JP4735866B2 - マグネシウム合金部材およびその製造方法 - Google Patents

マグネシウム合金部材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、携帯用電気機器の筐体などに好適に利用することができるマグネシウム合金部材およびその製造方法に関するものである。
マグネシウムに種々の添加元素を含有したマグネシウム合金が、携帯電話やノートパソコンといった携帯用電気機器類の筐体や自動車部品などの部材の材料に利用されてきている。
マグネシウム合金は、六方晶の結晶構造(hcp構造)を有するため常温での塑性加工性に乏しいことから、上記筐体などのマグネシウム合金部材は、ダイカスト法やチクソモールド法による鋳造材が主流である。最近、ASTM規格のAZ31合金に代表される展伸用マグネシウム合金からなる板にプレス加工を施し、上記筐体を形成することが検討されている(例えば、特許文献1,2参照)。また、ASTM規格のAZ91合金からなり、プレス加工性に優れる板も検討されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2001−105029号公報 特開2002−239644号公報 特開2007−098470号公報
上記筐体は、その使用態様に応じて種々の後付け部品(例えば、ICチップを実装した基板やモニターなど)が取り付けられることが一般的であり、後付け部品の取付部を有することが望まれる。しかし、マグネシウム合金は塑性加工性に乏しいため、プレス成形では、部品の取付部のような微小形状を形成することが難しい。また、ダイキャスト法といった鋳造を利用する場合は、取付部となる部分に対応した鋳型の形状が複雑になり、微細形状の鋳型に十分に溶湯が行き渡らず、所望の取付部が形成されないことがある。その他、マグネシウム合金板に後付け部品を直接取り付けるために、例えば、合金板にネジ孔を形成することは、マグネシウム合金の塑性加工性の悪さにより実質的にできない。
また、合金板の縁部は鋭利な角となっていることがあり、損傷し易く、扱いに注意が必要であるという問題もある。
そこで、本発明の目的の一つは、後付け部品を取り付けることができる樹脂部材を備えるマグネシウム合金部材、およびその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、縁部を保護することができるマグネシウム合金部材、およびその製造方法を提供することにある。
本発明マグネシウム合金部材は、Alを5.8〜10質量%含有するマグネシウム合金の圧延板と、前記圧延板の縁部に接合される樹脂部材とを備えることを特徴とする。
ここで、縁部とは、圧延板における一方の面の輪郭線と、他方の面の輪郭線、並びに、両輪郭線間に挟まれる面を含む部分である。上記輪郭線には、圧延板の外周縁の輪郭線だけでなく、圧延板に貫通孔が形成されていれば貫通孔の輪郭線も含まれる。また、樹脂部材は、圧延板における縁部の全てに設けられている必要はなく、縁部の一部にのみ設けられていても良い。
本発明の構成とすることにより、樹脂部材がマグネシウム合金からなる圧延板の縁部に接合しており、この樹脂部材を後付け部品の取付部として利用することができる。また、本発明の構成とすることにより、樹脂部材が圧延板の縁部を保護すると共に、合金部材の取り扱い者が圧延板の鋭利な縁部で怪我をすることを防止できる。以下、本発明の構成をより詳細に説明する。
本発明マグネシウム合金部材において、樹脂部材は、縁部から圧延板の一方の面と他方の面の少なくとも一方に広がっていると、圧延板との接合面積が広くなるし、圧延板に引っ掛かるようになるので、圧延板から外れ難くなる。特に、樹脂部材は、圧延板における一方の面の一部から縁部を経て他方の面の一部に至るように配置することが好ましい。この場合、樹脂部材が圧延板に確りと係合するため、樹脂部材を後付け部品の取付部として利用するにしても、圧延板の縁部を保護することに利用するにしても、樹脂部材が圧延板から外れてしまう虞が殆どない。
<圧延板の材質>
