JP4733868B2 - 光ヘッドと光記録再生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ヘッドおよび光記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタルバーサタイルディスク(DVD)は、コンパクトディスク(CD)に比べて約6倍の記録密度でディジタル情報を記録できることから、大容量の光記録媒体として注目されている。高密度のDVDを再生するためには、CDを再生する場合と比べて、レーザビームの波長を短くし、対物レンズの開口数(NA)を大きくする必要がある。そのため、DVDの再生には、波長が650nmのレーザビーム(CDでは、780nm)と、NAが0.6の対物レンズ(CDでは0.45)とが用いられている。さらに、レーザビームの波長をさらに短くし、NAをさらに大きくして記録密度を高くすることが検討されている。しかし、波長を短くし、対物レンズのNAを高くすると、厚さ方向における記録層の位置のずれに対する記録または再生のマージンが小さくなる。したがって、この場合には、球面収差の補正を行うことが必要になる。
【0003】
また、複数の記録層を備える光記録媒体も記録密度が高いが、この場合においても、光記録媒体の表面から記録層までの距離(以下、基材厚という場合がある)が記録層によって異なるために球面収差が発生する。このような球面収差を補正するために、液晶素子を利用して波面収差(特に球面収差)を補正する光ヘッドが提案されている(特開平10−269611号公報参照)。
【0004】
この従来の光ヘッドの一例について、図13を参照しながら説明する。図13は、従来の光ヘッド200(光ピックアップともいう)の構成を模式的に示す図である。図13に示すように、光ヘッド200は、光源201、偏光ビームスプリッター202、液晶パネル203、1/4波長板204、対物レンズ205、集光レンズ206、光検出器207、基材厚センサ208、および光学素子駆動回路209とを含む。光ヘッド200によって、光ディスク210に対して信号が記録または再生される。
【0005】
光源201は、半導体レーザ素子からなり、光ディスク210の記録層に対して記録再生用のコヒーレント光を出力する。偏光ビームスプリッター202は、光を分離するための素子である。液晶パネル203は、図14に示すような同心円状の複数の電極203a〜dを備え、各電極に異なる電圧を印加することによって液晶の屈折率を変化させ、収差の補正を行う。1/4波長板204は、複屈折材料からなり、直線偏光を円偏光に変換する。対物レンズ205は、光ディスク210の記録層に光を集光する。集光レンズ206は、光ディスク210の記録層で反射された光を光検出器207に集光する。光検出器207は、光ディスク210の記録層で反射された光を受光して電気信号に変換する。
【0006】
次に、光ヘッドの動作について説明する。光源201から出射された直線偏光の光は偏光ビームスプリッター202を透過して液晶パネル203に入射する。ここで、光ディスク210の記録層が設計値からずれた位置に配置されている場合には、基材厚センサ208はそのずれ量を検出し、光学素子駆動回路209にそのずれ量を出力する。光学素子駆動回路209は、入力されたずれ量に基づいて、そのずれ量によって生じる波面収差を補正するように液晶パネル203を駆動する。したがって、液晶パネル203に入射した光には、基材厚のずれによって生じる波面収差(3次の球面収差)を補正するような波面収差が与えられる。
【0007】
以下に、液晶パネル203を用いた球面収差の補正の方法について詳しく述べる。まず、光ディスク210の基材厚が、設計値(最適な基材厚)からずれた時の位相分布を図15に示す。この位相分布は、レーザビームの波長が405nm、対物レンズのNAが0.85、光ディスク210の最適な基板厚が0.1mm、基材厚のずれが0.01mmの場合の位相分布であり、最良像点における光ディスク210の記録層上の波面収差分布である。この分布を完全に補正するような位相をレーザビームに与えれば、光ディスク210の基材厚が最適な基材厚からずれても光ディスク210上でのレーザビームのスポットは回折限界にまで絞られる。
【0008】
図15の波面収差を補正するためには、図15の波面収差をキャンセルするような位相変化をレーザビームに与えればよい。すなわち、部分的に光路長を変えればよい。液晶は、外部から印加された電圧に応じてその屈折率が変化するため、印加する電圧を変化させることによって光路長を部分的に変えることができる。従って、図14に示したような複数の電極203a〜dに適当な電圧を加えることによって、図15に示した球面収差を補正することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光ヘッド200では、3次の球面収差を発生させて球面収差の補正を行っているため、対物レンズ205の中心と液晶パネル203の電極203a〜dの中心とがずれたときに球面収差の補正効果が劣化する。すなわち、対物レンズ205と液晶パネル203とが分離して配置されている場合、光ディスク210の偏心に応じて対物レンズ205が移動することによって、対物レンズ205の中心と電極203a〜dの中心とがずれて補正効果が劣化する。
【0010】
レーザビームの波長が400nm、NAが0.85、光ディスク210の基材厚が設計値(0.1mm)から10μmずれている場合における、対物レンズ205の中心と電極203a〜dの中心とのずれ量と、補正後の収差との関係について図16に示す。
【0011】
図16に示すように、両者の中心がずれると、補正効果が劣化する。これは両者の中心がずれることによって、液晶パネル203で発生させている球面収差がコマ収差を生むためである。両者の中心のずれを防止するためには、液晶パネル203と対物レンズ205とを一体にする必要がある。
【0012】
しかし、液晶パネル203と対物レンズ205とを一体化すると、光ヘッドの薄型化が困難になる。また、対物レンズ205とともに液晶パネル203を移動させることが必要になるため、アクチュエータのf特(感度)が低下する。また、液晶パネル203を駆動するための配線によって、アクチュエータの構造が複雑となり、低コスト化が困難になる。
【0013】
球面収差を補正する方法としては、光軸上に2枚のレンズを配置し、レンズの間隔を変えることによって球面収差を補正する方法も提案されている(特開2000−131603号公報参照)。この方法では、レンズの間隔を変えることによって、レンズを透過する光に、平行光を発散光または収束光に変化させる位相変化を与え、その結果球面収差を補正する。しかしながら、この方法の場合には、基材厚のずれに応じてレンズの間隔を変化させる機械的な手段が必要となり、光ヘッドの小型化が困難であった。また、コマ収差の発生を防止するためには、2つのレンズの中心を精度よく一致させる必要があり、光ヘッドを低コストに製造することが困難であった。また、この方法では光軸方向にレンズの間隔を変えているため、光学系が拡大/縮小光学系となる。その結果、球面収差を補正するためのレンズに入射する光の取り込み効率が変化してしまい、光のRIM強度(rim strength)が変化するという問題があった。
