JP4769995B2 - 正極活物質の製造方法及び非水電解質電池の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムを可逆的にドープ/脱ドープ可能な正極活物質の製造方法、及びこの正極活物質を用いた非水電解質電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子技術の進歩により、電子機器の高性能化、小型化、ポータブル化が進んでいる。これら電子機器に使用される電池に対しても、高エネルギー密度化が要求されていることから、非水電解質電池の研究・開発が盛んに進められている。中でも、リチウム電池若しくはリチウムイオン二次電池は、従来の電池に比べて、3V、4Vといった高い起電力を有する等の優れた性能のため、カムコーダ、携帯電話、及びノート型パソコン等の各種携帯用電子機器に採用されている。
【0003】
現在、リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、高エネルギー密度、高電圧を有すること等から、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等が用いられている。しかし、これらの正極活物質は、クラーク数の低い金属元素をその組成中に有しているため、コストが高くつく他、安定供給が難しいという問題がある。また、これらの正極活物質は、環境に与える影響も大きいことから、これらに代わる新規正極活物質が求められている。
【0004】
これに対し、オリビン構造を有するLiFePO4を、リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いることが提案されている。LiFePO4は、体積密度が3.6g/cm3と大きく、3.4Vの高電位を発生し、理論容量も170mAh/gと大きい。また、LiFePO4は、初期状態で、電気化学的に脱ドープ可能なLiを、Fe原子1個当たりに1個含んでいるので、リチウムイオン電池の正極活物質として有望な材料である。しかもLiFePO4は、資源的に豊富で安価な材料である鉄をその組成中に有しているため、上述のLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等と比較して低コストであり、また、環境に与える影響も小さい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで従来、炭酸リチウム、リン酸二アンモニウム及び酢酸鉄(II)を合成出発原料として、焼成し、下記の反応によってLiFePO4を得ていた。
【0006】
反応式:Li2CO3+2Fe(CH3COO)2+2NH4H2PO4
→2LiFePO4+CO2+H2O+2NH3+4CH3COOH
そして、上記の反応式から明らかなように、焼成時に有毒なアンモニアや酢酸等の副生成物が発生し、これら副生成物を処理するための大規模な集気装置等の設備が必要となり、製造コスト上昇の原因となっていた。また、これらの副生成物が大量に発生するため、LiFePO4の収率を低下させてしまっていた。
【0007】
そこで本発明はこのような従来の実状に鑑みて提案されたものであり、焼成工程において有毒な副生成物を発生することなく、LiFePO4を高収率で得ることができる正極活物質の製造方法及び非水電解質電池の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明にかかる正極活物質の製造方法は、LixFePO4(ただし、0<x≦1である。)なる組成で表される正極活物質を製造するに際し、Li3PO4と、Fe3(PO4)2又はその水和物であるFe3(PO4)2・nH2O(ただし、nは水和数である。)とを混合して前駆体とする混合工程と、上記混合工程で得られた前駆体を500℃〜600℃の範囲で焼成する焼成工程とを有することを特徴とする。
【0009】
以上のような正極活物質の製造方法では、焼成工程にて、目的物質であるLiFePO4の他には、副生成物が発生しないか、又は、副生成物として無毒の水のみが発生する。また、この正極活物質を用いた電池は、高い電池特性を得ることができる。
【0010】
また、上述の目的を達成するために、本発明にかかる非水電解質電池の製造方法は、LixFePO4(ただし、0<x≦1である。)なる組成で表される正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、非水電解質とを備える非水電解質電池の製造方法において、上記LixFePO4を合成するに際し、Li3PO4と、Fe3(PO4)2又はその水和物であるFe3(PO4)2・nH2O(ただし、nは水和数である。)とを混合して前駆体とする混合工程と、上記混合工程で得られた前駆体を500℃〜600℃の範囲で焼成する焼成工程とを有することを特徴とする。
