以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、何ら、本実施例に限定されるものではない。
先ず最初に、図1及び図2を用いて、一例としてのネスティング及びスタッキング可能な運搬用容器(以下、単に、容器とも言う。)Tについて説明する。
容器Tは、底部1、外側にやや傾斜した相対する長辺側の側壁2a、2b(以下、単に、「長側壁」という。)、及び、外側にやや傾斜した相対する短辺側の側壁2c、2d(以下、単に、「短側壁」という。)とから構成されている。3は、容器Tの開口部を取り囲むように、長側壁2a、2b及び短側壁2c、2dの上端から外側水平方向に延設されたフランジ3である。4aは、フランジ3の下方で、フランジ3付近に形成された上部水平リブである、4bは、フランジ3と上部水平リブ4aを、適宜、連結する垂直リブである。
p1は、フランジ3から底部1に向かって、長側壁2a、2bの一方の相対する隅部寄りの内面に形成された縦長の凹部からなるポケットであり、容器Tの略半分の深さを有している。h1は、ポケットp1と適当な間隙を置いて或いはポケットp1に隣接して、ポケットp1より、容器Tの中央部寄りの長側壁2a、2bの外面に形成された支脚であり、支脚h1は、上部水平リブ4aから底部1付近まで延びるように形成されている。上記のポケットp1の内幅は、上記の支脚h1の外幅より広く形成されている。以下、このような、幅広のポケットp1と幅狭の支脚h1との組み合わせを幅広ポケット・支脚部S1と称する。
h2は、長側壁2a、2bのもう一方の相対する隅部寄りの外面に形成された、上述した支脚h1より、幅広の支脚であり、支脚h2も、上部水平リブ4aから底部1付近まで延びるように形成されている。p2は、支脚h2と適当な間隙を置いて或いは支脚h2に隣接して、支脚h2より、容器Tの中央部寄りの長側壁2a、2bの内面に形成された縦長の凹部からなるポケットであり、容器Tの略半分の深さを有している。該ポケットp2は、幅広ポケット・支脚部S1のポケットp1の内幅より狭い内幅を有しており、支脚h2の外幅は、幅広ポケット・支脚部S1の支脚h1の外幅より広く形成されている。以下、このような、幅広の支脚h2と幅狭のポケットp2との組み合わせを幅広支脚・ポケット部S2と称する。なお、支脚h1、h2の下面には、突起h1’、h2’が延設されており、この突起h1’、h2’は、スタッキングの際に、下に位置する容器T内に挿入され、上に位置する容器Tの横移動を少なくするような機能を有するものであり、一般に、寄せリブと称せられている。
幅広ポケット・支脚部S1の幅狭の支脚h1の外幅は、幅広支脚・ポケット部S2の幅狭のポケットp2の内幅より狭く形成されており、従って、ネスティングの際には、幅広ポケット・支脚部S1の幅狭の支脚h1が、幅広支脚・ポケット部S2の幅狭のポケットp2に挿入できるように構成されている。また、幅広支脚・ポケット部S2の幅広の支脚h2の外幅は、幅広ポケット・支脚部S1の幅広ポケットp1の内幅より狭く形成されており、従って、ネスティングの際には、幅広支脚・ポケット部S2の幅広の支脚h2が、幅広ポケット・支脚部S1の幅広のポケットp1に挿入できるように構成されている。
相対する短側壁2c、2dのうち一方の短側壁2cの外面の隅部付近には、一対の支脚h3が、上部水平リブ4aから底部1付近まで延びるように形成されており、また、支脚h3と適当な間隙を置いて或いは支脚h3に隣接して、支脚h3より、容器Tの中央部寄りの短側壁2cの内面には、容器Tの略半分の深さを有するポケットp3が形成されている。同様に、相対する短側壁2c、2dのうちもう一方の短側壁2dの内面の隅部付近には、容器Tの略半分の深さを有する一対の上記ポケットp3と同じポケットp3が形成されており、また、ポケットp3と適当な間隙を置いて或いはポケットp3に隣接して、ポケットp3より、容器Tの中央部寄りの短側壁2dの外面には、一対の上記支脚h3と同じ支脚h3が、上部水平リブ4aから底部1付近まで延びるように形成されている。そして、支脚h3の外幅は、ポケットp3の内幅より狭く構成されている。なお、支脚h3にも、上述した支脚h1、h2と同様に、寄せリブh3’が形成されている。一方の短側壁2cの外面に形成された支脚h3は、もう一方の短側壁2dの内面に形成されたポケットp3と、互いに対向するように配置されており、また、一方の短側壁2cの内面に形成されたポケットp3は、もう一方の短側壁2dの外面に形成された支脚c3と、互いに対向するように配置されている。
