JP4762168B2 - アルミナ質焼結体及びこれを用いた処理装置用部材ならびに処理装置 - Google Patents

アルミナ質焼結体及びこれを用いた処理装置用部材ならびに処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、アルミナ質焼結体に関し、半導体製造装置の内壁材(チャンバー)、マイク
ロ波および高周波導入窓、シャワーヘッド、フォーカスリング、シールドリングをはじめとする部材や、液晶製造装置のステージ、ミラー、マスクホルダー、マスクステージ、チャック、レチクル等の処理装置に用いられる部材として適用される部材であって、さらにはこのアルミナ質焼結体を用いた処理装置用部材ならびに処理装置に関するものである。
半導体、液晶製造装置等の各種処理装置に用いられる部材を構成する各種セラミック焼結体は、半導体・液晶の各種製造プロセスでエッチング、クリーニング用として使用される反応性の高いフッ素系、塩素系等のハロゲン系腐食ガスやそれらのプラズマと接触するために高い耐食性を要求され、近年、これに加え、誘電損失等の電気的特性、強度、破壊靭性等の機械特性についても、従来と同等以上の特性を要求されている。
この処理装置用部材として、純度99質量%以上の高純度のα型アルミナからなるアルミナ質焼結体が一般的に用いられており、さらに機械的特性を向上させる目的でアルミナにβ型アルミナを含む焼結体が提案されている。
特許文献1には、α型アルミナからなる母相に針状のCaAl1219等のβ型アルミナを含み、セリアを3〜20重量%含有する焼結体が示されている。この焼結体は、β型アルミナ等の針状結晶物やセリアにより外力による亀裂の方向が妨げられて偏向ないし迂回するため、機械的強度と破壊靭性を向上させることが提案されている。
特開平9−249448号公報
しかしながら、特許文献1のアルミナ質焼結体は、α型アルミナからなるアルミナ質焼結体に比べて破壊靭性などの機械的特性は向上できるものの、α型アルミナの含有量が95重量%以下と低く、かつセリアを3〜20重量%含有しているため、この焼結体を処理装置用部材として用いた場合には、α型アルミナのみからなるアルミナ質焼結体と比較して耐食性が劣り、特に、セリアがパーティクルとなって試料に付着しやすいという問題を有してい
また、3〜20重量%のβ型アルミナを含有することから、β型アルミナは低温で生成するため、アルミナ質焼結体の耐熱性が著しく低下し、これを高温のプラズマに曝されるような部材として用いると変形や破損を生じやすいという問題を有してい
さらに、β型アルミナは熱膨張係数がα型アルミナよりも低く、α型アルミナとβ型アルミナの熱膨張の差に起因して結晶粒子間に隙間を生じて緻密化が進まず、焼結体に内部応力が発生しやすく、これが焼結体の一部に集中すると亀裂や破損を生じてしまうおそれがあった
本発明は、α型アルミナを99質量%以上含有し、焼結助剤として、該焼結助剤の全体を100質量部としたとき、CaをCaO換算で60質量部以上66質量部以下、SiをSiO 換算で34質量部以上40質量部以下の範囲で含有するアルミナ質焼結体において、結晶粒界にヒボナイト(CaAl1219が存在し、その含有量が0.5質量%以下(0質量%は除く)でることを特徴とする。
本発明のアルミナ質焼結体は、前記結晶粒界に、Si、CaおよびAlを含む非晶質相が存在していることを特徴とする。
本発明のアルミナ質焼結体の製造方法は、アルミナ1次原料に、焼結助剤として、該焼結助剤の全体を100質量部として、それぞれCaをCaO換算で60質量部以上66質量部以下、SiをSiO換算で34質量部以上質量部以下の範囲で含有させてこれにバインダーを添加、混合してアルミナ2次原料を得た後、該アルミナ2次原料を成形し、1600℃未満の温度にて焼成することを特徴とする。
また、本発明のアルミナ質焼結体の製造方法は、前記焼結助剤のCa源として平均粒径1.2μm以下の炭酸カルシウムを用いたことを特徴とする。
本発明の処理装置用部材は、ハロゲン系腐食性ガスやそのプラズマに曝される部材として本発明のアルミナ質焼結体を用いたことを特徴とる。
