JP4762916B2 - 再帰性反射シートとその製造方法及び使用方法 - Google Patents

再帰性反射シートとその製造方法及び使用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4762916B2
JP4762916B2 JP2006548026A JP2006548026A JP4762916B2 JP 4762916 B2 JP4762916 B2 JP 4762916B2 JP 2006548026 A JP2006548026 A JP 2006548026A JP 2006548026 A JP2006548026 A JP 2006548026A JP 4762916 B2 JP4762916 B2 JP 4762916B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transparent
retroreflective
sheet
layer
sphere
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006548026A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2007010945A1 (ja
Inventor
重男 湯川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kiwa Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kiwa Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kiwa Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kiwa Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2006548026A priority Critical patent/JP4762916B2/ja
Publication of JPWO2007010945A1 publication Critical patent/JPWO2007010945A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4762916B2 publication Critical patent/JP4762916B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/12Reflex reflectors
    • G02B5/126Reflex reflectors including curved refracting surface
    • G02B5/128Reflex reflectors including curved refracting surface transparent spheres being embedded in matrix

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Road Signs Or Road Markings (AREA)

Description

本発明は標識板等に利用される一般的な再帰性反射機能と30°を超える入射角を含む広角な観測角での反射機能を併せ持った再帰反射シートとその製造方法及び使用方法に関するものである。
従来、道路標識に採用されている固定標示型道路標識は、照明装置を備えていない標識と照明装置を備えている標識に大別される。照明装置の備えられていない標識には再帰性反射シートが用いられ、自動車のヘッドライトの明かりを再帰反射させて、ドライバーの眼に標識を視認させるのが一般的である。
この時使用される再帰性反射シートとしては、封入レンズ型再帰性反射シート、カプセルレンズ型再帰性反射シート、プリズムレンズ型再帰性反射シートが挙げられる。しかし、これらの再帰性反射シートに共通している問題点は自動車のヘッドライトの照明が該再帰性反射シートの表面に届かなければドライバーが標識を視認できないことである。通常の運転時には自車のヘッドライトの明かりで対向車の運転手の眼を眩惑させないようにビームを下方に向けて走行している。その為に高所に取り付けられた標識にヘッドライトの照明が到達しにくく、再帰反射光量が低くなり、標識の視認性が低下するという問題点があった。
このような問題点を解決するには標識自体に照明装置を備えていることが必要となる。さらに照明装置を備えている標識の照明方法には内照式と外照式の2つのタイプに分けられる。
内照式の場合には車両のヘッドライトの照明が到達する、しないに関わらず常に一定した明るさで標識を発光させ、該標識を視認させる長所があった。しかし標識内部に封入している電球等が不良となり、光を発光しなくなれば、夜間における標識としての機能を完全に消失してしまう欠点があった。
その為、電球等が不良となった場合は、すみやかに電球等の交換が必要となるが、前記電球等の交換時には車線の走行規制が必要となり、さらに高所作業車を使用しなければならない等の問題点もあった。外部照明式の標識は反射式標識に外部照明装置を施したもので、標識板の上方からもしくは下方から光を照射する方式の場合には前記した電球交換時に、車線の走行規制が必要となり、さらに高所作業車を使用する必要があり、メンテナンス作業に大きな労力と交通の円滑な流れを阻害する問題点があった。特許文献1にはこのようなメンテナンス時の問題点を解決すべく光源部を本体と切り離し照射する遠方照明方式により、照明源を道路の路肩上に設置することによりメンテナンスの簡易化を図り、かつ標識面に再帰性反射シートを利用することにより、車両のヘッドライトの明かりによる再帰反射効果も加味されるという特徴を持った標識照明システムとその方法が提案されている。
しかし、特許文献1に提案の標識照明システムとその方法においては、オーバーハンギングされた大型標識面に対して0〜20°の角度で照明源からの光を入射させるには前記標識面から照明源までの距離は最低でも20〜30mを必要とした。その為、照明源から投光された光が標識面に到達するまでに大幅な光量の低下が避けられなかった。それ故、道路を走行してくる車両の方向に帰す光を十分に確保するには、大容量の投光器が必要となり、電力エネルギーの無駄使いとなる等の問題があった。その上、投光器を設置する場所が標識の手前約20〜30mに渡って直線的に続いている道路であることが必要条件となる。従って、前記照明源を設置する道路は、比較的長い距離で直線的に続いていることが必要となり、前記標識を設置している位置の手前近傍で緩やかに道路がカーブしている場合においても、外部投光器の設置場所を見出すのが困難であるという問題もあった。
また、外部照明源の光が標識面に到達するまでに前記照明源の光量の減衰を極力抑制するために、さらには設置道路の条件に関わらず照明源の設置場所の確保が可能となるように前記標識板に可能な限りの近傍位置に前記照明源を設置しても、前記照明源から投光された光によって、走行車両が前記標識の情報を十分に視認でき、かつ従来の標識と同様に前記標識には再帰反射機能も具備した外照式再帰性反射シートの開発が強く望まれていた。
特許第2910868号公報
本発明は、前記した従来の問題を解決するため、高い観測角性能と高い再帰性反射性能を有し、かつ視認性が高い再帰性反射シートとその製造方法及び使用方法を提供する。
本発明の再帰性反射シートは、複数の再帰性反射要素と、支持樹脂シートと、前記支持樹脂シートの表面側に配置される透明カバーフィルムと、前記透明カバーフィルムの裏面と前記支持樹脂シートの表面の間に部分的に空気層を含む再帰性反射シートであって、前記再帰性反射要素は支持樹脂シート側に形成され、前記透明カバーフィルムの裏面には部分的に透明樹脂層が存在し、前記透明樹脂層の厚さは前記空気層の厚さより薄く形成され、前記透明樹脂層以外の前記透明カバーフィルムの裏面には前記空気層に一部露出して複数の第1の透明球が埋設されており、前記支持樹脂シートと、前記透明樹脂層及び/又は透明カバーフィルムとは部分的に接合されていることを特徴とする。
本発明の再帰性反射シートの製造方法は、複数の再帰性反射要素と、支持樹脂シートと、前記支持樹脂シートの表面側に配置される透明カバーフィルムと、前記透明カバーフィルムの裏面と前記支持樹脂シートの表面の間に部分的に空気層を含む再帰性反射シートの製造方法であって、
(a)透明カバーフィルムの裏面に部分的に透明樹脂層を形成し、前記透明樹脂層以外の前記透明カバーフィルムの裏面に、空気層に一部露出して複数の第1の透明球を埋設した原反−1を作成し、
(b)支持フィルムの表面に支持樹脂シートを形成し、その表面に下半球に反射鏡が設けられた複数の第2の透明球を空気層に一部露出して下半球側を埋設した原反−2を作成し、
(c)前記原反−1の透明カバーフィルムの表面と前記原反−2の支持フィルムが共に外側になるように配置し、前記支持フィルムの外側からエンボス加工することを特徴とする。
本発明の再帰性反射シートの使用方法は、前記の再帰性反射シート又は前記の製造方法によって製造された再帰性反射シートの使用方法であって、前記再帰性反射シートを標識板又は標識板の情報表示体として使用することを特徴とする。
図1は本発明の一実施例における再帰性反射シートを示す断面図である。 図2は本発明の一実施例における再帰性反射シート用原反−1の製造工程を示す断面図である。 図3は本発明の一実施例における再帰性反射シート用原反−2の製造工程を示す断面図である。 図4は同、製造工程を示す断面図である。 図5は同、製造工程を示す断面図である。 図6は同、製造工程を示す断面図である。 図7は同、製造工程を示す断面図である。 図8は同、製造工程を示す断面図である。 図9は本発明の一実施例における再帰性反射シートの製造工程を示す断面図である。 図10は本発明の一実施例における再帰性反射シート用原反−2としてキューブコーナー型再帰性反射シートを使用した製造工程を示す断面図である。 図11は本発明の実施例及び比較例の再帰性反射シートを標識照明システムに使用した例における測定個所を示す説明図である。 図12Aは本発明の一実施例における再帰性反射シート用原反−1の透明樹脂層の形状である。図12Bは本発明の一実施例における再帰性反射シート用原反−1の透明樹脂層の別の形状である。
