以下、本発明を実施するための最良の形態の一例として、本発明に係る作業車の作業条件表示構造を耕耘作業用の作業車に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には耕耘作業用の作業車の全体側面を示してある。この耕耘作業用の作業車は、走行車体の一例であるトラクタ1の後部に、リンク機構2を介して作業装置3の一例であるロータリ耕耘装置3を昇降可能かつローリング可能に連結して構成してある。なお、図示は省略するが、この耕耘作業用の作業車は、例えば、トラクタ1の後部にロータリ耕耘装置3に代えて代掻き装置を連結することにより代掻き作業用に仕様変更することができる。また、トラクタ1の後部にロータリ耕耘装置3に代えて薬剤散布装置を連結することにより薬剤散布用に仕様変更することができる。
トラクタ1の前部には、水冷式のエンジン4やラジエータ5などを搭載し、かつ、左右一対の前輪6などを配備してある。トラクタ1の後部には、左右一対の後輪7や後部フレーム兼用のトランスミッションケース(以下、T/Mケースと略称する)8などを配備し、かつ、搭乗運転部9を形成してある。
図1および図2に示すように、搭乗運転部9の前部には、エンジン回転数などの情報を表示する表示パネル10や前輪操舵用のステアリングホイール11などを配備し、搭乗運転部9の後部には運転座席12などを配備してある。
図3に示すように、エンジン4からの動力は、主クラッチ13などを介してT/Mケース8の内部に伝達し、T/Mケース8の内部において走行用と作業用とに分ける。走行用の動力は、主変速装置14および副変速装置15により変速し、その変速後の動力を前輪駆動用と後輪駆動用とに分ける。前輪駆動用の動力は、前輪用の伝動切換装置16を介して前輪動力取出軸17から取り出すことが可能であり、前輪動力取出軸17からは前輪用の差動装置18などを介して左右の前輪6に伝達する。後輪駆動用の動力は、後輪用の差動装置19などを介して左右の後輪7に伝達する。作業用の動力は、作業用の変速装置20を介して作業動力取出軸21から取り出すことが可能であり、作業動力取出軸21からは軸伝動式の外部伝動機構22を介してロータリ耕耘装置3に伝達する。
図1〜5に示すように、主クラッチ13は、搭乗運転部9の左足元部に配備した主クラッチペダル23の踏み込み操作で、エンジン4からの動力をT/Mケース8の内部に伝達する入り状態から、その伝動を遮断する切り状態に切り換わり、主クラッチペダル23の踏み込み解除に伴って切り状態から入り状態に切り換わる。
主変速装置14は、エンジン4からの動力を4段に変速する油圧操作式の第1変速機構24、第1変速機構24による変速後の動力を断続する油圧式の補助クラッチ25、補助クラッチ25からの動力を正転動力と逆転動力とに切り換える前後進切換機構26、前後進切換機構26からの正転動力を高低2段に変速する油圧操作式の第2変速機構27、および、第2変速機構27による変速後の正転動力または前後進切換機構26からの逆転動力を高低2段に変速する油圧操作式の第3変速機構28、などにより構成してある。そして、ステアリングホイール11の左下方に配備した中立復帰型の前後進切換レバー29の操作と、運転座席12の左方に位置保持可能に配備した主変速レバー30の操作に基づく油圧制御により、前後進の切り換えと前進12段の変速作動と後進8段の変速作動とを行うように、前後進切換レバー29と主変速レバー30とに油圧制御系を介して操作連係してある。
副変速装置15は、主変速装置14による変速後の動力を油圧制御によって3段に変速する油圧操作式に構成してある。そして、その油圧制御が、主変速レバー29の後方に位置保持可能に配備した副変速レバー31の操作に基づいて行われるように、副変速レバー31に油圧制御系を介して操作連係してある。
伝動切換装置16は、副変速装置15から左右の前輪6への伝動を断続する等速クラッチ32と増速クラッチ33、左右の前輪6の周速が左右の後輪7の周速と同じになるように等速クラッチ32からの動力を変速するギヤ式の等速伝動機構34、および、左右の前輪6の周速が左右の後輪7の周速の約2倍になるように増速クラッチ33からの動力を変速するギヤ式の増速伝動機構35、などにより構成してある。等速クラッチ32および増速クラッチ33には多板型の油圧クラッチを採用してある。これにより、伝動切換装置16は、油圧制御によって等速クラッチ32と増速クラッチ33の双方を切り状態に切り換えると、左右の前輪6への伝動を遮断して左右の前輪6を従動させる前輪従動状態に切り換わる。また、油圧制御によって等速クラッチ32のみを入り状態に切り換えると、左右の前輪6を左右の後輪7と同じ周速で駆動する前輪駆動状態に切り換わる。逆に、油圧制御によって増速クラッチ33のみを入り状態に切り換えると、左右の前輪6を左右の後輪7の約2倍の周速で駆動する前輪増速状態に切り換わる。
作業用の変速装置20は、油圧制御により、エンジン4からの動力を遮断する中立状態、最低速である1速の正転動力に変速する第1変速状態、2速の正転動力に変速する第2変速状態、3速の正転動力に変速する第3変速状態、最高速である4速の正転動力に変速する第4変速状態、および、逆転動力に切り換える逆転伝動状態のいずれかに切り換わる油圧操作式に構成してある。そして、その油圧制御が、ステアリングホイール11の下方の足元部に位置保持可能に配備した作業用の変速レバー36の操作に基づいて行われるように、作業用の変速レバー36に油圧制御系を介して操作連係してある。
T/Mケース8の左右には多板型のサイドブレーキ37を配備してある。左右のサイドブレーキ37は、搭乗運転部9の右足元部に配備した左右一対のブレーキペダル38のうちの対応するものに、ブレーキシリンダ39や連係ロッド40などを介して連係してある。そして、この連係により、対応するブレーキペダル38の踏み込み操作に基づいて、そのブレーキペダル38の踏み込み操作量に応じた制動力で対応する後輪7を制動するように構成してある。
左右の各ブレーキシリンダ39には単動型の油圧シリンダを採用してある。左右のブレーキシリンダ39は、油圧制御によって伸縮作動することにより、対応するサイドブレーキ37を非制動状態と制動状態とに切り換える。つまり、左右のサイドブレーキ37は、対応するブレーキペダル38の踏み込み操作を行っていない場合であっても、油圧制御によって対応するブレーキシリンダ39が短縮作動することにより、その短縮作動量に応じた制動力で対応する後輪7を制動するように構成してある。
図1、図2、図5および図6に示すように、T/Mケース8の後端上部には、左右一対のリフトアーム41を上下揺動可能に配備してある。T/Mケース8の後方には、対応するリフトアーム41を上下方向に揺動駆動する左右一対の昇降シリンダ42を配備してある。左右の昇降シリンダ42には単動型の油圧シリンダを採用してある。左右の昇降シリンダ42は、油圧制御によって伸縮作動することにより左右のリフトアーム41を上下方向に揺動駆動する。つまり、油圧制御によって左右の昇降シリンダ42が伸縮作動することによりロータリ耕耘装置3が昇降する。
リンク機構2は、T/Mケース8の後端上部に上下揺動可能に連結した上部リンク43と、T/Mケース8の後端下部に上下揺動可能に連結した左右一対の下部リンク44とからなる3点リンク式に構成してある。左側の下部リンク44は、左側のリフトアーム41と連動するように、その前後中間部を左側のリフトアーム41に連係ロッド45を介して連結してある。右側の下部リンク44は、右側のリフトアーム41と連動するように、その前後中間部を右側のリフトアーム41にローリングシリンダ46を介して連結してある。ローリングシリンダ46には、復動型の油圧シリンダを採用してある。ローリングシリンダ46は、油圧制御によって伸縮作動することにより右側の下部リンク44を上下方向に揺動駆動する。つまり、油圧制御によってローリングシリンダ46が伸縮作動することによりロータリ耕耘装置3がローリングする。
図5に示すように、トラクタ1には、マイクロコンピュータからなる制御装置47と、この制御装置47の制御作動に基づいて油圧を調整する油圧調整装置48とを装備してある。制御装置47には、トラクタ1の走行を制御する走行制御手段47A、ロータリ耕耘装置3の昇降を制御する昇降制御手段47B、ロータリ耕耘装置3のローリングを制御するローリング制御手段47C、および、ロータリ耕耘装置3の作動を制御する作業伝動制御手段47D、などを制御プログラムとして備えてある。
