b)は前述の4.1 第1のエッジ検出方法で検出されたエッジの水平垂直軸への射影データをつかったマッチング方法を示す図である。本実施例では、4.1.1 第1のエッジ検出方法1で説明したパターン内部と下地との間にコントラストがある画像に適したエッジ検出を用いて説明する。また基準パターンを成す線分は上下左右の4方向があるが、ここでは代表例として上方向の線分を例にマッチングの方法を示す。
(1)基準パターンを成す全ての線分の線分長の合計値Lrpを求める。次に4.1.1 第1のエッジ検出方法1で検出されたエッジを強度ごとにソートする。ソートされたエッジを強度がより大きいものからLrp個選んでエッジとして残し他のエッジを消去する。基準パターンと検査対象画像のウェーハ上の大きさは大よそ同じで、基準パターンはピクセル単位の座標系で表現されているから、選択されたエッジは、大よそ基準パターンのエッジに対応する。
(2)基準パターンを成す線分で上方向の線分を抽出する。次にこの線分を水平軸(X軸)に射影して1次元データを作成する。この一次元データは配列の形で要素はX座標値で値は線分の長さになる。同様に、この線分を垂直軸(Y軸)に射影して1次元データを作成する。この一次元データは配列の形で要素はY座標値で値は線分の長さになる。この結果は図54(a)に示すものになる。
(3)前述の選ばれたエッジから上方向エッジを抽出する。このエッジを水平軸(X軸)に射影して1次元データを作成する。この一次元データは配列の形でインデックスはX座標値で要素の値はエッジ(ベクトル)のY成分になる。同様に、このエッジを垂直軸(Y軸)に射影して1次元データを作成する。この一次元データは配列の形でインデックスはY座標値で要素の値はエッジ(ベクトル)のY成分になる。この結果は図54(b)に示すものになる。
(4)上方向エッジの水平軸への射影データを図46に示すX方向の範囲の中をシフトさせながら上方向線分の水平軸への射影データとのマッチング誤差を計算する。同様に上方向エッジの垂直軸への射影データを図46に示すY方向の範囲の中をシフトさせながら上方向線分の垂直軸への射影データとのマッチング誤差値Epmを計算する。マッチング誤差値Epmの計算結果が図55に示されている。
(5)マッチング誤差値Epmの最大値Epm_maxと最小値Epm_minを求めてしきい値を以下の式で求める。
このしきい値以下のマッチング誤差値Epmをもつシフト量がマッチングに適したものと判断される。ここでkmtは経験的に決められる値で0から1の間の値を取り、0に近いほどマッチングに適したものと判断されるシフト量の数が多くなる。図56の矢印でしめしたシフト量がマッチングに適したものと判断される。
(6)次に、マッチングに適したものと判断されるシフト量から次の手順で最適解を求める。前述の4.2 直線形状パターンのマッチング方法では、「本実施形態におけるマッチングでは、評価値F0が最大になる位置を得るために、検査対象パターン画像に対して基準パターンをピクセルごとに上下左右にシフトし、得られ評価値F0が最大になる位置をマッチング位置とする(図46)。」と説明した。本方式を採用するとこの部分を「本実施形態におけるマッチングでは、評価値F0が最大になる位置を得るために、検査対象パターン画像に対して基準パターンを上記(5)で得られたシフト量ごとに上下左右にシフトし、得られ評価値F0が最大になる位置をマッチング位置とする(図46)。」と読み替えて前述の直線形状パターンのマッチング方法を実施することになる。
マッチング誤差値Epmは図57(a)に示す方法で計算される。本実施例では、代表例として、上方向線分の水平軸への射影データの要素Rp[i]、上方向エッジの水平軸への射影データの要素Ep[i]と、シフト量Spを使用する方法を示す。単純なマッチング誤差値EpmSは、上方向線分の水平軸への射影データの要素Rp[i]とこれに対応するシフトされた上方向エッジの水平軸への射影データの要素Ep[i+Sp]を使い次の式で求められる。
総和Σは、全ての要素Ep[i]に対する和を意味する。
ステップS312(検査対象パターン画像のエッジを膨張させて、膨張エッジを求める。)で説明したように、電気特性的に影響しない許容パターン変形量を許容する必要がある。ステップS312と同様の方法を使用してもよいが、他の方法として以下の方法を使用する。
まず、以下の計算値を全ての要素Ep[i]に対して実行する。ここでは、許容パターン変形量が1ピクセルの場合を説明する。
(1)もし、
であれば、以下の計算を実行する。
(2)もし、
で、次のδRが正あれば、以下のρ-1からのEp[i+Sp]の計算を実行する。
(3)もし、
で、δRが負あれば、以下の計算を実行する。
以上の計算が終了した後、許容変形量を考慮したマッチング誤差値EpmDを、下記の式で求める。
この計算の結果が図57(b)、(c)に示されている。図57(b)ではRp[i]とEp[i+Sp]がマッチングに適した位置に置かれている。一方、図57(c)ではRp[i]とEp[i+Sp]がマッチングに適した位置から1ピクセルずれた位置に置かれている。図57(b)、(c)に示されるように、許容変形量を考慮したマッチング誤差値EpmDは、単純なマッチング誤差値EpmSより許容変形量を考慮して対応付けられた量だけ小さな値になっている。よって、マッチング誤差値Epmとして許容変形量を考慮したマッチング誤差値EpmDが適している。
許容パターン変形量が1ピクセルより大きい場合は、Rp[i-1]、Rp[i+1]の他にRp[i-2]、Rp[i+2]、などを使用して処理を行えばよい。
以上のマッチング誤差値Epmの、計算を下方向左方向右方向のエッジと線分にも実施する。また、他の方向例えば45度の倍数の方向の線分を使用してもよい。
以上の例では上方向下方向のエッジなど180度逆方向のエッジの区別がつくが、第1のエッジの検出方法2を使用する場合は、180度逆方向のエッジを区別せずに処理することになる。
図46では、検査対象パターン画像に対して基準パターンをピクセルごとに上下左右にシフトして、評価値F0が最大になる位置をマッチング位置とする方法を示した。しかし、本実施例によれば、ピクセルごとにシフトする代わりに、飛び飛びの間隔でシフトできるので計算時間が大幅に短縮できる。
4.3 幾何学情報を使うホールパターン、島パターンのマッチング方法
前述のマッチング方法は、直線形状パターンには最適である。しかし、ホールパターン、島パターンのマッチングには別の方法が使用可能である。ホールパターン、島パターンとは、長方形であって、長辺と短辺とも最小線幅の2,3倍以下のパターンである。ホールパターン、島パターンのマッチングは直線形状パターンより小さい多角形がより多いのでマッチングにより計算時間が必要とされる。この課題を解決するために、前述の4.2 直線形状パターンのマッチング方法に比べて計算量が減らせて高速化が可能な以下の方法が使用できる。
この方法は全てのパターンが孤立パターンである場合に使用することができる。また、通常、ホールパターン、島パターンとは同時には存在しない。よって、本実施例では全てのパターンがホールパターンの場合の方法を説明する。島パターンについては本実施例のホールを島に読み替えれば前述のマッチング方法が実現できる。
ホールパターンのマッチングの第1の方法は検査対象パターン画像のエッジから得られた幾何学情報を使用する方法である。図58はホールパターンのマッチングの第1の方法を説明する模式的な図である。図58(a)には、検査対象画像から検出されたエッジが太線で表示されている。また、そのエッジの重心が黒丸(●)点で示されている。
第1段階として、図58(a)で示すようにエッジを検出して、エッジの最外枠と重心を求める。パターン内部と下地との間にコントラストがある画像の場合は、前述の4.1.1 第1のエッジ検出方法1で説明したエッジ検出が使用できる。
前述の4.1.2 第1のエッジ検出方法2で、説明したエッジが明るくパターン内部と下地との間にコントラストがない画像の場合は、前述の4.1.2 第1のエッジ検出方法2で説明したエッジ検出が使用できる。この場合は、エッジは必ずしも連結したピクセルとして認識されないので、エッジを膨張した後に、ラベリング処理をして連結したピクセルを求めて、これらの連結したピクセルの最外枠と重心を求めエッジの最外枠と重心とする。
第2段階として、得られたエッジを図58(b)を使って、次の手順で選別する。
(1)予め、前述の3.3 レシピデータ「(7)ホールパターンの大きさの最小値Shmaxと最大値Shminおよび安全係数khmin、khmax」を決めて登録しておく。
(2)エッジの最外枠の大きさがShmax×khmaxより大きい場合は、ホールパターンのエッジとは見なさない。ここで、khmaxは、1から2程度の値で経験的に決められる値である。
(3)また、(2)エッジの最外枠の大きさがShmin×khminより小さい場合は、ノイズやゴミとみなしホールパターンのエッジとは見なさない。ここで、khminは、0.5から1程度の値で経験的に決められる値である。
(4)連結したエッジが、リング状を成さねばエッジとは見なさない。
(5)パターン内部と下地との間にコントラストがある画像の場合は、上記の(4)のリング状の内部がホールか島の判定ができる。もし穴でない場合はエッジとは見なさない。
本実施例は、前述の4.2 直線形状パターンのマッチング方法で使用したF0、FaおよびFbの代わりに評価値Fhを使ってマッチングが実施される。評価値にFhを使用すること以外は、前述の直線形状パターンのマッチング方法と同様の処理を使用する。本実施例では基準パターンは単純に設計データを変換して得る。評価値Fhは以下の方法で得られた値を全てのホールパターンである基準パターンについて求めて総和をとった値である。
(1)図58(c)の第1列で示すように基準パターン内にエッジの重心が存在しなければ値は0になる。
(2)図58(c)の第2列のように基準パターン内に重心が存在すれば値は1になる。
前述の直線形状パターンのマッチング方法で使用した前述の4.2.1 ユニークパターンを使うマッチング方法4.2.2 ネガティブパターンを使うマッチング方法を本例に使用するために、以下の2計算を追加する。ユニークパターンとネガティブパターンの認識法とユニークパターンとネガティブパターンに対する寄与する度合いの設定は前述の直線形状パターンのマッチング方法と同じである。
(3)ユニークパターンに重心が存在すれば、値は前述の重みになる。
(4)ネガティブパターンに重心が存在すれば、値は前述の重み×(−1)になる。
本実施例を使用すれば、複数のエッジをまとめた情報を使用してマッチングする方法が実現できる。この方法は、個々のエッジを使用してマッチングする方法に比べて高速に実行できる。さらに、大幅に計算量が減らせる。
さらに、前述の4.2.3 エッジの垂直軸水平軸への射影データを使ったマッチング方法を応用して高速化が可能である。この場合は、エッジの射影データではなくて、エッジの重心の射影データが使用される。
4.4 統計量を使うホールパターン、島パターンのマッチング方法
ホールパターンのマッチングの第2の方法は基準パターンの内部に相当する画像の統計量と外部に相当する画像の統計量とを比較する方法である。図59はホールパターンのマッチングの第2の方法を説明する模式的な図である。図59(a)は、本実施例で使用する基準パターンを表している。この基準パターンは設計データから得られた基準パターンをサイズ処理して得られる。サイズ処理で大きくする量は、3.3 レシピデータ「(2)ホールパターン、島パターンの場合の許容直径変形量」の大きくなる方向の値の値の半分未満の量である。図59(b)は、典型的なホールパターンの画像である。ホールパターンのエッジは下地より明るく、ホールパターンの内部は下地より暗い。
本実施例は、前述の4.2 直線形状パターンのマッチング方法で使用したF0、FaおよびFbの代わりに評価値Fdを使ってマッチングが実施される。評価値にFdを使用すること以外の処理は前述の直線形状パターンのマッチング方法と同様の処理を使用する。評価値Fdは、以下の手順で得られる。
(1)図59(c)のように全ての基準パターン内に対応する検査ピクセルに対してヒストグラムHinsideを求める。得られたヒストグラムを規格化する。
(2)全ての基準パターン外に存在するピクセルに対してヒストグラムHoutsideを求める。得られたヒストグラムを規格化する。
(3)各差分ヒストグラムHdifferenceの要素は対応するヒストグラムHinsideの要素と対応するヒストグラムHoutsideの要素の差として計算される。差分ヒストグラムHdifferenceの各要素の絶対値の和を評価値Fdとする。
前述の直線形状パターンのマッチング方法で使用した前述の4.2.1 ユニークパターンを使うマッチング方法4.2.2 ネガティブパターンを使うマッチング方法を本実施例に使用するために、以下の2計算を追加する。ユニークパターンとネガティブパターンの認識法とユニークパターンとネガティブパターンに対する寄与する度合いの設定は前述の直線形状パターンのマッチング方法と同じである。
(4)ユニークパターン内に対応する検査ピクセルに対しては1ピクセルを前述の重みに相当する数のピクセルに換算してからヒストグラムHinsideを求める。
(5)ネガティブパターン内に対応する検査ピクセルに対しては1ピクセルを前述の重みに相当する数×(−1)のピクセルに換算してからヒストグラムHinsideを求める。
上記の(5)の計算が意味することは以下である。ネガティブパターン内にホールが存在するとヒストグラムHinsideの要素の総和は減るが形はあまり変わらない。よって、この場合は評価値Fdは、このネガティブパターンの計算前の評価値Fdとほぼ等しい。一方、ネガティブパターン内にホールが存在しないとヒストグラムHinsideは差分ヒストグラムHdifferenceに似てくる。差分ヒストグラムHdifferenceとヒストグラムHoutsideを使った評価値Fdは、ヒストグラムHinsideとヒストグラムHoutsideを使った評価値Fdより大きい。ゆえにこの場合は評価値Fdは、このネガティブパターンの計算前の評価値Fdより大きくなる。
ホールパターン、島パターンは、帯電現象などの影響で下地部分の画像の明るさの分布が場所によって変動する。このことはヒストグラムHoutsideが広がることを意味している。しかし、ヒストグラムHoutsideが広がることによる評価値Fdの影響はあまり大きくない。
本実施例によれば、評価値としてホールパターン、島パターンの内部と外部の差分ヒストグラムを使用しているので、帯電現象などの影響で下地部分の画像の明るさの分布が場所によって変動しても影響を受けにくいマッチング方法が実現できる。なお、本方法は、直線形状パターンのマッチングとして使用することも可能である。
4.5 マッチング後の処理
マッチングを行い、最大の評価値をとるシフト量S1=(xs,ys)が求まったら、S1の分だけ基準パターンをシフトさせる。以後の処理は、このシフトを行った状態で行う。シフト量S1は検査結果として、表示装置5および印刷装置6に出力することができる。
マッチングが終わった後、検査対象パターン画像のエッジを2値化する。2値化は、エッジ強度に対して前述の3.3 レシピデータ「(3)検査対象パターン画像のエッジの2値化しきい値」を使用して実行される。
2値化の方法の別の方法としてpタイル法が使用できる。この方法では、検査対象パターン画像のエッジ画像の画素が1を持つ個数が{基準パターンのエッジに相当するピクセル数×p}個になるように、エッジ強度の大きい順に検査対象パターン画像のエッジ画像の画素が1を持つようにする。ここでpは通常0.9〜1.1程度の数で、3.3 レシピデータ「(3)検査対象パターン画像のエッジのpタイル法の係数p」に設定されて使用される。
4.6 第1の検査
次に、検査部12は、第1の検査を行う。具体的には、パターン変形量の計算、欠陥検出、および欠陥種の認識を行う。検査部12は、まず、検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの対応づけを行う(ステップS318)。エッジの位置は、サブピクセル精度で扱われる。したがって、エッジ間の距離もサブピクセル精度で得られる。方向については、たとえば右方向を0度として0〜360度の値として決定される。
本実施形態においては、検査対象パターン画像のエッジとシフト量S1シフトされた基準パターンのエッジとの距離、および両エッジの方向を考慮して対応づけを以下の手順で実施している。基準パターンの各エッジについて、前述の3.3 レシピデータ「(2)許容パターン変形量」の距離内にある検査対象パターン画像のエッジを探す。そして、検出されたエッジの中で基準パターンのエッジとの方向差が前述の3.3 レシピデータ「(2)エッジの許容方向差」以下のものを、許容変形量内のエッジとして対応づける。対応づけた両エッジ間のベクトルd(x,y)は、パターン変形量を求めるのに用いることができる。なお、前述の手順で複数のエッジが認識された場合は、最も距離が短く、最も方向差が小さいエッジを採用する。
図60は、検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの対応づけの例を示す図である。図60においては、方向を示すために、エッジを矢印で示している。図60の例では、基準パターンのエッジを含む各ピクセルにおいて、基準パターンのエッジの中心から、エッジ方向と垂直な方向に検査対象パターン画像のエッジを探していくことにより、対応づけを行っている。基準パターンのエッジの中心からの距離が許容パターン変形量以下であり、かつ、方向の差がエッジの許容方向差以下である検査対象パターン画像のエッジが見つかれば、両エッジを対応づける。図60のベクトルd(x,y)が、前記の例である。
図61において、(a)は基準パターンのエッジの例を示し、(b)は(a)の基準パターンに対応する検査対象パターン画像のエッジの例を示している。図61を用いて、両エッジの対応づけの例を説明する。この例では、許容パターン変形量は1ピクセル分とする。また、エッジの許容方向差は60度とする。例えば、基準パターンのエッジ81に対応する検査対象パターン画像のエッジを探したところ、エッジ68がエッジ81の許容パターン変形量の距離内にあり、かつ、方向の差がエッジの許容方向差以下であることから、エッジ81に対応するエッジと認定される。基準パターンのエッジ84についても、対応する検査対象パターン画像のエッジとしてエッジ70が認定される。
ここで、基準パターンのエッジ82に対して、エッジ61は許容パターン変形量の距離内にない。エッジ64は、許容パターン変形量の距離内になく、方向差もエッジの許容方向差より大きい。また、エッジ66および69は、許容パターン変形量の距離内にはあるが、方向差がエッジの許容方向差より大きい。したがって、エッジ82に対応するエッジは得られない。エッジ83についても同様に得られない。
なお、図61(a)および図61(b)の例はパターンの内側か外側かを区別しない方法で、方向が0〜180度の値のみをもつ場合であるが、パターン内外を区別する方法とすることも可能である。たとえば、エッジ方向はパターン内側を必ず右手におくように決定しておけば、図61(a)は図62のようになり、対応づけをより厳密に実行することができる。
次に、検査部12は、欠陥検出を行う(ステップS320)。欠陥検出には次の2つの方法が使用できる。
4.6.1 異常パターン変形量欠陥の認識方法
欠陥検出の第1の方法として以下の手順で、異常パターン変形量を持つ欠陥を認識する。図63は、異常パターン変形量欠陥を認識する方法を模式的に示す図である。検査部12は、対応づけができなかった検査対象パターン画像のエッジ(例えば、図61(b)のエッジ61〜67、69および75)を、欠陥ピクセルとして認識する。上記の欠陥ピクセルを表現する2値化ビットマップを得る。
次に、図63(a)で示すように得られた2値化ビットマップを膨張幅Wdilation分(本図では2ピクセル)膨張させ、ピクセルどうしを連結する。膨張させたピクセルは、2値化ビットマップのDilation演算の結果として得ることができる。このDilation演算はモルフォロジーの代表的な演算の一つである。
図63(b)で示すように欠陥検出時にはノイズ等の要因で欠陥が分断されて検出されることがある。このように分断されても1個であるべき欠陥について経験的な値である膨張幅Wdilationを使うことにより欠陥を融合するようにできる。