【0011】
以上のような非水電解質電池の製造方法では、正極活物質を製造する焼成工程にて、目的物質であるLiFePO4の他には、副生成物が発生しないか、又は、副生成物として無毒の水のみが発生する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
本発明を適用して製造される非水電解液電池の一構成例を図1に示す。この非水電解液電池1は、負極2と、負極2を収容する負極缶3と、正極4と、正極4を収容する正極缶5と、正極4と負極2との間に配されたセパレータ6と、絶縁ガスケット7とを備え、負極缶3及び正極缶5内に非水電解液が充填されてなる。
【0014】
負極2は、負極活物質となる例えば金属リチウム箔からなる。また、負極活物質として、リチウムをドープ、脱ドープ可能な材料を用いる場合には、負極2は、負極集電体上に、上記負極活物質を含有する負極活物質層が形成されてなる。負極集電体としては、例えばニッケル箔等が用いられる。
【0015】
リチウムをドープ、脱ドープ可能な負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金、リチウムがドープされた導電性高分子、層状化合物(炭素材料や金属酸化物など)が用いられている。
【0016】
負極活物質層に含有される結合剤としては、この種の非水電解液電池の負極活物質層の結合剤として通常用いられている公知の樹脂材料等を用いることができる。
【0017】
負極缶3は、負極2を収容するものであり、また、非水電解液電池1の外部負極となる。
【0018】
正極4は、正極集電体上に、正極活物質を含有する正極活物質層が形成されてなる。この非水電解液電池1では、正極活物質として、後述する方法により製造される、オリビン構造を有するLiFePO4を用いる。また、正極集電体としては、例えばアルミニウム箔等が用いられる。
【0019】
正極活物質層に含有される結合剤としては、この種の非水電解液電池の正極活物質層の結合剤として通常用いられている公知の樹脂材料等を用いることができる。
【0020】
正極缶5は、正極4を収容するものであり、また、非水電解液電池1の外部正極となる。
【0021】
セパレータ6は、正極4と、負極2とを離間させるものであり、この種の非水電解液電池のセパレータとして通常用いられている公知の材料を用いることができ、例えばポリプロピレンなどの高分子フィルムが用いられる。また、リチウムイオン伝導度とエネルギー密度との関係から、セパレータの厚みはできるだけ薄いことが必要である。具体的には、セパレータの厚みは例えば50μm以下が適当である。
【0022】
絶縁ガスケット7は、負極缶3に組み込まれ一体化されている。この絶縁ガスケット7は、負極缶3及び正極缶5内に充填された非水電解液の漏出を防止するためのものである。
【0023】
非水電解液としては、非プロトン性非水溶媒に電解質を溶解させた溶液が用いられる。
【0024】
非水溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル1,3−ジオキソラン、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等を使用することができる。特に、電圧安定性の点からは、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート類を使用することが好ましい。また、このような非水溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0025】
また、非水溶媒に溶解させる電解質としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2等のリチウム塩を使用することができる。これらのリチウム塩の中でも、LiPF6、LiBF4を使用することが好ましい。
【0026】
つぎに、上述したような非水電解液電池1の製造方法について説明する。
【0027】
まず、正極活物質として用いられる、オリビン構造を有するLiFePO4を合成する。
【0028】
本実施の形態において、LiFePO4を合成するには、まず、合成原料として、リン酸リチウム(Li3PO4)と、リン酸鉄(II)(Fe3(PO4)2)又はその水和物(Fe3(PO4)2・nH2O(ただし、nは水和数である。))とを、所定比で混合して合成前駆体とする。ここで、合成原料の混合は十分に行う必要がある。合成原料を十分に混合することで、各原料が均一に混ざり合い、接触点が増えるため、引き続く焼成工程における合成反応を速やかに進行することが可能になる。
【0029】
