JP4753860B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

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本発明は、積層セラミックコンデンサに関し、特に、誘電体層がストロンチウム濃度の異なるチタン酸バリウム結晶粒子により構成される、小型高容量の積層セラミックコンデンサに関する。
従来より、携帯電話などモバイル機器の普及やパソコンなどの主要部品である半導体素子の高速、高周波化に伴い、このような電子機器に搭載される積層セラミックコンデンサは、小型、高容量化の要求がますます高まっており、そのため誘電体層および内部電極層は薄層化と高積層化が図られている。
このような小型、高容量の積層セラミックコンデンサに適用される誘電体材料として、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体材料を改良して比誘電率とともに絶縁性を向上させた新規な誘電体材料が開発されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特許文献1に開示された積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層はカルシウム濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウム結晶粒子(以下、BT結晶粒子とする。)とカルシウム濃度が0.4原子%以上のチタン酸バリウムカルシウム結晶粒子(以下、BCT結晶粒子とする。)とから形成されたものである。
また、特許文献2に開示された積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層は、ストロンチウム濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウム結晶粒子とストロンチウム濃度が0.4原子%以上であるチタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子とから形成されたものである。
上記特許文献に開示された積層セラミックコンデンサは、いずれも誘電体層を構成する結晶粒子を複合化したことにより、誘電体層の比誘電率や、その温度特性、ならびに高温負荷試験での寿命を向上できるとされている。
特開2006−156450号公報 特開2006−179675号公報
しかしながら、上記特許文献1および2に開示された複合粒子から構成される誘電体層を用いた積層セラミックコンデンサは、高温負荷寿命の評価において高温放置の時間と共に絶縁抵抗が次第に低下するという問題があった。
さらには、上記の積層セラミックコンデンサを製造する場合、約1200℃の温度で還元雰囲気中にて本焼成した直後の外部電極を形成する前のコンデンサ本体は、誘電体層が還元され実用的な絶縁抵抗を有しないものであった。
そのため、本焼成後のコンデンサ本体は、通常、本焼成の条件よりも低温かつ高い酸素濃度の雰囲気中にて再酸化処理を施す必要があった。
この再酸化処理は焼成工程と同じ程度の手間と時間および経費がかかることから製造コスト高の原因になっていた。
従って本発明は、チタン酸バリウム結晶粒子とチタン酸バリウムカルシウム結晶粒子とから構成される誘電体磁器を誘電体層とする積層セラミックコンデンサについて、高温負荷試験における時間変化に伴う絶縁抵抗の低下を抑制でき、還元処理を行っても高絶縁性の積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
本発明の積層セラミックコンデンサは、ストロンチウム濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウム結晶粒子およびストロンチウム濃度が0.4原子%以上であるチタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子により構成される誘電体層と、内部電極層とが交互に積層されている積層セラミックコンデンサにおいて、前記チタン酸バリウム結晶粒子および前記チタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子がマグネシウム、希土類元素およびバナジウムを含有するとともに、前記チタン酸バリウム結晶粒子の表面のマグネシウムおよび希土類元素のそれぞれの含有量に対する前記チタン酸バリウム結晶粒子の中央部に含まれるマグネシウムおよび希土類元素のそれぞれの含有量の比が前記チタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子の表面のマグネシウムおよび希土類元素のそれぞれの含有量に対する前記チタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子の中央部に含まれるマグネシウムおよび希土類元素のそれぞれの含有量の比よりも大きいことを特徴とする。