図示は省略するが、油圧調整装置48には、トラクタ1の走行に関する油圧制御を可能にする制御弁などの走行用の各油圧機器、ロータリ耕耘装置3の昇降に関する油圧制御を可能にする制御弁などの昇降用の各油圧機器、ロータリ耕耘装置3のローリングに関する制御弁などの油圧制御を可能にするローリング用の各油圧機器、および、ロータリ耕耘装置3の作動に関する油圧制御を可能にする制御弁などの作業用の各油圧機器、などを備えてある。そして、制御装置47および油圧調整装置48により油圧制御系を構成してある。
図1〜3および図5に示すように、走行制御手段47Aは、前後進切換レバー29の操作位置を検出する第1レバーセンサ49の検出、主変速レバー30の操作位置を検出する第2レバーセンサ50の検出、および、副変速レバー31の操作位置を検出する第3レバーセンサ51の検出に基づいて、油圧調整装置48の作動を制御する。油圧調整装置48は、走行制御手段47Aの制御作動に基づいて、前後進切換レバー29の操作位置と主変速レバー30の操作位置と副変速レバー31の操作位置とに対応した変速状態が得られるように、主変速装置14および副変速装置15の作動を制御する。そして、これらの制御作動により、前進30段と後進20段の多段変速が可能となるように構成してある。
なお、上記の各レバーセンサ49〜51には、対応するレバー29〜31の揺動操作を検出する回転式のポテンショメータ、もしくは、対応するレバー29〜31の所定または各操作位置への到達を検出する単数または複数のスイッチあるいは多接点スイッチなどを採用することができる。
走行制御手段47Aには、左右の前輪6への伝動を遮断して左右の後輪7のみを駆動する2輪駆動モード、左右の前輪6に伝動して左右の前輪6および後輪7を駆動する4輪駆動モード、左右の前輪6および後輪7を駆動し、かつ、設定角度以上のステアリング操作に連動して左右の前輪6を増速駆動する小旋回モード、および、左右の前輪6および後輪7を駆動し、かつ、設定角度以上のステアリング操作に連動して左右の前輪6を増速駆動するとともに旋回内側の後輪7を制動する急旋回モード、を走行用の制御モードとして備えてある。
図2〜5および図7に示すように、走行制御手段47Aは、表示パネル10の左下方に配備した走行モード選択用の選択スイッチ52が短押し操作されるごとに、使用する走行用の制御モードを順次切り換えるとともに、表示パネル10の左端部に上下に並べて配備した4つの表示灯53〜55のうち、使用が選択された走行用の制御モードに対応するものを点灯させる。
そして、2輪駆動モードの使用が選択された場合には、その選択に基づいて、伝動切換装置16が前述した前輪従動状態に切り換わるように油圧調整装置48の作動を制御する。これにより、走行時には、左右の後輪7のみを駆動する2輪駆動状態を得ることができる。
4輪駆動モードの使用が選択された場合には、その選択に基づいて、伝動切換装置16が前述した前輪駆動状態に切り換わるように油圧調整装置48の作動を制御する。これにより、走行時には、左右の前輪6を左右の後輪7と同じ周速で駆動する4輪駆動状態を得ることができる。
小旋回モードの使用が選択された場合には、ピットマンアーム(図示せず)の左右方向への揺動操作角度を前輪6の操舵角度として検出する操舵センサ57の検出値に基づいて、直進状態から設定角度以上のステアリング操作(例えば前輪6の操舵角度が30度以上になるステアリング操作)が行われたか否かを判別する。ステアリング操作が設定角度未満である場合には、前述した4輪駆動状態が得られるように油圧調整装置48の作動を制御する。ステアリング操作が設定角度以上である場合には、副変速装置14の出力回転数を車速として検出する車速センサ58の検出値に基づいて、車速が予め設定した作業速度範囲内(例えば0.2〜5.0km/hの間)であるか否かを判別する。車速が予め設定した作業速度範囲外である場合には、前述した4輪駆動状態が得られるように油圧調整装置48の作動を制御する。車速が予め設定した作業速度範囲内である場合には、伝動切換装置16が前述した前輪増速状態に切り換わるように油圧調整装置48の作動を制御する。伝動切換装置16が前輪増速状態に切り換わると、左右の前輪6が左右の後輪7の約2倍の周速で駆動され、これにより、車体が4輪駆動状態よりも小さい旋回半径で旋回する。
つまり、小旋回モードでは、車速を予め設定した作業速度範囲内とした状態で、直進状態から設定角度以上のステアリング操作を行うことにより、車体を4輪駆動状態よりも小さい旋回半径で旋回させる小旋回状態を得ることができる。
急旋回モードの使用が選択された場合には、操舵センサ57の検出値に基づいて、直進状態から設定角度以上のステアリング操作が行われたか否かを判別する。ステアリング操作が設定角度未満である場合には、前述した4輪駆動状態が現出されるように油圧調整装置48の作動を制御する。ステアリング操作が設定角度以上である場合には、車速センサ58の検出値に基づいて、車速が予め設定した作業速度範囲内であるか否かを判別する。車速が予め設定した作業速度範囲外である場合には、前述した4輪駆動状態が得られるように油圧調整装置48の作動を制御する。車速が予め設定した作業速度範囲内である場合には、その車速が作業速度範囲内の低速領域内(例えば0.2〜3.5km/hの間)であるか高速領域内(例えば3.6〜5.0km/hの間)であるかを判別する。車速が高速領域内である場合には、前述した小旋回状態が得られるように油圧調整装置48の作動を制御する。車速が低速領域内である場合には、伝動切換装置16が前述した前輪増速状態に切り換わるように油圧調整装置48の作動を制御し、かつ、操舵センサ57の検出値に基づいて、旋回内側のサイドブレーキ37が制動状態に切り換わるように油圧調整装置48の作動を制御する。伝動切換装置16が前輪増速状態に切り換わり、旋回内側のサイドブレーキ37が制動状態に切り換わると、左右の前輪6が左右の後輪7の約2倍の周速で駆動されるとともに旋回内側の後輪7が制動され、これにより、車体が小旋回状態よりも小さい旋回半径で旋回する。
つまり、急旋回モードでは、車速を予め設定した作業速度範囲内の高速領域内とした状態で、直進状態から設定角度以上のステアリング操作を行うことにより、車体を4輪駆動状態よりも小さい旋回半径で旋回させる小旋回状態を得ることができ、また、車速を予め設定した作業速度範囲内の低速領域内とした状態で、直進状態から設定角度以上のステアリング操作を行うことにより、車体を小旋回状態よりも小さい旋回半径で旋回させる急旋回状態を得ることができる。
なお、操舵センサ57には回転式のポテンショメータなどを、車速センサ58には電磁ピックアップ式の回転センサなどを採用することができる。
昇降制御手段47Bには、ロータリ耕耘装置3を任意の高さ位置まで昇降させる任意昇降モード、ロータリ耕耘装置3の実耕深に基づいてロータリ耕耘装置3を標準の制御感度で設定耕深に維持する標準定深モード、ロータリ耕耘装置3の実耕深に基づいてロータリ耕耘装置3を敏感な制御感度で設定耕深に維持する敏感定深モード、エンジン負荷に基づいてロータリ耕耘装置3を設定耕深に維持する負荷定深モード、これらの制御モードに優先してロータリ耕耘装置3を予め設定した上限位置または下限位置まで昇降させる優先昇降モード、設定角度以上のステアリング操作に連動してロータリ耕耘装置3を予め設定した上限位置まで上昇させる旋回上昇モード、および、後進状態への切り換えに連動してロータリ耕耘装置3を予め設定した上限位置まで上昇させる後進上昇モード、を昇降用の制御モードとして備えてある。
図1、図2および、図5〜7に示すように、昇降制御手段47Bは、運転座席12の右側方に配備した昇降レバー59の揺動操作に基づいて任意昇降モードを実行する。この任意昇降モードでは、昇降レバー59の操作位置を検出する第4レバーセンサ60の検出値と、リフトアーム41の上下揺動角度を検出するリフトアームセンサ61の検出値と、それらの検出値を対応させた相関関係データとに基づいて、リフトアームセンサ61の検出値が第4レバーセンサ60の検出値と対応する(第4レバーセンサ60の検出値の不感帯幅内に収まる)ように油圧調整装置48の作動を制御する。相関関係データは、第4レバーセンサ60の検出値をロータリ耕耘装置3の目標高さ位置とし、リフトアームセンサ61の検出値をロータリ耕耘装置3の実高さ位置として、それらの検出値を対応させてある。