本発明は、複数の再帰性反射要素を含む従来の透明樹脂層部分と、広角な観測角性能を担う第1の透明球が埋設された部分とを厚さ方向に独立させて配置することにより、高い観測角性能と高い再帰性反射性能を有し、かつ視認性が高い再帰性反射シートとその製造方法及び使用方法を提供できる。
本発明の再帰性反射シートは、複数の再帰性反射要素と、支持樹脂シートと、前記支持樹脂シートの表面側に配置される透明カバーフィルムと、前記透明カバーフィルムの裏面と前記支持樹脂シートの表面の間に部分的に空気層を含む再帰性反射シートであって、前記再帰性反射要素は支持樹脂シート側に形成され、前記透明カバーフィルムの裏面には部分的に透明樹脂層が存在し、前記透明樹脂層の厚さは前記空気層の厚さより薄く形成され、前記透明樹脂層以外の前記透明カバーフィルムの裏面には前記空気層に一部露出して複数の第1の透明球が埋設されており、前記支持樹脂シートと、前記透明樹脂層及び/又は透明カバーフィルムとは部分的に接合されている。これにより一般的な再帰性反射機能を担う透明樹脂層部分と広角な観測角性能を担う第1の透明球が埋設された部分とを厚さ方向に独立させて配置し、それぞれの機能を発揮することができ、ひとつのシートで異なる複数の性能を発揮できて好適である。
前記第1の透明球が該球径の10%以上の部分が透明カバーフィルムの裏面から空気層に露出していれば、前記第1の透明球の空気層への露出部分で入射光が全反射して広角特性が得られて好適である。
前記透明樹脂層の厚さは前記空気層の厚さより薄く形成され、前記透明樹脂層の厚さが0.1〜180μmの範囲であれば、第1の透明球の裏面に空気層が確実に確保することが可能となり、前記第1の透明球によって入射光を確実に全反射できて好適である。さらには、透明樹脂層と第2のガラス球の間にも空気層を確保できるので、再帰反射性能を低下させることもなく好適である。ここでいう空気層とは、前記透明カバーフィルムの裏面と前記支持樹脂シートの表面の間の距離をいう。
前記の広角な観測角性能を担う部分と一般的な再帰性反射機能を担う部分のシート全表面積中で占める割合は、前記再帰性反射シートの再帰反射強度をJISZ9117に規定する再帰反射強度の測定方法に準じて計測したとき、前記再帰性反射シートがJIS1級の反射性能を有するように前記透明樹脂層の割合を決めればさらに好適となる。
前記再帰性反射要素が、その半球が反射鏡で覆われた第2の透明球であり、前記第2の透明球の前記反射鏡で覆われた半球面側が、前記支持樹脂シート内に埋まるように保持されているのが好ましい。
前記第1の透明球の屈折率をAとし、前記第2の透明球の屈折率をBとしたとき、A>Bにすることによって、第1の透明球により比較的広い範囲の観測角に対応可能となり、大きな入射角を持って前記シートに入射された光は前記シートの法線方向に光を出射させ、さらに第2の透明球によって、比較的狭い範囲の観測角に対応可能となり、前記シートの法線を走行車両方向に向けて設置すれば、前記車両の前車燈からの照射光を該車両に向かって正確に光を帰す働きをさせて好適である。
前記第1の透明球の屈折率Aの分布が2.00〜2.40の範囲に90%以上ある再帰性反射シートは大きな入射角を持って前記シートに入射された光を正確に前記シートの法線方向に光を出射させて好適である。
前記第2の透明球の屈折率Bの分布が1.85〜1.98の範囲に90%以上ある再帰性反射シートであれば、車両の前車燈からの照射光を該車両に向かって正確に光を帰す再帰性反射性能が最適化されて好適である。
前記第1の透明球と、前記第2の透明球の屈折率を前記した屈折率に設定するには透明球がともにガラスビーズであれば好適となる。
前記第1の透明球に入射した光は前記第1の透明球と空気層との界面で反射し、前記第2の透明球に入射した光は前記反射鏡で反射する。これにより広角な角度から入射した光を前記シートの前面に向かって、前記光を出射させることが可能となり、かつ走行車両からの投下光を再帰反射させて、車両のドライバーに標識を視認させることが可能となる。すなわち前記第1の透明球に入射した光の反射角度は相対的に広く、前記第2の透明球に入射した光の反射角度は相対的に狭い再帰性反射シートとなり好適である。
本発明の再帰性反射シートの製造方法は、
(a)透明カバーフィルムの裏面に部分的に透明樹脂層を形成し、前記透明樹脂層以外の透明カバーフィルムの裏面に、空気層に一部露出して複数の第1の透明球を埋設した原反−1を作成し、
(b)支持フィルムの表面に支持樹脂シートを形成し、その表面に下半球に反射鏡が設けられた複数の第2の透明球を空気層に一部露出して下半球側を埋設した原反−2を作成し、
(c)前記原反−1の透明カバーフィルムの表面と前記原反−2の支持フィルムが共に外側になるように配置し、前記支持フィルムの外側からエンボス加工する製造方法であり、一般的な再帰性反射機能を担う部分と広角な観測角性能を担う部分とを独立させて、それぞれの機能を発揮することが可能な再帰性反射シートの製造が可能となり、好適である。
本発明の再帰性反射シートの使用方法は、前記再帰性反射シートを標識板又は標識板の情報表示体として使用することにより、光源から前記標識板表面方向に光を照射すれば、車両の前車燈から投光された光が前記標識板に到達する、しないに関わらず車両のドライバーが前記標識板又は標識板の情報表示体を視認することが可能となり好適である。
前記標識板から離れた位置に光源を設置し、前記光源から前記標識板表面方向に光を照射する使用方法により、光源のメンテナンスが容易になって好適である。
前記使用方法において、前記光源から前記標識板表面方向に光を照射する角度が、標識面に対して30°を超える入射角を含むことにより、前記標識の近傍より光を照射することが可能となり、エネルギーのロスを減少でき、その上ランニングコストも削減でき、さらには環境保全にも効果があり好適である。
前記使用方法において、前記光源にLED(light emitting diode)を使用すれば、光源の寿命が長期化し、かつ低エネルギーで高輝度の照明が得られて好適である。
図1は本発明の一実施例における再帰性反射シートの断面図であり、1は透明カバーフィルム、11は表面層、12は透明球固着層、2は透明樹脂層、3はガラス球(第1の透明球)、4はガラス球(第2の透明球)、5は金属反射膜、6は支持樹脂シート、7はプライマー層、16は空気層、17は接合部である。再帰性反射シートの裏面に粘着剤層又は接着剤層を介して離型紙又は離型フィルムが一体化されてもよい。
この再帰性反射シートは、複数の再帰性反射要素(4,5)が支持樹脂シート6に埋め込まれている。支持樹脂シート6の表面側には透明カバーフィルム1が配置されている。透明カバーフィルム1の裏面と支持樹脂シート6の表面の間に部分的に空気層16が形成されている。透明カバーフィルム1の裏面には部分的に透明樹脂層2が存在している。透明樹脂層2の厚さは空気層16の厚さより薄く形成されており、透明樹脂層2の厚さは、第1の透明球の裏面に空気層16を確実に確保し、かつ透明樹脂層2と第2のガラス球の間にも空気層16を確保するという観点及び第1の透明球を透明カバーフィルム裏面に付着するのを完全に遮断するという観点からも0.1〜180μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜140μm、さらに1〜100μmの範囲が好ましい。0.1μmよりも薄ければ第1の透明球の付着を完全に遮断するための層強度が不足し、又180μmを超えると空気層が厚くなりすぎ、屋外使用においてシート端面からの水、塵等の浸入が多くなり、表面フィルムが支持樹脂シートから剥離する等の異常が発生する確率が高くなり、又外観的にも見苦しくなり好ましくない。
透明樹脂層2以外の透明カバーフィルム1の裏面には空気層16に一部露出して複数の第1の透明球3が埋設されている。また、支持樹脂シート6と、透明樹脂層2及び/又は透明カバーフィルム1とは部分的に接合部17により接合されている。この接合部17は裏面のポリエステルフィルム側からのエンボスによって成形される。
以上により一般的な再帰性反射機能を担う部分(4,5)と広角な観測角性能を担う部分(3)とを独立させて、それぞれの機能を発揮することができる再帰性反射シートとすることができる。
以下、図面を用いて本発明の再帰性反射シートの製造方法の一例を具体的に説明する。図2から図9は本発明の再帰性反射シートの製造方法の一例の工程を示すものである。
本発明の再帰性反射シート用原反−1の好適な構成は、透明カバーフィルム1が透明性を有した表面層11と透明球固着層12から形成されている。すなわち、表面から順に、前記表面層11と、第1の透明球3を保持する前記透明球固着層12が形成され、前記透明球固着層12の裏面に第1の透明球3を配設した部分及び前記第1の透明球を配設しない透明樹脂層2を有するものである。このとき透明性を有した前記表面層と前記透明球固着層とは同一層とすることも可能であるし、又前記表面層や前記透明球固着層を複数の積層樹脂層とすることも可能である。前記透明樹脂層には透明球が配設されていないため、該透明樹脂層を光は自由に透過することが可能となる。
前記第1の透明球3の裏面は前記透明球固着層12から空気層に一部露出した状態で配置されている。
前記原反−1の製造方法について説明すると、図2に示す通り、少なくとも1層からなる表面層11、あるいは前記表面層に透明球固着層12を順次積層し、該表面層11あるいは透明球固着層12裏面側に、所定の形状を有した透明樹脂層2を形成し、その後、前記表面層11あるいは前記透明球固着層12に粘着性が発現する温度に加熱し、この時前記透明樹脂層2は粘着性を有さず、前記第1の透明球3を前記表面層あるいは前記透明球固着層に付着させ、その後、加熱及び/又は圧力をかけて、前記透明球の一部を空気中に露出させた状態で前記透明球を埋め込め込むことによって原反−1が製造される。この方法により、前記透明球3を前記表面層11あるいは前記透明球固着層12に埋め込むと前記透明球3は前記透明樹脂層2には埋め込まれないため、前記透明樹脂層部分は該透明球に遮蔽されることなく、入射光を透過させることが可能となる。さらに一部空気中に露出させた状態で埋め込まれた前記第1の透明球によって広角な角度から入射された光をフィルム正面に反射させることが可能となる。
