JP4750440B2 - 孔版印刷用エマルションインキ - Google Patents

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Description

本発明は、保存安定性に優れた油中水型(W/O型)の孔版印刷用エマルションインキに関する。
従来より、孔版印刷方法は、穿孔部を有する孔版印刷原紙(孔版)を用い、この孔版の穿孔部を介して孔版の一方の側より他方の側にインキを移動させることにより、紙などの被印刷物面に印刷を行う方法である。この孔版印刷方法で使用するインキとしては、シアン、マゼンタ、イエローのいわゆるプロセスカラーの顔料や染料を混合して用いることにより、ほとんどの色調のインキを網羅できる。
ところで、近年、孔版印刷機を使用するユーザーから、様々な色のインキに対する要望が増加しており、例えば、灰色の他に、より淡い色である淡灰色など、白色顔料を使用する色への要望も増加している。
前記白色顔料としては、殆どの場合、耐候性に有利な観点から酸化チタンが使用されているが、これらの酸化チタンを使用したW/O型エマルションインキでは、密度の高い酸化チタンの沈殿が比較的速いため、この沈殿によるインキ分離が生じ易く、保存安定性に欠けるという問題がある。
また輪転孔版印刷機用インキにおいて、環境により優しく安全性に優れたものが求められており、VOCの少ない植物油、あるいは植物油から合成された樹脂、活性剤の使用が望まれている。
しかしながら、前記植物系材料は、エマルジョンインキを構成する他の材料との相溶性が悪く、また光化学活性により酸化チタンが変質することにより、他の顔料や植物油などの不飽和脂肪酸を含有する成分が影響され、インキの分離や変質が生じて保存安定性に欠けるという問題がある。
一方、前記インキ安定性の向上の観点から、ルチル型酸化チタンを使用したものが開示されているが(特許文献1)、この場合も、光化学活性による酸化チタンの変質が生じる可能性があるし、環境性については何ら開示がない。また、W/Oエマルションインキの油分離を防止する観点から、水酸化物で表面処理されたルチル型酸化チタンを使用した提案(特許文献2)がされているが、この場合、光化学活性による酸化チタンの変質について、及び酸化チタンの表面処理の規定についての開示はないし、植物油などの不飽和脂肪酸を含有する成分との併用などについての開示もない。また、アルミなどの金属で被覆処理されたアナターゼ型酸化チタンを使用した顔料及びこれを用いた組成物についての提案(特許文献3)もされているが、この場合は、W/Oエマルションインキ及びその劣化改善についての開示は何らされていない。
したがって、酸化チタンを含んでいても、環境性及びインキの分離に対する安定性に優れ、長期間に亘って安定である孔版印刷用エマルションインキは未だ得られておらず、その速やかな開発が望まれているのが現状である。
特開2002−47439号公報 特開平11−1651号公報 特開2004−83904号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、環境性に優れ、インキの分離に対する安定性を向上させることができる孔版印刷用エマルションインキを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。即ち、酸化チタンは密度が高く(約4.0g/cm)、顔料沈降が比較的早いことがインキ安定性に影響すると考えられる。他方で酸化チタンは光化学活性をもつこと、及び併用するオイル、樹脂、あるいは顔料にも影響することが知られており、前記オイル、樹脂の場合には、不飽和脂肪酸を含むほど光化学活性により変質する。
上記酸化チタンの影響の結果、W/O型エマルションインキの安定性にも悪影響を与えていることが考えられる。
そこで、本発明者等は、使用する酸化チタンをAl、Si、Ti、Zn、ZR、及びSbの酸化物の中から選択される少なくとも1種類の表面処理剤によって表面処理されたルチル型酸化チタンを使用すると、経時でのW/O型エマルションインキの安定性が大幅に改善される知見を得た。
これは、上記表面処理剤が光吸収層として寄与し、酸化チタンの光化学活性を緩和していることに起因すると考えられる。
また、酸化チタンを油相に分散する場合には主要表面処理剤として、Alで表面処理されたルチル型酸化チタンを用いることで、更にW/O型孔版印刷用エマルションインキの安定性に改善が見られるという知見を得た。
これは、酸化チタンをAlで表面処理することで、油層での酸化チタン自身の分散が良好となり、W/O型孔版印刷用エマルションインキの安定性にも良い影響を与えているものと考えられる。
また、上記孔版印刷用エマルションインキをアルミ蒸着、及び印刷の少なくともいずれかを施された可撓性バック、及びボトルなど、遮光性材料で形成した容器に収容することにより、遮光性が向上し、インキ中の酸化チタンの光化学特性が緩和されることから、W/O型孔版印刷用エマルションインキの安定性が更に改善できることが知見された。
また、前記容器を更に遮光性材料で形成した外側容器に収容することにより、酸化チタンの光化学特性を更に緩和できることが知見された。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、該油相中にAl、Si、Ti、Zn、ZR、及びSbの酸化物の中から選択される少なくとも1種の表面処理剤によって表面処理されているルチル型酸化チタンを含むことを特徴とする孔版印刷用エマルションインキである。該<1>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、上記Al、Si、Ti、Zn、ZR、及びSbの酸化物の中から選択される少なくとも1種の表面処理剤が、光吸収層として寄与し、酸化チタンの光化学活性を緩和して、孔版印刷用エマルションインキの保存安定性の向上が図られる。
<2> ルチル型酸化チタンの含有量が、インキ総質量に対し2〜18質量%である前記<1>に記載の孔版印刷用エマルションインキである。該<2>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、油相中での酸化チタンの分散性が良好で、インキ安定性の向上が図られる。