【0014】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、対物レンズが移動しても補正効果の劣化が少ない光ヘッド、および光記録再生装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の光ヘッドは、光記録媒体に対して信号の記録または再生を行う光ヘッドであって、光源と、前記光記録媒体と前記光源との間に配置された光学素子と、前記光記録媒体と前記光学素子との間に配置された対物レンズとを含み、前記光学素子は、第1の電圧印加電極と、前記第1の電圧印加電極に対向するように配置された第1の対向電極と、前記第1の電圧印加電極と前記第1の対向電極との間に配置された第1の液晶とを含む第1素子部と、第2の電圧印加電極と、前記第2の電圧印加電極に対向するように配置された第2の対向電極と、前記第2の電圧印加電極と前記第2の対向電極との間に配置された第2の液晶とを含む第2素子部とを備え、前記第1素子部は、第1の偏光方向を有する前記光源からの出射光に対して平面波を球面波に変換する位相を与え、前記第2素子部は、前記第1の偏光方向と直交する第2の偏光方向を有する前記光記録媒体からの反射光に対して平面波を球面波に変換する位相を与え、前記第1の電圧印加電極と前記第1の対向電極との間の電圧を変化させることによって、前記第1の液晶に入射した前記出射光に対してのみ平面波を球面波に変換する位相を与え、前記第2の電圧印加電極と前記第2の対向電極との間の電圧を変化させることによって、前記第2の液晶に入射した前記反射光に対してのみ平面波を球面波に変換する位相を与えることを特徴とする。
この光ヘッドによれば、偏光光学系において対物レンズが移動しても補正効果の劣化が少ない。また、この光ヘッドは、製造が容易である
【0016】
上記光ヘッドでは、前記第1の電圧印加電極および前記第1の対向電極から選ばれる少なくとも1つの電極が曲面に配置されていてもよい。この構成によれば、電圧印加電極を分割する必要がないため、配線が容易になる。
【0021】
上記光ヘッドでは、前記第1の電圧印加電極が複数のセグメント電極を含んでもよい。この構成によれば、製造が容易になる。
【0023】
上記光ヘッドでは、前記第2の電圧印加電極および前記第2の対向電極から選ばれる少なくとも1つの電極が曲面に配置されていてもよい。
【0026】
上記光ヘッドでは、前記第2の電圧印加電極が複数のセグメント電極を含んでもよい。
【0028】
上記光ヘッドでは、前記光学素子と前記対物レンズとの間に配置されたN/4波長板(Nは1以上の奇数)を更に含んでもよい。この構成によれば、光源から出射された光の利用効率を高くできるため、光記録媒体に対して信号の記録または再生が容易になる。
【0029】
また、本発明の光記録再生装置は、光記録媒体に対して信号の記録または再生を行う光記録再生装置であって、上記いずれかの構成の光ヘッドを備えたことを特徴とする。この光記録再生装置は、本発明の光ヘッドを用いているため、信頼生よく信号の記録または再生が可能である。また、この光記録再生装置は製造が容易である。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、同様の部分については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
(実施形態1)
実施形態1では、本発明の光学素子について一例を説明する。実施形態1の光学素子10について、断面図を図1に模式的に示す。
【0043】
図1を参照して、光学素子10は、第1の基板11と、第1の基板11に略平行に配置された第2の基板12と、第1の基板11と第2の基板12との間に配置された電圧印加電極(第1の電圧印加電極)13、透光性樹脂膜14、液晶(第1の位相変化層)15、透光性樹脂膜16、対向電極(第1の対向電極)17および封止樹脂18とを備える。液晶15は、封止樹脂18によって封止されている。
【0044】
第1の基板11および第2の基板12は、透光性の基板であり、たとえばガラスからなる。
【0045】
電圧印加電極13は液晶15に所望の電圧を印加するための電極である。電圧印加電極13は、第1の基板11の内側(液晶15側)の主面上に形成されている。電圧印加電極13は、透光性で導電性の材料からなり、たとえばインジウム・スズ・酸化物(ITO)からなる。電圧印加電極13の平面図を、図2に示す。電圧印加電極13は、同心円状に配置された複数のセグメント電極13a〜gを含む。なお、図2には、電圧印加電極13が7つのセグメント電極からなる場合を示しているが、セグメント電極の数については特に限定はない。
【0046】
対向電極17は、電圧印加電極13に対向するように第2の基板12上に形成される。対向電極は、電圧印加電極13とともに、液晶15に所望の電圧を印加するための電極である。対向電極17は透光性で導電性の材料からなり、たとえばITOからなる。対向電極17は、第2の基板12の内側(液晶15側)の主面のうち、少なくともセグメント電極13a〜gに対向する部分の全面に形成される。
【0047】
透光性樹脂膜14および16は、液晶15を所定の方向に配向させるための配向膜であり、たとえばポリビニルアルコール膜からなる。透光性樹脂膜14または16をラビング処理することによって、液晶15を所定の方向に配向させることができる。
【0048】
液晶15は、入射した光の位相を変化させる位相変化層として機能する。液晶15は、たとえばネマチック液晶からなる。電圧印加電極13と対向電極17との間の電圧を変化させることによって液晶15の屈折率を変化させることができ、これによって入射した光の位相を変化させることができる。
【0049】
封止樹脂18は、液晶15を封止するためのものであり、たとえばエポキシ樹脂からなる。
【0050】
光学素子10では、各セグメント電極13a〜gと対向電極17との間の電圧を変化させることによって、位相変化層である液晶15の屈折率を部分的に変化させ、液晶15に入射した光に平面波を球面波に変換する位相を与える。具体的には、たとえば、対向電極に0V、セグメント電極13aに0V、セグメント電極13bに0.5V、セグメント電極13cに1V、セグメント電極13dに1.5V、セグメント電極13eに2V、セグメント電極13fに2.5V、セグメント電極13gに3Vという電圧を与えればよい。このように、電圧印加電極13の中心から外側に向かってセグメント電極に印加する電圧を大きくすることによって、光学素子10の中心から外側になるにつれて位相差が大きくなり、平面波を球面波に変換することが可能となる。光学素子10によれば、実施形態2で説明するように、対物レンズが移動しても補正効果が低下しない光ヘッドを構成できる。
【0051】
なお、電圧印加電極13および対向電極17から選ばれる少なくとも1つの電極が曲面に配置されていてもよい(以下の実施形態においても同様である)。対向電極17が曲面に配置されている光学素子10aについて、断面図を図3に模式的に示す。光学素子10aでは、第2の基板12の内側の表面が窪んでおり、対向電極17は、その表面上に形成されている。光学素子10aでは、電圧印加電極13が複数のセグメント電極に分割されておらず、一面に形成されている。これによって、実施形態2で説明するように、対物レンズが移動しても補正効果が特に低下しない光ヘッドを構成できる。
【0052】
また、なめらかな位相変化を与える光学素子の他の一例が、特開2001−143303号公報に開示されている。この素子は、シート抵抗の大きい透明電極と、その透明電極よりも抵抗が小さい電圧供給部とからなる電圧印加電極を備える。透明電極の一部に接続された電圧供給部に外部から電圧が印加されると、透明電極のシート抵抗が大きいために電圧降下が生じ、電圧供給部から離れるにしたがってなめらかに電圧が低下する。このため、電圧印加電極と対向電極との間の電圧がなめらかに変化し、それにしたがって位相変化層の屈折率がなめらかに変化する。
【0053】
また、液晶15の配向の制御は、ラビング法以外の方法で行ってもよい(以下の実施形態においても同様である)。たとえば、斜め蒸着などによって膜そのものに配向性を持たせてもよい。また、基板に溝を形成して液晶の配向を制御してもよい。
【0054】
