以下、本発明の実施の形態について幾つかの実施例を用い、図を参照して説明する。まず、本発明について説明する前に、電子式の時分割光学特性切替素子(以下、光学特性切替素子と言う。)の原理について、図26を用いて説明する。図26は光学特性切替素子群の原理を説明するための模式図である。図において、211はR偏光回転制御素子、212はG偏光回転制御素子、213はB偏光回転制御素子、221、222は偏光板であり、これらの素子によって光学特性切替素子群が構成される。231は偏光ビームスプリッタ(以下、単にPBSという。)であり、232は反射型液晶パネルである。図に示すように、光学特性切替素子群の後ろにPBS231が配置される場合には偏光板222はかならずしも必要ではない。偏光回転制御素子は、これに電圧を印加しないと、特定波長域の光の偏光軸が変換され、電圧を印加すると光の偏光軸が変換されずにそのまま出射される。例えば、図において、R偏光回転制御素子211に電圧を印加し、G及びB偏光回転制御素子に212、213に電圧を印加しないと、R光はS偏光光のままR、G及びB偏光回転制御素子211、212、213を透過してPBS231に入射されるが、S偏光光であるG光及びB光はそれぞれG偏光回転制御素子212及びB偏光回転制御素子213でP偏光光に変換されるため、G光及びB光は偏光板222を透過することができない。従って、R光がPBS231に入射され、PBS膜で反射され、液晶パネル232に入射する。例えば、映像信号で白表示を行うときには、液晶パネル232でP偏光光に変換され、今度はPBS231を透過して出射される。順次G偏光回転制御素子212及びB偏光回転制御素子213に電圧を印加することによって、順次P偏光光のG光及びB光がPBS231を透過して出射され、図示しない投射レンズによりスクリーン上にR、G、Bと順次、投影される。この各切替の周期が短いために、人間の目には白が見える。
以上の説明では、S偏光光が光学特性切替素子群に入射することを前提に説明したが、P偏光光を入射するようにしてもよい。この場合には電圧が印加されない偏光回転制御素子で、このP偏光光はS偏光光に変換され、PBS231に入射されない。
図1は本発明による投射型映像表示装置用光学エンジンの概略構成を示す模式図である。図において、19は光源、1はリフレクタであり、これらによって光を放射するランプが構成される。2は第1のレンズアレイ、3は第2のレンズアレイ、4はPBS、4aはλ/2位相差板、5は集光レンズ(コリメータレンズ)、14は反射ミラー、6はコンデンサレンズ、7は光学特性切替素子群、9aは偏光板である。10は直方体型PBSであり、偏光ビームスプリッタ膜10aを持っている。11はλ/4位相差板、12aは映像信号に応じた光学像を形成する反射型の液晶パネル、9bは偏光板、13は投射レンズである。以下の全ての実施例において、直方体型PBSは平板PBSで代用してもよい。
この実施例の投射型映像表示装置では、光源7から放射される光は楕円面または放物面または非球面のリフレクタ1にて集光され、この反射面鏡リフレクタ1の出射開口と略同等サイズの矩形枠に設けられた複数の集光レンズセルにより構成され、リフレクタ1から出射した光を集光して、複数の2次光源像を形成するための第一のアレイレンズ2に入射される。さらに複数の集光レンズセルにより構成され、前述の複数の2次光源像が形成される近傍に配置され、かつ液晶パネル12aに第1のアレイレンズ2の個々のレンズ像を結像させる第2のアレイレンズ3を通過する。
ここで、第1、第2のアレイレンズ2、3の作用について説明する。リフレクタ1を出射した後の照度分布は一般的に、周辺部が暗く、中央に近いほど高くなる。ただし、中央で、管球の極で光がけられるために、照度は低くなる。第1、第2のアレイレンズ2、3は、リフレクタ出射後の照度分布を細かく分割してから、総和することにより、液晶パネル12a上に均一な照度分布を得るように作用する。出射光は第2のアレイレンズ3の各々のレンズ光軸の横方向のピッチに適合するように配置された各々のレンズ幅の略1/2サイズの菱形プリズムの列により構成された偏光ビームスプリッタ4に入射される。このプリズム面には偏光ビームスプリッタ膜の膜付けが施されており、入射光は、この偏光ビームスプリッタ膜にてP偏光光とS偏光光に分離される。P偏光光は、そのまま偏光ビームスプリッタ膜を直行し、このプリズムの出射面に設けられたλ/2位相差板4aにより、偏光方向が90°回転され、S偏光光に変換され出射される。一方、S偏光光は、偏光ビームスプリッタ膜により反射され、隣接する菱形プリズム内で本来の光軸方向にもう一度反射してからS偏光光として出射される。出射光は、集光レンズ5を透過し、反射ミラー16で反射され、コンデンサレンズ6を通して、偏光板9aに入射される。偏光板9aにより特定の偏光の純度を高めて、R、G、及びB光学特性切替素子群7に入射する。
この光学特性切替素子群7は前述したように、光の波長帯域が周期的に切り替えるため、光学特性切替素子群7の出射光は、例えば、ある時点でR光がS偏光光、G光とB光はP偏光光、次の時点でB光がS偏光光、R光とG光はP偏光光、その次の時点でG光がS偏光光、B光とR光はP偏光光となり、これら3つの状態は周期的に切り替えられる。その後、特定の偏光軸、ここではS偏光光のみ反射し、P偏光光は透過する偏光ビームスプリッタ膜10aを膜付けした直方体型偏光ビームスプリッタ10に入射させることにより、ある時点ではS偏光光であるR光のみ反射し、次にB光、次にG光のみ反射することになる。不要光であるP偏光光は偏光ビームスプリッタ膜10aを透過し、液晶パネル12aへ入射することはない。このように、時分割色分離が行われた後、光は変調素子である反射型液晶パネル12aに照射される。ここで、位相補償によるコントラスト向上を可能にするλ/4位相差板11をパネル12a前に配置している。
この反射型液晶パネル12aには、表示する画素に対応する(例えば横1024画素縦768画素など)数の液晶表示部が設けてある。そして、外部より入力される映像信号に基づき駆動回路で駆動され、上記照射された光を該映像信号に対応して光の偏光状態を変調し、反射光として再び該偏光ビームスプリッタ10内に出射する。光の偏光状態と偏光ビームスプリッタ膜10aの透過及び反射の偏光軸との関係で、投射レンズ13側へ出射する光量と光源部19側へ出射する量が決まる。このようにして、外部入力映像信号に従った画像を投影する。液晶パネル12aを出射した光のうちのP偏光光は偏光ビームスプリッタ膜10aを透過した後、偏光度を上げてコントラストを改善する偏光板9bを通して投射レンズ13に入射される。この場合、直方体型偏光ビームスプリッタ10は、反射型液晶パネル12aが黒表示を行う場合には、偏光方向は入射光と同等、即ちS偏光光であるため、そのまま入射光路に沿って光源側に戻される。その後、映像である光は、例えばズームレンズである投射レンズ20を通過し、スクリーンに到達する。前記投射レンズ20により、反射型液晶パネル12aに形成された画像は、スクリーン上に拡大投影され表示装置として機能するものである。この映像液晶表示装置は、後述する駆動回路により、光源19およびパネル12及び光学特性切替素子7の駆動を行っている。
