JP4744076B2 - リチウム二次電池及びその製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4744076B2
JP4744076B2 JP2003410592A JP2003410592A JP4744076B2 JP 4744076 B2 JP4744076 B2 JP 4744076B2 JP 2003410592 A JP2003410592 A JP 2003410592A JP 2003410592 A JP2003410592 A JP 2003410592A JP 4744076 B2 JP4744076 B2 JP 4744076B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative electrode
positive electrode
mixture layer
current collector
secondary battery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003410592A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005174653A (ja
Inventor
厚史 福井
真理子 鳥前
靖幸 樟本
勝信 佐山
丸男 神野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Electric Co Ltd filed Critical Sanyo Electric Co Ltd
Priority to JP2003410592A priority Critical patent/JP4744076B2/ja
Publication of JP2005174653A publication Critical patent/JP2005174653A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4744076B2 publication Critical patent/JP4744076B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Description

本発明は、リチウム二次電池及びその製造方法に関するものである。
近年、高出力及び高エネルギー密度の新型二次電池の1つとして、非水電解液を用い、リチウムイオンを正極と負極との間で移動させて充放電を行うようにしたリチウム二次電池が利用されている。
リチウム二次電池は、高エネルギー密度であることから、携帯電話やノート型パソコンの情報技術関連のエレクトロニクス携帯機器の電源として実用化され、広く普及している。今後、これらの携帯機器のさらなる小型化及び高機能化により、電源であるリチウム二次電池への負荷が大きくなっていくことが予想される。このため、リチウム二次電池の高エネルギー密度化への要求は非常に高いものになっている。
電池の高エネルギー密度化には、活物質として、より大きなエネルギー密度を有する材料を用いることが有効な手段である。そこで、最近、リチウム二次電池においては、現在実用化されている黒鉛に代わり、より高いエネルギー密度を有する負極活物質として、リチウムとの合金化反応によってリチウムを吸蔵するAl、Sn、Siなどの元素の合金材料が提案され検討されている。
しかしながら、リチウムと合金化する材料を活物質として用いた電極においては、リチウムの吸蔵・放出の際に活物質の体積が膨張・収縮するため、活物質の微粉化や、集電体からの剥離が生じ、電極内の集電性が低下し、充放電サイクル特性が悪くなるという問題がある。
そこで、本出願人は、リチウムと合金化する負極活物質としてケイ素を含む材料を用いた電極において、表面に凹凸を有する導電性金属箔の集電体の表面上に、ケイ素を含む材料からなる活物質とバインダーとを含む合剤層を非酸化性雰囲気下で焼結して配置した負極が、合剤層と集電体との高い密着性によって電極内に高い集電性が発現し、良好な充放電サイクル特性が得られることを見出している(特許文献1)。
しかしながら、上記負極を用いた場合に、どのような電池構造がサイクル特性において優れているかについて、詳細には検討されていない。
特開2002−260637号公報
本発明の目的は、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む活物質粒子とバインダーを含む合剤層を導電性金属箔からなる集電体の表面上で焼結して配置した負極を用いたリチウム二次電池において、サイクル特性に優れ、かつ高いエネルギー密度を有するリチウム二次電池及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、正極活物質と正極バインダーを含む正極合剤層を正極集電体の表面上に配置した正極と、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む負極活物質と負極バインダーを含む負極合剤層を負極集電体の表面上で焼結して配置した負極と、正極及び負極の間に配置されるセパレータと、非水電解質とを備えるリチウム二次電池において、正極と負極をセパレータを介して対向させて配置し、負極合剤層が折れ曲がった部分において充放電反応が生じないように構成されていることを特徴としている。
本発明のリチウム二次電池においては、負極合剤層が折れ曲がった部分において充放電反応が生じないように構成されている。このため、負極合剤層が折れ曲がった部分において、充放電に伴う負極合剤層の体積の膨張・収縮が生じない。このため、負極合剤層の破壊や集電体からの剥離を抑制することができ、電極内の集電性を保持することができる。負極合剤層が折れ曲がった部分において充放電反応が生じると、合剤層内において発生する応力の緩和が適切に行われないため、合剤層の破壊が生じる。この合剤層の破壊は、負極合剤層が折れ曲がった部分のみならず、この部分とつながっている部分においても生じる。このため、本発明に従い、負極合剤層が折れ曲がった部分において充放電反応が生じないように構成することにより、負極合剤層が折れ曲がった部分及びそれ以外の部分における集電性の低下を抑制することができ、結果として優れた充放電サイクル特性を得ることができる。
本発明において、負極合剤層が折れ曲がった部分において充放電反応が生じないようにする具体的な方法としては、負極合剤層が折れ曲がった部分において、対向する正極合剤層が存在しないようにする方法や、対向する正極合剤層の表面にリチウムイオン非伝導性の物質を設ける方法、負極合剤層の表面にリチウムイオン非伝導性の物質を設ける方法などが挙げられる。リチウムイオン非伝導性物質を設ける方法としては、正極合剤層または負極合剤層の表面にプラスチックフィルムなどを貼り付ける方法が挙げられる。