また、液晶15の代わりに他の材料を用いて位相変化層を形成してもよい(以下の実施形態においても同様である)。位相変化層は、電圧印加電極13と対向電極17との間の電圧によって屈折率が変化する材料や体積が変化する材料を用いることができる。電圧によって体積が変化する材料としては、PLZT(酸化鉛、ランタン、酸化ジルコニウム、酸化チタンを含むペロブスカイト構造の透明結晶体)を用いてもよい。PLZTは固体であるため、液晶とは異なり基板や封止樹脂を必要としない。このため、PLZTを用いることによって、光学素子を薄くできる。
【0055】
(実施形態2)
実施形態2では、実施形態1で説明した光学素子を用いる本発明の光ヘッドについて説明する。実施形態2の光ヘッド50について、構成を図5に模式的に示す。
【0056】
図5を参照して、光ヘッド50は、光源51と、回折格子52と、コリメータレンズ53と、光学素子54と、対物レンズ55と、基材厚センサ56と、第1の光検出器58と第2の光検出器59とを備える。光学素子54は、光学素子駆動回路57によって駆動される。コリメータレンズ53および対物レンズ55は、集光光学系を構成する。光ヘッド50は、光記録媒体60に対して信号の記録または再生を行う。光学素子54は、実施形態1で説明した光学素子である。
【0057】
光源51には、半導体レーザ素子を用いることができる。光源51は、光記録媒体60の記録層に対し、記録/再生用のレーザビーム61(コヒーレント光)を出力する。回折格子52は、0次回折効率がほぼ50%で±1次回折効率がほぼ50%の回折格子である。回折格子52は、フォトリソグラフィーによってガラス表面に所定のレジストパターンを形成したのち、ガラスをエッチングすることによって形成できる。光学素子54は、光学素子54に入射する光に対して、平面波を球面波に変換する位相を与える。第1および第2の光検出器58および59には、フォトダイオードを用いることができる。
【0058】
対物レンズ55は、光記録媒体60の記録層にレーザビーム61を集光する。第1の光検出器58は、光記録媒体60の記録層で反射されたレーザビーム61のうち回折格子52で回折された+1次光を受光して電気信号に変換する。第2の光検出器59は、光記録媒体60の記録層で反射されたレーザビーム61のうち回折格子52で回折された−1次光を受光して電気信号に変換する。
【0059】
基材厚センサ56は、予め設定された基材厚と実際の基材厚とのずれを検出し、そのずれに応じた信号を出力する。基材厚センサ56には、たとえば特開平10−334575号公報およびUSP6,115,336に述べられているセンサを用いることができる。基材厚センサ56は、具体的には、光源と、光源から出射された光を光記録媒体(測定対象物)に照射する第1の光学系と、光記録媒体からの反射光を受光素子に導く第2の光学系とを含む。ここで、光源は、レーザ、LEDまたはランプからなる。第1および第2の光学系は、凸レンズ、または凸レンズと凹レンズの組み合わせによって構成される。この構成によると、基材厚に応じて受光素子から出力される信号が異なる。また基材厚を検出する別の方式が、特開2000−171346号公報で述べられている。この方式では、光記録媒体からの反射光の光軸に近い側の第1の光ビームの焦点位置と、第1の光ビームよりも外側の第2の光ビームの焦点位置とに基づいて球面収差を検出する。
【0060】
光学素子駆動回路57は、基材厚センサ56から入力された基材厚のずれに基づいて、基材厚のずれを補正するように光学素子54を駆動する。
【0061】
光ヘッド50の動作について、図5を参照しながら説明する。光源51から出射された直線偏光のうちの一部は、回折格子52を透過してコリメータレンズ53に入射し、コリメータレンズ53によって平行光にされる。この平行光は、光学素子54に入射する。ここで、光記録媒体60の基材厚が設計値よりずれている場合には、そのずれ量に応じた信号を基材厚センサ56は出力し、その信号は光学素子駆動回路57に入力される。光学素子駆動回路57は、入力された信号に基づいて、光記録媒体60の基材厚がずれたときに生じる波面収差を補正するのに必要な信号を光学素子54に出力する。このようにして、光学素子54に入射した光には、平行光を発散光に変換する位相(パワー成分)または平行光を収束光に変換する位相を与えるような波面収差が、基材厚のずれの方向に応じて与えられる。
【0062】
光学素子54を透過した光は、平行光ではない状態で対物レンズ55に入射するため、球面収差が発生する。そして、この球面収差によって、光記録媒体60の基材厚が設計値からずれていることにより発生する球面収差を補正する。すなわち、光学素子54は、対物レンズ55に入射したときに所望の球面収差が発生するような位相を入射光に与える。このようにして、光記録媒体60上では収差のない、すなわち回折限界まで絞られた光スポットが形成される。
【0063】
次に、光記録媒体60から反射された光は、光記録媒体60の基材厚が設計値からずれたときに生じる波面収差を有する光になるが、対物レンズ55および光学素子54によって波面収差が補正される。光学素子54を透過した光はコリメータレンズ53を透過し、回折格子52により回折される。そして、回折の+1次光は第1の光検出器58に入射され、回折の−1次光は第2の光検出器59に入射される。第1の光検出器58は、光記録媒体60上における光の合焦状態を示すフォーカス誤差信号を出力し、また光の照射位置を示すトラッキング誤差信号を出力する。また、第2の光検出器59は、光記録媒体60に記録された情報についての信号を出力する。
【0064】
第1の光検出器58から出力されたフォーカス誤差信号は、図示していないフォーカス制御回路に入力される。フォーカス制御回路は、フォーカス誤差信号に基づき、光が合焦状態で光記録媒体60上に集光されるように対物レンズ55の位置をその光軸方向に制御する。また、トラッキング誤差信号は、図示していないトラッキング制御回路に入力される。トラッキング制御回路は、トラッキング誤差信号に基づき、光記録媒体60上の所望のトラックに光が集光されるように対物レンズ55の位置を制御する。対物レンズ55の位置は、アクチュエータ62を用いて制御される。
【0065】
次に、光学素子54の動作について、光学素子10を用いた場合を例に挙げて説明する。光学素子10では、各セグメント電極13a〜gと対向電極17との間の電圧を変化させることによって、位相変化層である液晶15の屈折率を変化させ、液晶15に入射した光に平面波を球面波に変換する位相を与える。ここで、平面波を球面波に変換するためには、以下の式(1)を満足する位相Pを、入射した光に与えればよい。
【0066】
(a−P)2+r2=a2 (1)
ここで、aは定数であり、rは光軸の中心からの距離である。一例として、レーザビームの波長が405nm、NAが0.85、設計値の基材厚(すなわち、最適な基材厚)が0.1mm、設計値からの基材厚のずれが10μmの場合に、式(1)を満足する位相の分布を図4に示す。
【0067】
ここで、図4に示した位相を40個の同心円状のセグメント電極で発生させた場合における、基材厚と補正後の収差との関係を図6に示す。また、比較として、補正を行わない場合の収差も図6に示す。また、10μmの基材厚のずれを補正している場合のレンズシフト特性を図7に示す。図7の横軸は、光軸の中心と対物レンズの中心とのずれ(レンズシフト)を表している(ここでは、40個の同心円状のセグメント電極の中心と対物レンズの中心とのずれに相当する)。
【0068】
光ヘッド50では、光学素子54に入射した光に平面波を球面波に変換する位相(パワー成分)を与え、対物レンズとの組み合わせで球面収差を発生させて補正を行っている。したがって、補正すべき3次の球面収差そのものを光学素子に入射する光に直接的に与える場合とは異なり、光ヘッド50では、図7に示すようにレンズシフトに非常に強くなる。
