JP4755273B2 - 接続方法、接続構造および電子機器 - Google Patents
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Description
前記工程(b)では、前記酸化防止膜を、プリフラックス処理により0.05〜0.5μmからなる有機膜で形成すると共に、前記工程(c)では、前記熱硬化性樹脂を主成分とする接着剤を、直鎖状又は針形状を有する金属粉末からなる導電性粒子を含有した異方導電性接着剤で構成し、これによって前記工程(c)においては接着剤接続用電極上の有機膜が前記接着剤の前記導電性粒子によって突き破られて導通がなされると共に前記工程(d)においては前記有機膜が分解されて半田接続による導通がなされるようにしたことを特徴としている。
本発明の接続方法は、接着剤接続用電極および半田接続用電極が設けられた基材を用いて行われる。そして、接着剤接続用電極を、酸化防止膜で被覆した後、熱硬化性樹脂を主成分とする接着剤を介して接着剤接続用電極と被接続導体とを互いに接着させることにより電気的に接続する。その後、半田リフロー処理することにより、半田接続用電極を被半田接続導体に接合する。このとき、半田リフロー処理の前後における、接着剤接続用電極−被接続導体間の接続抵抗の増大が所定範囲内に収まるように接続を行う。
接着剤としては、異方導電性接着剤(ACF)と絶縁性接着剤(NCF)とがあるが、異方導電性接着剤(ACF)を用いることができる。
酸化防止膜としては、金めっき等の貴金属めっき層や、有機膜があるが、有機膜を用いることができる。
上記基材としては、プリント配線板の基材フィルム、電子部品の電極の下地部材などがある。被接続導体や被半田接続導体には、他のプリント配線板の電極、電子部品の電極、コネクタの電極などがある。また、被接続導体と被半田接続導体とは、共通の部材に設けられていてもよいし、相異なる部材に設けられていてもよい。
先に接着剤による接続を行なってから、半田リフロー処理を行うと、接続抵抗が増大することがわかっている。その原因は、半田リフロー処理により、接着剤の緩和現象が生じて、接着剤の締め付け力が低下するためである。
本発明では、半田リフロー処理の前後における接続抵抗の変化を所定範囲に収めているので、基材上の接着剤接続用電極と、被接続部材上の被接続導体との間における導通不良の発生を抑制することができる。
下記関係式(1)、(2)
R2<1.2×R1 (1)
F2>0.8×F1 (2)
が成立するように、接続を行うことで、接続信頼性がより高くなることがわかった。
ガラス転移温度は、樹脂組成物の剛性と粘性が急激に変化する温度であり、この温度が高いほど高温での接着剤の強度(締め付け力)が低下する。そこで、ガラス転移温度が100℃以上の樹脂材料を用いることにより、上記式(1)、(2)が成立する接続を行うことが容易となると考えられる。
接着剤接続用電極には、従来、酸化防止用の金めっきが施されていた。それに対し、OSP処理によって有機膜を形成する工程は、金めっき層を形成する工程と比較して、製造工程が簡素化される。また、高価な金を使用しないので、材料コストも低減される。よって、接着剤を用いた接続を安価に行うことが可能となる。
その場合、導電性粒子のアスペクト比が5以上であることにより、導電性粒子同士の接触確率が高くなる。その結果、導電性粒子の配合量を増やすことなく、接着剤接続構造を円滑に形成することができる。
また、導電性粒子の反発力が小さくなるため、接着強度の低下、および接続抵抗の上昇を抑えることができる。
その場合、導電性粒子の長径方向を、フィルム形状を有する接着剤の厚み方向に配向させることがより好ましい。これにより、接着剤の面方向においては、隣り合う電極間や導体間の絶縁を維持して短絡を防止することができる。一方、接着剤の厚み方向においては、多数の電極−導体間を一度に、かつ各々を独立して導電接続して、低抵抗を得ることが可能となる。
配線部材には、フレキシブルプリント配線板、リジッドプリント配線板などの配線板や、同軸ケーブル配線、フラットケーブル配線などのケーブル配線など、電極を有する多種の配線が含まれる。