本実施例においては、図1に示すように、リフレクタ1から投射レンズ13への光軸18がU字状、即ち、リフレクタ1からの光の向きと投射レンズ13からの光の向きが略並行で、かつ、逆向きになり、2回光軸18を折り曲げた構成となるように各光学部品を配置する。これにより、同一の部品構成で、光学エンジンの外形サイズをより小型化でき、それに伴い、製品セットの外形サイズを、より小型化できる。
図2は本発明による投射型映像表示装置用光学エンジンの第2の実施例を示す模式図である。図において、図1と同じ構成要素については同じ符号を付し、その説明を省略する。図1の実施例では、透過型の光学特性切替素子を使用したが本実施例では反射型の光学特性切替素子群が使用される。光学特性切替素子群7aでは回折現象を利用して色分離を行っている。光学特性切替素子群7aでON光14aとOFF光14bとに分離され、各々別の方向へ光線を出射する。実線で示したON光14aは、光学特性切替素子群7aで反射され、液晶パネル12aまで到達する光路へ向けて出射されるが、破線で示したOFF光14bは、光学特性切替素子群7aを透過して、コントラスト低下を防止するために黒塗りした遮光板17に出射される。
本実施例でも、光路の折り曲げ部に反射型の電子的色分離手段7を用いることにより、第1の実施例と同様に、リフレクタ1から投射レンズ13への光軸がU字状、即ち、リフレクタ1からの光の向きと投射レンズ13からの光の向きが略並行で、かつ、逆向きになり、2回光軸を折り曲げた構成となるように各光学部品を配置する。これにより、同一の部品構成で、光学エンジンの外形サイズをより小型化でき、それに伴い、製品セットの外形サイズを、より小型化できる。
図3は本発明による投射型映像表示装置用光学エンジンの第3の実施例を示す模式図である。図において、図1〜図3と同じ構成要素には同一の符号を付し、本実施例において、光路はL字状に構成されている。色分離は、それ以降の光路にPBSが設けられていないので、偏光板9a、9c及び光学特性切替素子群7により行われる。この光学特性切替素子群7はコンデンサレンズ6の出射側に設けられる。偏光板9cによって、偏光方向が異なる光はカットされる。また、映像表示素子としては透過型の液晶パネル12bが設けられている。光学特性切替素子群により、偏光回転制御素子郡7によってR光、G光及びB光が順次透過型液晶パネル12bに入射される。
本実施例においては、透過型のパネルを用いているために、偏光ビームスプリッタが不要な分、軽くなり、液晶パネル12bと投射レンズ13間の距離が短く、バックフォーカスが短いので、投射レンズ13を短くすること及び軽量化ができる。それにより、セットサイズの小型化が可能である。
図4は本発明による投射型映像表示装置用光学エンジンの第4の実施例を示す模式図である。図4は図2に示す反射型の光学特性切替素子群7aが採用され、反射されたON光は透過型液晶パネル12bを通して投射レンズ13に入射される。OFF光は遮光板17で遮光される。この光学特性切替素子群7aは偏光板9とコンデンサレンズ6の間に設けられる。電源19からの光路はほぼ直角に曲げられ、L字状に構成される。この実施例においても、光学エンジンをコンパクトに構成することができる。
図5は本発明による投射型映像表示装置用光学エンジンの第5の実施例を示す模式図である。本実施例において、偏光板9a、9b、光学特性切替素子7はコンデンサレンズ6の出射側に設けられ、その出射光はTIRプリズム8に入射される。全反射プリズム8(TIRプリズム)に入射された光は反射防止膜31(例えば、ARマルチコート)で反射されて反射型のマイクロミラー型映像表示素子12cに入射される。反射型のマイクロミラー型映像表示素子12cには画素単位の小さい鏡が設けられており、電圧を印加することによって、この鏡を30度ぐらい回転させることができる。ON光14aの時は投射レンズ13の光軸方向に出射させ、OF光14bは投射レンズ13に入射しないように反射させる。投射スクリーンに黒を出したいときには、OFF光14bとする。投射スクリーンに白又その他の色を出したいときはON光14aとする。灰色にする場合には、ON光14aの時間と、OFF光14bの時間を変えて明るさの階調を制御することができる。
また、反射型のマイクロミラー型映像表示素子12cは静電気力によってマイクロミラーを回転させるもので、ON光14aとOFF光14bの切替えが速く切替え時間の損失を少なくすることができる。
図6は本発明による投射型映像表示装置用光学エンジンの第6の実施例を示す模式図である。本実施例においては、反射型の光学特性切替素子群7aが採用され、表示素子として反射型のマイクロミラー型映像表示素子12cが用いられ、光路はU字状に形成される。反射型の光学特性切替素子群7aは集光レンズ9aとコンデンサレンズ6の間に設けられる。コンデンサレンズ6の出射光側に全反射プリズム8が設けられ、全反射プリズム8で反射された光は反射型のマイクロミラー型映像表示素子12cに入射される。この光学系において、光学特性切替素子群7aの出射光は、図6の実施例と同様に動作に機能するし、ON光14aとOFF光14bの切替えが早く切替時間の損失を少なくすることができる。また、光学エンジンをコンパクトにすることができる。
以上述べた実施例において、光学特性切替素子によって、R光、G光及びB光は順次液晶パネル12の全面に照射される場合、即ち、まず、R光が液晶パネルの全面に照射され、次に、G光が液晶パネルの全面に照射され、更にその次には液晶パネルの全面に順次照射される場合には、液晶パネルの集光領域についてはそれほど厳密ではないが、例えば、液晶パネルの1/3の領域にR光を照射し、他の1/3の領域にG光を照射し、残りの1/3の領域にB光を照射し、R光、G光及びB光が照射される領域を順次変えるようにしたいわゆるスクロール方式を採用した場合には、光が照射される領域にきちんと集光させる必要がある。つまり、光学特性切替素子7の像を表示素子上に結像させる結像光学系が必要となる。
以下、図7〜図9を用いて、結像性能を上げて、決められた領域にきちんと結像させるための結像光学系を追加した実施例について説明する。図7(a)は本発明による投射型映像表示装置用光学エンジンの第7の実施例を示す模式図であり、図7(b)、(c)は液晶パネルに照射される光の領域を示す模式図である。本第7の実施例は、光学特性切替素子7上で、複数の分離した色光を各々、異なる位置に移動させつつ表示し、結像光学系15により、該光学特性切替素子の像を表示素子12a上に結像させるようにした場合の構成例である。
本実施例においては、ある時点で、図7(b)に示すように、例えば、液晶パネル面の上部領域にR光が照射され、中央部領域にG光が照射され、下部領域にB光が照射され、次の時点で図7(c)に示すように、液晶パネル面の上部領域にB光が照射され、中央部領域にR光が照射され、下部領域にG光が照射されるように、R光、G光及びB光の照射される場所が順次変化される場合には、各領域に照射された光が、その領域をはみ出さないように結像させて、色のにじみをなくすことが重要である。
