本発明の目的は対応するトランスミッションを提供することであり、特に調節装置を駆動するために必要なエネルギーが特に有利な態様で備わった円錐形摩擦リングトランスミッションを提供することである。
本発明により提案される解決策は駆動装置がトランスミッションのトランスミッション経路に動力を与える動力源からエネルギーを供給される歯車トランスミッションである。かかる装置においては、したがって個々のエネルギー源が駆動目的で提供される必要がなく、そのためトランスミッション自体の構築が比較的安価で済む。この結果として、かかるトランスミッション機構の構築は全体として安価となる。他方、エネルギーは相応に実際の一連の駆動装置またはトランスミッションのトランスミッション経路から引き出されたり、またはかかる機構では不可能となったりすることも容認されたい。しかしながら、結果として得られる損失分は一方では必要とされる別途費用を超えるものではないことが判明している。
トランスミッションは連結要素または摩擦リングを調節するために必要な力またはトルクを適応するための駆動装置がトランスミッションのトランスミッション経路のトランスミッション要素により動力供給される場合には小型であるとともに独立型である。このようにして駆動目的で駆動装置エネルギーは、かかる構成要素またはかかる駆動装置エネルギーを提供するトランスミッション要素をまた収納する同じ構成ユニット内に引き込まれる。このような構成では対応するトランスミッションは構成ユニットして与えられ、それに応じて搭載される。
トランスミッションのトランスミッション経路および調節に必要な力またはトルクをかけるための駆動装置は回転トランスミッション要素によって互いに連結される。かかる回転トランスミッション要素は特に駆動装置シャフトであってもよい。かかる回転トランスミッション要素は構造的に容易な態様で所要の駆動エネルギーの作動的に安全な螺子立てを確実なものとしている。
駆動装置を作動させるための調節制御要素は、調節に必要な力またはトルクをかけるための駆動装置とトランスミッション経路との間に設けられることが好ましい。かかる構成により駆動装置の別途作動を実現させることを特に容易にしている。これによる長所は作動において極めて低い力、トルク、またはエネルギーが求められることであり、さらにたとえば電子制御または類似の装置によるいかなる問題もなく適応することが可能であるとともに摩擦リングを調節するための比較的高い力、トルク、またはエネルギーが全体的な構成の中で駆動装置またはトランスミッション経路からの駆動を介して別途引き出されてもよい。
EB0 980 993 A2およびEP0 878 641から公知のように回転摩擦リングとして設計される連結要素は特に設定調節角度の機能として独自の動力源のもとにその伝達経路を変更することが可能である。それぞれの伝達経路に関する連結要素の角度は調節されるとともに設定されることが好ましい。この角度は精密に選択された伝達経路の調節または安定性に関して重要であるため、ある保持装置または特定の保持装置自体の角度位置を調節するための対応する装置がたとえばばねなどの事前に応力のかけられたものを介してバックラッシュがなく設計されていることが有利である。この事前応力もまた当然、連結要素の角度調節のタイプとは無関係に、特に本発明のトランスミッションのさらなる特徴とは無関係に有利である。
特に連結要素用強制調節手段は例えばDE38 35 052 A1に開示されているように提供されてもよい。トランスミッションのさらなる特徴にかかわらず、トランスミッションはかかる構成では連結要素が注入口領域でのみ保持装置と接触するとともにこれに応じて誘導することが有利であることを立証する。排出口領域内の連結要素の誘導はシステム内の不安定性を誘発することが立証されているがこれは連結要素、たとえば摩擦リングなどの連結要素のねじりに加えて、強制誘導手段もまた連結要素をシフトし、排出口領域内が有効になった際に前提的なシステムの安定性を崩すからである。これにより回転連結要素が注入口領域でのみ保持装置と接触することが提案されているが、これによりこのタイプの不安定性を防止することができる。
これに関連して「摩擦リング」という用語が連結要素を含むことはまた理解されているが、摩擦リングの対応するトランスミッション要素との接触は直接摩擦によるものではなく、むしろ摩擦結合から逸脱した水力発電、磁気または電磁的相互作用などの相互作用の結果として保持されている。
かかる形状においては、連結要素の回転軸の回転面に垂直な軸の周りの回転自由度はたとえばスピンドルまたはロッド部材、および連結要素により実現される保持装置用調節装置間に保持されることが好ましい。これにより強制誘導手段を調節する影響力を最小限にとどめることが可能となり、摩擦リングまたは連結要素はほぼそれ自体で対応する位置を想定することが可能となる。特にかかる形状においては対費用効果の極めて高い保持装置を実現化させることができるがこれは最小限の設計が、連結要素に向けられた隣接片を示すとともに連結要素の回転面に垂直に整合することのみを必要とするからである。他の形状においては、保持装置は連結要素を主にバックラッシュなしで保持することができ、またたとえばヒンジなどの対応する回転自由度を保持装置と調節装置との間に設けることができる。一方、保持装置は十分な回転自由度を有する遊びを備えた連結要素を保持する。
代替的または累積的に、固定型保持装置は画定された伝達経路内に任意に保持されてもよい連結要素を有する連結要素を設けられてもよい。かかる固定型保持装置は連続的な動作モード、たとえば始動時、アクセル時、またはモータブレーキをかける際などの特別な状態においてのみ使用される動作モードを実現化することが可能である。
さらにセンサーを設けること、特に電気センサーを設けセンサー要素の端部位置を得ることは有利である。たとえばトランスミッション不良などの特定の動作状態を迅速かつ動作的に信頼できる態様で得ることは可能である。トランスミッションは連結要素の注入口領域内に少なくとも1つの機械的な端部停止部を有することは好ましく、伝達経路の変更時に連結要素が動作するとともに、連結要素が端部停止の1つを動作させる際には連結要素の回転軸を固定位置にするように停止部は配置される。この解決策はまた動作的な信頼性という点で安定的なリング誘導は注入口領域内で最もよく達成されるという認識に基づいている。このためこれに関する端部停止部は連結要素の調節角度、ひいては1つの伝達経路から他の伝達経路への移出入に効果的に影響を及ぼすことができ、これによりたとえば仮に保持装置が脱落した場合に全体的なトランスミッション被害を防止する。
上述された保持装置の特徴はまたトランスミッションのさらなる特徴とは無関係にまた有利であり、特にモジュールの数が極めて減少したこと、ひいては全体的なトランスミッションのコストが減少したことにおいて有利である。特にかかる保持装置においてはその構築がより容易になり、このため求められる運動のシーケンスもまたより迅速で発動機付駆動装置がより少なくて済むようになった。さらにセンサー見られる力で調節する保持装置の長所は連結要素の位置が保持装置の位置に基づいて直接的に決定されるため、さらなるセンサーの必要性を排除することができるという点である。
累積的にまたは代替的にトランスミッションには2つの回転トランスミッション要素が設けられており、これらの要素は回転連結要素のための少なくとも1つの伝達面を有し、少なくとも1つの伝達面は異なる伝達半径を有する結合要素のための少なくとも2つの伝達経路を有しており、2つのトランスミッション要素は連結要素を含む補強装置により保持され、補強装置は2つのトランスミッション要素を連結要素に対して可変性接触圧力で圧締する。このトランスミッションにおいては、トルクの機能としてまたは他の動作パラメータとしてより確実にまたは再生可能に接触圧力がかけられる。この目的のために主に提案されてきたトランスミッションでは補強装置が加圧装置を含んでおり、この加圧装置はその一方は2つのトランスミッション要素のうちの1つの伝達面を可変性接触圧力で連結要素に対して加圧し、他方は補強軸受上に載置されており、また加圧装置に直列に結合されたばね要素も含んでいる。
この点に関してかかる補強装置は本発明におけるトランスミッションの全てのモジュールを含むものであり、十分な接触圧力を確実なものにし、これによって圧力の断片に曝される一方で、本発明による加圧装置は可変性接触圧力に反応するモジュールを有する。ばね要素と加圧装置とを直列に連結することにより加圧装置は同一の接触圧力点でより大幅な運動の自由が得られ、これにより先行技術にも見受けられる、ばね要素に一定なばねとして機能する加圧装置と同範囲を必然的に達成し、これにより加圧装置の実質上均等な動きの実現化を可能にしている。特にこの結果としてそれぞれの接触圧力の再現性が高められた。本発明はまたクランク、ロールバレルまたはこれらに類するものの経路曲線の勾配を変更するなどの力またはトルクの接触圧力の特質を変更することが可能であり、これにより許容差を打ち消しあう。
第2に、かかる第2のトランスミッションでは累積的または代替的にばね要素は、第1のトランスミッション要素の伝達面と補強装置との間、あるいは第1のトランスミッション要素の伝達面と加圧装置との間に可変性接触圧力とトルクとの両方を伝達することが好ましい。
このようにして加圧装置は少なくとも部分的には二重付加から逃れることができ、トルクは第1トランスミッション要素の伝達面に直接的に伝達されるかあるいはこの伝達面と連結されたモジュールに伝達され、同時にこのモジュールと相対的にシフトされる。これによりまた前述した可変性接触圧力の可能な限りの再現を適用するという目的を達成することが可能となる。本形態はこの点に関する汎用トランスミッションの上述された解決策に対して累積的または代替的に有利であり、EP0 980 993 A2のみがばね要素を開示しているが、このばね要素は加圧装置に対して並列に連結されており、トルクを伝達するものではない。
第3にトランスミッションが提案されているが、このトランスミッションの補強装置は2つの加圧要素と、少なくとも1つの回転要素とを含み、この回転要素は少なくとも1つの回転要素経路上でのトルクの機能として回転し、回転要素がトルクの機能としてその位置を回転要素上に変化させる場合、第1の加圧要素が第2の加圧要素に比例する接触圧力の方向にシフトするようになされている。
かかる態様において第2の加圧要素のトルクにより誘発されたシフトは比較的低い摩擦において確実になされ、この解決策によりまたトルク依存性あるいはトルク誘発性の接触圧力の高い再現性を確実なものにする。
これらのトランスミッションはたとえばEP0 878 641Al およびEP0 980 993A2などで公知の類似したトランスミッション類とは異なる。これら開示されたものは両者とも円錐形摩擦リングトランスミッションに関し、対向する円錐体角度を有する2つの円錐体はこれらの円錐体間に一定の間隙を有するように回転可能に取り付けられ、この中でリングは連結要素として円錐体を有し、これらのうちの1つの周りを回転する。これらの公表特許はいずれも流体静力学型または水力発電型加圧装置を開示しており、機械的な加圧装置を伴っており、これにより少なくとも1つの円錐体は間隙幅を減少させる態様でシフトされてもよい。このようにしてこれらの公表特許の連結要素は円錐体伝達面の両面に対して加圧することができ、接触圧力はかかる態様で十分な力の移動を実現させる。流体静力学または水力発電的な解決策においては水圧状態あるいは流体静力学または水力発電状態を変動させたりすることで容易に変動が得られるが、提供された機械的解決策は2つのトルクにより伝達されるモジュールの試運転ランプと連動して、これによりこれら2つのモジュールはトルクの機能として互いに相対的にねじりあい、対応する加圧装置を軸方向に膨張させるかあるいはトルクの機能として軸方向の膨張を減衰させる。このようにしてより高い接触力もまた高トルクでは容易に実現されるが、これらの力にはテーバローラ軸受などの適切な補強軸受けが逆らって最終的に連結要素または摩擦リングにより高い補強力を生じさせる。さらに上記に提案されたトランスミッションに対し本願明細書で開示されたトランスミッションに関して説明された各長所により特徴付けられている。
好ましい実施形態においては、トルクセンサーは駆動装置および/または出力側に提供されていてもよく、加圧装置の接触圧力はついで算出されたトルクの機能として選択される。このようにして接触圧力、しいては接触力または摩擦力が連結要素とトランスミッション要素のうちのひとつとの間に生じるが、これらの力は優勢なトルク状態に対して調節されてもよい。かかるセンサーはまたこのトランスミッションのさらなる特長とは関係なく有利に用いられてもよいことを理解されたい。特に連続トランスミッションあるいは、摩擦または液圧作用を介して動作するトランスミッション、特に特接触圧力を優勢状態に調節するとともに、たとえばずれを最も低い損失で防止し、あるいはたとえばトランスミッション比を適切に選択するトランスミッションがあげられる。可能なセンサーとして、膨張測定ストリップ、電圧メータまたはねじりメータ、あるいは同様の測定装置があげられる。
最後に説明する装置は、特に流体静力学または水力発電軸受におけるケースのように、加圧装置を外部的に作動する場合特に有利である。一方本発明は加圧装置、特に本質的に機械的なデザインを有する加圧装置は、たとえば加圧装置上に作用するトルクによって内部でトルク機能として作動することが可能である。特にかかる実施形態では、トルクにより誘発された接触圧力またはトルクにより誘発された加圧装置構成要素のシフトはトルク測定のために用いられてもよい。このようにして、付加的なコスト集約的なトルクセンサーを用いなくてもよいので特にコスト効果の高い態様でトルクは測定されてもよい。かかる構成を有する特に有利な実施形態においては、加圧装置はトランスミッションの出力トランスミッション要素内に設けられてもよい。かかる構成により、トランスミッションのさらなる特徴から離れて対コスト効果の高い解決策が得られる。
本発明のさらなる特徴とは関係なく、装置を適合させ第3のトランスミッション要素を開くことによりこれらの2つのトランスミッション要素を分離させたり、あるいはこれらの2つのトランスミッション要素をこの第3のトランスミッション要素を閉じることにより接続したりする結合要素を提供することは有利であり、これによりそれぞれのトランスミッション経路はトランスミッション全体に選択的に接続されることが可能である。かかる構成においては、加圧装置は有利に連結要素を閉じるために求められる力をかける。この点で連結要素が接触圧力の力経路内で構成されることは有利である。
このタイプの構成においては接触圧力を適切な位置で補償するだけで連結を開くことができ、これにより対応する連結部は接触圧力に曝されることがなくなる。対応する連結部はこの態様で開き、また2つのトランスミッション要素はこれに対応して分離される。加圧装置がトルク機能として作動される場合は特に、トルクはもはや開結合の結果として送られるものではないため、接触圧力が減らされることにより直接生じる。このようにして開くためにかけられた力は著しい範囲で直接減らされる。さらに接触圧力内の減少はまだ自由に回転している任意のトランスミッション要素により生じる可能性のある損失をなくす。対応する反対の力を減少するだけで連結が閉じられ、これにより圧力装置が作動される。したがって連結を閉じるためにさらなるモジュールは必要とされない。