ここで、モルフォロジーの代表的な演算であるDilation演算とErosion演算を説明する。Dilation演算δとErosion演算εとはAを対象画像(2値化ビットマップ)、Bを構造要素(2値化ビットマップ)とすると以下の結果を出力する演算である。
(A)−bはAを-b平行移動することを意味する。また、∪、∩は、b∈Bを満たす全てのbに対するビットマップの和演算(OR)、積演算(AND)を意味する。
次に、ラベリング処理で連結されたピクセルを固まり1領域としてそれぞれ認識する。ここで、ラベリング処理とは、4近傍もしくは8近傍で連結しているピクセルに同一の値を書き込み、連結ピクセル群を生成する方法である。連結していないピクセルには別の値を与えることで、連結ピクセル群を区別できる。この連結ピクセル群を欠陥と認識し、欠陥の外接長方形を求める。欠陥の外接長方形とは、欠陥として認識したピクセルを含む最小の長方形を意味する。
以上の手順は、図63(b)で示すように実行される。図63(b)では右下方向の線分に対する欠陥が不連続に存在している。これらの欠陥は本来1つの欠陥であるが分断されている。まず、欠陥と認識された領域を二値化画像(黒いピクセルで示す)として求め、この二値化画像を白いピクセルで示すように膨張幅Wdilation分ふくらませる。次に黒いピクセルと白いピクセルとをラベリング処理で連結した領域として求め、この領域を包含する最小の長方形領域が外接長方形として得られる。
最後に、外接長方形の中心を計算して欠陥位置とし、外接長方形の大きさを計算して欠陥サイズとする。得られた欠陥位置と欠陥サイズを欠陥情報とする。
4.6.2 ピクセルの輝度分布を使う欠陥の認識方法
欠陥検出の第2の方法として以下の手順で、ピクセルの輝度分布を使い欠陥を認識する。まず、対応づけが行われた検査対象パターン画像のエッジを連結して領域を求める。得られた領域の内側と外側の部分に存在するピクセルの輝度値を求める。各々の輝度値の分布は欠陥が無ければ正規分布をなすことが期待できる。よって、品質管理的方法を応用して欠陥ピクセルを検出することが可能である。
次に、正規分布ではない輝度を持つピクセルを検出し、それらを連結して領域を得る。最後に、得られた領域の外接長方形の中心を計算して欠陥位置とし、外接長方形の大きさを計算して欠陥サイズとする。得られた欠陥位置と欠陥サイズを欠陥情報とする。
図64は、ピクセルの輝度分布を使う欠陥の認識方法を模式的に示す図である。破線201は検査対象パターン画像のエッジを示す。破線201の両サイドの実線202、203は、エッジを指定幅太らせた線分であり、実線202、203で囲まれた部分をエッジ領域と認識する。下地204とパターン内部205の輝度値は、おおよそ正規分布をなす。
図65に示すように、輝度値が±3σ程度を越した部分Dは欠陥である可能性が高い。Dにはノイズも含まれるが、ノイズは領域内に比較的均一に存在する一方、欠陥は固まって存在する。Dの輝度値を持つピクセルを1、それ以外の輝度値を持つピクセルを0とした2値化マップを作成する。指定された大きさ(例えば2×2ピクセル)以下の1を持ったピクセルの固まり(例えば、図64のピクセルの固まり207)を消去する。この処理にはミディアンフィルタなどが利用できる。この大きさは検出したい欠陥の大きさを考慮した経験値である。残った1を持ったピクセルの固まり(例えば、図64のピクセルの固まり206)を欠陥とみなす。
前述の4.6.1 異常パターン変形量欠陥の認識方法は、エッジの近傍の欠陥検出を検出する。一方、本方法であるピクセルの輝度分布を使う欠陥の認識方法はエッジの近傍以外の場所の欠陥を検出する。
欠陥が検出された場合には、欠陥情報(ここでは、欠陥位置、サイズ情報および画像)を欠陥種認識部14に出力する(ステップS322、324)。
4.7 画像から得られる特徴量を使った欠陥種
欠陥種認識部14は、欠陥情報および欠陥種参照データベース23の情報を使用して欠陥種を判定する(ステップS326)。具体的には、与えられた画像から特徴量を求めて、欠陥種参照データベース23に蓄積された画像の特徴量と照合し、欠陥種を判定する。欠陥種認識部14は、欠陥情報(欠陥位置、サイズ情報および画像)および欠陥種を出力部13を介して表示装置5および印刷装置6に出力する(ステップS328)。ここで、欠陥種参照データベース23は、既に取得された画像を欠陥種ごとに登録したものである。
欠陥種認識部14は、以下の手順で欠陥種自動分類を行うことができる。すなわち、欠陥と認識されたピクセルの固まりの幾何学情報を得る。幾何学情報は特徴量の一種である。得られた幾何学情報から、丸い、細長いなど欠陥の形状的特徴を認識することができ、丸ければ異物、細長ければスクラッチなどと認識できる。欠陥と認識されたピクセルをパタ−ンの内側、外側、境界の3部分に区分する。これらの各部分ごとに、検査対象パターン画像のピクセル輝度値を使った特徴量を得る。ここで得られる特徴量により、異物が金属片であるか有機物(たとえば人間のあか)であるかなどの判断をつけることができる。すなわち、異物が金属であれば明るく、有機物であれば暗いということで種類を判別することができる。
また、パターンの内部にあって異物と認識されたピクセルの輝度の変動が大きい場合は、異物がパターンの上に存在している可能性が高いと判断され、逆に、輝度の変動が小さい場合は、異物がパターンの下に存在している可能性が高いと判断される。これは、欠陥がパターン内部に存在するか外部に存在するか画像から区別できないので、従来のダイ・ツー・ダイ法では困難な処理である。これらの特徴量を使い、良く知られた分類法で欠陥種を判定する。その分類法としては、欠陥種参照データベース23との比較をk最短距離法で行って判別する方法が有効である。
上記の欠陥種自動分類は、従来行われている光学方式、SEM方式のADC(Automatic Defect Classification)に準じた方法であるが、設計データを使う本発明の方法によれば、パターンの内部と外部の区別が明確につくので、各部分の特徴量が正確に得られ、分類精度が向上する。
4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量
次に、検査部12は、対応づけを行った検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの関係からパターン変形量を求める(ステップS330)。パターン変形量は、欠陥検出の結果、欠陥が検出されなかった部分から求める。そして、パターン変形量を出力部13を介して表示装置5および印刷装置6に出力する(ステップS332)。
パターン変形量には、検査単位領域全体から得られるパターン変形量と、パターンの属性単位で検出される欠陥の2種類がある。検査単位領域全体から得られるパターン変形量としては、例えば、位置ずれ量、倍率変動量、および線幅の変形量が使用できる。
位置ずれ量は、対応づけられたエッジ間のベクトルd(x,y)の平均値として求められる。これはサブピクセル精度でのシフト量S2となる。このシフト量S24.5 マッチング後の処理で説明したシフト量S1を加えたものがサブピクセル精度でのシフト量になる。
検査をサブピクセル精度で実施する場合は、ここでS1+S2を更新されたシフト量S1として基準パターンをシフトさせて、ステップS318からS330を再度実行する。
X方向の倍率変動量を求めるには、縦方向の基準パターンの線分に関するベクトルd(x,y)のX成分を回帰直線D(x)で近似して回帰直線を求める。そして、回帰直線の勾配をX方向の倍率変動量とする。Y方向の倍率変動量についても同様である。
図66において、(a)は基準パターンのエッジ(破線)、および検査対象パターン画像のエッジ(実線)の例を示し、(b)は(a)に示すエッジ間のy=y0におけるベクトルd(x,y0)のX成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す。ベクトルd(x,y0)のX成分を回帰直線D(x)=ax+bで近似すると、傾きaが倍率変動量に相当する。図66(a)の例では、検査対象パターン画像のパターンが基準パターンよりも全体に大きいことがわかる。
図67において、(a)は基準パターンのエッジ(破線)、および検査対象パターン画像のエッジ(実線)の別の例を示し、(b)は(a)に示すエッジ間のy=y0におけるベクトルd(x,y0)のX成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す。図67(a)の例では、検査対象パターン画像のパターンが基準パターンよりも全体に大きいことに加えて、直線形状パターンの幅が太っている。図67(a)において、基準パターンの直線形状パターン121、122、123は、それぞれ検査対象パターン画像の直線形状パターン124、125、126に対応する。
X方向の線幅の変形量は、例えば、sign(x,y0)・{d(x,y0)のX成分-D(x)}の平均値として求めることができる。ここで、sign(x,y0)は、(x,y0)の位置がラインの左端であれば−1をとり、ラインの右端であれば1をとる。なお、線幅の変形量に関して、sign(x,y0)・{d(x,y0)のX成分-D(x)}の標準偏差を求めれば、線幅のばらつき指標が得られる。
4.9 パターンの属性単位で検出される欠陥の認識方法
まず、パターンの属性を説明する。図68で示すようにパターンの属性としては、直線部分171、コーナー172、終端173、孤立パターン174などが使用できる。パターンの属性に関するパターン変形量としては、例えば、前述の4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量で説明した位置ずれ量、倍率変動量、および線幅の変形量のほか、直径、面積、周囲長、円形度、モーメント、曲率半径などの特徴量の変形量が使用できる。
基準パターンにパターンの属性を自動的に付加することができる。パターンの属性を抽出するために、前述の3.3 レシピデータ「(4)基準パターンの属性(直線部分、コーナー、終端、孤立パターン等)を認識するための抽出ルールが使用するパラメータ」を設定し、使用する。
4.9.1 終端の位置ずれ欠陥
図69(a)および(b)は、終端の位置ずれ量を示す図である。終端の位置ずれ量は、図69(a)に示すように、基準パターンの終端を構成するエッジ164と検査対象パターン画像のエッジ163の間の最小距離である。
また、図69(b)に示すように、任意の幅をもった区間157に対応する複数の距離の平均値、最大値、最小値、または、中央値などを、終端の位置ずれ量としてもよい。
もし、位置ずれ量が、3.3 レシピデータ「(2)許容パターン変形量の−側の限界値および+側の限界値」の中の終端の許容エッジ位置の移動量の範囲になければ、この終端は欠陥を持っていると認識される。
4.9.2 直線部分、コーナーの位置ずれ欠陥
図69(a)および(b)では、終端の位置ずれ量について説明したが、直線部分、コーナーも同様に位置ずれ量を測定できる。直線部分については直線部分に対応する区間について得た位置ずれ量から欠陥を検査する。コーナーについては、コーナーの成す角度の半分の角度もしくは指定した角度を持つ方向での位置ずれ量を求めて欠陥を検出する。
これらの場合は、終端の許容エッジ位置の移動量の代わりに、それぞれ、直線部分、コーナーの許容エッジ位置の移動量を使用する。
4.9.3 孤立パターンの位置ずれ欠陥
図70は、孤立パターンの位置ずれ量を示す図である。位置ずれ量は、(孤立パターンを構成する)基準パターンのエッジ160の重心162と、(孤立パターンを構成する)検査対象パターン画像のエッジ159の重心161との位置ずれ量である。
もし、位置ずれ量が、3.3 レシピデータ「(2)許容パターン変形量の−側の限界値および+側の限界値」の中の孤立パターンの許容エッジ位置の移動量の範囲になければ、この孤立パターンは欠陥を持っていると認識される。
4.9.4 他の孤立パターン欠陥
また、孤立パターンの特徴量の変形量を検査することができる。特徴量として、直径、面積、周囲長、円形度、モーメントなどが使用できる。図70で示すように、基準パターンのエッジ160と検査対象パターン画像のエッジ159から特徴量を計算して、両者の特徴量の差異を検査できる。
4.9.5 コーナーの曲率異常欠陥
図71において、(a)は基準パターンのコーナーの例を示し、(b)は検査対象パターン画像のコーナーの例を示す。図71(a)に示す基準パターンのエッジ166のコーナーには丸みをつける処理がなされている。コーナーの曲率半径としては、例えば、コーナーの曲線を楕円もしくは円で最小自乗近似して得られた長径、短径もしくは半径を用いることができる。基準パターンのエッジ166のコーナーの曲率半径、および検査対象パターン画像のエッジ165のコーナーの曲率半径を求めることにより、コーナーの曲率半径の変形量を得て、検査することができる。
以上の検査は、視野内の複数の箇所に対し同時に実行される。検査項目は、前述の3.3 レシピデータ「(1)求めたいパターン変形量」に従い選択される。
4.10 パターンの属性の抽出ルール
前述の3.3 レシピデータ「(4)基準パターンの属性(直線部分、コーナー、終端、孤立パターン等)を認識するための抽出ルールが使用するパラメータ」の例を図68に従い説明する。直線部分171は、所定長L以上の長さをもつ線分として抽出される。コーナー172は、所定角度(90度、135度や270度など)で接触する2線分の接点近傍にある部分として抽出される。終端173は、所定長L以下の長さをもつ線分で、直線部分171,171と90度の角度をもって接する両端173t,173tをもつ線分として抽出される。終端173と二つの直線部分171,171はコの字型の形状をなす。孤立パターンは、所定面積以下の閉図形として抽出される。
4.11 第2のエッジ検出
検査部12は、検査対象パターン画像から再度エッジ(第2のエッジ)を検出する(ステップS334)。検出された第2のエッジは、検査対象パターン画像から得られたプロファイルから検出される。第2の基準パターンとしては、図76の点Qがエッジになる基準パターンを用いる。これに対し、前述の4.1.2 第1のエッジ検出方法2で説明したエッジのみが明るい画像の場合、第1の基準パターンとしては、点Pがエッジになる基準パターンが用いられる。したがって、第2の基準パターンと第1の基準パターンは一般に異なる。
検査対象パターン画像の第2のエッジ検出を行う前に、前述のシフト量S1+S2の分だけ第2の基準パターンをシフトさせる。以後の処理は、このシフトを行った状態で行う。
プロファイルからエッジを検出するには、しきい値法、直線近似法など各種開示されているが、本実施形態では、その中のしきい値法を用いて、CD−SEMで行っている線幅測長を2次元パターン(検査対象パターン画像)に応用している。ただし、しきい値法を、直線近似法など別の方法に置き換えても同様に処理が可能である。ここで、直線近似法とは、プロファイルを直線で近似し、交点を使ってエッジを検出する方法である。
プロファイル取得区間を設定する方法として次の2つの方法が使用できる。その1つは、プロファイルを取得する方向および位置を第2の基準パターンを使って予め設定する方法である。この方法は、前述の3.3 レシピデータ「(6)プロファイル取得区間をレシピデータ設定時に設定するか第1のエッジを検出してから設定するかのフラグ」がオフのときに実行される。この方法では、プロファイル取得区間が、第2の基準パターンから一意的に設定される。
図72は、プロファイル取得区間の例を示す図である。図72で示すように、プロファイル取得区間は、第2の基準パターンを中点として、第2の基準パターンの垂直方向に設定される(二重線で示された線分)。プロファイル取得区間の長さは、前述の3.3 レシピデータ「(6)プロファイル取得区間の長さ」であり、プロファイル取得区間の間隔は、前述の3.3 レシピデータ「(6)プロファイル取得区間の間隔」である。
なお、前述の第2の基準パタ−ンの代わりに、図73に示すように、リソグラフィ・シミュレータで得られた露光パターンの外形を形成する曲線(図中実線)を使用しても良い。
検査対象パターン画像からプロファイル取得区間に対応する区間に対して、前述の3.3 レシピデータ「(6)プロファイル取得区間内のサンプリングポイントの間隔」で、プロファイルのデータを取得する。プロファイル取得区間の長さはパターンの変形許容量より長くする。またサンプリングポイントの間隔は通常ピクセル間隔以下の値とする。プロファイルのデータの作成には、双一次補間、スプライン補間、フーリエ級数などの方法を用いる。
図74は図72の一部(Bの部分)を拡大した図であり、図75は図74の一部(Cの部分)を拡大した図である。図中の二重線がプロファイル取得区間であり、格子の交点はピクセルの位置、黒点は検査対象パターン画像の輝度値を取得する位置を示す。
双一次補間法とは、図示のように(0,0)(0,1)(1,0)(1,1)で示されたピクセルの輝度値I(0,0)、I(0,1)、I(1,0)、I(1,1)を使って、位置(x,y)、(0<x≦1,0<y≦1)にある点の輝度値I(x,y)を次の計算式で計算するものである。
この式を使って得られたプロファイルから、しきい値法を使って第2のエッジ位置を検出する。図76に示すように、得られたプロファイルの中の最大輝度値Vとその位置Pを求める。その最大輝度値Vに予め指定された係数kをかけた数値をしきい値Tとし、輝度値=しきい値Tの直線とプロファイル曲線との交点を求める。これらの交点で、点Pからパターンの外側方向にあり、最も点Pに近い交点Qを求める。すべてのプロファイルについて、交点Qを求める方法を使用して第2のエッジを検出する。
ウェーハに形成された配線の断面形状は台形状をなす。測長を、この断面形状の上辺で行うのか、下辺で行うのか、あるいは中間部で行うかを係数kで設定することができる。
第2のエッジを検出したら、検出された第2のエッジを使って曲線近似(多角形近似を含む)を行い、検出された第2のエッジを連結する。最も単純な方法は単に折れ線で連結する方法である。しかし、以下の分割融合法を用いると、最小自乗法による多角形近似で検出された第2のエッジを連結できる。T. Pavlidis and S. L. Horowitz : “Segmentation of plane curves”, IEEE Trans. On Computers,vol. C-23, no.8 Aug., 1974。この方法の例を図77(a)に示す。
これ以外にも、図77(b)に示すような最小自乗法と2次元スプライン関数を使った平面データの平滑化による曲線近似を用いることもできる。前者は、高速に処理できるが丸まった形状を多く含むものには柔軟性がない。一方、後者は、高速性を満たし且つ柔軟性をもつ特性がある。これら以外にも、フーリエ記述子による方法など各種の方法が開示されており、これらでも置き換え可能である。
なお、以上のような曲線近似は、第1のエッジ検出を行った後にも行うようにすることができる。
プロファイル取得区間を設定する別の方法として、プロファイル取得区間をエッジ検出時に適応的に設定する方法が使用できる。前述の3.3 レシピデータ「(6)プロファイル取得区間をレシピデータ設定時に設定するか第1のエッジを検出してから設定するかのフラグ」がオンのときに実行される。
この方法は、図78(a)に示すように、検出された検査対象パターン画像の第1のエッジの垂直方向にプロファイル取得区間を設定する方法である。この方法によれば、図78(b)に示すように、検出された検査対象パターン画像の第1のエッジ(実線)が前述の第2の基準パターン(点線)からずれていたとしても、プロファイル取得区間を前述の方法より短くできる。また、この方法は、前述の方法に比べ、パターンの変形に追従しやすい。プロファイル取得区間の設定後は、前述の方法と同様の処理を行う。
4.12 第2の検査
以上の第2のエッジ検出の後、検査部12は、第2の検査を行う(ステップS336)。この検査は、前述の第1の検査のS320からS332と同じ処理であるが第1のエッジのかわりに第2のエッジを使用することが異なっている。また、ステップS318では、検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの対応づけを行うが、第2の検査ではプロファイル取得区間によって対応づけられている。
第2の検査で欠陥検出を行い、パターン変形量を求める。ここで求められる画像全体に関する位置ずれ量(シフト量)S3は、前述の4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量で説明したシフト量S2に対応する。ここで求めたシフト量S3に、前述のシフト量S1およびシフト量S2を加えたものが、第2の基準パターンと検査対象パターン画像のパターンとの間の全シフト量となる。