<3> 表面処理剤が、Alを含む前記<1>から<2>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキである。該<3>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、酸化チタンの表面処理剤として、Alを主要に使用することにより、油相での酸化チタン自身の分散が良好となり、孔版印刷用エマルションインキの安定性の更なる改善が図られる。
<4> 油相中に、不飽和脂肪酸を含む成分を含んでなる前記<1>から<3>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキである。該<4>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、不飽和脂肪酸を含む成分によるルチル型酸化チタンの光化学活性による変質が生じにくく、インキ安定性の向上が図られると共に、環境性に優れる。
<5>前記<1>から<5>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキが、遮光性材料で形成された容器に収容されてなることを特徴とする孔版印刷用インキ製品である。該<5>に記載の孔版印刷用インキ製品においては、遮光性が向上し、インキ中の酸化チタンの光化学特性が緩和されることで、孔版印刷用エマルションインキの安定性の向上が図られる。
<6> 容器の光の透過率が0%超であり、該容器が、遮光性材料で形成された外側容器に収容されてなる前記<5>に記載の孔版印刷用エマルションインキ製品である。該<6>に記載の孔版印刷用エマルションインキ製品においては、容器が100%の遮光性を有しない場合でも、外側容器に収容することで、遮光性を向上させることができ、酸化チタンの光化学特性の緩和効果が高まり、充填した孔版印刷用エマルションインキの安定性の更なる向上が図られる。
<7> 遮光性材料が、金属、紙、ポリマー、ガラス、及びセラミックスから選択される少なくとも1種である前記<5>から<6>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキ製品である。
本発明によれば、従来における問題を解決することができ、酸化チタンの光化学活性を抑制し、環境性に優れ、インキの分離に対する安定性を向上させることができる孔版印刷用エマルションインキを提供することができる。
(孔版印刷用エマルションインキ)
本発明の孔版印刷用エマルションインキは、油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、該油相中にAl、Si、Ti、Zn、ZR、及びSbの酸化物の中から選択される少なくとも1種類の表面処理剤によって表面処理されているルチル型酸化チタンを含んでなり、かつ更に必要に応じて不飽和脂肪酸を含む成分、酸化チタン以外の顔料、及びその他の成分を含有してなる。
この場合、前記孔版印刷用エマルションインキとしては、油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含むのが好ましく、油相20〜40質量%及び水相60〜80質量%を含むのがより好ましい。
前記油相の混合割合が、10質量%未満であると、インキ安定性が悪く、特に水分離が発生し易くなることがあり、90質量%を超えると、インキ安定性が悪く、特に油分離が発生し易くなることがある。
<油相>
前記油相は、着色剤として、Al、Si、Ti、Zn、ZR、及びSbの酸化物の中から選択される少なくとも1種類の表面処理剤によって表面処理されているルチル型酸化チタンを含んでなり、更に、不飽和脂肪酸を含む成分を含んでなり、エマルションの形成を妨害しない範囲で必要に応じて、酸化チタン以外の着色剤としての顔料、顔料分散剤、ゲル化剤、酸化防止剤、体質顔料などのその他の成分を含有してなる。
−酸化チタン−
本発明で用いられる前記酸化チタンとしては、かつAl、Si、Ti、Zn、ZR、及びSbの酸化物の中から選択される少なくとも1種類の表面処理剤によって表面処理されているルチル型酸化チタンである。
ここで、アナターゼ型酸化チタンは、表面処理を施しても光化学活性が強く、インキ自体の劣化を促進するため、W/O型エマルションインキへの使用は好ましくないため、本発明では、光化学活性により変質しにくいルチル型酸化チタンを使用している。
前記表面処理剤としては、Alを主要な表面処理剤として含むのが好ましい。
前記表面処理剤が、光吸収層として寄与し、酸化チタンの光化学活性を緩和して、孔版印刷用エマルションインキの保存安定性の向上を図ることができる。
また、前記主要表面処理剤として、Alを使用することにより、油層での酸化チタン自身の分散が良好となり、孔版印刷用エマルションインキの安定性の更なる向上を図ることができる。
前記ルチル型酸化チタンの平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜1.0μmがより好ましい。
前記ルチル型酸化チタンの孔版印刷用エマルションインキにおける含有量としては、前記インキの総質量に対し、2〜18質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
前記含有量が、2質量%未満であると、インキの明度が上がらないことがあり、18質量%を超えても、それ以上明度を上げる効果はなく、また、インキ粘度が高くなり、ポンプによるインキの吸引やインキ吐出量が低くなるなど、装置との相性が悪くなることがある。
また、前記ルチル型酸化チタンの表面処理方法としては、例えば、酸化チタン素材を湿式粉砕し、遠心分離による粗粒分級後に、前記酸化チタンの粒子表面を含水酸化物で被覆することにより行うことができる。
前記ルチル型酸化チタンとしては、市販品を用いることができ、例えば、CR−90(主要表面処理剤がSiO、石原産業製)、CR−50(表面処理剤がAlのみ、石原産業製)、JR−600A、JR−600E(いずれも表面処理剤がAlのみ、テイカ社製)、などが挙げられる。
−酸化チタン以外の顔料−