【0069】
なお、光学素子54では、特開平10−360545号公報で述べられているように、光学素子上に薄膜抵抗を形成して外部から印加される信号を分圧し、この分圧された電圧をそれぞれのセグメント電極に印加する方式を用いることができる。この方式によれば、セグメント電極の数が40と多くても、外部から印加される電圧は対向電極に印加される電圧を含めて3つにすることができる。
【0070】
光学素子10を用いる場合には、複数のセグメント電極を用いて必要な位相を近似的に発生させる。一方、光学素子10aを用いることによって、必要な位相をその形状通りに発生させることができる。光学素子10aでは、位相変化層である液晶15が凸形になっているため、電圧印加電極を分割しなくても、連続的に変化した位相を入射した光に与えることが可能である。したがって、光学素子10aを用いることによってパワー成分を忠実に再現することができる。この場合、高次収差を発生させないので補正後の収差をほぼゼロにすることができる。光学素子10aを用いた場合における、基材厚と補正後の収差との関係について、図6に示す。また、10μmの基材厚のずれを光学素子10aを用いて補正した場合のレンズシフト特性を、図8に示す。この場合も、セグメント電極で近似した補正と同様にレンズシフト特性が非常に良好である。
【0071】
以上説明したように、実施形態2の光ヘッド50は、球面収差補正時のレンズシフト特性が良好である。また、対物レンズと光学素子とを一体とせずに配置することができるため、光ヘッド50によれば、基材厚のずれが生じている光記録媒体に記録された信号を信頼性良く読み出すことができる。また、光ヘッド50は、さらなる薄型化が可能である。また、アクチュエータに光学素子を搭載しなくてよいので、アクチュエータのf特(感度)の低下を防止できるるとともに、配線が簡易になって低コストに製造できる。さらに、2枚のレンズを含み、これらのレンズの間隔を機械的に変化させてパワー成分を発生させる従来の光ヘッドとは異なり、光ヘッド50ではパワー成分を電気的に発生させている。このため、光ヘッド50は、小型化に適している。また、光ヘッド50では、光学素子に入射する光の取り込み効率が変化しないため、光のRIM強度が変化することを防止できる。
【0072】
(実施形態3)
実施形態3では、本発明の光学素子および光ヘッドについて他の一例を説明する。実施形態3の光ヘッドは、偏光ホログラムと1/4波長板とを含む偏光光学系を用いている点、および偏光光学系に対応した光学素子を用いる点で、実施形態2の光ヘッドとは異なる。なお、実施形態1および2で説明した部分と同一の符号を付した部分については、特に説明のない限り、実施形態1および2で説明した部分と同様の機能を有する。
【0073】
実施形態3の光ヘッド90の構成を図9に模式的に示す。図9を参照して、光ヘッド90は、光源51、コリメータレンズ53、対物レンズ55、基材厚センサ56、第1の光検出器58、第2の光検出器59、偏光ホログラム91、光学素子100および1/4波長板93を含む。光学素子100は、光学素子駆動回路57によって駆動される。
【0074】
偏光ホログラム91は、偏光を分離する機能を有する。偏光ホログラム91は、異常光線に対しては作用せず(透過率がほぼ100%)、常光線に対しては回折格子として作用する。偏光ホログラム91には、特開平6−27322号公報に開示されているものを用いることができる。このような偏光ホログラムは、複屈折を有するニオブ酸リチウム基板の所定の一部をプロトン交換し、そのプロトン交換部をエッチングすることによって形成できる。
【0075】
光学素子100は、液晶の屈折率を変化させることによって収差補正を行う素子である。光学素子100の詳細については後述する。
【0076】
1/4波長板93は、たとえば水晶からなる。1/4波長板93は、光源51から出射される直線偏光を円偏光に変換すると共に、光記録媒体60の記録層で反射された光を照射時とは異なる方向の直線偏光に変換する非線形光学素子である。なお、1/4波長板の代わりに、N/4波長板(Nは1以上の奇数)を用いてもよい。
【0077】
次に、光ヘッド90の動作について、図9を参照しながら説明する。光源51から出射された直線偏光(レーザビーム61)は、偏光ホログラム91をほぼ100%の透過率で透過してコリメータレンズ53に入射し、コリメータレンズ53によよって平行光にされる。この平行光は、光学素子100に入射する。
【0078】
ここで、光記録媒体60の基材厚が設計値からずれている場合には、そのずれ量に応じた信号を基材厚センサ56は出力し、その信号は光学素子駆動回路57に入力される。光学素子駆動回路57は、入力された信号に基づいて、光記録媒体60の基材厚がずれたときに生じる波面収差を補正するために必要な信号を光学素子100に出力する。光学素子100に入射した光には、光学素子駆動回路57により出力された信号に基づいて、波面収差が与えられる。具体的には、基材厚のずれの方向に応じて、平行光を発散光に変換する位相(パワー成分)、または平行光を収束光に変換する位相を与えるような波面収差が与えられる。
【0079】
次に、光学素子100を透過した光は1/4波長板93に入射され、直線偏光から円偏光に変換される。この円偏光は、平行ではない状態で対物レンズ55に入射するために対物レンズ55において球面収差が生じ、この球面収差で光記録媒体60の基材厚がずれていることにより発生する球面収差を補正する。従って、光記録媒体60上では収差のない、すなわち回折限界まで絞られた光スポットが形成される。
【0080】
光記録媒体60に入射した光は、光記録媒体60によって反射され、光記録媒体60の基材厚がずれたときに生じる波面収差を有する光になる。この光は、対物レンズ55を透過して1/4波長板93に入射される。1/4波長板93に入射された光は、円偏光から直線偏光に変換される。この直線偏光は、光源51から出射される直線偏光に対して偏光方向が直交している。球面収差を有するこの直線偏光は、本発明の光学素子100に入射され、往路と同じパワー成分を与えられることによって球面収差が補正される。
【0081】
光学素子100を透過した直線偏光は、偏光ホログラム91によりほぼ100%回折され、回折の+1次光は第1の光検出器58に入射され、回折の−1次光は第2の光検出器59に入射される。第1の光検出器58は、光記録媒体60上における光の合焦状態を示すフォーカス誤差信号を出力し、また光の照射位置を示すトラッキング誤差信号を出力する。第2の光検出器59は、光記録媒体60に記録された情報についての信号を出力する。
【0082】
第1の光検出器58から出力されたフォーカス誤差信号は、図示していないフォーカス制御回路に入力される。フォーカス制御回路は、フォーカス誤差信号に基づき、光が合焦状態で光記録媒体60上に集光されるように対物レンズ55の位置をその光軸方向に制御する。また、トラッキング誤差信号は、図示していないトラッキング制御回路に入力される。トラッキング制御回路は、トラッキング誤差信号に基づき、光記録媒体60上の所望のトラックに光が集光されるように対物レンズ55の位置を制御する。対物レンズ55の位置は、アクチュエータ62を用いて制御される。
【0083】
光ヘッド90では、偏光光学系を用いているために光源51から出射される光の利用効率が高く、書き換え可能な光記録媒体の記録/再生を容易にできる。
【0084】