この場合、フィルム表面の法線となす角度A°(入射角)で入射した光を透明球裏面で反射させる方法としては、入射光を前記透明球の臨界角以上の角度から入射させてフィルム正面側に光を反射させる全反射を利用した方法、もしくは前記透明球の裏面に金属反射膜を形成し、該反射膜によって光をフィルム正面に帰す方法等がある。前記製造方法において、前記透明球の臨界角以上の角度から入射させてフィルム正面側に光を反射させる方法は反射膜を形成する必要がないので製造コスト、工程等から鑑み好適である。
前記全反射を利用した方法の場合、フィルム正面に射出させる光を最大限に高めるには、使用する透明球の屈折率によって入射角を調整することが必要である。例えば透明球の屈折率が2.20であり、該透明球の裏面が空気層である場合に、前記透明球の臨界角αは、約27°であるので、フィルム表面を透過して、前記透明球から空気層に入射する光の角度を約27°以上に調整すれば、前記ガラス球と空気層との界面で前記の光は全反射し、前記透明球のフィルム正面側に前記の入射光は射出される。従って、この時使用する前記透明球の屈折率は1.98を超え2.40以下、粒子径約5〜300μmの高屈折ガラス球が好適であり、前記屈折率の分布が2.00〜2.40の範囲に90%以上あるのが好ましい。とりわけ前記第1の透明球3として好適なものは、約2.00〜2.35の屈折率を持ち、粒子径が約10〜150μm程度のものであり、特に好適なものは、2.10〜2.30の屈折率を持ち粒子径が30〜100μmが好適である。粒子径が5μm未満になると、透明球固着層に前記透明球を埋め込む時のコントロールが困難となり、300μmを越えると後述する第2の透明球4の固着層である支持樹脂シート6と前記第1の透明球3の固着層12との密着性を維持するのが困難となる。屈折率が1.98以下であると前記ガラス球裏面の空気層界面で光を全反射させるためには、フィルム表面から入射させる光の角度が大きくなり過ぎ、フィルム表面から入射させた光を透明球の裏面で全反射させて、再度フィルム正面側に効率よく光を出射させるのが困難となる。又2.4を超える屈折率のガラス球を製造する場合、結晶化を防止して、透明なガラス球を精度よく工業的に生産するのは至極困難である。
前記第1の透明球は該球径の90%以下、好ましくは70%以下さらに好ましくは50%以下の割合で前記透明球固着層に埋設されているのが好適である。90%を超えれば前記透明球の裏面で入射光を全反射させる面積が狭くなり、広角な入射光をフィルム正面に出射させる効率が低下して好ましくない。
又、表面層11に使用される樹脂としてはアルキド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂,フッ素系樹脂、シリコン変性アクリル樹脂、エポキシ系樹脂等の合成樹脂又は前記した合成樹脂が反応性官能基を有する場合には該反応性官能基と反応する硬化剤を配合したものが挙げられる。前記した如く硬化剤を配合する場合には、硬化反応を促進するに適した触媒を添加することもできる。
前記した表面層を形成するために使用される組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等を個別にあるいはそれぞれ組み合わせて添加して、これらを含有させることにより、長期耐久性をいっそう向上させることができる。このような紫外線吸収剤としては公知のものを使用でき、代表的なものとしては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、サリチレート系及びシュウ酸アニリド系等、光安定化剤としてはヒンダードアミン系化合物等、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系化合物、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等の既知の化合物を使用することができる。低分子化合物系の紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤を使用すれば透明樹脂層からの相分離によるフェーズの出現、ブリードアウト等の問題が顕著に現れるため、高分子量型の紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤を使用すればさらに好ましい。
前記透明球固着層と前記表面層を同一層にすることも可能であるが、前記表面層以外にさらに透明球固着層12を形成する場合に使用される塗料の代表的なものとしては、前記した表面層と同様な樹脂組成物が挙げられる。ここにおいて、前記した各ベース樹脂成分は、単独で使用しても良いし、2種以上の混合物として使用することもできる。単独で使用した場合に形成された透明球固着層は熱可塑性の層となり、硬化剤等との併用により3次元硬化した場合には熱硬化性の層となる。
また、前記樹脂組成物の配合に使用できる有機溶剤としては公知慣用のものが使用でき、具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート等のエステル系;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族もしくは脂環族系炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤類等が挙げられる。これらのうち、硬化剤にポリイソシアネート化合物を使用する場合には、アルコール系溶剤の使用は避けなければならない。
また、上記各工程における塗料塗布後の乾燥条件は、塗料原料として使用されるベース樹脂の種類、ベース樹脂中の反応性官能基の種類、硬化剤の種類及び溶剤の種類に応じて適宜決定される。
上記した各工程における塗料の塗布は、スプレー塗装によっても良いし、ナイフコーター、コンマコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、フローコーターの如き塗装装置を使用して実施することもできる。
また、前記原反−1の各層を形成するために使用される塗料として顔料を含まないクリヤー塗料を使用することにより着色のない再帰性反射シートが得られるが、各層を形成する塗料として顔料を含む着色塗料を使用することにより、広角な角度から入射した光をフィルム正面に射出する光や透明樹脂層部分を透過して再帰反射させる光を着色した状態で得ることもできる。かかる着色塗料を得る際に使用される顔料としては、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレツドもしくはハンザイエローの如き有機系顔料やBASF社製商品名“LUMOGEN”等の有機系染料、酸化鉄レツド、酸化鉄イエロー、チタンイエロー、コバルトブルーの如き無機系顔料等公知のものが使用される。
前記透明球固着層12は熱可塑性の層、あるいは熱硬化性の樹脂を含有する樹脂組成物で形成される層としてもよいが、透明球の固着性、屋外使用時の耐熱性を高めるには熱硬化性の樹脂を含有する樹脂組成物で形成される層にすればより好適となる。このように前記透明球固着層に熱硬化型の樹脂を主成分とする樹脂組成物を使用した場合には、前記透明球固着層上に形成される透明樹脂層を構成する樹脂組成物として、例えば常温硬化型の樹脂、放射線硬化型樹脂等の前記透明球固着層が硬化しない条件で硬化させる樹脂組成物を使用すれば好適となる。前記透明球固着層の硬化を進行させずに該固着層を形成し、その後前記透明球固着層が硬化しない条件で硬化させる樹脂組成物を使用した前記透明樹脂層を前記透明球固着層上に形成し、その後前記透明樹脂層を前記透明球固着層が硬化しない条件にて硬化を進行させれば、後工程の透明球埋め込み時に必要な熱粘着性能を透明球固着層に維持させたまま、透明樹脂層部分の硬化を進行させることが可能となる。透明球固着層を熱可塑性の層として構成した場合には、前記透明樹脂層は常温硬化型の樹脂で構成しても良いし、又は放射線や熱で硬化する樹脂で構成することも可能となる。前記透明球固着層も透明樹脂層も共に熱可塑性の層とする場合には、加熱時の軟化点温度は透明樹脂層の方を高く設計しなければならない。
この時、透明樹脂層の軟化点温度を透明球固着層よりも10℃以上、好ましくは20℃以上、さらに好ましくは30℃以上高めれば好適となる。加熱により透明球固着層に熱粘着性を発現させて前記透明球を付着させ、かつ前記透明樹脂層には透明球が付着しないようにするために熱粘着性の発現を抑制することが求められるが、透明樹脂層の軟化点温度と透明球固着層の軟化温度の差が10℃未満では、この様に微妙な熱粘着性の発現を調整することは至極困難となり好ましくない。この時、透明球固着層の熱粘着性が発現する温度を40℃以上、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上に設定すれば好適である。40℃未満では、透明球を埋め込むまでに、シートを巻き取った時、環境温度が高くなる場合にはシートにブロッキング現象を発生させて好ましくない。前記した層構成とすることにより、透明球固着層に粘着性が発現する温度に加熱して、前記透明球を前記透明球固着層に埋め込む時、前記透明層には粘着性が発現しないので透明球は前記透明樹脂層部分には埋め込まれず、該透明球に遮蔽されることなく、前記表面層側から入射した光は、前記透明樹脂層裏面に透過したのち、後述する第2の透明球により、前記光は再帰反射されて、再度前記透明樹脂層部分を透過して、表面層側から光源側に光を再帰反射させることが可能となる。
