JP4734806B2 - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車の排気系に用いられる排ガス浄化用触媒に関し、詳しくは低温域におけるメタンの浄化活性に特に優れた排ガス浄化用触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、二酸化炭素による地球温暖化現象が問題となり、二酸化炭素の排出量を低減することが課題となっている。自動車においても排ガス中の二酸化炭素量の低減が課題となり、燃料を酸素過剰雰囲気で希薄燃焼させるリーンバーンエンジンが開発されている。このリーンバーンエンジンによれば、燃費の向上により二酸化炭素の排出量を抑制することができる。
【0003】
このリーンバーンエンジンにおいて、常時は酸素過剰の燃料リーン条件で燃焼させ、間欠的に燃料ストイキ〜リッチ条件とすることにより排ガスを還元雰囲気としてNOx を還元浄化するシステムが開発され、実用化されている。そしてこのシステムに最適な触媒として、燃料リーン雰囲気でNOx を吸蔵し、吸蔵されたNOx を燃料ストイキ〜リッチ雰囲気で放出するNOx 吸蔵材を用いたNOx 吸蔵還元型の排ガス浄化用触媒が開発されている。
【0004】
例えば特開平5-317652号公報には、Baなどのアルカリ土類金属とPtをγ-Al2O3などの多孔質酸化物担体に担持した排ガス浄化用触媒が提案されている。また特開平 6-31139号公報には、Kなどのアルカリ金属とPtをγ-Al2O3などの多孔質酸化物担体に担持した排ガス浄化用触媒が提案されている。さらに特開平5-168860号公報には、Laなどの希土類元素とPtをγ-Al2O3などの多孔質酸化物担体に担持した排ガス浄化用触媒が提案されている。
【0005】
このNOx 吸蔵還元型触媒を用いれば、空燃比を燃料リーン側からパルス状に燃料ストイキ〜リッチ側となるように制御することにより、排ガスもリーン雰囲気からパルス状にストイキ〜リッチ雰囲気となる。したがって、リーン側ではNOx がNOx 吸蔵材に吸蔵され、それがストイキ〜リッチ側で放出されて排ガス中に多量に含まれる炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)などの還元性成分と反応して浄化されるため、リーンバーンエンジンからの排ガスであってもNOx を効率良く浄化することができる。また排ガス中のHC及びCOは、貴金属により酸化されるとともにNOx の還元にも消費されるので、HC及びCOも効率よく浄化される。
【0006】
ところがエンジン始動時など排ガスが低温域にあると、NOx 吸蔵還元型触媒に担持されている貴金属の活性化温度に達するまでは、HCの浄化が困難であるという不具合がある。そこでHCの浄化活性に優れ低温域からHCを浄化できるHC浄化触媒を、NOx 吸蔵還元型触媒の上流側に、特に排ガス温度が高いエンジン直下に配置することが行われている。このようなタンデム配置とすることで、低温域においてはHC浄化触媒でHCが浄化できるのでHCの排出が抑制される。またHCの酸化による熱が排ガスによってNOx 吸蔵還元型触媒に伝えられるため、NOx 吸蔵還元型触媒の昇温が向上し早期に触媒活性が発現されるという効果もある。
【0007】
このようなHC浄化触媒としては、貴金属としてHCの酸化活性が高くリーン雰囲気においても劣化が少ない、パラジウム(Pd)を担持したものが多く用いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところがPdを担持したHC浄化触媒は、特に低温域において排ガス中のメタンに対する浄化活性が低いという問題がある。したがって他のHCを浄化できてもメタンを浄化できないために、低温域におけるHCの浄化率に限界があり、さらなるHC浄化活性の向上が求められている。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、低温域におけるメタンの浄化活性をさらに向上させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の排ガス浄化用触媒の特徴は、担体基材と、担体基材の表面に形成されたメタン浄化触媒層と、メタン浄化触媒層の表面に形成された厚さが20〜80μmの疎水性コート層と、よりなることにある。
【0011】
