JP4763547B2 - 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法、その方法を使用して製造した電子写真感光体、その感光体を装着した画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
近年、電子写真方式によるレーザープリンターやデジタル複写機等の画像形成装置は、画像品質やその安定性が向上し、広く普及している。最近では、それらの高速化、小型化、フルカラー化が急速に進行しており、それらに用いられる電子写真感光体の高耐久化の重要性が一段と高まっている。
これら画像形成装置に使用される電子写真感光体としては、有機系の感光材料を用いたものが、コスト、生産性及び環境安定性等の理由から、広く使用されている。これらの電子写真感光体の層構成としては、電荷発生機能と電荷輸送機能を一つの層に備えた単層型、電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とに機能分離した積層型に大別されるが、静電特性の安定性や耐久性の面から後者が広く用いられている。
機能分離した積層型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、一様に帯電された感光体に光照射すると、光は電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質に吸収されて電荷(電荷対)を生成する。それによって発生した電荷が電荷発生層及び電荷輸送層の界面で電荷輸送層に注入され、さらに電界によって電荷輸送層中を移動し、感光体の表面に達し、帯電により与えられた表面電荷を中和して静電潜像が形成される。
しかし、有機系の感光体は、無機系の感光体に比べて、繰り返し使用することにより摩耗しやすいことが課題として認識されている。表面の感光層の摩耗が進むと、感光体の帯電電位の低下、光感度の劣化等を引き起こし、それによって地汚れの増加、画像濃度の低下等の画質劣化が促進されるため、有機系感光体の高耐久化が強く望まれている。さらに、近年の画像形成装置の小型化、フルカラー化の進行に伴って、感光体の小径化の必要性が高まっている。特に、最近では、フルカラー画像形成装置の高速化を実現するために、4色の現像部に対応した4本の感光体を内包した、タンデム方式の画像形成装置の需要が飛躍的に高まっており、その傾向は一段と強くなっている。感光体の小径化により、感光体の高耐久化に対する要求度は一層高くなっており、有機系材料を用いた感光体の高耐久化が、今後より一層重要かつ早期に解決すべき課題として認識されている。
感光体の高耐久化を実現する方法としては、感光体の最表面に保護層を設け、その保護層にフィラーや微粒子を分散させたり、保護層を硬化させたり、表面の潤滑性を高めたりする方法が広く知られている。これらの方法により、感光体表面の耐摩耗性が向上し、繰り返し使用経時における地汚れの発生を抑制することが可能となり、感光体の耐久性は向上することが確認されている。特に、硬化させた保護層は、耐摩耗性や耐キズ性が高い上に、感光体の表面が比較的平滑であるために、クリーニング性に優れ、有効な方法である。しかし、保護層を設けたことによって、繰り返し使用における残留電位が著しく上昇したり、解像度が低下し画質低下を引き起こしたり、保護層と感光層との間に剥離が生じたりして、耐摩耗性が向上されたにも関わらず、感光体の耐久性は満足されていないのが実情である。
これらの残留電位上昇や解像度低下を引き起こす理由としては、保護層又は保護層と感光層の界面において、電荷がトラップされやすくなったり、保護層内で光が散乱されたり、電荷が横方向に移動しやすくなったり、耐摩耗性の向上により感光体表面の汚染の影響が増大したりすること等が挙げられる。また、保護層の硬度を高めることは耐摩耗性や耐キズ性に対しては有効であるものの、保護層とその下の電荷輸送層との硬度差が大きくなると、その界面で剥離が発生しやすくなる。これらの理由から、保護層を形成した感光体を使用しても、耐久性は満足されるものではなかった。
残留電位上昇を抑制させる方法の一つとして、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質の濃度分布を制御する方法が知られている。電荷輸送層に電荷輸送物質の濃度傾斜を積極的に付与しようとする技術としては、電荷移動層中の電荷移動物質の濃度を、層の深さ方向に連続的に変化させる方法がある(特許文献1参照)。これは、電荷移動物質が、表面側に少なく、基板側に多くなるように濃度傾斜を付与することにより、耐刷性、電荷保持力、繰り返し特性を向上させることを目的とするものである。電荷輸送物質の濃度を変化させるための方法としては、噴霧塗工法が用いられている。
また、電荷移動層中の電荷移動物質が、顕微鏡的不均質に分散している感光体が開示されている(特許文献2参照)。これは、電荷移動物質が結合剤に対する相溶性が低く、微細な粒子として分散することで高感度化を図ったものである。
また、電荷輸送層の表面において、電荷輸送物質の濃度が電荷輸送層の内部における濃度よりも小さい感光体が開示されている(特許文献3参照)。これは、電荷輸送層形成用塗工液に含有されている溶媒の沸点よりも低い温度で乾燥することによって達成したものであり、その効果は光感度の向上にある。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の濃度が内部よりも表面側で低い濃度傾斜を付与しようとするこれらの技術は、電荷発生層と電荷輸送層との界面における電荷注入性の向上に対しては有効であると考えられる。また、最表面に保護層を形成しない場合においては、電荷輸送層の表面のバインダー樹脂に対する電荷輸送物質の含有量が少ないため、耐摩耗性に関しては幾分向上されるものと考えられ、効果として認められる。しかし、電荷発生層と電荷輸送層との界面における電荷注入性が向上したとしても、電荷輸送層の表面領域において、電荷輸送物質の濃度が低くなる領域があるため、保護層と電荷輸送層の界面における電荷注入性は低下し、それによって残留電位上昇や解像度の低下を引き起こすと考えられる。したがって、電荷輸送層中の電荷輸送物質の濃度が内部よりも表面側で低い濃度傾斜を付与する方法は、表面に保護層を設けた高耐久性を有する感光体に対しては副作用の方が大きくなると考えられる。
つまり、保護層を形成しない場合には、表面が摩耗されると電荷輸送物質の濃度が増加するため、その影響は軽減されるものの、それでは感光体の高耐久化は実現できない。一方、保護層を形成した場合には、電荷輸送層と保護層との界面における電荷注入性が低下し、これが残留電位上昇や解像度の低下を引き起こす原因となり、結局、感光体の高耐久化が実現できないことになる。
また、感光層と保護層を積層し、電荷輸送物質を保護層と感光層との界面に近い程、多く含有させた感光体が開示されている(特許文献4参照)。これは、帯電時に発生するオゾンによって感光体表面が劣化し、その影響が保護層を通して電荷輸送層にまで及ぶため、電荷輸送層の保護層近傍に電荷輸送物質の濃度を高め、オゾン劣化によって発生する感度低下や残留電位上昇を抑制しようとするものである。電荷輸送層の保護層側でオゾン劣化が防止され、電荷発生層側では、その影響が及ぶことなく、必要以上に電荷輸送物質を含有しなくても良いと説明がされているが、オゾン劣化した領域が感光層内に存在すれば、残留電位上昇や感度劣化への影響は否定できず、多少の効果はあったとしても根本的な解決には至っていない。また、電荷輸送層の保護層側に電荷輸送物質の濃度を高めたとしても、電荷発生層側の濃度は低くなるため、電荷発生層からの電荷注入性が低下し、それによる残留電位上昇や感度低下の影響が増加するものと考えられる。
これらのことから、電荷輸送層において、電荷輸送物質の濃度傾斜を付与する方法は、保護層を形成せず、電荷輸送層が最表面に位置する感光体に対しては効果が認められたとしても、最表面に保護層を形成した感光体においては、副作用の方が大きく、高耐久化を妨げる大きな原因となっていた。
これらの従来技術においては、電荷輸送層内の電荷輸送物質の濃度傾斜を、スプレー塗工機を用いたり、重ね塗りしたりすることによって付与しようとしたものであるが、その一方で一般的な浸漬塗工法等によって得られる電荷輸送層には、既に電荷輸送物質の濃度傾斜が形成されていることが知られている。
後者、即ち、電荷輸送物質の濃度を均一に含有させようとするための技術として、例えばイオン化ポテンシャル値が0.5eV以上離れている電荷発生材料と電荷輸送材料を用いてなる感光体において、電荷輸送層中の電荷輸送材料が、電荷発生層側の電荷輸送材料濃度とその反対側の電荷輸送材料濃度との比が0.8〜1.0の範囲であり、そのためには電荷輸送層を塗工後125℃以上で加熱するとする方法が開示されている(特許文献5参照)。これは、電荷発生材料と電荷輸送材料のイオン化ポテンシャル値が0.5eV以上離れていると、電荷発生層から電荷輸送層への電荷注入性が低下し、その結果、繰り返し使用によって感度低下を引き起こすが、これは電荷輸送層中の電荷輸送材料濃度が不均一であることに起因するものとしている。さらに、電荷輸送層の乾燥温度が低い場合に、電荷輸送層内部で対流が生じて電荷輸送層材料が移動してしまうために起こるものと記載されている。
さらに、イオン化ポテンシャル値が0.5eV以上離れている電荷発生材料と電荷輸送材料を用いてなる感光体において、電荷輸送層の塗布液中の溶剤として、ハロゲン化炭化水素系溶媒を使用する方法が開示されている(特許文献6参照)。これについても、電荷発生層と電荷輸送層との界面における電荷注入が異種分子間のホッピング移動であるとすると、電荷注入は、分子間距離に依存するため、電荷輸送層中の電荷輸送材料の濃度分布を適正化して、電荷発生層と電荷輸送層への電荷注入及び電荷輸送層内の電荷の移行を円滑に行うためのものである。ここでは、電荷輸送層を形成するための塗布溶液の溶剤として、ハロゲン化炭化水素系溶剤を用いることで達成されるとしている。
これらの従来技術は、電荷輸送層内の電荷輸送物質の濃度傾斜を低減して、電荷輸送物質の濃度をより均一化させる技術として記載されているが、この目的は、電荷発生層と電荷輸送層の界面における電荷注入性に言及しており、保護層に関して、詳細な記述はなされていない。また、電荷発生層と電荷輸送層における電荷注入性を改善することがその目的とされているが、それらの界面における電荷注入性を考慮するのであれば、電荷発生層と電荷輸送層との界面において、電荷輸送物質の濃度がむしろ高い方がより有効であると考えられる。
保護層には耐摩耗性を高める機能が加えられるため、残留電位に及ぼす副作用は増加する傾向にある。残留電位を低減させる従来技術は多数開示されているものの、耐摩耗性と静電特性の安定性を両立させる技術は未だ見出されていない。なお本願出願人の関連文献として特許文献7も知られている。
さらに感光層の表面を粗面化した後、真空薄膜を表面保護層として形成する感光体の製造方法の発明が特許文献8に開示されている。これは、感光層を形成後に真空薄膜による表面保護層を形成する場合、製造工程上あるいは装置上の問題により、感光層を形成してすぐに表面保護層を形成することは難しく、感光層を形成した後、数日〜1ヶ月程度の保管期間が生じる。そのため、感光層表面が時間の経過とともに酸化され、その上に真空薄膜を設けようとすると接着性が悪化するため、その不具合を抑制する技術として記載されている。
また、導電性支持体上に、微細研磨処理により表面粗面化した有機感光層上に真空薄膜からなる表面保護層を有する感光体において、表面保護層の表面の表面粗さを規定した発明が特許文献9に開示されている。これは、極めて平滑な有機系感光体の表面にそれとは異質な真空薄膜を形成したことによる残留電位上昇や画像ノイズを改善する発明が記載されている。
特開昭63−63046号公報 特開昭58−62654号公報 特開平4−101152号公報 特許第2844686号公報 特開平9−218522号公報 特開平9−218523号公報 特開2004−302451号公報 特許第2932679号公報 特許第2990788号公報
本発明は、上記従来技術が有する問題点に鑑み、耐摩耗性が良好で、繰り返し使用経時における残留電位の上昇を抑制し、高画質画像を安定して出力することが可能な電子写真感光体の製造方法及びその方法で製造した電子写真感光体を提供することを目的とする。また、本発明は、該感光体を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
上記課題は次の〔1〕ないし〔16〕の発明(以下、本発明1ないし16という)によって解決される。
〔1〕導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質を主成分とする電荷発生層、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層並びに電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物と、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化反応させることによって形成された保護層が順次積層された電子写真感光体の製造方法であって、前記電荷輸送層を形成した後、該電荷輸送層の表面を研磨し、該研磨した電荷輸送層の表面に前記保護層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
〔2〕前記電荷輸送層表面の研磨は、該電荷輸送層の表面に研磨物を当接させた状態で、該電荷輸送層が形成された導電性支持体を回転、摺擦させて行うことを特徴とする上記〔1〕に記載の電子写真感光体の製造方法。
〔3〕前記電荷輸送層表面の研磨は、該電荷輸送層の膜厚に対して研磨される膜厚の比が、0.04以上0.4以下の範囲で行うことを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載の電子写真感光体の製造方法。
〔4〕前記電荷輸送層表面の研磨は、該電荷輸送層の電荷発生層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する該電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比が、0.68〜1.00の範囲になるように行うことを特徴とする上記〔1〕ないし〔3〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
〔5〕前記電荷輸送層に含有される電荷輸送物質は、下記一般式(1)に示される化合物を含有することを特徴とする上記〔1〕ないし〔4〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
(式(1)中、nは0又は1であり、Ar3及びAr4は、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の複素環基を表わし、R6〜R8は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の複素環基を表わし、R7、R8は、互いに結合して環を形成してもよく、Ar5は、置換もしくは無置換のアリーレン基を表わす。)
