JP4761068B2 - 磁性粒子およびプローブ結合粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、生化学用の磁性粒子およびプローブ結合粒子に関する。
磁性粒子は、例えば、感染症・癌マーカー・ホルモン等の検査対象物質の検出を行うため、抗原抗体反応を利用した診断薬の反応固相として用いられている。このような診断薬においては、抗体または抗原等の検査用プローブ(一次プローブ)が粒子上に固定化される。サンプル中の検査対象物質は一次プローブを介して粒子上に捕捉された後、第二の検査プローブと反応する。第二の検査プローブ(二次プローブ)は蛍光物質や酵素で標識されており、蛍光や酵素反応によって検出が行われる。
近年、疾病の早期発見等の目的のため、検査の高感度化が求められており、診断薬の感度向上は大きな課題となっている。磁性粒子を用いた診断薬においても、感度向上のため、検出方式が酵素発色を用いる方式から、より高い感度が得られる蛍光や化学発光を用いる方式へと切り替わりつつある。
これらの検出技術の発展により、理論上は一分子の検査対象物質の存在まで検出できるレベルに達しているといわれているが、実際には十分な感度が得られていない。その原因としては、粒子表面への二次プローブや夾雑物の非特異的な吸着が挙げられる。例えば、理論上一分子の検査対象物質を検出可能な検査技術であっても、数分子の二次プローブが粒子表面に非特異的に吸着すると、一分子検出は不可能である。このようなことから、粒子表面への検査に使用される物質に対して非特異的な吸着の抑制が強く求められている。
このような非特異吸着の抑制方法として、ブロッキングと言われる方法が行われてきた。ブロッキングは、一次プローブを粒子上に固定化した後に、二次プローブや夾雑物等の吸着の少ないアルブミンやスキムミルク等のブロッキング剤で粒子表面を被覆する方法である。しかし、ブロッキング剤の被覆効果が十分得られない場合があり、また、生体物質であるブロッキング剤の品質安定性が低い場合がある。一方、ブロッキングが十分に行われた場合でも、ブロッキング剤の変質等によってその作用が経時的に変化して非特異吸着が発生する場合があり、十分な非特異吸着の抑制効果は得られていなかった。
非特異吸着の問題を解決するための方法として、96ウェルプレートに代表される免疫測定用基材の表面に親水性ポリマーを導入する方法が提案されている(特許文献1〜3)。しかし、このような平面を利用した免疫測定用基材では、一次プローブを固定化する面積が限られること、ならびに、一次プローブと検査対象物質との反応は固液反応であるため、抗原抗体反応の効率が悪く、検査時間が長くなること等の欠点があった。
さらに、非特異吸着を少なくするための対応策として、スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体等からなる有機ポリマー粒子にスペーサを介して生理活性物質を結合したミクロスフィア(特許文献4,5,6)や、粒子表面に親水性のスペーサを導入した有機ポリマー粒子(特許文献7,8)等が提案されている。しかしながら、これらはいずれも、非特異吸着の低減効果が充分ではなく、また、免疫検査用としては感度が不十分であった。
本発明者らは、親水性モノマーとして、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン(C2−C4)基含有(メタ)アクリレート、エポキシ基含有(メタ)アクリレート、ホスホリルコリン類似基含有単量体等を粒子表面に共重合させた、非特異吸着の少ない免疫検査用磁性粒子を提案しているが(特許文献9)、さらなる低ノイズの発現が望まれる。
特開平11−174057号公報 特開2000−304749号公報 特開2001−272406号公報 特開平10−195099号公報 特開2000−300283号公報 国際公開第04/025297号パンフレット 特開2004−331953号公報 国際公開第04/040305号パンフレット 特開2005−69926号公報
本発明の目的は、抗体または抗原等のタンパク質や核酸等の検査用プローブ(一次プローブ)の結合が容易で、タンパク質や核酸等の非特異吸着が少ないゆえに低ノイズを発現できる磁性粒子、ならびに前記磁性粒子にプローブが結合されたプローブ結合粒子を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ね、特定の水との相互作用を有するポリマーを少なくとも表面に有する磁性粒子が、タンパク質や核酸等の非特異吸着が極めて少ないこと、ならびに、この磁性粒子を用いることにより、生化学・医薬品分野で特出する低ノイズを発現するプローブ結合粒子が得られることを見出し、本発明を完成させた。本発明によれば、以下の態様の磁性粒子およびプローブ結合粒子を提供することができる。