第2の検査では、前述の4.6.1 異常パターン変形量欠陥の認識方法と前述の4.6.2 ピクセルの輝度分布を使う欠陥の認識方法を以下の方法にする。
第1の検査の4.6.1 異常パターン変形量欠陥の認識方法では、対応づけができなかった検査対象パターン画像のエッジのピクセルは、欠陥として認識される。しかし、第2の検査では、前述の3.3 レシピデータ「(2)許容パターン変形量の−側の限界値および+側の限界値」の範囲にエッジが存在しないプロファイル取得区間を欠陥として扱う。
第1の検査の4.6.2 ピクセルの輝度分布を使う欠陥の認識方法では、対応づけが行われた検査対象パターン画像のエッジを連結して領域を求める。しかし、第2の検査では、基準パターンのエッジを連結して領域を求める。
以上の基本検査処理をすべての検査単位領域について行った場合には検査処理を終了し、そうでない場合にはステップS308に戻る(ステップS340)。
5.応用検査処理
以上は図25に示されたフローチャートに基づく基本検査処理の説明である。この章ではこの基本検査処理を発展させた応用検査処理を説明する。
5.1 繰り返し発生する欠陥の認識方法
前述の4.基本処理で説明したように、繰り返し発生する欠陥を認識する場合の処理の例が図27に示されている。この処理は図25に示された処理を拡張したものである。
まず検査の前に準備する工程を示すブロックAが実行される。次に、各半導体デバイスの検査領域の検査の工程であるブロックBが終了した後に欠陥を融合する(ステップS402)。図27のブロックAおよびブロックBは、それぞれ図26のブロックAおよびブロックBと同一である。ブロックAにおけるステップS302〜S306は、図25におけるステップS302〜S306とそれぞれ同一である。またブロックBにおけるS308〜S336はそれぞれ図25のS308〜S336と同一である。
ブロックBにおいては、検査結果を欠陥情報記憶部24に出力するステップS338が追加されていることが、図25と異なっている。ブロックBにおけるステップS340は図25のステップS340と同一である。ステップS340における検査単位領域は、設計データ上の座標で表現された検査領域であり、この検査領域を複数の半導体デバイスに対して検査すべきエリアとするものである。
図20に示す検査単位領域より広範囲の検査領域を検査する場合は、検査単位領域と検査単位領域の境界に存在する欠陥が複数箇所に分断されて検出されることがある。これらの複数箇所に分断された欠陥を融合することにより、検査単位領域の間にあった境界の影響をなくすことができる。
図79は検査領域が4つの検査単位領域に分割されている場合を模式的に示している。欠陥Aは、右上の検査単位領域と右下の検査単位領域にまたがって存在している。まず、右上の検査単位領域に属した欠陥の外接長方形31と右下の検査単位領域に属した欠陥の外接長方形32が求められる。外接長方形31、外接長方形32は、図63(b)で示した手順で求められたものである。
次に、検査領域を構成する全ての検査単位領域内に含まれる外接長方形について重なり検査をする。もし重なっている場合は、上記の重なり合った外接長方形全てを含む最小の外接長方形が融合された外接長方形とされる。本例では、外接長方形31と外接長方形32から融合された外接長方形Mが得られる。なお、外接長方形M(点線で示す)と、外接長方形31および外接長方形32とは、一部の線が重なっているべきであるが、図示上の便宜上、外接長方形Mの方が若干大きく描かれている。
同様に4つの検査単位領域にまたがって存在している欠陥Bも融合される。この場合は4つの外接長方形が融合して1つの融合された外接長方形が得られる(ステップS402)。得られた外接長方形の内に存在する欠陥情報を融合し、融合された欠陥情報を欠陥情報記憶部24に記憶させる(ステップS403)。
検査対象半導体デバイスの全ての検査を行ったか否かのチェックをしたのちに(ステップS404)、検査が終了したと判断された場合には、繰り返し発生する欠陥を認識する(ステップS406)。これらの欠陥情報は同一の設計データに基づいて製造された複数の半導体デバイスに対する同じ検査領域から得られたものであり、設計データが使用している座標系で表現されており、ステップS338によって欠陥情報記憶部24に記憶されている。
図80では、第1の半導体デバイスと第2の半導体デバイスから得られた欠陥情報が模式的に示されている。第1の半導体デバイスから得られた欠陥情報と第2の半導体デバイスから得られた欠陥情報を重ねると、外接長方形33Aと外接長方形33Bが外接長方形34と重なると判定される。この処理は図形の論理演算として広く知られている。これら3つの外接長方形を含む最小の外接長方形として共通外接長方形35を得る。この共通外接長方形35内に存在する欠陥(図示されていない)を共通に存在する欠陥、すなわち繰り返し発生する欠陥として認識する。
この場合は、共通外接長方形35の内部に繰り返し発生する欠陥が存在し、第1の半導体デバイスの欠陥検出時にはノイズなどの要因で外接長方形33Aと外接長方形33Bとに分断されて検出され、第2の半導体デバイスの欠陥検出時には一塊の外接長方形34として検出されたことを意味する。外接長方形33Aと外接長方形33Bと、外接長方形34がずれているのは、欠陥がわずかにずれた位置で検出されたことを意味する。
以上の処理は、3つ以上の数であるN個の半導体デバイスから得られた欠陥情報を使用する方法でも同様に実行できる。この場合は、M個以上の半導体デバイスから得られた外接長方形が重なり合うときに、繰り返し発生する欠陥が認識される。Mは2からNまでの数値で、大きいほどより厳密に繰り返し発生する欠陥を取得できる。
以上の検査で得られた繰り返し発生する欠陥の欠陥情報を欠陥情報記憶部24に出力する(ステップS408)。この欠陥情報記憶部24の内容は、出力部13を介して表示装置5および印刷装置6に出力される(ステップS410)。
本実施例を使用すれば、オペレータの大量の単純労働を不要にし、オペレータのミスによる欠陥認識低下を防ぐことが可能になる。また、後述するカーボンコートなどにより試料が汚染された場合に、汚染物が異なるダイの同一箇所に存在することがほとんど無いので、汚染物を繰り返し発生する欠陥として認識することがない。
他の方法として、複数の半導体デバイスから得られた欠陥情報のうち、少なくとも一つの半導体デバイスについては検査領域の全体から欠陥情報を得て、それ以外の半導体デバイスについては前記欠陥情報中の欠陥位置の近傍のみを検査して欠陥情報を得ることにより、繰り返し発生する欠陥として認識する方法がある。
本実施例では第1の半導体デバイスの検査領域の全ての場所から欠陥情報を得て第2の半導体デバイスについては前記欠陥情報中の欠陥位置の近傍のみを検査して欠陥情報を得る方法について説明する。
第1段階として、第1の半導体デバイスについて、ブロックA、ブロックB、ステップS402、ステップS403を実行する。図81の左側ではステップS403を経て得られた第1の半導体デバイスの欠陥情報が模式的に示されている。第1の半導体デバイスから得られた外接長方形41の近傍に対応する画像を第2の半導体デバイスから取得して欠陥を検査する。図81の右側ではこのように限定的に検査された結果が第2の半導体デバイスから得られた欠陥情報として模式的に示されている。
第2段階として、第1の半導体デバイスから得られた欠陥情報を第2の半導体デバイスから得られた欠陥情報と重なるか調べる。図81では、外接長方形41が外接長方形42Aと外接長方形42Bと重なる。次にこれら3つの外接長方形を含む最小の外接長方形として共通外接長方形43を得る。この共通外接長方形43に存在する欠陥(図示されていない)を両半導体デバイスに共通に存在する欠陥、すなわち繰り返し発生する欠陥として認識する。同様の処理を外接長方形51に対して実施する。このように、第1の半導体デバイスから得られた欠陥情報に含まれる全ての欠陥に対して第2の半導体デバイスにおいて限定的に検査される。
第1の半導体デバイスから得られた欠陥情報に含まれる欠陥の数が少ない場合は、この方法は、前の方法に比べて高速に実行する。
5.2 領域検査方法
前述の4.6 第1の検査4.12 第2の検査では設計データを単純に基準パターンに変換している。他の検査方法として、領域検査方法に適した基準パターンを設計データを成す線分の幾何学情報もしくは接するか近接する設計データを成す線分同士の関係を使用して抽出する検査方法が使用できる。領域検査方法とは対向するエッジを使用する検査方法を意味している。
領域検査方法として、直線形状パターンの線幅検査方法、平均線幅検査方法、スペース幅検査方法、平均スペース幅検査方法、曲線形状パターンの線幅検査方法、平均線幅検査方法、スペース幅検査方法、平均スペース幅検査方法、切断・短絡、切断もしくは短絡しやすい部分の検査方法、もしくは、ゲート線幅検査方法が使用できる。
5.2.1 直線形状パターンの線幅検査方法、平均線幅検査方法、スペース幅検査方法、および平均スペース幅検査方法
半導体の検査には線幅、平均線幅、スペース幅、および平均スペース幅のモニタリングによって半導体デバイスのプロセスを管理する方法がある。本実施例によれば、線幅、平均線幅検査、スペース幅、もしくは平均スペース幅検査に適した基準パターンを、検査対象に対応するレイアの設計データから抽出し、抽出された基準パターンごとに、線幅、平均線幅検査、スペース幅、もしくは平均スペース幅検査に適した許容パターン変形量を設定する検査方法が実現できる。これらの検査方法は以下の手順で実施される。
図82では、線幅検査用に適した基準パターンを設計データから自動的に抽出する規則を模式的に示している。設計データの直線形状パターンであって、指定された最大線幅Lwより細く、かつ、指定された最小線長Lmより長い直線形状パターンが線幅検査用に適した基準パターンを得る多角形の対象になる。図82の左側の部分で示すように、図82の設計データには3つの直線形状パターンがある。左の直線形状パターンは処理の対象になるが、中の直線形状パターンは最大線幅Lw以上なので、処理の対象にならない。また右の直線形状パターンは最小線長Lm以下なので処理の対象にならない。
次に、図82の右側の部分で示すように、選別された直線形状パターンについてその終端から指定された終端非使用長Lo分内側に縮める。この直線形状パターンを区間長Liの長方形に分割し、分割された長方形が線幅検査用基準パターンA(実線で示されている)として登録される。また、ここで得られた線幅検査用基準パターンAの境界が中心にくる基準パターンB(二重線で示されている)を線幅検査用基準パターンBとして追加してもよい。
基準パターンBを付加することによって、基準パターンAの境界に存在している欠陥の検出能力が向上する。欠陥の検出能力は基準パターン内に存在する欠陥の大きさの割合が大きいほど高い。欠陥が一つの基準パターンに存在している場合の基準パターンの大きさに対する欠陥の大きさの割合をRとする。同じ大きさの欠陥が二つの基準パターンに分割されて存在している場合の基準パターンの大きさに対する欠陥の大きさの割合はRより小さくなる。従って、欠陥が一つの基準パターンに存在する場合の方が欠陥の検出能力が高くなる。
図83に示すように、コーナーを持つ直線形状パターンに対しては、コーナー部分で長方形に分離してから処理を施す。図83の点線で示すコーナーを有したL字状多角形が実線で示す2つの長方形に分離されることになる。
スペース幅検査は反転設計データを使って上記と同様の処理を施すことで実現できる。反転設計データとは、設計データの中のパターンの内部を外部に、外部を内部に反転したものである。図84では、スペース幅検査用に適した基準パターンを設計データから自動的に抽出する規則を模式的に示している。図84で示すように、Lm’、Lw’、Li’、Lo’はLm、Lw、Li、Loと意味は同じだが、一般に異なる値を使用する。これらの値を用いて、図82で説明した方法と同じ方法によりスペース幅検査を行えばよい。以上で使用したLm、Lw、Li、Lo、Lm’、Lw’、Li’、とLo’の値は前述の3.3 レシピデータ「(5)線幅検査用に適した基準パターンの最大線幅、最小線長、終端非使用長、スペース検査用に適した基準パターンの最大線幅、最小線長、終端非使用長」として管理される。
線幅検査用に適した基準パターンとスペース幅検査用に適した基準パターンを使う検査は、次の手順で実施される。得られた基準パターンの線分であって設計データに存在していた線分に対応する検査対象画像のエッジの平均エッジ位置を計算する。この平均エッジ位置間の距離を計算し、得られた距離と設計データの線幅もしくはスペース幅Wとの差が3.3 レシピデータ「(2)線幅の許容パターン変形量」もしくは「(2)スペース幅の許容パターン変形量」を超えた場合にこの基準パターンに対応する部分を欠陥と認識する。
図85に線幅検査用に適した基準パターンとスペース幅検査用に適した基準パターンを使う検査が模式的に示されている。基準パターンには設計データに存在していた二重線で示された線分Ldと長方形に分離したときに付加された線分Leがある。図72に示すように、線分Ldに対して垂直方向にプロファイルを取得し、図76のようにそのプロファイルからエッジを求める。これらの求めたエッジ位置の平均を取り平均エッジ位置を求める。
図85では左側の平均エッジ位置Aと右側の平均エッジ位置Bが得られる。次に左側の平均エッジ位置Aと右側の平均エッジ位置Bの距離W’を求め設計データの線幅Wとの差を求める。この差が許容パターン変形量以上なら欠陥と認識する。
別の方法として、線分Ld上の各プロファイルを取得してこれらのプロファイルを平均したプロファイルからエッジ位置を求めてもよい。
以上では平均線幅検査もしくは平均スペース幅検査の方法を示したが、平均せずに各々の線幅もしくはスペース幅を検査してもよい。
なお、後述するように、5.3.1 ゲート線幅検査方法は直線形状パターンの線幅検査方法と直線形状パターンの平均線幅検査方法の一種であるが、領域検査に適した基準パターンの抽出方法が異なる。
5.2.2 曲線形状パターンの線幅、平均線幅、スペース幅、および、平均スペース幅検査方法
前述の領域検査方法では実施できない曲線形状パターンの線幅、平均線幅、スペース幅、および、平均スペース幅検査方法が使用できる。曲線形状パターンとしてコーナー部分が典型である。曲線形状パターン検査には複雑な計算を必要とするが、直線部分と同様にこれらの検査が半導体デバイスのプロセスを管理する方法として重要である。
以下ではコーナー部分である曲線形状パターンの線幅検査方法の手順を示す。図86は、コーナー部分の線幅検査に適した基準パターンを得る手順を模式的に示す図であり、図87は、コーナー部分である曲線形状パターンの最小線幅検査の手順を模式的に示す図である。
図86に示すように、設計データから得られた基準パターン(点線で示されたL字状多角形)から直線形状パターンの線幅検査に適した基準パターン(実線で示された二つの長方形)を削除して得られた多角形CP1,CP2,CP3を得る。得られた多角形であって終端を含むパターンではない多角形CP2がコーナー部分の線幅検査に適した基準パターンとして選ばれる。
検査の対象となる線幅とは、コーナー部分の線幅検査対象となる基準パターンであって設計データに存在していた線分に対応する曲線(図87の太い実線で示され、図18に示すように曲線で補正されたコーナー部分を有するL字状の線分に相当する)間の最小距離である。これらの曲線に対応する第2のエッジを検出する(図72〜図76参照)。図87で図示の二重線はプロファイル取得区間を表し、黒丸(●)は検出された第2のエッジを表している。
以下の処理を左下側の曲線に対応する全ての検出された第2のエッジについて実行する。
(1)左下側の曲線に対応する1つの検出された第2のエッジと右上側の曲線に対応する全ての検出された第2のエッジとの距離を求める。
(2)得られた距離の中で最小のものを得る。
得られたそれぞれの距離の最小値が前述の3.3 レシピデータ「(2)許容される最小線幅」未満なら欠陥が存在していると判断する。ここで、最小線幅でなく平均線幅を計算して、平均線幅検査を実行しても良い。
曲線形状パターンは一般に線幅の異なる複数の線分からなっている。また、曲線形状パターンは回路の接続に使用される。以上の理由から許容パターン変形量を使用する検査よりも最小線幅検査が適している。
他の方法として、2値化画像に対するErosion演算を使用する方法がある。図88は、Erosion演算を使用するコーナー部分である曲線形状パターンの最小線幅検査の手順を模式的に示す図である。Erosion演算を使用する最小線幅検査は以下の手順で実行される。前に説明したように、Erosion演算はモルフォロジーの代表的な演算の一つである。
(1)左下側の検出された第2のエッジと右上側の検出された第2のエッジを時計回り又は反時計回りに連続的に連結して多角形を作る。図88においては、全ての検出された第2のエッジは、矢印CW1−CW5で示すように、時計回りに連続的に接続されている。
(2)得られた多角形を2値化ビットマップに変換する。(図88の格子状の部分)
(3)CP2を作成したときに付加された線分Lcに、Erosion演算で使用される構造要素の半径の幅を持った長方形を付加する。(図88のドットで示す2つの長方形部分)
(4)得られた2値化ビットマップのErosion演算の結果を求める(図88の太線で囲まれた2つの領域Me)。Erosion演算で使用する構造要素は、前述の3.3 レシピデータ「(2)線幅の許容変形量の−側の限界値」を直径とする円を使用する。
(5)もし線分Lcに対応する画像部分ILcが上記の領域Meで連結していれば、欠陥ではないと判断される。しかしこの場合、線分Lcに対応する画像部分ILcが上記の領域Meで連結していないので、欠陥と判断される。
以上の処理は線幅検査であったが、スペース幅検査についても同様に検査される。
以上の領域検査に関わる本実施例を使用すれば、これらの領域検査が複数の欠陥情報の平均値を使用しているので、欠陥検出能力、および欠陥認識精度が単一のエッジを使用する検査方法に比べて非常に向上する。
5.2.3 切断もしくは短絡しやすい部分の検査方法
前述の5.2.2 直線形状パターンの線幅もしくはスペース幅検査方法の一種に、切断もしくは短絡しやすい部分の検査方法が使用できる。図89は、切断もしくは短絡しやすい部分の抽出方法を模式的に示す図である。図89の左側に示すように、線幅が前述の3.3 レシピデータ「(5)切断しやすい部分の最大線幅Bw」より狭く、かつ、前述の3.3 レシピデータ「(5)切断しやすい部分の最大線長Bl」より短い、設計データの直線形状パターンの部分である長方形γが抽出される。
この抽出された部分である長方形γが切断されやすい部分に該当し基準パターンとして登録される。線分αと線分βに対して図85で示したエッジ検出を行い検査を行う。ここで、線分βはコーナーの丸みがあるので平均せずに各々の線幅が検査される。
同様に、短絡しやすい部分については、図89の右側に示すように、前述の3.3 レシピデータ「(5)短絡しやすい部分の最大スペース幅Sw」,前述の3.3 レシピデータ「(5)短絡しやすい部分の最大スペース長Sl」を使って得られた長方形ζが短絡しやすい部分として登録され、スペース幅が検査される。
切断もしくは短絡しやすい部分の別の検査方法は、図90に示すように以下の手順で行われる。図90の左側は切断しやすい部分の検査方法を模式的に示しており、図90の右側は短絡しやすい部分の検査方法を模式的に示している。図90の太い黒枠で示された長方形パターンは、図89の長方形γ,長方形ζと同じである。また、図90の格子状の部分に対応する画像部分には明確に下地とコントラストがあるが、ドットで示す部分に対応する画像部分には薄いコントラストがある。図90の左側のドットで示す部分は、切断している状態が示されている。また、図90の右側のドットで示す部分は、短絡している状態が示されている。
このような場合には3種類のエッジが存在している。1つは下地と格子状の部分の境界に存在するエッジであり、もう1つは下地とドットで示す部分の境界に存在するエッジである。最後は格子状の部分とドットで示す部分の境界に存在するエッジである。図90の左側に示すような切断の場合は、下地とドットで示す部分の境界に存在するエッジが検出されてしまい、欠陥が検出されない。また図90の右側に示すような短絡の場合は格子状の部分とドットで示す部分の境界に存在するエッジを検出してしまい、欠陥が検出されない。このような場合でもドットで示す部分に存在する欠陥を検出する方法として、以下の検査を行う。