透明球固着層の乾燥膜厚が、使用する透明球粒子径の10%の厚さから100μm、好ましくは使用するガラスビーズ粒子径の20%の厚さから80μmになるように調整すれば好適である。前記透明球固着層形成用塗料を塗布してから、常温乾燥もしくは加熱乾燥により溶剤を揮散させる。この時透明球固着層の樹脂が熱硬化型の層に設計している場合には、加熱により硬化がスタートする温度以下の加熱温度で溶剤を揮散させるのが好ましい。この時、溶剤を揮散させた透明球固着層のプローブタックが23±2℃の環境温度で0〜40gf、好ましくは0〜30gf、さらに好ましくは0〜20gfになるのが好適である。一般的には前記透明球固着層を作製する速度よりも透明樹脂層を作製する工程速度の方がはるかに速い為、次工程の透明樹脂層作製の工程に移る場合に、透明球固着層の仕上がりの状態で、一度シートを巻き上げれば作業効率が向上し好適である。この場合、透明球固着層のプローブタックが23±2℃の環境温度で40gfを超えると巻き上げたシートにブロッキング現象が発生して好ましくない。また、前記透明樹脂層の作製工程でガイドロール等に前記透明球固着層が接着してスムーズに走行しなくなる等の問題が発生して好ましくない。
前記プローブタックは、ニチバン株式会社製商品名“プローブタックテスター”(ASTM D−2979に準拠)で、直径5mmのステンレススチール製表面仕上げAA#400研磨及び鏡面のプローブロッドを用いて、剥離速度1cm/sec、測定荷重9.8±0.1g(真鍮製)、接触時間1秒、測定環境23±2℃、相対湿度65±5%の試験条件で測定したタック強度を意味する。
前記透明樹脂層作製工程で使用される樹脂組成物は前記した表面層と同様の樹脂組成物を使用することが可能であるが、アルキッド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ユリア系樹脂、ケイ素系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、等の樹脂と前記樹脂に導入された反応性官能基と常温で反応する硬化剤及び又は硬化触媒との反応により3次元硬化を行えばさらに好適である。塗料形態としては、溶液型、非水分散剤、水溶性タイプ、水分散タイプのいずれもが使用可能であるが、溶液型が特に好ましい。
またこの透明樹脂層はグラビア印刷、シルクスクリーン印刷、フレキソ印刷、凸版印刷等公知の方法で実施することができる。
前記透明樹脂層の形状としては、例えば図12Aに示す様な円形状や、三角形、四角形、格子状、ストライプ状等の様々な形状、或いは図12Bに示す様な円形、三角形、四角形等の周囲を囲む連続的な形状のように様々な形状に形成できる。前記透明球固着層上において、透明樹脂層が占める表面積の割合を10%以上80%以下、好ましくは20%以上75%以下、さらに好ましくは30%以上70%以下に設計すれば、走行車両から視認した該再帰性反射シートは広角な観測角性能を担う部分と一般的な再帰性反射機能を担う部分が一体的なシートとして視認されて好適である。すなわち、大きな入射角で光源より投光された光をフィルム正面に帰した時の光により、運転者が標識を確認するのに十分な明るさが維持され、かつ車両の前車燈から投光された光を再帰反射する時、その再帰反射強度はJISZ9117に規定される1級の反射性能を保持する事が可能となる。透明樹脂層が占める表面積の割合が10%未満であれば、前記したJIS1級の再帰反射強度を保持させるのが困難となり好ましくない。又80%を超えれば、再帰反射強度は高くなるが、大きな入射角で光源より投光された光をフィルム正面に射出した時の光が弱くなり、標識の視認性が不足して好ましくない。
本発明の再帰性反射シート用原反−2は、下半球に反射鏡が設けられた複数の第2の透明球が支持樹脂シートの表面に一部空気層に露出した状態で配置されている。
図3〜図8は前記原反−2の製造方法の一例を示すものである。まず前記第2の透明球の半球部分に反射鏡を形成する。図3に示すように、第1のフィルムとしてのポリエステルフィルム10上に積層された、ポリエチレン製ガラス球仮固着層9の表面上に、前記第2の透明球として透明のガラス球4を複数、埋め込む。埋め込むためには、ガラス球仮固着層9及びポリエステルフィルム10の積層体を加熱してポリエチレンを軟化させ、上記ガラス球4を前記ガラス球仮固着層9中に沈める。このガラス球4は、前述のように、前記第2の透明球の一例である。前記第2の透明球としては、ガラス球、透明樹脂ビーズ等が挙げられ、中でもガラス球が好ましい。前記第2の透明球の粒子径としては、例えば約5μm〜300μmであり、好ましくは約20μm〜120μmであり、より好ましくは30μm〜90μmである。前記第2の透明球の屈折率としては、例えば約1.8〜2.1であり、好ましくは約1.85〜1.98である。前記屈折率の分布は1.85〜1.98の範囲に90%以上あるのが好ましく、1.91〜1.93の範囲に90%以上あるのがより好ましい。
次に上記ガラス球仮固着層9の表面から露出している前記ガラス球4の半球面に、反射鏡として金属反射膜5を蒸着法により形成する。この蒸着は、ガラス球仮固着層9の表面全面に行うので、前記ガラス球4のみならず、前記ガラス球固着層9の表面上にも、金属反射膜5が形成される。上記金属反射膜5の材料としては、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、クロム、錫又はこれらの金属を含む合金或いは酸化チタン、窒化チタン等の光の反射率に優れるものが挙げられ、中でもアルミニウムが好ましい。
再帰性反射シート用原反−2の例としては、下記する2種類の構造がある。
(A)支持樹脂シート6の裏面にプライマー層7があるタイプ
(B)支持樹脂シート6の裏面にプライマー層7がないタイプ。
上記(A)の場合はプライマー層7の裏面に、(B)の場合は支持樹脂シート6の裏面に粘着剤層が積層される。ガラス球仮固着層9のガラス球4を、支持樹脂シート6へ転写させるため、支持樹脂シートに高分子又は低分子可塑剤等を使用する場合がある。それら可塑剤等は、経時的に粘着剤層と支持樹脂シートとの界面又は粘着剤層に移行して、前記粘着剤層の粘着性能を低下させる。すなわち、粘着剤層と支持樹脂シートの界面接着力の低下、粘着剤層の基板への接着性能の低下等が起こる。プライマー層は、この問題点を解消するため、すなわち支持樹脂シートから粘着剤層への可塑剤等の移行を防止するために、用いることができる。
前記支持樹脂シートを形成する樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を使用することができる。前記熱硬化性樹脂としては、官能基を有する樹脂、例えば、官能基を1つ又は2つ以上有する自己架橋型樹脂又は官能基を1つ以上有する樹脂と、これらの官能基と反応しうる官能基を有する硬化剤との組合せが好適である。なお、ガラス球の展着性及び固着性向上のために、シランカップリング剤、極性基を有した比較的低分子の樹脂等を、前記熱硬化性樹脂に添加してもよい。前記支持樹脂シートを構成する樹脂中、前記官能基を有する樹脂と前記硬化剤との総重量は、前記支持樹脂シートを構成する樹脂の重量部の50%、好ましくは70%より多いのが好適である。
前記官能基を有する樹脂としては、アクリル樹脂、フッ素樹脂、スチレン共重合体のようなビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂のような重縮合系共重合体等が挙げられる。前記官能基とは、硬化剤成分との反応に与る反応性官能基又は自己架橋性の官能基を指称するものである。前記硬化剤成分との反応に与る反応性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、酸アミド基又は不飽和二重結合等が挙げられる。前記自己架橋性の官能基としては、加水分解性シリル基、N−メチロールアクリルアミド基、アルキルエーテル化N−メチロールアクリルアミド基又は不飽和二重結合などが挙げられる。
前記硬化剤としては、前記反応性官能基が水酸基、カルボキシル基、アミノ基又は酸アミド基などのように、いわゆる活性水素原子を有する基の場合には、イソシアネート系硬化剤、アミノプラスト系硬化剤、ポリエポキシ化合物又は酸無水物などが挙げられる。また、前記硬化剤としては、前記反応性官能基がエポキシ基などの場合には、ポリアミン類や多塩基酸類などが挙げられる。また、前記硬化剤としては、前記反応性官能基がイソシアネート基の場合には、グリコール類などのような各種のポリヒドロキシ化合物などが挙げられる。
また、前記反応性官能基が加水分解性シリル基のような、いわゆる自己架橋性の官能基の場合には、架橋促進剤を更に用いてもよい。この架橋促進剤は、この加水分解性シリル基の加水分解用ないしは縮合用触媒である。この架橋促進剤としては、例えば、硫酸、塩酸又は燐酸等の各種の酸性化合物、モノメチルアミン又はトリエチルアミン等の各種のアミン化合物、ジ−n−ブチル錫ジラウレート、ジ−n−ブチル錫ジアセテート又はジ−n−ブチル錫ジオクテート等の各種の有機錫化合物等を使用できる。
前記プライマー層を形成する樹脂としては、前記支持樹脂シートを形成する、前記官能基を有する樹脂、又はそれらの樹脂及びそれらの樹脂の官能基と反応する官能基を持った前記硬化剤の中から選択される樹脂及び硬化剤を用いることができる。この前記プライマー層に用いる樹脂は、支持樹脂シートとの層間接着性に優れるようなものが好ましい。
図4に示すように、前記プライマー層7は、例えば、別途準備した第2のフィルムとしてのポリエステルフィルム8上に、前記プライマー層を形成する樹脂の溶液を塗布し、例えば、熱風乾燥機を使用して乾燥させて、得ることができる。前記第2のフィルムは、本発明の好ましい製造方法における、支持フィルムの例示である。乾燥後の前記プライマー層7の厚みは、例えば3μm〜100μm、好ましくは6μm〜50μmである。前記厚みが3μm以上であると、前記可塑剤等の移行防止の効果が高くなるので好ましい。前記厚みが100μm以下であると、再帰性反射シートの貼り付け等の作業性が向上するので好ましい。
次に、前記プライマー層7の面上に、支持樹脂シート6を形成する。前記支持樹脂シートを形成する樹脂としては、前記官能基を有する樹脂又は官能基を有しない樹脂等いずれも用いることができるが、前記官能基を有する樹脂が好適である。
前記支持樹脂シートは、例えば、前記プライマー層上に、前記支持樹脂シートを形成する樹脂の溶液を塗布し、例えば、熱風乾燥機を使用して乾燥させて、得ることができる。乾燥後の前記支持樹脂シート6の厚みは、例えば10μm〜300μm、好ましくは約30μm〜100μmである。