圧延板を構成するマグネシウム合金であるAlを含有するMg−Al系合金は、耐食性が高い。Mg−Al系合金としては、例えば、ASTM規格におけるAZ系合金(Mg−Al−Zn系合金、Zn:0.2〜1.5質量%)、AM系合金(Mg−Al−Mn系合金、Mn:0.15〜0.5質量%)、AS系合金(Mg−Al−Si系合金、Si:0.6〜1.4質量%)、Mg−Al−RE(希土類元素)系合金などが挙げられる。含有されるAl量は、5.8〜10質量%であり、代表的にはAZ60、AZ80、AZ91を挙げることができる。特に、Alを8.3〜9.5質量%含有するAZ91相当材(例えば、AZ91E;8.3〜9.2質量%のAlを含有、AZ91D;Al8.5〜9.5質量%のAlを含有)は、Alの含有量が2.5〜3.5質量%のAZ31相当材と比較して、強度、塑性変形時の割れ難さといった機械的特性や、耐食性に優れる。耐食性が高いと、次段で述べる樹脂部材の材料として、極性の高い樹脂や、吸湿性の高い樹脂、酸価・アミン価の高い樹脂などを使用することができるので、用途に応じた樹脂材料の選択の幅が広がる。
<樹脂部材の材質>
樹脂部材の材質は、材質の硬度や耐食性、耐久性、耐熱性などを考慮して、本発明マグネシウム合金部材の用途に応じて適宜選択すれば良く、特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、具体例としては、ポリプロピレン樹脂や、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができる。また、樹脂部材の材料としてゴム材料、具体的には、天然ゴム、あるいはイソプレンゴムやスチレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムなどを挙げることができる。これらの材料からなる樹脂部材には、フィラーや、カラーバッチなどを配合しても良い。
<圧延板と樹脂部材との係合>
圧延板と樹脂部材の接合状態の具体例としては、例えば、圧延板の一方の面から他方の面に貫通する貫通孔を形成すると共に、この貫通孔の内面に接するように樹脂部材を設けることが挙げられる。例えば、図1(A)には、圧延板2に貫通孔2Hが形成され、この貫通孔2Hを埋めるように樹脂部材3が設けられる例が示されている。また、図1(B)に示すように、貫通孔2Hを埋めるように樹脂部材3を配置しつつ、圧延板2の一方の面2Aと他方の面2Bに沿って広がるようにすることで、圧延板2と樹脂部材3とが強固に係合されるようにしても良い。また、図1(C)に示すように、樹脂部材3が、圧延板2の貫通孔2Hから一方の面2Aと他方の面2Bを経て側縁に至るように設けても良い。
圧延板と樹脂部材の係合状態についての別の具体例としては、例えば、圧延板に、凹部及び凸部の少なくとも一方を形成し、この凹部または凸部を覆うように樹脂部材を形成することが挙げられる。例えば、図2(A)には、圧延板2の縁部を折り曲げて凸部を形成し、この凸部を覆うように樹脂部材3が形成される例が示されている。図2(A)における凸部は、圧延板2の他方の面2B側に出っ張ったL字状の部分であり、樹脂部材3は、その凸部を含め、圧延板2における一方の面2Aの一部と他方の面2Bの一部を覆うように形成されている。
更に、圧延板に形成した凹部・凸部と樹脂部材との係合例として、図2(B)に示すものも挙げられる。図2(B)には、縁部を含む圧延板2の一方の面2Aの一部と他方の面2Bの一部の表面性状を粗くし、それによって形成された凹部と凸部を覆うように樹脂部材3を係合させた例が示されている。この場合の凹部と凸部は、例えばショットブラストや切削(例えばヘアライン加工)などの物理的手段や、酸エッチングなどの化学的手段により形成される。凹部と凸部は、圧延板2における樹脂部材3で覆われる部分のみに施されるようにしても良く、その場合、ショットブラストなどの凹凸形成工程は、縁部以外の部分にマスクを施してから行えば良い。
その他、図2(C)に示すように、圧延板2の貫通孔2Hの内周面を粗面化することで凹部を形成し、この内周面を含む貫通孔2Hを埋めるように樹脂部材3を配置しても良い。もちろん、図2(C)の樹脂部材3が、圧延板2の一方の面2Aと他方の面2Bに広がるようにしても良い。
<樹脂部材の厚さ>