また、負極合剤層が折れ曲がった部分と接するセパレータ内の多孔質部分を塞ぎ、正極と負極の間のリチウムイオンの伝導を遮断する方法なども挙げられる。具体的には、負極合剤層が折れ曲がった部分におけるセパレータ部分を加熱し空隙部分を塞ぐ方法が挙げられる。また、固体電解質を用いる場合には、負極合剤層が折れ曲がった部分において、固体電解質が存在しないように構成する方法も挙げられる。
本発明の製造方法は、上記本発明のリチウム二次電池を製造することができる方法であり、負極合剤層が折れ曲がった部分において充放電反応が生じないように構成することを特徴としている。
本発明の製造方法によれば、上述の理由により、充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池を製造することができる。
負極合剤層が折れ曲がった部分において充放電反応が生じないように構成する方法としては、例えば、両面に負極合剤層が設けられた負極を交互に折り畳み、両面に正極合剤層が設けられた正極を負極の折り畳み面の間に配置する方法が挙げられる。また、負極合剤層の折れ曲がる部分と対向する正極合剤層の表面部分にプラスチックフィルムを貼り付ける方法や、負極合剤層の折れ曲がる部分の表面にプラスチックフィルムを貼り付ける方法などを用いてもよい。
また、本発明においては、負極の焼結を、非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明において、負極合剤層は、負極活物質粒子をバインダーの溶液中に分散させたスラリーを負極集電体の表面上に塗布することにより、負極集電体の表面上に配置することができる。この場合、負極活物質粒子は、バインダー溶液中に均一に混合・分散されていることが好ましい。
また、本発明の製造方法においては、負極集電体の表面上に合剤層を形成した後、焼結する前に、負極合剤層を負極集電体とともに圧延することが好ましい。このような圧延により、負極合剤層における充填密度が高まり、活物質粒子間の密着性及び合剤層と集電体との密着性を高めることができる。このため、さらに良好な充放電サイクル特性を得ることができる。
本発明における非酸化性雰囲気下での焼結は、例えば、真空下または窒素雰囲気下またはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことができる。また、水素雰囲気などの還元性雰囲気下で行ってもよい。焼結する際の熱処理温度は、金属箔集電体及び活物質粒子の融点以下の温度であることが好ましい。例えば、金属箔集電体として銅箔を用いた場合には、銅の融点である1083℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは200〜500℃の範囲内であり、さらに好ましくは300〜450℃の範囲内である。焼結する方法としては、放電プラズマ焼結法や、ホットプレス法を用いてもよい。
以下、本発明のリチウム二次電池における負極、正極、及び非水電解質について説明する。
<負極>
本発明において用いる負極活物質としては、ケイ素及び/またはケイ素合金の粒子が挙げられる。ケイ素合金としては、ケイ素と他の1種以上の元素との固溶体、ケイ素と他の1種以上の元素との金属間化合物、ケイ素と他の1種以上の元素との共晶合金などが挙げられる。合金の作製方法としては、アーク溶解法、液体急冷法、メカニカルアロイング法、スパッタリング法、化学気相成長法、焼成法などが挙げられる。特に、液体急冷法としては、単ロール急冷法、双ロール急冷法、及びガスアトマイズ法、水アトマイズ法、ディスクアトマイズ法などの各種アトマイズ法が挙げられる。
また、本発明において用いる負極活物質粒子としては、ケイ素及び/またはケイ素合金の粒子表面を金属等で被覆したものを用いてもよい。被覆方法としては、無電解めっき法、電解めっき法、化学還元法、蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法などが挙げられる。粒子表面を被覆する金属としては、集電体として用いる金属箔と同じ金属であることが好ましい。金属箔と同じ金属を被覆することにより、焼結の際の集電体との結合性が大きく向上し、さらに優れた充放電サイクル特性を得ることができる。
本発明において用いる負極活物質粒子には、リチウムと合金化する材料からなる粒子が含まれていてもよい。リチウムを合金化する材料としては、ゲルマニウム、錫、鉛、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム及びこれらの合金などが挙げられる。
本発明において用いる負極活物質粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、効果的な焼結を行うためには、100μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは50μm以下、最も好ましくは10μm以下である。活物質粒子の粒子径が小さいほど、良好なサイクル特性が得られる傾向にある。また、合剤層に添加して用いる導電性粉末の平均粒子径も、特に限定されるものではないが、100μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは50μm以下であり、最も好ましくは10μm以下である。
平均粒子径の小さい活物質粒子を用いることにより、充放電反応でのリチウムの吸蔵・放出に伴う活物質粒子の体積の膨張・収縮の絶対量が小さくなるため、充放電反応時の電極内での活物質粒子間の歪みの絶対量も小さくなるので、バインダーの破壊が生じず、電極内の集電性の低下を抑制することができ、良好な充放電特性を得ることができる。
また、活物質粒子の粒度分布は、できる限り狭いことが好ましい。幅広い粒度分布であると、粒度が大きく異なる活物質粒子間において、リチウムの吸蔵・放出に伴う体積の膨張・収縮の絶対量に大きな差が存在することになるため、合剤層内で歪みが生じ、バインダーの破壊が生じる。このため、電極内の集電性が低下し、充放電サイクル特性が低下する。
本発明における負極集電体は、その表面の算術平均粗さRaが、0.2μm以上であることが好ましい。このような算術平均粗さRaの表面を有する集電体を用いることにより、合剤層と集電体との接触面積を大きくすることができ、合剤層と集電体との密着性を向上させることができる。このため、電極内の集電性をさらに向上させることができる。集電体の両面に合剤層を配置する場合には、集電体の両面の算術平均粗さRaが0.2μm以上であることが好ましい。
算術平均粗さRaは、日本工業規格(JIS B 0601−1994)に定められている。算術平均粗さRaは、例えば、表面粗さ計により測定することができる。
