JP4759770B2 - テラヘルツ電磁波発生素子 - Google Patents

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Description

本発明は、テラヘルツ電磁波を効率的に発生するテラヘルツ電磁波発生素子に関する。
テラヘルツ電磁波の周波数は、0.1THzから10THzにわたり、波長は30μmから3mmである。すなわち、テラヘルツ電磁波の周波数領域は、光波と電波の境界に当たる周波数領域である。このため、テラヘルツ電磁波は、電波のように物質を透過し、光のように直進する性質を有する。テラヘルツ電磁波の周波数帯域からは、分子構造や運動状態についての情報を得ることができるため、情報通信、非破壊検査、危険物や隠匿物の検出といったセキュリティ分野、悪性腫瘍のイメージングなどのバイオ・メディカル分野、さらには農業、工業、環境および宇宙分野など広い分野の応用が期待されている。
テラヘルツ電磁波の発生方法として、たとえばフェムト秒パルスレーザーを非線形光学結晶に照射させて発生させる方法が知られている(たとえば、特許文献1)。フェムト秒パルスレーザーによるレーザー光などの強い光を非線形光学結晶に照射すると、非線形光学結晶に分極が発生・消滅し、実効的にパルス電流が生じたことと等価となる。その結果、非線形光学結晶は、テラヘルツ電磁波を放射する。
しかし、テラヘルツ電磁波の周波数領域において、分散により物質の屈折率が高くなる。このため、テラヘルツ電磁波が発生素子を通過する際に、反射または吸収される成分が大きくなり、テラヘルツ電磁波の出力が低下する。テラヘルツ電磁波の出力の低下を防止するために、非線形光学結晶の表面に薄膜層を設けて表面における反射を減少させることも試みられている。しかし、テラヘルツ電磁波の周波数領域において有効な薄膜材料が存在せず、また薄膜自身にも分散性が存在するため、テラヘルツ電磁波へのエネルギ変換効率を大幅に向上させることは実現されていない。
また、ある種の物質が特定の周波数帯域のテラヘルツ電磁波を透過しやすいことが知られている。この性質を利用して、テラヘルツ電磁波によって禁止薬物や爆発物など特定の物質を検出する検査システムが検討されている。このように特定の物質を検出するためには、特定の物質によって定まる所定の周波数帯域のテラヘルツ電磁波をできるだけ高いエネルギ変換効率で発生させる必要がある。
特開2005-99453号公報
したがって、所定の周波数帯域のテラヘルツ電磁波をできるだけ高いエネルギ効率で発生させることのできるテラヘルツ電磁波発生素子に対するニーズがある。
本発明によるテラヘルツ電磁波発生素子は、一方の面に光を照射したときに他方の面からテラヘルツ電磁波を射出する非線形光学物質からなる発生層と、前記発生層の両側に設けた複数対の層構造と、を備えている。前記複数対の層構造のそれぞれは、第1の層と、 前記第1の層の、前記発生層と反対側に設けた第2の層と、前記第2の層の、前記発生層の側の面に設けた、使用されるテラヘルツ電磁波の波長より小さい第1の周期及び第1の高さを有する第1の格子と、前記第2の層の、前記発生層と反対側の面に設けた、第1の周期及び第1の高さを有する第2の格子と、を備えている。前記第1の層の媒質の屈折率(第1の屈折率)は、前記第2の層の媒質の屈折率(第2の屈折率)よりも低い。前記第1及び第2の格子は、前記第1の層と前記第2の層との間の屈折率が、前記第1及び第2の屈折率の間で徐々に変化するように構成されている。前記発生層が発生するテラヘルツ電磁波の中心波長に対して、所望の帯域幅を有するテラヘルツ電磁波を発生するように、前記第1及び第2の層の厚さ、ならびに前記第1の周期及び前記第1の高さを定めている。
本発明によるテラヘルツ電磁波発生素子によれば、テラヘルツ電磁波のエネルギを所望の帯域幅に集中させることができる。したがって、所望の帯域幅のテラヘルツ電磁波を高いエネルギ効率で発生させることができる。
本発明の実施形態によるテラヘルツ電磁波発生素子は、所望の帯域幅の上限値以上の周波数のテラヘルツ電磁波をできるだけ除去するように、第1の周期を定めている。
本実施形態によれば、第2の層の両側に設けた第1及び第2の格子により、所望の帯域幅の上限値以上の周波数のテラヘルツ電磁波は回折されて除去される。
本発明の実施形態によるテラヘルツ電磁波発生素子は、前記第1及び第2の格子の凸部の形状が錐状である。
本実施形態によれば、前記第1及び第2の格子の凸部の形状が錐状であるので、第1の層と第2の層との間で屈折率を徐々に変化させることができる。
本発明の実施形態によるテラヘルツ電磁波発生素子は、前記第1及び第2の格子の凸部の形状が円錐状である。
本実施形態によれば、前記第1及び第2の格子の凸部の形状が円錐状であるので、第1の層と第2の層との間で屈折率を徐々に変化させることができる。
本発明の実施形態によるテラヘルツ電磁波発生素子は、前記第1及び第2の格子の凸部の形状が角錐状である。