つまり、任意昇降モードでは、昇降レバー59の揺動操作に基づく昇降制御手段47Bの制御作動により、ロータリ耕耘装置3を、昇降レバー59の操作位置に対応する任意の高さ位置まで昇降させることができる。
なお、第4レバーセンサ60およびリフトアームセンサ61には回転式のポテンショメータなどを採用することができる。上記の相関関係データにはマップデータや相関関係式などを採用することができる。
図1、図2および図5〜8に示すように、昇降レバー59の後方には操作パネル62を配備してある。昇降制御手段47Bは、その操作パネル62に備えた自動定深モード選択用の選択スイッチ63が短押し操作されるごとに、使用する自動定深モードを、標準定深モードと敏感定深モードと負荷定深モードのいずれかに順次切り換えるとともに、表示パネル10に備えた2つの表示灯64,65と、操作パネル62に備えた3つの表示灯66〜68のうち、使用が選択された自動定深モードに対応するものを点灯させる。そして、第4レバーセンサ60の検出値に基づいて、昇降レバー59が、その揺動操作領域の最下降位置側に設けたフローティング領域に揺動操作されたことを認識した場合に、任意昇降モードに優先して予め選択した自動定深モードを実行する。
そして、標準定深モードの使用が選択された場合には、操作パネル62に備えた耕深設定器69の出力値と、ロータリ耕耘装置3に備えたカバーセンサ70の検出値と、その出力値と検出値とを対応させた相関関係データとに基づいて、カバーセンサ70の検出値が標準の制御感度で耕深設定器69の出力値と対応する(耕深設定器69の出力値の不感帯幅内に収まる)ように油圧調整装置48の作動を制御する。カバーセンサ70は、ロータリ耕耘装置3の耕深が変動するのに伴って上下揺動する後部カバー71の上下揺動角度を検出する。相関関係データは、耕深設定器69の出力値をロータリ耕耘装置3の設定耕深とし、カバーセンサ70の検出値をロータリ耕耘装置3の実耕深として、その出力値と検出値とを対応させてある。
つまり、標準定深モードでは、カバーセンサ70で検出されるロータリ耕耘装置3の実耕深に基づく昇降制御手段47Bの制御作動により、ロータリ耕耘装置3を、耕深設定器69で設定した設定耕深に標準の制御感度で維持することができる。
敏感定深モードの使用が選択された場合には、耕深設定器69の出力値と、カバーセンサ70の検出値と、その出力値と検出値とを対応させた相関関係データとに基づいて、カバーセンサ70の検出値が、標準の制御感度よりも高い制御感度で耕深設定器69の出力値と対応する(耕深設定器69の出力値の不感帯幅内に収まる)ように油圧調整装置48の作動を制御する。
つまり、敏感定深モードでは、カバーセンサ70で検出されるロータリ耕耘装置3の実耕深に基づく昇降制御手段47Bの制御作動により、ロータリ耕耘装置3を、耕深設定器69で設定した設定耕深に標準の制御感度よりも高い制御感度でより精度良く維持することができる。
ちなみに、耕深設定器69およびカバーセンサ70には回転式のポテンショメータを採用してある。上記の相関関係データにはマップデータや相関関係式などを採用することができる。制御感度の変更は、耕深設定器69の出力値の不感帯幅や制御応答速度などを変更することにより行える。
負荷定深モードの使用が選択された場合には、基本的に、耕深設定器69の出力値と、リフトアームセンサ61の検出値と、その出力値と検出値とを対応させた相関関係データとに基づいて、リフトアームセンサ61の検出値が耕深設定器69の出力値と対応する(耕深設定器69の出力値の不感帯幅内に収まる)ように油圧調整装置48の作動を制御する。相関関係データは、耕深設定器69の出力値をロータリ耕耘装置3の設定耕深とし、リフトアームセンサ61の検出値をロータリ耕耘装置3の実高さ位置として、その出力値と検出値とを対応させてある。
そして、エンジン回転数を検出する回転センサ72の検出値を監視し、エンジン回転数が低下すると、ロータリ耕耘装置3の実耕深が深くなってエンジン負荷が増大したと判断し、その判断に基づいて、ロータリ耕耘装置3の実高さ位置が高くなるように油圧調整装置48の作動を制御してエンジン負荷を低下させる。この上昇制御によってエンジン回転数が回復すると、リフトアームセンサ61の検出値が耕深設定器69の出力値と対応する(ロータリ耕耘装置3の実高さ位置が設定耕深に復帰する)ように油圧調整装置48の作動を制御する。
つまり、負荷定深モードでは、回転センサ72の検出値に基づいて、昇降制御手段47Bが、実耕深の変動に伴って変化するエンジン負荷を考慮したロータリ耕耘装置3の昇降制御を行うことにより、カバーセンサ70の検出値に関係なく、ロータリ耕耘装置3を設定耕深に維持することができる。
これにより、カバーセンサ70を大きく持ち上げた状態で行う水田荒起こし作業や内盛り耕耘作業あるいは畝立て作業などのロータリ耕耘作業においては、負荷定深モードの使用を選択しておくことで、ロータリ耕耘装置3の実耕深を設定耕深に維持した適切なロータリ耕耘作業を行うことができる。
ちなみに、回転センサ72には、エンジン4の出力回転数を検出する電磁ピックアップ式のものを採用してある。上記の相関関係データにはマップデータや相関関係式などを採用することができる。負荷定深モードは、後部カバー71を備えていないプラウなどを用いた耕耘作業などにも使用することができる。
昇降制御手段47Bは、ステアリングホイール11の右下方に配備した中立復帰型の優先レバー73の揺動操作に基づいて優先昇降モードを実行する。そして、この優先昇降モードでは、優先レバー73の揺動操作を検出する優先センサ74の検出に基づいて、優先レバー73の上方への揺動操作を認識した場合に、表示パネル10に備えた優先昇降モードに対応する表示灯75を点灯させるとともに、操作パネル62に備えた上限設定器76の出力値と、リフトアームセンサ61の検出値と、その出力値と検出値とを対応させた相関関係データとに基づいて、リフトアームセンサ61の検出値が上限設定器76の出力値と対応する(上限設定器76の出力値の不感帯幅内に収まる)ように油圧調整装置48の作動を制御する。相関関係データは、上限設定器76の出力値をロータリ耕耘装置3の設定上限位置とし、リフトアームセンサ61の検出値をロータリ耕耘装置3の実高さ位置として、その出力値と検出値とを対応させてある。
逆に、優先レバー73の下方への揺動操作を認識した場合には、表示灯75を消灯させるとともに、第4レバーセンサ60の検出値に基づいて昇降レバー59の操作位置を判別する。昇降レバー59が前述したフローティング領域外である場合には、第4レバーセンサ60の検出値と、リフトアームセンサ61の検出値と、それらの検出値を対応させた相関関係データとに基づいて、リフトアームセンサ61の検出値が、第4レバーセンサ60の出力値と対応する(第4レバーセンサ60の検出値の不感帯幅内に収まる)ように油圧調整装置48の作動を制御する。昇降レバー59が前述したフローティング領域内である場合には、使用が選択されている自動定深モードを判別し、使用が選択されている自動定深モードが標準定深モードまたは敏感定深モードである場合には、耕深設定器69の出力値と、カバーセンサ70の検出値と、その出力値と検出値とを対応させた相関関係データとに基づいて、カバーセンサ70の検出値が耕深設定器69の出力値と対応する(耕深設定器69の出力値の不感帯幅内に収まる)ように油圧調整装置48の作動を制御する。使用が選択されている自動定深モードが負荷定深モードである場合には、耕深設定器69の出力値と、リフトアームセンサ61の検出値と、その出力値と検出値とを対応させた相関関係データとに基づいて、リフトアームセンサ61の検出値が耕深設定器69の出力値と対応する(耕深設定器69の出力値の不感帯幅内に収まる)ように油圧調整装置48の作動を制御する。
つまり、優先レバー73を上方に向けて揺動操作すると、優先センサ74の検出に基づく昇降制御手段47Bの制御作動により、ロータリ耕耘装置3を上限設定器76で予め設定した上限位置まで自動上昇させることができる。逆に、優先レバー73を下方に向けて揺動操作すると、優先センサ74の検出に基づく昇降制御手段47Bの制御作動により、ロータリ耕耘装置3を、昇降レバー59で予め設定した任意の高さ位置(下限位置の一例)、または、耕深設定器69で設定した設定耕深(下限位置の一例)まで自動下降させることができる。