次に、本発明の光学素子100について述べる。液晶は1軸性複屈折材料であるため、液晶のラビング方向と入射する光の偏光方向とが平行であるときのみ入射した光に位相変化を与えることができる。そこで、偏光光学系のように往路と復路で偏光方向が直交している場合には、実施形態1の光学素子では復路において位相変化を与えることができない。入射された光をデフォーカスする光学素子と対物レンズとの組み合わせで補正を行う本発明の光ヘッドでは、復路において往路と同じ位相変化が与えられないとなると、光検出器においてデフォーカスするという問題がある。そこで、復路の偏光に対しても同じ位相変化を与えるために、実施形態3の光ヘッドでは、偏光光学系に対応した光学素子を用いる必要がある。
【0085】
以下に、光学素子100について説明する。光学素子100の断面図を図10に模式的に示す。光学素子100は、第1の基板101、第2の基板102、第3の基板103、第1の電圧印加電極104、第2の電圧印加電極105、第1の対向電極106、第2の対向電極107、第1の透光性樹脂膜108、第2の透光性樹脂膜109、第3の透光性樹脂膜110、第4の透光性樹脂膜111、第1の液晶112、第2の液晶113、第1の封止樹脂114および第2の封止樹脂115を含む。
【0086】
第1、第2および第3の基板101、102および103は、お互いに略平行に配置されている。これらの基板は、透光性であり、たとえばガラスからなる。
【0087】
第1の電圧印加電極104は、第1の基板101と第1の液晶112との間に配置される。第1の電圧印加電極104は、第1の液晶112に所望の電圧を印加するための電極である。第1の電圧印加電極104は、第1の基板101の内側(液晶112側)の主面上に形成されている。
【0088】
第2の電圧印加電極105は、第3の基板103と第2の液晶113との間に配置される。第2の電圧印加電極105は、第2の液晶113に所望の電圧を印加するための電極である。第2の電圧印加電極105は、第3の基板103の内側(液晶113側)の主面上に形成されている。
【0089】
第1および第2の電圧印加電極104および105は、図2に示すように、複数のセグメント電極を含む。なお、図3に示すように、電圧印加電極または対向電極が曲面に形成される場合には、連続的に形成される。
【0090】
第1の対向電極106は、第1の電圧印加電極104と略平行に配置される。第1の対向電極106は、第1の電圧印加電極104とともに、第1の液晶112に所望の電圧を印加するための電極である。第1の対向電極106は、第2の基板102の第1の液晶112側の主面のうち、少なくともセグメント電極に対向する部分に略均一に形成される。
【0091】
第2の対向電極107は、第2の電圧印加電極105と略平行に配置される。第2の対向電極107は、第2の電圧印加電極105とともに、第2の液晶113に所望の電圧を印加するための電極である。第2の対向電極107は、第2の基板102の第2の液晶113側の主面のうち、少なくともセグメント電極に対向する部分に略均一に形成される。
【0092】
第1および第2の透光性樹脂膜108および109は、それぞれ、第1の電圧印加電極104および第1の対向電極106を覆うように形成される。第1および第2の透光性樹脂膜108および109は、第1の液晶112を所定の方向に配向させるための配向膜であり、たとえばポリビニルアルコール膜からなる。第1の透光性樹脂膜108または第2の透光性樹脂膜109をラビング処理することによって、第1の液晶112を所定の方向に配向させることができる。
【0093】
第3および第4の透光性樹脂膜110および111は、それぞれ、第2の電圧印加電極105および第2の対向電極107を覆うように形成される。第3および第4の透光性樹脂膜110および111は、第2の液晶113を配向させるための配向膜であり、たとえばポリビニルアルコール膜からなる。第3の透光性樹脂膜110または第4の透光性樹脂膜111をラビング処理することによって、第2の液晶113を所定の方向に配向させることができる。第1の液晶112の配向方向と、第2の液晶113の配向方向とは直交している。
【0094】
第1の液晶112は、第1および第2の透光性樹脂膜108および109の間(第1の電圧印加電極104と第1の対向電極106との間)に配置される。第1の液晶112は、入射した光の位相を変化させる位相変化層として機能する。第1の液晶112には、たとえばネマチック液晶を用いることができる。第1の電圧印加電極104と第1の対向電極106との間の電圧を変化させることによって第1の液晶112の屈折率を変化させることができ、これによって入射した光の位相を変化させることができる。
【0095】
第2の液晶113は、第3および第4の透光性樹脂膜110および111の間(第2の電圧印加電極105と第2の対向電極107との間)に配置される。第2の液晶113は、入射した光の位相を変化させる位相変化層として機能する。第2の液晶113には、たとえばネマチック液晶を用いることができる。第2の電圧印加電極105と第2の対向電極107との間の電圧を変化させることによって第2の液晶113の屈折率を変化させることができ、これによって入射した光の位相を変化させることができる。
【0096】
第1の封止樹脂114は、第1の液晶112を封止するためのものであり、第1の液晶112を囲むように第1および第2の透光性樹脂膜108および109の間に配置される。第2の封止樹脂115は、第2の液晶113を封止するためのものであり、第2の液晶113を囲むように第3および第4の透光性樹脂膜110および111の間に配置される。第1および第2の封止樹脂114および115には、たとえばエポキシ樹脂を用いることができる。
【0097】
次に、光学素子100の動作について説明する。第1および第2の電圧印加電極104および105のセグメント電極には、外部から制御電圧が印加される。このとき、第1の液晶112の配向方向と第2の液晶113の配向方向とが直交しているため、往路における直線偏光は、第1の液晶112の屈折率変化のみに影響を受け、第1の液晶112によってパワー成分の位相が与えられる。すなわち、光学素子100に入射した平面波は球面波に変換される。
【0098】
一方、光記録媒体60によって反射された光は、往路の直線偏光に対して直交した直線偏光になる。このため、復路における光は、第2の液晶113の影響のみを受け、第2の液晶113によってパワー成分の位相が与えられる。ここで、第1および第2の電圧印加電極104および105のパターンおよび印加される電圧が同一の場合には、往路と復路とで同じ位相が与えられるので、光学素子100に入射された球面波を平面波に変換することができる。
【0099】
以上説明したように、配向方向が異なる2つの液晶層を用いることによって、偏光光学系においても球面収差の補正ができる。光学素子100を用いて補正を行うことによって、実施形態2で述べたように、良好なレンズシフト特性が得られる。
【0100】
なお、実施形態3では、光学素子が2つの液晶層を備える場合について説明したが、実施形態1で説明した光学素子を、液晶の配向方向が直交するように配置して用いてもよい。
【0101】
(実施形態4)
実施形態4では、本発明の光記録再生装置について一例を説明する。実施形態4の光記録再生装置は、光記録媒体に対して、信号の記録または再生を行う装置であり、信号の記録および再生を行ってもよい。
【0102】
実施形態4の光記録再生装置116の構成を、図11に模式的に示す。図11を参照して、光記録再生装置116は、光ヘッド50と、光学素子駆動回路57と、モータ117と、処理回路118とを備える。
【0103】
光ヘッド50は、実施形態2で説明したものであり、本発明の光学素子を含む。なお、光ヘッド50の代わりに、光ヘッド90を用いてもよい。これらの光ヘッドについては、重複する説明を省略する。
【0104】