そして、下に位置する容器Tと上に位置する容器Tとが、同じ向きになるように、即ち、下に位置する容器Tの幅広ポケット・支脚部S1の上方に、上に位置する容器Tの幅広ポケット・支脚部S1が位置し、また、下に位置する容器Tの幅広支脚・ポケット部S2の上方に、上に位置する容器Tの幅広支脚・ポケット部S2が位置するように、容器Tを積み重ねると、上に位置する容器Tの合計8本の支脚h1、h2、h3が、下に位置する容器Tのフランジ3に載置されるので、下に位置する容器Tの上に、上に位置する容器Tがスタッキングされることになる。
また、スタッキング状態から、上に位置する容器Tを、平面的に、180度回転させて、下に位置する容器Tと上に位置する容器Tとが、異なる向きになるように、即ち、下に位置する容器Tの幅広ポケット・支脚部S1の上方に、上に位置する容器Tの幅広支脚・ポケット部S2が位置し、また、下に位置する容器Tの幅広支脚・ポケット部S2の上方に、上に位置する容器Tの幅広ポケット・支脚部S1が位置するように配置すると、下に位置する容器Tの幅広ポケット・支脚部S1の幅広のポケットp1に、上に位置する容器Tの幅広支脚・ポケット部S2の幅広の支脚h2が、また、下に位置する容器Tの幅広支脚・ポケット部S2の幅狭のポケットp2に、上に位置する容器Tの幅広ポケット・支脚部S1の幅狭の支脚h1が、それぞれ挿入されることになり、更に、下に位置する容器Tの短側壁2cのポケットp3に、上に位置する容器Tの短側壁2dの支脚h3が、更にまた、下に位置する容器Tの短側壁2dのポケットp3に、上に位置する容器Tの短側壁2cの支脚h3が、それぞれ挿入されることになり、従って、上に位置する容器Tの略半分が、下に位置する容器Tの内部に嵌め込まれてネスティングされることになる。このようなネスティング状態においては、上に位置する容器Tのポケットp1、p2、p3の下端面が、下に位置する容器Tのフランジ3上に載置されるように構成されている。
上述したように、ネスティングされた際には、幅広のポケットp1に挿入された幅広の支脚h2の寄せリブh2’が、幅広のポケットp1の底面p1’に載置され、また、幅狭のポケットp2に挿入された幅狭の支脚h1の寄せリブh1’が、幅狭のポケットp2の底面p2’に載置され、更に、短側壁2c、2dのポケットp3に挿入された短側壁2c、2dの支脚h3の寄せリブh3’が、前記ポケットp3の底面p3’に載置されるように構成されている。
なお、上述した、長側壁2a、2bに配設された幅広ポケット・支脚部S1及び幅広支脚・ポケット部S2の配置、更には、短側壁2c、2dに配設されたポケットp3と支脚h3の配置は、上述した配置に限定されるものではなく、下に位置する容器Tと上に位置する容器Tとが、同じ向きに積み重ねられた際には、下に位置する容器Tの開口部に形成されたフランジ上に、上に位置する容器Tの支脚が載置されて、上に位置する容器Tが、下に位置する容器Tに嵌め込まれないように積み重ねられる、所謂、スタッキングされ、また、スタッキング状態から、上に位置する容器Tを、平面的に、180度回転させることにより、上に位置する容器Tの支脚が、下に位置する容器Tのポケットに挿入されて、上に位置する容器Tが、下に位置する容器Tに嵌め込まれる、所謂、ネスティングされるような配置であればどのような配置でもよい。更に、短側壁2c、2dに配設されたポケットp3と支脚h3を省略し、長側壁2a、2bのみに、幅広ポケット・支脚部S1及び幅広支脚・ポケット部S2を配設することもできるし、更にまた、長側壁2a、2bに配設された幅広ポケット・支脚部S1及び幅広支脚・ポケット部S2を省略し、短側壁2c、2dのみに、ポケットp3と支脚h3を配設することもきる。