本実施形態によれば、前記第1及び第2の格子の凸部の形状が角錐状であるので、第1の層と第2の層との間で屈折率を徐々に変化させることができる。
本発明の実施形態によるテラヘルツ電磁波発生素子は、前記第1及び第2の格子の凸部が前記第2の層の材質と同じ材質からなる。
本実施形態によれば、前記第1及び第2の格子の凸部が前記第2の層の材質と同じ材質からなるので、第1の層と第2の層との間で屈折率を連続的に変化させることができる。
本発明の実施形態によるテラヘルツ電磁波発生素子は、前記第1及び第2の格子が、1次元に配列されている。
本実施形態によれば、1次元に配列された格子により、所定の偏光面を有するテラヘルツ電磁波の出力を増大させることができる。具体的には、1次元に配列された格子の突起部の長手方向に直交する偏光面を有するテラヘルツ電磁波の減衰を防止することができる。
本発明の実施形態によるテラヘルツ電磁波発生素子は、前記第1及び第2の格子が、2次元に配列されている。
本実施形態によれば、2次元に配列された格子により、偏光面に関わらず、テラヘルツ電磁波の出力を増大させることができる。
本発明の実施形態によるテラヘルツ電磁波発生素子は、前記第1の層の媒質が空気である。
本実施形態によれば、媒質として空気を使用するので、前記第1の層を容易に形成することができる。
本発明の実施形態によるテラヘルツ電磁波発生素子は、前記第1の層を形成するように枠状のサポート構造を備えている。
本実施形態によれば、枠状のサポート構造を備えることによって、媒質が空気である前記第1の層を形成することができる。
本発明の実施形態によるテラヘルツ電磁波発生素子は、前記第2の層と前記枠状のサポート構造とを一体的に形成している。
本実施形態によれば、前記第2の層と前記枠状のサポート構造とを一体的に形成するので、製造プロセスが簡単となる。
本発明の実施形態によるテラヘルツ電磁波発生素子は、前記第2の層の媒質がポリプロピレンである。
本発明の実施形態によるテラヘルツ電磁波発生素子は、前記非線形光学物質がテルル化亜鉛(ZnTe)の結晶である。
本発明の態様による物体検査システムは、本発明によるテラヘルツ電磁波発生素子を備えている。
本態様による物体検査システムにおいては、テラヘルツ電磁波発生素子の出力が大きいので、物体の検査をより高精度で行うことができる。
テラヘルツ電磁波発生素子を含む物体検査システムの構成を示す図である。 本発明の一実施形態によるテラヘルツ電磁波発生素子の構成を説明するための図である。 本発明の一実施形態による5対の層構造を備えるテラヘルツ電磁波発生素子の構成を示す図である デューティー比を説明するための図である。 1次元に配列された格子の構成を示す図である。 四角錐の突起部が正方格子状に配列された2次元配列格子を示す図である。 円錐の突起部が正方格子状に配列された2次元配列格子を示す図である。 四角錐の突起部が正六角形格子状に配列された2次元配列格子を示す図である。 円錐の突起部が正六角形格子状に配列された2次元配列格子を示す図である。 所望の中心波長のテラヘルツ電磁波を発生させる非線形光学結晶の設計方法を説明するための流れ図である。 テラヘルツ電磁波の中心波長をλTHzに対して、所望の帯域幅のテラヘルツ電磁波を発生させるテラヘルツ電磁波発生素子の設計方法を説明するための流れ図である。 RCWAによって求めた、第1の実施例のテラヘルツ発生素子の、周波数と利用効率との関係を示す図である。 RCWAによって求めた、第2の実施例のテラヘルツ発生素子の、周波数と利用効率との関係を示す図である。 RCWAによって求めた、第3の実施例のテラヘルツ発生素子の、周波数と利用効率との関係を示す図である。 RCWAによって求めた、第4の実施例のテラヘルツ発生素子の、周波数と利用効率との関係を示す図である。 インプリント法により格子を備えた第2の層を製造する方法を説明する図である。 射出成形により格子を備えた第2の層を製造する方法を説明する図である。 第2の層を使用してテラヘルツ電磁波発生素子を製造する方法を説明するための図である。 格子を備えた第2の層と、第1の層を形成するための枠とを一体的に製造する方法を説明する図である。 一体として形成された第2の層及び枠を使用してテラヘルツ電磁波発生素子を製造する方法を説明するための図である。
図1は、テラヘルツ電磁波発生素子を含む物体検査システムの構成を示す図である。図1においてフェムト秒レーザー201によって放出されたレーザー・ビームは、反射鏡203によって反射され、ビーム・スプリッター205に到達する。レーザー・ビーム・パルスは、ビーム・スプリッター205によって二つに分岐し、一方は、テラヘルツ電磁波発生素子100に入射する。レーザー・ビーム・パルスを受け取ったテラヘルツ電磁波発生素子100は、テラヘルツ電磁波を発生し、放出する。テラヘルツ電磁波は、凹面反射鏡207に到達し、反射されるとともに平面波に変換される。平面波に変換されたテラヘルツ電磁波は、反射鏡207a及び凹面反射鏡207bによって、検査対象物体301で十分な強度が得られるように集光される。テラヘルツ電磁波は、検査対象物体301を透過した後、凹面反射鏡209bと反射鏡209aを通して凹面反射鏡209に到達し、反射された後、テラヘルツ検出器211に集光される。
