JP4739668B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents

Description

【０００１】
背景技術
本発明は、主請求項の上位概念に記載の形式の燃料噴射弁に関する。
【０００２】
ドイツ連邦共和国特許出願第１９６２６５７６Ａ１号明細書により既に公知の燃料噴射弁においては、電磁的なコイルが接極子と協働し、接極子が、その噴射側の端部に弁閉鎖体を有する弁ニードルと力伝達可能に結合されている。接極子はソレノイドプランジャとして構成されており、ソレノイドプランジャは磁気回路の磁気的な絞り箇所内に案内されている。この場合に接極子は周方向のつばを有しており、つばが上側の支承箇所を形成している。案内つばが磁気的な絞り箇所内で磁気回路の両方の極の間に支承されている。このような構成によって、接極子の案内つばと、ケーシングの、前記案内つばの下側の箇所が、磁気的な互いに同じポテンシャルにあり、従って案内つばへの磁束の流れが生じない。案内つばを磁気的な絞り箇所内で支承することによって、案内つばが磁気的な半径方向力の影響を受けない。
【０００３】
前記明細書に記載の構成においては欠点として、特に接極子の大きな構成長さがあり、これによって接極子の重量の最適化が困難になっている。さらに接極子の周方向の案内つばが燃料の作業ギャップからの流過を妨げ、従って過度に大きな液力的な損失が生じている。
【０００４】
さらに、弁ニードルをその接極子に面した部分においてケーシング構成部分内に案内することが公知である。この場合、接極子はケーシング内若しくは極構成部分内に案内されていない。
【０００５】
弁ニードルを、接極子の流出側に配置された案内構成部分内に案内することにおいては欠点が、特に接極子と弁ニードルとから成る構成部分上に、接極子の離心した配置に基づき作用する半径方向力にある。このことは特に、弁ニードル案内と磁気的な半径方向力の作用点との間の不都合なレバー作用に基づき、案内中に部分的に著しい摩擦力を生ぜしめることになる。弁ニードル、案内若しくは接極子のわずかなずれ若しくは製作誤差でも、接極子の離心的（偏心的）なずれが生ぜしめられ、その結果、構成部分の高い摩擦力ひいては磨滅、並びに燃料噴射弁の機能エラー若しくは誤作動が発生する。
【０００６】
発明の利点
これに対して、主請求項に記載の特徴を有する本発明に基づく燃料噴射弁は、次のような利点を有している。すなわち、接極子を取り囲む波形の、すべての箇所で接触していない案内つばが、接極子を燃料噴射弁の外極内で案内し、これによって傾倒若しくは側方のずれを防止するように作用する。
【０００７】
周方向の案内つばの波形の輪郭(wellenfoermige Kontur)は、燃料に、案内つばと対向面との間に形成された切欠き(Ausnehmung)を通って、弁座への妨げのない流過を可能にし、これによって作業ギャップが迅速に排出され、その結果、液力的な損失が減少せしめられる。
【０００８】
従属請求項に記載された手段によって、主請求項に記載された燃料噴射弁の有利な実施態様が可能である。
【０００９】
案内つばが特別な接極子シャフト長さを必要とせず、簡単な形式で普通の構造形式の接極子に取り付けることができ、これによって接極子質量が有利に最適化できる。
【００１０】
特に接極子の角度誤差の寛容な案内が利点であり、このような案内は接極子の、案内つばを取り囲む半径方向面の離心量を最少にし、ひいては摩擦力をわずかにする。
【００１１】
有利には、案内つばを備える接極子が旋削(Drehen)によって簡単に製作され、この場合に、２乃至１０の波を有する波形輪郭が得られる。
【００１２】
実施例の説明
本発明の実施例を図面に概略的に示して、詳細に説明する。図１に示した燃料噴射弁１は、混合気圧縮火花点火式の内燃機関の燃料噴射装置のための燃料噴射弁の形状で構成されている。該燃料噴射弁１は特に、燃料を内燃機関の燃焼室（図示せず）内に直接に噴射するのに適している。
【００１３】
燃料噴射弁１はノズル本体２を有しており、ノズル本体内に弁ニードル３を配置してある。弁ニードル３が弁閉鎖体４と作用結合されており、弁閉鎖体が弁座体５に配置された弁座面６と協働して、シール座を形成している。燃料噴射弁１は、実施例では内側へ開く方式の燃料噴射弁１であって、噴射開口７を有している。ノズル本体２がシール８によって、マグネットコイル１０を備えたマグネット回路の外極９に対してシールされている。マグネットコイル１０がコイルケーシング１１内に密封されていて、コイル支持体１２に巻かれており、コイル支持体がマグネット回路の内極１３に接触している。内極１３と外極９とが狭窄部２６によって互いに隔てられていて、かつ非強磁性の結合構成部分２９によって互いに結合されている。マグネットコイル１０が、導線１９及び、電気的なプラグ接点１７を介して供給可能な電流によって励磁される。プラグ接点１７がプラスティック被覆部１８によって取り囲まれており、プラスティック被覆部が内極１３上に射出成形されていてよい。
【００１４】
弁ニードル３が弁ニードル案内１４内を案内されており、弁ニードル案内がディスク状に構成されていて、弁ニードル３の上側の支承点を形成している。行程調整のために、対を成して設けられる調整ディスク１５が役立っている。調整ディスク１５の他方の側に接極子２０を配置してある。接極子が第１のフランジ２１を介して弁ニードル３に力伝達可能に結合されており、弁ニードルが溶接継ぎ目２２によって第１のフランジ２１に結合されている。第１のフランジ２１で戻しばね２３を支えらており、戻しばねが燃料噴射弁１の図示の実施例ではスリーブ２４によって応力をかけられている。弁ニードル案内１４、接極子２０及び弁座体５内を、燃料通路３０ａ乃至３０ｃが延びている。燃料が中央の燃料供給部１６を介して供給されて、フィルターエレメント２５によって濾過される。燃料噴射弁１がシール２８によって燃料分配導管（図示せず）に対してシールされている。
【００１５】
接極子２０の噴射側に、エラストマ材料から成るリング形の緩衝エレメント３２を配置してあり、緩衝エレメントが第２のフランジ３１に接触しており、第２のフランジが溶接継ぎ目３３を介して弁ニードル３に力伝達可能に結合されている。
【００１６】