メタン浄化触媒層は、アルミナにPdを担持した触媒からなることが望ましい。また疎水性コート層は、ゼオライトの結晶が成長してなるゼオライト膜であることが望ましい。このゼオライト膜は、メタン浄化触媒層上にゼオライトの前駆体を析出させた後にゼオライト結晶を成長させることで形成されることが望ましい。さらに疎水性コート層はシリカライトからなることが望ましく、疎水性コート層の厚さは20〜80μmであることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、Pd系のHC浄化触媒によるメタンの浄化挙動について鋭意研究した結果、排ガス中の H2Oが悪影響を与えていることを見出した。例えば図1に示すように、 排ガス中にH2Oが存在すると、 H2Oが存在しない場合に比べて低温域におけるメタン浄化活性が大きく低下し、 300℃以下ではメタンを浄化することが困難である。
【0013】
この結果から、メタンは元々Pdあるいは担体に吸着しにくい種であるが、 H2Oが存在すると H2OがPdあるいは担体に吸着することでメタンの吸着がさらに阻害され、益々吸着しにくくなるのが原因であると考えられる。
【0014】
そこで本発明では、メタン浄化触媒層の表面に疎水性コート層を形成している。疎水性コート層は疎水性であるために、排ガス中の H2Oは疎水性コート層によってブロックされ、メタン浄化触媒層に近接するのが抑制される。したがってメタン浄化触媒層が H2Oで被毒されるのが抑制され、疎水性コート層を拡散したメタンはメタン浄化触媒層に到達して効率よく浄化される。
【0015】
担体基材としては特に制限されず、コーディエライトあるいはメタルなどから形成されたハニカム基材など、従来用いられているものを用いることができる。
【0016】
メタン浄化触媒としては、多孔質酸化物よりなる担体に貴金属を担持したものが例示される。多孔質酸化物としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、セリア、シリカ−アルミナなどが例示され、貴金属としてはPt、Rh、Pd、Ir、Ruなどが例示される。中でもアルミナにPdを担持した触媒が特にメタンの浄化活性が高く、かつPdはリーン雰囲気でも粒成長しにくいので、好ましく用いられる。多孔質酸化物及び貴金属は、例示したうちの一種でもよいし複数種類を併用することもできる。
【0017】
メタン浄化触媒における貴金属の担持量は、触媒1リットル当たり 0.1〜50gとすることができる。特にアルミナにPdを担持したメタン浄化触媒においては、Pdの担持量を触媒1リットル当たり1〜10gとするのが望ましい。貴金属の担持量が上記範囲より少ないとメタンの浄化活性が低くて実用的でなく、上記範囲を超えて担持しても浄化活性が飽和するとともにコストが高騰する。
【0018】
メタン浄化触媒層は、担体基材1リットル当たり50〜 200g形成することが好ましい。メタン浄化触媒層がこの範囲より少ないとメタンの浄化活性が低くて実用的でなく、この範囲を超えて形成すると圧損が大きくなったりメタン浄化触媒層が剥離したりする場合があり好ましくない。
【0019】
またメタン浄化触媒層を形成するには、多孔質酸化物粉末に貴金属を担持した触媒粉末を酸化物ゾルなどのバインダとともにスラリー化し、それを担体基材表面にウォッシュコートした後焼成する方法がある。また担体基材表面に多孔質酸化物粉末からなるコート層を形成し、それに貴金属を吸着担持あるいは吸水担持して形成することもできる。
【0020】
疎水性コート層の材質としては、アルミナに比べて疎水性が高く耐熱性の高いものであれば用いることができる。例えばゼオライト、窒化ケイ素などが例示され、中でもゼオライトの一種であり、メタン浄化触媒層との付着性に優れるとともに、疎水性が特に高いシリカライトが特に好ましい。これらの粉末を単独で用いてもよいし、複数種類の粉末を混合して用いることもできる。またこれらの粉末を含めば、アルミナなど他の粉末を混合することもできる。
【0021】
この疎水性コート層の厚さは、20〜80μmとすることが望ましい。20μmより薄いと H2Oをブロックする効果が小さく、メタン浄化触媒の H2O被毒によってメタン浄化活性が低くなってしまう。また80μmより厚くなると、メタン浄化触媒層へメタンが拡散し難くなるためメタン浄化活性が低下する。
【0022】
上記した疎水性コート層を形成するには、上記した疎水性物質の粉末を酸化物ゾルなどのバインダとともにスラリー化し、それをメタン浄化触媒層の表面にウォッシュコートした後焼成する方法がある。