前記ルチル型酸化チタンと併用される他の顔料としては、特に制限はなく、各種色調の公知の顔料、分散染料などから目的に応じて選択することができ、インキの調色のために、前記油相又は水相に適宜添加することができる。前記顔料としては、例えば、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック類;アルミニウム粉、ブロンズ粉などの金属粉;弁柄、黄鉛、群青、酸化クロム、などの無機顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料などのアゾ系顔料;無金属フタロシアニン顔料、銅フタロシアニン顔料などのフタロシアニン系顔料;アントラキノン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、イソインドリン系色素、ジオキサンジン系色素、スレン系色素、ペリレン系色素、ペリノン系色素、チオインジゴ系色素、キノフタロン系色素、金属錯体などの縮合多環系顔料;酸性又は塩基性染料のレーキなどの有機顔料;ジアゾ染料、アントラキノン系染料などの油溶性染料;蛍光顔料、などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記顔料としてカーボンブラックを油相に添加する場合には、pH5未満の酸性のカーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、例えば、MA−100、MA−7、MA−77、MA−11、#40、#44(いずれも三菱化学株式会社製)、Raven1100、Raven1080、Raven1255、Raven760、Raven410(いずれもコロンビヤンカーボン社製)、などが挙げられる。
前記顔料の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜1.0μmがより好ましい。
前記顔料の孔版印刷用エマルションインキにおける添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インキの総質量に対し、通常2〜15質量%が好ましい。
−不飽和脂肪酸を含む成分など−
前記不飽和脂肪酸を含む成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物油、乳化剤、樹脂、などが挙げられる。
−−植物油−−
前記植物油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、なたね油、サフラワー油、ごま油、ひまし油、脱水ひまし油、つばき油、オリーブ油、やし油、米油、綿実油、パーム油、あまに油、パーム核油、桐油、カメリアオイル、グレープシード油、スイートアルモンド油、ピスタチオナッツ油、ホホバ油、マカデミアンナッツ油、メドウホーム油、などが挙げられ、これらの中でも、ひまし油、パーム油、大豆油が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記植物油以外に、公知の鉱物油、炭化水素系合成油を使用してもよい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記鉱物油としては、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、石油系溶剤、スピンドル油、流動パラフィン、軽油、灯油、マシン油、ギヤー油、潤滑油、モーター油、などが挙げられ、これらの中でも、石油系溶剤、スピンドル油、流動パラフィンが特に好ましい。
前記パラフィン系オイルとしては、市販品を用いることができ、例えば、モービル石油社製のガーゴオイルアークティックシリーズ、新日本石油株式会社製の日石スーパーオイルシリーズ、出光興産株式会社製のダイアナプロセスオイル、ダイアナフレシアシリーズ、などが挙げられる。
前記ナフテン系オイルとしては、環分析によるナフテン成分の炭素含有量(CN)が30%以上であり、芳香族成分の炭素の含有量(CA)が20%以下であり、かつパラフィン成分の炭素含有量(CP)が55%以下であるものが好適であり、例えば、モービル石油社製のガーゴオイルアークティックオイル155及び300ID、ガーゴオイルアークティックオイルライト、ガーゴオイルアークティックオイルCヘビー;出光興産株式会社製のダイアナプロセスオイル、ダイアナフレシアシリーズ;日本サン石油株式会社製のサンセンオイルシリーズ、などが挙げられる。
前記石油系溶剤としては、市販品を用いることができ、例えば、エクソン化学社製のアイソパーシリーズ及びエクソール;新日本石油株式会社製のAFソルベントシリーズ、などが挙げられる。
これらの鉱物油としては、インキの安定性などを考慮した場合、3環以上の縮合芳香族環を含む芳香族炭化水素である多環芳香族成分が、3質量%未満のものを使用することが好ましい。また、前記鉱物油としては、変異原性指数MIが、1.0未満、アロマ分(%C)が20〜55%、アニリン点が100℃以下であって、かつオイル全質量基準でベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[a]ピレン、ジベンゾ[a,j]アクリジン、などの多環芳香族の含有量がそれぞれ10ppm以下であり、かつ合計含有量が、50ppm以下であるのが好ましい。
なお、必要に応じて安全性の高いアロマ系オイル(例えば、特開平11−80640号公報)を使用することもできる。
前記油成分の孔版印刷用エマルションインキにおける添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インキの総質量に対し、5〜80質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
−−乳化剤−−
前記乳化剤としては、不飽和脂肪酸を原料とするグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記乳化剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、などのノニオン系界面活性剤を併用してもよい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記乳化剤は、顔料分散剤として使用することもできる。また、前記乳化剤は、インキ安定性の観点から、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、などのソルビタン系のものが好適に挙げられる。