上記の算術平均粗さRaと局部山頂の平均間隔Sは、100Ra≧Sの関係を有することが好ましい。局部山頂の平均間隔Sは、日本工業規格(JIS B 0601−1994)に定められており、例えば、表面粗さ計により測定することができる。
本発明において、負極集電体の厚みは特に限定されるものではないが、10〜100μmの範囲であることが好ましい。
本発明において、負極集電体表面の算術平均粗さRaの上限は、特に限定されるものではないが、集電体の厚みが10〜100μmの範囲であることが好ましいので、集電体表面の算術平均粗さRaの上限は実質的には10μm以下であることが好ましい。
本発明における負極集電体は、導電性金属箔からなる。このような導電性金属箔としては、例えば、銅、ニッケル、鉄、チタン、コバルト等の金属またはこれらの組み合わせからなる合金のものを挙げることができる。特に、活物質材料中に拡散しやすい金属元素を含有するものが好ましい。このようなものとして、銅元素を含む金属箔、特に銅箔または銅合金箔が挙げられる。銅は、熱処理によって活物質であるケイ素材料中に拡散しやすいため、集電体と活物質材料との密着性が焼結により向上することが期待できる。また、このような焼結による集電体と活物質材料の密着性の向上を目的とする場合、活物質と接する集電体表面に銅元素を含む層が存在する金属箔を集電体として用いればよい。従って、銅以外の金属元素からなる金属箔を用いる場合には、その表面に銅または銅合金層を形成することが好ましい。
銅合金箔としては、耐熱性銅合金箔を用いることが好ましい。ここで、耐熱性銅合金とは、200℃1時間の焼鈍後の引張強度が300MPa以上である銅合金を意味している。
上述のように、本発明において用いる負極集電体は、その表面に大きな凹凸を有することが好ましい。このため、耐熱性銅合金箔表面の算術平均粗さRaが十分に大きくない場合には、その箔表面に電解銅または電解銅合金を設けることにより、その表面に大きな凹凸を設けてもよい。電解銅層及び電解銅合金層は、電解法により形成することができる。
また、本発明においては、負極集電体の表面に大きな凹凸を形成するため、粗面化処理を施してもよい。このような粗面化処理としては、気相成長法、エッチング法、及び研磨法などが挙げられる。気相成長法としては、スパッタリング法、CVD法、蒸着法などが挙げられる。エッチング法としては、物理的エッチングや化学的エッチングによる方法が挙げられる。研磨法としては、サンドペーパーによる研磨やブラスト法による研磨などが挙げられる。
本発明において、負極合剤層の厚みXは、負極集電体の厚みY及びその表面の算術平均粗さRaと、5Y≧X、及び250Ra≧Xの関係を有することが好ましい。合剤層の厚みXが、5Yまたは250Raを超える場合、合剤層が、集電体から剥離する場合がある。
負極合剤層の厚みXは、特に限定されるものではないが、1000μm以下が好ましく、さらに好ましくは10μm〜100μmである。
本発明においては、負極合剤層に導電性粉末を混合することができる。導電性粉末を添加することにより、活物質粒子の周囲に導電性粉末による導電性ネットワークが形成されるので、電極内の集電性をさらに向上させることができる。導電性粉末としては、上記集電体と同様の材質のものを好ましく用いることができる。具体的には、銅、ニッケル、鉄、チタン、コバルト等の金属またはこれらの組み合わせからなる合金または混合物である。特に、金属粉末としては銅粉末が好ましく用いられる。また、導電性カーボン粉末も好ましく用いることができる。
負極合剤層への導電性粉末の添加量は、活物質粒子との合計重量の50重量%以下であることが好ましい。導電性粉末の添加量が多過ぎると活物質粒子の混合割合が相対的に少なくなるので、電極の充放電容量が小さくなる。
本発明において用いる負極バインダーは、焼結のための熱処理後も完全に分解せずに残存しているものが好ましい。熱処理後もバインダーが分解せずに残存していることにより、焼結による活物質粒子と集電体間及び活物質粒子間の密着性の向上に加え、バインダーによる結着力も加わり、密着性をさらに高めることができる。また、算術平均粗さRaが0.2μm以上の金属箔を集電体として用いる場合、集電体の表面の凹凸部分にバインダーが入り込むことにより、バインダーと集電体の間にアンカー効果が発現し、さらに密着性が向上する。このため、リチウムの吸蔵・放出の際の活物質の体積の膨張・収縮による集電体からの活物質層の脱離を抑制することができ、良好な充放電サイクル特性を得ることができる。
本発明における負極バインダーとしては、ポリイミドが好ましく用いられる。ポリイミドとしては、熱可塑性ポリイミド、熱硬化性ポリイミドが挙げられる。ポリイミドとしては、特に熱可塑性ポリイミドが好ましく用いられる。負極バインダーとして、ガラス転移温度を有する熱可塑性ポリイミドを用いる場合、ガラス転移温度より高い温度で負極を熱処理することにより、バインダーが活物質粒子や集電体と熱融着するので、密着性が大きく向上し、電極内の集電性を大きく向上させることができる。すなわち、負極合剤層と導電性金属箔負極集電体との焼結のための熱処理の温度が、負極バインダーのガラス転移温度より高ければ、焼結による密着性向上の効果に加え、バインダーの熱融着による密着性向上の効果も得られるため、電極内の集電性を大きく向上させることができる。
なお、ポリイミドは、ポリアミド酸を熱処理することによっても得ることができる。ポリアミド酸の熱処理により得られるポリイミドは、ポリアミド酸が熱処理により脱水縮合してポリイミドとなるものである。ポリイミドのイミド化率は80%以上のものが好ましい。イミド化率とは、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)に対する生成したポリイミドのモル%である。イミド化率80%以上のものは、例えば、ポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液を100〜400℃の温度で1時間以上熱処理することにより得ることができる。例えば、350℃で熱処理する場合、熱処理時間が約1時間でイミド化率80%となり、約3時間でイミド化率は100%となる。
本発明においては、焼結のための熱処理後もバインダーは完全に分解せずに残存していることが好ましいので、バインダーとしてポリイミドを用いる場合は、ポリイミドが完全に分解しない600℃以下で焼結処理を行うことが好ましい。
本発明において、負極合剤層中のバインダーの量は、合剤層の総重量の5重量%以上であることが好ましい。また、バインダーの占める体積は、合剤層の総体積の5%以上であることが好ましい。合剤層におけるバインダー量が少な過ぎると、バインダーによる電極内の密着性が不十分となる場合がある。また、合剤層中のバインダー量が多過ぎると、電極内の抵抗が増加するため、初期の充電が困難になる場合がある。従って、合剤層中のバインダー量は総重量の50重量%以下であることが好ましく、バインダーの占める体積は、合剤層の総体積の50%以下であることが好ましい。