フェムト秒レーザーの仕様は、たとえば、中心波長800nm、パルス幅60乃至100 fs(フェムト秒)、繰り返し周波数 70乃至80 MHz、出力パワー 1 Wである。フェムト秒レーザーの代わりに、チタン・サファイアレーザーを使用してもよい。
ビーム・スプリッター205によって分岐された他方のレーザー・ビーム・パルスは、光学遅延ステージ213を通過した後、反射鏡215によって反射され、テラヘルツ検出器211に到達する。テラヘルツ検出器211は、該他方のレーザー・ビーム・パルスが照射された時点で、テラヘルツ検出器211に入射しているテラヘルツ電磁波の電場強度を検出する。光学遅延ステージ213は、鏡を移動させることにより光路長を調整し、該他方のレーザー・ビーム・パルスがテラヘルツ検出器211に到達する時間を調整する。該他方のレーザー・ビーム・パルスがテラヘルツ検出器211に到達する時間を調整しながら、テラヘルツ電磁波の電場強度の時間変化を測定する。最後に電場強度の時間変化をフーリエ変換すれば、周波数に対する電場強度の推移を求めることができる。
図2Aは、本発明の一実施形態によるテラヘルツ電磁波発生素子100の構成を説明するための図である。
テラヘルツ電磁波発生素子100の一方の面には、レーザー・ビームが入射され、他方の面からテラヘルツ電磁波が放出される。以下において、レーザー・ビームが入射される面を入射面、テラヘルツ電磁波が放出される面を放出面と呼称する。テラヘルツ電磁波発生素子100は、非線形光学結晶101と、非線形光学結晶101の入射面側に備わる層構造103Aと、非線形光学結晶101の放出面側に備わる層構造103Bとからなる。層構造103Aは、第1の層105と、第1の層105の、非線形光学結晶101と反対側に設けた第2の層1073と、第2の層1073の、第1の層105の側の面に設けた格子1071と、第2の層1073の、第1の層105と反対側の面に設けた格子1075とからなる。層構造103Bも、層構造103Aと同様の構造を有する。層構造103A及び層構造103Bを対の層構造と呼称する。
非線形光学結晶101は、一例としてテルル化亜鉛(ZnTe)の結晶である。他に、無機非線形光学結晶であるニオブ酸リチウム(LiNbO)、リン化ガリウム(GaP)及びセレン化ガリウム(GaSe)などの結晶を使用してもよい。さらに、有機非線形結晶として,DAST(4−ジメチルアミノ−N−メチル−4−スチルバゾリウムトシレート,4-dimethylamino-N-methyl-4-stilbazolium tosylate)結晶を使用してもよい。
第1の層105の媒質の屈折率は、第2の層1073の媒質の屈折率よりも低い。すなわち、第1の層105は低屈折率の物質から成る層であり、第2の層1073は高屈折率の物質から成る層である。低屈折率の物質から成る適切な厚さの層と高屈折率の物質から成る適切な厚さの層とを設けることにより、非線形光学結晶101内で発生したテラヘルツ電磁波の、非線形光学結晶101と第1の層105との境界面における反射波と、第2の層1073と周囲との境界面における反射波とが打ち消しあって、テラヘルツ電磁波の反射による出力の低下を防止することができる。
ここで、第1の層105の媒質として空気を選択する。非線形光学結晶101の表面における反射による放射強度の低下を防止するには、第2の層1073の媒質として、適切な屈折率を有する媒質を選択する必要がある。しかし、テラヘルツ電磁波の周波数領域で物質の屈折率は高くなる傾向がある。たとえば、可視光で代表的な薄膜である酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)の屈折率は、可視光に対して、それぞれ、1.7及び2.0であるが、周波数 0.45THz(波長 670μm)に対して、それぞれ3.3および10.5である。したがって、テラヘルツ電磁波帯で適切な屈折率を有する媒質を探し出すのは容易ではない。このように、第1の層105の屈折率と第2の層1073の屈折率とが大きく異なると、第1の層105と第2の層1073との境界面における反射が大きくなり、テラヘルツ電磁波の出力が低下する。
そこで、本実施形態においては、第2の層1073の、非線形光学結晶101の側の面に第1の格子1071を設け、第2の層1073の、非線形光学結晶101と反対側の面に第2の格子1075を設ける。ここで、第1の格子1071および第2の格子1075の格子周期は、使用されるテラヘルツ電磁波の波長よりも小さくする。このように構成することにより、反射回折光及び透過回折光の発生が抑制され、0次光のみを発生させることができる。
図2Aに示すように、第1の格子1071の突起部分と突起部分との間は、第1の層の媒質である空気で満たされる。第1の格子1071または第2の層1073の突起部分と空気からなる部分の平均屈折率は、近似的に以下の式で与えられる。
