本発明は、長径方向に比べて短径方向が短い細長形(矩形、長円形(楕円形、トラック形を含む))の動電型スピーカーであって、音声再生能力に優れ、細長形のスピーカー振動板が分割振動しても影響が少なく、ディスプレイ等の機器に取り付けるのに適するスピーカー振動板、および、動電型スピーカーに関する。
音声を再生するスピーカーを取り付けるディスプレイ等の音響機器においては、スピーカーを取り付けるのに要する空間を小型化することが要望されている。特に、細長形(矩形、長円形(楕円形、トラック形を含む))の動電型スピーカーは、短径方向に振動板面積が限られる、細長形のスピーカー振動板に特有な分割振動の影響が大きくて平坦な再生音圧周波数特性を得ることが難しい、スピーカー振動板の剛性と軽量化を両立させるために発泡させた樹脂材料等を採用すると高域再生限界周波数が高くできない、といった様々な理由から音声再生能力において不利な点がある。したがって、従来には、これらの問題を解決するために様々なスピーカー振動板、スピーカー用磁気回路、および、これを用いた動電型スピーカーが提案されている。
例えば、矩形平面振動板の自由振動モードの内、異なる振動モードにおける2つの節に同時に接するボイスコイルボビンを有し、このボビンに設けられて磁気回路のギャップ内でピストン運動するボイスコイルによって上記矩形平面振動板を節駆動するように構成するとともに、上記矩形平面振動板の外周部を上記ボイスコイルの駆動部に近い短辺側に比して上記ボイスコイルの駆動部に遠い短辺側が幅広い非対称なエッジ部材にてフレームに支持するように構成してなる動電型スピーカーがある(特許文献1)。
また、発泡性樹脂で作った長方形の平面振動板を備えるスピーカーであって、平面振動板の長径周縁をフレームに固定し、短径周縁をフリーエッジにして、動作を安定させ、動作の安定を図るスピーカーがある(特許文献2)。また、エッジのフレームによって形成される角部に略円弧状の弾性樹脂を重ね合わせ加熱成形処理し、スピーカーを駆動する時にエッジに変形の生じやすい角部近傍に弾性樹脂層を設けて、エッジたわみや変形等による歪みを吸収緩和し音質のこれらによる悪化を防止しようとするものがある(特許文献3)。
また、従来には、熱可塑性を有するフィルム発泡体及び軽量かつ剛性に富む胴体を積層に接合し、エッジ部には振動基板を用いないようにしたスピーカー振動板がある(特許文献4)。また、未発泡状態の熱発泡性樹脂シートの片面若しくは両面に熱可塑性樹脂フィルムを積層した積層板を得て振動板形状の金型中で加熱処理し、熱可塑性樹脂フィルムを塑性化させるとともに、熱発泡性樹脂シートを発泡させることによって積層板を振動板形状に形成し、周囲に延設した熱可塑性樹脂フィルムをエッジとして成形するスピーカー振動板がある(特許文献5)。
さらに、本発明の出願人によるスピーカー振動板では、振動板の外周側でエッジと接合するエッジ接合部と、エッジ接合部の内周側に設けられてボイスコイルと接合する振動板部と、を有し、振動板部が、エッジ接合部を含む平面として規定される仮想基準平面を有し、仮想基準平面と交差する線として規定される複数の節線ならびに仮想基準平面からの距離が極大になる点を結んだ線として規定される複数の稜線を有する波形状を備え、複数の節線が、振動板の長軸と非平行で交差せず、かつ、振動板の短軸と交差するものがある(特許文献6)。このような波形形状にスピーカー振動板をすることにより、細長振動板の長手方向つまり、長軸方向の強度が向上し、長軸方向に分割共振が生じる共振周波数を高い周波数にシフトすることができる。さらに、短軸方向の波形状の凹凸の間隔が、長軸方向に向かうにつれて漸次的に変化することで、長軸方向に生じやすい分割共振の共振周波数を分散させることができる。その結果、この波形形状を有する細長振動板を用いれば、音圧周波数特性上のピーク・ディップが少なく、再生音質に優れたスピーカーが実現される。
特開昭58−92198号公報
実公昭40−32164号公報
特開2001−285991号公報
実開昭50−61834号公報
特開昭57−132500号公報
特開2007−180910号公報
ディスプレイ等の音響機器において、良好な音声再生のためには、上記特許文献6に匹敵する良好な再生音質を有する動電型スピーカーをその内部に取り付けられるようにすることが好ましい。しかしながら、再生音圧レベルの向上を目的にして、スピーカー振動板の軽量化を図るために樹脂の発泡体から形成されるスピーカー振動板を採用する場合には、長径方向の分割振動の影響が顕著になり、平坦な再生音圧周波数特性を得ることが難しい、高域再生限界周波数が高くできない、といった様々な問題が生じる場合がある。また、スピーカー振動板の端部を固定して支持する場合には、前後振幅の対称性が悪く、歪特性が悪化するという問題がある場合がある。なお、前後振幅の前後とは、スピーカーの振動板が振動する場合に、ボイスコイル、ダンパー、および、磁気回路が取り付けられる側を後側とし、振動板が露出する側を前側としている。
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、長径方向に比べて短径方向が短い細長形(矩形、長円形(楕円形、トラック形を含む))の動電型スピーカーであって、能率が高く音声再生能力に優れ、細長形のスピーカー振動板が分割振動しても影響が少なく、前後振幅の対称性がよく歪が少ない、ディスプレイ等の機器に取り付けるのに適するスピーカー振動板、および、動電型スピーカーを提供することにある。
本発明のスピーカー振動板は、長径方向と短径方向とを有する細長形の振動板本体と、振動板本体の外周縁を支持するエッジと、を備えるスピーカー振動板であって、振動板本体が、その背面側中央部にボイスコイルボビンとの接合部を含む第1振動板部と、第1振動板部の長径方向の両端側にそれぞれ延設された第2振動板部と、第1振動板部、および、それぞれの第2振動板部に渡って連続して形成される補強リブと、を有し、エッジが、第1振動板部ならびに第2振動板部の短径方向の端部を自由支持する自由エッジ部と、自由エッジ部よりも厚みが厚く形成されて第2振動板部の長径方向の一方の端部を固定支持する固定エッジ部と、を有する。
好ましくは、本発明のスピーカー振動板は、振動板本体の第1振動板部が、ボイスコイルボビンの投影断面積よりも面積が大きい表面積を有し、かつ、第1振動板部の平均厚みを規定する第1平均厚値が、第2振動板部の平均厚みを規定する第2平均厚値よりも値が小さくなるように構成されている。
また、好ましくは、本発明のスピーカー振動板は、補強リブが、振動板本体の短径方向の両端部にそれぞれ形成される長径両端リブと、振動板本体の短径方向の中央部に形成される長径中央リブと、第2振動板部の長径方向の一方の端部に形成される短径両端リブと、を含み、短径両端リブが、それぞれの長径両端リブを連結し、長径中央リブと連結しない。
また、好ましくは、本発明のスピーカー振動板は、補強リブの長径中央リブが、ボイスコイルボビンとの接合部を挟んで配置される2つの分離した長径中央第1リブおよび長径中央第2リブからなり、長径中央第1リブおよび長径中央第2リブのリブ高さを規定する長径中央リブ高が、それぞれ、第1振動板部において最も高く、第2振動板部において長径方向の一方の端部に向かうに連れて低くなる。