<正極>
本発明において用いる正極活物質としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiMnO2、LiCo0.5Ni0.52、LiNi0.7Co0.2Mn0.12などのリチウム含有遷移金属酸化物や、MnO2などのリチウムを含有していない金属酸化物が例示される。また、この他にも、リチウムを電気化学的に挿入、脱離する物質であれば、制限なく用いることができる。
本発明において用いる正極バインダーとしては、リチウム二次電池の電極のバインダーとして用いることができるものであれば、制限なく用いることができる。例えば、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂や、負極バインダーとして好ましく用いられるポリイミド樹脂などを用いることができる。
<非水電解質>
本発明のリチウム二次電池に用いる非水電解質の溶媒は、特に限定されるものではないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネートや、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネートが挙げられる。非水電解質の溶媒中に環状カーボネートが存在する場合、活物質粒子の表面において、リチウムイオン導電性に優れた良質の被膜が特に形成されやすいため、環状カーボネートが好ましく用いられる。特に、エチレンカーボネートが好ましく用いられる。また、環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒を好ましく用いることができる。このような混合溶媒としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを含んでいることが特に好ましい。また、上記環状カーボネートと、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどのエーテル系溶媒や、γ−ブチロラクトン、スルホラン、酢酸メチル等の鎖状エステル等との混合溶媒も例示される。
また、非水電解質の溶質としては、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C25SO2)2、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiC(CF3SO2)3、LiC(C25SO2)3、LiAsF6、LiClO4、Li210Cl10、Li212Cl12など及びそれらの混合物が例示される。特に、LiXFy(式中、XはP、As、Sb、B、Bi、Al、Ga、またはInであり、XがP、AsまたはSbのときyは6であり、XがB、Bi、Al、Ga、またはInのときyは4である)と、リチウムペルフルオロアルキルスルホン酸イミドLiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)(式中、m及びnはそれぞれ独立して1〜4の整数である)またはリチウムペルフルオロアルキルスルホン酸メチドLiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)(式中、p、q及びrはそれぞれ独立して1〜4の整数である)との混合溶質が好ましく用いられる。これらの中でも、LiPF6とLiN(C25SO22との混合溶質が特に好ましく用いられる。
さらに電解質として、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルなどのポリマー電解質に電解液を含浸したゲル状ポリマー電解質や、LiI、Li3Nなどの無機固体電解質が例示される。本発明のリチウム二次電池の電解質は、イオン導電性を発現させる溶質としてのリチウム化合物とこれを溶解・保持する溶媒が電池の充電時や放電時あるいは保存時の電圧で分解しない限り、制約なく用いることができる。
本発明のリチウム二次電池において用いるセパレータは、特に限定されるものではなく、リチウム二次電池のセパレータに用いることができるものであれば制限なく用いることができる。例えば、ポリエチレン製またはポリプロピレン製などの微多孔膜などを用いることができる。
本発明によれば、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む活物質粒子とバインダーとを含む合剤層を集電体の表面上で焼結して配置した負極を用いたリチウム二次電池において、サイクル特性に優れ、かつ高いエネルギー密度を有するリチウム二次電池とすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
(実験1)
〔負極の作製〕
活物質材料としての平均粒子径3μmのケイ素粉末(純度99.9%)81.8重量部を、バインダーとしてのガラス転移温度190℃の熱可塑性ポリイミド18.2重量部を含む8.6重量%のN−メチル−2−ピロリドン溶液に均一に混合して分散させ、負極合剤スラリーを作製した。
集電体として、電解銅めっきにより両面を粗面化した算術平均表面粗さRa0.7μm、厚み35μmのCu−0.03重量%Zr合金箔を用いた。この集電体の両面に、上記負極合剤スラリーを塗布した後乾燥した。得られたものを42×183mmの長方形状に切り抜き、圧延した後、アルゴン雰囲気下で400℃、1時間熱処理し、焼結して負極とした。
負極の厚み(集電体を含む)は65μmであった。従って、集電体片面上に配置された合剤層の厚みは15μmであった。合剤層の厚み/集電体の算術平均表面粗さは30であり、合剤層の厚み/集電体の厚みは0.43であった。
また、この負極において、ポリイミドの密度は1.1g/cm3であり、ポリイミドの占める体積は合剤層の総体積の31.8%であった。
〔正極の作製〕
出発原料として、Li2CO3及びCoCO3を用いて、Li:Coの原子比が1:1となるように秤量して乳鉢で混合し、これを直径17mmの金型でプレスし、加圧成形した後、空気中において800℃24時間焼成し、LiCoO2の焼成体を得た。これを乳鉢で粉砕し、平均粒子径20μmに調製した。
得られたLiCoO2粉末94重量部と、導電剤としての人工黒鉛粉末3重量部を、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン3重量部を含む6重量%のN−メチル−2−ピロリドン溶液に混合し、正極合剤スラリーを調製した。
この正極合剤スラリーを、集電体であるアルミニウム箔(厚み15μm)の両面上に塗布し、乾燥した後、圧延した。電極の厚み(集電体を含む)は155μmであった。得られたものを40mm×30mmの長方形状に切り抜き、正極とした。
