JP4749621B2 - ノボラックアラルキル樹脂及びその製造方法、並びに該樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低分子ノボラック単位とアラルキル基単位の両構造単位を併せ持つノボラックアラルキル樹脂及びその製造方法、並びに該樹脂組成物に関する。詳しくは、低分子ノボラックの分解を抑制して低分子ノボラック単位とアラルキル基単位の繰り返し構造単位を多くして高分子量化された、ヘキサメチレンテトラミン等との硬化反応が均一で且つ速く進行し、硬化物が優れた耐熱性等を有する、摩擦材、摺動材、成形材料、封止材等の用途に好適なノボラックアラルキル樹脂、及びその製造方法、並びに、自動車、鉄道車両、各種産業機械等の制動に用いられるディスクブレーキパッド、ブレーキライニング、クラッチフェーシング等の摩擦材、電気、電子機器部品、通信機器部品、機械部品等の成形材料の結合材、摺動材等に好適な、硬化反応が速く、優れた耐熱性等を有するノボラックアラルキル樹脂組成物に関する。
【0002】
尚、本発明におけるノボラックとは、酸性触媒の存在下、フェノールとホルムアルデヒド等を反応して得られるフェノール核単位とメチレン基単位の繰り返し構造を有する樹脂を意味する。フェノール核単位の数により、二核体ノボラック、三核体ノボラック等と称す。また、低分子ノボラックとは五核体ノボラック程度までのノボラックを総称する。
【0003】
【従来の技術】
フェノール化合物とp−キシリレングリコールジメチルエーテル等のアラルキル化合物の反応生成物であるフェノール系樹脂は、一般にザイロック樹脂と称され、例えば、特公昭47−15111号公報、特公昭52−14280号公報等に記載されたフェノール核とアラルキル基の繰り返し構造を有したフェノールアラルキル樹脂である。このフェノールアラルキル樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂に比べて、耐熱性、柔軟性、耐吸湿性等に優れた特性を有しており、摩擦材、成形材、封止材等の用途に広く用いられている。しかし、ヘキサメチレンテトラミン等で硬化して使う分野では、樹脂中のフェノール核の割合が少ないため、硬化反応が遅く、その改良が望まれていた。
【0004】
これらの欠点を補うため、特開平4−142324号公報には、酸性触媒の存在下、フェノール類、アラルキル化合物及びホルムアルデヒドを100〜150℃で反応して得られる変性フェノールアラルキル樹脂が提案されている。また、特開平4−173834号公報には、フェノールとノボラック樹脂を併用してP−キシリレングリコールジメチルエーテルと反応させたフェノール系樹脂が開示されている。しかし、これらはいずれも原料としてフェノールを用いるので、上記硬化反応が遅いフェノールアラルキル樹脂部分が含まれるため、硬化速度が不十分であった。また、これら両公報に記載される方法では、いずれも反応時にノボラック樹脂部分が存在しているが、そのノボラック樹脂が高分子量体である場合は、その後の反応で更に著しく高分子量化またはゲル化を起こすため、アラルキル化合物の導入量を多くすることができず、結果として未反応のノボラック樹脂が多くなり、耐熱性が低下するという問題があった。更に、使用する酸性触媒の量が多いため、樹脂中に残留する触媒が分解反応を引き起こし、物性の安定した樹脂が得られないという問題があった。
【0005】
この他、フェノールアラルキル樹脂にノボラック型フェノール樹脂を混合して硬化反応を速くする方法が挙げられるが、この方法ではノボラック型フェノール樹脂が先にヘキサミン等と反応するため、硬化が不均一になるという問題があった。
【0006】
ノボラック、特に低分子ノボラックと酸性触媒を接触させると、分解及び再結合を起こし、フェノールと高分子ノボラックが生成する。そのため、低分子ノボラックを酸性触媒下でアラルキル化合物と反応させる場合も、同様に分解及び再結合反応を伴うので、低分子ノボラックとアラルキル基の繰り返し構造単位が多い安定した反応生成物が得られないという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、二核体ノボラック単位とアラルキル基単位の両構造を併せ持ち、フェノールアラルキル樹脂が本来有する優れた耐熱性を維持しつつ、ヘキサメチレンテトラミン等との硬化反応が速く且つ均一に進行し得るノボラックアラルキル樹脂及びその製造方法、並びに、該ノボラックアラルキル樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
二核体ノボラック単位とアラルキル基単位の繰り返し構造単位を多くして、高分子量化することにより目的とするノボラックアラルキル樹脂が得られる。その際、低分子ノボラックの分解反応を抑制することが重要である。ノボラックは酸性物質の存在下で加熱することにより、分解と再結合が起こりフェノールと高分子量ノボラックが生成する。例えば、アラルキル化合物と反応させる時と同一の酸性触媒の存在下で、同一の温度において、低分子ノボラックの代表である二核体ノボラックを1時間程度加熱すると、およそ8モル%のフェノールが生成し、その2倍モルの二核体ノボラックが失われ、三核体以上の多核体ノボラックが生成する。一方、低分子ノボラックとフェノールについて、アラルキル化合物に対する反応速度を比較すると、低分子ノボラックの方が速い。例えば、二核体ノボラックとフェノールとを同じモル数で混合してアラルキル化合物と反応させると、未反応分はフェノールの方が多くなる。
【0009】
従って、反応系に二核体ノボラックとアラルキル化合物を所定量装入して反応させても、二核体ノボラックの分解が多い場合は、ノボラックとフェノールとアラルキル化合物の三成分の反応となり、得られる樹脂の物性はその分解の程度に依存して所望する値から乖離する。また、反応完結後、分解が進行してフェノールを遊離する場合は、切断された活性残基が他の分子と結合して更に高分子量化する等不安定である。
【0010】
以上のことから、低分子ノボラックとアラルキル基の繰り返し構造単位の多い樹脂を得るための手段としては、低分子ノボラックの分解反応を抑制し、分解の指標である遊離フェノールを極力生成させなくすることが重要である。
【0011】
本発明者らは、上記知見に基づいて鋭意検討した結果、酸性触媒の存在下で、二核体ノボラックを特定量以上含む低分子のノボラックとアラルキル化合物とを反応させるに際して、酸性触媒と原料の低分子ノボラックのみの接触を極力抑えると共に、触媒量を必要最少限にとどめ、更に反応終了後に触媒を中和することにより、分解が抑えられ目的とする樹脂が得られることを見出し、本発明に到った。
即ち、本発明の第1発明は、一般式(1)〔化2〕
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、mは1〜4の整数、nは1〜10000の整数である)で表されるノボラックアラルキル樹脂であって、上記一般式(1)におけるmが1〜4である低分子ノボラック単位に対するmが1である低分子ノボラック単位の割合が少なくとも80重量%、該樹脂の水酸基当量が120〜145g/eq、遊離フェノールの含有量が2重量%以下であるノボラックアラルキル樹脂である。
【0014】
