JP4766165B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
本発明は、壁掛型の空気調和機の室内機に関する。
従来より、吹出口近傍に配置される水平羽根を備える壁掛型の空気調和機の室内機がある。また、このような空気調和機の室内機には、水平羽根の姿勢が変化することで、吹出口から吹き出される空気の吹き出し方向を調整することができるものがある。
例えば、特許文献1(特開2006−2984号公報)に記載の空気調和機では、本体(室内機に相当)の正面下部には吹出口が形成されており、本体の側面には吹出口に連通している左右吹出口が形成されている。また、この空気調和機は吹出口を覆うことが可能な上下風向板(水平羽根に相当)を備えており、上下風向板が吹出口を閉塞する位置に配置されることで、左右吹出口から本体の左右側方へ空気が吹き出される。このようにして、この空気調和機では、上下風向板が吹出口を閉塞する姿勢を採ることで、本体から側方に向かう空気の吹き出し方向が調整されている。
ところで、特許文献1に開示されている空気調和機の室内機では、左右吹出口から吹き出される空気の吹き出し方向が上下風向板のみによって規制されている。このため、本体の側方に向かって吹き出される空気の吹き出し方向は、上下風向板が配置されている高さ位置においてのみ調整されることになる。
そこで、本発明の課題は、側方に向かって吹き出される空気の吹き出し方向を、2種類の高さ位置において調整することができる空気調和機の室内機を提供することにある。
第1発明に係る空気調和機の室内機は、室内の壁面に取り付けられる壁掛型の室内機であって、ケーシングと、主空気流路と、副空気流路と、水平羽根と、を備えている。ケーシングには、前方吹出口と側方吹出口とを含む吹出口が形成されている。前方吹出口は、前方に空気を吹き出すための開口である。側方吹出口は、側方に空気を吹き出すための開口である。主空気流路は、前方吹出口に向かって空気を流す流路である。副空気流路は、側方吹出口に向かって空気を流す流路である。水平羽根は、前方吹出口を覆うことが可能である。また、水平羽根は、平面視において、少なくともその一部が副空気流路と重なるように左右方向に延びている。側方吹出口の一部は、ケーシングの側面に形成されている。また、副空気流路は、その一部が、ケーシングとは別の非可動な副空気流路形成部によって形成されている。副空気流路形成部は、ケーシングの内側に配置されている。また、副空気流路形成部は、側方吹出口の下端部近傍からケーシングの中央側に傾斜して延びる副空気流路形成面を含む。さらに、水平羽根は、前方吹出口の前方で、前方吹出口に対して平行に配置される姿勢を採ることが可能である。
第1発明に係る空気調和機の室内機では、水平羽根は、平面視において、少なくともその一部が、副空気流路と重なるように左右方向に延びている。このため、側方に向かう空気の吹き出し方向として、前方吹出口の前方に吹き出された空気が水平羽根によって規制されて側方に向かう方向と、副空気流路を流れる空気が側方吹出口から吹き出されて側方に向かう方向と、を構成することができる。したがって、副空気流路の高さ位置および水平羽根の高さ位置において、側方に向かって吹き出される空気の吹き出し方向を調整することができる。
これによって、側方に向かって吹き出される空気の吹き出し方向を、2種類の高さ位置において調整することができる。
また、この空気調和機の室内機では、副空気流路の少なくとも一部を副空気流路形成部によって形成することができる。
さらに、水平羽根が、前方吹出口の前方で、前方吹出口に対して平行に配置される姿勢を採ることが可能であるため、主空気流路を流れて前方吹出口の前方に吹き出された空気を、側方に向かう方向に規制することができる。したがって、主空気流路および副空気流路を流れる空気を側方に向かって吹き出させることができる。
第2発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明の空気調和機の室内機であって、側方吹出口を覆うことが可能な側方遮蔽部材を更に備える。このため、側方遮蔽部材によって側方吹出口が覆われている場合には、空気が側方吹出口から側方に吹き出され難くすることができる。
これによって、必要に応じて側方に空気を吹き出させることができる。
第3発明に係る空気調和機の室内機は、第2発明の空気調和機の室内機であって、前方吹出口が水平羽根によって覆われており、側方吹出口が側方遮蔽部材によって覆われている場合には、水平羽根と側方遮蔽部材とは、左右方向に隣接して配置される。このため、前方吹出口が水平羽根によって覆われており、側方吹出口が側方遮蔽部材によって覆われている場合に、水平羽根と側方遮蔽部材との間に目地が目立つおそれを減らすことができる。
第4発明に係る空気調和機の室内機は、第2発明または第3発明の空気調和機の室内機であって、側方吹出口が開放されている場合には、側方遮蔽部材は、水平羽根と副空気流路形成部との間に収容される。このため、この空気調和機の室内機では、開状態である側方遮蔽部材を収容することができる。
第5発明に係る空気調和機の室内機は、第2発明から第4発明のいずれかの空気調和機の室内機であって、前方吹出口が開放されており、側方吹出口が開放されている場合には、側方遮蔽部材は、水平羽根よりも上方に位置している。この結果、前方吹出口の前方に吹き出され水平羽根によって側方に向かう方向に規制された空気が、側方遮蔽部材と接触しにくくすることができる。
第6発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明から第5発明のいずれかの空気調和機の室内機であって、副空気流路形成部は、主空気流路及び副空気流路に向かって流れる空気を流す流路の正面側に配置されている。この空気調和機では、副空気流路形成部を、主空気流路及び副空気流路よりも上流側に位置する流路の正面側に配置することができる。
第7発明に係る空気調和機の室内機は、第1発明から第6発明のいずれかの空気調和機の室内機であって、副空気流路形成部は、ケーシングに固定されている。このため、側方遮蔽部材の移動によって副空気流路が移動するおそれを減らすことができる。
第1発明に係る空気調和機の室内機では、側方に向かって吹き出される空気の吹き出し方向を、2種類の高さ位置において調整することができる。
第2発明に係る空気調和機の室内機では、必要に応じて側方に空気を吹き出させることができる。
第3発明に係る空気調和機の室内機では、水平羽根と側方遮蔽部材との間に目地が目立つおそれを減らすことができる。
第4発明に係る空気調和機の室内機では、開状態である側方遮蔽部材を収容することができる。
第5発明に係る空気調和機の室内機では、前方吹出口の前方に吹き出され水平羽根によって側方に向かう方向に規制された空気が、側方遮蔽部材と接触しにくくすることができる。
第6発明に係る空気調和機の室内機では、副空気流路形成部を、主空気流路及び副空気流路よりも上流側に位置する流路の正面側に配置することができる。