本発明の処理装置は、本発明の処理装置用部材を用いたことを特徴とする。
本発明によれば、α型アルミナを99質量%以上含有し、焼結助剤として、該焼結助剤の全体を100質量部としたとき、CaをCaO換算で60質量部以上66質量部以下、SiをSiO 換算で34質量部以上40質量部以下の範囲で含有するアルミナ質焼結体において、結晶粒界にヒボナイト(CaAl1219が存在し、その含有量が0.5質量%以下(0質量%は除く)でることから、粒成長しようとするα型アルミナの結晶粒子の粒成長をヒボナイトの結晶が抑制するため、機械的特性として3点曲げ強度を320MPa以上とすることができ、ヒボナイトの含有量も微量であるため耐食性なうことなく、機械的特性と耐食性とを兼ね備えたアルミナ質焼結体とすることができる
また、前記結晶粒界Si、CaおよびAlを含む非晶質相が存在していることから、非晶質相の影響でより低温で粒成長しようとするα型アルミナの粒成長をCaAl1219の結晶により抑制することが可能となるため、機械的特性の低下を抑制することができる。さらに、非結晶相がアルミナ結晶とヒボナイト結晶の結合剤の役割を果たし、非晶質相には、処理装置に用いられるハロゲン系腐食性ガスやそれらのプラズマに対し高い耐食性を示すAl成分を含有しているため、高い耐食性を持ったアルミナ質焼結体とすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明のアルミナ質焼結体は、α型アルミナを99質量%以上含有し、焼結助剤として、該焼結助剤の全体を100質量部としたとき、CaをCaO換算で58質量部以上66質量部以下、SiをSiO 換算で34質量部以上40質量部以下の範囲で含有するアルミナ質焼結体において、結晶粒界にヒボナイト(CaAl1219が存在し、その含有量が0.5質量%以下(0質量%は除く)でる。なお、本発明のアルミナ質焼結体は、不可避不純物を焼結助剤の含有量との合計1質量%未満含むものである。
図1に本発明のアルミナ質焼結体の結晶構造の模式図を示す。図中、1はアルミナ結晶、2はヒボナイト(CaAl1219)結晶、3は非晶質相を示している。
アルミナ質焼結体中にα型アルミナを99質量%以上含有することにより、半導体製造装置におけるハロゲン系腐食性ガスやそのプラズマに曝される各種部材に用いた場合、焼結体中の不可避不純物であるNa、Fe等からなる各種化合物成分量自体が少なくなるので、パーティクルとして、半導体ウエハ上に落下して、半導体製造工程に悪影響を及ぼすことを少なくすることができる。これについては、液晶製造装置における部材として用い
た場合にも同様である。また、α型アルミナの含有量を99質量%以上とすることにより、半導体、液晶製造装置の処理装置に用いられる、SF、CF、NF、C、HF等のフッ素系、Cl、HCl、BCl、CCl等の塩素ガス、或いはBr、HBr、BBr等の臭素ガスなどのハロゲン系腐食性ガス、さらにそれらのプラズマに対して高い耐食性を得ることができる。
また、本発明のアルミナ質焼結体において、ヒボナイト(CaAl1219)(以下、単にCaAl1219と示す)を0.5質量%以下(0質量%は除く)含有することが重要である。CaAl1219は、β型アルミナの一種であり、アルミナ質焼結体中のCaOとAlが1:6の比率をもって結びつくことによって生成され、1600℃未満の低温において生成するもので一般に低温型アルミナと言われる。高温型のα型アルミナと比較してより低温で得られるため、製造コストを削減できるという利点はあるものの、機械的特性や耐食性はα型アルミナに劣る。従って、α型アルミナ中のCaAl1219含有量が多くなり過ぎると、アルミナ質焼結体の機械的特性やハロゲン系腐食性ガスに対する耐食性が低下してしまう。そこで、本発明のアルミナ質焼結体ではCaAl1219の含有量を0.5質量%以下とすることで、α型アルミナの結晶粒子の粒成長を柱状のCaAl1219結晶が抑制するため、機械的特性をさらに向上させることができる。またCaAl 12 19 の含有量は、0.5質量%以下と微量であり、結晶粒界の一部に存在するのみで焼結体の耐食性を損ねることはない。CaAl12 、図1に示すように柱状の結晶であり、結晶粒界中に存在させることで、その粒子架橋効果により、アルミナ質焼結体の破壊形態である粒界破壊を起こした際に、結晶粒界に集中する応力を柱状のCaAl1219結晶により分散させることができる。
