以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。まず、本実施形態のシステムにおいて入力デバイスとして使用される電子ペンの概要について説明する。
[電子ペン]
図1は電子ペンの使用形態を模式的に示す図であり、図2は電子ペンの構造を示す機能ブロック図である。図1に示すように、電子ペン10は、ドットパターンが印刷された専用ペーパー20と組み合わせて使用される。電子ペン10は、通常のインクペンと同様のペン先部17を備えており、利用者は通常のインクペンと同様に専用ペーパー20上に文字などを書くことになる。
図2に示すように、電子ペン10は、その内部にプロセッサ11、メモリ12、データ通信ユニット13、バッテリー14、LED15、カメラ16及び圧力センサ18を備える。また、電子ペン10は通常のインクペンと同様の構成要素としてインクカートリッジ(図示せず)などを有する。
電子ペン10は、ペン先部17により専用ペーパー20上に描かれたインクの軌跡をデータ化するのではなく、専用ペーパー20上で電子ペン10が移動した軌跡座標をデータ化する。LED15が専用ペーパー20上のペン先部17近傍を照明しつつ、カメラ16が専用ペーパー20に印刷されているドットパターンを読み取り、データ化する。つまり、電子ペン10は専用ペーパー20上で利用者が電子ペン10を移動させることにより生じるストロークを画像データ又はベクトルデータとして取得することができる。
圧力センサ18は、利用者が電子ペン10により専用ペーパー上に文字などを書く際にペン先部17に与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、プロセッサ11へ供給する。プロセッサ11は、圧力センサ18から与えられる筆圧データに基づいて、LED15及びカメラ16のスイッチオン/オフの切換を行う。即ち、利用者が電子ペン10で専用ペーパー20上に文字などを書くと、ペン先部17には筆圧がかかる。よって、所定値以上の筆圧が検出されたときに、利用者が記述を開始したと判定して、LED15及びカメラ16を作動する。
カメラ16は専用ペーパー20上のドットパターンを読み取り、そのパターンデータをプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給されたドットパターンから、専用ペーパー20上でのX,Y座標を算出する。
プロセッサ11は、利用者の記述が行われる間に、筆圧の配列データ及びX,Y座標データを取得し、タイムスタンプ(時間情報)と関連付けてメモリ12に記憶していく。よって、メモリ12内には利用者の記述内容に対応するデータが時系列で記憶されていく。メモリ12の容量は例えば1Mバイト程度とすることができる。
利用者により送信指示がなされるまでは、取得された全てのデータはメモリ12内に保持される。そして、利用者が送信指示を行うと、データ通信ユニット13により、電子ペン10と所定距離内にある端末装置25へメモリ12内のデータが送信される。基本的には、一度送信指示がなされると、電子ペン10はメモリ12内に記憶していた全てのデータを端末装置25へ送信するため、メモリ12内はクリアされる。よって、送信後にもう一度同じ情報を端末装置25へ送信したい場合には、利用者は専用ペーパー20上に再度記述を行う必要がある。なお、この場合、利用者は専用ペーパー20上にインクペンで書かれた文字などをなぞればよいことになる。
電子ペン10自体は、送信ボタンなどの機能ボタンを備えておらず、送信指示その他の指示は、利用者が専用ペーパー20上の所定位置に設けられた専用ボックスを電子ペン10でチェックすることにより実行される。専用ボックスの位置座標には、予め送信指示が対応付けられており、プロセッサ11は専用ボックスの位置座標を受信すると、データ通信ユニット13にメモリ12内のデータを供給し、端末装置25への送信を行わせる。なお、電子ペン10は、データの送信完了を電子ペンの振動により示すことができる。
バッテリー14は電子ペン10内の各要素に電源供給するためのものであり、例えば電子ペンのキャップ(図示せず)により電子ペン10自体の電源のオン/オフを行うことができる。
このように、電子ペン10は利用者が専用ペーパー20上に記述した文字などに対応する座標データ及び筆圧データを取得して近傍の端末装置25へ送信する機能を有するが、電子ペン10のペン先部17は通常のインクペンとなっているため、専用ペーパー20上に記述した内容はオリジナルの原本として残るという特徴がある。即ち、紙の原本に対して記述するのと同時に、その内容を座標データなどの形態でリアルタイムに電子化することができる。
なお、電子ペン10の標準機能によれば、電子ペン10により得られるデータは、原則として座標データ又はベクトルデータの形態であり、テキストデータではない。但し、電子ペン10は標準機能として、専用ペーパー20上に設けられた専用エリアに記述することにより、英数字に限りテキスト化する機能は備えている。