本実施例では、結像性能を上げるために、光学特性切替素子7の出射光であるS偏光光を反射ミラー16で反射させ、結像光学系15aを通して、偏光ビームスプリッタ10に入射させ、偏光ビームスプリッタ膜10aで反射させて、λ/4位相差板11を通して反射型液晶パネル12aに入射させている。従って、適切に設計された結像光学系15aを用いることによって、光学特性切替素子7上の像の各R光、G光及びB光は反射型液晶パネル12aの上部領域、中央部領域及び下部領域収差少なく集光され、表示素子である反射型液晶パネル12a上に結像される。
かかる第7の実施例構成においては、上記光学特性切替素子7において、反射型表示素子の走査方向に対応する複数位置の電子的な制御条件を時間的にも変えることで、表示素子面上に複数色の光を時間的に多重して照射できる。例えば、光学特性切替素子7がR、G,B光に作用するとし、光学特性切替素子7上がフレームの横長方向ライン状態にn段階に分割されているとする。この時、第1の期間には、順次上から電圧印加あるいは不印加してR光出力が行われ、略1/3範囲すなわち、n/3段階の範囲になった後、表示素子上での略1/3範囲の幅で順次下方向へR光出力が移動する。この時R光範囲が移動した後の光学特性切替素子7の上部からは今度はG光出力が光学特性切替素子7の例えば偏光制御により出力される。前記光学特性切替素子7は波長選択反射制御素子群7でもよく、この場合は、例えば反射ミラー16の替わりに波長選択反射制御素子群7を配置して、光路上に反射部を配置して構成とすれば、光学特性切替素子7と同等機能が得られる。
同様に順次上から電圧印加あるいは不印加してG光出力が行われ、略1/3範囲すなわち、n/3段階の範囲になった後、略1/3範囲の幅で順次下方向へG光出力が移動する。この時B光出力範囲が、光学特性切替素子7の上部から発生し、順次R光、G光、B光を交互に出力する。この光学特性切替素子7上でのRGB各色のラインごとの表示を結像光学系15にて、反射型表示素子12a上に結像させる構成である。この時、R、G、B光の組合せは、別の色光、例えばシアン、イエロー、マゼンダの組合せ、あるいはR、G、B、W(ホワイト)でも可能であり、また、上記例は、n/3ラインごとに切り替えたが、n/M(Mはn以下の整数)でも良い。本実施例では、結像光学系15は光学特性切替素子7の表示をリレーレンズ系にて表示素子12a上に結像させる、少なくとも3枚以上のレンズ群からなる例であり、テレセントリックな光学系で構成されている。これは、必ずしも3枚のレンズでなくてもよく、反転するリレーレンズ系でなくても良い。さらには、コリメータレンズ5とコンデンサレンズ6とで構成された照明系もテレセントリックとし、光学特性切替素子7を通過する光の光軸が平行であることが、望ましい。ところで、光学特性切替素子7はコンデンサレンズ6に接着してもよく、または結像光学系15の第一レンズに密着させても良い。また、偏光板9aは偏光ビームスプリッタ10の直前に配置してもよく、テレセントリックな結像光学系15により平行光にされた後に配置した方が、光学特性が向上する傾向にある。また、光路中のS偏光光はP偏光光に特性を合わせて設定可能であり、この場合はPBS10を透過して液晶パネルに入射させることも可能であるが、コントラストの特性重視ならば、偏光板9aの前あるいは後ろに1/2λ位相差板を配置し、PBS10で反射して液晶パネルに入射させる構成も可能である。
このため、光の利用率を上げることができ、画面を明るくできる。その他の作用・効果については、上記各実施例の場合とほぼ同じである。
図8は本発明による投射型映像表示装置用光学エンジンの第8の実施例を示す模式図であり、図7の実施例の結像光学系15aの代わりに、非球面レンズを使った非球面結像光学系15bを用いている。かかる第7の実施例構成によれば、結像光学系15の結像性能を一層向上させることができるため、光学特性切替素子7の鮮明な像を表示素子12a上に得られ、かつ、信号書込みの立上がり時間も短縮できる。また、球面レンズと同等以上の収差性能を得る構成した場合、球面レンズ使用時と比較して、光路長短縮、レンズ枚数削減、軽量化等の効果もある。非球面レンズの代わりにプラスチックレンズ、ハイブリッドレンズ等を用いてもよい。また、色収差の改善のため、色けしレンズを用いてもよい。従って、本実施例においては、図7の実施例のものに比べてより収差少なく、各領域にR光、G光及びB光を集光させて結像させることができる。
図9は本発明による投射型映像表示装置用光学エンジンの第9の実施例を示す模式図である。本第9の実施例は、反射型で、光の波長によって選択的に反射を制御する光学特性切替素子群7を用いる。全反射プリズム8を介して光学特性切替素子群7に入射及び光学特性切替素子群7から出射する光を今度は全反射プリズム8を通過する構成とする、すなわち、全反射プリズム8の反射角が、臨界角を挟んで、光学特性切替素子群7への光の入射角と出射角が存在するように最適化した構成とすることにより、光源側からの光の光路を略90゜曲げた場合の構成例である。本実施例においては、コンデンサレンズ6の出射光を全反射プリズム8に入力し、反射防止膜31で反射された光を反射型の光学特性切替素子群7aに照射する。ここで反射された光(S偏光光)は全反射プリズム8を透過し、結像光学系15aを通して直方体型PBS10に入射される。直方体型PBS10の偏光ビームスプリッタ膜10aで反射されたS偏光光は反射型液晶パネル12aで反射され、映像信号が白表示のとき、P偏光光となって直方体型PBS10を透過して、投射レンズ13に入射される。
本実施例は図4に示す第4の実施例を更に改善したものである。図4の実施例では、反射型の偏光回転制御素子郡7aはほぼ直角に光を反射している。この場合、偏光回転制御素子郡7aへの入射角自体が大きく、また、偏光回転制御素子郡7aの上側(図面に向かって上方の縁の部分)に照射された光の入出射角と、下側の縁に照射された光とでは偏光回転制御素子郡7aへの入出射角が大きく異なる。この入出射角の相違によって、ここから出射され、液晶パネルに入射された場合、液晶パネルの左右で色むらが生じる。これに対して、本実施例では、光は全反射プリズム8で反射されてから、光学特性切替素子群7aに入射されるため、光学特性切替素子群7aへの入出射角を小さくすることができる。また、ここで反射された光の大部分は、反射防止膜31との間の角度が全反射の臨界角より小さい角度で反射防止膜31に入射されるように設計するため、光は効率よく反射防止膜31を透過して結像光学系15aに入射される。このように、偏光回転制御素子郡7aへの入出射角を小さくすることができるので、角度特性の影響、即ち色むらを軽減することができる。また、光は効率よく全反射プリズム8を透過するので、光の利用効率がよい。
