JP4754437B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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本発明は、排気の一部を吸気系に還流する排気還流装置を備える内燃機関の制御装置に関し、特に気筒内の酸素量を推定し、推定した酸素量に応じた燃料噴射制御を行うものに関する。
特許文献1には、検出される吸入空気量及び推定される還流排気量に応じて、気筒内の燃焼前の混合気中に含まれる酸素量(気筒内酸素量)を推定し、推定した気筒内酸素量に応じて、インジェクタによる燃料噴射制御パラメータを決定するようにした制御装置が示されている。
特開2006−29171号公報
上記特許文献1に示された装置では、吸気管内のガス温度(以下「吸気温度」という)TIを考慮した制御が示されている。しかしながら、気筒内の混合気の実際の燃焼特性に影響を与えるのは、気筒内において圧縮された混合気の温度であるため、吸気温度TIを考慮するのみでは、特にディーゼル機関におけるいわゆる低温燃焼モード、あるいは予混合燃焼モードにおいて、安定した燃焼状態を常に維持することが困難であった。
また上記従来の装置では、過渡状態における制御が十分なものではないため、特に還流排気中の酸素濃度が高くなるフュエルカット運転の終了直後において、燃焼騒音が大きくなるという課題があった。
本発明は、この点に着目してなされたものであり、過渡運転状態における燃焼騒音を抑制することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項に記載の発明は、吸気系を介して気筒に吸入される空気量を制御する吸入空気量制御手段(7)と、前記気筒内に燃料を噴射するインジェクタ(6)と、排気の一部を前記吸気系に還流する排気還流装置(14)とを備える内燃機関の制御装置において、前記吸入空気量(GA)を検出する吸入空気量検出手段(27)と、前記機関の回転数(NE)を検出する回転数検出手段(22)と、前記機関の吸気温度(TI)を検出する吸気温度検出手段(25)と、前記排気還流装置(14)により還流される排気量(GE)を算出する還流排気量算出手段と、前記検出された吸入空気量(GA)及び算出された還流排気量(GE)に基づいて、前記気筒内に存在する酸素量(O2)を算出する気筒内酸素量算出手段と、前記気筒内のピストンが上死点近傍に位置し、前記気筒内の混合気が圧縮されたときの温度である圧縮端温度(TCMP)を、前記吸気温度(TI)に応じて算出する圧縮端温度算出手段と、前記圧縮端温度(TCMP)、前記気筒内酸素量(O2)、及び前記機関回転数(NE)に応じて燃料噴射パラメータマップを検索することにより、燃料噴射パラメータ(Q*)を決定する燃料噴射パラメータ決定手段と、前記気筒内の酸素濃度(O2N)を算出する酸素濃度算出手段と、前記酸素濃度(O2N)に応じて、前記燃料噴射パラメータ(Q*)に含まれる燃料噴射時期(TMM)の補正量である噴射時期補正量(DTM)を算出し、該噴射時期補正量(DTM)により前記燃料噴射時期(TMM)を補正する噴射時期補正手段と、該補正された燃料噴射パラメータ(Q*)に基づいて、前記インジェクタ(6)を制御するインジェクタ制御手段とを備え、前記燃料噴射パラメータ決定手段は、前記圧縮端温度(TCMP)及び気筒内酸素量(O2)に応じて燃料制御インデクス(k)を算出し、該燃料制御インデクス(k)及び前記機関回転数(NE)に応じて燃料噴射パラメータマップを検索することにより、前記燃料噴射パラメータ(Q*)を決定し、前記噴射時期補正手段は、前記機関の定常状態における前記気筒内酸素濃度である定常状態酸素濃度(O2NS)を、前記機関回転数(NE)、圧縮端温度(TCMP)、及び燃料制御インデクス(k)に応じて算出する定常状態酸素濃度算出手段と、前記排気還流装置による排気還流を行わない状態に対応する前記噴射時期補正量(DTM)であるゼロEGR補正量(DTM0)を、前記機関回転数(NE)、圧縮端温度(TCMP)、及び燃料制御インデクス(k)に応じて算出するゼロEGR補正量算出手段とを備え、前記気筒内酸素濃度(O2N)、定常状態酸素濃度(O2NS)、及びゼロEGR補正量(DTM0)に応じて前記噴射時期補正量(DTM)を算出することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、前記噴射時期補正手段は、前記気筒内酸素濃度(O2N)が前記定常状態酸素濃度(O2NS)と一致する状態での前記噴射時期補正量(DTM)を「0」とし、空気中の酸素濃度(O2NAIR)、前記定常状態酸素濃度(O2NS)、及び前記気筒内酸素濃度(O2N)に応じて前記ゼロEGR補正量(DTM0)の補間演算を行うことにより、前記噴射時期補正量(DTM)を算出することを特徴とする。
前記圧縮端温度算出手段は、前記機関の圧縮比(ε)、機関冷却水温度(TW)、及び機関回転数(NE)に応じた係数を前記吸気温度(TI)に乗算することにより、前記圧縮端温度を算出することが望ましい。吸気温度だけでなく、圧縮比、機関冷却水温度及び機関回転数も考慮することにより、正確な圧縮端温度を得ることができる。その結果、適切な燃料噴射パラメータを選択し、安定した燃焼状態を維持することができる。
請求項に記載の発明によれば、気筒内酸素量が算出されるとともに、吸気温度に応じて圧縮混合気の温度である圧縮端温度が算出される。そして圧縮端温度、気筒内酸素量、及び機関回転数に応じて燃料噴射パラメータが決定され、決定された燃料噴射パラメータに基づいて、インジェクタが制御される。さらに気筒内の酸素濃度が算出され、算出された酸素濃度に応じて噴射時期補正量が算出され、その噴射時期補正量によって燃料噴射時期が補正される。例えばフュエルカット運転終了直後のように還流排気中の酸素濃度が高くなったときは、気筒内酸素濃度が急激に増加し、燃焼騒音が増加する傾向があるが、酸素濃度に応じて燃料噴射時期を遅角方向に補正することにより、燃焼騒音を抑制することができる。噴射時期補正量の算出は、以下のようにして行われる。すなわち、機関の定常状態における気筒内酸素濃度である定常状態酸素濃度が、機関回転数、圧縮端温度、及び燃料制御インデクスに応じて算出され、排気還流装置による排気還流を行わない状態に対応する噴射時期補正量であるゼロEGR補正量が、機関回転数、圧縮端温度、及び燃料制御インデクスに応じて算出され、気筒内酸素濃度、定常状態酸素濃度、及びゼロEGR補正量に応じて噴射時期補正量が算出される。
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に示す内燃機関(以下「エンジン」という)3は、車両(図示せず)に搭載された、例えば4気筒(1つのみ図示)のディーゼルエンジンである。各気筒3aのピストン3bとシリンダヘッド3cの間には、燃焼室3dが形成されている。燃焼室3dには、吸気管4(吸気系)および排気管5が接続されており、これらの吸気ポートおよび排気ポートには、吸気弁および排気弁(いずれも図示せず)がそれぞれ設けられている。また、シリンダヘッド3cには、燃料噴射弁(以下「インジェクタ」という)6が、燃焼室3dに臨むように取り付けられている。
インジェクタ6は、シリンダヘッド3cの中央に配置されており、コモンレールを介して高圧ポンプ(いずれも図示せず)に接続されている。燃料タンク(図示せず)の燃料は、高圧ポンプで昇圧された後、コモンレールを介してインジェクタ6に送られ、インジェクタ6から燃焼室3dに噴射される。インジェクタ6の噴射圧力、噴射時間(燃料噴射量)及び噴射時期(開弁タイミング)は、図2に示される電子制御ユニット(以下「ECU」という)2からの制御信号によって制御される。以下の説明では図2も合わせて参照する。
また、エンジン3のクランクシャフト3eには、マグネットロー夕22aが取り付けられている。このマグネットロータ22aとMREピックアップ22bによって、クランク角センサ22が構成されている。クランク角センサ22は、クランクシャフト3eの回転に伴い、パルス信号であるCRK信号およびTDC信号をECU2に出力する。
CRK信号は、所定のクランク角(例えば30度)ごとに出力される。ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転速度(以下「エンジン回転数」という)NEを求める。TDC信号は、各気筒のピストン3bが吸気行程開始時のTDC(上死点)付近の所定クランク角度位置にあることを表す信号であり、4気筒タイプの本例では、クランク角180度ごとに出力される。