本発明の一態様に係る磁性粒子は、
自由水共存下で中間水を有するポリマーを少なくとも表面に有し、かつ、該ポリマーがプローブとの化学結合に使用可能な官能基を有する。
上記磁性粒子において、前記ポリマーは、メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、トリ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、およびトリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレートから選ばれる少なくとも1種のモノマーを含むモノマー部を重合して得ることができる。
上記磁性粒子において、核粒子と、該核粒子の表面に設けられた超常磁性微粒子を含む磁性体層とを含む母粒子をさらに含み、前記ポリマーは前記磁性体層を被覆することができる。
本発明の一態様に係るプローブ結合粒子は、上記磁性粒子と、該磁性粒子に結合するプローブとを含む。
上記磁性粒子は、自由水共存下で中間水を有するポリマーを少なくとも表面に有し、かつ、該ポリマーがプローブとの化学結合に使用可能な官能基を有することにより、タンパク質や核酸等の非特異吸着が極めて少ない。また、上記磁性粒子にプローブを結合させることにより、生化学・医薬品分野で特出する低ノイズを発現するプローブ結合粒子を得ることができる。
以下、本発明の一実施形態に係る磁性粒子およびプローブ結合粒子について説明する。
1.磁性粒子およびプローブ結合粒子
1.1.磁性粒子
本発明の一実施形態に係る磁性粒子は、少なくともその表面が自由水共存下で中間水を有するポリマーで形成されている。
本発明において、「中間水を有するポリマー」とは、示差走査熱量計(DSC)による示差走査熱量分析によって得られるDSC曲線において、昇温過程で−10℃未満に水の結晶化による発熱ピークが観測されるポリマーをいう。すなわち、「中間水」とは、示差走査熱量分析によって得られるDSC曲線において、昇温過程で、−10℃未満で結晶化による発熱ピークとして観測される水をいう。ここで、「昇温過程」とは、示差走査熱量分析において、磁性粒子を−100℃以下まで冷却したのちの昇温過程をいう。また、「自由水」とは、示差走査熱量分析によって得られるDSC曲線において、昇温過程で0℃付近の融点(吸熱ピーク)として観測される水をいう。
本発明の一実施形態に係る磁性粒子によれば、自由水共存下で中間水を有するポリマーを少なくとも表面に有することにより、検体中に含まれる蛋白質などの表面に存在する水和水を破壊することを防ぎ、その結果、蛋白質などの変性を防ぐことができる。これにより、非特異吸着を少なくすることができる。
このような自由水共存下で中間水を有するポリマー(以下、「中間水を有するポリマー」ともいう。)としては、好ましくは、メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、トリ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、トリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレートなどの弱親水性(メタ)アクリレート類を含むモノマー部を重合して得られるポリマーであり、さらに好ましくは、メトキシエチルアクリレートおよび/またはテトラヒドロフルフリルアクリレートを含むモノマー部を重合して得られるポリマーである。モノマー部は、上記に例示した弱親水性(メタ)アクリレート類を少なくとも1種含むことができる。
中間水を有するポリマーは、プローブ(検査用プローブ)との化学結合に使用可能な官能基を有する。このような官能基としては、例えば、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、トシル基、活性エステル基、ヒドラジノ基、およびケト基・アルデヒド基に基づくカルボニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基であることが好ましい。