本実施例は、光学特性切替素子7への入射角、反射角が45゜より小さい時に有効である。入射角、反射角が小さい場合、光路の重複する部分が長くなる。重複部分へのレンズ等の光学部品を配置する場合、光学部品の保持部が光路をケラれないようにすることや、入射時及び反射時の計2回の通過しても問題のない光学部品のみ配置できる等の設計及び部品配置上の制限が生じ、そのために光学エンジンの外形サイズも大きくなる。そこで、本構成により、上記の設計及び部品配置上の制限がなくなり、光学エンジンの外形サイズもより小型化できる。それに伴い、製品セットの外形サイズを、より小型化できる。さらに、電子的色分離手段7の取付けもし易い。また、本構成では、電子的色分離手段7に対し、入射光の入射角を小さい状態で入射させ、かつ、該反射面または回折面から出射光を反射角を小さい状態で出射させる構成のため、電子的色分離手段7の光学性能の良い状態で使用できる。
更に、本実施例においては、全反射プリズム8の出射光を、結像光学系15aを通して反射型液晶パネル12aに入射しているので、図7の実施例と同様各R光、G光及びB光は上部領域、中央部領域及び下部領域をはみ出すことなく、きちんと、収差なく集光され、そこに結像される。
次にホログラムタイプあるいは回折格子、フレネルレンズ等の電子的光学特性切替素子とスクロール方式を用いた第10の実施例を図10から図12に示す。以下、図10〜図12を用いて、各R光、G光及びB光を順次液晶パネルの上部領域、中央部領域、下部領域に順次照射する、いわゆるスクロールを行わせるための構成について説明する。図10(a)〜(c)は本発明による投射型映像表示装置のR光用光学エンジンの実施例を示す模式図であり、これを用いて、R光をスクロールする場合について説明する。図11(a)〜(c)は本発明による投射型映像表示装置のG光用光学エンジンの実施例を示す模式図であり、これを用いて、G光をスクロールする場合について説明する。図12(a)〜(c)は本発明による投射型映像表示装置のB光用光学エンジンの実施例を示す模式図であり、これを用いて、B光をスクロールする場合について説明する。
本実施例においては、ホログラムタイプで、回折光を利用する光学特性切替素子を使用する。この光学特性切替素子はレンズ作用を持っている。R光用のホログラムタイプの光学特性切替素子として、例えば3枚の光学特性切替素子7R1〜7R3を用いる。この場合、光学特性切替素子7R1はレンズ作用あるいは回折によって、反射型液晶パネル12aの上部領域(図7(b)のR領域)にR光を照射するように集光方向を変えることができる素子である。また、光学特性切替素子7R2はそのレンズ作用あるいは回折によって、反射型液晶パネル12aの中央部領域(図7(b)のG領域)にR光を照射するように集光方向を変えることができる素子である。また、光学特性切替素子7R3はレンズ作用あるいは回折によって、反射型液晶パネル12aの下部領域(図7(b)のB領域)にR光を照射するように集光方向を変えることができる素子である。同様に、G光用のホログラムタイプの光学特性切替素子として、例えば3枚の光学特性切替素子7G1〜7G3を用い、B光用のホログラムタイプの光学特性切替素子として、例えば3枚の光学特性切替素子7B1〜7B3を用いる。
光学特性切替素子7R1〜7R1、7G1〜7G3及び7B1〜7B3は、例えば、電圧を印加すると光はその素子を透過し、電圧を印加しないとレンズ作用あるいは回折によって特定波長域の光は光軸が変化される。これら光学特性切替素子7R1〜7R1、7G1〜7G3及び7B1〜7B3は重ね合わせて使用される。
説明を容易にするために、図10はR光用の光学特性切替素子7R1〜7R3について示しており、図11はG光用の光学特性切替素子7G1〜7G3を示しており、図12はB光用の光学特性切替素子及び7B1〜7B3を示している。従って、時刻がt1、t2、t3と順次に流れていくとして、図10(a)、図11(a)及び図12(a)はそれぞれ時刻t1における状態を示し、図10(b)、図11(b)及び図12(b)はそれぞれ時刻t2おける状態を示し、同様に、図10(c)、図11(c)及び図12(c)はそれぞれ時刻t3における状態を示している。
図10〜図12において、ランプ19からの光は偏光ビームスプリッタ4でS偏光光に変換された後、光学特性切替素子7R、光学特性切替素子7G及び光学特性切替素子7Bに入射される。本実施例では、結像光学系15aは、入射レンズの光源側の面を平面にし、この平面と反射型液晶パネル12aが結像するように設計している。また、反射型液晶パネル12aは、光源側の方に上部、投射レンズに下部を向けて置かれている。よって、入射レンズの平面の上部、中央部、下部がそれぞれ、映像表示素子の上部、中央部、下部と結像関係にある。
図10(a)では、光学特性切替素子7Rの内、光学特性切替素子7R2及び7R3には電圧が印加されているが、光学特性切替素子7R1には電圧は印加されていない。従って、S偏光光であるR光は光学特性切替素子7R1で光軸が変換され、結像光学系15aの入射レンズの平面側の上部領域に集光される。また、図11(a)では、光学特性切替素子7Gの内、光学特性切替素子7G1及び7G3には電圧が印加されているが、光学特性切替素子7G2には電圧は印加されていない。従って、S偏光光であるG光は光学特性切替素子7G2で光軸が変換され、結像光学系15aの入射レンズの平面側の中央部領域に集光される。また、図12(a)では、光学特性切替素子7Bの内、光学特性切替素子7B1及び7B2には電圧が印加されているが、光学特性切替素子7B3には電圧は印加されていない。従って、S偏光光であるR光は光学特性切替素子7B3で光軸が変換され、結像光学系15aの入射レンズの平面側の下部領域に集光される。このようにして、図10(a)〜図12(a)では、反射型液晶パネル12aの上部領域にはR光が、中央部領域にはG光が、下部領域にはB光が照射される。
時刻t2になると、図10(b)では、光学特性切替素子7R1、7R3に電圧が印加され、光学特性切替素子7R2には電圧が印加されないので、S偏光光であるR光は、光学特性切替素子7R2によって光軸が変換され、結像光学系15aの入射レンズの平面側の中央部領域に集光される。同様に、図11(b)では、光学特性切替素子7G1、7G2に電圧が印加され、光学特性切替素子7G3には電圧が印加されないので、S偏光光であるG光は、光学特性切替素子7G3によって光軸が変換され、結像光学系15aの入射レンズの平面側の下部領域に集光される。図12(b)では、光学特性切替素子7B2、7B3に電圧が印加され、光学特性切替素子7B1には電圧が印加されないので、S偏光光であるB光は、光学特性切替素子7B1によって光軸が変換され、結像光学系15aの入射レンズの平面側の上部領域に集光される。時刻t3になると、図10(c)では、光学特性切替素子7R1、7R2に電圧が印加され、光学特性切替素子7R3には電圧が印加されないので、S偏光光であるR光は、光学特性切替素子7R3によって光軸が変換され、結像光学系15aの入射レンズの平面側の下部領域に集光される。同様に、図11(c)では、光学特性切替素子7G2、7G3に電圧が印加され、光学特性切替素子7G1には電圧が印加されないので、S偏光光であるG光は、光学特性切替素子7G1によって光軸が変換され、結像光学系15aの入射レンズの平面側の上部領域に集光される。図12(c)では、光学特性切替素子7B1、7B3に電圧が印加され、光学特性切替素子7B2には電圧が印加されないので、S偏光光であるB光は、光学特性切替素子7B2によって光軸が変換され、結像光学系15aの入射レンズの平面側の中央部領域に集光される。