また、電子ペン10内には、ペン自体及びその所有者に関するプロパティ情報(ペン情報及びペン所有者情報)を保持することができ、アプリケーションから参照することができる。ペン情報としては、バッテリーレベル、ペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン、サブスクリプションプロバイダのIDなどを保持できる。また、ペン所有者情報としては、国籍、言語、タイムゾーン、emailアドレス、空きメモリ容量、名称、住所、ファックス/電話番号、携帯電話番号などを保持することができる。
なお、上記の例におけるデータ通信ユニット13では、Bluetooth(登録商標)の無線伝送、USBケーブルを使用した有線伝送、端子などの接触によるデータ伝送など、各種の方法によって電子ペン10から端末装置25へのデータ送信を行うことが考えられる。
次に、電子ペンにより利用者が記述した内容のX,Y座標データを取得する方法について説明する。前述のように専用ペーパー20には、所定のドットパターンが印刷されている。電子ペン10のカメラ16は、利用者が専用ペーパー20上に記述したインクの軌跡を読み取るのではなく、専用ペーパー20上のドットパターンを読み取る。実際、図1に示すように、LED15による照明エリア及びカメラ16の撮影エリア(照明エリア内に位置する)は、ペン先部17が専用ペーパー20に接触する位置とはずれている。
ドットパターンはカーボンを含む専用インキなどで印刷されており、カメラ16はその専用インキによるパターンのみを認識することができる。専用インキ以外のインキ(カーボンを含まない)により、専用ペーパー上に罫線や枠などを印刷しても、電子ペンはそれらを認識することはない。よって、専用ペーパーを利用して各種申込書などの帳票を作成する際は、専用インキ以外のインキで入力枠や罫線、注意書きなどを印刷する。
ドットパターンは、図3に例示するように、各ドットの位置がデータに対応付けされている。図3の例では、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右にシフトすることにより、0〜3の2ビット情報を表示した例である。このようにして表現された情報の組合せにより、専用ペーパー上の位置座標が決定される。図4(a)に例示するように、縦横2mmの範囲内に36個のドットが格子状に配置され、これらのドットにより示されるデータの配列(図4(b))が、その専用ペーパー上の位置座標と対応付けされている。よって、電子ペン10のカメラ16が図4(a)に示すようなドットパターンを撮影すると、プロセッサ11はカメラ16から入力されるドットパターンのデータに基づいて図4(b)に示すデータ配列を取得し、それに対応する専用ペーパー上の位置座標(即ち、そのドットパターンがその専用ペーパー上のどの位置にあるのか)をリアルタイムで算出する。なお、ドットパターンを認識する最小単位は2mm×2mmであり、カメラ16は毎秒100回程度の撮影を行う。
次に、専用ペーパーについて説明する。専用ペーパーの構造の一例を図5に示す。図示のように、専用ペーパー20は、台紙30上にドットパターン32が印刷され、その上に罫線などの図案34が印刷されている。台紙30は通常は紙であり、ドットパターン32は前述のようにカーボンを含んだ専用インキにより印刷される。また、通常のインキなどにより図案34が印刷される。ドットパターンと図案とは同時に印刷してもよいし、いずれかを先に印刷してもよい。
図案34の例を図6に示す。図6は、ある申込書36の例であり、複数の記入欄38や送信ボックス39が印刷されている。図6には明確に図示されておらず、詳細は後述するが、実際にはドットパターンが申込書36の全面に印刷されており、その上に記入欄38や送信ボックス39が通常のインキにより印刷されている。利用者は、ドットパターンを意識することなく、従来からある申込書と同様に、電子ペン10を使用して必要事項を申込書36の各記入欄38に記入すればよい。
専用ペーパー20上のエリアは大きく2種類のエリアに分けることができる。1つは記入エリアであり、電子ペン10による記述内容をそのまま情報として取り扱うエリアである。図6の例では複数の記入欄38がこれに該当する。もう1つは機能エレメントであり、対応するエリア内を電子ペン10でチェックした際に、予めそのエリアに対して定義されているアクション、指示などを実行するようになっている。図6の例における送信ボックス39がこれに該当する。
送信ボックス39は前述したように電子ペン10内に記憶されているデータを近傍の端末装置25へ送信するための指示を行う際に使用される。利用者が送信ボックス39内に電子ペン10でチェックを入れると、電子ペン10が送信ボックス内のドットパターンを読み取る。当該パターンは送信指示に対応付けられており、電子ペン10内のプロセッサ11はデータ通信ユニット13にメモリ12内の記憶データの送信命令を発する。