樹脂部材の厚さは、樹脂部材の使用目的(取付部としての利用、縁部の保護)に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。好ましくは、樹脂部材は、圧延板との接合を維持することができる強度を有する厚さとする。例えば、樹脂部材が圧延板の一方の面と他方の面に沿って広がる場合、その広がる部分の樹脂部材の厚さを0.5mm以上とすると良い。この厚さの樹脂部材であれば、上述した樹脂材料のいずれを選択しても、圧延板から容易に外れるような変形が起こらない。
<樹脂部材の形状>
樹脂部材の形状は、合金部材の用途に応じて適宜選択すれば良く、特に限定されない。例えば、圧延板の縁部において縁部の保護を目的とするのであれば、樹脂部材は角の無い丸みを持った形状とすれば良い。また、樹脂部材を後付け部品の取付部とするのであれば、樹脂部材と後付け部品とを機械的に接合することができる形状に形成すれば良い。
例えば、図3(A)に示すように、圧延板2の貫通孔に係合する樹脂部材3を設け、この樹脂部材3の圧延板2から突出する部分にネジ加工を施して雄ねじ部msを形成すれば良い。このようにすれば、樹脂部材3の雄ねじ部msと後付け部品4(この図ではナットを例示)の雌ねじ部fsとを螺合させることで、合金部材1に後付け部品4を取り付けることができる。逆に、図3(B)に示すように、圧延板2に係合させた樹脂部材3にネジ加工を施して雌ねじ部fsを形成しておけば、後付け部品4(この図ではボルトを例示)の雄ねじ部msに容易に螺合させることができる。その他、図3(C)に示すように、圧延板2に係合する樹脂部材3の端部にテーパー部tを形成し、このテーパー部tの形状に一致する嵌合凹部cを後付け部品4に形成しておいても良い。もちろん、後付け部品4にテーパー部tを、樹脂部材3に嵌合凹部cを形成しても良い。これらの構成によれば、マグネシウム合金部材1に後付け部品4を取り付けるのが容易になるし、後付け部品4が合金部材1から外れ難くなる。なお、図3(A)〜(C)の樹脂部材3は、言うまでもなく圧延板2の一方の面と他方の面に広がっていなくても、圧延板2の縁部の面に接合しているので容易には外れない。
<その他>
マグネシウム合金部材におけるマグネシウム合金の体積比率は、80〜95%であることが好ましい。つまり、マグネシウム合金部材に占める樹脂部材の体積割合は、5〜20%とすることが好ましい。樹脂部材が多すぎると、マグネシウム合金部材に要求される剛性を満たさなくなる虞がある。ここで、マグネシウム合金部材に占めるマグネシウム合金の体積比率が上記範囲にあると、合金部材の比重が小さくなり、本発明の合金部材を使用した機器の軽量化を図ることができる。体積割合を上記のように設定すると、圧延板と樹脂部材を合わせたマグネシウム合金部材の比重は、概ね1.6〜1.75になる。例えば、比重0.9のポリプロピレン(ノバテックPP−MA3(商品名;日本ポリケム株式会社製))が合金部材の20体積%を占めれば、合金部材の比重は約1.6になる(AZ91相当材の比重は約1.8)。
<本発明マグネシウム合金部材の製造方法>
マグネシウム合金の圧延板に樹脂部材を取り付けてマグネシウム合金部材を製造する方法として、圧延板に対して硬化していない樹脂を付けた後に樹脂を硬化させることでマグネシウム合金部材を製造する方法が挙げられる。例えば、圧延板に未硬化の樹脂を配置して金型で挟み込むプレス成形や、金型に圧延板を配置して金型内に未硬化の樹脂を注入するインサート成形を利用することが挙げられる。未硬化の樹脂を使用する場合、樹脂が硬化した際に圧延板の縁部に密着して接合される。
他方、圧延板と既に硬化している樹脂部材とを別個に用意し、圧延板に樹脂部材を嵌め込むことでマグネシウム合金部材を製造する方法が挙げられる。例えば、圧延板の縁部近傍の外径に一致する接合面を有する樹脂部材を圧延板に嵌め込むようにしても良い。硬化している樹脂部材を圧延板に後付けする場合、樹脂部材が圧延板から外れないように係合させるために、樹脂部材が圧延板の一方の面から縁部を経て他方の面に至るようにする必要がある。
上述した方法のうち、特にインサート成形は、樹脂部材の形状パターンに自由度を持たせることが容易であるし、量産性の面からも好ましいので、本発明のマグネシウム合金部材の製造に適する。また、インサート成形は、圧延板に対する樹脂部材の密着性を高めるという点でも優れる。以下に、本発明のマグネシウム合金部材の製造方法を説明する。