特に、フレキシブルプリント配線板は、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ等のカメラ、ポータブルオーディオプレーヤ、ポータブルDVDプレーヤ、ポータブルノートパソコンなど、多くの電子機器に内蔵されており、本発明に用いることで、格別の効果が得られる。
本発明の接続構造や電子機器により、製造工程の簡素化と金めっきの使用量の低減とを通じて、製造コストの削減を実現することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器である携帯端末100の構造を概略的に示す斜視図である。
携帯端末100は、各種情報を表示するための表示部103と、入力部104と、ヒンジ部105とを備えている。表示部103には、液晶表示パネルを用いた表示装置106やスピーカ等が設けられている。入力部104には、入力キーやマイクが設けられている。ヒンジ部105は、入力部104と表示部103とを回動自在に連結している。
表示部103には、表示部筐体131と、表示部基板135とが主要部材として設けられている。表示部基板135は、表示装置106に表示用信号を送るための回路等を備えている。表示部筐体131は、互いに連結された第1筐体131aと第2筐体131bとを有している。そして、第1筐体131aと第2筐体131bとの間に、貫通穴133が設けられている。
また、入力キー基板145には、電子部品を半田により接合した半田接合部Dが設けられている。図示されていないが、同様に、表示部基板135にも、電子部品を半田により接合した半田接合部Dが設けられている。
図3は、本実施の形態の接着剤接続構造Cを形成する前の配線体Aの端部を示す斜視図である。配線体Aは、FPC10(基材)と、その端部に設けられた電極構造Bとを有している。
FPC10は、回路層(破線参照)が形成されたベースフィルム11と、ベースフィルム11を被覆するカバーレイ13とを備える構造が一般的である。回路層の端部は、被接続導体との電気的接続を行うための接着剤接続用電極12となっている。
それに対し、本実施の形態の電極構造Bにおいては、接着剤接続用電極12には、金めっき層や他の貴金属めっき層(銀めっき層、白金めっき層、パラジウムめっき層等)は設けられていない。接着剤接続用電極12は、貴金属めっき層に代わる酸化防止膜としての有機膜15により、被覆されている。
ただし、有機膜15に代えて、金めっき層等の貴金属めっき層を設けてもよい。
OSP処理を施す方法としては、例えば、スプレー法、シャワー法、浸漬法等が用いられ、その後、水洗、乾燥させればよい。その際の水溶性プリフラックスの温度は、25〜40℃が好ましく、水溶性プリフラックスと接着剤接続用電極12との接触時間は、30〜60秒が好ましい。
従来は、異方導電性接着剤(ACF)や絶縁性接着剤(NCF)を用いた接続が行われる接着剤接続用電極上には、酸化防止膜として金めっき層などの貴金属めっき層が形成されている。
それに対し、本実施の形態では、接着剤接続用電極12が貴金属めっき層に代わるOSP膜である有機膜15によって覆われている。有機膜15の形成には、スプレー法、シャワー法、浸漬法等が用いられ、その後、水洗、乾燥させるのみにて形成される。そのため、金めっき層などの貴金属めっき層を形成する場合と比較して、酸化防止膜を形成する工程が簡素化される。また、金などの貴金属を用いる場合と比較して、材料コストも低減される。また、金めっき層を形成した場合と比較して、接着剤接続用電極12と被接続電極との間の接続強度(シェア強度)を向上させることができる。
それに対し、本実施の形態では、後述するように、先に接着剤による接続を行うので、OSP処理時における有機膜15の膜厚を、例えば0.5μm以上にしても不具合は生じない。
図4は、FPC10(フレキシブルプリント配線板)および電子部品40と、母基板20との間に形成される接着剤接続構造Cおよび半田接続構造Dの例1を示す断面図である。この接着剤接続構造Cは、絶縁性接着剤(NCF)を用いて形成されるものである。
母基板20の接着剤接続用電極22および半田接続用電極26は、リジッド基板21上に銅箔等の金属箔を積層し、金属箔を、常法により、露光、エッチングすることにより形成されている。
