JP4737815B2 - 密閉型鉛蓄電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リテーナ兼セパレータとして機能する微細ガラス繊維マット等からなるセパレータを用いた密閉型鉛蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、密閉型鉛蓄電池に用いられるセパレータとしては、硫酸電解液のリテーナとしての役目を兼ねる微細ガラス繊維を主体として抄造したガラスマットセパレータがある。
一方、密閉型鉛蓄電池は、近年、ポータブル機器、コードレス機器、コンピュータのバックアップ電源をはじめ、大形の据置用電池や、さらには電気自動車と、その用途を大きく拡大しており、これに伴って、密閉型鉛蓄電池には、高容量化とともに高率放電特性の一層の向上が求められている。このためには、密閉型鉛蓄電池は、極板を薄くして電池セル当たりの極板枚数を増やし、かつ極板間隔を狭めることが必要となり、そこで使用されるセパレータにも薄型化が求められている。
しかしながら、極板間隔を狭くし、セパレータを薄型化した場合、電解液の低比重時における樹枝状鉛による短絡(デンドライトショート)が発生し易くなる。このため、密閉型鉛蓄電池を高容量化し、高率放電特性を向上させるためには、薄型化したリテーナセパレータが耐ショート性を備えていることが必要である。
従来、このようなセパレータ内部でのデンドライトショートの発生を抑制する方法としては、次のような方法がある。
(1)抄造に用いるガラス繊維の繊維径を小さくする方法(特開昭54−22530号など)がある。この方法では、ガラスマットセパレータの孔径を小さくすることで成長するデンドライトがセパレータを貫通することを防止することができる。
(2)また、ガラスマットセパレータの厚さを使用する正極板厚さに対して一定以上の厚さにする方法(特開昭54−22530号)がある。この方法では、ガラスマットセパレータの厚さを大きくすることで、成長するデンドライトがセパレータを貫通するまでの時間を稼ぐことができる。
(3)また、セパレータに用いるガラスマットを2層とし、その中間層に合成樹脂などからなる微孔性フィルムを挟み込んでサンドイッチ構造とする方法(特開昭54−50840号など)がある。この方法では、中間層に微孔性のフィルムを設けているので、成長するデンドライトが孔径の小さいフィルム層で遮断されることから、デンドライトがセパレータを貫通するのを防止することができる。
しかしながら、これら従来のデンドライトショートを防止する方法では、次のような問題点がある。
(1)細い繊維径のガラス繊維を用いることは、材料コストのアップになる。また、この方法では、デンドライトショートの防止効果は低く、著しい効果は望めない。
(2)ガラスマットセパレータの厚さを厚くすることは、発明の目的(薄型化)に逆行する。
(3)中間層に微孔性フィルムを配した3層構造とする方法では、単体のガラスマットシートは更に1/2以下の厚さのものを抄造する必要があり、薄型化を目的とする本発明においては、これに見合う薄い厚さのガラスマットシートを抄造する現在の工業的技術レベルにおいてとても苛酷な条件を強いられることから、自ずと薄型化の追求には限界が生じてしまう。また、微孔性フィルムを配することは、セパレータの電気抵抗を高めるとともに電解液の拡散性が悪化することから、高率放電性能を低下させることにつながる。
そこで、本出願人は、特願平10−73095号(特開平11−260335号)および特願2000−92520号において、セパレータに用いるガラスマットに無機粉体を含浸付着させ、ガラスマットの空隙中に無機粉体を混在せしめることにより、セパレータの孔構造を複雑迷路化し、デンドライトの成長経路を延長化して、浸透短絡性を向上させるようにしたものを提案した。
また、特開平11−329477号には、耐酸性を有する繊維が主体で、直径が1〜30μmの孔を有する第一の層と、二酸化ケイ素(シリカ)が主体で、直径が0.01〜1μmの孔を有する第二の層とから構成された、二層一体式セパレータであって、第一層側の面を正極板に、第二層側の面を負極板に、それぞれ当接させて使用する密閉型鉛蓄電池用セパレータが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特願平10−73095号および特願2000−92520号の方法では、ガラスマットシートを無機粉体分散液に含浸する方法によるため、含浸後にシートを加熱乾燥させる必要があるが、加熱乾燥時に、シート内部の水分はシート表面に移動しながら蒸発するため、この時、シート内部にある無機粉体も同時にシート表面に運ばれてしまう(無機粉体のマイグレーション)。