添前記乳化剤の孔版印刷用エマルションインキにおける添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インキの総質量に対し、1〜8質量%が好ましく、1.5〜5.5質量%がより好ましい。
−−樹脂−−
前記樹脂は、着色剤と被印刷物との固着、着色剤の分散及びインクの経時安定性向上のために添加される。前記樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂などの不飽和脂肪酸で変性されたロジン変性樹脂、アルキド樹脂、などが好適に挙げられる。また、この他にも、ロジン;重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、ロジンポリエステル樹脂、水素化ロジンエステルなどのロジン系樹脂;マレイン酸樹脂;フェノール樹脂;石油樹脂;環化ゴムなどのゴム誘導体樹脂;テルペン樹脂;重合ひまし油、などを併用してもよい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂の添加量としては、インキのコスト及び印刷適正の観点からインキの総質量の10質量%以下が好ましく、1〜7質量%がより好ましい。
前記不飽和脂肪酸の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インキの総質量に対し、1〜35質量%が好ましく、1.5〜30質量%がより好ましい。
このように、不飽和脂肪酸を多く使用しても、本発明で使用する表面処理を施したルチル型酸化チタンでは、光化学活性による変質が生じにくく、インキ安定性が向上するだけでなく、環境性にも優れる。
−顔料分散剤−
前記顔料分散剤としては、エマルションの形成を阻害しないものであれば特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記の乳化剤用ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
前記顔料分散剤としては、更に、アルキルアミン系高分子化合物、アルミニウムキレート化合物、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリカルボン酸エステル型高分子化合物、脂肪族系多価カルボン酸、高分子ポリエステルのアミン塩類、エステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩類、長鎖ポリアミノアミドと高分子酸ポリエステルの塩、ポリアミド系化合物、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩類、α-オレフィンスルホン酸塩類、ジオクチルスルホコハク酸塩類、及びアルキド樹脂など、顔料分散能を有する樹脂などを使用することができる。
この他にも、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミン、脂肪族多価カルボン酸、ポリエーテル、エステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩、ポリアミド系化合物、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸塩、ポリエチレンイミン、アルキロールアミン塩、などが挙げられ、インキの保存安定性を阻害しない範囲であればイオン性界面活性剤、両性界面活性剤なども使用することができる。
これらの顔料分散剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記顔料分散剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記顔料の総質量と同量以下が好ましく、前記顔料の総質量の2〜70質量%がより好ましい。
−ゲル化剤−
前記ゲル化剤としては、油相に含まれる樹脂をゲル化してインキの保存安定性、定着性、及び流動性などを向上させる役割を有し、油相中の樹脂と配位結合する化合物が好ましい。該ゲル化剤としては、例えば、Li、Na、K、Al、Ca、Co、Fe、Mn、Mg、Pb、Zn、Zr、などの金属を含む有機酸塩、有機キレート化合物、金属石鹸オリゴマー、などが挙げられる。具体的には、オクチル酸アルミニウムなどのオクチル酸金属塩、ナフテン酸マンガンなどのナフテン酸金属塩、ステアリン酸亜鉛などのステアリン酸塩、アルミニウムジイソプロポキシドモノエチルアセトアセテートなどの有機キレート化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゲル化剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、油相中の樹脂の総質量に対し、15質量%以下が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
−体質顔料−
前記体質顔料としては、滲み防止、粘度調整のために油相、水相、又は両相に添加することができ、無機微粒子及び有機微粒子のいずれかが好ましい。前記無機微粒子としては、例えば、白土、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、ケイソウ土、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム、などが挙げられる。前記有機微粒子としては、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリシロキサン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、又はこれらの共重合体、などが挙げられる。
