JP4770510B2 - 光学素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エレクトロウェッティング効果(電気毛管現象)を利用した光学素子及びその製造方法に関する。
近年、エレクトロウェッティング効果を利用した光学素子の開発が進められている。エレクトロウェッティング効果は、導電性を有する液体と電極との間に電圧を印加したときに電極表面と液体との固液界面のエネルギーが変化し、液体表面の形状が変化する現象をいう。
図10A,Bは、エレクトロウェッティング効果を説明する原理図である。
図10Aに示すように、電極1の表面には絶縁膜2が形成されており、この絶縁膜2の上に電解液の液滴3が置かれている。絶縁膜2の表面は撥水処理が施されており、図10Aに示す無電圧状態では絶縁膜2の表面と液滴3との間の相互作用エネルギーは低く接触角θ0は大きい。ここで、接触角θ0は絶縁膜2表面と液滴3の正接線の間の角度であり、液滴3の表面張力や絶縁膜2の表面エネルギーなどの性質に依存する。
一方、図10Bに示すように、電極1と液滴3との間に所定電圧を印加すると、界面に電極1側の自由電子と液滴3側の電解質イオンとによる電荷二重層が形成され、液滴3の表面張力の変化が誘発される。この現象がエレクトロウェッティング効果であり、印加電圧の大きさによって液滴3の接触角θrが変化する。以上のように、電極1と液滴3との間に印加する電圧Vの大きさによって、液滴3の表面形状(曲率)が変化する。従って、液滴3をレンズ素子として用いた場合に焦点位置を電気的に制御できる光学素子を実現できることになる。
例えば下記特許文献1には、密閉性の液室内に互いに屈折率が異なる第1,第2の液体を収容し、これら第1,第2の液体の界面の形状を電気的に変化させることで液室を通過する光の焦点位置を変化させる可変焦点レンズ装置が開示されている。
図11は、上述した従来の光学素子の概略構成を示す要部断面図である。図11において、下部透明基板5に電極層6を介して絶縁膜7が形成されており、この絶縁膜7の平坦な表面に密封部材14を介して上部透明基板8が対向配置されている。上部透明基板8の上面には、光軸13を通る光の出射角を制限する開口17aが形成された絞り板17が配置されている。また、上部透明基板8の下面には、親水膜16が形成されている。
絶縁膜7と上部透明基板8との間には、導電性を有する透明な第1の液体9と、絶縁性を有する透明な第2の液体10とがそれぞれ封入された液室15が形成されている。第1,第2の液体は9,10は互いに異なる屈折率を有するとともに、互いに同等の比重をもち、かつ互いに混和することなく独立して液室15内に存在している。
絶縁膜7の表面は、第1,第2の液体9,10を支持する支持面として形成され、液室15の一方の面に形成されている。絶縁膜7の表面の中央部には撥水膜11が形成されており、第2の液体10は液滴の状態でこの撥水膜11の表面に濡れ広がって光軸13上に頂点をもつ凸形状のレンズ素子を構成している。一方、絶縁膜7の表面の撥水膜11を囲む領域は親水面とされており、第1の液体9と接している。
密閉部材14には棒状電極18が液密に挿入されている。この棒状電極18の一端は、液室15内の第1の液体9と接触しており、棒状電極18の他端はスイッチ20を介して電圧供給源19に接続されている。これにより、電極層6と第1の液体9との間に電圧を印加できるように構成されている。
このような構成の光学素子において、電極層6と第1の液体9との間に電圧が印加されていない状態では、第1の液体9と第2の液体10との間の界面形状は図11に実線で示したとおりであり、第2の液体10は絶縁膜7表面の撥水膜11上に濡れ広がっている。この状態で、電極層6と第1の液体9との間に電圧が印加されると、エレクトロウェッティング効果により第1の液体9が撥水膜11の周囲から撥水膜11内に侵入する。これにより、第1の液体9と第2の液体10との間の界面形状が例えば図11に破線で示すように変化する。電圧印加状態では電圧無印加状態に比べて第1,第2の液体9,10間の界面の曲率が大きくなるので、電圧無印加状態よりも電圧印加状態の方が焦点距離が短くなる。このように、印加電圧を変化させることで液室15を透過する光の焦点位置を変化させることが可能となる。