このようにして、R光は液晶パネル15aの上部領域、中央部領域、下部領域に順次照射される。また、G光は液晶パネル15aの中央部領域、下部領域、上部領域に順次照射される。また、B光は液晶パネル15aの下部領域、上部領域、中央部領域に順次照射される。
本実施例では、液晶パネル15aの上下にスクロールする構成としたが、液晶パネル15aの左右にスクロールするように光学特性切替素子群7及び液晶パネルの向きをそれぞれの面内で回転させて配置してもよい。本実施例においては、このようにして、各R光、G光、B光のそれぞれをスクロールさせることができる。もちろん各R、G,B光は、R,G,B.W光でもよく、さらにはシアン、イエロー、マゼンダ、Wでも可能であり、かつ各色光の時間的長さは、映像のホワイトバランス、色純度、明るさ等の光学性能により自由自在に設定することが可能である。また、当然ながら、白黒表示や、2色表示など、製品仕様により自在に設定可能である。
本実施例は、結像光学系15aはコスト高となる。これを解決するために、各光学特性切替素子7R1〜7R3、7G1〜7G3、7B1〜7B3に複数の電圧供給用の電極を設ける。例えば、光学特性切替素子7R1に電圧を供給しないようにして、この光学特性切替素子7R1でR光の光軸を変更して、R光を上部領域に照射する場合、光学特性切替素子7R1の上部や下部、又は両方に設けられた電極に電圧を供給すると、その部分に照射されたR光は集光されなくなる。R光、G光及びB光が液晶パネル12a上で各上部領域、中央部領域及び下部領域の端部が互いに重なるようにし、光の光軸を変換する光学特性切替素子の上部又は下部、又は両方の電極に電圧を印加して、その部分の光の光軸を偏光しないようにすると、集光させる光の領域が変化する。従って、例えば、図7(b)において、R、G、Bの領域が上下に移動させて、R、G、Bの領域に連続性を持たせることができる。また、図7(b)の場合、R、G、Bの領域を拡大して、Rの領域とGの領域がその端部で重なり合い、Gの領域とBの領域がその端部で重なり合うようにし、各R、G、Bの領域を上下に少し移動させるようにし、重なりあった領域を補色とするとよい。もちろん、本実施例は、3段階のスイッチングによる反射型表示素子12aの色切り替えの方法であるが、3段階以上の複数段階の色切り替えでもよく、この場合は、表示素子を滑らかに画像が移動するので、カラーブレイクアップが見えにくい。この時は、電子的色分離手段7は、回折光軸を数段階に分けて積層する構成である。これを例えば、R光、G光、B光用あるいはR,G,B,W(ホワイト)用あるいはシアン、イエロー、マゼンダ用に用意する。
図13は本発明による投射型映像表示装置用光学エンジンの第11の実施例を示す模式図であり、図において、7RGBは図10〜図12で説明したホログラムタイプで回折光を利用する光学特性切替素子である。この光学特性切替素子7RGBを出射したS偏光光であるR光、G光及びB光はコンデンサレンズで集光され、反射ミラー16で反射され、結像光学系15aで結像され、PBS10で反射され、映像信号が白表示のとき、P偏光光としてこのPBS10を透過し、投射レンズ13に入射される。本実施例において、光学特性切替素子7RGBは反射型のものを用い例えば反射ミラー16の位置に配置してもよい。これにより、光学エンジン全体の大きさを小型化でき、図13のようにU字型配置は、セットサイズを極小化できる。
図14は本発明による投射型映像表示装置用光学エンジンの第12の実施例を示す模式図であり、反射型のR、G及びB用の光学特性切替素子群70a、70b、70cが採用されている。光学特性切替素子群70aからの光は図に向かって、結像光学系15aの入射レンズの左領域に入射され、光学特性切替素子群70bからの光は結像光学系15aの入射レンズの中央部に入射させ、光学特性切替素子群70bからの光は結像光学系15aの入射レンズの右領域に入射される。時刻t1において、光学特性切替素子群70aからはS偏光にされたR光が結像光学系15aに入射され、光学特性切替素子群70bからはS偏光にされたG光が結像光学系15aに入射され、波長光学特性切替素子群70cからはS偏光にされたB光が結像光学系15aに入射され、反射型液晶パネル12aの上部領域にはR光が、中央部領域にはG光が、下部領域にはB光が照射されるように構成される。時刻t2では、光学特性切替素子群70aからはG光が、光学特性切替素子群70bからはB光が、光学特性切替素子群70cからはR光がそれぞれ出射され、それぞれ反射型液晶パネル12aの上部領域、中央部領域、下部領域に照射される。同様に、時刻t3では、光学特性切替素子群70aからはB光が、光学特性切替素子群70bからはR光が、光学特性切替素子群70cからはG光がそれぞれ出射され、それぞれ反射型液晶パネル12aの上部領域、中央部領域、下部領域に照射される。このようにして、反射型液晶パネル12aの各領域には異なった色の光が照射される。
もちろん、70Cは反射ミラーでもよく、また、本実施例では、液晶パネル12aを3分割して順次色光がスクロールする構成であるが、2分割や3分割以上も可能であり、この場合は順次滑らかに色切り替えが行われる。また、RGBの色切り替えのみならずRGBW、等も可能である。
図15は本発明による投射型映像表示装置用光学エンジンの第13の実施例を示す模式図であり、透過型の光学特性切替素子群70d、70e、PBS32a、32b及び反射ミラー16を用いる。図において、時刻t1では、光学特性切替素子群70dのR偏光回転制御素子よって、R光はS偏光光のままPBS32aに入射され、ここで反射されて結像光学系15aの左領域に入射される。G光及びB光は光学特性切替素子群70dでP偏光光に変換され、PBS32aを透過して、光学特性切替素子群70eに入射される。G光及びB光の内、G光は光学特性切替素子群70eでS偏光光に変換され、B光はP偏光光のままPBS32bに入射される。G光はPBS32bで反射され、結像光学系15aの中央領域に入射される。P偏光光のB光は反射ミラー16で反射され、λ/2位相差板33でS偏光光に変換されて、結像光学系15aの右領域に入射される。
同様に、時刻t2では、光学特性切替素子群70dでG光がS偏光光に変換され、PBS32aで反射されて結像光学系15aの左領域に入射される。PBS32bからはB光が反射されて、結像光学系15aの中央領域に入射され、P偏光光であるR光は反射ミラーで反射され、λ/2位相差板33でS偏光光に変換されて結像光学系15aに入射される。このように、結像光学系15aの左領域には、順次R光、G光、B光が入射され、中央領域には、順次G光、B光、R光が入射され、右領域には順次B光、R光、G光が入射される。このようにして、液晶パネル12aの上部領域、中央部領域、下部領域には、順次異なった色の光が照射される。当然ながら、本実施例は、液晶パネル12aを3分割して順次色光がスクロールする構成であるが、2分割や3分割以上も可能であり、この場合は順次滑らかに色切り替えが行われる。また、RGBの色切り替えのみならずRGBW、等も光学特性切替素子群70d、70eの特性により可能である。