ドットパターンの割り当ては、通常、アプリケーション(用紙の種類)毎に行われる。即ち、ある申込書内のドットパターンは1枚の用紙の中で重複することはないが、同一の申込書には全て同じドットパターンが印刷されている。よって、利用者が電子ペン10で必要事項を入力すると、その入力事項がその申込書のどの項目に対するものであるかを、申込書上の座標データから特定することができる。
このように、ドットパターンを印刷した専用ペーパー上に所定の図案を印刷することにより、専用ペーパーを利用した各種申込書が作成できる。利用者は電子ペン10を使用して通常の要領で必要事項を記入すれば、その電子データが自動的に取得される。
上記の例では、ドットパターンは専用ペーパー上にカーボンを含むインキにより印刷されているが、プリンタ及びカーボンを含むインクを使用してドットパターンを通常の紙上にプリントすることも可能である。さらに、専用ペーパー上の図案も印刷ではなく、プリンタにより形成することも可能である。ドットパターンをプリンタにより紙上に形成する場合には、1枚1枚に異なるドットパターンを形成することが可能である。よって、形成されたドットパターンの違いにより、それらの用紙1枚1枚を識別し、区別することが可能となる。
なお、本明細書においては、「印刷」の語は、通常の印刷のみならず、プリンタによるプリントも含む概念とする。
次に、電子ペンにより取得したデータの送信処理について図2を参照して説明する。電子ペン10が取得したデータは、主として利用者が入力した事項のデータであるが、通常はそのデータの送信先であるサービスサーバがどこであるかの情報は含まれていない。その代わりに、その専用ペーパーに関するアプリケーションやサービスを特定する情報が専用ペーパー上のドットパターンに含まれており、利用者の入力作業中に専用ペーパーからその情報が取得されている。よって、電子ペン10から記入情報を受け取った端末装置25は、まず、問い合わせサーバ26に対して、その専用ペーパーに対して入力されたデータをどのサービスサーバ27へ送信すべきかの問い合わせを行う。問い合わせサーバ26は、専用ペーパー毎に、対応するサービスサーバの情報を有しており、端末装置25からの問い合わせに応じて、当該専用ペーパーに関するサービスなどを行うサービスサーバ27の情報(URLなど)を端末装置25へ回答する。それから、端末装置25は、電子ペンから取得した記入情報をそのサービスサーバ27へ送信することになる。ここで、記入情報は、ストロークデータのみならず、上述の時間情報及びプロパティ情報も含むこととしてもよい。
なお、上記の例では端末装置25、問い合わせサーバ26及びサービスサーバ27が別個に構成されているが、これらの幾つか又は全てを1つの装置として構成することも可能である。本実施形態において、後述するサーバは、問い合わせサーバ26及びサービスサーバ27を兼ねているものとする。
[申込処理システム]
次に、本実施形態における申込処理システムについて説明する。図7に申込処理システム100の概略構成を示す。図7に示す申込処理システム100は、申込書とカードが一体化された専用ペーパーであって、ID情報を有するカード申込書3を作成し、利用することで、利用者がカード申込書への記入を行った後、迅速に正式なカードを発行することができるものである。本発明において、カードは、所定の会員カード、ポイントカード、予約カード等種々のものを適用することができる。なお、本実施形態において、利用者はカード発行会社から発行されたカードの会員になるものとし、利用者のことを「会員」とも呼ぶ。
図7に示すように、申込処理システム100は、端末装置25及びサーバ5がネットワーク2を通じて接続されることにより構成される。ここで、ネットワーク2の1つの好適な例はインターネットである。
端末装置25とは、カード申込書3に記入された記入情報を、電子ペン10から受信し、サーバ5へ送信する端末である。具体的に、端末装置25は、ネットワーク2を介したデータの授受が可能なPC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯電話等である。
サーバ5は、申込書とカードが一体化された紙媒体にドットパターンを印刷することでカード申込書3を作成するものである。また、サーバ5は、端末装置25を介して電子ペン10から受信した記入情報に基づいて、会員登録を行うものである。なお、サーバ5は、パターンデータベース(以下、「DB」と呼ぶ。)6及び会員DB7に接続されている。
まず、図8(a)を参照し、本システムにおいてカード申込書3が作成される方法の概要を述べておく。図8(a)は、記入前のカード申込書3の例である。図8(a)に示すように、カード申込書3は、カードの申込に必要な情報を記入する申込情報部60と、会員に渡すカード自体であるカード部61とから構成されている。ここで、破線で囲まれたカード部61は、カード申込書3から型抜き又は剥離することが可能となっている。
なお、カード申込書3を構成する申込情報部60及びカード部61のそれぞれには会員IDが印刷されている。ここで、会員IDとは、カード申込書3、換言すると、カード申込書3から取り外されるカードを識別する情報である。本実施形態では、各会員に1枚のカードを発行することとしているため、カードを識別する情報を「会員ID」とする。