また上記積層セラミックコンデンサでは、前記チタン酸バリウム結晶粒子の平均粒径が前記チタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子の平均粒径よりも大きいこと、前記誘電体層は前記チタン酸バリウム結晶粒子および前記チタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子に含まれるバリウムおよびチタンの酸化物をチタン酸バリウムとして表したときの含有量100モル部に対して、前記バナジウムの含有量が酸化物換算で0.1〜0.4モル部であることが望ましい。
本発明によれば、積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層をチタン酸バリウム結晶粒子およびチタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子とからなるものとし、それらの結晶粒子にバナジウムを含有させて、これらチタン酸バリウム結晶粒子およびチタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子にそれぞれ含まれるマグネシウムおよび希土類元素の含有量の比を特定の比にしたことにより、チタン酸バリウム結晶粒子はコアシェル構造の崩れた立方晶性の高いものにできる。
そのため、立方晶性の高いチタン酸バリウム結晶粒子がチタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子間に共存した状態となることから、チタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子の粒成長が抑制されて、チタン酸バリウム結晶粒子とチタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子により構成される誘電体磁器は還元処理を行う本焼成後においても高い絶縁性を有するとともに、高温負荷試験における時間変化に伴う絶縁抵抗の低下の少ない積層セラミックコンデンサを得ることができる。
本発明の積層セラミックコンデンサについて、図1の概略断面図を用いて詳細に説明する。図1は、(a)は、本発明の積層セラミックコンデンサを示す概略断面図である。(b)は誘電体層を構成する主結晶粒子と粒界相を示す拡大模式図である。本発明の積層セラミックコンデンサは、コンデンサ本体1の両端部に外部電極3が形成されている。この外部電極3は、例えば、CuもしくはCuとNiの合金ペーストを焼き付けて形成されている。
コンデンサ本体1は誘電体層5と内部電極層7とが交互に積層され構成されている。誘電体層5は、結晶粒子9と粒界相11により構成されている。その厚みは3μm以下、特に、2.5μm以下であることが積層セラミックコンデンサを小型高容量化する上で好ましく、さらには、静電容量のばらつきおよび容量温度特性の安定化のために、誘電体層5の厚みは0.4μm以上であることがより望ましい。
内部電極層7は、高積層化しても製造コストを抑制できるという点で、ニッケル(Ni)や銅(Cu)などの卑金属が望ましく、特に、本発明において誘電体層5との同時焼成が図れるという点でニッケル(Ni)がより望ましい。
本発明の積層セラミックコンデンサにおける誘電体層5を構成する結晶粒子9は、ストロンチウム濃度の異なるペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸バリウム系結晶粒子である。即ち、本発明におけるチタン酸バリウム系結晶粒子はAサイトの一部がストロンチウム(以下、Srという。)で置換されたペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子(以下、BST結晶粒子という。)9aと、Srを含有していないペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸バリウム結晶粒子(以下、BT結晶粒子という。)9bとから構成されている。
つまり、本発明における結晶粒子9は、BST結晶粒子9aとBT結晶粒子9bとを含有するものであり、上述のように、このような2種の結晶粒子が共存することにより優れた誘電特性を示す。