ちなみに、優先センサ74には、優先レバー73の上方への揺動操作に連動して閉操作される第1接点と、優先レバー73の下方への揺動操作に連動して閉操作される第2接点とを備えるスイッチにより構成したものや、優先レバー73の上方への揺動操作に連動して閉操作される第1スイッチと、優先レバー73の下方への揺動操作に連動して閉操作される第2スイッチとから構成したものなどを採用することができる。上限設定器76には回転式のポテンショメータを採用してある。上記の相関関係データにはマップデータや相関関係式などを採用することができる。
昇降制御手段47Bは、操作パネル62に備えた旋回上昇モード選択用の選択スイッチ77が短押し操作されるごとに、旋回上昇モードの使用を選択した選択状態と、その選択を解除した選択解除状態とに切り換わるとともに、使用の選択に伴って、表示パネル10に備えた旋回上昇モードに対応する表示灯78と、操作パネル62に備えた旋回上昇モードに対応する表示灯79とを点灯させ、使用の選択解除に伴ってそれらの表示灯78,79を消灯させる。
そして、旋回上昇モードの使用が選択された場合には、車速センサ58の検出に基づいて車体の走行を認識し、第4レバーセンサ60の検出に基づいてロータリ耕耘装置3の接地(昇降レバー59のフローティング領域への操作)を認識した作業走行状態において、操舵センサ57の検出値に基づいて、直進状態から設定角度以上のステアリング操作(例えば前輪6の操舵角度が30度以上となるステアリング操作)が行われたことを認識すると、上限設定器76の出力値と、リフトアームセンサ61の検出値と、その出力値と検出値とを対応させた相関関係データとに基づいて、リフトアームセンサ61の検出値が上限設定器76の出力値と対応する(上限設定器76の出力値の不感帯幅内に収まる)ように油圧調整装置48の作動を制御する。
つまり、旋回上昇モードの使用を選択することにより、作業走行状態において直進状態から設定角度以上のステアリング操作を行う畦際旋回時には、操舵センサ57の検出値に基づく昇降制御手段47Bの制御作動により、そのときのステアリング操作に連動してロータリ耕耘装置3を上限設定器76で設定した上限位置まで自動上昇させることができる。
昇降制御手段47Bは、操作パネル62に備えた後進上昇モード選択用の選択スイッチ80が短押し操作されるごとに、後進上昇モードの使用が選択された選択状態と、その選択を解除した選択解除状態とに切り換わるとともに、使用の選択に伴って、表示パネル10に備えた後進上昇モードに対応する表示灯81と、操作パネル62に備えた後進上昇モードに対応する表示灯82とを点灯させ、使用の選択解除に伴ってそれらの表示灯81,82を消灯させる。
そして、後進上昇モードの使用が選択された場合には、車速センサ58の検出に基づいて走行を認識し、第4レバーセンサ60の検出に基づいてロータリ耕耘装置3の接地を認識した作業走行状態において、前後進切換レバー29の操作により前後進切換機構26の伝動状態を検出する前後進センサ83の検出に基づいて、前進状態から後進状態への切り換えを認識すると、上限設定器76の出力値と、リフトアームセンサ61の検出値と、その出力値と検出値とを対応させた相関関係データとに基づいて、リフトアームセンサ61の検出値が上限設定器76の出力値と対応する(上限設定器76からの出力値の不感帯幅内に収まる)ように油圧調整装置48の作動を制御する。
つまり、後進上昇モードの使用を選択することにより、作業走行状態において前進状態から後進状態に切り換えると、前後進センサ83の検出に基づく昇降制御手段47Bの制御作動により、その切り換え操作に連動してロータリ耕耘装置3を上限設定器76で設定した上限位置まで自動上昇させることができる。
ちなみに、前後進センサ83には、前後進切換レバー29の前進位置への揺動操作に伴ってオン操作される第1スイッチと、前後進切換レバー29の後進位置への揺動操作に伴ってオン操作される第2スイッチとを採用してある。
昇降制御手段47Bには、使用するリンク機構2によって変化する各相関関係データにおける各数値の対応関係を、標準仕様のリンク機構2を使用した場合に適正となるように補正する第1補正モードと、特別仕様のリンク機構2を使用した場合に適正となるように補正する第2補正モードとを、補正用の制御モードとして備えてある。
そして、昇降制御手段47Bは、操作パネル62に備えた昇降補正モード選択用の選択スイッチ84が短押し操作されるごとに、使用する補正モードを順次切り換えるとともに、操作パネル62に備えた2つの表示灯85,86のうち、使用が選択された補正モードに対応するものを点灯させる。
つまり、使用するリンク機構2の仕様に対応する補正モードを選択することにより、リンク機構2の仕様に適した良好な昇降制御を昇降制御手段47Bに行わせることができる。
ローリング制御手段47Cには、水平圃場においてロータリ耕耘装置3のローリング角度を予め設定した設定角度に維持する水平モード、傾斜圃場での等高線に沿った作業走行時においてロータリ耕耘装置3のローリング角度を予め設定した設定角度に維持する傾斜モード、および、これらの制御モードに優先してロータリ耕耘装置3をローリングさせる優先モード、をローリング用の制御モードとして備えてある。
ローリング制御手段47Cは、操作パネル62に備えたローリングモード選択用の選択スイッチ87が短押し操作されるごとに、使用するローリング用の制御モードを水平モードまたは傾斜モードに順次切り換えるとともに、表示パネル10に備えた表示灯88を点灯させ、かつ、操作パネル62に備えた2つの表示灯89,90のうち、使用が選択された制御モードに対応するものを点灯させる。
そして、水平モードの使用が選択された場合には、トラクタ1のローリング角度を検出する傾斜センサ91の検出値と、トラクタ1のローリング角速度を検出する角速度センサ92の検出値とに基づいて、トラクタ1の実際のローリング角度を算出し、その算出値と、操作パネル62に備えたローリング角度設定器93の出力値と、トラクタ1に対するロータリ耕耘装置3のローリング角度とローリングシリンダ46の長さとを対応させた相関関係データとに基づいて、ローリングシリンダ46の目標長さを設定し、その設定値と、ローリングシリンダ46の長さを検出するストロークセンサ94の検出値とに基づいて、ストロークセンサ94の検出値が設定値と一致する(設定値の不感帯幅内に収まる)ように油圧調整装置48の作動を制御する。これにより、ロータリ耕耘装置3をローリング角度設定器93で設定した目標ローリング角度に維持することができる。
ちなみに、傾斜センサ91には重錘式のものを採用してある。角速度センサ92には振動ジャイロ式のものを採用してある。ローリング角度設定器93には回転式のポテンショメータを採用してある。ストロークセンサ94には摺動式のポテンショメータを採用してある。上記の相関関係データにはマップデータや相関関係式などを採用することができる。
傾斜モードの使用が選択された場合には、基本的に、水平モードの使用が選択された場合と同様の制御作動を行うが、谷側車輪の沈下を考慮して、ローリング角度設定器93の出力値(ロータリ耕耘装置3の目標ローリング角度)を自動的に補正する。これにより、傾斜圃場での谷側車輪の沈下にかかわらず、ロータリ耕耘装置3をローリング角度設定器93で設定した目標ローリング角度に精度良く維持することができる。
ローリング制御手段47Cは、操作パネル62に備えた中立復帰型の優先スイッチ95の揺動操作に基づいて優先モードを実行する。そして、この優先モードでは、優先スイッチ95が右方向に揺動操作された場合には、水平モードや傾斜モードに優先して、優先スイッチ95が右方向に揺動操作されている間、ローリングシリンダ46が伸長作動するように油圧調整装置48の作動を制御する。これにより、ロータリ耕耘装置3を左上がり方向に任意にローリングさせることができる。逆に、優先スイッチ95が左方向に揺動操作された場合には、水平モードや傾斜モードに優先して、優先スイッチ95が左方向に揺動操作されている間、ローリングシリンダ46が収縮作動するように油圧調整装置48の作動を制御する。これにより、ロータリ耕耘装置3を左下がり方向に任意にローリングさせることができる。そして、優先スイッチ95の揺動操作が解除されて優先スイッチ95が中立位置に復帰した場合には、ロータリ耕耘装置3がローリング角度設定器93で設定した設定角度に復帰するように油圧調整装置48の作動を制御する。
