JP4748560B2 - 熱接着性複合繊維及びそれを用いた繊維製品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱接着性が良好な熱接着性複合繊維及びそれを用いた不織布、混綿不織布、ワイパー、吸収体等の繊維製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱接着性複合繊維としては、低融点成分としてポリエチレン、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体または結晶性ポリプロピレン等の樹脂を繊維表面に配し、高融点成分としてエチレン−プロピレン−ブテン共重合体、結晶性ポリプロピレンまたはポリエステル等の樹脂を繊維中央部に配した複合形状を有する複合繊維が一般に知られている。このような熱接着性複合繊維は、通常、ウエッブに形成された後、低融点成分の融点以上、高融点成分の融点以下の温度で加熱されることで、ウエッブを構成する各繊維間接触部が融着された不織布に成形される。しかし、これらの熱接着性複合繊維は、布、木材、金属等の他素材との接着性が弱いため、不織布とした後、他素材と接着させた複合材料を得る場合や、他素材と混合させて混綿不織布を得る場合には、ポリビニルアルコール等のバインダーを使用して接着性を向上させる必要がある。しかし、このようなバインダーを使用すると、得られた不織布表面がバインダーによりコーティングされ、膜状態となるので、不織布の吸収性等の性能を低下させるという問題が生じたり、また厚みのある不織布においては、バインダーが内部まで浸透しないため、不織布の層間剥離が起こるという問題が生じていた。
【0003】
近年、これらの問題点を改善するために、接着性を改良した熱接着性複合繊維が開発されてきた(特開昭53−126320号公報、特開昭54−30929号公報、特開2000−212866、USP4950541、USP5981410)。しかし、これらの方法で得られた熱接着性複合繊維は、他素材との接着性は満足できても、十分な繊維強度や不織布強度を有していないため、更なる改善が必要であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、係る問題点のない、他素材に対して優れた接着性を有し、更に得られる不織布に十分な強度を持たせることのできる熱接着性複合繊維を提供することにある。また、セルロース系繊維等の他素材を混合して混綿不織布を得るにあたり、他素材と強固に接着し、他素材の剥離または脱落を防止し、かつ十分な強度を混綿不織布に付与し、これを破れにくくすることのできる熱接着性複合繊維を提供することにある。加えて前記特徴を有する不織布、混綿不織布、それらを用いたワイパー、吸収体等の繊維製品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、反応性官能基を有する変性ポリオレフィンを第1成分として用いた熱接着性複合繊維の表面に反応性官能基と反応し得る多官能性化合物を含有する繊維処理剤を付着させた熱接着性複合繊維が、他素材(特にセルロース系繊維)との間に優れた接着性を示すとともに、これを用いて得られた不織布が、高い不織布強度を有することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は以下の構成を有する。
(1)少なくとも1種の反応性官能基を有する変性ポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂(I)を第1成分とし、第1成分の熱可塑性樹脂(I)より融点の高い熱可塑性樹脂(II)を第2成分とし、該第1成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して形成している複合繊維であって、該複合繊維表面に、変性ポリオレフィン中の反応性官能基と反応し得る多官能性化合物を含有する繊維処理剤が付着されており、該変性ポリオレフィンが、オレフィンモノマーと、不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体であり、該多官能性化合物が、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ニトリロ基、アミド基、カルボニル基、カルボキシル基、もしくはグリシジル基を1分子中に2個以上有する化合物、または、Mg、Ca、Sr、Zn、Al、Ti、Zr、Ni、もしくはSnの単体、酸化物、塩または硫化物である熱接着性複合繊維。