第7発明に係る空気調和機の室内機では、側方遮蔽部材の移動によって副空気流路が移動するおそれを減らすことができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る室内機10を備える空気調和機について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
<空気調和機の構成概略>
図1は、空気調和機の運転停止時であって、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90が閉状態である室内機10の斜視図である。図2は、上下風向調整羽根30が第2開状態であり、左側方遮蔽部材90が閉状態であり、右側方遮蔽部材20が開状態である室内機10の斜視図である。図3は、上下風向調整羽根30が第2開状態である室内機10の左右方向Y1の概略従断面図である。なお、以下にいう室内機10の左右方向Y1とは、室内機10の長手方向に平行な方向のことである(図1参照)。また、室内機10の前後方向Y2とは、室内機10の厚さ方向に平行な方向のことである(図1参照)。
図1は、空気調和機の運転停止時であって、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90が閉状態である室内機10の斜視図である。図2は、上下風向調整羽根30が第2開状態であり、左側方遮蔽部材90が閉状態であり、右側方遮蔽部材20が開状態である室内機10の斜視図である。図3は、上下風向調整羽根30が第2開状態である室内機10の左右方向Y1の概略従断面図である。なお、以下にいう室内機10の左右方向Y1とは、室内機10の長手方向に平行な方向のことである(図1参照)。また、室内機10の前後方向Y2とは、室内機10の厚さ方向に平行な方向のことである(図1参照)。
空気調和機は、室内の壁面Wに取り付けられる室内機10と、室外に設置される室外機2(図16参照)とを備えており、冷房運転および暖房運転等の各種運転を実行することができる。
室外機2は、圧縮機3と、圧縮機3の吐出側に接続されている四路切換弁4と、圧縮機3の吸入側に接続されるアキュムレータと、四路切換弁4に接続されている室外熱交換器と、室外熱交換器に接続された室外膨張弁7とを有している(図16参照)。室外膨張弁7は、冷媒配管を介して後述する室内熱交換器13の一端と接続される。また、四路切換弁4は、冷媒配管を介して室内熱交換器13の他端と接続されている。また、室外機2内には、室外ファン9が設けられている。室外ファン9は、室外の空気を取り込み、室外熱交換器での熱交換後の空気を室外機2外部に排出するプロペラファンである。
室内機10は、上述のように、室内の壁面W等に取り付けられる壁掛型の室内機10である。また、室内機10は、主として、室内機本体11と、側方吹き出し流路形成部材25,95と、上下風向調整羽根30と、側方遮蔽部材20,90と、を備えている。
次に、室内機本体11、側方吹き出し流路形成部材25,95、上下風向調整羽根30、側方遮蔽部材20,90の順に説明する。
<室内機本体>
図4は、上下風向調整羽根30が第1開状態であって、側方遮蔽部材20,90が開状態である室内機10の前後方向Y2の概略断面図である。なお、図4では、室内熱交換器13を省略して描いている。
図4は、上下風向調整羽根30が第1開状態であって、側方遮蔽部材20,90が開状態である室内機10の前後方向Y2の概略断面図である。なお、図4では、室内熱交換器13を省略して描いている。
室内機本体11は、主に、室内機ケーシング12と、室内熱交換器13と、室内ファン14と、垂直羽根19とを備えている。
室内機ケーシング12は、水平方向に長い略直方形状の部材である。また、室内機ケーシング12には、室内熱交換器13、室内ファン14、および、垂直羽根19等が収納されている。さらに、室内機ケーシング12には、取込口18と、吹出口15とが形成されている。取込口18は、室内の空気を室内機ケーシング12の内側に取り込むための開口であって、室内機ケーシング12の上部に形成されている。
また、吹出口15は、室内機本体11内で調和された空気を吹き出すための開口であって、室内機10の下部近傍に形成されている。具体的には、吹出口15は、室内機ケーシング12の底面および両側面に形成されている。また、室内機ケーシング12は、吹出口15を3つの開口に仕切るための仕切部12a,12aを有している。仕切部12a,12aは、室内機ケーシング12において、室内機ケーシング12の外面よりも内側に設けられている(図5参照)。また、仕切部12a,12aは、室内機ケーシング12の底面の両端部近傍にそれぞれ配置されている。このため、吹出口15には、室内機ケーシング12の底面に設けられている第1開口16と、室内機ケーシング12の底面から左側面にかけて形成されている第2開口17aと、室内機ケーシング12の底面から右側面にかけて形成されている第3開口17bとが含まれる。また、第1開口16、第2開口17aおよび第3開口17bは、室内機10の左右方向Y1に並んで配置されている。
なお、本実施形態では、吹出口15の第1開口16が室内機ケーシング12の底面に形成されているが、これに限定されず、吹出口の第1開口が室内機ケーシングの前面、すなわち、正面に形成されてもよい。また、吹出口が、室内機ケーシングの底面から両側面にかけて連続して形成されていてもよい。さらに、吹出口が、室内機ケーシングの側面に形成されていなくてもよい。
室内熱交換器13は、長手方向両端で複数回折り返されてなる伝熱管と、伝熱管に挿通される複数のフィンとからなり、接触する空気との間で熱交換を行う。また、室内熱交換器13は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。
室内ファン14は、モータ(図示せず)と、モータにより回転駆動される羽根車とを有するクロスフローファンである。また、室内ファン14は、取込口18から室内機ケーシング12内に室内空気を吸入し、室内熱交換器13を通過させた後に、吹出口15から室内機ケーシング12外に調和空気を吹き出す空気流を形成することができるように配置されている。
垂直羽根19は、駆動モータ(図示せず)と、連結棒(図示せず)と、連結棒によって連結された複数枚の羽根19aとを有しており、揺動可能なように室内機ケーシング12に取り付けられている。また、複数枚の羽根19aの面は、駆動モータによって連結棒が駆動されることで、室内機ケーシング12の長手方向に対して垂直な状態を中心に左右に揺動する。さらに、羽根19aは、揺動することにより、または、揺動した後に任意の角度で止まることで、室内機10の左右方向Y1における調和空気の吹き出し方向を調整する。
また、室内機ケーシング12は、図3に示すように、案内部12bと、舌部12cとを有している。案内部12bは、室内ファン14を貫流した調和空気を吹出口15に案内するために、室内ファン14の後側に配置されている。また、舌部12cは、室内ファン14を貫流した調和空気の逆流を防ぐために、室内ファン14の前側に配置されている。このような構成によって、室内機ケーシング12内には、取込口18から取り込まれた室内空気が吹出口15に至るまでに流れる流路である空気流路が形成されている。また、空気流路には、室内熱交換器13によって熱交換され室内ファン14を貫流した調和空気が流れる吹き出し流路Aが含まれる。