一方、含有量が0.5質量%を超えると、従来のアルミナ質焼結体と比較して著しく耐食性が低下することとなる。CaAl1219の含有量は0質量%を除いてアルミナ質焼結体に僅かでも含有されていればよい。
なお、CaAl1219の含有量は、まずアルミナ質焼結体の表面または断面に200μm×200μmの任意の観察領域10箇所をとり、各観察領域をSEM分析やTEM分析により観察し、エネルギー分散型X線分光分析を用いてその構成元素から観察領域におけるCaAl1219結晶を特定した後、観察領域に占めるCaAl1219結晶の面積比率を特定する。次いで、10箇所の観察領域における面積比率の値の平均値を算出して平均面積比率とする。この平均面積比率を平均体積比率とみなし、得られた平均体積比率にCaAl1219の理論密度(3.784g/cm)を積算することで、CaAl1219結晶の含有量(質量%)としている
CaAl1219は、上述のように柱状の結晶であるため、アルミナ質焼結体に応力が加わった場合に粒界破壊による亀裂の進展を妨げ、破壊靭性等の機械特性をより高いものにすることができる
また、図に示すように、アルミナ質焼結体の非晶質相には、Si、CaおよびAlを含むことが好ましい。CaAl1219結晶は、単独ではハロゲン系腐食性ガスやそれらのプラズマに対する耐食性は低い。一方、Si、CaおよびAl成分を含む非晶質相は、Al成分の影響により従来のアルミナ質焼結体中の非晶質相と比較して耐食性に優れる。従って、この両者を結晶界に混在させることにより、高い耐食性を保持したまま、非晶質相によるアルミナ結晶1の粒成長の促進を抑制でき、機械的特性の低下を抑制することが可能となる。また、非晶質相がアルミナ結晶とCaAl1219結晶の結合剤の役割を果たし、非晶質相には、処理装置に用いられるハロゲン系腐食性ガスやそれらのプラズマに対し高い耐食性を示すAl成分を含有しているため、高い耐食性を持ったアルミナ質焼結体とすることができる。
焼結体の結晶粒界に存在するSi、CaおよびAlを含む非晶質相は、アルミナ質焼結体の焼成温度を低することができる。特に、Si、Caを含む非晶質相3は、これを形成するために添加するSiO、CaOの溶融温度が低く、焼成の早い段階からアルミナ結晶粒子表面を活性化させ、その粒成長を促進させて焼結を促すため、99質量%以上の比較的純度の高いアルミナ質焼結体としても、1600℃未満の低温で緻密化させることが可能となる。なお、Si、CaおよびAlを含む非晶質相を形成するためには、焼結助剤としてSi、Ca元素を含むSiO、CaOを添加するが、このとき、特にCaOの含有量を多くすれば、その溶融温度は1400℃と低く、より低温で本発明のアルミナ質焼結体を焼結させることが可能である。CaO添加量は多すぎても耐食性に影響を及ぼす。よって、非晶質相100質量部に対するCa元素の質量割合を5質量部以上15質量部以下の範囲内とするのがより良い。
なお、結晶粒界に、Si、CaおよびAlを含む非晶質相3が存在する焼結体を得るには、焼結助剤成分であるSiO、CaO添加量を調整することで得ることができる。
CaAl1219結晶の含有量を、X線回折におけるアルミナ結晶に対するピーク強度の比率により算出した場合、CaAl1219結晶の最高ピーク強度に対するアルミナ結晶の最高ピーク強度の比率が0.5〜2であることが好ましい。比率が0.5未満では、CaAl1219結晶の割合が少なく、結晶粒界での粒子架橋効果が発揮されず、従来のアルミナ質焼結体と同等以上の高い機械的特性を得ることができない。また、この比率が2を超えると、CaAl1219晶2の結晶界での配向性が高く、このように一方向に配向性が高い状態でCaAl1219結晶結晶界に存在すると、一方向から応力が加わる場合には優れた機械的特性を有するものの、負荷応力が他方向、特に前記方向に垂直な方向から加わった場合には良好な機械的特性が得られない。これは、CaAl1219結晶が柱状であるため生じる現象であり、応力の負荷方向がCaAl1219結晶の長軸に垂直に近づくほど、その応力分散効果が希薄となるからである。また最高ピーク強度の比率が高くなるということは、CaAl1219結晶の含有量が高いということあり、柱状結晶が重なれば、重なりの部分と結晶粒界の間に空隙が生じるため、この部分が気孔として焼結体中に多く残存し、アルミナ質焼結体の密度を低下させ、これにより耐食性が低下するために好ましくない。