次に、図1及び図3を用いて、容器Tの長側壁2a、2bのうち、一方の長側壁2bに配設された、参考例としてのカード差し取付部材U1について説明する。
u1は、長側壁2bの外面の下端部に突設された係止フックであり、係止フックu1は、長側壁2bの外面に対して略垂直な水平部u1aと、水平部u1aの先端に、長側壁2bの外面と略平行に垂下された垂直部u1bとから構成されている。そして、長側壁2bの外面に係止フックu1を形成することにより、長側壁2bの外面と係止フックu1の水平部u1aと係止フックu1の垂直部u1bとにより区画された嵌合凹部u1cが形成されている。
係止フックu1の下方に位置する長側壁2bの外面には、係止フックu1の中心垂線に対して線対称の位置に、且つ、係止フックu1と所定の間隙を置いて、一対の係止突起u2が突設されている。
上述した係止フックu1と一対の係止突起u2とによりカード差し取付部材U1が構成されており、カード差し取付部材U1は、所定の間隔を置いて、水平方向に複数個、並設されている。なお、本実施例には、一対のカード差し取付部材U1が並設されている例が示されている。
u3は、カード落下防止用水平リブであり、長側壁2bの外面に配設されたカード差し取付部材U1の間に形成されており、カード落下防止用水平リブu3の上面とカード差し取付部材U1を構成する係止フックu1の水平部u1aの上面とが、略面一になるように構成されている。なお、本実施例においては、カード差し取付部材U1と長側壁2bに形成された支脚h2との間及びカード差し取付部材U1と長側壁2bに形成された支脚h1との間にも、カード落下防止用水平リブu3が形成されている例が示されている。カード落下防止用水平リブu3は、必ずしも必要ではなく、必要に応じて適宜、配設することができる。
次に、図3を用いて、カード差し部材C1について説明する。
カード差し部材C1は、縦長の帯状板材からなる弾性変形可能な帯状板部c1と、帯状板部c1の相対する側面c1aの下端部に突設された側部突起c2とを有している。また、側部突起c2が突設されている帯状板部c1付近には、正面形状が方形状の透孔c3が穿設されており、透孔c3には、上述した長側壁2bの外面に配設されたカード差し取付部材U1を構成する係止フックu1が挿入可能なように構成されている。透孔c3付近の帯状板部c1の厚さは、長側壁2bに係止フックu1を配設することにより形成された嵌合凹部u1cの奥行幅(長側壁2bの外面と、垂直部u1bの長側壁2bの外面と対向する面との間隔)と同じか、或いは、奥行幅より、若干、薄く形成されている。
また、カード差し部材C1の帯状板部c1の横幅W1は、長側壁2bの外面に配設されたカード差し取付部材U1を構成する一対の係止突起u2の間隔D1と略同じか、若干、狭く形成されており、帯状板部c1が、一対の係止突起u2間に挿入可能なように構成されている。更に、帯状板部c1の上端部には、傾斜部c1bが形成されている。なお、c4は、透孔c3を挟むように、且つ、帯状板部c1の垂直縁に沿って形成された垂直リブであり、本実施例においては、側部突起c2の厚さは、帯状板部c1の厚さと垂直リブc4の厚さを足した厚さに形成されている。
次に、図3〜図5を用いて、長側壁2bへのカード差し部材C1の取り付けについて説明する。
カード差し部材C1の帯状板部c1に穿設された透孔c3の略上半分に、長側壁2bの外面に配設されたカード差し取付部材U1の係止フックu1が位置するとともに、カード差し取付部材U1の一対の係止突起u2に、カード差し部材C1の一対の側部突起c2が当接するように、カード差し部材C1と長側壁2bの外面に配設されたカード差し取付部材U1とを配置する。また、長側壁2bの外面に、カード落下防止用水平リブu3が形成されている場合には、隣り合うカード落下防止用水平リブu3間に形成された間隙G1に、カード差し部材C1の帯状板部c1が挿入されるように、カード差し部材C1を配置する。