本発明の第2発明は、前記ノボラックアラルキル樹脂の製造方法に係わり、酸性触媒の存在下、二核体ノボラックを90重量%以上含む低分子ノボラック1モルに対しアラルキル化合物0.4〜0.8モルを反応させるに際し、先ず、低分子ノボラックを溶融させて反応温度まで昇温した後、低分子ノボラック及びアラルキル化合物の合計量に対し0.001〜0.05重量%の酸性触媒を添加し、次いで、アラルキル化合物を連続的に添加して反応させ、反応終了後に残存する酸性触媒を中和することを特徴とするノボラックアラルキル樹脂の製造方法である。
【0015】
前記ノボラックアラルキル樹脂の製造方法の好ましい態様として、アラルキル化合物として、p−キシリレングリコールジメチルエーテルを用いる方法、反応温度を130〜160℃の温度範囲で実施する方法、中和剤として、カルシウム、バリウム、マグネシウム等水酸化物、又はこれらの金属水酸化物の混合物を用いる方法が挙げられる。
【0016】
本発明の第3発明は、前記ノボラックアラルキル樹脂80〜95重量%、及びヘキサメチレンテトラミン5〜20重量%を含むノボラックアラルキル樹脂組成物である。該樹脂組成物の特性としては、150℃における90%硬化時間が7〜12分であり、且つ、300℃における240時間保存後の重量保持率が70%以上である。
【0017】
前記樹脂組成物には、用途に応じて、成形用基材、又は溶媒を添加してもよい。成形用基材を添加する場合は、前記樹脂組成物5〜20重量%に対して、補強用繊維、潤滑材、及び充填材から選ばれた少なくとも1種の成形用基材80〜95重量%を添加する。また、溶媒を添加する場合は、前記樹脂組成物30〜70重量%に対して、有機溶媒30〜70重量%を添加する。好ましい溶媒として、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0018】
更に、本発明の第4発明は、前記ノボラックアラルキル樹脂10〜75重量%、エポキシ樹脂25〜90重量%、及びこれら両樹脂の合計量に対し0.01〜5重量%の硬化促進剤を含むノボラックアラルキル樹脂組成物である。
【0019】
尚、本発明におけるノボラックアラルキル樹脂中の上記一般式(1)におけるmが1〜4である低分子ノボラック単位に対するmが1である低分子ノボラック単位の割合は、後述する実施例に示した方法により求めた値を意味する。本発明において、上記一般式(1)におけるmが1である低分子ノボラック単位は、二核体ノボラック単位を意味する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。先ず、本発明の第2発明に係わるノボラックアラルキル樹脂の製造方法について説明する。本発明のノボラックアラルキル樹脂の製造方法の概要は、比較的少量の酸性触媒の存在下で、二核体ノボラック(以下、BPFと略称する)を特定量以上含む低分子のノボラックとアラルキル化合物とを反応させ、反応終了後に残存する触媒を中和する、ノボラックアラルキル樹脂の製造方法である。
【0021】
通常、低分子ノボラックとしては、酸性触媒下で、ホルムアルデヒド1モルに対して6〜30モル程度のフェノールを反応した後、未反応フェノールを除去して得られるBPFの含有量が65重量%以上のノボラック樹脂(以下、脱フェノール品と略称する)、脱フェノール品から蒸留によって得られる高濃度のBPF(BPF90重量%以上)と留出しなかった三核体ノボラックを主成分とするノボラック樹脂、等が挙げられる。低分子ノボラック中のBPFの量は、得られる樹脂の耐熱性に影響を及ぼす。BPFの量が少ないと、得られるノボラックアラルキル樹脂中のBPF単位の割合が低くなり、BPF単位とアラルキル単位の繰り返し構造が少なくなる。即ち、ノボラック樹脂部分が多くなるので、耐熱性が低下する。また、品質が安定したノボラックアラルキル樹脂を製造する上から、BPFの含有量等の組成が安定した低分子量ノボラックを原料とすることが好ましい。かかる観点から、本発明においては、上記低分子ノボラックの内、BPF含有量が90重量%以上の低分子ノボラックを用いることが好ましい。
【0022】
本発明に使用するアラルキル化合物としては、α,α’−ジクロロ−p−キシレン、α,α’−ジクロロ−o−キシレン、α,α’−ジクロロ−m−キシレン、p−キシリレングリコール、p−キシリレングリコールジメチルエーテル(以下、PXDMと略称する)、α,α’−ジメトキシ−o−キシレン、α,α’−ジメトキシ−m−キシレン、α,α’−ジエトキシ−p−キシレン等が挙げられる。好ましいアラルキル化合物はPXDMである。
【0023】
PXDMは、98重量%以上の高純度品が好ましい。工業的に得られるPXDMには、通常、α−メトキシ−p−キシレン、α,α−ジメトキシ−p−キシレン、α,α,α’−トリメトキシ−p−キシレン、p−キシリレングリコール、p−キシリレングリコールモノメチルエーテル等の不純物が含まれている。しかし、これら不純物の量が2重量%未満であれば差し支えない。
【0024】
低分子ノボラック及びアラルキル化合物の使用量は、得られる樹脂のヘキサメチレンテトラミン(以下、ヘキサミンと略称する)等との硬化反応、及び耐熱性に影響を及ぼす。優れた耐熱性、硬化反応性等を有する樹脂を得ることを考慮すると、低分子ノボラック1モルに対し、アラルキル化合物0.4〜0.8モルを用いことが好ましい。更に好ましいアラルキル化合物の量は0.5〜0.75モルである。アラルキル化合物の使用量が0.8モルを超えると、著しい高分子量化またはゲル化を起こし、目的とする樹脂が得られない。また、0.4モル未満の場合には、未反応の低分子ノボラックが多く、分子量が上がらず、耐熱性が低下する。
【0025】
上記低分子ノボラック及びアラルキル化合物は、酸性触媒の存在下で反応させる。好ましい酸性触媒としては、塩化亜鉛、塩化第二錫、硫酸水素ナトリウム、硫酸、塩酸、シュウ酸、モノエチル硫酸、ジエチル硫酸、フェノールスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。より好ましくはジエチル硫酸である。低分子ノボラックの分解反応を抑え、且つ縮合反応を速やかに完結させることを考慮すると、酸性触媒の使用量は、原料の低分子ノボラックとアラルキル化合物の合計量に対し、0.001〜0.05重量%の範囲が好ましい。更に好ましくは0.005〜0.02重量%の範囲である。0.05重量%を超える場合は、低分子ノボラックの分解が多くなるので好ましくない。また、0.001重量%未満の場合は、反応速度が低下するので好ましくない。
【0026】
酸性触媒の存在下では、アラルキル化合物が完全に消費されて反応が終了した後も、得られた樹脂の物性変化が起こる。具体的には、未反応の低分子ノボラックおよび生成樹脂は分解して、フェノールを遊離しながら再結合して高分子化する。従って、樹脂の物性安定化のためには、反応終了後に中和することが重要である。
【0027】
中和剤としては、塩基性のものなら特に制限はないが、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物が好ましい。マグネシウム、カルシウム、バリウムの水酸化物がより好ましい。更に好ましくは、樹脂物性への影響が小さく、生成する中和塩が摩擦材等にフィラーとして用いられている水酸化バリウムである。
【0028】
中和剤の使用量は、用いる酸性触媒の量によるが、酸性触媒の0.8〜1.1倍当量が好ましい。当量ずつ用いるのが最も好ましい。0.8倍当量未満では、中和されなかった酸性触媒が樹脂の物性変化を引き起こすので好ましくない。1.1倍当量を超える場合は、樹脂が黄味を帯びるので好ましくない。