また、本発明のスピーカー振動板は、振動板本体が、押出成形されて表面を熱可塑性樹脂フィルムでラミネートされた熱可塑性樹脂発泡シートを含み、振動板本体と、自由エッジ部および固定エッジ部が一体に成形されたエッジとが、接着剤により接着されている。
また、本発明のスピーカー振動板は、振動板本体が、押出成形されて熱可塑性樹脂フィルムで前面及び背面をラミネートされた熱可塑性樹脂発泡シートを含み、エッジが、振動板本体の前面及び背面から延設される熱可塑性樹脂フィルムを含み、振動板本体およびエッジと、前面及び背面を熱可塑性樹脂フィルムでラミネートされた熱可塑性樹脂発泡シートで形成されてエッジの外周端を支持する補強体とが、一体に構成されている。
さらに、好ましくは、本発明のスピーカー振動板は、エッジの自由エッジ部が、第1振動板部の短径方向の端部を自由支持する第1自由エッジ部と、第2振動板部の短径方向の端部を自由支持する第2自由エッジ部と、を有し、第1自由エッジ部のスティフネスk1が、第2自由エッジ部のスティフネスk2よりも小さく構成されている。
また、本発明の動電型スピーカーは、本発明のスピーカー振動板と、エッジの外周端側が固定されるフレームと、フレームに固定されて磁気空隙を有する磁気回路と、ボイスコイルボビンに巻回されたボイスコイルと、ボイスコイルを磁気空隙に配置するダンパーと、を備える。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明のスピーカー振動板は、長径方向と短径方向とを有する細長形(矩形、長円形(楕円形、トラック形を含む))の振動板本体と、振動板本体の外周縁を支持するエッジと、を備えるスピーカー振動板である。振動板本体は、含まれている熱可塑性樹脂の発泡体が、プラグアシスト成形を併用した真空成形法を用いることでその厚みを不均一に形成された熱可塑性樹脂発泡シート(代表的には、発泡ポリスチレンシート)を、熱可塑性樹脂フィルムでその表面をラミネートしたものである。また、振動板本体をラミネートする熱可塑性樹脂フィルム(もしくは、シート)は、代表的には、ポリスチレン樹脂フィルム、あるいは、ポリウレタンエラストマー樹脂フィルムである。したがって、本発明のスピーカー振動板は、表面をラミネートされた熱可塑性樹脂発泡シートを、予め加熱して軟化させて金型プレスして冷却し、振動板本体を細長形状に形成し、振動板本体の周囲に発泡性ゴム等からなるエッジを接着する、もしくは、表面をラミネートした熱可塑性樹脂フィルムでエッジを一体に形成する、ことにより、任意の細長形にすることができる。本発明のスピーカー振動板は、他に、フレームと、磁気回路と、ボイスコイルボビンに巻回されたボイスコイルと、ダンパーと、を備えることで、細長形の動電型スピーカーを提供できる。なお、長径方向とは、矩形、長円形、楕円形、あるいは、トラック形を含む細長形を規定する長軸が延びる方向であり、短径方向とは、長軸と直交する短軸が延びる方向である。
本発明のスピーカー振動板の振動板本体は、その背面側中央部にボイスコイルボビンとの接合部を含む第1振動板部と、第1振動板部の長径方向の両端側にそれぞれ延設された第2振動板部と、第1振動板部、および、それぞれの第2振動板部に渡って連続して形成される補強リブと、を有する。振動板本体は、矩形、長円形、楕円形、トラック形を含む細長い形状に形成される一方で、第1振動板部と、その両端側に延設された第2振動板部とを連結する補強リブを有するので、補強リブが長径方向に分割振動するのを抑制して、ピーク・ディップの少ない平坦な再生音圧周波数特性を実現することができる。
なお、第1振動板部は、スピーカー振動板の背面側中央部において円筒形状のボイスコイルボビンが取り付けられる部位であり、ボイスコイルボビンの投影断面積を含み、細長形のスピーカー振動板の二つの長辺と、これらの長辺の間を短径方向に横切る二つの仮想線と、により規定される略矩形状の領域である。また、第2振動板部は、第1振動板部のこれらの仮想線から長径方向のボイスコイルボビンとは反対側の両端側(すなわち、長径方向の外向き側)にそれぞれ延設される領域である。また、補強リブは、スピーカー振動板の前面側から見た場合に稜線、もしくは、谷線を形成する突起状の構造であり、短径方向に形成される長径両端リブ、および、長径中央リブと、を含み、さらに、第2振動板部の長径方向の一方の端部に形成される短径両端リブを有していても良い。
例えば、補強リブの長径中央リブは、一方の第2振動板部と、第1振動板部と、他方の第2振動板部とを渡るように連続して形成されるリブであってもよく、また、ボイスコイルボビンとの接合部を挟んで配置される2つの分離した長径中央第1リブおよび長径中央第2リブからなり、これらのリブ高さを規定する長径中央リブ高が、それぞれ、第1振動板部において最も高く、第2振動板部において長径方向の一方の端部に向かうに連れて低くなるものであってもよい。長径中央リブを含む補強リブは、後述するように第1振動板部で中高音域の再生が可能なようにする一方で、細長形のスピーカー振動板の長径方向の剛性を高めつつ、前後振幅の対称性を確保することができる。
一方で、厚みが不均一に形成されるエッジは、第1振動板部ならびに第2振動板部の短径方向の端部を自由支持する自由エッジ部と、自由エッジ部よりも厚みが厚く形成されて第2振動板部の長径方向の一方の端部を固定支持する固定エッジ部と、を有する。つまり、本発明の振動板本体は、エッジの自由エッジ部により短径方向の端部(振動板本体の長辺に相当する部分)を自由支持され、エッジの固定エッジ部により長径方向の端部(振動板本体の短辺に相当する部分)を固定支持される。したがって、短径に比べて長径が著しく長い細長形のスピーカー振動板である場合には、最低共振周波数f0付近若しくはそれ以下の周波数でボイスコイルが大きく変位する場合には、長径方向の端部が固定支持されて節になり、長径方向の中央部が駆動されて腹になるような最も低次の曲げ振動モードで振動するので、低音域において最初に現れやすいディップを抑制し、平坦な再生音圧周波数特性を実現することができる。さらに、補強リブの剛性により、スピーカー振動板の前後振幅の対称性を改善することができるので、歪が少ない再生音質に優れる動電型スピーカーが実現される。
また、振動板本体の第1振動板部は、ボイスコイルボビンの投影断面積よりも面積が大きい表面積を有し、かつ、第1振動板部の平均厚みを規定する第1平均厚値が、第2振動板部の平均厚みを規定する第2平均厚値よりも値が小さくなるように構成されている。したがって、ボイスコイルボビンがその背面に取り付けられる第1振動板部の平均厚みが薄く構成されているので、中高音域の音波を放射するのに貢献するボイスコイルボビン周囲の等価質量が軽くなり、ボイスコイルで発生した駆動力が効率よく伝達される結果、中高音域の再生音圧レベルを上昇させることができる。なお、エッジの自由エッジ部が、第1振動板部の短径方向の端部を自由支持する第1自由エッジ部と、第2振動板部の短径方向の端部を自由支持する第2自由エッジ部と、を有しており、材料、もしくは、形状を工夫することで、第1自由エッジ部のスティフネスk1が、第2自由エッジ部のスティフネスk2よりも小さくなるように構成することにより、第1振動板部の振幅可能範囲が拡大して、再生音圧レベルをさらに上昇させることができ、能率が改善する