ところで、この種の光学素子においては、電圧の印加前後にわたってレンズ素子の光軸を一定に保つことが必要とされる。すなわち、図12に示すように第1,第2の液体9,10の界面形状の変化の際における光軸13の位置ズレ(偏心)Sを防止してレンズ面のセンタリング性を高めることが、素子の光学特性を安定化させるために重要な課題となっている。
このため、従来の光学素子においては、絶縁膜7の厚みが光軸13から径方向に不連続に薄くなるように電極6を階段状に形成している。従って、撥水膜11の中央部よりも撥水膜11の周縁部の方が、電圧印加時に電極層6と第1の液体9との間に発生する静電力が大となる。これにより、第1,第2の液体9,10間の界面の形状変化の前後における光軸13の偏心が抑えられるとしている。
特開2003−302502号公報
しかしながら、絶縁膜7の厚さを光軸13を中心として径方向に変化させることは光学素子の製造プロセスが非常に複雑となりコスト高になるという問題がある。また、電極層6を精度良く形成することが困難であり、素子の光学特性のバラツキの一因となり得る。
また、従来の光学素子においては、撥水膜11の形成面積が第2の液体10の最大径に相当する面積で形成されているため、撥水膜11上での第2の液滴10の移動位置のバラツキが発生するおそれがある。すなわち、電圧印加時のレンズ面(液滴10)の光軸位置が常に同一の位置にくるとは限らない。従って、従来の光学素子においては、レンズ面のセンタリング性が十分でないという問題がある。
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、レンズ面のセンタリング性を高めて光軸の安定化を図ることができるとともに、製造も容易な光学素子及びその製造方法を提供することを課題とする。
以上の課題を解決するに当たり、本発明の光学素子は、導電性の第1の液体と、第1の液体と屈折率が異なる絶縁性の第2の液体と、第1,第2の液体を互いに混和させることなく収容する密閉性の液室と、液室の一方の面に形成され第1,第2の液体を支持する絶縁性の支持面と、支持面を挟んで液室と対向する電極層とを備え、第1の液体と電極層間に印加する電圧の変化に応じて第1,第2の液体の界面の形状を変化させることで液室を透過する光の焦点位置を変化させる光学素子において、支持面には、第1の液体に対して親和性を有する第1領域と、第2の液体に対して親和性を有する第2領域とが、光軸と同心的に複数交互に形成されていることを特徴とする。
本発明においては、液室の一方の面を形成する支持面に、第1の液体に対して親和性を有する第1領域と、第2の液体に対して親和性を有する第2領域とが、光軸と同心的に複数交互に形成されているので、第1,第2液体間の界面の周縁位置を高い精度で規定できるようになり、その結果、レンズ面の光軸の偏心を抑制しセンタリング性を高めることが可能となる。
例えば、支持面の光軸位置に第2領域が形成される場合、この第2領域の外周側には、光軸と同心的に第1領域、第2領域が順に交互に複数形成されることになる。この場合、第2領域の表面を第1領域の表面よりも液室側に突出させることで両領域間に段差が形成され、第2領域上に支持される第2の液体の占有位置をより高精度に規制できるようになる。また、上記第2領域が光軸位置に位置する場合、当該第2領域は、光軸を中心とする円形の領域と、この円形の領域と同心的に形成された単数または複数の環状の領域とにより構成することができる。
また、本発明において、支持面を介して液室と対向する電極層は、第1の液体との間に発生する静電力が光軸の径方向に沿って変化する平面形状を有している。例えば、上記第2領域が光軸位置に形成されている場合、中心部から周縁部に向かって放射状に突出する複数の先細り形状の電極片で電極層を構成する。各電極片を先細り形状とすることで、電極層の周縁部がその中心領域よりも電荷分布密度が高まるため、電極層の周縁部に強い電界を形成することができる。
電極層を以上のように構成することにより、レンズ面のセンタリング性が高められ、光学特性の安定化を図ることができる。特に本発明によれば、電極層の平面形状をパターン形成するのみで第1の液体との間に所望の電界分布を容易かつ高精度に実現することができる。