非晶質相100質量部に対するCa元素の質量割合は、エネルギー分散型X線分光分析による元素カウント数から算出る。
なお、X線回折は、市販のX線回折装置にて本発明のアルミナ質焼結体の表面および断面を分析し、CaAl1219結晶2の最高ピーク強度とアルミナ結晶1の最高ピーク強度の比率を算出する。
エネルギー分散型X線分光分析は、本発明のアルミナ質焼結体の表面および断面10ヶ所の粒界の非晶質相3部分にスポット径0.5〜5nmの電子線を照射して実施する。電子線照射は、予め透過電子顕微鏡により測定箇所を確認した後に行い、測定時間30〜75sec、測定エネルギー幅0.1〜50keVの条件で行う。この条件にて測定箇所10箇所のCa元素のカウント数の平均値を算出し、これを質量割合とするために定量計算方法として薄膜近似法を用い
アルミナ質焼結体はその平均結晶粒径を5〜15μmとするのがより好ましい。5μmより小さな平均結晶粒径では、機械的特性は著しく向上するものの研削性が悪化し、多大な加工時間を要するために好ましくない。また15μmより大きな平均結晶粒径では、粒径が大きく一回の研削量が大きくなるため研削性は著しく向上するももの機械的特性が低
下するために好ましくない。前記範囲内とすれば、高精度な加工を短時間で実施でき、かつ良好な機械的特性となる。なお、平均結晶粒径は、電子顕微鏡を用いて所定倍率にて結晶写真をとり、この写真の所定範囲内の結晶粒径を測定してその平均値を算出することによって得られる。
次に、本発明のアルミナ質焼結体の製造方法について以下詳細を示す。
本発明のアルミナ質焼結体の製造方法は、アルミナ1次原料に焼結助剤およびバインダーを添加、混合してアルミナ2次原料を得た後、該アルミナ2次原料を所定形状に成形して成形体を得、得られた成形体を1600℃未満の温度にて焼成することで得られる。
添加する焼結助剤は、焼結助剤の全体を100質量部としたとき、CaをCaO換算で60質量部以上66質量部以下、SiをSiO換算で34質量部以上4質量部以下の範囲で含有するものであり、これにより得られるアルミナ質焼結体のCaAl1219結晶の含有量0.5質量%以下(0質量%は除く)であれば、3点曲げ強度が320MPa以上の高い機械的特性と、高い耐食性を兼ね備えることができる。焼結助剤の各成分の含有量が上述の範囲を外れると、得られるアルミナ質焼結体は、高い機械的特性と、高い耐食性を兼ね備えたものとできなくなる。CaがCaO換算で60質量部未満であると、Ca成分が少なく、焼結体の結晶粒界にCaAl1219結晶ならびにCaを含む非晶質相3をともに存在させることが困難となる。また66質量部を超えると、非晶質相成分中のCa成分の割合が増加し、耐食性が低下してしまう。また、SiがSiO換算で34質量部未満であると、Siを含む非晶質相3を焼結体の結晶粒界に存在させることが困難となり、4質量部を超えると、非晶質相3中のSi割合が増加し、機械的特性が低下する
また、焼結助剤のCa源としては、平均粒径1.2μm以下の炭酸カルシウムを用いることが好ましく、焼結助剤の粒径を小さくしてアルミナ次原料粉末中での分散性を向上させることにより、焼結後に焼結体全体にわたってその粒界にCaAl1219結晶ならびに非晶質相を形成させることができる。また、CaCO原料を分散させることで、焼成温度の低温化が可能となる。また、CaCO原料の平均粒径を小さくすることにより、焼成時にCaCO原料が分解されて生成するCaOと、Al成分が反応しやすく、CaAl1219結晶を生成しやすい。