なお、振動板本体は、発泡ポリスチレンを含む熱可塑性樹脂であれば、押出成形された発泡ポリスチレンシートに限られるものではなく、ポリスチレン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂、等から選択される1種類あるいは複数のブレンドされた樹脂の発泡体であればよい。また、振動板本体に接着するエッジは、エラストマー材料であり、厚みが不均一で自由エッジ部と固定エッジ部とを構成できるものであれば良い。上記の発泡性ゴム、もしくは、熱可塑性樹脂フィルム以外にも、発泡ウレタンのシートを加熱成型して構成してもよく、また、射出成形等によって厚みを変化させたゴムエッジであってもよい。スピーカー振動板のエッジが、振動板本体の前面及び背面をラミネートし、かつ、振動板本体の周囲に延設される熱可塑性樹脂フィルムを含むものである場合には、振動板本体とエッジと、さらにエッジの外周端を補強する補強体が一体に構成されるので、振動板本体とエッジと補強体から成る振動板完成品を作成する工程、工数を削減することができ、動電型スピーカーのコストダウンを図ることができる。
長径方向に比べて短径方向が短い細長形のスピーカー振動板であっても、能率が高く音声再生能力に優れ、分割振動の影響が少なく、前後振幅の対称性がよく歪が少ない、ディスプレイ等の機器に取り付けるのに適する動電型スピーカーを提供することができる。
本発明のスピーカー振動板は、長径方向に比べて短径方向が短い細長形のスピーカー振動板であっても、能率が高く音声再生能力に優れ、分割振動の影響が少なく、前後振幅の対称性がよく歪が少ない、ディスプレイ等の機器に取り付けるのに適する動電型スピーカーを提供するという目的を、発泡させた熱可塑性樹脂から形成されて厚みが不均一の振動板本体が、その背面側中央部にボイスコイルボビンとの接合部を含む第1振動板部と、第1振動板部の長径方向の両端側にそれぞれ延設された第2振動板部と、第1振動板部、および、それぞれの第2振動板部に渡って連続して形成される補強リブと、を有し、厚みが不均一のエッジが、第1振動板部ならびに第2振動板部の短径方向の端部を自由支持する自由エッジ部と、自由エッジ部よりも厚みが厚く形成されて第2振動板部の長径方向の一方の端部を固定支持する固定エッジ部と、を有するようにすることにより、実現した。
以下、本発明の好ましい実施形態によるスピーカー振動板および動電型スピーカーについて説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
図1および図2は、本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1を説明する図である。図1(a)は、動電型スピーカー1を前面側斜め上方から見た斜視図であり、図1(b)は、動電型スピーカー1を背面側斜め下方から見た斜視図である。また、図2(a)は、動電型スピーカー1のO−A断面図であり、図2(b)は、動電型スピーカー1のB−B’断面図である。なお、後述するように、動電型スピーカー1の一部の構造や、内部構造等は、省略している。また、点A−A’を結ぶ直線が延びる方向が長径方向であり、また、点B−B’
を結ぶ直線が延びる方向が短径方向である。
本実施例の動電型スピーカー1は、長径方向長L1が約210mm、短径方向長L2が約35mmのトラック形のスピーカー振動板2を有する細長形の動電型スピーカーであり、細長形であっても口径が約90mmの円形振動板と同等の振動板面積を有するスピーカーである。スピーカー振動板2は、エッジ3によってその外周端を支持されており、エッジ3の外周端は、フレーム6に固定されている。また、スピーカー振動板2の背面側には、ボイスコイル4が連結しており、ダンパー5(前側ダンパー5aおよび後側ダンパー5b)により振動可能に支持されている。また、フレーム6は、トラック形のスピーカー振動板2に対応した細長形状であり、フレーム6に固定される磁気回路10も、短径方向長L2以下の幅が狭い細長形状を有している。したがって、動電型スピーカー1は、ディスプレイ等の機器が有する表示部の側面など、スピーカーを取り付ける幅が少ない機器に適するスピーカーである。
動電型スピーカー1のスピーカー振動板2は、その外周端にエッジ3の内周側が接着されており、また、中央背面にはボイスコイル4を構成するボビン4aが接着される。スピーカー振動板2は、スピーカー振動板の軽量化を図るために発泡させた熱可塑性樹脂を形成して構成されている。本実施例の場合には、押出成形された熱可塑性樹脂発泡シート(具体的には、ポリスチレンペーパー)を、プラグアシスト成形を併用した真空成形法を用いることで、厚みが不均一でリブを有するスピーカー振動板2を得ている。すなわち、長径方向長L1と短径方向長L2が著しく異なる細長形のスピーカー振動板2は、長径方向の分割振動の影響が顕著になりやすいので、長径方向に延びるリブを有し、かつ、短径方向断面形状が略W字形になるようにして、長径方向に剛性を有する形状とされている。また、スピーカー振動板2の表面および裏面には、熱可塑性樹脂のフィルム(具体的には、ポリスチレンのフィルム)が熱融着されていて、スピーカー振動板2の剛性を高めている。
エッジ3は、本実施例では、柔軟性を有する発泡ゴムを金型内に注入して加熱発泡して形成したものである。スピーカー振動板2の長径方向に直線状に延びるトラック形の長辺では、スピーカー振動板2を自由支持するように薄肉のコルゲーション(またはロール)によるフリーエッジが形成され、短径方向に円弧状になるトラック形の短辺では、スピーカー振動板2を固定支持するように厚肉で自由に振動しないフィックスドエッジが形成される。その結果、細長形のスピーカー振動板2は、短径方向ではエッジ3のフリーエッジ部のコンプライアンスで柔軟に支持される一方で、長径方向ではスピーカー振動板2を形成するポリスチレンペーパーの柔軟性によって、曲げ振動可能にされている。
ボイスコイル4は、円筒形に形成したボビン4aと、その一端側に巻回されて音声電流が供給されるコイル4bと、から形成される。ボビン4aは、コイル4bが巻回されない他端側がスピーカー振動板2の背面中央に接着剤により連結される。コイル4bは、後述する磁気回路10の円形磁気空隙13に配置される。なお、錦糸線8は、フレーム6に固定されるターミナル7と、ターミナル7からコイル4bの引出線とを、ハンダづけして導通させて、コイル4bに音声電流を供給する。ただし、錦糸線8は、スピーカー振動板2に金属ハトメを設けてターミナル7まで導通させるようにしてもよい。