〔6〕前記保護層は、前記研磨された電荷輸送層の上にスプレー噴霧を複数回繰り返し、塗り重ねて形成した後硬化することを特徴とする前記〔1〕ないし〔5〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
〔7〕前記保護層は、熱エネルギー又は光エネルギーの少なくともいずれかのエネルギーを照射または印加することによって硬化することを特徴とする上記〔1〕ないし〔6〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
〔8〕前記電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性官能基を3個以上有し、前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性官能基を1個有することを特徴とする上記〔1〕ないし〔7〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
〔9〕前記電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかの基を有することを特徴とする上記〔1〕ないし〔8〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
〔10〕前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかの基を有することを特徴とする上記〔1〕ないし〔9〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
〔11〕前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、トリアリールアミン構造を有することを特徴とする上記〔1〕ないし〔10〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
〔12〕前記電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性官能基の数に対する前記電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物の分子量の比は、250以下であることを特徴とする上記〔1〕ないし〔11〕のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
〔13〕上記〔1〕ないし〔12〕のいずれかに記載の製造方法で製造することを特徴とする電子写真感光体。
〔14〕上記〔13〕に記載の電子写真感光体を備えたことを特徴とする画像形成装置。
〔15〕前記画像形成装置が、少なくとも複数の感光体、帯電手段、画像露光手段、現像手段及びクリーニング手段からなる複数の画像形成部を有するタンデム方式のフルカラー画形成装置であることを特徴とする上記〔14〕に記載の画像形成装置。
〔16〕上記〔13〕に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、及びクリーニング手段のうちの少なくとも一つが一体に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に設けられることを特徴とするプロセスカートリッジ。
本発明〔1〕の電子写真感光体の製造方法によれば、導電性支持体上に、電荷発生層、電荷輸送層、硬化型の保護層を順次設けた感光体を形成する際、電荷輸送層の表面を研磨することによって電荷輸送物質の濃度が低下した部分を除去することから、耐摩耗性が良好で、かつ、繰り返し使用経時における残留電位の上昇が抑制され、高画質画像を安定して出力することができる感光体を製造することができる。また、電荷輸送層と保護層との界面における接触面積の増加、あるいは電荷輸送層表面のレベリング剤が研磨により除去されることにより、保護層と電荷輸送層の硬度に差があっても保護層が剥離しにくくなり、高耐久化に有効である。
本発明〔2〕の電子写真感光体の製造方法によれば、研磨物を電荷輸送層表面に摺擦させる機械的研磨方法により電荷輸送層表面を研磨することから、電荷輸送層表面を均一に研磨することができる。また、研磨厚の制御も容易であり、本発明の研磨方法として適している。
本発明〔3〕の電子写真感光体の製造方法によれば、前記電荷輸送層表面の研磨は、該電荷輸送層の膜厚に対する研磨する膜厚の比を0.04以上0.4以下の範囲で行うことから、電荷輸送物質の濃度低下が顕著な表面領域を確実に削り取ることができ、残留電位の上昇、感度劣化、解像度低下等の抑制効果を十分に得ることが可能となる。
本発明〔4〕の電子写真感光体の製造方法によれば、前記電荷輸送層表面の研磨は、該電荷輸送層の電荷発生層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する該電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比が、0.68〜1.00の範囲になるように研磨することから、電荷輸送物質の濃度傾斜が小さくなり、残留電位の上昇、感度劣化、解像度低下等の影響を抑制することができる。
本発明〔5〕の電子写真感光体の製造方法によれば、電荷輸送物質が、前記一般式(1)に示されるスチルベン構造を有する化合物を含有することから、残留電位の低減や感度劣化の抑制に特に有効である。
本発明〔6〕の電子写真感光体の製造方法によれば、前記保護層は、前記研磨された電荷輸送層の上にスプレー噴霧を複数回繰り返し、塗り重ねることによって形成することから、保護層における構成材料の濃度傾斜の発生を抑制することができ、硬化反応の均一性に優れる。また、電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質の保護層への溶け出しが少なくなるために硬化阻害を起こしにくく、耐摩耗性の向上に有効である。
本発明〔7〕の電子写真感光体の製造方法によれば、前記保護層は、該保護層形成後に熱エネルギー及び/又は光エネルギーを照射等することによって硬化することから、高硬度でかつ硬度の均一性が高い膜を形成することが可能となり、耐摩耗性の向上、偏摩耗の抑制、耐キズ性の向上に有効である。
本発明〔8〕ないし〔12〕の電子写真感光体の製造方法によれば、前記保護層に電荷輸層性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物を用いることから、架橋密度を向上させ、耐摩耗性を向上させることができると共に安定した静電特性を付与することができる。
本発明〔13〕の電子写真感光体によれば、上記製造方法で製造することから、高画質化と高耐久化の両立を可能にし、繰り返し使用においても高画質画像が安定して得られる電子写真感光体を提供することができる。
本発明〔14〕、〔15〕、〔16〕の画像形成装置、フルカラー画像形成装置、プロセスカートリッジによれば、上記電子写真感光体を備えることから、耐摩耗性や耐キズ性が向上すると共に安定した静電特性が得られ、長期にわたって高画質の画像を安定して提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の感光体の製造方法などについて、実施形態により詳細に説明する。
前述の通り、保護層を形成したことによる、残留電位上昇や感度劣化、解像度低下といった副作用は、例え耐摩耗性が向上しても、繰り返し使用経時で発生し、感光体の高耐久化は満足されていないのが実情であった。本発明者らは、保護層を形成したことによるこれらの副作用を、保護層だけでなく、保護層の下に形成される電荷輸送層を改善することによって大幅に改善できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
従って、本発明によれば、高画質化と高耐久化との両立を可能とし、繰り返し使用においても高画質画像が安定して得られる電子写真感光体の製造方法、及びその電子写真感光体、また、繰り返し使用においても高画質画像が安定して得られる画像形成装置、並びに画像形成装置用プロセスカートリッジが提供される。
本発明は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質を主成分とする電荷発生層、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層及び電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物と、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化反応させることによって形成された保護層が順次積層されている感光体の製造方法であって、前記電荷輸送層の表面を研磨し、該研磨された電荷輸送層の上に保護層を形成することを特徴とする感光体の製造方法を含んでいる。
感光体を作製する際に用いられる浸漬塗工法等の一般的な塗工方法によって作製される感光体の電荷輸送層では、一般に、電荷輸送物質が不均一に分散され、電荷輸送層の表面側よりも電荷発生層側の濃度が高い濃度傾斜を有していることが認められている。その濃度傾斜は、必ずしも直線的に変化しているわけではなく、特に、電荷輸送層の表面領域において電荷輸送物質の濃度が著しく低下した領域が形成されており、これが残留電位の上昇や感度の劣化、解像度の低下に少なからずまたは明確に影響を及ぼしていることを本発明者らは見出した。
電荷輸送層が感光体の最外表面に形成されている場合、電荷輸送物質の濃度が電荷発生層側よりも表面が低くなる濃度傾斜があったとしても、感光体表面が摩耗されていくことでその影響は減少していくことになり、影響としてはそれほど大きくないと考えられる。さらに、感光体表面は、帯電器から発生するオゾン等の活性ガスの影響を受けやすいため、表面の電荷輸送物質が劣化しやすくなることが考えられる。また、表面の耐摩耗性は、バインダー樹脂に対する電荷輸送物質の含有比が小さい方が高くなると考えられ、感光体表面の電荷輸送物質濃度が低いことが、むしろ有効であると考えられる。
しかし、感光体の高耐久化を実現するためには、表面の耐摩耗性を高めることが必要不可欠であり、そのためには感光体表面に保護層を形成するのが最も有効である。感光体の表面に保護層を形成した場合、電荷は、電荷輸送層から保護層に注入されなくてはならず、電荷輸送層と保護層における電荷注入性が重要となる。しかし、上記したとおり、浸漬塗工法等で作製される一般的な感光体の電荷輸送層には既に電荷輸送物質の濃度傾斜が形成されており、特に、電荷輸送層の表面領域に大幅に濃度低下している部分が存在する。これにより、電荷輸送層と保護層の界面における電荷輸送性又は電荷注入性を著しく低減させ、残留電位の上昇や解像度の低下の影響を及ぼしていることがわかった。また、この電荷輸送物質の濃度傾斜は、電荷輸送層の膜厚が増加するに伴って大きくなる傾向を示し、特に電荷輸送層の膜厚が20μm以上になると、表面の濃度低下が顕著に認められた。
本発明者らは、電荷輸送層と保護層の界面における電荷注入性、電荷発生層と電荷輸送層の界面における電荷注入性、電荷輸送層内の電荷輸送性を両立させる最も効率的かつ有効な方法は、電荷輸送層内の電荷輸送物質の濃度が層内で偏りが少なく、より均一に分散された状態を形成することであることを見出した。
電荷輸送層における電荷輸送機能は、電荷輸送物質間のホッピング移動によるものであるため、電荷輸送層の表面における電荷輸送物質の濃度が低下すると、電荷輸送物質の分子間距離が増加し、電荷輸送性が低下する。また、電荷輸送層の上に形成された保護層への電荷注入性も大幅に低下することになる。このため、電荷輸送層表面において電荷輸送物質の濃度が著しく低下した領域が存在すると、電荷輸送層又は電荷輸送層と保護層の界面において、電荷輸送性又は電荷注入性が大幅に低下し、残留電位の上昇や感度の劣化、さらに解像度の低下を引き起こす。
本発明者らは、電荷輸送物質の濃度傾斜を減少させるには、電荷輸送層の表面領域に存在する電荷輸送物質の濃度が極端に減少した部分を研磨して除去した後、その上に保護層を形成することであることを見出した。これにより、残留電位の上昇、感度の低下、解像度の低下が低減され、耐摩耗性と静電特性の安定化を両立した高耐久性を有する感光体を得ることが可能となった。特に、耐摩耗性や耐キズ性の向上に有効な硬化型の保護層の場合には、電荷輸送物質が含有されてはいても、三次元的に架橋された構造を有しているため、電荷輸送層から保護層への電荷注入性に対して不利な状況にある。この場合、電荷輸送層の保護層側界面近傍で電荷輸送物質の濃度が低下し、特に表面領域において濃度を著しく低下した領域が存在すると、電荷輸送層から保護層への電荷注入性がより一層低下し、繰り返し使用による残留電位上昇や感度劣化、さらに解像度の低下が顕著に発生することになる。
本発明によれば、耐摩耗性や耐キズ性(耐擦傷性)などの向上に有効な硬化型保護層を最外表面に形成し、その下に形成される電荷輸送層の表面を研磨する方法により、硬化型保護層を用いる場合の最大の課題であった残留電位上昇や感度劣化が抑制され、高耐久化と高画質化の両立を実現することが可能となった。
これに関連して、背景技術の項で説明した特許文献8の特許第2932679号公報に開示されている。また特許文献9の特許第2990788号公報に開示された発明が知られている。
本発明は、保護層が真空薄膜ではなく、有機系材料を硬化反応させて得られるものである。そして本発明は感光層を形成後表面が酸化されるような不具合は発生せず、上記した特許発明の解決すべき課題である真空薄膜特有の現象を対象にしたものと大きく異なっている。また、本発明は、電荷輸送層における電荷輸送物質の濃度傾斜を低減させて、保護層への電荷注入性を高め、残留電位や感度、解像度の低下を抑制することを目的としており、それを実現するためには、電荷輸送層表面を単に粗面化するのではなく、研磨して電荷輸送物質の濃度が低下した部分を除去することにより、上記目的が達成され、同時に、粗面化による有機感光体と保護層との密着性(接着性も含む)の効果も得ることができる。このように、上記特許発明と本発明とは根本的に異なる別異の発明である。
本発明では、硬化型の保護層は硬度が高いほど耐摩耗性に有利であるが、その下に形成される電荷輸送層との硬度の差が大きくなると感光体にかかる応力により保護層の剥離が生じ、耐久性が低下する傾向が見られた。これは、電荷輸送層の平滑性が高いことや電荷輸送層に含有されるシリコーンオイル等のレベリング剤が電荷輸送層の表面に移行するためと考えられる。本発明では電荷輸送層の研磨により、電荷輸送物質の濃度傾斜を低減させる効果だけでなく、電荷輸送層表面の平滑性を低減させ、保護層との接触面積(かつアンカーリング効果により接着強度)を増加させることができ、さらに電荷輸送層表面に移行したレベリング剤を研磨により除去することが可能であるため、電荷輸送層と硬化型保護層の接着性は良好に維持することができる。また、これにより、硬化型保護層の硬度をさらに高めることが可能となり、感光体の耐摩耗性の向上と共に、感光体の高耐久性の向上に対し大きな効果を得ることができる。
次に、本発明の感光体について、図面に沿って以下に説明する。