以下、本発明によるスクロール法について説明する。図27は図25で説明したR偏光回転制御素子211、G偏光回転制御素子212、B偏光回転制御素子213を用いて、ある時刻に、R光を液晶パネル232の全面に照射し、次の時刻に、G光を液晶パネル232の全面に照射し、次の時刻に、B光を液晶パネル232の全面に照射する事を繰り返すことによって、カラー映像を投射スクリーンに投射することについて説明した。
以下、図27を用いて、液晶パネル232の応答波形と液晶パネル232上に照射される照明光の関係について説明する。図27は液晶パネルの応答波形と照明光の波形を示す特性図である。図において、(a)は液晶パネル232の最上部の電極に映像信号を書き込んでいる状態を示し、(b)は液晶パネル232の中央部の電極に映像信号を書き込んでいる状態を示し、(c)は液晶パネル232の最下部の電極に映像信号を書き込んでいる状態を示している。また、(d)は液晶パネル232に照射するR照明光の波形を示し、(e)は液晶パネル232に照射するG照明光の波形を示し、(f)は液晶パネル232に照射するB照明光の波形を示している。
液晶パネル232の全面に映像信号を書き込むのに、時刻t1〜t2を必要とする。時刻t2〜t3は液晶の応答時間であり、この時間を待ってR照明光が照射される。このR照明光は次に液晶パネル232の最上部の電極に映像信号を書き込む時刻t4の前に立ち下げる必要がある。R照明光が時刻t4を越えて照射されると、G光の映像を作り始めているので、混色がおきる。従って、R照明光は時刻t4よりも前に立ち下げる必要がある。このように、G照明光は時刻t5からt6の間、B照明光は時刻t7〜t8の間に液晶パネル232に照射される。このように、R照明光、G照明光及びB照明光を順次液晶パネル232に照射するやり方では光の利用効率が悪い。
以下、図13及び図14を用いて、改良されたスクロール法について説明する。このスクロール法を実現する回路としては、例えば、図26に示すR偏光回転制御素子211、G偏光回転制御素子212、B偏光回転制御素子213の各々に水平方向に延びた電極を垂直方向に多数設け、これらの電極をオン、オフすることによって、液晶パネル上に照射されるR照明光、G照明光、B照明光の領域を変化させるようにする。
図16は本発明によるスクロール法の第1の実施例を説明するための液晶パネルの応答波形と照明光の波形を示す特性図である。図において、(a)、(e)、(i)は液晶パネルの応答波形を示し、(b)、(f)、(j)は液晶パネルに照射するR照明光の波形を示し、(c)、(g)、(k)は液晶パネルに照射するG照明光の波形を示し、(d)、(h)、(l)は液晶パネルに照射するB照明光の波形を示す。
図17は本発明によるスクロール方法の第2の実施例を説明するための液晶パネルの正面図であり、図16の特性図に従ってR照明光、G照明光、B照明光をスクロールした場合の液晶パネル上における信号書込み及び液晶応答、照明光を示している。
図16において、(a)に示すように、時刻t11に最上部の水平方向に延びた電極L1にRの映像信号を書き始め、順次下方の電極に映像信号を書き込む。液晶の応答時間を待って、(b)に示すように、時刻t12に電極L1部分にR照明光を照射する。液晶の最下端の電極にRの映像信号を書き込んだ後、時刻t13には電極L1にGの映像信号を書込み、(c)に示すように、t14にG照明光を照射する。時刻t15には電極L1にBの映像信号を書込み、(d)に示すように、時刻t16には、B照明光を電極L1の部分にB照明光を照射する。(b)に示すように、R照明光は時刻t12から時刻t13の直前に立ち下がるように電極L1に供給される。Rの映像信号は液晶の電極L1から順次下方の電極に書き込まれ、(e)では、時刻t21に中央部の電極LmにRの映像信号が書き込まれる。液晶の応答時間を待って、(f)に示すように、時刻t22には液晶パネルの電極Lm部分にR照明光が照射される。その後、順次電極にRの映像信号が書き込まれる。なお、(g)では、時刻t24に、G照明光が電極Lmに対応する液晶部分に照射され、(h)では、時刻t26に、B照明光が電極Lmに対応する液晶部分に照射される。
時刻t31には、(i)に示すように、最下部の電極LzにRの映像信号が書込まれ、液晶の応答時間を待って、(j)に示すように、時刻t32にはその電極に対応する部分にR照明光が照射される。また、R照明光は電極LzにGの映像信号が電極印加される時刻t33の直前に立ち下がるように供給される。また、(k)に示すように、時刻t34〜t35までの間、G照明光が液晶パネルに照射され、(l)に示すように、時刻t36〜t37までの間、B照明光が液晶パネルに照射される。
上記のように、R、G及びB照明光が順に液晶パネルに供給される場合を、液晶パネル面を用いて説明する。図17(a)は、B照明光が液晶パネルに照射されており、電極L1への照射が完了した後、時刻t11に、電極L1にRの映像信号が印加され始める。その後、順次電極にはR映像信号が印加され、液晶の応答時間を待ってその電極に対応する液晶部分にR照明光が照射される。
時刻t12〜t21間には順次Rの映像信号が液晶パネルの電極に印加され、液晶の応答時間だけ遅れてR照明光が照射される。従って、(b)に示すように、R照明光が照射される。時刻t21〜t22までの間は電極Lmに印加されたRの映像信号の液晶応答時間である。B照明光は電極Lmより下の領域にのみ照射されている。
(c)に示すように、時刻t31では、電極LzにRの映像信号が書き込まれる。時刻t31〜t32までは液晶の応答時間である。時刻t32の直前には電極Lzより上の電極に対応する液晶パネルの領域にはR照明光が照射されている。(d)に示すように、電極L1にt13からGの映像信号が書き込まれる。電極L1以外にはR照明光が照射されている。t13〜t14の間は電極L1に印加されたGの映像信号の液晶の応答時間である。時刻t23までは、電極L1から順次電極にGの映像信号が印加され、液晶の応答時間を経た後、G照明光がそれらの電極に対応する液晶領域に照射されている。
(e)に示すように、時刻t23では、電極L1にGの映像信号が印加される。液晶の応答時間を経た後、G照明光が電極L1に対応する液晶領域に照射される。R照明光は電極Lmより下側の電極に対応する液晶領域に照射されている。(f)に示すように、時刻t33では電極LzにGに映像信号が書き込まれる。時刻t33〜t34までが液晶の応答時間である。このタイミングでは、電極L2より上の領域ではもはやR照明光は液晶には照射されていない。
(g)に示すように、時刻t15になると、電極L1にBの映像信号が書き込まれる。時刻t15〜t16までの間が液晶の応答時間である。この場合、電極L1より下の電極に対応する液晶領域にはG照明光が照射されている。(h)に示すように、時刻t25では電極LmにBの映像信号が書き込まれ、時刻t25〜t26までが液晶の応答時間である。電極Lmより下方の電極にはG照明光が照射され、B映像信号が書き込まれ液晶が応答済の上方の電極に対応する液晶領域にはB照明光が照射されている。