Figure 0004759770
ここで、TE偏光に対する平均屈折率をnTE、TM偏光に対する平均屈折率をnTMで表す。また、格子突起部の、第2の層1073の面からの高さをh、高さhにおける格子突起部の屈折率をn2(h)、格子突起部の周辺の媒質(空気)の屈折率をn1(h)、格子周期をΛ、格子突起部の頂点を含み、第2の層1073の、格子突起部が配置される面に垂直な断面において、高さhにおける周期内に占める格子突起部の比率(デューティー比)をF(h)=f(h)/Λ、光の入射角をθで表す。
図3は、デューティー比を説明するための図である。h=0のとき、すなわち、第2の層1073の格子突起部が配置される面上において、デューティー比は1である。また、格子突起部の頂点の高さにおいて、デューティー比は0である。hが、突起部の頂点の高さ(H)から0まで変化する間に、デューティー比は0から1に連続的に変化する。図3において、格子突起部の、頂点を含み、第2の層1073の、格子突起部が配置される面に垂直な断面における格子突起部の形状は三角形である。一般的に、上記断面における格子突起部の形状は、hが、突起部の頂点の高さ(H)から0まで変化する間に、デューティー比は0から1に連続的に変化する任意の形状であってよい。
式(1)によれば、デューティー比が0から1に連続的に変化する間に、TE偏光に対する平均屈折率nTEは、n1(H)からn2(0)に変化する。また、式(2)によれば、デューティー比が0から1に連続的に変化する間に、TM偏光に対する平均屈折率nTMは、n1(H)からn2(0)に連続的に変化する。
このように、格子を設けることにより、平均屈折率が、第1の層105の媒質の屈折率から第2の層1073の媒質の屈折率へ連続的に変化する。したがって、第1の層105と第2の層1073との境界面における反射を防止することができる。
上記の説明において、格子の突起部分の材質は、第2の層1073の材質と同じとした。代替的に、格子の突起部分の材質は、第2の層1073の材質と異なるものであってもよい。その場合に、格子の突起部分の材質の屈折率が、第2の層1073の材質の屈折率に近く、第1の層から105から第2の層1073まで屈折率が徐々に変化するように、すなわち、急激に変化しないように構成される。
一例として、第2の層1073としてポリプロピレンを使用する。第2の層1073としてポリプロピレンを使用するのは、吸湿性が小さく、大面積の薄型フィルムの製作が容易であり、テラヘルツ電磁波帯における屈折率が他のプラスチックに比べて比較的小さいからである。ポリプロピレンの周波数 1.5 THz(波長 200μm)の電磁波に対する屈折率は1.48である。他に、加工が容易で、テラヘルツ電磁波帯域で比較的屈折率が低いプラスチックとして、ポリメチルメタクリレート(上記周波数の電磁波に対する屈折率は約2.5)、ポリエチレン(上記周波数の電磁波に対する屈折率は約2.4)、ポリカーボネート(上記周波数の電磁波に対する屈折率は約2.6)、ポリスチレン(上記周波数の電磁波に対する屈折率は約2.6)などを使用してもよい。
格子は、第2の層1073の面において1次元または2次元に配列されている。
図4は、1次元に配列された格子の構成を示す図である。1次元に配列された格子により、所定の偏光面を有するテラヘルツ電磁波の出力を増大させることができる。具体的には、1次元に配列された格子の突起部の長手方向に直交する偏光面を有するテラヘルツ電磁波の減衰を防止することができる。
図5A乃至図5Dは、2次元に配列された格子の構成を示す図である。2次元に配列された格子により、偏光面に関わらず、テラヘルツ電磁波の出力を増大させることができる。図5Aは、四角錐の突起部が正方格子状に配列された2次元配列格子を示す図である。図5Bは、円錐の突起部が正方格子状に配列された2次元配列格子を示す図である。図5Cは、四角錐の突起部が正六角形格子状に配列された2次元配列格子を示す図である。図5Dは、円錐の突起部が正六角形格子状に配列された2次元配列格子を示す図である。
上記において説明を簡単にするために、テラヘルツ電磁波発生素子100が備える層構造は1対であるとした。実際には、テラヘルツ電磁波発生素子100は、複数対の層構造を備える。
図2Bは、本発明の一実施形態による5対の層構造を備えるテラヘルツ電磁波発生素子100の構成を示す図である。
つぎに、本発明によるテラヘルツ電磁波発生素子の設計方法について説明する。最初に、所望の中心波長のテラヘルツ電磁波を発生させる非線形光学結晶の設計方法を説明し、つぎに該中心波長を中心とした所望の帯域幅のテラヘルツ電磁波を発生させるテラヘルツ電磁波発生素子の設計方法を説明する。
図6は、所望の中心波長のテラヘルツ電磁波を発生させる非線形光学結晶の設計方法を説明するための流れ図である。
図6のステップS1010において、テラヘルツ電磁波発生素子によって発生させたいテラヘルツ電磁波の中心波長を定める。