〔電解液の作製〕
電解液として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比3:7の割合で混合した溶媒に対し、LiPF6を1モル/リットル溶解し、この溶液に、5重量%となるようにビニレンカーボネートを混合して電解液を作製した。
〔電池の作製〕
上記の負極1枚、正極5枚、及び厚さ27μmのポリエチレン多孔質体のセパレータ1枚を用いて、リチウム二次電池を作製した。
図2及び図3に示すように、負極4を交互に折り畳み、負極4の折り畳み面の間に正極5が配置するように電極体6を形成した。なお、負極4と正極5の間には、セパレータ3を配置し、セパレータ3を介して負極4と正極5が対向するように電極体6を形成した。図2は斜視図であり、図3は図2に示す状態で正極と負極を組み合わせた電極体のA−A′線に沿う断面図である。
図3に示す電極体においては、図1に示すように電極体の端部で、負極4が折れ曲がった状態となっており、折れ曲がり部4aが形成されている。正極5は、図1に示すように、負極4の折れ曲がり部4aの部分には存在していない。従って、負極の折れ曲がり部4aにおいては、充放電反応が生じないように構成されている。
このようにして作製した電極体を、常温及び常圧のアルゴン雰囲気下で図4及び図5に示すように、アルミニウムラミネートからなる外装体7内に上記電解液とともに挿入してリチウム二次電池A1を作製した。外装体7の周辺は、ヒートシールにより閉口部8が形成されている。図4はリチウム二次電池の正面図であり、図5は図4に示すA−A′線に沿う断面図である。
(実験2)
実験1において、負極の大きさを42×32mmの長方形状とし、この負極を6枚、正極を5枚、セパレータを12枚用い、図6及び図7に示す電極体を形成した。図6は斜視図であり、図7は図6のA−A′線に沿う断面図である。図6及び図7に示すように、6枚の負極4の間に5枚の正極5をセパレータ3を介して積層し電極体6とした。この電極体6を用いる以外は、実験1と同様にしてリチウム二次電池B1を作製した。
(実験3)
実験1において、正極の大きさを40×150mmの長方形状とし、負極の大きさを42×182mmの長方形状とした。この正極1枚及び負極1枚をそれぞれ用い、図8及び図9に示すように、負極4と正極5の間にセパレータ3を配置し、さらに負極4の外側にセパレータ3を配置し、これを渦巻き状に巻き取り、巻き取った後扁平化して電極体6を形成した。電極体6の大きさは、1.5×30.6×44mmの大きさであった。この電極体6を用いる以外は、実験1と同様にしてリチウム二次電池B2を作製した。
また、電池B2の作製において、負極4が折れ曲がる部分と対向する正極5の表面部分の上に厚さ30μmのポリプロピレン製フィルムを貼り付けた正極5を作製し、この正極5を用いて、上記電池B2と同様にしてリチウム二次電池A2を作製した。ポリプロピレン製フィルムを正極の正極合剤層の表面に貼り付けることにより、この部分における充放電反応が生じなくなる。
(実験4)
比較として、負極活物質に天然黒鉛を用いた電池において、電極体の構造が充放電サイクル特性に与える影響について検討した。
〔負極の作製〕
活物質材料としての平均粒子径18μmの天然黒鉛粉末98重量部と、バインダーとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)1重量部を含む48重量%の水性分散液と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)1重量部を含む3重量%の水溶液とを混合し、負極合剤スラリーを作製した。
この負極合剤スラリーを、集電体としての厚み35μmの圧延銅箔の両面上に塗布し乾燥した。得られたものを所定の大きさに切り抜き、圧延して負極とした。負極の厚み(集電体を含む)は161μmであった。
〔電池の作製〕
実験1の電池A1の作製において、負極として上記天然黒鉛を用いた負極を用いる以外は同様にして、リチウム二次電池C1を作製した。
実験3の電池A2の作製において、負極として上記天然黒鉛を用いた負極を用いる以外は同様にして、リチウム二次電池C2を作製した。
実験2の電池B1の作製において、負極として上記天然黒鉛を用いた負極を用いる以外は同様にして、リチウム二次電池C3を作製した。
実験3の電池B2の作製において、負極として上記天然黒鉛を用いた負極を用いる以外は同様にして、リチウム二次電池C4を作製した。
〔充放電サイクル特性の評価〕
上記の電池A1〜A2、B1〜B2及びC1〜C4について、充放電サイクル特性を評価した。各電池を、25℃において、電流値180mAで4.2Vまで充電した後、電流値180mAで2.75Vまで放電し、これを1サイクルの充放電とした。1サイクル目の充放電の80%に達するまでのサイクル数を測定し、サイクル寿命とした。電池A1〜A2及びB1〜B2についての測定結果を表1に示す。また、C1〜C4についての測定結果を表2に示す。
なお、電池A1〜A2及びB1〜B2のサイクル寿命は、電池A1のサイクル寿命を100とした指数である。また、C1〜C4のサイクル寿命は電池C1のサイクル寿命を100とした指数である。
Figure 0004744076
Figure 0004744076
表1から明らかなように、負極の折り曲げ部分において、対向する正極合剤層が存在しない電池A1は、比較電池B2に比べ優れたサイクル特性を示している。また、負極の折り曲げ部分において、対向する正極合剤層の表面にポリプロピレン製フィルムを貼り付けた電池A2は、比較の電池B2に比べ良好なサイクル特性を示している。また、負極の折り曲げ部分が存在しない積層型の電極体を用いた比較電池B1も、良好なサイクル特性を示している。
一方、天然黒鉛を負極活物質として用いた電池C1〜C4においては、サイクル特性において大きな違いは認められない。
以上のことから、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む活物質粒子を負極活物質として用いた電池においては、充放電反応による負極活物質の体積の膨張・収縮により、負極合剤層の折れ曲がった部分において大きな応力が発生し、このため合剤層の破壊が生じ、電極内での集電性が悪くなり、サイクル特性が低下することがわかる。本発明に従い、負極合剤層の折れ曲がった部分において、充放電反応が生じないように構成することにより、負極合剤層の折れ曲がった部分における合剤層の破壊を抑制することができ、充放電サイクル特性の低下を抑制することができる。一方、負極活物質として天然黒鉛を用いた場合には、充放電により負極活物質の体積に大きな変化が生じないので、このような電極構造による違いがほとんど認められていない。
(実験5)
ここでは、負極活物質の平均粒子径が電池の充放電サイクル特性に与える影響について検討した。