本実施例によれば、液晶パネル全体の応答を待つことなく、各部分に最適な照明条件をせっていできるため、図27に比べて長い照明時間が実現できるので光を効率よく利用することができる。
図18は本発明によるスクロール法の第2の実施例を説明するための液晶パネルの応答波形と照明光の波形を示す特性図である。図19は本発明によるスクロール法の第2の実施例を説明するための液晶パネルの正面図である。
図18は、図19に示した液晶パネルの代表的な6領域における液晶の応答波形、RGBの照明光のタイミングを示したものである。図18、図19においては液晶パネルにはRGBの各「信号書込み」と各「照明光が照射」の6つの状態が存在する。図19で、B照明光、G照明光、R照明光の光が同時に液晶パネルの異なった領域に照射されており、これら照明光は液晶パネルを上から下に順次移動する。液晶パネルにR、G、B、の映像信号を書込み、液晶の応答時間が経過した電極には順次R、G、Bの光が照射される。
まず、時刻t11〜t12までについて説明する。図18(a)〜(d)、図19(a)に示すように、領域1は時刻t11でRの映像信号を印加した後、時刻t11〜t12の液晶の応答時間待ちとなっている部分であり、この領域には照明光は照射されない。図18(e)〜(h)、図19(a)に示すように、領域2にはB照明光が照射されている。図18(i)〜(l)、図19(a)に示すように、領域3は時刻t11でBの映像信号を印加した後、時刻t11〜t12の液晶の応答時間待ちとなっている部分であり、この領域には照明光は照射されない。
図18(m)〜(p)、図19(a)に示すように、領域4には、G照明光が照射されている。図18(q)〜(t)、図19(a)に示すように、領域5の一部には時刻t11でGの映像信号を印加した後、時刻t11〜t12の液晶の応答時間待ちとなっている部分であり、この領域には照明光は照射されない。図18(u)〜(x)、図19(a)に示すように、領域6にはR照明光が照射されている。
次に、時刻t12〜t41までについて、図18及び図19(b)を参照して説明する。時刻t11において、液晶パネルの最上端電極から書き込まれたRの映像信号は順次下端の電極に書き込まれる。同様に、時刻t11に書き込まれたBの映像信号、Gの映像信号は順次下方の電極に書き込まれていく。領域1において時刻t11で書き込まれたRの映像信号に対して、液晶の応答時間が経過した時刻t12から、R照明光が照射される。B照明光は徐々に下方に移動しているが、まだ領域2にはB照明光が照射されている。
領域3には、t11で書き込まれたBの映像信号に対して液晶の応答時間が経過した時刻t12からB照明光が照射され始める。G照明光は順次下方に移動しているか、まだ、領域4にはG照明光が照射されている。領域5には、t11で書き込まれたGの映像信号に対して液晶の応答時間が経過した時刻t12からG照明光が照射され始めており、R照明光は順次下方に移動しているが、まだ、領域6にはR照明光が照射されている。
次に、図18及び図19(c)、(d)を参照して、t41、t42以降について説明すると、液晶パネルの上方の領域でR照明光が照射される領域が増加し、B照明光、G照明光及びR照明光が照射される位置が順次下方に移動している。また、Rの映像信号、Bの映像信号及びGの映像信号の書込み位置も順次下方に移動している。
本実施例を実施するには、R、G、B偏光回転制御素子からなる光学特性切替素子を3枚設け、各偏光回転制御素子に複数の電極を設け、この電極を制御する。第17図では、表示パネルでは、1、2色の光しか同時利用できなかったので、残りの1〜2色の光は使われずに無駄になってしまうが、本実施例では、表示パネル上にR、G、Bの光が同時に照射できるので、光利用効率を高められる。以上述べたように、本実施例では更に、光の利用効率を高めることができる。
スクロール法に関する前述の説明では、液晶の応答時間には混色を防ぐために、照明光を液晶に照射しなかったが、以下、図20、図21を用いて、混色が目立たないように、液晶の応答時間にも照明光を照射する方法について説明する。図20は本発明によるスクロール方法の第3の実施例を説明するための液晶パネルの応答波形と照明光の波形を示す特性図である。図21は本発明によるスクロール方法の第2の実施例を説明するための液晶パネルの正面図である。図20では図16の上部に対応した動作波形を示している。図20(a)〜(d)に示すように、液晶パネルには、マゼンダ(M)、R、イエロー(Y)、G、シアン(C)、Bの順に映像信号を書き込む。R照明光は時刻t52〜t13の間の時間まで照射される。即ち、液晶の応答時間が経過したMの期間、液晶の応答時間t11〜t12を含めたRの期間、及び液晶の応答時間t53〜t54を含めたYの期間の間照射される。G照明光はt54〜t15まで照射される。即ち、液晶の応答時間が経過したYの期間、液晶の応答時間t13〜t14を含めたGの期間、及び液晶の応答時間t55〜t56を含めたCの期間の間照射される。B照明光はt56〜t17まで照射される。即ち、液晶の応答時間が経過したCの期間、液晶の応答時間t15〜t16を含めたBの期間、及び液晶の応答時間t57〜t58を含めたMの期間の間照射される。時刻t11は液晶パネルの最上端の電極へのR映像信号の書込み開始を示しており、それより下方の電極には順次R映像信号の書込みが行われる。
時刻t11における液晶パネル上の照射光の状態を示す図21(a)及び時刻t12における液晶パネル上の照明光の状態を示す図21(b)を用いて説明すると、時刻t11では液晶の上部領域にR照明光が照射されており、R照明光が照射される領域が順次増加される。R照明光の次の領域にはR及びB照明光が照射されており、順次下方の領域に移動する。それに伴って、B照明光の領域が順次減少する。Mの映像信号が書き込まれ、液晶の応答時間が経過した後に、R及びBの照明光が照射される。Yの映像信号が書き込まれ、液晶の応答時間が経過した後に、R及びGの照明光が照射される。また、Cの映像信号が書き込まれ、液晶の応答時間が経過した後に、G及びBの照明光が照射される。
本実施例においては、上記のように、各R、G、Bの映像信号の間にY、C、Mの映像信号を書き込むことにより、R照射光、G照射光、B照射光の照射する時間を延ばすことができるとともに、これら照明光の間を補色とすることにより、混色による色の劣化を改善することができる。
以下、図22をもちいて、液晶の応答時間を短縮する方法について説明する。図22は液晶の応答時間を短縮する方法を説明するための波形図であり、図(a)は液晶駆動波形を、(b)は液晶の応答特性を、(c)はR照明光の波形を、(d)はG照明光の波形を、(e)はB照明光の波形を示す。液晶の応答特性は中間階調から中間の階調に移行する場合には遅く、白から黒、又は黒から白への移行は比較的速い。従って、液晶に映像信号を書き込み始める前にパルス401〜403を印加して、映像信号中の黒に対応した電圧、または、それ以上の大きな正極性信号電圧を書き込んで液晶パネルをリセットする。同様にパルス404、405を印加して、映像信号中の黒に対応した電圧またはそれ以上の大きな負極性信号電圧を書き込んで液晶パネルをリセットする。このようにすると、液晶の応答時間も短くなり、混色の影響も軽減することができる。