【0029】
アラルキル化合物としてPXDMを用いる場合、本方法を実施する際に、少量のメタノールを用いることも有用である。低分子ノボラックとPXDMの反応はメタノールを副生する反応であるが、反応が始まる前に、予め少量のメタノールを添加することにより、反応初期の反応温度の上昇が防止できる。即ち、反応開始と共に発熱して、副生するメタノールが系内に飽和するまで内温は上昇するが、予め飽和量を添加することにより内温上昇が防止でき、低分子ノボラックの分解防止効果につながる。添加するメタノールの量は、例えば、反応温度が130〜160℃の場合、低分子ノボラックに対して2〜4重量%が好ましい。
【0030】
上記成分の他、市販の消泡剤シリコーンの添加も有用である。特に高分子の樹脂を製造する場合、副生するメタノールを反応系から抜き易くして、反応物の液面上昇を防止、更には減圧下で行う脱メタノール等の作業時間を短縮できる効果がある。添加量は生成樹脂に対して10〜20ppmが好ましい。
【0031】
本発明の方法の好ましい実施態様は以下の通りである。低分子ノボラックと少量のメタノールを反応器に装入して反応温度まで昇温した後、酸性触媒を添加し、PXDMの連続装入を開始する。副生するメタノールを留出させながらPXDMの装入を続けて、所定量の装入が終了したら、熟成反応を行い反応を完結させる。次いで、触媒を中和し、溶存している微量のメタノール、水を減圧によって除去する。
【0032】
反応温度は120〜200℃の範囲が好ましい。より好ましくは130〜160℃の範囲である。120℃未満では反応が極端に遅くなるので好ましくない。200℃を超えると原料の低分子ノボラック及び反応生成物の分解が多くなる他、アラルキル化合物にPXDMを用いる場合には、副生するメタノールと共にPXDMの一部が系外に抜き出されてしまうので好ましくない。
【0033】
原料の低分子ノボラックにBPF含有量が高いものを用いても、反応時の分解が多くなると、得られるノボラックアラルキル樹脂中のBPF単位の割合が低くなり、BPF単位とアラルキル単位の繰り返し構造が少なくなる、即ちノボラック樹脂部分が多くなるので耐熱性が低下する。従って、低分子ノボラックの分解を抑制する方法で製造する必要がある。
【0034】
低分子ノボラックの分解は、触媒を添加した時点からアラルキル化合物の装入開始までの間が最も著しく、低分子ノボラックと触媒だけの接触時間を短くすることが分解防止につながる。従って、触媒を添加した後、速やかにアラルキル化合物の装入を開始することが好ましい。また、安定した特性を有する樹脂を得るためには、低分子ノボラックと触媒のみの接触時間を極力短くすることが好ましい。この接触時間は、短ければ短いほどよいが、特性のバラツキをすくなくするためには30分未満、特に15分未満とすることが好ましい。必要に応じ、装入するアラルキル化合物の一部を、触媒添加前に系内に存在させることも可能である。
【0035】
低分子ノボラックの分解抑制方法として、原料を一括で仕込む方法と触媒を連続添加する方法が挙げられる。具体的には、前者は低分子ノボラック及びアラルキル化合物並びに触媒を一括で仕込んで反応を開始する方法であり、後者は原料を一括で仕込み、塩酸等の触媒を連続的に添加して反応を行う方法である。これらの方法では、いずれも低分子ノボラックの分解が抑制され、フェノールの生成の抑制が可能である。しかし、反応速度や分子量の制御が困難、釜効率が悪い、溶剤に不溶な高分子量化物が反応器壁に生成する、多量の触媒を要する、等の問題がある。
【0036】
これらの点を考慮した結果、先ず、低分子ノボラックを仕込み、反応温度まで昇温し、酸性触媒を添加した後、速やかにアラルキル化合物の連続装入を開始するという本発明の製造方法に到った。
アラルキル化合物の連続装入時間はモル比、反応温度、反応のスケール等によるが、上記の好ましい反応温度では通常30分〜10時間である。好ましくは1〜6時間である。30分未満では未反応のアラルキル化合物が多くなり、実質的に熟成反応が長時間必要となる。10時間以上では低分子ノボラックの分解が多くなり、また生産性が悪くなる。
【0037】
熟成反応は、反応が完結するまで行う。ここでいう反応が完結するとは、未反応のアラルキル化合物が無くなることを示す。熟成時間は触媒量、反応温度、アラルキル化合物装入時間によって異なるが、およそ30分〜5時間である。例えば、アラルキル化合物にPXDMを用い、低分子ノボラック及びPXDMの合計量に対し、触媒を0.01重量%用い、反応温度を145℃、PXDMを3時間で装入して反応した場合は、およそ3時間を要する。
【0038】
反応が完結した後も、反応生成物および未反応の低分子ノボラックは酸性触媒との接触により分解が進行して、得られる樹脂の物性に影響を与えるため、熟成反応の終了後直ちに触媒を中和することが重要である。特に減圧工程、排出作業は高温で長時間を要して行われるため、触媒を中和しておくことは、樹脂の物性安定化に大きな効果がある。中和剤の添加は、固体のままでも溶液にしても構わないが、用いる量が微量のため、速やかな中和を行うためには水溶液等の溶液にした状態で行うのが効果的である。中和後の反応液には少量のメタノール、中和剤を溶解した水が含まれており、減圧下でこれらを留去する。
【0039】
本発明の製造方法においては、低分子ノボラックを装入し、反応温度まで昇温した後、特定量の酸性触媒を添加し、次いで、アラルキル化合物を連続的に装入する方法を採用するため、原料装入から縮合反応中に起こる低分子ノボラック及び反応生成物の分解反応が抑制される。従って、本発明の製造方法により得られるノボラックアラルキル樹脂は、主として低分子ノボラックの分解によって生成する遊離フェノールの含有量が2重量%以下である。この遊離フェノールは、必要に応じて、厳しく減圧除去することにより、更に減少することができる。遊離フェノールの含有量は0重量%が最も好ましい。低分子ノボラックの分解によって生成する遊離フェノールが2重量%以下であるということは、低分子ノボラックの分解量が5モル%以下であることを示している。この程度以下の分解であれば、低分子ノボラックとアラルキル化合物を所定の割合で用いることにより所望の物性を有する樹脂が得られる。
【0040】
上記のように、本発明のノボラックアラルキル樹脂の製造方法によれば、低分子ノボラックとアラルキル化合物との反応において起こるノボラック及び反応生成物の分解反応が抑制される。そのため、本発明の第1発明に係わるノボラックアラルキル樹脂は、上記一般式(1)におけるmが1〜4である低分子ノボラック単位に対するmが1である低分子ノボラック(即ちBPF)単位の割合が少なくとも80重量%である。かかる構造を有するノボラックアラルキル樹脂は、耐熱性に優れ、しかも硬化反応速度が速い。
【0041】
本発明のノボラックアラルキル樹脂の製造方法では、原料の低分子ノボラックをアラルキル化合物に対して過剰に用い、しかも、低分子ノボラックの分解を抑制しながらアラルキル化合物が無くなるまで反応させるため、得られる樹脂にBPFが8〜20重量%含まれている。従って、特にBPFを除去する操作を行わずにその含有量が8重量%未満である樹脂は、低分子ノボラックの分解が多い樹脂であることを示している。
【0042】