次いで、カード差し部材C1の帯状板部c1に穿設された透孔c3付近を、長側壁2bの外面方向に押して、帯状板部c1を弾性的に湾曲変形させて、図4に示されているように、カード差し部材C1の帯状板部c1に穿設された透孔c3付近を、長側壁2bの外面に当接させて、カード差し部材C1の帯状板部c1に穿設された透孔c3の略上半分に、カード差し取付部材U1の係止フックu1を挿入させる。次いで、カード差し部材C1の帯状板部c1に穿設された透孔c3付近が、長側壁2bの外面に当接された状態のまま、カード差し部材C1を、上方に移動させることにより、カード差し部材C1の透孔c3の下方に位置する帯状板部c1部分を、長側壁2bに係止フックu1を配設することにより形成された嵌合凹部u1cに挿入する。このように、カード差し部材C1の透孔c3の下方に位置する帯状板部c1部分が、カード差し取付部材U1の嵌合凹部u1cに挿入された際には、カード差し取付部材U1の係止突起u2に当接しているカード差し部材C1の側部突起c2が、カード差し取付部材U1の係止突起u2から外れて、弾性変形されていたカード差し部材C1の帯状板部c1が、その弾性力により元の略平坦な板状に戻る。このように、カード差し部材C1の帯状板部c1が、元の略平坦な板状に戻ることにより、カード差し取付部材U1の係止突起u2の上面u2aとカード差し部材C1の側部突起c2の下面c2aとが接触、或いは、カード差し取付部材U1の係止突起u2の上面u2aとカード差し部材C1の側部突起c2の下面c2aとが接近して対向するとともに、カード差し部材C1の帯状板部c1の側部突起c2より下の部分が、カード差し取付部材U1の一対の係止突起u2間に挿入されることになる。このようにして、図5及び図6に示されているように、一対のカード差し部材C1が、長側壁2bに配設された一対のカード差し取付部材U1に、それぞれ取り付けられることになる。なお、長側壁2bの外面に、カード落下防止用水平リブu3が形成されている場合には、カード差し部材C1の側部突起c2は、カード差し取付部材U1の係止突起u2とカード落下防止用水平リブu3との間に形成された間隙G2に挿入されるように構成されている。
上述したようにして、カード差し部材C1が、長側壁2bに配設されたカード差し取付部材U1に取り付けられた状態においては、外力により、カード差し部材C1が水平方向に移動しようとしても、カード差し部材C1の透孔c3に、カード差し取付部材U1の係止フックu1が挿入されているとともに、カード差し部材C1の帯状板部c1の側部突起c2より下の部分が、カード差し取付部材U1の一対の係止突起u2間に挿入されているので、カード差し部材C1の水平移動が制限されることになる。
また、外力により、カード差し部材C1が下方に移動しようとしても、カード差し取付部材U1の係止突起u2の上面u2aとカード差し部材C1の側部突起c2の下面c2aとが接触、或いは、カード差し取付部材U1の係止突起u2の上面u2aとカード差し部材C1の側部突起c2の下面c2aとが接近して対向しているので、カード差し部材C1の下方への移動が制限されることになる。
更に、外力により、カード差し部材C1が上方に移動しようとしても、カード差し部材C1の透孔c3の下方に位置する帯状板部c1部分が、長側壁2bに係止フックu1を配設することにより形成された嵌合凹部u1cに挿入されており、透孔c3を形成する下辺c3aが、係止フックu1の水平部u1aに当接、或いは、接近して位置しているので、カード差し部材C1の上方への移動が制限されることになる。
更にまた、外力により、カード差し部材C1が、長側壁2bから離反しようとしても、カード差し部材C1の透孔c3の下方に位置する帯状板部c1部分が、長側壁2bに係止フックu1を配設することにより形成された嵌合凹部u1cに挿入されており、カード差し部材C1の透孔c3の下方に位置する帯状板部c1部分が、係止フックu1の垂直部u1bに当接、或いは、接近して位置しているので、カード差し部材C1が、長側壁2bから離反するようなことが防止されることになる。
上述したように、カード差し部材C1が、長側壁2bに配設されたカード差し取付部材U1に取り付けられた状態においては、カード差し部材C1の上下方向の移動、左右方向の移動及び長側壁2bからの離反が制限されることになり、従って、カード差し部材C1が大きく移動するようなことがなく、確実に、カードKを保持することができる。