特に好ましい実施形態においては、稼動中に回転トランスミッション要素と連結要素との間の少なくとも1つに間隙が設けられる。かかる非接触稼動により、本発明のトランスミッションのさらなる特長とは関係なくともトランスミッションを極めて低摩耗となし、また最適な相互作用メカニズムが対応するトランスミッション要素と連結要素との間に設けられて力およびモーメントを伝達する。連結は流体または液体により提供されることが好ましく、これにより接触圧力にかかわらず間隙が存在し、必要な力およびモーメントを伝達する。一方、静電または磁気装置などの他の相互作用メカニズムもまた設けられてもよい。
かかる間隙は円錐形摩擦リングトランスミッションに特に適しており、これらのトランスミッションでは間隙または液体は少なくとも稼働中はそれぞれの円錐体と摩擦リングとの間に配置されている。結果としてリングはまた所望のトランスミッション比に容易に配置される。しかしかかる間隙もまた他の連続的に調節可能なトランスミッションに適しており、これらのトランスミッション要素は摩擦により相互作用を行なう。
この関連でトランスミッション要素間の「摩擦による相互作用」という用語は任意の相互作用を述べるものであり、かかる作用ではこの目的のためにこれらのトランスミッション要素間に押込式噛合が存在しなくとも、一方のトランスミッション要素から他方のトランスミッション要素間へとトルクが伝達される。一般的に、少なくとも比較的高い制限トルクにおいては摩擦による相互作用には特定のずれが存在するものであるが、かかるずれは壊滅的なものでないことが多く、対応するトランスミッションは一般的にこれらの制限トルクかで動作されるものである。
上述された間隙に代替的または累積的に、摩擦リングなどの回転トランスミッション要素および/または連結要素の少なくとも1つを濡らす液体は、たとえばメチルシロキサン類、ジメチルジフェニルシロキサン類、および/またはメチルフェニルシロキサン類を含むフェリル基を含むシリコンオイルなどの液体であってもよい。特にフェニルアルキル群またはフルオロアルキル群を含むジメチルポリシロキサン類ジメチルポリシロキサンを用いてもよい。特に個々にまたはシロキサンが閉鎖するかどうかに基づいてジメチルシロキシ群をジフェニルシロキシ群と替えてもよい。
かかる液体類は「シリコンオイル類」と分類されて一般に知られているが、特異でない用語でEP0 878 641 Al の中で連続的に調節可能なトランスミッションの回転トランスミッション要素を濡らす液体として一般的に開示されている。
シリコンオイル類は比較的低い潤滑特性を有しており、この特性は連結転がりまたは摩擦リングなどの転がり連結要素との相互作用に関して特に、実用試験において不利であることが判明しているが、これは公知のシリコンオイル類を使用しての稼動時に液膜が断裂されるという仮定を促すものである。しかしながらシリコンオイル類は他の液体と比較すると高温安定特性が特に際立っている。
特にジフェニルシロキサンブロックがポリオメチルシロキサン類に加えられた場合にはたとえば、フェニル基を含むメチルシロキサン類、ジメチルジフェニルシロキサン類および/またはメチルフェニルシロキサン類などを含む提案された液体は、膜が断裂されて開くことを防止するとされる他の液体と比較して高い圧縮特性を有している。これにより、温度/粘性または温度/圧縮性の挙動の点のおいて転がり連結要素のトランスミッションが有利な挙動を示すオイルの作成を可能とするが、かかる構成のためにトランスミッションは液体を有利に使用することが一般的に可能であることが判明されており、これらの液体は全て、粘性または圧縮性が温度依存する粘性勾配または圧縮性勾配に伴って変化するものであり、かかる勾配はミネラルオイル類の粘性勾配または圧縮性勾配と、ジメチルシロキサン類の粘性勾配または圧縮性勾配との間に存在する。これらの特性の結果として、液体またはオイルは一方では対応するトランスミッションを十分に潤滑するため過度の稼動温度に達することはない。また他方では、潤滑はそれほど強いものではないため、連結要素と対応するトランスミッション要素との間の適切な結合を妨げるものではない。さらに、説明された圧縮性窓は、圧力下であっても液体の均一な配給を妨げることなく、構成要素を包む液体膜の十分な安定性を確実なものとする。
特にポリジメチルシロキサン類、ポリジメチルジフェニルシロキサン類および/またはポリメチルフェニルシロキサン類および/またはアルキル置換γ-トリフルオロプロピル−置換ポリジメチルシロキサン類を含むフェニル基を有する液体を使用してもよい。用いられたポリジメチルシロキサン類はまた、たとえば10 %から25 % フェニル基またはγ-トリフルオロプロピル群または他のアルキル群を置換物とする有機置換物である「シリコン類」もまた可能である。
さらに累積的にまたは代替的に、対応する液体が温度の点で安定していること、およびその特性の点からミネラルオイル類よりも変化の度合いが小さいということは、もし可能であれば特に有利である。このように、対応する液体は劣化の程度が低いため、トランスミッションの寿命の長さが保証される。さらに、たとえば最大速度のピーク負荷またはたとえば冬季の始動過程中などの種々の作動状態下であっても、液体の物理特性は可能な限り一定を保とうとする。
ポリジメチルシロキサン類の中のフェニルシロキサン単位またはシロキサン類の中のフェニルシロキサン単位については一般的に、後者を対またはブロックの両方で用いて所望の結果を達成してもよい。また他方、前述された圧縮性は、間隙が連結要素と回転トランスミッション要素との間に残り、対応する液体に満たされ、高圧においても液体により安定的に架橋する特別な方法で相互作用を行なう。この場合、液体伝達力、つまりここで生じるせん断力は連結要素と対応するトランスミッション要素とをゆるくリンクすることができる。また他方では高い圧縮力は、かかるトランスミッションが高いまたはより高いトルクでも生じることが可能であることを保証しているが、小さい間隙のみが十分な高いせん断力および非断裂液体膜を達成することが可能であり、また逆に他方では間隙は高い接触圧力およびかかる接触圧力に対する液体の高い抵抗によってのみ維持されることが可能である。
間隙および/または液体に関する前述の考察は、その温度安定性、圧縮力または粘性にかかわらず、個々にまたは共に連続的なトランスミッション、特に一方が他方に転がる2つのトランスミッション要素を有するトランスミッションにおいて本発明におけるトランスミッションのさらなる特長とは関係なくまた有利なものであることを理解されたい。
摩擦的接続、または液圧、流体静力学または水力発電、磁気または他の非接触相互作用または押込式噛合を含まない他の相互作用により連結されたトランスミッション要素の場合は特に、連結要素用にトランスミッション要素の2つの伝達経路を有するトランスミッションにおいて、これらの伝達経路に異なる表面を設けることで適切な形状または表面圧力またはその類の相互作用の調整を可能にする。この場合、異なる幅、または種々の表面構造または表面処理を有する溝部または突起部は、少なくとも1つの回転トランスミッション要素に沿って設けられてもよい。このようにしてたとえば表面圧力は、トランスミッション要素の異なる半径に対して調整されてもよい。
かかる表面の多様性は本発明におけるトランスミッションのさらなる特長とは関係なくともトランスミッション要素上の伝達経路にとってはまた有利であることを理解されたい。
連結要素の表面はまた、伝達経路とは独立して構成された相互作用のために構成されてもよい。特にかかる表面部は溝や類似のものを有していてもよく、それらにより液圧相互作用中にせん断力および圧縮力に適切な態様で影響を及ぼす。さらに連結要素は連結要素が接触する種々のトランスミッション要素の異なる表面部を有していてもよい。
液体膜を断裂することなく、せん断力を良好に配分することを確実なものにするためには、特に連結要素の伝達面または対応するトランスミッション要素の対応する伝達面を濡らす液体との相互作用に関連して、連結要素は直線から逸脱する断面部、好ましくは凸形を有する断面部、または球形の断面部を有する、少なくとも1つの伝達面を有していてもよい。結果として、たとえ高い接触圧力であっても、適切なせん断力を伝達する連続的な液体膜を維持することが可能である。ここで断面部の選択は液体に適応させることが好ましい。累積的にまたは代替的に、連結要素の断面部は適切に直線からはずれ、特に後述されるように保持装置により片側のみが保持されるが、これはかかる一方だけの保持装置は比較的多くの自由度を有する連結要素を提供するかどうかにかかわらず、また伝達面が直線からはずれるために比較的不安定になされた連結要素との安定した態様で相互作用を行ない、このためにシステム全体は、特に伝達経路に変化があっても、力の消費が最小の状態で稼動されることが可能である。
このような連結要素または回転トランスミッション要素の表面形状は、本発明の他のトランスミッション要素の特長とは関係なくトランスミッション要素と連結要素との間の相互作用を設計するために有利に用いられたことを理解されたい。
EP0 980 993 A2およびEP0 878 641から公知のように、特に回転摩擦リングとして設計された場合には連結要素は、特に設定された調節角度の作用として自己の原動力の下にその伝達経路を替えることが可能である。連結要素の角度はそれぞれの伝達経路に対して相関的であり、調節され設定されることが好ましい。正確にこの角度は、選択された伝達経路を調節または安定させることに関して極めて重要なものであり、保持装置の角度位置の対応する調節装置またはこの保持装置自体が、前もって装荷されたばねなどのバックラッシュをゼロに設計されることが有利である。このような事前の装荷は、本願明細書におけるトランスミッションのさらなる特長とは特に関係なく、また連結要素の角度調節のタイプとは関係ないことが有利である。
特に連結要素の強制調節手段はたとえばDE38 35 052 A1内で開示されているように設けられてもよい。トランスミッションのさらなる特性とは関係なく、特にかかる形状においては連結要素が入力領域においてのみ保持装置と接触し、これに応じて案内することが有利であることが証明されている。出力領域において連結要素を案内することはシステムを不安定にしてしまい、これゆえにたとえば摩擦リングなどの連結要素をねじることに加えて、たとえば強制案内手段はまた外部領域において有効になった際に連結要素をシフトさせ、全システムを不安定にすることが判明している。このために、回転している連結要素を入力領域でのみ保持装置と接触させて、これによりこのタイプの不安定性を防止することを可能にする提案がなされている。
これに関連して、「摩擦リング」自体もまた連結要素を含み、摩擦リングは直接摩擦により対応するトランスミッション要素に接触して保持されるのではなく、正接続からはずれて相互作用することを理解されたい。
かかる形状においては、連結要素の回転軸の回転面に直交する軸の周りの回転自由度は、たとえばスピンドルまたはロッドアセンブリを実現することができる保持装置の調節装置と、連結要素との間にあることが好ましい。これにより強制案内手段の影響を最小限に抑えることが可能となり、したがって摩擦リングまたは連結要素はほぼそれ自体でその対応する位置をとることができる。特にかかる形状は、保持装置を実現するためには極めて対コスト効果が高いが、これは最小限の設計が連結要素に対向する隣接片を示す必要があるのみで、連結要素の回転面に垂直に整合されるためである。他の形状においては、保持装置は連結要素を実質的にバックラッシュなしで保持することができ、対応する回転自由度、たとえばヒンジなどは保持装置と調節装置との間に設けることができる。この代わりとして保持装置は、回転自由度には十分な遊びを有する連結要素を保持する。
代替的または累積的に、固定型保持装置が連結要素用に設けられてもよく、これには連結要素が画定された伝達経路内で選択的に保持されてもよい。かかる固定型保持装置により連続動作モードを実現することが可能となり、たとえば始動時、アクセル時、またはモータブレーキをかける際などの特別な状態のときのみに用いられてもよい。
2つの回転トランスミッション要素を有するトランスミッションもまた提案されており、それぞれの回転トランスミッション要素は、回転連結要素のための少なくとも1つの伝達面を有しており、少なくとも1つの伝達面は、異なる伝達半径を有する連結要素のための少なくとも2つの伝達経路を有し、調節手段が設けられて2つの伝達経路のなかの1つから他の伝達経路へとシフトが行なわれて、作動可能な調節装置を有してトランスミッション調節手段は、作動可能な調節装置に不具合が生じた際には連結要素を安全伝達経路へとシフトする安全装置を備えていることを特徴とする。
累積的にまたは代替的に安全装置は、連結要素を画定された速度でシフトすることが提案されているが、安全伝達経路内にシフトすることが好ましい。
さらに累積的にまたは代替的に安全装置は、少なくとも1つの調節手段の付加的なモジュールのために圧縮応力手段を有する。
上述の対策によりトランスミッションは、特に制御装置の不具合などのシステム障害がおきても、制御された作動状態を維持することが確実なものとなる。この場合、たとえば調節ブリッジ、ケージまたは類似のモジュール圧縮応力手段は、作動可能な調節装置からの調節力が機能しなくなってもモジュールが圧縮応力手段により所望の位置に移動することを確実にするため、連結要素は適切な態様でシフトする。特に、連結要素を安全伝達経路にシフトすることにより、トランスミッションが運転可能であることを示す車両または運転線路を確実なものとするとともに、連結要素がシステムエラーによって伝達面から離れることはない。エンジンが始動プロセスを行ないうるトランスミッション比を安全伝達経路が選択することは好ましい。これにより車両は、駐車空間に達するまでの期間、極めてゆっくりであれ依然として動けるということが保証される。しかしながら仮にトランスミッションが他の、たとえば第1歯車などの回転トランスミッション要素および連結要素以外のトランスミッション比制御トランスミッション要素を示す場合、より迅速な走行が可能な伝達経路がまた安全伝達経路として選択されてもよい。始動プロセスはついで、より迅速な走行のために安全伝達経路が使われる際にはかかる第1歯車と代えられてもよい。
連結要素は画定された速度で安全伝達経路にシフトされることが好ましいがこれは、かかるトランスミッションの構成により、対応するトランスミッション要素がゆっくりと回転している間に連結要素が全ての可能な伝達経路または全ての伝達面にシフトされることが可能であるためである。かかる形状においては、好ましくない作動状態下での非制御調節は次の段階にあまりにも早く進むため駆動エンジンは変化した作動状態に適応することができなくなる。これはただちにエンジンの遮断、エンジンの故障またはトランスミッションの故障をもたらす可能性があり、この結果自動車はたとえば突然制御不能な状態になされる。画定された調節速度により、特にたとえば電子制御を含むシステム障害の間においてさえも作動状態な制御不能なほど早く変化することがなくなることは確実であり、これによりモータは変化に対応できるようになる。かかる画定された速度調節はたとえば適切な圧縮応力手段により確実にすることが可能である。安全伝達経路はたとえば潜在的にばねを装備した、対応する停止部により画定することが可能である。2つのばね装置を設けることはまた可能であり、このうちの1つは1つの調節方向において少なくとも調節速度を大幅に制御するとともにもう1つは他の調節方向において少なくとも調節速度を大幅に制御するため、対応する連結要素はこれら2つのばねの構成間での相互作用により、急停止することなく、任意の作動位置から安全伝達経路に案内されることが可能となる。