この未反応のBPFも、例えば、200〜250℃、0.1〜6.7kPa程度の条件下における蒸留、熱水抽出、水蒸気ストリッピング等の方法により、必要に応じて少なくすることができる。未反応のBPFが除かれた樹脂は、低分子ノボラック単位とアラルキル基単位の繰り返し構造のみを有する特徴がある。また、縮合反応が終了しても中和を行わずに加熱し続けることによっても、未反応のBPFを分解させて低減することができるが、得られる樹脂の物性が著しく変わってしまい好ましくない。
【0043】
上記の如くして製造される本発明の第1発明に係わるノボラックアラルキル樹脂は、水酸基当量が120〜145g/eqである。好ましくは130〜140g/eqである。120g/eq未満の場合は、樹脂が低分子でアラルキル基の割合いが少なく、未反応の低分子ノボラックが多くて耐熱性が低いので好ましくない。145g/eqを超える場合は、樹脂が著しく高分子量を有し、成形が困難となるので好ましくない。
【0044】
水酸基当量は、低分子ノボラックと用いたアラルキル化合物の割合からおよそ予測できる。たとえ分解が多く、フェノールが多く生成した場合でも、これを系外に除かない限り、上記好ましい範囲の樹脂を得ることは可能である。また、フェノールアラルキル樹脂とノボラック樹脂を混合する方法、特開平4−173834号公報に記載される、フェノールとノボラックを併用してPXDMと反応する方法によっても同様な水酸基当量の樹脂を得ることが可能である。しかし、これらの方法によって水酸基当量を本発明で規定する上記範囲に合わせたとしても、本発明の第1発明に係わる上記一般式(1)で示される樹脂は得られず、ヘキサミン等との硬化反応が不均一に進行する。
【0045】
本発明の製造方法によれば、縮合反応中の低分子ノボラックの分解が抑制される。従って、分解の指標となる遊離フェノールの含有量が少なく、上記一般式(1)におけるmが1〜4である低分子ノボラック単位に対するBPF単位の割合が高くて、BPF単位とアラルキル基単位の繰り返し構造の多いノボラックアラルキル樹脂が得られる。本発明のノボラックアラルキル樹脂は、ヘキサミン等との硬化反応が均一に、且つ速く進行するので、ヘキサミン、及び、補強繊維、潤滑材、充填材等の成形用基材と混合することにより、摩擦材等に適した樹脂組成物が得られる。また、酸性触媒が中和されているので、シリコーンゴム等で変性する場合にも安定な変性樹脂が得られる。更に、エポキシ樹脂の硬化剤として用いる場合は、水酸基当量が小さいのでその使用量を少なくできるという利点もある。
【0046】
次いで、本発明の第3発明に係わるノボラックアラルキル樹脂組成物について説明する。本発明のノボラックアラルキル樹脂組成物は、前記ノボラックアラルキル樹脂に特定量のヘキサミンを添加、混合することにより製造される。混合方法には特に制限はなく、例えば、粉砕機等を用いて混合しながら、粉砕、微粉化する方法が挙げられる。混合温度は室温近傍の温度が好ましい。
ノボラックアラルキル樹脂に対するヘキサミンの配合割合は、硬化速度、硬化度、硬化物の耐熱性、作業環境等に影響を及ぼす。ヘキサミンの添加量が少ないと、樹脂の硬化速度が遅く、硬化度が充分に上がらず、優れた耐熱性を有する硬化物が得難い。また、多すぎると過剰のヘキサミンが分解して多量のアンモニアを発生し、環境上好ましくない。かかる点を考慮すると、ノボラックアラルキル樹脂80〜95重量%、及びヘキサミン5〜20重量%の範囲で混合することが好ましい。更に好ましくは、ノボラックアラルキル樹脂87〜93重量%、及びヘキサミン7〜13重量%の範囲である。
【0047】
本発明の第3発明に係わるノボラックアラルキル樹脂組成物は、150℃で硬化させた場合、硬化率が90%に達するまでの所用時間が7〜12分で、従来のフェノールアラルキル樹脂に比べて硬化速度が著しく大きい。また、該樹脂組成物を150℃で硬化させて得られる成形物は、300℃で240時間保存後の重量保持率が70%以上であり、ノボラック樹脂よりはるかに優れ、フェノールアラルキル樹脂と同等の耐熱性を示す。従って本発明のノボラックアラルキル樹脂組成物は、優れた耐熱性と高速成形性とを併せ持つ新規な樹脂組成物である。
【0048】
本発明の第3発明に係わる樹脂組成物を、例えば、摩擦材等に用いる場合、樹脂及びヘキサミンを含む上記樹脂組成物に対し、補強繊維、潤滑材、充填材等の成形用基材を添加することが好ましい。その場合、ノボラックアラルキル樹脂及びヘキサミンを含む上記樹脂組成物5〜20重量%、並びに、補強繊維、潤滑材、及び充填材から選ばれた少なくとも1種の成形用基材80〜95重量%の範囲で混合する。
【0049】
本発明における補強繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、スチール繊維等の無機、有機、金属の繊維が挙げられる。潤滑材としては、黒鉛、硫化アンチモン、硫化モリブデン等が挙げられる。また、充填材としては、カシューダスト、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、金属粉等が挙げられる。これらの成形用基材は、単独で用いてもよいし、また、二種以上を混合して用いてもよい。
【0050】
本発明に係わる上記樹脂組成物を、例えば、湿式摩擦材、接着剤、摺動材等に用いる場合、樹脂及びヘキサミンを含む上記樹脂組成物に対し、溶媒を添加することが好ましい。その場合、ノボラックアラルキル樹脂及びヘキサミンを含む上記樹脂組成物30〜70重量%、及び、溶媒30〜70重量%の範囲で混合し、上記樹脂組成物を溶解する。好ましい溶媒としては、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトールから選ばれた少なくとも一種類の溶媒が挙げられる。
【0051】
次に、本発明の第4発明に係わるノボラックアラルキル樹脂組成物について説明する。本発明のノボラックアラルキル樹脂組成物は、前記ノボラックアラルキル樹脂とエポキシ樹脂、硬化促進剤を混合することにより製造される。混合方法には特に制限はなく、例えば、これら各々を溶媒に溶かし混合する方法、粉砕混合法等が挙げられる。混合温度は室温近傍の温度が好ましい。本発明のノボラックアラルキル樹脂組成物を、通常100〜250℃の温度範囲で熱処理することにより、硬化物が得られる。
【0052】
エポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂であればよく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、(3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル)−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は、2種類以上を併用してもよい。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の代表的な市販品としては、日本化薬(株)製、商品名:EOCN−102Sなどが挙げられる。
【0053】