実施形態4の光記録再生装置では、光源として、波長が390nm〜420nmの範囲内のレーザビームを出射する半導体レーザ素子を用いる。また、対物レンズとして、開口数が0.7から0.9の範囲内の対物レンズを用いる。
【0105】
次に、光記録再生装置116の動作について説明する。まず、光記録再生装置116に光記録媒体60がセットされると、処理回路118はモータ117を回転させる信号を出力し、モータ117を回転させる。次に、処理回路118は、光源51を駆動して光を出射させる。光源51から出射された光は、光記録媒体60で反射され、第1および第2の光検出器58および59に入射する。
【0106】
第1の光検出器58は、光記録媒体60上における光の合焦状態を示すフォーカス誤差信号と、光の照射位置を示すトラッキング誤差信号とを処理回路118に出力する。これらの信号に基づき、処理回路118は、アクチュエータ62を制御する信号を出力し、これによって光源51から出射された光を光記録媒体60上の所望のトラック上に集光させる。また、処理回路118は、第2の光検出器59から出力される信号に基づいて、光記録媒体60に記録されている情報を再生する。
【0107】
次に、光記録媒体60の基材厚が設計値とは異なるときの制御について説明する。光記録再生装置116では、光記録媒体60の基材厚が設計値通りである場合に、球面収差の補正が不要なように光ヘッドが構成されている。そのため、基材厚が設計値からずれた場合には、球面収差の補正が必要となる。
【0108】
光記録媒体60の基材厚がずれている場合には、光記録媒体60の基材厚のずれに応じた信号が基材厚センサ56によって処理回路118に出力される。処理回路118は、入力された信号に応じて光学素子駆動回路57を制御し、これによって、光記録媒体60の基材厚のずれによって生じる球面収差を補正するために必要な制御信号が、光学素子駆動回路57から光学素子54に出力される。そして、光学素子54によって球面収差の補正がなされる(詳細については、実施形態1および2参照)。このようにして、光記録媒体60の基材厚が設計値からずれても、光記録媒体60に記録された情報信号は、正しく再生される。
【0109】
なお、実施形態4では、基材厚センサを用いて基材厚のずれを検出する装置について示したが本発明の光記録再生装置は、基材厚センサを用いる装置に限定されない。たとえば、光記録媒体60をモータにセットしたときに基材厚のずれを学習し、学習した基材厚のずれをもとに球面収差の補正を行う光記録再生装置であってもよい。
【0110】
(実施形態5)
実施形態5では、本発明の光記録再生装置の他の一例、およびそれを用いた光記録再生方法を説明する。実施形態5の光記録再生装置および方法は、記録層を1つだけ含む第1の光記録媒体および複数の記録層を含む第2の光記録媒体に対して信号の記録または再生を行う。
【0111】
実施形態5の光記録再生装置は、光源と、光記録媒体と光源との間に配置された球面収差補正手段とを含む。具体的には、本発明の光ヘッドを含む光記録再生装置を用いることができる。この場合、本発明の光学素子および対物レンズが球面収差補正手段として機能する。実施形態5の光記録再生装置では、光源として、波長が390nm〜420nmの範囲内のレーザービームを出射する半導体レーザー素子を用いる。また、対物レンズとして、開口数が0.7から0.9の範囲内の対物レンズを用いる。
【0112】
以下、実施形態5の光記録再生装置として、実施形態4で説明した光記録再生装置116を用いた場合について説明する。
【0113】
光記録再生装置116で記録または再生される第1の光記録媒体121および第2の光記録媒体122の基材厚について、図12(a)に模式的に示す。光記録媒体121は、記録層として記録層Aのみを含む。光記録媒体122は、記録層として記録層BおよびCを含む。なお、光記録媒体122は、2つ以上の記録層を含んでもよい。
【0114】
記録層Aについての基材厚(表面121sから記録層Aまでの距離)は、図12(a)のaで表される。記録層BおよびCについての基材厚(表面121sから記録層BおよびCまでの距離)は、それぞれ、図12(a)のbおよびcで表される。実施形態5の光記録再生装置においては、第2の光記録媒体122の基材厚の1つ(bまたはc)が基材厚aに等しい。図12(a)では、基材厚aと基材厚bとが等しい場合を示している。これらの基材厚は、基板と、基板と記録層との間に形成される層(たとえば、紫外線硬化性樹脂)との合計の厚さである。記録層は、たとえば、結晶相と非晶質相との間で相変化を起こすことによって屈折率が変化する相変化材料からなる。
【0115】
なお、基材厚が基材厚aに等しい記録層Bには、第2の光記録媒体122の管理情報が記録されていることが好ましい。この構成によれば、球面収差補正手段を初期状態にしたまま光記録媒体122の管理情報を再生できる。
【0116】
実施形態5の光記録再生装置では、光ヘッド50が、第1の光記録媒体121の基材厚aにあわせて設計される。すなわち、光ヘッド50は、第1の光記録媒体121の基材厚aのずれに対しては球面収差の補正を行わずにに再生できるマージンを有するように設計される。このような場合、第2の光記録媒体122の基材厚のずれに対しては、球面収差の補正が必要となる。
【0117】
以下に、実施形態5における光記録再生装置116の動作について説明する。まず、光記録媒体121または122がモータ117上にセットされると、処理回路118はモータ117を回転させる。次に、処理回路118は、記録または再生を行う前の初期状態において、セットされた光記録媒体が光記録媒体121であるか122であるかを判断することなく、基材厚aの球面収差を補正するように球面収差補正手段を駆動させる。具体的には、本発明の光学素子に外部から電圧を与えない状態にしておく。
【0118】
次に、フォーカス制御手段によって、フォーカス制御を行う。フォーカス制御手段は、アクチュエータ62と処理回路118とによって構成される。
【0119】
以下にフォーカス制御の方法について説明する。まず、光源51を駆動して光を出射させ、光記録媒体60で反射された光を第1の光検出器58で検出する。第1の光検出器58は、光記録媒体60上における光の合焦状態を示すフォーカス誤差信号と、光の照射位置を示すトラッキング誤差信号とを処理回路118に出力する。これらの信号に基づき、処理回路118は対物レンズ55を制御する信号を出力し、これによって光源51から出射された光を光記録媒体60上の所望のトラック上に集光させる。また、処理回路118は、第2の光検出器59から出力される信号に基づいて、光記録媒体60に記録されている情報を再生する。
【0120】
一方、第2の光記録媒体122の記録層Cについて記録または再生を行う場合には、記録層Cの球面収差を補正するように球面収差補正手段を駆動する。具体的には、記録層Bから記録層Cに焦点を移動させる信号を処理回路118が出力するとほぼ同時に、処理回路118は基材厚のずれを補正する信号を出力するように光学素子駆動回路57を駆動する。この構成によれば、記録または再生する記録層を変更した場合にも信号が良好に記録または再生される。
【0121】
以上のように、実施形態5の光記録再生装置では、記録または再生の前に、記録層Aの球面収差を補正するように球面収差補正手段を駆動する第1のステップを含む光記録再生方法によって信号の記録または再生を行う。この光記録再生方法では、記録層Cに信号の記録または再生を行う場合に、第1のステップののちに、記録層Cの球面収差を補正するように球面収差補正手段を駆動する第2のステップを含む。すなわち、実施形態5の光記録再生装置は、上記光記録再生方法を実施するためのプログラムを処理回路118に格納している。
【0122】
実施形態5の光記録再生装置および方法では、光記録媒体の記録層が1つであるか複数であるかを判断することなく球面収差の補正ができるため、記録または再生までの時間を短縮できる。なお、光記録媒体の記録層が1つのみであるか複数であるかが既知の状態であっても、球面収差補正手段を基材厚aにあわせた状態にしてフォーカス制御を開始する。この場合でも、球面収差補正手段が初期の状態になっているのでフォーカス制御までの時間が早くなる。
【0123】
波長を短くしNAを大きくして高密度化を達成する場合には、球面収差に対するマージンが小さくなる。そこで、記録層の基材厚が異なる場合には、各記録層毎に球面収差の補正をすることが必要になる。このような場合に、記録層A、BおよびCの基材厚がそれぞれ異なっていると仮定すると、記録層Aについては球面収差の補正が必要ないが、記録層BおよびCについては球面収差の補正が必要となる。これに対し、上述したように、記録層Aの基材厚と記録層Bの基材厚とを等しくすることによって、記録層Cの場合にのみ球面収差の補正を行えばよいことになる。このため、実施形態5の光記録再生装置では、球面収差の補正を行うための回路を簡略化できる。また、記録層の基材厚を学習する場合でも、1つの層の基材厚は既知であるため、学習時間を短縮できる。
【0124】
また、実施形態5の光記録再生装置では、本発明の光学素子を用いることによって、光記録媒体に記録された情報信号を信頼性良く再生できる光記録再生装置が得られる。また、本発明の光学素子を用いることによって光記録媒体60の基材厚のずれに対する許容度が大きくなるため、製造が安価かつ容易な光記録再生装置が得られる。
【0125】
(実施形態6)
実施形態6では、本発明の光記録再生装置の他の一例、およびそれを用いた光記録再生方法について説明する。実施形態6の光記録再生装置および方法は、記録層を1つだけ含む第1の光記録媒体および複数の記録層を含む第2の光記録媒体に対して信号の記録または再生を行う。
【0126】
実施形態6の光記録再生装置は、光源と、光記録媒体と光源との間に配置された球面収差補正手段と、フォーカス誤差検出手段と、フォーカス制御手段とを含む。具体的には、本発明の光ヘッドを含む光記録再生装置を用いることができる。
【0127】
以下、実施形態6の光記録再生装置として、実施形態4で説明した光記録再生装置116を用いる場合について説明する。この場合、本発明の光学素子54および対物レンズ55が球面収差補正手段として機能し、第1の光検出器58がフォーカス誤差検出手段として機能し、アクチュエータ62および処理回路118がフォーカス制御手段として機能する。実施形態6の光記録再生装置では、光源として、波長が390nm〜420nmの範囲内のレーザービームを出射する半導体レーザー素子を用いる。また、対物レンズとして、開口数が0.7から0.9の範囲内の対物レンズを用いる。
【0128】
実施形態6では、光記録再生装置116で記録または再生される第1の光記録媒体および第2の光記録媒体の基材厚はお互いに異なる。第1の光記録媒体の記録層の基材厚をaとし、第2の光記録媒体の記録層の基材厚をbおよびcと仮定した場合、a、bおよびcはそれぞれ異なる(図12(b)参照)。
【0129】
実施形態6の光記録再生装置では、光記録媒体に信号の記録または再生を行う前の初期状態において、第1の光記録媒体に含まれる記録層の球面収差を補正するように球面収差補正手段を駆動する。その後、フォーカス誤差検出手段でフォーカス誤差を検出し、検出されたフォーカス誤差に基づいてフォーカス制御手段でフォーカス制御を行う。信号の記録または再生はフォーカス制御ののちに行われる。なお、球面収差の補正の方法、フォーカス誤差の検出方法、およびフォーカス制御の方法については、上記実施形態で説明した方法を用いることができる。
【0130】
以上のように、実施形態6の光記録再生装置では、記録または再生の前に、第1の光記録媒体に含まれる記録層の球面収差を補正するように球面収差補正手段を駆動する第1のステップを含む光記録再生方法によって信号の記録または再生を行う。この光記録再生方法は、第1のステップののちに、フォーカス誤差検出手段でフォーカス誤差を検出する第2のステップと、検出されたフォーカス誤差信号に基づいてフォーカス制御手段でフォーカス制御を行う第3のステップとを含む。信号の記録または再生は、この第3のステップののちに行われる。ここで、セットされた光記録媒体が複数の記録層を含む第2の光記録媒体である場合には、上記したステップの終了後、基材厚センサーで得られる基材厚誤差信号に基づいて球面収差補正手段が駆動され、その後、記録または再生が行われる。実施形態6の光記録再生装置は、この光記録再生方法を実施するためのプログラムを処理回路118に格納する。
【0131】
実施形態6の光記録再生装置および光記録再生方法では、光記録再生装置にセットされた光記録媒体が、第1の光記録媒体であるか第2の光記録媒体であるかに拘わらず(すなわち、セットされた光記録媒体が第1の光記録媒体であるか第2の光記録媒体であるかということが既知であるか未知であるかに拘わらず)、第1の光記録媒体の記録層の基材厚にあわせて球面収差補正手段を駆動し、フォーカス制御を行う。この構成によれば、記録または再生される光記録媒体が、記録層を1つだけ含む光記録媒体であるか、複数の記録層を含む光記録媒体であるかを判別せずにフォーカス制御が行われるため、フォーカス制御までの時間を短くできる。
【0132】
なお、記録または再生の対象となる光記録媒体が、第1の光記録媒体であるか第2の光記録媒体であるかが既知である場合には、まず、対象となる記録層の標準的な基材厚における球面収差を補正するように球面収差補正手段を駆動してもよい。そして、その後、フォーカス誤差検出手段でフォーカス誤差を検出し、検出されたフォーカス誤差に基づいてフォーカス制御手段でフォーカス制御を行ってもよい。記録または再生は、フォーカス制御ののちに行われる。この方法では、フォーカス制御を行う前に,標準的な基材厚における球面収差を補正するように球面収差補正手段を駆動している。このため、標準的な基材厚と実際の基材厚とのずれを基材厚センサで検出し、そのずれに基づいて球面収差を完全に補正してから記録または再生を行うことができる。すなわち、実施形態6では、記録または再生の対象となる光記録媒体が第1の光記録媒体であるか第2の光記録媒体であるかの情報を取得する第1のステップを含む光記録再生方法によって記録または再生を行う。この方法は、取得した情報に基づいて記録または再生の対象となる記録層の標準的な基材厚における球面収差を補正するように球面収差補正手段を駆動させる第2のステップと、フォーカス誤差検出手段でフォーカス誤差を検出する第3のステップと、検出されたフォーカス誤差に基づいてフォーカス制御手段でフォーカス制御を行う第4のステップとを含む。記録または再生は、フォーカス制御ののちに行われる。この場合には、処理回路118は、上記4つのステップを含むプログラムを格納する。
【0133】
第1のステップにおいて、記録または再生の対象となる光記録媒体が記録層を1つだけを含む第1の光記録媒体であるか、複数の記録層を含む第2の光記録媒体であるかの情報の取得は以下のように行われる。フォーカス誤差を示すフォーカス誤差信号は記録層に対応して検出される。すなわち、記録層が2つあればフォーカス誤差信号が2つ検出される。そこで、この検出される信号の数を検出する回路を構成すれば光記録媒体に含まれる記録層がいくつであるかの情報を取得できる。
【0134】
記録または再生の対象となる光記録媒体が記録層を1つだけ含む光記録媒体であるか、複数の記録層を含む光記録媒体であるかの情報を最初に取得する上記の方法によれば、記録層に応じた標準的な基材厚に対応する球面収差補正を行ってからフォーカス制御を行うので安定したフォーカス制御が可能となる。
【0135】