Gで示されたγおよびζが含まれる8つの区間について図示の矢印方向にエッジが存在するか検査する。この部分には、切断もしくは短絡しやすい部分ともにエッジは存在してはならない。よって、これらの8つの区間にエッジが検出された場合には、γもしくはζは欠陥と認識されることになる。
本実施例によれば、薄いコントラストで観察される切断もしくは短絡した欠陥を検出できる。また、切断もしくは短絡したという情報を持つ欠陥種を設定できる。
以上のこれらの領域検査に関わる本実施例によれば、オペレータの検査では不可能な広い範囲の検査が可能になる。
5.3 検査対象に関するレイアの設計データの多角形とこれに関連するレイアの設計データの多角形との論理演算を使用する検査方法
前述の4.6 第1の検査4.12 第2の検査では検査対象に関するレイアの設計データから得られた基準パターンを使って検査される。しかし、検査対象に関するレイアの設計データとこれに関連するレイアの設計データとの論理演算の結果から得られた基準パターンを使用する検査方法によって、より高度な検査が実現可能である。
5.3.1 ゲート線幅検査方法
前述の論理演算を使用する検査方法の第1の方法は、論理演算を使用して領域検査に適した基準パターンを抽出して検査する方法である。この方法としてゲート線幅検査方法とエンドキャップ検査方法が使用される。
半導体デバイスの検査にトランジスタのゲート幅検査がある。ゲート幅検査の対象はポリシリコンレイアとアクティブレイア(ポリシリコンレイアの前工程)の重なった部分である。このように検査対象に対応するレイアの設計データとその前後する工程に関するレイアの設計データとの論理積演算で得られた基準パターンを使用した検査を図91に示す。
ポリシリコンレイアの設計データである多角形とアクティブレイアの設計データである多角形の論理積で基準パターンC(実線で示された長方形)を得る。ここで使用している論理積演算は、計算幾何学で使用されている方法を用いている。検査は基準パターンCを使って前述の5.2.1 直線形状パターンの線幅検査方法、もしくは前述の5.2.1 直線形状パターンの平均線幅検査方法と同様に実行する。
本実施例によれば、ゲート部分を自動的に抽出できる。この結果、全半導体デバイスのゲート線幅の自動的検査が可能になり、半導体デバイスの性能向上に大きく貢献することができる。
5.3.2 エンドキャップ検査方法
終端の検査方法として、ゲート部分のエンドキャップの検査がある。まず、エンドキャップの認識方法を説明する。図91のポリシリコンレイアの設計データから基準パターンCを取り除いてできる多角形を求める。図91のポリゴンFとポリゴンGがこれにあたる。これらのパターンであって以下の条件を満たすものをエンドキャップと認識する。
(1)線幅W(図91)が指定値以下の長方形であること
(2)終端までの長さD(図91)が指定値以下であること
これらの条件を満たすものはポリゴンFとなる。次に、ポリゴンFの中の終端を、図69(a)および図69(b)と同様に検査する。一般に単純な終端とゲートのエンドキャップの縮み管理としての許容パタ−ン変形量の値が異なる。後者の方が前者と比べて有効ゲート長を確保するために、より厳密な許容パターン変形量が設定される。
本方式を用いれば、ゲートのエンドキャップに単純な終端とは異なる許容パターン変形量を自動的に設定することができるので、ゲートのエンドキャップを厳密に検査することが可能になる。
5.3.3 コンタクトホール/ビアホールに接する配線レイアの終端に対する許容パターン変形量の適応設定方法
前述の論理演算を使用する検査方法の第2の方法は、コンタクトホール/ビアホールに接する配線レイアの終端に対する許容パターン変形量の適応設定方法である。この方法では、コンタクトホール/ビアホールとの接続に使用する終端で一定値以上のマージンが無いものを識別して、認識された終端に許容パターン変形量を適応的に設定して検査する。図92では、この方法が模式的に示されている。
配線レイアの終端とコンタクトホール/ビアホールの接触面積が検査されている。同じような形状の終端であっても、単純な終端とコンタクトホール/ビアホールとの接続に使用する終端では終端の縮み管理としての許容パタ−ン変形量の値が異なる。後者の許容パターン変形量は、接触面積を確保する必要があるので、前者に比べてより厳密な許容パターン変形量が設定される。
コンタクトホール/ビアホールに接する配線レイアの終端に対する許容パターン変形量は、配線レイアとコンタクトホール/ビアホールレイアの露光時の位置あわせ誤差と終端のマージンを考慮して決められる。多くの終端のマージンは一定値以上を確保している。しかし、込み入った配線の場合は終端のマージンが一定値以上を確保できない場合がある。
コンタクトホール/ビアホールとの接続に使用する終端で一定値以上のマージンが無いものを識別する方法は以下の手順で実施される。
(1)配線レイアの終端である線分Leaを含み、配線レイアの設計データの多角形の内側方向に許容パターン変形量の長さをもつ図92の左上の枠内の実線の長方形を作る。この長方形を終端近傍パターンと呼ぶ。
(2)終端近傍パターンとコンタクトホール/ビアホールレイアの設計データとの論理積の結果が領域として得られる。この領域はドットで示された長方形である。一定値以上のマージンがない終端が、この領域を発生させる。
この領域の発生に関係した配線レイアの終端の縮みの許容パターン変形量を、他の終端の縮みの許容パターン変形量より小さくする。小さくする量は図92における長さΔである。認識された終端に長さΔを反映した許容パターン変形量を適応的に設定して、検査する。
本実施例によれば、コンタクトホール/ビアホールとの接続に使用する終端のマージンに適応して許容パターン変形量を設定することができる。
5.3.4 接触面積の検査方法
前述の論理演算を使用する検査方法の第3の方法は、コンタクトホール/ビアホールとの接続に使用する終端の接触面積を計算して検査する方法である。この方法は、配線レイアの終端とコンタクトホール/ビアホールを管理する別の方法でもある。図93(a)および図93(b)はこの方法を示す図である。
まず、図91で示した方法と同じ方法で配線レイアの設計データである多角形とコンタクトホール/ビアホールの設計データである多角形の論理積演算で得られた基準パターンRcaを得る。
次に、図85と同じ方法で設計データに存在していた二重線で示された線分Ldに対するエッジを検出する。この検出されたエッジをつなげて多角形Pcaを得る。多角形Pcaの点線は各線分Ldに対するエッジの終端をつなげる線分である。
最後に多角形Pcaの面積と基準パターンRcaの面積の比が計算される。得られた比が前述の3.3 レシピデータ「(2)許容される接触面積検査比」より小さければ、欠陥が存在していると判断される。
5.4 ウェーハに形成されてはならない補正パターンの検査方法
前述の4.6 第1の検査4.12 第2の検査ではウェーハに形成されるべきパターンを検査している。このような検査の他に、ウェーハ上に形成されてはならない形成されてはならない補正パターンの検査がある。例えば、OPCパターンの一種としてそのパターンの近傍に存在するパターンを補正する目的で付加されているが、そのパターン自身はウェーハに形成されないパターンがある。このような補正パターンがウェーハに形成されて欠陥となることがある。近年このようなパターンが大量に使用されるようになったが、自動検査方法が存在しない。
図94(a)は、ウェーハに形成されてはならない補正パターンの例を示す図である。また、図94(b)は、ウェーハに形成されてはならない補正パターンの検査方法を模式的に示す図である。前記の問題の解決として、以下の手順で実施する検査方法を実施する。
(1)前述のOPCパターンを基準パターンに変換する。この方法では設計データではなくてOPCパターンが使用される。
(2)図94(b)で示すように得られた基準パターンを使用して第2のエッジを検出する。この様なOPCパターンはパターンとして形成されたとしても、基準パターンとは相当違った形になる。よってプロファイル取得区間はこの変形をカバーするように長くする必要がある。
(3)プロファイル取得区間の数に対する検出されたエッジの数の比率が、前述の3.3 レシピデータ「(2)ウェーハに形成されてはならない補正パターンの欠陥判断係数Kcp」より大きい場合は欠陥が存在していると判断する。ここで欠陥判断係数Kcpは経験値で0.1以下の数が使用される。
本実施例によれば、エッジ検出を応用してウェーハに形成されてはならない補正パターンの検査方法が実現可能になる。
5.5 信号強度補正を必要とするパターンの検査方法
前述の4.6 第1の検査4.12 第2の検査では検査対象パターンは個別に検査される。しかし、2次荷電粒子発生率や捕獲率の変動などに起因する現象により、パターンの一部を形成する2つのエッジ間の距離が実体より狭まって観察されることや、広がって観察されることがある。これらの現象は、基準パターンの近接線分と離隔線分に対応するパターンの部分に発生する。近接線分とは、対向する線分のうち最も近い線分間の距離が指定値よりも小さい線分である。離隔線分とは、対向する線分のうち最も近い線分間の距離が指定値よりも大きい線分である。
例えば、上記近接線分に対応するエッジ間の距離が広がって観察されることがあり、上記離隔線分に対応するエッジ間の距離が狭まって観察されることがある。本実施例によれば、それらの近接/離隔線分の位置を補正する方法と、通常の許容パターン変形量とは異なる許容パターン変形量を設定する方法を持たせて、この現象を補正する。
また、離隔線分に対応する2つのエッジ間の距離が、プロセス条件の変動で設計データの距離より短くなることがあるが、必ずしも半導体デバイスの特性に影響するわけではない。このような場合には、パターンの離隔線分では許容パターン変形量を大きくして変形を無視することができる。
図95では、基準パターンから近接線分を抽出する方法が模式的に示されている。補正が必要な近接線分どうしの最大距離をDpとする。まず、図95の左の枠内の左の長方形の右側の太線で示す線分について近い線分を求める。求めるべき線分は太線で示された線分に対向して右方向に存在し、かつ、基準パターンの左側を形成する線分である。図95の左の枠内の点線の線分がこの条件に当てはまる。次に、これらの線分であって太線で示す線分との距離がDp以下である中央の長方形の点線で示された線分Lpが選ばれる。最後に、選ばれた線分Lpを太線で図示の線分に射影して重なる部分が近接線分として認識される。これは図95の右の枠内の波線で示された線分である。
近接線分について、線分の位置の補正をすることと、許容パターン変形量を他の線分とは異なった値に設定する。ここで、位置の補正量や許容パターン変形量を距離にしたがって可変にしてもよい。
図96では、基準パターンから離隔線分を抽出する方法が模式的に示されている。補正が必要な線分どうしの最小距離をDtとする。まず、図96の左の枠内の左の長方形の右側の太線で示す線分について近い線分を求める。この太線で示された線分に対向する線分は右方向に存在し、かつ、パターンの左側を形成する線分である。図96の左の枠内の点線の線分Ltがこの条件に当てはまる。
次に、これらの線分のうち太線で示す線分との距離がDt以下であるものが選ばれる。最後に、選ばれた線分を太線で示す線分に射影して重なる部分が補正対象線分ではないものとして認識される。これは図96の右の枠内の波線で示された線分である。この結果、太線で示す線分であって前述の波線の線分を除いた線分が離隔線分として認識される。
離隔線分についても、線分の位置の補正をすることと、許容パターン変形量を他の線分とは異なった値に設定する。ここで、位置の補正量や許容パターン変形量を近接する距離にしたがって可変にしてもよい。例えばH部分の線分の位置の補正量を上記で得られた離隔線分の補正量より小さくして使用し、J部分の線分の位置の補正をしないことが可能である。
本実施例によれば、基準パターンの線分の位置を補正すること、もしくは、許容パターン変形量を設定することにより、前述の現象の効果を低減することができる。
5.6 パターン変形量の大域的パターン変形量と局所パターン変形量への分離方法
前述の4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量では検査単位領域ごとにパターン変形量を求めている。この方法によれば、パターン形成の条件の違いなどにより大域的に設計データの線幅と違う幅でパターンが形成されると、全ての検査単位領域から得られる検査単位領域全体から得られるパターン変形量が大きな値を持つことになる。しかし、このような大域的な平均線幅の変化よりも、局所的な領域の線幅の変化が半導体デバイスの特性を制限することが多い。そこで、パターン変形量を大域的パターン変形量と局所パターン変形量へ分離して半導体デバイスの特性を評価したいという要請がある。
図97ないし図100はパターン変形量の大域的パターン変形量と局所パターン変形量への分離方法を模式的に示す図である。ここではパターン変形量として、線幅の変形量を使用している。図97は、パターン形成の条件の違いなどにより大域的に設計データの線幅と違う幅でパターンが形成されている例を示す模式図である。
図97に示すように、半導体デバイスの中心部分は、大域的に線幅は正常であり欠陥K1が存在している。一方、半導体デバイスの周辺部分は、大域的にX方向に線幅が太くなっている。この変形量と欠陥K1のX方向のサイズが同じ量Mであるとする。この場合に、欠陥K1は欠陥として認識したいが、大域的な線幅の変形量Mは欠陥として認識したくない。また、大域的な線幅の変形量Mは欠陥として認識すると登録すべき欠陥数が膨大になる。
この問題を解決するために、欠陥を認識する前に設計データの線幅に大域的な平均線幅の変形量を補正する方法が使用できる。設計データの線幅を補正するために、線幅の大域的な平均線幅変化量を検査済みの検査単位領域を使用して求める第1の方法と、第1の方法によって得られた大域的な平均線幅の変形量を使って設計データの線幅を補正する第2の方法とを追加する。ここで大域的な平均線幅は、半導体デバイスの全体でなくとも十分に広い範囲から得ればよい。
図98(a)、98(b)および98(c)は線幅の大域的な平均線幅変化量を検査済みの検査単位領域を使用して求める第1の方法の例を示す図である。大域的な平均線幅の変形量として、前述の4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量の説明で使用したX方向の線幅の変形量を使用する。
まず、このX方向の線幅の変形量を各検査領域から求めると(図67(a)および図67(b)参照)、図98(a)に示すように、線幅の変形量CXが得られる。Y方向の線幅の変形量も同様に求められる。必要があれば、45度方向と135度方向の線幅の変形量を求めてもよい。
次に、X方向の大域的な平均線幅の変形量<CX>を得るために、線幅の変形量CXの平均値を求める(<>は平均値を表す)。例えば、図98(b)に示すように、補正対象の検査単位領域(図においてドットで示す部分)に対して検査単位領域の近傍にあって既に検査済みの検査単位領域(図において格子状の部分)の各CXの平均値を求める方法が使用できる。
また、前述の3.4 検査単位領域で説明した逐次検査においては、図98(c)に示すように、補正対象の検査単位領域(図においてドットで示す部分)に対して前述の3.3 レシピデータ「(8)パターンの大域的変形量を求めるために平均値を求める対象になる検査単位領域の数」の直近に検査された検査単位領域(図において格子状の部分)の各CXの平均値などが使用できる。他の方法として移動平均値を使用することもできる。Y方向、45度方向と135度方向の大域的な平均線幅の変形量<CY>,<C45>,<C135>も同様に求められる。以上で得られた大域的な平均線幅の変形量<CX>,<CY>,<C45>,<C135>がパターンの大域的変形量となる。
この大域的な平均線幅の変形量を、同じパターン属性を持つそれぞれのグループから得られる変形量に区別してもよい。この区別は、近接線分、離隔線分とそれら以外に区別することや、線幅に応じて区別することも可能である。また線幅に応じて区別する代わりに、関数の形で大域的な平均線幅の変形量を表現してもよい。
図99は第1の方法によって得られた大域的な平均線幅の変形量を設計データの線幅の補正に使用する第2の方法を示す図である。ここでは、大域的な平均線幅の変形量として前述の大域的な平均線幅の変形量<CX>,<CY>,<C45>,<C135>を使用している。
得られた大域的な平均線幅の変形量<CX>,<CY>,<C45>,<C135>を設計データの線幅の補正に使用する時は、設計データに基づき基準パターンを生成するステップS206(図19参照)で記述したサイズ処理(線幅を変える処理)と同じ方法を実施する。すなわち、基準パターンの各線分をその方向ごとに大域的な平均線幅の変形量<CX>,<CY>,<C45>,<C135>分移動させる。この処理は、ステップS304(図25参照)で記述した、レシピ検察用パラメータをキーとしてレシピデータベース22を検索し、基準パターンを含むレシピデータを取り出す処理の後に実施される。
この処理の例として、図97の基準パターンをX方向にX方向の大域的な平均線幅の変形量<CX>分サイズ処理をした結果が、図99の二重線で示されている。本例でのX方向の大域的な平均線幅の変形量<CX>は、変形量Mと等しい値が得られている。
大域的な平均線幅の変形量として計算されなかった方向、例えば30度方向の大域的な平均線幅の変形量<C30>は、計算された方向の大域的な平均線幅の変形量(X方向の大域的な平均線幅の変形量、Y方向の大域的な平均線幅の変形量、45度方向の大域的な平均線幅の変形量)を補間して求めることができる。
図100では後者の計算例が示されている。図100の破線で示されている線分が基準パターンを、実線で示されている線分が検査対象画像から検出されたエッジを模式的に表している。X方向の大域的な平均線幅の変形量<CX>、Y方向の大域的な平均線幅の変形量<CY>、45度方向の大域的な平均線幅の変形量<C45>、135度方向の大域的な平均線幅の変形量<C135>の方向の定義は本図に基づいている。図100の右側では、X方向の大域的な平均線幅の変形量<CX>、45度方向の大域的な平均線幅の変形量<C45>から計算された30度方向の大域的な平均線幅の変形量<C30>が示されている。
以上の方法とは別の方法として、検査前に特定の位置で大域的な平均線幅の変形量を一回検出して、この大域的な平均線幅の変形量を各箇所の設計データの線幅の補正量に使用する方法が使用できる。
ステップS304(図25参照)以降の図25に記載の処理を行うとステップS320(図25参照)で欠陥検出が認識される。前述したように、図97の半導体デバイスは中心部分では正常にパターンが形成されているが、周辺ではパターンが太く形成されている。本例で欠陥K1を検出するようにサイズ処理がされている場合は、欠陥K2は検出されず、太く形成されたパターンの大部分が欠陥として認識される。しかし本実施例を用いれば、図99で示すように欠陥K2のみが欠陥として認識できるようになる。
この結果、大域的パターン変形量としての大域的な平均線幅の変形量と局所パターン変形量としての欠陥情報に分離された検査結果を出力することが実現できる。
本実施例を使用する場合は、設計データの線幅の補正による欠陥情報の変化を相殺する必要がある。具体的には、前述の4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量で説明した線幅の変形量に前述の大域的な平均線幅の変形量を加算する。
本実施例によれば、パターン変形量を大域的パターン変形量と局所パターン変形量に分離することにより、取得欠陥数を低減することができる。この結果、重要な欠陥を十分に検出して、擬似欠陥の検出を低減することが可能になる。ここで、擬似欠陥とは欠陥と見なさなくとも良い欠陥である。
5.6.1 線幅測定値の時間的変動の補正方法
長時間検査ではビーム径が時間的に緩やかに変動することがある。ビーム径が太くなれば、太くなった量だけ線幅測定値が大きくなる。この変動が前述の大域的な平均線幅の変形量に加算される。よって、前述の大域的な平均線幅の変形量に時間的変動を相殺する必要がある。