前記(B)のプライマー層7を有さないタイプの再帰性反射シート用原反−2は、上記原反−2の製造方法において、プライマー層作製の工程を省略して得ることができる。
次に図5に示すように、前記ポリエステルフィルム8、前記プライマー層7及び支持樹脂シート6の積層体を、前記ガラス球仮固着層9の表面に沿わせる。すなわち、前記支持樹脂シート6が、前記ガラス球仮固着層9の金属反射膜5が蒸着されたガラス球4の表面と接するようにする。
そして図6に示すように、前記積層体を前記ガラス球仮固着層9の表面へ押圧する。この押圧は、前記ガラス球4の金属反射膜5を蒸着した前記半球面側が、前記支持樹脂シート6内に埋まるように行なう。この時、支持樹脂シート6のガラス球4への固着力を向上させる為に、支持樹脂シートへさらにカップリング剤等を添加することができる。
そして図7に示すように、支持樹脂シート6の表面から、ポリエステルフィルム10と共にガラス球仮固着層9を剥がす。このとき、ガラス球4は支持樹脂シート6中に残り、支持樹脂シート6によって金属反射膜5を蒸着した前記半球面側が埋没された状態に保持される。また、ガラス球仮固着層9の表面から露出するガラス球4の半球以外の部分へ設けられた金属反射膜5は、そのままガラス球仮固着層9の表面に残る。
その後、前記プライマー層及び/又は前記支持樹脂シートに、室温で硬化する硬化剤(例えば、イソシアネート硬化剤等)を含む場合には、30〜40℃の温度環境でエージング処理を行い、前記プライマー層及び/又は前記支持樹脂シートを硬化させておくのが好ましい。その後、加熱加圧エンボス成形加工する際に形成される接合部の性能のバラツキをなくしたり、その後の自立形態の安定化を計るためである。また、ガラス球4と支持樹脂シート6の固着性を向上させるために、120〜150℃での熱処理工程を行ってもよい。
次に図8に示すように、このようにして作成した原反−2のガラス球4が保持されている前記支持樹脂シート6の表面を、前記した原反−1のガラス球3の露出側が向き合う状態で覆う。
次に図9に示すように、表面に前記原反−1が配置された支持樹脂シート6のポリエステルフィルム8側より、柄付きエンボスロール13で加熱圧着加工を行なう。この加熱圧着は、加熱ロールを通過させるのが好適である。前記ロールの表面温度は、例えば120〜240℃であり、好ましくは130〜220℃であり、さらに好ましくは150〜200℃である。前記表面温度が150℃以上であれば加熱圧着が可能で、支持樹脂シート6と、前記原反−1の透明樹脂層2及び/又は透明球固着層12とが接着でき、前記支持樹脂シート6は、長期間にわたり自立形態を保持できるので、好ましい。また、前記表面温度が240℃以下であれば、支持フィルムであるポリエステルフィルム8が溶解することもなく、加熱圧着の作業性が向上するので好ましい。このようにして空気層16と接合部17を形成する。
上記した加熱圧着加工は、原反−1の透明カバーフィルム1の表面層側から行っても本発明が目的とする再帰性反射シートが得られる。但し加熱圧着加工を実施する場合、前記表面層11が2軸延伸されたポリエステルフィルムである場合には、前記加熱ロールに接着せず好適であるが、2軸延伸されたポリエステルフィルム以外の場合には、保護フィルムとして前記2軸延伸されたポリエステルフィルムを表面層11上に適用すれば好適となる。
加熱圧着エンボス加工の後、ポリエステルフィルム8を剥がし、本発明の再帰性反射シートを得る。前記加熱圧着加工により、支持樹脂シート6の裏面側にはエンボス溝が形成される。前記溝は、例えば幅200〜800μm、深さ100〜150μmの寸法を有する。
加熱成形加工の後に裏面ポリエステルフィルムもしくは必要に応じて表面ポリエステルフィルムは剥離される。シート裏面側には紙、フィルム等に離型加工された面側に粘着剤、接着剤を皮膜化し、前記シート裏面側と貼り合わせて再帰性反射シートは完成される。
本発明の再帰性反射シートを構成する原反−2としては、前記透明球を使用した再帰性反射シート用原反の他に、各種公知の方法により製造された再帰性反射シートも用いることができる。
例えば、図10に示されるように、カバーフィルムとしての支持樹脂シート6と、前記支持樹脂シート6の裏面に配置されたキューブコーナー型再帰性反射要素14と、結合層15と、加熱成形により接合された接合部を備えたカプセルキューブコーナー型再帰性反射シートを、原反−2として用いることができる。すなわち再帰性反射シート用原反−1のガラス球3の露出側と、前記カプセルキューブコーナー型再帰性反射シートの表面側を向き合わせて、加熱圧着成型を実施すれば良い。この時加熱圧着加工は、再帰性反射シート用原反−1の表面側から行っても、再帰性反射シート裏面側から行っても本発明が目的とする再帰性反射シートが得られるが、再帰性反射シート用原反−1の表面側から実施する方が、再帰性反射シート用原反−1と再帰性反射シートとの界面に加熱圧着成型時の熱が伝わりやすく、層間接着力も得られやすく好適となる。このようにして空気層16と接合部17を形成する。
本発明の再帰性反射シートは、従来の遠方照明方式外照式標識の持っているメンテナンスの簡易性を維持しながら、照明源の光が標識面に到達するまでの光量の減衰を出来うる限り抑制してエネルギーのロスを少なくし、コストダウンと環境に配慮した設計になっており、又走行車両の位置にかかわらず、車両から標識が認知できる範囲において、例え該標識設置場所手前の近傍で道路がカーブしている場合においても、照明源の設置場所の確保が容易にでき、前記標識を正確に視認できるように設計された標識であり、かつ従来の遠方照明方式外照式標識の持っているメンテナンスの簡易性を維持しながら前記標識を正確に視認できるように設計された外照式標識板等、及びその使用方法を提供することが可能となる。
以下実施例及び比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。下記において「部」は「重量部」を示す。また「%」は「重量%」を示す。
なお、実施例及び比較例における試験の方法は、下記の通りである。
(1)反射強度
色彩輝度計(東京光学機械株式会社製)を用い、JIS Z 9117の反射性能の測定に準拠して、反射性能を測定した。単位:cd/lx・mである。
照射光は色温度が2,856Kである標準の光Aである。
(2)反射輝度(明るさ)
色彩輝度計(東京光学機械株式会社製)を用い、照射光源として、2.5W、40mAの白色LED光源(オプティレッド社製チップシリーズスポットランプ“コマーシャル”モデル)を100Vで使用し、光源から所定の入射角で再帰性反射シートに照射し、正面方向に反射する輝度を試料から水平方向に15m離れた位置にて測定した。単位:cd/mである。
(実施例1)
図2に示される再帰性反射シート用原反−1において、表面層と担持フィルムとしての機能を持つ、二軸延伸ポリエステルフィルム(表面層11)上に透明球固着層12を形成した。この時の前記透明球固着層用樹脂組成物の配合は、大日本インキ化学工業株式会社製商品名“ベッコライトM−6401−50”5部、大日本インキ化学工業株式会社製商品名“スーパーベッカミンJ−820−60”(ブチル化メラミン樹脂、固形分60%)1.5部、大日本インキ化学工業株式会社製商品名“ベッカミンP−198”(硬化触媒)0.5部、オレフィン系特殊共重合物:三井デュポンポリケミカル株式会社製商品名“エルバロイ551”(THF25%溶液)70部、アクリル系樹脂(スチレン/メチルメタクリレート/軟質モノマーからなり、Tgが50℃、水酸基価が約14、固形分45%)15部、エポキシ系可塑剤:旭電化工業株式会社製商品名“O−130P”3部から調整した。この組成物を前記二軸延伸ポリエステルフィルム上に透明球固着層の乾燥膜厚が約28μmになるように塗布し、70℃で5分間加熱して溶剤を揮発させた。この時点のプローブタック強度は3gfであった。前記プローブタックは、ニチバン株式会社製商品名“プローブタックテスター”(ASTM D−2979に準拠)で、直径5mmのステンレススチール製表面仕上げAA#400研磨及び鏡面のプローブロッドを用いて、剥離速度1cm/sec、測定荷重9.8±0.1g(真鍮製)、接触時間1秒、測定環境23±2℃、相対湿度65±5%の試験条件で測定したタック強度である。
前記の状態でシートを巻き上げ、次工程で透明球固着層12上にグラビア印刷機を使用して部分的に透明樹脂層2を作製した。この時の樹脂組成物の配合は水酸基含有アクリル樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、固形分45%、溶剤はキシレン、酢酸ブチル、トルエン、水酸基価45)が100部、硬化剤としてイソシアネートプレポリマー(大日本インキ化学工業株式会社製、固形分75%、溶剤は酢酸エチル、NCO含有率15%)が23部、ブチルセロソルブアセテート10部であった。
この時、透明樹脂層の乾燥膜厚が約3μmになるように塗布した。透明樹脂層2の形状は、図12Aに示すように円形状であり、透明球固着層に占める透明樹脂層の占有面積は50%であった。
その後、常温において約1週間のエージングを行って前記透明樹脂層部分の硬化を進行させた。その後、前記透明樹脂仕上げ品を120℃で1分加熱して前記透明球固着層に粘着性を発現させ、第1の透明球として高屈折率ガラスビーズ(酸化チタンを主成分とする屈折率2.23、粒子径67〜73μmの高屈折率ガラスビーズ)を前記透明球固着層に埋め込み、さらに140℃で5分間乾燥を行い、再帰性反射シート用原反−1を得た。この時、前記ガラス球3はその球径の40%〜60%が透明球固着層2に沈み込んだ状態で固着されていた。
続いて図3〜図8に示すように再帰性反射シート用原反−2の作製に関して記載する。ポリエステルフィルム10上にラミネートされた厚さ25μmのポリエチレンのガラス球仮固着層9の表面に第2の透明球として粒子径が45〜80μm、屈折率が1.92〜1.93のガラス球4をその球径の約25〜35%を複数平面状に埋め込んだ。ポリエチレンラミネートフィルム(ガラス球仮固着層9及びポリエステルフィルム10)を加熱し軟化させ、上記のガラス球を埋め込んだ。次に上記ガラス球仮固着層の表面から露出するガラス球の半球面にアルミニウムを蒸着して金属反射膜5を形成した。