<側方吹き出し流路形成部材>
図5は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、右側方遮蔽部材20が閉状態である室内機10の断面図であって、右側方遮蔽部材20近傍の部分拡大図である。図6は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、右側方遮蔽部材20が開状態である室内機10の断面図であって、右側方遮蔽部材20近傍の部分拡大図である。
図5は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、右側方遮蔽部材20が閉状態である室内機10の断面図であって、右側方遮蔽部材20近傍の部分拡大図である。図6は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、右側方遮蔽部材20が開状態である室内機10の断面図であって、右側方遮蔽部材20近傍の部分拡大図である。
側方吹き出し流路形成部材25,95は、側方吹き出し流路C,D(副空気流路に相当)を形成している部材の一部である。側方吹き出し流路C,Dは、上述の吹き出し流路Aの一部であって、第2開口17aおよび第3開口17bに調和空気を流すための流路である。なお、具体的には、側方吹き出し流路C,Dは、側方吹き出し流路形成部材25,95と室内機ケーシング12の一部とから形成されている(図4参照)。
また、側方吹き出し流路形成部材95は、室内機ケーシング12内であって第2開口17a近傍に配置されており、室内機ケーシング12に固定されている。側方吹き出し流路形成部材25は、室内機ケーシング12内であって第3開口17b近傍に配置されており、室内機ケーシング12に固定されている。さらに、側方吹き出し流路形成部材25,95の下側には、室内機ケーシング12の一部である仕切部12a,12aが配置されている。このため、吹き出し流路Aは、その下部において、第1開口16に調和空気を流すための流路である正面吹き出し流路B(主空気流路に相当)と、第2開口17aまたは第3開口17bに調和空気を流すための流路である側方吹き出し流路C,Dとに分かれている。さらに、正面吹き出し流路Bを流れる調和空気は、第1開口16の前方、すなわち、吹出口15の前方に向かって流れる。また、側方吹き出し流路C,Dを流れる調和空気は、第2開口17aまたは第3開口17bの前方、すなわち、吹出口15の左右両側方に向かって流れる。
次に、側方吹き出し流路形成部材25,95の構成について説明する。なお、側方吹き出し流路形成部材95は、側方吹き出し流路形成部材25の構成を左右対称にしたものと同様の構成であるため、ここでは、側方吹き出し流路形成部材25の構成についてのみ説明を行い、側方吹き出し流路形成部材95については、側方吹き出し流路形成部材25について付される20番台の符号を90番台に読み替えることによって、説明を省略する。
側方吹き出し流路形成部材25は、図5および図6に示すように、第1部分26と、第2部分27とを有する。第1部分26は、第3開口17b近傍から上方に延びている。また、第1部分26は、右側方遮蔽部材20に対応可能なように湾曲した形状を有している。さらに、第1部分26は、第1部分26の上部が第1部分26の下部よりも室内機本体11の中央側に近くなるように傾斜して配置されている。第2部分27は、所定方向の断面が略L字形状を呈する部材である。また、第2部分27は、第1部分26の上部から連続して形成されており、第1部分26よりも室内機本体11の中央側に配置されている。さらに、第2部分27は、第1部分26の一部とともに、後述する開状態の右側方遮蔽部材20の一部を収納するための収納空間Sを形成している。
<上下風向調整羽根>
図7は、上下風向調整羽根30および右側方遮蔽部材20が閉状態である場合の室内機10の底面図である。図8は、上下風向調整羽根30が第1開状態であって右側方遮蔽部材20が開状態である場合の室内機10の底面図である。図9は、室内機10を底面から視た概念図であって、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90と室内機ケーシング12とを別々に示している。図10は、第1開状態である上下風向調整羽根30を側面から視た室内機10の概念図である。図11は、上下風向調整羽根30および取り付け板80の外観斜視図である。なお、図10では、側方遮蔽部材20,90、側方吹き出し流路形成部材25,95および第2移動機構29,99を省略して描いている。また、以下にいう上下風向調整羽根30の前側端部とは、上下風向調整羽根30において、上下風向調整羽根30が閉状態である場合に室内機10の前側に近い側の端部を意味している。また、上下風向調整羽根30の後側端部とは、上下風向調整羽根30において、上下風向調整羽根30が閉状態である場合に室内機10の後側に近い側の端部を意味している。
図7は、上下風向調整羽根30および右側方遮蔽部材20が閉状態である場合の室内機10の底面図である。図8は、上下風向調整羽根30が第1開状態であって右側方遮蔽部材20が開状態である場合の室内機10の底面図である。図9は、室内機10を底面から視た概念図であって、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90と室内機ケーシング12とを別々に示している。図10は、第1開状態である上下風向調整羽根30を側面から視た室内機10の概念図である。図11は、上下風向調整羽根30および取り付け板80の外観斜視図である。なお、図10では、側方遮蔽部材20,90、側方吹き出し流路形成部材25,95および第2移動機構29,99を省略して描いている。また、以下にいう上下風向調整羽根30の前側端部とは、上下風向調整羽根30において、上下風向調整羽根30が閉状態である場合に室内機10の前側に近い側の端部を意味している。また、上下風向調整羽根30の後側端部とは、上下風向調整羽根30において、上下風向調整羽根30が閉状態である場合に室内機10の後側に近い側の端部を意味している。
上下風向調整羽根30は、吹出口15の正面側を覆うことが可能な部材であって、室内機10の下部に配置されている。具体的には、上下風向調整羽根30は、第1開口16の略全部を覆うことが可能な板状の部材であって、第1開口16近傍に配置されている。また、上下風向調整羽根30は、室内機10の左右方向Y1に平行な方向である上下風向調整羽根30の長手方向の寸法が第1開口16の長手方向の寸法よりも大きくなるように構成されている(図9参照)。さらに、上下風向調整羽根30は、平面視において、少なくともその一部が側方吹き出し流路形成部材25,95と重なるように室内機10の左右方向Y1に延びている(図7参照)。言い換えると、上下風向調整羽根30は、平面視において、上下風向調整羽根30の両端部が側方吹き出し流路形成部材25,95と重なるように構成されている(図9参照)。
