JP4770298B2 - プリフォーム用基材、プリフォーム、およびこれらを用いた繊維強化複合材料構造物 - Google Patents

プリフォーム用基材、プリフォーム、およびこれらを用いた繊維強化複合材料構造物 Download PDF

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本発明は、飛行機等、特に大型の繊維強化複合材料構造物を製造するにあたって好適に用いることができるプリフォーム用基材に関する。
繊維強化複合材は強化繊維とマトリクス樹脂で構成されているが、その製造方法には様々なものがある。一般的には強化繊維をシート状に並べたもの(取り扱いしやすいように布帛に加工したものも含む)にマトリクス樹脂を含浸させてシート状プリプレグとし、これを所望の形状に賦型して製造するプリプレグ法や、樹脂未含浸の強化繊維を扱いやすいように布帛状に加工し、この強化繊維布帛を所望の形状に賦型してから、これに低粘度マトリクス樹脂を含浸させて製造するRTM法などがある。
これらの方法は、いずれもシート状プリプレグあるいは強化繊維布帛の強化繊維シートを所望の形状に積層および賦型する工程が必要で有り、例えば平面様の賦型体を成形するためには、強化繊維シートを積み重ねて積層体とし、これを所望の平面様に賦型する。このようにしてできる賦型体を本発明ではプリフォームと呼び、該プリフォームを構成する前駆体をプリフォーム用基材と呼ぶ。
ところで、近年、繊維強化複合材料はその用途が様々な分野に拡がり、それに伴い必要とされる部材のサイズも増大化してきた。例えば、近年その繊維強化複合材料の適用範囲を急激にひろげつつある大型航空機についていえば、主翼スキン外板材のような大型の平面構造材は幅が5〜7m、長さが20m〜30mにもおよぶ。一方、上述の強化繊維シートは、その製造装置あるいは取り扱い性の限界から現在は幅1m程度までの長手方向に連続したシートのロール体で供給されるものが主流である。このような幅の限定された強化繊維シートを使って大型の賦型体を作製する場合、長手方向に必要なサイズに切断したシートを幅方向につなぎ合わせる必要がでてくる。このようなシートを幅方向につなぎ合わせる場合、一般的には、なるべく隙間無く突き合わせる、あるいは若干のオーバーラップをさせる方法が取られる場合が多い。
しかし、シート材料が、強化繊維を長手方向のみの一方向に配列させた一方向材であっても、このようなつなぎ合わせ部においては繊維の局所的配向乱れや厚み変化などによる影響を受け、成形後の力学特性が少なからず変化してしまう。ましてや強化繊維が長手方向に対して角度を持って配向している場合は、端部において強化繊維が切断されているので、つなぎ合わせ部における強化繊維の連続性が無く、つなぎ合わせ部の成形後の力学特性は著しく低下する。
したがって、このようなつなぎ合わせ部が構造体の一部に集中してその部分の力学特性が著しく低下することを防ぐために、厚み方向につなぎ合わせ部が一致することを極力避ける必要がある。
そこで、このようにつなぎ合わせ部の位置が厚み方向に重ならない様に積層するために、強化繊維シートを一層毎にその位置や方向を変えながら順次積層していく方法が考えられる。しかしながら、つなぎ合わせ部をずらすために強化繊維シートを一層毎にその位置や方向を変えながら積層するのでは、大面積で分厚い部材を成形する場合にはその手間が膨大になってしまう。
そこで、予め複数枚の強化繊維シートを必要な厚み分積層してプリフォーム基材を形成しておき、それを用いてプリフォームを形成する方法が提案されている(例えば特許文献1)。しかしながら、そのようなプリフォーム基材を用いる場合であっても、現実的には、例えば幅5m以上もあるような大型の構造体を成形するためには複数個のプリフォーム基材を幅方向につなぎ合わせる必要があり、その場合、プリフォーム基材を構成している強化繊維シートの端辺が厚み方向に揃っているのでつなぎ合わせ部が構造体の一部に集中することになり、その結果、その構造体の力学特性が極端に低下する。
そして、上述のように特別大きな部材でない場合であっても、飛行機の翼の外板など複雑な三次元形状を有する構造体では一枚物の強化繊維シートを積層賦型した場合にシートの変形能力を超えてしまいシワが発生することがある。このような場合は形状に応じてシートを分割して積層する事が有効な対策となる場合があり、これを実施した場合にも上述の問題が発生する。
特開2004-160927号公報