ダンパー5は、前側ダンパー5aおよび後側ダンパー5bからなる二段ダンパーであり、柔軟性を有する繊維の織布を基材としてフェノール樹脂を含浸して成形する円形のコルゲーションダンパーを切断して細長形状(トラック形)にしたものである。前側ダンパー5aおよび後側ダンパー5bの内周端は、ボビン4aの円筒外面側と連結してスピーカー振動板2の背面中央側を支持する。前側ダンパー5aおよび後側ダンパー5bの外周端側は、フレーム6の固定部に固定される。なお、ダンパー5は、他の形状のコルゲーションダンパーであって、二段でなくても良く、また、他の材料で形成するものであってもよく、内周側リングと外周側リングを連結するアームを有し、金属または樹脂で形成する蝶ダンパーであってもよい。
フレーム6は、スピーカー振動板2の形状に対応して細長形のバスケット状にプレス成型された鉄板フレームであり、エッジ3を固定する略矩形の固定部と、ダンパー5aおよび5b、そして、磁気回路10を固定する固定部と、これらの固定部を連結する連結部と、複数の連結部の間に規定される窓と、ターミナル7を取り付ける取付孔と、を備える。したがって、スピーカー振動板2、エッジ3、ボイスコイル4、および、ダンパー5からなるスピーカー振動系は、フレーム6に対して振動可能に支持される。
磁気回路10は、フレーム6に固定される細長形のトッププレート11と、円筒形状であってトッププレート11の中央に形成された円形孔に挿入されるセンターポール12と、細長形のアンダープレート14と、同一方向に着磁された2つの主マグネット15aおよび15bと、から構成される。トッププレート11およびセンターポール12は、半径方向に均等な幅を有する円形磁気空隙13を形成する。主マグネット15aおよび15bは、トッププレート11およびアンダープレート14の間に狭持され、長径方向にセンターポール12を中間にして対称配置される。
2つの主マグネット15aおよび15bは、小さい体積でも保磁力の強いNd−Fe−B系の希土類磁石であり、それぞれ略円筒形状を有する。なお、希土類磁石とは、Nd−Fe−B系のネオジウム磁石、もしくは、Sm−Co系のサマリウムコバルト磁石であって、磁石の最大エネルギー積(BH)maxが大きな値をとり、残留磁化および保磁力が大きい磁石である。希土類磁石は、保磁力が大きいので、高い磁束密度を発生させることができる一方で、パーミアンス係数が大きく、減磁しにくい。
本実施例の磁気回路10の長径方向には2つの主マグネット15aおよび15bが配置されている一方で、短径方向には磁力を発生するマグネット(磁石)が配置されないので、その結果、磁気回路10は、全体形状が細長形になり、短径方向から磁気回路10を側面視すると、マグネットが配置されない開放された空間からセンターポール12の円筒側面を直接視できる程度に、開口の角度は広くなっている。
磁気回路10は、ボイスコイル4のコイル4bを平面視した場合に投影する領域の外部に磁石が配置される外磁型磁気回路であり、かつ、起磁力の強い主マグネット15aおよび15bが長径方向に配置されるので、本発明の動電型スピーカー1のような細長形のスピーカーに適する。磁気回路10の最大幅を小さくすることができれば、細長形のスピーカー振動板2を前面視した場合に形成される領域内に磁気回路10が収まるからである。したがって、軽量なスピーカー振動板2を採用することを含めて、能率の高い動電型スピーカー1が実現される。
ボイスコイル4のコイル4bに音声電流が供給されると、磁気空隙13に配置されたボイスコイル4には駆動力が作用し、ボイスコイル4は図2における上下方向に振動し、連結されたスピーカー振動板2も上下方向に振動する。スピーカー振動板2は、短径方向ではその外周端を支持するエッジ3のフリーエッジ部が柔軟に支持する。その一方で、長径方向ではスピーカー振動板2を形成するポリスチレンペーパーの柔軟性によって曲げ振動可能になり、最低共振周波数f0付近若しくはそれ以下の周波数でボイスコイル4が大きく変位する場合には、長径方向の両端を固定されたスピーカー振動板2は、長径方向に弓状に曲がって変形する。
また、磁気回路10は、円形磁気空隙13が半径方向に均等な幅を有するものであっても、磁束密度分布が長径方向と短径方向において異なり、略円筒形状主マグネット15aおよび15bと、円形の磁気空隙13が最も接近する長径方向では極めて強い磁束密度を生じ、長径方向での磁束密度が短径方向での磁束密度よりも高くなる。円形磁気空隙13での円周方向の磁束密度分布が、長径方向と短径方向とで異なるので、スピーカー振動板2を駆動する駆動力も長径方向と短径方向とで異なるようにでき、再生周波数特性のピーク・ディップを低減することができる。
図3および図4は、スピーカー振動板2およびエッジ3を説明する図である。図3(a)は、スピーカー振動板2およびエッジ3を前面側斜め上方から見た斜視図であり、図3(b)は、スピーカー振動板2およびエッジ3を背面側斜め下方から見た斜視図である。また、図4(a)は、スピーカー振動板2およびエッジ3のO−A’断面図であり、図4(b)は、スピーカー振動板2およびエッジ3のB−B’断面図、図4(C)は、スピーカー振動板2およびエッジ3のC−C’断面図、である。なお、後述するように、スピーカー振動板2およびエッジ3の一部の構造や、断面構造等は、省略している。また、点A−A’を結ぶ直線が延びる方向が長径方向であり、また、点B−B’
を結ぶ直線が延びる方向が短径方向である。
本実施例のスピーカー振動板2は、押出成形されたポリスチレンペーパー(PSP)を、プラグアシスト成形を併用した真空成形法を用いることで、厚みが不均一でリブを有するように成形し、その表面および裏面にはポリウレタンエラストマーのフィルムを熱融着して、その剛性を高めている。具体的には、スピーカー振動板2は、アクリルを10%ブレンドした10倍発泡の押出し発泡ポリスチレンシート(厚み約2.0mm)を原材料に用い、その両面にはポリスチレンのフィルム(厚み約50μm)が熱融着されてラミネートされており、プラグアシスト成形併用の真空成形法により振動板が形成される。押出し発泡ポリスチレンシートのみでスピーカー振動板を形成する場合に比較して、片面若しくは両面にポリスチレンのフィルムをラミネートすることにより、剛性とロスを向上させることができる。例えば、スピーカー振動板の物性は、PSPのみの場合には、ヤング率:4.6E+8(dyne/cm 2 )、密度:0.43(g/cm 3 )、tanδ;0.043であるが、本実施例のようにPSPの両面にポリスチレンフィルムをラミネートすると、ヤング率:9.7E+8(dyne/cm 2 )、密度:0.55(g/cm 3 )、tanδ;0.074と、優れた値に改善できる。
トラック形状のスピーカー振動板2の外形概略寸法は、その長径方向長L1が約198mmであり、短径方向長L2が約23.4mmである。スピーカー振動板2は、真空成形により厚みが約1mm〜約3mmの範囲で変化し、厚みをスピーカー振動板として必要な剛性に応じて不均一にすることができる。スピーカー振動板2は、長径方向に延びるリブを有し、かつ、短径方向断面形状が略W字形になる。例えば、スピーカー振動板2の最外周部を形成する長径両端リブは、その厚みは約1mmである。