吸気管4の吸気マニホルド4aの集合部よりも上流側には、スロットル弁7が設けられており、スロットル弁7には、これを駆動するアクチュエータ8が連結されている。アクチュエータ8は、モータやギヤ機構(いずれも図示せず)などで構成されており、その動作がECU2からの制御信号で制御される。これにより、スロットル弁7の開度(以下「スロットル弁開度」という)THが変化し、燃焼室3dに吸入される吸入空気量が制御される。スロットル弁開度THは、スロットル弁開度センサ23によって検出され、その検出信号はECU2に出力される。
吸気マニホルド4aには、吸気圧センサ24および吸気温度センサ25が設けられている。吸気圧センサ24は、吸気マニホルド4a内の圧力(以下「吸気圧」という)PIを検出し、吸気温度センサ25は、サーミスタなどで構成され、吸気マニホルド4a内の温度(以下「吸気温度」という)TIを検出し、それらの検出信号はECU2に出力される。エンジン3の本体には、エンジン冷却水温センサ26が取り付けられている。エンジン冷却水温センサ26は、サーミスタなどで構成され、エンジン3の本体内を循環する冷却水の温度(以下「エンジン冷却水温」という)TWを検出し、その検出信号をECU2に出力する。
また、吸気管4には過給装置9が設けられている。過給装置9は、夕ーボチャージャ式の過給機10と、これに連結されたアクチュエータ11と、べーン開度制御弁12を備えている。過給機10は、吸気管4のスロットル弁7よりも上流側に設けられた回転自在のコンプレッサブレード10aと、排気管5の途中に設けられたタービンブレード10bおよび複数の回動自在の可変ベーン10c(2つのみ図示)と、これらのブレード10a,10bを一体に連結するシャフト10dを有している。過給機10は、排気管5内の排気によってタービンブレード10bが回転駆動されるのに伴い、これと一体のコンプレッサブレード10aが回転駆動されることによって、過給動作を行う。
各可変べーン10cは、アクチュエータ11に連結されており、その開度(以下「ベーン開度」という)VOがアクチュエータ11を介して制御される。アクチュエータ11は、負圧によって作動するダイアフラム式のものであり、負圧ポンプ(図示せず)に接続されていて、その途中に前記べーン開度制御弁12が設けられている。負圧ポンプは、エンジン3を動力源として作動し、発生した負圧をアクチュエータ11に供給する。ベーン開度制御弁12は、電磁弁で構成されており、その弁開度がECU2からの制御信号で制御されることにより、アクチュエータ11に供給される負圧が変化し、それに伴い、可変べーン10cのべーン開度VOが変化することによって、過給圧が制御される。
また、吸気管4の過給機10よりも上流側には、エアフローセンサ27が設けられている。エアフローセンサ27は、吸気管4内を流れる吸入空気流量GAを検出し、その検出信号をECU2に出力する。
さらに、吸気管4の吸気マニホルド4aは、その集合部から分岐部にわたって、スワール通路4bとバイパス通路4cに仕切られている。バイパス通路4cには、燃焼室3d内にスワールを発生させるためのスワール装置13が設けられている。スワール装置13は、スワール弁13a、これを駆動するアクチュエータ13b、およびスワール制御弁13cを備えている。アクチュエータ13bおよびスワール制御弁13cはそれぞれ、過給装置9のアクチュエータ11およびベーン開度制御弁12と同様に構成されており、スワール制御弁13cは前記負圧ポンプに接続されている。以上の構成により、スワール制御弁13cの弁開度がECU2からの制御信号で制御されることにより、アクチュエータ13bに供給される負圧が変化し、スワール弁13aの開度SVOが変化することによって、スワールの強さが制御される。
また、吸気マニホルド4aのスワール通路4bの集合部の部分と、排気管5のタービンブレード10bの上流側との間には、排気還流管(以下「EGR管」という)14aが接続されており、このEGR管14aとその途中に設けられた排気還流制御弁(以下「EGR制御弁」という)14bによって、排気還流装置(以下「EGR装置」という)14が構成されている。このEGR管14aを介して、エンジン3の排気の一部が還流排気として吸気管4に還流される。EGR制御弁14bは、リニア電磁弁で構成されており、その開度(以下「EGR弁開度」、という)LEがECU2からの制御信号に応じて制御されることによって、還流排気流量GEが制御される。EGR弁開度LEは、EGR弁開度センサ28によって検出され、その検出信号はECU2に出力される。
また、排気管5の過給機10よりも下流側には、上流側から順に、酸化触媒15、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)16、及びNOx吸収触媒17が設けられている。酸化触媒15は、排気中のHCおよびCOを酸化し、排気を浄化する。DPF16は、排気中のスートを捕集する。DPF16に捕集されたスートを燃焼させるために、排気温度を上昇させるDPF再生制御が適時実行される。NOx吸収触媒17は、排気中の酸素濃度が還元成分(CO,HC)濃度より高い酸化雰囲気下において、排気中のNOxを吸収するとともに、吸収したNOxを、排気中の還元成分濃度が酸素濃度より高い還元雰囲気下において還元する。
さらに、排気管5の過給機10と酸化触媒15との間には、酸素濃度センサ29が設けられている。酸素濃度センサ29は、排気中の酸素濃度O2NDを検出し、その検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この酸素濃度O2NDに基づいて、燃焼室3dで形成される混合気の空燃比A/Fを算出する。ECU2にはさらに、アクセル開度センサ30から、エンジン3により駆動される車両のアクセルペダル(図示せず)の踏み込み量(以下「アクセルペダル操作量」という)APを表す検出信号が出力される。
ECU2は、入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROMなどからなるマイクロコンピュータで構成されており、前述した各種センサ22〜30からの検出信号に応じ、ROMに記憶された制御プログラムなどに従って、各種の演算処理を実行する。具体的には、上記の検出信号からエンジン3の運転状態を判別し、その判別結果に基づいてエンジン3の燃焼を制御する制御モードを決定するとともに、決定した制御モードに対応した吸入空気量及び排気還流量の制御並びに燃料噴射の制御を行う。
図3は、本実施形態における制御手順の概要を説明するためのフローチャートである。
先ずステップS11では、エンジン回転数NE及びアクセルペダル操作量APに応じて図4に示すiテーブルを検索し、要求トルクインデクスiを算出するとともに、エンジン回転数NEに応じて回転数インデクスjを算出する。図4のiテーブルは、エンジン回転数NE1〜NE5(NE1<NE2<NE3<NE4<NE5)に対応して設定されており、アクセルペダル操作量APが一定であるとき、エンジン回転数NEが高くなるほど、要求トルクインデクスiが減少するように設定されている。
ステップS12では、要求トルクインデクスi及び回転数インデクスjに応じて、図5に示すA*マップを検索し、空気調節パラメータA*を決定する。空気調節パラメータA*は、目標スロットル弁開度THR、目標EGR弁開度LER、目標ベーン開度VOR及び目標スワール弁開度SVORを要素とするベクトルである。A*マップ上の番地i,jの格子点には、対応する要求トルクインデクスi及び回転数インデクスjに適した目標スロットル弁開度THR、目標EGR弁開度LER、目標ベーン開度VOR及び目標スワール弁開度SVOが設定されている。
ステップS13では、空気調節パラメータA*に応じたアクチュエータ8、べーン開度制御弁12、スワール制御弁13、及びEGR制御弁14bの駆動信号を出力する。
ステップS14では、図6に示す手順で気筒内酸素量O2を算出する。図6のステップS31では、吸入空気流量GA及びエンジン回転数NEに応じてPARマップを検索し、吸気管内の基準空気分圧PARを算出する。ステップS32では、吸入空気流量GA及びエンジン回転数NEに応じてTIRマップを検索し、基準吸気温TIRを算出する。
ステップS33では、下記式(1)により基準空気分圧PARを吸気温度TI及び基準吸気温度TIRを用いて補正し、吸気管内の空気分圧PAを算出するとともに、下記式(2)に吸入空気流量GA及びエンジン回転数NE(rpm)を適用して、1TDC期間(4気筒エンジンでは、クランク角180度の期間)内に気筒内に吸入される新気量MAを算出する。式(2)のKCV1は換算係数である。
PA=(TI/TIR)×PAR (1)
MA=(GA/NE)×KCV1 (2)
ステップS34では、下記式(3)に吸気圧PI,空気分圧PA,及び新気量MAを適用し、還流排気量MEを算出する。