なお、CaCO原料の平均粒径は、焼結体の更なる緻密化という点で1μm以下とするのがより好ましい
焼結助剤のSi成分として平均粒径1〜5μmのSiO末を焼結助剤用原料として用いることができ、アルミナ1次原料としては、純度99%以上、平均粒径0.5〜1.2μmのものが好ましく、添加するバインダーとしては、PVA(ポリビニールアルコール)、PEG(ポリエチレングリコール)等の市販のバインダー類を用いれば良い。そして、前記アルミナ1次原料と市販のバインダー、焼結助剤原料、水を回転ミル等を使用して混合、スラリー化し、このスラリーをスプレードライヤーにて造粒してアルミナ2次原料とする。そして、このアルミナ2次原料を金型プレス成形や冷間静水圧プレス成形(ラバープレス)等の成形方法により所定形状の成形体とする
しかる後、前記成形体を焼成炉にて焼成する。焼成温度は1600℃未満、好ましくは1500〜1600℃未満の範囲であり、焼成温度が1600℃以上となると、焼結体中のCaAl1219結晶2がCaOとAlに分解し、柱状のCaAl1219結晶2が存在しないために、焼結体の機械的特性が低下する。また、1600℃以上の温度では、前記Si、Ca、Alを含む非晶質相3中のSi、Ca、Al成分が酸化して結
晶粒界にSi、Ca、Alを含む非晶質相3を形成できなくなるために好ましくない。
また、アルミナ質焼結体の結晶粒径を5μm以上15μm以下の範囲とするには、同様に焼成温度を調整することで制御できる。焼成温度が1600℃を越えると、特に肉厚が15mmを超えるような厚肉の大型製品を製造する場合に表面近傍と内部の結晶粒径に10μmを超えるような差を生じやすい。そのため、焼成温度を1600℃未満とするとともに、最高温度の保持時間を1時間以上6時間以下の範囲とし、結晶粒径のばらつきを抑制することがさらに好ましい。
このようにして得られた本発明のアルミナ質焼結体は、ハロゲン系腐食性ガスやそのプラズマに曝される部材として好適に用いることができる。図2は、半導体製造装置である誘導結合型プラズマエッチング装置の処理容器部材として本発明のアルミナ質焼結体を用いた概略断面図であり、以下詳細を説明する。
図2は誘導結合型プラズマエッチング装置を示す概略断面図であり、図中の符号1が本発明の処理装置用部材である。この処理装置用部材はドーム状をなし、内壁表面には祖面部1を有しており、その下に金属製のチャンバー1が処理装置用部材に密着するように設けられ、これらによりチャンバー1が構成されている。チャンバー1内には、支持テーブル1が配置され、その上に静電チャック14が設けてあり、静電チャック14上に半導体ウエハ15が載置される。静電チャック14の電極には直流電源が接続されており、これにより半導体ウエハ15を静電吸着する。また、支持テーブル1にはRF電源が接続されている。一方、チャンバー1の下部側面には真空ポンプ18が接続されており、チャンバー13内を真空排気可能となっている。また、チャンバー1の上部には半導体ウエハ15の上方にエッチングガス、例えばCF ガス等のハロゲン系ガスを供給するガス供給ノズル16が設けられている。処理装置用部材の周囲には誘電コイル17が設けられており、この誘導コイル17にはRF電源から例えば400KHzの高周波が印される。
このようなエッチング装置においては、真空ポンプ18によりチャンバー1内を所定の真空度まで排気し、静電チャック14により半導体ウエハ15を静電吸着した後、ガス供給ノズル16からエッチングガスとして例えばCFガスを供給しつつ、RF電源から誘導コイル17に給電することにより、半導体ウエハ15の上方部分にエッチングガスのプラズマが形成され、半導体ウエハ15が所定のパターンにエッチングされる。なお、高周波電源から支持テーブル1に給電することにより、エッチングの異方性を高めることができる。このようなエッチング処理の際、処理装置用部材の内面はCFガスやそれらのプラズマによる腐食を受けるとともに、フッ化物膜等が付着する。しかしながら、処理装置用部材は上述した本発明のアルミナ質焼結体で構成されている為、プラズマに対する耐食性が高いとともに、表面に形成された粗面部1の影響にり付着物が落下しにくい。