ノボラックアラルキル樹脂に対するエポキシ樹脂の配合割合は、硬化速度、硬化度、硬化物の耐熱性、耐吸湿性等に影響を及ぼす。ノボラックアラルキル樹脂の配合量が少ないと、樹脂組成物の硬化速度が遅く、硬化度が充分に上がらず、優れた耐熱性、耐吸湿性を有する硬化物が得難い。また、多過ぎてもこれらの性能がバランス良く発揮されず好ましくない。かかる点を考慮し、重量百分率で表すと、ノボラックアラルキル樹脂10〜75重量%、及びエポキシ樹脂25〜90重量%の範囲で混合することが好ましい。更に好ましくは、ノボラックアラルキル樹脂15〜70重量%、及びエポキシ樹脂30〜85重量%の範囲である。また、ノボラックアラルキル樹脂中の水酸基とエポキシ樹脂中のエポキシ基の当量比で表すと、エポキシ基1モル当量に対して水酸基が0.5〜1.5モル当量、好ましくは0.7〜1.3モル当量の範囲であり、硬化物の最適物性が得られるモル比を調整して用いることが好ましい。
【0054】
硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデカ−7−エン等の2環性含窒素化合物等が挙げられる。硬化促進剤の添加量は、ノボラックアラルキル樹脂とエポキシ樹脂の合計重量に対して0.01〜5重量%であり、好ましくは0.05〜1重量%である。
【0055】
本発明の第4発明に係わるノボラックアラルキル樹脂組成物には、必要に応じて、有機充填剤、無機充填剤、これらの混合物、またはその他の添加剤を添加してもよい。特に、機械的特性の向上や全体のコストダウンのために、有機および/または無機充填材を、また、光による誤動作を防ぐためにカーボンブラック等の着色剤を、更には離型剤、カップリング剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、シリコーンオイル等の可撓剤等を用いることが望ましい。
【0056】
用いる有機および/または無機充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、タルク、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、マイカ、クレー、チタンホワイト等の粉体、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等の繊維体等が挙げられる。
有機充填剤、無機充填剤、又はこれらの混合物の使用量としては、ノボラックアラルキル樹脂組成物100重量部に対し、100〜1900重量部の範囲であり、耐吸湿性、機械的強度の観点から、好ましくは250〜1900重量部、より好ましくは550〜1900重量部である。本発明の第4発明に係わるノボラックアラルキル樹脂組成物は、優れた耐熱性、耐吸湿性等を有する硬化物を与える。そのため、半導体封止材料、積層材料、塗料、接着剤、成形材料等に好適に使用される。
【0057】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明について更に詳細に説明する。尚、実施例に示した「%」は「重量%」である。また、各種分析結果は下記方法により測定した値である。
【0058】
(1)ノボラックアラルキル樹脂中の上記一般式(1)におけるmが1〜4である低分子ノボラック単位に対するBPF単位の割合[重量%]
本発明において、ノボラックアラルキル樹脂中の低分子ノボラック単位(m=1〜4)に対するBPF単位(m=1)の割合Cは、反応した低分子ノボラックの重量に対する反応したBPFの重量の割合(分解せずにBPFとして反応した割合)を百分率で示したものと定義し、下記数式(1)〜(7)より求める。
C=100・(W1/W2)・・・(数1)
ここで、W1[rBPF]:反応したBPFの重量[g]、W2[rNV]:反応した低分子ノボラックの重量[g]、
数式(1)のW1[rBPF]は、下記数式(2)で表され、
W1=α・W3−W4−W5・・・(数2)
ここで、α:低分子ノボラック中におけるBPFの重量分率(実測値)、W3[NV]:使用した低分子ノボラックの重量[g](仕込値)、W4[dBPF]:分解により消費されたBPFの重量[g]、W5[nrBPF]:未反応のBPFの重量[g](実測値)
数式(2)のW4[dBPF]は下記数式(3)で表される。
W4=(β・W6/M1)・2・M2・・・(数3)
ここで、β:熟成反応終了時の反応液中の遊離フェノール重量分率(実測値)、W6[mrS]:熟成反応終了時における反応液量[g]、M1[Ph]:フェノールの分子量(94.11とする)、M2[BPF]:BPFの分子量(200とする)。
ここで、W6=W7−W8・・・(数4)
W7:総仕込量[g](仕込値)、W8[dist]:反応系からの総留出液量[g](実測値)、であるから、数式(2)〜(4)よりW1[rBPF]の値が求められる。
一方、数式(1)のW2[rNV]は下記数式(5)で表される。
W2=W3−β・W6−W9・・・(数5)
W9[nrNV]:未反応の低分子ノボラックの重量[g]、
ここで、未反応の低分子ノボラックは大半がBPFであるので、
W9=W5 ・・・(数6)
とし、数式(5)は数式(7)で表され、W2[rNV]の値が求められる。
W2=W3−β・W6−W5・・・(数7)。
【0059】
(2)ノボラックアラルキル樹脂及び反応液中の遊離フェノール含有量(%)ガスクロマトグラフ〔(株)島津製作所製、形式:GC−9A、〕を用い、SILICONE OV−1 9.09wt% on クロモソルブ W AW DMCSを充填した3mm×2Mのカラムにより、窒素をキャリアガスとして、100℃から10℃/minの速度で240℃まで昇温して分析する。なお分析用試料は、ピリジン、無水酢酸によりアセチル化して調製する。内部標準物質としてナフタリンを用いる。
【0060】
(3)低分子ノボラックの核体数、及びノボラックアラルキル樹脂の分子量
(株)日本分光製、高速液体クロマトグラフ(形式:JASCO GULLIVER SERIES)を用い、カラムとして(株)昭和電工製、形式;KF−804、803、802、802]の4本直列継ぎ物を用いる。溶離液としてテトラヒドロフランを使用する。検出器はRI(屈折率計)を用いる。重量平均分子量(以下、分子量またはMwと略称)については、標準ポリスチレン換算値とした。
【0061】
(4)ノボラックアラルキル樹脂の水酸基当量(g/eq)
200ml三角フラスコに試料約1gを正確に秤量して、ピリジン22.5mlと無水酢酸2.5mlを加えて溶解し、90〜100℃で1時間反応した後、2mlの蒸留水を添加して100℃で30分間保持する。次いで冷却して0.5規定のカセイソーダで滴定する。試料を入れない空試験を同時に行う。次式により算出する。
OHeq=(1000w)/{0.5F(B−A)}
ここで、OHeq:水酸基当量(g/eq)、w:試料の重量、B:空試験に要した0.5規定のカセイソーダの量(ml)、A:試料に要した0.5規定のカセイソーダの量(ml)、F:0.5規定のカセイソーダの力価。
【0062】
(5)第3発明に係わるノボラックアラルキル樹脂組成物の特性
(5)−1.ノボラックアラルキル樹脂組成物の硬化時間(分)
製造例1〜9及び比較製造例1〜5で得られたノボラックアラルキル樹脂組成物について、キュラストメーター〔(株)オリエンテック製、型式:VDP〕を使用して、150℃と160℃でキュラスト測定を行い、最大トルクに対して90%の値に達するまでの時間を測定し、硬化時間とする。
【0063】
(5)−2.ノボラックアラルキル樹脂組成物の300℃における重量保持率(%)