Figure 0004754437
ここで、REGR及びRAIRは、それぞれ還流される排気のガス定数及び空気のガス定数である。
式(3)は、下記式(4)を関係を用いることにより得られる。式(4)のPEは、吸気管内の還流排気分圧であり、VIは吸気管容積である。
Figure 0004754437
ステップS35では、検出される酸素濃度O2NDを下記式(5)に適用し、還流排気中の酸素濃度O2NEを算出する。式(5)のKCV2は、分子数に基づく濃度を質量に基づく濃度に換算するための換算係数であり、排気の等価的な分子量と酸素の分子量との比(28.8/32)に設定される。排気の等価的な分子量は、空燃比にかかわらず空気の等価的な分子量とほぼ等しいので、「28.8」が適用される。
O2NE=O2ND×KCV2 (5)
ステップS36では、新気量MA、還流排気量ME、及び酸素濃度O2NEを下記式(6))に適用して、気筒内酸素量O2を算出する。式(6)のO2NAIRは空気中の酸素濃度(質量濃度)である。
O2=O2NAIR×MA+O2NE×ME (6)
図3に戻り、ステップS15では、下記式(7)により燃料噴射前の気筒内酸素濃度O2Nを算出する。
O2N=O2/(MA+ME) (7)
ステップS16では、圧縮端温度TCMPを下記式(11)により算出する。圧縮端温度TCMPは、エンジンのピストン3bが圧縮上死点近傍に位置するときの気筒内温度の推定値である。式(11)において吸気温度TIは絶対温度に換算したものを適用する。
TCMP=TI×εn-1 (11)
ここでεは実圧縮比で、下記式(12)に吸気温度TI、吸気圧PI、空気量MAを適用して算出される。式(12)のRAIRはガス定数、VTDCは圧縮上死点における気筒容積である。
ε=(RAIR×TI/PI)/(VTDC/MA) (12)
また式(11)のnはポリトロープ指数であり、下記式(13)に吸気温度TI,エンジン冷却水温TW及びエンジン回転数NEを適用して算出される。式(13)の係数k0〜k3は実験的に求められる。
n=k0+k1×TI+k2×TW+k3×NE (13)
なお、式(11)において、式(12)により算出される実圧縮比εに代えて機械的に決まる圧縮比εM(例えば16.7)を適用するようにしてもよい。
ステップS17では、気筒内酸素量O2に応じて燃料制御インデクスkを算出する。
図7は、安定した燃焼状態が得られる気筒内酸素量O2と、燃料制御インデクスkとの関係(エンジン回転数NEは一定)を示す図であり、各曲線は右側から順にそれぞれ圧縮端温度TCMP1〜TCMP7(TCMP1<TCMP2<TCMD3<TCMP4<TCMP5<TCMP6<TCMP7)に対応する。圧縮端温度TCMPが高い(TCMP=TCMP7)ときは、気筒内酸素量O2にほぼ比例するように燃料制御インデクスkを設定すればよいが、圧縮端温度TCMPが低いときは、1つの気筒内酸素量O2に対して望ましい燃料制御インデクスkの値は2つ存在する。そこで、本実施形態では、気筒内酸素量O2が最小となるポイントP1〜P7に対応する気筒内酸素量O2(安定した燃焼状態が得られる最小の気筒内酸素量)を臨界酸素量O2Cと定義するとともに、対応する燃料制御インデクスkを臨界燃料制御インデクスkCと定義し、気筒内酸素量O2が臨界酸素量O2C以上であるときは、気筒内酸素量O2に応じて燃料制御インデクスkを算出するO2基準制御を実行し、気筒内酸素量O2が臨界酸素量O2Cより小さいときは、アクセルペダル操作量APに応じて燃料制御インデクスkを算出するペダル基準制御を実行する。ペダル基準制御では、アクセルペダル操作量APが増加するほど燃料制御インデクスkが増加するように制御される。
気筒内酸素量O2が徐々に減少して臨界酸素量O2Cに達したときは、直ちにペダル基準制御に移行する。ペダル基準制御を実行しているときに、アクセルペダル操作量APが増加してO2基準制御へ移行するときは、トルクショックが起きない移行条件が満たされたときに制御の切換が行われる。
次にO2基準制御による燃料制御インデクスkの算出方法を説明する。O2基準制御では、気筒内酸素量O2、エンジン回転数NE及び圧縮端温度TCMPに応じて、図8に示す手順で燃料制御インデクスkが算出される。
ステップS41では、エンジン回転数NE及び気筒内酸素量O2に応じて、TCMPSマップを検索し、基準圧縮端温度TCMPSを算出する。TCMPSマップには、予めエンジン回転数NE及び気筒内酸素量O2に応じて定常状態における圧縮端温度TCMPSが設定されている。
ステップS42では、エンジン回転数NE及び基準圧縮端温度TCMPSに応じてO2Cマップ及びkCマップを検索し、定常状態における臨界酸素量である基準臨界酸素量O2CS、及び定常状態における臨界燃料制御インデクスである基準臨界燃料制御インデクスkCSを算出する。O2Cマップは、予めエンジン回転数NE及び圧縮端温度TCMPに応じて臨界酸素量O2Cが設定されたマップであり、kCマップは予めエンジン回転数NE及び圧縮端温度TCMPに応じて、臨界燃料制御インデクスkCが設定されたマップである。
ステップS43では、エンジン回転数NE及び図3のステップS16で算出された圧縮端温度TCMPに応じて、O2Cマップ及びkCマップを検索し、現在の運転状態に対応した臨界酸素量O2C及び臨界燃料制御インデクスkCを算出する。
ステップS44では、基準臨界酸素量O2CS、臨界酸素量O2C、及び気筒内酸素量O2を下記式(25)に適用し、等価酸素量O2EQを算出する。式(25)において、O2MAXはエンジン回転数NEに応じて決まる最大酸素量である。等価酸素量O2EQは、気筒内酸素量O2を基準圧縮端温度TCMPSにおける酸素量に換算したものに相当する。
Figure 0004754437
ステップS45では、エンジン回転数NE及び等価酸素量O2EQに応じて、kEQマップを検索し、基準圧縮端温度TCMPSにおける等価燃料制御インデクスkEQを算出する。kEQマップは、後述する図9の曲線L1に相当する関数k=fL1(O2)を、複数のエンジン回転数NEに対応してマップ化したものであり、等価燃料制御インデクスkEQは、fL1(O2EQ)に相当する。
ステップS46では、等価燃料制御インデクスkEQ、基準臨界燃料制御インデクスkCS、及び臨界燃料制御インデクスkCを下記式(26)に適用し、燃料制御インデクスkを算出する。式(26)のkMAXは、最大酸素量O2MAXに対応する燃料制御インデクスである。
Figure 0004754437
図9は、図8の処理による燃料制御インデクスkの算出手法の原理を説明するための図であり、図9に示す曲線L1は、基準圧縮端温度TCMPS(エンジン回転数一定)に対応する気筒内酸素量O2と、燃料制御インデクスkとの関係(「O2−k曲線」という)を示し、曲線L2は、現在の圧縮端温度TCMPに対応するO2−k曲線を示す。曲線L2は、曲線L1の臨界点PCSを点PCに移動させ、曲線の形状を相似的に変形すること(アイソモーフィック変形(Isomorphic Transformation))により得られるものである。図8の処理により、定常状態における等価酸素量O2EQ及び等価燃料制御インデクスkEQ(点PEQ)が先ず算出され、これにアイソモーフィック変形を適用して、点PPに対応する燃料制御インデクスkが算出される。なお、最大酸素量O2MAX(排気還流を行わない状態に相当する気筒内酸素量)に適した燃料制御インデクスkMAXは、圧縮端温度TCMPに依存しない。
図10は、エンジン冷却水温TWが比較的低い状態(40℃)における筒内圧PCYLの推移を示す図であり、実線L11は本実施形態に対応し、破線L12圧縮端温度TCMPを考慮せずに燃料制御インデクスkの設定を行った場合に対応する。横軸は、クランク角度CAである。本実施形態では、エンジン回転数NE及び気筒内酸素量O2だけでなく、圧縮端温度TCMPに応じて燃料制御インデクスkを算出するようにしたので、特にエンジン温度が低いときにエンジンの燃焼状態をより安定化することができる。
算出された燃料制御インデクスk及び回転数インデクスjに応じて、後述する図3のステップS22で燃料噴射パラメータQ*が算出される。燃料噴射パラメータQ*は、噴射圧力PF、パイロット噴射量QIP、主噴射量QIM、パイロット噴射時期TMP、及び主噴射時期TMMによって構成される。シングル噴射の場合は、パイロット噴射量QIPは「0」となり、パイロット噴射は実行されない。燃料噴射量QINJ(=QIP+QIM)は、燃料制御インデクスkが増加するほど増加するように設定されている