固定停止または固定されているがばね装着された停止部の代わりに、安全装置は調節可能な停止部または調節可能でかつばね装着された停止部を備えていてもよく、この停止部はさらなる調節装置によりシフトされてもよい。この結果、直接変更不能に画定された安全伝達経路はなくなる。後者はむしろ、さらなる調節装置により規定されてもよい。
さらに、センサー、特に電子センサーを設けて連結要素の末端位置を得ることは有利である。これによりたとえば、トランスミッションの不具合などの特別な作動状態を早く、作動的に信頼できる態様で得ることが可能となる。トランスミッションはまた、連結要素の入力領域内に少なくとも1つの機械的な末端停止部を設けることが好ましく、連結要素は伝達経路に変化が起こったときに走行することが可能でありかつ、連結要素が末端停止部の1つを走行する間、連結要素の回転軸を固定位置にもってくるように配置される。この解決策はまた、安定したリング案内が操作信頼性の点で、入力領域において最もよく実施されるという認識に基づいている。そのため、この点において末端停止部は、連結要素の調整角度に効果的に影響を及ぼすことが可能であり、したがって1つの伝達経路から他の伝達経路への移出入により、仮に保持装置が脱落した場合など、全体的なトランスミッション損害を防止している
上述された保持装置の特長はまた、特にモジュール数の大幅な減少によるトランスミッション全体のコストの減少といったトランスミッションのさらなる特長とは関係なく有利なものである。特に保持装置自体をこのような保持装置内に構築することはより容易なことであるが、運動の求められるシーケンスはまた、より早いとともにより少ないモータによる駆動装置で実現されてもよい。さらに、力で調節される保持装置と比較して有利なことはこの場合、連結要素の位置を保持装置の位置に基づいて直接決めることができ、これによりセンサーを付加する必要性がなくなる。
たとえば徐行、逆走、一定で変化のない道路などの特別な走行状態における諸問題を、連続的に調節可能なトランスミッション部を有するトランスミッション内部で確実にその程度を減少させるためには、連続的に調節可能な部分トランスミッションを有するトランスミッションが提案されているが、このトランスミッションは2つの並列に接続されたトランスミッション経路により特徴づけられ、連続的に調節可能な部分トランスミッションは、2つのトランスミッション経路のうち第1の経路に設けられている。
かかる構成により、第1トランスミッション経路が、連続的に調節可能なトランスミッションに対する有利性をもたらしながら、第2トランスミッション経路での特別な走行または道路状況を実現することが可能となる。これに関連して「2つのトランスミッション経路の並列接続」とは、2つのトランスミッション経路がたとえばエンジンまたはクラッチディスクまたは類似するものの駆動シャフトなどの、共有された入力側トランスミッション部を有するとともに、たとえば自動車の一次差動装置などの、共有された出力側トランスミッション部を有することを意味するものである。入力側共有トランスミッション部と、出力側トランスミッション部との間の2つのトランスミッション経路は交互に加えられる態様で同時に作動されてもよく、および/または異なる態様でなされてもよいため、種々の要求を満足させるものである。本発明のさらなる特長とは関係なく、かかる構成が有利であることを理解されたい。
この点に関しては、2つのトランスミッション経路の第2駆動装置に後退用歯車、第1歯車および/またはオーバードライブを設けることが有利である。これらの状況では、連続的に調節可能なトランスミッションは条件付で用いられるのみであって、また費用が比較的大きくなりがちであり、かつ高RPMおよび低トルクであるオーバードライブには特に大幅な損失がつきものである。
少なくとも1つのフリーホイールクラッチを2つのトランスミッション経路間に設けるならば、これらのトランスミッション経路はあらゆる複雑なスイッチ費用またはあらゆる面倒な回路または自動制御なしで組み合わせることが可能である。
累積的にまたは代替的に、トランスミッション内部の部分的なトランスミッションは、たとえば差動歯車部と遊星歯車部との間などの2つのパワーデバイダー間に配置されることが可能であり、連続的に調節可能な部分トランスミッションの少なくとも1つの入力部を有効に入力側パワーデバイダーの少なくとも1つの出力部に接続するとともに、連続的に調節可能な部分トランスミッションの少なくとも1つの出力部を有効的に出力側パワーデバイダーの少なくとも1つの入力部に接続する。このタイプの構成により、トルクトランスミッションのデザインを拡張可能にし、連続的に調節可能な部分トランスミッションの設定範囲を拡大する構成になすことが可能であるが、これを行なうにあたって現在の知識に基づくと効率性を犠牲にしなければならない。これは概してかかる構成により、当然2つのデバイダーに損失が出るためであるが、また一方ではこの構成により連続的なトランスミッションの適用範囲を大幅に広くすることが可能である。さらに、連続的に調節可能な部分トランスミッション自体でなされるトルクは結果として削除することができるため、適切な構成において損失は限度内に保たれる。連続的に調節可能なトランスミッション内部の低トルク、特に円錐形摩擦リングトランスミッションを含む低トルクの場合、損失は低く保たれ、これがその分のパワーデバイダーの損失低下を減少するからである。
累積的にまたは代替的に、連続トランスミッションの有無にかかわらず、少なくとも1つの前進歯車および少なくとも1つの後退用歯車を有するトランスミッションは差動歯車を設けてもよく、この差動歯車によりこの前進動および後進動が実現し、ケーシングおよび/または他の差動歯車トランスミッション部のモジュールを有して差動歯車トランスミッション部の少なくとも1つのモジュールは選択的に設定されてもよい。このようにして前進歯車および後退用歯車を有する極めて小型のトランスミッションを実現することが可能であるが、ここで差動トランスミッションの差動モジュールはたとえば入力部として用いられる。ついで仮に差動の中央モジュールが第2差動モジュールに接続されると、回転方向が実現されうる。反対に仮に差動の第2差動モジュールまたは中央モジュールがケーシングと接続されてこのような態様で設定されると、設定されていなかった他のそれぞれのモジュールは回転方向を変更して、前述の歯車反転を実現することが可能となる。これにより前進歯車および後退用歯車を有する特に小型のトランスミッションの実現を可能にする。
また累積的にまたは代替的に提案されるのは少なくとも2つのトランスミッション段を有するトランスミッションであり、シフトトランスミッション部によりトランスミッション経路内部で選択的に切替される段を含み、第1の2つのトランスミッション段は連続的に調節可能な部分トランスミッションを有する。かかる構成のひとつは明らかに初見ではシステムと互換性があるようには見えないが、これは連続トランスミッションがあらゆるスイッチ類の必要性をなくすために設けられているからである。しかしながらかかる構成は、かかる長所が実際に支配的である場合には、連続トランスミッションのみの使用を可能とするものである。たとえば始動時には比較的高トルクがもたらされるが、これにより連続トランスミッションには大幅な負荷がかかるか、あるいは連続トランスミッションが大型の構成を必要とされる。この関連で、たとえば第1歯車を別途に実現するとともにたとえば始動後は連続的に調節可能な部分トランスミッションのみに接続することが有利である。この場合特に連続的に調節可能な部分トランスミッションは、2つのトランスミッション段のうちの一方から他方への切り替えプロセスの前に、第2トランスミッション段の速度が連続的に調節可能なトランスミッション経由で第1トランスミッション段速度に調整されて、本質的に第1トランスミッション段から第2トランスミッション段へ、および第2トランスミッション段から第1トランスミッション段への連続的な移行がなされるように寸法決めが行なわれてもよい。これにより、たとえば始動時に見舞われる短所にわずらわされることなく連続的な部分トランスミッションの長所を選択的に用いることが可能となる。
本質的に一定のパワーまたは本質的に一定のトルクを有する状況においても同様なことがいえる。速度変更はエンジンRPMの変更により転換することが可能なので、連続的に調節可能な部分トランスミッションはそれ自体が絶対に必要というものではない。かかる作動状態下では、連続的に調節可能な部分トランスミッションは一般的にずれなどにより生じる高損失をもたらすが、トランスミッション段を加えることでこれを避けることが可能であり、かつこのような段変更があったとしても乗客にほとんど気づかれることない運転点をまた実現することができる切り替えが可能である。この目的のために特に、連続的に調節可能なトランスミッションは適切な運転状況に取り込まれてもよい。たとえばかかるトランスミッション段はフリーホイールクラッチによって始動したり停止したりすることが考えられる。
連続的に調節可能な部分トランスミッションを有するトランスミッション段にはさらに、接続可能なトランスミッション段を使用して、駆動装置および後退用歯車と始動歯車との間の切り替えに使用する差動トランスミッション要素を含むことが可能である。特にかかる構成においては差動トランスミッション要素のモジュールを固定することが有利であるが、これは駆動装置と後退用歯車との間を切り替えるのに必要とされ、摩擦結合を用いて切り替えを可能な限りスムーズかつ均一にするものである。
2つのトランスミッション段を有するトランスミッションにおいては、シフトトランスミッション部を経由してトランスミッション経路に選択的に接続され、第1の2つのトランスミッション段は連続的に調節可能な部分トランスミッションを備え、連続的に調節可能な部分トランスミッションのシフトトランスミッション部はTrilokコンバータの羽根部またはモータ出力シャフトに直接接続された他のモジュールと連結されてもよく、かつ第2トランスミッション段はTrilokコンバータのタービンホイール、または他の接続可能なモータ出力モジュールと連結されてもよい。結果として特に通常の作動状態下においてはエンジン力は連続的に調節可能な部分トランスミッションに直接中継してもよく、高トルクが第2トランスミッション段に伝達されている間、特に始動プロセス時においては、この点において連続的に調節可能な部分トランスミッションから負荷を取り去ることになる。Trilokコンバータのタービンホイールに関してはこれと同様なことがいえるが、過度のトルクが当然発生しこれにより連続的に調節可能な部分トランスミッションに多大な負荷をかけることになる。
特に電気エンジンに関しては、共軸方向に配置された駆動装置および出力部を有する連続的に調節可能な部分トランスミッションはまた、かかる配置により特に小型の態様でケーシングにかかるトルクを最小限に抑えるため、本トランスミッションのさらなる特長とは関係なく有利である。共軸方向に設けられた出力部は、それ自体が連続トランスミッション出力部により電源を供給されている差動トランスミッション部を取り込むことが好ましい。この構成は特に小型であるがこれは、自動車においては特に必ず設けられなくてはならないさらなる中段を有さずに、連続トランスミッション出力部が差動トランスミッションに作用するからである。さらに、歯車つきのホイールまたは他のトランスミッション要素は共軸駆動装置および出力部を設けるために一般的に必要とされるため差動トランスミッション部はいかなる他のモジュール類を必要としない。前述の構成は、電気モーター駆動装置に関して特に適切であり、電子エンジンを連続的に調節可能なトランスミッショに接続するのに所見ではシステムとの互換性がないように初見では見受けられるが、これは電気エンジンの速度がほぼ所望の値に設定できるからである。また他方では、連続的に調節可能なトランスミッションにより電気エンジンは好ましいトルク/電流強さの比を有す速度似て運転が可能となる。このようにして、特に低速時において対応する駆動装置の全体的な効率を向上させることあるいは、必要とされる量の電流を減らすことは可能である。
本発明におけるトランスミッション、または他の連続的に調節可能なトランスミッションは、駆動装置または出力側の始動連結装置、トランス、摩擦ディスク、ぬれた連結装置またはシンクロナイザーなどの運転点において有効に接続することが可能である。かかる構成の長所は連続的に調節可能なトランスミッションとは反対をなすものであるが、連続トランスミッションまたは駆動装置は始動プロセス中に保護されるため商品寿命がのびる。始動連結器または出力側に設けられた分離点は特に有利であるが、これはかかる構成によりエンジン稼動のアイドリング調整を可能となるからである。また他方、駆動装置側始動連結器または分離点により必要な際には他のトランスミッション要素を接続することが可能である。
2つの部分トランスミッションは、続いて起こるトランスミッション経路の駆動装置の出力部で噛合して、かかる方法で再び集束することが好ましい。続くトランスミッション経路の駆動装置がたとえば差動接合部などの主差動部であって、自動車の駆動軸に電源を供給する場合、トランスミッションは特に小型の設計を有する。かかる小型の設計においては一方では構成部品の数が少なくてすみ、これによりコストを削減することができる。また他方ではこのタイプの小型の設計では構成上の体積を低く抑えて、自動車の全体的なコストをさらに下げることが可能となる。
特定の転換によると2つの部分トランスミッションのうちの1つが後退用歯車を、必要な場合は第1歯車を含めて備える一方で、第2部分トランスミッションが連続的に調節可能なトランスミッション、特に円錐状摩擦リングトランスミッションを有することは有利となる可能性がある。特に仮に第1のこれらの部分トランスミッションが分離第1歯車を除外した場合、上述されたかかる長所を有する特に小型の設計が得られる。
2つの部分トランスミッションは有利に始動されるとともに停止される。このことは特に結合によりそれぞれの部分トランスミッション経路を妨害することによりなされてもよい。この場合には、切断が導入される第1概算には違いがないが、駆動装置側または出力側のいずれかで起こる可能性があり、分離部の他方の側に配置されたトランスミッション要素は同時に負荷なしで走行することが可能であり、これにより2つの部分トランスミッション経路はそれぞれが2つの連結器を設けられる必要がなくなる。しかしトランスミッション要素が負荷なしで同時に稼動するために損失を防止するためには、いくつかの連結器を部分トランスミッション経路内に設けてもよい。しかしそうすると今度は構成要素の数が増えるとともに構築領域が必要となり、しいてはコストに響いてくる。
連続トランスミッションの並列部分トランスミッションとのかかる構造はまた本発明のさらなる特長とは関係なく有利であることを理解されたい。このことは特に連続トランスミッションとしての円錐形の摩擦リングトランスミッションに関してあてはまるがこれにより、他の部分トランスミッションを小型の態様で有する円錐形の摩擦リングトランスミッションにより生じる回転方向を逆にすることを非常に効率的に実現するためである。
小型の設計を向上させるためにさらに提案されるのは連続的に調節可能なトランスミッション、特に円錐形の摩擦リングトランスミッションであり、トランスミッション経路を始動するとともに停止するために用いられて、連続的に調節可能なトランスミッションを含む連結要素が、連続的に調節可能なトランスミッション要素の1つの内部、たとえばそれぞれの連続的に調節可能なトランスミッションの円錐体内部に設けられる。連続的に調節可能なトランスミッション内部では、比較的大きい相互作用面は対応する多様性を確実なものにするために本質的なトランスミッション要素上に備え付けられなくてはいけない。かかる連結要素を大きい相互反応面を有するトランスミッション要素の内部に配置することにより、構築空間を大幅に節約することが可能となるが、これはトランスミッション要素内部の未使用の構築空間が別の状態で占有されるからである。連結要素のかかる構成は本発明のさらなる特長にすら関係なく連続的に調節可能なトランスミッションの対応する有利性を示すものであることを理解されたい。
さらに、連続的に調節可能なトランスミッション、特に残りのトランスミッションと直列である出力部の裏部に設けられる後進歯車を有する円錐形の摩擦リングトランスミッションが累積的にまたは代替的に提案される。一方では、かかる構成の特長はトランスミッションが一定の回転方向で運転されてもよく、このため連続的に調節可能なトランスミッションは、始動または摩擦リング調節部に対して有利である。さらにかかる構成によりまた後退用歯車を連続的に変動させることも可能である。
後退用歯車構成に関して「直列で」「前方」または「後方」という言葉が用いられる際には、連続トランスミッションを有する駆動装置列の力の流れに関連する。本発明によると、後退用歯車は駆動装置列から離れて対向する連続的に調節可能なトランスミッション側のエンジンに直列で設けられる。
後退用歯車は少なくとも1つの回転トランスミッションフレームを備える回転トランスミッションを有することが好ましく、このトランスミッションは回転トランスミッションの少なくとも1つのトランスミッション要素を有し、ケーシングまたは回転トランスミッション要素に選択的に固定されてもよい。かかる構成は後退用歯車を設けるが、これは駆動部が回転しても切り替え可能であり、たとえば円錐形の摩擦リングトランスミッションまたは連続的に調節可能なトランスミッションが回転しても切り替え可能である。この切り替えは回転トランスミッション要素を対応する態様で選択的に固定することにより可能であるが、この固定プロセスは対応する緩やかな対応で適切な結合または同期を介してなされてもよい。この切替能力は特に円錐形の摩擦リングトランスミッションの必要性に応じて特別に適応されてもよく、それ自体で回転状態のトランスミッション比に関して多様化されるだけではない。
特に後退用歯車は遊星部を有する遊星歯車と、太陽ホイールと、外部ホイールとを備える。これらの第1トランスミッション要素は能動的に連続的に調節可能なトランスミッションの出力部と接続されるとともに、第2トランスミッション要素は有効に連続的に調節可能なトランスミッションと後退用歯車とを有する全体的な構成の出力部と接続される。一方、第3のトランスミッション要素は少なくとも自由度に関してケーシングに対して固定されてもよい。遊星歯車の有利な特長は、たとえば外部ホイール部、太陽ホイール部、遊星部などのトランスミッション要素のひとつが、その回転する本質的な能力を有利に保持しなければならないものであるが、固定されても、他のトランスミッション要素は引き続き回転することが可能であり、結果として得られるトランスミッション比に基づいて互いに相互反応する。特にかかる態様でトランスミッション要素を固定すると残る2つのトランスミッション要素間に自由度の点で実質的な相対的速度変化を引き起こし、これによりかかる相対速度の変化を後退歯車を作動するために使用することが可能となる。
後者は特に遊星部を第3のトランスミッション要素として用いることで確実なものにできる。仮に遊星歯車の遊星部が対応する太陽ホイール部の周囲にその回転自由度で固定されるならば、外部ホイールと太陽ホイールとの間で回転方向が直接逆になされるため、それぞれの駆動装置歯車が対応して回転する遊星部に認識された際には、対応する後退用歯車は切り替えが可能であり、遊星歯車は、トランスミッション比を適切に選択するために必要なものとして用いられてもよい。
全体的な構成には、連続的に調節可能なトランスミッションを含み、特に円錐形の摩擦リングトランスミッションを含む。後退用歯車は、円錐形の摩擦リングトランスミッションとともに回転するピニオンが第1トランスミッション要素を駆動するならば設計が特に小型となる。かかる構成により前記円錐形の摩擦リングと後退用歯車との間の力またはトルクの迅速で直接な流れを確実に行ない、これにより全体的な構成を極めて小型のものにして、これにより特に近代的な自動車において製造が安価となる。
後者の要求条件に関すると、第2トランスミッション要素が差動部の回転するフレーム部と連結されて回転することは、累積的にまたは代替的に有利である。自動車の使用に関しては特に、主差動部を有利に使用することができ、後退用歯車を迅速かつ直接差動部内に組み込むことで、円錐形の摩擦リングトランスミッションとの接続において、後退用歯車の駆動装置構成とは関係なく小型の構造設計が特になされることとなる。
このことは第1トランスミッション要素および第2トランスミッション要素が互いに固定される通常の作動に関して特に有利である。後退用歯車に関連する切り替えプロセスの特定な構成にしたがって、かかる調節はまた遊星歯車の所望の差動状態を固定するために異なる態様で有利になされてもよい。第1トランスミッション要素および第2トランスミッション要素の一方が他方に固定されることにより、遊星歯車の力の直接的な流れを確かなものとし、そのために遊星歯車は本質的な作動状態における損失を被らずに作動するとともに、全体的な構成により特に駆動装置に関して特に高い効率レベルで作動される。第3のトランスミッションと2つの第1トランスミッション要素とは選択的に固定されて連結されることが好ましく、これにより遊星トランスミッションは動作状態においてより動作が信頼される態様で作動する。この点において、第1トランスミッション要素および第2トランスミッション要素にとって遊星歯車の外部ホイールまたは太陽ホイールによって形成され、第3のトランスミッション要素が遊星部によって形成されることは特に有利である。これによりトランスミッション要素間に必要とされる相互作用が極めて平易で小型の態様で実現されることが可能となるからである。第2トランスミッション要素が回転する作動フレームに直接接続され、あるいは後者と単一片として形成される際、および/または出力部錐体とともに作動するピニオンが第1トランスミッション要素を駆動する際にはこのことは特に真である。かかる構成においては全体的な構成により非常に小型で、ひいては低価格のトランスミッションがもたらされるが、これは次いで小型である自動車にさえも使用が可能であり、特に、構成要素の数が多く、補完自動車のクラスが多様性に富むために単向性駆動部を装備されている従来の自動車駆動部で使用されてもよい。
自由度に関して回転トランスミッションフレームまたは遊星部、または第3のトランスミッション要素をケーシングに対して固定するためには、たとえばタイプが最も変化に富む摩擦または正の接続をかかる固定プロセスに用いることは有利である場合もある。摩擦接続は特に有利であることが証明されてきたが、この接続により流れの移行が可能となり、さらに特定の構成にしたがって回転中に後退用歯車を作動させることができるようになる。しかしながら後者は全ての応用例において有利というわけではない。これは比較的高い力および摩擦損失によるもので、特に始動時のエンジン部と円錐形の摩擦リングトランスミッションとの結合がかかるケースにおいては有利でありうる。特定の応用例にしたがって、結合部、主プレーキ部、同期部、および既成のトランスミッションに関して共通に見られる同様の装置は固定するために適切なものである。
かかる後退用歯車の構成は、対応して上述され列記された種々の長所を有するトランスミッションを提供するための本発明の特長に対して累積的または代替的にも有利であることを理解されたい。この場合主に強調したいのは特にその小型性であり、ひいては使用されるモジュールの数ならびに一方ではコストを最小限に抑え、他方ではエンジン部の回転方向にその結果が見られる。
動作的に信頼のおける態様であるとともに損失を低く抑えてより高いトルクを伝達することが可能である調節可能なトランスミッションを提供するためには、かかるトランスミッションは前述の特長に対して累積的にまたは代替的に、少なくとも2つの連続的に調節可能な部分トランスミッションを設け、トランスミッション経路に直列に配置されて、2つの連続的に調節可能な部分トランスミッションはピックオフ歯車により入力要素または出力要素に接続されている。重畳歯車ともよばれるピックオフ歯車を用いることに対する有利性は、同じ速度または精確に設定された速度が部分トランスミッションのトランスミッション要素のうちのひとつにかかることが従来技術には必要であったが、これを不要としたことである。むしろ、両方の部分トランスミッションは速度の関数としてピックオフ歯車の結果得られる速度に別途に貢献するものである。したがって、本発明における構成によって部分トランスミッションの両方を別途に作動するとともにまた制御することが可能となり、連続的に調節可能なトランスミッションを2つの連続的に調節可能な部分トランスミッションに分けたことから得られる有利性が用いられる。これには加速度からもたらされるたとえば摩擦損失または制御支出の増加などの不利益を被ることなく、トルクを2つの部分トランスミッションに配給することが含まれる。
対称であるがゆえに自由であるピックオフ歯車を経由する2つの部分トランスミッションの切り替えにより、トランスミッションの概念化および使用に関して予想だにしていなかった有利性がもたらされる。これは特に効率性、および制御装置への要求条件に関するものであり、仮に遊星歯車の遊星部の結合により同様の対称性がなされた場合には不可能である。
本発明にしたがったピックオフ歯車の典型的な例として、3つのトランスミッション構成のうち2つの遊星歯車(遊星部、太陽ホイール部、外部ホイール部)は2つの部分トランスミッションに連結されて、第3のトランスミッション要素は出力部または駆動装置として用いられて、遊星部はトランスミッション要素あるいは差動部として接続的に用いられ、2つの部分トランスミッションはそれぞれ差動部の差動要素のうちの一つと連結される。
2つの連続的に調節可能な部分トランスミッションはピックオフ歯車から離間して対向するトランスミッション要素を共有する。これはまたたとえば共有された入力シャフトまたは出力シャフトであってもよい。さらにこれは特に、2つの部分トランスミッションにより接続的に用いられる2つの連続的に調節可能なトランスミッションの直接トランスミッション要素であってもよい。このためにはたとえば円錐形の摩擦リングトランスミッションにおいて、円錐体のひとつが共有されたトランスミッション要素として適する。このタイプの構成によりかかるトランスミッションは比較的小型かつ対費用効果が高いがこれは、2つを使用することにより対応するトランスミッションの要素の全体的な数を最小限に抑えることが可能となるためである。
これに関して、「ピックオフ歯車から離間して対向する」ことが示すのはトランスミッション経路の方向であり、トランスミッションを通る力の流れにより画定され、幾何学的または空間的条件に絶対的に合致する必要がない。
数多くの連続的に調節可能なトランスミッションは主なトランスミッションレベルを有し、たとえば入力または出力シャフト、入力および出力円錐体または同様の回転する対称的な要素などの本質的なモジュールを取り込み、これによってトランスミッション面を画定する。本発明におけるトランスミッションによると、2つの部分トランスミッションの主トランスミッション面が互いに平行に配置された場合は特に設計が小型である。特に平坦な構造は特に、2つの部分トランスミッション面を同じにすることにより達成されてもよい。本発明におけるこのような態様で構成されたトランスミッションによると、設計が至極平坦であり、さらに比較的高いトルクに逆らうことができる。これらに加えてかかるトランスミッションは小型のディーゼルエンジントラックにとって適しているがこれは、取り付け手段の構築領域または装填表面に関して特に配置が良好で、また現代的なディーゼルエンジンの高トルクにおいて容易に逆回転できるからである。
さらに他の調節可能な部分トランスミッション、たとえば 特にシフトトランスミッションまたは後退用歯車は、少なくとも1つの連続的に調節可能な部分トランスミッションとピックオフ歯車との間に設けられてもよい。このタイプの構成により極めて広い駆動特性を有するトランスミッションを実現することが可能となり、特に連続的な前進駆動装置および後退駆動装置が可能となる。特にかかるトランスミッションはまた、その駆動装置の出力部がトルクなしで空転するように作動する際でもその後方部をトランスミッション自体に連結されてもよい。
本発明が従来のトランスミッションと比して全体的なトランスミッションの効率性を大幅にあげるとしても、連続的に調節可能なトランスミッションは特に、たとえば始動プロセス後または田舎道や高速道路などの比較的一定の作動状態下において比較的高い損失を示す。連続的に調節可能なトランスミッションを絶対的に必要としない作動状態下でかかる損失を避けるためには、少なくとも1つの連続的に調節可能な部分トランスミッションが架橋可能となれば有利である。このようにして比較的高損失の連続的に調節可能な部分トランスミッションはたとえば前述の作動状態において架橋可能となり、これによりかかる作動状態下で効率を高めることが可能となる。2つの連続的に調節可能な部分トランスミッションをかかる態様で使用することにより本発明の更なる特長とは関係なくとも有利となることを理解されたい。
本発明のさらなる長所、目的、および特長は、それぞれのトランスミッションの例を含む後述されて添付される説明により解説されるものである。
図1ないし図10に示されたトランスミッションは本質的に2つのトランスミッション段1、2から構成され、同期シフトトランスミッション3を介して選択的に駆動装置列内に接続される。
この場合、第1トランスミッション段1は摩擦リング7が作動し円錐体5を包む円錐体4と円錐体5との間に間隙を残すように配置された2つの対向する円錐体4、5を有する円錐形の摩擦リングトランスミッションを備える。円錐形の摩擦リングトランスミッションにトルクを伝達させるためには円錐体4は、可変性接触圧力の適用下で補強軸受9と補強軸受10との間に2つの円錐体4と5とを保持する加圧装置8を有する。
円錐体4は一方に伝達面12を有し、かつ他方には補強要素11を有し、この間には加圧装置8が有効な状態であり、加圧装置8は伝達面12に対して補強要素11を軸方向にシフトし、このため補強要素11は一方では補強軸受9に対して隣接し、また他方では摩擦リング7に対して伝達面12を加圧するが、この圧力は第2の円錐体4と補完的な補強軸受10とにより打ち消される。
詳細に見ると、加圧装置8は圧力要素の間に配置された2つのころがり要素に沿って2つのばねワッシャ13、14と2つの要素15、16とを備える。図9からまさに明らかなように、ばねワッシャ13、14と圧力要素15、16とは接触圧力部に対して直列に配置されて、トルク変化がある場合には先行技術と比して圧力要素15に移動のためのより大きな空間を与えているため、これにより、より精確かつ接触圧力の再生産が可能な設定が得られるようになった。
さらにばねワッシャ13は放射状の凹部18、19を有し(図10を参照のこと)伝達面12または圧力要素15を有するモジュール部の対応する突起部と噛合する。このようにしてばねワッシャ13は伝達面12と圧力要素15とを有するモジュール間にトルクを伝達し、このため圧力要素15は伝達面12を含むモジュールに対してトルクで負荷のかかった滑動により軽減されて、その結果として得られるトルク依存型接触圧力のより高い再現性がもたらされる。これらの典型的な実施形態において、ころがり要素17はそれぞれの圧力要素15、16の経路内を伝わるが、これらはその深さがさまざまである。これにより圧力要素の間のトルク依存距離を実現することが可能となり、ころがり要素17は、圧力要素15、16にトルクが生じて周縁方向にシフトされると、結果として得られる接触圧力の高い再現性を確実にする。前述の特長により、互いとは関係なく生じる接触力の再現性を有利に確実になすことが可能となることを理解されたい。
球部17の位置に他のころがり要素、たとえば、ころ、または圧力要素に不動的に固定した転がり要素を用いてもよいことはまた明らかである。さらにまた駆動円錐体5にかかる加圧装置を設けることは理解されよう。
しかしながら他の実施形態において、機械的な構成は圧力装置として電動式のアクチュエータに代替されてもまたよく、かかる圧力装置は計測されたトルクを基にして作動され、まさに水力発電または流体静力学的軸受ベアリングと同様にトルク依存型接触圧力を実現する。
また他方においては生じるトルクは圧力要素15、16をシフトすることによってのみ、または、伝達面12および補強要素11を含む構成要素を周縁方向に移動することによってのみ、または補強軸受9、10に軸方向の力を用いることによってのみ決定されてもよい。
連続的に調節可能な円錐形の摩擦リングトランスミッション2に関して図1ないし図10に示された例示的な実施形態はさらに駆動装置側始動連結部を含むが、これはTrilokコンバータとして実現される。この場合円錐形の摩擦リングトランスミッション1を含むトランスミッション段は、Trilokコンバータのタービンホイール22および差動トランスミッション部23を介して始動がなされている間に、シフトトランスミッション3または、駆動歯付ホイール35および同期歯付歯車を介して直接、Trilokコンバータ20のポンプホイール21に接続されてもよい。後者の差動トランスミッション部23はタービンホイール22を有する差動側部24のひとつと固く連結され、第2差動側部25はかかるトランスミッション段の出力として用いられ、歯付ホイール26を介して全体的なトランスミッションの主駆動装置シャフト28の歯付ホイール27に連結され、また他方、歯付ホイール27は円錐形の摩擦リングトランスミッション部1の出力部と噛合する。出力ピニオン33はたとえば自動車の主差動部と噛合してもよい。差動トランスミッション部23は2つの摩擦結合部30、31を含み、これらの結合部は差動トランスミッション部23の主入力部をケーシング32または出力部25に選択的に固定することもできる。すでに明らかなように、これにより出力部の回転方向を変えることが可能となり、前進歯車および後退用歯車を容易に実現することが可能となる。差動ホイールおよびタービンホイール22は結合部30、31を開いた状態で自由に回転するので、出力部の結合にもかかわらず、円錐形の摩擦リングトランスミッションを用いることが可能となる。
この構成の利点は、Trilokコンバータ20の利点を始動時または後退時に使えることである。さらに、差動部23は極めて小型の態様で前進歯車または後退用歯車を実現する。また他方、切替部3により主電源損失および過大なトルクによる、通常運転中におきるずれというTrilokコンバータ20の不都合を避けることが可能となったが、これは切替部3がタービンホイール22を短絡し、円錐形の摩擦リングトランスミッション部1がポンプホイール21を介して直接駆動されるためである。2つのトランスミッション段1および2の出力側結合によりさらに、2つのトランスミッション段1および2が入力側でさえほとんど同期される2つのトランスミッション段1と2との間の切替プロセスに先立って、円錐形の摩擦リングトランスミッション部1をトランスミッションに対して設定することが可能となった。平行トランスミッション3自体と残りの同期化を行うことは可能であり、ここでTrilokコンバータ20はまた援助することができる。
かかる例示的な実施形態においては、摩擦リング7は調節装置13(図3を参照のこと)を介してそれぞれの所望の位置に移動し保持されてもよく、円錐体4と5との間でかかる態様で所望のトランスミッション比を実現することができる。調節装置13はスピンドル14を含むが、このスピンドルとともに、往復台15はリングを2つのローラ16に配置する円錐形の軸(B、C)に並行にシフトされてもよい。この場合、往復台15は入力側に配置されるので、リング7は円錐体5の周りを回転する際に、往復台15をまず通過して、ついで円錐体5の周りを回転する前に、円錐体4と5との間の間隙に直接入る。
調節装置13は、往復台15が適切に配置される駆動装置18を有する。駆動装置18は、一方に駆動装置ホイール41を有し、また他方には駆動装置シャフト42を有するが、駆動装置シャフト42は歯付ホイール43を介して、円錐体5上で歯付ホイール装置44と噛合する。このようにして駆動装置18は円錐形の摩擦リングトランスミッションのトランスミッション経路と連結され、したがってトランスミッション経路により駆動される。
移動可能でありながらひずみにくい態様でプレートカム45がシャフト42に取り付けられているが、このカムはひずみにくい態様で連結された駆動ディスク46に、プレートカム41およびスピンドル14を有するばね47により隣接する。制御要素48を用いてプレートカムを軸方向にシフトしてもよく、このためシャフト42の回転は、可変性回転速度および回転方向をもってスピンドル14に与えられる。ばね47に結合した凸状のディスク46はさらに、プレートカム45とディスク46との間の可変性接触圧力の実現を可能にする。
かかる構成は全体的なトランスミッションを介してリング7を調節するために必要なエネルギーを利用するので、費用および別途のエネルギー源は供給される必要は全くない。低制御エネルギー類または力を必要とするのはプレートカム45を調節するためだけである。
図4には他の調節可能性97が示されているが、かかる変形もまた極めて対効果費用が高い設計である。かかる実施形態においてもまた、リング7は側部上で保持装置 98により案内されるのみである。リングは入力側に設けられたため、選択された図面において、リング7はまず、円錐体4と5との間の間隙を通過し、保持装置98から進んでついで保持装置98に再度戻ってくる前に円錐体5の周りを回転する。保持装置98はスピンドル上に99に取り付けられ、十分な遊びをもってリングに包まれるので、保持装置は円錐形の軸により形成された面から回転軸の角度位置をシフトすることが可能であり、したがって保持装置98の運動を移動させるとともに追跡して、自走させる。保持装置98の遊びの代わりとして、スピンドルとして設計されてリングを本質的にバックラッシュなしで案内する調節装置99に関して、後者には図11の図面の回転自由度が設けられてもよい。
リング7が回転軸に垂直なトルクを有するように設計されると、リング7を隣接する片100の片側のみで案内する保持装置が設けられてもよく、これにより所望するシフトに応じてトルクに反作用し、リングから離れるため、後者の回転軸は、円錐形の軸により形成された面外を別途回転して、案内装置に達するまで移動し始める。しだいに再び整合されるかまたはリングに向かうことでリングの回転軸をねじり、これにより後者はもはや追跡しなくなるまで案内装置から離れて移動し、案内装置に達するまで自身のトルク下で回転軸を再び回転させる。
後者の構成によりリング7は特に高い寛容度を有するが、このため後者は極めて独立的に移動することが可能となり、自身を安定させて、摩擦損失を最小限に抑えることが可能となる。
これらの例示的な実施形態における摩擦リング7はまた本質的にケージ部90に公知の態様で保持されてもよく、このケージには図5で示されるように調節ブリッジ91がかかり、軸92の周りを旋回する。先行技術に相対してかかる本発明の例示的な実施形態の調節ブリッジ91は ケージ部90の角度が変化する場合は自由に作動することができないが、アクチュエータ93を介してケーシング32を旋回するスピンドル94に限定的に案内される。この場合、アクチュエータ93と調節ブリッジ91との間に十分な遊びが与えられるが、これによりアクチュエータ93をシフトするとまずケージ90の角度位置が変化してこれにしたがってリング7が回転軸内に対応してシフトされ、ついでアクチュエータ93の運動を追跡する。
自己誘導してシフトするリング7の角度位置が肝要である場合もあるので ケージ部90の角度位置に対して圧縮応力をかける目的で、ばね95をケーシング32とケージ部90との間に設けることによって、調節ブリッジ91とアクチュエータ93との間の遊びが、図6に概略的に示されているようにケージ部90に好ましくない角度位置の変化をもたらさなくなる。
さらにケーシング32は、調節ブリッジ91がぶつかる端部停止部96(図7の例を参照のこと)を有し、これらの端部停止部はリング7を回転軸に関して円錐形の軸に平行に整合するように配置されて、これによりさらなる移動を防止する。これにより、リングの位置装置に不具合があった場合には、トランスミッションの全体的な破壊に対処することが可能となる。この点に関してはセンサーをまた設けて調節ブリッジ91の対応する位置を表示してもよい。
図11のトランスミッション構成はまた、摩擦リング93により有効に結合された、2つの回転し、対向し、同軸的に配置された円錐体91、92を有するが、円錐体91、92の外装表面間に残された間隙に沿ってシフトされてもよく、これにより種々のトランスミッション比が実現される。かかる構成において、駆動装置円錐体91および出力部円錐体92は双方とも同期装置94を介して主出力部シャフト95に連結されてもよく、それ自体がピニオン96を介して自動車の主差動部97と噛合する。かかる構成において、駆動円錐体91および出力部円錐体92は、回転方向における反転数が同数である場合、主出力シャフト95に連結され、これにより同期装置94は直接、回転方向における反転数を確実にすることができる。かかる構成によりモジュール数を最も少なくして、ひいては極めて対費用効果が高い態様で、前進用および後退用歯車を実現することが可能となる。回転方向における反転は、円錐体91、92のうちのひとつと、同期装置94との間で歯付ホイールまたは回転ベルトを噛合することにより選択的に達成することができるため、かかる構成により必要な際には第1歯車またはオーバードライブを用いて対費用効果が高い態様で反転を確立することが可能である。駆動装置の回転方向次第でピニオン91aまたは92aならびにホイール91bおよび92bはベルト構成または相互噛合を介して直接連結される。ピニオン96と主差動97との間に回転方向変更歯付ホイールを設けることをさらに理解されたい。
同期装置は始動位置または中央位置にあることが好ましく、これにより円錐体91、92が自由に作動可能である。この結果、摩擦リング93または他の連結要素は自動車のアイドリング状態でも調節されることが可能である。
図11に示される構成は、特に円錐形の摩擦リングトランスミッションの回転方向の反転を使用して、前進用歯車および後退用歯車を対費用効果の高い態様で提供する。この点で、回転方向を逆にする全ての他の連続的に調節可能なトランスミッションに適する。
さらに図11に示される構成は図1ないし図10にしたがった構成と同様にそれぞれの駆動装置および出力側トランスミッション要素を有しており、それらによってトルクが円錐形の摩擦リングトランスミッション91、92、93の周囲に中継されてもよい。
図12に示される駆動装置列はまた図1ないし図10にしたがった例示的な実施形態と同様に、円錐形の摩擦リングトランスミッション40の形で連続的に調節可能なトランスミッション部を有しており、パワーデバイダー41を駆動装置側に配分するとともに、パワーデバイダー42を出力側に配分する。この場合、第1歯車43はパワーデバイダー41および42を介して、円錐形の摩擦リングトランスミッション40に対して平行に連結され、後者はすでに前述されたように駆動装置側で同期化されて、選択的に摩擦連結器44、45により駆動装置45と出力部47との間の駆動装置列内に連結されてもよい。
図13に示される例示的な実施形態は駆動装置および出力部の同軸構成を図示しているが、連続トランスミッションにおいて特に円錐形の摩擦リングトランスミッションの双方の同軸出力を実現する。これにより一方では比較的低いケーシング負荷がもたらされ、また他方では小型の設計がなされるようになるが、特にかかる例示的な実施形態において、出力シャフト50は円錐形の摩擦リングトランスミッション52の駆動円錐体51を介して押下することが好ましい。この構成はまた他の連続トランスミッションタイプ、特に電子エンジンに関して好ましく、出力シャフトはまた後者においては電子エンジンのロータシャフトを貫通してもよい。
この点において例示的な実施形態のエンジン(図示せず)は駆動装置53を使って駆動円錐体51に電源を供給するが、これ自体が摩擦リング54によって出力円錐体55に影響を及ぼす。後者は有効にピニオン56によって、出力シャフト50に載置されて、出力ホイール57に連結される。
図14に図示されるトランスミッションは設計上類似しているがそのケーシング60は電子エンジンのケーシング61に配置される。ロータシャフト53はまたかかる例示的な実施形態において中空であるが、出力シャフト50はこれを貫通する。しかしながら出力ピニオン56は差動59の駆動ホイール58と噛合し、これ自体が2分割駆動シャフト[sic]50に連結される。歯付ホイールはいずれにしろこの場所に設けられなければならないため、この構成は極めて小型である。
さらにこの構成はまた遊星歯車62をモータと連続トランスミッションとの間に有し、トルクを小さくするため、連続的に調節可能なトランスミッションを過負荷にしない。
特に図12、13および14にしたがった構成に関して図15を用いて円錐形の摩擦リング80が示されており、極めて小型の後退歯車を実現しているが、かかるトランスミッション80はリング83により相互作用する2つの円錐体81および82を有する。さらに通常の円錐体領域(D)、円錐体82は反回転領域を有し、この例示的な実施形態において遊星部85の周りを作動する円錐形のリング83により転換され、ついでトランスミッションケーシング86内部に固く取り付けられ、その内部側部は円錐体82の円錐シャフト87を回転する。このようにして円錐形のリング84は、円錐体82の残りの部分と同様に反対方向に回転する。さらに円錐体82はリング部88を備える中立領域(N)を有し、これ自体は円錐形のシャフト87を自由に旋回する。
かかる構成において、摩擦リング83はまず円錐体82の主領域(D)から中立領域(N)にシフトされてもよく、円錐形のリング88は主円錐体82および摩擦リング83により設定された回転に適合されてもよい。摩擦リング83がさらに反作動領域(R)に向かってシフトされる場合は、その他方では主領域(D)から出るため、中立領域(N)の回転方向は反作動リング84の回転方向を調節することが可能である。このようにして極めて小型の後退用歯車が実現される。
かかる後退用歯車80、または逆の回転方向に公知の態様で装備された装置は特に図12で図示された例示的な実施形態において有利でありえる。これは、電源および/または速度分割器41または加算器42が適切に連結されるとともに正しいトランスミッション比が選択されている場合、出力シャフト47を円錐形の摩擦リングトランスミッション40を介して停止させ、シャフト43を回転させることができるためである。このようにして自動車における全ての駆動状態、たとえば後退、前進、および中立などがいかなる転換装置またはさらなる結合器なしで実現されるが、結合器または他の転換段は実際に、たとえば全負荷または連続運転などのさらなる運転状況のために設けられる。
同期化されたシフトトランスミッション123または円錐体結合器134を介して駆動装置列に選択的に連結された2つのトランスミッション経路101、102は図16ないし図22に図示された構成で設けられるが、これらは本質的に図1ないし図10にしたがった構成に対応しているもので、したがって説明を繰り返す必要がない。第1のトランスミッション経路101はふたたび、2つの、対向して配置された円錐体104、105を備えた円錐形の摩擦リングトランスミッションを有し、円錐体104と105との間に間隙106を有し、その中を摩擦リング107が作動して円錐体105を包み込む。円錐形の摩擦リングトランスミッションによるトルクの伝達を可能にするために、円錐体104は加圧装置108を有し、2つの円錐体104および105は可変性接触圧力の適用下で、補強軸受109と110との間で公知または前述の態様で保たれる。このために加圧装置は2つのころがり要素117と案内要素118および119を有し、プレートばね120で補強され、後述されるように、トルクの関数として拡大するとともに、対応して軸受109、110に隣接する加圧装置108の結果としてトルク依存接触圧力をかける。
図16から特に明らかなように後退用歯車は、駆動装置ホイール124を含み、これとともにトランスミッション経路102は主トランスミッション経路から分岐する。中間ホイール部130および133は制御歯車125に電源を供給し、シフトトランスミッション123をピニオン126と同期することで連結されてもよく、主差動部115の外部ホイール127と直接噛合する。全体的な構成はその設計が極めて小型であり、さらにより小型にするためには、同期シフトトランスミッションにより、駆動ホイール124を駆動シャフト121と連結可能にし、外部ホイール127と直接噛合させる。
この後退用歯車102に加えて、構成には連続トランスミッション101により実現される前進歯車が含まれる。前進歯車はピニオン129により外部ホイール127に連結され、それによって後退歯車102に連結され、連結部134を介して係合されたり釈放されたりする。直接明らかなように、部分トランスミッション経路101および102はそれぞれのトランスミッション要素が結合していない状態でも自由に回転する。
すでに上述されているように、加圧装置108は連結器134に対して作用する。運転モードは図20ないし図22を基にして最もよく追跡される。図20および図21に図示されているように、加圧装置108は伝達されたトルクの関数として拡大可能である。この場合、図20は高トルク、ひいては高い接触圧力での構成を示す一方、図21は低い接触圧力での構成を示す。トルク依存接触圧力は、保持要素119がカウンタ要素150および駆動シャフト151を介して補強軸受109と隣接するとき、本質的に発生する。出力ピニオン129はまたシャフト151に載置される。さらにシャフト151は中央決め要素153上に針軸受152により放射状に取り付けられる。出力部円錐体104は歯付ホイールワーク154(図22を参照のこと)および155により出力ピニオン129にトルクを伝達する。
加圧装置108においてはこれらのトルクは球部117をシフトさせ、このため接触圧力は、図20および図21に明らかなように、所望の態様で変動することが可能である。図20ないし図22から直接明らかなように、2つの要素119と150とは円錐形の表面156、157を介してそれぞれ互いに隣接する。(図22を参照のこと)2つの円錐形の表面156、157は、加圧装置108により封止されている有効な連結器134を最終的に形成する。連結器134を開くためには、全体的な構成は液圧線160により圧縮されうるピストン159を含むケーシング密封シリンダ158を有する。ピストン159は軸方向の軸受161および保持要素162を介して保持要素119に取り付けられる。ピストン159が圧縮されるならば、連結器134の要素150は加圧装置108を接触圧力へさらすことから解放する。これは連結器134が開くと、トルクが伝達されなくなり、したがって加圧装置108が解放されるためであるが、つまりこれは、連結器134を開くかまたは開いた状態にするために使われる圧力は極めて弱くてもよいということを意味する。前記連結器134が開いた状態にある場合は、間隙163は図22から明らかなように円錐形の面部156と157との間に残存する。ピストン159および液圧160を含む他の手段を用いて要素119を解放するとともに連結器134を開いてもよいことを理解されたい。特に、連結器134の包囲が適切である場合は、要素119を全体的なトランスミッションのケーシングに隣接するためのいかなる手段がなされてもよい。
図20ないし図22に示された構成は特に、ピストン159が同様に回転しない点で特徴づけられ、対費用効果の高い封止部を可能にする。
構成の特長は特に、連結器を閉じるためにさらなる装置を必要としないことである。さらに閉鎖力は伝達されたトルクに依存するものであり、後者とともに増加するが、これは加圧装置が対応して取り付けられるためである。
図23および図24にそれぞれ示された構成は、後退用歯車202に直列に連結された円錐形の摩擦リングトランスミッション201を含む。これらの例示的な実施形態においては、円錐形の摩擦リングトランスミッション201は構造設計の点で本質的に同様であり、それぞれが軸方向に配置された入力円錐体203および出力円錐体204を有している。これらの円錐体は軸方向に並行であるとともに互いに対向しており、2つの円錐体の間で摩擦リング205は間隙206内でシフトして、可変性トランスミッション比が摩擦リング205の位置の関数として設定されてもよい。摩擦リング205は駆動装置円錐体203をこれらの例示的な実施形態で包み込む一方、出力円錐体204は出力ピニオン207を保持する。円錐形の摩擦リングトランスミッションはまた、特定の構成にしたがって異なる設計を有することを理解されたい。
図23の例示的な実施形態において、出力ピニオン207は直接モジュール208と係合するが、このピニオンは遊星歯車210の太陽ホイール209を保持する。図24に、図示された構成はまた、出力ピニオン207により電力供給されている太陽ホイール212を有する遊星歯車211を含む。供給は、ベルト213および太陽ホイール212とともに回転するホイール214によりなされる。十分に信頼できる電源トランスミッションを永続的に確実なものにすることができる公知のベルトまたは鎖の全ての構成をベルト213として用いてもよい。
遊星歯車210と211とはそれぞれ遊星部ホイール215と216とを有し、それらは一方ではそれぞれの太陽ホイール209または212、そして他方ではそれぞれの外方端部217または218に噛合されている。
図23にしたがった実施形態において、外方ホイール217は直接、差動部220の回転フレーム219に連結されている。かかる構成においては、遊星歯車210ひいては後退用歯車202は差動部220上に直接載置されている。この結果かかる構成は、駆動部内のトランスミッション要素の数が最小限に抑えられるため、格段に設計が小型となり、かつ効率性が非常に高いものとなった。差動部220に直接配置された後退用歯車202は本発明のさらなる特長とは関係なく、その小型の設計のために有利であることを理解されたい。さらに、出力ピニオン207が直接、後退用歯車の入力ホイールと噛合されるとともに、後退用歯車の出力ホイールが直接差動部の回転フレームと連結されている構成は従来の自動車のエンジンにとって有利であるが、これは円錐形の摩擦リングトランスミッションによって生じる方向が反転するためであり、かかる構成は最小限のトランスミッション要素の数だけを必要としており、このために効率が極めて高くなるからである。
これとは逆に、図24にしたがった実施形態における外方ホイール218は出力ホイール221に連結され、後者と回転し、差動部223のフレーム222と噛合する。このことによって生じる方向の反転はベルト構成213により相殺されるが、後退用歯車は図24にしたがった例示的な実施形態において中間シャフト224上または周りに配置される。中間シャフト224の構成が、図23に提案される差動部220上の構成方向と比較して有利な点は、図24にしたがった全体的な構成が、空間的構成の点でより柔軟的に構成されうることである。このことは特に第3のモジュールが差動部と直接近接する空間状況を制限する環境において有利である。中間シャフト224上に後退用歯車を配置することは、結果として生じる方向を反転させるために本発明のさらなる特長とは関係なく特に有利であることを理解されたい。後者は、回転方向が逆である海外のエンジンに関して円錐形摩擦リングトランスミッションを使用する際に特にあてはまる。このようなケースにおいては、ベルト構成213を用いる必要はなく、ピニオン207はリム214と噛合することができる。さらに、出力円錐体204がシャフト224と直接構成されることは有利であり、このために出力ピニオン207およびベルト構成213は完全に省略される。
さらに専門家であればよく認識しているであろうが、円錐形の摩擦リングトランスミッション201からの推進力はまた、外方ホイール217および218または太陽ホイール209または212の代わりの後退用歯車の他のトランスミッション要素を介してなされてもよい。さらに後退用歯車出力は必ずしも外方ホイール217および218を介してなされる必要はない。むしろ太陽ホイールまたは他のトランスミッション要素をまたこの目的で用いてもよい。
図23および図24に示される例示的な実施形態における「前進」および「後退」状態を動作的に信頼できる態様で確実に確保するためには、それぞれの固定システムが設けられて、これによりトランスミッション要素、特に遊星部215および216が保持され、これらの例示的な実施形態において遊星部とともに回転するフレーム225または226は固く保持されていてもよい。固定システムもまた設けられて、遊星歯車210および211の2つのトランスミッション要素が互いに相対して配置可能とする。この場合、太陽ホイール209と外方ホイール217とは図19にしたがった例示的な実施形態において、互いに選択的に固定され、外方ホイール218と遊星部216の回転フレーム226とは、図20にしたがった例示的な実施形態において、互いに選択的に固定される。
結合器、主ブレーキ部、または同期部、などの可変固定システムはトランスミッション要素をケーシング上または互いに固定しあうように用いられてもよい。図示された例示的な実施形態において、3つを例として説明したが、これらは特定の要求条件に基づいていかなる問題もなく変更されてもよい。
図23にしたがった例示的な実施形態において、遊星部215のフレーム225は、ブレーキピニオン228を選択的に減速でき、遊星部215のフレーム225と噛合する、電磁ブレーキ227により固定される。したがって、プレーキは作動してこの構成で回転方向を変化させ、外方テーパ部の移動距離または速度は、最終的に停止してついで方向を変えるまで、太陽ホイール209と外方ホイール217とに相対するフレーム部225の減速と整合する。
外方ホイール217と太陽ホイール209とはブレーキによって固定されるが、これらはまた外方ホイール217と太陽ホイール209とに相対する遊星ホイール215を固定する。この状態において、遊星歯車210は極めて低損失で作動するため、この状態を前進歯車として選択するのが好ましい。前進歯車内部ではブレーキ229と対応するブレーキ部はまたフレーム225と太陽ホイール209との間および/または、たとえば外方ホイール217に設けられてもよいことは明らかである。遊星部215のフレーム225に相対する回転部のみを防止して、遊星歯車210自体を停止させて全体として回転可能とすることはまた十分である。
図24にしたがった例示的な実施形態において、同期部230との選択的な固定がなされるが、これを用いて遊星部216を保持し、選択的に外方ホイール218または、例示的な実施形態においてケーシング232に保持された固定ホイール231と相対してともに回転するフレーム226を同期するために用いてもよい。ここに生じるメカニズムは、図23にしたがった例示的な実施形態ですでに説明されたメカニズムと対応しており、フレーム226はまた、外方ホイール128のかわりに太陽ホイール212と同期されてもよいことを理解されたい。
図25で示された連続的に調節可能なトランスミッションは2つの出力円錐体302、303に沿って入力円錐体301を有し、この円錐体はそれぞれが入力円錐体301を有する出力円錐体302、303のそれぞれの周りを回転する摩擦リング304、305により連結される。円錐体301、302、303の間に存在する2つの間隙に沿って摩擦リング304、305をシフトすることによって、円錐体301および302または301および303により形成された部分的トランスミッション306および307を連続的に調節することが可能となる。
2つの部分トランスミッション306、307または2つの出力円錐体302、303は出力側から出力シャフト309にピックオフ歯車308により連結されている。図25にしたがった例示的な実施形態において、ピックオフ歯車308は外部リム311を有する遊星歯車と、遊星部ホイール312と、太陽ホイール313とを備える。外部リム311はもう一方のリム314に固く保持され、円錐体303の出力シャフト316上に配置されたピニオン315と噛合する。太陽ホイール313はまた、ホイール317に固く保持され、後者と回転するが、円錐体302の出力シャフト319上に配置されたピニオン318と噛合する。