本実施形態に係る磁性粒子において、基材となる磁性粒子には特に制限は無く、例えば、特開昭61−93603号公報や特開平10−270233号公報、特開2004−205481号公報等に記載された方法により製造される磁性粒子が利用可能であるが、本実施形態に係る磁性粒子は好ましくは、核粒子と、該核粒子の表面に設けられた超常磁性微粒子を含む磁性体層とを含む母粒子をさらに含み、中間水を有するポリマーが磁性体層を被覆することが好ましい。
磁性粒子の表面に、中間水を有するポリマー、および、プローブとの化学結合に使用可能な官能基を導入する方法としては、例えば、(1)磁性粒子の存在下、特定のモノマーを含むモノマー部を液体中で重合する方法、(2)磁性粒子の存在下、特定のモノマーを含むモノマー部を液体中で重合したのち、さらにその表面を化学修飾する方法等を挙げることができる。
(1)の方法としては、例えば、磁性粒子の存在下で、主原料としての上記弱親水性アクリレート類、上記官能基を有する共重合性モノマー、および必要に応じて他の共重合性モノマーを含むモノマー部、ならびに、副原料である重合開始剤、界面活性剤、電解質、架橋剤、分子量調節剤などを必要に応じて添加し、液体中、好ましくは水中で重合を行う方法を挙げることができる。
弱親水性アクリレート類の使用量は、モノマー部に含まれる全モノマー100重量部中、好ましくは50重量部以上、さらに好ましくは60重量部以上、最も好ましくは70重量部以上である。
官能基を有する共重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無類マレイン酸、クロトン酸、安息香酸ビニル、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基を有する共重合性モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテルなどのエポキシ基を有する共重合性モノマー;アリルアミン、アミノスチレンなどのアミノ基を有する共重合性モノマー;ダイアセトンアクリルアミド、アクロレイン、ホルミルスチロールなどのケト基・アルデヒド基に基づくカルボニル基を有する共重合性モノマーを挙げることができる。カルボキシル基を有する共重合性モノマーとして、より好ましくは、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸であり、さらに好ましくは、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸である。
他の共重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル単量体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステルなどを挙げることができる。
(2)の方法は、トシル基、活性エステル基、ヒドラジノ基などを導入するために有効であり、磁性粒子の存在下、所望の官能基を導入するための前駆体となる官能基を有するモノマーを液体中で重合したのち、さらにその官能基を公知の方法で化学修飾すればよい。
本実施形態に係る磁性粒子に含まれる官能基の量(磁性粒子1g当たりのモル数)は、好ましくは1μmol/g以上、さらに好ましくは2〜200μmol/g以上、最も好ましくは5〜50μmol/gである。
1.2.プローブ結合粒子およびその利用
本実施形態に係る磁性粒子の使用に当たってプローブを結合させる方法としては、物理吸着法または化学結合法を挙げることができるが、安定的な使用のためには、通常、プローブを磁性粒子表面の官能基と化学的に結合させる。この方法としては、例えば、粒子表面のカルボキシル基とプローブのアミノ基とを反応させる場合、カルボジイミド等の縮合剤を使用することができ、粒子表面のアミノ基とプローブのアミノ基とを反応させる場合、グルタルアルデヒドを使用することができる。
また、エポキシ基やトシル基、活性エステル基、ヒドラジノ基などの活性基を粒子表面に導入した場合、プローブと磁性粒子とを混合するだけで、一次プローブの化学的な結合が達成できる。
磁性粒子にプローブを結合した後、過剰のプローブを洗浄し、必要に応じて未反応の官能基を不活化する。不活化剤としては、エタノールアミン、トリスヒドロキシアミノメタン等の水酸基を含有する不活化剤の利用が好ましい。また、プローブの結合の後、通常行われるブロッキングの操作は不要であるが、上記不活化の工程にアルブミン等のブロッキング剤を併用してもかまわない。以降は、通常の生化学的な工程に移行すればよい。