そして、本発明における結晶粒子9のうちBT結晶粒子9bは理想的にはBaTiOで表される。なお、本発明において、Srを含有していないBT結晶粒子9bとは、分析値として、Sr濃度が0.2原子%以下であるものであるが、BST結晶粒子9a中に含まれるSr成分がわずかにBT結晶粒子9b中に拡散するものも含まれる。
一方、BST結晶粒子9aはSr濃度が0.4原子%以上、特に、このBST結晶粒子9aの高い比誘電率をもつ強誘電体としての機能を維持するという点で、Sr濃度は0.5〜2.5原子%であることが望ましい。
また、BST結晶粒子9aは、上記のようにAサイトの一部がSrで置換されたペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸バリウムであり、理想的には、(Ba1−xSr)TiOで表される。
本発明において、上記BST結晶粒子9aにおけるAサイト中のSr置換量は、x=0.01〜0.2であることが好ましい。
AサイトにおけるSrの置換量がこの範囲内であれば、室温付近の相転移点が十分低温側にシフトし、BT結晶粒子9bとの共存構造により、積層セラミックコンデンサとして使用する温度範囲において優れた静電容量の温度特性を確保できるからである。
本発明では、誘電体層5の結晶粒子9を構成するBST結晶粒子9aとBT結晶粒子9bとは、上記のようにSr濃度を規定したときの指標に基づく評価において、誘電体層5の断面もしくは表面の結晶組織におけるそれぞれの結晶粒子の面積比で、BST結晶粒子9aの割合をABST、BT結晶粒子9bの割合をABTとしたときに、ABT/ABST=0.1〜3の関係を有する組織的な割合で共存していることが望ましい。
また、本発明における結晶粒子9(BST結晶粒子9aおよびBT結晶粒子9b)の平均粒径は、誘電体層5の薄層化による高容量化と高絶縁性を達成するという点で0.45μm以下が好ましい。一方、BST結晶粒子9aおよびBT結晶粒子9bの粒径の下限値としては誘電体層5の比誘電率を高め、かつ比誘電率の温度依存性を抑制するという理由から、0.1μm以上が好ましい。
また、BST結晶粒子9aおよびBT結晶粒子9bは、いずれもMgおよび希土類元素を含有することを特徴とし、さらには、誘電体層5の耐還元性を高めるという理由からマンガン(以下、Mnという。)を含むものである。
誘電体層5に含まれるMg、希土類元素およびMnの含有量は、結晶粒子(BST結晶粒子9aおよびBT結晶粒子9b)の主成分であるチタン酸バリウムの含有量100モル部に対して、MgがMgOとして0.5〜1モル部、希土類元素がREとして0.5〜1モル部、MnがMnOとして0.1〜0.3モル部であれば、静電容量の温度特性を安定化し、かつ絶縁抵抗が高まり、さらには高温負荷試験での絶縁抵抗の低下を抑制できるという利点がある。
本発明では、特に、BT結晶粒子9bをコアシェル構造の崩れた立方晶性の高いものとするという理由から、結晶粒子9中にバナジウムを含有させて、BT結晶粒子9bの表面のMgおよび希土類元素のそれぞれの含有量に対するBT結晶粒子9bの中央部に含まれるMgおよび希土類元素のそれぞれの含有量の比がBST結晶粒子9aの表面のMgおよび希土類元素のそれぞれの含有量に対するBST結晶粒子9aの中央部に含まれるMgおよび希土類元素のそれぞれの含有量の比よりも大きいことが重要である。
これに対して、誘電体層5中にバナジウムを含有せず、BT結晶粒子9bの表面のMgおよび希土類元素のそれぞれの含有量に対するBT結晶粒子9bの中央部に含まれるMgおよび希土類元素のそれぞれの含有量の比がBST結晶粒子9aの表面のMgおよび希土類元素のそれぞれの含有量に対するBST結晶粒子9aの中央部に含まれるMgおよび希土類元素のそれぞれの含有量の比と同等かもしくは、その比が小さい場合には、BT結晶粒子9bはコアシェル構造が維持されるため正方晶性が高くなり、BT結晶粒子9bおよびBST結晶粒子9aがともにコアシェル構造を維持した状態のままである。このため積層セラミックコンデンサは本焼成(還元焼成)後の絶縁抵抗が低いものとなる。尚、BT結晶粒子9bおよびBST結晶粒子9aの中央部とは実施例に基づくとこれらの結晶粒子の表面から60nm以上深い領域である。