図1は、導電性支持体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層と、電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化反応させることによって形成された保護層とが積層された構成となっている。なお、保護層を形成する前に電荷輸送層表面が研磨処理されている。また、図2のように、導電性支持体と電荷発生層との間に、下引き層が形成されていてもよい。
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものが挙げられ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状又は円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの;アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを、押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した管等を使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
さらに、上記の導電性支持体上に導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて導電性層を形成(塗工などを用いて形成)したものも、導電性支持体として用いることができる。このような導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。また、同時に用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられる。導電性層は、導電性粉体とバインダー樹脂を、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に分散させて塗布することにより設けることができる。
さらに、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフルオロエチレン系フッ素樹脂等の素材に導電性粉体を含有させた熱収縮チューブを用いて、円筒基体上に導電性層を設けたものも、導電性支持体として用いることができる。
次に、感光層について説明する。
感光層は、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層が順次積層されることによって構成されている。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料;チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、バナジルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、インジゴ顔料、ピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクエアリウム顔料等が挙げられる。電荷発生物質は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
必要に応じて、電荷発生層に用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
バインダー樹脂の添加量は、電荷発生物質100重量部に対して、通常、0〜500重量部であり、10〜300重量部が好ましい。
電荷発生層は、電荷発生物質を、必要に応じて、バインダー樹脂と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル、超音波等の公知の分散方法を用いて溶剤中に分散した塗工液を、導電性支持体上又は下引き層上に塗布、乾燥することにより形成される。なお、バインダー樹脂の添加は、電荷発生物質の分散前及び分散後のどちらでも構わない。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等の一般に用いられる有機溶剤が挙げられるが、中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒を使用することが好ましい。これらは、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層の塗工液は、電荷発生物質、溶媒及びバインダー樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層は上記塗工液を用いて塗工し、乾燥することにより得られるが、この塗工方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の公知の方法を用いることができる。電荷発生層の膜厚は、通常、0.01〜5μm程度であり、0.1〜2μmが好ましい。また塗工後の乾燥はオーブン等を用いて加熱乾燥される。電荷発生層の乾燥温度は、50〜160℃であることが好ましく、80〜140℃がさらに好ましい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を溶剤に溶解又は分散した塗工液を、塗工し、乾燥することにより形成される。また、電荷輸送層の塗工液には、必要に応じて、単独又は2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の添加剤を添加してもよい。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)及びその誘導体、ポリ(γ−カルバゾリルエチルグルタメート)及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、アミノビフェニル誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独又は2種以上混合して用いられる。これらの中でも、下記構造式に示されるスチルベン構造を含む化合物が、残留電位低減や感度劣化を抑制する上で特に有効である。
式(1)中、nは0又は1であり、Ar3及びAr4は、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の複素環基を表わし、R6〜R8は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の複素環基を表わし、R7、R8は、互いに結合して環を形成してもよく、Ar5は、置換もしくは無置換のアリーレン基を表わす。
以下に一般式(1)の具体例を示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられるが、中でも、ポリカーボネート及びポリアリレートが好ましい。
用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、キシレン、アセトン、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン等が用いられる。これらは、単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。電荷輸送物質の濃度分布は、用いる溶剤によって異なる傾向が見られるが、本発明においては、電荷輸送層が形成された後に研磨処理を行うため、溶剤は、特に限定されない。
電荷輸送層は前記塗工液を用いて塗工した後にオーブン等で加熱乾燥させて得られる。その際、より高い温度で乾燥した方が表面の濃度は高くなり、より均一化される傾向を示すように、乾燥温度によって電荷輸送物質の濃度分布状態は影響される。ただし、用いる電荷輸送物質によって、乾燥温度を高くすることにより残留電位が上昇する傾向を示すものも存在する。これは、熱の印加によって電荷輸送物質自体に影響があるためと考えられる。本発明において、電荷輸送層の乾燥温度は、このように電荷輸送層の塗工液に含有される溶剤の種類によって異なるが、80〜150℃であることが好ましく、100〜140℃がさらに好ましい。
電荷輸送物質の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対して、通常、20〜300重量部であり、40〜150重量部が好ましい。電荷輸送物質の含有量が多い方が、電荷輸送層表面の電荷輸送物質の濃度が高くなるが、その場合でも電荷輸送物質の濃度傾斜は形成されており、電荷発生層側よりも表面側の方が電荷輸送物質の濃度が低くなる。
電荷輸送層の膜厚は、解像度や応答性の点から、15〜50μmであることが好ましく、20〜30μmがさらに好ましい。ただし、電荷輸送物質の濃度傾斜は、電荷輸送層の膜厚が増加するに伴い増大する傾向を示す。さらに、電荷輸送層の膜厚の増加に伴い、電荷輸送層表面における電荷輸送物質の濃度低下が顕著に見られる領域も増大するため、電荷輸送層表面における研磨量は、多くする必要がある。
電荷輸送層の表面における電荷輸送物質の濃度が著しく低下した領域は、電荷輸送層の膜厚依存性があるため、電荷輸送層の表面における研磨量A[μm]は、電荷輸送層の膜厚B[μm]によって制御する必要がある。このとき、電荷輸送層の膜厚B[μm]に対する電荷輸送層の表面における研磨量A[μm]の比A/Bは、0.04〜0.4であることが好ましい。これにより、電荷輸送物質の濃度低下が顕著に見られる表面領域を削り取ることができ、その結果、残留電位の上昇、感度の劣化、解像度の低下等の影響を抑制することができる。
電荷輸送層の表面を研磨する方法としては、電荷輸送層表面の電荷輸送層物質の濃度が低下した領域を削り取ることが可能であれば、特に限定されない。このような研磨方法としては、液体を介在させる湿式研磨方法、研磨物を電荷輸送層表面に摺擦させる機械的研磨方法等が挙げられるが、研磨精度や混入物の影響から、後者の機械的研磨方法を採用することが好ましい。具体的には、化学繊維(ポリアミド(商品名ナイロン)、レーヨン、フッ素樹脂(たとえばポリテトラフルオロエチレン:テフロン(登録商標)など)、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン等)、ガラス繊維、ステンレススチール繊維、フェルト、ゴム、布等を用いたブラシ研磨やバフ研磨、圧力によって粉体である研磨剤を吹き付けるサンドブラストの他に、ラッピングフィルム、ラッピングシート、サンドペーパー等を用いて研磨する方法が挙げられる。但し、電荷輸送層が均一に研磨される必要があるため、装置を用いた精密研磨によることが好ましい。具体的には、電荷輸送層が表面に形成された導電性支持体を定速回転させ、電荷輸送層表面にラッピングフィルムを当接させることによって研磨を行うことができる。研磨後は、粒度が小さいラッピングフィルムに変更することによって、リフェイス処理を行うことも可能である。
なお、本発明において、電荷輸送層における電荷輸送物質の濃度傾斜を計測する方法としては、FT−IR(Fourier Transform Infrared Spectroscopy:フーリエ変換赤外分光)のATR(Attenuated Total Reflectance:全反射法)法を用いることができる。感光体の保護層及び電荷輸送層を斜めに切断し、その切断面をμ−ATR法により等間隔で分析を行い、得られたIRスペクトルの電荷輸送物質のピーク強度とバインダー樹脂のピーク強度との比から電荷輸送物質の濃度を定量化することができ、これによって濃度分布を得ることができる。また、支持体上に電荷輸送層又は保護層を単独膜として塗工し、乾燥した後に膜を剥がし、それらの表面又は裏面を前記したATR法により分析することによって界面における電荷輸送物質の濃度を定量化することができる。なお、分析時の赤外線の潜り込み深さは、用いる結晶板によって異なるが、概ねサブミクロン〜2μm程度の範囲であり、電荷輸送層及び保護層の界面における電荷輸送物質の濃度の検知範囲は、2μm以下である。
次に、本発明の感光体に使用される保護層について説明する。
本発明において使用される保護層とは、電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物と、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化反応させることによって形成された硬化型保護層を意味している。
以下に、硬化型保護層について説明する。硬化型保護層は、硬化型保護層塗布液を用いて得られるがその塗布液の構成材料について説明する。硬化型保護層は、耐摩耗性を維持しつつ電荷を輸送させる必要があるため、電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を架橋させて得られる。電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性モノマーとしては、ラジカル重合性官能基数が3個(3官能)以上有する重合性モノマーであることが好ましい。これにより、架橋密度を向上させることができ、その結果、耐摩耗性が向上する。
本発明において、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーは、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等の正孔輸送性構造、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基、ニトロ基等を有する電子吸引性芳香族環等の電子輸送性構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを挙げることができる。ラジカル重合性官能基は、炭素−炭素2重結合(C=C)を有し、ラジカル重合可能な基であれば、特に限定されない。ラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基(1)および、1,1−置換エチレン官能基(2)等を有する化合物が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基
1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記式で表される官能基が挙げられる。
(式中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−、−COO−、
(式中、R10は、水素原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)又は−S−基などの2価の基を表す。)
これらの置換基は、具体的には、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオ基等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基
1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記式で表される官能基が挙げられる。
(式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、
(式中、R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基又は