ローリング制御手段47Cには、使用するロータリ耕耘装置3によって変化する相関関係データにおけるトラクタ1に対するロータリ耕耘装置3のローリング角度とローリングシリンダ46の長さとの対応関係を、第1仕様のロータリ耕耘装置3を使用した場合に適正となるように補正する第1補正モードと、第2仕様のロータリ耕耘装置3を使用した場合に適正となるように補正する第2補正モードと、第3仕様のロータリ耕耘装置3を使用した場合に適正となるように補正する第3補正モードとを、補正用の制御モードとして備えてある。
そして、ローリング制御手段47Cは、操作パネル62に備えたローリング補正モード選択用の選択スイッチ96が短押し操作されるごとに、使用する補正モードを順次切り換えるとともに、操作パネル62に備えた3つの表示灯97〜99のうち、使用が選択された補正モードに対応するものを点灯させる。
つまり、使用するロータリ耕耘装置3の仕様に対応する補正モードを選択することで、ロータリ耕耘装置3の仕様に応じた適正なローリング制御をローリング制御手段47Cに行わせることができる。
作業伝動制御手段47Dは、作業用の変速レバー36の操作位置を検出する第5レバーセンサ100の検出に基づいて油圧調整装置48の作動を制御する。油圧調整装置48は、作業伝動制御手段47Dの制御作動に基づいて、作業用の変速レバー36の操作位置に対応した変速状態が得られるように作業用の変速装置20の作動を制御する。
なお、第5レバーセンサ100には、作業用の変速レバー36の2軸方向の揺動操作を検出する2つの回転式のポテンショメータ、あるいは、作業用の変速レバー36の各操作位置への到達を検出する複数のスイッチまたは多接点スイッチなどを採用することができる。
図5、図7および図9に示すように、表示パネル10には、現在時刻や車速などを文字表示する液晶表示部101を備えてある。制御装置47には、液晶表示部101の作動を制御する表示制御手段47Eを制御プログラムとして備え、また、EEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリからなる記憶手段47Fを備えてある。
表示制御手段47Eは、搭乗運転部9に備えたキースイッチ102の操作により電源が投入されるのに伴って液晶表示部101に標準画面103を表示させる〔図9の(A)参照〕。
図9の(A)に示すように、標準画面103には、主変速装置14の変速段と副変速装置15の変速段とを表示する第1表示領域104、現在時刻を表示する第2表示領域105、車速を表示する第3表示領域106、作業動力取出軸21の回転速度を表示する第4表示領域107、および、アワメータやトリップメータなどを切り換え表示する第5表示領域108、などを設けてある。
表示制御手段47Eは、標準画面の表示状態において、走行モード選択用の選択スイッチ52に隣接配備した表示切換スイッチ109が短押し操作されると、その都度、第5表示領域108の表示内容を、アワメータを表示する状態やトリップメータを表示する状態などに順次切り換える。また、隣接する走行モード選択用の選択スイッチ52と表示切換スイッチ109とが同時に押圧操作されると、液晶表示部101の表示画面を標準画面103から選択画面110に切り換える〔図9の(B)参照〕。
図9の(B)に示すように、選択画面110には、メンテナンスに関する情報の表示を選択する第1選択欄111、時刻表示に関する設定項目の表示を選択する第2選択欄112、以前に行った作業に関する情報の表示を選択する第3選択欄113、および、標準画面103への切り換えを選択する第4選択欄114を設けてある。
表示制御手段47Eは、選択画面110の表示状態において表示切換スイッチ109が短押し操作されると、その都度、選択画面110の表示状態を、第1選択欄111を選択した状態、第2選択欄112を選択した状態、第3選択欄113を選択した状態、および、第4選択欄114を選択した状態のいずれかに順次切り換える。また、表示切換スイッチ109が長押し操作されると、そのときの選択を確定し、液晶表示部101の表示画面を、選択が確定した選択欄111〜114に対応する画面103,115〜117に切り換える〔図9の(A)および(C)〜(E)参照〕。
具体的には、第1選択欄111の選択状態において表示切換スイッチ109が長押し操作されると、液晶表示部101の表示画面を、メンテナンスに関する情報を表示するメンテナンス情報表示画面115に切り換える〔図9の(C)参照〕。第2選択欄112の選択状態において表示切換スイッチ109が長押し操作されると、液晶表示部101の表示画面を、時刻表示に関する設定項目を表示する時刻設定画面116に切り換える〔図9の(D)参照〕。第3選択欄113の選択状態において表示切換スイッチ109が長押し操作されると、液晶表示部101の表示画面を、以前に行った作業に関する情報を表示する作業情報表示画面117に切り換える〔図9の(E)参照〕。第4選択欄114の選択状態において表示切換スイッチ109が長押し操作されると、液晶表示部101の表示画面を標準画面103に切り換える〔図9の(A)参照〕。
図9の(C)に示すように、メンテナンス情報表示画面115には、エンジンオイルフィルタ(図示せず)の交換後の経過時間を表示する第1表示領域118、燃料フィルタエレメント(図示せず)の交換後の経過時間を表示する第2表示領域119、油圧オイルフィルタ(図示せず)の交換後の経過時間を表示する第3表示領域120、ミッションオイルの交換後の経過時間を表示する第4表示領域121、それらの表示領域118〜121の選択状態を示す第1〜4の各選択欄122〜125、および、選択画面110への切り換えを選択する第5選択欄126を設けてある。
表示制御手段47Eは、メンテナンス情報表示画面115の表示状態において表示切換スイッチ109が短押し操作されると、その都度、メンテナンス情報表示画面115の表示状態を、第1表示領域118を選択した状態、第2表示領域119を選択した状態、第3表示領域120を選択した状態、第4表示領域121を選択した状態、および、第5選択欄126を選択した状態のいずれかに順次切り換える。また、表示切換スイッチ109が長押し操作されると、そのときのメンテナンス情報表示画面115の表示状態に対応した制御作動を行う。
具体的には、第1表示領域118の選択状態において表示切換スイッチ109が長押し操作されると、エンジンオイルフィルタの交換後の経過時間をリセットし、表示切換スイッチ109の短押し操作による第1表示領域118から他の表示領域119〜121または第5選択欄126への切り換えを可能にする。第2表示領域119の選択状態において表示切換スイッチ109が長押し操作されると、燃料フィルタエレメントの交換後の経過時間をリセットし、表示切換スイッチ109の短押し操作による第2表示領域119から他の表示領域118,120,121または第5選択欄126への切り換えを可能にする。第3表示領域120の選択状態において表示切換スイッチ109が長押し操作されると、油圧オイルフィルタの交換後の経過時間をリセットし、表示切換スイッチ109の短押し操作による第3表示領域120から他の表示領域118,119,121または第5選択欄126への切り換えを可能にする。第4表示領域121の選択状態において表示切換スイッチ109が長押し操作されると、ミッションオイルの交換後の経過時間をリセットし、表示切換スイッチ109の短押し操作による第4表示領域121から他の表示領域118〜120または第5選択欄126への切り換えを可能にする。第5選択欄126の選択状態において表示切換スイッチ109が長押し操作されると、液晶表示部101の表示画面を選択画面110に切り換える〔図9の(B)参照〕。
つまり、上記の各リセット操作を、エンジンオイルフィルタや燃料フィルタエレメントなどの交換後に適切に行うことにより、それらの交換後の経過時間を適正にすることができる。そして、上記の表示切り換え操作によりメンテナンス情報表示画面115を表示させることにより、エンジンオイルフィルタや燃料フィルタエレメントなどの交換時期を的確に把握することができる。
図9の(D)に示すように、時刻設定画面116には、時刻合わせ用の第1設定領域127、時計表示設定用の第2設定領域128、それらの設定領域127,128の選択状態を示す第1選択欄129と第2選択欄130、および、選択画面110への切り換えを選択する第3選択欄131を設けてある。