実験1において、負極活物質として、平均粒子径が8μmまたは29μmのケイ素粉末を用いたこと以外は実験1と同様にして、電池A3及びA4を作製した。
この電池について、上記と同様にサイクル特性を評価した。なお、サイクル寿命は電池A1のサイクル寿命を100とした指数である。表3には、電池A1のサイクル寿命も併せて示す。
Figure 0004744076
表3から明らかなように、粒子径の小さな負極活物質を用いた電池ほど、優れたサイクル特性を示していることがわかる。これは、粒子径の小さい活物質粒子を用いることにより、充放電反応でのリチウムの吸蔵・放出に伴う活物質粒子の体積の膨張・収縮の絶対量を小さくすることができるため、充放電反応時の電極内での活物質粒子間の歪みの絶対量も小さくなり、バインダーの破壊が生じず、電極内の集電性の低下を抑制することができたためと考えられる。
(実験6)
ここでは、負極集電体の表面粗さRaが電池の充放電サイクル特性に与える影響について検討した。
実験1において、負極集電体として、電解銅めっきにより粗面化した表面粗さRa0.7μmのCu−0.03重量%Zr合金箔の代わりに、電解銅めっきにより粗面化した表面粗さRaが0.2μmのCu−0.03重量%Zr合金箔、または電解銅めっき粗面化した表面粗さRaが0.18μmのCu−0.03重量%Zr合金箔を用いたこと以外は実験1と同様にして電池A5及びA6を作製した。
これらの電池について、実験1と同様にサイクル特性を評価した。なお、サイクル寿命は電池A1のサイクル寿命を100とした指数である。表4には、電池A1のサイクル寿命も併せて示す。
Figure 0004744076
表4から明らかなように、表面粗さRaが0.2μm以上である集電体を用いた電池A1及びA5は、表面粗さRaが0.2μm未満である集電体を用いた電池A6に比べ、優れたサイクル特性を示していることがわかる。これは、表面粗さRaが0.2μm以上の金属箔を用いることにより、バインダーと集電体間のバインダーによるアンカー効果が大きく得られ、合剤層と集電体との密着性が大きく向上し、リチウムの吸蔵・放出に伴う活物質粒子の膨張・収縮による合剤層の集電体からの剥離が抑制され、電極内の集電性が向上したためと考えられる。
(実験7)
ここでは、負極合剤層に添加した導電性粉末が電池の充放電サイクル特性に与える影響について検討した。
実験1において、負極の合剤層中に、平均粒子径3μmのNi粉末をケイ素粉末に対して20重量%添加したこと以外は実験1と同様にして、電池A7を作製した。
この電池A7について、上記と同様にサイクル特性を評価した。なお、サイクル寿命は電池A1のサイクル寿命を100とした指数である。表5には、電池A1のサイクル寿命も併せて示す。
Figure 0004744076
表5から明らかなように、合剤層にNi粉末を添加した電池A7の方が、合剤層に伝導性粉末を添加していない電池A1に比べ、サイクル特性が向上していることがわかる。これは、導電性粉末が活物質粒子の周りに導電性ネットワークを形成することにより、合剤層内の集電性が向上したためと考えられる。
(実験8)
ここでは、負極の作製における焼結条件がサイクル特性に与える影響について検討した。
実験1において、負極の焼結のための熱処理を700℃、1時間行ったこと以外は実験1と同様にして、電池A8を作製した。また、実験1において、負極の熱処理を行わなかったこと以外は同様にして、電池B3を作製した。
これらの電池について、上記と同様にサイクル特性を評価した。なお、サイクル寿命は電池A1のサイクル寿命を100とした指数である。表6には、電池A1のサイクル寿命も併せて示す。
Figure 0004744076
表6から明らかなように、負極の熱処理を行った電池A1の方が、熱処理を行わなかった電池B3に比べ、遥かに優れたサイクル特性を示している。これは、負極に熱処理を施すことで、焼結の効果により、合剤層内及び合剤層と集電体との密着性が向上し、負極内の集電性が向上したためと考えられる。
また、700℃、1時間で熱処理を行った電池A8は、400℃、1時間で熱処理を行った電池A1に比べ、サイクル特性が大きく低下していることがわかる。これは、700℃の熱処理ではバインダーが分解されるために、バインダーによる負極内の密着性が大きく低下し、電極内の集電性が低下したためと考えられる。
(実験9)
ここでは、負極の作製方法の違いが、電池の充放電サイクル特性に与える影響について検討した。
〔負極の作製〕
実験1での負極合剤スラリーをガラス板の表面上に塗布、乾燥した。ガラス板上に形成されたシート上の合剤層をガラス板から剥離し、42×32mmの長方形状に切り抜いた。これを実験1での負極集電体の両面上に配置し、圧着させながらアルゴン雰囲気下で400℃、1時間熱処理し、焼結して負極とした。負極の厚み(集電体を含む)は65μmであった。従って、集電体片面上に配置された合剤層の厚みは15μmと見積もられ、合剤層厚み/銅箔表面粗さは30であり、合剤層厚み/銅箔厚みは0.43であった。
また、この負極においては、ポリイミドの密度は、1.1g/cm3であり、ポリイミドの占める面積は、合剤層の総体積の31.8%となっていた。
〔電池の作製〕
実験1において、負極として、上記作製の負極を用いたこと以外は同様にして、リチウム二次電池A9を作製した。
〔充放電サイクル特性の評価〕
この電池について、実験1と同様にサイクル特性を評価した。なお、サイクル寿命は電池A1のサイクル寿命を100とした指数である。表7には、電池A1のサイクル寿命も併せて示す。
Figure 0004744076
表7から明らかなように、先にシート状の合剤層を作製し、これを集電体上に配置し、圧着させながら焼結のための熱処理を行って作製した負極を用いて電池A9は、集電体上に合剤スラリーを塗布することにより合剤層を形成した後に焼結のための熱処理を行って作製した負極を用いた電池A1に比べて充放電サイクル特性が低下していることがわかる。
これは、電池A9の負極では、集電体表面の凹凸内に合剤層が入り込むことが難しいため、電池A1の負極のように、集電体の表面凹凸内にバインダーが入り込むことで発現するアンカー効果による合剤層と集電体との密着性の大きな向上の効果が得られなかったためと考えられる。
本発明の一実施例における電極体を示す拡大断面図。 本発明の一実施例における電極体の構造を示す斜視図。 本発明の一実施例における電極体を示す断面図。 本発明の一実施例におけるリチウム二次電池を示す正面図。 図4に示すA−A′線に沿う断面図。 比較例の電極体の構造を示す斜視図。 比較例の電極体の構造を示す断面図。 比較例の電極体の構造を示す斜視図。 比較例の電極体の構造を示す断面図。
符号の説明
1…正極タブ
2…負極タブ
3…セパレータ
4…負極
5…正極
6…電極体
7…外装体
8…閉口部