(R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)を表す。また、X2は、上記(1)のX1と同一の官能基、単結合又はアルキレン基を表す。ただし、Y及びX2の少なくとも一方は、オキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基又は2価の芳香環基を含む。)
これらの(2)1,1−置換エチレン官能基で表される置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX1、X2及びYを有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基;メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシル基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくとも1つの基が好ましい。3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば、水酸基がその分子中に3個以上ある化合物と、アクリル酸(またはアクリル塩)、アクリル酸ハロゲン化物、またはアクリル酸エステルとを、エステル反応又はエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物なども同様にして得ることができる。さらに、ラジカル重合性官能基を3個以上有する化合物中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっていてもよい。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレート等が挙げられ、これらは、単独で使用することもでき、又、2種以上を併用しても差し支えない。
また、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物は、硬化型保護層中に緻密な架橋結合を形成するために、ラジカル重合性官能基数に対する分子量の比が250以下であることが望ましい。この比が250より大きい場合、硬化型保護層は、耐摩耗性が低下することがある。このため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプロラクトン等の変性した基を有するモノマーにおいて、極端に長い変性基を有するものだけで使用することは好ましくない。
また、硬化型保護層中の電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーの含有量は、通常、20〜80重量%であり、30〜70重量%が好ましい。この含有量が20重量%未満では、硬化型保護層の3次元架橋結合密度が低くなり、耐摩耗性が不十分となることがある。また、この含有量が80重量%を超えると、電気的特性が劣化することがある。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い、感光体の硬化型保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると、上記の含有量は、30〜70重量%が好ましい。
硬化型保護層に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、静電特性の安定性や膜質の点から、ラジカル重合性官能基数が1(1官能)であることが好ましい。1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等の正孔輸送性構造、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基、ニトロ基等を有する電子吸引性芳香族環等の電子輸送性構造を有し、且つ1個のラジカル重合性官能基を有する化合物を意味する。ラジカル重合性官能基としては、前述の電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物と同様のものが挙げられ、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。また、電荷輸送性構造としては、トリアリールアミン構造が高い効果を有し、中でも下記一般式(2)又は(3)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
式(2)〜(3)中、R1は水素原子、ハロゲン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、
−COOR7
(R7は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。)ハロゲン化カルボニル基又は
CONR89
(R8及びR9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。)を表す。またAr1及びAr2は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアリーレン基を表す。Ar3及びAr4は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアリール基を表す。Xは、単結合、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、置換若しくは無置換のオキシアルキレン基、オキシ基、チオ基、ビニレン基を表す。Zは、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のオキシアルキレン基又はアルキレンオキシカルボニル基を表す。m及びnは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。)
以下に、一般式(2)及び(3)で表されるさらに具体的な例を示す。
一般式(2)及び(3)のR1において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等、アルコキシル基としては、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基;メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシル基、エトキシル基等のアルコキシル基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等で置換されていてもよい。中でも、R1は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
Ar3、Ar4において、アリール基としては、縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基、複素環基等が挙げられる。
縮合多環式炭化水素基は、環を形成する炭素数が18以下であることが好ましく、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基等が挙げられる。
非縮合環式炭化水素基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ジフェニルエーテル基、ポリエチレンジフェニルエーテル基、ジフェニルチオエーテル基及びジフェニルスルホン基等の単環式炭化水素化合物の1価基、ビフェニル基、ポリフェニル基、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、ポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価の基、9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、Ar3及びAr4において、アリール基は、以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基
1〜C12、好ましくは、C1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、さらにフルオロ基、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシル基、フェニル基又はハロゲン基、C1〜C4のアルキル基若しくはC1〜C4のアルコキシル基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR2
2は、(2)で定義したアルキル基または芳香族の一価の基を表す。具体的には、メトキシル基、エトキシル基、n−プロポキシル基、イソプロポキシル基、t−ブトキシル基、n−ブトキシル基、s−ブトキシル基、イソブトキシル基、2−ヒドロキシエトキシル基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシル基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。これらのアリール基は、C1〜C4のアルコキシル基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン基を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基又はアリールメルカプト基(チオエーテル基)
具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)−NR34
3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、(2)で定義したアルキル基又はアリール基を表す。アリール基は、フェニル基、ビフェニル基又はナフチル基であり、これらはC1〜C4のアルコキシル基、C1〜C4のアルキル基又はハロゲン基を置換基として含有してもよい。R3及びR4は、環を形成してもよい。具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)アルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基
メチレンジオキシ基又はメチレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基
ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等が挙げられる。
Ar1及びAr2で表わされるアリーレン基としては、Ar3及びAr4で表されるアリール基から誘導される2価基が挙げられる。
Xは、単結合、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、置換若しくは無置換のオキシアルキレン基、オキシ基、チオ基、ビニレン基を表す。
置換若しくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基はさらにフルオロ基、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシル基、フェニル基又はハロゲン基、C1〜C4のアルキル基若しくはC1〜C4のアルコキシル基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的には、メチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、イソプロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキシエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換若しくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基が挙げられ、これらの環状アルキレン基は、フルオロ基、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシル基を有していてもよい。具体的には、シクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換若しくは無置換のオキシアルキレン基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレン基は、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有していてもよい。
ビニレン基は、下記一般式で表される。
ここで、R5は水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar3及びAr4で表わされるアリール基と同じ)、aは、1又は2であり、bは1〜3を表す。
Zは、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のオキシアルキレン基またはアルキレンオキシカルボニル基を表わす。
置換若しくは無置換のアルキレン基としては、Xのアルキレン基と同様のものが挙げられる。
置換若しくは無置換のオキシアルキレン基としては、Xのオキシアルキレン基と同様のものが挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性2価基が挙げられる。
また、1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、下記一般式(3)の構造の化合物が好ましい。
式(4)中、o、p及びqは、それぞれ独立に、0又は1を表し、Raは、水素原子又はメチル基を表し、Rb及びRcは、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表す。s及びtは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。Zaは、単結合、メチレン基、エチレンまたは下記の2価の基を表す。
一般式(4)において、Rb及びRcは、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
本発明で用いられる上記一般式(2)及び(3)、特に(4)の電荷輸送構造を有する1官能のラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が開いて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、電荷輸送構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物との反応で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には、1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と、主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖がある)する。このような主鎖中に存在する場合であっても、また架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、これはバルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性のある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は、重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能である。このため、分子内の構造的歪みが少なく、また、感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