図6のステップS1020において、テラヘルツ電磁波の中心波長における非線形光学結晶の屈折率及び励起パルスレーザーの波長における非線形光学結晶の群屈折率を求める。
図6のステップS1030において、中心波長、屈折率及び群屈折率の値から以下の式によって、非線形光学結晶の厚さを定める。
Figure 0004759770
ここで非線形光学結晶の厚さをL、テラヘルツ電磁波の中心波長をλTHz、中心波長λTHzにおける非線形光学結晶の屈折率をnTHz、励起パルスレーザーの波長における非線形光学結晶の群屈折率をngで表している。
図7は、テラヘルツ電磁波の中心波長をλTHzに対して、所望の帯域幅のテラヘルツ電磁波を発生させるテラヘルツ電磁波発生素子の設計方法を説明するための流れ図である。
図7のステップS2010において、第1の層105の厚さH1及び第2の層1073の厚さH2を以下の式にしたがって定める。ここで、第1の層105の屈折率をn105とし、第2の層1073の屈折率をn1073とする。
Figure 0004759770
すなわち、第1の層105の厚さH1及び第2の層1073の厚さH2は、中心波長のテラヘルツ電磁波の位相がπ/2またはその倍数だけ変化するように定められる。中心波長テラヘルツ電磁波の位相は、両側に備わる第1の層105及び第2の層1073を2回通過することにより2πだけ変化する。この結果、テラヘルツ電磁波の中心波長λTHz以外の電磁波は、入射波とその反射光による位相が干渉効果の作用で打ち消しあって消滅し、テラヘルツ電磁波の中心波長λTHzを有する電磁波のみが透過光として生じる。
図7のステップS2020において、以下の式にしたがって第1の層及び第2の層の平均屈折率を求める。
Figure 0004759770
ここで、第1の層及び第2の層の屈折率または格子突起部の屈折率をnmin及びnmaxで表している。
図7のステップS2030において、テラヘルツ電磁波の中心波長をλTHzに対して、所望の帯域幅WTHzのテラヘルツ電磁波を発生させる格子高さh及び周期Λを以下の式にしたがって定める。
Figure 0004759770
式(7)はテラヘルツ電磁波が、格子高さh、屈折率の平均値
Figure 0004759770
を有する格子部を通過した際の光路長の変化により、周波数の帯域幅が広がることを示している。
ここで、格子高さh及び周期Λは、以下の式を満たす必要がある。
Figure 0004759770
式(8)は、格子周期Λが、帯域幅の周波数の下限値よりも小さいことを意味する。格子周期Λが、帯域幅の周波数の下限値以上となると、回折光が発生し、透過率の減少が引き起こされる。
式(9)は、式(7)を使用して式(8)から格子周期Λを消去することによって得られる。式(9)が満たされないと、式(8)が満たされない場合と同様に、高次の回折光が発生し、透過率の減少が引き起こされる。
発明者は、図2Bの複数対の層構造を備えたテラヘルツ電磁波発生素子が、式(7)によって与えられる帯域幅を備えたテラヘルツ電磁波を発生し、たとえば、後で説明するように、周波数と利用効率との関係を示すグラフ(周波数スペクトル)において、帯域の両側が急峻な矩形形状が得られるとの新たな知見を得た。周波数スペクトルにおいて、帯域の両側が急峻な矩形形状が得られる理由は以下のとおりである。
図2Aにおいて第2の層1073が格子を備えないとする。たとえば赤外域、可視領域などの高い周波数の電磁波であれば、式(4)及び式(5)を満たすように第1の層及び第2の層の厚さを定めると、中心波長(周波数)をピークとする狭帯域の透過スペクトルを得ることができる。しかし、テラヘルツ電磁波では波長が極めて長いので、位相制御を行うには層の厚さを大きくする必要がある。その結果、テラヘルツ電磁波が媒質内を通過する距離も長くなる。媒質内の通過距離の増加は、従来の可視光や赤外光と同様に、透過損失や反射損失を引き起こし、またテラヘルツ電磁波の媒質内の通過に伴う吸収効果の増加などによって位相のずれが生じる。その影響でピーク周波数もずれてゆく。その結果、発生層の両側の層構造を互いに行き来するたびに徐々に干渉可能な周波数帯がずれるため、得られる周波数スペクトルの概形は矩形分布とならず、周波数に対し緩やかに利用効率が変化するガウシアン分布となる。
そこで、本発明においては、第2層1073の両側に格子1071及び1075を設ける。第2層1073の両側に格子1071及び1075を設けると、格子単体では式(7)の光路長
Figure 0004759770
分の位相シフトが生じる。この位相シフトを与えることにより、ピーク周波数が前記光路長分だけずれる。さらに第2層1073の両側への格子付加と発生素子101の両側への層構造の配置により、位相シフト量に係数
Figure 0004759770
の補正が与えられ、全体で帯域幅WTHzが定められる(式(7))。