燃料噴射弁１の静止状態では、弁ニードル３が戻しばね２３によって弁ニードルの行程方向とは逆向きに負荷されていて、弁閉鎖体４が弁座面６に密着状態で保持されている。マグネットコイル１０の励磁に際して、マグネットコイルが磁界を生ぜしめ、磁界が接極子２０を戻しばね２３のばね力に抗して行程方向に運動させ、この場合に行程が静止位置で内極１３と接極子２０との間にある作業ギャップ２７によって規定されている。接極子２０が、弁ニードル３に溶接結合された第１のフランジ２１を同じく行程方向に連行する。弁ニードル３と結合している弁閉鎖体４が、弁座面６から離されて、燃料が噴射開口７を通って噴射される。
【００１７】
コイル電流が遮断されると、接極子２０が、磁界の十分な崩壊に基づき戻しばね２３の圧力によって内極１３から離され、これによって第１のフランジ２１が行程方向とは逆方向に運動させられる。その結果、弁ニードル３が同じ方向に運動させられ、これによって弁閉鎖体４が弁座面６に座着して、燃料噴射弁１が閉じられる。
【００１８】
弁ニードル３が、前述のように接極子２０の流出側でのみしか支承されていないので、接極子２０の不都合なレバー作用若しくはてこ作用、ひいてはずれが生じることになる。このことは特に、弁ニードル案内１４の製作公差によって増大される。従って本発明に基づき、接極子２０が波形の案内つば３４を有しており、案内つばが接極子２０に構成されていて、接極子２０をずれることのないように案内している。本発明に基づく手段が図２及び３に詳細に示してある。
【００１９】
図２が、本発明に基づき構成された燃料噴射弁１の、図１に符号IIで示す部分を拡大して示している。
【００２０】
既に図１で述べてあるように、本発明に基づく燃料噴射弁１の接極子２０は案内つば３４を備えている。接極子２０が案内つば３４と一体的に構成されていて、例えば旋削によって形成されている。案内つば３４が、外極９の切欠き４０の、対向面４１を形成する内壁３８に支承されている。案内つば３４が面取り部（扁平部）４２を有していて、従って対向面４１に全体的には接触しておらず、その結果、案内つば３４と対向面との間に複数の空隙４０が存在している。
【００２１】
マグネット回路の制御に際して、半径方向のギャップ３９内に寄生磁力が生じる。最適にセンタリングして配置された接極子２０においては、若しくは極めてわずかな製作誤差で製作された構造部分においては、周囲に発生する半径方向力は互いに相殺される。接極子２０がセンタリングされていない状態では、若しくは構造部分の製作誤差の大きい場合には、寄生力は弁ニードル案内１４内の摩擦、ひいては燃料噴射弁１の切り換え運動における損失並びに特に弁ニードル案内１４の磨滅を生ぜしめる。
【００２２】
燃料噴射弁１の制御サイクル中に案内つば３４及び案内つば３４と相対する外極９のフェライトの材料体積の長く存続する強い制御作用に基づき、該材料体積は高い磁気抵抗を有している。該磁気抵抗が、作業ギャップ２７及び半径方向のギャップ３９の固有の抵抗に対して直列に接続されて、接極子２０の案内つば３４の周囲の磁気的な半径方向力の補償を生ぜしめる。
【００２３】
外極９内での接極子２０の離心量のわずかな角度誤差の寛容な案内によって、接極子２０の周囲には外側からの磁気的な極めてわずかな半径方向力しか生じない。残留する外側からの小さい半径方向力が、案内つば３４によって、半径方向力の生じた箇所で受け止められ、従って弁ニードル案内１４が半径方向力の影響を受けない。燃料噴射弁１の縦軸線に対する接極子２０の傾倒も、接極子２０の半径方向のわずかなずれしか生ぜしめない。従って、燃料噴射弁１の支障のない機能が保証される。
【００２４】
図３は、燃料噴射弁１の本発明に基づく手段を備える接極子２０の、図２の線III−IIIに沿った概略的な断面図である。
【００２５】
案内つば３４は、既に述べてあるように、この実施例では面取り部４２をもって波形に構成されており、これによって接触面３５が深くされた領域（区分）３６と交互に形成されている。深くされた領域３６によって、中央で供給された燃料が接極子２０を流過して、次いで燃料噴射弁１の切欠き４０内に流れて、シール座に達する。接触面３５の数に対応して、周方向に波形の案内つば３４の２乃至、例えば１０の深められた領域３６が設けられている。この実施例では、３つの接触面３５とこれに対応して３つの深められた領域３６とが設けられている。波形の案内つば３４の深められた領域３６は周方向で、その間の接触面３５よりも大きな若しくは小さな長さ、若しくは接触面と同じ長さを有している。
【００２６】
波形の案内つば３４は接触面３５で以て、磁気回路の外極９の内壁３８に接触していて、従って外極９によって案内されている。
【００２７】
波形の案内つば３４の深められた領域３６は、燃料を作業ギャップ２７から迅速に流過させるために役立っている。これにより、接極子２０の引き付け及び離反の際の作業ギャップ２７内の液力的な損失がわずかに保たれる。
【００２８】
本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、例えば外側へ開く方式の燃料噴射弁１にも適している。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明に基づき構成された燃料噴射弁の実施例の全体の概略的な断面図。
【図２】 本発明に基づく燃料噴射弁の、図１に示す実施例の、図１の範囲II内の概略的な断面図。
【図３】 燃料噴射弁の、本発明に基づく手段によって構成された接極子の、線III−IIIに沿った概略的な横断面図。
【符号の説明】
１ 燃料噴射弁、 ２ ノズル本体、 ３ 弁ニードル、 ４ 弁閉鎖体、 ５ 弁座体、 ６ 弁座面、 ７ 噴射開口、 ８ シール、 ９ 外極、 １０ マグネットコイル、 １１ コイルケーシング、 １２ コイル支持体、 １３ 内極、 １４ 弁ニードル案内、 １５ 調整ディスク、 １６ 燃料供給部、 １７ プラグ接点、 １８ プラスティック被覆部、 １９ 導線、 ２０ 接極子、 ２１ フランジ、 ２２ 溶接継ぎ目、 ２３ 戻しばね、 ２４ スリーブ、 ２５ フィルターエレメント、 ２６ 狭窄部、 ２７ 作業ギャップ、 ２８ シール、 ２９ 結合構成部分、 ３０ａ 燃料通路、 ３０ｂ 燃料通路、 ３０ｃ 燃料通路、 ３１ フランジ、 ３２ 緩衝エレメント、 ３３ 溶接継ぎ目、 ３４ 案内つば、 ３５ 接触面、 ３６ 深められた領域、 ３８ 内壁、 ３９ 半径方向のギャップ、 ４０ 切欠き、 ４１ 対向面、 ４２ 面取り部