本発明の一実施形態のプローブ結合粒子に担持することができるプローブは、例えば、抗原・抗体、(ストレプト)アビジン、プロテインA、プロテインG、酵素・ホルモン等のタンパク質、DNA・RNA等の核酸、脂質、あるいは生理活性糖鎖化合物、各種のアフィニティー用タグ捕捉物質、ビオチン等の補酵素、特定の生理活性作用を有する(あるいは、特定の生理活性作用を有する可能性がある)化学物質等である。
診断薬用のプローブ結合粒子には、プローブとして主に、抗原または抗体が使用される。この場合、抗原または抗体としては、被検体中に一般に含まれている成分に反応するものであれば特に制限されないが、例えば、アンチプラスミン検査用抗アンチプラスミン抗体、Dダイマー検査用抗Dダイマー抗体、FDP検査用抗FDP抗体、tPA検査用抗tPA抗体、TAT検査用抗トロンビン=アンチトロンビン複合体抗体、FPA検査用抗FPA抗体等の凝固線溶関連検査用抗原または抗体;BFP検査用抗BFP抗体、CEA検査用抗CEA抗体、AFP検査用抗AFP抗体、フェリチン検査用抗フェリチン抗体、CA19−9検査用抗CA19−9抗体等の腫瘍関連検査用抗原または抗体;アポリポタンパク検査用抗アポリポタンパク抗体、β2−ミクロブロブリン検査用抗β2−ミクロブロブリン抗体、α1−ミクログロブリン検査用抗α1―ミクログロブリン抗体、免疫グロブリン検査用抗免疫グロブリン抗体、CRP検査用抗CRP抗体等の血清蛋白関連検査用抗原または抗体;HCG検査用抗HCG抗体等の内分泌機能検査用抗原または抗体;HBs抗原検査用抗HBs抗体、HBs抗体検査用HBs抗原、HCV抗体検査用HCV抗原、HIV−1抗体用HIV−1抗原、HIV−2抗体検査用HIV−2抗原、HTLV−1検査用HTLV−1抗原、マイコプラズマ症検査用マイコプラズマ抗原、トキソプラズマ検査用トキソプラズマ抗原、ASO検査用ストレプトリジンO抗原等の感染症関連検査用抗原または抗体;抗DNA抗体検査用DNA抗原、RF検査用熱変成ヒトIgG等自己免疫関連検査用抗原または抗体;ジゴキシン検査用抗ジゴキシン抗体、リドカイン検査用抗リドカイン抗体等の薬物分析用抗原または抗体等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。抗体としては、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のどちらを用いてもかまわない。
また、アフィニティー担体用のプローブ結合粒子には、プローブとして主に、プロテインA、プロテインG、酵素・ホルモン等のタンパク質、DNA・RNA等の核酸、脂質、あるいは生理活性糖鎖化合物が使用される。さらに、創薬用のプローブ結合粒子としては、プローブとして解析対象の化学物質(被解析化学物質;リガンド分子に該当する)を化学結合により固定化し、タンパク物質等との特異的相互作用を用いて当該相互作用を解析および/または測定することによって、被解析化学物質と特異的な相互作用を有するタンパク質等(ターゲット分子に該当する)を選別、精製することにより創薬研究が可能である。
2.実施例
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
2.1.評価方法
2.1.1.中間水の有無の測定
各実施例・比較例で得られた粒子および同重量の水を密閉型パンに封じたセルをリガク社製DSC(商品名「Thermo Plus 2/DSC8230」)にセットし、−100℃まで冷却した後、10℃/分で昇温して、DSC曲線を得た。DSC曲線において−10℃未満に発熱ピークが観測された場合、中間水を有するとした。
2.1.2.CLEIA(化学発光酵素免疫測定)によるシグナル
抗AFP抗体を感作させた、後述する各実施例・比較例で得られた粒子の分散液10μl(粒子50μg相当)をテストチューブに取り、ウシ胎児血清(FCS)で100ng/mLに希釈したAFP抗原(日本バイオテスト社製)の標準検体50μlと混合し、37℃で10分間反応させた。磁気分離して粒子を分離し上清を除いた後、2次抗体としてアルカリフォスファターゼ(以下、「ALP」という。)で標識した抗AFP抗体(富士レビオ株式会社製、ルミパルスAFP−Nに付属の試薬を使用)40μlを添加し、37℃で10分間反応させた。次いで、磁気分離し上清を除いた後、PBSで3回洗浄を繰り返して得られた粒子を50μlの0.01%Tween20に分散させ、新しいチューブに移し替えた。ALPの基質液(ルミパルス基質液:富士レビオ株式会社製)100μlを加え、37℃で10分間反応させた後、化学発光量を測定した。化学発光の測定には、ベルトールジャパン株式会社製の化学発光測定装置(商品名:Lumat LB9507)を用いた。