さらに、上下風向調整羽根30は、後述する第1移動機構50と連結する連結部31,32,33,34,35を有する。連結部31,32,33,34,35は、上下風向調整羽根30において、上下風向調整羽根30が吹出口15を覆っている状態で、室内機10の外部から視認することができる面とは反対側の面に配置されている。また、連結部31,32,33,34,35は、第1連結部31,32,33と、第2連結部34,35とを含む。第1連結部31,32,33は、上下風向調整羽根30の前側端部近傍であって、上下風向調整羽根30の両端部近傍および上下風向調整羽根30の長手方向の略中央付近にそれぞれ配置されている(図2および図10参照)。第2連結部34,35は、上下風向調整羽根30の後側端部近傍であって、上下風向調整羽根30の長手方向の略中央付近にそれぞれ配置されている(図2および図10参照)。また、各第2連結部34,35は、上下風向調整羽根30の長手方向に対して平行な方向に並んで配置されている。さらに、第2連結部34,35は、上下風向調整羽根30において、3箇所の第1連結部31,32,33を結ぶ直線上から外れた位置に配置されている。このため、第1連結部31,32,33および第2連結部34,35の位置が確定することで、上下風向調整羽根30の位置および姿勢が確定する。
また、第1連結部31,32,33および第2連結部34,35は、それぞれ軸支部を含む。各軸支部は、後述する支持軸47,57,67,78a,78bを回転可能に軸支している。また、各軸支部は、摺動性に優れた部材(高摺動部材)によって構成されており、摩擦を抑えて支持軸47,57,67,78a,78bを滑らかに回転させることができる。
さらに、上下風向調整羽根30は、4つの状態(閉状態、第1開状態、第2開状態、および、第3開状態)を採ることが可能である。なお、本実施形態における「遮蔽」とは、吹出口15に含まれる所定開口を覆うことが可能な部材によって、前記所定開口の略全部が覆われている状態を意味しており、本実施形態における「開放」とは、吹出口15の所定開口を覆うことが可能な部材によって、前記所定開口の略全部が覆われていない状態を意味している。例えば、第1開口16の略全体が上下風向調整羽根30によって覆われている状態を第1開口16が遮蔽されている状態とし、第1開口16の略全体が上下風向調整羽根30によって覆われていない状態を第1開口16が開放されている状態とする。
上下風向調整羽根30の状態が閉状態の場合、上下風向調整羽根30は、第1開口16を覆うように配置される(図1参照)。このため、上下風向調整羽根30の状態が閉状態の場合には、上下風向調整羽根30によって第1開口16が遮蔽される。
上下風向調整羽根30の状態が第1開状態の場合、上下風向調整羽根30は、第1開口16の開口面に対して略平行に対向するように配置される(図10参照)。このため、開放されている第1開口16から吹き出された空気は、上下風向調整羽根30に規制されて、室内機10の前方および左右両側方に向かって吹き出される。
上下風向調整羽根30の状態が第2開状態の場合、上下風向調整羽根30は、第1開口16の開口面に対して所定角度だけ傾斜するように配置される。具体的には、上下風向調整羽根30は、上下風向調整羽根30の後側端部が前側端部よりも第1開口16に対して近くなるように、前後方向に傾斜して配置される(図2参照)。このため、開放されている第1開口16から吹き出された空気は、上下風向調整羽根30に規制されて、室内機10の前方に向かって吹き出される。
また、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態である場合、上下風向調整羽根30は、第1開口16の開口面に対して前後方向に傾斜して配置されている。このため、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態である場合には、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態である場合と比較して、室内機10の下方に向かう空気流が形成される。このため、以下より、第1開口16から吹き出されて第2開状態の上下風向調整羽根30によって規制された空気が向かう方向を前側下方といい、第1開口16から吹き出された空気のうち第1開状態の上下風向調整羽根30によって規制されて室内機10の前方に向かって吹き出される空気が向かう方向を前側下方という。
上下風向調整羽根30の状態が第3開状態の場合、上下風向調整羽根30は、第1開口16の開口面に対して所定角度だけ傾斜するように配置される。具体的には、上下風向調整羽根30は、上下風向調整羽根30の前側端部が後側端部よりも第1開口16に近くなるように、前後方向に傾斜して配置される。このため、開放されている第1開口16から吹き出された空気は、上下風向調整羽根30に規制されて、室内機10の下方に向かって吹き出される。
また、室内機10は、上下風向調整羽根30の状態を切り換えるための機構である第1移動機構50を備えている。
第1移動機構50は、迫り出し機構41,51,61と、角度調整機構71a,71bと、を有している(図10および図11参照)。迫り出し機構41,51,61は、ラック/ピニオン機構であって、上下風向調整羽根30が第1開口16近傍から前方に迫り出されるように、上下風向調整羽根30との連結部分である第1連結部31,32,33を移動させる。具体的には、迫り出し機構41,51,61では、迫り出し機構駆動用モータ54が駆動することによって、迫り出し機構駆動用モータ54の有する駆動軸54aに連結されている各ピニオン歯車42,52,62が回転される。また、各ピニオン歯車42,52,62が回転されることで、ピニオン歯車42,52,62と噛み合うラック46,56,66に動力が伝達される。ラック46,56,66は移動部材43,53,63の上端部から下端部にかけて設けられているため、各ピニオン歯車42,52,62からラック46,56,66に動力が伝達されることで、ピニオン歯車42,52,62に対する移動部材43,53,63の位置が変化する。このため、移動部材43,53,63の下端部に形成されている支持軸47,57,67の各ピニオン歯車42,52,62に対する位置が移動される。支持軸47,57,67は上下風向調整羽根30の第1連結部31,32,33の軸支部に挿通しているため、支持軸47,57,67が移動されることで、上下風向調整羽根30の第1連結部31,32,33が移動される。したがって、上下風向調整羽根30は、移動部材43,53,63の移動に伴って、第1開口16の開口面に向かう方向、あるいは、第1開口16の開口面から遠ざかる方向に移動する。これによって、第1移動機構50は、上下風向調整羽根30をスライド移動、すなわち、迫り出し移動させることができる。なお、迫り出し機構駆動用モータ54の回転量および回転方向は、後述する制御部84によって制御されている。