キュラストメーター〔(株)オリエンテック製、型式:VDP〕を使用して、製造例5、8、及び比較製造例2、4、5で得られたノボラックアラルキル樹脂組成物4.5gを、予め150℃に加熱したキュラストメーターの下金型に充填し、樹脂組成物の一部が溶融し、金型内に納まる嵩になるまで2分30秒間保持した後、上金型を降ろし、通常のキュラスト測定を20分間行い、泡のない成形物を各試料についてそれぞれ3個作成する。成形物をギヤーオーブンに入れ、2時間かけて240℃まで昇温し、1時間保持した後、1.5時間以上かけて室温まで徐冷する(この熱処理をポストキュアーと称する)。ポストキュアーされた成形物の重量を測定した後、300℃のギヤーオーブンに保存する。保存時間が24、96、144、192、及び240時間に到達した時点における重量をそれぞれ測定し、次式により重量保持率(%)を算出し、平均値で示す。
Wre=100・(W11/W10)
ここで、Wre:重量保持率(%)、W10:ポストキュアーされた成形物の重量(g)、W11:300℃で所定時間保持した後の成形物の重量(g)。
【0064】
(5)−3.成形用基材を含むノボラックアラルキル樹脂組成物の成形時間(分)
製造例10、及び比較製造例6で得られた試料300gを長さ95mm、幅95mm、深さ70mmの金型に入れ、プレスで9.8MPaに加圧して、室温で予備成形を行う。続いて、予め160℃に加熱したプレス盤で挟み、同温度に加熱した長さ100mm、幅100mm、深さ50mmの金型に、予備成形した成形材用組成物を入れて12.75MPaに加圧し、3分間経過するまでは15秒毎に1回、4分間及び5分間経過した際にそれぞれ1回のガス抜きを行いながら、所定の時間加圧成形を行う。直ちに、得られた成形物の表面のロックウェル硬度(HRRスケール)をJIS K−6911に規定される方法により測定する。成形速度の評価は、硬度が最高値に達するまでの加圧成形時間(分)を測定する。尚、成形機は東邦インターナショナル(株)製、型式:TD−37、ロックウェル硬度計は(株)明石製作所製、型式:ATK−F200を用いる。
【0065】
(6)第4発明に係わるノボラックアラルキル樹脂組成物の特性
(6)−1.ノボラックアラルキル樹脂組成物から得られた硬化物のガラス転移温度[Tg](℃)
製造例12、比較製造例7〜8で得られた試料(硬化物)について、熱分析装置(リガク社製、形式:TMA8146)を用いて(TMA法)、線膨張係数を測定し、Tgを求める。
【0066】
(6)−2.ノボラックアラルキル樹脂組成物から得られた硬化物の吸水率(重量%)
前項と同様の試料を100℃の沸騰水中に2時間浸漬し、浸漬前後の重量変化率で示す。その計算式Fを以下に示す。
F=〔(A−B)/B〕×100(重量%)
A:水に浸漬後の硬化物の重量
B:水に浸漬前の硬化物の重量
【0067】
実施例1
<ノボラックアラルキル樹脂Aの製造>
温度計、攪拌機、コンデンサー付き500mlセパラブルフラスコに、低分子ノボラック(三井化学(株)製、商品名:BPF−ST、組成:BPF99.7%、三核体0.3%、分子量:200)200gとメタノール8gを装入して、オイルバスで昇温して攪拌しながら内温を145℃にし、低分子量ノボラックを溶融した。次いで、10%に調製したジエチル硫酸のメタノール溶液(以下、ジエチル硫酸溶液と略称)0.176gを添加した。15分後にPXDMの装入を開始し、副生するメタノールを留出させながら3時間かけて123.11gを連続的に装入して縮合反応を行った。更に、内温を145℃に保ち3.5時間の熟成反応を行った。次いで、4%に調製した水酸化バリウム水溶液(以下、水酸化バリウム溶液と略称)を0.4744g添加して、中和反応を行いながら45分かけて165℃に昇温した後、減圧下でメタノール等を除去して、ノボラックアラルキル樹脂273gを得た。得られたノボラックアラルキル樹脂は、分子量が42510、水酸基当量が138g/eq、遊離フェノールの含有量が0.19重量%、上記一般式(1)におけるmが1〜4である低分子ノボラック単位に対するBPF単位の割合Cの値が98重量%であった。
【0068】
実施例2
<ノボラックアラルキル樹脂Bの製造>
実施例1と同じ装置に、低分子ノボラック(三井化学(株)製、商品名:BPF−M、組成:BPF91.5%、三核体7.2%、四核体1.2%、五核体0.1%、分子量:206)200gとメタノール8gを装入し、オイルバスで昇温して内容物を108℃で溶融した後、攪拌しながら内温を145℃にした。次いで、ジエチル硫酸溶液0.3196gを添加し、15分後にPXDMの装入を開始し、副生するメタノールを留出させながら118.71gを3時間かけて連続的に装入し縮合反応を行った。更に、内温を145℃に保ち3時間の熟成反応を行った。続いて、水酸化バリウム溶液を0.8978g添加して中和反応を行いながら45分かけて165℃に昇温した後、減圧下でメタノール等を除去して、ノボラックアラルキル樹脂272gを得た。得られたノボラックアラルキル樹脂は、分子量が73280、水酸基当量が137g/eq、遊離フェノールの含有量が0.29重量%、上記Cの値が87重量%であった。
【0069】
実施例3
<ノボラックアラルキル樹脂Cの製造>
ジエチル硫酸溶液0.3152g、PXDM116.63g、水酸化バリウム溶液0.8659gを使用した以外は、実施例2と同様にして、ノボラックアラルキル樹脂270gを得た。得られたノボラックアラルキル樹脂は、分子量が34410、水酸基当量が136g/eq、遊離フェノールの含有量が0.30重量%、上記Cの値が87重量%であった。
【0070】
実施例4
<ノボラックアラルキル樹脂Dの製造>
ジエチル硫酸溶液0.3144g、PXDM114.70g、水酸化バリウム溶液0.8587gを使った以外は、実施例2と同様にしてノボラックアラルキル樹脂269gを得た。得られたノボラックアラルキル樹脂は、分子量が20160、水酸基当量が135g/eq、遊離フェノールの含有量が0.33重量%、上記Cの値が87重量%であった。
【0071】
実施例5
<ノボラックアラルキル樹脂Eの製造>
BPF−Mを250g、メタノール7.5g、ジエチル硫酸溶液0.3894g、PXDM140.85g、水酸化バリウム溶液1.0801gを使った以外は、実施例2と同様にしてノボラックアラルキル樹脂336gを得た。得られたノボラックアラルキル樹脂は、分子量が14510、水酸基当量が134g/eq、遊離フェノールの含有量が0.33重量%、上記Cの値が87重量%であった。
【0072】
実施例6
<ノボラックアラルキル樹脂Fの製造>
温度計、攪拌機、コンデンサー付き1000mlセパラブルフラスコを用い、BPF−Mを400g、メタノール12g、ジエチル硫酸溶液0.6090g、PXDM221.60g、水酸化バリウム溶液1.6482gを使った以外は、実施例2と同様にしてノボラックアラルキル樹脂534gを得た。得られたノボラックアラルキル樹脂は、分子量が11160、水酸基当量が134g/eq、遊離フェノールの含有量が0.36重量%、上記Cの値が87重量%であった。
【0073】
実施例7
<ノボラックアラルキル樹脂Gの製造>
BPF−Mを400g、メタノール12.0g、ジエチル硫酸溶液0.6150g、PXDM219.70g、水酸化バリウム溶液1.7375gを使った以外は、実施例2と同様にしてノボラックアラルキル樹脂530gを得た。得られたノボラックアラルキル樹脂は、分子量が9550、水酸基当量が133g/eq、遊離フェノールの含有量が0.38重量%、上記Cの値が87重量%であった。