また、長側壁2bの外面に、カード落下防止用水平リブu3が形成されている場合には、カード差し部材C1の側部突起c2が、カード差し取付部材U1の係止突起u2とカード落下防止用水平リブu3との間に形成された間隙G2に挿入されるように構成されているので、外力により、カード差し部材C1が上下方向に移動しようとしても、カード差し部材C1の上下方向の移動が制限されるとともに、カード差し部材C1の帯状板部c1が、隣り合うカード落下防止用水平リブu3間に形成された間隙G1に挿入されるように構成されているので、外力により、カード差し部材C1が左右方向に移動しようとしても、カード差し部材C1の左右方向への移動が制限されることになる。従って、カード差し部材C1の移動が制限され、大きくカード差し部材C1が動くようなことを、より確実に防止することができる。
上述したようにして、長側壁2bの外面に配設された一対のカード差し取付部材U1に取り付けられた一対のカード差し部材C1に、カードKを取り付けるには、長側壁2bの外面とカード差し部材C1を構成する帯状板部c1の傾斜部c1bとの間に形成された楔状間隙G3に、カードKの下端部を挿入し、次いで、カードKを下降させることにより、長側壁2bの外面とカード差し部材C1を構成する帯状板部c1との間に、カードKを挟持するように構成されている。また、カードKの下端を、カード差し取付部材U1を構成する係止フックu1の水平部u1aの上面に当接させることにより、カードKが下方に移動するようなことがなく、従って、カードKを、安定した状態で保持することができる。
また、長側壁2bの外面に、カード落下防止用水平リブu3を形成した場合には、カードKが、横方向に移動し、カードKが、一方のカード差し部材C1の帯状板部c1から外れた場合でも、帯状板部c1から外れたカードKの下端は、一対のカード差し部材C1間に位置するカード落下防止用水平リブu3に当接するので、カードKが傾斜したり、カード差し部材C1から外れたりするようなことを防止することができる。
なお、図1及び図6において、5は、カード差し部材C1が取り付けられる長側壁2bと相対する長側壁2aの内壁面に形成されたカード差し用凹部であり、このようなカード差し用凹部5を形成することにより、容器Tがネスティングされた際に、上に位置する容器Tに保持されているカード差し部材C1が、下に位置する容器Tのカード差し用凹部5に、その一部が挿入されるので、容器Tをネスティングする際に、上に位置する容器Tに保持されているカード差し部材C1が、下に位置する容器Tの長側壁2aやフランジ3に当接し、カード差し部材C1が、ネスティングの障害になるようなことがない。
上述したように、カード差し部材C1を構成する帯状板部c1の下端部が、長側壁2bに配設されたカード差し取付部材U1により、その移動が制限されるように取り付けられているので、容器Tのネスティング作業の際に、上に位置する容器Tのカード差し部材C1の下端部が、下に位置する容器Tに当接し、カード差し部材C1が捲くれ上がり、ネスティングができなくなったり、また、カード差し部材C1が損傷するというようなことを防止することができる。
図7及び図8には、参考として、上述した一対のカード差し部材C1の帯状板部c1が、その略中間部において、略水平な板状の連結帯c5で連結されているカード差し部材C2が示されている。帯状板部c1が、連結帯c5で連結されている以外は、上述したカード差し部材C1と同じであるので、長側壁2bに配設されたカード差し取付部材U1へのカード差し部材C2の取り付け等の詳細な説明は省略する。
上述したように、一対の帯状板部c1を、連結帯c5で連結することにより、長側壁2bに配設されたカード差し取付部材U1により、長側壁2bに取り付けられたカード差し部材C2により保持されたカードKが、左右方向に移動しても、カード差し部材C2から外れるようなことを防止することができる。
また、一対の帯状板部c1が、連結帯c5により連結されているので、一方の帯状板部c1を、長側壁2bに配設された一方のカード差し取付部材U1に位置決めすることにより、もう一方の帯状板部c1も、長側壁2bに配設されたもう一方のカード差し取付部材U1に位置決めすることができるので、カード差し部材C2の長側壁2bに配設されたカード差し取付部材U1への取り付け作業が容易になる。