【0023】
疎水性コート層は、ゼオライトの結晶が成長してなるゼオライト膜であることが特に望ましい。このゼオライト膜は緻密であり、上記した粉末からなる疎水性コート層に比べて H2Oが透過可能な細孔が少ない。したがって疎水性がさらに向上し、メタン浄化触媒層の H2O被毒をいっそう抑制することができる。
【0024】
このゼオライト膜は、粉末からなる疎水性コート層に比べて薄くてよく、厚さ数μm〜数十μmの範囲とすることが望ましい。数μmより薄いと H2Oをブロックする効果が小さく、メタン浄化触媒の H2O被毒によってメタン浄化活性が低くなってしまう。また数十μmより厚くなると、メタン浄化触媒層へメタンが拡散し難くなるためメタン浄化活性が低下する。
【0025】
このゼオライト膜は、疎水性をより高めるために、 Al2O3含有量が少なくSiO2/Al2O3比(モル比)が1000以上のハイシリカゼオライトが望ましく、シリカライトからなることが特に望ましい。
【0026】
上記ゼオライト膜は、メタン浄化触媒層上にゼオライトの前駆体を析出させた後に、ゼオライト結晶を成長させることで形成することができる。例えば、少なくともシリカゾルにテンプレート材を加えてアモルファス状のゲルからなる前駆体を形成し、水熱合成により結晶成長させた後焼成することで形成することができる。
【0027】
ここでシリカゾルとしては、一般のシリカゾルでもよいしシリコーンアルコキシドを用いることもできる。また硝酸アルミニウム、アルミナゾルあるいはアルミニウムアルコキシドなどのアルミニウム源をさらに添加してもよい。この場合は、形成されるゼオライトにおいてアルミナが金属Al換算で0.04重量%以下となるように添加することが望ましい。アルミニウム源の添加量がこれより多くなると、形成されるゼオライトのSiO2/Al2O3モル比が1000未満となってしまう。
【0028】
テンプレート材は形成される前駆体をゼオライト構造に結晶させるためのものであり、例えばZSM-5を製造する場合には、従来と同様にテトラプロピルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウム、1,3-ジアミノプロパンなど、4級アンモニウム化合物の塩、水酸化物、酸化物あるいは誘導体を用いることができる。
【0029】
前駆体を形成するには、ゾル・ゲル法、共沈法など公知の反応を利用することができる。なおシリカゾルとテンプレート材との比率によって、形成されるゼオライト結晶の粒度分布を制御することができる。
【0030】
水熱合成は 100〜 170℃の条件で行うことが好ましい。水熱合成温度が 100℃に満たないとゼオライト結晶の成長が困難となり、水熱合成温度が 170℃を超えるとゼオライト結晶が粗大化してしまう。特に望ましいのは 120〜 150℃の範囲である。この水熱合成はゼオライト結晶を生成し成長させるために行うものであり、密閉容器内にて30分〜5日程度処理される。この際、圧力は自圧もしくは加圧下のいずれかの方法で行うことができるが、通常は自圧で行われる。
【0031】
得られたゼオライト膜は、水洗後一般に乾燥工程が行われ、その後焼成される。焼成は一般に大気中など酸化雰囲気下で行われ、その条件は例えば 600℃で8時間加熱する程度の条件である。この焼成によりテンプレート材が焼失し、純粋なゼオライト膜が形成される。
【0032】
なお疎水性コート層に貴金属を担持することも好ましい。これによりHCの浄化活性がさらに向上するとともにCO、NOx の浄化活性を向上させることができる。この貴金属としてはPt、Rh、Pd、Ir、Ruなど特に制限されないが、三元活性の点からRhが特に好ましい。
【0033】
本発明の排ガス浄化用触媒は、単独で用いてもよいし、ストイキ近傍雰囲気で用いられる三元触媒あるいはリーン−リッチ変動雰囲気で用いられるNOx 吸蔵還元型触媒などと併用することもできる。他の触媒とともに用いる場合には、本発明の排ガス浄化用触媒をエンジン直下に配置し、その下流側に他の触媒を配置することが望ましい。これにより低温域におけるメタンを含むHCの浄化活性を特に高くすることができ、かつその反応熱によって熱せられた排ガスが下流側の触媒に流入するので、下流側の触媒においても低温域からの浄化が可能となる。
【0034】
【実施例】
以下、試験例、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0035】