また、含浸法では、どうしても無機粉体がガラスマットシートの内部にまでうまく入り込みにくい。このような現象により、出来上がったセパレータは、無機粉体がセパレータの内部に少なく、表面部(表裏両面)に多く混在されたものとなってしまう。最悪の場合、表面部に集まった無機粉体が、セパレータ表面に膜を形成してしまうことも起こり得る。このようなセパレータを用いると、特に、高率放電性能において性能劣化が顕著となる。つまり、通常の放電と違い、高率放電の際には、極板とセパレータの接触面近傍に存在する電解液のみが主体に消費されるのであるが、上記構成のセパレータでは、セパレータ表面部では、無機粉体が多いため空隙率が低く、電解液保液量は少なくなるため、極板へ十分な量の電解液を供給できないのである。
一方、特開平11−329477号のセパレータでは、二酸化ケイ素主体で構成された第二層は、孔径が0.01〜1μmと著しく小さくなっているため、デンドライトショートを防止するという点では非常に有効であるものの、空隙率が低いため電解液保液量が少なくなるとともに電解液の移動も起こりにくくなることから、結果として高率放電性能を劣化させてしまう。また、特開平11−329477号のセパレータでは、耐酸性繊維主体で構成された第一層側の面を正極板に、二酸化ケイ素主体で構成された第二層側の面を負極板に、それぞれ当接させるようにしているが、電池の高率放電性能の観点からは、セパレータの電解液保液量のより高い側の面、この場合では、耐酸性繊維主体で構成されて空隙率が高い第一層側の面を、正負両極のうち電池容量が規制される側の極板に当接するのが理想的であり、電池容量が正負両極のどちら側で規制されるのかは、電池のタイプによって異なるものである。つまり、電池のタイプによって、正極側で電池容量が規制される電池もあれば、負極側で電池容量が規制される電池もあることから、負極側で電池容量が規制される電池に対して、上記のように、セパレータの電解液保液量のより高い第一層側の面を正極板に当接するようにして構成すれば、高率放電性能を向上させるどころか、逆に劣化させてしまうことになる。
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、湿式抄造して得た微細ガラス繊維主体のシートに無機粉体を分散状態で混在せしめてなるセパレータを用いた密閉型鉛蓄電池であって、極板間隔が狭い場合であってもデンドライトショートを抑制することができるとともに、高率放電時電解液を極板側へ効率的に供給することができ、結果として高率放電性能を効率的に向上させることのできる密閉型鉛蓄電池を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の点に鑑み、種々の検討を行った結果、次のような考え方を導き出すに至った。つまり、そもそも無機粉体をガラスマット中に分散、混在せしめる理由は、セパレータの孔構造を複雑迷路化して、デンドライトがセパレータを貫通することを防止することにある。この考え方からは、無機粉体は、必ずしも、セパレータの厚み方向の全体に均等に分散されている必要はなく、むしろ、厚さ方向の1箇所の部位により集中させて存在させた方が効果的であるとも言える。
また、この種の電池の場合、電池容量は、正負両極のうちいずれか一方の電極に支配(規制)されている。したがって、正負極の両方に対して、より多くの電解液を供給するように設計する必要はなく、支配(規制)される側の電極側に対してのみ、より多くの電解液を供給できるように設計すれば、結果として電池の放電性能を高めることが可能となる。
このような考え方に基づき、ガラスマットシートに混在せしめる無機粉体の分散状態を制御し、セパレータの厚さ方向の一面側を高充填密度に、また、他面側を低充填密度にと、厚さ方向に無機粉体を偏在化させるようにし、しかも、電池に組み込む際、正負両極のうち、電池容量が規制される側の極板に前記セパレータの無機粉体の低充填密度側を当接させるようにすることで、電池の高率放電性能を効率的に高めることができることを見出した。
すなわち、本発明の密閉型鉛蓄電池は、請求項1に記載の通り、湿式抄造して得た微細ガラス繊維主体のシートに無機粉体を分散状態で15〜30質量%混在せしめてなるセパレータを用いた密閉型鉛蓄電池において、前記セパレータは、前記無機粉体を、セパレータの厚さ方向の一面側から他面側に向けて漸次高充填密度となるように混在せしめたものであり、正負両極のうち、電池容量が規制される側の極板に前記セパレータの無機粉体の低充填密度側を当接させるようにしたことを特徴とする。
また、請求項2記載の密閉型鉛蓄電池は、請求項1記載の密閉型鉛蓄電池において、前記セパレータの平均孔径は、セパレータを厚さ方向の中央面で、表裏2半分に無機粉体の低充填密度側と高充填密度側に分割した場合の低充填密度側で5〜10μm、高充填密度側で3〜8μmであることを特徴とする。
また、請求項3記載の密閉型鉛蓄電池は、請求項1または2記載の密閉型鉛蓄電池において、前記セパレータは、前記無機粉体が、電気絶縁性でかつ耐酸性の無機粉体であることを特徴とする。
また、請求項4記載の密閉型鉛蓄電池は、請求項3記載の密閉型鉛蓄電池において、前記セパレータは、前記無機粉体が、シリカ、アルミナ、或いは、チタニアであることを特徴とする。
また、請求項5記載の密閉型鉛蓄電池は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のセパレータにおいて、前記セパレータは、前記無機粉体の二次粒子径が5μm以下であることを特徴とする。
また、請求項6記載の密閉型鉛蓄電池は、請求項5記載の密閉型鉛蓄電池において、前記セパレータは、前記無機粉体の二次粒子径が3μm以下であることを特徴とする。
また、請求項7記載の密閉型鉛蓄電池は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の密閉型鉛蓄電池において、前記セパレータは、前記無機粉体が、水溶性無機塩類によって前記シートの空隙内に固定化された状態で混在されていることを特徴とする。
また、請求項8記載の密閉型鉛蓄電池は、請求項7記載の密閉型鉛蓄電池において、前記セパレータは、前記水溶性無機塩類が、ショート防止剤として作用する硫酸塩であることを特徴とする。
また、請求項9記載の密閉型鉛蓄電池は、請求項7または8記載の密閉型鉛蓄電池において、前記セパレータは、前記水溶性無機塩類が、無機粉体込みでのセパレータ重量に対して0.5〜10質量%含有されていることを特徴とする。
また、請求項10記載の密閉型鉛蓄電池は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の密閉型鉛蓄電池において、前記セパレータは、前記無機粉体が、抄造後の後工程において、前記シートの一方の面に対して前記無機粉体の分散液を含浸、塗工、或いは、散布により、前記シートに混在されたことを特徴とする。
また、請求項11記載の密閉型鉛蓄電池は、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の密閉型鉛蓄電池において、前記セパレータは、前記無機粉体が、抄造後の後工程において、前記シートの一方の面に対して前記無機粉体及び前記水溶性無機塩類の分散液を含浸、塗工、或いは、散布により、前記シートに混在されたことを特徴とする。
また、請求項12記載の密閉型鉛蓄電池は、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の密閉型鉛蓄電池において、前記セパレータの厚みが1.0mm未満であることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の密閉型鉛蓄電池に使用されるセパレータは、湿式抄造して得た微細ガラス繊維主体のシートに無機粉体を分散状態で15〜30質量%混在せしめてなり、該無機粉体を、図1で示すようにセパレータ10の厚さ方向の一面側1Aから他面側1Bに向けて漸次高充填密度となるように混在せしめることが必要である。無機粉体の添加量が15質量%未満であると、セパレータに形成される孔構造が目的を達成するに十分な迷路構造が得られないため好ましくない。逆に、30質量%超えでは、セパレータの空隙率が低下し、電気抵抗を高め、電池の高率放電特性を低下させるため好ましくない。
【0006】
本発明の密閉型鉛蓄電池に使用されるセパレータの平均孔径は、セパレータを厚さ方向の中央面で、表裏2半分に無機粉体の低充填密度側と高充填密度側に分割した場合の低充填密度側で5〜10μm、高充填密度側で3〜8μmであることが好ましい。
【0007】
本発明の密閉型鉛蓄電池に使用されるセパレータに用いるガラス繊維は、平均繊維径が0.5〜4μmの含アルカリ微細ガラス繊維を単独、或いは、2種類以上混合して用いることができる。
【0008】