(2)少なくとも1種の反応性官能基を有する変性ポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂(I)を第1成分とし、第1成分の熱可塑性樹脂(I)より融点の高い熱可塑性樹脂(II)を第2成分とし、該第1成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して形成している複合繊維であって、該複合繊維表面に、変性ポリオレフィン中の反応性官能基と反応し得る多官能性化合物を含有する繊維処理剤が付着されており、該ポリオレフィンが、ポリエチレンと、不飽和カルボン酸またはその誘導体とのグラフト共重合体であり、該多官能性化合物が、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ニトリロ基、アミド基、カルボニル基、カルボキシル基、もしくはグリシジル基を1分子中に2個以上有する化合物、または、Mg、Ca、Sr、Zn、Al、Ti、Zr、Ni、もしくはSnの単体、酸化物、塩または硫化物である熱接着性複合繊維。
(3)熱可塑性樹脂(II)が、ポリプロピレンである前記(1)項または前記(2)項記載の熱接着性複合繊維。
(4)熱可塑性樹脂(II)が、ポリエステルである前記(1)項または前記(2)項記載の熱接着性複合繊維。
(5)多官能性化合物が、多価アルコールである前記(1)項または前記(2)項記載の熱接着性複合繊維。
(6)多官能性化合物が、ポリアミンである前記(1)項または前記(2)項記載の熱接着性複合繊維。
(7)多官能性化合物が、多価金属化合物である前記(1)項または前記(2)項記載の熱接着性複合繊維。
(8)前記(1)〜(7)のいずれか1項記載の熱接着性複合繊維を含む不織布。
(9)不織布が、エアレイド法により製造されたことを特徴とする前記(8)項記載の不織布。
(10)前記(1)〜(7)のいずれか1項記載の熱接着性複合繊維とセルロース系繊維とを含む混綿不織布。
(11)混綿不織布が、エアレイド法により製造されたことを特徴とする前記(10)項記載の混綿不織布。
(12)前記(8)項または前記(9)項記載の不織布を用いたワイパー。
(13)前記(10)項または前記(11)項記載の混綿不織布を用いたワイパー。
(14)前記(8)項または前記(9)項記載の不織布を用いた吸収体。
(15)前記(10)項または前記(11)項記載の混綿不織布を用いた吸収体。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱接着性複合繊維は、少なくとも1種の反応性官能基を有する変性ポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂(I)を第1成分とし、該第1成分より融点の高い熱可塑性樹脂(II)を第2成分としており、該第1成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して形成し、該複合繊維表面に、変性ポリオレフィン中の反応性官能基と反応し得る多官能性化合物を含有する繊維処理剤が付着されていることを特徴とする。
【0008】
第1成分の熱可塑性樹脂(I)に含まれる変性ポリオレフィンが有している反応性官能基は、繊維処理剤に含有されている多官能性化合物との反応性を考慮し、適宜選択するとよいが、特に制限されるものではない。変性ポリオレフィンが有している反応性官能基としては、具体的には、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ニトリロ基、アミド基、カルボニル基、カルボキシル基、グリシジル基を挙げることができる。反応性官能基を有する変性ポリオレフィンは、前記反応性官能基を有するビニルモノマーと、オレフィンモノマーとを共重合させることにより得られる。なお、変性ポリオレフィンは、ブロック、ランダムまたはラダー等のいずれの共重合体であってもよい。また、ポリオレフィンに前記ビニルモノマーをグラフトした共重合体であってもよい。このような反応性官能基を有するビニルモノマーとしては、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸等から選択された不飽和カルボン酸またはその誘導体(不飽和カルボン酸の無水物を含む)、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類、または同様なアクリル酸エステル等、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ブテンカルボン酸エステル類、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシブテン、5,6−エポキシ−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド等を挙げることができる。
【0009】
本発明で用いられる変性ポリオレフィンは、一般的に利用され、入手が容易である点、及び多種の他素材に対して親和性を有し、特に水酸基を有する他素材(例えばセルロース系繊維)との接着性が良好である点から、不飽和カルボン酸またはその誘導体(不飽和カルボン酸の無水物を含む)からなるビニルモノマーと、ポリオレフィンとをグラフト共重合することにより得られる変性ポリオレフィンが好適である。
【0010】