そして、接着剤接続構造Cにおいては、NCFである接着剤30の締め付け力によって、両電極12、22が互いに強く接触しあって導通している。半田接続構造Dにおいては、半田層50と各電極26、42との合金化により、両電極26、42が互いに導通している。
ただし、各電極12、22、26、42上に、有機膜15、25に代えて、金めっき層等の他の酸化防止膜を形成しておいてもよい。
半田層50による接続時には、母基板20と電子部品40とを、ピーク温度が約260℃の半田リフロー炉に入れて、半田をリフローさせる。このとき、半田接続用電極26およびチップ側電極42(被半田接続導体)上の有機膜は半田層50に溶け込む。
各電極12、22が有機膜15、25で覆われている場合、少なくとも一方の電極の表面に突起部があれば、突起部が有機膜15、25を突き破るので、両電極12、22が確実に接触しうる。なお、両電極12、22間にバンプが配置されていてもよい。
R2<1.2×R1 (1)
F2>0.8×F1 (2)
が成立している。
具体的には、熱硬化性樹脂の種類の選択や、半田リフロー処理の温度の設定などによって、関係式(1)、(2)が成立する条件を見出している。
一般的に、接着剤接続構造Cと半田接続構造Dとが、共通の基材上に存在する場合、先に半田リフロー処理を行って半田接続構造Dを形成する手順が採用される。先に接着剤接続構造Cを形成すると、接続抵抗が増大するおそれがあるからである。
また、接着剤30の締め付け力の緩みが所定範囲内に収まるように、例えば、上記関係式(2)が成立するように、接続を行っている。よって、長期間使用時における接続抵抗の増大(接続の信頼性の悪化)を抑制することができる。
図5は、接着剤接続構造Cおよび半田接続構造Dの例2を示す断面図である。図5において、図4と同じ部材は、同じ符号を付して説明を省略する。接着剤接続構造Cにおいては、異方導電性接着剤(ACF)である接着剤30を用いている。即ち、本例の接着剤30は、熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂組成物31中に、導電性粒子36を含ませたものである。
そして、各電極12、22は、導電性粒子36を介して互いに導通している。導電性粒子36は、微細な金属粒子が多数直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する金属粉末からなる。
なお、本例においても、例1のように電極12、22同士が直接接触している箇所が存在していてもよい。
この例では、当初から、樹脂組成物31中に微細な金属粒子が多数直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する導電性粒子36を含ませている。
具体的には、異方導電性接着剤として、例えば、上述のエポキシ樹脂等の絶縁性の熱硬化性樹脂を主成分とし、当該樹脂中に、微細な金属粒子(例えば、球状の金属微粒子や金属でメッキされた球状の樹脂粒子からなる金属微粒子)が多数直鎖状に繋がった形状、または針形状を有する、所謂アスペクト比が大きい形状を有する金属粉末により形成された導電性粒子36が分散されたものを使用することができる。なお、ここで言うアスペクト比とは、図6に示す、導電性粒子36の短径(導電性粒子36の断面の長さ)Rと長径(導電性粒子36の長さ)Lの比のことを言う。
図7(a)〜(c)は、接着剤接続構造Cおよび半田接続構造Dを実現するための接続方法の手順を示す断面図である。
まず、図7(a)に示す工程で、接着剤接続領域Rcと、半田接続領域Rdとを有する母基板20(共通の基材)を準備する。母基板20において、接着剤接続領域Rcには接着剤接続用の接着剤接続用電極22が設けられており、半田接続領域Rdには半田接続用の半田接続用電極26が設けられている。
次に、各接着剤接続用電極22、26を覆う有機膜25を形成する。
これにより、半田接続領域Rdにおいて、半田接続構造Dが形成される。
なお、半田接続用電極26上を覆っていた有機膜25は、鉛フリー半田に含まれるフラックスなどと反応して、半田層50に溶け込んでいる。