本発明のマグネシウム合金部材の製造方法は、Alを5.8〜10質量%含有するマグネシウム合金からなる圧延板を金型に配置する工程と、圧延板の縁部に樹脂部材が接合するように、樹脂をインサート成形する工程とを備えることを特徴とする。
本発明マグネシウム合金部材の製造方法の一形態として、マグネシウム合金の圧延板を双ロール鋳造法により得ても良い。双ロール鋳造法は、マグネシウム合金の急冷・凝固が可能であるため、得られる圧延板に酸化物や偏析などが生じることを低減でき、後工程において圧延板にプレス加工や曲げ加工などの塑性加工を行う際に圧延板に亀裂や割れなどの不具合が生じ難い。
また、本発明マグネシウム合金部材の製造方法の一形態として、インサート成形の前、もしくは後に、圧延板の形状を変える塑性加工を行っても良い。例えば、インサート成形の前に、上述したような樹脂部材に係合する凹部や凸部を形成するために、プレス加工や曲げ加工を行っても良い。
本発明マグネシウム合金部材は、樹脂部材がマグネシウム合金の圧延板の縁部に接合しているので、樹脂部材を後付け部品の取付部として利用することができる。また、本発明の構成とすることにより、樹脂部材が圧延板の縁部を保護すると共に、合金部材の取り扱い者が鋭利な縁部で怪我をすることを防止できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<実施形態1>
図4は、実施形態1のマグネシウム合金部材1を製造する過程を示す概略図である。図5(A)は、図4に示す一連の工程により得られたマグネシウム合金部材1の三面図である(左上は表面図、左下は裏面図、右下は側面図)。また、図5(B)は、マグネシウム合金部材1への後付け部品4の取り付け状態を示す。
まず、図4(A)に示すように、寸法が200mm×300mm×0.8mmで、AZ91相当材(Al含有量:9.0質量%、Zn含有量:1.0質量%、残部:Mg+不純物)からなるマグネシウム合金の圧延板2を用意した。圧延板2は、双ロール鋳造法により得たものであり、その内部に酸化物や偏析などの少ない塑性加工性に優れるマグネシウム合金の圧延板である。
また、図4(A)に示すように、インサート成形を行うための金型40を用意した。金型40の内部は、圧延板2を収納することができるようになっており、圧延板2の外径に相似する形状であって、圧延板2の外径よりも大きくなっている。この金型40には、金型40の内部に未硬化の樹脂を注入するための注入口41が形成されている。
次に、図4(B)に示すように、金型40内に圧延板2を配置した後、図4(C)に示すように、注入口41から樹脂を流し込む、いわゆるインサート成形を行った。使用した樹脂は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂;東レ株式会社製のトレコン1404X31)であった。
樹脂の硬化後、圧延板2と樹脂部材3とが一体となったマグネシウム合金部材1を金型40から外した(図4(D)参照)。樹脂部材3の厚さを測定したところ、圧延板2における一方の面2Aに沿っている部分の厚さは0.5mm、他方の面2Bに沿っている部分の厚さは0.5mm、圧延板2の側面に沿っている部分の厚さは1.0mmであった(図5(A)参照)。
図5(A)に示すように、実施形態1のマグネシウム合金部材1は、樹脂部材3が圧延板2の外周縁部全体について設けられており、この樹脂部材3により圧延板2の外周縁部を保護できる。一方で、樹脂部材3は、圧延板2の外周縁部よりも内側を覆っておらず、金属部材1全体を見たときに、金属質感を維持することができる。
また、得られたマグネシウム合金部材1の樹脂部材3は、その裏面側の四隅に圧延板2の厚さ方向に突出するボス部bを有している。ボス部bは、金型の形状が転写されることで形成される。そして、図5(B)に示すように、このボス部bを後付け部品4であるモニターの四隅に設けられる嵌合孔に嵌め込むだけで、合金部材1にモニターを容易に取り付けることができる。ボス部bを有する樹脂部材3は外周縁部に係合して外れることがないため、樹脂部材3に取り付けられたモニターも合金部材1に確りと取り付けられる。なお、ボス部bの形状とモニターの嵌合孔は、例えば、既に説明した図3(C)のテーパー部tと嵌合凹部cのように形成すれば良い。