なお、プラグアシスト成形を併用した真空成形とは、ラミネートされた材料を予備加熱し、軟化させた後、所望の凹型で、吸引しながら、凸型で押さえる成形方法である。本実施例のポリスチレンペーパーは、他の熱可塑性樹脂による発泡シートであってもよく、熱可塑性発泡シートは、押出発泡法、あるいはビーズ発泡法、等で得られる。発泡シートを構成する熱可塑性樹脂は、ポリスチレン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル、酢酸ビニル−エチレン樹脂等から1種の樹脂、あるいは、選択した複数の樹脂をブレンドして得られる樹脂、であればよい。
また、ラミネートする熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂は、ポリスチレン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ナイロン、あるいは、ポリウレタンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー等から選択される1種の樹脂、あるいは選択した複数の樹脂をブレンドして得られる樹脂、であればよい。本実施例では、表面および裏面の両面ラミネートにおいて、両面が同じ熱可塑性樹脂フィルムであるが、表面および背面が別の熱可塑性樹脂フィルムであってもよい。また、ラミネートは、熱可塑性発泡シートと熱可塑性樹脂フィルムの熱可塑性により、熱融着されているものであってもよく、あるいは、熱可塑性樹脂フィルムに印刷あるいは塗布された、熱可塑性接着剤により、熱融着されるものであってもよい。
スピーカー振動板2の第1振動板部21は、スピーカー振動板2の背面側中央部において、細長形のスピーカー振動板2の二つの長辺と、これらの長辺の間を短径方向に横切る二つの仮想線XおよびX’と、により規定される略矩形状の領域である。本実施例の場合には、仮想線XおよびX’の距離は約40mmであり、ボイスコイルボビン4の直径よりも大きく、スピーカー振動板の長径方向長L1の1/2以内程度の範囲で設定可能である。図4(b)に示すように、第1振動板部21は、背面側中央部に略円筒形状のボイスコイルボビン4の一端が取り付けられる円形平坦部23を含んでおり、円形平坦部23の内側はドーム状である。また、円形平坦部23の外側は、立ち上がりを有する略コーン形状であり、後述する第2振動板部22につながる形状を有する。中音域および高音域の再生に貢献する第1振動板部21は、第2振動板部22よりも振動板の厚みが薄く形成され、第1振動板部21の平均厚みを規定する第1平均厚値t1は、約2mmである。
第2振動板部22は、細長形のスピーカー振動板2の両端側においてそれぞれ、細長形のスピーカー振動板2の二つの長辺と、細長形のスピーカー振動板2の短辺と、上述の仮想線X(もしくはX’)と、により規定される領域である。本実施例のトラック形のスピーカー振動板2の短辺の部分は、トラック形を規定する半円形部分を含み、第2振動板部22の短径方向の断面形状は、図4(C)に示すように略W字形状であり、短辺にあたる半円形部分以外ではほぼ一定の断面形状を有している。本実施例の場合には、第2振動板部の平均厚みを規定する第2平均厚値t2が約3mmであり、第1振動板部21よりも振動板の厚みが厚く形成される。
スピーカー振動板2の補強リブは、スピーカー振動板2の前面側から見た場合に稜線、もしくは、谷線を形成する突起状の構造である。具体的には、本実施例の場合には、長径中央リブ24と、スピーカー振動板2の短径方向の両端部に形成される二つの長径両端リブ25とが、第1振動板部21、および、それぞれの第2振動板部22に渡って連続して形成される。つまり、長径中央リブ24および長径両端リブ25は、スピーカー振動板2の断面形状において、略W字形状の上側の端点3箇所に相当する部分を長径方向に貫いて、スピーカー振動板2の長径方向の剛性を向上させる。また、さらに、第2振動板部22の半円形状に対応して円弧状に形成される短径両端リブ26は、それぞれの長径両端リブ25を連結して、トラック形のスピーカー振動板2の外周縁を補強して、剛性を高める。なお、長径中央リブ24の突条の稜線は、トラック形のスピーカー振動板2の長径方向の両端にまで至っていないので、長径中央リブ24と短径両端リブ26とは連結していないものの、第1振動板部21と第2振動板部22とを連結するように補強するので、トラック形のスピーカー振動板2を補強して、剛性を高める。
その一方で、エッジ3は、切断内径が約195mm×約21mm、半円弧形状の半径が約10.5mmのトラック形であり、本実施例では、柔軟性を有する発泡ゴムを金型内に注入して加熱発泡して、エッジの可動部だけでなくフレーム6の固定部に固定される外周端の補強体34も一体に形成したものである。なお、本実施例では、スピーカー振動板2の外周部分に熱融着性の接着剤を塗布し乾燥した後、貼り付け金型で熱プレスすることにより、スピーカー振動板2とエッジ3とを貼り付けて、補強体34も一体に形成した振動板完成品を得ることができる。
具体的には、エッジ3は、スピーカー振動板2の長径方向に直線状に延びるトラック形の長辺においてスピーカー振動板2の短径方向両端を自由支持する自由エッジ部(第1振動板部21に対応する第1自由エッジ部31と、第2振動板部22に対応する第2自由エッジ部32と、を含む。)と、円弧状になるトラック形の短辺においてスピーカー振動板2を固定支持する固定エッジ部33と、を有する。図4(b)および図4(C)に示すように、第1自由エッジ部31および第2自由エッジ部32は、可動性を有する一山の逆V字形状のロールを有するフリーエッジであり、発泡ゴムの厚みは約0.2mmである。
また、図4(a)に示すように、固定エッジ部33は、ガスケット状の補強体34からロール状の可動部を有することなく厚肉に形成されるフィックスドエッジであり、補強体34につながる外周側がフレーム6の固定部に、内周側が第2振動板部22に固定されており、スピーカー振動板2のトラック形の短辺両端を自由に振動しないように支持する。すなわち、固定エッジ部33は、第1自由エッジ部31および第2自由エッジ部32の逆V字部分を含む可動部分に相当する部分を、発泡ゴムで埋めて自由に振動しないようにした形状であって、この発泡ゴムの厚みは約2mm〜約3.5mmになる。その結果、固定エッジ部33は、スピーカー振動板2の長径方向の両端を拘束する。なお、固定エッジ部33は、トラック形の短辺の円弧の全てで厚肉にされている必要はなく、トラック形の短辺の円弧の一部がフィックスドエッジであり、円弧のその他の部分がフリーエッジになって、断続的に自由エッジ部につながっても良い。
したがって、本実施例の細長形のスピーカー振動板2およびエッジ3を備える動電型スピーカー1は、短径方向ではエッジ3のフリーエッジ部のコンプライアンスで柔軟に支持される一方で、長径方向ではスピーカー振動板2を形成する熱可塑性樹脂の発泡シートの柔軟性によって、曲げ振動する。その結果、後述するように、低音域において最初に現れやすいディップを抑制することができ、平坦な再生音圧周波数特性を実現することができる。さらに、後述するように、補強リブの剛性により、スピーカー振動板の前後振幅の対称性を改善することができるので、歪が少ない再生音質に優れる動電型スピーカーが実現される。また、第1振動板部21の平均厚みt1が、第2振動板部22の振動板の厚みt2よりも薄く形成されるので、中音域および高音域の再生能率が向上し、再生帯域の広い動電型スピーカーが実現される。