Claims (13)

  1. 正極活物質と正極バインダーを含む正極合剤層を正極集電体の表面上に配置した複数の正極と、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む負極活物質と負極バインダーを含む負極合剤層を負極集電体の表面上にて非酸化性雰囲気下で焼結して配置した負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されるセパレータと、非水電解質とを備えるリチウム二次電池において、
    前記負極集電体表面の算術平均粗さRaが、0.2μm以上であり、
    前記負極バインダーが、前記焼結後にも残存し、
    前記負極は、複数の折り畳み面を有し、
    前記複数の正極は、隣り合う折り畳み面の間に、それぞれの正極が独立するように配置され、
    前記負極合剤層が折れ曲がった部分において、対向する正極合剤層が存在しないことにより、充放電反応が生じないように構成されていることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 正極活物質と正極バインダーを含む正極合剤層を正極集電体の表面上に配置した正極と、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む負極活物質と負極バインダーを含む負極合剤層を負極集電体の表面上にて非酸化性雰囲気下で焼結して配置した負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されるセパレータと、非水電解質とを備えるリチウム二次電池において、
    前記負極集電体表面の算術平均粗さRaが、0.2μm以上であり、
    前記負極バインダーが、前記焼結後にも残存し、
    前記正極と負極とを前記セパレータを介して対向させて配置されたものが、渦巻き構造を有し、かつ、扁平形状を有し、
    前記正極合剤層の表面のうち、前記扁平形状に起因する負極の折れ曲がった部分に対向する部分に、リチウムイオン非伝導性の物質が設けられていることにより、充放電反応が生じないように構成されていることを特徴とするリチウム二次電池。
  3. 正極活物質と正極バインダーを含む正極合剤層を正極集電体の表面上に配置した正極と、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む負極活物質と負極バインダーを含む負極合剤層を負極集電体の表面上にて非酸化性雰囲気下で焼結して配置した負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されるセパレータと、非水電解質とを備えるリチウム二次電池において、
    前記負極集電体表面の算術平均粗さRaが、0.2μm以上であり、
    前記負極バインダーが、前記焼結後にも残存し、
    前記正極と負極とを前記セパレータを介して対向させて配置されたものが、渦巻き構造を有し、かつ、扁平形状を有し、
    前記負極合剤層の表面のうち、前記負極の折れ曲がった部分に、リチウムイオン非伝導性の物質が設けられていることにより、充放電反応が生じないように構成されていることを特徴とするリチウム二次電池。
  4. 前記リチウムイオン非伝導性物質が、プラスチックフィルムであることを特徴とする請求項2または3に記載のリチウム二次電池。
  5. 前記負極集電体が、銅箔もしくは銅合金箔、または表面に銅層もしくは銅合金層を設けた金属箔であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  6. 前記負極集電体が、電解銅箔もしくは電解銅合金箔、または表面に電解銅層もしくは電解銅合金層を設けた金属箔であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  7. 前記負極バインダーが、ポリイミドであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  8. 前記負極活物質の平均粒子径が、10μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  9. 前記負極活物質が、ケイ素粒子であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  10. 前記負極合剤層に導電性粉末が混合されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  11. 正極活物質と正極バインダーを含む正極合剤層を正極集電体の表面上に配置した正極と、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む負極活物質と負極バインダーを含む負極合剤層を算術平均粗さRaが、0.2μm以上の負極集電体の表面上にて非酸化性雰囲気下で焼結して配置した負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されるセパレータと、非水電解質とを備えるリチウム二次電池を製造方法する方法であって、
    両面に負極合剤層が設けられた負極を交互に折り畳む工程と、
    両面に正極合剤層が設けられた複数の正極を用意する工程と、
    前記負極合剤層が折れ曲がった部分において対向する正極合剤層が存在しないように前記複数の正極を、前記負極の折り畳み面の間にそれぞれ独立するように配置する工程と、を有し、
    前記負極バインダーが前記焼結後にも残存することを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  12. 正極活物質と正極バインダーを含む正極合剤層を正極集電体の表面上に配置した正極と、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む負極活物質と負極バインダーを含む負極合剤層を算術平均粗さRaが、0.2μm以上の負極集電体の表面上にて非酸化性雰囲気下で焼結して配置した負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されるセパレータと、非水電解質とを備えるリチウム二次電池を製造方法する方法であって、
    前記負極合剤層の折れ曲がる部分と対向する正極合剤層の表面部分にプラスチックフィルムを貼り付ける工程を有し、
    前記負極バインダーが前記焼結後にも残存することを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  13. 正極活物質と正極バインダーを含む正極合剤層を正極集電体の表面上に配置した正極と、ケイ素及び/またはケイ素合金を含む負極活物質と負極バインダーを含む負極合剤層を算術平均粗さRaが、0.2μm以上の負極集電体の表面上にて非酸化性雰囲気下で焼結して配置した負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されるセパレータと、非水電解質とを備えるリチウム二次電池を製造方法する方法であって、
    前記負極合剤層の折れ曲がる部分の表面にプラスチックフィルムを貼り付ける工程を有し、
    前記負極バインダーが前記焼結後にも残存することを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
JP2003410592A 2003-12-09 2003-12-09 リチウム二次電池及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4744076B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003410592A JP4744076B2 (ja) 2003-12-09 2003-12-09 リチウム二次電池及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003410592A JP4744076B2 (ja) 2003-12-09 2003-12-09 リチウム二次電池及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005174653A JP2005174653A (ja) 2005-06-30
JP4744076B2 true JP4744076B2 (ja) 2011-08-10