さらに、本実形態におけるマグネシウム合金部材1に占める樹脂部材3の体積割合を測定したところ、10%であった。樹脂部材3の体積割合は、製造時の金型40と圧延板2との間の空間から求めることができる。そして、使用した圧延板2のマグネシウム合金の組成と、樹脂部材3の材料から、合金部材1の比重を測定したところ1.7であった。つまり、筐体を全てマグネシウム合金で形成するよりも格段に比重が小さくなっており、この金属部材1を使用した機器の軽量化を図ることができる。
<実施形態2>
図6は、実施形態2に係るマグネシウム合金部材1の製造工程を示す概略図であって、(A)は用意するマグネシウム合金製の圧延板2を示し、(B)は出来上がった合金部材1の表面図と横断面図である。
本実施形態のマグネシウム合金部材1の製造にあたり、まず、寸法が250mm×350mm×0.6mmでAZ91からなる圧延板2を準備した(図5(A)参照)。この圧延板2の中央部分には、打ち抜きにより10mm×30mmの貫通孔2Hが形成されている。
次に、圧延板2を金型に配置した後、金型内にシリコーンゴム樹脂(信越化学株式会社製のKE951V)を注入するインサート成形を実施した。この一連の工程により、図6(B)に示すようなマグネシウム合金部材1を得ることができる。この合金部材1における樹脂部材3は、圧延板2の貫通孔2Hを埋めるように設けられると共に、圧延板2の一方の面2Aと他方の面2Bに沿って広がっており、圧延板2に係合している。また、一方の面2Aと他方の面2Bに沿って広がる部分の樹脂部材3の厚さは、1mmであり、この部分の樹脂部材3は容易に変形することがなく、樹脂部材3が圧延板2から外れることがない。
なお、本実施形態においては、樹脂部材3にロゴが形成されているが、このロゴは、金型に形成される凹凸が転写されたものである。もちろん、インサート成形後に樹脂部材3に加工を施してロゴを形成しても良い。
<その他の実施形態>
その他、実施形態1、2とは異なる樹脂部材の配置状態を図7に基づいて例示する。
まず、図7(A)に示すマグネシウム合金部材1(斜視図)では、圧延板2の中央部に圧延板2を貫通する貫通孔2Hが形成されており、この貫通孔2Hの縁部を全周にわたって覆う樹脂部材3が設けられている。樹脂部材3は、圧延板2における一方の面から貫通孔2H側の縁部を経て他方の面に至ることで、圧延板2に係合している。また、樹脂部材3は、圧延板2に設けられる貫通孔2Hを埋めつくすことなく、縁部近傍のみに設けられており、合金部材1の中央部には合金部材1を厚さ方向に貫通する貫通窓20が形成されている。そして、この貫通窓20に嵌め込むことで、ICチップなどを実装した基板である後付け部品4を容易に取り付けることができるようになっている。
図7(B)に示すマグネシウム合金部材1(斜視図)では、圧延板2の中央部に圧延板2を貫通する貫通孔2Hが形成されており、この貫通孔2Hの縁部の四隅に樹脂部材3が設けられている。樹脂部材3は、圧延板2の一方の面から縁部を経て他方の面に至ることで圧延板2に係合している。この図における樹脂部材3は、後付け部品4であるモニターを取り付けるためのボス部の役割を兼ねており、合金部材1にモニターを容易に取り付けることができるようになっている。
図7(C)に示すマグネシウム合金部材1(上面図)では、圧延板2の四つの角に樹脂部材3が設けられている。樹脂部材3は、圧延板2の一方の面から縁部を介して他方の面に至り、圧延板2に係合している。この構成によれば、最も損傷し易い圧延板2の角部を保護することができる。
なお、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することが可能であり、上述した実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態を組み合わせても良い。また、マグネシウム合金の組成や樹脂部材の材料などを適宜変更することができる。
本発明マグネシウム合金部材は、携帯機器やパソコンの筐体といった、各種の部品などを取り付けることが望まれる部材に好適に利用することができる。