遊星部ホイール312は出力シャフト309と連結するフレーム320にさらに取り付けられ、出力シャフト309および遊星部ホイール312とともに回転する。これにより、ピニオン315、318、または出力円錐体302、303の速度が総計されるピックオフ歯車308はトランスミッション比および摩擦リング304、305の位置にしたがって、シャフト309の全体的な速度を算出する。摩擦リング304、305が同じ位置にあり、たとえば出力円錐体302、303が同じ速度であると仮定した場合、遊星部ホイール312はフレーム320において本来の回転を行ない、外方リム311および太陽ホイール313とともに回転するのみであるようにトランスミッション比を選択することが好ましい。丁度連続運転の間にかかる態様によると損失を最小限に抑えることが可能である。連結器321もまた損失を最小限に抑えるために用いられるが、この連結器により特定の実施形態においてトランスミッションによって出力シャフト309を駆動円錐体301に直接連結することが可能であり、このために2つの部分トランスミッション306、307が特に高いとともに相対的に均一の速度で橋絡されることが可能となる。しかし、これにより連続的に調節可能なトランスミッションの持つ有利性を利用することはできなくなるばかりか、このような連続的に調節可能なトランスミッションは不必要な損失をもたらすことになる。
容易に明白なようにピックオフ歯車308は、2つの円錐体302、303を加速し、また円錐体302、303にかかるトルクのトルクスケールとして機能する。
図26にしたがった例示的な実施形態は本質的に、図25にしたがった例示的な実施形態と対応するため、同じように作動するモジュール類はまた同様の番号付けをされるとともに、同様の機能性は反復されない。図25にしたがった例示的な実施形態を拡大していくと、図26にしたがった例示的な実施形態は一方には固定連結器322を有するが、この連結器とともに遊星部ホイール312の回転フレーム320が外方リム311に固定され、また一方には固定連結器323を有し、この連結器にはフレーム320および出力シャフト309が固定型連結器ケーシング(詳細は図示せず)に固定されてもよい。第1連結器322を用いて特定の運転状態下で遊星部ホイール312のその本来の回転を停止させ、このため遊星部ホイール312による損失が避けられ、外方リム311および太陽ホイール313に対してシャフト309に沿ってケーシング320が回転する。第2連結器323を用いて遊星部ホイール312をあるべき場所に固定するが、その軸の周りで回転できることを確実にする。この構成は特にトランスミッションとの相互作用のために設けられるが、ここでトランスミッションは外方リムと太陽ホイール313とはまた、反対方向に回転可能であるかまたは実際回転するような態様で設計される。これはまたたとえば、さらに挿入された歯付ホイールまたは、部分トランスミッション306、307のうちの少なくとも1つとピックオフ歯車308との間のトランスミッション経路における別途の後退用歯車で実現される。かかる構成においてピックオフ歯車308は、2つの部分トランスミッション306、307を介して、駆動円錐体301が回転してもゼロの速度がシャフト309にもたらされる態様で作動されてもよい。かかる状態において、連結器323を用いてトランスミッションをあるべき場所に固定してもよい。かかる構成において、出力シャフト309は単に摩擦リング304、305をシフトしたりまたは部分トランスミッション306、307を調節したりすることで始動できる。
図27に示される構成はまた図25にしたがった構成と本質的に対応する。この点において、両方の構成における部分トランスミッション306、307は同じものである。ピックオフ歯車308のみが、図25にしたがった構成におけるよりも図27にしたがった構成において異なる設計を有する。このため、構成要素合致および本願明細書における運転モードのいずれの詳細な説明もなされない。
図27に示される連続的に調節可能なトランスミッションにおいて、出力シャフト309は遊星歯車の外方リム324に直接連結されてともに回転する。さらに、遊星部ホイール312は遊星部ホイール312およびホイール326と同時に回転するフレーム325上に取り付けられるが、ここでホイール326は円錐体303の出力シャフト306上のピニオン315と噛合する。これとは逆に太陽ホイール313はホイール317に連結され、図21および図22にしたがった例示的実施形態と同様に円錐体2の出力シャフト319上のピニオン318と噛合する。
図27に示されるトランスミッション308はひいてはピックオフ歯車として作用して、2つの部分トランスミッション306、307を加速したり減速したりする。
図28に示される構成はまた部分トランスミッション306、307において図25ないし図27に示された構成と対応する。基本的に歯車308の設計のみが異なっている。この場合、ピックオフ歯車308は円錐形のホイール327および328により駆動されるが、これらのホイールはそれぞれ、円錐体303および302の出力シャフト316および319に配置されている。このために、円錐形のホイール327および328は円錐形のホイール329および330と噛合するが、これらはついでそれ自体の軸の周りを回転する差動部の固定型円錐形のホイール331および332と連結される。図28にしたがったトランスミッションの出力は、歯付ホイール310を介してなされるが、このホイールは差動部の回転する円錐形ホイール333および334の軸方向の軸受と連結され、ついで差動部の円錐形のホイール331または332と噛合する。容易に明らかとなるように、かかる構成もまたピックオフ歯車を設ける。
基本的な構成において、図29にしたがった例示的な実施形態は図28にしたがった例示的な実施形態に対応し、このためピックオフ歯車308はここでもまた本質的に差動部335により形成されるが、この差動部は円錐形のホイール337を介して出力ホイール336を有する出力シャフト309を駆動する。さらに出力ホイール336は円錐形のホイール338と噛合するが、このホイールはついで駆動円錐体301を有する同期結合器339により結合されてもよく、このため部分トランスミッション306、307は双方とも必要な際には橋絡されてもよい。さらに出力円錐体302、303の出力シャフト316、319は同期結合器340および341を介して、円錐形のホイール342、343、344、345に選択的にこの配置で結合されてもよく、ついで円錐形のホイール346または347と噛合するが、これらはそれぞれ固定軸の周りを回転する差動部の円錐形のホイールに連結される。結合器340および341はこの理由で容易に部分トランスミッション306、307の回転方向を効率的に変えることを可能にするが、このために図29にしたがったトランスミッションは極めて可変性のトランスミッション挙動を有する。
図示された円錐形の摩擦リングトランスミッション306、307以外の連続的に調節可能なトランスミッションはまた本発明にしたがった連続的に調節可能なトランスミッションのための部分トランスミッションとして有利に用いられてもよいことは理解されたい。図25ないし図29から直接的に明らかなように、それぞれの円錐形の軸348、349、350により画定されて、それぞれが互いに平行に整合した部分トランスミッション306、307は、図面にある部分トランスミッション面を有する。このようにして、これらのトランスミッションはたとえば負荷面下に設けられることができるため、極めて平坦な設計がなされ、通常のトラックまたは小型トラックでの使用に特に適している。この適切性がさらに高められるのは、本発明のトランスミッションが良好な効率性をもって運転される場合であり、これは極めて高い接触圧力が2つの部分トランスミッションを使用することで避けられるためであり、2つの部分トランスミッションが現代的なディーゼルエンジンを搭載した類似のより高いトルクで使用されるためである。
図25ないし図28にしたがった例示的な実施形態に基づき既に示されるとともに、図29にしたがった例示的な実施形態を参照した例によって説明されたように、全体的なトランスミッションの特長は回転方向の選択に重大な影響を及ぼすが、これにより部分トランスミッション306、307がピックオフ歯車308に作用する。特に後退用歯車または回転方向を変えるトランスミッション部はこの点で有利である。部分トランスミッション80の関連する代替方法が図15に例として既に上記に概説されている。
力の流れは図25ないし図29で示された、トランスミッション内で反転されてもよく、このため出力要素309、310は入力要素として機能するとともに入力円錐体301は出力円錐体として機能することを理解されたい。
図1、図9、図13、図14および図19ないし図22から明らかなように、これらの中で図示されている連続的に調節可能なトランスミッションはガスケット70によりそれらの軸受に対して封止されている。(例では番号付けされるのみ)。従来技術から既に公知のように、これにより別途の流体空間が生じ、円錐体および連結要素が配置される。これらの例示的な実施形態においては、「シリコンオイル」を流体として用いることが好ましく、フェニル基は約10モル%から30モル%の粘性が250度で約200 mm2/Sであるポリジメチルシロキサンのメチル基を好ましい態様で置換する。また他方、使用については、ミネラルオイル類の温度依存性に関して物理パラメータおよび化学パラメータの温度依存の点で安定している任意の流体を使用してもよく、および/または温度依存圧力勾配または温度依存粘度勾配に関してミネラルオイル類の勾配と、シリコンオイル類の勾配との間に見出すことが可能である。
図30には例示的な流体または前述の流体の温度依存性が対数的な形態の例で示されているが、ここで白線89aはミネラルオイル類を意味するとともに白線89bはシリコンオイル類を意味している。作動状態下ではこれらの流体により間隙の形成が確実にされるが、これらの間隙は円錐体4、5;51,55;81、82、91、92、104、105、203、204、301、302、303、と、連結要素7;54、83、93、107、205、304、305、との間で形成されるがこれらは流体によって橋架される。かかる間隙の存在は、たとえば金属要素の場合は、電気圧力測定器により検知されてもよく、間隙は何度か回転して初めて、すなわち流体が配給されてから形成されることが経験上確認されており、このため適切な圧縮性および粘性は間隙寸法に関連して選択されるべきである。この場合、補強装置または加圧装置は対応する間隙を作動状態下に維持するように寸法が決められる。
異なる伝達経路で均一の面圧、ひいては円錐体4、5;51、55;81、82、91、92、104、105、203、204、301、302、303、の可変の半径を確実にするためには、両方の円錐体の伝達面12は可変軸方向の構成を与えられることが好ましい。これらの例示的な実施形態においては、異なる幅の溝部(図示せず)を用いて構成が実現されている。代替として、軸方向の可変表面粗度またはこれに類似するものを用いてもよい。
同様の態様で、摩擦リング71に基づいて図31を例にして図示された摩擦リング7の表面;54、83、93、107、205、304、305を溝部を有して設け、円錐体4、5;51、55;81、82、91、92、104、105、203、204、301、302、303と摩擦リング7;54、83、93、107、205、304、305との間の間隙に残存する流体のせん断力に影響を与えることが好ましい。摩擦リング71は2つの回転面72、73を有し、それぞれが、摩擦リング7;54に基づいて説明されたように円錐体4、5;51、55;81、82、91、92、104、105、203、204、301、302、303の表面と相互作用する。表面部72、73はここで異なる表面形状を有する。たとえば、リング71の台形網74(図31b参照のこと)は特に有利であるがこれは、この網がリング71の残材上に特によく保持されることが可能だからである。累積的にまたは代替的に、球状溝入力部(図31bおよび31c参照のこと)を設けてもよく、対向する表面での内方へのつば形成を避けることができる。このような球状溝入力部75もまた油膜または表面圧力配給の点で有利にみえる。反対に球状溝部基部(76、図31b、31cおよび31dを参照のこと)により溝基部内の負荷下での切欠効果が可能となる。本質的に正方形の網77(図31cと比較せよ)を設けてもまたよい。図31dおよび図31eに示されているように、球状断面的外方突起部79をまた用いてもよい。この場合、異なる溝部構成はまた、本発明のさらなる特長とは関係なく有利である。
このような溝部は、特定の実施形態にしたがって、円錐体および、同様または可変の態様で摩擦リング面の両方に用いられてもよい。特に溝部または網部は表面部に対して、特に軸方向にその配給を変えてもよい。このようにしてたとえば、円錐体に沿って面圧または面圧配給もまた可変されたり、適切に調節されたりしてもよく、および/または油膜厚さが適合されてもよい。特に、溝断面部はそれぞれのトランスミッション要素の接触帯からのオイル流出量を決定する。
さらに摩擦リングは球状の断面部を有し、このためヘルツ応力下の間隙の存在に関わらず、できる限り大きい接触表面が実現可能である。
図32および図33に示される円錐形の摩擦リングトランスミッションは2つの円錐形の摩擦ホイール403、404を有し、放射状に離間されるとともに、2つの平行軸401、402上に配置され互いに対向して、同じ円錐体角度を有する。円錐形の摩擦ホイール403と404との間には摩擦リング405が置かれて間隙を充填し、円錐形の摩擦ホイール403を包み込んでケージ部46に保持される。
ケージ部406は、2つの平行軸409、410を取り込む2つのクロスヘッドから構成されるフレームからなる。これらの軸409、410は軸401、402に並行に配置されると同時に摩擦性の円錐ホイール403、404の円錐角度に傾く母線に並行に配置され、それぞれが案内ローラ413を有する2つの対向する軸首412を有する調節ブリッジ411を保持する。案内ローラ413は両側で摩擦リング405と係合し、かつリングが必要とする軸方向の案内を提供する。
横桁407の中央部は垂直回転軸414を有し、その周りを全体的なケージ部406が旋回できる。このために、下方の横桁408は係合する横送り駆動装置415と、図3にしたがった調節モータまたは調節駆動部などの調節駆動部416とに連結される。
かかる例示的な実施形態および残りの説明された例示的な実施形態において、回転軸414は円錐形の摩擦ホイール403、404の回転軸により決定される平面部に存在する。軸はまたこの平面部に平行な面に載置され、または最初に説明した平面部に鋭角で交差してもよい。
ケージ部406が複数の角度で旋回すると、摩擦駆動装置は、調節ブリッジ411の軸方向のシフトを誘導し、ひいては円錐形の摩擦ホイールのトランスミッション比における変化を誘導する。このためには極めて低いエネルギー消費で十分である。