図5は、本実施例の細長形のスピーカー振動板2およびエッジ3を備える動電型スピーカー1の動作を説明するグラフであり、図5(a)は実施例の再生音圧周波数特性を説明するグラフであり、図5(b)は比較例の従来の動電型スピーカーの再生音圧周波数特性を説明するグラフである。また、図6は、動電型スピーカー1において、スピーカー振動板2を備えるボイスコイル4に駆動力を与えた場合の前後振幅の変位量をあらわすグラフであり、前後方向での値の絶対値をとることでグラフの特性曲線を折り返し、前後対称性が良い場合に前方への変位曲線と後方への変位曲線とが重なるように表示している。なお、比較例の動電型スピーカーは、実施例と同様の材料ならびに部品で形成した細長形のスピーカー振動板(図示しない)であって、実施例との差異点は、スピーカー振動板が長径中央リブ24を有さない舟形の形状であり、円弧状になるトラック形の短辺においてスピーカー振動板を自由支持するフリーエッジ部を有する点、である。
本実施例の細長形のスピーカー振動板2およびエッジ3を備える動電型スピーカー1は、図5(a)および図5(b)に示すように、比較例の場合に見られた約120Hz〜240Hz付近の広い範囲のディップと、約1.5kHzのディップとが消えて、比較的平坦な周波数特性を実現することができる。また、本実施例の動電型スピーカー1は、図6(a)および図6(b)に示すように、比較例の場合に見られた前後振幅の非対称性が改善され、前後非対称性に起因する偶数次歪、ならびに、ばたつき音の発生等の動作不良の発生を低減することができる。長径中央リブ24を有さない舟形の形状の振動板である比較例の場合には、長径方向の剛性不足から著しい前後非対称性を示しているが、本実施例の場合には、変位の前後対称性が改善されて、良好な音声再生が可能になる。
なお、本実施例の場合には、細長形のスピーカー振動板2およびエッジ3(補強体34を含む)を備える振動板完成品の振動系の重量は、約1.56g(振動板本体1.18g、振動板部接着剤0.2g、エッジ可動部0.55g。ただし、エッジ可動部の1/3を振動系質量として見込む。)である。一方、この振動板完成品を作成するのにかかる工数は、スピーカー振動板2の成形10秒、切断5秒、エッジ3の成形30秒、切断15秒、接着剤の塗布10秒、貼合せ15秒、の合計85秒である。
次に、本実施例のスピーカー振動板2A(図示しない)を説明する。スピーカー振動板2Aは、熱可塑性の発泡シートを芯材として、表面及び裏面に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした材料を用い、スピーカー振動板2Aの本体部分と、エッジ3Aと、補強体34Aとを同時に一体成形する。スピーカー振動板2Aは、押出成形されたポリスチレンペーパーの表面および裏面に、ポリウレタンエラストマーのフィルムが熱融着されており、これを上記のプラグアシスト成形を併用した真空成形法で成形し、先の実施例1のスピーカー振動板2と共通する形状の振動板本体を得ている。ただし、エッジ3Aが、スピーカー振動板2Aの前面及び背面から延設されるポリウレタンエラストマーのフィルムから一体に形成されて、短径方向の端部でフリーエッジを形成し、かつ、長径方向の端部でフィックスドエッジを形成している点で異なっている。また、エッジ3Aの外周端を支持する補強体34Aは、スピーカー振動板2Aの本体部分と同様に、両面にポリウレタンエラストマーのフィルムがラミネートされたポリスチレンペーパーによって、一体に構成されている。
具体的には、スピーカー振動板2Aの振動板本体部分は、ラミネートされた熱可塑性樹脂のフィルムがポリウレタンエラストマーのフィルム(厚み約50μm)である点で、先の実施例のスピーカー振動板2とは異なっている。ただし、トラック形状のスピーカー振動板2の外形概略寸法は、その長径方向長L1が約198mmであり、短径方向長L2が約23.4mmである。スピーカー振動板2Aは、厚みが約0.3mm〜約3mmの範囲で変化し、スピーカー振動板2で説明した断面形状及び補強リブを有するので、先の実施例1で説明した動電型スピーカー1を構成するものと共通する部分は、共通の番号を付して説明を省略する。
エッジ3Aは、切断内径が約195mm×約21mm、半円弧形状の半径が約10.5mmのトラック形であり、本実施例では、エッジ3Aの自由エッジ部(第1振動板部21に対応する第1自由エッジ部31Aと、第2振動板部22に対応する第2自由エッジ部32Aと、を含む。)は、スピーカー振動板2Aの前面及び背面から延設されるポリウレタンエラストマーのフィルムに極めて薄く成形された発泡ポリスチレンシートが含まれて一体に形成されているので、その厚みは約0.3mmである。また、エッジ3Aの固定エッジ部33Aは、スピーカー振動板2と同様に、その厚みが約0.3mmから2.5mmまで徐々に厚くなり、そのまま補強体34Aに連続して形成される。補強体34Aは、分厚い形状に成形され、発泡する発泡ポリスチレンシートの厚みを生かした剛性を持つ矢紙、ガスケットを構成する。
なお、本実施例の場合には、細長形のスピーカー振動板2Aおよびエッジ3A(補強体34を含む)を備える振動板完成品の重量は、約1.51gであり、エッジ可動部の1/3を振動系質量として見込むと、振動系の重量は約1.29gである。先の実施例のエッジ3の場合に比較して、振動系の重量で約17%軽量化できており、動電型スピーカーに用いた場合には、再生音圧のレベル向上が可能である。
したがって、本実施例におけるエッジ3Aは、スピーカー振動板2Aと一体に成形されるものであっても、その断面形状は、先の実施例の発泡ゴムエッジの場合とほぼ同一の形状にすることができ、短径方向ではエッジ3Aのフリーエッジ部のコンプライアンスで柔軟に支持される一方で、長径方向ではスピーカー振動板2Aを形成するポリスチレンペーパーの柔軟性によって、曲げ振動する。その結果、本実施例のスピーカー振動板を採用する動電型スピーカーは、低音域において最初に現れやすいディップを抑制することができ、平坦な再生音圧周波数特性を実現することができる。スピーカー振動板2Aとエッジ3A、ならびに、エッジ3Aと補強体34Aとの貼り合せに係る接着剤の塗布量のバラツキが発生せず、また、貼り合せ工程での貼りずれ等のバラツキも発生せず、また、貼り合せ部分のメドメの接着剤の塗布量のバラツキが発生しなるので、その結果、動電型スピーカーの特性のバラツキが無い安定した品質が得られる。