次に、この合成前駆体を窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中又は水素や一酸化炭素等の還元性ガス雰囲気で焼成することにより、オリビン構造を有するリチウム鉄リン酸化物(LiFePO4)が合成される。この焼成工程におけるLiFePO4の合成反応は、以下のような反応式で表される。
【0030】
反応式:Li3PO4+Fe3(PO4)2・nH2O(ただし、nは水和数であり、無水物のときn=0である。)→3LiFePO4+nH2O
従来、LiFePO4を合成する際には、有毒なアンモニアや酢酸等の副生成物が発生し、これら副生成物を処理するための大規模な集気装置等の設備が必要であった。
【0031】
本発明においては、上記反応式から明らかなように、リン酸鉄(II)の無水物であるFe3(PO4)2を用いた場合には、副生成物が発生しない。また、リン酸鉄(II)の水和物であるFe3(PO4)2・nH2Oを用いた場合には、副生成物として無毒の水のみが発生する。
【0032】
すなわち、目的物質であるLiFePO4の他には、有毒な副生成物を発生しないため、従来のLiFePO4の製造方法に比べて、焼成工程における安全性が著しく向上する。また、副生成物として水が発生したとしても、水そのものは無毒であるため、処理工程を大幅に簡略化でき、従来の副生成物の処理のために必要であった大規模な処理設備を縮小できる。したがって、従来の副生成物であるアンモニア等を処理する際に比べて、製造コストを大幅に削減することができる。
【0033】
また、上記反応式から明らかなように、副生成物の発生が少量であるため、LiFePO4の収率を大幅に向上させることができる。
【0034】
ここで、上記焼成を行う際の焼成温度は、500℃〜700℃の範囲であることが好ましい。焼成工程を上述の範囲内の温度で行うことで、従来の製造方法で得られたLiFePO4に比べて、放電容量及び充放電サイクル特性を向上させることができる。焼成温度が500℃未満であると、化学反応及び結晶化が十分に進まず、均一なLiFePO4を得られない虞がある。一方、焼成温度が700℃を上回ると、LiFePO4の粒子が大きくなり、十分な放電容量及び充放電サイクル特性を得られない虞がある。
【0035】
そして、以上のようにして得られたLiFePO4を正極活物質として用いた非水電解液電池1は、例えばつぎのようにして製造される。
【0036】
負極2としては、まず、負極活物質と結着剤とを溶媒中に分散させてスラリーの負極合剤を調製する。次に、得られた負極合剤を集電体上に均一に塗布、乾燥して負極活物質層を形成することにより負極2が作製される。上記負極合剤の結着剤としては、公知の結着剤を用いることができるほか、上記負極合剤に公知の添加剤等を添加することができる。また、負極活物質となる金属リチウムをそのまま負極2として用いることもできる。
【0037】
正極4としては、まず、正極活物質となるLiFePO4と結着剤とを溶媒中に分散させてスラリーの正極合剤を調製する。次に、得られた正極合剤を集電体上に均一に塗布、乾燥して正極活物質層を形成することにより正極4が作製される。上記正極合剤の結着剤としては、公知の結着剤を用いることができるほか、上記正極合剤に公知の添加剤等を添加することができる。
【0038】
非水電解液は、電解質塩を非水溶媒中に溶解することにより調製される。
【0039】
そして、負極2を負極缶3に収容し、正極4を正極缶5に収容し、負極2と正極4との間に、ポリプロピレン製多孔質膜等からなるセパレータ6を配する。負極缶3及び正極缶5内に非水電解液を注入し、絶縁ガスケット7を介して負極缶3と正極缶5とをかしめて固定することにより、非水電解液電池1が完成する。
【0040】
上述したような非水電解液電池1の製造方法では、Li3PO4と、Fe3(PO4)2又はその水和物であるFe3(PO4)2・nH2Oとを混合して焼成するため、有毒な副生成物を発生することなく、LiFePO4が得られる。このため、LiFePO4の収率が向上するとともに、従来の有毒な副生成物を処理するために必要であった製造コストを大幅に削減することができる。そして、このLiFePO4を正極活物質として用いて作製された非水電解液電池1は、リチウムのドープ・脱ドープが良好に行われて、高い放電容量を有し、かつ、充放電サイクル特性にも優れたものとなる。
【0041】
上述したような本実施の形態に係る非水電解液電池1は、円筒型、角型、コイン型、ボタン型等、その形状については特に限定されることはなく、また、薄型、大型等の種々の大きさにすることができる。
【0042】
なお、上述した実施の形態では、非水電解質電池として、非水電解液を用いた非水電解液電池1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、非水電解質として、固体電解質や、膨潤溶媒を含有するゲル状の固体電解質を用いた場合にも適用可能である。また、本発明は、一次電池についても二次電池についても適用可能である。