前記体質顔料としては、具体的には、例えば、アエロジル200、アエロジルR972など(いずれも日本アエロジル社製)、NEW D ORBEN(白石工業社製)、BEN−GEL、S−BEN、ORGANITEなど(いずれも豊順洋行社製)、TIXOGELシリーズ(VP、DS、GB、VG、EZ−100など)、OPTIGEL(日産ガードラー触媒社製)、などが挙げられる。
前記体質顔料の孔版印刷用エマルションインキにおける添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インキ総質量に対し、0.1〜50質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
−酸化防止剤−
前記酸化防止剤は、樹脂などの酸化を防ぎ、インキの粘度の上昇などドラム内での長期放置でのインキの変質を防止できる。該酸化防止剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)、グアヤク脂、クエン酸エステル、抽出トコフェロール、トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール、亜硫酸塩類、チオ硫酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸誘導体、などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インキ総質量に対し、2質量%以下が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましい。
<水相>
前記水相は、エマルションの形成を妨害しない範囲で、水、水溶性高分子化合物、水中油型(O/W型)樹脂エマルション、電解質、防腐剤、防かび剤、水の蒸発抑制剤、水の凍結防止剤、pH調整剤、キレート試薬、消包剤、顔料などを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記水としては、清浄であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水、などを使用することができる。
前記水溶性高分子化合物は、保湿や増粘のために添加され、例えば、天然高分子化合物、半合成高分子化合物、合成高分子化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記天然高分子化合物としては、例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、プルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、などが挙げられる。
前記半合成高分子化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン、などが挙げられる。
前記合成高分子化合物としては、例えば、アクリル酸樹脂およびポリアクリル酸ナトリウムなどの中和物、ポリビニルイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポリN-アクリロイルピロリジンやポリN−イソプロピルアクリルアミドなどのポリN−アルキル置換アクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体及びこれらをアルキル基で部分的に疎水した高分子、などが挙げられる。また、アクリルアミド系ポリマーおよびアクリル系のポリマーに関しては、置換基を部分的にアルキル基で疎水化した共重合タイプのポリマーを使用してもよい。また、ポリエチレンとポリプロピレン又はポリブチレンのブロックコポリマーを用いることもできる。
これらの高分子を分散剤として使用する場合は1g/dLの水溶液の表面張力が65mN/m以下を示すような界面活性能を有する水溶性の合成高分子などを用いるのが好ましい。また、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水溶性高分子化合物の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インキに含まれる水の質量の25質量%以下が好ましく、0.2〜15質量%がより好ましい。
前記水中油型樹脂エマルションとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、合成高分子化合物でも天然高分子化合物でもよい。前記合成高分子化合物としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、などが挙げられる。前記天然高分子化合物としては、孔版印刷用エマルションインキに普通に用いられる油相に添加できる高分子化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、油中水型エマルションインキの安定性を阻害しない範囲であれば、2種以上を併用してもよい。
また、前記水中油型樹脂エマルションの分散方法についても特に制限はなく、分散剤、保護コロイド、界面活性剤を添加していてもよく、またソープフリー乳化重合によって合成したものでもよい。前記水中油型樹脂エマルションの最低造膜温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、40℃以下が好ましい。
前記電解質は、エマルションの安定性を高めるために添加され、エマルションの安定度向上に有効な離液順列が高いイオンで構成された電解質を添加するのが好ましい。離液順列が高い陰イオンとしては、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等であり、離液順列が高い陽イオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンである。ここで添加される電解質としては少なくとも陰イオンか陽イオンの一方が前記イオンよりなる塩が好ましい。従って、前記電解質としては、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、などが挙げられ、これらの中でも、硫酸マグネシウムが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電解質の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水相の総質量の0.1〜2.0質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%がより好ましい。前記添加量が、0.1質量%未満であると、インキ安定性への効果が得られないことがあり、2.0質量%を超えて添加しても、インキ安定性への効果の向上が図れないことがある。