圧縮応力を導入するために横駆動装置415は、ケージ部406を圧縮応力にさらすばね417を有する。圧縮応力は、仮に調節駆動装置416に不具合が生じた際または調節駆動装置416に電源を供給する電子機器に不具合が生じた際には、ケージ部406を円錐形摩擦ホイール403、404の回転軸により決定される面に対して画定された調節角度で確実に旋回させる。充分に知られているように、この旋回によりなされる2つの円錐形の摩擦ホイール403、404の回転により摩擦リングが円錐形の表装面の周りを移動する。
ばね417は規定された角度、ひいては規定された移動速度または調節速度を確実になすように設定され、このため調節駆動装置416に関してシステム故障があった際にも駆動モータは過負荷されない。
かかる例示的な実施形態においては、調節ブリッジ411はまた、トランスミッションケーシングにばね420により保持された楔419と対応する試運転勾配418を設けられる。ばね420は、ばね417の力に対して反力を発揮し、これにより仮に調節駆動装置416または他の調節装置内の要素が故障した際には、摩擦リングを画定された安全伝達経路内に保持する。この構成またはばね417は、他の実施形態において省略されてもよい。
例示的な実施形態のばね417、420は、調節駆動装置416または円錐形の摩擦ホイール403、404の摩擦力が問題なくばねに打ち勝つことができるように選択される。
図34に示されたトランスミッションは本質的に図32および図33にしたがったトランスミッションと対応して、あらゆる詳細な説明を必要としなくする。かかるトランスミッションはまた2つの円錐形の摩擦ホイールを有し、その中の一つのみが円錐形の摩擦ホイール421として破線で示されている。かかるトランスミッションはまたケージ部422を設け、このケージ部は摩擦リング(図示せず)用の調節ブリッジ(図示せず)を保持し、回転軸423の周りを旋回する。かかる例示的な実施形態においては、回転軸423は円錐形の円錐形の摩擦ホイール421の円錐形中心点とほぼ同様の高さで配置されている。
この構成はまた調節手段を有し、安全装置とともに、調節モータまたは液圧アクチュエータまたは同様の駆動装置の形態で作動可能な調節装置を含む。この場合、安全装置は一方にばね424を有するが、このばねはトランスミッションケーシング425に保持され、いかなる原因であれ他の作動可能な調節装置に電力が供給されない場合には、円錐形の摩擦ホイール421の軸に対して鈍角でシフトするようにケージ部422に圧縮応力をかける。結果として、これによりケージ部422は通常の作動状態において圧縮応力下にある。
図32および図33に示される例示的な実施形態からの出発点において、かかる構成はばね426に取り付けられた停止部427を有する。摩擦リングが停止部427に対して作動するとき、ばね426は反力を生成し、このためケージ部422はばね424の力に反対に設定されて、摩擦リングは画定された安全伝達経路を差動する。
図35にしたがった構成は、停止部427が省略される以外は、図34にしたがった構成に本質的に対応する。このため、同様の番号はこの例示的な実施形態においてもまた用いられる。
かかる例示的な実施形態の特定な構成により、ケージ部422は一方、停止部として機能することが可能である。また他方においては、このケージ部は2つの円錐形の摩擦ホイールの回転運動により、摩擦リングを、円錐形の摩擦ホイールの回転軸により決定された平面部に載置された軸の周りで回転させるとともに、円錐形の摩擦ホイールの間の間隙に垂直に配置された摩擦リングのリング表面の適切な調節を介してトルクをかけることが判明している。トルクは明らかに、摩擦リングとそれぞれの円錐形の摩擦ホイールとの間の可変接触面およびこれらの接触面の異なる半径により生じるもので、この回転方向は円錐形の摩擦ホイールの回転方向に依存するものである。
トルクが生じる結果として、案内されない摩擦リングは2つの円錐形の摩擦ホイールの間の間隙に沿って特定の方向に移動する傾向がある。このことは特に、ケージ部または調節ブリッジを介して案内される摩擦リングにおいてあてはまるが、これはケージ部または調節ブリッジが充分にスムーズに稼動するかまたは力にさらされずに取り付けられるかの場合に限る。
摩擦リング面の特定な構成によると、このモーメントは調節経路に沿った強度により変動する。
図35に示された実施形態においては、ばね424は、ばねにかけられた力が、特定の伝達経路上で画定された速度のトルクを相殺し、ついで安全伝達経路として用いられるように選択されてもよい。摩擦リングによりかけられたトルクはかかる反対の安全伝達経路より力で優勢であるため、摩擦リングが安全伝達経路に向かって移動し、その一方ばね424によりかけられた力がもう一方の側より優勢であるため、この点においても摩擦リングは安全伝達経路に向かって移動する。図35は安全伝達経路428の例を示す。
図36は図35に概略的に示された例示的な実施形態を具体的に変換したものを示す。このケースは自動車の後部ホイール駆動装置に用いられる種類の対応するトランスミッションに関するものである。実際の円錐形の摩擦リング駆動装置429の前方には流体結合部または液圧コンバータ430が配置され、また円錐形の摩擦リングトランスミッション429の後方には遊星歯車431が配置される。出力シャフト432は駆動円錐形の摩擦ホイール433のシャフトを同時に形成し、ホイールは摩擦リング434を用いて出力円錐形の摩擦ホイール435を駆動するが、その出力シャフト436は、トランスミッション出力シャフト439上に載置される自由に回転する歯付ホイール440と噛合する。トランスミッション出力シャフト439は、シャフト432の同一平面上に整合して、自由に回転可能な態様で後者に取り込まれる。
歯付ホイール440と単一片として接合されたピニオン441は遊星歯車431の太陽ホイールを形成する。後者は遊星部歯付ホイール442と噛合するが、このホイールはトランスミッション出力シャフト439の周りを稼動することが可能な遊星部支持具443に保持されている。遊星部支持具453はフィールドスパイダー444を取り込む円筒状のショルダーを有するが、このスパイダーは遊星部歯付ホイール442と噛合し、長手方向の歯付ホイール装置445によってトランスミッション出力シャフト439に固く保持されている。
遊星歯車431にはまた層状結合器446が設けられており、トランスミッション出力シャフト439を中空のホイール444と結合することができる。最後に、ブレーキ446は遊星部支持具443の円筒形ショルダーに割り当てられている。層状結合器を作動させると結合器は前部駆動装置を始動させる。ブレーキ446が噛合すると、遊星部支持具443が保持され、たとえば後退駆動などのトランスミッション出力シャフト439の方向を変える。
図36から平易に明らかなように、駆動円錐形の摩擦ホイール433は摩擦リング434に包み込まれ、その内部表装表面は摩擦的に駆動円錐形の摩擦ホイール433の伝達面415と係合するとともに、その外部表装表面は摩擦的に出力円錐形の摩擦ホイール435の伝達面451と係合する。
2つの円錐形の摩擦ホイール433、435は示されるようにその直径が変化してもよく、これにより必要な際にはその後の出力中に1転換段に節約することができる。2つの円錐形の摩擦ホイール433、435は、換言すればその表装面のみが必要なので、重量のために中空にしてもよい。
摩擦リング434は、回転軸423の周りを点452で旋回するケージ部422に保持される。ケージ部422は2つの平行軸453を取り込み、その勾配角度は円錐形の摩擦ホイール433、435の円錐形の角度と等しい。調節ブリッジ454はこれらの軸453上に案内されるとともに、摺動摩擦リング434を取り込む。
調節ケージ部422にはケーシングに取り付けられた調節スピンドル425が設けられ、作動可能な調節装置として調節モータまたは磁石(図示せず)に連結され、ケージ部422と係合する。ばね424は調節スピンドル455から離間したケージ部422の端部に設けられている。
調節ブリッジは必ずしもブリッジとして設計される必要はないことを理解されたい。むしろ、円錐形の軸に対して並行にシフトすることができるとともに、摩擦リングを案内するそれぞれのモジュールをこの点で用いてもよい。調節ブリッジを保持する他の任意のモジュールにより代替されてもよいケージ部についても同様なことがいえる。その他の場合は、トランスミッションもまたガスケット70を有して流体空間を分離する。さらに間隙が前記円錐体433と435との間およびこの構成およびこの作動状態における摩擦リング434に設けられる。
上述されるように、ばねにより支持された停止部は用いられなくともよい。たとえば図37の例示的な実施形態に基づいて図示されるように、代わりに剛性の停止部が用いられてもよい。その他の場合は、かかる例示的な実施形態の構造的な設計は本質的に上述されたトランスミッションの設計と本質的に対応するものであり、このためこの点に関する詳細な説明を省く。この場合もまた、摩擦リング460は円錐形の摩擦ホイール461を包み込み、調節ブリッジ462および2つの軸463を有するケージ部により取り付けられるが、これらは前述の例示的な実施形態と同様に回転軸464の周りを回転してもよい。トランスミッションの作動状態および構造的設計は図1ないし図10および図32および図33、および図36に示されたトランスミッションとその他の点では本質的に同様である。図34に示された例示的な実施形態とは逆に、図37にしたがったトランスミッションはばねを支持する停止部を有しない。かかる例示的な実施形態においては、ケーシング465に設けられた固定された停止部466は安全伝達経路を画定するために用いられる。この場合、安全構成は、矢印467の方向に回転軸464を中心にしてケージにトルクをかける手段(図示せず)を有する。これは図30の例示的な実施形態に示されたばね424に対応するばねでもよく、あるいは円錐形の摩擦ホイールまたは摩擦リング460により誘導されたトルクでもよい。停止部466に達すると、トルク467が反作用するため、摩擦リング460は円錐形の軸により形成された面に対して正しい角度で整合する。仮に反モーメントがトルク467を超えた場合は、摩擦リング460がトルク467を超え、摩擦リング460はかかる安全伝達経路から出るため、反モーメントはゼロに削減され、摩擦リング460を安全伝達経路に移動させるトルク467が再び有効になる。
図38に示された構造は、図37にしたがった構造に本質的に対応するため、これにしたがって同様の参照番号が用いられる。しかしながら図38のトランスミッションは、スピンドル468により調整が可能な停止部469を有しており、これにより安全伝達経路を自由に選択することが可能となる。図39に示されるように、停止部469は、通常運転中にシフトする摩擦リング460を自由に追跡する支持具470により代替されてもよく、またこの停止部469は、安全に関する場合にのみ使用されて、摩擦リング460の調節または配置を行う。かかる支持具470はまた通常運転時における追加の保持装置として用いてもよく、特定の作動状態において摩擦リング460を所望の位置に固定する。これにより、作動的に信頼の置ける態様で一定のトランスミッション比を設定して維持することが可能となり、これはたとえば、オーバードライブ(高速)または始動プロセスにとって有利となる。
かかる停止部は、ケーシングに固く固定されても調節可能であっても、またはかかる追加の調節装置であれ保持装置であれ、本発明のさらなる特長とは関係なくとも有利であることを理解されたい。さらに、センサー、特に電気センサーが結合要素の最終位置を得るために設けられてもよい。これらセンサーは、迅速で作動的に信頼の置ける態様で、たとえばトランスミッションの故障などの特定の作動状態を得ることを可能にする。
特にかかる停止部は、摩擦リングまたは調節ブリッジの代わりにケージ部または同様の構成と相互作用することができる。特にたとえば、かかる停止部はまた他の伝達経路を画定するために用いられてもよい。さらに図38および図39にしたがった例示的な実施形態の調節ブリッジ462をスピンドル468を介して対応する停止部および支持具469および470に沿って制限的に案内することが可能である。この場合、十分な遊びがアクチュエータ469、460と調節ブリッジ462との間にそれぞれに設けられて、アクチュエータ469、470をシフトし、まずケージ部の角度位置に変化を生じさせ、その上をリング460が回転軸上に対応してシフトして、ついでアクチュエータ469、470の動きに追従する。
リング460をそれ自体の力の下に調節するための角度位置は極めて重要であるため、ケージ部463の角度位置に対する圧縮応力がばねにより、たとえば図31の構成にしたがってケーシングとケージ部との間に設けられることが好ましく、これにより調節ブリッジ463とアクチュエータ469、470との間の遊びはケージ部463の角度位置の意図しない変化をもたらすことはない。
さらに、図37の構成にしたがって、ケーシング465は端部停止部に設けられてもよく、これらの端部停止部は、リング460がまた例示的な 実施形態の回転軸に対する円錐形の軸に対して並行に整合するように配置され、このためこれ以上は移動しないようになされる。これにより、リングの位置づけ装置が故障してもトランスミッション全体の故障に対処できるようになる。この接合部において、センサーはまた調節ブリッジ462の対応する位置を表示するために設けられてもよい。
図40には設計における対費用効果が高い実施形態の他の調節方法が示されている。かかる実施形態においては、リング480は保持装置481により一方の側部に保持されるのみである。後者は入力側部に設けられるため、選択された図においてリング480は保持装置481から始まってまず円錐体82と483との間の間隙を通過し、ついで円錐体482の周りを、再び保持装置481に達するまで回転する。保持装置481はスピンドル484内部に取り付けられるとともに充分な遊びをもってリングに包み込まれるため、後者は円錐形の軸により形成された面から回転軸の角度位置にシフトすることが可能であり、これにより移動の動きがなされるとともに、おのずから保持装置481の動きに追従することができるようになる。保持装置481の遊びの代わりとして、スピンドルとして設計されてリングを本質的にバックラッシュなしで案内する調節装置484に関して、後者には図40の図面の回転自由度が設けられてもよい。
リング480が回転軸に垂直なトルクを有するように設計されると、リング480を隣接する片485の片側のみで案内する保持装置が設けられてもよく、これにより所望するシフトに応じてトルクに反作用し、リングから離れるため、後者の回転軸は、円錐形の軸により形成された面外を別途回転して、案内装置に達するまで移動し始めるが、しだいに再び整合されるかまたはリングに向かうことでリングの回転軸をねじり、これにより後者がもはや追跡しなくなるまで案内装置から離れて移動し、案内装置に達するまで自身のトルク下で回転軸を再び回転させる。
後者の構成によりリング480は特に高い寛容度を有するが、このため後者は極めて独立的に移動することが可能となり、自身を安定させて、摩擦損失を最小限に抑えることが可能となる。