このような変性ポリオレフィンは、繊維に加工し易い上、ポリマー強度が高いことから、得られる繊維の強度が高くなるので好ましい。また、変性ポリオレフィンの反応性官能基を有するビニルモノマーの変性率は、繊維処理剤中の多官能性化合物と良好に反応させ、架橋構造をより多く作るために、0.1モル/kg以上であることが好ましい。
【0011】
変性ポリオレフィンの主成分モノマーには、エチレン、プロピレン、ブテン−1等が好ましく用いられる。また、変性ポリオレフィンが前記ビニルモノマーとのグラフト共重合体である場合は、変性ポリオレフィンの主成分ポリマー(幹ポリマーという場合があり、変性をおこなう前のポリオレフィンを示す)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1等が好ましく、特に高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレンが好ましく用いられる。主成分ポリマーとしてポリエチレンを使用する場合には、密度が0.90〜0.97g/cm3、融点が100〜135℃程度のポリエチレンが好ましい。主成分ポリマーとしてポリプロピレンを使用する場合は、融点が130〜170℃程度の結晶性プロピレン単独重合体またはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体が好ましい。主成分ポリマーにポリブテン−1を使用する場合には、融点が110〜130℃程度の結晶性ブテン−1単独重合体またはブテン−1と他のオレフィンとの共重合体が好ましい。
【0012】
これらのポリマーの中では、低融点成分として利用しやすい点やビニルモノマーで変性しやすい点からポリエチレンが好ましく、なかでもポリマー強度が高いことから、不織布強度を高くできる高密度ポリエチレンがより好ましい。
【0013】
第1成分の熱可塑性樹脂(I)は、上記変性ポリオレフィンを含有していれば特に限定されず、変性ポリオレフィンの単体、2種以上の変性ポリオレフィンの混合物、少なくとも1種の変性ポリオレフィンと少なくとも1種の他の熱可塑性樹脂との混合物のいずれであってもよい。変性ポリオレフィンがグラフト共重合体である場合、該共重合体は、主成分ポリマーと比べ、グラフト共重合によりポリマー強度が低下する傾向にある。従って、繊維強度をより高く維持するためには、熱可塑性樹脂(I)は、高変性率の変性ポリオレフィンと、変性を行っていないポリオレフィンとの混合物であることが好ましい。
【0014】
本発明では、熱可塑性樹脂(II)として、熱可塑性樹脂(I)より融点の高い熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとプロピレンを除くα−オレフィンとの共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリアミド等の結晶性ポリマーを好ましく使用することができる。更に熱可塑性樹脂(I)より融点が高ければ、熱可塑性樹脂(II)としては、前記熱可塑性樹脂の2種以上の混合物を使用することができる。耐薬品性、変性ポリオレフィンとの相溶性を考慮すると、熱可塑性樹脂(II)としては、ポリオレフィンが好ましく利用できる。更に不織布や混綿不織布を得る際の繊維同士の熱接着加工性を考慮すると、熱可塑性樹脂(I)との融点差を大きくできる高融点ポリプロピレンがポリオレフィンのなかでも好ましい。また、融点が高いことから、熱可塑性樹脂(I)との融点差をより大きくできるポリエステルを熱可塑性樹脂(II)として使用することも好ましい。
【0015】
第1成分の熱可塑性樹脂(I)及び第2成分の熱可塑性樹脂(II)には、本発明の効果を妨げない範囲内であれば、種々の性能を発揮させるための添加剤を適宜添加してもよい。添加剤としては、例えば酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、可塑剤等を挙げることができる。
【0016】
本発明の熱接着性複合繊維は、第1成分が繊維表面の少なくとも一部を形成していなければならない。このような複合繊維は、口金として、並列型口金、鞘芯型口金または偏心鞘芯型口金を用いて、複合紡糸機で紡糸することにより得られる。なお、本発明の熱接着性複合繊維の繊維断面形状は、通常の円形状だけでなく、楕円等の丸型、四角及び三角等の角型、鍵型及び八葉型等の異型の繊維断面形状であってもよい。
【0017】
本発明の熱接着性複合繊維では、第1成分の繊維表面形成割合が小さくても、他素材との接着力を有しているが、十分な接着力を有するためには、該割合が50%以上の繊維断面円周率であることが好ましい。熱接着性複合繊維の繊維断面円周率が、100%または100%に近い繊維断面形状を有すると、極めて強力な接着力を有するので、特に好ましい。
【0018】
