JP4735260B2 - 三元ブロック共重合体、その製造法及び生体内適合材料 - Google Patents

三元ブロック共重合体、その製造法及び生体内適合材料 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコールから構成される親水セグメント(B)及び、デプシペプチド単独重合体又は、ラクチドとデプシペプチドとの共重合体等のデプシペプチド単位を有する重合体から構成される疎水セグメント(A及びA)からなる(A−B−A)型三元ブロック共重合体、その製造法及び組織癒着防止材等の生体内適合材料に関する。
脂肪族ポリエステル類は、自然環境中に放置された場合、気象環境や生物学的環境等によって漸次分解され、その分解物が無害であることなどから、環境保護の見地から近年多くの注目を集めている。医療分野でも、脂肪族ポリエステルは生体吸収性の材料として数多くの研究がなされてきた。代表的な脂肪族ポリエステルとしては、ポリラクチドが知られている。
ポリラクチドは、融点が173℃と高く機械的強度に優れている反面、結晶性が良いことから剛直な物性を示し(314Kpsi)柔軟性に欠け、吸水性も認められない。このため、主に骨等の医用接合材スクリューやプレート等に用途が限定されていた。そこで、これらの問題を解決するために、非特許文献1〜5等において、脂肪族ポリエステルと柔軟性を有するポリアルキレングリコールとのブロック共重合体が提案されている。しかし、ポリラクチドにポリデプシペプチドをランダム共重合させることについては検討がなされていない。
従来の研究において得られる、ポリエチレングリコール(PEG)とポリラクチドとのブロック共重合体を用いても、臨床的使用に耐えうる生体内適合材料は得られていない。充分な柔軟性と吸水性を得るためにはポリラクチドの重合度を下げる必要があり、その場合、機械的強度が維持できず用途が著しく限定される。ポリラクチドの重合度を上げると、共重合体の生体内吸収性は低下し、柔軟性と吸水性も期待できなくなり、生体内適合材料としての機能を十分に発揮できなくなる。
一方、特許文献1には、親水性の高分子であるPEG等のポリアルキレンエーテルとの共重合に分子量2000以上のPEGを第三成分として加えることが開示されている。しかし、これは柔軟剤とのブレンドでありアミノ酸との共重合については開示されていない。この例は、PEGを可塑剤としてブレンドすることが技術的ポイントであり、ポリ乳酸のみに比べて、剛直性については改善されているが、生体組織のような弾性は期待できない。更に、水中で可塑剤(PEG)が漏洩するため、生体内等での利用に限界がある。
特許文献2には、PEGと脂肪族ポリエステルポリカプロラクトンの(A−B−A)型三元ブロック共重合体が生体内で分解可能で、注射可能な薬物運搬用ポリマーとして開示されている。しかし、この溶液は、水中で分散する溶液であり機械的な強度はそもそも期待できない。また、疎水性セグメントとしてのポリラクチド、ポリグルタミン酸及びポリアスパラギン酸との共重合体については開示されていない。
また、特許文献3には、アミド結合を有するポリ乳酸ブロック共重合体が開示されている。しかし、この共重合体は、その分子構造から生体内適合性材料として十分な吸収性及び柔軟性は期待できない。
ところで、非特許文献6及び7等において、デプシペプチドとラクチドとの共重合についての報告がされている。しかし、これらは、ラクチドに官能基を導入することが目的であり、吸水性や柔軟性についてそれ自体に満足できる効果は期待できない。そして、ラクチド及びデプシペプチドのランダム共重合体とPEGとの三元ブロック共重合体、又はPEGとデプシペプチドとの(A−B−A)型ブロック共重合体については知られていない。
一方、特許文献4〜6等には、PEGとポリラクチドとのブロック共重合体が逆熱的温度感受性を示すこと、及び薬剤徐放製剤等への各種応用が開示されている。しかし、これらの共重合体を構成するPEGは分子量が500〜10000であって、ゲルの力学的強度と保水性を同時に満たすことが困難である。またポリラクチドの組成比を高めて充分なゲルの強度を達成した場合は、ポリラクチドの結晶性により生分解性が低下するなどの問題があるため、生体内適合材料として使用することができない。