以下、スクロール法における各種の照明光の切替え方法について説明する。図23はスクロール法における照明光の切替え方法を説明するための模式図である。(a)では、R、G及びBの照明光を順次切替えて液晶パネルに照射する。(b)では、R、G、B及びW(白)の照明光を順次切替えて液晶パネルに照射することにより、(a)に比べて明るい映像を得る。(c)では、照明光の照射時間を、例えば、ランプの分光分布特性に反比例させてG、B、Rの順に長くし、R、G及びBの照明光を順次切替えて液晶パネルに照射することにより、ホワイトバランスの良い映像を得る。(d)は(c)において、R照明光を更に長く照射し、その分G照明光の照射時間を短くする。G照明光に比べて、R、B照明光が弱いのを補償したり色温度の切り替えができるようにする。(e)は(b)でR照明光の照射時間を他の照明光より長くする。(f)は(a)で、視感度の高いG照明光を2回に分けて照射することにより、R、G、Bの色映像が目に残る、いわゆるカラーセパレーションを防止する効果がある。(g)は(a)で、各R、G、B照明光の間に補色光であるY(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンダ)をそれぞれ入れることにより、明るさを確保するものである。(h)はW(白)照明光のみとし、カラー画像に比べて明るい白黒画像を得る。
次に、図23(a)〜(h)を切り替えるための駆動回路ブロック図について、図24を用いて説明する。図24は画像表示回路の一実施例を示すブロック図である。図において、端子311にはパソコンなどからのデジタルの映像信号が入力されデコーダ321でデコードされ拡大縮小及びキーストン補正回路324に入力される。端子312にはパソコン等からアナログの信号が入力されAD回路でデジタルに変換されて拡大縮小及びキーストン補正回路324に入力される。端子313にはTVなどから複合映像信号がビデオ信号処理回路で処理されて入力され拡大縮小及びキーストン補正回路324に入力される。拡大縮小及びキーストン補正回路324の出力はフレームレート変換回路325、特徴抽出回路328に入力される。特徴抽出回路328は入力された信号の特徴、例えば、赤が多いとか、青が多いという特徴を抽出し、タイミング制御回路332に出力する。フレームレート変換回路326の出力はRGB面順次信号処理回路326を通してライトバルブ駆動回路327に出力される。GUI(Graphic User Interface)331では、ユーザが色温度の再生映像の種類を指示することにより、図23(a)〜(h)のいずれかを選択し、タイミング制御回路332に出力する。
点灯回路341はランプ342を点灯し、ここからの光は光学特性切替素子344に入射される。この光学特性切替素子344は色切替え駆動回路343で駆動される。光学特性切替素子344からの出射光は液晶パネル等のライトバルブ素子に照射される。光量センサ329はランプ324やライトバルブ素子345の経時変化やフィルタの経時変化による光量を計測する。光量センサ329の出力はタイミング制御回路332に入力される。タイミング制御回路332はGUI331、特徴抽出回路328及び光センサ329の入力を基に、特徴抽出回路328、フレームレート変換回路325、RGB面順次信号処理回路326、ライトバルブ駆動回路327等の全ての回路を制御し、図23(a)〜(h)のいずれかで光学特性切替素子を切替えることができる。
以下、図25を用いて、各種の色の照明光を出射する原理について説明する。図25は本発明による投射型映像表示装置用光学エンジンの光学特性切替素子の模式図である。図25(a)はR光を出射する場合の原理図であり、偏光回転制御素子211には電圧を印加し、他の偏光回転制御素子212、213には電圧を印加しない。S偏光光のR、G、B光の内、G光、B光は偏光回転制御素子212、213によってP偏光光に変換され、偏光板222によって、透過が阻止される。これに対して、R光はS偏光光として、PBS231に入射され、ここで反射されて液晶パネル232に入射される。よって、R光のみを液晶パネル232に入射させることができる。図25(b)では、G偏光回転制御素子212にのみ電圧を印加し、他のR、B偏光回転制御素子211、213には電圧を印加しない。よって、G光のS偏光光が液晶パネル232に入射される。
図25(c)では、B偏光回転制御素子213にのみ電圧を印加し、他のR、B偏光回転制御素子211、212には電圧を印加しない。よって、B光のS偏光光が液晶パネル232に入射される。図25(d)では、R偏光回転制御素子211とG偏光回転制御素子212に電圧が印加され、B偏光回転制御素子213には電圧が印加されない。よって、R光とG光のS偏光光が液晶パネル232に印加されるので、液晶パネル232にはY(イエロー)光が照射される。
図25(e)では、G偏光回転制御素子212とB偏光回転制御素子213に電圧が印加され、R偏光回転制御素子211には電圧が印加されない。よって、G光とB光のS偏光光が液晶パネル232に印加されるので、液晶パネル232にはC(シアン)光が照射される。図25(f)では、R偏光回転制御素子211とB偏光回転制御素子213に電圧が印加され、G偏光回転制御素子212には電圧が印加されない。よって、R光とB光のS偏光光が液晶パネル232に印加されるので、液晶パネル232にはM(マゼンダ)光が照射される。
1…リフレクタ、2…第1のレンズアレイ、3…第2のレンズアレイ、4…偏光ビームスプリッタ、4a…λ/2位相差板、5…集光レンズ、6…コンデンサレンズ、7,7a…電子式の時分割光学特性切替素子(光学特性切替素子)、7R,7G,7B…光学特性切替素子、8…全反射プリズム、9a,9b,9c…偏光板、10,231…直方体型偏光ビームスプリッタ(PBS)、11…λ/4位相差板、12a,232…反射型液晶パネル、12b…透過型液晶パネル、12c…反射型マイクロミラー型映像表示素子、13…投射レンズ、14a…ON光、14b…OFF光、15a,15b…結像光学系、16…全反射ミラー、17…遮光板、18…光軸、19…光源、31…反射防止膜、32a,32b…偏光ビームスプリッタ(PBS)、70a,70b,70c…反射型偏光回転制御素子郡、70d,70e…透過型偏光回転制御素子、211…R偏光回転制御素子、212…G偏光回転制御素子、213…B偏光回転制御素子、221,222…偏光板、311…デコーダ、322…AD回路、323…ビデオ信号処理回路、324…拡大縮小キーストン補正回路、328…特徴抽出回路、325…フレームレート変換回路、325…RGB面順次信号処理回路、327…ライトバルブ駆動回路、329…光量センサ、331…GUI、332…タイミング制御回路、341…点灯回路、342…ランプ、343…色切替回路、344…光学特性切替素子、345…ライトバルブ。