マグネシウム合金製の圧延板と樹脂部材との接合状態を例示する概略図である。(A)は、圧延板に形成された貫通孔に樹脂部材が嵌まり込む例を示す。(B)は、(A)に示す樹脂部材がさらに圧延板の一方の面と他方の面に広がる例を示す。(C)は、圧延板の側縁と圧延板の貫通孔にわたって樹脂部材が配置される例を示す。 マグネシウム合金製の圧延板と樹脂部材との接合状態を例示する概略図である。(A)は、圧延板の端部を折り曲げた凸部を形成した例を示す。(B)は、圧延板の表面性状を粗くし、凹凸を形成した例を示す。(C)は、圧延板の貫通孔の内面を粗くして凹凸を形成した例を示す。 樹脂部材と後付け部品との係合状態を例示する概略図である。(A)は、樹脂部材に雄ねじ部を、後付け部品に雌ねじ部を形成した例を示す。(B)は、樹脂部材に雌ねじ部を、後付け部品に雄ねじ部を形成した例を示す。(C)は、樹脂部材にテーパー部を、後付け部品に嵌合凹部を形成した例を示す。 実施形態1に係る、圧延板と樹脂部材とが一体となったマグネシウム合金部材を製造する工程を例示する概略説明図であって、その工程を(A)から(D)にかけて経時的に示す。 (A)は、マグネシウム合金部材の三面図(左上は表面図、左下は裏面図、右下は側面図)である。(B)はマグネシウム合金部材にモニター(後付け部品)を取り付ける様子を示す説明図である。 実施形態2に係るマグネシウム合金部材を製造する工程を示す概略図であって、(A)は用意した圧延板の概略図を、(B)は出来上がったマグネシウム合金部材の表面図および横断面図を示す。 その他の実施形態に係るマグネシウム合金部材であって、(A)は圧延板の中央部に形成された貫通孔の全周に樹脂部材を係合させた例を、(B)は圧延板の中央部に形成された貫通孔の四隅に樹脂部材を係合させた例を、(C)は圧延板の外周縁部の四隅に樹脂部材を係合させた例を示す。
符号の説明
1 マグネシウム合金部材
2 圧延板 2A 圧延板の一方の面 2B 圧延板の他方の面
2H 貫通孔 20 貫通窓
3 樹脂部材
4 後付け部品
40 金型 41 注入口
ms 雄ねじ部 fs 雌ねじ部
t テーパー部 c 嵌合凹部 b ボス部

Claims (8)

  1. Alを5.8〜10質量%含有するマグネシウム合金の圧延板と、
    前記圧延板の縁部に接合される樹脂部材と、
    を備え
    前記樹脂部材は、その樹脂部材に後付け部品を機械的に取り付けることができる形状に形成された係合部を有することを特徴とするマグネシウム合金部材。
  2. 前記樹脂部材は、前記圧延板における一方の面の一部から縁部を経て他方の面の一部に至ることを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金部材。
  3. 前記圧延板は、Alの含有量が8.3〜9.5質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のマグネシウム合金部材。
  4. マグネシウム合金部材におけるマグネシウム合金の体積比率が80〜95%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のマグネシウム合金部材。
  5. 前記圧延板は、その一方の面から他方の面に貫通する貫通孔を有し、
    前記樹脂部材は、前記貫通孔の内面に接するように設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマグネシウム合金部材。
  6. 前記圧延板は、凹部及び凸部の少なくとも一方を具え、
    前記樹脂部材は、前記凹部又は凸部を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のマグネシウム合金部材。
  7. Alを5.8〜10質量%含有するマグネシウム合金からなる圧延板を金型に配置する工程と、
    前記圧延板の縁部に樹脂部が接合するように、樹脂をインサート成形する工程と、を備え
    前記樹脂部材には、後付け部品を機械的に取り付けることができる形状に形成された係合部が設けられることを特徴とするマグネシウム合金部材の製造方法。
  8. 双ロール鋳造により前記圧延板を得る工程を備えることを特徴とする請求項7に記載のマグネシウム合金部材の製造方法。
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