特開平8−199052号公報 特開平8−176016号公報 特開平11−302374号公報 特表2002−533377号公報 特表2002−519333号公報 特表2002−516910号公報 Y.kimura,et al.,Polymer 30,p1342(1989) X.M.Deng,et al.,J.Polym.Sci.Polym.Lett.,28,p411(1990) K.J.Zhu,et al.,J.Appl.Polym.Sci.,39,p1(1990) H.R.Kricheldorf,et al.,Makromol.Chem.,194,p463(1993) S.M.Li,et al.,Macromolecules,29,p57(1996) T.Ouchi,et al.,J.Polym.part A:Poly.Chem.,35,p377−383(1997) G.John,et al.,J.Polym.Sci.:Part A:Polym.Chem.,35,p1901−1907(1997)
本発明の目的は、医療等の分野でより充分な物性を保持しながら、多目的に用いられる、柔軟性、吸水性に優れた材料等に使用可能な、また、所望により生体内吸収性をも示す新規な(A−B−A)型三元ブロック共重合体及びその製造法を提供することにある。
本発明の別の目的は、医療等の分野で多目的に用いられ、柔軟性があり、組織癒着防止能に優れ、更に必要により生体内吸収性をも示す、組織癒着防止材等として有用な生体内適合材料を提供することにある。
本発明によれば、デプシペプチド単位を有する重合体から構成されるセグメントA1及びセグメントA2と、ポリエチレングリコールから構成されるセグメントBとからなり、数平均分子量が8000〜500000である、式(1)で示される(A1−B−A2)型三元ブロック共重合体が提供される。
Figure 0004735260
(式中Rは水素原子、CH3-、CH3CH2-、(CH3)2CH-、(CH3)2CHCH2-、CH3CH2CH(CH3)-、C6H5CH2-、C6H5CH2O(C=O)CH2-、C6H5CH2O(C=O)CH2CH2-、C6H5CH2O(C=O)NH(CH2)4-、C6H5(C=O)OCH2-、C6H5(C=O)OC(CH3)H-、CH3O-C6H4-CH-SCH2-又はCH3(CH2)t-1-S-SCH2-を示す(ここで、tは正の整数を示す)。x及びyは、A1セグメント又はA2セグメント中の繰返し単位数であって、xは0以上の整数、yは1以上の整数で、且つx及びyは、0.04≦(y/(x+y))≦1を充足する。m及びnは重合度を示し、mは正の整数、nは100〜1200の整数を示す。)
更に本発明によれば、重合度100〜1200のポリエチレングリコールの両末端の水酸基に、デプシペプチドとラクチドとを、開環重合用金属系触媒存在下に無溶媒で開環重合させる前記三元ブロック共重合体の製造法が提供される。
更にまた本発明によれば、前記(A1−B−A2)型三元ブロック共重合体を主成分とする組織癒着防止材等の生体内適合材料が提供される。
本発明の三元ブロック共重合体は、特定のデプシペプチド単位を有する重合体から構成されるセグメントA1及びセグメントA2 と、ポリエチレングリコールから構成されるセグメントBとからなる特定の数平均分子量を有する(A1−B−A2)型の共重合体であるので、医療等の分野でより充分な物性を保持しながら、多目的に用いられる、柔軟性、吸水性に優れた材料に使用可能であり、また、セグメントの種類や分子量制御等により容易に生体内吸収性を示す共重合体とすることができる。
また本発明の前記三元ブロック共重合体を用いた生体内適合材料は、柔軟性や組織癒着防止能等に優れ、更に必要により生体内吸収性をも示すので、特に組織癒着防止材等として有用である他、広範囲における医療分野での使用に好適である。
図1は、実施例1−1において合成した三元ブロック共重合体のH−NMRスペクトラムを示す図である。 図2は、実施例1−1において合成した三元ブロック共重合体のGPCスペクトラムを示す図である。 図3は、実施例2−1及び参考例2−1において調製した三元ブロック共重合体フィルムの含水率の経時的変化を示すグラフである。 図4は、実施例2−3及び実施例2−4で調製した乾燥フィルムの引張試験の結果を示すグラフである。 図5は、実施例2−3及び実施例2−4で調製した湿潤フィルムの引張試験の結果を示すグラフである。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のブロック共重合体は、(A1−B−A2)型三元ブロック共重合体であって、セグメントBがポリエチレングリコールから構成され、セグメントA1及びA2特定のデプシペプチド単位を有する重合体から構成される。ここで、セグメントA1及びA2は、組成及び分子量等が同一又は異なっていても良い。