【0074】
実施例8
<ノボラックアラルキル樹脂Hの製造>
BPF−Mを200g、メタノール6.0g、ジエチル硫酸溶液0.3035g、PXDM107.23g、水酸化バリウム溶液0.8323gを使った以外は、実施例2と同様にしてノボラックアラルキル樹脂266gを得た。得られたノボラックアラルキル樹脂は、分子量が7460、水酸基当量が133g/eq、遊離フェノールの含有量が0.38重量%、上記Cの値が87重量%であった。
【0075】
実施例9
<ノボラックアラルキル樹脂Iの製造>
BPF−Mを200g、メタノール6.0g、ジエチル硫酸溶液0.3035g、PXDM103.88g、水酸化バリウム溶液0.8341gを使った以外は、実施例2と同様にしてノボラックアラルキル樹脂263gを得た。得られたノボラックアラルキル樹脂は、分子量が5780、水酸基当量が132g/eq、遊離フェノールの含有量が0.29重量%、上記Cの値が87重量%であった。
【0076】
比較例1
<ノボラックアラルキル樹脂Jの製造>
実施例1と同じ装置に、実施例2と同じ低分子ノボラックを200gと、4gのメタノールを装入し、オイルバスで昇温して内容物を110℃で溶解した後、ジエチル硫酸溶液0.3369gを添加した。次いで49分かけて内温を165℃に昇温し、PXDMの装入を開始した。副生するメタノールを留出させながら103.88gのPXDMを3時間かけて連続的に装入し縮合反応を行った。更に、内温を165℃に保ち1時間の熟成反応を行った。続いて、0.9337gの水酸化バリウム溶液を添加し、同温度を保ち30分間中和反応を行った後、減圧下でメタノール等を除去して、ノボラックアラルキル樹脂263gを得た。得られたノボラックアラルキル樹脂は、分子量が9530、水酸基当量が132g/eq、遊離フェノールの含有量が2.14重量%、上記Cの値が79重量%であった。
【0077】
比較例2
<ノボラックアラルキル樹脂Kの製造>
ジエチル硫酸溶液2.46g用い、熟成反応を1.5時間にし、水酸化バリウム溶液を6.71g用いた以外は実施例9と同様にして、ノボラックアラルキル樹脂262gを得た。得られたノボラックアラルキル樹脂は、分子量が11370、水酸基当量が132g/eq、遊離フェノールの含有量が2.35重量%、上記Cの値が77重量%であった。
【0078】
比較例3
<ノボラックアラルキル樹脂Lの製造>
ジエチル硫酸溶液0.3077を用い、ジエチル硫酸溶液添加からPXDM装入開始までの時間を35分にした以外は実施例9と同様にして熟成反応終了まで行った。次いで、中和を行わないまま165℃まで昇温して4時間保ち、ノボラックアラルキル樹脂264gを得た.得られたノボラックアラルキル樹脂は、分子量が9470、水酸基当量が132g/eq、遊離フェノールの含有量が2.10重量%、上記Cの値が79重量%であった。
【0079】
実施例1〜9、比較例1〜3の反応条件、及び得られた結果を表1〜表3に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
製造例1〜9、及び比較製造例1〜5
<第3発明に係わるノボラックアラルキル樹脂組成物の製造>
実施例1〜9で得られたノボラックアラルキル樹脂A〜I、及び、比較例1〜3で得られたノボラックアラルキル樹脂J〜L、並びに市販のフェノールアラルキル樹脂(三井化学(株)製、商品名:XL−225、遊離フェノール含有量3.7重量%、水酸基当量185g/eq、分子量11970、Cの値は0重量%)M、市販のノボラック型フェノール樹脂(三井化学(株)製、商品名、ノボラック2000番、フェノール含有量3.1重量%、水酸基当量106g/eq、分子量2850、Cの値は0重量%)Nのそれぞれ100重量部に対し、ヘキサミン12重量部を添加して、粉砕器で混合しながら微粉化してノボラックアラルキル樹脂組成物AA〜LL、及び、MM並びにNNを製造した。
【0084】
(1)硬化時間の測定
ノボラックアラルキル樹脂組成物AA〜II(製造例1〜9)、ノボラックアラルキル樹脂組成物JJ〜LL(比較製造例1〜3)、市販のフェノールアラルキル樹脂及びノボラック型フェノール樹脂から得られた樹脂組成物MM、NN(比較製造例4〜5)について、上記方法により、硬化時間を測定した。得られた結果を表4に示す。
【0085】
【表4】
【0086】
(2)耐熱性の測定
製造例5及び8で得られたノボラックアラルキル樹脂組成物EE、及びHH、並びに、比較製造例2、4、5で得られた樹脂組成物KK、MM、及びNNの耐熱性を評価するため、上記方法により、300℃における重量保持率を測定した。得られた結果を表5に示す。
【0087】
【表5】
【0088】
製造例10
<成形用基材を含む第3発明に係わるノボラックアラルキル樹脂組成物の製造>ノボラックアラルキル樹脂組成物FF15重量%、ケブラー繊維〔デュポン・東レ・ケブラー(株)製、商品名:ドライパルプ979(2mm)〕5重量%、ガラス繊維〔日本電気硝子(株)製、商品名:チョップドストランド(3mm)〕10重量%、黒鉛〔日本黒鉛工業(株)製、商品名:2番〕10重量%、カシュウダスト(センライト)〔東北化工(株)製、商品名:FF−1081〕10重量%、炭酸カルシウム〔日東粉化工業(株)製、商品名:NS−200〕を50重量%の割合でヘンシェルミキサーに入れて混合し、成形用基材を含むノボラックアラルキル樹脂組成物FFFを得た。成形用基材を含む樹脂組成物FFFの成形時間を上記の方法により測定した。得られた結果を表6に示す。
【0089】
比較製造例6
<成形用基材を含む第3発明に対比するフェノールアラルキル樹脂組成物の製造>
ノボラックアラルキル樹脂組成物FFに替えて、フェノールアラルキル樹脂組成物MMを用いた以外は、ノボラックアラルキル樹脂組成物の製造例10と同様にして、成形用基材を含むフェノールアラルキル樹脂組成物MMMを得た。成形用基材を含む樹脂組成物MMMの成形時間を上記方法により測定した。得られた結果を表6に示す。
【0090】
【表6】
【0091】
製造例11
<溶媒を含む第3発明に係わるノボラックアラルキル樹脂組成物の製造>
温度計、攪拌機、コンデンサー付き500ml丸底セパラブルフラスコに、実施例4で得られたノボラックアラルキル樹脂(D)160.7gを、ブチルセロソルブ60g及びブチルカルビトール60gを装入し、60〜70℃に加熱、攪拌して溶解した。次いで、室温まで冷却した後、粉砕したヘキサミン19.3gを添加し、30℃以下に保ちながら溶解した。続いて、目開き106μmのステンレス金網を装着した加圧濾過器に移液して、窒素で加圧しながら濾過を行い、黄褐色透明で粘稠な、溶媒を含むノボラックアラルキル樹脂組成物を得た。このものの比重(25℃/4℃)は1.09であった。
【0092】
製造例12、及び比較製造例7〜8
<第4発明に係わるノボラックアラルキル樹脂組成物及びその硬化物の製造>
製造例12では実施例8で得られたノボラックアラルキル樹脂H、比較製造例7では市販のフェノールアラルキル樹脂(三井化学(株)製、商品名:XL−225L、遊離フェノール含有量:0.5重量%、水酸基当量:178g/eq、分子量:3980、Cの値は0重量%)、比較製造例8では市販のノボラック型フェノール樹脂(三井化学(株)製、商品名、ノボラック2000番、フェノール含有量:3.1重量%、水酸基当量:106g/eq、分子量:2850、Cの値は0重量%)を各々硬化剤とし用いた。これらをエポキシ樹脂及び硬化促進剤と粉砕混合し、樹脂組成物を製造した。