また、角度調整機構71a,71bは、上下風向調整羽根30の第1開口16の開口面に対する前後方向の傾斜角度が調整されるように、上下風向調整羽根30との連結部分である第2連結部34,35を移動させる。具体的には、角度調整機構71a,71bでは、角度調整機構駆動用モータ73a,73bの駆動によってリンク機構72a,72bが回転することで、上下風向調整羽根30の第2連結部34,35が押し引きされる。より具体的には、角度調整機構駆動用モータ73a,73bが駆動することで、角度調整機構駆動用モータ73a,73bの有する駆動軸79a,79b近傍に配置されている揺動レバー74a,74bが揺動する。また、揺動レバー74a,74bの揺動に伴って揺動レバー74a,74bに回動可能に連結されているアーム75a,75bが回転する。このため、アーム75a,75bの端部に形成されている支持軸78a,78bの角度調整機構駆動用モータ73a,73bに対する位置が移動される。支持軸78a,78bは上下風向調整羽根30の第2連結部34,35の軸支部と係合しているため、支持軸78a,78bが移動されることで、上下風向調整羽根30の第2連結部34,35が移動される。したがって、上下風向調整羽根30は、アーム75a,75bの回転に伴って、第1開口16の開口面に対する前後方向の傾斜角度が変更される。なお、リンク機構72a,72bの回転角度、すなわち、角度調整機構駆動用モータ73a,73bの回転量および回転方向は、後述する制御部84によって制御されている。
また、第1移動機構50は、取り付け板80を有している。取り付け板80は、第1開口16の開口面よりも上方に配置されている。また、取り付け板80の上面には、1つの迫り出し機構駆動用モータ54および2つの角度調整機構駆動用モータ73a,73bが固定されている。このため、迫り出し機構駆動用モータ54および角度調整機構駆動用モータ73a,73bは、取り付け板80とともに、室内機ケーシング12の内部に収納されている。
<側方遮蔽部材>
図12は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、右側方遮蔽部材20が閉状態である場合の室内機10の斜視図であって、右側方遮蔽部材20近傍の部分拡大図である。図13は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、右側方遮蔽部材20が開状態である場合の室内機10の斜視図であって、右側方遮蔽部材20近傍の部分拡大図である。図14は、上下風向調整羽根30が第1開状態であって、右側方遮蔽部材20が開状態である場合の室内機10の側面図であって、室内機10の下部を示す図である。図15は、右側方遮蔽部材20近傍の斜視図である。なお、図14中の一点鎖線は、右側方遮蔽部材20の回転軸を示している。また、図15では、室内機ケーシング12の前部および側方吹き出し流路形成部材25を省略して描いている。
図12は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、右側方遮蔽部材20が閉状態である場合の室内機10の斜視図であって、右側方遮蔽部材20近傍の部分拡大図である。図13は、上下風向調整羽根30が第2開状態であって、右側方遮蔽部材20が開状態である場合の室内機10の斜視図であって、右側方遮蔽部材20近傍の部分拡大図である。図14は、上下風向調整羽根30が第1開状態であって、右側方遮蔽部材20が開状態である場合の室内機10の側面図であって、室内機10の下部を示す図である。図15は、右側方遮蔽部材20近傍の斜視図である。なお、図14中の一点鎖線は、右側方遮蔽部材20の回転軸を示している。また、図15では、室内機ケーシング12の前部および側方吹き出し流路形成部材25を省略して描いている。
側方遮蔽部材20,90は、吹出口15の側面側を覆うことが可能な部材であって、室内機10の左右両側方下部に配置されている。具体的には、側方遮蔽部材20,90は、室内機10の下部の角部に沿った湾曲した形状を呈する部材であって、第2開口17aおよび第3開口17b近傍にそれぞれ配置されている。
次に、側方遮蔽部材20,90の構成について説明する。なお、以下より、側方遮蔽部材20,90のうち、室内機10の正面視において、室内機10の右側下部に配置される側方遮蔽部材20,90を右側方遮蔽部材20といい、室内機10の左側下部に配置される側方遮蔽部材20,90を左側方遮蔽部材90という。また、左側方遮蔽部材90は、右側方遮蔽部材20の構成を左右対称にした構成と同様であるため、ここでは、右側方遮蔽部材20の構成のみを説明し、左側方遮蔽部材90の構成については説明を省略する。
右側方遮蔽部材20は、第1部21と、第2部22とを有する。第1部21には、右側方遮蔽部材20の第1端部20aが含まれる。また、第1部21は、第3開口17bのうち室内機ケーシング12の底面に形成されている開口部分を覆うことが可能である。第2部22には、右側方遮蔽部材20が閉状態である場合に第1端部20aよりも上方に位置する第2端部20bが含まれる。また、第2部22は、第3開口17bのうち室内機ケーシング12の側面に形成されている開口部分を覆うことが可能である。
また、側方遮蔽部材20,90は、2つの状態(閉状態および開状態)を採ることが可能である。
側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態である場合、右側方遮蔽部材20が第3開口17bを覆うように配置され、左側方遮蔽部材90が第2開口17aを覆うように配置される(図12参照)。このため、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合には、吹出口15が遮蔽される。また、側方遮蔽部材20,90は、側方遮蔽部材20,90および上下風向調整羽根30が吹出口15を遮蔽している状態である場合には、室内機10の底面視において、側方遮蔽部材20,90の第1部21,91と上下風向調整羽根30とが左右方向に概ね連続して配置される(図7および図9参照)。さらに、側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合には、側方遮蔽部材20,90の第2部分(22;図5参照)と室内機ケーシング12の側面とが概ね連続して配置される。
側方遮蔽部材20,90の状態が開状態である場合、右側方遮蔽部材20が第3開口17bを開放するように配置され、左側方遮蔽部材90が第2開口17aを開放するように配置される(図8および図13参照)。また、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合には、側方遮蔽部材20,90の第1部21,91が収納空間Sに収納される(図6参照)。
なお、本実施形態では、側方遮蔽部材20,90が開状態と採る場合には、上下風向調整羽根30は、第1開状態、第2開状態または第3開状態のいずれかの状態を採るものとする。このため、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合には、側方遮蔽部材20,90は、側方吹き出し流路形成部材25,95と上下風向調整羽根30との間に収容される。