前記セグメントBを構成するポリエチレングリコールとしては、市販のものが使用でき、例えば、両末端に水酸基を備えるジオールタイプのポリエチレンエーテル等が挙げられる。好ましくは親水性が高い理由から、数平均分子量5000〜50000のPEG、更に好ましくは数平均分子量8000〜40000、特に好ましくは数平均分子量10000〜40000のPEG等が挙げられる。
前記セグメントA1及びA2において、デプシペプチドは、アミノ酸とα−ヒドロキシ酸が分子内環状自己エステルを形成している化合物である。デプシペプチドは、例えば、大内らの方法(Synthesis and Enzymatic Hydrolysis of Polydepsipeptides with Functionalized Pendant Groups Macromol Chem.Phys.,197,1823−1833(1996).)により合成できる。
デプシペプチドとして、例えば、グコール酸とアミノ酸(R-CH(NH2)COOH)とのシクロ(グリコール酸−アミノ酸)の環状エステルが挙げられる。ここで、Rとしては、水素原子、CH3-、CH3CH2-、(CH3)2CH-、(CH3)2CHCH2-、CH3CH2CH(CH3)-、C6H5CH2-、C6H5CH2O(C=O)CH2-、C6H5CH2O(C=O)CH2CH2-、C6H5CH2O(C=O)NH(CH2)4-、C6H5(C=O)OCH2-、C6H5(C=O)OC(CH3)H-、CH3O-C6H4-CH-SCH2-又はCH3(CH2)t-1-S-SCH2-等が挙げられる。ここで、tは正の整数を示す。
シクロ(グリコール酸−アミノ酸)の環状エステルとしては、例えば、シクロ(グリコール酸-L-アラニン)(R=CH3-)、シクロ(グリコール酸-グリシン)(R=H)、シクロ(グリコール酸-L-ロイシン)(R=(CH3)2CHCH2-)、シクロ(グリコール酸-L-イソロイシン)(R=CH3CH2CH(CH3)-)、シクロ(グリコール酸-L-バリン)(R=(CH3)2CH-)、シクロ(グリコール酸-L-フェニルアラニン)(R=C6H5CH2-)、シクロ(グリコール酸-L-アスパラギン酸ベンジルエステル(R=C6H5CH2O(C=O)CH2-)、シクロ(グリコール酸-L-グルタミン酸ベンジルエステル)(R=C6H5CH2O(C=O)CH2CH2-)、シクロ(グリコール酸-L-リジンベンジルオキシカルボニルエステル)(R=C6H5CH2O(C=O)NH(CH2)4-)、シクロ(グリコール酸-L-スレオニンフェニルカルボニルエステル)(R=C6H5(C=O)OC(CH3)H-)、シクロ(グリコール酸−メトキシベンジル-S-システイン)(R=CH3O-C6H4-CH-SCH2-)、シクロ(グリコール酸-アルキルジスルフィド-システイン)(R=CH3(CH2)t-1-S-SCH2-)が合成の点で入手し易いので好ましい。
前記セグメントA1及びA2を構成することができるラクチド及びデプシペプチドのランダム共重合体の重合成分としてのラクチドは、α-ヒドロキシ酸を2分子脱水して生じる分子内環状ジエステル化合物であり、例えば、乳酸の分子内環状ジエステルであるD-ラクチド、L-ラクチド、D,L-ラクチド、グリコール酸の分子内環状ジエステルであるグリコリドが挙げられる。これらのラクチドは、三元ブロック共重合体が自己組織化した際の物理的架橋点を提供するが、これらのラクチドの結晶性が異なることから、これらを単独又は複数組み合わせることによって、加水分解性や機械強度が制御可能である。従って、三元ブロック共重合体の生体内での構造的及び生物学的安定性を、使用目的に合致させることができる。ラクチドとして好ましくは入手性等の点からL-ラクチドが挙げられる
本発明の三元ブロック共重合体は、後述するように、例えば、セグメントBであるPEG等のポリアルキレングリコールの両末端の水酸基に、セグメントA及びAの構成単位となるデプシペプチドを、若しくはデプシペプチドとラクチドとを、開環重合用金属系触媒存在下に無溶媒で開環重合させることにより合成することができる。
本発明の三元ブロック共重合体の分子量は、原料とするPEG等のポリアルキレングリコールの分子量、ラクチド及びデプシペプチドの反応仕込み量、触媒の種類や反応時間等により容易に設計でき、その数平均分子量は、8000〜500000、好ましくは12000〜30000である。該分子量が8000未満では医療分野で期待すべき特性が発現しにくく、500000を超えると共重合体が高粘度となり製造時の取り扱いが困難となる。
本発明の三元ブロック共重合体は、前記式(1)で表される(A−B−A)型三元ブロック共重合体であることが、柔軟性、吸水性等の充分な諸特性を発揮できる点から好ましい。