また、上記平均繊維径のガラス繊維からガラス繊維主体のシートを湿式抄造する場合には、ガラス繊維のみから構成してもよいが、高加圧組立時の極板を構成する格子エッジによる切れ耐性を向上させたり、U字曲げ加工部の強度を向上することを目的として、20質量%まで有機繊維を含有させてもよい。ここで用いる有機繊維は、耐酸性を有するポリオレフィン、ポリエステルまたはアクリル繊維等が利用できる。熱融着型の繊維を用いると強度特性をより向上できることからより好適である。
【0009】
また、本発明の密閉型鉛蓄電池に使用されるセパレータに用いる無機粉体は、ガラス繊維主体の抄造シートの表面および内部に形成された孔部分の、特に、厚み方向の一面側に高充填密度に分散状態で混在し、セパレータの孔構造を複雑迷路化する役割を担うものである。
【0010】
また、無機粉体は、隔離板としての機能を低下させないために、電気絶縁性および耐酸性を有していることが必要である。
これらの条件を満足する無機粉体の粒子径としては、後工程でシート内部に分散状態で混在せしめるために、少なくとも抄造シートの平均孔径よりも小さいものを用いることが必要であり、通常の条件下では二次粒子径が5μm以下であることが必要であり、より好ましくは3μm以下である。
【0011】
また、粒子径は一定の幅の範囲内で揃っていることがより好ましいが、実質的には、平均粒子径5μm以下、より好ましくは3μm以下の範囲内での粒子径のバラツキは、出来上がるセパレータの諸特性に特に影響を与えるものではなく、前記範囲内であれば粒子径がばらついたものでも十分使用に耐える。
【0012】
また、上記条件を満足する無機粉体としては、シリカ、アルミナ、チタニアなどの無機酸化物のほか、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩も使用できる。
【0013】
尚、本発明の無機粉体の役割は、セパレータの孔部分に分散状態で混在せしめることによって、セパレータの孔構造を操作することにあり、粒子径を規定して用意した粉体粒子を用いて孔を埋めることが目的であることから、用いる粉体の比重はできるだけ小さいものを用いる方が材料コスト面からは有利である。
【0014】
また、無機粉体は、水溶性無機塩類によってガラスマットシートの空隙内に固定化された状態で混在させることもできる。この場合には、無機粉体をガラス繊維に固定化して、セパレータ取扱い時の粉落ちを低減させることができるのでより好ましい。尚、水溶性無機塩類は、それ自身、電解液中に溶出することで、耐デンドライトショート性を向上させる機能を持っている。
【0015】
無機粉体(もしくは水溶性無機塩類以外の無機粉体と水溶性無機塩類)を、ガラス繊維主体の抄造シートの表面および内部に形成された孔部分に、シートの厚さ方向の一面側から他面側に向けて漸次高充填密度となるように分散状態に混在せしめるためには、抄造シートを抄造後、後工程において、無機粉体(もしくは水溶性無機塩類以外の無機粉体と水溶性無機塩類)を分散、溶解させた液を用いて、シートの一方の面に対して、含浸、塗工、或いは、散布するようにする。尚、後工程で粉体を処理する方法では、抄造時に粉体を混抄する方法のように、粉体が繊維同士の絡みを妨げたり、酸性抄造時に形成される無機バインダー効果を妨げたりするようなことがないため、高強度のシートが得られる利点がある。
【0016】
また、無機粉体(もしくは水溶性無機塩類以外の無機粉体と水溶性無機塩類)を抄造シートに混在せしめる場合、シートは、湿紙状態であっても、乾紙状態であってもよいが、工業的な面から効率を考慮すれば、抄造工程と後工程が連結された一連の設備装置の中で湿紙状態のまま抄造工程から後工程に移行するのが好ましい。
【0017】
また、水溶性無機塩類としては、従来からショート防止剤として電解液中に添加されている硫酸塩類が粉体の固定化および耐ショート性の向上効果の面から好適である。
【0018】
また、水溶性無機塩類の付着量は、無機粉体込みでのセパレータ重量に対して、0.5〜10質量%の範囲とするのが好ましい。0.5質量%未満では、無機粉体のガラス繊維への固定化効果が不十分であるため好ましくない。10質量%超えでは、セパレータが硬くなりすぎて、U字曲げ加工時に割れを生じる危険性があるため好ましくない。
【0019】
また、本発明の密閉型鉛蓄電池に使用されるセパレータを電池に組み込んで使用する際には、正負両極のうち電池容量が規制される側の極板にセパレータの無機粉体の低充填密度側を当接させる。このようにすることで、正負両極のうち電池容量が規制される側の極板に対して、より多くの電解液を供給することができ、結果として電池の放電性能を高めることができる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を図面とともに実施例に基づき詳細に説明する。
(実施例1)
図2に示すように平均繊維径1μmからなる微細ガラス繊維を湿式抄造して得られたシート1の片面1Bから平均二次粒子径1.5μmのシリカ粉体を分散させたシリカ分散液2へ含浸し、次いで該含浸面1Bから吸引脱水した後、該吸引面1B側から熱風を吹き付け、前記含浸面1B側にシリカ粉体が集中して付着した厚さ0.8mmのセパレータを得た。
【0021】
(実施例2)
平均繊維径1μmからなる微細ガラス繊維を湿式抄造して得られたシートの片面からコートロールを用いて平均二次粒子径1.5μmのシリカ粉体を分散させたシリカ粉体分散液を付着させた後、乾燥し、シリカ粉体が片面に集中して付着した厚さ0.8mmのセパレータを得た。
【0022】
(比較例1)
図3に示すように平均繊維径1μmからなる微細ガラス繊維を湿式抄造して得られたシート1の両面から平均二次粒子径1.5μmのシリカ粉体を分散させたシリカ粉体分散液2へ含浸し、次いで脱水ロールを用いて脱水した後、両面側から熱風を吹き付け、両面の表面側にシリカ粉体が集中して付着した厚さ0.8mmのセパレータを得た。
【0023】
(比較例2)
平均繊維径1μmからなる微細ガラス繊維を湿式抄造し、乾燥して厚さ0.8mmのセパレータを得た。
【0024】
次に、上記実施例1乃至2並びに比較例1乃至2で得られたそれぞれのセパレータについて、次のような試験を行った。
前記セパレータと、正極板6枚、負極板7枚を用いて極群を構成し、次いで該極群を電槽に挿入した後、比重1.15の希硫酸を注液し、次いで電槽化成を行い、5時間率容量10Ahの電池を作製した。この時の、化成時の短絡発生、初期容量、低温高率放電性能をそれぞれ観察した。その観察結果を表1に示す。
【0025】
試験方法については、以下のようにした。
[セパレータの平均孔径]
セパレータを、厚さ方向の中央面を境にして表裏2半分に分割し(それぞれA面、B面と称する)、液体ポロシメータ(コールターカウンター社製)を用いて平均孔径を測定した。
[低温高率放電性能]
放電電流60Aで終止電圧1.0Vとなるまでの時間(=高率放電容量)を計測し、比較例1の高率放電容量を100%として、各電池の容量を相対値(%)で示した。
【0026】
【表1】
Figure 0004737815
【0027】
【発明の効果】
本発明の密閉型鉛蓄電池に使用されるセパレータは、次のような効果を有する。
(1)本発明の密閉型鉛蓄電池に使用されるセパレータによれば、無機粉体を、セパレータの厚さ方向の一方の面に集中して混在せしめているので、この無機粉体の高充填密度面で効率的にデンドライトショート防止効果を発揮させることができるとともに、他方の無機粉体の低充填密度面では、高空隙率であるためにより多くの電解液を保持できる。したがって、電池に組み込む場合には、この面を、正負両極のうち電池容量が規制される側の極板に当接させるようにすれば、電池容量が規制される側の極板に対して、より多くの電解液を供給することができ、結果として電池の放電性能を効率的に高めることができる。
(2)本発明の密閉型鉛蓄電池に使用されるセパレータは、好ましくは、微細ガラス繊維主体のシートを抄造後、後工程にて無機粉体を分散した液を用いて、シートの一方の面に対して、含浸、塗工、或いは、散布処理することによって作られることから、無機粉体を抄造シートの表面および内部の孔部分に効率的に分散、混在せしめることができる。このため、セパレータの孔構造を複雑迷路化することができ、PbSO結晶がセパレータ内部を直線的に貫通することを防止することができ、デンドライトがセパレータを貫通して両極板間を連結するのに要する距離(すなわち時間)を稼ぐことができるようになるので、極板間隔が狭い電池に使用した場合であっても、デンドライトショートの発生率を低減することができ、電池の寿命延長を図ることができる。
(3)本発明の密閉型鉛蓄電池に使用されるセパレータは、好ましくは、微細ガラス繊維主体のシートを抄造後、後工程にて無機粉体を処理することによって作られることから、従来の混抄法による場合のように、ガラスマットシートの繊維の絡みを阻害することがないため、セパレータ強度を低下させることがなく、良好な電池組立性を維持することができる。
(4)無機粉体を、ショート防止剤としても作用する水溶性無機塩類と共に用いるようにすれば、無機粉体をセパレータ中に固定化できるため、セパレータ取扱い時に粉落ちがなく、作業環境の向上が図れる。また、この場合、無機粉体は水溶性無機塩類の担持体として働くため、ガラスマットセパレータに単独で硫酸塩を付着処理させた場合に比較して、多量の硫酸塩を担持させてもU字曲げ性を損なうことがない利点がある。
(5)このように、本発明の密閉型鉛蓄電池に使用されるセパレータによれば、湿式抄造して得た微細ガラス繊維主体のシートに、無機粉体を、セパレータの厚さ方向の一面側から他面側に向けて漸次高充填密度となるように混在せしめてなり、正負両極のうち電池容量が規制される側の極板に該セパレータの無機粉体の低充填密度側を当接させるようにして電池に組み込むことで、デンドライトショートを効率よく防止でき、かつ、電池の放電性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例による密閉型鉛蓄電池に使用されるセパレータの無機粉体の存在状態を説明するための説明断面図
【図2】 本発明の一実施例による密閉型鉛蓄電池に使用されるセパレータの製造方法を説明するための説明図
【図3】 比較例として記載の密閉型鉛蓄電池に使用されるセパレータの製造方法を説明するための説明図
【符号の説明】
1 シート
1A シートの一面(無機粉体の低充填密度側)
1B シートの他方の面(無機粉体の高充填密度側)
2 無機粉体分散液
10 セパレータ

Claims (12)

  1. 湿式抄造して得た微細ガラス繊維主体のシートに無機粉体を分散状態で15〜30質量%混在せしめてなるセパレータを用いた密閉型鉛蓄電池において、
    前記セパレータは、前記無機粉体を、セパレータの厚さ方向の一面側から他面側に向けて漸次高充填密度となるように混在せしめたものであり、
    正負両極のうち、電池容量が規制される側の極板に前記セパレータの無機粉体の低充填密度側を当接させるようにしたことを特徴とする密閉型鉛蓄電池。
  2. 前記セパレータの平均孔径は、セパレータを厚さ方向の中央面で、表裏2半分に無機粉体の低充填密度側と高充填密度側に分割した場合の低充填密度側で5〜10μm、高充填密度側で3〜8μmであることを特徴とする請求項1記載の密閉型鉛蓄電池。
  3. 前記セパレータは、前記無機粉体が、電気絶縁性でかつ耐酸性の無機粉体であることを特徴とする請求項1または2記載の密閉型鉛蓄電池。
  4. 前記セパレータは、前記無機粉体が、シリカ、アルミナ、或いは、チタニアであることを特徴とする請求項3記載の密閉型鉛蓄電池。
  5. 前記セパレータは、前記無機粉体の二次粒子径が5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の密閉型鉛蓄電池。
  6. 前記セパレータは、前記無機粉体の二次粒子径が3μm以下であることを特徴とする請求項5記載の密閉型鉛蓄電池。
  7. 前記セパレータは、前記無機粉体が、水溶性無機塩類によって前記シートの空隙内に固定化された状態で混在されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の密閉型鉛蓄電池。
  8. 前記セパレータは、前記水溶性無機塩類が、ショート防止剤として作用する硫酸塩であることを特徴とする請求項7記載の密閉型鉛蓄電池。
  9. 前記セパレータは、前記水溶性無機塩類が、無機粉体込みでのセパレータ重量に対して0.5〜10質量%含有されていることを特徴とする請求項7または8記載の密閉型鉛蓄電池。
  10. 前記セパレータは、前記無機粉体が、抄造後の後工程において、前記シートの一方の面に対して前記無機粉体の分散液を含浸、塗工、或いは、散布により、前記シートに混在されたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の密閉型鉛蓄電池。
  11. 前記セパレータは、前記無機粉体が、抄造後の後工程において、前記シートの一方の面に対して前記無機粉体及び前記水溶性無機塩類の分散液を含浸、塗工、或いは、散布により、前記シートに混在されたことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の密閉型鉛蓄電池。
  12. 前記セパレータの厚みが1.0mm未満であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の密閉型鉛蓄電池。
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