図3のステップS18では、図11に示す手順により、噴射時期補正量DTMを算出する。燃料噴射パラメータQ*に含まれる主噴射時期TMMは、定常状態における気筒内の酸素濃度O2NSに対応して設定されており、実際の酸素濃度O2Nの定常状態酸素濃度O2NSからのずれが大きくなるほど、燃焼騒音が増加する傾向がある。そこで、本実施形態では、酸素濃度O2Nに応じて噴射時期補正量DTMを算出し、燃料噴射パラメータQ*の主噴射時期TMMを補正する。酸素濃度O2Nの大きなずれは、フュエルカット運転の終了直後に発生しやすい。
図11のステップS51では、エンジン回転数NE、圧縮端温度TCMP、及び燃料制御インデクスkに応じて、定常状態酸素濃度O2NSを算出する。
具体的には、エンジン回転数NEに応じて図12に示すようなO2NSマップを選択し、圧縮端温度TCMP及び燃料制御インデクスkに応じてO2NSマップを検索することにより、定常状態酸素濃度O2NSを算出する。O2NSマップは、圧縮端温度TCMPが高くなるほど、定常状態酸素濃度O2NSが低下するように設定されている。
ステップS52では、エンジン回転数NEに応じてDTM0マップを選択し、圧縮端温度TCMP及び燃料制御インデクスkに応じて図13に示すDTM0マップを検索して、排気還流を行わない状態(酸素濃度が空気の酸素濃度O2NAIRに等しい状態)での噴射時期補正量(以下「ゼロEGR補正量」という)DTM0を算出する。ゼロEGR補正量DTM0は、噴射時期を遅角補正するように負の値をとり、DTM0マップは、圧縮端温度TCMPが高くなるほど、また燃料制御インデクスkが減少するほど、ゼロEGR補正量DTM0の絶対値が増加するように(遅角補正量が増加するように)設定されている。
ステップS53では、酸素濃度O2N及びゼロEGR補正量DTM0に応じて、噴射時期補正量DTMを算出する。この演算は、図14に示すように単純な線形補間、または予め設定したDTMテーブル(破線で示す)を検索することにより行う。
本実施形態では、燃料制御インデクスkの値が比較的大きい所定範囲(例えば11〜14)では、ダブル噴射(パイロット噴射+主噴射)が行われる。その場合には、噴射時期補正量DTMは主噴射時期の補正に適用される。
酸素濃度O2Nに応じて燃料噴射時期を補正することにより、特にフュエルカット運転終了直後において燃焼騒音を低減することができる。
なお、燃料噴射がシングル噴射であり、かつ補正量の絶対値|DTM|が所定値以上であるときは、ダブル噴射に変更し、主噴射時期を噴射時期補正量DTMにより補正するようにしてもよい。
図3に戻り、ステップS19では、上述した種々のパラメータに応じて制御モードを決定する。上記のエンジン3の主たる制御モードとして、アイドルモード(モード0)、低負荷モード(モード1)、通常モード(モード2)、及び再生リッチモード(モード3)が設けられ、さらに通常モードより燃料を増量する高負荷モード(モード25)、減速時にNOx吸収触媒17の再生(NOxの還元)を行うための減速リッチモード(モード15)が設けられ、それらの制御モード間の移行用の制御モードとして、通常−低負荷移行モード(モード21)、通常−リッチ移行モード(モード23)、リッチ−通常移行モード(モード32)、低負荷−減速リッチ移行モード(モード17)、減速リッチ−低負荷移行モード(モード16)、減速リッチ−アイドル移行モード(モード14)が設けられている。図15は、これらの制御モードの関係を示す状態遷移図である。
以下図15を参照しつつ、各制御モードの概要を説明する。
1)通常モード(モード2)
通常モードでは、O2基準制御が行われる。空燃比は理論空燃比よりリーン側に設定され、排気還流率が大きくなるように制御される。空気調節パラメータA*は、要求トルクインデクスi及び回転数インデクスjに応じて決定される。燃料噴射パラメータQ*は、燃料制御インデクスk及び回転数インデクスjに応じて決定される。
2)アイドルモード(モード0)
空気調節パラメータA*は、所望の空燃比(例えば19〜21)が実現されるように決定される。また燃料噴射パラメータQ*は、O2基準制御ではなく、検出したエンジン回転数NEが目標回転数(例えば650rpm)と一致するようにフィードフォワード項とPID項との組み合わせにより決定される。
3)低負荷モード(モード1)
この低負荷モードは、モード0からモード2への、またはその逆の移行時のトルクショックを無くすために設けられている。この低負荷モードは、エンジン3の出力トルクが負の値から「0」より若干大きな値の範囲内にあり、かつエンジン回転数NEがアイドル回転数より高い所定低負荷運転状態において適用される。
空気調節パラメータA*は、固定された要求トルクインデクスiによって決定される。このとき要求トルクインデクスiの値は、燃料制御インデクスkの所定範囲の値(例えば6〜10)に対応して、安定した燃焼が確保されるように選択される。燃料噴射パラメータQ*(燃料制御インデクスk)は、ペダル基準制御によって決定される。このとき、燃料制御インデクスkは、O2基準制御によって算出される値(図3,ステップS17で算出されるk値)を超えないように決定され、かつ燃料制御インデクスkの気筒間の変化量Δkが、所定リミット値DKLMTを超えないように制御される。これにより、良好な燃焼状態が実現されるとともに、円滑なトルク制御及び低トルク域での正確なトルク制御が可能となる。
4)再生リッチモード(モード3)
NOx吸収触媒17の再生を行うための制御モードである。空燃比は理論空燃比よりリッチ側となるように制御される。空気調節パラメータA*は、リッチモード用に設定されたマップを用いて、要求トルクインデクスi及び回転数インデクスjに応じて決定される。燃料噴射パラメータQ*は、リッチモード用に設定されたマップを用いて、燃料制御インデクスk及び回転数インデクスjに応じて決定される。さらに、燃料噴射量QINJは、検出酸素濃度O2NDから算出される検出空燃比AFDが、所望のリッチ空燃比AFRと一致するようにフィードバック制御される。
5)通常−リッチ移行モード(モード23)
通常モードから再生リッチモードへ移行するときの制御モードである。空気調節パラメータA*は、リッチモード用に設定されたマップを用いて、要求トルクインデクスi及び回転数インデクスjに応じて決定されるとともに、気筒内酸素量O2を目標値に制御する閉ループ制御も併用される。再生リッチモードに移行後の目標気筒内酸素量O2TRが算出され、燃料噴射パラメータQ*は、通常モードにおける移行直前の気筒内酸素量O2及び目標気筒内酸素量O2TRに応じて、滑らかに変化するように算出される。
6)リッチ−通常移行モード(モード32)
再生リッチモードから通常モードへ移行するときの制御モードである。空気調節パラメータA*は、通常モード用に設定されたマップを用いて、要求トルクインデクスi及び回転数インデクスjに応じて決定されるとともに、気筒内酸素量O2を目標値に制御する閉ループ制御も併用される。通常モードに移行後の目標気筒内酸素量O2TLが算出され、燃料噴射パラメータQ*は、再生リッチモードにおける移行直前の気筒内酸素量O2及び目標気筒内酸素量O2TLに応じて、滑らかに変化するように算出される。
7)高負荷モード(モード25)
通常モードにおいて、アクセルペダル操作量APが大きい状態が継続した場合、O2基準制御のみではエンジントルクが運転者の要求に対して不足する。そこで、アクセルペダル操作量APが増加して、排気還流を停止する所定操作量APHに達すると、通常モードから高負荷モードに移行する。
高負荷モードでは、空気調節パラメータA*は基本的には通常モードと同様に設定され、さらにタービンの目標ベーン開度VORが増加方向に修正される。燃料噴射パラメータQ*は、基本的には通常モードと同様に設定され、さらに燃料噴射量QINJが10%程度増量される。
8)通常−低負荷移行モード(モード21)
このモードは、アクセルペダル操作量APが「0」となったときに気筒内酸素量O2を迅速に減らし、エンジン回転数NEが高すぎる状態を回避することを目的として設けられたものである。空気調節パラメータA*は、アクセルペダル操作量APが「0」である状態に対応して予め設定された特別の組み合わせ(本実施形態では、要求トルクインデクスiの値1〜4が割り当てられている)が適用され、吸気圧PIが少なくとも70kPa程度確保されるように設定され、必要に応じて要求トルクインデクスiの値が増減される。空気調節パラメータA*を構成する目標EGR弁開度LERは、要求トルクインデクスiが増加するほど減少するように設定され、目標スロットル弁開度THRは、要求トルクインデクスiが増加するほど増加するように設定される。
9)減速リッチモード(モード15)