(試験例)
コーディエライト製のハニカム基材にメタン浄化触媒層のみを形成した触媒を用意した。メタン浄化触媒層は、γ-Al2O3粉末にPdを担持した触媒粉末からなり、ハニカム基材1リットル当たり 120g形成されている。Pdの担持量は、ハニカム基材1リットル当たり5gである。
【0036】
この触媒を評価装置に配置し、 H2Oを10%とメタンを500ppm含むモデルガスと、 H2Oを全く含まずメタンを500ppm含むモデルガスをそれぞれ流し、各温度におけるメタン浄化率をそれぞれ測定した。結果を図1に示す。
【0037】
図1から明らかなように、 H2Oを含むモデルガスの場合には 300℃以下ではメタンを全く浄化できなかったのに対し、 H2Oを含まないモデルガスの場合には 200℃を超えた時点でメタンの浄化が始まり 300℃ではメタン浄化率が60%にも達している。
【0038】
すなわちこの試験例より、γ-Al2O3粉末にPdを担持した触媒によるメタンの浄化活性には、 排ガス中の H2Oが大きく影響していることが明らかであり、 H2Oを含まない排ガスをメタン浄化触媒層に供給することが望ましいことがわかる。
【0039】
(実施例1)
上記試験例の結果を踏まえて形成された本実施例の排ガス浄化用触媒の模式図を図2に示す。この触媒は、コーディエライト製のハニカム形状の担体基材1と、担体基材1の表面に形成されγ-Al2O3にPdを担持してなるメタン浄化触媒層2と、メタン浄化触媒層2の表面に形成されシリカライトよりなる疎水性コート層3とから構成されている。
【0040】
以下、この触媒の調製方法を説明して、触媒の構成の詳細な説明に代える。
【0041】
γ-Al2O3粉末 115gに所定濃度の硝酸パラジウム水溶液の所定量を含浸させ、蒸発乾固後 300℃で1時間焼成して5gのPdを担持した。得られた触媒粉末をアルミナゾル(固形分で40重量%)及び水と混合してスラリーを調製した。
【0042】
次にコーディエライト製のハニカム形状の担体基材(直径30mm、長さ50mm、4ミル/ 400セル)を用意し、上記スラリー中に浸漬し引き上げて乾燥後 300℃で1時間焼成してメタン浄化触媒層2を形成した。メタン浄化触媒層2は担体基材1の1リットル当たり 120g形成され、Pdは担体基材1の1リットル当たり5g担持されている。
【0043】
次に、モル比SiO2/Al2O3が約2000のシリカライト粉末を用意し、アルミナゾル(固形分で40重量%)及び水と混合してスラリーを調製した。そしてメタン浄化触媒層2が形成された担体基材1をこのスラリー中に浸漬し引き上げて乾燥後 300℃で1時間焼成して疎水性コート層3を形成した。疎水性コート層3のコート量は、担体基材1の1リットル当たり0〜 120gの範囲で複数水準選択し、図3に示すように疎水性コート層3の厚さが異なる11種類の触媒を調製した。
【0044】
それぞれの触媒を評価装置に配置し、表1に示すようにメタンを500ppmと H2Oを10%含むモデルガスを用いてメタン浄化率をそれぞれ測定した。ガス流量は30リットル/分とし、入りガス温度を室温から 600℃まで20℃/分の速度で昇温しながら、各温度におけるメタン浄化率をそれぞれの触媒について連続的に測定した。そしてメタンを50%浄化できる温度(50%メタン浄化温度)をそれぞれ算出し、結果を図3に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
図3より、疎水性コート層3の厚さが40μm近傍で50%メタン浄化温度が最小値となり、厚さが薄すぎても厚すぎてもメタン浄化活性が低下していることがわかる。このようになる理由は、疎水性コート層3の厚さが薄すぎると H2Oをブロックする効果が小さくなり、メタン浄化触媒層2へ H2Oが吸着する被毒が生じるためと考えられる。また疎水性コート層3が厚すぎると、メタン浄化触媒層2へメタンが拡散し難くなるためと考えられる。したがって図3より、疎水性コート層3をもたない場合に比べてメタン浄化活性が高くなる範囲として、疎水性コート層3の厚さを20〜80μmとすることが望ましいことがわかる。
【0047】
(実施例2)
実施例1で調製されたPd/γ-Al2O3触媒粉末50重量部と、CeO2−ZrO2固溶体粉末50重量部をアルミナゾル(固形分で40重量%)及び水と混合してスラリーを調製した。次に実施例1と同様の担体基材1を用意し、このスラリーを用いて実施例1と同様にしてメタン浄化触媒層を形成した。メタン浄化触媒層は担体基材1の1リットル当たり 130g形成され、Pdは担体基材1の1リットル当たり5g担持されている。