表示制御手段47Eは、時刻設定画面116の表示状態において表示切換スイッチ109が短押し操作されると、その都度、時刻設定画面116の表示状態を、第1設定領域127を選択した状態、第2設定領域128を選択した状態、および、第3選択欄131を選択した状態のいずれかに順次切り換える。また、表示切換スイッチ109が長押し操作されると、そのときの選択を確定し、確定した選択状態に対応した制御作動を行う。
具体的には、第1設定領域127の選択状態において表示切換スイッチ109が長押し操作されると、第1設定領域127の表示状態を、時桁の時刻合わせを許容する状態に切り換える。この状態において、走行モード選択用の選択スイッチ52が短押し操作されると、その都度、時桁の時刻を1時間ずつ進め、表示切換スイッチ109が短押し操作されると、そのときの時桁の時刻を確定し、第1設定領域127の表示状態を、時桁の時刻合わせを許容する状態から分桁の時刻合わせを許容する状態に切り換える。この状態において、走行モード選択用の選択スイッチ52が短押し操作されると、その都度、分桁の時刻を1分ずつ進め、表示切換スイッチ109が短押し操作されると、そのときの分桁の時刻を確定し、第1設定領域127の表示状態を、分桁の時刻合わせを許容する状態から時桁の時刻合わせを許容する状態に切り換える。時刻合わせ許容状態において走行モード選択用の選択スイッチ52と表示切換スイッチ109とが同時に押圧操作されると、そのときの設定時刻を現在時刻として確定し、表示切換スイッチ109の短押し操作による第1設定領域127から第2設定領域128や第3選択欄131への選択切り換えを可能にする。
第2設定領域128の選択状態において表示切換スイッチ109が長押し操作されると、第2設定領域128の表示状態を、時計表示の設定変更を許容する状態に切り換える。この状態において表示切換スイッチ109が短押し操作されると、その都度、第2設定領域128の表示状態を、時計の表示を選択した状態と時計の非表示を選択した状態とに切り換える。これらの選択状態において走行モード選択用の選択スイッチ52と表示切換スイッチ109とが同時に押圧操作されると、そのときの選択内容を確定し、表示切換スイッチ109の短押し操作による第1設定領域127から第2設定領域128や第3選択欄131への選択切り換えを可能にする。
第3選択欄131の選択状態において表示切換スイッチ109が長押し操作されると、液晶表示部101の表示画面を選択画面110に切り換える〔図9の(B)参照〕。
図9の(E)に示すように、作業情報表示画面117には、第1情報表示領域132、第2情報表示領域133、第3情報表示領域134、および、選択画面110への切り換えを選択する選択欄135を設けてある。各情報表示領域132〜134には、それらの領域132〜134の識別を容易にするための記号を標記する記号表示領域132a〜134a、主変速装置14の前進側の変速段を表示する主変速段表示領域132b〜134b、副変速装置15の変速段を表示する副変速段表示領域132c〜134c、および、作業用の変速装置20の変速段を表示する作業変速段表示領域132d〜134dを備えてある。
表示制御手段47Eは、選択画面110から作業情報表示画面117への切り換えに伴って、第1情報表示領域132の記号表示領域132aには、その識別を容易にするための記号として「A」を表示させる。第2情報表示領域133の記号表示領域133aには、その識別を容易にするための記号として「B」を表示させる。第3情報表示領域134の記号表示領域134aには、その識別を容易にするための記号として「C」を表示させる。また、各変速段表示領域132b〜134cのいずれかに対応する表示情報を記憶手段47Fに記憶してある場合には、その表示情報を記憶手段47Fから読み出して、対応する変速段表示領域132b〜134cに表示させる。
そして、作業情報表示画面117の表示状態において表示切換スイッチ109が短押し操作されると、その都度、作業情報表示画面117の表示状態を、第1情報表示領域132を選択した状態、第2情報表示領域133を選択した状態、第3情報表示領域134を選択した状態、および、選択欄135を選択した状態のいずれかに順次切り換える。また、表示切換スイッチ109が長押し操作されると、そのときの選択を確定し、確定した選択状態に対応した制御作動を行う。
具体的には、第1情報表示領域132の選択状態において表示切換スイッチ109が長押し操作されると、その選択状態を確定し、第1情報表示領域132の表示状態を、主変速段表示領域132bでの表示内容の変更を許容する状態に切り換える。この状態において、走行モード選択用の選択スイッチ52が短押し操作されると、その都度、主変速段表示領域132bで表示する主変速装置14の前進側の変速段を1〜12段のいずれかに順次切り換える。また、表示切換スイッチ109が短押し操作されると、そのときの変速段を確定し、第1情報表示領域132の表示状態を、主変速段表示領域132bでの表示内容の変更を許容する状態から副変速段表示領域132cでの表示内容の変更を許容する状態に切り換える。この状態において、走行モード選択用の選択スイッチ52が短押し操作されると、その都度、副変速段表示領域132cで表示する副変速装置15の変速段を、低速段と中速段と高速段のいずれかに順次切り換える。また、表示切換スイッチ109が短押し操作されると、そのときの変速段を確定し、第1情報表示領域132の表示状態を、副変速段表示領域132cでの表示内容の変更を許容する状態から作業変速段表示領域132dでの表示内容の変更を許容する状態に切り換える。この状態において、走行モード選択用の選択スイッチ52が短押し操作されると、その都度、作業変速段表示領域132dで表示する作業用の変速装置20の変速段を1〜4段および切のいずれかに順次切り換える。また、表示切換スイッチ109が短押し操作されると、そのときの変速段を確定し、第1情報表示領域132の表示状態を、作業変速段表示領域132dでの表示内容の変更を許容する状態から主変速段表示領域132bでの表示内容の変更を許容する状態に切り換える。第1情報表示領域132の選択状態において走行モード選択用の選択スイッチ52と表示切換スイッチ109とが同時に長押し操作されると、そのときの第1情報表示領域132での表示内容を記憶手段47Fに記憶し、表示切換スイッチ109の短押し操作による第1情報表示領域132から第2情報表示領域133や第3情報表示領域134への選択切り換えを可能にする。
第2情報表示領域133または第2情報表示領域134の選択状態において、上述した第1情報表示領域132の選択状態での操作と同様の操作が行われると、その操作に基づいて、上述した第1情報表示領域132の選択状態での制御作動と同様の制御作動を行う。選択欄135の選択状態において表示切換スイッチ109が長押し操作されると、液晶表示部101の表示画面を選択画面110に切り換える〔図9の(B)参照〕。
上記の構成から、例えば、圃場に適した耕耘作業を行ったときの主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を、上記の操作により第1情報表示領域132において設定して記憶手段47Fに記憶させるようにすれば、以後の同じ圃場での耕耘作業においては、記憶手段47Fに記憶させた表示内容を、その圃場に適した耕耘作業の作業形態を得るための条件として、上記の操作により読み出して第1情報表示領域132に表示させることができる。
そして、その第1情報表示領域132の表示内容と同じになるように、主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を操作設定すれば、前に行った圃場に適した耕耘作業と同じ変速状態を確実に容易かつ迅速に得ることができ、これにより、圃場に適した車速でトラクタ1を走行させながら、圃場に適した駆動速度でロータリ耕耘装置3を駆動させることができる。