本発明の熱接着性複合繊維において、繊維断面を占める、第1成分と第2成分との複合比が、10重量%/90重量%〜90重量%/10重量%の範囲であれば紡糸可能である。第1成分の比率が減少するにしたがい、接着力が低下する傾向にあり、第1成分の比率が多くなるにしたがい、接着点が強固になり接着力が向上する傾向にある。所望の接着力を考慮して複合比を決定するとよいが、30重量%/70重量%〜70重量%/30重量%の複合比であれば、複合繊維自身の強度や繊維加工性の低下を防ぐことができるために好ましい。
【0019】
本発明の熱接着性複合繊維は、汎用の溶融複合紡糸機で紡糸を行うことにより製造できる。その際の紡糸温度は、使用する熱可塑性樹脂の種類、融点、メルトフローレート、熱分解温度によって異なるが、通常は、熱可塑性樹脂の融点より70℃以上高い温度であることが好ましい。ただし、第1成分に含まれる変性ポリオレフィンの分解、劣化等を抑えるため、第1成分の融点より高いが、比較的低い温度で第1成分を紡糸することが好ましい。なお、通常は、未延伸糸の繊度を適宜設定して紡糸されている。
【0020】
得られた未延伸糸は、そのままで利用される場合もあるが、通常、第1成分の融点より低い温度(通常40〜120℃)で、任意の延伸倍率(通常2〜6倍)で延伸を施され利用される。得られた延伸糸は、さらに必要に応じて捲縮加工を施され利用される。捲縮加工の有無については特に限定されるものではなく、不織布加工に適した形状であれば何ら問題はない。例えば、エアレイド法で熱接着性複合繊維を用いる場合、該熱接着性複合繊維には捲縮が施されていなくとも特段問題はないが、通常、0〜20山/2.54cmの捲縮数の捲縮を持つ熱接着性複合繊維が好ましく利用されている。一方、カード法で熱接着性複合繊維を用いる場合、該複合繊維には捲縮が施されていなければならず、通常、5〜30山/2.54cmの捲縮数の捲縮を持つ熱接着性複合繊維が好ましく利用されている。本発明の熱接着性複合繊維に施される捲縮は、クリンパー等の捲縮装置を用いた機械捲縮であってもよく、また、複合繊維自身の顕在捲縮または潜在捲縮に起因する捲縮であってもよい。
【0021】
延伸糸は、通常、所望の長さにカットされた後に不織布等の用途に使用される。カットの方法及びカット長は、不織布加工に適した長さにすればよく、特に限定されるものではない。
【0022】
本発明の熱接着性複合繊維は、通常、0.5〜100デシテックスの単糸繊度で使用されるが、特に限定されるものではない。なお、不織布強度を高くするためには、一定体積当たりの本数と交点が多くできる、細い単糸繊度の熱接着性複合繊維が好ましく用いられる。このとき、熱接着性複合繊維の単糸繊度は0.5〜10デシテックスが望ましい。
【0023】
本発明に用いられる繊維処理剤は、第1成分に含まれる変性ポリオレフィンが有する反応性官能基と反応し得る多官能性化合物を含有していれば特に制限はない。多官能性化合物としては、安全性、取り扱い性、反応性、変性ポリオレフィンとの反応性を考慮すると、具体的には、ポリアミンまたは、水酸基とアミノ基とを有する化合物が好ましい。ポリアミンは、通常、1分子中にアミノ基−NH2またはイミノ基=NHを2個以上有する脂肪族化合物をいうが、本発明においては、1分子中に−NR2、−RNH、−NH2等の官能基を2個以上有する化合物も含まれる。なお、多官能性化合物は、通常、水に希釈されて用いられるので、水溶性であることが好ましく、具体的には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエタノールアミン等が例示できる。
【0024】
本発明に用いられる繊維処理剤は、上記多官能性化合物のみからなる繊維処理剤であってもよいが、平滑剤、帯電防止剤を含んでいてもよい。平滑剤としては、例えば、2−エチルヘキシルステアレート、イソプロピルミリステート等の脂肪族エステル類、椰子油、牛脂等の天然油脂類を挙げることができる。帯電防止剤としては、例えば、アルキルサルフェート、脂肪酸石鹸、アルキルスルフォネート、アルキルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤を挙げることができる。更に繊維処理剤には、本発明の効果を阻害しない範囲内で必要に応じて酸化防止剤、防腐剤、防錆剤、抗菌剤、濡れ性向上剤、防黴剤、耐候剤等の添加剤を配合することができる。
【0025】
繊維処理剤を熱接着性複合繊維へ付着させる工程は特に限定されるものではなく、通常公知の種々の方法を利用できる。例えば、紡糸工程時、延伸工程時、カット工程時その後の工程時等に、タッチロール、噴霧、浸積等の付着方法により実施できる。その際の付着量に関しては、一般的に繊維処理剤固形分量が繊維重量あたり0.1〜2.0重量%の範囲で付着していることが望ましい。なお、繊維処理剤に含まれる多官能性化合物の付着量は、繊維重量あたり少なくとも0.005重量%あればよい。
【0026】