具体的に、サーバ5は、カード申込書3の作成要求を取得すると、所定の紙媒体全体に、申込情報部60及びカード部61と、ドットパターンとを印刷することで、カード申込書3をプリントオンデマンド出力する。このとき、サーバ5は、作成するカード申込書3にID情報を持たせるため、各紙媒体にそれぞれ異なるドットパターンを印刷する。換言すると、各紙媒体にそれぞれ異なるドットパターンアドレスを割り当てて出力することで、カード申込書3を作成する。
なお、本実施形態では、所定の紙媒体に申込情報部60及びカード部61と、ドットパターンとを同時に印刷することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、予め所定の紙媒体に申込情報部60及びカード部61が印刷されており、その上にドットパターンを印刷することとしてもよい。
サーバ5は、カード申込書3に印刷されたドットパターンの位置座標と、会員IDとを対応付けてパターンDB6に記憶している。ここで、サーバ5は、所定の紙媒体にドットパターンを印刷する前に予め位置座標と会員IDとを対応付けて記憶しておくこととしてもよいし、所定の紙媒体にドットパターンを印刷した後に当該ドットパターンの位置座標と会員IDとを対応付けて記憶することとしてもよい。
このように、カード申込書3には1枚1枚異なるドットパターンが印刷されているため、サーバ5は、電子ペン10から取得する記入情報に含まれる位置座標に基づいてパターンDB6を参照することで、容易に記入が行われたカード申込書3に対応する会員IDを特定することができる。また、サーバ5は、会員IDに基づいて、カード申込書3に記入された記入情報と、カード申込書3から取り外されたカードとを紐付けることができる。
なお、サーバ5は、カード申込書3を作成する際に、当該カード申込書3に印刷されたドットパターンに対応する会員IDを、図8(a)に示すように申込情報部60及びカード部61のそれぞれに印刷する。このとき、予めパターンDB6にドットパターンの位置座標と会員IDが記憶されていれば、サーバ5は、パターンDB6を参照することで印刷したドットパターンに対応する会員IDを特定し、当該会員IDを申込情報部60及びカード部61のそれぞれに印刷する。一方、予めパターンDB6にドットパターンの位置座標と会員IDが記憶されていなければ、サーバ5は、カード申込書3を作成する際に会員IDを発行して申込情報部60及びカード部61のそれぞれに印刷し、発行した会員IDと当該カード申込書3に印刷したドットパターンの位置座標とを対応付けてパターンDB6に記憶する。
次に、図8及び図9を参照し、本システムにおいて、カード申込書3に記入された情報が処理される方法の概要を述べておく。図8(b)は、記入後のカード申込書3の例である。また、図9は、カード申込書3から取り外したカードの例である。
カードを作成するために会員は、まず、電子ペン10を使用して図8(a)に示すようなカード申込書3に必要な情報を記入する。図示のように、カード申込書は、申込情報部60及びカード部61から構成されている。さらに、申込情報部60は、会員の氏名が記入される氏名項目50、住所が記入される住所項目51、電話番号が記入される電話番号項目52及び送信ボックス(以下、「送信項目」とも呼ぶ。)39を有している。送信項目39は、電子ペン10が記入情報をサーバ5へ送信するトリガであり、上述の説明と同様であるため、便宜上説明は省略する。
具体的に、会員は、電子ペン10を使用して申込情報部60の氏名項目50、住所項目51及び電話番号項目52に記入を行う。このとき、電子ペン10は、カード申込書3の申込情報部60に記入された内容に対応するストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に一時的に記憶した後、送信項目39にチェックマークが記入されたタイミングで、当該ストロークデータを端末装置25へ送信する。端末装置25は、電子ペン10からストロークデータを受信し、ネットワーク2を通じてサーバ5へ送信する。このようにして、サーバ5は、ストロークデータを、利用者がカード申込書3の申込情報部60に対して記入した情報を示す記入情報として取得する。