【0048】
次に、実施例1と同様のシリカライト粉末を用い、実施例1と同様にしてメタン浄化触媒層の表面に疎水性コート層を形成した。疎水性コート層のコート量は、担体基材1の1リットル当たり40gである。
【0049】
(実施例3)
実施例1と同様の担体基材1に実施例1と同様にメタン浄化触媒層2を形成した触媒を用意した。メタン浄化触媒層2は担体基材1の1リットル当たり 120g形成され、Pdは担体基材1の1リットル当たり5g担持されている。
【0050】
一方、θ-Al2O3粉末40gに所定濃度の硝酸ロジウム水溶液の所定量を含浸させ、蒸発乾固後 300℃で1時間焼成して1gのRhを担持した。そして実施例1と同様のシリカライト粉末とこのRh/θ-Al2O3触媒粉末とを重量比で1対1の割合で混合し、さらにアルミナゾル(固形分で40重量%)及び水を混合してスラリーを調製した。このスラリーを用い、実施例1と同様にしてメタン浄化触媒層2の表面に疎水性コート層を形成した。疎水性コート層のコート量は、担体基材1の1リットル当たり40gであり、Rhは担体基材1の1リットル当たり 0.5g担持されている。
【0051】
(比較例1)
実施例1で調製された複数の触媒のうち、疎水性コート層3のコート量がゼロのものを比較例1の触媒とした。
【0052】
(比較例2)
実施例1と同様の担体基材1に実施例1と同様にメタン浄化触媒層2を形成した触媒を用意した。メタン浄化触媒層2は担体基材1の1リットル当たり 120g形成され、Pdは担体基材1の1リットル当たり5g担持されている。
【0053】
一方、実施例3と同様に調製されたRh/θ-Al2O3触媒粉末と、アルミナゾル(固形分で40重量%)及び水を混合してスラリーを調製した。このスラリーを用い、実施例1と同様にしてメタン浄化触媒層2の表面にコート層を形成した。コート層のコート量は、担体基材1の1リットル当たり40gであり、Rhは担体基材1の1リットル当たり 0.5g担持されている。
【0054】
<試験・評価>
上記した実施例2、実施例3、比較例1及び比較例2の触媒について、実施例1と同様にしてメタン浄化率を測定しメタン50%浄化温度を算出した。結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2により、実施例2及び実施例3の触媒は比較例1及び比較例2に比べて低温域におけるメタンの浄化活性が高いことが明らかである。また比較例1と比較例2とを比較すると、Rh/θ-Al2O3触媒粉末からなるコート層をメタン浄化触媒層2の表面に形成してもほとんど効果が得られていない。これは、Rh/θ-Al2O3触媒粉末からなるコート層は疎水性とはいえず、 H2Oがメタン浄化触媒層2の表面に吸着してメタン浄化活性を低下させたためである。
【0057】
(実施例4)
γ-Al2O3粉末の所定量と、アルミナゾル(固形分で40重量%)及び水を混合してスラリーを調製した。次にコーディエライト製のハニカム形状の担体基材(容積 35cm3、4ミル/ 200セル)を用意し、上記スラリー中に浸漬し引き上げて乾燥後 550℃で1時間焼成して 4.2gのコート層を形成した。次いで所定濃度の硝酸パラジウム水溶液の所定量をコート層に含浸させ、乾燥後 450℃で1時間焼成してコート層にPdを0.07g担持し、メタン浄化触媒層を形成した。
【0058】
次にオルトケイ酸テトラエチル1モルに対して、水酸化ナトリウム0.05モル、テトラプロピルアンモニウムブロミド 0.1モル、蒸留水80モルの割合で混合したスラリーを調製し、上記メタン浄化触媒層をもつ担体基材にウォッシュコートして、室温にて1日間放置し乾燥させた。これによりメタン浄化触媒層の表面には、アモルファス状のシリカライト前駆体のゲルが形成された。
【0059】
その後、容積350cm3のオートクレーブに蒸留水50gを入れ、メタン浄化触媒層の表面にシリカライト前駆体のゲルが形成された担体基材をオートクレーブ内の水面に接触しない位置に配置し、蓋をして 170℃に加熱されたオーブン中で3日間保持した。この水熱処理により結晶が成長し、シリカライト前駆体はZSM-5構造のシリカライトとなる。
【0060】
そしてシリカライト層が形成された担体基材を取り出し、蒸留水で洗浄して乾燥後 550℃で4時間焼成し、テンプレートなど不純物を焼失させた。得られた触媒では、シリカライト層が 2.3g形成されていた。