次に別途準備された支持フィルムとしてのポリエステルフィルム8上に、メチルメタアクリレート(MMA)、エチルアクリレート(EA)、ブチルアクリレート(BA)、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(2−HEMA)からなるアクリル共重合物のトルエン、酢酸ブチル溶液(固形分:50%)83重量部とメチルエーテル化メチロールメラミン(固形物60%)17重量部の配合溶液をコートし熱風乾燥機で乾燥して、厚さ約20μmのプライマー層7を形成した。引き続いてこのプライマー層上に下記の水酸基含有アクリル樹脂溶液(A−1)を主体樹脂として支持樹脂シート6を形成した。すなわち、水酸基含有アクリル樹脂溶液(A−1)(固形分:50%)100部、メチルエーテル化メチロールメラミン(固形分:60%)11部、ルチル型二酸化チタン25部、顔料分散用アクリル系樹脂(固形分:50%)13部、シランカップリング剤1部の配合溶液を前記のプライマー層上にコートし熱風乾燥機で乾燥して、厚さ約60μmの支持樹脂シート6を形成した。
本実施例で使用した水酸基含有アクリル樹脂溶液(A−1)の調整は、以下のようにして行った。
すなわち、攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入口を備えた反応器に、トルエンの700部及びn−ブタノールの300部を仕込んで、窒素雰囲気下に、80℃まで昇温させた。そこへ、メチルメタクリレートの500部、エチルメタクリレートの400部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの100部、アゾビスイソブチロニトリルの8部及びtert−ブチルパーオキシオクトエート(TBPO)の5部からなる混合物を、4時間に亘って滴下した。同温度で10時間のあいだ維持した後、水酸基含有アクリル樹脂の溶液(A−1)[不揮発分=50%;重量平均分子量=32,000;水酸基価=43mgKOH/g固形分;水酸基価から計算した官能基当量=1,300(固形分)]を得た。
次に既述の方法で形成したガラス球仮固着層9の表面に上記で作製した支持樹脂シート6表面を沿わした。そして支持樹脂シートをガラス球仮固着層の表面へ押圧した。この押圧は、ガラス球のアルミニウム反射膜を蒸着した半球面が支持樹脂シート内に埋設されるよう行った。この押圧の手段として、ロール表面温度170℃の加熱ロールを通過させた。次に支持樹脂シート表面から、ポリエステルフィルム10と共にガラス球仮固着層9を剥がした。続いてガラス球と支持樹脂シートとの接着性を向上させるために、140℃で熱処理を実施して再帰性反射シート用原反−2を得た。そして図8に示すように、前記再帰性反射シート用原反−2のガラス球4の半球が埋設された支持樹脂シート6のガラス球側に、前記した再帰性反射シート用原反−1のガラス球3側を向かい合わせて覆いかぶせた。次に図9に示すように、支持樹脂シートの裏面ポリエステルフィルム8側より、ロール表面温度210℃の柄付きエンボスロール13で加熱成形を実施して、再帰性反射シートを作製した。
そしてこの加熱成形加工後に支持樹脂シート裏面のポリエステルフィルムを剥離して、アクリル系の粘着剤をプライマー層に貼り合わせて、粘着層を形成させた後、剥離紙を貼り合せ、白色カプセルレンズ型再帰性反射シートを完成品とした。
(実施例2)
図2に示される再帰性反射シート原反−2において、担持フィルムとしての機能を持つ、二軸延伸ポリエステルフィルム上に表面層11を形成した。
この時の表面層用樹脂組成物の配合は、フッ素樹脂として大日本インキ化学工業株式会社製商品名“フルオネートK−703”(重量平均分子量40,000、水酸基価72、不揮発分60%)100部、硬化剤としてアミノ樹脂:大日本インキ化学工業株式会社製商品名“スーパーベッカミンJ−820−60”(不揮発分60%)30部、硬化触媒としてKING INDUSTRIES社製商品名“ネイキュアー3525”2部、紫外線吸収剤としてチバガイギー社製商品名“チヌビン900”1部、酸化防止剤としてチバガイギー社製商品名“チヌビン292”1部であった。
前記組成物を支持フィルム上に乾燥膜厚が25μmになる様に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥を行い、表面層11を得た。
次に、中間層用の樹脂組成物を、フッ素樹脂:大日本インキ化学工業株式会社製商品名“フルオネートK−700”(重量平均分子量70,000、水酸基価48、不揮発分50%)100部、硬化剤としてアミノ樹脂:住友化学工業株式会社製商品名“スミマールM−100C”(不揮発分100%)15部及び硬化触媒としてKING INDUSTRIES社製商品名“ネイキュアー3525”1.7部から調製した。この組成物を上記表面層の上に乾燥膜厚が25μmになる様に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥を行ない、中間層を作成した。
続いて前期中間層上に透明球固着層12を形成する。この時の透明球固着層用樹脂組成物の配合は大日本インキ化学工業株式会社製商品名“ベッコライトM−6401−50”5部、大日本インキ化学工業株式会社製商品名“スーパーベッカミンJ−820−60”(ブチル化メラミン樹脂、固形分60%)1.5部、大日本インキ化学工業株式会社製商品名“ベッカミンP−198”(硬化触媒)0.5部、オレフィン系特殊共重合物:三井デュポンポリケミカル株式会社製商品名“エルバロイ551”(THF25%溶液)70部、アクリル系樹脂(スチレン/メチルメタクリレート/軟質モノマーからなり、Tgが50℃、水酸基価が約14、固形分45%)15部、エポキシ系可塑剤:旭電化工業株式会社製商品名“O−130P”3部から調整した。前記した透明球固着層用樹脂溶液に油性塗料用加工顔料(カラーペースト):大日本インキ化学工業株式会社製商品名“ディクトンカラーHD−6113A”(黄色)1.43部、同社製商品名“ディクトンカラーHD−6413”(緑色)5.0部、同社製商品名“ディクトンカラーHD−6722”(黒色)0.28部の各油性塗料用加工顔料を添加した後、前記中間層上に透明球固着層12を形成し、透明球固着層を黄緑に着色した。この時の透明球固着層の膜厚は17μmであった。
以下実施例1と同様にして黄緑色再帰性反射シート用原反−1を作成し、さらに実施例1と同様に加熱成形を実施して再帰性反射シートを作製した。そして実施例1と同様に、支持樹脂シート裏面のポリエステルフィルムを剥離して、アクリル系の粘着剤をプライマー層に貼り合わせて粘着層を形成させた後、剥離紙を貼り合せ、かつ表面層上の二軸延伸ポリエステルフィルムを剥離して緑色カプセルレンズ型再帰性反射シートを完成させた。
(比較例1)
特許文献1の標識照明システムに使用されている市販の広観測角性を有するカプセルレンズ型再帰性反射シート(スリーエム社製、高輝度広角反射シート、商品名“HV−8100”シリーズ、白色)を比較例1として使用し、本発明の実施例1の再帰性反射シートと反射性能及び明るさを比較した。
(比較例2)
特許文献1の標識照明システムに使用されている市販の広観測角性を有するカプセルレンズ型再帰性反射シート(スリーエム社製、高輝度広角反射シート、商品名“HV−8100”シリーズ、緑色)を比較例2として使用し、本発明の実施例2の再帰性反射シートと反射性能及び明るさを比較した。
実施例1〜比較例2の反射性能を比較した数値を表1に示す。また、白色LED光源にて投光時の各試験試料の明るさの比較を表2に示す。表3は図11の配置により前記表2の測定をしたときの各データである。
Figure 0004762916
(備考1)実施例1〜比較例2の数値の単位:cd/lx・m
(備考2)表1における照射光は色温度が2,856Kである標準の光Aである。
Figure 0004762916
(備考1)実施例1〜比較例2の数値の単位:cd/m
(備考2)表2における照射光源:2.5W 40mAの白色LED光源(オプティレッド社製チップシリーズスポットランプ“コマーシャル”モデル)を100Vで使用
Figure 0004762916
表1より、実施例1及び2は、比較例1及び2と同等若しくはそれ以上の再帰性反射性能を有していることが明らかである。又、表2より、シート正面方向に反射する明るさから、実施例及び比較例において実際に使用されるのに好適な入射角は、実施例では30°〜50°であり、比較例では10°〜30°であった。即ち、表2における実験条件下では、実施例1は30°、40°、50°において、18.6、28.6、30.1cd/mの明るさを示し、比較例1は10°、20°、30°において、11.1、18.0、27.4cd/mの明るさを示している。これら好適な入射角における各数値を比較すると、実施例1の方が格段に明るくシート正面に反射していることが明らかである。又、実施例2と比較例2においても、同様に実施例2の方が格段に明るくシート正面に反射していることが明らかである。
さらには実施例における20°、30°、40°の明るさは、実施例1では15.3、18.6、28.6であり、実施例2では3.1、3.4、7.4である。これらの各数値と上記した比較例の10°、20°、30°の数値を比較すれば、同等若しくはそれ以上の明るさでシート正面に反射している。すなわち実施例は比較例よりも20〜50°の広範囲の広角な観測角性能を保有していることが明らかになった。
また、実施例の10°の明るさについても比較例の10°の数値とほぼ同等であり、本発明の再帰性反射シートは、10°〜50°の広い範囲に渡って使用可能であることが分かった。
したがって、表1、2から明らかなとおり、本発明の実施例1〜2の再帰性反射シートは、入射角30°以上の広角な位置からの照射光を再帰性反射シートの正面側に光を反射させる高い観測角性能を持っている。また、JISZ9117に規定する1級の反射性能を有し、再帰性反射シートの標識用規格に適合する再帰性反射性能も保有している。
本発明の再帰性反射シートは、交通標識、案内標識、警戒標識、規制標識、広告看板等様々な用途に有用である。また、外照式照明システムにも利用できる。