そして、サーバ5は、記入情報に含まれるドットパターン上の位置座標に基づいて、パターンDB6を参照することにより、会員が記入を行ったカード申込書3に対応する会員IDを特定する。なお、パターンDB6は、会員ID毎に、カード申込書3が有する各項目と、各項目が設定されたドットパターン上の位置座標とを対応付けて記憶している。よって、サーバ5は、パターンDB6を参照し、記入情報から各項目に記入された項目記入情報を抽出する。さらに、サーバ5は、各項目記入情報に基づいてOCR(Optical Character Reader)等により、会員が記入した氏名、住所及び電話番号を特定する。即ち、サーバ5は、氏名、住所、電話番号といったカードの申込に必要な申込情報を特定する。そして、サーバ5は、特定した会員IDをキーとして、特定した申込情報を会員DB7に記憶することで会員登録を行う。会員登録が完了すると、カード発行会社のスタッフは、カード申込書3のカード部61から、図9に示すようなカードを取り外し、会員に渡す。このとき会員に渡されるカードは、既に会員登録が完了しているため、仮カードではなく正式なカードである。このように、申込書とカードが一体化されたカード申込書3を使用することにより、会員は、カード申込書3への記入を行った後、迅速に正式なカードを取得することができる。また、会員は、カード申込書3の署名項目55に通常のペンで署名を行うことで、即座に取得したカードを使用することができる。このとき、署名項目55には電子ペン10ではなく通常のペンで記入が行われるため、署名項目55にはドットパターンが印刷されていなくてもよい。
なお、本実施形態では、記入情報から特定した申込情報を会員DB7に記憶することで会員登録を完了することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、申込情報に基づいて所定の処理を行い、当該処理に問題がない場合のみ会員登録を完了することとしてもよい。
また、本実施形態では、会員登録が完了すると、会員は、カード申込書3から取り外したカードを取得することとしている。このとき、会員は、カードとともにカード申込書3自体を控えとして取得することとしてもよい。サーバ5は、電子ペン10から取得した記入情報により、カード申込書3に記入された情報を全て会員DB7に記憶し、管理しているからである。このように、カード申込書3自体を控えとして会員に返却し、カード発行会社に残さないことで、個人情報の漏洩を防止することができる。
また、図8に示すように、カード申込書3を構成するカード部61は、チェック項目53を有しているが、このチェック項目53についての詳細は後述する。
[カード申込書]
次に、カード申込書3について説明する。カード申込書3は、図8(a)に示すように、氏名項目50、住所項目51、電話項目52及び送信項目39を有する申込情報部60と、チェック項目53及び署名項目55とを有するカード部51とから構成されている。
本実施形態のシステムでは、図8(a)に示すようなカード申込書3は、上述のように専用ペーパーとして作成されている。即ち、図5に例示するように台紙30上にそれぞれ異なるドットパターン32が印刷されており、さらに所定の罫線などの図案が印刷されている。先に述べたように、ドットパターン32は電子ペン10が認識することができるように、カーボンを含んだインキにより印刷されている。一方、罫線などの図案34は、通常の(カーボンを含まない)インキにより印刷されているため、電子ペン10がそれを認識することはない。
このように、各カード申込書3には1枚1枚異なるドットパターン32が印刷されており、カード申込書3は複数の項目から構成されている。そのため、サーバ5は、会員IDと、各項目と、ドットパターン32上の位置座標とを対応付けたパターンDB6に基づいて、容易に記入情報から会員IDや申込情報を特定することが可能となる。
また、従来、会員カードやポイントカードとして使用されるプラスチックカードやPETカードは、別工程で作製したカードにドットパターンやバーコード等の識別情報を印字し、それをドットパターンがプリントされた電子ペン用申込用紙にマッチング処理をしながら貼付することで製造されていた。しかし、本実施形態によれば、取り外すことでカードとなるカード部51が部分加工されたカード申込書3に、カード部51ごと識別情報を有するドットパターンをプリントして当該カード申込書3を作成するため、従来のようなマッチング処理が不要となるメリットがある。
[チェック項目]
次に、チェック項目53について説明する。チェック項目53は、図8に示すように、カード申込書3のカード部61に含まれており、当該カード申込書3に印刷されたドットパターンに対応する会員IDにリンクする形で設けられている。そのため、他の電子ペン用帳票を利用した各種処理業務において、各会員が保有する図9に示すようなカードのチェック項目53にチェックマークを記入してから、当該他の電子ペン用帳票に記入を行うと、当該他の電子ペン用帳票への記入情報に会員IDを付与することができる。
具体的に、サーバ5は、他の電子ペン用帳票への記入情報に含まれる位置座標に基づいて、パターンDB6を参照し、会員IDを特定する。つまり、記入情報には、他の電子ペン用帳票への記入内容と、図9に示すカードのチェック項目53への記入内容とが含まれているため、チェック項目53への項目記入情報に含まれる位置座標に基づいてパターンDB6を参照することで、会員IDを特定することができる。
例えば、カードが歯科医院の予約カードである場合、歯科医院のスタッフは、会員(患者)から取得した予約カードのチェック項目53にチェックマークを記入した後、予約指定用の電子ペン用帳票に予約日時を記入する。この場合、サーバ5は、記入情報に含まれる会員IDに基づいて、予約者を特定することができる。よって、サーバ5は、記入情報に基づいて、どの会員が何時に次の予約を行ったかを認識し、記憶・管理することができる。