また、室内機10は、第1移動機構50とは別の移動機構であって、側方遮蔽部材20,90の状態を切り換えるための機構である第2移動機構29,99を備えている。また、第2移動機構29,99は、側方遮蔽部材20,90の状態を閉状態から開状態に切り換える場合には、閉状態である側方遮蔽部材20,90を室内機本体11の左右方向の中央に向かって移動させる。なお、このとき、第2移動機構29,99は、側方遮蔽部材20,90が上下風向調整羽根30の上側に配置されるように、側方遮蔽部材20,90を移動させる。
次に、第2移動機構29,99の構成について説明する。また、第2移動機構29,99は、右側方遮蔽部材20の状態を切り換えるための第2移動機構29と、左側方遮蔽部材90の状態を切り換えるための第2移動機構99とを有する。なお、第2移動機構99は、第2移動機構29の構成を左右対称にした構成と同様であるため、ここでは、第2移動機構29の構成のみを説明し、第2移動機構99の構成については説明を省略する。
第2移動機構29は、第2移動機構駆動用モータ24と、支持部材23と、バネ部28とを備えている。第2移動機構駆動用モータ24は、第2移動機構駆動用モータ24が駆動することによって回転する駆動軸24bと、駆動軸24bに連動して回転する連動レバー24aとを有している。支持部材23は、前方支持部材23aと後方支持部材23bとを有している。前方支持部材23aの下端部は、右側方遮蔽部材20の前側端部に固定されている。また、前方支持部材23aの上端部は、室内機ケーシング12に回転自在に支持されている。後方支持部材23bの下端部は、右側方遮蔽部材20の後側端部に固定されている。また、後方支持部材23bの上端部は、第2移動機構駆動用モータ24の有する駆動軸24bに連結されている。バネ部28は、バネ保持部28aとバネ部材28bとを有している。バネ保持部28aは、駆動軸24bを中心に回転可能に設けられている。また、バネ保持部28aは、その一部が後方支持部材23bと連結している。さらに、バネ保持部28aには、係止ピン28cが突設されている。バネ部材28bは、その一端が図12に示す矢印X1方向より係止ピン28cに架かっており、係止ピン28cを介してバネ保持部28aを図12に示す矢印X1方向に付勢している。また、バネ部材28bの他端は、室内機ケーシング12に固定されている。このため、バネ部材28bは、係止ピン28cを介して図12に示す矢印X1方向に後方支持部材23bを常に付勢している。
このような構成によって、第2移動機構29では、第2移動機構駆動用モータ24の駆動によって連動レバー24aがバネ部材28bの付勢力に抗して係止ピン28cの当接部を押圧して図12中の矢印X2方向に回動することで、後方支持部材23bが同方向に回動する。このため、右側方遮蔽部材20は、室内機10の前後方向Y2に傾斜して配置されている駆動軸24bを回転軸として、吹出口15の第3部分17bを開放する方向に移動する。すなわち、第2移動機構駆動用モータ24は、バネ部材28bによる付勢力に抗して右側方遮蔽部材20の状態を閉状態から開状態に切り換える。このようにして、右側方遮蔽部材20の第1部21が収納空間Sに収納される。なお、このとき、右側方遮蔽部材20において収納空間Sに収納されていない部分である第2部22の一部が、上下風向調整羽根30が閉状態である場合に位置している第1開口16の開口部分の一部に配置される。
また、バネ部材28bによって後方支持部材23bが図15に示す矢印X1方向に常に付勢されているため、右側方遮蔽部材20はその状態が常に閉状態となる方向に付勢されている。したがって、第2移動機構29では、第2移動機構駆動用モータ24の駆動によって連動レバー24aが図15に示す矢印X1方向に回動することで、バネ部材28bの付勢力によって係止ピン28cおよび後方支持部材23bが同方向に回動する。これによって、右側方遮蔽部材20は、駆動軸24bを回転軸として、第3開口17bを遮蔽する方向に移動する。
なお、第2移動機構99では、第2移動機構駆動用モータ94の駆動によって、左側方遮蔽部材90が、バネ部材による付勢力に抗して閉状態から開状態に切り換えられたり、バネ部材の付勢力によって開状態から閉状態に切り換えられたりする。また、第2移動機構駆動用モータ24,94の駆動は、後述する制御部84によって制御されている。
<制御部>
図16は、空気調和機の備える制御部84の制御ブロック図である。
図16は、空気調和機の備える制御部84の制御ブロック図である。
制御部84は、図16に示すように、室内機10および室外機2の各種機器と接続されており、リモートコントローラ86を介した空調対象者からの運転指令に基づいて、冷房運転や暖房運転等の各運転モードに応じた各種機器の運転制御を行うことができる。
また、リモートコントローラ86には、運転停止/開始ボタン、運転切り換えボタン、および、風向設定ボタン86a等の複数のスイッチが設けられている。運転停止/開始ボタンは、空調対象者によって空気調和機の運転が停止されるとき、または、運転が開始されるときに操作されるスイッチである。また、運転切り換えボタンは、空調対象者によって空気調和機の冷房運転または暖房運転等の各種運転モードが設定されるときに操作されるスイッチである。さらに、風向設定ボタン86aは、空調対象者によって室内機10から吹き出される空気の吹き出し方向が設定されるときに操作されるスイッチである。例えば、空調対象者によって風向設定ボタン86aが押されると、制御部84は、空調対象者からの風向設定指令を制御信号として受信する。なお、本実施形態における風向設定指令には、調和空気が室内機10の側方にも吹き出すように空気の吹き出し方向を設定するための指令である第1指令と、調和空気が空調対象者に直接当たらないように室内機10の前側上方および側方に吹き出すように空気の吹き出し方向を設定するための指令である第2指令とが含まれる。また、風向設定指令の第1指令は、上下風向調整羽根30が第2開状態または第3開状態を採っている場合にのみ為される指令とする。また、制御部84は、空調対象者からの風向設定指令を制御信号として受信した場合には、垂直羽根19が室内機ケーシング12の長手方向に対して左右方向に揺動するように、駆動モータを制御する。
さらに、制御部84は、駆動制御部85を有する。駆動制御部85は、迫り出し機構駆動用モータ54および2つの角度調整機構駆動用モータ73a,73bの回転数と回転方向とを制御することで、迫り出し機構41,51,61および角度調整機構71a,71bを任意のタイミングで駆動させる。これによって、上下風向調整羽根30の状態を切り換えることができる。また、駆動制御部85は、第2移動機構駆動用モータ24,94の回転数および回転方向を制御することで、第2移動機構29,99を任意のタイミングで駆動させる。これによって、側方遮蔽部材20,90の状態を切り換えることができる。