本発明は、上記の課題に鑑み、物性の優れた繊維強化複合材料構造物を生産性良く製造するためのプリフォーム用基材、プリフォーム、およびこれらを用いた繊維強化複合材料構造物を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、次の(1)〜()を特徴とするものである。
(1)複数枚の強化繊維シートが積層されるとともに該強化繊維シート間が接合されたプリフォーム用基材であって、面方向に組み合わせることで前記プリフォーム用基材より大面積のプリフォームを作製するためのものであり、隣接する強化繊維シートは、少なくとも一組の端辺が積層方向と交差する方向に互いに離間し、かつ、平行になるように積層されているとともに、前記隣接する強化繊維シートが、下記(式1)を満たす離間距離Sで互いに離間していることを特徴とするプリフォーム用基材。
S≦(L−12A)/(N−1) (式1)
但し、N:積層数(≧3)
L:離間方向における強化繊維シートの長さ
A:隣接する強化繊維シートの厚みのうち薄くない方の厚み
)ロール体を形成していることを特徴とする、上記(1)に記載のプリフォーム用基材。
)前記複数枚の強化繊維シートが平行四辺形であることを特徴とする、上記(1)に記載のプリフォーム用基材。
)前記複数枚の強化繊維シートが互いに同一形状であることを特徴とする、上記(1)〜()のいずれかに記載のプリフォーム用基材。
)前記強化繊維シートが一方向織物であることを特徴とする、上記(1)〜()のいずれかに記載のプリフォーム用基材。
)前記強化繊維シート間は熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂で接合されていることを特徴とする、上記(1)〜()のいずれかに記載のプリフォーム用基材。
)複数枚の上記(1)〜()のいずれかに記載のプリフォーム用基材を、端辺が互いに対向するように平面方向に配置したことを特徴とするプリフォーム。
)複数枚の上記(1)〜()のいずれかに記載のプリフォーム用基材を平面方向に配置するとともに、一方のプリフォーム用基材の各強化繊維シートを他方のプリフォーム用基材の各強化繊維シートとそれぞれ重なり合うように、かつ、各層の重なり合う距離が前記端辺の離間距離以下となるように配置したことを特徴とするプリフォーム。
)上記()または()に記載のプリフォームを使用して成形した繊維強化複合材料構造物。
本発明は、複数枚の強化繊維シートを積層するとともに該強化繊維シート間を接合したプリフォーム用基材において、隣接する強化繊維シートを、少なくとも一組の端辺が積層方向と交差する方向に互いに離間し、かつ、平行になるように積層することで、最終的に製造される構造体の一部の力学特性が著しく低くなることを防ぐことができる。そして、上記プリフォーム用基材をつなぎ合わせることにより、いくらでも大きな面板のプリフォームを形成することができ、その手間は、強化繊維シートを1層ずつつなぎ合わせながら積層する際の手間に比べて何分の1かに抑えることができる。
本発明のプリフォーム用基材は、例えば図1、図2に示すように、複数枚の強化繊維シート3、4、5、6が積層されるとともに接合されてなるものである。図1は、4枚の強化繊維シート3、4、5、6からなる本発明のプリフォーム用基材を積層方向に分解した図であって、各強化繊維シート3、4、5、6は、強化繊維が一方向に引き揃えられて形成されている。そして、隣接する強化繊維シートの少なくとも一組の端辺が、積層方向と交差する方向に互いに離間し、かつ、平行になっていることを示している。図2は、図1の通りに積層された強化繊維シート3、4、5、6を加熱、加圧することでシート表面の熱可塑樹脂の粒子を一時的に融解し隣り合う強化繊維シートを接合、一体化したプリフォーム用基材25の図である。
ここで、たとえば強化繊維シート3、4をみると、少なくとも一組の端辺7、8が積層方向と交差する方向(強化繊維シートの面方向)に互いに平行を保ちつつ離間するように配置されており、その離間距離が12Tである。また、強化繊維シート3、4のほか強化繊維シート5、6も、端辺9、10が同方向に互いに平行を保ちつつ離間するように配置されており、その離間距離は強化繊維シート3の端辺7からみてそれぞれ24T、36Tである。さらに、本実施形態においては、端辺7〜10だけではなく、端辺11〜14、端辺15〜18、端辺19〜22もそれぞれ互いに平行を保ちつつ離間しており、その離間距離は強化繊維シート3の端辺11、15、19からみてそれぞれ12T、24T、36Tである。