この系においてピーク周波数のシフト量は各層を通過するごとに変調され、そのシフト量に応じた狭帯域のスペクトルが発生している。しかしながら、各層の通過はランダムに行われているため、得られるスペクトルは任意のシフト量をもつ狭帯域スペクトルがランダムに重なり合った状態で放射される。このときランダムに与えられるピーク周波数の変調量は、格子構造による位相変調で制限されており、式(7)に示した帯域幅WTHzを超えることはない。
以上の現象により、最終的に狭帯域のスペクトルが重なり合った矩形分布を有する周波数スペクトルが得られる。
以下において、シミュレーションにより本願発明の効果を検証する。シミュレーションには、厳密結合波解析(Rigorous Coupled Wave Analysis, RCWA)法を用いた。シミュレーションにおいて、電磁波の偏光方向はTE偏光とし、1次元に配列された格子を使用した。TM偏光または2次元に配列された格子であっても同様の結果が得られる。
第1の実施例
第1の実施例は、5対の層構造を備えるテラヘルツ電磁波発生素子である。テラヘルツ電磁波の中心波長は、136μm、中心周波数は、2.2THzと定める(図6のステップS1010)。
非線形光学結晶の中心周波数における屈折率nTHz及び励起パルスレーザーの波長における群屈折率ngは、以下のとおりである(図6のステップS1020)。
nTHz = 2.92
ng = 5.876
したがって、式(3)から、非線形光学結晶の厚さは以下のとおりである(図6のステップS1030)。
Figure 0004759770
第1の層105の屈折率をn105=1であり、第2の層1073の屈折率はn105=1.48であるので、式(4)及び式(5)から第1の層105の厚さH1及び第2の層1073の厚さH2は、それぞれ34μm及び23μmである。
ここで、帯域幅(波長幅)を仮に38μmとする。この場合に、設計上の帯域は、以下のようになる。
波長帯域 117μm - 155μm
周波数帯域 1.94THz - 2.56THz
格子周期Λは、式(6)を満たすように90μmと定める。
式(4)に第1の層の屈折率(空気の屈折率1.0)及び第2の層の屈折率(ポリプロピレンの屈折率1.48)を代入すると、以下の式が得られる(図7のステップS2010)。
Figure 0004759770
また、式(5)に、格子周期、中心波長及び平均屈折率を代入すると、以下のように、格子高さが37μmのときに帯域波長幅が38μmとなる(図7のステップS2020)。
Figure 0004759770
表1は、本実施例のテラヘルツ発生素子の仕様を示す表である。

Figure 0004759770
図8は、RCWAによって求めた、本実施例のテラヘルツ発生素子の、周波数と利用効率との関係を示す図である。ここで、利用効率とは、非線形光学結晶から放射されるテラヘルツ電磁波の理論上の最大出射強度に対するテラヘルツ電磁波の出射強度の比率すなわち、テラヘルツ電磁波発生の利用効率を表す。ここで、理論上の最大出射強度は,フェムト秒レーザーから周波数ω1とω2のレーザー光が非線形光学結晶に入射したとき、テラヘルツ電磁波の周波数ω3における2次非線形分極P(2)(ω3)で表され、
Figure 0004759770
となる。ここで、ε0は真空の誘電率、χ(2)は非線形光学結晶の2次非線形感受率、E及びE*は電場を表す。
図8において、1.94THzから2.45THzの周波数帯域(122μmから155μmの波長帯域)で利用効率がほぼ1となり、上記の帯域幅の設計値に近い値が得られる。
このように、図7に示した設計方法によって、第1及び第2の層の厚さ、ならびに格子周期(第1の周期)及び格子高さ(第1の高さ)の値を定めた後に、RCWA法によるシミュレーションを行いながら、所望の帯域幅が得られるように上記の値を調整してもよい。
本実施例によれば、テラヘルツ波のエネルギを所望の帯域幅に集中させることができる。したがって、たとえば、図1に示したテラヘルツ波発生素子を利用した物体検査システムの検出精度を向上させることができる。具体的に、禁止薬物のコカインは、2.3THz付近で約50%の透過率を有し、禁止薬物のエクゴニンは、2.1THz付近で約30%の透過率を有する。また、爆発物のTNT火薬は、2.2THz付近で約70%の透過率を有する。したがって、テラヘルツ波のエネルギを本実施例の帯域幅に集中させることにより物体検査システムによって高い精度でこれらの物質を検出することができる。
図8において、所望の帯域幅の他に1.75THz以下の周波数領域においても、ある程度のテラヘルツ波が発生している。このような所望の帯域幅より低い周波数領域のテラヘルツ電磁波は、回折格子を使用して回折光として進行方向を変えることにより光学系から除去することができる。
除去すべき帯域は、周波数で1.75THz以下の帯域であり、波長で171.5μm以上の帯域である。他方、所望の帯域は、周波数で1.94THz以上の帯域であり、波長で155μm以下の帯域である。したがって、回折格子の周期Λを以下の範囲とする。
Figure 0004759770