Claims (16)

  1. 複数の再帰性反射要素と、支持樹脂シートと、前記支持樹脂シートの表面側に配置される透明カバーフィルムと、前記透明カバーフィルムの裏面と前記支持樹脂シートの表面の間に部分的に空気層を含む再帰性反射シートであって、
    前記再帰性反射要素は支持樹脂シート側に形成され、
    前記透明カバーフィルムの裏面には部分的に透明樹脂層が存在し、前記透明樹脂層の厚さは前記空気層の厚さより薄く形成され、
    前記透明樹脂層以外の前記透明カバーフィルムの裏面には前記空気層に一部露出して複数の第1の透明球が埋設されており、
    前記支持樹脂シートと、前記透明樹脂層及び/又は透明カバーフィルムとは部分的に接合されていることを特徴とする再帰性反射シート。
  2. 前記第1の透明球は、該球径の10%以上の部分が透明カバーフィルムの裏面から空気層に露出している請求項1に記載の再帰性反射シート。
  3. 前記透明樹脂層の厚さは0.1μm〜180μmの範囲である請求項1に記載の再帰性反射シート。
  4. 前記再帰性反射シートJISZ9117に規定する1級の反射性能を有する請求項1〜3のいずれかに記載の再帰性反射シート。
  5. 前記再帰性反射要素は、その半球が反射鏡で覆われた第2の透明球であり、前記第2の透明球の前記反射鏡で覆われた半球面側が、前記支持樹脂シート内に埋まるように保持されている請求項1〜4のいずれかに記載の再帰性反射シート。
  6. 前記第1の透明球の屈折率をAとし、前記第2の透明球の屈折率をBとしたとき、A>Bである請求項5に記載の再帰性反射シート。
  7. 前記第1の透明球の屈折率Aの分布が2.00〜2.40の範囲に90%以上ある請求項1〜6のいずれかに記載の再帰性反射シート。
  8. 前記第2の透明球の屈折率Bの分布が1.85〜1.98の範囲に90%以上ある請求項5〜6のいずれかに記載の再帰性反射シート。
  9. 前記第1の透明球と、前記第2の透明球がともにガラスビーズである請求項5〜8のいずれかに記載の再帰性反射シート。
  10. 前記第1の透明球に入射した光は前記第1の透明球と空気層との界面で反射し、前記第2の透明球に入射した光は前記反射鏡で反射する請求項5〜9のいずれかに記載の再帰性反射シート。
  11. 前記第1の透明球に入射した光の反射角度は相対的に広く、前記第2の透明球に入射した光の反射角度は相対的に狭い請求項5〜10のいずれかに記載の再帰性反射シート。
  12. 複数の再帰性反射要素と、支持樹脂シートと、前記支持樹脂シートの表面側に配置される透明カバーフィルムと、前記透明カバーフィルムの裏面と前記支持樹脂シートの表面の間に部分的に空気層を含む再帰性反射シートの製造方法であって、
    (a)透明カバーフィルムの裏面に部分的に透明樹脂層を形成し、前記透明樹脂層以外の前記透明カバーフィルムの裏面に、空気層に一部露出して複数の第1の透明球を埋設した原反−1を作成し、
    (b)支持フィルムの表面に支持樹脂シートを形成し、その表面に下半球に反射鏡が設けられた複数の第2の透明球を空気層に一部露出して下半球側を埋設した原反−2を作成し、
    (c)前記原反−1の透明カバーフィルムの表面と前記原反−2の支持フィルムが共に外側になるように配置し、前記支持フィルムの外側からエンボス加工することを特徴とする再帰性反射シートの製造方法。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載の再帰性反射シート又は請求項12によって製造された再帰性反射シートの使用方法であって、
    前記再帰性反射シートを標識板又は標識板の情報表示体として使用することを特徴とする再帰性反射シートの使用方法。
  14. 前記標識板から離れた位置に光源を設置し、前記光源から前記標識板表面方向に光を照射する請求項13に記載の再帰性反射シートの使用方法。
  15. 前記光源から前記標識板表面方向に光を照射する角度が、標識面に対して30°を超える入射角を含む請求項13又は14に記載の再帰性反射シートの使用方法。
  16. 前記光源がLED(light emitting diode)である請求項14又は15に記載の再帰性反射シートの使用方法。
JP2006548026A 2005-07-20 2006-07-19 再帰性反射シートとその製造方法及び使用方法 Active JP4762916B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006548026A JP4762916B2 (ja) 2005-07-20 2006-07-19 再帰性反射シートとその製造方法及び使用方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005210514 2005-07-20
JP2005210514 2005-07-20
PCT/JP2006/314286 WO2007010945A1 (ja) 2005-07-20 2006-07-19 再帰性反射シートとその製造方法及び使用方法
JP2006548026A JP4762916B2 (ja) 2005-07-20 2006-07-19 再帰性反射シートとその製造方法及び使用方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2007010945A1 JPWO2007010945A1 (ja) 2009-01-29
JP4762916B2 true JP4762916B2 (ja) 2011-08-31