また、本発明で用いられる電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物は、硬化型保護層の電荷輸送性能を付与するために重要であり、この成分は硬化型保護層に対し20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。この成分が20重量%未満では硬化型保護層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返し使用することによって、感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる。また、80重量%を超えると、電荷輸送構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物の含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い、感光体の硬化型保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70重量%が好ましい。
本発明の硬化型保護層は、以上に説明したように、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物と1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものが特に有効であるが、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー並びにラジカル重合性オリゴマーを用いることも可能であり、材料によっては非常に有効な場合がある。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、および前記アクリレートのモノマーをメタクリレートのモノマーにしたモノマーおよびスチレンモノマーなどが挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどおよび前記アクリレートのモノマーをメタクリレートのモノマーにしたモノマーが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると硬化型保護層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このため、これらのモノマーやオリゴマーの含有量は、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物100重量部に対して、50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。また、必要に応じて、硬化反応を効率よく進行させるために、硬化型保護層塗布液中に重合開始剤を含有させてもよい。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパンなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するもの(たとえば光増感剤)を単独でまたは上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種単独で用いるか又は2種以上を併用してもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する化合物の総量100重量部に対して、0.5〜40重量部の範囲で、好ましくは1〜20重量部である。
更に、本発明の硬化型保護層塗工液は、必要に応じて、各種可塑剤(応力緩和や接着性向上を目的として添加される)、レベリング剤、低分子電荷輸送物質等の添加剤が含有できる。これらの添加剤は、公知のものが使用可能であり、可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は、塗工液の総固形分に対して、20重量%以下、好ましくは10重量%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は、塗工液の総固形分に対して、3重量%以下が適当である。
硬化型保護層は、上記の電荷輸送構造を有さないラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有する塗工液を、後に記載の電荷輸送層上に塗布、硬化することにより形成される。このような塗工液は、ラジカル重合性化合物が液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。
このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系等が挙げられる。これらの溶媒は、一種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は、組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、リングコート法等を用いて行うことができる。
本発明においては、硬化型保護層の塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与えて硬化させ、硬化型保護層を形成するが、このとき用いられる外部エネルギーとしては熱、光、放射線等をあげることができる。熱エネルギーを印加する方法としては、空気、窒素等の気体、蒸気、あるいは各種熱媒体などによる方法(たとえば接触法)、赤外線、電磁波(たとえば照射法)を用い、塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行なわれる。加熱温度は、100〜170℃が好ましい。加熱温度が100℃未満では反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しないことがあり、170℃より高温では硬化反応が不均一に進行し硬化型保護層中に大きな歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生することがある。硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱し、更に100℃以上に加温して反応を完結させる方法も有効である。
光エネルギーを照射または印加する方法としては、主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源を用いて照射または印加してもよく、またラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源を選択して照射等することも可能である。照射光量は50〜1000mW/cm2が好ましい。照射光量が50mW/cm2未満では硬化反応に時間を要し、また1000mW/cm2より強いと反応の進行が不均一となり、硬化型保護層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生ずる可能性があり、また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる可能性がある。放射線を照射または印加する方法としては、電子線、プラズマまたは放射性同位元素(たとえばコバルト60など)を線源とするものを用いるものが挙げられる。これらのエネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから熱及び光のエネルギーを用いたものが有用である。
本発明の硬化型保護層の膜厚は、1〜10μmが好ましく、さらに好ましくは2〜8μmである。10μmより厚い場合、前述のようにクラックや膜剥がれが発生しやすくなる。また本発明では、8μm以下ではその余裕度がさらに向上するため架橋密度を高くすることが可能であり、さらに耐摩耗性を高める材料選択や硬化条件の設定が可能となるので好ましい。一方、ラジカル重合反応は酸素阻害を受けやすく、すなわち大気に接した表面では酸素によるラジカルトラップの影響で架橋が進まなかったり、不均一になりやすい。この影響が顕著に現れるのは表層1μm未満であり、この膜厚以下の硬化型保護層は耐摩耗性の低下や不均一な摩耗が起こりやすい。また、硬化型保護層塗工時において下層の電荷輸送層成分の混入が生ずる可能性がある。硬化型保護層の塗布膜厚が薄いと層全体に混入物が拡がり、硬化反応の阻害や架橋密度の低下をもたらす。これらの理由から、本発明の硬化型保護層は1μm以上の膜厚で良好な耐摩耗性、耐傷性を有するが、繰り返しの使用において局部的に下層の電荷輸送層まで削れた部分ができるとその部分の摩耗が増加し、帯電性や感度変動から中間調画像の濃度むらが発生しやすい。従って、より長寿命、高画質化のためには硬化型保護層の膜厚を2μm以上8μm以下にすることが望ましい。
本発明においては、更に電荷発生層、電荷輸送層、硬化型保護層を順次積層した構成において、最表面の硬化型保護層が有機溶剤に対して、不溶性である場合、飛躍的な耐摩耗性、耐傷性が達成されることを特徴としている。この有機溶剤に対する溶解性を試験する方法としては、感光体の表面層上に高分子物質に対する溶解性の高い有機溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等を1滴滴下し、自然乾燥後に感光体表面形状の変化を実体顕微鏡で観察する方法を挙げることができる。この試験を採用すれば耐溶剤性を判定できる。溶解性あるいは膨潤性の保護層を有する感光体は、液滴の中心部分が凹状になり周囲が逆に盛り上がる現象、電荷輸送物質が析出し結晶化による白濁やくもり生ずる現象、表面が膨潤しその後収縮することで皺が発生する現象などの変化が現れる。それに対し、不溶性あるいは非膨潤性の感光体は上記のような現象がみられず、滴下前と全く変化が現れない。
本発明の構成において、硬化型保護層を有機溶剤に対して、不溶性にするには、(1)硬化型保護層塗工液の組成物、それらの含有割合の調整、(2)硬化型保護層塗工液の希釈溶媒、固形分濃度の調整、(3)硬化型保護層の塗工方法の選択、(4)硬化型保護層の硬化条件の制御などが挙げられ、これらをコントロールすることが重要であるが、一つの因子で達成される訳ではない。
硬化型保護層塗工液の組成物としては、前述した電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物及び電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物以外に、ラジカル重合性官能基を有さないバインダー樹脂、酸化防止剤、可塑剤等の添加剤を多量に含有させると、架橋密度の低下、反応により生じた硬化物と上記添加物との相分離が生じ、有機溶剤に対して、可溶性となる傾向が高くなる。具体的には塗工液の総固形分に対して、上記総含有量を20重量%以下に抑えることが重要である。また、架橋密度を小さくしないために、1官能又は2官能のラジカル重合性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーにおいても、総含有量を、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物に対して、20重量%以下とすることが望ましい。
さらに、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を多量に含有させると、嵩高い構造体が複数結合して架橋構造中に固定されるため歪みを生じやすく、微小な硬化物の集合体となりやすい。このことが原因で有機溶剤に対し可溶性(膨潤性)(耐溶剤性の低下)となることがある。化合物構造によって異なるが、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の含有量は、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物に対して、10重量%以下にすることが好ましい。
硬化型保護層塗工液の希釈溶媒に関しては、蒸発速度の遅い溶剤を用いた場合、残留する溶媒が硬化の妨げとなったり、下層成分の混入量を増加させることがあり、不均一硬化や硬化密度の低下をもたらす場合がある。このため有機溶剤に対して、可溶性(耐溶剤性が低下)となりやすい。これを防止するため溶媒として具体的には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとメタノール混合溶媒、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルセロソルブ等の使用が有用であるが、塗工法と合わせて選択される。
また、固形分濃度に関しては、同様な理由で低すぎる場合、有機溶剤に対し可溶性(耐溶剤性の低下)となりやすい。逆に膜厚、塗工液粘度の制限から上限濃度の制約をうける。具体的には、10〜50重量%の範囲で用いることが望ましい。硬化型保護層の塗工方法としては、同様な理由で塗工膜形成時の溶媒含有量、溶媒との接触時間を少なくする方法が好ましく、具体的にはスプレーコート法、塗工液量を規制したリングコート法が好ましい。また、下層成分の混入量を抑えるために、電荷輸送層として高分子電荷輸送物質を用いたり、硬化型保護層の塗工溶媒に対し不溶性の中間層を設けたりすることも有効である。
硬化型保護層の硬化条件としては、加熱又は光照射のエネルギーが低いと、硬化が完全に終了せず、有機溶剤に対し溶解性があがる可能性がある。逆に非常に高いエネルギーにより硬化させた場合、硬化反応が不均一となり、未架橋部やラジカル停止部の増加や微小な硬化物の集合体となりやすくなり、その結果、有機溶剤に対し溶解性(耐溶剤性の低下)となることがある。有機溶剤に対し不溶性化するには、熱硬化の条件としては100〜170℃、10分〜3時間が好ましく、光照射による硬化条件(たとえばUV光照射による硬化条件)としては50〜1000mW/cm2、5秒〜5分で且つ温度上昇を50℃以下に制御し、不均一な硬化反応を抑えることが望ましい。
本発明において硬化型保護層を有機溶剤に対し不溶性にする手法について例示すると、例えば、塗工液として、3つのアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、一つのアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物を使用する場合、これらの使用割合は7:3から3:7であり、また、重合開始剤をこれらアクリレート化合物全量に対し3〜20重量%添加し、さらに溶媒を加えて塗工液を調製する。また硬化型保護層の下層となる電荷輸送層において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂としてポリカーボネートを使用し、表面層をスプレー塗工により形成する場合、上記塗工液の溶媒として、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく、その使用割合は、アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量である。