二期作または二毛作を行う場合には、一期目や春の耕耘作業に適した主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を、上記の操作により第1情報表示領域132において設定して記憶手段47Fに記憶させ、かつ、二期目や秋の耕耘作業に適した主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を、上記の操作により第2情報表示領域133において設定して記憶手段47Fに記憶させるようにする。
すると、以後の一期目や春の耕耘作業においては、記憶手段47Fに記憶させた一期目用や春用の設定内容を、一期目や春の耕耘作業に適した作業形態を得るための条件として、上記の操作により読み出して第1情報表示領域132に表示させることができる。
そして、その第1情報表示領域132の表示内容と同じになるように、主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を操作設定すれば、一期目や春の耕耘作業に適した変速状態を確実に容易かつ迅速に得ることができ、これにより、一期目や春の耕耘作業に適した車速でトラクタ1を走行させながら、一期目や春の耕耘作業に適した駆動速度でロータリ耕耘装置3を駆動させることができる。
また、以後の二期目や秋の耕耘作業においては、記憶手段47Fに記憶させた二期目用や秋用の設定内容を、二期目や秋の耕耘作業に適した作業形態を得るための条件として、上記の操作により読み出して第2情報表示領域133に表示させることができる。
そして、その第2情報表示領域133の表示内容と同じになるように、主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を操作設定すれば、二期目や秋の耕耘作業に適した変速状態を確実に容易かつ迅速に得ることができ、これにより、二期目や秋の耕耘作業に適した車速でトラクタ1を走行させながら、二期目や秋の耕耘作業に適した駆動速度でロータリ耕耘装置3を駆動させることができる。
二期作と二毛作とを交互に行う場合には、一期目や春の耕耘作業に適した主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を、上記の操作により第1情報表示領域132において設定して記憶手段47Fに記憶させ、かつ、二期目の耕耘作業に適した主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を、上記の操作により第2情報表示領域133において設定して記憶手段47Fに記憶させ、さらに、秋の耕耘作業に適した主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を、上記の操作により第3情報表示領域134において設定して記憶手段47Fに記憶させるようにする。
すると、一期目や春の耕耘作業においては、記憶手段47Fに記憶させた一期目用や春用の設定内容を、一期目や春の耕耘作業に適した作業形態を得るための条件として、上記の操作により読み出して第1情報表示領域132に表示させることができる。
そして、その第1情報表示領域132の表示内容と同じになるように、主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を操作設定すれば、一期目や春の耕耘作業に適した変速状態を確実に容易かつ迅速に得ることができ、これにより、一期目や春の耕耘作業に適した車速でトラクタ1を走行させながら、一期目や春の耕耘作業に適した駆動速度でロータリ耕耘装置3を駆動させることができる。
また、二期目の耕耘作業においては、記憶手段47Fに記憶させた二期目用の設定内容を、二期目の耕耘作業に適した作業形態を得るための条件として、上記の操作により読み出して第2情報表示領域133に表示させることができる。
そして、その第2情報表示領域133の表示内容と同じになるように、主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を操作設定すれば、二期目の耕耘作業に適した変速状態を確実に容易かつ迅速に得ることができ、これにより、二期目の耕耘作業に適した車速でトラクタ1を走行させながら、二期目の耕耘作業に適した駆動速度でロータリ耕耘装置3を駆動させることができる。
さらに、秋の耕耘作業においては、記憶手段47Fに記憶させた秋用の設定内容を、秋の耕耘作業に適した作業形態を得るための条件として、上記の操作により読み出して第3情報表示領域134に表示させることができる。
そして、その第3情報表示領域134の表示内容と同じになるように、主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を操作設定すれば、秋の耕耘作業に適した変速状態を確実に容易かつ迅速に得ることができ、これにより、秋の耕耘作業に適した車速でトラクタ1を走行させながら、秋の耕耘作業に適した駆動速度でロータリ耕耘装置3を駆動させることができる。
耕耘作業に適した車速および作業動力取出軸21の回転速度と、代掻き作業に適した車速および作業動力取出軸21の回転速度とが異なる場合には、耕耘作業に適した主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を、上記の操作により第1情報表示領域132において設定して記憶手段47Fに記憶させ、かつ、代掻き作業に適した主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を、上記の操作により第2情報表示領域133において設定して記憶手段47Fに記憶させるようにする。
すると、以後の耕耘作業においては、記憶手段47Fに記憶させた耕耘作業用の設定内容を、耕耘作業に適した作業形態を得るための条件として、上記の操作により読み出して第1情報表示領域132に表示させることができる。
そして、その第1情報表示領域132の表示内容と同じになるように、主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を操作設定すれば、耕耘作業に適した車速と作業動力取出軸21の回転速度とを確実に容易かつ迅速に得ることができ、これにより、耕耘作業に適した車速でトラクタ1を走行させながら、耕耘作業に適した駆動速度でロータリ耕耘装置3を駆動させることができる。
また、以後の代掻き作業においては、記憶手段47Fに記憶させた代掻き用の設定内容を、代掻き作業に適した作業形態を得るための条件として、上記の操作により読み出して第2情報表示領域133に表示させることができる。
そして、その第2情報表示領域133の表示内容と同じになるように、主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を操作設定すれば、代掻き作業に適した車速と作業動力取出軸21の回転速度とを確実に容易かつ迅速に得ることができ、これにより、代掻き作業に適した車速でトラクタ1を走行させながら、代掻き作業に適した駆動速度で、ロータリ耕耘装置3に代えてトラクタ1の後部に連結した代掻き装置を駆動させることができる。
つまり、この作業車においては、記憶手段47Fが作業条件メモを記憶し、表示パネル10の液晶表示部101が、記憶手段47Fに記憶した作業条件メモを表示する条件表示手段136として機能し、かつ、表示制御手段47Eと走行モード選択用の選択スイッチ52と表示切換スイッチ109とが、作業条件メモを設定する設定手段137、その作業条件メモの記憶を記憶手段47Fに指令する記憶指令手段138、および、記憶した作業条件メモの表示を条件表示手段136に指令する表示指令手段139、として機能するように構成することにより、圃場や作業時期あるいは栽培作物などに適した作業形態を得るのに必要な条件である主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段を記録し、かつ、それらの表示を可能にするメモ表示機能を有するように構成してある。
これにより、圃場、作業時期、栽培作物、あるいは作業内容などに適した所定の変速装置の操作状態を確実に容易かつ迅速に得ることができ、結果、所定の変速装置の操作状態による、圃場、作業時期、栽培作物、あるいは作業内容などに適した良好な仕上がり精度の高い作業を確実に効率良く行うことができる。
なお、上記のメモ表示機能を利用して、作業時の気象情報、作業装置3で作業を行った実際の作業時間、作業装置3の昇降回数、および、各変速装置14,15,20の変速回数、などを記録し、かつ、それらの必要に応じた表示が可能となるように構成してもよい。