ただし、FPC10を共通の基材として、FPC10に接着剤接続構造Cと、半田接続構造Dとを形成してもよい。その場合には、図7に示す母基板20をFPC10と置き換え、接着剤接続用電極12上に有機膜15を形成することになる。処理の手順は、上述の通りである。
なお、FPCには、片面回路型構造だけでなく両面回路型構造もある。両面回路型構造の場合には、半田リフロー炉に2回入れることになる。
通常、半田接続と接着剤接続とを同じ基板上で行う場合、接着剤接続用電極22の上に有機膜25を形成してから、先に半田接続を行い、その後、接着剤による接続を行うことになる。先に、接着剤接続を行うと、その後、半田リフロー処理の際に、接着剤の締め付けが緩んで、接続不良をおこす確率が高くなるからである。
一方、半田リフロー工程を経た後に、接着剤接続構造Cを形成する場合には、半田リフロー炉を通さない場合と比較して、各電極12、22間の電気的に接続する接続抵抗が大きくなるおそれがある。これは、半田リフロー炉において加熱されることによって、有機膜25が硬質化する等、変質することで、導電性粒子36が、有機膜25を突き破りにくくなっていることによると考えられる。
本実施の形態の接続方法では、図7(b)に示す工程で、先に接着剤接続構造Cを形成している。そのため、図7(b)に示す工程では、導電性粒子36が容易に有機膜15、25を突き破って、各電極12、22に接触し、各電極12、22間の導通が確保される。
一方、図7(c)に示す工程の前後においては、各電極12、22間の接続抵抗の増大が所定範囲内に収まるように、例えば、上記関係式(1)、(2)が成立するように、接続を行っている。よって、半田接続構造Dの形成前に、接着剤接続構造Cを形成しても、各接着剤接続用電極12、22間における接続抵抗の増大や信頼性の悪化を抑制することができる。
(1)本実施形態の接着剤接続構造Cにおいては、母基板20の接着剤接続用電極22およびFPC10の接着剤接続用電極12のそれぞれの表面にOSP処理を施して、酸化防止膜である有機膜15、25をそれぞれ形成する構成としている。この構成によれば、各電極12、22が金めっき層で被覆される場合と比較して、酸化防止膜を形成する工程が簡素化される。また、金などの貴金属を用いる場合と比較して、材料コストも低減される。その結果、各電極12、22を互いに接続する際の製造コストを安価にすることが可能となる。
また、半田リフロー処理の前に、接着剤30による接続を行うので、有機膜15、25の平均膜厚や、OSP処理時における膜厚が小さい領域の面積率を厳しく管理する必要がない。
・上記実施形態においては、母基板20として硬質プリント基板(PWB)を使用しているが、他の構成であってもよい。例えば、母基板20としてフレキシブルプリント配線板(FPC)を使用してもよい。
あるいは、全ての電極12、22、26、42にOSP処理による有機膜は設けず、金めっき層を設けてもよい。
(実施例1)
(接着剤の作成)
導電性粒子として、長径Lの分布が1μmから10μm、短径Rの分布が0.1μmから0.4μmである直鎖状ニッケル微粒子を用いた。また、絶縁性の熱硬化性樹脂としては、2種類のビスフェノールA型の固形エポキシ樹脂〔(1)ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名エピコート1256、および(2)エピコート1004〕、ナフタレン型エポキシ樹脂〔(3)大日本インキ化学工業(株)製、商品名エピクロン4032D〕を使用した。また、熱可塑性であるポリビニルブチラール樹脂〔(4)積水化学工業(株)製、商品名エスレックBM−1〕を使用し、マイクロカプセル型潜在性硬化剤としては、(5)マイクロカプセル型イミダゾール系硬化剤〔旭化成エポキシ(株)製、商品名ノバキュアHX3941〕を使用し、これら(1)〜(5)を重量比で(1)35/(2)20/(3)25/(4)10/(5)30の割合で配合した。
幅150μm、長さ4mm、高さ18μmの銅電極である接着剤接続用電極が150μm間隔で30個配列されたフレキシブルプリント配線板を用意した。OSP処理により、接着剤接続用電極に、2−フェニル−4−メチル−5−ベンジルイミダゾールを含む酸化防止膜を形成した。その熱分解温度は310℃、平均膜厚は0.10μm、厚さ0.1μm以下となる領域の面積率は60%であった。