減速中のフュエルカットに代えて、燃料噴射が行われ、噴射した燃料が燃焼しないように、吸入空気制御、EGR制御、及び燃料噴射制御が行われる。空気調節パラメータA*は、吸気圧PIを大きく減少させるように設定された減速リッチモード用のマップを用いて算出される。燃料噴射パラメータQ*は、減速リッチモード用のマップを用いて、燃料制御インデクスk及び回転数インデクスjに応じて算出されるとともに、検出空燃比AFDが所定の目標空燃比と一致するように燃料噴射量QINJのフィードバック制御が行われる。
10)低負荷−減速リッチ移行モード(モード17)
吸気圧PIが減速リッチモードへ移行するための閾値より低くなるように制御される。空気調節パラメータA*は、減速リッチモード用のマップを用いて算出され、燃料の供給は停止される。
11)減速リッチ−低負荷移行モード(モード16)
制御モードの移行に伴うトルクショックを回避するために、残留燃料を排出すべく最小限の掃気が行われる。空気調節パラメータA*は、減速リッチモード用のマップを用いて算出され、燃料の供給は停止される。
12)減速リッチ−アイドル移行モード(モード14)
制御モードの移行に伴うトルクショックを回避するために、残留燃料を排出すべく掃気が行われる。空気調節パラメータA*は、減速リッチモード用のマップを用いて算出され、燃料の供給は停止される。
次に制御モードの移行について、先ず概要を説明する。アイドルモード0においてアクセルペダルが踏み込まれると低負荷モード1を経由して通常モード2へ移行する。通常モード2でアクセルペダルがさらに大きく踏み込まれると高負荷モード25に移行する。通常モード2でNOx吸収触媒17の再生処理要求が出されたときは、通常−再生リッチ移行モード23を経由して再生リッチモード3へ移行し、再生リッチモード3から再生リッチ−通常移行モード32を経由して通常モード2に戻る、いわゆるリッチスパイク制御が行われる。通常モード2においてアクセルペダル操作量APが減少すると、通常−低負荷移行モード21を経由して低負荷モード1へ移行し、アクセルペダル操作量APが所定値以下となるとアイドルモード0へ移行する。エンジン回転数NEが十分高く、かつNOx吸収触媒17の再生処理が必要な場合には、低負荷−減速リッチ移行モード17を経由して減速リッチモード15へ移行する。エンジン回転数NEが低下すると、減速リッチ−低負荷移行モード16を経由して低負荷モード1へ移行するか、または減速リッチ−アイドル移行モード14を経由してアイドルモード0へ移行する。
次に制御の移行条件を詳細に説明する。
A)現在の制御モードがアイドルモード0であるとき
i) アクセルペダル操作量APが「0」より大きく、かつ気筒内酸素量O2が臨界酸素量O2Cより小さいか、燃料制御インデクスk(前回値)が気筒内酸素量O2によって決まる値(図3のステップS17で算出される値であり、以下「O2基準値」という)kO2より小さいか、または燃料制御インデクスk(前回値)が臨界燃料制御インデクスkCより小さいとき、低負荷モード1へ移行する。
ii) アクセルペダル操作量APが「0」より大きく、かつ気筒内酸素量O2が臨界酸素量O2Cより大きく、かつ燃料制御インデクスk(前回値)がO2基準値kO2より大きく、かつ燃料制御インデクスk(前回値)が臨界燃料制御インデクスkCより大きいとき、直接通常モード2へ移行する。
B)現在の制御モードが低負荷モード1であるとき
i) アクセルペダル操作量APが「0」であり、かつ燃料制御インデクスk(前回値)が最小値kMIN(例えば「1」)より小さく、かつ減速リッチ制御準備フラグFDRRが「0」であるとき、またはエンジン回転数NEが減速リッチモード15における最小値(以下「モード15最小回転数」という)NEMIN15(例えば1200rpm)より低いとき、アイドルモード0へ移行する。減速リッチ制御準備フラグFDRRは、減速リッチ制御を実行するための前処理が完了すると「1」に設定される。
ii) アクセルペダル操作量APが「0」より大きく、かつ燃料制御インデクスkがO2基準値kO2より大きく、かつ燃料制御インデクスkが臨界燃料制御インデクスkCより大きく、かつ要求トルクインデクスi(前回値)がアクセルペダル操作量APにほぼ比例して算出されるペダル基準の要求トルクインデクスiPDLより小さいとき、通常モード2へ移行する。
iii) アクセルペダル操作量APが「0」であり、かつ燃料制御インデクスk(前回値)が最小値kMINより小さく、かつエンジン回転数NEがモード15最小回転数NEMIN15より高く、かつ減速リッチ実行フラグFDREが「1」であり、かつ減速リッチ制御準備フラグFDRRが「1」であり、かつクラッチオンフラグFCLONが「1」であるとき、低負荷−減速リッチ移行モード17へ移行する。減速リッチ実行フラグFDREは、減速リッチ制御を実行するとき「1」に設定され、クラッチオンフラグFCLONは、当該車両のクラッチが接続されているとき、「1」に設定される。
C)現在の制御モードが通常モード2であるとき
i) 気筒内酸素量O2が臨界酸素量O2Cより小さいとき、低負荷モード1へ移行する。
ii) アクセルペダル操作量APが「0」であり、かつ気筒内酸素量O2が臨界酸素量O2Cより大きいとき、通常−低負荷移行モード21へ移行する。
iii) 要求トルクインデクスi(前回値)がゼロEGR閾値iEGR0より大きく、かつ燃料制御インデクスk(前回値)が定常状態における基準値(以下「定常状態基準値」という)kSより小さいとき、高負荷モード25へ移行する。ゼロEGR閾値iEGR0は、目標EGR弁開度LERを「0」とする要求トルクインデクスiの最小値である。
iv) 要求トルクインデクスiが再生リッチモード3における最小値(以下「モード3最小値」という)iMIN3(安定したリッチ燃焼が可能な最小トルクに対応した要求トルクインデクスiの値に設定される)より大きく、かつ再生リッチモードにおける最大値(以下「モード3最大値」という)iMAX3(スモークが許容できる最大トルクに対応した要求トルクインデクスiの値に設定される)より小さく、かつリッチリーンフラグFRLが「1」であり、かつエンジン回転数NEが再生リッチモードにおける最小値(以下「モード3最小回転数」という)NEMIN3(安定燃焼可能な最小回転数)より高く、かつ再生リッチモードにおける最大値(以下「モード3最大回転数」という)NEMAX3(安定燃焼可能な最大回転数)より低いとき、通常−再生リッチ移行モード23へ移行する。リッチリーンフラグFRLは、空燃比を理論空燃比よりリッチ側に制御するとき「1」に設定され、リーン側に制御するとき「0」に設定される。
D)現在の制御モードが通常−再生リッチ移行モード23であるとき
i) 要求トルクインデクスiがモード3最小値iMIN3より大きく、かつモード3最大値iMAX3より小さく、かつ気筒内酸素量O2が再生リッチモードに適した所定範囲内にあり、かつエンジン回転数NEがモード3最小回転数NEMIN3より高く、かつモード3最大回転数NEMAX3より低く、かつ検出空燃比AFDが再生リッチモードにおける目標値の近傍にあるとき、再生リッチモード3に移行する。
ii) 上記i)の要求トルクインデクスi及びエンジン回転数NEについての少なくとも1つの条件が満たされなくなったとき、またはリッチパルスフラグFRPが「0」となったとき、またはリッチリーンフラグFRLが「0」となったときは、先ず再生リッチモード3へ移行する(その後直ちに再生リッチ−通常移行モード32へ移行する)。リッチパルスフラグFRPは、空燃比を理論空燃比よりリッチ側に制御するパルスが出力されているとき「1」に設定される。
E)現在の制御モードが再生リッチモード3であるとき
i) 要求トルクインデクスiがモード3最小値iMIN3より小さいとき若しくはモード3最大値iMAX3より大きいとき、またはリッチパルスフラグFRPが「0」であるとき、またはリッチリーンフラグFRLが「0」であるとき、またはエンジン回転数NEがモード3最小回転数NEMIN3より低いとき若しくはモード3最大回転数NEMAX3より高いとき、または気筒内酸素量O2が再生リッチモード3に適した所定範囲内にないとき、再生リッチ−通常移行モード32へ移行する。
F)現在の制御モードが再生リッチ−通常移行モード32であるとき
気筒内酸素量O2がリーン定常状態値O2LSに近づいたとき、すなわちエンジン回転数NE及びアクセルペダル操作量APと、算出された気筒内酸素量O2との関係が、定常状態における関係(マップ設定値)に近づいたとき、または要求トルクインデクスiがモード3最小値iMIN3より小さいとき若しくはモード3最大値iMAX3より大きいとき、またはエンジン回転数NEがモード3最小回転数NEMIN3より低いとき若しくはモード3最大回転数NEMAX3より高いとき、またはリッチパルスフラグFRPが「0」であるとき、またはリーン時間比率RLTが最大リーン時間比率RLTMAXを超えたとき、すなわちリッチパルスの発生期間がNOx還元(NOx吸収触媒の再生処理)に十分な時間に達したとき、通常モード2へ移行する。
G)現在の制御モードが高負荷モード25であるとき
要求トルクインデクスi(前回値)がゼロEGR閾値iEGR0より小さいとき、または燃料制御インデクスk(前回値)が定常状態基準値kSより大きいとき、通常モード2へ移行する。
H)現在の制御モードが通常−低負荷移行モード21であるとき
i) 気筒内酸素量O2がモード21における目標値(以下「モード21目標値」という)O2T21より小さいとき、低負荷モード1へ移行する。
ii) アクセルペダル操作量APが「0」より大きく、かつ気筒内酸素量O2がモード21目標値O2T21より大きいとき、通常モード2へ移行する。
I)現在の制御モードが低負荷−減速リッチ移行モード17であるとき
i) アクセルペダル操作量APが「0」でなくなったとき、低負荷モード1へ移行する。
ii) アクセルペダル操作量APが「0」であり、かつエンジン回転数NEが最小減速リッチ回転数NEDRMIN(例えば1400rpm)より低いとき若しくは減速リッチ実行フラグFDREが「0」であるとき、またはクラッチオンフラグFCLONが「0」であるとき、アイドルモード0に移行する。
iii) アクセルペダル操作量APが「0」であり、かつ吸気圧PIが減速リッチモードに適した所定範囲内にあるとき、減速リッチモード15に移行する。
J)現在の制御モードが減速リッチモード15であるとき
i) アクセルペダル操作量APが「0」でないとき、またはアクセルペダル操作量APが「0」でなく、かつ減速リッチ実行フラグFDREが「0」であるとき、減速リッチ−低負荷移行モード16に移行する。
ii) アクセルペダル操作量APが「0」であり、かつ減速リッチモードの実行時間TDREが所定時間TDREFを超えたとき、またはエンジン回転数NEがモード15最小回転数NEMIN15より低いとき、または減速リッチ実行フラグFDREが「0」であるとき、またはクラッチオンフラグFCLONが「0」であるとき、減速リッチ−アイドル移行モード14へ移行する。
K)現在の制御モードが減速リッチ−低負荷移行モード16であるとき
i) アクセルペダル操作量APが「0」でなく、かつエンジン回転数NEが最小掃気回転数NESLMIN(例えば1400rpm)より低いとき、低負荷モード1へ移行する。
ii) アクセルペダル操作量APが「0」でなく、かつ掃気カウンタCSCの値が「1」より小さいとき、すなわち必要な掃気が終了し、掃気カウンタCSCの値が掃気実行を指示する「1」でなくなったとき、低負荷モード1へ移行する。掃気カウンタCSCは、モード移行時のトルク変動を防止するための所定遅延時間が経過したとき「1」以外の値に設定される。
iii) アクセルペダル操作量APが「0」であるとき、減速リッチ−アイドル移行モード14へ移行する。
L)現在の制御モードが減速リッチ−アイドルモード14であるとき
i) アクセルペダル操作量APが「0」でないとき、減速リッチ−低負荷移行モード16へ移行する
ii) アクセルペダル操作量APが「0」であり、かつ掃気実行時間TSCAVが所定時間TSREFを超えたとき、またはエンジン回転数NEが最小減速リッチ回転数NEDRMINより低いとき、またはクラッチオンフラグFCLONが「0」であるとき、アイドルモード0へ移行する。
図3に戻り、ステップS19で制御モードが決定されると、ステップS20で決定された制御モードが通常モード2であるか否かを判別する。その答が肯定(YES)であるときは、燃料制御インデクスk及び回転数インデクスjに応じて図16に示すQ*マップを検索し、燃料制御パラメータQ*を算出する(ステップS22)。このとき、ステップS18で算出した噴射時期補正量DTMが適用される。次いで、燃料噴射パラメータQ*に応じた燃料噴射を実行する(ステップS23)。Q*マップ上の番地k,jの格子点には、対応する燃料制御インデクスk及び回転数インデクスjに適した噴射圧力PF、パイロット噴射量QIP、主噴射量QIM、パイロット噴射時期TMP、及び主噴射時期TMMが設定されている。
ステップS20の答が否定(NO)、すなわち制御モードが通常モード2以外の制御モードであるときは、要求トルクインデクスi及び/または燃料制御インデクスkを対応する制御モードに適した値に修正し(ステップS21)、修正した要求トルクインデクスiに応じた空気調節パラメータA*の算出(ステップS12)、及び修正した燃料制御インデクスkに応じた燃料噴射パラメータQ*の算出が行われる(ステップS22)。なお、要求トルクインデクスiまたは燃料制御インデクスkが修正されたなかったときは、そのまま空気調節パラメータA*の算出または燃料噴射パラメータQ*の算出に適用される。
次に低負荷モード1についてより詳細に説明する。
エンジンの低負荷運転状態では、O2基準制御をそのまま適用すると、燃焼状態が不安定化するため、本実施形態では、低負荷モード1では、ペダル基準制御により燃料制御インデクスkが決定される。
図17は、アクセルペダル操作量APと、要求トルクインデクスiとの関係を示す図であり、点PCRは、気筒内酸素量O2が臨界酸素量O2Cに達した状態に対応する。すなわち、アクセルペダル操作量APが減少して、臨界値APCRに達するまでは、要求トルクインデクスiはアクセルペダル操作量APにほぼ比例するように設定され、臨界値APCRに達すると、その臨界値APCRに対応する値i0に固定される。これにより、安定した燃焼状態を実現するための酸素量が確保される。なお、アクセルペダル操作量APが「0」になると、要求トルクインデクスiは、アイドル用の所定値iIDLに設定される。
図18は、アクセルペダル操作量APと、燃料制御インデクスkとの関係を示す図であり、実線LA1,LB1,LC1はそれぞれ異なる運転状態に対応して、通常モード2においてアクセルペダル操作量APが減少していく過程に対応する。例えば実線LA1で示される例について説明すると、通常モード2においてアクセルペダル操作量APが減少し、気筒内酸素量O2が臨界酸素量O2Cに達すると(点Pa)、燃料制御インデクスkは臨界燃料制御インデクスkCとなり、低負荷モード1へ移行する。低負荷モード1では、実線LA2で示されるように、アクセルペダル操作量APに比例するように、燃料制御インデクスkが設定される。
このように、気筒内酸素量O2が臨界酸素量O2Cに達したときは、要求トルクインデクスiを値i0に固定することにより、気筒内酸素量O2を臨界酸素量O2Cより減少させないようにするとともに、燃料制御インデクスkをアクセルペダル操作量APに比例するように設定することにより、燃焼の不安定化を防止しつつ、アイドルモード0に円滑に(トルクショックなしに)移行することができる。
低負荷モード1に移行すると、要求トルクインデクスiは吸入酸素量(気筒内酸素量O2)が増加するように制御されるので、対応するO2基準の燃料制御インデクスkを示す破線LA3は、実線LA1を左方向に移動させた曲線となる。すなわち、低負荷モード1から通常モード2へ戻るときは、実線LA1ではなく、破線LA3に沿ったO2基準制御に移行する。
そして低負荷モード1に移行後、アクセルペダル操作量APが「0」となる前に増加し始めると、点Paでは通常モード2へ移行せず、i)ペダル基準で算出される燃料制御インデクスkPDLがO2基準で算出される燃料制御インデクスkO2より大きく、かつii)燃料制御インデクスkPDLが臨界燃料制御インデクスkCより大きく、かつiii)アクセルペダル操作量APにほぼ比例して算出される要求トルクインデクスiが、低負荷モード1における固定値i0以上であるという条件が満たされる点Pa’において、通常モード2へ移行する。これにより、低負荷モード1から通常モード2へ、トルクショックなしに移行することができる。その後は、破線LA3に示すようにO2基準制御により、燃料制御インデクスkが算出される。実線LB1,LB2,LC1,LC3,及び破線LB3,LC3で示される例においても同様である。なお、実線LA2,LB2,LC2の傾きは、エンジン回転数NEに応じて最適な特性が得られるように設定される。
上述した低負荷モード1から通常モード2への移行条件は、上記3条件i)〜iii)が同時に満たされるのではなく、通常は要求トルクインデクスiに関する条件iii)が先に満たされ、最後にペダル基準で算出される燃料制御インデクスkPDLが、O2基準で算出される燃料制御インデクスkO2に達した時点で成立する。したがって、燃料噴射パラメータQ*が急変することがなく、トルクショックの発生を防止することができる。
また低負荷モード1においてアクセルペダル操作量APが「0」となってから(すなわち、低負荷−減速リッチ移行モード17、減速リッチ−低負荷移行モード16、またはアイドルモード0から)、アクセルペダル操作量APが増加するときは、要求トルクインデクスiは、エンジン回転数NEに応じて決まる固定値i1に設定され、アクセルペダル操作量APに応じて決まるペダル基準のi値が固定値i1に達すると(図17,点PT)、通常のペダル基準の設定に移行する。また燃料制御インデクスkは、図18の原点Oから実線LS1に示すようにペダル基準制御により算出され、点PSに達すると、通常モード2へ移行する。要求トルクインデクスiがアクセルペダル操作量APにほぼ比例する値に設定されるようになった後に、燃料制御インデクスkの算出がO2基準に切り換えられ、通常モード2へ移行する。したがって、この場合もトルクショックは発生しない。
次に高負荷モード25についてより詳細に説明する。この制御モードの目的は、アクセルペダルが大きく踏み込まれたときに、運転者の要求にしたがって気筒内酸素量O2を迅速に増加させることである。このモードでは、スロットル弁7はほぼ全開状態であり、EGR制御弁14bは全閉状態である。そこで、気筒内酸素量O2の増量は、目標ベーン開度VOR(ベーン開度VO)を増加させること及び燃料噴射量QINJを増加させることにより行われる(以下「ブートストラップ制御」という)。燃料噴射量QINJを増量することにより、タービンへ供給される熱量が増加し、それによってベーン開度VOを増加させることによる酸素供給量の増量効果を高めることができる。
目標ベーン開度VORは、気筒内酸素量O2が、目標気筒内酸素量O2T25に一致するようにPID制御により決定される。空気調節パラメータA*は、基本的には通常モード2と同様に、要求トルクインデクスi及び回転数インデクスjに応じて決定されるが、目標ベーン開度VORは、PID制御により算出されたものに変更される。
また燃料噴射パラメータQ*は、基本的には通常モード2と同様に燃料制御インデクスk及び回転数インデクスjに応じて算出されるが、燃料噴射量QINJが所定増量割合RQAD(例えば10%)だけ増加するように、燃料制御インデクスkが修正される(すなわち、燃料噴射量QINJが所定増量割合RQADだけ大きい燃料噴射パラメータQ*に対応する燃料制御インデクスk’に変更される)。所定増量割合RQADを例えば10%程度とすることにより、加速時におけるスートの発生量を抑制しつつ、良好な運転性(運転者の加速要求に沿ったエンジン回転数NEの増加特性)を得ることができる。なお、所定増量割合RQADは、対象となるエンジン及び車両についての実験によって、スート発生量が所定限界値QSTLMT以下となるように最適な値を選択することが望ましい。所定限界値QSTLMTは、DPF16の能力、スート排出量の規制値などを考慮して決定される。
ブートストラップ制御により、燃料噴射量QINJは気筒内酸素量O2に適した量より若干増量され、その燃料増量とベーン開度VOの増量とによって気筒内酸素量O2が増加し、次の噴射タイミングでさらに燃料噴射量QINJが増量され、気筒内酸素量O2が増加するというように、わずかな燃料増量で気筒内酸素量O2を段階的且つ速やかに増加させ、スートの発生量を抑制しつつ、良好な加速性を得ることができる。
図19及び図20は、高負荷モード25においてアクセルペダル操作量APが急激に「0」まで減少した場合におけるエンジン運転パラメータの推移、並びに要求トルクインデクスi及び燃料制御インデクスkの推移を示すタイムチャートである。
制御モードが高負荷モード25である状態で、時刻t1においてアクセルペダルが戻され、通常モード2に移行する。このとき、ブートストラップ制御が終了するため、燃料制御インデクスkが通常モード2のレベルまで減少する。時刻t1直後(0.1秒程度後)の時刻t2に通常−低負荷移行モード21に移行する。通常−低負荷移行モード21において、要求トルクインデクスiは徐々に減少するように設定され、i値の減少に伴って吸入空気流量GA及び気筒内酸素量O2が減少する。時刻t3において気筒内酸素量O2が臨界酸素量O2Cに達し、低負荷モード1へ移行する。低負荷モード1では、要求トルクインデクスiは一定値に維持されるように制御され、燃料制御インデクスkは徐々に減少するように制御され、気筒内酸素量O2は、ぼぼ臨界酸素量O2Cに維持される。吸気圧PIは、通常−低負荷移行モード21の後半から低下し始め、時刻t3の近傍で急減する。時刻t4において、アイドルモード0に移行する。時刻t1から時刻t4までの時間は、約1.2秒程度である。このように、通常−低負荷移行モード21において気筒内酸素量O2が急激に減少するように制御されるので、エンジン回転数NEを通常−低負荷移行モード21の途中から緩やかに減少させ、不必要なエンジン回転数NEの上昇を防止することができる。
図21及び図22は、通常モード2においてアクセルペダルの戻し操作が開始された場合におけるエンジン運転パラメータの推移、並びに要求トルクインデクスi及び燃料制御インデクスkの推移を示すタイムチャートであり、通常モード2においてアクセルペダル操作量APが徐々に減少し、時刻t31に低負荷モード1に移行し、時刻t32に低負荷モード1からアイドルモード0に移行した作動例に対応する。
通常モード2では、アクセルペダル操作量APの減少に対応して要求トルクインデクスiが減少し、吸入空気流量GA及び気筒内酸素量O2が減少する。気筒内酸素量O2の減少に対応して、燃料制御インデクスkが減少する。気筒内酸素量O2が臨界酸素量O2Cまで減少すると(時刻t31)、低負荷モード1に移行する。低負荷モード1では、要求トルクインデクスiが固定値に維持される。これにより、気筒内酸素量O2は徐々に増加する。また燃料制御インデクスkはアクセルペダル操作量APの減少に対応して減少する。アクセルペダル操作量APが「0」となった後、燃料制御インデクスkが最小値kMINに達すると、アイドルモード0に移行する(時刻t32)。
なお図示例では、クラッチの接続状態が維持されるため、エンジン回転数NEは、エンジン3により駆動される車両の速度(車速)VPの変化に対応して緩やかに変化する。制御モードの移行時にエンジン回転数NEの変動が発生しておらず、トルクショックのない円滑な制御が実現されている。
図23及び図24は、アイドルモード0からアクセルペダル操作量APが徐々に増加した場合におけるエンジン運転パラメータの推移、並びに要求トルクインデクスi及び燃料制御インデクスkの推移を示すタイムチャートであり、時刻t41にアクセルペダルの踏み込みが開始されて低負荷モード1に移行し、アクセルペダル操作量APが徐々に増加して時刻t42に通常モード2に移行した作動例に対応する。
低負荷モード1では、要求トルクインデクスiは当初は固定値i1に維持され、アクセルペダル操作量APに応じて算出されるi値(iPDL)が固定値i1を超えると(時刻t41a)、ペダル基準値iPDLに設定され、アクセルペダル操作量APの増加に伴って増加する。また燃料制御インデクスkは、アクセルペダル操作量APの増加に伴って(比例して)増加する。時刻t42において、アクセルペダル操作量APに応じて算出されるk値と、気筒内酸素量O2に応じて算出されるk値とが一致し、低負荷モード1から通常モード2に移行する。通常モード2へ移行後は、燃料制御インデクスkは、気筒内酸素量O2に応じた値に設定される。
上述した制御により、気筒内酸素量O2は常に臨界酸素量O2Cより大きな値となり、安定した燃焼が確保される。この図示例でも、クラッチの接続状態が維持されるため、エンジン回転数NEは車速VPの変化に対応して緩やかに変化する。制御モードの移行時にエンジン回転数NEの変動が発生しておらず、トルクショックのない円滑な制御が実現されている。
図25及び図26は、急加速時のエンジン運転パラメータ及び車速VPの推移を示し、図25はブートストラップ制御を実行した場合に対応し、図26はブートストラップ制御を実行しない場合に対応する。また、図27はブートストラップ制御実行時の要求トルクインデクスi及び燃料制御インデクスkの推移を示す。
ブートストラップ制御を実行した場合には、図25に示すように時刻t11において、アクセルペダルが踏み込まれると、高負荷モード25に移行し、要求トルクインデクスiが急激に増加する。ベーン開度VOの開度制御が行われるとともに、燃料制御インデクスkは気筒内酸素量O2に対応する値より少し大きな値に変更される。したがって、吸気圧PI及び吸入空気流量GAが急激に増加し、気筒内酸素量O2が急激に増加する。その結果、車速VPが速やかに上昇し、良好な加速性が得られる。時刻t12にアクセルペダルが戻されると、通常モード2に移行し、吸気圧PI、吸入空気流量GA、及び気筒内酸素量O2は急減し、車速VPが徐々に低下する。時刻t11からt12までの時間は、10秒程度であり、車速VPは55km/hから110km/hに増加する。