Claims (4)

1. 燃料噴射弁（１）、特に内燃機関の燃料噴射装置の燃料噴射弁（１）であって、弁ニードル（３）を備えており、弁ニードルが弁座面（６）と協働してシール座を形成しており、弁ニードル（３）に結合された接極子（２０）を備えており、接極子が戻しばね（２３）によって閉鎖方向に負荷されていて、かつマグネットコイル（１０）と協働するようになっており、この場合に接極子（２０）が案内つば（３４）を有しており、案内つばが接極子（２０）の周囲に形成されていて、対向面（４１）に沿って案内されている形式のものにおいて、案内つば（３４）が、半径方向の最も強い磁束の範囲内に配置されていて、かつ接極子（２０）の円形の外側輪郭と異なる面取り部（４２）を有しており、これによって接極子（２０）が案内つば（３４）の領域に、波形の外側輪郭を有しており、該波形の外側輪郭は２乃至１０の波を有していて、案内つば（３４）と対向面（４１）との間に形成された複数の空隙（４０）を通る、弁座への燃料の妨げのない流過を可能にしており、これによって、接極子（２０）と内極（１３）との間の作業ギャップ（２７）が迅速に排出されるようになっていることを特徴とする燃料噴射弁。
2. 案内つば（３４）が接触面（３５）を有しており、接触面が外極（９）の内壁（３８）に沿って案内されている請求項１記載の燃料噴射弁。
3. 案内つば（３４）が、深くされた領域（３６）を有しており、該領域が接触面（３５）と周方向で交互に配置されている請求項２記載の燃料噴射弁。
4. 案内つば（３４）が接極子（２０）と一体的に形成されている請求項１から３までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。

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