本発明においては、このようにプリフォーム用基材を構成する複数枚の強化繊維シート3,4,5、6の少なくとも一組の対応する端辺(たとえば7、8、9、10)が互いに平行にずれていることにより、プリフォーム用基材同士を互いにかみ合うように組み合わせたとき、つなぎ合わせ部が局所的に集中することを防ぐことができ、その結果、これを用いて成形される繊維強化複合材料構造物の力学特性の低下も最小限に抑えることができる。
そして、本実施形態では、4枚の強化繊維シート3〜6が全て同じ大きさの平行四辺形であり、各強化繊維シート3〜6は各辺がそれぞれ平行を保ちつつ隣接する強化繊維シートの対応する辺と同じ距離ずつ強化繊維シートの面方向にずれるように積層されている。
大型の繊維強化複合材料構造物を生産性良く製造するためには、プリフォーム用基材も工業的に効率よく製造出来る必要があり、そのためには、一つのプリフォームを構成する複数枚のプリフォーム用基材においても、互いに強化繊維シートの材質、厚み、繊維配向、形状、および基準となるシートに対するずれの方向、離間距離が同じであることが好ましい。そして、同一形状のプリフォーム用基材で一つのプリフォームを構成する場合、各プリフォーム用基材の形状は同じ形状でかつ方向を変えることなく平面を隙間無く埋め尽くすことが出来る形状、たとえば平行四辺形や正六角形が好ましいが、基材の製造しやすさとプリフォームを製造するときの作業性を考えると平行四辺形とすることが特に好ましい。このような理由から、本実施形態においても、一つのプリフォーム用基材を構成する複数枚の強化繊維シートをそれぞれ平行四辺形としている。
なお、一つのプリフォーム用基材を構成する強化繊維シートの積層枚数は必要に応じて増減すればよいし、強化繊維シートの形状も平行四辺形に限られるものではなく、たとえば長手方向に連続した形状のものであってもよい。したがって、隣接する強化繊維シートの全ての端辺が互いに平行を保ちつつ離間している必要はなく、また、積層される強化繊維シートの寸法が揃っている必要もない。
長手方向に連続した強化繊維シートから本発明のプリフォーム用基材を準備する場合には、そのプリフォーム用基材をロール体とすればよい。この場合は、たとえば図8に示すように、強化繊維シート43、44、45、46の長手方向に平行な辺のみを互いに平行を保ちつつ離間するようにすればよい。

そして、たとえば大型の繊維強化複合材料構造物を製造するためには上述のプリフォーム用基材を複数枚用い、これらをつなぎ合わせることで一つのプリフォームを形成するが、つなぎ合わせ部が一部に集中することを防ぐためには、強化繊維シートの離間距離を次のように調整することも好ましい。すなわち、プリフォーム用基材を構成する強化繊維シートの厚みが均一である場合は、隣接する端辺が互いに強化繊維シートの厚みの12倍以上の距離で離間するように、強化繊維シートを配置することが好ましい。一方、プリフォーム用基材を構成する強化繊維シートが互いに異なる厚みA,B(A>B)を有している場合は、厚い強化繊維シートの厚みAの12倍以上の距離で離間するように、強化繊維シートを配置することが好ましい。このように構成することで、複数枚のプリフォーム用基材を強化繊維シートが互いに噛み合うように組み合わせたとき、つなぎ合わせ部が局所的に集中する事が避けられ、また、つなぎ合わせ部は隣接する強化繊維シートにより補強されるので、強度特性などが極端に低下することを防ぐことができる。
そして、つなぎ合わせ部の集中を避けること及び隣接する強化繊維シートによる補強効果の点から考えると、強化繊維シートの離間距離は大きいほど好ましいが、離間距離がずらす方向(離間方向)における強化繊維シート幅の長さの1/2以上であると、隣接する強化繊維シートの別の端辺が近くなるので、結局つなぎ合わせ部が集中し強度特性が低下し、また一体化したプリフォーム用基材の取り扱い性も極端に悪化する。したがって、強化繊維シートの離間距離は、離間する方向における強化繊維シートの長さの1/2未満、さらには離間方向における強化繊維シートの長さの1/2から強化繊維シートの厚みの12倍を引いた値以下とすることが好ましい。
なお、離間距離が、離間方向における強化繊維シートの長さのちょうど1/2である場合は、シートを3層以上積層した場合に積層方向に端辺の位置が一致してしまうため、つなぎ合わせ部の集中という点で好ましくない。
また、隣接する強化繊維シートの厚みが互いに異なる厚みA,B(A>B)を有する場合は、離間方向における強化繊維シートの長さの1/2から厚い強化繊維シートの厚みAの12倍を引いた値以下とすることが好ましい。
強化繊維シートの離間距離についてさらに詳しくは次の通りとなる。
すなわち、強化繊維シートの厚みがT、積層数がN(3以上)であるプリフォーム用基材において、離間方向における強化繊維シートの長さをLとし、各層における離間距離Sが該プリフォーム用基材内で同一とした場合、S=L/(N−1)とするとプリフォーム用基材の最外層にある強化繊維シートの端辺の位置が一致してしまう。これを避けるためには各層における離間距離SはS≦(L−12T)/(N−1)とするのが必要である。なお、隣接する強化繊維シートの厚みが互いに異なる厚みA,B(A>B)を有する場合はS≦(L−12A)/(N−1)とするのが必要である

また、同一プリフォーム用基材内における強化繊維シートの離間方向および離間距離は、プリフォーム用基材の製造のしやすさ、規格化のしやすさおよびプリフォーム用基材同士をつなぎ合わせる時の作業性の良さから、同一方向へ等量であることが好ましい。
そして、本実施形態においては、強化繊維シートを構成する繊維がそのシート内において一方向に引き揃えられて配向している。配向方向は、一つのプリフォーム用基材を構成する複数枚の強化繊維シート間で互いに同一であってもよいが、この実施形態では図面中下に配置されている強化繊維シート6から強化繊維シート3に向かって順に0°/+45°/−45°/90°の角度で配向している。このように、面内異方性のある強化繊維シートを用いる場合は、強化繊維シートを疑似等方に積層することで強度特性等を面方向に均等にできるので好ましい。また、基材の形態保持の面からは繊維の配向方向が0°方向に加えて+α°方向と−α°方向となるようにすることも好ましい。さらに、強化繊維シートの繊維配向が0°/90°/0°や、−45°/45°/0°/−45°/45°といったように積層方向における層中心の回りに点対称となるように積層することも、基材の表裏を反転させても積層構成が変わらないので好ましい。一方、配向方向を一つのプリフォーム用基材を構成する複数枚の強化繊維シート間で互いに同一とする場合は、製造のしやすさ、収率の面から強化繊維シートの長手方向と強化繊維の0°方向が一致するようにすることが好ましい。
強化繊維シートを構成する強化繊維としては、比強度、比弾性率が高いことからカーボンファイバーをもちいることが好ましいが、ガラス繊維、ナイロン、ポリエステル、ポリアラミド等の有機繊維を用いることもできる。
強化繊維シートとしては、樹脂未含浸の強化繊維シートや、樹脂を予め含浸させたプリプレグであっても良い。また、上述したように面内異方性をもつ強化繊維織物などの強化繊維シートや、面内等方性をもつフェルト等からなる強化繊維シートであっても良いが、強化繊維の物性を有効に活用するために一方向性の強化繊維シートを用いることが好ましい。
各強化繊維シートの厚みについては、特に限定しないが、取り扱い性を考慮して0.01mmから5mmであることが望ましく、目付は同じ理由で10g/m2から5000g/m2であることが望ましい。
なお、一つのプリフォーム用基材内の強化繊維シートの種類や厚みについては設計や製作、規格化が容易であるという点から同一であることが望ましいが、必要とされる特性に応じて必ずしも同一である必要はない。
そして、強化繊維シートの表面には、接合手段として熱可塑性樹脂の粒子を散布付着している。強化繊維シートを該熱可塑性樹脂の軟化点付近以上に加熱するとともに加圧することで、各強化繊維シート間を接合、一体化させる。粒子の付着は各シートの片面であっても良いし、両面であっても良い。
接合手段としての樹脂は、熱可塑性樹脂に限らず熱硬化性樹脂、またはそれらの混合物を用いることが出来る。プリフォーム用基材のハンドリングのためだけの接着性が要求される場合においては、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂をそれぞれ単独で用いても良いし、衝撃付与後の圧縮強度(Compression After Impact)などの耐衝撃性が要求される場合においては、靱性の優れた熱可塑性樹脂と低粘度化しやすく強化繊維基材への接着が容易な熱硬化性樹脂との混合物を用いることが好ましい。このような混合物は、適度の靱性を有しながら強化繊維シートへの適度な接着性を有する。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などである。熱可塑性樹脂としては、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリアセターアル、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエチエレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、酪酸セルロースなどである。これらの樹脂はフィルム状、メッシュ状、粒子状、いずれの形態でも良いが、繊維強化シートが樹脂未含浸の場合は成型時の樹脂含浸のしやすさや均一性を考えると粒子状が好ましい
なお、接合手段としては樹脂を用いることのほかにスティッチングやニードリング等の物理的手段を用いることも可能である。
次に、図1の要領で積層して図2のように形成したプリフォーム用基材を複数枚組み合わせてプリフォームを作成する方法について、図3を参照しながら説明する。図3は、図2の通りに一体化した全く同じの二つのプリフォーム用基材25及び25’を、面方向に組み合わせるとともに全体を再び加熱加圧して一体化したプリフォーム31である。プリフォーム用基材25 、25’は上述したとおりの構成であり、これらプリフォーム用基材25、25’を、面方向に隣接する強化繊維シートの繊維配向方向が同じになるように、かつ、階段状に積層されている強化繊維シートの端辺がかみ合うように配置し、加熱、加圧することにより25と25’を一体化する。なお、プリフォーム31としては、プリフォーム用基材25、25’を一体化することは必ずしも必要ではなく、配置した状態を保ったまま次の工程に供することが出来ればよい。
ここで、強化繊維の不連続性による強度低下を最小限にとどめるためには、階段状の端辺同士を全て隙間無く突き合わせることが好ましいが、全ての層においてそれぞれの端辺同士が同時に全く隙間無く接合されることは、シートの切断精度、積層位置の精度から困難である。一方、現実的には、隣り合う層の連続繊維による補強効果が期待できる。したがって、本発明においては多少の隙間があっても許容される。
また、図4に示すように、ある一定量の重ね合わせを行うことも好ましい。重ね合わせを行うことによって不連続な繊維が互いに補強しあうため強度低下を最小限にとどめることが出来る。なお、図4は図3におけるプリフォーム31のX-Y断面図である。重ね合わせる量Dについては、より多いほどつなぎ合わせ部を互いに補強するため好ましいが、あまり多く取りすぎて強化繊維シートの端辺の離間距離(この例では12T)を超えた場合には、本来つなぎ合わされる強化繊維シートの端辺が隣の層のつなぎ合わせ部にまで及び、接合部の厚みが著しく厚くなったりして本来の設計性能への影響を及ぼす可能性がある。そのため、強化繊維シートの端辺の離間距離を超えないことが望ましい。
このように一体化されるプリフォーム31は、図5〜図7に示すように、所望する繊維強化複合材料構造物の寸法に応じて必要なだけつなげればよい。すなわち、図5は、図3に示したプリフォーム31をさらに強化繊維シートの長手方向に接合したプリフォーム51であるが、このプリフォーム51を複数枚用意し、図6に示すように強化繊維シートの長手方向に交差する方向にさらに接合し、より大面積の面状構造物のプリフォーム61を作製すればよい。
このとき、プリフォーム用基材同士の接合位置が強化繊維シートの長手方向に交差する方向において一致するとその部分の物性が他の部分よりも低くなってしまうため、接合位置は出来るだけ一致しないことが望ましい。したがって、図7に示すようにプリフォーム51、51’を単位として強化繊維シートの長手方向に互いにさらにずらすことが好ましい。この場合は、プリフォーム25を構成する強化繊維シートの長手方向の長さβの1/4〜3/4の範囲でずらすことが好ましい
なお、これらプリフォームは必ずしも平面状のプリフォームである必要はなく、曲面状の型の上に沿わせながら組み合わせることによって曲面状のプリフォームを作製することができる。
また、これらプリフォームは、プリフォーム用基材を厚み方向、すなわち強化繊維シートの積層方向にさらに積層して形成する事も出来るが、この場合もプリフォーム用基材の積層方向に強化繊維シートの接合位置が一致すると、その部分の物性が局所的に低くなるため、接合位置は出来るだけ一致しないことが望ましい。このためには積層方向に接合位置を平行にずらすことが好ましい。
以上のようにプリフォーム用基材を組み合わせて所望する繊維強化複合材料構造物の最終的な寸法よりも大きいプリフォームを作製し、賦型し、最後に階段状になっている端部を切断して最終形状に整えれば、所望する繊維強化複合材料構造物を得ることができる。なお、予めプリフォーム用基材同士を組み合わせた最終形状を想定して、必要なプリフォーム用基材については端部の一部を予め切断処理し、これらを想定通りに組み合わせることによってプリフォームを形成してもよい。