これに対し、図26に示す例では、時刻t21にアクセルペダルが踏み込まれると、吸気圧PI及び吸入空気流量GAは、緩やかに増加する。時刻t22において、吸気圧PI、吸入空気流量GA、及び気筒内酸素量O2が最大となるが、このときのレベルは、ブートストラップ制御を実行したときの値の65%程度である。このため、車速VPは緩やかに上昇する。時刻t21からt22までの時間は、33秒程度であり、車速VPは60km/hから110km/hに増加する。すなわち、ブートストラップ制御を実行しない場合には加速性が非常に低い。
本実施形態では、スロットル弁7及び過給装置9が吸入空気量制御手段に相当し、エアフローセンサ27が吸入空気量検出手段に相当し、クランク角センサ22が回転数検出手段に相当し、吸気温度センサ25が吸気温度検出手段に相当する。またECU2が、還流排気量算出手段、気筒内酸素量算出手段、圧縮端温度算出手段、酸素濃度算出手段、噴射時期補正手段、定常状態酸素濃度算出手段、ゼロEGR補正量算出手段、燃料噴射パラメータ決定手段、及びインジェクタ制御手段を構成する。
なお、上述した実施形態では、低負荷モード1から通常モード2への移行条件として、アクセルペダル操作量APに応じて要求トルクインデクスiPDLが固定値i1を超えているという条件を用いたが、これに代えて、アクセルペダル操作量APが判定閾値APTHを超えているという条件を用いてもよい。その場合、固定値i1に対応するアクセルペダル操作量は、エンジン回転数NEに応じて変化するので、判定閾値APはエンジン回転数NEに応じて設定する。
また、上述した実施形態では、通常モード2から高負荷モード25への移行条件として、要求トルクインデクスiがゼロEGR閾値iEGR0より大きく、かつ燃料制御インデクスkが定常状態基準値kSより小さいという条件を用いたが、これに代えて、アクセルペダル操作量APが高負荷判定閾値APHLTHを超えているという条件を用いてもよい。高負荷判定閾値APHLTHは、ゼロEGR閾値iEGR0に対応するアクセルペダル操作量である。
また本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進機用エンジンなどの制御にも適用が可能である。
本発明の一実施形態にかかる内燃機関及び周辺装置の構成を示す図である。 図1に示す内燃機関の制御装置の構成を示すブロック図である。 図2に示す制御装置による制御処理の概要を示すフローチャートである。 要求トルクインデクス(i)を算出するためのテーブルを示す図である。 空気調節パラメータ(A*)を算出するためのマップを示す図である。 気筒内酸素量(O2)を算出する手順を示すフローチャートである。 気筒内酸素量(O2)と燃料制御インデクス(k)との関係を示す図である。 燃料制御インデクス(k)を算出する手順を示すフローチャートである。 燃料制御インデクス(k)を算出する手法を説明するための図である。 筒内圧(PCYL)の推移を示す図である。 燃料噴射時期補正量(DTM)を算出する手順を示す図である。 燃料制御インデクス(k)と定常状態酸素濃度(O2NS)との関係を示す図である。 燃料噴射時期のゼロEGR補正量(DTM0)を算出するためのマップを示す図である。 酸素濃度(O2N)と燃料噴射時期補正量(DTM)の関係を示す図である。 機関の制御モードの関係を示す状態遷移図である。 燃料制御パラメータ(Q*)を算出するためのマップを示す図である。 低負荷モードにおける要求トルクインデクス(i)の設定を説明するための図である。 通常モードから低負荷モードへの移行及び低負荷モードから通常モードへの移行を説明するための図である。 高負荷モードからアイドルモードへの移行時における機関運転パラメータ(PI,GA,O2,NE)の推移を示すタイムチャートである。 高負荷モードからアイドルモードへの移行時における制御パラメータ(i,k)の推移を示すタイムチャートである。 通常モードからアイドルモードへの移行時における機関運転パラメータ(AP,GA,O2,NE)の推移を示すタイムチャートである。 通常モードからアイドルモードへの移行時における制御パラメータ(i,k)の推移を示すタイムチャートである。 アイドルモードから通常モードへの移行時における機関運転パラメータ(AP,GA,O2,NE)の推移を示すタイムチャートである。 アイドルモードから通常モードへの移行時における制御パラメータ(i,k)の推移を示すタイムチャートである。 加速時にブートストラップ制御を実行した場合における機関運転パラメータ(PI,GA,O2)及び車速(VP)の推移を示すタイムチャートである。 加速時にブートストラップ制御を実行しない場合における機関運転パラメータ(PI,GA,O2)及び車速(VP)の推移を示すタイムチャートである。 加速時にブートストラップ制御を実行した場合における制御パラメータ(i,k)の推移を示すタイムチャートである。
符号の説明
2 電子制御ユニット(還流排気量算出手段、気筒内酸素量算出手段、圧縮端温度算出手段、燃料噴射パラメータ決定手段、インジェクタ制御手段、酸素濃度算出手段、噴射時期補正手段、定常状態酸素濃度算出手段、ゼロEGR補正量算出手段
3 内燃機関
3a 気筒
4 吸気管
6 インジェクタ
7 スロットル弁(吸入空気量制御手段)
9 過給装置(吸入空気量制御手段)
14 排気還流装置
22 クランク角センサ(回転数検出手段)
25 吸気温度センサ(吸気温度検出手段)
27 エアフローセンサ(吸入空気量検出手段)

Claims (2)

  1. 吸気系を介して気筒に吸入される空気量を制御する吸入空気量制御手段と、前記気筒内に燃料を噴射するインジェクタと、排気の一部を前記吸気系に還流する排気還流装置とを備える内燃機関の制御装置において、
    前記吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段と、
    前記機関の回転数を検出する回転数検出手段と、
    前記機関の吸気温度を検出する吸気温度検出手段と、
    前記排気還流装置により還流される排気量を算出する還流排気量算出手段と、
    前記検出された吸入空気量及び算出された還流排気量に基づいて、前記気筒内に存在する酸素量を算出する気筒内酸素量算出手段と、
    前記気筒内のピストンが上死点近傍に位置し、前記気筒内の混合気が圧縮されたときの温度である圧縮端温度を、前記吸気温度に応じて算出する圧縮端温度算出手段と、
    前記圧縮端温度、前記気筒内酸素量、及び前記機関回転数に応じて燃料噴射パラメータマップを検索することにより、燃料噴射パラメータを決定する燃料噴射パラメータ決定手段と、
    前記気筒内の酸素濃度を算出する酸素濃度算出手段と、
    前記酸素濃度に応じて、前記燃料噴射パラメータに含まれる燃料噴射時期の補正量である噴射時期補正量を算出し、該噴射時期補正量により前記燃料噴射時期を補正する噴射時期補正手段と、
    該補正された燃料噴射パラメータに基づいて、前記インジェクタを制御するインジェクタ制御手段とを備え
    前記燃料噴射パラメータ決定手段は、前記圧縮端温度及び気筒内酸素量に応じて燃料制御インデクスを算出し、該燃料制御インデクス及び前記機関回転数に応じて燃料噴射パラメータマップを検索することにより、前記燃料噴射パラメータを決定し、
    前記噴射時期補正手段は、
    前記機関の定常状態における前記気筒内酸素濃度である定常状態酸素濃度を、前記機関回転数、圧縮端温度、及び燃料制御インデクスに応じて算出する定常状態酸素濃度算出手段と、
    前記排気還流装置による排気還流を行わない状態に対応する前記噴射時期補正量であるゼロEGR補正量を、前記機関回転数、圧縮端温度、及び燃料制御インデクスに応じて算出するゼロEGR補正量算出手段とを備え、
    前記気筒内酸素濃度、定常状態酸素濃度、及びゼロEGR補正量に応じて前記噴射時期補正量を算出することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記噴射時期補正手段は、前記気筒内酸素濃度が前記定常状態酸素濃度と一致する状態での前記噴射時期補正量を「0」とし、空気中の酸素濃度、前記定常状態酸素濃度、及び前記気筒内酸素濃度に応じて前記ゼロEGR補正量の補間演算を行うことにより、前記噴射時期補正量を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
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