本発明の熱接着性複合繊維は、第1成分に前記反応性官能基を有する変性ポリオレフィンを含んでおり、繊維表面に前記反応性官能基と反応し得る多官能性化合物を含有する繊維処理剤を付着させているため、該熱接着性複合繊維に熱処理を施すと、変性ポリオレフィン中の反応性官能基と繊維処理剤中に含まれる多官能性化合物とが反応し、変性ポリオレフィン分子が網目構造を形成する。なお、繊維処理剤を付着させないで熱処理を施した熱接着性複合繊維のメルトフローレート値に対して、繊維処理剤を付着させて熱処理を施した熱接着性複合繊維のメルトフローレート値が低く(溶融粘度が高く)なっていることから、この網目構造は、架橋反応により生じていると考えられる。従って、本発明の熱接着性複合繊維は、該熱接着性複合繊維を用いて不織布を製造する際に、熱処理によって熱接着性複合繊維間の交点が接着すると同時に、架橋反応が起こり接着点がより強固になる。更に繊維表面が熱で溶融し流れ出すことによる繊維断面積の変化(高温処理による繊維変形)が抑制できるため、繊維径が細くならず、繊維自体の強度低下が防止できる。このような接着の機構から、本発明の熱接着性複合繊維を用いることで、高強度の不織布が得られる。更には、本発明の熱可塑性複合繊維は、他素材との接着性においても極めて良好であるため、例えば、セルロース系繊維等と混綿しても、それらの剥離脱落を高度に抑えることができる。
【0027】
本発明の不織布は、本発明の熱接着性複合繊維を用いて得られるが、本発明の効果を妨げない範囲内で、更に必要に応じて他の熱接着性複合繊維を混入させることも可能である。本発明の不織布は、本発明の熱接着性複合繊維をウエッブ状にし、該ウエッブを熱処理することによって得られる。その際のウエッブ状にする加工方法としては、通常用いられているカード法、エアレイド法、抄造法、スパンレース法等が例示できるが、熱接着性複合繊維表面に付着させた繊維処理剤が流れ落ちるような、抄造法やスパンレース法で加工する場合には、事前に熱処理を行っておく等の繊維処理剤が流れ出さない工夫を加える必要がある。
【0028】
本発明の混綿不織布は、本発明の熱接着性複合繊維とセルロース系繊維を用いて得られるが、本発明の効果を妨げない範囲内で、更に必要に応じて他の熱接着性複合繊維を混入させることも可能である。本発明の混綿不織布は、上記不織布と同様の加工方法によって得ることができるが、なかでも、熱接着性複合繊維、セルロース系繊維等を均一分散させ易く、得られる混綿不織布の地合、風合を良好とできるエアレイド法で加工することが好ましい。エアレイド法を用いることで、本発明の効果を十分に発揮させることができる。熱接着性複合繊維とセルロース系繊維との混率には、特に制限はなく、更に本発明の効果を妨げない範囲内で、他の繊維やフィラー、高吸水性樹脂を混合させてもよい。熱接着性複合繊維が3〜90重量%、セルロース系繊維が10〜97重量%の範囲で構成されていることが好ましい。熱接着性複合繊維の混率が前記範囲であれば、不織布の強度は十分である。また、セルロース系繊維の混率が前記範囲であれば、セルロース系繊維の特性が明確に発現される。
【0029】
エアレイド法とは、短繊維を用いることを特徴とする加工方法であり、一般に以下の手順で行われる。まず、5mm程度にカットされた短繊維(本発明の熱接着性複合繊維)を開繊機に投入し、機械的に開繊させた後、大量の空気と共に送綿循環ダクトに送る。混綿不織布を製造する場合には、パルプ粉砕機で粉砕したパルプ(セルロース系繊維)を同時に送綿循環ダクトに送り、送綿循環ダクト内で、前記短繊維と前記パルプとを混綿させる。短繊維または混綿した短繊維を丸や四角形の孔を有したスクリーンを備えたフォーミングヘッドから排出し、コンベア上に短繊維を積層させ、繊維集合体(ウェブ)を形成させる。フォーミングヘッドには種々の形態があり、例えば、高速回転するスクリーンから繊維を排出し、フォーミングヘッド下部からサクション装置で吸引する形態を挙げることができる。本発明の混綿不織布は、ウエッブ内の短繊維が均一に分散されているので、エアレイド法以外の方法で製造されたパルプとの混綿不織布よりも地合、風合が良好である。また、接合点が均一に存在していることから、実用的な強度を有する。
【0030】
本発明の不織布及び混綿不織布は、熱接着性複合繊維からなるウエッブに熱処理等を施すことによって容易に得られる。熱処理方法としては、熱風ドライヤー、サクションバンドドライヤー等の方法が挙げられる。熱処理を施すことによって、熱接着性複合繊維の第1成分が溶融し、熱接着性複合繊維同士または熱接着性複合繊維とセルロース系繊維との交点が熱接着される。この際の熱処理温度は、熱接着性複合繊維の第1成分の融点以上、第2成分の融点以下の温度で行うことが最も好ましい。また、熱処理時間は、得られる不織布及び混綿不織布の目付、用いる熱処理方法等を考慮して調節することが好ましい。
【0031】
得られた不織布及び混綿不織布に対し、更に汎用の熱プレス機またはコンベアー式熱プレス機等を用いて熱処理することにより、所望の厚さに調整することができ、また、必要に応じて熱処理時及び熱処理後に二次加工を行い、任意形状に成形することもできる。
【0032】