図2(a)は、本発明の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層におけるBT結晶粒子中のMgおよびYの濃度分布を示すグラフ、(b)は本発明の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層におけるBST結晶粒子中のMgおよびYの濃度分布を示すグラフである。この例は後述する実施例における試料No.5について評価したものである。結晶粒子9中のMgおよび希土類元素の濃度は透過電子顕微鏡およびそれに付設の分析装置(EPMA)により分析する。この場合、選択した結晶粒子9の表面から内部にかけて5nm間隔でEDXによる元素分析を行い濃度分布を求めることで各結晶粒子9中におけるMgおよび希土類元素のそれぞれの濃度を求めることができる。図2のグラフでは粒界からの距離として0nmが結晶粒子の表面であり、グラフの一方の端のプロット点が結晶粒子の中心部である。
図2から明らかなように、本発明の積層セラミックコンデンサにおける誘電体層5を構成するBT結晶粒子9bはBST結晶粒子9aに比較して、結晶粒子に含まれるMgおよびY元素の含有量が多く、かつ結晶粒子の表面から中心部にかけてMgおよびYの濃度変化が緩やかである。一方、BST結晶粒子9aは結晶粒子の表面から中心部におけるMgおよびYの濃度変化が大きい。このことからBT結晶粒子9bではBST結晶粒子9bに比較してMgおよびYがBT結晶粒子9bの内部まで固溶しているためBT結晶粒子9bにおけるコアシェル構造が崩れた状態となっている。一方、BST結晶粒子9aは上述のように結晶粒子の表面から中心部におけるMgおよびYの濃度変化が大きく、結晶粒子内部におけるMgおよびYの濃度が低いことからコアシェル構造の状態が保たれている。
ここで本発明における希土類元素としては、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Er、Tm、Yb、Lu、Scが選ばれ、このうち少なくとも1種が好ましい。
これに対して、BT結晶粒子9bに含まれるMgおよび希土類元素のいずれかの濃度がBST結晶粒子9aに含まれるMgおよび希土類元素のいずれかの濃度よりも低い場合にはBT結晶粒子9bをコアシェル構造の崩れた立方晶性の高いものとすることが困難となり高絶縁性は図れない。
加えて本発明では、BT結晶粒子9bの平均粒径がBST結晶粒子9aの平均粒径よりも大きいことが望ましい。立方晶性が高いBT結晶粒子9bの平均粒径が大きいことにより、共存するBST結晶粒子9aの粒成長が抑制され、上述のように、BT結晶粒子9bの平均粒径がBST結晶粒子9aの平均粒径よりも大きくなるため誘電体層5の絶縁性をさらに高めることができる。
また本発明では、誘電体層5が、それを構成するBT結晶粒子9bおよびBST結晶粒子9aから構成される複合粒子に含まれるバリウムおよびチタンの酸化物をチタン酸バリウムとして表したときの含有量100モル部に対して、前記バナジウムの含有量が酸化物換算で0.1〜0.4モル部であることが望ましい。誘電体層5中にバナジウムを含有することにより、BCTZ結晶粒子9aの粒成長をさらに抑制できることから還元処理される本焼成後におけるコンデンサ本体の絶縁性をさらに高められるという利点がある。
次に、本発明における積層セラミックコンデンサの製法について詳細に説明する。図3は、本発明における積層セラミックコンデンサの製法を示す工程図である。まず、以下に示す原料粉末をポリビニルブチラール樹脂などの有機樹脂や、トルエンおよびアルコールなどの溶媒とともにボールミルなどを用い混合してセラミックスラリを調製し、次いで、上記セラミックスラリをドクターブレード法やダイコータ法などのシート成形法を用いてセラミックグリーンシート21を基材22上に形成する。セラミックグリーンシート21の厚みは、誘電体層5の高容量化のための薄層化、高絶縁性を維持するという点で1〜4μmが好ましい。
ここではAサイトの一部がSrで置換されたペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸バリウムストロンチウム粉末(以下、BST粉末とする。)とCaを含有していないチタン酸バリウム粉末(以下、BT粉末とする。)を用いる。これらの誘電体粉末はそれぞれBa1−xSrTiOおよびBaTiOで表される。
ここで、上記BST粉末におけるAサイト中のSr置換量は、x=0.01〜0.2であることが好ましい。
また、BST粉末は、その構成成分であるAサイト(Ba、Sr)とBサイト(Ti)との原子比A/Bが1.003以上であることが望ましい。これらBT粉末およびBST粉末は、Ba成分、Sr成分、Ti成分を含む化合物を所定の組成になるように混合して合成される。これらの誘電体粉末は、固相法、液相法(蓚酸塩を介して生成する方法を含む)、水熱合成法などから選ばれる合成法により得られたものである。このうち得られる誘電体粉末の粒度分布が狭く、結晶性が高いという理由から水熱合成法により得られた誘電体粉末が望ましい。