前記防腐剤及び防かび剤は、エマルション内で細菌やかびが繁殖するのを防ぐために添加され、エマルションを長期間保存する場合に有効である。該防腐剤及び防かび剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、サリチル酸、フェノール類、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル等の芳香族ヒドロキシ化合物、及びその塩素化合物、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記防腐剤及び防かび剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インキ中に含まれる水の総質量に対し、3質量%以下が好ましく、0.05〜1.0質量%がより好ましい。
前記水の蒸発抑制剤又は凍結防止剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、低級飽和一価アルコール、グリコール、多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらは、蒸発抑制剤及び凍結防止剤として兼用可能である。
前記低級飽和一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、などが挙げられる。前記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、などが挙げられる。前記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ソルビトール、などが挙げられる。
前記水の蒸発抑制剤又は凍結防止剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インキ中の水の総質量に対し30質量%以下が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。
前記pH調整剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン、などが好適に挙げられる。前記水相に、SiOを主要表面処理剤とするルチル型酸化チタンを分散する場合には、これらのpH調整剤を添加して水相のpHを5〜9に調製するのが好ましい。前記水相のpHが前記範囲からはずれると、前記ルチル型酸化チタンの分散性が損なわれてしまうことがある。
前記キレート試薬は、EDTA等のポリアミノカルボン酸類、クエン酸等のオキシカルボン酸類等の水相中のカチオンイオンと、水溶性キレート化合物を形成するものであり、該水相中カチオンイオンの電解質やアクリル酸樹脂等への影響を防止するために添加することができる。
前記キレート試薬の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水相の総質量に対して0.005〜1.0wt%が好ましく、0.01〜0.50wt%がより好ましい。
前記消包剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、例えば、高級脂肪酸アミド、ポリエチレングリコール、脂肪酸低級アルコールエステル、ポリプロピレングリコール、ジメチルポリシロキサン、などが挙げられる。
前記消包剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水相の総質量に対して、0.1〜1.5wt%が好ましく、0.4〜1.0wt%がより好ましい。前記消泡剤のキャリアーとして、エチレングリコール、低級アルコール等を適宜使用することができる。
本発明の孔版印刷用エマルションインキの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができるが、例えば、常法により油相及び水相液を予め別々に調製し、前記油相中に水相を添加して、ディスパーミキサー、ホモミキサー、高圧ホモジナイザーなどの公知の乳化機内で乳化させることにより製造することができる。具体的には、ルチル型酸化チタン、顔料、不飽和脂肪酸を含む成分、乳化剤及び必要に応じて添加される樹脂などの添加物を三本ロールミルでよく分散させた油を常法で調製し、これに防腐剤又は防かび剤や水溶性高分子化合物などが必要に応じて添加されている水溶液を、徐々に添加して乳化させればよい。
本発明の孔版印刷用エマルションインキとしては、ずり速度20sec−1の時の粘度が、3〜40Pa・sが好ましく、10〜30Pa・sがより好ましい。
以上説明したように、本発明の孔版印刷用エマルジョンインキは、環境性に優れ、インキの分離に対する安定性が向上し、長期にわたって安定なインキを提供できる。本発明の孔版印刷用エマルジョンインキは、輪転孔版印刷機による孔版印刷に好適に用いられる。
(孔版印刷用インキ製品)
本発明の孔版印刷用インキ製品は、本発明の孔版印刷用エマルションインキが、遮光性材料で形成された容器に収容されてなる。
前記遮光性材料で形成された容器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可撓性を有する袋体、ボトルなどが挙げられる。
前記袋体としては、特に制限はなく、所望時にインクの供給が可能であれば、目的に応じて適宜選択することができ、開口部を有していてもよいし、開口部がなく、使用時に破断、穿孔などにより開口してインクを供給可能とするものであってもよい。前記袋体としては、具体的には、LDPE、MDPE、HDPE、EVA、CPP、OPP、PET、PVA、EVOH、PVC、PS、その他の樹脂を単独、或いは2種以上を互いに貼り合わせて積層したパウチパック、樹脂被膜を設けた紙パックなどが挙げられる。