図101は、図20を簡略にしたものにビーム径の変動を示した模式図である。図101ではビーム径が緩やかに太くなっているが、1行分の検査単位領域の検査中ではビーム径の変形量が無視しうる。このようなビーム径の変動による線幅の測定値の変化を以下の手順で補正する。
まず、2回検査される検査単位領域を図102で示される方法で決める。2回検査される検査領域は、ビーム径の変化量が無視しうる時間範囲ごとに設定される。図101では1行分の検査単位領域の検査時間がこの時間範囲に相当するので、図102で示されるように2回検査される検査単位領域が設定される。
次に、図102で示されるように2回検査される検査単位領域を検査して、前述の大域的な平均線幅の変形量<CX>、<CY>、<C45>と<C135>を求める。前述の大域的な平均線幅の変形量<CX>、<CY>、<C45>と<C135>の計算は同じである。よって本実施例ではX方向の大域的な平均線幅の変形量<CX>を使用して説明する。図102の<CX>1,1、<CX>1,11で示されるように、1回目の検査であることと検査単位領域の番号を添え字で表現する。これらの大域的な平均線幅の変形量は場所に依存する線幅の変形量を表現していて、時間に依存する線幅の変形量は無視しうる。
以上の1回目の検査の後に、図103で示されるように、2回目の検査として全検査単位領域を検査して、前述のX方向の大域的な平均線幅の変形量<CX>、Y方向の大域的な平均線幅の変形量<CY>、45度方向の大域的な平均線幅の変形量<C45>、135度方向の大域的な平均線幅の変形量<C135>を求める。図103の<CX>2,1、<CX>2,11で示されるように、2回目の検査であることと検査単位領域の番号を添え字で表現する。
検査単位領域の番号1番の検査が終了した時点で、大域的な平均線幅の変形量<CX>2,1と大域的な平均線幅の変形量<CX>1,1から補正量δ<CX>1を以下の式で求める。
得られた補正量δ<CX>1は、時間に依存した線幅の変動量の補正量とみなされる。
検査単位領域の番号2番から番号10番で得られた大域的な平均線幅の変形量<CX>にδ<CX>1を加算して時間に依存した線幅の変動量を補正する。この検査単位領域の番号10番は、次に2回検査される検査単位領域の番号11番の1つ前の番号を意味する。
以上の手順を前述の大域的な平均線幅の変形量<CY>、<C45>、<C135>についても同様に実施する。また、これらの手順を全ての2回検査される検査単位領域について実施する。
ArFレジストで作成されたパターンを走査型電子顕微鏡で何度も検査するとパターンが段々と縮んでいく。しかし本実施例によれば同じ場所を2回だけ検査するのでこのパターンの縮みは無視できる。従って、前記のパターンを検査する場合であっても、ビーム径の緩やかな変動による線幅の測定値の変動を補正することが可能になる。
5.7 基準パターンの幾何学情報、設計データの情報、もしくは設計データに関連するデータの情報を使った欠陥種
前述の4.7 画像から得られる特徴量を使った欠陥種で説明したように、欠陥種は欠陥種認識部14により欠陥画像の特徴量を使用して決定される。この欠陥種以外に基準パターンの幾何学情報、設計データの情報、もしくは設計データに関連するデータの情報を使って決定される欠陥種を使用できる。
以下の項目が設計データの幾何学情報として使用される。
(1)パターンの属性(直線部分、コーナー、終端、孤立パターンなど)
(2)近接線分、離隔線分とそれら以外の線分
(3)線幅(例:最小線幅、最小線幅を超え最小線幅×1.5未満の線幅、最小線幅×1.5以上の線幅)
以下の項目が設計データの情報として使用される。
(4)欠陥が検出された場所(例:メモリ部分、ロジック部分など)
(5)欠陥に対応する設計データのセル名。付加情報として、欠陥に対応するセルを構成する線分番号、もしくはセルを記述する座標系での欠陥の位置。
(6)配線の属性(グラウンド配線とクロック配線など)、ただし、設計データにこれらの属性が規定されている場合に使用可能である。
以下の項目が設計データに関連するデータの情報として使用される。ここでは、設計データに関連するデータとしてマスクデータを使用している。
(7)欠陥に対応するマスクデータのセル名。付加情報として、欠陥に対応するセルを構成する線分番号、もしくはセルを記述する座標系での欠陥の位置。
また、これ以外にパターン変形量を使った欠陥種としては、下記の項目を使用することができる。
(8)欠陥サイズ情報(例:大太り、中太り、小太り、大細り、中細り、小細りの6分割など)
図104では、前述の(5)で示したセル名と線分番号ごとに分類する方法の例を示している。T字型の2つのパターンA、Bは同じセル名を持ったメモリの1セルを表している。丸で囲まれた終端部分は、基準パターンは同じ形状だが異なったOPCパターンを持っている。この場合は、欠陥Aと欠陥Bは異なったOPCパターンによって発生した欠陥である。しかし、セル名による分類だけではこれらの欠陥を分類できない。しかし線分番号による分類によって欠陥の発生に関したOPCパターンを区別することができる。
前述の欠陥種は、それぞれ組み合わせて使用することができる。図105では、組み合わせて使用する欠陥種を模式的に示している。ここで使用している欠陥種は(6)、(1)と(8)の3種類を組み合わせたものである。
本方式を用いれば欠陥が発生する傾向が容易に把握できる。また、欠陥の発生原因の特定が容易になる。
5.8 欠陥の近傍の基準パターンを使ったグループ分け方法
他の欠陥分類として、欠陥の近傍の基準パターンを使ったグループ分け方法がある。図106〜図108は前述の方法を示す図である。
欠陥検出時に欠陥位置の近傍に対応する基準パターンを切り出して保存しておく。検査終了時にこの切り出された基準パターンから特徴量を計算して欠陥をグループ分けする。
図106には欠陥位置、外接長方形、切り出された基準パターンが示されている。欠陥位置は外接長方形の中心であり、切り出された基準パターンは欠陥位置の近傍に対応している。特徴量として、直線形状パターンの線幅と方向とその本数の組が使用できる。他のものとして、スペース幅と方向とスペースの本数の組、コーナーの種類とその数の組、終端の種類とその数の組、孤立パターンの種類とその数の組などが使用できる。次にこの特徴量が成す特徴量空間をクラスター分析でグループ分けする。クラスター分析は統計学でよく知られた分類方法のひとつである。
図107は特徴量空間の例を示す模式図である。図107では、100nm縦方向の直線形状パターンが4本、200nm縦方向の直線形状パターンが2本、100nm横方向の直線形状パターンが4本を特徴量として使用している。この例では、3つの切り出された基準パターンは明確に特徴量空間で分離されている。しかし、実際には欠陥の存在する位置の違いにより周辺のパターンが切り出された基準パターンに含まれたり含まれなかったりするので必ずしも明確に分離されるわけではない。よって、似ているものを分類するクラスター分析が必要になる。
より細かく切り出し基準パターンをグループ分けするためには特徴量を細分化する必要がある。例えば、図108の様なパターンを区別するには直線形状多角形の上下方向の区別や、短長の区別をする必要がある。
本実施例によれば、欠陥の近傍の基準パターンの特徴に基づいてグループ分けが実現できる。この結果、「細い縦線で込み入ったパターンに欠陥が多く発生している」などの欠陥が発生する傾向が容易に把握できる。さらには、同じような形状の基準パターンごとに欠陥を分類できる。さらに、欠陥の発生原因の特定が容易になる。
5.9 画像登録対象とする欠陥の選択方法
ステップS328では、欠陥種認識部14が画像を出力部13を介して表示装置5および印刷装置6に出力する。ここで、欠陥数が非常に多くなった場合には、登録すべき画像数が膨大になり記憶媒体の量が増えて実用に向かない。そこで、欠陥画像の最大登録数を欠陥種ごとに持つようにし、この問題を解決する。
この欠陥種ごとに持つ欠陥画像の最大登録数は、静的に、前述の3.3 レシピデータ「(9)欠陥画像の最大登録数」を振り分けてもよいし、動的に、これまでに検出された欠陥数を監視して既に検出された欠陥数に応じて可変にしてもよい。例えば、これらの動的な最大登録数はこれまでに検出された欠陥数の対数に比例する数として決められる。
新たな欠陥画像が検出された場合、新たな欠陥画像が属する欠陥種の最大登録数を超えるまで新たな欠陥画像を登録する。既に登録された欠陥画像数が最大登録数に達している場合に、新たな欠陥画像を登録するときは、欠陥サイズや他の指標に応じて新たな欠陥画像を登録するか否か判断される。登録すると判断した場合には、破棄する欠陥画像を決定する。別の方法として、乱数を使って新たな欠陥画像を登録するか否か判断してもよい。
本方式を用いれば、一種類の欠陥種の欠陥が非常に多く、他の欠陥種の欠陥が少ない場合でも、より多くの種類の画像が登録できるようになる。
5.10 再検査対象とする欠陥の選択方法
検査時の倍率などの条件とは違う高倍率な画像取得条件で欠陥画像を再取得し再検査する場合がある。再検査は以下の手順で実施される。
(1)図19で説明したレシピ登録処理を実行する。
図19のステップS202では、オペレータは、入力装置4を介して基準パターン生成部11に、オペレータ入力パラメータを入力する。再検査する場合は、ステップS202中に、再検査用のオペレータ入力パラメータを入力する。再検査用のオペレータ入力パラメータの中の画像取得パラメータの一つである検査領域は後述の(4)で決められるので入力されない。
(2)図25または図26で説明した検査処理を実行する。
(3)検出した欠陥のなかから再検査対象とする欠陥を自動的に選択する。
(4)図19で説明したレシピ登録処理を実行する。
ここでは、ステップS202を実行する代わりに、前述の(1)で入力された再検査用のオペレータ入力パラメータが基準パターン生成部11に入力される。検査領域は、ランダム検査用の検査領域として、再検査対象とする欠陥を中心にもつ正方形領域として自動的に設定される。
(5)再検査として、図25または図26で説明した検査処理を実行する。
前述のように再検査前に検出した欠陥のなかから再検査対象とする欠陥を自動的に選択する必要がある。単純に検出した欠陥を間引いて再検査対象欠陥を選択してもよい。しかし、より多く検出された同じ欠陥種を持つ欠陥がより重要とは限らず、少なく検出された同じ欠陥種を持つ欠陥について十分に再検査したい場合もある。このような要求にかなうように、欠陥種ごとに再検査対象とする欠陥の最大登録数を決める。
これらの欠陥数は、前述の5.9 画像登録対象とする欠陥の選択方法で記述した欠陥画像の最大登録数の振り分けで使用したように、静的に、前述の3.3 レシピデータ「(10)再検査対象とする欠陥の最大登録数」を振り分けてもよいし、動的に、これまでに検出された欠陥数を監視して既に検出された欠陥数に応じて可変にしてもよい。例えば、これらの動的な最大登録数はこれまでに検出された欠陥数の対数と同じ比率を持つ数として決められる。
検査終了後に再検査対象とする欠陥かそうでないかを乱数に応じて決める。すなわち、検出された全ての欠陥に対して乱数を与え、より大きい乱数をもつ欠陥ほどより重要であると判断する。もしより大きな欠陥を重点的に再検査したい場合は欠陥サイズ情報に応じた重みを付けた乱数を使用すれば良い。また、欠陥サイズ情報以外に別の指標を使って重み付けをしても良い。
本方式を用いれば、少なく検出された同じ欠陥種を持つ欠陥も、多く検出された同じ欠陥種を持つ欠陥も、十分に再検査対象にすることができる。
5.11 半導体デバイス全体のパターン変形量の分布図表示方法
図25のステップS328、332で説明したように、検査結果が出力部13に出力されている。出力部13が検査結果を数値で出力すると半導体デバイス全体の欠陥の発生の傾向が把握しづらい。この対策として、出力部13が検査終了時に、次のビットマップで表現された分布図を作成して、表示装置5および印刷装置6に出力する方法が必要になる。この分布図は、前述の4.8 検査単位領域全体から得られるパターン変形量をピクセルの濃淡もしくは擬似カラー表示用の情報に変換して欠陥を上書きして得られる。
図109は、検査単位領域全体から得られるパターン変形量の一つである線幅の変形量を濃淡表示用の情報に変換して欠陥を上書きして得られる分布図の例である。格子部分は最大の線幅の変形量を持ち、ドットで示す部分はより大きな線幅の変形量を持ち、スペースで示す部分は正常な線幅の変形量をもっている。黒い正方形は欠陥を表している。図109からより大きな線幅の変形量を持つ部分により多くの欠陥が発生していることが分かる。
さらに、図109のように、線幅の変形量を表示すると、ステッパーの歪やウェーハの位置に起因するパターンの変形の傾向などが視覚的に理解できる。例えば、正常に形成された周期的なパターンで構成された半導体デバイスを検査して分布図を観察すると、分布図の周辺の線幅が中心より太いなどの傾向が示される。この傾向からステッパーの周辺部分に歪があることが分かる。他の例として、正常に形成されたSoCを検査して分布図を観察すると、メモリ、ロジックなどの機能ブロックごとに線幅が異なることが分かる。
また、検査単位領域全体から得られるパターン変形量他の1つである線幅のばらつき指標を使用すると半導体デバイスの品質が検証できる。
本実施例によれば、半導体デバイス全体の欠陥の発生の傾向が視覚的に把握できるので欠陥の発生原因の特定や半導体デバイスの品質検証に利用できる。
6.画像生成装置の他の走査方法
前述の2.2 画像生成装置の走査方法で説明した走査方法以外に、以下で説明する走査方法が画像生成装置7で使用できる。
6.1 電子線の18度方向の走査方法、六角形ブロックの走査方法走査、基準パターンに基づく走査条件の自動設定方法
図110(a)および(b)は、電子線を18度方向に走査する方法を示す模式図である。図110(a)に示すパターンP1、P2は図8(a)に示すものと同一である。半導体集積回路(LSI)や液晶パネルのパターンは縦方向の線、横方向の線、もしくは45度右下がり、45度右上がりの方向が99%以上で構成されている。この全ての方向について検査対象パターンの計測したいエッジ方向と走査方向をある角度で交叉させるために最適な走査方向として、図110(b)で示す18度の走査方向が使用できる。走査方向を18度とすることで、横線・縦線・斜め45度の線分に対して、比較的良好な検査精度を得られることが期待される。
なお、角度18度は、検査すべきパターンのすべてに対してより垂直になる方向なら他の角度でもかまわない。例えば、22.5度や、18度に45度を加えた63度、18度に90度を加えた108度などが使用できる。
図111(a)から(d)は、六角形ブロックの走査方法走査を模式的に示す図である。通常のCD−SEM等の走査型電子顕微鏡においては、横方向に走査方向をとり、正方形の画像を撮るのが一般的である。しかしながら、走査型電子顕微鏡の設計の限界により、歪なく走査できる領域は真円の領域である。従って、図111(a)に示すように丸い円400の内の四角のブロック401を使って走査することになる。この場合は、縦横左右部分に歪なく走査できる領域があるが、走査をしない領域が発生しており、より広大な領域を一度にとるためには、少々無駄が発生している。このような場合、重ねながら広い領域をとると、図111(b)に示すように9個の四角形ブロックB1〜B9を重ね合わせたような走査エリアが発生する。
一方、図111(c)の下側に示すように、1回の走査によって取得する領域を四角形ブロックから六角形ブロック402にすることにより、より円に近い形にすることができ、走査に使用される部分をより広くとることができる。走査の方法としては、図111(c)の左側に示すように六角形部分を走査する方法と、図111(c)の右側に示すように、長方形で走査を行い、右上・右下・左上・左下のそれぞれの三角形の部分を計測に使わないようにする方法の二通りが使用できる。このような方式にすると、図111(d)に示すように、より広いエリアを少ない回数の走査(ブロックB1〜B7)で取得することが可能となる。
図112は、基準パターンに基づく走査条件の自動設定方法を示す模式図である。走査方向0度、90度の説明と同様、基準パターンに従って1回走査をするか2回走査をするか等の条件を自動的に決定する必要がある。電子線の走査の方法を自動的に決定するための方法としては、次の3つの方法が使用できる。
(1)ブロック(D)に示すように、走査エリアに検査すべきパターンがない場合、そのブロックを走査しない方法
(2)パターンの線幅に応じて、走査の条件を決定する方法
例えば、ブロック(A)のパターンPaとブロック(B)のパターンPbを比較すると、パターンPbの線幅は、パターンPaの線幅に対して2倍になっている。パターンの線幅分の変動率を検出するためには、この例においては、ブロック(A)における走査に対して、ブロック(B)における走査では、2分の1の倍率で画像を取得することができる。
(3)基準パターンの分布の方向に合わせて、走査の方向の条件を決定する方法
例えば、ブロック(A)については、パターンPaは縦・横方向の線分を持つため、45度の走査を1回行えばよい。また、ブロック(C)については、パターンPcは45度方向と135度方向の2方向の線分を持つので、45度方向と135度方向の2回の走査を行う必要がある。
本実施例を使用すれば、検査対象パターンの画像を得るために、最小限度の電子線(荷電粒子線)を走査すればよく、したがって最小の時間で検査対象パターンの画像を得ることができる。また、走査可能なエリアを最大限に活用して広範囲のブロックをできるだけ小さい数のブロックで実現する。更に走査方向に依存するエッジの検出精度の低下を防ぐために基準パターンを使う最適な条件で画像を取得することができる。
6.2 画像生成装置における電子線の走査経路
図113および図114は、画像生成装置7における電子線の走査経路を説明する模式図である。発振器410、カウンター411、X偏向発生回路412、Y偏向発生回路413は偏向制御装置318を構成する回路である。制御コンピュータ350は、開始電圧、終了電圧、ステップ電圧をX偏向発生回路412、Y偏向発生回路413にセットする。また、制御コンピュータ350は、開始信号を発振器410に出力する。
通常の走査において、パターンはピクセルごとにX方向の階段状の偏向をすることにより走査される。また、ラインごとにY方向の階段状の偏向をすることにより走査される。しかしながら、このような従来の方法においては、走査線の間の情報の取得ができないことにより、検査精度が低下しがちである。図113に示すように、本発明においては、走査線の間の情報の取得ができるようにするために、Y偏向にサイン波のような振幅を持った信号を付加することによって走査線間のデータをとる(図113の左下側部分参照)。
ここで、図示のように4点のデータをサンプリングする(図113の右下側部分参照)。この場合、サインの一周期の間でY偏向について広がったデータが取得できる。この4点のデータを加算して一つのピクセルの情報として制御コンピュータ350に転送するようになっている。
図113の上側部分に示すように、出力周波数に対して4倍の周波数である内部周波数を持つ発振器410をカウンター411に接続する。カウンター411は、X偏向発生回路412とY偏向発生回路413に接続されている。このような構成によって、内部周波数のクロックを使って、X偏向については階段状の右上がりの波形を、Y偏向についてはサイン波を発生させる。4点のデータを内部周波数でサンプリングし、その4点のデータを加算して実際のピクセルに対応するサンプリングデータとして生成する。
他の方法として、図114に示されるように、前述の方法によるY偏向の波形と、X偏向における階段状の波形を生成することにより、ジグザグ状の走査経路を作っても良い。
図115は、垂直方向の走査に対してフィルタをかけた場合を説明する模式図である。Aは、横方向に近接するピクセルであり、検出器、アンプによりスムージングされる。一方、Bは、縦方向に近接しているが前述のようにスムージングされない。そこで縦方向にスムージングフィルタをかけて縦方向と横方向の画質の違いを低減する。図115では最も単純なフィルタ係数を示しているが、横方向の周波数特性に合うように適宜選択されるものである。
本実施例によれば、走査経路を変えることによって走査線間のデータをとる方法、もしくはフィルタをかける方法等で、X方向とY方向の画質の僅差を極力低減することができる。
6.3 エッジの近傍部分のみの走査方法
エッジの近傍部分のみを走査するような方法によって画像取得時間を短縮する方法が必要とされる。また、電子線をエッジの方向に直交させて走査させることにより、エッジ検出精度を向上する方法が必要とされる。