これらBT粉末およびBST粉末の平均粒径は誘電体層5の薄層化を容易にし、かつ誘電体粉末の比誘電率を高めるという点で0.1〜0.4μmであることが望ましい。また、BT粉末はA/Bが1.002以下であることが望ましい。BT粉末のA/B比が1.002以下であると、Mgや希土類元素などの添加剤の固溶を高められるという利点がある。
上記誘電体粉末に添加するMgはBST粉末とBT粉末の混合物である誘電体粉末100モル部に対して、酸化物換算で0.4〜1モル部、希土類元素は上記誘電体粉末100モル部に対して酸化物換算で0.5〜1モル部、およびMnは上記誘電体粉末100モル部に対して酸化物換算で0.1〜0.3モル部であることが好ましい。
また、上記誘電体粉末に添加する焼結助剤は、構成成分として、LiO、SiO、BaOおよびCaOにより構成されるガラス粉末が望ましい。
次に、上記得られたセラミックグリーンシート21の主面上に矩形状の内部電極パターン23を印刷して形成する。内部電極パターン23となる導体ペーストは、Ni、Cuもしくはこれらの合金粉末を主成分金属とし、これに共材としてのセラミック粉末を混合し、有機バインダ、溶剤および分散剤を添加して調製する。金属粉末としては、上記誘電体粉末との同時焼成を可能にし、低コストという点でNiが好ましい。
セラミック粉末としてはCa濃度の低いBT粉末が好ましいが、導体ペーストにセラミックス粉末を含有させることで、本発明の積層セラミックコンデンサを構成する内部電極層7は、この内部電極層を貫通して上下の誘電体層5を接続するように柱状のセラミックスが形成される。これにより誘電体層5と内部電極層7間の剥離を防止できる。
ここで用いるセラミック粉末は、焼成時の柱状のセラミックスの異常粒成長を抑制でき、機械的強度を高くできる。また、内部電極層7に形成される柱状のセラミックスの異常粒成長を抑制することによっても積層セラミックコンデンサの容量温度依存性を小さくできる。内部電極パターン23の厚みは積層セラミックコンデンサの小型化および内部電極パターン23による段差を低減するという理由から1μm以下が好ましい。
なお、本発明によれば、セラミックグリーンシート21上の内部電極パターン23による段差解消のために、内部電極パターン23の周囲にセラミックパターン25を内部電極パターン23と実質的に同一厚みで形成することが好ましい。セラミックパターン25を構成するセラミック成分は、同時焼成での焼成収縮を同じにするという点で前記誘電体粉末を用いることが好ましい。
次に、内部電極パターン23が形成されたセラミックグリーンシート21を所望枚数重ねて、その上下に内部電極パターン23を形成していないセラミックグリーンシート21を複数枚、上下層が同じ枚数になるように重ねて、仮積層体を形成する。仮積層体中における内部電極パターン23は、長寸方向に半パターンずつずらしてある。このような積層工法により、切断後の積層体の端面に内部電極パターン23が交互に露出されるように形成できる。
本発明においては、上記したように、セラミックグリーンシート21の主面に内部電極パターン23を予め形成しておいて積層する工法のほかに、セラミックグリーンシート21を一旦下層側の基材に密着させたあとに、内部電極パターン23を印刷し、乾燥させた後に、その印刷乾燥された内部電極パターン23上に、内部電極パターン23を印刷していないセラミックグリーンシート21を重ねて、仮密着させ、このようなセラミックグリーンシート21の密着と内部電極パターン23の印刷を逐次行う工法によっても形成できる。
次に、仮積層体を上記仮積層時の温度圧力よりも高温、高圧の条件にてプレスを行い、セラミックグリーンシート21と内部電極パターン23とが強固に密着された積層体29を形成できる。
次に、積層体29を、切断線hに沿って、即ち、積層体中に形成されたセラミックパターン29の略中央を、内部電極パターン25の長寸方向に対して垂直方向(図3の(c1)、および図3の(c2))に、内部電極パターン23の長寸方向に平行に切断して、内部電極パターン23の端部が露出するようにコンデンサ本体成形体が形成される。一方、内部電極パターン23の最も幅の広い部分においては、サイドマージン部側にはこの内部電極パターンは露出されていない状態で形成される。
次に、このコンデンサ本体成形体を、所定の雰囲気下で焼成してコンデンサ本体が形成され、場合によっては、このコンデンサ本体1の稜線部分の面取りを行うとともに、コンデンサ本体1の対向する端面から露出する内部電極層7を露出させるためにバレル研磨を施しても良い。本発明の製法において、脱脂は500℃までの温度範囲で、昇温速度が5〜20℃/h、焼成温度は最高温度が1100〜1250℃の範囲、脱脂から最高温度までの昇温速度が200〜500℃/h、最高温度での保持時間が0.5〜4時間、最高温度から1000℃までの降温速度が200〜500℃/h、雰囲気が水素―窒素、焼成後の熱処理(再酸化処理)最高温度が900〜1100℃、雰囲気が窒素であることが好ましい。