また、本実施例の場合には、スピーカー振動板と、エッジと、補強体が一体に形成した振動板完成品を、一つの工程で得ることができ、エッジおよび補強体に係る材料費および成形にかかる工経費が不要となる。また、スピーカー振動板とエッジおよびエッジと補強紙の貼り合せに係る接着剤の材料費および塗布、貼り合せにかかる工経費、さらには貼り合せ部分のメドメにかかる接着剤の材料費および塗布の工経費が不要となる。この振動板完成品を作成するのにかかる工数は、スピーカー振動板2とエッジ3とが別体の場合に貼合せを含めて合計85秒であるのに対して、成形10秒、および、切断5秒の合計15秒しかかからないので、約1/6の工数で振動板完成品を得ることができる。先の実施例の動電型スピーカーに比較して、構成する部品数を低減し、全体の軽量化、ならびに、コスト低減を図ることができる。
次に、本実施例のスピーカー振動板2B(図示しない)、ならびに、エッジ3B(図示しない)を備える動電型スピーカー1Bを説明する。スピーカー振動板2Bは、押出成形されたポリスチレンペーパーの表面および裏面にポリウレタンエラストマーのフィルムが熱融着している点で、先の実施例2のスピーカー振動板2Aと共通するので、説明を省略する。また、エッジ3Bの寸法ならびに形状は、先の実施例の場合と共通である。ただし、エッジ3Bを構成材料とその配置は、先の実施例とは異なっている。
本実施例のエッジ3Bは、スピーカー振動板2Bの長径方向に直線状に延びるトラック形の長辺において、スピーカー振動板2Bの短径方向両端を自由支持する自由エッジ部を構成する材料が、第1振動板部21Bと第2振動板部22Bとで、異なるように選択される。つまり、ボイスコイル4が取り付けられる第1振動板部21Bに対応する第1自由エッジ部31Bは、第2振動板部22Bに対応する第2自由エッジ部32Bが有するスティフネスk2よりも、そのスティフネスk1が小さい軟らかい材料で形成されるフリーエッジとされる。
具体的には、第1振動板部21Bの短径方向端を自由支持する第1自由エッジ部31Bは、2枚のポリウレタンエラストマーのフィルムを接着剤で張り合わせた軽量で軟らかいエッジであり、一方、第2振動板部22Bの短径方向端を自由支持する第2自由エッジ部32Bは、厚みが約0.3mmの発泡ウレタンのエッジを上記の2枚のポリウレタンエラストマーのフィルムで挟み込んで形成したエッジであり、第1自由エッジ部31Bよりも重く、固いものになっている。例えば、本実施例では、第1自由エッジ部31Bのスティフネスk1は約250N/mであるのに対して、第2自由エッジ部32Bのスティフネスk2は約400N/mと大きな値になっている。
図7は、本実施例の細長形のスピーカー振動板2Bおよびエッジ3Bを備える動電型スピーカー1Bの再生音圧周波数特性を説明するグラフである。先の実施例と同様に、スピーカー振動板2Bの第1振動板部21Bの平均厚みt1は、第2振動板部22Bの振動板の厚みt2よりも薄く形成されるので、中音域および高音域の再生能率が向上し、再生帯域の広い動電型スピーカーが実現される。本実施例の動電型スピーカー1Bでは、第1振動板部21Bの短径方向の両端部を自由支持する第1自由エッジ部31Bが、軟らかく軽いエッジにされているので、中音域および高音域の再生能率をさらに向上させることができる。
なお、第1自由エッジ部31Bを構成する材料と、第2自由エッジ部32Bを構成する材料とが異なる場合だけでなく、材料が同一の場合には、エッジのロールの厚みを異なるようにして、それによりスティフネスの相互関係を調整しても良い。本実施例のエッジ3Bが、二種類の異なるゴム材料もしくは樹脂材料を使用する二色成形により形成するエッジである場合には、材料の弾性率により材料配置を設定し、エッジの形状を最適化することにより、第1自由エッジ部31Bおよび第2自由エッジ部32Bのスティフネスを調整することができる。
図8は、他の実施例のスピーカー振動板2Cおよびエッジ3Cを説明する図である。図8(a)は、スピーカー振動板2Cおよびエッジ3Cを前面側斜め上方から見た斜視図であり、図8(b)は、スピーカー振動板2Cおよびエッジ3CのA−A’断面図の要部を拡大した図である。なお、後述するように、スピーカー振動板2Cおよびエッジ3Cの一部の構造や、断面構造等は、省略している。また、点A−A’を結ぶ直線が延びる方向が長径方向であり、また、点B−B’
を結ぶ直線が延びる方向が短径方向である。
本実施例のスピーカー振動板2Cは、押出成形されて厚みがほぼ均一なポリプロピレン(PP)のシートを、プラグアシスト成形を併用した真空成形法を用いることで、補強リブを有するように成形している。具体的には、スピーカー振動板2Cは、アクリルを10%ブレンドした10倍発泡の押出し発泡ポリプロピレンシート(厚み約1.1mm)を原材料に用い、上記のプラグアシスト成形併用の真空成形法により振動板が形成される。トラック形状のスピーカー振動板2Cの外形概略寸法は、その長径方向長L1が約262.0mmであり、短径方向長L2が約25.5mmである。スピーカー振動板2Cの第1振動板部21Cおよび第2振動板部22Cは、先の実施例と同様に規定される。
つまり、第1振動板部21Cは、スピーカー振動板2Cの中央部において、細長形のスピーカー振動板2の二つの長辺と、これらの長辺の間を短径方向に横切る二つの仮想線XおよびX’と、により規定される略矩形状の領域である。本実施例の場合には、仮想線XおよびX’の距離は約34.0mmであり、ボイスコイルボビン4aの直径よりも大きく、スピーカー振動板2Cの長径方向長L1の1/2以内程度の範囲で設定可能である。図8(b)の拡大断面図に示すように、中音域および高音域の再生に貢献する第1振動板部21Cは、背面側中央部に略円筒形状の(図示しない)ボイスコイルボビン4aの一端が取り付けられる円形平坦部23Cを含んでおり、円形平坦部23Cの内側はドーム状である。また、円形平坦部23Cの外側は、立ち上がりを有する略コーン形状であり、後述する第2振動板部22Cにつながる形状を有する。
また、第2振動板部22Cは、細長形のスピーカー振動板2Cの両端側においてそれぞれ、細長形のスピーカー振動板2Cの二つの長辺と、細長形のスピーカー振動板2Cの短辺と、上述の仮想線X(もしくはX’)と、により規定される領域である。本実施例のトラック形のスピーカー振動板2Cの短辺の部分は、トラック形を規定する半円形部分を含む。本実施例の場合には、第2振動板部22Cの平均厚みは、第1振動板部21Cと変わらずに約1.1mmであり、ほぼ均一の厚みになるように成形されている。
本実施例のスピーカー振動板2Cでは、その全体がほぼ均一の厚みになるように成形するので、補強リブの配置ならびに形状を工夫することで、長径方向で必要となる剛性を確保することができる。具体的には、スピーカー振動板2Cは、長径方向および短径方向にそれぞれ延びる補強リブを有し、かつ、短径方向断面形状が略W字形になる。本実施例の場合には、補強リブのうち、長径中央リブ24が、(図示しない)ボイスコイルボビン4aとの接合部を挟んで配置される2つの分離した長径中央第1リブ241および長径中央第2リブ242からなり、接合部を構成する円形平坦部23Cの中央には、突出して形成された凸状のドーム部が形成される。そして、スピーカー振動板2Cの短径方向の両端部に形成される二つの長径両端リブ25Cが、第1振動板部21C、および、それぞれの第2振動板部22Cに渡って連続して形成される。