これによれば、チェック項目53にチェックマークを記入することで、他の電子ペン用帳票に対する記入情報に会員を識別するID情報を付与することができる。よって、他の電子ペン用帳票を利用して各種処理業務を行う場合に、図9に示すようなカードを利用することで、会員IDに基づいて複数の記入情報を混同することなく適切に処理することが可能となる。
なお、本実施形態では、各種処理業務を行う際に他の電子ペン用帳票を利用することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、当該処理業務に必要な情報を所定の端末に入力することとしてもよい。
[サーバ]
次に、サーバ5について詳しく説明する。図10は、申込処理システム100における、特にサーバ5の内部構成を示す。図示のように、サーバ5は、申込処理プログラム101、申込書作成機能102、記入情報取得機能103、会員ID特定機能104、項目記入情報抽出機能105、申込情報特定機能106及び会員DB記憶機能107から構成されている。
なお、各機能は、サーバ5が有するCPUが予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
また、本実施形態では、予め会員IDとドットパターンの位置座標がパターンDB6に記憶されているものとする。
申込処理プログラム101は、1枚1枚異なるドットパターンが印刷されたカード申込書3を作成するプログラムである。また、申込処理プログラム101は、カード申込書3に記入された情報に基づいて申込情報を特定し、会員登録を行うプログラムである。
申込書作成機能102は、ドットパターン抽出機能、ドットパターン印刷機能及び会員ID印刷機能を有している。ドットパターン抽出機能は、カード申込書作成要求を取得すると、パターンDB6から、まだ他のカード申込書3に印刷されていないドットパターンを抽出する機能である。ここで、パターンDB6について、図11を参照して説明する。図11は、パターンDB6のデータ構造を模式的に示す図である。パターンDB6は、図示のように、会員ID、項目ID、項目名及び座標データから構成されている。会員IDは、各カード申込書3、即ち各カード申込書3から取り外されるカードを識別する情報である。項目IDは、カード申込書3を構成する各項目を識別するための情報である。具体的に図8(a)に示すカード申込書3上の氏名項目50及び住所項目51には、それぞれ項目ID「K01」及び「K02」が割り当てられている。項目名は、項目IDが示す項目の名称である。座標データは、各項目のドットパターン上の位置座標を示す情報である。このように、パターンDB6は、会員ID及び項目IDをキーとして、各項目の名称と、カード申込書3上における各項目のドットパターン上の位置座標とを記憶している。
申込書作成機能102が有するドットパターン印刷機能は、ドットパターン抽出機能がパターンDB6から抽出したドットパターンを所定の紙媒体に印刷することで、図8(a)に示すようなカード申込書3を作成する機能である。また、会員ID印刷機能は、ドットパターン抽出機能が抽出したドットパターンに対応する会員IDを、カード申込書3の申込情報部60及びカード部61のそれぞれに印刷する機能である。
記入情報取得機能103は、申込処理プログラム101を実行することにより、会員が電子ペン10を使用してカード申込書3に記入した記入情報を取得する機能である。
会員ID特定機能104は、記入情報取得機能103が取得した記入情報に含まれる位置座標に基づいてパターンDB6を参照し、会員が記入したカード申込書3の会員IDを特定する機能である。
項目記入情報抽出機能105は、記入情報取得機能103が取得した記入情報から、パターンDB6に基づいて、各項目に記入された項目記入情報を抽出する機能である。
申込情報特定機能106は、項目記入情報抽出機能105が抽出した項目記入情報に基づいて、OCR等により、申込に必要な申込情報を特定する機能である。具体的に、申込情報特定機能106は、氏名項目50に記入された項目記入情報に基づいて、OCR等により、会員の氏名を特定する。また、申込情報特定機能106は、住所項目51に記入された項目記入情報に基づいて、OCR等により、会員の住所を特定する。また、申込情報特定機能106は、電話番号項目52に記入された項目記入情報に基づいて、OCR等により、会員の電話番号を特定する。本実施形態では、このように特定した会員の氏名、住所及び電話番号等を申込に必要な申込情報としている。