本発明のアルミナ質焼結体は、図2のような半導体製造装置の処理装置用部材に限らず、チャンバーやマイクロ波導入窓、シャワーヘッド、フォーカスリング、シールドリング等の部材に用いることが可能である。また、液晶製造装置においても半導体製造装置とほぼ同様の装置構造を有しているが半導体と比較して処理物サイズが大きくなるために、それに伴い液晶製造装置用部材のサイズも大きいものとなる。本発明のアルミナ質焼結体はサイズアップされた液晶用製造装置部材としても適用可能であり、むしろ低温で焼成可能で、焼成変形等なくしかも焼結助剤であるMgO添加量を調整すれば、加工しやすいものとできるため、液晶製造装置部材として用いることもできる。用いられた液晶製造装置部材としては、ステージ、ミラー、マスクホルダー、マスクステージ、チャック、レチクル等があげられる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲を逸脱しない範囲であれば種々の改良や変更したものにも適用することができることは言うまでもない。
以下、本発明の実施例を示す。
ず、市販のCaCO粉末をボールミルに、溶媒とともに投入して24時間粉砕し、排出、乾燥し、平均粒径0.8μmのCaCO粉末を得た。
この後、純度99%、平均粒径1μmのアルミナ1次原料粉末を準備し、この粉末99質量%に、焼結助剤として平均粒径1μmのSiO精製粉末、平均粒径1μmのMgO精製粉末と、CaCO粉末を合計で1質量%添加した。
焼結助剤の組成は、焼結助剤全体を100質量部としたときに、それぞれCaをCaO換算、SiをSiO換算、MgをMgO換算にて表1に示す如く組成にて添加した
さらに、バインダーとして0.1〜1質量%のPVA、溶媒として所定量の水を加えて各々の試料毎にボールミルにて1時間混合してスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤーにて造粒し、アルミナ2次原料を得た。得られたアルミナ2次原料をゴム製の成形型に投入して静水圧プレス(ラバープレス)成形装置にて成形した後、切削加工にて直径75mm、厚み12.5mmの円柱状の成形体を作製した。その後、各成形体を大気雰囲気中1550℃の焼成温度で焼成することにより、直径60mm、厚み10mmの円柱状のアルミナ質焼結体試料No.1〜26を得た。なお、各試料はそれぞれ10個つ準備した。
各アルミナ質焼結体のCaAl1219の含有量は、実施形態と同様にアルミナ質焼結体の表面または断面に200μm×200μmの任意の観察領域10箇所をとり、各観察領域をSEM分析やTEM分析により観察し、エネルギー分散型X線分光分析を用いてその構成元素から観察領域におけるCaAl1219結晶を特定した後、観察領域に占めるCaAl1219結晶の面積比率を特定する。次いで、10箇所の観察領域における面積比率の値の平均値を算出して平均面積比率とする。この平均面積比率を平均体積比率とみなし、得られた平均体積比率にCaAl1219の理論密度(3.784g/cm)を積算することで、CaAl1219結晶の含有量(質量%)とした。
次に、試料を厚み方向に4分割し、CaAl1219の含有量を上述と同様の方法にて測定した。
試料の一方端面をそれぞれ鏡面加工し、X線回折装置にてX線回折を実施して、その回折チャートから、CaAl1219結晶、MgO結晶の生成有無を確認した後、CaAl1219結晶の最高ピーク強度とアルミナ結晶の最高ピーク強度の比率を読みとった
また、その表面を透過型電子顕微鏡により観察し、結晶粒界におけるCaAl1219結晶と非晶質相、更にはMgO結晶の生成の有無を確認する。その後、粒界に存在する非晶質相部分にエネルギー分散型X線分光分析装置によりX線を照射させ、その反射スペクトルから非晶質相に存在する元素、並びにその元素カウント数から算出される非晶質相100質量部に対するAl、Si、Caの質量割合を確認した。
さらに、金属顕微鏡によって同表面を観察、200倍の拡大組織写真を撮影し、この写
真から所定面積10カ所の平均結晶粒子径を算出し、その平均を算出し、平均結晶粒子径を算出した。