図116は、エッジの近傍のみの走査方法を示す模式図であり、図117はフローチャートである。図116に示す例においては、副偏向発生回路450を設けている。
エッジの近傍のみの走査を実現する方法は以下の手順で実施される。
(1)第2のエッジを検出するために使用するプロファイル取得区間を基準パターンより求め、プロファイル取得区間に関する情報の位置を予め登録しておく。この情報は、プロファイル取得区間の中央点の位置、方向と長さを持っている。
(2)制御コンピュータ350が1つのプロファイル取得区間に関する情報を取り込む。
(3)プロファイル取得区間中央点の位置をX主偏向発生回路452とY主偏向発生回路453に設定する。これにより、ビームの中心位置が移動する。
(4)プロファイル取得区間の方向に対応する回転角を回転回路451に設定し、プロファイル取得区間の長さに対応する振幅を副偏向発生回路450に設定する。
(5)開始信号を発振器410に与えて、発振器410に接続されたカウンター411でX方向とY方向の走査波形を形成する。これに、X主偏向発生回路452とY主偏向発生回路453の出力を加算することにより、図116の***部に示すような走査経路が作られる。
(6)この走査経路は、サンプリングデータを得るために、図116の上右側に示すような7点のサンプリングが施される。
図118はエッジの近傍のみを走査する場合の計測データの取得順序付けの方法を示す図である。サンプリングデータは、図118(a)に示すように、与えられた間引き率で測定点をとばしながらサンプリングされる方法と、図118(b)に示すように乱数などによりランダムにサンプリングされる方法がある。本実施例によれば、試料の帯電現象によるプロファイルの変形が低減できるので、絶縁物の計測に向いている。試料の帯電現象が無視しうる場合は、基準パターンを一周するように逐次サンプリングしても良い。
本実施例によれば、高速で精度のよい走査が実現されるのみならず、試料の帯電現象による影響を少なくすることが可能になる。
6.4 領域検査の対象になる領域の近傍部分のみの走査方法
前記の5.2 領域検査方法を使用する場合は、領域検査の対象になる領域の近傍部分のみを走査する方法によって画像取得時間を短縮することができる。また、走査の方向とエッジの方向が直交するようにできるので、エッジ検出精度を向上できる。
例えば、線幅検査もしくはスペース幅検査に適した基準パターンのみを検査する場合は、以下で得られる長方形部分を走査する方法が使用できる。この長方形部分は領域検査の対象になる領域の近傍部分であり、図119(a)、図119(b)および図119(c)を使った次の手順で得られる。
(1)線幅検査に適した基準パターンKを得る。基準パターンKは図119(a)の実線と二重線で示される長方形で、図82と同じものである。
(2)基準パターンKを元に検出すべき全てのエッジに必要なプロファイル取得区間を含む最小の長方形が走査部分として得られる。
具体的には基準パターンKを含む最小の長方形Rを求める。この長方形Rの右側と左側の線分それぞれにプロファイル取得区間が設定されることになる。
走査部分として、図119(b)もしくは(c)が使用できる。図119(b)では、長方形Rの右側と左側の線分それぞれをプロファイル取得区間の長さLだけ両方に膨らませた長方形Sa、Sbが走査部分になる。走査部分は長方形内に矢印が4本書かれたものであり、矢印は走査の方向を示している。
図119(c)では、長方形Rをプロファイル取得区間の長さLだけ左右に膨らませた長方形が走査部分Scになる。この方法では、左右の両方のエッジに対してパターンの内側から外側に入る走査ができないが1つの走査領域ですむ利点がある。
スペース幅検査についても同様に走査領域を決めることができる。
本実施例によれば、画像取得時間を短縮することができる。また、走査の方向とエッジの方向が直交するようにできるので、エッジ検出精度を向上できる。
7. 検査対象パターン画像の補正方法
7.1 画像取得直後における検査対象パターン画像の歪量の検出による基準パターンおよび画像のうち少なくとも一つの補正方法
ステージ移動による試料の回転などにより検査対象パターン画像が回転することがある。また、帯電現象などによりスキューを含む回転や倍率変化などの変形を受けることがある。これらの影響で上記の歪量以下の微細な欠陥を検出することができない。この歪は、時間的に不連続に発生し、予測が困難である。この現象の対策として、画像取得時点で毎回検査対象パターン画像の歪量を検出して補正する方法が必要である。
図120には、上記の歪を持った検査単位領域の画像が模式的に示されている。点線で示されている線分が基準パターンを、エッジ間のベクトルd(x,y)の先頭が検出されたエッジを模式的に表している。基準パターンとエッジはマッチングされている。しかしマッチングは平行移動量のみを扱う。マッチングでは回転や倍率変化などの歪は誤差として残る。
まず、このマッチングの誤差を以下のアフィン変換を使って集計する。アフィン変換とはaからfの係数を使った1次変換を意味する。
この変換式で(x,y)は基準パターンのある点の座標値であり、(X,Y)は前述の点に対応する検出されたエッジの座標値である。また、係数a、b、d、eは、スキューを含む回転と倍率の違いを表現している。もし、スキューを補正する必要がなければ、次の行列が直交行列になるように制限をつける。
また、倍率の補正をする必要がなければ、この行列が回転行列になるように制限をつける。
この変換式で、係数c、fは、シフト量を表している。図120の例ではこの項は0になる。
図121は、右上の副検査単位領域でマッチングを実施する方法を示している。副検査単位領域とは検査単位領域を分割した領域として定義される。検査単位領域が大きい場合は、副検査単位領域を使うマッチングは、検査単位領域全体を使うマッチングより大幅に高速である。この場合は、右上以外の副検査単位領域の係数c、fは、一般に0にはならない。
係数aからfは以下の手順で求める。
(1)図120に示すようにパターン変形量とパターン歪量の和を表すベクトルd(x,y)を得る。ベクトルd(x,y)は図60のエッジ間のベクトルd(x,y)と同じである。
(2)各ベクトルd(x,y)の成分(dx(xi,yi),dy(xi,yi))(iは1からデータ数)を使って最小二乗法で係数aからfを求める。(xi,yi)は基準パターンの点の座標値である。この点に対応する検出されたエッジの位置座標値は、(xi+dx(xi,yi),yi+dy(xi,yi))である。よって、誤差の自乗和Eは下記で計算される。
ここで、Σは、全てのiについての総和を表す。
最小自乗法は、誤差の自乗和Eの係数a、b、c、d、e、fによる偏微分が0であることを要請する。
これらの式から
を得る。以上の連立一次式を解けば解が得られる。以上の処理は図25ないし図27で示されたフローチャートのステップS314とステップS318の間で実行される。以降この処理をステップS316とする。
この方法で得られた係数a、b、c、d、e、fを使う補正方法は図122に示すように3つの方法がある。
(1)歪補正方法1
係数a、b、c、d、e、fをつかって基準パターンを補正する。次にステップS314以降の処理を行う。ただし、ステップ316は実行しない。
(2)歪補正方法2
係数a、b、c、d、e、fをつかって画像を補正する。次にステップS310以降の処理を行う。ただしステップS316は実行しない。この場合は、アフィン変換で記述した式の逆変換の式を使用する。
(3)歪補正方法3
各ベクトルd(x,y)を成分表示した(dx(xi,yi),dy(xi,yi))を係数a,b,c,d,e,fをつかって以下の式で補正する。
次にステップS318をとばしてステップS320以降の処理を実行する。ステップS320では、以上で得られた補正された各ベクトルd(x,y)を図60のエッジ間のベクトルd(x,y)として使用する。
前記歪補正方法1と前記歪補正方法2は正確に検査対象パターン画像の歪量を補正できるが計算量が大きい。一方、前記歪補正方法3は角の部分に若干正確性がないが計算量が少ない。しかし、この誤差は無視しうることが多い。
本実施例ではアフィン変換を用いた方法を使用したが他の変換式を用いても良い。例えば、xi,yiの2次の項を使った変換式を使用することができる。しかし、より複雑な変換式は実際に発生しているパターン変形量を無視することになるので注意が必要である。
本実施例によれば、検査対象パターン画像の歪量の線形量を検出して補正することができる。この結果、欠陥として認識する必要のない歪量を無視することができて擬似欠陥の発生を防止できる。
前述のスキューを含む回転や倍率変化の検出方法を画像生成装置7の回転、倍率調整に使用することができる。この調整は、前述の検査方法における検査前、もしくは検査中の適当な時点で実施される。この場合は、アフィン変換の係数a、b、d、eを画像生成装置7の回転、倍率調整用の調整値に変換して、これらの調整値を設定する。
7.2 非線形画像歪補正方法
広い視野を持つ画像生成装置7は、前述のアフィン変換では調整できないような画像歪を持つことがある。これらの画像歪はザイデルの5収差が引き起こす。最も重要な画像歪の一つに非線形画像歪がある。この非線形画像歪を補正するために、図123から図128で示す調整方法が使用できる。
図123に示すように、非線形画像歪は画像の中心部では無視しうるが、画像の周辺部分では顕著である。本方法は、画像から歪ベクトルを得てから、得られた歪ベクトルを代表歪ベクトルに変換し、得られた代表歪ベクトルを使って各走査点の歪補正ベクトルを計算する方法である。得られた歪補正ベクトルは図124で示す偏向制御装置318で使用される。図124は図113と同じであるが、歪補正ベクトル計算回路414が追加されている。歪補正ベクトル計算回路414は制御コンピュータ350から代表歪ベクトルを得て、カウンター411からの信号に同期して歪補正ベクトルを計算し、そのXY成分をX偏向発生回路412とY偏向発生回路413に出力する。
図125では、歪補正ベクトル計算回路414が代表歪ベクトルを使って歪補正ベクトルを計算する方法が示されている。図125では、XY座標系としてX偏向電圧、Y偏向電圧を使っている。図125の黒丸(●)は各走査点に対応する偏向電圧を示している。代表歪ベクトルはXY方向とも前述の3.3 レシピデータ「(12)歪補正回路が持つ代表歪ベクトルの間隔」 (走査点間のステップ電圧を単位とした間隔)ごとに黒丸(●)の位置に設定されている。ここでは簡便さのために、XY方向とも同じ間隔8を使う方法を説明する。
図125の走査点の歪補正ベクトルCd(x,y)を計算するために、代表歪ベクトルRd [0,0]、Rd [8,0]、Rd [0,8]、Rd [8,8]を使う以下の双一次補間式が使用される。
ここで、(x,y)はカウンター411によって決められる走査点の座標である。また、添え字[x,y]の付いた変数は、走査点の座標(x,y)に関する変数であることを意味している。
歪ベクトルから代表歪ベクトルを計算する方法を説明する。まず、画像の中心部で基準パターンと検出されたエッジとをマッチングする。ここで、非線形画像歪補正用に適した基準パターンは、図123の点線で示されている基準パターンのように、周期的に存在する単純なパターンである。
図126(a)では長方形領域内部の点の歪ベクトルから長方形領域の各頂点の代表歪ベクトルを計算する方法が示されている。計算方法として上記の双一次補間が使用されている。図126(a)は、図125と同じであるが、走査点の歪補正ベクトルの代りに歪ベクトルd(x,y)が記述されていることが異なる。歪ベクトルd(x,y)は、始点が基準パターン上の点で、終点が前記基準パターン上の点に対応する検出されたエッジであるベクトルとして定義される。歪ベクトルd(x,y)は、図60のエッジ間のベクトルd(x,y)と同じである。
点(x,y)の歪ベクトルd(x,y)のX成分とY成分の計算方法は同じある。よって歪ベクトルd(x,y)のX成分もしくはY成分をz(x,y)で表して説明する。同様に、代表歪ベクトルRd [0,0]、Rd [8,0]、Rd [0,8]、Rd [8,8]のX成分もしくはY成分をそれぞれrz [0,0]、rz [8,0]、rz [0,8]、rz [8,8]で表すことにする。よってz(x,y)は次の式で表現される。
rz [0,0]、rz [8,0]、rz [0,8]、rz [8,8]を、長方形領域に存在する十分に多い数のデータ(xi,yi,zi)を使って最小自乗法で求める。xi,yiは走査点の座標値を、ziは求められた歪ベクトルd(x,y)のX成分もしくはY成分を意味する。誤差の自乗和Eは下記で計算される。
ここでΣ[0,0]は長方形領域(Ps [0,0],Ps [8,0],Ps [0,8],Ps [8,8])に存在する全てのデータに対する総和である。添え字[0,0]は長方形領域の左下の点Ps [0,0]が持つ添え字[0,0]を意味している。
最小自乗法は、誤差の自乗和Eのrz [0,0]、rz [8,0]、rz [0,8]、rz [8,8]による偏微分が0であることを要請する。
これらの式から
を得る。ここで以下の記号を使用した。
以上の連立一次式を解けば解が得られる。
図126(b)で示されるように、X成分で求められた歪ベクトルd(x,y)とY成分で求められた歪ベクトルd(x,y)を合成して得られた合成歪ベクトルはこの場所の歪ベクトルに正確には一致しない。この誤差を低減するためには、以上の実施例を繰返して実施すればよい。前述の双一次補間式(再度以下に示す)は、rz [0,0]、rz [8,0]、rz [0,8]、rz [8,8]について線形である。よって2回目以降の繰り返し計算で得られた、rz [0,0]、rz [8,0]、rz [0,8]、rz [8,8]の値をこの計算前の rz [0,0]、rz [8,0]、rz [0,8]、rz [8,8]の値に加算する。以上で得られた値を補正に使用する。
複数の長方形領域を使用する方法に拡張するには、以上の計算を複数の長方形領域に適用すればよい。この方法を図127の4つの長方形領域
(Ps [0,0],Ps [8,0],Ps [16,0],Ps [0,8],Ps [8,8],Ps [16,8],Ps [0,16],Ps [8,16],Ps [16,16]
を使用する場合を例に説明する
まず、前式を単純化して表現する。
ここで以下の記号を使用した。
ここで添え字00はΣ[0,0]の添え字を意味している。
4つの長方形領域のデータについての誤差の自乗和Eは下記で計算される。
これらの式から
を得る。以上の連立一次式を解けば解が得られる。
次に、代表歪ベクトルの近傍のデータである(xi,yi,zi)からX方向とY方向の画像の倍率の変動を求める。ここではX方向の倍率の変動amagの求め方を示す。倍率の変動amagが、1を持つ部分は歪のない中心部分と同じ倍率で観察され、倍率の変動amagか1より大きい値を持つ部分は歪のない中心部分より高い倍率で観察されている。ziを歪ベクトルd(x,y)のX成分、シフト量をScとすると下記の式が成り立つ。
データ数が3以上の場合は、最小自乗法で解かれる。誤差の自乗和Eは
である。最小自乗法は次の式を要求する。
以上の式を解くと以下を得る。
以上から次の式を得る。
ここでNはデータ数を表す。得られた倍率の変動amagは代表歪ベクトルに乗ぜられて倍率の変動を補正する。
図128(a)および図128(b)は歪補正ベクトル計算回路414が歪補正ベクトルを偏向電圧に変換する方法を示している。図128(a)および図128(b)は縦軸に電子線が走査されるX方向の位置を使用している。縦軸の原点は画像の中心を表している。縦軸の上部は画像の周辺部を表している。また、横軸にX偏向発生回路が作る電圧を使用している。横軸の目盛りが走査点に与える電圧を意味している。
図128(a)の点線で示される階段状の波形は理想的な走査波形を意味し、実線で示される階段状の波形は歪のある場合の走査波形を意味している。始点が走査点上の点線の位置で、終点が前記走査点上に対応する実線の位置であるベクトルが代表歪ベクトルRd [8,0]のX成分rz [8,0]を意味する。図示の簡素化のために原点位置での代表歪ベクトルRd [0,0]は0にしてある。
歪を補正するために走査点に与えるステップ電圧間隔の電圧に増分電圧EdX [8,0]を加える。増分電圧EdX [8,0]は以下の式で求められる。
ここで、係数amagは前述の拡大率amagであり、Esは歪のない部分での一走査点を移動するのに必要なステップ電圧である。
ziを歪ベクトルd(xi,yi)のY成分として、xiの代わりにyiを使用すれば、Y方向の非線形画像歪補正方法も同様に実施される。
本実施例は画像生成装置7に歪補正回路を付加する方法であったが、画像を変換して歪を消去する方法に変えても良い。
本実施例では間隔として8を使用した。この間隔は小さいほど歪補正ベクトルの精度は向上するが、代表歪ベクトルの精度は悪くなる。このように間隔は経験により決められるべき値である。
本方法を用いれば、広い視野を持つ画像生成装置7の非線形画像歪補正が自動的に高精度に短時間で実施できる。よって、この補正が可能な部分まで視野を拡張することが可能になる。
7.3 パターン画像の位置に依存する線幅変動の補正方法
他の最も重要な画像歪の一つに画像位置に依存する線幅の変動がある。この線幅の変動は画像の位置によって電子線のビーム径が異なることが原因で引き起こされる。この線幅の変動を補正するために、予め得られた検査対象パターン画像の線幅分布を使って検査時の検査対象パターン画像の線幅分布を補正する方法が使用できる。
図129は、本方法を模式的に示す図である。図129の丸で示されたように電子線のビーム径は画像の周辺では中心部分より太くなる。この結果、周辺部分では観察される線幅が中心部分より太くなる。もし、電子線のビーム径が副検査単位領域で均一ならば以下の方法で線幅分布の非一様性を補正する。
(1)予め、基準パターンの線幅が同じで均一な密度を持ったパターンを持つ部分から検査対象パターン画像を取得する。この場所はメモリなどの周期的なパターンを持った部分が適している。
(2)副検査単位領域ごとに基準パターンと検査対象パターン画像から検出されたエッジから線幅の変形量を計算する。
(3)検査時に上記(2)で計算されて得られた線幅の変形量を使って線幅分布の非均一性を補正する。
上記(2)と(3)の線幅の変形量の計算方法と補正法は5.6 パターン変形量の大域的パターン変形量と局所パターン変形量への分離方法で記述した方法を使用する。
以上の処理をパターン幅ごとに上記の補正方法を適用するようにしても良い。また、副検査単位領域を分割した領域に対して上記の補正方法を適用するようにしても良い。
本方法を用いれば、広い視野を持つ画像生成装置7の画像位置に依存する線幅の変動が自動的に高精度に短時間で実施できる。よって、この補正が可能な部分まで視野を拡張することが可能になる。
8.その他の方法
8.1 画像調整に適した領域の抽出方法
長期検査においては画像調整が必要になる。自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整に適した領域は、横方向縦方向の線分や終端が豊富に存在している領域である。設計データからこの要件を満たす領域を求めて、その領域を自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整に使用すれば、効率的に各自動調整が可能になる。ゆえに、この画像調整に適した領域を自動的に決める方法が必要とされている。
設計データを成す線分の幾何学情報または近接線分との関係をもとに画像調整に適した領域を抽出する方法は以下の手順で行われる。
図130はこの方法を説明する図である。
(1)各自動調整で使用する長方形の領域Rの大きさを決める。この領域Rの大きさは経験により決められる。
(2)各自動調整で使用する領域Aを決める。この領域は検査領域の近くが望ましい。領域Aは領域Rよりも大きい。
(3)領域Aに対して領域Rを移動しながら、領域Rに対応する設計データの中の領域中に存在する縦方向の線分の長さの合計をもとめる。同様に、横方向の線分の長さの合計値をもとめる。この得られた合計値でより小さい値をもつ縦方向か横方向の合計値を評価値とする。ここでは、幾何学情報として線分の長さの合計値を使用している。
(4)前述の(3)で得られた評価値が最も大きい評価値を持つ部分を最適な領域(縦線も横線も多い領域)として得る。