このようにして本発明のプリフォーム用基材を用いれば、物性の優れた繊維強化複合材料構造物(例えば飛行機の翼の外板など大型で複雑な三次元形状を有する構造体)を生産性良く製造することができる。
本発明の一実施形態に係るプリフォーム用基材の分解図である。 本発明の一実施形態に係るプリフォーム用基材の上面図である。 本発明の一実施形態に係るプリフォームの上面図である。 図3におけるX-Y断面図である。 本発明の一実施形態に係るプリフォームの上面図である。 本発明の一実施形態に係るプリフォームの上面図である。 本発明の一実施形態に係るプリフォームの上面図である。 本発明の一実施形態に係るプリフォーム用基材の斜視図である。
符号の説明
3、3’: 強化繊維シート
4、4’: 強化繊維シート
5、5’: 強化繊維シート
6、6’: 強化繊維シート
7、7’: 強化繊維シート3、3’の端辺
8、8’: 強化繊維シート4、4’の端辺
9、9’: 強化繊維シート5、5’の端辺
10、10’: 強化繊維シート6、6’の端辺
11、11’: 強化繊維シート3、3’の端辺
12、12’: 強化繊維シート4、4’の端辺
13、13’: 強化繊維シート5、5’の端辺
14、14’: 強化繊維シート6、6’の端辺
15 : 強化繊維シート3の端辺7と対向する端辺
16 : 強化繊維シート4の端辺8と対向する端辺
17 : 強化繊維シート5の端辺9と対向する端辺
18 : 強化繊維シート6の端辺10と対向する端辺
19 : 強化繊維シート3の端辺15と対向する端辺
20 : 強化繊維シート4の端辺16と対向する端辺
21 : 強化繊維シート5の端辺17と対向する端辺
22 : 強化繊維シート6の端辺18と対向する端辺
25、25’:プリフォーム用基材
31 :プリフォーム
43 :強化繊維シート
44 :強化繊維シート
45 :強化繊維シート
46 :強化繊維シート
51、51’:プリフォーム
61 :プリフォーム
71 :プリフォーム

Claims (9)

  1. 複数枚の強化繊維シートが積層されるとともに該強化繊維シート間が接合されたプリフォーム用基材であって、面方向に組み合わせることで前記プリフォーム用基材より大面積のプリフォームを作製するためのものであり、隣接する強化繊維シートは、少なくとも一組の端辺が積層方向と交差する方向に互いに離間し、かつ、平行になるように積層されているとともに、前記隣接する強化繊維シートが、下記(式1)を満たす離間距離Sで互いに離間していることを特徴とするプリフォーム用基材。
    S≦(L−12A)/(N−1) (式1)
    但し、N:積層数(≧3)
    L:離間方向における強化繊維シートの長さ
    A:隣接する強化繊維シートの厚みのうち薄くない方の厚み
  2. ロール体を形成していることを特徴とする、請求項1に記載のプリフォーム用基材。
  3. 前記複数枚の強化繊維シートが平行四辺形であることを特徴とする、請求項1に記載のプリフォーム用基材。
  4. 前記複数枚の強化繊維シートが互いに同一形状であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のプリフォーム用基材。
  5. 前記強化繊維シートが一方向織物であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のプリフォーム用基材。
  6. 前記強化繊維シート間は熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂で接合されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のプリフォーム用基材。
  7. 複数枚の請求項1〜のいずれかに記載のプリフォーム用基材を、端辺が互いに対向するように平面方向に配置したことを特徴とするプリフォーム。
  8. 複数枚の請求項1〜のいずれかに記載のプリフォーム用基材を平面方向に配置するとともに、一方のプリフォーム用基材の各強化繊維シートを他方のプリフォーム用基材の各強化繊維シートとそれぞれ重なり合うように、かつ、各層の重なり合う距離が前記端辺の離間距離以下となるように配置したことを特徴とするプリフォーム。
  9. 請求項またはに記載のプリフォームを使用して成形した繊維強化複合材料構造物。
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