一方、本発明の光学素子の製造方法は、透明基板上に電極層を形成する工程と、電極層を絶縁膜で被覆する工程と、絶縁膜の表面に、第1の液体に対して親和性を有する第1領域を形成する工程と、第1領域の表面に、第2の液体に対して親和性を有する第2領域を光軸と同心的に間隔をあけて複数形成する工程と、第1,第2の液体を封入し前記液室を形成する工程とを有する。絶縁膜の表面は、第1,第2の液体の何れかに対して親和性を有する材料で形成されていてもよい。これにより、上述した構成の光学素子を高精度かつ容易に製造することができる。
以上述べたように、本発明によれば、第1,第2液体間の界面の周縁位置を高い精度で規定できるので、レンズ面の光軸の偏心を抑制しセンタリング性を高めることが可能となる。また、このような光学特性に優れた光学素子を容易に製造することができる。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態による光学素子21の概略構成を示す側断面図である。本実施形態の光学素子21は、密閉性の液室34に第1の液体31と第2の液体32とが収容されてなり、これら第1の液体31と第2の液体32の界面33によってレンズ面が形成される液体レンズ素子を構成している。
第1の液体31としては、導電性を有する透明な液体が用いられ、例えば、水、電解液(塩化カリウムや塩化ナトリウム、塩化リチウム等の電解質の水溶液)、分子量の小さなメチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、常温溶融塩(イオン性液体)などの有極性液体を用いることができる。
第2の液体32としては、絶縁性を有する透明な液体が用いられ、例えば、デカン、ドデカン、ヘキサデカンもしくはウンデカン等の炭化水素系の材料、シリコーンオイル、フッ素系の材料などの無極性溶媒を用いることができる。
第1,第2の液体31,32は互いに異なる屈折率を有するとともに、液室34において互いに混和することなく独立して存在できる材料が選ばれる。また、第1,第2の液体31,32は互いに同等の比重をもつことが好ましい。本実施形態では、第2の液体32が第1の液体31中に液滴状に存在している。
光学素子21は、ガラスまたはプラスチック製の透明基材22を有している。透明基材22の内面(上面)側には、透明な絶縁膜23で被覆された電極層24が形成されている。絶縁膜23の表面は液室34の一方の面を形成しており、第1の液体31および第2の液体32を支持する支持面として構成されている。また、絶縁膜23の表面は、親水面で形成されているが、後述する撥水膜25よりも低い撥水性をもつ撥水面で形成されてもよい。
図2A〜Cは、絶縁膜23の表面側および裏面側の概略構成を示す図であり、Aは平面図、Bは側断面図、Cは底面図である。
絶縁膜23の表面には、撥水膜25がパターン形成されている。撥水膜25は、光軸26を中心とする円形の領域(以下「円形領域」という)25aと、この円形領域25aの外周側に光軸26と同心的に形成された環状の領域(以下「環状領域」という)25bとで構成されている。円形領域25aと環状領域25bとの間には一定のギャップG(図4F参照)が形成されている。
撥水膜25は、第2の液体32と親和性を有する第2領域A2を構成している。また、撥水膜25で被覆されていない絶縁膜23の表面領域は、第1の液体31と親和性を有する第1領域A1を構成している。以上のようにして、第1,第2領域A1,A2は絶縁膜23の表面において、光軸26と同心的に複数交互に形成されている。特に本実施形態では、撥水膜25が絶縁膜23の表面に形成されることで、第1領域A1よりも第2領域A2が液室34側に突出すると同時に、第1,第2領域A1,A2間に撥水膜25の膜厚に相当する段部が設けられている。
液室34は、絶縁膜23の表面に密封部材27を介して対向する透明な容器28の内部に形成されている。容器28は、ガラスまたはプラスチックの射出成形体で構成されている。液室34の内部には第1,第2の液体31,32が充填されており、図1に示す無電場状態では、第2の液体32が撥水膜25(25a,25b)上に支持されている。
本実施形態の光学素子21は、第1の液体31と電極層24との間に所定電圧を印加する電圧制御装置30を有している。電圧制御装置30の一方の端子は、容器28に密封具を介して挿入された棒状電極29に接続されており、電圧制御装置30の他方の端子は、電極層24に接続されている。電圧制御装置30の電圧電源は直流電源でもよいし交流電源でもよい。棒状電極29の先端は、液室34内の第1の液体31に接触している。これにより、電極層24と第1の液体31との間に電圧を印加して、電極層24と第1の液体31との間に所定の静電力を発生させることが可能となる。
次に、電極層24の構成について説明する。
図2Cに示すように、電極層24は、光軸26上に位置する中心部から周縁部に向かって放射状に突出する複数の先細り形状の電極片24aで構成されたスパイク状の平面形状を有している。電極片24aの形成本数は特に制限されないが、その数は多いほどよい。電極層24は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)等の透明な導電性金属酸化物で構成されている。
電極層24を以上のように構成することで、第1の液体31との間に発生する静電力を光軸26の径方向に沿って変化させることが可能となる。特に本例では、電極層24の周縁部が各電極片24aの先鋭な先端部で形成されているので、電極層24の周縁部は中央部よりも電荷分布密度が高く、従って電極層24の周縁部の方が中央部よりも大きな静電力を発生させることが可能である。
次に、以上のように構成される本実施形態の光学素子21の動作について説明する。
図3A,Bは光学素子21の一作用を示す要部の概略側断面図であり、Aは電圧無印加状態を示し、Bは電圧印加状態を示している。
本実施形態の光学素子21において、液室34には第1,第2の液体31,32が充填されており、このうち第2の液体32が液滴状態で第2領域A2を形成する撥水膜25上に支持されている。このとき、図3Aに示す電圧無印加状態において、第2の液体32は最大径となり、第1の液体31との界面33の周縁が環状の撥水膜領域25bの外周縁に位置している。
第1,第2の液体31,32の界面33は、球面あるいは非球面の凸形状を有し、その曲率は電圧制御装置30から供給される電圧の大きさに応じて変化する。すなわち、電圧制御装置30によって第1の液体31と電極層24との間に所定電圧が印加されると、これらの間に生じる静電力によって第1の液体31が撥水膜25の周囲から撥水膜25上に濡れ広がる(エレクトロウェッティング効果)。このため、第2の液体32は、周囲から第1の液体31によって押し狭められることにより、撥水膜25表面に対する占有面積が低減される。第1,第2の液体31,32の容積は一定であるので、第2の液体32は液室34の高さ方向に変形するとともに、界面33の曲率が電圧無印加状態に比べて大きくなる。
以上のように、第1,第2の液体31,32の界面33は、第1の液体31と電極層24との間に印加される電圧の大きさによって変化する。界面33は、第1,第2の液体31,32の屈折率差に応じたレンズパワーをもつレンズ面を構成するので、光軸26に沿って液室34を透過する光の焦点位置あるいは焦点距離は、界面33の形状変化によって変化される。これにより、本実施形態の光学素子21は、可変焦点レンズ素子として用いることができる。
本実施形態によれば、撥水膜25を光軸26上に位置する円形領域25aと、これと同心的に形成された環状領域25bとにより分割形成されている。従って、電圧無印加状態においては第1,第2の液体31,32の界面33の周縁部は環状領域25bの外周縁に一致する位置で安定して保持される(図3A)。また、電圧印加状態においては円形領域25aと環状領域25b間の第1領域A1に第1の液体31が位置し、界面33の周縁部は円形領域25bの外周縁に一致する位置で安定に保持されるようになる(図3B)。その結果、電圧印加および電圧無印加状態間における界面33の形状変化に際して、界面(レンズ面)33の光軸26のバラツキ(偏心)が抑制され、第2の液体32あるいはレンズ面のセンタリング性を高めることができる。
また、本実施形態によれば、第1の液体31に対して親和性を有する第1領域A1と第2の液体32に対して親和性を有する第2領域A2との間に段部を設けているので、第1,第2の液体31,32の位置ずれ防止効果が高まり、第1,第2の液体31,32の界面の形状制御を容易かつ高精度に行うことができる。これにより、レンズ面のセンタリング性を更に高めることができる。
更に、本実施形態によれば、電極層24が図2Cに示したようなスパイク状の平面形状を有しているので、光軸26が位置する第2の液体32の中心領域よりもその周縁領域により大きな静電力を付与できる。これにより、電圧印加時において光軸26の径方向に容量的な傾斜を付加でき、光軸26を中心とした界面33の形状変化を行わせることができる。
以上のように、本実施形態の光学素子21によれば、電圧変化に応じた界面33の形状変化に伴う光軸26の偏心を効果的に抑えることができ、光学特性に優れた光学素子を提供することができる。
また、この光学素子21を面内にマトリックス状に複数配列させることで、光軸の偏心が抑えられた可変焦点レンズアレイを構成することができる。
次に、本実施形態の光学素子21の一製造方法について説明する。
図4は光学素子21の一製造方法を説明する工程フロー図である。
まず、透明基板22を準備する(図4A)。次に、この透明基板22の一方の主面に電極層24を形成する(図4B)。電極層24は、フォトリソグラフィ技術を用いて、光軸26を中心として径方向に電荷分布密度が増加する平面形状、例えば図2Cに示したようなスパイク状にパターン加工される。このとき、電圧制御装置30に接続される引出し配線部24bを同時に形成してもよい(図4C)。
次に、電極層24を被覆するように絶縁膜23が形成される(図4D)。絶縁膜23は親水性の膜で構成してもよいし、絶縁層23の成膜後に表面に親水加工を施しても良い。また、絶縁層23は撥水膜25よりも撥水性の低い撥水面で形成されてもよい。続いて、絶縁膜23の表面に撥水膜25を形成する(図4E)。撥水膜25としては、例えば、フッ素表面処理剤(テフロンAF(商品名))をスピンコーティングで形成したり、ポリパラキシリレンを蒸着膜で形成することができる。成膜された撥水膜25は、フォトリソグラフィ技術を用いて、円形領域25aと環状領域25bとが同心的かつ所定の間隙Gを介してパターン加工される(図4F)。なお、撥水膜25の膜厚および間隙Gの大きさは特に制限されず、要求される光学特性に応じて適宜選択される。
最後に、絶縁膜23の表面に密封部材27を介して容器28を接合し液室34を形成するとともに、液室34内に第1,第2の液体31,32を充填することで、上述した構成の光学素子21を製造することができる。
本実施形態の光学素子21の製造方法によれば、撥水膜25a,25bの形成をフォトリソグラフィ工程にて高精度に形成することができるので、第2の液体32の形状位置制御を容易かつ高精度に行うことができる。
また、本実施形態によれば、電極層24の平面的なパターン形成によって容易に静電容量の分布勾配をもたせることができるので、製造プロセスを複雑化することなく容易かつ低コストに光軸のセンタリング性に優れた光学素子を製造することができ、生産性の向上をも図ることができる。
(第2の実施形態)
続いて、図5〜図7を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。
ここで、図5Aは本実施形態の光学素子41における絶縁膜23上の撥水膜25の構成を示す平面図、図5Bはその要部断面図、図6は電極層24Mの平面図、図7A,Bは光学素子41の一動作例を示す要部の側断面図である。
なお、各図において上述の第1の実施形態と対応する部分については同一の符号を付しその詳細な説明は省略するものとする。
本実施形態の光学素子41は、絶縁層23の表面に形成される撥水膜25が、光軸26を中心とする円形領域25bと、光軸26と同心的に円形領域25bの外周側に形成された複数の環状領域25b,25cとを有している。
また、電極層24Mは、金属膜で形成されている。電極層24Mの平面形状は、上述の第1の実施形態と同様にスパイク状であるが、その光軸位置には光の透過窓となる開口24cが形成されている。金属層24Mの構成金属は特に制限されず、例えば金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)等を用いることができる。
以上のように構成される本実施形態の光学素子41においては、光軸26を中心としてその径方向に、第2の液体32に対して親和性を有する第2領域A2と、第1の液体31に対して親和性を有する第1領域A1とが複数交互に配置形成されることで、上述の第1の実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
特に本実施の形態によれば、撥水膜25の分割数を第1の実施形態に比べて多くしているので、各分割領域単位での界面33の形状位置制御をより細かく行うことができ、電圧変化が小さい場合においてもより高精度に光軸26のセンタリング性を高めることができる。また、環状の撥水領域の形成数および形成ピッチを制御することで、より高精度に液体の界面形状を制御できる。特に、撥水膜25の形成面積が大きな場合に顕著な効果を発揮する。
また、本実施形態によれば、電極層24Mを金属膜で構成しているので、電極層24Mの成膜性が高められるとともに、低廉な金属材料を用いることで素子の低コスト化を図ることができる。また、電極層24Mに透明性が必要とされないので、材料の選択性に幅を持たせることができる。
なお、電極層を金属電極と透明電極の組み合わせで構成することも勿論可能である。例えば、電極層24Mの開口24cの形成領域にITO等の透明電極層を形成してもよい。また、電極層24MをITO等の透明電極層で形成することも勿論可能である。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば以上の各実施形態では、第1,第2の液体31,32のうち絶縁性の第2の液体32を液滴状にして液室34内に収容した構成例について説明したが、これに限らず、導電性の第1の液体31を液滴状にして液室34内に収容してもよい。この場合、光軸上に親水性の第1領域を形成し、その外周側に撥水性の第2領域を形成する。そして、光軸の径方向に沿って、第1,第2領域を複数交互に形成すればよい。
また、上記の例の場合、図8に示すように、電極層24Rの構成としては、電極層24Rの周縁部から光軸26上の中心に向かって突出する複数の先細り形状の電極片24dで構成する。これにより、電極層24Rの周縁部から中心部に向かって電荷分布密度が増大し、電極層24Rの周縁部から中心部に向かって第1の液体との間の静電力が強くなる電界分布を形成することができ、液体界面のセンタリング性を容量的に高めることが可能となる。
また、以上の各実施形態では、電極層24を構成する各電極片24aの縁部をそれぞれ直線的に形成したが、これに代えて、例えば図9Aに示す電極層24Sのように、各々の電極片24eの縁部をそれぞれ同一円周方向に流線状に形成するようにしてもよい。これにより、電圧印加時に撥水膜25の周囲から中心側に向かって濡れ広がる第1の液体に対して、図9において矢印で示すような渦状の流れを形成することができ、これにより第2の液体のセンタリング性を高める機能をもたせることができる。
また、図9Bに示す電極層24Wは、面内の電極層形成領域を等分に4分割した電極群24W1,24W2,24W3,24W4で形成し、その各々に電極引出し用の引出し配線部24cを形成した例を示している。電極群の形成数は勿論この例に限られない。このような構成の電極層24Wにおいては、各電極群24W1〜W4にそれぞれ異なる電圧を印加することで、液体界面の形状を調整することができる。
また、以上の各実施形態では、絶縁膜23の上に撥水膜25を形成することで、親水性の第1領域A1と撥水性の第2領域A2との間に段部を設けるようにしたが、これに加えて、内外周が第2領域で挟まれた第1領域を凹状に加工することで、撥水膜25の形成厚を大きくすることなく上記段部の高さを大きくすることが可能である。
更に、絶縁膜23の表面に撥水膜25をパターン形成した例について説明したが、これに代えて、同一層内で光軸を中心として親水性の第1領域と撥水性の第2領域とを交互に複数形成するようにしてもよい。
本発明の第1の実施形態による光学素子の概略断面図である。 本発明の第1の実施形態による光学素子の要部の構成図であり、Aは平面図、Bは側断面図、Cは底面図である。 本発明の第1の実施形態による光学素子の一作用を示す要部の概略断面図であり、Aは電圧無印加状態を示し、Bは電圧印加状態を示している。 本発明の第1の実施形態による光学素子の一製造方法を説明する工程フロー図である。 本発明の第2の実施形態による光学素子の要部の構成図であり、Aは平面図、Bは側断面図である。 本発明の第2の実施形態による光学素子の電極層の概略平面図である。 本発明の第2の実施形態による光学素子の一作用を示す要部の概略断面図であり、Aは電圧無印加状態を示し、Bは電圧印加状態を示している。 電極層の構成の変形例を示す概略平面図である。 電極層の構成の他の変形例を示す概略平面図である。 エレクトロウェッティング効果(電気毛管現象)の説明図である。 従来の光学素子の概略構成を示す要部断面図である。 従来技術の問題点である光軸の偏心の態様を示す要部側断面図である。
符号の説明
21,41…光学素子、22…透明基材、23…絶縁膜、24,24M、24R,24S、24W…電極層、24a,24d,24e…電極片、25…撥水膜、25a…円形領域、25b,25c…環状領域、26…光軸、27…密封部材、28…容器、29…棒状電極、30…電圧制御装置、31…第1の液体、32…第2の液体、33…界面、34…液室、A1…第1領域、A2…第2領域

Claims (10)

  1. 導電性の第1の液体と、
    前記第1の液体と屈折率が異なる絶縁性の第2の液体と、
    前記第1,第2の液体を互いに混和させることなく収容する密閉性の液室と、
    前記液室の一方の面に形成され前記第1,第2の液体を支持する、前記第1の液体に対して親和性を有する第1領域と前記第2の液体に対して親和性を有する第2領域とが光軸と同心的に複数交互に形成された絶縁性の支持面と、
    前記支持面を挟んで前記液室と対向する電極層とを備え、
    前記第1の液体と前記電極層間に印加する電圧の変化に応じて前記第1,第2の液体の界面の形状を変化させることで前記液室を透過する光の焦点位置を変化させる光学素子。
  2. 前記第1,第2領域のうち前記支持面の光軸位置に位置する一方の領域が他方の領域よりも前記液室側に突出して形成されている
    請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記第1領域は親水性を有する領域であり、
    前記第2領域は撥水性を有する領域である
    請求項1に記載の光学素子。
  4. 前記第2の領域は、
    光軸を中心とする円形の領域と、
    前記円形の領域と同心的に形成された単数または複数の環状の領域とからなる
    請求項3に記載の光学素子。
  5. 前記電極層は、前記第1の液体との間に発生する静電力が光軸の径方向に沿って変化する平面形状を有している
    請求項1に記載の光学素子。
  6. 前記電極層は、中心部から周縁部に向かって放射状に突出する複数の先細り形状の電極片からなる
    請求項5に記載の光学素子。
  7. 前記各電極片の縁部は、それぞれ同一円周方向に流線状に形成されている
    請求項6に記載の光学素子。
  8. 前記電極層は、周縁部から中心部に向かって突出する複数の先細り形状の電極片からなる
    請求項5に記載の光学素子。
  9. 密閉性の液室内に、屈折率の異なる導電性の第1の液体と絶縁性の第2の液体とが互いに混和することなく収容されてなり、
    前記第1,第2の液体の界面の形状を電気的に変化させることで前記液室を透過する光の焦点位置を変化させる光学素子の製造方法であって
    透明基板上に電極層を形成する工程と、
    前記電極層を絶縁膜で被覆する工程と、
    前記絶縁膜の表面に、前記第1の液体に対して親和性を有する第1領域を形成する工程と、
    前記第1領域の表面に、前記第2の液体に対して親和性を有する第2領域を光軸と同心的に間隔をあけて複数形成する工程と、
    前記第1,第2の液体を封入し前記液室を形成する工程とを有する
    光学素子の製造方法。
  10. 前記電極層を形成する工程では、光軸を中心として径方向に電荷分布密度が増加する平面形状に前記電極層を形成する
    請求項に記載の光学素子の製造方法。
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