次に、図9〜図13を用いて、本発明の実施例について説明する。
図12において、1aは、容器Tの底部1の裏面に形成された公知の嵌合部であり、容器Tをスタッキングさせた際に、上に位置する容器Tの底部1に形成された嵌合部1aが、下に位置する容器Tの開口部に嵌合されるように構成されている。嵌合部1aは、公知のように、長側壁2a、2bに略平行で、且つ、底部1の裏面に垂設された複数のリブ1a1と、短側壁2c、2dに略平行で、且つ、底部1の裏面に垂設された複数のリブ1a2とから構成されている。
容器Tの長側壁2a、2bのうち、一方の長側壁2b側に位置する嵌合部1aの外側リブ1a1’には、底部1の裏面と略平行な水平板u4が形成されており、水平板u4は、長側壁2bの外面に形成された支脚h1、h2の寄せ突起h1’、h2’を越えて、外側に突出しないように構成されている。また、水平板u4の上面には、長側壁2bに対して略垂直な側部リブu5が、所定の間隔を置いて、一対、立設されており、側部リブu5の上面は、底部1の裏面に連結されている。更に、水平板u4には、係止透孔u6が穿設されている。上記の水平板u4と一対の側部リブu5とにより、後述するカード差し部材C3を取り付けるためのカード差し取付部材U2が形成されている。このようなカード差し取付部材U2は、所定の間隔を置いて、複数、形成されている。なお、本実施例には、2個のカード差し取付部材U2が形成されている例が示されている。
上述したようなカード差し取付部材U2を配設することにより、底部1の裏面と嵌合部1aの外側リブ1a1’とカード差し取付部材U2を構成する水平板u4及び一対の側部リブu5とにより、側方が開放された嵌合凹部u7が形成されている。
図11及び図12に示されているように、カード差し部材C3は、上述した容器T側に形成された嵌合凹部u7に嵌合される水平状の嵌合部c6と、嵌合部c6の先端から略垂直に上方に延在する弾性変形可能な帯状板部c7とから構成されており、帯状板部c7の上端部には、傾斜部c7aが形成されている。また、嵌合部c6の下面には、上述したカード差し取付部材U2を構成する水平板u4に穿設された係止透孔u6に嵌合される嵌合突部c8が垂設されている。
カード差し部材C3の嵌合部c6を、上述した容器T側に形成された嵌合凹部u7に嵌合するとともに、カード差し取付部材U2を構成する水平板u4に穿設された係止透孔u6に、カード差し部材C3の嵌合部c6の下面に垂設された嵌合突部c8を嵌合させることにより、図9及び図13に示されているように、カード差し部材C3を、容器Tの長側壁2bに取り付けることができるように構成されている。なお、カード差し部材C3が、容器Tの長側壁2bに配設されたカード差し取付部材U2に取り付けられた際には、カード差し部材C3が、長側壁2bの外面に形成された支脚h1、支脚h2の寄せ突起h1’、h2’を越えて、外側に突出しないように構成されている。
上述したようにして、長側壁2bの外面に配設された一対のカード差し部材C3に、カードKを取り付けるには、長側壁2bの外面とカード差し部材C3を構成する帯状板部c7の傾斜部c7aとの間に形成された楔状間隙に、カードKの下端部を挿入し、次いで、カードKを下降させることにより、長側壁2bの外面とカード差し部材C3を構成する帯状板部c7との間に、カードKを挟持するように構成されている。
なお、上述したカード差し部材C3やカード差し取付部材U2以外の構成については、上述した実施例と同じであるので、その詳細な説明は省略する。
上述したように、カード差し部材C3を構成する帯状板部c7の下端に形成された嵌合部c6が、容器T側に形成された嵌合凹部u7に嵌合されるように構成されているので、容器Tがネスティングされる場合に、上に位置する容器Tのカード差し部材C3の下端部が、下に位置する容器Tに当接し、カード差し部材C3が捲くれ上がり、ネスティングができなくなったり、また、カード差し部材C3が損傷するというようなことを防止することができる。