料を用いて腐食性ガスやそのプラズマに対する耐食性についても評価を実施した。評価は、各試料をRIE(Reactive Ion Etching)装置にセットしてCF等のフッ素系ガス雰囲気下でプラズマ中に曝露し、その前後の重量減少量から1分間当たりのエッチングレートを算出した。なお、試料は耐食性評価前に再度鏡面加工を施して使用し
また、耐食性確認後、同じ焼結体の反対側の表面に、先端形状が直径5mmの電着ダイヤを取り付けたマシニングセンタ装置により回転数5000rpm/min、垂直方向送り速度25mm/minにて10個の穴あけ加工を実施し、10個目の穴加工時に試料と電着ダイヤ間に生じる摩擦力を事前にマシニングセンタ装置に取り付けたキスラー社製圧電型動力計(KISTLER−TYPE5019)にて測定し、これを研削抵抗値とした。なお、前記電着ダイヤは、各試料の研削抵抗測定毎に新しいものと取り替え、電着ダイヤの表面状態による測定バラツキをなくしている。
試験結果を表1に示す。
Figure 0004762168
表1より明らかなように、α型アルミナを99質量%以上含有し、焼結助剤として、該焼結助剤の全体を100質量部としたとき、CaをCaO換算で60質量部以上66質量部以下、SiをSiO 換算で34質量部以上40質量部以下の範囲で含有するアルミナ質焼結体において、結晶粒界にヒボナイト(CaAl1219)を0.5質量%以下で含有する試料(No.7)は、何れも3点曲げ強度が30MPa以上、エッチングレートが40Å/min以下と良好な値を示し、高い機械的特性と、高い耐食性を兼ね備えていることが確認できた。
次に、実験例1の試料No.11と同じ仕様で、図2に示す誘導結合型プラズマエッチング装置の処理容装置用部材の製造を実施した。処理装置用部材は外径1.5m、高さ500mm、平均厚み10mmである。
その結果、本発明のアルミナ質焼結体を用いれば、十分緻密化された焼結体を1550
℃の低い焼成温度で得ることができ、従来と比較して100℃程度焼成温度を低くすることが可能であり、焼成コストを削減できることが確認された。
本発明のアルミナ質焼結体破断面の結晶粒界部分を拡大した場合の模式図である。 本発明のアルミナ質焼結体からなる処理装置用部材を搭載した誘導結合型プラズマエッチング装置の概略図である。
1:アルミナ結晶
2:CaAl1219結晶
3:Si、Ca、Alを含む非晶質相
10:処理装置用部材
11:粗面部
12:チャンバー
13:支持テーブル
14:静電チャック
15:半導体ウエハ
16:ガス供給ノズル
17:誘導コイル
18:真空ポンプ

Claims (6)

  1. α型アルミナを99質量%以上含有し、焼結助剤として、該焼結助剤の全体を100質量部としたとき、CaをCaO換算で60質量部以上66質量部以下、SiをSiO 換算で34質量部以上40質量部以下の範囲で含有するアルミナ質焼結体において、結晶粒界にヒボナイト(CaAl1219が存在し、その含有量が0.5質量%以下(0質量%は除く)でることを特徴とするアルミナ質焼結体。
  2. 前記結晶粒界に、Si、CaおよびAlを含む非晶質相が存在していることを特徴とする請求項1に記載のアルミナ質焼結体。
  3. ルミナ1次原料に、焼結助剤として、該焼結助剤の全体を100質量部として、CaをCaO換算で60質量部以上66質量部以下、SiをSiO換算で34質量部以上4質量部以下の範囲で含有させてこれにバインダーを添加、混合してアルミナ2次原料を得た後、該アルミナ2次原料を成形し、1600℃未満の温度にて焼成することを特徴とするアルミナ質焼結体の製造方法。
  4. 前記焼結助剤のCa源として平均粒径1.2μm以下の炭酸カルシウムを用いたことを特徴とする請求項に記載のアルミナ質焼結体の製造方法。
  5. ハロゲン系腐食性ガスやそのプラズマに曝される部材として請求項1または2に記載のアルミナ質焼結体を用いたことを特徴とする処理装置用部材。
  6. 請求項に記載の処理装置用部材を用いたことを特徴とする処理装置。
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