中心点Oに対して対称に配置される長径中央第1リブ241および長径中央第2リブ242は、図8に示すように、第1振動板部21C、および、それぞれの第2振動板部22Cに渡って連続して形成される。また、長径中央第1リブ241および長径中央第2リブ242は、そのリブ高さを規定する長径中央リブ高YLが、それぞれ、第1振動板部21Cにおいて最も高く、第2振動板部22Cにおいて長径方向の一方の端部に向かうに連れて低くなる。さらに、長径中央第1リブ241および長径中央第2リブ242は、スピーカー振動板2Cを正面視した場合に規定される幅が、第1振動板部21Cにおいて最も幅広く、第2振動板部22Cにおいて長径方向の一方の端部に向かうに連れて幅狭くなる。第1振動板部21Cでは、円形平坦部23Cの外側の短径方向の両端部に二つの長径両端リブ25Cが形成され、ならびに、円形平坦部23Cの内側に凸状のドーム部が形成されるので、長径中央第1リブ241および長径中央第2リブ242が分離していても、スピーカー振動板2の長径方向の剛性を向上させるとともに、後述するように、比較的に平坦な再生音圧周波数特性を実現することができる。
その一方で、エッジ3Cは、外周端の補強体34Cの形状が異なるもの、先の実施例1で説明したものとほぼ同じ構成のエッジであり、切断内径が約259.5mm×約22.0mm、半円弧形状の半径が約11.0mmのトラック形のエッジである。具体的には、エッジ3Cは、スピーカー振動板2Cの長径方向に直線状に延びるトラック形の長辺においてスピーカー振動板2Cの短径方向両端を自由支持する自由エッジ部(第1自由エッジ部31Cと、第2自由エッジ部32Cと、を含む。)と、円弧状になるトラック形の短辺においてスピーカー振動板2Cを固定支持する固定エッジ部33Cと、を有し、柔軟性を有する発泡ゴムを金型内に注入して加熱発泡して形成したものである。スピーカー振動板2Cの外周部分に熱融着性の接着剤を塗布し乾燥した後、貼り付け金型で熱プレスすることにより、スピーカー振動板2Cとエッジ3Cとを貼り付けて、補強体34Cも一体に形成した振動板完成品を得ることができる。
したがって、本実施例の細長形のスピーカー振動板2Cおよびエッジ3Cを備える(図示しない)動電型スピーカー1Cは、短径方向ではエッジ3Cのフリーエッジ部のコンプライアンスで柔軟に支持される一方で、長径方向ではスピーカー振動板2Cを形成する熱可塑性樹脂の発泡シートの柔軟性によって、曲げ振動する。その結果、後述するように、長径中央第1リブ241および長径中央第2リブ242の剛性により、スピーカー振動板2Cの前後振幅の対称性を改善することができるので、歪が少ない再生音質に優れる動電型スピーカーが実現される。
図10は、本実施例の細長形のスピーカー振動板2Cおよびエッジ3Cを備える動電型スピーカー1Cの再生音圧周波数特性を説明するグラフである。また、図9は、本実施例の動電型スピーカー1Cにおいて、スピーカー振動板2Cを備えるボイスコイル4に駆動力を与えた場合の前後振幅の変位量をあらわすグラフであり、前後方向での値の絶対値をとることでグラフの特性曲線を折り返し、前後対称性が良い場合に前方への変位曲線と後方への変位曲線とが重なるように表示している。
本実施例の動電型スピーカー1Cは、図9に示すように、先の実施例における比較例の場合に見られた前後振幅の非対称性が改善され、前後非対称性に起因する偶数次歪、ならびに、ばたつき音の発生等の動作不良の発生を低減することができる。また、本実施例の細長形のスピーカー振動板2Cおよびエッジ3Cを備える動電型スピーカー1Cは、図10に示すように、他の実施例と同様に、比較的平坦な周波数特性を実現することができ、変位の前後対称性が改善されて、その結果、良好な音声再生が可能になる。
なお、これらの本実施例のスピーカー振動板は、他の細形形状、もしくは、ボイスコイル径に対応した異なる寸法のスピーカー振動板であっても良い。また、これを用いた動電型スピーカーは、トラック形のスピーカーに限らず、楕円形、長円形、長方形、矩形といった長径寸法と短径寸法との比が大きい細長形の動電型スピーカーであればよい。
なお、本実施例のスピーカー用磁気回路は、他のボイスコイル径に対応した異なる寸法の磁気回路であっても良い。内磁型、外磁型、または、反発形といったいずれの磁気回路であっても、磁気回路の横幅が細長形のフレームの横幅よりも小さく、略円筒形状のボイスコイルがスピーカー振動板の背面中央に取り付けられるものであれば、他の磁気回路を用いる動電型スピーカーであってもよい。
本発明の動電型スピーカーは、ディスプレイ等の映像・音響機器に内蔵するスピーカーとしてのみならず、音声を再生するスピーカーを内蔵するキャビネットを有するゲーム機、スロットマシン等の遊戯機にも適用が可能である。また、本発明のスピーカー用磁気回路を備える動電型スピーカーは、全幅が狭く、小型・薄型のキャビネットで音声を再生するスピーカーシステムが実現できるので、設置空間が限定される車両用のスピーカーに特に適する。
本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1を説明する図である。(実施例1)
本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1を説明する図である。(実施例1)
本発明の好ましい実施形態によるスピーカー振動板2およびエッジ3を説明する図である。(実施例1)
本発明の好ましい実施形態によるスピーカー振動板2およびエッジ3を説明する図である。(実施例1)
本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1の動作を説明するグラフである。(実施例1)
本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1において、駆動力を与えた場合の前後振幅の変位量をあらわすグラフである。(実施例1)
本発明の他の好ましい実施形態による動電型スピーカー1Bの再生音圧周波数特性を説明するグラフである。(実施例3)
本発明の好ましい実施形態によるスピーカー振動板2Cおよびエッジ3Cを説明する図である。(実施例4)
本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1Cにおいて、駆動力を与えた場合の前後振幅の変位量をあらわすグラフである。(実施例4)
本発明の他の好ましい実施形態による動電型スピーカー1Cの再生音圧周波数特性を説明するグラフである。(実施例4)
符号の説明
1、1C 動電型スピーカー
2、2A、2B、2C スピーカー振動板
21、21C 第1振動板部
22、22C 第2振動板部
23、23C 円形平坦部
24、241、242 長径中央リブ
25、25C 長径両端リブ
26、26C 短径両端リブ
3 エッジ
31 第1自由エッジ部
32 第2自由エッジ部
33 固定エッジ部
34 補強体
4 ボイスコイル
5 ダンパー
6 フレーム
7 ターミナル
8 錦糸線
10 磁気回路
11 トッププレート
12 センターポール
13 磁気空隙
14 アンダープレート
15a、15b 主マグネット