上記フレキシブルプリント配線板同士を、連続する30箇所の接続抵抗が測定可能なデイジーチェーンを形成するように対向させて配置するとともに、これらフレキシブルプリント配線板の間に作成した接着剤を挟み、190℃に加熱しながら、5MPaの圧力で15秒間加圧して接着させ、フレキシブルプリント配線板同士の接合体を得た。
(接続抵抗、接着強度の測定)
この接合体において、接着剤接続用電極、接着剤、および接着剤接続用電極を介して接続された連続する30箇所の抵抗値を四端子法により求め、求めた値を30で除することにより、接続された1箇所あたりの接続抵抗を求めた。接続抵抗が50mΩ以下の場合を、導電性を確保したものとして判断した。また、得られた接合体を電極方向に50mm/minの速度で90°剥離した際の接着強度を測定した。接着強度が300N/m以上の場合、良好な接着強度が得られたと判断した。
(半田リフロー処理後の接続抵抗、接着強度の測定)
次に、半田リフロー槽内において、ピーク温度を260℃とした半田リフロー処理を施した後、前記と同様に接続抵抗、接着強度を測定した。
(接続信頼性評価)
上記のように作成した接続体を、85℃、85%RH高温高湿槽中に500hr静置した後、上記と同様に、接続抵抗を測定した。そして、接続抵抗の上昇率が50%以下の場合を、接続信頼性が良好と判断した。
酸化防止膜の平均膜厚を0.60μm、厚さ0.1μm以下となる領域の面積率を2%としたこと以外は、実施例1と同様にして、フレキシブルプリント配線板同士の接合体を得た。その後、実施例1と同一条件で、接続抵抗評価及び接続信頼性評価を行った。
接着剤の配合を重量比で(1)35/(2)20/(3)0/(4)20/(5)5の割合としたこと以外は実施例1と同様にして、フレキシブルプリント配線板同士の接合体を得た。接着剤の硬化後のガラス転移温度は80℃であった。
熱分解温度は、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry:DSC)を用いて測定した。10℃/minの速度で昇温した際の発熱開始温度を熱分解温度とする。
(膜厚測定)
酸化防止膜が形成された接着剤接続用電極の断面を観察する。0.2μm間隔で膜厚を測定し、平均膜厚0.1μm以下の領域の面積率を算出する。
(接着剤のガラス転移温度測定)
接着剤のガラス転移温度は、接着剤を完全に硬化させた後、動的粘弾性測定装置を用いて測定した。10℃/minの昇温速度で1Hzの周波数で測定した際にtanδが最大値をとる温度をガラス転移温度とする。
表1に示すように、実施例1、2のいずれの場合においても、初期接続抵抗が50mΩ以下であり、接続抵抗は十分小さく良好である。また、実施例1、2では、抵抗上昇率が50%以下であるので、接続信頼性も良好であることがわかる。
また、実施例1では、半田リフロー処理前の接続抵抗R1=42(mΩ)で、接着剤の接着強度F1=620(N/m)であり、半田リフロー処理後の接続抵抗R2=43(mΩ)、接着剤の接着強度F2=600(N/m)であるから、上述の関係式(1)、(2)
R2=43<1.2×R1=1.2×42=50.4 (1)
F2=600>0.8×F1=0.8×620=496 (2)
を満足している。
同様に、実施例2では、半田リフロー処理前の接続抵抗R1=43(mΩ)で、接着剤の接着強度F1=680(N/m)であり、半田リフロー処理後の接続抵抗R2=45(mΩ)、接着剤の接着強度F2=650(N/m)であるから、上述の関係式(1)、(2)
R2=45<1.2×R1=1.2×43=51.6 (1)
F2=650>0.8×F1=0.8×680=544 (2)
を満足している。
つまり、実施例1、2の場合、接続抵抗の増大が所定範囲内に収まるように行われている。
また、比較例1では、半田リフロー処理前の接続抵抗R1=49(mΩ)で、接着剤の接着強度F1=320(N/m)であり、半田リフロー処理後の接続抵抗R2=150(mΩ)、接着剤の接着強度F2=120(N/m)であるから、
R2=150>1.2×R1=1.2×49=58.8
F2=120<0.8×F1=0.8×320=256
となって、上述の関係式(1)、(2)を満足していない。つまり、比較例1の場合、接続抵抗の増大が所定範囲内に収まるように行われていない。
この原因は、半田リフロー処理の際に、接着剤の接着強度が320(N/m)から120(N/m)に低下した、即ち、接着剤の締め付け力が緩んだことで、導電性粒子による導通性が悪化したことによると考えられる。つまり、上記関係式(1)、(2)を満足することができないような接着剤の配合となっていることで、接続信頼性の悪化を招いていることがわかる。
さらに、実施例1、2を比較すると、接続抵抗、抵抗上昇率共に、ほぼ同等である。従って、実施例2のごとく、平均膜厚を0.5μm以上とし、かつ、膜厚が0.1μm以下となる領域の面積率を小さくしても、上記関係式(1)、(2)が成り立つような接着剤の配合とすることにより、接続信頼性が高くなることがわかる。
11 ベースフィルム
12 接着剤接続用電極(被接続導体)
13 カバーレイ
15 有機膜
20 母基板
21 リジッド基板
22 接着剤接続用電極
25 有機膜
26 半田接続用電極
30 接着剤
31 樹脂組成物
36 導電性粒子
40 電子部品
41 チップ
42 チップ側電極(被半田接続導体)
50 半田層
Claims (9)
- 接着剤接続用電極および半田接続用電極が設けられた基材を準備する工程(a)と、前記基材上の接着剤接続用電極および半田接続用電極を、酸化防止膜で被覆する工程(b)と、前記工程(b)の後、熱硬化性樹脂を主成分とする接着剤を介して前記接着剤接続用電極と被接続導体とを互いに接着させることにより電気的に接続する工程(c)と、前記工程(c)の後、非酸化性雰囲気中で半田リフロー処理することにより、前記半田接続用電極を被半田接続導体に接合する工程(d)と、を含む接続方法であって、
前記工程(b)では、前記酸化防止膜を、プリフラックス処理により0.05〜0.5μmからなる有機膜で形成すると共に、前記工程(c)では、前記熱硬化性樹脂を主成分とする接着剤を、直鎖状又は針形状を有する金属粉末からなる導電性粒子を含有した異方導電性接着剤で構成し、これによって前記工程(c)においては接着剤接続用電極上の有機膜が前記接着剤の前記導電性粒子によって突き破られて導通がなされると共に前記工程(d)においては前記有機膜が分解されて半田接続による導通がなされるようにしたことを特徴とする、接続方法。 - 請求項1に記載の接続方法において、
前記工程(c)の後で前記工程(d)の前での前記接着剤接続用電極−被接続導体間における接続抵抗をR 1 、接着強度をF1とし、
前記工程(d)の後での前記接着剤接続用電極−被接続導体間における接続抵抗をR 2 、接着強度をF 2 としたとき、
下記関係式(1)、(2)
R2<1.2×R1 (1)
F2>0.8×F1 (2)
が成立するように行う、接続方法。 - 請求項1または2記載の接続方法において、
前記接続剤に用いられる熱硬化性樹脂として、硬化後におけるガラス転移温度が100℃以上の樹脂材料を用いる、接続方法。 - 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の接続方法において、
前記導電性粒子のアスペクト比が5以上である、接続方法。 - 請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の接続方法において、
前記接着剤として、フィルム形状を有するものを用いる、接続方法。 - 請求項5記載の接続方法において、
前記接着剤として、前記導電性粒子の長径方向を、前記フィルム形状を有する接着剤の厚み方向に配向させたものを用いる、接続方法。 - 請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の接続方法において、
前記工程(a)では、前記基材として、フレキシブルプリント配線板を準備する、接続方法。 - 請求項1〜7のうちいずれか1つに記載の接続方法を用いて形成された接続構造。
- 請求項1〜7のうちいずれか1つに記載の接続方法を用いて組み立てられた電子機器。
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