2.1.3.CLEIAによるノイズ
上記CLEIAによるシグナルの評価方法で、ウシ胎児血清(FCS)で100ng/mLに希釈したAFP抗原(日本バイオテスト社製)の標準検体50μlの代わりに、AFP抗原を含まないFCS50μlを用いた以外は、同様にして化学発光量を測定した。
2.2.実施例1
75%ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド溶液(日本油脂製「パーロイル355−75(S)」)2gを1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液20gに混合し、超音波分散機にて微細乳化した。これを粒径0.77μmのポリスチレン粒子13gおよび水41gの入ったリアクターに入れ、25℃で12時間攪拌した。別の容器でスチレン96gおよびジビニルベンゼン4gを0.1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液400gに乳化し、前記リアクターに入れ、40℃で2時間攪拌した後、80℃に昇温して8時間重合した。室温まで冷却した後、遠心分離により粒子のみ取り出したものをさらに水洗し、乾燥、粉砕した。得られた粒子を核粒子とする(核粒子の作製)。核粒子の数平均粒子径は1.5μmであった。
次に、油性磁性流体(商品名:「EXPシリーズ」,(株)フェローテック製)にアセトンを加えて粒子を析出沈殿させた後、これを乾燥することにより、疎水化処理された表面を有するフェライト系の磁性体微粒子(平均一次粒子径:0.01μm)を得た。
次いで、上記核粒子15gおよび上記疎水化された磁性体微粒子15gをミキサーでよく混合し、この混合物をハイブリダイゼーションシステムNHS−0型(奈良機械製作所(株)製)を使用して、羽根(撹拌翼)の周速度100m/秒(16200rpm)で5分間処理し、磁性体微粒子からなる磁性体層を表面に有する母粒子(数平均粒子径:2.0μm)を得た(母粒子の作製)。
次に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.25質量%およびノニオン性乳化剤(商品名:「エマルゲン150」,花王(株)製)0.25質量%を含む水溶液375gを1Lセパラブルフラスコに投入し、次いで、前記磁性体層を有する母粒子15gを投入し、ホモジナイザーで分散した後、60℃に加熱した。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.25質量%およびノニオン性乳化剤(商品名:「エマルゲン150」,花王(株)製)0.25質量%を含む水溶液75gに、モノマー部としてメトキシエチルアクリレート12gおよび2−メタクリロイロキシエチルコハク酸3gと、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(日本油脂社製;パーロイル355)0.6gとを入れて超音波で分散させたプレエマルジョンを、60℃にコントロールした前記500mLセパラブルフラスコに1時間30分かけて滴下した。その後、75℃に昇温した後さらに2時間重合を続けて、反応を完了させた。以上の工程により、コアである母粒子を覆う共重合体層(ポリマー)を形成した。磁気を用いて前記セパラブルフラスコ中の粒子を分離し、蒸留水を用いて繰り返し洗浄した。以上により、磁性粒子の分散液を得た。得られた磁性粒子を粒子(i)とする。中間水の有無の測定により、この粒子(i)は中間水を有することが確認され、かつ、粒径は2.8μmであり、カルボキシル基含有量は12μmol/gであった。
次に、この粒子(i)10mgを分散させた固形分濃度1%の水分散体に、1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(同仁化学社製)水溶液を添加して室温で2時間回転攪拌することにより、カルボキシル基を活性化した。次に、腫瘍マーカーであるヒトαフェトプロテイン(以下、「AFP」という。)に対する抗体(以下、「抗AFP抗体」という。コスモ・バイオ株式会社製)100μgを加え18時間室温で反応した。反応後、粒子を磁気分離し、洗浄液(25mmol/L Tris−HCl,pH7.4、0.01%Tween20含有)で繰り返し洗浄した後、粒子濃度0.5%になるように洗浄液で希釈し、一次プローブとして抗AFP抗体を結合したプローブ結合粒子を得た。このプローブ結合粒子を用いて、化学発光酵素免疫測定(CLEIA)を実施した。その結果、この粒子(i)のシグナル強度は143807(RIU)、ノイズ強度は68(RIU)であった。