次に、このコンデンサ本体1の対向する端部に、外部電極ペーストを塗布して焼付けを行い外部電極1が形成される。また、この外部電極3の表面には実装性を高めるためにメッキ膜が形成される。
まず、原料粉末として、BT粉末、BST粉末((Ba0.95Sr0.05)TiO)、MgO、Y、MnCOおよびVを準備し、これらの各種粉末を表1に示す割合で混合した。これらの原料粉末は純度が99.9%のものを用いた。なお、BT粉末およびBST粉末の平均粒径は、表1の試料No.1〜22についてはいずれも100nmとした。また、試料No.23についてはBT粉末の平均粒径が100nm、BST粉末の平均粒径が150nmのものを用いた。BT粉末のBa/Ti比は1.001とした。焼結助剤はSiO=55、BaO=20、カルシウムO=15、LiO=10(モル%)組成のガラス粉末を用いた。ガラス粉末の添加量はチタン酸バリウム粉末およびBCT粉末100質量部に対して1質量部とした。
次に、これらの原料粉末を直径5mmのジルコニアボールを用いて、溶媒としてトルエンとアルコールとの混合溶媒を添加し湿式混合した。
次に、湿式混合した粉末にポリビニルブチラール樹脂およびトルエンとアルコールの混合溶媒を添加し、同じく直径5mmのジルコニアボールを用いて湿式混合しセラミックスラリを調製し、ドクターブレード法により厚み3μmのセラミックグリーンシートを作製した。
次に、このセラミックグリーンシートの上面にNiを主成分とする矩形状の内部電極パターンを複数形成した。内部電極パターンに用いた導体ペーストはNi粉末の平均粒径が0.3μmのものとし、また、共材としてグリーンシートに用いたチタン酸バリウム粉末をNi粉末100質量部に対して30質量部添加した。
次に、内部電極パターンを印刷したセラミックグリーンシートを360枚積層し、その上下面に内部電極パターンを印刷していないセラミックグリーンシートをそれぞれ20枚積層し、プレス機を用いて温度60℃、圧力10Pa、時間10分の条件で一括積層し、所定の寸法に切断した。
次に、積層成形体を10℃/hの昇温速度で大気中で300℃/hにて脱バインダ処理を行い、500℃からの昇温速度が300℃/hの昇温速度で、水素―窒素中、1150〜1200℃で2時間焼成(本焼成)してコンデンサ本体を作製した。この場合、試料No.11〜13および18については1150℃とし、他は1200℃とした。
また、試料は、続いて300℃/hの降温速度で1000℃まで冷却し、窒素雰囲気中1000℃で4時間再酸化処理をし、300℃/hの降温速度で冷却し、コンデンサ本体を作製した。このコンデンサ本体の大きさは0.95×0.48×0.48mm、誘電体層の厚みは2μmであった。
次に、焼成して得られたコンデンサ本体をバレル研磨した後、コンデンサ本体の両端部にCu粉末とガラスを含んだ外部電極ペーストを塗布し、850℃で焼き付けを行い外部電極を形成した。その後、電解バレル機を用いて、この外部電極の表面に、順にNiメッキ及びSnメッキを行い、積層セラミックコンデンサを作製した。
次に、これらの積層セラミックコンデンサについて以下の評価を行った。静電容量は周波数1.0kHz、測定電圧1Vrmsの測定条件で行った。絶縁抵抗は還元処理である本焼成後のコンデンサ本体に外部電極を形成したもの、再酸化処理後に外部電極を形成したものについて評価した。
高温負荷試験は温度140℃、電圧30V、100時間放置後の絶縁抵抗を測定して評価した。これらはすべて試料数は30個とした。
また、誘電体層を構成するBT結晶粒子とBST結晶粒子の平均粒径は走査型電子顕微鏡(SEM)により求めた。研磨面をエッチングし、電子顕微鏡写真内の結晶粒子を任意に20個選択し、インターセプト法により各結晶粒子の最大径を求め、それらの平均値を求めた。
Ca濃度については透過電子顕微鏡およびEDSを用いて中心部近傍の任意の場所を分析した。その際、Ca濃度が0.4原子%よりも高いもの(小数点2位四捨五入)をCa濃度の高い結晶粒子とした。この分析は結晶粒子100〜150個について行った。実施例に用いた試料では用いた原料粉末の状態が維持されていた。