式(1)において、Rは水素原子、CH−、CHCH−、(CHCH−、(CHCHCH−、CHCHCH(CH)−、CCH−、CCHO(C=O)CH−、CCHO(C=O)CHCH−、CH65CHO(C=O)NH(CH−、C(C=O)OCH−、C(C=O)OC(CH)H−、CHO−C−CH−SCH−又はCH(CHt−1S−SCH−を示す。ここで、tは正の整数を示す。好ましくは1〜20の整数である。x及びyは、前記Aセグメント又はAセグメント中の繰返し単位数である。xはラクチドの繰返し単位であり、0以上の数を示し、yはデプシペプチドの繰返し単位であり、1以上の数を示し、且つx及びyは、0.04≦(y/(x+y))≦1を充足する。(y/(x+y))の下限値は通常0.05、特に0.1が好ましく、その上限値は0.2が好ましい。特に、後述する生体適合材料として、生体内吸収性を有する組織癒着防止材等に用いる場合には、0.04≦(y/(x+y))≦0.2が好ましい。
mはAセグメント又はAセグメントの重合度であって1以上の整数を示し、nは前記セグメントBの重合度であって100〜1200の整数を示す。また、[ ]内の結合は、ランダム又はブロックのいずれでも良い。また、後述する生体適合材料として、生体内吸収性を有する組織癒着防止材等に用いる場合には、前記nが250〜455であることが好ましい。
前記式(1)中のm、n、x、yの範囲は、より好ましくは、nが200〜1100であり、且つmx+my=5〜80を充足する範囲である。
式中Rは、デプシペプチドのアミノ酸に由来する基であり、上述のデプシペプチドのアミノ酸のRとして例示した具体例が挙げられる。
中でも、得られる重合体の柔軟性を向上させ、セグメントA及びA中のラクチドの結晶性を低下させる目的からのRとしては、CH−、CHCH−、(CHCH−、(CHCHCH−、CHCHCH(CH)−で示される有機基が好ましく選択できる。更に、結晶性をより低下させるために、立体的な効果からのRとしては、(CHCH−、(CHCHCH−で示される有機基が好ましく選択できる。また、反応性の官能基を導入する目的からのRとしては、CCHO(C=O)CH−、CCHO(C=O)CHCH−、CCHO(C=O)NH(CH−、C(C=O)OCH−、C(C=O)OC(CH)H−、CHO−C−CH−SCH−、CH(CHt−1S−SCH−で示される有機基が好ましく選択できる。特に、CHO−C−CH−SCH−又はCH(CHt−1S−SCH−は、酸化還元反応により遊離のチオール基が得られ、隣接するチオール基を有する共重合体間或いはマレイミド型架橋試薬等を用いることで容易に架橋体が得られる点で好ましい。
本発明の三元ブロック共重合体の製造は、例えば、セグメントBとなる重合度100〜1200のポリエチレングリコールの両末端の水酸基に、セグメントA1及びA2の構成単位となるデプシペプチド単独、若しくはデプシペプチドとラクチドとを、開環重合用金属系触媒存在下に無溶媒で開環重合させる本発明の製造法により合成することができる。具体的には、式(2)で示されるスキームに従って、ポリ[ラクチド−r−(グリコール酸−アミノ酸)]−PEG−ポリ[ラクチド−r−(グリコール酸−アミノ酸)]の三元ブロック共重合体を製造することができる。ここで、−r−はランダム重合を示す記号である。
Figure 0004735260
この際、セグメントA及びAにおける繰り返し単位中のデプシペプチド単位とラクチド単位の割合は、開環重合時におけるデプシペプチドとラクチドとの仕込み比率により調整することができる。
前記製造法に用いる開環重合用金属系触媒は特に限定されず、一般に環状エステル類の開環重合用金属系触媒として用いられるものであれば良く、例えば、スズ、亜鉛、鉛、チタン、ビスマス、ジルコニウム、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム等の金属及び、その誘導体、例えば、2−エチルヘキサン酸スズを用いることができる。更にこれらの中でも、分子量制御等が容易な点から、スズ化合物の使用が好ましい。
前記製造法において、前記開環重合させる際の反応温度は、通常90〜180℃、好ましくは100〜160℃である。また、反応時間は通常1〜50時間、好ましくは4〜36時間である。
前記製造法においては、ポリエチレングリコール、デプシペプチド、ラクチド、開環重合用金属系触媒は、同一系内において、例えば、既知の反応容器内に適当量混在させ、所定の反応温度とすることにより、無溶媒で反応させることができる。
前記ポリエチレングリコール、デプシペプチド、ラクチド、開環重合用金属系触媒の好ましい仕込み量は、数平均分子量が8000〜500000である三元ブロック共重合体を製造する為には、例えば、PEG1gに対してデプシペプチド2mg〜20g、好ましくは2mg〜5g、ラクチド0〜25g、好ましくは0〜5g、開環重合用金属系触媒0.5〜5mgであり、特に数平均分子量が12000〜30000である三元ブロック共重合体を製造する為には、PEG1gに対して、デプシペプチド40mg〜10g、好ましくは0.02〜10g、ラクチド0〜10g、好ましくは0.2〜1g、開環重合用金属系触媒1〜3mgである。このような好ましい仕込み量とすることにより得られる材料の強度と生体内吸収性を良好に両立させることができる。
本発明の製造法により得られる三元ブロック共重合体は、好ましくは再結晶等の方法により精製して用いることができ、用途により、シート状、繊維状、フィルム状等の好ましい形状に加工して用いることができる。例えば、吸水性材料等に加工して用いることができる。
本発明の生体内適合材料は、上述の本発明の三元ブロック共重合体を主成分とす。例えば、前記製造法で得られた三元ブロック共重合体を再結晶等により精製し、公知の方法により製膜、紡糸、粉体化することにより、本発明の生体内適合材料として用いることができる。
本発明の生体内適合材料に用いる三元ブロック共重合体は、分子内に結晶性が低いセグメントBと疎水性のセグメントA及びAを有するので、該セグメントA及びAが分子間でハイドロフォービックな作用点を形成し、エラストマー的な柔軟性と機械強度を有する物理特性を発揮する。そのため、本発明の生体内適合材料は、生体内に適用した場合、迅速に保水し生体適合性の良好なハイドロゲルを形成する。
更に本発明の生体内適合材料に用いる前記式(1)で示される三元ブロック共重合体は、生体内でセグメントA及びAが加水分解あるいは酵素分解を受けることにより低分子量となり、体液に溶解し吸収される特性を持つ。即ち、本発明の生体内適合材料は、外科処置等で再び摘出する必要がなく、患者への負担を著しく軽減できる。
本発明の生体内適合材料は、動物細胞や器官培養等の研究用基材、消化器外科、整形外科、形成外科、歯科及び産婦人科領域で用いられる組織癒着防止材、インプラント、縫合糸、人工血管や人工硬膜等の生体内適合材料として利用できる。特に組織癒着防止材として好適である。
本発明の生体内適合材料を組織癒着防止材として用いる場合には、例えば、前記三元ブロック共重合体を単独で、もしくは天然由来のポリマー又は合成ポリマーとのブレンド物を生体内適合材料として用いることで、臨床的要求に合致したハンドリング性能及び生体内での吸収速度を有する組織癒着防止材を実現することができる。
前記ブレンド物は、三元ブロック共重合体と、ブレンドしたい天然由来のポリマー又は合成ポリマーと混和可能な共通溶媒で溶解混合後、溶媒を除去するか、三元ブロック共重合体の融点以上で加温しながら撹拌練和する方法等により行なうことができる。
前記天然由来のポリマーとしては、例えば、ヒアルロナン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カルシウムアルギネート、キトサンやそれらの誘導体が挙げられる。また前記合成ポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリカプロラクトンが挙げられる。
本発明の組織癒着防止材は、上述の生体適合性材料を、薄膜状、シート状、フィルム状、布状等に加工、或いはハイドロゲル膜にすることにより得ることができる。
本発明の組織癒着防止材に用いる前記三元ブロック共重合体は、上述の本発明の三元ブロック共重合体であれば、いずれであっても好ましく用いられるが、セグメントBのポリエチレングリコールが数平均分子量8000〜50000である三元ブロック共重合体の使用が好ましい。この際、PEGの数平均分子量が8000未満では、充分な強度が期待できず、50000を著しく上回ると生体内からの***が期待できない場合がある。
本発明の組織癒着防止材は、外科的手術に際して体内患部表面に適用した場合、速やかな吸水性と、ゲル化後の軟組織に対する良好な追従性が得られ、埋入部周囲への物理的な刺激が少なく、生体に対する良好な適合性が得られるので、理想的な組織癒着防止材としての使用が期待できる。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。また、例中の分析方法、試験方法及び条件等を以下に示す。
H−NMR測定法>