次いで、例えば、アルミシリンダー等の導電性の支持体上に、下引き層、電荷発生層、上記電荷輸送層を順次積層した感光体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布する。その後、自然乾燥又は比較的低温で短時間乾燥し(25〜80℃、1〜10分間)、エネルギーの印加、たとえばUV照射あるいは加熱して硬化させる。
UV照射の場合、メタルハライドランプ等を用いるが、照度は50mW/cm2以上、1000mW/cm2以下、時間としては5秒から5分程度が好ましく、ドラム温度は50℃を越えないように制御する。
熱硬化の場合、加熱温度は100〜170℃が好ましく、例えば加熱手段として送風型オーブンを用い、加熱温度を150℃に設定した場合、加熱時間は20分〜3時間である。
硬化終了後は、さらに残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の感光体を得る。
本発明の感光体においては、導電性支持体と電荷発生層との間に下引き層を設けることができる。これら下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であるものを使用することが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ポリアミド(共重合ナイロン)、メトキシメチル化ポリアミド(ナイロン)等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、イソシアネート、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の多層型感光層を形成する際に使用したような適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al23を陽極酸化法により設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物、SiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法を用いて設けたものも良好に使用できる。このほかにも下引き層の材料として公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μm(0より大きく5以下)が適当である。
本発明の感光体において、導電性支持体と下引き層の間もしくは下引き層と電荷発生層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ポリアミド(可溶性ナイロン)、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中間層の形成法としては、前記した方法、さらに公知の塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは、0.05〜2μmが適当である。
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の少なくとも1層に、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質及びレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコールエステル、トコフェロール類など。
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
(g)天然ワックス
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロ
ロベンゾトリアゾールなど。
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなど。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
次に図面を用いて本発明の画像形成装置を詳しく説明する。
図3は、電子写真プロセス及び本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。図3において、感光体21は、図1及び図2に示したように、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層と、保護層とが順次積層されてなり、電荷輸送層と保護層には電荷輸送物質が含有され、電荷輸送層の保護層側界面における電荷輸送物質の濃度と保護層の電荷輸送層側界面における電荷輸送物質の濃度との比が0.65〜1.1の範囲にある。感光体21はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電チャージャー23、転写前チャージャー26、転写チャージャー29、分離チャージャー30、クリーニング前チャージャー32には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)のほか、ローラー状の帯電部材あるいはブラシ状の帯電部材等が用いられ、公知の手段(帯電手段)がすべて使用可能である。
帯電部材は、コロナ帯電等の非接触帯電方式やローラーあるいはブラシを用いた帯電部材による接触帯電方式が一般的であり、本発明ではいずれも有効に使用することが可能である。特に、帯電ローラーは、コロトロンやスコロトロン等に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、感光体の繰り返し使用時の安定性や画質劣化防止に有効である。しかし、感光体と帯電ローラーとが接触した繰り返し使用によって帯電ローラーが汚染され、感光体に影響を及ぼし異常画像の発生や耐摩耗性の低下等を助長する原因となっていた。特に、本発明による耐摩耗性の高い感光体を用いる場合、表面の(保護層の)摩耗によりリフェイスしにくいことから、帯電ローラーの汚染を軽減させるため、図3に示すように、帯電チャージャー23を感光体21に対してギャップ(空隙)を介して、近接配置させることによって、汚染物質が帯電チャージャー23に付着しにくく、あるいは除去しやすくなり、それらの影響を軽減することが可能であり、本発明においても有効に用いることが可能である。この場合、感光体21と帯電チャージャーとのギャップは小さい方が好ましく、100μm以下、より好ましくは50μm以下である。しかし、帯電チャージャー23を非接触とすることによって、放電が不均一になり、感光体21の帯電が不安定になる場合がある。本発明においては、直流成分に交流成分を重畳させることによって帯電の安定性を維持し、これによりオゾンの影響(オゾン発生量の低下)、帯電チャージャー23の汚染の影響及び帯電性の影響を同時に軽減することが可能となり、耐摩耗性の高い感光体21と組み合わせて使用することにより、さらなる高耐久化及び高画質化が実現される。
画像露光部24、除電ランプ22等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。これらの中でも半導体レーザー(LD)や発光ダイオード(LED)が主に用いられる。所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
図3に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光源からの光が照射される。但し、除電工程における感光体への露光は、感光体に与える疲労の影響が大きく、特に帯電低下や残留電位の上昇を引き起こす場合がある。従って、露光による除電ではなく、帯電工程やクリーニング工程において逆バイアスを印加することによって除電するように感光体の高耐久化を図ることがこできる場合には、この除電手段を採用することもできる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
転写手段には、一般に前記した帯電器を使用することができ、たとえば図3に示されるように転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。また、このような転写手段を用いて、感光体からトナー像を紙に直接転写されるが、本発明の画像形成装置において感光体上のトナー像を一度中間転写体に転写し、その後中間転写体から紙に転写する中間転写方式を採用すると感光体の高耐久化あるいは高画質化が図れるため好ましい。本発明における高耐久性を有する感光体は、前述のとおり耐摩耗性が高いためリフェイスしにくく、感光体表面に付着した汚染物質を除去しにくい傾向がある。感光体表面に付着する汚染物質の中で帯電によって生成する放電物質やトナー中に含まれる外添剤等は、湿度の影響を拾いやすく異常画像の原因となっているが、このような異常画像の原因物質に紙粉があり、それらが感光体に付着することによって、異常画像が発生しやすくなるだけでなく、耐摩耗性を低下させたり、偏摩耗を引き起こしたりする傾向が見られる。従って本発明では、感光体と紙とが直接接触しない構成を採用することが高画質化の点から、より好ましい。
また、中間転写方式は、フルカラー印刷が可能な画像形成装置に特に有効であり、複数のトナー像を一度中間転写体上に形成した後に紙などの転写媒体に一度に転写することによって、色ズレの防止の制御をしやすく高画質化に対して有効である。しかし、中間転写方式は、一枚のフルカラー画像を得るのに4回のスキャンが必要となるため、感光体の耐久性が大きな問題である。本発明における感光体は、高耐久性を有するだけでなく、ドラムヒーターなしに画像ボケが発生しにくいことから中間転写方式の画像形成装置に組み合わせて用いることが容易であり、特に有効かつ有用である。中間転写体には、ドラム状やベルト状など種々の材質あるいは形状のものがあるが、本発明の画像形成装置においては従来公知である中間転写体のいずれも使用することが可能であり、感光体の高耐久化あるいは高画質化に対し有効かつ有用である。
現像ユニット25により感光体21上に現像されたトナーは、転写紙28に転写され、感光体21上に残存するトナーが生ずる。このような残存トナーは、ファーブラシ33あるいはブレード34により、感光体21からクリーニング工程により除去される。このクリーニング工程は、クリーニングブラシだけを用いて行われたり、ブレード単独あるいはこれらを併用して行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
クリーニング工程は、転写後に感光体上に残ったトナー等を除いて感光体を清浄化する工程であるが、上記のブレードあるいはブラシ等によって感光体が繰り返し摺擦されることにより、感光体の摩耗が促進されたり、傷が入って異常画像が発生することがある。また、クリーニング不良によって感光体の表面が汚染されると異常画像発生の原因となるだけでなく、感光体の寿命を大幅に低減させることにつながる。特に、耐摩耗性向上のためにフィラーを含有させた層を最外面に形成させた感光体の場合には、感光体表面に付着した汚染物質が除去されにくいことから、フィルミングや異常画像の発生を助長することになる。従って、感光体のクリーニング性を高めることは感光体の高耐久化及び高画質化に対し非常に有効である。
感光体のクリーニング性を高める方法としては、感光体表面の摩擦係数を低減させる方法が知られている。感光体表面の摩擦係数を低減させる方法としては、各種の潤滑性物質を感光体表面に含有させる方法と、外部より感光体表面に潤滑性物質を供給させる方法とに分類される。前者はエンジン廻りのレイアウトの自由度が高いため、小径感光体には有利であるが、繰り返し使用によって摩擦係数は顕著に増加(変化)するため、その持続性に課題が残されている。一方、後者は潤滑性物質を供給する部品を備える必要があるが、摩擦係数の安定性は高いことから感光体の高耐久化に対しては有効である。たとえば、潤滑性物質を現像剤に含有させることによって現像時に感光体に付着させる方法は、エンジン廻りのレイアウトにも制約を受けずに、感光体表面の摩擦係数低減効果の持続性も高いため、感光体の高耐久化及び高画質化に対しては非常に有効な手段である。
これらの潤滑性物質としては、シリコーンオイル、フッ素オイル等の潤滑性液体、PTFE、PFA、PVDF等の各種フッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコングリース、フッ素グリース、パラフィンワックス、脂肪酸エステル類、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩、黒鉛、二硫化モリブデン等の潤滑性液体や固体、粉末等が挙げられるが、特に現像剤に混合させる場合には粉末状である必要があり、特にステアリン酸亜鉛は悪影響が少なく、極めて有効に使用することができる。ステアリン酸亜鉛粉末をトナーに含有させる場合には、それらのバランスやトナーに与える影響を考慮する必要があり、トナーに対して0.01〜0.5重量%が好ましく、0.1〜0.3重量%がより好ましい。
本発明による感光体は、高い耐摩耗性を有するため小径感光体に適用でき、また繰り返し使用による摩耗変動量を少なくすることが可能となる。従って、上記の感光体がより有効に用いられる画像形成装置あるいは画像形成装置の方式としては、複数色のトナーに対応した各々の現像部に対して、対応した複数の感光体を具備し、それによって並列処理を行う、いわゆるタンデム方式の画像形成装置に極めて有効に使用される。上記タンデム方式の画像形成装置は、フルカラー印刷に必要とされるイエロー(C)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の少なくとも4色のトナー及びそれらを保持する現像部を配置し、さらにそれらに対応した少なくとも4本の感光体を具備することによって、従来のフルカラー印刷が可能な画像形成装置に比べ極めて高速なフルカラー印刷を可能としている。
図5は、本発明の画像形成装置において好適な方式であるタンデム方式のフルカラー電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の画像形成装置の範疇に属するものである。図5において、符号(1C,1M,1Y,1K)はドラム状の感光体であり、使用される感光体は本発明の感光体である。この感光体(1C,1M,1Y,1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(2C,2M,2Y,2K)、現像部材(4C,4M,4Y,4K)、クリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)が配置されている。帯電部材(2C,2M,2Y,2K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。