会員DB記憶機能107は、申込情報特定機能106が特定した申込情報を、会員ID特定機能104が特定した会員IDをキーとして会員DB7に記憶することで、会員登録を行う機能である。ここで、会員DB7について図12を参照して説明する。図12は、会員DB7のデータ構造を模式的に示す図である。会員DB7は、図示のように、会員ID、氏名、住所及び電話番号から構成されている。このように、会員DB7は、会員ID特定機能104が特定した会員IDをキーとして、申込情報特定機能106が特定した会員の氏名、住所及び電話番号を申込情報として記憶している。なお、会員DB記憶機能107は、申込情報特定機能106が特定した申込情報に基づいて所定の処理を行い、当該処理に問題がない場合のみ会員登録を行うこととしてもよい。
[申込処理]
次に、申込処理システム100により実行される申込処理について説明する。図13は、申込処理のフローチャートである。
まず、サーバ5は、カード申込書作成要求を取得すると、パターンDB6から、まだ他のカード申込書3に印刷されていないドットパターン及び当該ドットパターンに対応する会員IDを抽出し、所定の紙媒体に印刷することでカード申込書3を作成する(ステップS1)。
一方、会員は、カードを作成したいと考えた場合、電子ペン10を使用して、サーバ5が作成したカード申込書3に記入を行う。このとき、電子ペン10は、カード申込書3に記入された内容に対応するストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に一時的に記憶した後、送信項目39にチェックマークが記入されたタイミングで、当該ストロークデータを端末装置25へ送信する。端末装置25は、電子ペン10からストロークデータを受信し、ネットワーク2を通じてサーバ5へ送信する。このようにして、サーバ5は、ストロークデータを、会員がカード申込書3に記入した情報を示す記入情報として取得する(ステップS2)。
そして、サーバ5は、パターンDB6を参照することにより、記入情報に含まれるストロークデータの位置座標に基づいて会員IDを特定する(ステップS3)。また、サーバ5は、パターンDB6を参照することにより、記入情報から各項目に記入された項目記入情報を抽出する(ステップS4)。さらに、サーバ5は、項目記入情報に基づいて、カードの申込に必要な申込情報を特定する(ステップS5)。そして、サーバ5は、ステップS3において特定した会員IDをキーとして、特定した申込情報を会員DB7に記憶することで、会員登録を行う(ステップS6)。これにより、申込処理は完了する。
申込処理が完了し、会員登録が確認されると、カード発行会社のスタッフは、会員が記入したカード申込書3からカードを取り外し、その場で会員に渡す。つまり、会員は、カード申込書3に記入を行ったその日のうちに正式なカードを取得することができる。また、会員登録が確認されると、カード発行会社のスタッフは、会員が記入したカード申込書3自体を控えとして会員に返却する。これによれば、カード発行会社に紙媒体であるカード申込書3が残らないため、個人情報の漏洩を防止することができる。
このように、本実施形態によれば、カード申込書3の一部を型抜き又は剥離可能なカードとすることで、カード即時発行型データ入力機能付申込書を提供することが可能となる。これによれば、各カード申込書3にそれぞれ異なるドットパターンが印刷されているため、会員が電子ペン10により記入した情報に基づいて即時登録を行うことが可能となる。即ち、サーバ5は、電子ペン10からデジタルデータとして記入情報を取得するため、従来のように紙媒体に記入された情報をデジタルデータに変換する必要がない。よって、デジタルデータへの変換という手間を省略することができ、人件費を節約することができる。さらに、店頭でカードを即時発行することができる。また、カード発行会社は、申込書とカードをセットした状態で保管・管理することが可能となる。
また、本実施形態によれば、カード申込書3に記入された申込情報と、カード申込書3から取り外して会員に渡されたカードとを会員IDに基づいてリンクさせることができる。具体的には、他の電子ペン用帳票に電子ペン10で記入を行う際、同時にカードのチェック項目53をチェックすることで、当該他の電子ペン用帳票への記入情報に会員IDを付与することができる。つまり、各カードにそれぞれ異なるドットパターンが印刷されているため、当該カードにチェックマークを記入することで、他の電子ペン用帳票に対する記入情報に、ドットパターン上の位置座標に基づくID情報を付与することができる。また、会員IDをキーとして、他の電子ペン用帳票への記入情報と、会員DB7に記憶された申込情報とを組み合わせて所定の処理を行うこともできる。
なお、本実施形態では、原則としてカード申込書3の全体にドットパターンが印刷されることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各項目の部分にのみドットパターンが印刷されていることとしてもよい。
[第1変形例]