【0061】
(実施例5)
モル比SiO2/Al2O3が約2000の市販のシリカライト粉末を用意し、アルミナゾル(固形分で40重量%)及び水と混合してスラリーを調製した。そしてこのスラリー中に実施例4と同様にしてメタン浄化触媒層が形成された担体基材を浸漬し、引き上げて乾燥後 300℃で1時間焼成して疎水性コート層を形成した。疎水性コート層中のシリカライト重量は 2.3gである。
【0062】
(比較例3)
シリカライト層を形成しなかったこと以外は実施例4と同様にしてメタン浄化触媒層のみが形成された触媒を比較例3の触媒とした
(比較例4)
実施例4と同様の担体基材を用い、実施例4と同様にしてメタン浄化触媒層を形成した。
【0063】
次にオルトケイ酸テトラエチル1モルに対して、水酸化ナトリウム0.05モル、テトラプロピルアンモニウムブロミド 0.1モル、蒸留水80モルの割合で混合したスラリーを調製し、上記メタン浄化触媒層をもつ担体基材にウォッシュコートして、室温にて1日間放置し乾燥させた後、 550℃で4時間焼成し、テンプレートなど不純物を焼失させた。得られた触媒では、ガラス質の層が 2.3g形成されていた。
【0064】
<試験・評価>
【0065】
【表3】
【0066】
実施例4,5及び比較例3,4の触媒を実験室用モデルガス評価装置の反応管内部にそれぞれ設置し、乾燥窒素気流中にて 150℃で15分間処理した後、表3に示すモデル排ガスをSV=35,000/hで流通させながら、触媒床温度を10℃/分の速度で室温から 600℃まで昇温し、その間のメタンの浄化率を連続的に測定した。
そしてメタンが50%浄化される温度(メタン50%浄化温度)をそれぞれ算出し、結果を図4に示す。
【0067】
図4より、実施例の触媒は比較例に比べて低温域からメタンを浄化できることがわかり、疎水性コート層を形成するのが好ましいこと、ガラス質の層では効果がなくかえってメタン浄化能が低下していることが明らかである。そして実施例4の触媒は実施例5に比べてさらに低温域からメタンを浄化することができ、疎水性コート層はシリカライト粉末よりシリカライト膜として形成するのが望ましいことが明らかである。
【0068】
【発明の効果】
すなわち本発明の排ガス浄化用触媒によれば、疎水性コート層によって排ガス中の H2Oによるメタン浄化触媒の被毒が抑制されるため、低温域から高いメタン浄化活性が発現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 H2Oの有無と各温度におけるメタン浄化率との関係を示すグラフである。
【図2】本発明の一実施例の排ガス浄化用触媒の構成を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明の一実施例の触媒における疎水性コート層の厚さとメタン50%浄化温度との関係を示すグラフである。
【図4】実施例4,5及び比較例3,4の触媒のメタン50%浄化温度を示すグラフである。
【符号の説明】
1:担体基材 2:メタン浄化触媒層 3:疎水性コート層
Claims (5)
- 担体基材と、該担体基材の表面に形成されたメタン浄化触媒層と、該メタン浄化触媒層の表面に形成された厚さが20〜80μmの疎水性コート層と、よりなることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
- 前記メタン浄化触媒層は、アルミナにパラジウムを担持した触媒からなることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
- 前記疎水性コート層はゼオライトの結晶が成長してなるゼオライト膜であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
- 前記ゼオライト膜は、前記メタン浄化触媒層上にゼオライトの前駆体を析出させた後にゼオライト結晶を成長させることで形成されることを特徴とする請求項3に記載の排ガス浄化用触媒。
- 前記疎水性コート層はシリカライトからなることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の排ガス浄化用触媒。
Priority Applications (1)
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