所望の帯域幅のテラヘルツ電磁波は、上記の周期の回折格子を0次光として透過する。除去すべき帯域のテラヘルツ電磁波は、回折光として進行方向を変えるので光学系から除去することができる。このように、所望の帯域幅の上限値以上の周波数のテラヘルツ電磁波を除去するには、格子周期を上記の式の下限値に近づければよい。
第2の実施例
第2の実施例は、9対の層構造を備えるテラヘルツ電磁波発生素子である。第1の実施例と同様に、テラヘルツ電磁波の中心波長は136μm、中心周波数は、2.2THz、第1の層105の厚さは34μm、第2の層1073の厚さは23μmと定める。
表2は、本実施例のテラヘルツ発生素子の仕様を示す表である。対の数の他は、第1の実施例の仕様と同じである。

Figure 0004759770
図9は、RCWAによって求めた、本実施例のテラヘルツ発生素子の、周波数と利用効率との関係を示す図である。
図9において、1.94THzから2.45THzの周波数帯域(122μmから155μmの波長帯域)で利用効率がほぼ1となり、設計上の周波数帯域(1.94THz - 2.56THz)に近い値が得られる。このように、複数の対の層構造を備えるテラヘルツ発生素子によって、所望の帯域幅のテラヘルツ波を発生させることができる。一般的に対の数が大きくなるほど、周波数と利用効率との関係を示すグラフにおいて、帯域の両側が急峻な矩形形状が得られる。
第3の実施例
第3の実施例は、3対の層構造を備えるテラヘルツ電磁波発生素子である。第1の実施例と同様に、テラヘルツ電磁波の中心波長は136μm、中心周波数は、2.2THz、第1の層105の厚さは34μm、第2の層1073の厚さは23μmと定める。
表3は、本実施例のテラヘルツ発生素子の仕様を示す表である。対の数の他は、第1の実施例の仕様と同じである。

Figure 0004759770
図10は、RCWAによって求めた、本実施例のテラヘルツ発生素子の、周波数と利用効率との関係を示す図である。
図10において、1.95THzから2.45THzの周波数帯域(122μmから154μmの波長帯域)で利用効率がほぼ1となり、設計上の周波数帯域(1.94THz - 2.56THz)に近い値が得られる。このように、複数の対の層構造を備えるテラヘルツ発生素子によって、所望の帯域幅のテラヘルツ波を発生させることができる。
第4の実施例
第4の実施例は、5対の層構造を備えるテラヘルツ電磁波発生素子である。第1の実施例と同様に、テラヘルツ電磁波の中心波長は136μm、中心周波数は、2.2THz、第1の層105の厚さは34μm、第2の層1073の厚さは23μmと定める。
ここで、帯域幅(波長幅)を仮に6μmとする。この場合に、設計上の帯域は、以下のようになる。
波長帯域 133μm - 139μm
周波数帯域 2.16THz - 2.25THz
格子周期Λは、式(6)を満たすように90μmと定める。
式(4)に第1の層の屈折率(空気の屈折率1.0)及び第2の層の屈折率(ポリプロピレンの屈折率1.48)を代入すると、以下の式が得られる(図7のステップS2010)。
Figure 0004759770
また、式(5)に、格子周期、中心波長及び平均屈折率を代入すると、以下のように、格子高さが6μmのときに帯域波長幅が6.18μmとなる(図7のステップS2020)。
Figure 0004759770
表4は、本実施例のテラヘルツ発生素子の仕様を示す表である。

Figure 0004759770
図11は、RCWAによって求めた、本実施例のテラヘルツ発生素子の、周波数と利用効率との関係を示す図である。
図11において、2.13THzから2.25THzの周波数帯域(133μmから141μmの波長帯域)で利用効率がほぼ1となり、設計上の周波数帯域(2.16THz - 2.25THz)に近い値が得られる。
実施例1と本実施例とを比較すると、格子高さを変えることにより、所望の帯域幅を変えることができることが理解される。
テラヘルツ電磁波発生素子の製造方法
最初に格子の製造方法について説明する。格子を製造する際には、切削加工またはリソグラフィーにより格子の金型を製造する。切削加工により格子の金型を製造する場合には、ダイヤモンドバイトを使って、金属またはガラスによる金型用基板を所定の凹凸形状に切削加工する。テラヘルツ電磁波に適用される回折格子の周期は30μmから3mmの間であるので、十分、切削加工より対応できる。リソグラフィーにより格子の金型を製造する場合には、金型用基板上にレジストを塗布し、所定の凹凸形状にしたがって露光量を変調させながら電子線や光を使ってレジスト上に照射する。照射されたレジストを現像すると露光量変調に応じてレジストが除去され、レジストによる凹凸形状が形成される。最後にエッチングを行うことにより、レジストによる凹凸形状が金型用基板に転写され、金型用基板に所定の凹凸形状を得ることができる。
図12A及び図12Bは、上記のようにして製造された金型を用いてテラヘルツ電磁波発生素子に組み込まれる格子を製造する方法を説明するための図である。