Family

ID=34731642

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003410592A Expired - Fee Related JP4744076B2 (ja) 2003-12-09 2003-12-09 リチウム二次電池及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4744076B2 (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10297827B2 (en) 2004-01-06 2019-05-21 Sion Power Corporation Electrochemical cell, components thereof, and methods of making and using same
JP4779633B2 (ja) * 2005-12-16 2011-09-28 ソニー株式会社 二次電池
JP2007227328A (ja) * 2006-01-24 2007-09-06 Sanyo Electric Co Ltd リチウム二次電池用負極及びその製造方法並びにリチウム二次電池
JP2007273120A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Sanyo Electric Co Ltd リチウム二次電池
JP2007273320A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Sanyo Electric Co Ltd リチウム二次電池
CN102007627B (zh) * 2008-04-18 2014-04-09 株式会社丰田自动织机 锂离子二次电池用负极及其制造方法
EP2609646A1 (en) 2010-08-24 2013-07-03 Basf Se Electrolyte materials for use in electrochemical cells
US8735002B2 (en) 2011-09-07 2014-05-27 Sion Power Corporation Lithium sulfur electrochemical cell including insoluble nitrogen-containing compound
US20150294802A1 (en) * 2012-07-13 2015-10-15 Furukawa Electric., Ltd. Current collector, electrode structure and non-aqueous electrolyte battery or electrical storage device
US9577289B2 (en) 2012-12-17 2017-02-21 Sion Power Corporation Lithium-ion electrochemical cell, components thereof, and methods of making and using same
US9246185B2 (en) 2013-03-14 2016-01-26 Sion Power Corporation Electrochemical cell having a folded electrode and separator, battery including the same, and method of forming same
US20140272559A1 (en) * 2013-03-14 2014-09-18 Robert Bosch Gmbh Electrochemical cell including a folded electrode, components thereof, battery including the electrochemical cell, and method of forming same
CN106159315B (zh) * 2015-04-17 2018-12-04 宁德新能源科技有限公司 柔性电池及其制备方法
JP6935056B2 (ja) * 2017-09-12 2021-09-15 株式会社Gsユアサ 蓄電素子
JP7182861B2 (ja) * 2017-10-25 2022-12-05 株式会社東芝 電池及びその製造方法

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0917441A (ja) * 1995-06-27 1997-01-17 Sanyo Electric Co Ltd 折曲した電極板を内蔵する角形電池
JPH1012216A (ja) * 1996-06-25 1998-01-16 Asahi Chem Ind Co Ltd 高分子固体電解質電池
JPH10270068A (ja) * 1997-03-27 1998-10-09 Mitsubishi Cable Ind Ltd 角型電池およびその製造方法
JPH10302828A (ja) * 1997-04-28 1998-11-13 Mitsubishi Cable Ind Ltd 角型電池およびその製造方法
JP3124272B1 (ja) * 1999-12-01 2001-01-15 花王株式会社 非水系二次電池
JP4033595B2 (ja) * 2000-02-02 2008-01-16 三洋電機株式会社 リチウムポリマー二次電池
JP4212263B2 (ja) * 2000-09-01 2009-01-21 三洋電機株式会社 リチウム二次電池用負極及びその製造方法
JP4067268B2 (ja) * 2000-09-01 2008-03-26 三洋電機株式会社 リチウム二次電池用負極及びその製造方法
JP3895932B2 (ja) * 2001-01-17 2007-03-22 三洋電機株式会社 リチウム二次電池用負極及びその製造方法
JP2003123743A (ja) * 2001-10-12 2003-04-25 Sony Corp 固体電解質電池及びその製造方法
JP4060576B2 (ja) * 2001-11-20 2008-03-12 松下電器産業株式会社 扁平形電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005174653A (ja) 2005-06-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4497904B2 (ja) リチウム二次電池及びその製造方法
JP4027255B2 (ja) リチウム二次電池用負極及びその製造方法
JP4033720B2 (ja) リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
JP4212392B2 (ja) リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
JP4471836B2 (ja) リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
JP5219339B2 (ja) リチウム二次電池
JP4942319B2 (ja) リチウム二次電池
JP4868786B2 (ja) リチウム二次電池
US8343657B2 (en) Negative electrode for lithium secondary battery, method of manufacturing the electrode, and lithium secondary battery
JP5219340B2 (ja) リチウム二次電池用負極及びその製造方法並びにリチウム二次電池
US7556881B2 (en) Lithium secondary battery
JP2007149604A (ja) リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
JP2007273320A (ja) リチウム二次電池
JP2010165471A (ja) リチウム二次電池
JP4744076B2 (ja) リチウム二次電池及びその製造方法
JP5030369B2 (ja) リチウム二次電池
JP4953557B2 (ja) リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
JP4958405B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP4744244B2 (ja) リチウム二次電池及びリチウム二次電池用負極の製造方法
JP2005268120A (ja) リチウム二次電池およびその製造方法
JP2006092928A (ja) リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
JP2005149786A (ja) リチウム二次電池及びその製造方法
JP2007273120A (ja) リチウム二次電池
JP2007213875A (ja) リチウム二次電池及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060728

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090311

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090721

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090910

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100316

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100512

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110412

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110510

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140520

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140520

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees