以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る携帯無線機100の開いた状態の平面図である。
携帯無線機100は、第1の筐体101と、第2の筐体102と、第3の筐体103と、第1のヒンジ部104と、第2のヒンジ部105と、第3のヒンジ部106と、第4のヒンジ部107と、回路基板108と、回路基板109と、回路基板110と、無線回路111と、無線回路112と、第1の給電部113と、第2の給電部114と、第1の信号接続ケーブル115と、第2の信号接続ケーブル116とから主に構成される。
第1の筐体101は、平面視矩形状であり、第1のヒンジ部104及び第2のヒンジ部105により図1のY方向(第1の筐体101の平面側と第2の筐体102の平面側とが対向する方向及び離れる方向)に回動自在に第2の筐体102に連結される。また、第1の筐体101は、回路基板108を有する。
第2の筐体102は、第1のヒンジ部104及び第2のヒンジ部105により図1のY方向に回動自在に第1の筐体101に連結される。また、第2の筐体102は、第3のヒンジ部106及び第4のヒンジ部107により図1のX方向(第2の筐体102の平面側と第3の筐体103の平面側とが対向する方向及び離れる方向)に回動自在に第3の筐体103に連結される。また、第2の筐体102は、無線回路111と、無線回路112と、第1の給電部113と、第2の給電部114とを設けた回路基板109を有する。
第3の筐体103は、第3のヒンジ部106及び第4のヒンジ部107により図1のX方向に回動自在に第2の筐体102に連結される。また、第3の筐体103は、回路基板110を有する。
第1のヒンジ部104は、第1の筐体101に固定され、導電性を有する材料により形成される。また、第1のヒンジ部104は、第2のヒンジ部105と回動可能に連結し、第1の筐体101に対して、第2のヒンジ部105を介して、回動軸P1を中心にして、第2の筐体102を回動可能にする。また、第1のヒンジ部104は、第2のヒンジ部105及び回路基板108のグランド部と電気的に接続する。
第2のヒンジ部105は、第2の筐体102に固定され、導電性を有する材料により形成される。また、第2のヒンジ部105は、第1のヒンジ部104と回動可能に連結し、第2の筐体102に対して、第1のヒンジ部104を介して、回動軸P1を中心にして、第1の筐体101を回動可能にする。また、第2のヒンジ部105は、第1のヒンジ部104と電気的に接続する。また、第2のヒンジ部105は、第1の給電部113と電気的に接続する。
第3のヒンジ部106は、第2の筐体102の第2のヒンジ部105が接続する辺と交わる辺において第2の筐体102に固定され、導電性を有する材料により形成される。また、第3のヒンジ部106は、第4のヒンジ部107と回動可能に連結し、第2の筐体102に対して、第4のヒンジ部107を介して、回動軸P2を中心にして、第3の筐体103を回動可能にする。また、第3のヒンジ部106は、第4のヒンジ部107と電気的に接続する。また、第3のヒンジ部106は、第2の給電部114と電気的に接続する。
第4のヒンジ部107は、第3の筐体103に固定され、導電性を有する材料により形成される。また、第4のヒンジ部107は、第3のヒンジ部106と回動可能に連結し、第3の筐体103に対して、第3のヒンジ部106を介して、回動続P2を中心にして、第2の筐体102を回動可能にする。また、第4のヒンジ部107は、第3のヒンジ部106及び回路基板110のグランド部と電気的に接続する。
回路基板108は、第1の筐体101に設けられ、図示しないグランド部が底面側の全面に渡って印刷形成される。また、回路基板108のグランド部は、第1のヒンジ部104と電気的に接続する。なお、回路基板108のグランド部は、印刷形成する場合に限らず、回路基板108と別体にしても良い。
回路基板109は、無線回路111と、無線回路112と、第1の給電部113と、第2の給電部114とを有する。また、回路基板109は、第2の筐体102に設けられ、図示しないグランド部が底面側の全面に渡って印刷形成される。なお、回路基板109のグランド部は、印刷形成する場合に限らず、回路基板109と別体にしても良い。
回路基板110は、第3の筐体103に設けられ、図示しないグランド部が底面側の全面に渡って印刷形成される。また、回路基板110のグランド部は、第4のヒンジ部107と電気的に接続する。なお、回路基板110のグランド部は、印刷形成する場合に限らず、回路基板110と別体にしても良い。
回路基板108と別体のグランド部、回路基板109と別体のグランド部、または回路基板110と別体のグランド部は、シールドケース、樹脂に蒸着されたメッキ、基板を補強する板金など、導電性を有する材料により形成されているものであれば、いずれでも構成可能である。
無線回路111は、回路基板109の第2のヒンジ部105側に設けられ、回路基板109のグランド部と電気的に接続する。また、無線回路111は、第1の給電部113と電気的に接続する。
無線回路112は、回路基板109の第3のヒンジ部106側に設けられ、回路基板109のグランド部と電気的に接続する。また、無線回路112は、第2の給電部114と電気的に接続する。
第1の給電部113は、回路基板109に設けられ、無線回路111と電気的に接続する。また、第1の給電部113は、第2のヒンジ部105と電気的に接続する。
第2の給電部114は、回路基板109に設けられ、無線回路112と電気的に接続する。また、第2の給電部114は、第3のヒンジ部106と電気的に接続する。
第1の信号接続ケーブル115は、回路基板108と回路基板109との間で信号を伝送する。また、第1の信号接続ケーブル115は、回路基板108のグランド部と回路基板109のグランド部とを電気的に接続する。また、第1の信号接続ケーブル115は、第1の給電部113から所定距離r1を設けて配置される。ここで、距離r1は、第1の信号接続ケーブル115が第1の給電部113により電気的な影響を受けない距離である。なお、第1の信号接続ケーブル115は、接地されるので、第1の給電部113の近傍に配置した場合には、第1の給電部113により電界を形成することが困難になる。
第2の信号接続ケーブル116は、回路基板109と回路基板110との間で信号を伝送する。また、第2の信号接続ケーブル116は、回路基板109のグランド部と回路基板110のグランド部とを電気的に接続する。また、第2の信号接続ケーブル116は、第2の給電部114から所定距離r2を設けて配置される。ここで、距離r2は、第2の信号接続ケーブル116が第2の給電部114により電気的な影響を受けない距離である。なお、第2の信号接続ケーブル116は、接地されるので、第2の給電部114の近傍に配置した場合には、第2の給電部114により電界を形成することが困難になる。
次に、携帯無線機100の開閉動作について、図1を用いて説明する。
第1の筐体101と第2の筐体102と第3の筐体103とが上下方向に重なり合う図示しない閉じた状態において、回動軸P1を中心にして第2の筐体102を図1のY2方向へ回動させ、続けて回動軸P2を中心にして第3の筐体103を図1のX1方向へ回動させることにより図1の開いた状態になる。
また、図1の開いた状態において、回動軸P2を中心にして第3の筐体103を図1のX2方向に回動させ、続けて回動軸P1を中心にして第2の筐体102を図1のY1方向に回動させることにより閉じた状態になる。
次に、携帯無線機100におけるアンテナ電流の流れについて、図2及び図3を用いて説明する。図2は、第1の給電部113から給電されるダイバーシチアンテナの構成を示す図である。また、図3は、第2の給電部114から給電されるダイバーシチアンテナの構成を示す図である。
図2より、第1の給電部113から給電されるダイバーシチアンテナの場合には、第1の給電部113は、第2のヒンジ部105及び第1のヒンジ部104を介して回路基板108のグランド部に給電する。この結果、回路基板108のグランド部において、図2の下方向へ向かってアンテナ電流e1が流れる。さらに、回路基板109のグランド部において、図2の下方向へ向かって筐体電流b1が流れる。回路基板109のグランド部に流れる筐体電流b1の一部の電流b1′は、第2の信号接続ケーブル116を経由して回路基板110のグランド部にも流れることで、グランド部として動作するエリアを大きくすることができる。
また、図3より、第2の給電部114から給電されるダイバーシチアンテナの場合には、第2の給電部114は、第3のヒンジ部106及び第4のヒンジ部107を介して回路基板110のグランド部に給電する。この結果、回路基板110のグランド部において、図3の左方向へ向かってアンテナ電流e2が流れる。さらに、回路基板109のグランド部において、図3の左方向へ向かって筐体電流b2が流れる。回路基板109のグランド部に流れる筐体電流b2の一部の電流b2′は、第1の信号接続ケーブル115経由して回路基板108のグランド部にも流れることで、グランド部として動作するエリアを大きくすることができる。
本実施の形態によれば、アンテナ電流e1及び筐体電流b1及び筐体電流b1′と、アンテナ電流e2及び筐体電流b2及び筐体電流b2′とにより、アンテナ長が同じで電流分布の異なる2つのアンテナ系を構成することができ、ダイバーシチ効果を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、支配的なアンテナ電流e1及び筐体電流b1とアンテナ電流e2及び筐体電流b2とは互いに直交する方向に流れるので、偏波ダイバーシチ効果を得ることができる。
このように、本実施の形態によれば、第1の筐体と第2の筐体とを連結するヒンジ部、及び第2の筐体と第3の筐体とを連結するヒンジ部の2つのヒンジ部に対して各々給電することにより、筐体内部において2つのダイポールアンテナを構成することができる。これにより、筐体内部において、等しい性能を有する複数のアンテナを構成することができ、ダイバーシチアンテナまたはMIMO通信用のアンテナを構成することができる。また、本実施の形態によれば、各ダイバーシチアンテナにおいて、互いに直交する方向にアンテナ電流を流すことができるので、偏波ダイバーシチ効果を得ることができる。また、本実施の形態によれば、給電部と信号接続ケーブルとを所定距離離して配置するので、ノイズの発生等の給電部による信号接続ケーブルに対する影響をなくすることができる。また、本実施の形態によれば、互いに距離が離れている第1の筐体の回路基板のグランド部と第3の筐体の回路基板のグランド部に各々給電してダイポールアンテナを構成することにより、各ダイポールアンテナの距離を離すことができ、相関を下げることができるので、ダイバーシチアンテナにおけるアンテナ性能を良好にすることができる。さらに、第1の信号接続ケーブルまたは第2の信号接続ケーブルを経由して流れる筐体電流の影響により、グランド部として動作するエリアを大きくすることができ、ダイポールアンテナを広帯域に動作させることができる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係る携帯無線機400の開いた状態の平面図である。
携帯無線機400は、第1の筐体401と、第2の筐体402と、第3の筐体403と、第1のヒンジ部404と、第2のヒンジ部405と、第3のヒンジ部406と、第4のヒンジ部407と、回路基板408と、回路基板409と、回路基板410と、無線回路411と、無線回路412と、第1の給電部413と、第2の給電部414と、第1の信号接続ケーブル415と、第2の信号接続ケーブル416と、同軸ケーブル417とから主に構成される。
第1の筐体401は、平面視矩形状であり、第1のヒンジ部404及び第2のヒンジ部405により図4のY方向(第1の筐体401の平面側と第2の筐体402の平面側とが対向する方向及び離れる方向)に回動自在に第2の筐体402に連結される。また、第1の筐体401は、無線回路411と、無線回路412と、第1の給電部413とを設けた回路基板408を有する。
第2の筐体402は、第1のヒンジ部404及び第2のヒンジ部405により図4のY方向に回動自在に第1の筐体401に連結される。また、第2の筐体402は、第3のヒンジ部406及び第4のヒンジ部407により図4のX方向(第2の筐体402の平面側と第3の筐体403の平面側とが対向する方向及び離れる方向)に回動自在に第3の筐体403に連結される。また、第2の筐体402は、第2の給電部414を設けた回路基板409を有する。
第3の筐体403は、第3のヒンジ部406及び第4のヒンジ部407により図4のX方向に回動自在に第2の筐体402に連結される。また、第3の筐体403は、回路基板410を有する。
第1のヒンジ部404は、第1の筐体401に固定され、導電性を有する材料により形成される。また、第1のヒンジ部404は、第2のヒンジ部405と回動可能に連結し、第1の筐体401に対して、第2のヒンジ部405を介して、回動軸P1を中心にして、第2の筐体402を回動可能にする。また、第1のヒンジ部404は、第1の給電部413と電気的に接続する。
第2のヒンジ部405は、第2の筐体402に固定され、導電性を有する材料により形成される。また、第2のヒンジ部405は、第1のヒンジ部404と回動可能に連結し、第2の筐体402に対して、第1のヒンジ部404を介して、回動軸P1を中心にして、第1の筐体401を回動可能にする。また、第2のヒンジ部405は、第1のヒンジ部404と電気的に接続する。また、第2のヒンジ部405は、回路基板409のグランド部と電気的に接続する。
第3のヒンジ部406は、第2の筐体402の第2のヒンジ部405が接続する辺と交わる辺において第2の筐体402に固定され、導電性を有する材料により形成される。また、第3のヒンジ部406は、第4のヒンジ部407と回動可能に連結し、第2の筐体402に対して、第4のヒンジ部407を介して、回動軸P2を中心にして、第3の筐体403を回動可能にする。また、第3のヒンジ部406は、第4のヒンジ部407と電気的に接続する。また、第3のヒンジ部406は、第2の給電部414と電気的に接続する。また、第3のヒンジ部406は、回路基板409のグランド部と電気的に接続する。
第4のヒンジ部407は、第3の筐体403に固定され、導電性を有する材料により形成される。また、第4のヒンジ部407は、第3のヒンジ部406と回動可能に連結し、第3の筐体403に対して、第3のヒンジ部406を介して、回動軸P2を中心にして、第2の筐体402を回動可能にする。また、第4のヒンジ部407は、第3のヒンジ部406及び回路基板410のグランド部と電気的に接続する。
回路基板408は、無線回路411と、無線回路412と、第1の給電部413とを有する。また、回路基板408は、第1の筐体401に設けられ、図示しないグランド部が底面側の全面に渡って印刷形成される。また、回路基板408のグランド部は、無線回路411及び無線回路412と電気的に接続する。なお、回路基板408のグランド部は、印刷形成する場合に限らず、回路基板408と別体にしても良い。
回路基板409は、第2の給電部414を有する。また、回路基板409は、第2の筐体402に設けられ、図示しないグランド部が底面側の全面に渡って印刷形成される。また、回路基板409のグランド部は、第2のヒンジ部405及び第3のヒンジ部406と電気的に接続する。なお、回路基板409のグランド部は、印刷形成する場合に限らず、回路基板409と別体にしても良い。
回路基板410は、第3の筐体403に設けられ、図示しないグランド部が底面側の全面に渡って印刷形成される。また、回路基板410のグランド部は、第4のヒンジ部407と電気的に接続する。なお、回路基板410のグランド部は、印刷形成する場合に限らず、回路基板410と別体にしても良い。
回路基板408と別体のグランド部、回路基板409と別体のグランド部、または回路基板410と別体のグランド部は、シールドケース、樹脂に蒸着されたメッキ、基板を補強する板金など、導電性を有する材料により形成されているものであれば、いずれでも構成可能である。
無線回路411は、回路基板408に設けられ、回路基板408のグランド部と電気的に接続する。また、無線回路411は、第1の給電部413と電気的に接続する。
無線回路412は、回路基板408に設けられ、回路基板408のグランド部と電気的に接続する。また、無線回路412は、同軸ケーブル417を介して第2の給電部414と電気的に接続する。
第1の給電部413は、回路基板408に設けられ、無線回路411と電気的に接続する。また、第1の給電部413は、第1のヒンジ部404と電気的に接続する。
第2の給電部414は、回路基板409に設けられ、同軸ケーブル417を介して無線回路412と電気的に接続する。また、第2の給電部414は、第3のヒンジ部406と電気的に接続する。
第1の信号接続ケーブル415は、回路基板408と回路基板409との間で信号を伝送する。また、第1の信号接続ケーブル415は、回路基板408のグランド部と回路基板409のグランド部とを電気的に接続する。また、第1の信号接続ケーブル415は、第1の給電部413から所定距離r10を設けて配置される。ここで、距離r10は、第1の信号接続ケーブル415が第1の給電部413により電気的な影響を受けない距離である。なお、第1の信号接続ケーブル415は、接地されるので、第1の給電部413の近傍に配置した場合には、第1の給電部413により電界を形成することが困難になる。
第2の信号接続ケーブル416は、回路基板409と回路基板410との間で信号を伝送する。また、第2の信号接続ケーブル416は、回路基板409のグランド部と回路基板410のグランド部とを電気的に接続する。また、第2の信号接続ケーブル416は、第2の給電部414から所定距離r11を設けて配置される。ここで、距離r11は、第2の信号接続ケーブル416が第2の給電部414により電気的な影響を受けない距離である。なお、第2の信号接続ケーブル416は、接地されるので、第2の給電部414の近傍に配置した場合には、第2の給電部414により電界を形成することが困難になる。
同軸ケーブル417は、無線回路412と第2の給電部414とを電気的に接続する。
次に、携帯無線機400の開閉動作について、図4を用いて説明する。
第1の筐体401と第2の筐体402と第3の筐体403とが上下方向に重なり合う図示しない閉じた状態において、回動軸P1を中心にして第2の筐体402を図4のY2方向へ回動させ、続けて回動軸P2を中心にして第3の筐体403を図4のX1方向へ回動させることにより図4の開いた状態になる。
また、図4の開いた状態において、回動軸P2を中心にして第3の筐体403を図4のX2方向に回動させ、続けて回動軸P1を中心にして第2の筐体402を図4のY1方向に回動させることにより閉じた状態になる。
次に、携帯無線機400におけるアンテナ電流の流れについて、図5及び図6を用いて説明する。図5は、第1の給電部413から給電されるダイバーシチアンテナの構成を示す図である。また、図6は、第2の給電部414から給電されるダイバーシチアンテナの構成を示す図である。
図5より、第1の給電部413から給電されるダイバーシチアンテナの場合には、第1の給電部413は、第1のヒンジ部404及び第2のヒンジ部405を介して回路基板409のグランド部に給電する。さらに、第1の給電部413は、回路基板409のグランド部と、第3のヒンジ部406と、第4のヒンジ部407とを介して回路基板410のグランド部にも給電する。この結果、回路基板409のグランド部において、図5の上方向へ向かってアンテナ電流e10が流れるとともに、回路基板410のグランド部においてアンテナ電流e10の一部の電流e10′が、第2の信号接続ケーブル416を経由して図5の左方向に向かって流れるため、アンテナ部として動作するエリアを大きくすることができる。さらに、回路基板408のグランド部において、図5の上方向へ向かって筐体電流b10が流れる。
また、図6より、第2の給電部414から給電されるダイバーシチアンテナの場合には、第2の給電部414は、第3のヒンジ部406及び第4のヒンジ部407を介して回路基板410のグランド部に給電する。この結果、回路基板410のグランド部において、図6の左方向へ向かってアンテナ電流e11が流れる。さらに、回路基板409のグランド部において、図6の左方向へ向かって筐体電流b11が流れる。回路基板409に流れる筐体電流b11の一部の電流b11′は、第1の信号接続ケーブル415を経由して回路基板408にも流れることで、グランド部として動作するエリアを大きくすることができる。
本実施の形態によれば、支配的なアンテナ電流e10及び筐体電流b10と、アンテナ電流e11及び筐体電流b11とにより、アンテナ長が同じで給電位置及び電流分布の異なる2つのアンテナ系を構成することができ、ダイバーシチ効果を得ることができる。
このように、本実施の形態によれば、第1の筐体と第2の筐体とを連結するヒンジ部、及び第2の筐体と第3の筐体とを連結するヒンジ部の2つのヒンジ部に対して各々給電することにより、筐体内部において2つのダイポールアンテナを構成することができる。これにより、筐体内部において、等しい性能を有する複数のアンテナを構成することができ、ダイバーシチアンテナまたはMIMO通信用のアンテナを構成することができる。また、本実施の形態によれば、給電部と信号接続ケーブルとを所定距離離して配置するので、ノイズの発生等の給電部による信号接続ケーブルに対する影響をなくすることができる。さらに、第1の信号接続ケーブルまたは第2の信号接続ケーブルを経由して流れる電流の影響により、グランド部あるいはアンテナ部として動作するエリアを大きくすることができ、ダイポールアンテナを広帯域に動作させることができる。
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3に係る携帯無線機700の縦開き状態の平面図である。また、図8は、本発明の実施の形態3に係る携帯無線機700の横開き状態の平面図である。
図7及び図8に示す携帯無線機700は、図4に示す実施の形態2に係る携帯無線機400に対して、第2のヒンジ部405の代わりに第2のヒンジ部701を有する。なお、図7及び図8において、図4と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
携帯無線機700は、第1の筐体401と、第2の筐体402と、第3の筐体403と、第1のヒンジ部404と、第3のヒンジ部406と、第4のヒンジ部407と、回路基板408と、回路基板409と、回路基板410と、無線回路411と、無線回路412と、第1の給電部413と、第2の給電部414と、第1の信号接続ケーブル415と、第2の信号接続ケーブル416と、同軸ケーブル417と、第2のヒンジ部701とから主に構成される。
第1の筐体401は、平面視矩形状であり、第1のヒンジ部404及び第2のヒンジ部701により図7のY方向に回動自在に第2の筐体402に連結される。また、第1の筐体401は、第1のヒンジ部404及び第2のヒンジ部701により図8のZ方向に回動自在に第2の筐体402に連結される。また、第1の筐体401は、無線回路411と、無線回路412と、第1の給電部413とを設けた回路基板408を有する。
第2の筐体402は、第1のヒンジ部404及び第2のヒンジ部701により図7のY方向に回動自在に第1の筐体401に連結される。また、第2の筐体402は、第3のヒンジ部406及び第4のヒンジ部407により図7及び図8のX方向に回動自在に第3の筐体403に連結される。また、第2の筐体402は、第1のヒンジ部404及び第2のヒンジ部701により図8のZ方向に回動自在に第1の筐体401に連結される。また、第2の筐体402は、第2の給電部414を設けた回路基板409を有する。
第1のヒンジ部404は、第1の筐体401に固定され、導電性を有する材料により形成される。また、第1のヒンジ部404は、第2のヒンジ部701と回動可能に連結し、第1の筐体401に対して、第2のヒンジ部701を介して、回動軸P1を中心にして、第2の筐体402を図7のY方向に回動可能にするとともに、回動軸P3を中心にして、第2の筐体402を図8のZ方向に回動可能にする。即ち、第1のヒンジ部404は、第2のヒンジ部701を介して、図7のY方向と図8のZ方向の異なる2方向において、第1の筐体401と第2の筐体402とを回動可能にする。また、第1のヒンジ部404は、第1の給電部413と電気的に接続する。
第2のヒンジ部701は、第2の筐体402に固定され、導電性を有する材料により形成される。また、第2のヒンジ部701は、第1のヒンジ部404と回動可能に連結し、第2の筐体402に対して、第1のヒンジ部404を介して、回動軸P1を中心にして、第2の筐体402を図7のY方向に回動可能にするとともに、回動軸P3を中心にして、第2の筐体402を図8のZ方向に回動可能にする。即ち、第2のヒンジ部701は、第1のヒンジ部404を介して、図7のY方向と図8のZ方向の異なる2方向において、第1の筐体401と第2の筐体402とを回動可能にする。また、第2のヒンジ部701は、第1のヒンジ部404と電気的に接続する。また、第2のヒンジ部701は、回路基板409のグランド部と電気的に接続する。
次に、携帯無線機700の開閉動作について説明する。
最初に、縦開き状態における開閉動作について、図7を用いて説明する。
第1の筐体401と第2の筐体402と第3の筐体403とが上下に重なり合った図示しない閉じた状態において、回動軸P1を中心にして第2の筐体402を図7のY2方向へ回動させ、続けて回動軸P2を中心にして第3の筐体403を図7のX1方向へ回動させることにより図7の縦開き状態になる。
また、図7の縦開き状態において、回動軸P2を中心にして第3の筐体403を図7のX2方向に回動させ、続けて回動軸P1を中心にして第2の筐体402を図7のY1方向に回動させることにより閉じた状態になる。
次に、横開き状態における開閉動作について、図8を用いて説明する。
閉じた状態において、回動軸P3を中心にして第2の筐体402を図8のZ1方向へ回動させ、続けて回動軸P2を中心にして第3の筐体403を図8のX1方向へ回動させることにより図8の横開き状態になる。
また、図8の横開き状態において、回動軸P2を中心にして第3の筐体403を図8のX2方向に回動させ、続けて回動軸P3を中心にして第2の筐体402を図8のZ2方向に回動させることにより閉じた状態になる。
次に、携帯無線機700におけるアンテナ電流の流れについて、図9及び図10を用いて説明する。図9は、横開き状態の場合の第1の給電部413から給電されるダイバーシチアンテナの構成を示す図である。また、図10は、横開き状態の場合の第2の給電部414から給電されるダイバーシチアンテナの構成を示す図である。なお、縦開き状態の場合のアンテナ電流の流れは図5及び図6と同一であるので、その説明を省略する。
図9より、第1の給電部413から給電されるダイバーシチアンテナの場合には、第1の給電部413は、第1のヒンジ部404及び第2のヒンジ部701を介して回路基板409のグランド部に給電する。この結果、回路基板409のグランド部において、図9の上方向へ向かってアンテナ電流e20が流れるとともに、回路基板408のグランド部において、図9の左方向に向かって筐体電流b20が流れる。回路基板409のグランド部に流れるアンテナ電流e20の一部の電流e20′は、第1の信号接続ケーブル416を経由して回路基板410のグランド部にも流れることで、アンテナ部として動作するエリアを大きくすることができる。
また、図10より、第2の給電部414から給電されるダイバーシチアンテナの場合には、第2の給電部414は、第3のヒンジ部406及び第4のヒンジ部407を介して回路基板410のグランド部に給電する。この結果、回路基板410のグランド部において、図10の上方向へ向かってアンテナ電流e21が流れる。さらに、回路基板409のグランド部において、図10の上方向へ向かって筐体電流b21が流れる。回路基板409のグランド部に流れる筐体電流b21の一部の電流b21′は、第1の信号接続ケーブル415を経由して回路基板408にも流れることで、グランド部として動作するエリアを大きくすることができる。
本実施の形態によれば、支配的なアンテナ電流e20及び筐体電流b20と、アンテナ電流e21及び筐体電流b21とにより、アンテナ長が同じで電流分布の異なる2つのアンテナ系を構成することができ、ダイバーシチ効果を得ることができる。
このように、本実施の形態によれば、第1の筐体と第2の筐体とを連結するヒンジ部、及び第2の筐体と第3の筐体とを連結するヒンジ部の2つのヒンジ部に対して各々給電することにより、筐体内部において2つのダイポールアンテナを構成することができる。これにより、縦開き状態と横開き状態の2つの開いた状態になり得る携帯無線機の筐体内部において、等しい性能を有する複数のアンテナを構成することができ、ダイバーシチアンテナまたはMIMO通信用のアンテナを構成することができる。また、本実施の形態によれば、給電部と信号接続ケーブルとを所定距離離して配置するので、ノイズの発生等の給電部による信号接続ケーブルに対する影響をなくすることができる。さらに、第1の信号接続ケーブルまたは第2の信号接続ケーブルを経由して流れる電流の影響により、グランド部あるいはアンテナ部として動作するエリアを大きくすることができ、ダイポールアンテナを広帯域に動作させることができる。
なお、本実施の形態において、2つの無線回路及び第1の給電部を第1の筐体に設けたが、本実施の形態はこれに限らず、2つの無線回路と第1の給電部と第2の給電部とを第2の筐体に設けても良い。この場合には、縦開き状態の場合に、偏波ダイバーシチ効果を得ることができる。
上記の実施の形態1〜実施の形態3において、各筐体同士を2つのヒンジ部により回動自在に各々連結したが、本発明はこれに限らず、各筐体同士を1つのヒンジ部により回動自在に各々連結しても良い。また、上記の実施の形態1〜実施の形態3において、第1の筐体または第2の筐体に無線回路または給電部を設けたが、本発明はこれに限らず、第3の筐体に無線回路または給電部を設けて、ダイバーシチアンテナを構成しても良い。