エポキシ樹脂には、日本化薬(株)製、商品名:EOCN−102Sを、硬化促進剤には、トリフェニルホスフィン(TPP)を使用した。エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤の配合比は、エポキシ樹脂100重量部に対して、硬化剤49重量部、硬化促進剤1重量部とした。得られた樹脂組成物を金型内で175℃で5時間硬化させ、厚さ約2mmの板を硬化物として製造した。得られた硬化物の物性を上記方法により測定し、その結果を表7に示す。
【0093】
【表7】
【0094】
{表の簡単な説明}
表1〜3は、実施例及び比較例で示したノボラックアラルキル樹脂の製造方法と、反応した低分子ノボラックに対する反応したBPFの割合(C)、水酸基当量、遊離フェノール濃度等を示したものである。市販のフェノールアラルキル樹脂及びノボラック型フェノール樹脂の水酸基当量等についても、比較のため表3に記載した。表4は、製造例及び比較製造例で示したノボラックアラルキル樹脂、フェノールアラルキル樹脂、フェノール型ノボラック樹脂の組成物の90%硬化時間測定結果を示している。表5は、製造例5と8、比較製造例2と4と5、即ち、ノボラックアラルキル樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ノボラック型フェノール樹脂の組成物の耐熱性測定結果を示したものである。表6は、製造例10と比較製造例6、即ち、ノボラックアラルキル樹脂とフェノールアラルキル樹脂の組成物を用いた成形材用樹脂組成物の成形速度を示している。表7は、ノボラックアラルキル樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ノボラック型フェノール樹脂の各々を硬化剤に用いた、樹脂硬化物の耐熱性と耐吸湿性を示している。
【0095】
低分子ノボラックを溶融させ、酸性触媒を添加してから反応温度まで昇温する比較例1は、製造方法が本発明の範囲外であり、BPFの分解による遊離フェノールの生成が多くて、得られる樹脂のCの値も低く、本発明の範囲外である。同様に、酸性触媒の添加量が多く、製造方法が本発明の範囲外である比較例2も、BPFの分解による遊離フェノールの生成が多く、得られる樹脂のCの値が低くて本発明の範囲外である他、ヘキサミンを配合した樹脂組成物の耐熱性が劣っている。また、酸性触媒添加からアラルキル化合物装入までの時間が長く、中和も行っていない比較例3も、BPFの分解による遊離フェノールの生成が多くて、得られる樹脂のCの値が低く、本発明の範囲外である。
【0096】
これに対し、本発明の製造方法ではBPFの分解による遊離フェノールの生成が少なく、得られるノボラックアラルキル樹脂のCの値が高く保たれたまま分子量の制御が可能である。また、ヘキサミンを配合した本発明の第3発明に係わるノボラックアラルキル樹脂組成物は、硬化時間がフェノールアラルキル樹脂組成物より大幅に短縮され、耐熱性がノボラック型フェノール樹脂組成物よりはるかに優れ、フェノールアラルキル樹脂組成物に近いレベルに達している。更に、本発明の第3発明に係わるノボラックアラルキル樹脂組成物の硬化の速さは、成形用基材を含むノボラックアラルキル樹脂組成物の成形速度にも反映されている。また、本発明のノボラックアラルキル樹脂を硬化剤として含む第4発明に係わるノボラックアラルキル樹脂組成物は、フェノールアラルキル樹脂やノボラック型フェノール樹脂を硬化剤として含む樹脂組成物より優れた耐熱性、及び耐吸湿性を有する硬化物を与える。
【0097】
【発明の効果】
本発明によれば、原料装入から樹脂を得るまでの全製造工程において低分子ノボラックの分解が抑制され、上記一般式(1)におけるmが1〜4である低分子ノボラック単位に対するBPF単位の割合が高くて、BPF単位とアラルキル基単位の繰り返し構造の多いノボラックアラルキル樹脂が得られる。本発明に係わるノボラックアラルキル樹脂は、従来のフェノールアラルキル樹脂とほぼ同等の耐熱性を有し、ヘキサメチレンテトラミン等との硬化反応が均一で且つ速く進行するそのため、優れた耐熱性と成形性を併せ持つ樹脂組成物が得られる。従って、本発明のノボラックアラルキル樹脂及び該樹脂を含む組成物は、自動車、鉄道車両、各種産業機械等の制動に用いられるディスクブレーキパッド、ブレーキライニング、クラッチフェーシング等の摩擦材、電気、電子機器部品、通信機器部品、機械部品等の成形材料の結合材、摺動材、半導体封止材料、積層材料、塗料、接着剤等に好適に使用し得る。
Claims (12)
- 酸性触媒の存在下、二核体ノボラックを90重量%以上含む低分子ノボラック1モルに対しアラルキル化合物0.4〜0.8モルを反応させるノボラックアラルキル樹脂の製造方法であって、先ず、低分子ノボラックを溶融させて反応温度まで昇温した後、低分子ノボラック及びアラルキル化合物の合計量に対し0.001〜0.05重量%の酸性触媒を添加し、次いで、アラルキル化合物を連続的に添加して反応させ、反応終了後に残存する酸性触媒を中和して請求項1に記載のノボラックアラルキル樹脂を製造することを特徴とするノボラックアラルキル樹脂の製造方法。
- アラルキル化合物がp−キシリレングリコールジメチルエーテルである請求項2記載のノボラックアラルキル樹脂の製造方法。
- 反応温度が130〜160℃である請求項2記載のノボラックアラルキル樹脂の製造方法。
- 中和剤がカルシウム、バリウム、及びマグネシウムから選ばれた少なくとも一種類の金属の水酸化物であることを特徴とする請求項2記載のノボラックアラルキル樹脂の製造方法。
- 請求項1記載のノボラックアラルキル樹脂80〜95重量%、及びヘキサメチレンテトラミン5〜20重量%を含むノボラックアラルキル樹脂組成物。
- 150℃における90%硬化時間が7〜12分、300℃における240時間保存後の重量保持率が70%以上である請求項6記載のノボラックアラルキル樹脂組成物。
- 請求項6記載の樹脂組成物5〜20重量%、並びに、補強繊維、潤滑材、及び充填材から選ばれた少なくとも1種の成形用基材80〜95重量%を含む請求項6記載のノボラックアラルキル樹脂組成物。
- 請求項6記載の樹脂組成物30〜70重量%、並びに、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、ブチルセロソルブ、及びブチルカルビトールから選ばれた少なくとも1種の溶媒30〜70重量%を含む請求項6記載のノボラックアラルキル樹脂組成物。
- 請求項1記載のノボラックアラルキル樹脂10〜75重量%、エポキシ樹脂25〜90重量%、及びこれら両樹脂の合計量に対し0.01〜5重量%の硬化促進剤を含むノボラックアラルキル樹脂組成物。
- 請求項10記載のノボラックアラルキル樹脂組成物100重量部に対し、有機充填剤及び無機充填剤から選ばれた少なくとも1種の充填剤100〜1900重量部を含むノボラックアラルキル樹脂組成物。
- 請求項10〜11のいずれか1項に記載のノボラックアラルキル樹脂組成物を熱硬化させて得られたノボラックアラルキル樹脂硬化物。
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