2.3.実施例2
メトキシエチルアクリレートの代わりにテトラヒドロフルフリルアクリレートを用いた以外は、実施例1と同様にして、磁性粒子の分散液を得た。得られた粒子を粒子(ii)とする。中間水の有無の測定により、この粒子(ii)は中間水を有することが確認され、かつ、粒径は2.8μmであり、カルボキシル基含有量は12μmol/gであった。
次に、実施例1における粒子(i)と同様にして、粒子(ii)について化学発光酵素免疫測定(CLEIA)を実施した。その結果、粒子(ii)のシグナル強度は158698(RIU)、ノイズ強度は72(RIU)であった。
2.4.比較例1
メトキシエチルアクリレートの代わりにシクロヘキシルメタクリレートを用いた以外は、実施例1と同様にして、磁性粒子の分散液を得た。得られた粒子を粒子(i’)とする。中間水の有無の測定により、この粒子(i’)は中間水を有さないことが確認され、かつ、粒径は2.9μmであり、カルボキシル基含有量は16μmol/gであった。
次に、実施例1における粒子(i)と同様にして、粒子(i’)について化学発光酵素免疫測定(CLEIA)を実施した。その結果、粒子(i’)のシグナル強度は159811(RIU)、ノイズ強度は284(RIU)であった。
2.5.比較例2
2−メタクリロイロキシエチルコハク酸の代わりにシクロヘキシルメタクリレートを用いた以外は、実施例1と同様にして、磁性粒子の分散液を得た。得られた粒子を粒子(ii’)とする。中間水の有無の測定により、この粒子(ii’)は中間水を有することが確認され、かつ、粒径は2.8μmであり、カルボキシル基含有量は0μmol/gであった。
次に、実施例1における粒子(i)と同様にして、粒子(ii’)について化学発光酵素免疫測定(CLEIA)を実施した。その結果、粒子(ii’)のシグナル強度は411(RIU)、ノイズ強度は87(RIU)であった。
以上の結果から、実施例1、2で得られた粒子(i)および(ii)は、自由水共存下で中間水を有するポリマーを少なくとも表面に有し、かつ、該ポリマーがプローブとの化学結合に使用可能な官能基を有するため、中間水を有するポリマーを表面に有さない比較例1で得られた粒子(i’)と比較してノイズが低いこと、ならびに、プローブとの化学結合に使用可能な官能基を表面に有していない比較例2で得られた粒子(ii’)と比較して、シグナルが高いことが理解できる。

Claims (5)

  1. モノマー部に含まれる全モノマーのうち弱親水性(メタ)アクリレートが50重量部以上である該モノマー部を重合して得られ、自由水共存下で中間水を有するポリマーを少なくとも表面に有し、かつ、該ポリマーがプローブとの化学結合に使用可能な官能基を有する、磁性粒子。
  2. 請求項1において、
    前記モノマー部は、前記官能基を有する共重合性モノマーを含む、磁性粒子。
  3. 請求項1または2において、
    前記弱親水性(メタ)アクリレートは、メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、トリ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、およびトリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレートから選ばれる少なくとも1種である、磁性粒子。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    核粒子と、該核粒子の表面に設けられた超常磁性微粒子を含む磁性体層とを含む母粒子をさらに含み、
    前記ポリマーは前記磁性体層を被覆する、磁性粒子。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載の磁性粒子と、該磁性粒子に結合するプローブとを含む、プローブ結合粒子。
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