機種:日本電子(株)社製、JNM EX−270(JEOL)、溶媒:CDCl、測定温度:25℃、内部標準:CHCl
<GPCによる分子量測定>
機種:東ソー(株)製、システムSC−8020、カラム:TSKgel G3000Hhr−G4000Hhr、溶離液:DMF、流速:0.8ml/min,検出:RI、標準物質:PEG。
<屈曲試験法>
得られたフィルムの柔軟性を確認するため、乾燥状態でフィルムを屈曲させ、破損せずに屈曲が可能かどうか、触診にて判定した。
<生体内吸収性試験法>
生体内での材料の吸収性の評価は、まず、予めネンブタールで麻酔した8週齡の雌性ddyマウス埋入背部皮下にポケットを作成した。次いで、被験物質からなるフィルムを直径1cmの円形に裁断し、上記ポケット深部に挿入した。挿入に用いた切開創部を動物用医療用ステープラで縫合した。このような被験材料が埋入されたマウスを、術後自由摂水と摂食を許して飼育した。3日ごとに3匹ずつ屠殺して皮下を観察し、目視にて残存する材料の有無を確認した。
<癒着防止試験法>
癒着防止能の評価は、まず、7週齢の雌性Wistarラット1群4匹をネンブタール麻酔下に下腹部を剃毛消毒後、約2cm正中切開した。左右の子宮管を露出させ、子宮周囲脂肪織を切除後、ヨードチンキを含浸した脱脂綿で10回擦過した。空気中で左右の子宮管を3分暴露し、表面を風乾した。被験物質からなるフィルムを一辺が約2cmとなるよう裁断し、子宮管擦過創部に貼付被覆後、腹腔内に戻して腹膜、外皮を縫合閉腹した。術後15日目に再開腹し、子宮表面と周囲組織との癒着の程度を評価した。
評価は、癒着なしを0点、子宮管表面の癒着を剥灘した際に出血を伴わない場合を1点、出血を伴う軽度の癒着を2点、出血と炎症を伴う重度の癒着を3点と判定し、その点数の平均値をもって行った。
また、癒着防止試験と平行して、被験物質を用いない以外は、癒着防止試験と同様の手順で手術を行う試験を実施、評価し、試験の妥当性を判断するためのコントロール試験とした。
<引張試験>
得られたフィルムを、そのまま或いは蒸留水に30分間浸漬後、膜を測定し、更に長さ20mm、幅2mmに裁断した。それぞれを商品名レオメータ RE3305(YAMADEN社製)を用いて引張試験に供し、応力−歪み曲線及び最大伸張(%)を測定した。
実施例1−1
乾燥不活性ガス雰囲気下、両末端に水酸基を有する、予め凍結乾燥した数平均分子量11000のPEG1g,L−ラクチド0.580g及びデプシペプチドとしてのシクロ(グリコール酸−ロイシン)0.076gを重合管に入れ、少量のTHFに溶解した2−エチルヘキサン酸スズ(II)1.8mgを加えた。脱気、不活性ガス置換、脱気を3回繰返した。
THFを完全に除去後、150℃油浴中で2分間、115℃油浴中で24時間反応を行った。反応物をクロロホルムに溶解後、水冷したジエチルエーテルに滴下し、白色の固形物を沈析させた。固形分を吸引ろ過後、クロロホルムに溶解し、ジエチルエーテルから晶析操作を繰り返した。減圧乾燥後にポリ[ラクチド−r−(グリコール酸−アミノ酸)]−PEG−ポリ[ラクチド−r−(グリコール酸−アミノ酸)](ここで、−r−はランダム重合を示す記号である)構造の(A−B−A)型三元ブロック共重合体を得た。
得られた共重合体のH−NMR及びGPCを測定した。図1にH−NMRの測定結果及び図2にGPCの分析結果をそれぞれ示す。
H−NMRの測定結果より、δ(ppm)=0.96(d,C CHC ),1.58(d,CHC ),1.67(m,CH),
1.75(m,CHC ),3.66(s,−OC O−),4.29(t,−OCH OCO−),4.35(m,C(CH)OH),4.6(m,CNH),4.71(m,−OC CO−),5.15(q,CCH)が帰属された。ポリラクチドのメチン基プロトン(5.15ppm)とデプシペプチドのメチル基プロトン(0.98ppm)との積分比からデプシペプチドの導入率z(%)を算出した。ポリラクチドのメチン基プロトン(5.15ppm)と末端メチン基のプロトン(4.35ppm)との積分比から、ラクチドとPEGのモル比を算出した。更に上記デプシペプチド導入率z(前記式(1)中の(y/(x+y))に相当)からデプシペプチドとラクチドとのモル比が算出されることから、PEGに対するセグメントA及びA中のモノマーの算出平均重合度を求めた。また、三元ブロック共重合体の数平均分子量を測定した。更に、GPC測定より、分子量分散比Mw/Mnを求めた。これらの結果を表1に示す。
尚、表1中のセグメントA及びAの平均重合度(m)は、便宜的にセグメントA=Aとして示す。即ち、表1中のセグメントA及びAの平均重合度とは、m=(セグメントAの平均重合度+セグメントAの平均重合度)/2として得られる数である。