前記ボトルとしては、特に制限はなく、所望時にインクの供給が可能であれば、目的に応じて適宜選択することができ、蓋体を有し、使用時に該蓋体を取り外してインクを供給可能とするものであってもよいし、蓋体がなく、使用時にボトルの一部の破断、穿孔などによりインクを供給可能とするものであってもよい。前記ボトルとしては、PET、PE、PP、PC、ABS、などの樹脂製ボトル、ガラス製ボトル、などが挙げられる。
前記遮光性材料で形成した容器に収容することにより、インキ中のルチル型酸化チタンの光化学特性がより緩和され、インキの安定性の向上が図られる。
前記容器の遮光率としては、50〜100%が好ましく、90〜100%がより好ましい。
前記遮光性材料で形成した容器の光の透過率が0%超、即ち、完全な遮光性(遮光率:100%)を有しない場合は、該容器を、更に遮光性材料で形成された外側容器に収納するのが好ましい。この場合、遮光性が向上して、酸化チタンの光化学特性が更に緩和され、孔版印刷用エマルションインキの安定性の更なる向上を図ることができる。勿論、容器が完全な遮光性を有する場合であっても、取り扱い性、取引形態などに応じて、前記容器を前記外側容器に収容してもよい。
前記容器及び外側容器で使用される遮光性材料としては、遮光性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、紙、ポリマー、ガラス、セラミックスから選択される少なくとも1種で形成するのが好ましい。これらは、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記遮光性材料により、非遮光性材料に遮光性を持たせてもよい。また、遮光性を有するものであれば、公知のものを適宜選択することができ、これらに限定されるものではない。
前記金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミ、ニッケル、などが挙げられる。また、例えば、透明な樹脂にアルミ蒸着を施して遮光性を持たせてもよい。
前記紙としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然パルプ、合成パルプ、などにより形成されたものが挙げられる。また、これらの紙に、樹脂コーティングを施したものや、紙、不透明樹脂、及び前記金属などの積層体なども使用できる。
前記ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然ゴム、合成ゴム、顔料やミクロボイドを含有させて不透明としたLDPE、PET、PE等の樹脂、などが挙げられる。
前記ガラスとしては、顔料やミクロボイドを含有させて不透明としたもの、などが挙げられる。
また、前記透明な樹脂や透明なガラスの表面に、アルミ蒸着を施したり、印刷や塗布などにより着色を施すことにより、不透明として遮光性を持たせたものであってもよい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
[油相組成]
CR−90(白色顔料としてのルチル型酸化チタン、石原産業製、主要表面処理剤;SiO) 7.0質量%
流動パラフィン(鉱物油) 10.9質量%
大豆油(植物油、不飽和脂肪酸を含む成分:脂肪酸組成;C16〜20二重結合1以下の脂肪酸38.4質量%) 13.1質量%
ソルビタンセスキオレート(オレイン酸原料の乳化剤、日光ケミカルズ株式会社製:SO−15、不飽和脂肪酸を含む成分) 4.0質量%
[水相組成]
水(イオン交換水) 58.8質量%
硫酸マグネシウム(電解質) 1.2質量%
グリセリン(凍結防止剤) 5.0質量%
前記組成に基づいて、孔版印刷用エマルションインキを調製した。前記油相の顔料分散体の調製は、前記酸化チタン、ソルビタンセスキオレエート、及び流動パラフィンを、既知の分散機を用いて3本ロールで練肉することで行った。この顔料分散体に、前記大豆油を加えて混合し、油相を調製した。
一方、前記水、硫酸マグネシウム、及びグリセリンを混合して水相を調製した。
次に、前記油相に前記水相を徐々に添加し、ディスパーミキサーで乳化させて、孔版印刷用エマルションインキを調製した。
次に、前記孔版印刷用エマルションインキを、アルミ蒸着、印刷など、遮光手段が何ら施されていないLDPE(低密度ポリエチレン)製のパウチパックに充填した。
(実施例2)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
実施例1において、油相組成中のルチル型酸化チタンCR−90を、CR−50(石原産業製、表面処理剤がAlのみ)7.0質量%に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、孔版印刷用エマルションインキを調製した。
次に、前記孔版印刷用エマルションインキを、アルミ蒸着、印刷など、遮光手段が何ら施されていないLDPE製のパウチパックに充填した。
(実施例3)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
実施例2で得た孔版印刷用エマルションインキを、アルミ蒸着を施すことにより遮光性を持たせたLDPE製のパウチパックに充填した。
(実施例4)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
実施例2で得た孔版印刷用エマルションインキを、アルミ蒸着、印刷など、遮光手段が何ら施されていないLDPE製のパウチパックに充填した。次に、このパウチパックを遮光性を有する紙製ボックス(外側容器)に収容した。
(実施例5)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
実施例1において、油相組成中のルチル型酸化チタンCR−90の添加量を2.1質量%に代え、流動パラフィンの添加量を15.8質量%に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、孔版印刷用エマルションインキを調製した。