〔別実施形態〕
〔1〕作業車としては、トラクタ1の後部に、プラウ、溝切り装置、または畦塗り装置、などの作業装置3を連結して構成したものであってもよい。また、トラクタ1の前部にローダ装置またはフォーク装置などの作業装置3を連結して構成したものであってもよい。さらに、乗用草刈機、乗用田植機、またはコンバイン、などであってもよい。
〔2〕設定手段137の構成においては、走行モード選択用の選択スイッチ52および表示切換スイッチ109のいずれか一方または双方に代えて、他の既存のスイッチを利用するようにしてもよく、また、条件設定専用のスイッチなどの操作具を設けるようにしてもよい。
〔3〕作業条件メモを、主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段とする場合において、主変速レバー30とその操作位置を検出する第2レバーセンサ50、副変速レバー31とその操作位置を検出する第3レバーセンサ51、および、作業用の変速レバー36とその操作位置を検出する第5レバーセンサ100により設定手段137を構成してもよい。
この構成においては、記憶指令手段138の指令に基づいて、記憶手段47Fが、作業中に各レバーセンサ50,51,100が検出した各変速レバー30,31,36の操作位置を、作業条件メモとして記憶することになる。
〔4〕記憶指令手段138の構成においては、走行モード選択用の選択スイッチ52および表示切換スイッチ109のいずれか一方または双方に代えて、他の既存のスイッチを利用するようにしてもよく、また、記憶指令専用のスイッチなどの操作具を設けるようにしてもよい。
〔5〕表示指令手段139の構成においては、走行モード選択用の選択スイッチ52および表示切換スイッチ109のいずれか一方または双方に代えて、他の既存のスイッチを利用するようにしてもよく、また、表示指令専用のスイッチなどの操作具を設けるようにしてもよい。
〔6〕作業条件メモを、主変速装置14の変速段、副変速装置15の変速段、および、作業用の変速装置20の変速段とする場合において、それらの各変速段に対応する各変速レバー30,31,36の各操作位置にLEDなどの表示灯を配備し、表示指令手段139の指令に基づく表示制御手段47Eの制御作動により、設定手段137により設定した条件に対応する表示灯が点灯あるいは点滅するように構成してもよい。つまり、この構成では、表示制御手段47Eと複数の表示灯により条件表示手段136を構成することになる。
〔7〕条件表示手段136として専用の表示装置を設けるようにしてもよい。また、条件表示手段136の各記号表示領域132a〜134aに、春、秋、水稲、麦、耕耘、あるいは代掻き、などを選択表示できるように構成して、各条件の作業内容を明確に表示できるようにしてもよい。
〔8〕作業条件メモとしてエンジン回転数を加えるようにしてもよい。
〔9〕作業条件メモに、ロータリ耕耘装置などの作業装置3の昇降に関する条件を加えるようにしてもよい。この場合、作業装置3の昇降に関する条件には、作業時の作業装置3の対地作業高さ、選択した自動定深モードの種類、旋回上昇モードの選択の有無、および、後進上昇モードの選択の有無、などがあることから、これらのいずれか一つまたは複数あるいは全てを作業条件メモに加えることが考えられる。
作業装置3の対地作業高さを加える場合には、設定手段137を、表示制御手段47Eと走行モード選択用の選択スイッチ52と表示切換スイッチ109により構成することや、昇降レバー59とその操作位置を検出する第4レバーセンサ60により構成することなどが考えられる。
自動定深モードの種類を加える場合には、設定手段137や記憶指令手段138を、表示制御手段47Eと走行モード選択用の選択スイッチ52と表示切換スイッチ109により構成することや、自動定深モード選択用の選択スイッチ63により構成することなどが考えられる。また、条件表示手段136を、操作パネル62に備えた標準定深モードの表示灯66、敏感定深モードの表示灯67、および負荷定深モードの表示灯68により構成し、表示指令手段139の指令に基づいて、3つの表示灯66〜68のうちの設定手段137により設定した条件に対応するものが点滅するか全てが消灯するように構成してもよい。
旋回上昇モードの選択の有無を加える場合には、設定手段137や記憶指令手段138を、表示制御手段47Eと走行モード選択用の選択スイッチ52と表示切換スイッチ109により構成することや、旋回上昇モード選択用の選択スイッチ77により構成することなどが考えられる。また、条件表示手段136を、表示パネル10に備えた旋回上昇モード用の表示灯78や、操作パネル62に備えた旋回上昇モード用の表示灯79により構成し、表示指令手段139の指令に基づいて、それらの表示灯78,79のいずれか一方または双方が点滅するか双方が消灯するように構成してもよい。
後進上昇モードの選択の有無を加える場合には、設定手段137や記憶指令手段138を、表示制御手段47Eと走行モード選択用の選択スイッチ52と表示切換スイッチ109により構成することや、後進上昇モード選択用の選択スイッチ80により構成することなどが考えられる。また、条件表示手段136を、表示パネル10に備えた後進上昇モード用の表示灯81や、操作パネル62に備えた後進上昇モード用の表示灯82により構成し、表示指令手段139の指令に基づいて、それらの表示灯81,82のいずれか一方または双方が点滅するか双方が消灯するように構成してもよい。
〔10〕作業条件メモに、ロータリ耕耘装置などの作業装置3のローリングに関する条件を加えるようにしてもよい。この場合、作業装置3のローリングに関する条件には、選択したローリング用の制御モードの種類や、選択したローリング補正用の制御モードの種類などがあることから、これらのいずれか一つまたは複数あるいは全てを作業条件メモに加えることが考えられる。
ローリング用の制御モードの種類を加える場合には、設定手段137や記憶指令手段138を、表示制御手段47Eと走行モード選択用の選択スイッチ52と表示切換スイッチ109により構成することや、ローリングモード選択用の選択スイッチ87により構成することなどが考えられる。また、条件表示手段136を、操作パネル62に備えたローリングモード選択用の2つの表示灯89,90により構成し、表示指令手段139の指令に基づいて、2つの表示灯89,90のうちの設定手段137により設定した条件に対応するものが点滅するか双方が消灯するように構成してもよい。
ローリング補正用の制御モードの種類を加える場合には、設定手段137や記憶指令手段138を、表示制御手段47Eと走行モード選択用の選択スイッチ52と表示切換スイッチ109により構成することや、ローリング補正モード選択用の選択スイッチ96により構成することなどが考えられる。また、条件表示手段136を、操作パネル62に備えたローリング補正モード選択用の3つの表示灯97〜99により構成し、表示指令手段139の指令に基づいて、3つの表示灯97〜99のうちの設定手段137により設定した条件に対応するものが点滅するか全てが消灯するように構成してもよい。
〔11〕作業条件メモに、選択した走行モードの種類を加えるようにしてもよい。この場合には、設定手段137や記憶指令手段138を、表示制御手段47Eと走行モード選択用の選択スイッチ52と表示切換スイッチ109により構成することや、走行モード選択用の選択スイッチ52により構成することなどが考えられる。また、条件表示手段136を、操作パネル62に備えた走行モード選択用の4つの表示灯53〜55により構成し、表示指令手段139の指令に基づいて、4つの表示灯53〜55のうちの設定手段137により設定した条件に対応するものが点滅するように構成してもよい。
〔12〕トラクタ1の後部に施肥装置または薬剤散布装置などの作業装置3を連結した場合には、作業条件メモに、施肥量や薬剤散布量などを加えるようにしてもよい。
〔13〕表示パネル10に、タッチパネル機能を有するものを採用して、表示パネル10が、条件表示手段136、設定手段137、記憶指令手段138、および表示指令手段139、として機能するように構成してもよい。
〔14〕表示パネル10などに文字入力部を備え、この文字入力部を設定手段137に利用するように構成してもよい。
〔15〕GPSを利用して、作業条件メモを圃場ごとに記録表示できるように構成してもよい。