以上より、比較的単分散な(A−B−A)型三元ブロック共重合体が製造されていることが確認された。尚、原料に用いたPEG末端のメチレン(CH OH)のH−NMRのシグナルは、本来3.7ppm付近にマイナーピークとして現れるが、得られた共重合体の測定では、このピークは検出されず、かわりにエステル結合の新たなピークが4.3ppm付近に検出された。また、GPCの結果において、原料に用いたPEGのピークが消失し、単峰性のピークの高分子側へのシフトが観測された。これらのことから、三元ブロック共重合体が得られたことが最終的に確認された。
実施例1−2
PEGとして数平均分子量20000のPEG1gを用い、L−ラクチドの仕込み量を0.285gとし、シクロ(グリコール酸−ロイシン)の仕込み量を0.037gとした以外は、実施例1−1と同様にして(A−B−A)型三元ブロック共重合体を得、各測定を行なった。結果を表1に示す。
実施例1−3
L−ラクチドの仕込み量を0.435gとし、シクロ(グリコール酸−ロイシン)の仕込み量を0.057gとした以外は、実施例1−1と同様にして(A−B−A)型三元ブロック共重合体を得、各測定を行なった。結果を表1に示す。
実施例1−4
L−ラクチドの仕込み量を0.212gとし、シクロ(グリコール酸−ロイシン)の仕込み量を0.028gとした以外は、実施例1−2と同様にして(A−B−A)型三元ブロック共重合体を得、各測定を行なった。結果を表1に示す。
実施例1−5
L−ラクチドの仕込み量を0.373gとし、シクロ(グリコール酸−ロイシン)の仕込み量を0.111gとした以外は、実施例1−2と同様にして(A−B−A)型三元ブロック共重合体を得、各測定を行なった。結果を表1に示す。
実施例1−6
デプシペプチドとしてのシクロ(グリコール酸−ロイシン)0.037gを、シクロ(グリコール酸−メトキシベンジル−S−システイン)0.035gとした以外は、実施例1−2と同様にして(A−B−A)型三元ブロック共重合体を収率87%で得、各測定を行なった。結果を表1に示す。
得られた共重合体のGPCを測定したところ、材料として用いたPEGのピークは消失し、単峰性のピークが高分子側にシフトしていた。H−NMRの測定結果より、−OCHCHO−に由来する3.6ppmのシグナル以外に、1.2ppmに(t,SH)と2.9ppmに(s,CHCHS)に特徴的なシグナルが検出され、(A−B−A)型三元ブロック共重合体が得られたことが確認された。
実施例1−7
L−ラクチドの仕込み量を0.415gとし、シクロ(グリコール酸−ロイシン)の仕込み量を0.055gとした以外は、実施例1−2と同様にして(A−B−A)型三元ブロック共重合体を得、各測定を行なった。結果を表1に示す。
実施例1−8
L−ラクチドの仕込み量を0.837gとし、シクロ(グリコール酸−ロイシン)の仕込み量を0.110gとした以外は、実施例1−2と同様にして(A−B−A)型三元ブロック共重合体を得、各測定を行なった。結果を表1に示す。
実施例1−9
L−ラクチドの仕込み量を0.615gとし、シクロ(グリコール酸−ロイシン)の仕込み量を0.333gとした以外は、実施例1−2と同様にして(A−B−A)型三元ブロック共重合体を得、各測定を行なった。結果を表1に示す。
参考例1−1
L-ラクチドの仕込み量を0.805gとし、デプシペプチドを用いなかった以外は、実施例1−1と同様にして、ポリラクチド−PEG−ポリラクチド(A1−B−A2)型三元ブロック共重合体を得、各測定を行なった。結果を表1に示す。
Figure 0004735260
実施例2−1
実施例1−1で製造した三元ブロック共重合体について、クロロホルムに溶解して4重量%溶液を調製し、直径50cmのテフロン(登録商標)製シャーレに注ぎ、25℃で一夜乾燥させて生体内適合材料である組織癒着防止フィルムを作成した。得られたフィルムを超純水に浸漬し、経時的にフィルムを秤量し、吸水性を測定した。その結果から元の重量に対する浸漬後の重量を算出した。経時的な含水量の変化を示すグラフを図3に示す。図3より、得られた三元ブロック共重合体は、吸水速度、吸水量ともに良好であった。
また、得られたフィルムについて、前述の屈曲試験及び生体内吸収性試験を行なった。結果を表2に示す。更に前述の癒着防止試験及び引張試験も行なった。結果を表3に示す。
比較例2−1
参考例1−1で製造した三元ブロック共重合体を用いて、実施例2−1と同様にフィルムを作成し、経時的な含水量を測定した。結果を図3に示す。また、得られたフィルムについて、前述の屈曲試験及び生体内吸収性試験を行なった。結果を表2に示す。更に前述の癒着防止試験も行なった。結果を表3に示す。