以上の手順で得られた長方形R(縦線も横線も多い領域)を、前述の3.3 レシピデータ「(11)自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整に適した場所」に登録しておき検査時の適切なタイミングで自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整を実施することが可能になる。
自動非点収差調整に適した領域は、線分が多くあり、各、X方向、Y方向、45度方向、135度方向の線分の長さの合計値がそれぞれ同程度の長さである領域である。この場合は、前述と同様の手順で実行されるが、X方向とY方向に加えて45度方向と135度方向の線分の長さの合計を用いることが異なる。この条件を満たさないときは基準パターンの終端やコーナーに対応する部分領域を使用して以下の手順で自動非点収差調整を行う。
まず、自動非点収差調整に適した領域を得る。この領域の例は、図131のように左側右側の終端を含む部分領域を含む領域である。他の例は、図131のように左上、左下、右上、右下のコーナーを含む部分領域を含む領域である。これらの領域は上側下側の終端を含む部分領域を含む領域でもよい。このような領域が得られれば、全方向の傾きのエッジが存在するので自動非点収差調整に適する。
前述の自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整に適した領域を得る手順と同様な以下の手順を実施する。ここでは、図132を使って左上、左下、右上、右下のコーナーを使用する場合の手順を説明する。
(1’)自動非点収差調整で使用する長方形の領域R’の大きさを決める。この領域R’の大きさは経験により決められる。
(2’)自動非点収差調整で使用する領域A’を決める。領域A’は領域R’より大きい。
(3’)領域A’に対して領域R’を移動しながら、領域R’に対応する設計データの領域中に存在する左上のコーナーの数をもとめる。同様に、左下のコーナーの数、右上のコーナーの数、右下のコーナーの数をもとめる。この得られた数のなかで最も小さい値をもつ左上のコーナーの数、左下のコーナーの数、右上のコーナーの数、右下のコーナーの数を評価値とする。ここでは、幾何学情報としてコーナーの数を使用している。
(4’)(3’)で得られた評価値の中で最も大きい評価値を持つ領域R’を最適な領域(左上、左下、右上、右下の4つのコーナーのいずれもが多い領域)として得る。
(5’)左上、左下、右上、右下のコーナーの数が同じになるように、いくつかのコーナーを間引く。
以上で得られたコーナーの近傍が部分領域として使用される。
以上の手順で得られた長方形の領域をレシピに登録しておき検査時の適切なタイミングで自動非点収差調整を実施することが可能になる。この自動非点収差調整は以下の手順で実施する。
(1)自動フォーカス調整を実施する。
(2)画像と自動非点収差調整に適した領域R’とをマッチングする。
(3)領域R’に含まれる部分領域Pに対応する部分画像から非点の評価値を求める。
(4)非点の値を変えながら前記(2)前記(3)を実行する。
(5)前記(4)で得られた非点の評価値で最も良いものに対する非点の値を最良非点値として求める。
本実施例によれば、画像調整に適した領域を自動的に最適に抽出することが可能になる。また、この領域が分離された領域である場合は、画像全体を使用する場合より自動調整が高精度に実施される。
8.2 最もマッチングに適した副検査単位領域の選択方法
検査単位領域が非常に大きい場合は、検査単位領域を複数の副検査単位領域に分割して検査される。この場合で検査対象パターン画像の歪や回転が無視できる場合は、副検査単位領域のうちの1つとのマッチングを実行することによって、検査単位領域のマッチングが実行される。そこで本実施例では、これらの副検査単位領域の中で最もマッチングに適したものを選択する方法を説明する。
最もマッチングに適した副検査単位領域とは、すべての副検査単位領域に対して以下の計算をして得られた評価値の中で最も大きな評価値をもつ副検査単位領域である。
(1)図51(a)および図51(b)において示された方法でユニークパターンを得る。
(2)ユニークパターンを構成する線分を横、縦、45度方向、135度方向の4方向ごとに分類して線分長の総和を求める。
(3)2番目に大きい線分長の総和を評価値とする。2番目に大きい線分長の総和を使用する理由は少なくとも2方向の線分が十分存在することが必要であるからである。
図133には、2つの副検査単位領域が示されている。ここで点線が基準パターンを、実線がユニークパターンを表している。図133の左側の副検査単位領域は縦線が多いが横線が少ない。一方、図133の右側の副検査単位領域は横線が多く縦線も比較的多い。図133の左側の副検査単位領域中のユニークパターンを成す線分の長さの総和は、図133の右側の副検査単位領域中のユニークパターンを成す線分の長さの総和より長いが、右側の副検査単位領域の評価値が左側の副検査単位領域の評価値より大きくなる。
以上は、2次元としてユニークパターンを求めて計算していた。しかしこの方法は多くの計算量を必要とする欠点がある。そこで正確さは劣るが少ない計算量ですむ方法を使用する。図134を用いて、本実施例を説明する。
最もマッチングに適した副検査単位領域とは、すべての副検査単位領域に対して以下の計算をして得られた評価値の中で最も大きな評価値をもつ副検査単位領域である。
(1)基準パターンを構成する線分を横、縦、45度方向、135度方向の4方向に分類して、一次元のデータにする。
(2)これらの一次元データに対して図51(a)および図51(b)において示された方法に準じた方法でユニークパターンを求める。図134の横方向線分の一次元データと縦方向線分の一次元データの中の実線がこれにあたる。
(3)各、横、縦、45度方向、135度方向の線分の一次元データに存在するユニークパターンの長さの総和を求める。
(4)上記の中で2番目に大きいユニークパターンの長さの総和を評価値とする。
本例を使用すれば、検査単位領域が複数の副検査単位領域に分割されているときに、最もマッチングに適した副検査単位領域を求めることができる。これによって検査単位領域全体を使用するマッチングより高速に実行可能になる。
8.3 高倍画像および低倍画像を用いた検査方法
低倍画像の一部分を電磁的に高倍画像で観察できる機能をもったSEMの場合は、高倍画像では入りきらないパターンも検査可能である。すなわち、高倍画像で得たエッジ位置が低倍画像で得たエッジ位置に正確に変換できることを意味する。これと同じ関係を高精度ステージで実現してもよい。例えば、図135において、検査対象パターン画像のパターン181上の位置182、183を、それぞれ高倍画像184、185で求めた後、低倍画像187上の位置に変換して、検査対象パターン画像のパターン181の幅186を求めれば、低倍画像187のみで求めたときよりも、精度よく測長できる。
8.4 前工程のパターンの影響がある検査対象パターンの検査方法
下層に前工程パターンが存在している検査対象パターンは、下層に前工程パターンが存在している部分の検査対象パターンと下層に前工程パターンが存在していない部分の検査対象パターンとでは検査対象パターンの形成や見え方が異なる。この対策として、前工程のパターンが存在している部分の検査対象パターンと前工程のパターンが存在していない部分の検査対象パターンとで異なる検査パラメータを使用する検査方法が使用できる。
図136は、前工程のパターンが下地として観察される例を模式的に表した図である。このような場合は、検査領域を前工程に存在するパターンの内部、境界部分、外部の3領域に分離して検査を行う。前工程に存在するパターンの内部は前述の5.3.1 ゲート線幅検査方法で説明した基準パターンCと同じ方法で認識される。前工程に存在するパターンの境界部分は、帯の中心線が前工程パターンの基準パターンであって、経験的に決められた幅を持つ帯状の部分として認識される。前工程に存在するパターンの外部は、残りの部分である。
前工程のパターン内部、外部では、前工程パターンの影響でコントラストが異なる場合がある。また、下層の表面の高低差によって形成された検査対象パターンの幅が違ったりする。
これらの効果を低減するために、前工程のパターン内部、外部に対して線分の位置の補正量と許容パターン変形量を別々に設定するようにする。もし境界部分がエッジ検出に適する場合は、別の線分の位置の補正量と許容パターン変形量を設定するようにする。もし境界部分がエッジ検出に適さない場合は検査対象から除くようにする。
本例によれば、図136の格子部分のように欠陥と見なさなくともよい変形(擬似欠陥)を検出する確率を低減できる。
8.5 欠陥情報とその欠陥に対応する情報の上書き表示方法
欠陥情報である欠陥形状もしくは欠陥画像と、欠陥情報に対応する、設計データ、マスクデータ(設計データにOPCパターンを付加して生成した)、設計データを使ったリソグラフィ・シミュレータで得られた形状、または、設計データに関連する別の情報のいずれか1つ以上を並列表示もしくは上書き表示を実現すると欠陥が発生する傾向が理解しやすくなる。この要求にかなう表示方法が必要とされる。
以下は欠陥が発生する傾向の例である。
(1)設計データの込み入っているところでは欠陥が多く検出される。
(2)特定のOPCパターンが付いている所に欠陥が多く検出される。
(3)設計データを使ったシミュレーションで得られた形状で細くなっている所に欠陥が多く検出される。
また、ウェーハ検査の場合は、欠陥に対応するホトマスクの画像を使うことも有用である。ホトマスクの画像と比べれば、欠陥がホトマスク起因かそうでないかが判断できる。
これらの表示を実現するために、前述の設計データに関連する情報と検出された欠陥を対応づける。この対応づけは次の手順で実施する。
(1)基準パターンのエッジに設計データの情報を付加する。付加する情報としてエッジが属する設計データである多角形のセル名、線分番号、および、エッジが属する線分の始点終点の座標、エッジに対応する線分上の位置座標を使用する。
(2)欠陥を検出したときに、使用された基準パターンのエッジに付加された設計データの情報を検査結果に付加する。
(3)付加された設計データの情報を使って前述の設計データに関連する情報を検索する。前述の設計データに関連する情報が、設計データと異なる座標系で記述されていても設計データである多角形のセル名、線分番号により対応づけが可能である。
図137は、設計データ、マスクデータと欠陥画像を上書き表示する例を示している。また、図138(a)、図138(b)、図138(c)および図138(d)は、認識された欠陥を図形として表示する方法の例を示している。この例では以下の表示方法を使っている。
(1)図138(a)で示すように、欠陥の輪郭である多角形を表示する方法。
(2)図138(b)で示すように、凹み欠陥、凸欠陥の場合は、その欠陥の最外枠を表現する長方形を表示する方法。凸欠陥の長方形の角に短い線分を入れて凹み欠陥と区別してもよい。
(3)図138(c)(d)で示すように、線幅異常の欠陥の場合は、検出された線幅を表現する辺を持つ長方形を表示する方法。
以上の方法では、検査結果を直接使用して表示している。しかし、図139で示すように欠陥を設計データに変換してから表示する方法が使用できる。この方法は以下の手順で実行される。
(1)図138(a)、(b)、(c)、(d)で得られた欠陥を表現する多角形を設計データへ保存する。
(2)設計データが、実際に存在するパターンを記述するレイアと存在しないパターンを記述するレイアとを備えている場合は、存在しないパターンを記述するレイアに図138(a)、(b)、(c)、(d)で得られた多角形を保存する。
(3)存在しないパターンを記述するレイアが複数使用できる場合は、凹み欠陥、凸欠陥、線幅異常の欠陥ごとにそれぞれ別のレイアに保存しても良い。図139では、設計データがレイア1に、凹み欠陥、凸欠陥がレイア12に、線幅異常の欠陥がレイア13に保存されている例が示されている。
この方法によれば、設計データを扱う装置で検査結果が閲覧できるので設計変更などに都合がよい。
以上の方法で、説明した上書き表示を、並列表示に代えて同様の処理にしてもよい。
本実施例によれは、欠陥が発生する傾向が理解しやすくなり、欠陥の発生原因の特定が容易に把握できるので、設計変更が容易になる。
9.帯電しやすい試料の検査方法
レジスト試料のような帯電しやすい試料の検査方法について説明する。一つはパターンにカーボンコーティングを施す方法であり、もう一つは、画像の中央部のみを検査する方法である。前者の方法にはカーボンコーティングに工程が必要であるが、高スループットな走査条件で取得した画像を使って検査ができる。一方、後者の方法にはカーボンコーティング工程が必要ではない。しかし、後者の方法を使用すると高スループットな検査ができない。
9.1 レジスト試料のカーボンコーティング方法
まず、本発明のパターン検査装置によって検査される半導体デバイスを製造するリソグラフィー工程について説明する。図140(a)ないし図140(f)は、リソグラフィー工程を示す模式図である。図140(a)ないし図140(f)は、単層の製造工程の代表例を示している。半導体デバイスの製造工程はこの単層のプロセスを繰返すことで多層を形成して製造される。
熱酸化工程により、図140(a)に示すようにシリコン基板501に酸化膜(SiO)502を形成する。次に、レジスト塗布工程により、図140(b)に示すように、酸化膜502上にレジスト膜503を形成する。そして、図140(c)に示すように、露光工程により、露光装置(ステッパー)505はホトマスク504を通過した紫外線によりレジスト膜503を部分的に露光する。
次に、図140(d)に示すように、現像工程により、レジスト膜503を現像すると、レジスト膜503の露光された部分が除去される。その後、図140(e)に示すように、エッチング工程により、レジスト膜503が除去されている部分の酸化膜502を除去する。次に、図140(f)に示すように、レジスト剥離(アッシング)工程によりレジスト膜503を剥離する。
前述したリソグラフィー工程において、図140(d)に示す現像工程後のレジスト膜503に形成されたパターンを本発明のパターン検査装置により、レジスト膜503に形成されたパターンが設計データ通りに形成されているかを検査することができる。
パターン検査装置は電子線(荷電粒子線)を用いてレジスト膜503に形成されたパターンを検査する。図140(d)に示す状態でそのまま電子線をレジスト膜503に照射した場合、レジストは一般的に高分子化合物で構成されている絶縁物であるため、帯電現象によって検査対象パターン画像のパターン形状が変形する。これは部分的に帯電したレジスト膜503の上面によって電子線が曲げられることで、電子線がレジストの正確な位置に照射されないからである。そのため、本実施例においては、レジスト膜503に形成されたパターンを電子線によって検査する前にレジスト膜503に形成されたパターン上にカーボン膜をコーティングして帯電現象が発生しないようにする。
すなわち、図141に示すように、レジスト膜503の上およびレジスト膜503が現像によって除去されて酸化膜502が露出している部分にカーボン膜506をコートする。このように、カーボン膜506をコートすることにより、電子線を照射した際に、電子線がカーボン膜506を介してシリコン基板501に流れる。その結果、シリコン基板501からグラウンドに流れるため、帯電現象を防ぐことができる。
この場合、カーボン膜506の厚さは、パターンの線幅によって異なるが、5nmから20nm程度が適当であり、より好ましくは、10nm程度が適当である。カーボン膜506の厚さが5nm未満であると、若干導通性に乏しくなり、20nmを超えるとパターンのスペースの部分にカーボンコーティングがはみ出すように形成されるため、パターンの変形として認識され、パターンの欠陥として認識されてしまう場合がある。したがって、カーボン膜506の厚さは5nmから20nm程度が適当である。カーボンコーティングの方法として、例えば、真空蒸着法やスパッタ法を好適に用いることができる。本実施例では、カーボンスパッタコーティング装置を使ってカーボンコートする方法を説明する。
図142は、本発明のパターン検査装置と、カーボンスパッタコーティング装置510を一体に設けた半導体ウェーハ検査システムを示す概略図である。図142に示すように、右側に示されたパターン検査装置に隣接してカーボンスパッタコーティング装置510が配置されている。カーボンスパッタコーティング装置510とパターン検査装置のウェーハ搬送装置340との間には、ウェーハ搬送ロボット515および予備排気室517が設置されている。ウェーハ搬送ロボット515には、複数の半導体ウェーハWを収納したカセット516が載置されている。ウェーハ搬送ロボット515によりカセット516内の半導体ウェーハWを取り出しカーボンスパッタコーティング装置510に搬送できるようになっている。また、ウェーハ搬送ロボット515は、カーボンスパッタコーティング装置510によりカーボンコーティングされた後の半導体ウェーハWをパターン検査装置のウェーハ搬送装置340に搬送することができるようになっている。
本実施例においては、カーボンスパッタコーティング装置510は、スパッタ装置から構成されており、半導体ウェーハWを保持するホルダ511と、ホルダ511に保持された半導体ウェーハWと対向して配置されたカーボンロッド512と、スパッタリングの制御を行うスパッタ制御装置513とを備えている。予備排気室517は、半導体ウェーハWをカーボンスパッタコーティング装置510に搬送、搬出する際に、カーボンスパッタコーティング装置510内の真空を維持するためと、カーボンスパッタコーティング装置510内で半導体ウェーハWを処理している間、新たな半導体ウェーハWを待機させるために設けられている。
図142に示す半導体ウェーハ検査システムの構成において、ウェーハ搬送ロボット515によりカセット516内に収容された半導体ウェーハWは、予備排気室517を介してカーボンスパッタコーティング装置510に搬送される。この際、カーボンスパッタコーティング装置510内および予備排気室517は、真空排気されており、同一の圧力になっている。カーボンスパッタコーティング装置510内に半導体ウェーハWが搬送され、ホルダ511により半導体ウェーハWが保持されると、予備排気室517とカーボンスパッタコーティング装置510との間に配置されたゲート弁(図示せず)が閉じられ、半導体ウェーハWのカーボンコーティングが行われる。
このカーボンコーティング工程により、図141に示すように、レジスト膜503の上およびレジスト膜503が現像によって除去されて酸化膜502が露出している部分にカーボン膜506が施される。このようにカーボン膜506が施された半導体ウェーハWは、ウェーハ搬送ロボット515によりカーボンスパッタコーティング装置510から予備排気室517を介して搬出され、ウェーハ搬送装置340に搬送される。そして、半導体ウェーハWは、ウェーハ搬送装置340によって試料室320に搬送され、パターン検査装置によって検査される。パターン検査装置においては、半導体ウェーハWに電子線が照射されるが、電子線はカーボン膜506を介してシリコン基板501に流れ、その結果、シリコン基板501からグラウンドに流れるため、帯電現象を防ぐことができる。
図142に示す半導体ウェーハ検査システムによれば、カーボンコーティング工程と、パターン検査の工程を連続して行うことができる。したがって、検査工程の迅速化を図ることができ、スループットが向上する。また、コーティング工程とパターン検査工程の自動化を図ることができる。
さらにエッジの検出精度が向上する。カーボンコーティング無しの図143(a)の場合、電子線により検査対象パターン画像を取得すると、帯電現象のため、パターン内部が不均一または不安定に明るくなる。これは、帯電現象がパターンの粗密により不均一または不安定に発生し、また、帯電現象による2次電子放出比がパターン内部や下地の材質によって異なるからである。その結果正確なエッジが検出できない。一方、同じ試料にカーボン膜をコートした場合の図143(b)では、試料表面の電位が一定になるのでエッジ効果が均一に発生し、下地の明るさも均一になる。この効果でエッジ部が安定して均一に明るくなりエッジと下地の境界に均一なコントラストがつく。この結果、正確なエッジが検出できる。
9.2 画像の中央部のみを検査する検査方法
レジスト試料などの帯電現象が発生しやすい試料を観察すると、画像の周辺部分が歪む。画像の中心部は等電位に帯電している。しかし、画像の周辺部分では電子線を照射されていない場所と照射されている場所で電位が不均一なので歪が発生する。さらに、一度試料の部分が帯電すると、帯電は長時間続く。