なお、駆動制御部85は、側方遮蔽部材20,90を閉状態から開状態に切り換える場合には、側方遮蔽部材20,90と上下風向調整羽根30とが干渉しないように、上下風向調整羽根30の状態を閉状態から第1開状態、第2開状態、または、第3開状態に切り換えた後に、側方遮蔽部材20,90の状態を閉状態から開状態に切り換える。また、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30の状態を第1開状態、第2開状態、または、第3開状態から閉状態に切り換える場合であって、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合には、側方遮蔽部材20,90と上下風向調整羽根30とが干渉しないように、側方遮蔽部材20,90の状態を開状態から閉状態に切り換えた後に、上下風向調整羽根30の状態を第1開状態、第2開状態、または、第3開状態から閉状態に切り換える。
また、制御部84は、受信した風向設定指令に関する制御信号、冷房運転または暖房運転の運転モード設定指令に関する制御信号、および、運転停止指令に関する制御信号を駆動制御部85に送信する。そして、駆動制御部85は、制御部84から送信された制御信号に基づいて、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90の状態を切り換える。
例えば、制御部84から冷房運転の運転モード設定指令に関する制御信号が送信された場合、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30の状態が第2開状態となるように第1移動機構50を駆動させる。
これによって、第1開口16から吹き出された調和空気は、上下風向調整羽根30によって規制されて室内機10の前側下方に吹き出される。
また、例えば、制御部84から暖房運転の運転モード設定指令に関する制御信号が送信された場合、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30の状態が第3開状態となるように第1移動機構50を駆動させる。
これによって、第1開口16から吹き出された調和空気は、上下風向調整羽根30によって規制されて室内機10の下方に吹き出される。
また、例えば、制御部84から第1指令に関する制御信号が送信された場合、駆動制御部85は、側方遮蔽部材20,90の状態が開状態となるように、第2移動機構29,99を駆動させる。
これによって、第2開口17aおよび第3開口17bに至った調和空気は、室内機10の側方に向かって吹き出される。なお、このとき、駆動制御部85は、第1移動機構50を駆動させないため、上下風向調整羽根30の状態は、第2開状態または第3開状態のいずれか一方の状態が維持される。したがって、空調対象者からリモートコントローラ86を介して第1指令が為された場合、調和空気は、室内機10の側方と、室内機10の前方下方または室内機10の下方とに吹き出される。
また、例えば、制御部84から第2指令に関する制御信号が送信された場合、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30の状態が第1開状態となるように第1移動機構50を駆動させるとともに、側方遮蔽部材20,90の状態が開状態となるように第2移動機構29,99を駆動させる。
これによって、第1開口16から吹き出された調和空気は、上下風向調整羽根30によって規制されて室内機10の前側上方および左右両側方に吹き出される。また、第2開口17aおよび第3開口17bに至った調和空気は、室内機10の側方に向かって吹き出される。
また、例えば、制御部84から冷房運転および暖房運転の運転停止指令に関する制御信号が送信された場合、駆動制御部85は、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90の状態が閉状態となるように第1移動機構50および/または第2移動機構29,99を駆動させる。
これによって、上下風向調整羽根30および側方遮蔽部材20,90によって、吹出口15が遮蔽される。
<特徴>
(1)
上記実施形態では、上下風向調整羽根30が、室内機10の平面視において少なくともその一部が側方吹き出し流路形成部材25,95と重なるように、室内機10の左右方向Y1に延びている。このため、室内機10の側方に向かう空気の吹き出し方向として、正面吹き出し流路Bを流れて吹出口15の前方に吹き出され第1開状態の上下風向調整羽根30によって規制される方向と、側方吹き出し流路C,Dを流れて吹出口15の側方に吹き出される方向と、を構成することができる。したがって、室内の床面からの側方吹き出し流路形成部材25,95高さ位置、および、室内の床面からの上下風向調整羽根30の高さ位置において、側方に向かって吹き出される空気の吹き出し方向を調整することができる。
(1)
上記実施形態では、上下風向調整羽根30が、室内機10の平面視において少なくともその一部が側方吹き出し流路形成部材25,95と重なるように、室内機10の左右方向Y1に延びている。このため、室内機10の側方に向かう空気の吹き出し方向として、正面吹き出し流路Bを流れて吹出口15の前方に吹き出され第1開状態の上下風向調整羽根30によって規制される方向と、側方吹き出し流路C,Dを流れて吹出口15の側方に吹き出される方向と、を構成することができる。したがって、室内の床面からの側方吹き出し流路形成部材25,95高さ位置、および、室内の床面からの上下風向調整羽根30の高さ位置において、側方に向かって吹き出される空気の吹き出し方向を調整することができる。
これによって、側方に向かって吹き出される空気の吹き出し方向を、2種類の高さ位置において調整することができている。
また、正面吹き出し流路Bを流れる調和空気は、第1開口16から吹き出された直後に拡散していく。そこで、上記実施形態では、第1開口16の左右両端部よりも上下風向調整羽根30の左右両端部が室内機10の左右方向Y1に延びているため、第1開口16から吹き出される調和空気が上下風向調整羽根30によって規制されないおそれを減らすことができる。
これによって、第1開口16から吹き出される空気の吹き出し方向を調整しやすくすることができている。
(2)
上記実施形態では、側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合には、第2開口17aおよび第3開口17bを遮蔽することができる。このため、第2開口17aおよび第3開口17bから側方に調和空気が吹き出されないようにすることができる。
上記実施形態では、側方遮蔽部材20,90が閉状態である場合には、第2開口17aおよび第3開口17bを遮蔽することができる。このため、第2開口17aおよび第3開口17bから側方に調和空気が吹き出されないようにすることができる。
これによって、必要に応じて側方に空気を吹き出させることができている。
(3)
上記実施形態では、仕切部12a,12aが、室内機ケーシング12の外面よりも内側に配置されている。また、側方遮蔽部材20,90および上下風向調整羽根30が吹出口15を遮蔽している状態である場合には、室内機10の底面視において、側方遮蔽部材20,90の第1部21,91と上下風向調整羽根30とが左右方向に概ね連続して配置される。このため、側方遮蔽部材20,90および上下風向調整羽根30が閉状態を採る場合に、側方遮蔽部材20,90と上下風向調整羽根30との間の目地が目立つおそれを減らすことができる。したがって、室内機10の外観が損なわれるおそれを減らすことができる。