実施例2−2
実施例1−2で製造した三元ブロック共重合体を用いた以外は実施例2−1と同様に組織付着防止フィルムを作成し、屈曲試験、生体内吸収性試験、癒着防止試験及び引張試験を行った。結果を表2及び表3に示す。
比較例2−2
フィルムの代わりに、ヒアルロン酸ナトリウムとカルボキシメチルセルロース(CMC)とを2:1で含有する市販の合成癒着防止シート(Genzyme社製)を用いた以外は、実施例2−1と同様に組織付着防止フィルムを作成し、屈曲試験、生体内吸収性試験及び癒着防止試験を行った。結果を表2及び表3に示す。
実施例2−3
実施例1−7で製造した三元ブロック共重合体を用いた以外は実施例2−1と同様に組織付着防止フィルムを作成し、屈曲試験、生体内吸収性試験、癒着防止試験及び引張試験を行った。結果を表2及び表3に示す。また、乾燥フィルムにおける引張試験の結果を図4に、湿潤フィルムにおける引張試験の結果を図5にそれぞれ示す。
実施例2−4
実施例1−8で製造した三元ブロック共重合体を用いた以外は実施例2−1と同様に組織付着防止フィルムを作成し、屈曲試験、生体内吸収性試験及び癒着防止試験を行った。結果を表2及び表3に示す。また、乾燥フィルムにおける引張試験の結果を図4に、湿潤フィルムにおける引張試験の結果を図5にそれぞれ示す。
実施例2−5
実施例1−9で製造した三元ブロック共重合体を用いた以外は実施例2−1と同様に組織付着防止フィルムを作成し、屈曲試験、生体内吸収性試験、癒着防止試験及び引張試験を行った。結果を表2及び表3に示す。
Figure 0004735260
Figure 0004735260
以上の結果から、本発明の生体内適合材料は、生体内で吸収性を有する柔軟な材料であることが分かった。また本発明の生体内適合材料は、シート状に成型可能で、充分な強度と保水能を有し、構成成分比により生体内での吸収性が制御できることが分かる。更に、術後癒着を防止する組繊癒着防止能を有していることが分かる。従って、本発明の生体内適合材料は、組繊癒着防止材等に好適である。

Claims (6)

  1. デプシペプチド単位を有する重合体から構成されるセグメントA1及びセグメントA2と、ポリエチレングリコールから構成されるセグメントBとからなり、数平均分子量が8000〜500000である、式(1)で示される(A1−B−A2)型三元ブロック共重合体。
    Figure 0004735260
    (式中Rは水素原子、CH 3 -、CH 3 CH 2 -、(CH 3 ) 2 CH-、(CH 3 ) 2 CHCH 2 -、CH 3 CH 2 CH(CH 3 )-、C 6 H 5 CH 2 -、C 6 H 5 CH 2 O(C=O)CH 2 -、C 6 H 5 CH 2 O(C=O)CH 2 CH 2 -、C 6 H 5 CH 2 O(C=O)NH(CH 2 ) 4 -、C 6 H 5 (C=O)OCH 2 -、C 6 H 5 (C=O)OC(CH 3 )H-、CH 3 O-C 6 H 4 -CH-SCH 2 -又はCH 3 (CH 2 ) t-1 -S-SCH 2 -を示す(ここで、tは正の整数を示す)。x及びyは、A 1 セグメント又はA 2 セグメント中の繰返し単位数であって、xは0以上の整数、yは1以上の整数で、且つx及びyは、0.04≦(y/(x+y))≦1を充足する。m及びnは重合度を示し、mは正の整数、nは100〜1200の整数を示す。)
  2. 式(1)中、Rが水素原子、CH 3 -、CH 3 CH 2 -、(CH 3 ) 2 CH-、(CH 3 ) 2 CHCH 2 -、CH 3 CH 2 CH(CH 3 )-又はCH 3 O-C 6 H 4 -CH-SCH 2 -を示す、請求項1記載の三元ブロック共重合体。
  3. 重合度100〜1200のポリエチレングリコールの両末端の水酸基に、デプシペプチドとラクチドとを、開環重合用金属系触媒存在下に無溶媒で開環重合させる請求項記載の三元ブロック共重合体の製造法。
  4. 請求項1又は2記載の(A1−B−A2)型三元ブロック共重合体を主成分とする生体内適合材料。
  5. 前記式(1)で示される共重合体において、x及びyが、0.04≦(y/(x+y)≦0.2を充足し、nが250〜455の整数である請求項記載の生体内適合材料。
  6. 生体内適合材料が組織癒着防止材である請求項4又は5記載の生体適合性材料。
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