本発明の不織布及び混綿不織布は、他のウエッブまたはシートを積層し、積層シートとすることができる。シートとしては、編織物、不織布、発泡ウレタン、フィルム、紙状物、羊毛成形体、金属板、木板、プラスチック板が利用でき、これらのシートは、OH基を有する素材からなるシートであることが好ましい。例えば、熱接着性複合繊維単独からなる不織布または親水性繊維と熱接着性複合繊維との混繊からなる混繊不織布を、本発明の不織布及び混綿不織布に積層してもよい。なお、本発明の効果を妨げない範囲内であれば、他の素材をラミネートしても何等問題はない。
【0033】
本発明の不織布及び混綿不織布は、種々の用途に使用することが可能であり、特に、不織布強度が高く、セルロース系繊維との接着が良好であることから、ワイパー、吸収体等の繊維製品の用途に利用できる。特に混綿不織布は、セルロース系繊維の脱落がほとんどないことから、ワイパー、吸収体等の繊維製品用途に好適に使用できる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中に示された物性値の測定法を以下に示す。
捲縮数:熱接着性複合繊維の捲縮数を、JIS L 1015に準じて測定した。
単糸繊度:熱接着性複合繊維の単糸繊度を、JIS L 1015に準じて測定した。
目付:50cm角に切った不織布及び混綿不織布の重量を秤量し、単位面積当たりの重量(g/m2)で表わした。
脱落率:10cm角に切った混綿不織布の重量(W1)を測定し、次にカード機のフライコム部に取り付け、振幅3cm、振幅回数1700rpmの条件で3分間振動させた後の重量(W2)を測定し、次式より算出した。
{(W1)−(W2)}/(W1)×100=脱落率(%)
比容積:不織布及び混綿不織布の比容積を以下の式によって求めた。
比容積(cm3/g)=厚み(mm)/目付(g/m2)×1000
繊維処理剤付着量(%):熱接着性複合繊維2gに付着している繊維処理剤を、メタノール25mlに浸漬させることによって抽出し、抽出メタノールのみを蒸発させて、残渣を秤量し、繊維に対する重量比として算出した。
MFR:第1成分及び第2成分のMFRを、JIS K 7210の表1条件14に準じて温度230℃で測定した。
繊維MFR:熱接着性複合繊維のMFRを、JIS K 7210の表1条件14に準じて温度230℃で測定した(但し、実施例15と16は、第1成分のみで得た熱接着性繊維を使用)。
MI:第1成分及び第2成分のMIを、JIS K 7210の表1条件4に準じて温度190℃で測定した。
不織布強度:不織布及び混綿不織布から、CDが5cm、MDが15cmとなるように試験片を3枚採取する。この試験片を島津製作所(株)製オートグラフAGS500D(商品名)を用いて、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/分の条件で破断強度(N/5cm)を測定し、3枚の平均値を不織布強力とした。なお、不織布及び混綿不織布の機械の流れ方向(長さ方向)をMD、機械の流れ方向に直角な方向(横方向)をCDとした。
【0035】
実施例1〜22、比較例1〜7
表1または表2に示す条件で、第1成分と第2成分を使用し、鞘芯型、並列型または偏心鞘芯型紡糸口金を用いて複合繊維を紡糸し、延伸した後、表1または表2に示す繊維処理剤が15重量%配合された水溶液をタッチロールにて、該複合繊維表面に付着させ、熱接着性複合繊維を得た。表1に実施例、表2に比較例の熱接着性複合繊維の製造条件及び該複合繊維物性を示す。
【0036】
表1または表2に示される紡糸温度とは紡糸口金の温度であり、口金前までの溶融温度は、第1成分では220℃、第2成分のポリプロピレン(略してPP)では250℃、ポリエステル(略してPET)では310℃に設定した。延伸温度とは、延伸工程での延伸ロールの温度を言う。また、他の略号については、以下に示す。
変性PE1:密度0.960g/cm3の高密度ポリエチレンを幹ポリマーとした無水マレイン酸グラフト変性率0.3モル/kgのポリマーであり、MIは3g/10min。
変性PE2:密度0.960g/cm3の高密度ポリエチレンを幹ポリマーとした無水マレイン酸グラフト変性率0.15モル/kgのポリマーであり、MIは10g/10min。
変性PE3:密度0.931g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレンを幹ポリマーとした無水マレイン酸グラフト変性率0.15モル/kgのポリマーであり、MIは14g/10min。
変性PE4:エチレン78重量%・エチレンアクリレート19.5重量%・無水マレイン酸2.5重量%の3元共重合体であり、MIは20g/10min。
変性PE5:エチレンとグリシジルメタクリレートとの共重合体であり、MFRは7g/10min。
変性PP1:ポリプロピレンを幹ポリマーとした無水マレイン酸グラフト変性率0.15モル/kgのポリマーであり、MFRは7g/10min。
PP:結晶性ポリプロピレン(プロピレン単独重合体)で、MFRは17g/10min。