次に、前記孔版印刷用エマルションインキを、アルミ蒸着、印刷など、遮光手段が何ら施されていないLDPE製のパウチパックに充填した。
参考例6)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
実施例1において、油相組成中のルチル型酸化チタンCR−90の添加量を17.9質
量%に代え、流動パラフィンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、孔版
印刷用エマルションインキを調製した。
次に、前記孔版印刷用エマルションインキを、アルミ蒸着、印刷など、遮光手段が何ら
施されていないLDPE製のパウチパックに充填した。
(比較例1)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
実施例1において、油相組成中のルチル型酸化チタンCR−90を、KR−310(チタン工業製、表面処理なし)7.0質量%に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、孔版印刷用エマルションインキを調製した。
次に、前記孔版印刷用エマルションインキを、アルミ蒸着、印刷など、遮光手段が何ら施されていないLDPE製のパウチパックに充填した。
(比較例2)
−孔版印刷用エマルションインキの調製−
比較例1で得た孔版印刷用エマルションインキを、アルミ蒸着を施した遮光性を有するLDPE製のパウチパックに充填した。
実施例1〜5、参考例6及び比較例1〜2の孔版印刷用エマルションインキを充填したパウチパックを、60℃で1ヶ月間保存し、前記保存前と保存後の孔版印刷用エマルションインキについて、下記評価を行った。結果を表1に示す。
なお、前記保存後の評価は、孔版印刷用エマルションインキを下記の各評価環境に慣ら
すため、60℃で1ヶ月間保存後に、下記評価環境に1日間保存した後に行った。
<油分離の評価>
前記60℃、1ヶ月間の保存前と保存後の実施例1〜5、参考例6及び比較例1〜2のインキを一定量(g)遠心管に詰め、遠心分離機により20℃、6000Gの条件で2.5時間回転した後、分離した油量(g)を測定し、下記計算式により油分離(質量%)を算出した。算出結果を表1に示す。
<インキ安定性の評価>
前記60℃、1ヶ月間の保存前と保存後の実施例1〜5、参考例6及び比較例1〜2の各インキの外観を、目視により観察した。観察結果を表1に示す。
表1の結果から、表面処理剤により表面処理されたルチル酸化チタンを使用した実施例
1〜5、参考例6の孔版印刷用エマルションインキは、いずれもインキの分離に対する安定性に優れていることが判った。また、大豆油など不飽和脂肪酸を含む成分を主に使用していることにより、安全性及び環境性にも優れたものであることが認められる。また、このような不飽和脂肪酸を含む成分を多く使用していても、Alなどの酸化物で表面処理されたルチル型酸化チタンの光化学活性による変質が抑制され、優れたインキ安定性が得られることが判った。
特に、酸化チタンの表面処理剤として、Alのみを使用したインキでは、実施例
2に示すように、遮光性の低いパウチパックに収容した場合でも、インキ安定性に優れて
いることが判った。また、このインキがアルミ蒸着を施して遮光性を持たせたパウチパッ
クに収容された実施例3では、遮光性が向上して、インキ安定性の向上が図られることが
判った。前記遮光性に優れるパウチパックを、更に遮光性を有する外側容器に収納した実
施例4では、遮光性の更なる向上により、インキ安定性に特に優れていることが判った。
これに対し、表面処理剤による表面処理を何ら施していない酸化チタンを使用した比較
例1〜2では、インキ安定性に乏しいことが判った。なお、比較例2では、インキをアル
ミ蒸着を施して遮光性を持たせたパウチパックに充填したため、比較例1に比べてインキ
安定性は向上したが、実施例1〜5、参考例6に比べて劣るものであった。
本発明の孔版印刷用エマルションインキは、酸化チタンの光化学活性を抑制し、インキの分離に対する安定性が向上し、環境性に優れ、長期にわたって安定なインキを提供でき、輪転孔版印刷機による孔版印刷に好適に用いられる。
また、本発明の孔版印刷用エマルションインキを使用した本発明の孔版印刷用インキ製品は、遮光性に優れ、酸化チタンの光化学活性を更に抑制し、インキの分離に対する安定性が向上し、環境性に優れ、長期にわたって安定なインキを提供でき、輪転孔版印刷機による孔版印刷に好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、該油相中にAl、Si、Ti、Zn、Z、及びSbの酸化物の中から選択される少なくとも1種の表面処理剤によって表面処理されているルチル型酸化チタンを含み、該油相中に、インクの総質量に対し10〜30質量%の流動パラフィンと、かつ不飽和脂肪酸を含む成分である植物油、乳化剤および樹脂の少なくともいずれか一つとを含有することを特徴とする孔版印刷用エマルションインキ。
  2. ルチル型酸化チタンの含有量が、インキ総質量に対し2〜18質量%である請求項1に
    記載の孔版印刷用エマルションインキ。
  3. 表面処理剤が、Alを含む請求項1から2のいずれかに記載の孔版印刷用エマル
    ションインキ。
  4. 不飽和脂肪酸を含む成分が植物油および乳化剤である請求項1から3のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキ。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキが、遮光性材
    料で形成された容器に収容されてなることを特徴とする孔版印刷用インキ製品。
  6. 容器の光透過率が0%超であり、該容器が遮光性材料で形成された外側容器に収容され
    てなる請求項5に記載の孔版印刷用インキ製品。
  7. 遮光性材料が、金属、紙、ポリマー、ガラス、及びセラミックスから選択される少なく
    とも1種である請求項5から6のいずれかに記載の孔版印刷用インキ製品。
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