結晶粒子中のMgおよび希土類元素の濃度は透過電子顕微鏡およびそれに付設の分析装置(EPMA)により分析した。この場合、選択した結晶粒子の表面から内部にかけて5nm間隔でEDXによる元素分析を行い濃度分布を求めることで各結晶粒子中におけるMgおよび希土類元素のそれぞれの濃度を求めた。結晶粒子の表面と中心部の濃度比を求めた。結晶粒子の中心部はアスペクト比が1.3以下の結晶粒子を選択し、そのような結晶粒子について縦横2方向からの交点付近とした。結果を表1に示す。
Figure 0004753860
表1の結果から明らかなように、誘電体層がBT結晶粒子とBST結晶粒子とから構成され、BT結晶粒子の表面のMgおよび希土類元素のそれぞれの含有量に対するBT結晶粒子の中央部に含まれるMgおよび希土類元素のそれぞれの含有量の比がBST結晶粒子の表面のMgおよび希土類元素のそれぞれの含有量に対するBST結晶粒子の中央部に含まれるMgおよび希土類元素のそれぞれの含有量の比よりも多く含有する試料では、本焼成後においても絶縁抵抗が10Ω以上となり、また、高温負荷試験100時間後の絶縁抵抗も8×10Ω以上となり高絶縁性を示した。
複合粒子中のチタン酸バリウムの含有量を100モル部としたときにバナジウムの含有量を酸化物換算で0.1〜0.4モル部含有する試料No.3〜7では、高温負荷試験100時間後の絶縁抵抗が1×10Ω以上であった。
これに対して、誘電体層がBT結晶粒子とBST結晶粒子とから構成されていない試料(試料No.9、10)およびVを添加していない試料No.1では本焼成後の絶縁抵抗が測定不能であった。
(a)は、本発明の積層セラミックコンデンサを示す概略断面図である。(b)は誘電体層を構成する主結晶粒子と粒界相を示す拡大模式図である。 (a)は、本発明の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層におけるBT結晶粒子中のMgおよびYの濃度分布を示すグラフ、(b)は本発明の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層におけるBST結晶粒子中のMgおよびYの濃度分布を示すグラフである。 本発明における積層セラミックコンデンサの製法を示す工程図である。
符号の説明
1 コンデンサ本体
3 外部電極
5 誘電体層
7 内部電極層
9 結晶粒子
9a BST結晶粒子
9b BT結晶粒子
21 セラミックグリーンシート
23 内部電極パターン
25 セラミックパターン
29 積層体

Claims (3)

  1. ストロンチウム濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウム結晶粒子およびストロンチウム濃度が0.4原子%以上であるチタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子により構成される誘電体層と、内部電極層とが交互に積層されている積層セラミックコンデンサにおいて、前記チタン酸バリウム結晶粒子および前記チタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子がマグネシウム、希土類元素およびバナジウムを含有するとともに、前記チタン酸バリウム結晶粒子の表面のマグネシウムおよび希土類元素のそれぞれの含有量に対する前記チタン酸バリウム結晶粒子の中央部に含まれるマグネシウムおよび希土類元素のそれぞれの含有量の比が前記チタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子の表面のマグネシウムおよび希土類元素のそれぞれの含有量に対する前記チタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子の中央部に含まれるマグネシウムおよび希土類元素のそれぞれの含有量の比よりも大きいことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記チタン酸バリウム結晶粒子の平均粒径が前記チタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子の平均粒径よりも大きい請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. 前記誘電体層は前記チタン酸バリウム結晶粒子および前記チタン酸バリウムストロンチウム結晶粒子に含まれるバリウムおよびチタンの酸化物をチタン酸バリウムとして表したときの含有量100モル部に対して、前記バナジウムの含有量が酸化物換算で0.1〜0.4モル部である請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。

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