【0043】
【実施例】
本発明の効果を調べるべく、LiFePO4を合成し、得られたLiFePO4を正極活物質として用いて電池を作製し、その特性を評価した。
【0044】
〈実施例1〉
まず、LiFePO4を合成した。
【0045】
LiFePO4を合成するには、まず、リン酸リチウム(Li3PO4)とリン酸鉄(II)・八水和物(Fe3(PO4)2・8H2O)とを、リチウムと鉄との元素比率が1:1となるように乳鉢で30分間混合して反応前駆体とした。
【0046】
次に、この反応前駆体を、セラミックるつぼに入れ、窒素雰囲気中の電気炉にて400℃で5時間焼成後、粉砕混合することによりLiFePO4を得た。
【0047】
そして、上述のようにして得られたLiFePO4を正極活物質として用いて電池を作製した。
【0048】
まず、正極活物質として乾燥したLiFePO4を80重量部と、導電剤としてアセチレンブラックを15重量部と、バインダーとしてフッ素樹脂粉末を5重量部とを混合した後、加圧成形してペレット状の正極とした。
【0049】
また、リチウム金属箔を正極と略同形に打ち抜くことにより負極とした。
【0050】
また、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとの等容量混合溶媒に、LiPF6を1mol/lの濃度で溶解させることにより非水電解液を調製した。
【0051】
以上のようにして得られた正極を正極缶に収容し、負極を負極缶に収容し、正極と負極との間にセパレータを配した。正極缶及び負極缶内に非水電解液を注入し、正極缶と負極缶とをかしめて固定することにより、2025型のコイン型テストセルを作製した。
【0052】
〈実施例2〉
反応前駆体の焼成温度を500℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてLiFePO4を合成し、得られたLiFePO4を正極活物質として用いて、テストセルを作製した。
【0053】
〈実施例3〉
反応前駆体の焼成温度を600℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてLiFePO4を合成し、得られたLiFePO4を正極活物質として用いて、テストセルを作製した。
【0054】
〈実施例4〉
反応前駆体の焼成温度を700℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてLiFePO4を合成し、得られたLiFePO4を正極活物質として用いて、テストセルを作製した。
【0055】
〈実施例5〉
反応前駆体の焼成温度を800℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてLiFePO4を合成し、得られたLiFePO4を正極活物質として用いて、テストセルを作製した。
【0056】
〈実施例6〉
反応前駆体の焼成温度を600℃としたことと、負極として黒鉛系負極を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてテストセルを作製した。なお、黒鉛系負極は、負極活物質として黒鉛粉末を90重量部と、バインダーとしてフッ素樹脂粉末を10重量部とを、溶媒としてN−メチルピロリドン中に均一に混合してスラリー状にしたものを準備し、銅箔に塗布、加熱乾燥及び加圧工程を経た後、正極と略同型に打ち抜くことにより作製した。
【0057】
〈比較例〉
まず、酢酸鉄(II)(Fe(CH3COO)2)とリン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)と炭酸リチウム(Li2CO3)とを、モル比が2:2:1になるようにして混合し、反応前駆体とした。
【0058】
次に、この反応前駆体に対して、窒素雰囲気下、300℃で12時間の仮焼きを行った後、窒素雰囲気下、反応前駆体を600℃で24時間加熱することによりLiFePO4を得た。
【0059】
そして、上述のようにして得られたLiFePO4を正極活物質として用いて、実施例1と同様にしてテストセルを作製した。
【0060】
以上のようにして作製されたテストセルについて、充放電試験を行った。
【0061】
各テストセルに対して定電流充電を行い、電池電圧が4.2Vになった時点で、定電流充電から定電圧充電に切り替えて、電圧を4.2Vに保ったまま充電を行った。そして、電流が0.01mA/cm2以下になった時点で充電を終了させた。その後、放電を行い、電池電圧が2.0Vまで低下した時点で放電を終了させた。なお、充電時、放電時ともに常温(25℃)で行い、このときの電流密度は0.1mA/cm2とした。なお、放電容量維持率は、比較例の第1回サイクル目の放電容量を100%として表した。