PET:融点250℃のポリエチレンテレフタレート。
HDPE:密度0.960g/cm3の高密度ポリエチレンであり、MIは17g/10min。
LLDPE:密度0.935g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレンであり、MIは30g/10min。
co−PP:エチレンを4.0重量%、ブテン−1を2.7重量%含むプロピレン共重合体であり、MFRは16g/10min。
繊維処理剤A:ポリオキシエチレンアルキルエーテル60重量%、アルキルホスフェートNa塩20重量%、トリエタノールアミン20重量%からなる乳化物。
繊維処理剤B:ポリオキシエチレンアルキルエーテル60重量%、アルキルホスフェートNa塩30重量%、エチレンジアミン10重量%からなる乳化物。
繊維処理剤C:ポリオキシエチレンアルキルエーテル60重量%、脂肪酸20重量%、1−5ペンタンジオール10重量%、エチレンジアミン10重量%からなる乳化物。
繊維処理剤D:ポリオキシエチレンアルキルエーテル60重量%、アルキルホスフェートNa塩15重量%、シリコーン5重量%、グリセリン10重量%、エチレングリコール10重量%からなる乳化物。
繊維処理剤E:ポリオキシエチレンアルキルエーテル60重量%、アルキルホスフェートNa塩20重量%、1−2エタンジチオール20重量%からなる乳化物。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
表1、表2から明らかな通り、本発明の熱接着性複合繊維は、本発明の必須要件である繊維処理剤で処理されていない従来の熱接着性複合繊維と比較し、繊維MFRが低下していることが確認できた(例えば、実施例1は10.2g/10min、比較例1は26.6g/10min)。これは、本発明で使用する変性ポリオレフィンと多官能性化合物が架橋反応を起こしているためである。これにより、熱により繊維表面が溶融し、流れ出すことによる繊維断面積の部分的低下を抑制できるため、繊維断面の著しく小さい(細い)部分ができ難くなり、繊維自体の強度低下を防止できる。
【0040】
表1または表2に示した条件で得られた(各実施例、比較例に対応する)熱接着性複合繊維を用いて、表3に示す不織布製造条件に合う所定の繊維長(カード法では51mm、エアレイド法では5mm)にカットし、それぞれの方法によってウエッブとした後、加工温度143℃に設定したスルーエアー装置によって熱処理を行い不織布とした。得られた不織布の目付、比容積及び不織布強度を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
表3から明らかな通り、本発明の不織布は、本発明の必須要件である、変性ポリオレフィン中の反応性官能基と反応し得る多官能性化合物を含有する繊維処理剤を熱接着性複合繊維表面に付着していない不織布と比較し、不織布強度が著しく優れることが確認できた(例えば、実施例1は50N/5cm、比較例1は30N/5cm)。これは、本発明の熱接着性複合繊維の繊維表面で架橋反応が起こっているだけでなく、繊維同士の接触点(溶融接着点)でも架橋反応が起こっているためである。
【0043】
表1または表2に示した条件で得られた(各実施例、比較例に対応する)熱接着性複合繊維を用いて、表4に示す混綿不織布製造条件に合う所定の繊維長(カード法では51mm、エアレイド法では5mm)にカットし、それぞれの方法によって表4に示す混綿比率のウエッブとした後、加工温度143℃に設定したスルーエアー装置によって熱処理を行い混綿不織布とした。得られた混綿不織布の目付、比容積、不織布強度及びセルロース系繊維の脱落率を表4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】
さらに、表4から明らかな通り、本発明の混綿不織布は、本発明の必須要件である繊維処理剤を熱接着性複合繊維表面に付着していない混綿不織布と比較し、不織布強度(例えば、実施例1は15N/5cm、比較例1は4N/5cm)は著しく高く、セルロース系繊維の脱落率(例えば、実施例1は1.9重量%、比較例1は5.6重量%)は著しく低く、セルロース系繊維の保持性に優れていることが確認できた。これは、前記理由の他に、本発明の熱接着性複合繊維表面で、該熱接着性複合繊維とセルロース系繊維との間に架橋反応が起こっているためである。また、エアレイド法により得られた混綿不織布は、カード法により得られた混綿不織布と比較し、熱接着性複合繊維とセルロース系繊維とがより均一に分散混合されているため、セルロース系繊維の脱落率がより低く(例えば、実施例20は1.0重量%、実施例19は3.0重量%)、更に嵩高性に優れていた(例えば、実施例20は36cm3/g、実施例19は29cm3/g)。このようなことから、本発明の熱接着性複合繊維は、エアレイド法で混綿不織布を得ることに適しているといえる。
【0046】
実施例23