Family

ID=37668821

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006548026A Active JP4762916B2 (ja) 2005-07-20 2006-07-19 再帰性反射シートとその製造方法及び使用方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP4762916B2 (ja)
WO (1) WO2007010945A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
PL2668854T3 (pl) * 2008-03-28 2015-12-31 Nestec Sa Probiotyki do stosowania przez oczekujące potomstwa samice ssaków dla zwiększania odporności ich potomstwa
JP6494255B2 (ja) * 2014-11-19 2019-04-03 株式会社小松プロセス 不燃性再帰反射材、壁面工事方法、及び再帰反射材の製造方法
JP7043212B2 (ja) * 2017-10-12 2022-03-29 日本カーバイド工業株式会社 再帰反射シート及び再帰反射シートの製造方法
JP7043211B2 (ja) * 2017-10-12 2022-03-29 日本カーバイド工業株式会社 再帰反射シート

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0849218A (ja) * 1994-08-01 1996-02-20 Minnesota Mining & Mfg Co <3M> 標識板等の照明システム及び照明方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0849218A (ja) * 1994-08-01 1996-02-20 Minnesota Mining & Mfg Co <3M> 標識板等の照明システム及び照明方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2007010945A1 (ja) 2007-01-25
JPWO2007010945A1 (ja) 2009-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100872261B1 (ko) 색상 가변형 재귀성 반사시트
AU2005220459B8 (en) Enclosed lens type retroreflective sheet with wide-angle reflective performance and external illumination system
US7504147B2 (en) Retroreflective sheeting with security and/or decorative image
KR20000069387A (ko) 재귀반사성 시트
JP2000515207A (ja) 球形屈折要素を有する高照射角再帰反射製品
JPH06138312A (ja) 再帰反射性シートの製造方法
JP4762916B2 (ja) 再帰性反射シートとその製造方法及び使用方法
JPH02228692A (ja) 高輝度全天候型路面標示用シート材
JP3881686B2 (ja) 色相可変型再帰性反射シート
JP2005338799A5 (ja)
KR20030028832A (ko) 비닐막에 적층된 광 코어를 가진 시이트, 재귀반사 물품및 이의 제조 방법
JP3723568B2 (ja) 再帰性反射シート及び外照式照明システム
JP3498070B2 (ja) 再帰性反射シートとその製造方法
JP4817989B2 (ja) 再帰反射シート
JPH06160615A (ja) 再帰性反射シート及びその製造方法
KR100721461B1 (ko) 내후성 및 유연성이 우수한 역반사 시트
CN212410896U (zh) 一种黑色微棱镜反光膜
CN113703083A (zh) 一种黑色微棱镜反光膜及其制备方法
JP2011123222A (ja) 再帰反射シート
JP2008020565A (ja) 再帰反射シート
KR20030041619A (ko) 우수한 내후성과 유연성을 갖는 역반사 시트 및 그의제조방법
CN1189200A (zh) 潮湿的逆反射标志材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090630

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110602

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110608

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140617

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4762916

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250