この帯電部材(2C,2M,2Y,2K)と現像部材(4C,4M,4Y,4K)の間の感光体裏面側より、図示しない露光部材からのレーザー光(3C,3M,3Y,3K)が照射され、感光体(1C,1M,1Y,1K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(1C,1M,1Y,1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(10)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(10)は各画像形成ユニット(6C,6M,6Y,6K)の現像部材(4C,4M,4Y,4K)とクリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)の間で感光体(1C,1M,1Y,1K)に当接しており、転写搬送ベルト(10)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)が配置されている。各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図5に示す構成のカラー電子写真装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)において、感光体(1C,1M,1Y,1K)が矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材(2C,2M,2Y,2K)により帯電され、次に感光体の外側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光(3C,3M,3Y,3K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。
次に現像部材(4C,4M,4Y,4K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(4C,4M,4Y,4K)は、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行う現像部材で、4つの感光体(1C,1M,1Y,1K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙(7)は給紙コロ(8)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(9)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(10)に送られる。転写搬送ベルト(10)上に保持された転写紙(7)は搬送されて、各感光体(1C,1M,1Y,1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。
感光体上のトナー像は、転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)に印加された転写バイアスと感光体(1C,1M,1Y,1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(7)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(7)は定着装置(12)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(1C,1M,1Y,1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C,5M,5Y,5K)で回収される。
なお、図5の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものでは無く、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C,6M,6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。更に、図5において帯電部材は感光体と当接しているが、図4に示したような帯電機構にすることにより、両者の間に適当なギャップ(10〜200μm程度)を設けてやることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み良好に使用できる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよく、また、各々の電子写真要素はプロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等から選択される手段の少なくとも1つを含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図6に示すものが挙げられる。感光体101は、図1、図2に示される本発明の感光体である。
上記のタンデム方式による画像形成装置は、複数のトナー像を一度に転写できるため高速フルカラー印刷が実現される。しかし、感光体が少なくとも4本を必要とすることから、装置の大型化が避けられず、また使用されるトナー量によっては、各々の感光体の摩耗量に差が生じ、それによって色の再現性が低下したり、異常画像が発生したりするなど多くの課題を有していた。それに対し、本発明による感光体は、保護層を形成することによって高い耐摩耗性を有することから小径感光体でも適用可能であり、かつ残留電位上昇や感度劣化等の影響が低減されたことから、4本の感光体の使用量が異なっていても、残留電位や感度の繰り返し使用経時における差が小さく、長期繰り返し使用しても色再現性に優れたフルカラー画像を得ることが可能となる。
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明の画像形成装置における動作例示するものであって、もちろん他の実施形態でも可能である。
[実施例]
以下、本発明を、実施例によりさらに詳説するが、本発明は以下の実施例のみに制約されて解釈されるものではない。なお、部はすべて重量部である。
まず、本発明に用いた1官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成例について説明する。
<1官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成例>
本発明における1官能の電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば特許第3164426号公報記載の方法を用いて、合成される。また、下記にこの一例を示す。
〈1〉ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式B)の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式A:p−メトキシビフェニルビストリルアミン)113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間かけて滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5L(リットル)を加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)により精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして下記構造式Bの白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た。
融点:64.0〜66.0℃
〈2〉トリアリールアミノ基置換アクリレート化合物(化15中の例示化合物No.54)
上記〈1〉で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式B:p−オキシビフェニルビストリルアミン)82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下し、その後、5℃で3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出し、この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)により精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。この様にして例示化合物No.54(化15のNo.54)の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た。
融点:117.5〜119.0℃
続いて、電子写真感光体の作製方法について説明する。
直径30mmのアルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、および電荷輸送層用塗工液を、浸漬塗工法により順次塗布し、オーブンで乾燥を行い、約3.5μmの下引き層と、約0.2μmの電荷発生層と、約27μmの電荷輸送層とを形成した。なお、各層の乾燥条件は、下引き層は130℃であり、電荷発生層は90℃であり、電荷輸送層は135℃であり、各20分間乾燥した。
(下引き層用塗工液)
・酸化チタン(CR−EL、純度:99.7%、平均一次粒径:約0.25μm、比抵抗:3.5×109Ω・cm、石原産業(株)製) 50部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50、固形分:50%、水酸基価:130、大日本インキ化学工業(株)製) 14部
・メラミン樹脂(L−145−60、固形分:60%、大日本インキ化学工業(株)製) 8部
・2−ブタノン 120部
(電荷発生層用塗工液)
・図7のX線回折スペクトルを示すチタニルフタロシアニン 8部
・ポリビニルブチラール(BX−1、積水化学工業(株)製) 5部
・2−ブタノン 400部
(電荷輸送層用塗工液)
・ポリカーボネート(商品名Zポリカ、帝人化成社製) 10部
・下記構造式の電荷輸送物質A(酸化電位:0.76V(vs.SCE)) 7部
・シリコーンオイル(100cSt、信越化学製) 0.002部
・テトラヒドロフラン 100部
電荷輸送層を形成したのち乾燥し、図8に示す研磨装置を用いて研磨処理を行った。感光体の回転速度は、200rpmに設定し、研磨物にはラッピングフィルム(スリーエム製、粒度5μm)を使用した。研磨厚(研磨深さ)は、4μmとした。
研磨した電荷輸送層上に下記組成の保護層用塗工液をスプレー塗工によって5μmの保護層を形成した。保護層は、スプレー塗工してから20分間自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射強度:500mW/cm2、照射時間:60秒の条件により光照射を行なって塗布膜を硬化させた。その後、保護層は130℃で加熱乾燥した。保護層を5μm形成させるのに、スプレー噴霧を3回塗り重ねて行った。なお、保護層の乾燥条件は、150℃20分に設定した。
(保護層用塗工液)
・電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー(トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99) 10部
・1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(例示化合物No.54) 10部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)) 1部
・テトラヒドロフラン 100部
実施例1において、電荷輸送層の研磨厚を2μmにした以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において、電荷輸送層の研磨厚を6μmにした以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において、電荷輸送層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(電荷輸送層用塗工液)
・ポリカーボネート(商品名Zポリカ、帝人化成社製) 10部
・下記構造式の電荷輸送物質B(酸化電位:0.76V(vs.SCE))
7部
・シリコーンオイル(100cSt、信越化学製) 0.002部
・テトラヒドロフラン 100部
実施例1において、電荷輸送層の膜厚を30μmになるように塗工し、研磨厚を7μmにした以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
実施例5において、研磨厚を3μmにした以外は、すべて実施例5と同様にして、電子写真感光体を作製した。
実施例1において、電荷輸送層の膜厚を33μmになるように塗工し、研磨厚を10μmにした以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
実施例7において、研磨厚を6μmにした以外は、すべて実施例7と同様にして、電子写真感光体を作製した。
実施例1において、電荷輸送層の膜厚を24μmになるように塗工し、研磨厚を1μmにした以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
実施例9において、研磨厚を5μmにした以外は、すべて実施例9と同様にして、電子写真感光体を作製した。
実施例1において、電荷輸送層の膜厚を20μmになるように塗工し、研磨厚を1μmにした以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
実施例1において、保護層塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを、下記のモノマーに換え、1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を例示化合物No.138、10部に換えた以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
・電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(SR−295,化薬サートマー製 分子量:352、官能基数:4官能、分子量/官能基数=88) 10部
実施例1において、保護層塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
・電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製 分子量:1947、官能基数:6官能、分子量/官能基数=325 10部
実施例1において、保護層用塗工液に含有される電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを下記のモノマーに換え、光重合開始剤を下記の化合物1部に換えた以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
・電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−60、日本化薬製:分子量:1263、官能基数:6官能、分子量/官能基数=211 10部