表4における実施例1の混綿不織布を15cm×15cmのサイズにカットし、同サイズのポリエチレンフィルムと積層し、125℃でエンボス熱処理を施して床拭き掃除用ワイパーとした。
【0047】
比較例8
表4における比較例1の混綿不織布を15cm×15cmのサイズにカットし、同サイズのポリエチレンフィルムと積層し、125℃でエンボス熱処理を施して床拭き掃除用ワイパーとした。
【0048】
実施例23と比較例8の床拭き掃除用ワイパーとを比較すると、実施例23の床拭き掃除用ワイパーは、比較例8の床拭き掃除用ワイパーより不織布強度が高いため、ワイパーとして使用した場合、破断しにくく、拭き取り時の作業性が著しく向上した。また、実施例23の床拭き掃除用ワイパーは、積層に用いたシートとの接着性が良好であるため、ワイパー使用時の層間剥離もなく作業性が向上した。
【0049】
実施例24
表4における実施例1の混綿不織布を10cm×25cmのサイズにカットし、カットした混綿不織布全体をティッシュペーパーで包んで紙おむつ用吸収体とした。
【0050】
比較例9
表4における比較例1の混綿不織布を10cm×25cmのサイズにカットし、カットした混綿不織布全体をティッシュペーパーで包んで紙おむつ用吸収体とした。
【0051】
実施例24と比較例9の紙おむつ用吸収体とを比較すると、実施例24の紙おむつ用吸収体は、比較例9の紙おむつ用吸収体より不織布強度が高いため、吸収体とした際の保形性が良好であり、水分等を吸収した後、吸収体が崩れるのを防止する効果が高かった。更に実施例24の紙おむつ用吸収体は、パルプとの接着性が良好であることから吸収体としても十分な吸水性を発揮できた。
【0052】
【発明の効果】
本発明の熱接着性複合繊維は熱処理を施すことにより、繊維表面で該熱接着性複合繊維間に架橋反応が起こり、接着点が強固になり、高強力な不織布が得られる複合繊維である。また、他素材、特にセルロース系繊維との接着性が良好であるため、得られた混綿不織布は、セルロース系繊維の剥離や脱落がほとんどなく、強度が高く、例えば、衛生材料、ワイパー等の吸収体として使用した場合、吸収性と拭き取り性に極めて優れ、作業性が良好である。
Claims (12)
- 少なくとも1種の反応性官能基を有する変性ポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂(I)を第1成分とし、第1成分の熱可塑性樹脂(I)より融点の高い熱可塑性樹脂(II)を第2成分とし、該第1成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して形成している複合繊維であって、該複合繊維表面に、変性ポリオレフィン中の反応性官能基と反応し得る多官能性化合物を含有する繊維処理剤が付着されており、該変性ポリオレフィンが、オレフィンモノマーと、不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体であり、該多官能性化合物が、ポリアミン、または、水酸基とアミノ基とを有する化合物である熱接着性複合繊維。
- 少なくとも1種の反応性官能基を有する変性ポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂(I)を第1成分とし、第1成分の熱可塑性樹脂(I)より融点の高い熱可塑性樹脂(II)を第2成分とし、該第1成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して形成している複合繊維であって、該複合繊維表面に、変性ポリオレフィン中の反応性官能基と反応し得る多官能性化合物を含有する繊維処理剤が付着されており、該ポリオレフィンが、ポリエチレンと、不飽和カルボン酸またはその誘導体とのグラフト共重合体であり、該多官能性化合物が、ポリアミン、または、水酸基とアミノ基とを有する化合物である熱接着性複合繊維。
- 熱可塑性樹脂(II)が、ポリプロピレンである請求項1または請求項2記載の熱接着性複合繊維。
- 熱可塑性樹脂(II)が、ポリエステルである請求項1または請求項2記載の熱接着性複合繊維。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の熱接着性複合繊維を含む不織布。
- 不織布が、エアレイド法により製造されたことを特徴とする請求項5記載の不織布。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の熱接着性複合繊維とセルロース系繊維とを含む混綿不織布。
- 混綿不織布が、エアレイド法により製造されたことを特徴とする請求項7記載の混綿不織布。
- 請求項5または請求項6記載の不織布を用いたワイパー。
- 請求項7または請求項8記載の混綿不織布を用いたワイパー。
- 請求項5または請求項6記載の不織布を用いた吸収体。
- 請求項7または請求項8記載の混綿不織布を用いた吸収体。
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