上記の実施形態では、カード取得後に会員が通常のペンで署名項目55に署名を行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、カード取得前に会員が電子ペン10で署名項目55に署名を行うこととしてもよい。この場合、会員は、申込情報部60への記入と併せて、カード部61の署名項目55に署名を行う。そのため、サーバ5は、記入情報として、署名項目55に記入された署名の情報を取得することができる。具体的に、サーバ5は、署名項目55に記入された署名のイメージデータを取得し、記憶・管理することができる。このように、署名のイメージデータを記憶・管理しておき、会員が別の帳票等に記入した署名と、記憶・管理している署名のイメージデータとをマッチングすることで、サーバ5は、容易に会員の本人確認を行うことが可能となる。よって、カードの不正使用等を防止することが可能となる。また、本人が申し込んだことの証明となり、成りすまし防止の効果がある。
なお、署名項目55に電子ペン10を使用して署名を記入する場合には、署名項目55にドットパターンが印刷されている必要がある。
[第2変形例]
上記の実施形態では、利用者が取得するカードがチェック項目53及び署名項目55のみを有することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図14(a)に示すように、カード申込書3のカード部がチェック項目53、署名項目55及び予約項目70を有することとしてもよい。これによれば、サーバ5は、カード申込書3から取り外される、図14(b)に示すようなカード80の予約項目70に電子ペン10を使用して記入を行うことで、種々の処理を行うことができる。
具体的に、図14(b)に示すカード80の予約項目70に記入された情報に基づく予約処理について説明する。なお、第2変形例においてカード80は、歯科医院の予約カードとし、上記の実施形態と同様に図14(a)に示すようなカード申込書3から取り外したものとする。また、予約した際に歯科医院のスタッフは、カード80に次回の予約の日付及び時間を記入するものとする。
カード80は、図14(b)に示すように、チェック項目53、署名項目55、予約項目70及び送信項目39を有している。ここで、チェック項目53、署名項目55及び送信項目39については、上述の実施形態と同様であるため説明を省略する。予約項目70は、図示のとおり、日付及び時間から構成されている。
会員は、歯科医院の予約を行う場合、自身が保有するカード80を歯科医院のスタッフに渡す。すると、歯科医院のスタッフは、電子ペン10を使用して図14(b)に示すように、カード80の予約項目70に、次回の予約の日付及び時間を記入する。このとき、電子ペン10は、カード80に記入された内容に対応するストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に一時的に記憶した後、送信項目39にチェックマークが記入されたタイミングで、当該ストロークデータを端末装置25へ送信する。端末装置25は、電子ペン10からストロークデータを受信し、ネットワーク2を通じてサーバ5へ送信する。このようにして、サーバ5は、ストロークデータを、スタッフがカード80の予約項目70に対して記入した情報を示す記入情報として取得する。
そして、サーバ5は、記入情報に含まれるドットパターン上の位置座標に基づいて、パターンDB6を参照することで会員IDを特定する。また、サーバ5は、記入情報に基づいて、OCR等により次回の予約の日付及び時間を特定する。即ち、次回の予約の日付や時間といった予約情報を特定する。さらに、サーバ5は、記入情報に含まれる時間情報により、カード80へ記入が行われた日時を予約が行われた予約日時として特定する。そして、サーバ5は、特定した会員IDをキーとして、特定した予約日時及び予約情報を図15に示すような予約DBに記憶する。図15は、予約DBのデータ構造を模式的に示す図である。図示のような予約DBに、会員IDをキーとして、予約日時と、次回の予約の日付及び時間とを記憶することで、サーバ5は、会員の予約状況を容易に管理することができる。
このように、本実施形態によれば、カード80に1枚1枚異なるドットパターンが印刷されているため、当該カード80に記入された記入情報にはID情報が含まれている。よって
め、スタッフが特に意識することなく、電子ペン10を使用してカード80に次回の予約の日付及び時間を記入することで、サーバ5は、容易に予約情報を電子データとして取得し、会員IDに対応付けて記憶・管理することができる。また、記入情報には、ストロークデータを記入した日時が時間情報として含まれているため、サーバ5は、当該時間情報に基づいて予約を行った予約日時を特定することが可能である。よって、サーバ5は、予約日時も併せて予約DBに記憶して管理することができる。
なお、第2変形例では、カード80に記入された情報に基づいて予約情報を特定し、管理する処理を行っている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、カード80を利用する行為に関するものであれば、種々の情報を特定し、管理することができる。つまり、カード80に記入する情報及び記入情報に基づく処理は任意に設定することが可能である。