上記実施形態では、仕切部12a,12aが、室内機ケーシング12の外面よりも内側に配置されている。また、側方遮蔽部材20,90および上下風向調整羽根30が吹出口15を遮蔽している状態である場合には、室内機10の底面視において、側方遮蔽部材20,90の第1部21,91と上下風向調整羽根30とが左右方向に概ね連続して配置される。このため、側方遮蔽部材20,90および上下風向調整羽根30が閉状態を採る場合に、側方遮蔽部材20,90と上下風向調整羽根30との間の目地が目立つおそれを減らすことができる。したがって、室内機10の外観が損なわれるおそれを減らすことができる。
これによって、室内機10の意匠性を向上させることができている。
(4)
上記実施形態では、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合には、側方遮蔽部材20,90は、側方吹き出し流路形成部材25,95と上下風向調整羽根30との間に収容される。また、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合には、側方遮蔽部材20,90の第1部21,91が収納空間Sに収納される。このため、開状態である側方遮蔽部材20,90の少なくとも一部を室内機ケーシング12内に収容することができる。したがって、室内機10の外郭からの側方遮蔽部材20,90の突出を抑えることができる。
上記実施形態では、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合には、側方遮蔽部材20,90は、側方吹き出し流路形成部材25,95と上下風向調整羽根30との間に収容される。また、側方遮蔽部材20,90が開状態である場合には、側方遮蔽部材20,90の第1部21,91が収納空間Sに収納される。このため、開状態である側方遮蔽部材20,90の少なくとも一部を室内機ケーシング12内に収容することができる。したがって、室内機10の外郭からの側方遮蔽部材20,90の突出を抑えることができる。
これによって、側方遮蔽部材20,90が開状態を採る場合でも、室内機10の外観が損なわれるおそれを減らすことができる。
(5)
上記実施形態では、各側方吹き出し流路形成部材25,95は、室内機ケーシング12に固定されている。このため、側方遮蔽部材20,90の状態が切り換わることによって、側方吹き出し流路C,Dが移動しないようにすることができている。
上記実施形態では、各側方吹き出し流路形成部材25,95は、室内機ケーシング12に固定されている。このため、側方遮蔽部材20,90の状態が切り換わることによって、側方吹き出し流路C,Dが移動しないようにすることができている。
<変形例>
上記実施形態では、第2移動機構29,99がバネ部材を有しており、側方遮蔽部材20,90の状態が、バネ部材による付勢力に抗して閉状態から開状態に切り換えられたり、バネ部材の付勢力によって開状態から閉状態に切り換えられたりしている。
上記実施形態では、第2移動機構29,99がバネ部材を有しており、側方遮蔽部材20,90の状態が、バネ部材による付勢力に抗して閉状態から開状態に切り換えられたり、バネ部材の付勢力によって開状態から閉状態に切り換えられたりしている。
これに代えて、第2移動機構がバネ部材を有しておらず、側方遮蔽部材の状態が、第2移動機構駆動用モータの駆動によって切り換えられてもよい。
本発明は、側方に向かって吹き出される空気の吹き出し方向を2種類の高さ位置において調整することができるため、壁掛型の空気調和機の室内機への適用が有効である。
10 室内機
12 室内機ケーシング(ケーシング)
15 吹出口
16 第1開口(前方吹出口)
17a 第2開口(側方吹出口)
17b 第3開口(側方吹出口)
20 右側方遮蔽部材/側方遮蔽部材(側方遮蔽部材)
30 上下風向調整羽根(水平羽根)
90 左側方遮蔽部材/側方遮蔽部材(側方遮蔽部材)
25,95 側方吹き出し流路形成部材(副空気流路形成部)
B 正面吹き出し流路(主空気流路)
C,D 側方吹き出し流路(副空気流路)
12 室内機ケーシング(ケーシング)
15 吹出口
16 第1開口(前方吹出口)
17a 第2開口(側方吹出口)
17b 第3開口(側方吹出口)
20 右側方遮蔽部材/側方遮蔽部材(側方遮蔽部材)
30 上下風向調整羽根(水平羽根)
90 左側方遮蔽部材/側方遮蔽部材(側方遮蔽部材)
25,95 側方吹き出し流路形成部材(副空気流路形成部)
B 正面吹き出し流路(主空気流路)
C,D 側方吹き出し流路(副空気流路)
Claims (7)
- 室内の壁面(W)に取り付けられる壁掛型の室内機であって、
前方に空気を吹き出すための前方吹出口(16)と、側方に空気を吹き出すための側方吹出口(17a,17b)とを含む吹出口(15)が形成されているケーシング(12)と、
前記前方吹出口に向かって空気を流す主空気流路(B)と、
前記側方吹出口に向かって空気を流す副空気流路(C,D)と、
前記前方吹出口を覆うことが可能であり、平面視において少なくともその一部が前記副空気流路と重なるように左右方向に延びる水平羽根(30)と、
を備え、
前記側方吹出口の一部は、前記ケーシングの側面に形成されており、
前記副空気流路は、その一部が、前記ケーシングの内側に配置されており前記ケーシングとは別の非可動な副空気流路形成部(25,95)によって形成されており、
前記副空気流路形成部は、前記側方吹出口の下端部近傍から前記ケーシングの中央側に傾斜して延びる副空気流路形成面を含み、
前記水平羽根は、前記前方吹出口の前方で、前記前方吹出口に対して平行に配置される姿勢を採ることが可能である、
空気調和機の室内機(10)。 - 前記側方吹出口を覆うことが可能な側方遮蔽部材(20,90)を更に備える、
請求項1に記載の空気調和機の室内機。 - 前記前方吹出口が前記水平羽根によって覆われており前記側方吹出口が前記側方遮蔽部材によって覆われている場合には、前記水平羽根と前記側方遮蔽部材とは、左右方向に隣接して配置される、
請求項2に記載の空気調和機の室内機。 - 前記側方遮蔽部材は、前記側方吹出口が開放されている場合には、前記水平羽根と前記副空気流路形成部との間に収容される、
請求項2又は3に記載の空気調和機の室内機。 - 前記前方吹出口が開放されており、前記側方吹出口が開放されている場合には、前記側方遮蔽部材は、前記水平羽根よりも上方に位置している、
請求項2から4のいずれかに記載の空気調和機の室内機。 - 前記副空気流路形成部は、前記主空気流路及び前記副空気流路に向かって流れる空気を流す流路の正面側に配置されている、
請求項1から5のいずれかに記載の空気調和機の室内機。 - 前記副空気流路形成部は、前記ケーシングに固定されている、
請求項1から6のいずれかに記載の空気調和機の室内機。
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