【0062】
まず、実施例1〜実施例5及び比較例の、30サイクル目の充放電サイクル特性、電池評価、毒性副生成物の有無及びLiFePO4の収率を、表1に示す。なお、表1中、電池評価は、30サイクル目の放電容量維持率が95%以上であったものを○とし、95%未満であったものを×として表した。
【0063】
【表1】
【0064】
表1より、本発明を適用した実施例1〜実施例5は、焼成工程において有毒な副生成物を発生しなかったが、比較例は副生成物として有毒なアンモニアを発生した。このことから、LiFePO4の合成原料としてLi3PO4とFe3(PO4)2・8H2Oとを用いることで、焼成工程において有毒な副生成物を発生することなく、安全にLiFePO4を得られることがわかった。
【0065】
また、充放電サイクル特性に基づく電池評価より、焼成温度は、500℃〜700℃であることが好ましいとわかった。焼成温度が500℃未満である実施例1は、充放電サイクル特性が著しく劣っていた。これは、LiFePO4の化学反応及び結晶化が十分に進まないためと考えられる。一方、実施例5は、焼成温度が800℃と高すぎたため、逆に充放電サイクル特性の劣化を引き起こした。
【0066】
また、LiFePO4の合成原料としてLi3PO4とFe3(PO4)2・8H2Oとを用いた実施例1〜実施例5は、高収率でLiFePO4を得られることがわかった。
【0067】
つぎに、負極として金属リチウム負極を用いた実施例3及び比較例の20サイクル目までの充放電サイクル特性を、図2に示す。図2より、Li3PO4とFe3(PO4)2・8H2Oとを焼成して得たLiFePO4を正極活物質として用いた実施例3は、従来の製造方法で得たLiFePO4を正極活物質として用いた比較例に比べて、放電容量が4%〜5%程度向上しており、優れた特性を示すことがわかった。
【0068】
負極として黒鉛系負極を用いた実施例6及び比較例の20サイクル目までの充放電サイクル特性を、図3に示す。図3より、実施例6も、比較例に比べて放電容量が4%〜5%程度向上しており、優れた特性を示すことがわかった。
【0069】
したがって、負極の材料によらず、Li3PO4とFe3(PO4)2・8H2Oとを焼成して得たLiFePO4を正極活物質として用いることで、テストセルは優れた特性を示すことがわかった。
【0070】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明の正極活物質の製造方法では、Li3PO4と、Fe3(PO4)2又はその水和物であるFe3(PO4)2・nH2Oとを混合して焼成することによって、有毒な副生成物を発生することなく、高収率でLiFePO4を得ることができる。
【0071】
したがって、上述のようにして得られたLiFePO4を正極活物質として用いることで、リチウムのドープ・脱ドープが良好に行われて高い放電容量を有し、且つ充放電サイクル特性にも優れた非水電解質電池を低コストにて作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水電解質電池の一構成例を示す断面図である。
【図2】実施例3及び比較例で作製されたテストセルの充放電サイクル特性を示す図である。
【図3】実施例6及び比較例で作製されたテストセルの充放電サイクル特性を示す図である。
【符号の説明】
1 非水電解質電池、 2 負極、 3 負極缶、 4 正極、 5 正極缶、6 セパレータ、 7 絶縁ガスケット
Claims (2)
- LixFePO4(ただし、0<x≦1である。)なる組成で表される正極活物質を製造するに際し、
Li3PO4と、Fe3(PO4)2又はその水和物であるFe3(PO4)2・nH2O(ただし、nは水和数である。)とを混合して前駆体とする混合工程と、
上記混合工程で得られた前駆体を500℃〜600℃の範囲で焼成する焼成工程と
を有する
正極活物質の製造方法。 - LixFePO4(ただし、0<x≦1である。)なる組成で表される正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、非水電解質とを備える非水電解質電池の製造方法において、
上記LixFePO4を合成するに際し、Li3PO4と、Fe3(PO4)2又はその水和物であるFe3(PO4)2・nH2O(ただし、nは水和数である。)とを混合して前駆体とする混合工程と、
上記混合工程で得られた前駆体を500℃〜600℃の範囲で焼成する焼成工程と
を有する
非水電解質電池の製造方法。
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