図11Aは、インプリント法により格子を備えた第2の層を製造する方法を説明する図である。インプリント法により格子を備えた第2の層を製造する場合には、金型4011及び4013を、ポリプロピレンなどの高屈折率媒質からなる基板1070上に押し込み、金型に熱を与え(熱インプリント法)、または光を照射する(光インプリント法)ことで、該基板1070上に格子を転写させて、格子を供えた第2の層107を製造する。インプリント法において、該基板1070をフィルム状にすることにより、大面積の回折格子構造を製作することもできる。さらに、金型4011及び4013をロール状に配置し、フィルム状の該基板1070を押し込みながら金型を回転させるロールインプリント法と呼ばれる方法を用いることにより、大量に製作することも可能である。
図11Bは、射出成形により格子を備えた第2の層を製造する方法を説明する図である。射出成形により回折格子を製造する場合には、金型501に樹脂を射出し離型することにより、格子を供えた第2の層107を製造することができる。
図13は、上記のようにして製造された第2の層107を使用してテラヘルツ電磁波発生素子を製造する方法を説明するための図である。
非線形光学結晶板101の面に空気を媒質とする第1の層105を形成するための枠109を貼り付ける。さらに、枠109の、非線形光学結晶板101が貼り付けられた面と反対側の面に第2の層107を貼り付ける。図11に示すような複数の層構造を有するテラヘルツ電磁波発生素子は、枠109と第2の層107とからなる層構造を重ねて貼り合わせることによって製造することができる。
図14は、インプリント法により格子を備えた第2の層と、第1の層を形成するための枠とを一体的に製造する方法を説明する図である。格子及び枠の形状を備えた金型5011及び5013を、ポリプロピレンなどの高屈折率媒質からなる基板1070上に押し込み、金型に熱を与え(熱インプリント法)、または光を照射する(光インプリント法)ことで、該基板1070上に格子を転写させて、格子を備えた第2の層107と、第1の層105を形成するための枠とを一体的に製造する。
図15は、上記のように一体として形成された第2の層及び枠111を使用してテラヘルツ電磁波発生素子を製造する方法を説明するための図である。
非線形光学結晶板101の面に、一体として形成された第2の層及び枠111の枠の部分を貼り付ける。図11に示すような複数の層構造を有するテラヘルツ電磁波発生素子は、層構造に相当する、一体として形成された第2の層及び枠111を重ねて貼り合わせることによって製造することができる。

Claims (10)

  1. 一方の面に光を照射したときに他方の面からテラヘルツ電磁波を射出する非線形光学物質からなる発生層と、
    前記発生層の両側に設けた複数対の層構造と、を備えたテラヘルツ電磁波発生素子であって、前記複数対の層構造のそれぞれは、
    第1の層と、
    前記第1の層の、前記発生層と反対側に設けた第2の層と、
    前記第2の層の、前記発生層の側の面に設けた、使用されるテラヘルツ電磁波の波長より小さい第1の周期及び第1の高さを有する第1の格子と、
    前記第2の層の、前記発生層と反対側の面に設けた、第1の周期及び第1の高さを有する第2の格子と、を備え、
    前記第1の層の媒質の屈折率(第1の屈折率)は、前記第2の層の媒質の屈折率(第2の屈折率)よりも低く、前記第1及び第2の格子は、前記第1の層と前記第2の層との間の屈折率が、前記第1及び第2の屈折率の間で徐々に変化するように構成され、前記発生層が発生するテラヘルツ電磁波の中心波長に対して、所望の帯域幅を有するテラヘルツ電磁波を発生するように、前記第1及び第2の層の厚さ、ならびに前記第1の高さを定めた、テラヘルツ電磁波発生素子。
  2. 前記第1及び第2の格子の凸部が前記第2の層の材質と同じ材質からなる、請求項1に記載のテラヘルツ電磁波発生素子。
  3. 前記第1及び第2の格子が、1次元に配列されている、請求項1に記載のテラヘルツ電磁波発生素子。
  4. 前記第1及び第2の格子が、2次元に配列されている、請求項1に記載のテラヘルツ電磁波発生素子。
  5. 前記第1の層の媒質が空気である、請求項1に記載のテラヘルツ電磁波発生素子。
  6. 前記第1の層を形成するように枠状のサポート構造を備えた、請求項5に記載のテラヘルツ電磁波発生素子。
  7. 前記第2の層と前記枠状のサポート構造とを一体的に形成した、請求項に記載のテラヘルツ電磁波発生素子。
  8. 前記第2の層の媒質がポリプロピレンである、請求項1に記載のテラヘルツ電磁波発生素子。
  9. 前記非線形光学物質がテルル化亜鉛(ZnTe)の結晶である、請求項1に記載のテラヘルツ電磁波発生素子。
  10. 請求項1に記載のテラヘルツ電磁波発生素子を備えた物体検査システム。
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