このような試料の検査領域を検査するために図144で示す画像の中央部のみを検査する検査方法が使用できる。図144の点線で示した長方形が検査単位領域である。また、実線で示した長方形が拡大した検査単位領域である。この拡大した検査単位領域が走査されて中心部の検査単位領域に対応する画像が検査の対象になる。
しかしながら、この方法では、拡大した検査単位領域は帯電して2回以上の検査に使用できない。よって、図144で示されるように左上のダイ、右上のダイ、左下のダイ、右下のダイの4つのダイからそれぞれ検査結果を得てから、得られた4つのダイの検査結果を融合させて、検査領域の検査結果を得る。
本実施例に拠れば、特別な処理をすることなくシリコン基板上のレジスト膜に形成されたパターンを検査することができる。
10.本発明の変種
以上、本発明の一例を説明したが、他にも各種の変形が可能である。たとえば、電子線(荷電粒子線)を検査対象パターンに走査して検査対象パターンの画像を得る画像生成装置7として走査型電子顕微鏡を用いたが、走査型フォーカスイオンビーム顕微鏡、走査型レーザー顕微鏡や走査型プローブ顕微鏡などの各種の走査型顕微鏡に応用することができる。また、走査方向は0度、90度に限られず、例えば5度や95度など任意の微小角度を付加してもよい。
取得済みの画像データを磁気光学ディスクや磁気テープなどの外部入力デバイスを介して、またはイーサーネットなどのLAN(Local Area Network)を経由した、オフライン入力処理式に変形してもよい。
画像生成法は他の方法でもよいし、基準パターンは他のデータから変換したものでもよい。基準パターンをレシピデータベース22に登録せずに、検査時に生成しても良い。
また、本実施形態においては、検査結果等を表示装置5および印刷装置6に出力しているが、画像データベース、シミュレータ、記録媒体などに出力するようにしてもよいし、ネットワークを介して他のコンピュータに送信(出力)するようにしてもよい。
またさらに、本発明の方法でウェーハ中の代表的なダイと呼ばれる半導体デバイスを検査したのち、他のダイはダイ・ツー・ダイ比較により検査するような混成方法とすることも可能である。
本発明の検査装置の基本構成を示す概略図である。 図1で示す2次電子検出器で検出した2次電子の強度をあらわす模式図である。 図2に示すパターンを90度回転させ、このパターンのプロファイルを取得した場合の模式図である。 本発明のパターン検査装置によりパターン検査を行う場合の走査エリアを示す模式図である。 横方向の走査を行った場合の検査精度を説明するための図である。 下から上方向に向かって縦方向の走査を行った場合の検査精度を説明するための図である。 双方向の走査を行う場合の模式図である。 電子線の走査方向を45度および−45度とした場合を模式的に示す図である。 設計データから得られた基準パターンの例を示す図である。 設計データに基づいて製造された検査対象パターン画像の例を示す図である。 本発明の実施形態に係るパターン検査装置が行う検査処理の概要を示す図である。 0度の画像もしくは90度の画像を用いて検査されるべき線分の例を示す図である。 ピクセルの位置を置き換えることによってのみ回転した画像を得る方法を示す図である。 ピクセルの位置を置き換えることによってのみ回転した画像を得る別の方法を示す図である。 本発明の実施形態におけるパターン検査装置の基本構成例を示す図である。 本発明の実施形態におけるパターン検査装置の機能ブロック図を示す図である。 本発明の実施形態におけるパターン検査装置の機能ブロック図の他の例を示す図である。 基準パターンの補正例を示す図である。 本発明の実施形態におけるレシピ登録処理の例を示すフローチャートである。 逐次検査を説明するための図である。 ランダム検査を説明するための図である。 基準パターンの例を示す図である。 図22の基準パターンをピクセルごとのエッジに変換した例を示す図である。 曲線を含む基準パターンをエッジベクトルに変換した例を示す図である。 本発明の実施形態における基本検査処理の例を示すフローチャートである。 繰り返し発生する欠陥を認識する場合の検査処理の例を示すフローチャートのサブブロックである。 繰り返し発生する欠陥を認識する場合の検査処理の例を示すフローチャートのメインブロックである。 パターン内部と下地にコントラストがある画像(検査対象パターン画像)の例を示す図である。 図28の画像から検出したエッジを示す図である。 輪郭のみが明るい画像(検査対象パターン画像)の例を示す図である。 図30の画像から検出したエッジを示す図である。 1次元の検査対象パターン画像のエッジ強度の例を示す図である。 図32のエッジを膨張させた例を示す図である。 1次元の基準パターンのエッジの強度の例を示す図である。 図32のエッジを膨張させた別の例を示す図である。 1次元の基準パターンのエッジの強度の別の例を示す図である。 図32のエッジを膨張させた別の例を示す図である。 スムージングフィルタの例を示す図である。 2次元の検査対象パターン画像のエッジの強度の例を示す図である。 図39のエッジを膨張させた例を示す図である。 図39のエッジを膨張させた別の例を示す図である。 2次元の検査対象パターン画像のエッジベクトルの例を示す図である。 図42のエッジベクトルを膨張させた例を示す図である。 図42のエッジベクトルを膨張させた別の例を示す図である。 図23の基準パターンをピクセル単位のエッジベクトルで表した図である。 マッチングを説明するための図である。 図43と図45とを重ね合わせた図である。 図43と図45とを重ね合わせた別の図である。 (a)は基準パターンの例を示し、(b)は検査対象パターン画像の例を示す図である。 線幅とスペース幅が同じ場合の例を示す図である。 (a)は基準パターンの例を示し、(b)は(a)の基準パターンと検査対象パターン画像との関係の例を示す図である。 長方形が周期的に並んだパターンのマッチング評価値の計算方法を模式的に示す図である。 マッチング評価値の計算方法を模式的に示す図である。 第1のエッジ検出で検出されたエッジの水平垂直軸への射影データを使ったマッチング方法を示す図である。 マッチング誤差値Epmの計算結果を示す図である。 マッチング誤差値Epmの中から選ばれたマッチングに適したシフト量を示す図である。 マッチング誤差値Epmを計算する方法を模式的に示す図である。 ホールパターンのマッチングの第1の方法を説明する模式的な図である。 ホールパターンのマッチングの第2の方法を説明する模式的な図である。 検査対象パターン画像のエッジと基準パターンのエッジとの対応づけの例を示す図である。 (a)は基準パターンのエッジの例を示し、(b)は検査対象パターン画像のエッジの例を示す図である。 検査対象パターン画像のエッジの例を示す別の図である。 異常パターン変形量欠陥を認識する方法を模式的に示す図である。 ピクセルの輝度分布を使う欠陥の認識方法を模式的に示す図である。 輝度値に対する頻度の分布の例を示す図である。 (a)は基準パターンのエッジ、および検査対象パターン画像のエッジの例を示し、(b)は(a)に示すエッジ間のy=y0におけるベクトルd(x,y0)のX成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す図である。 (a)は基準パターンのエッジ、および検査対象パターン画像のエッジの別の例を示し、(b)は(a)に示すエッジ間のy=y0におけるベクトルd(x,y0)のX成分を回帰直線D(x)で近似した例を示す図である。 パターンの属性の例を示す図である。 終端の位置ずれ量を示す図である。 孤立パターンの重心の位置ずれ量を示す図である。 (a)は基準パターンのコーナーのエッジの例を示し、(b)は検査対象パターン画像のコーナーの例を示す図である。 プロファイル取得区間の例を示す図である。 リソグラフィ・シミュレータで得られた露光パターンの外形を形成する曲線を示す図である。 図72の一部(Bの部分)を拡大した図である。 図74の一部(Cの部分)を拡大した図である。 プロファイルの例を示す図である。 検出された第2のエッジを使って曲線近似(多角形近似を含む)を行い、検出された第2のエッジを連結した例を示す図である。 (a)はプロファイル取得区間の別の例を示し、(b)は検査対象パターン画像の第1のエッジと第2の基準パターンとの関係の例を示す図である。 検査領域が4つの検査単位領域に分割されている場合を模式的に示す図である。 第1の半導体デバイスから得られた欠陥情報と第2の半導体デバイスから得られた欠陥情報を模式的に示す図である。 第1の半導体デバイスから得られた欠陥情報と第2の半導体デバイスの限定された部分から得られた欠陥情報を模式的に示す図である。 線幅検査用に適した基準パターンを設計データから自動的に抽出する規則を模式的に示す図である。 コーナーを持つ直線形状パターンを、コーナー部分で二つの長方形に分離する方法を模式的に示す図である。 スペース幅検査用に適した基準パターンを設計データから自動的に抽出する規則を模式的に示す図である。 線幅検査に適した基準パターンとスペース幅検査に適した基準パターンを使う検査方法を模式的に示す図である。 コーナー部分の線幅検査に適した基準パターンを得る手順を模式的に示す図である。 コーナー部分である曲線形状パターンの最小線幅検査の手順を模式的に示す図である。 Erosion演算を使用するコーナー部分である曲線形状パターンの最小線幅検査の手順を模式的に示す図である。 切断もしくは短絡しやすい部分の抽出方法を模式的に示す図である。 切断もしくは短絡しやすい部分の検査を行う手順を模式的に示す図である。 検査対象に関するレイアの設計データとその前後する工程に関するレイアの設計データとの論理積演算で得られた基準パターンを使用した検査方法を模式的に示す図である。 コンタクトホール/ビアホールに接する配線レイアの終端に対する許容パターン変形量の適応設定方法を模式的に示す図である。 接触面積を求める方法を模式的に示す図である。 (a)は、ウェーハに形成されてはならない補正パターンの例を示す図であり、(b)は、ウェーハに形成されてはならない補正パターンの検査方法を模式的に示す図である。 基準パターンから近接線分を抽出する方法を模式的に示す図である。 基準パターンから離隔線分を抽出する方法を模式的に示す図である。 パターン形成の条件の違いなどにより大域的に設計データの線幅と違う幅でパターンが形成されている例を示す模式図である。 線幅の大域的な平均線幅変化量を検査済みの検査単位領域を使用して求める第1の方法の例を示す図である。 図98で示された第1の方法によって得られた大域的な平均線幅の変形量を設計データの線幅の補正に使用する第2の方法の例を示す図である。 30度方向の線幅の変形量を計算する方法の例を示す図である。 図20を簡略にしたものにビーム径の変動を模式的に示す図である。 2回検査される検査単位領域を決める方法を模式的に示す図である。 検査単位領域を2回検査する方法を模式的に示す図である。 メモリなどの周期的パターンの場合に線分ごとに分類される欠陥種の細分化項目を模式的に示す図である。 組み合わせて使用する欠陥種の細分化項目を模式的に示す図である。 欠陥位置、外接長方形、切り出された基準パターンを模式的に示す図である。 特徴量空間の例を示す模式図である。 図107の特徴量空間で使用する特徴量の別の例を示す模式図である。 検査単位領域全体から得られるパターン変形量の一つである線幅の変形量を濃淡表示用の情報に変換して欠陥を上書きして得られる分布図の例である。 電子線の走査方向を18度とした場合を模式的に示す図である。 六角形ブロックの走査方法走査を模式的に示す図である。 基準パターンに基づく走査条件の自動設定方法を示す模式図である。 電子線の走査経路を説明する模式図である。 電子線の走査経路を説明する別の模式図である。 垂直方向の走査に対してフィルタをかけた場合を説明する模式図である。 エッジの近傍のみを走査する場合を模式的に示す図である。 エッジの近傍のみを走査する場合のステップを示すフローチャートである。 エッジの近傍のみを走査する場合の計測データの取得順序付けの方法を示す図である。 領域検査の対象になる領域の近傍部分を得る方法を模式的に示す図である。 歪を持った検査単位領域の画像を模式的に示す図である。 副検査単位領域でマッチングを実施する方法を模式的に示す図である。 検査対象パターン画像の歪量を補正する補正方法を模式的に示す図である。 非線形画像歪の例を模式的に示す図である。 偏向制御装置の構成例を模式的に示す図である。 歪補正ベクトル計算回路が代表歪ベクトルを使って歪補正ベクトルを計算する方法を模式的に示す図である。 (a)は長方形領域の歪ベクトルから代表歪ベクトルを計算する方法を模式的に示す図である。(b)は合成歪ベクトルの例を模式的に示す図である。 複数の長方形領域の歪ベクトルから代表歪ベクトルを計算する方法を模式的に示す図である。 歪補正ベクトル計算回路が歪補正ベクトルを偏向電圧に変換する方法を模式的に示す図である。 予め得られた検査対象パターン画像の線幅分布を使って検査時の検査対象パターン画像の線幅分布を補正する方法を模式的に示す図である。 自動コントラスト・ブライトネス調整、自動フォーカス調整に適した領域を得るための手順を模式的に示す図である。 自動非点収差調整に適した領域の例を示す図である。 自動非点収差調整に適した領域を得るための手順を模式的に示す図である。 2つの副検査単位領域を示す図である。 最もマッチングに適した副検査単位領域の選択方法を模式的に示す図である。 高倍画像および低倍画像を用いて測長を行う例を示す図である。 前工程のパターンが下地として観察される例を模式的に示す図である。 設計データ、マスクデータと欠陥画像を上書き表示する例を模式的に示す図である。 認識された欠陥を図形として表示する方法の例を模式的に示す図である。 欠陥を設計データに変換してから表示する方法を模式的に示す図である。 半導体デバイスのリソグラフィー工程を模式的に示す図である。 レジスト膜の上及びレジスト膜が現像によって除去されて酸化膜が露出している部分にカーボン膜がコートされている状態を模式的に示す図である。 本発明のパターン検査装置と、カーボンスパッタコーティング装置を一体に設けた半導体ウェーハ検査システムを示す概略図である。 (a)は試料にカーボンコーティングがない場合の実際のパターン画像を示し、(b)は、(a)に示されるのと同じ試料にカーボン膜をコートした場合の実際のパターン画像を示す図である。 画像の中央部のみを検査する検査方法を模式的に示す図である。
符号の説明
1 主制御部
2 記憶装置
3 入出力制御部
4 入力装置
5 表示装置
6 印刷装置
7 画像生成装置
11 基準パターン生成部
12 検査部
13 出力部
14 欠陥種認識部
21 基幹データベース
22 レシピデータベース
23 欠陥種参照データベース
24 欠陥情報記憶部
25 欠陥認識部
33A、33B、41、42 外接長方形
34 外接長方形
35、43 共通外接長方形
61〜70、75、81〜84 エッジ
101〜103 部分
111、113 線幅
112、114 スペース幅
121〜126 直線形状パターン
157 区間
159、163、165 検査対象パターン画像のエッジ
160、166 基準パターンのエッジ
164 基準パターンの終端を構成するエッジ
161 検査対象パターン画像のエッジの重心
162 基準パターンのエッジの重心
171 直線部分
172 コーナー
173 終端
174 孤立パターン
181 検査対象パターン画像のパターン
182、183 位置
184、185 高倍画像
186 検査対象パターン画像のパターンの幅
187 低倍画像
201 破線
202、203 実線
204 下地
205 パターン内部
206、207 ピクセルの固まり
251〜255 ピクセル
261 ピクセルの中心
262 ピクセルの中心に最も近い基準パターン上の点
263 接線
301〜304 検査単位領域
310 照射系装置
311 電子銃
312 集束レンズ
313 X偏向器
314 Y偏向器
315 対物レンズ
316 レンズ制御装置
317 画像取得装置
318 偏向制御装置
320 試料室
321 XYステージ
322 XYステージ制御装置
330 2次電子検出器
340 ウェーハ搬送装置
350 制御コンピュータ
360 操作コンピュータ
400 丸い円
401 ブロック
402 六角形ブロック
410 発振器
411 カウンター
412 X偏向発生回路
413 Y偏向発生回路
414 歪補正ベクトル計算回路
450 副偏向発生回路
452 X主偏向発生回路
453 Y主偏向発生回路
501 シリコン基板
502 酸化膜
503 レジスト膜
504 ホトマスク
505 露光装置(ステッパー)
506 カーボン膜
510 カーボンスパッタコーティング装置
511 ホルダ
512 カーボンロッド
513 スパッタ制御装置
515 ウェーハ搬送ロボット
516 カセット
517 予備排気室

Claims (5)

  1. 検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いてマッチングするパターンマッチング装置であって、
    前記検査対象データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成する生成手段と、
    前記検査対象パターン画像を生成する生成手段と、
    前記検査対象パターン画像のエッジを検出する手段と、
    前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを、基準パターンの線分の上下左右の4向の情報を使って、マッチングするマッチング手段を備え
    前記マッチング手段は、
    上下左右の4方向の各方向ごとに前記基準パターンの線分を水平軸(X軸)と垂直軸(Y軸)に射影して2つの1次元データを得て、
    上下左右の4方向の各方向ごとに前記検査対象パターン画像のエッジを水平軸(X軸)と垂直軸(Y軸)に射影して2つの1次元データを得て、
    対応する前記基準パターンの1次元データと前記検査対象パターン画像のエッジの1次元データとをマッチングすることにより、前記基準パターンと前記検査対象パターン画像をマッチングすることを特徴とするパターンマッチング装置。
  2. 請求項1に記載のパターンマッチング装置を用いて、検査対象パターン画像を検査するパターン検査装置。
  3. 検査対象パターン画像と前記検査対象パターンを製造するために使用するデータを用いてマッチングするパターンマッチング方法であって、
    前記検査対象データから線分もしくは曲線で表現された基準パターンを生成し、
    前記検査対象パターン画像を生成する生成し、
    前記検査対象パターン画像のエッジを検出し、
    前記検査対象パターン画像のエッジと前記線分もしくは曲線で表現された基準パターンとを、基準パターンの周期の情報を使って、マッチングし、
    前記マッチングは、
    前記基準パターンの周期を使い、もとの基準パターンと一周期ずらした基準パターンを比較してもとの基準パターンにあって1周期ずらした基準パターンにないパターンを求め、求めたパターンをユニークパターンとして抽出し、
    前記ユニークパターンを一周期ずらし、前記一周期ずれた部分に前記基準パターンが存在しない場合に前記一周期ずらしたユニークパターンをネガティブパターンとして抽出し、
    基準パターンに使うマッチングの重み付けより強い重み付けをユニークパターンにつけ、前記の重み付けに(−1)を乗じた重み付けをネガティブパターンにつけることにより、周期的に同じパターンが並んだ部分とそうでない部分の境界をマッチング可能であることを特徴とするパターンマッチング方法。
  4. 請求項に記載のパターンマッチング方法において、前記検査対象パターン画像を分割し、前記分割された画像に対応する前記基準パターンを得て、前記基準パターンの中で最もマッチングに適したものを選択し、前記選択された基準パターンとこれに対応する前記分割された画像を使用してマッチングを実施することを特徴とするパターンマッチング方法。
  5. 請求項3または4に記載のパターンマッチング方法を用いて、検査対象パターン画像を検査するパターン検査方法。
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