・光重合開始剤:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製) 1部
実施例1において、保護層塗工液に含有される電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を、1官能性の例示化合物No.54を9部と下記構造の2官能性化合物1部とした以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
・1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(例示化合物No.54) 9部
・2官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 1部
〈比較例1〉
実施例1において、電荷輸送層を形成後、研磨処理を行わなかった以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〈比較例2〉
実施例4において、電荷輸送層を形成後、研磨処理を行わなかった以外は、すべて実施例4と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〈比較例3〉
実施例7において、電荷輸送層を形成後、研磨処理を行わなかった以外は、すべて実施例7と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〈比較例4〉
実施例12において、電荷輸送層を形成後、研磨処理を行わなかった以外は、すべて実施例12と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〈比較例5〉
実施例13において、電荷輸送層を形成後、研磨処理を行わなかった以外は、すべて実施例13と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〈比較例6〉
実施例14において、電荷輸送層を形成後、研磨処理を行わなかった以外は、すべて実施例14と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〈比較例7〉
実施例15において、電荷輸送層を形成後、研磨処理を行わなかった以外は、すべて実施例15と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〈比較例8〉
実施例1において、保護層用塗工液を下記組成の保護層用塗工液に変更し、保護層の乾燥条件を130℃20分に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(保護層用塗工液)
・下記構造式の高分子電荷輸送物質(重量平均分子量175000、酸化電位0.780V(vs. SCE)) 15部
・テトラヒドロフラン 230部
・シクロヘキサノン 70部
〈比較例9〉
実施例1において、電荷輸送層を形成後、研磨処理を行わず、さらに保護層を形成しなかった以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〈比較例10〉
実施例1において、保護層を形成しなかった以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
以上のようにして作製された電子写真感光体を、電子写真プロセス用カートリッジ(ただし、クリーニング前の露光はなし)に装着し、帯電ローラー及び画像露光光源を780nmの半導体レーザーを用いたリコー製デジタル複写機改造機を用いて、初期の露光部電位(VL)及び画像評価を行った。その後、トータル10万枚の印刷を行い、その際初期及び10万枚印刷後における露光部電位(VL)の測定並びに画像評価を行った。画像評価は、出力した画像サンプルを拡大観察し、定着したトナーの付着量やドット再現性から、画像濃度、階調性、解像度について評価を行った。また、初期及び10万枚印刷後における膜厚差より摩耗量の評価を行った。これらの結果を表16に示す。
また、以上のように作製された電子写真感光体を、感光体表面から斜め方向に切断し、その切断面についてFT−IR、μ−ATR法を用いて電荷輸送層の分析を行った。電荷輸送物質及びバインダー樹脂のそれぞれのIRスペクトルから、電荷輸送物質の単独ピーク(1600cm-1付近)と、バインダー樹脂の単独ピーク(1773cm-1付近)を決め、それらのピーク強度比から、電荷輸送層の電荷輸送物質の濃度を求めた。さらに、電荷輸送層の電荷発生層側界面における電荷輸送物質の濃度と電荷輸送層の保護層側界面における電荷輸送物質の濃度との比(CTM濃度比)を求めた。界面の濃度変化が明瞭に識別できないものに関しては、導電性支持体上に上記の通り作製した電荷輸送層のみを形成した後、膜を剥がして測定して求めた。なお、測定深さは表面から約1μmである。それらの結果を表16に示す。
なお、画像品質の評価基準は、下記のとおりとした。
◎:初期の画像品質と比べて、ほとんど変化が見られず、良好な画像と判断できるレベル。
○:初期の画像品質と比べて、画質劣化が若干認められるが、特に問題ないレベル。
△:初期の画像品質と比べて、明らかに画質劣化が認められるレベル。
×:初期の画像品質と比べて、顕著な画質劣化が認められ、明らかに問題視されるレベル。
以上の結果から明らかなように、電荷輸送層を形成した後研磨処理を行い、その上に硬化型保護層を形成することによって、露光部電位の低減及び階調性や解像度が向上する傾向が認められ、高画質化に対し非常に有効である。
電荷輸送層には保護層側に向かって電荷輸送物質の濃度が低くなる濃度傾斜が形成されており、特に電荷輸送層の表面領域は電荷輸送物質の濃度が著しく低減した領域が存在することを本発明者らは見出した。
本発明は、電荷輸送層の表面を研磨処理して除去することにより、その上に形成された硬化型保護層への電荷の注入性が向上したことによると考えられる。一方、研磨処理を行わなかった場合は、印刷枚数が少ないうちは影響は比較的少ないが、10万枚に及ぶ印刷を行うと電荷輸送層と保護層との界面に電荷が蓄積することによると考えられる露光部電位上昇が顕著に認められ、さらにドット再現性も低下し、画質の低下を引き起こした。また、硬化型保護層ではなく、高分子電荷輸送物質を保護層として形成した場合には、電荷輸送層の表面研磨の効果により露光部電位は低減できているものの、硬化されていないことにより表面に多くのキズが形成され、それによりクリーニング不良を招いて黒スジが発生した。さらに、硬化型保護層を形成しなかった場合には、露光部電位に対しては特に問題なかったものの、耐摩耗性が著しく低下し、地汚れ多発により寿命は大幅に低減した。
導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質を主成分とする電荷発生層、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層及び電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物と、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化反応させることによって形成された保護層が順次積層されている感光体の製造方法において、導電性支持体上に電荷発生層を形成する工程、該電荷発生層上に電荷輸送層を形成する工程、該電荷輸送層の表面を研磨する工程、該研磨された電荷輸送層の上に保護層を形成する工程を有することにより、それによって得られた感光体は、耐摩耗性や耐キズ性が向上されたと同時に、電荷発生層から注入された電荷が電荷輸送層、さらに保護層へと少ないロスで輸送させることができ、さらに電荷の横方向への拡散を抑制することが可能となったことにより、原稿に対しより忠実な静電潜像の形成が実現され、トナー散りが少なく、大幅な高画質化が実現された。これにより、従来保護層を形成したときの課題とされていた高耐久化と高画質化を両立することが可能となり、感光体、さらにはそれを用いた画像形成装置の長寿命化を実現することが可能となった。
本発明の電子写真感光体の層構成を例示する模式的断面図である。 本発明の電子写真感光体の層構成を例示する模式的断面図である。 本発明の画像形成装置を説明するため概略図である。 本発明における帯電機構の一例を説明するための概略斜視図である。 本発明のフルカラー電子写真装置を説明するための概略図である。 本発明のプロセスカートリッジを説明するための概略図である。 実施例で用いた電荷発生物質のX線回折スペクトル図であり、縦軸は一秒当りのカウント数(cps:counts per second)を表し、横軸は角度(2θ)を表す。 実施例で用いた研磨装置の概略図である。
符号の説明
1C、1M、1Y、1K 感光体
2C、2M、2Y、2K 帯電部材
3C、3M、3Y、3K レーザー光
4C、4M、4Y、4K 現像部材
5C、5M、5Y、5K クリーニング部材
6C、6M、6Y、6K 画像形成要素
11C、11M、11Y、11K 転写ブラシ
21 感光体
22 除電ランプ
23 帯電チャージャー
24 画像露光部
25 現像ユニット
26 転写前チャージャー
27 レジストローラ
28 転写紙
29 転写チャージャー
30 分離チャージャー
31 分離爪
32 クリーニング前チャージャー
33 ファーブラシ
34 ブレード
101 ドラム
102 接触帯電装置
103 像露光
104 現像装置
105 転写体
106 接触転写装置
107 クリーニングユニット

Claims (16)

  1. 導電性支持体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層と、電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化反応させることによって形成された保護層とを少なくとも有し、
    前記電荷発生層、電荷輸送層および保護層がこの順に前記導電性支持体上に積層された電子写真感光体の製造方法であって、
    前記電荷輸送層を形成した後、該電荷輸送層の表面を研磨し、該研磨した電荷輸送層の表面に前記保護層を形成し、
    前記電荷輸送層表面の研磨は、該電荷輸送層の膜厚に対して研磨される膜厚の比が、0.04以上0.4以下の範囲で行うことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記電荷輸送層表面の研磨は、該電荷輸送層の表面に研磨物を当接させた状態で該電荷輸送層が形成された導電性支持体を回転し摺擦させて行うことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記電荷輸送層表面の研磨は、該電荷輸送層の電荷発生層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する該電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比が、0.68〜1.00の範囲になるように行うことを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 電荷輸送層の厚みが、15〜50μmである請求項1から3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記電荷輸送層に含有される電荷輸送物質は、下記一般式(1)に示される化合物を含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
    (式(1)中、nは0又は1であり、Ar3及びAr4は、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の複素環基を表わし、R6〜R8は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の複素環基を表わし、R7、R8は、互いに結合して環を形成してもよく、Ar5は、置換もしくは無置換のアリーレン基を表わす。)
  6. 前記保護層は、前記研磨された電荷輸送層の上にスプレー噴霧を複数回繰り返し、塗り重ねて形成した後硬化することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記保護層は、熱エネルギー又は光エネルギーの少なくともいずれかのエネルギーを照射または印加することによって硬化することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性官能基を3個以上有し、前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性官能基を1個有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 前記電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかの基を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  10. 前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかの基を有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  11. 前記電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、トリアリールアミン構造を有することを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  12. 前記電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性官能基の数に対する前記電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性化合物の分子量の比は、250以下であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  13. 請求項1ないし12のいずれかに記載の製造方法で製造することを特徴とする電子写真感光体。
  14. 請求項13に記載の電子写真感光体を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  15. 前記画像形成装置が、少なくとも複数の感光体、帯電手段、画像露光手段、現像手段及びクリーニング手段からなる複数の画像形成部を有するタンデム方式のフルカラー画形成装置であることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
  16. 請求項13に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、及びクリーニング手段のうちの少なくとも一つが一体に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に設けられることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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