なお、上記実施形態では、光ヘッド50を含む光記録再生装置を用いる場合について説明したが、光ヘッド90を用いてもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、コリメータレンズと対物レンズとの間(平行光系)に本発明の光学素子を配置する場合について説明したが、光源とコリメータレンズとの間(発散光系)に配置してもよい。
【0137】
また、上記実施形態では無限系の光ヘッドについて説明したが、本発明の光ヘッドは、コリメータレンズを用いない有限系の光ヘッドであってもよい。
【0138】
また、上記実施形態2および3では、センサを用いて基材厚のずれを検出する場合について説明したが、あらかじめ学習した基材厚のずれを用いて球面収差の補正を行ってもよい。
【0139】
また、上記実施形態では、光記録媒体からの反射光を光源からの光路と分離するために回折格子を用いる場合について説明したが、回折格子の代わりに他の光学素子(たとえばハーフミラー)を用いてもよい。
【0140】
また、上記実施形態では、光のみによって情報を記録する光記録媒体について説明したが、光および磁気によって情報を記録する光記録媒体についても、本発明を適用できる。また、本発明は、ディスク状の光記録媒体に限らず、カード状の光記録媒体などにも適用できる。
【0141】
また、上記実施形態では、透過する光に対して位相を変化させる光学素子について説明したが、入射した光を反射する際に位相を変化させる光学素子であってもよい。たとえば、圧電材料からなる位相変化層を用い、位相変化層をひずませることによって反射光の位相を変化させる光学素子を用いてもよい。詳細に述べると、ガラス基板上に全反射ミラーが形成されており、その裏面に圧電材料が設けられており、外部からの電圧に応じて圧電材料がふくらまされる。たとえば、圧電材料のうち、全反射ミラーの中央部に設けられた領域のみをふくらませることによって、全反射ミラーが球面のようになり、レンズ作用を持つようになる。したがって、入射された平行光を発散光に変換することができるので球面収差を補正することが可能となる。
【0142】
また、上記光記録再生装置および光記録再生方法では、球面収差補正手段として本発明の光学素子と対物レンズとを用いる場合について説明したが、他の球面収差補正手段を用いてもよい。たとえば、球面収差補正手段として、光軸に沿って配置された2枚のレンズを用いてもよい。これらの2枚のレンズを光軸方向に動かして球面収差の補正を行うことができる。
【0143】
また、上記光記録再生装置および光記録再生方法では、フォーカス誤差検出手段として光検出器を用いる場合について説明したが、他のフォーカス誤差検出手段を用いてもよい。
【0144】
また、上記光記録再生装置および光記録再生方法では、フォーカス制御手段として処理回路とアクチュエータとを用いる場合について説明したが、他のフォーカス制御手段を用いてもよい。
【0145】
また、上記実施形態では、光源として半導体レーザを用いる場合について説明したが、光源として、第2高調波を発生するSHG光源を用いてもよい。
【0146】
また、上記実施形態では、光記録媒体として相変化型の光記録媒体を用いて説明したが、光磁気記録媒体など、他の光記録媒体を用いてもよい。
【0147】
以上、本発明の実施の形態について例を挙げて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず本発明の技術的思想に基づく他の実施形態に適用することができる。
【0148】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ヘッドによれば、対物レンズが移動しても補正効果が劣化しない。そのため、本発明の光ヘッドを用いた、光記録再生装置によれば、信頼性よく信号の記録または再生を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光学素子について一例を示す断面図である。
【図2】 本発明の光学素子ついて電圧印加電極の一例を示す平面図である。
【図3】 本発明の光学素子について他の一例を示す断面図である。
【図4】 光軸中心からの距離と球面収差を補正するために必要な位相との関係について一例を示す図である。
【図5】 本発明の光ヘッドについて一例の構成を模式的に示す図である。
【図6】 基材厚と収差との関係について一例を示すグラフである。
【図7】 レンズシフトと収差との関係について一例を示すグラフである。
【図8】 レンズシフトと収差との関係について他の一例を示すグラフである。
【図9】 本発明の光ヘッドについて他の一例の構成を模式的に示す図である。
【図10】 本発明の光学素子について他の一例を示す断面図である。
【図11】 本発明の光記録再生装置について一例の構成を模式的に示す図である。
【図12】 本発明の光記録再生装置で記録または再生される第1の光記録媒体と第2の光記録媒体とについて基材厚の(a)一例および(b)他の一例を示す模式図である。
【図13】 従来の光ヘッドについて一例の構成を模式的に示す図である。
【図14】 従来の光学素子に用いられる液晶パネルの電極について一例を示す平面図である。
【図15】 基材厚が設計値からずれた場合の波面収差の分布について一例を示す図である。
【図16】 基材厚が設計値からずれた場合のレンズシフトと収差との関係について一例を示すグラフである。
【符号の説明】
10、10a、54、100 光学素子
11、101 第1の基板
12、102 第2の基板
13、104、105 電圧印加電極
13a〜g セグメント電極
14、16 透光性樹脂膜
15、112、113 液晶
17、106、107 対向電極
50、90 光ヘッド
51 光源
52 回折格子
53 コリメータレンズ
55 対物レンズ
56 基材厚センサ
57 光学素子駆動回路
58 第1の光検出器
59 第2の光検出器
60 光記録媒体
61 レーザビーム
62 アクチュエータ
91 偏光ホログラム
93 1/4波長板
103 第3の基板
116 光記録再生装置
117 モータ
118 処理回路
121 第1の基板
121s、122s 表面
122 第2の基板
A、B、C 記録層
a、b、c 基材厚

Claims (7)

  1. 光記録媒体に対して信号の記録または再生を行う光ヘッドであって、
    光源と、前記光記録媒体と前記光源との間に配置された光学素子と、前記光記録媒体と前記光学素子との間に配置された対物レンズとを含み、
    前記光学素子は、
    第1の電圧印加電極と、前記第1の電圧印加電極に対向するように配置された第1の対向電極と、前記第1の電圧印加電極と前記第1の対向電極との間に配置された第1の液晶とを含む第1素子部と、
    第2の電圧印加電極と、前記第2の電圧印加電極に対向するように配置された第2の対向電極と、前記第2の電圧印加電極と前記第2の対向電極との間に配置された第2の液晶とを含む第2素子部とを備え、
    前記第1素子部は、第1の偏光方向を有する前記光源からの出射光に対して平面波を球面波に変換する位相を与え、
    前記第2素子部は、前記第1の偏光方向と直交する第2の偏光方向を有する前記光記録媒体からの反射光に対して平面波を球面波に変換する位相を与え、
    前記第1の電圧印加電極と前記第1の対向電極との間の電圧を変化させることによって、前記第1の液晶に入射した前記出射光に対してのみ平面波を球面波に変換する位相を与え、
    前記第2の電圧印加電極と前記第2の対向電極との間の電圧を変化させることによって、前記第2の液晶に入射した前記反射光に対してのみ平面波を球面波に変換する位相を与えることを特徴とする光ヘッド
  2. 前記第1の電圧印加電極および前記第1の対向電極から選ばれる少なくとも1つの電極が曲面に配置されている請求項1に記載の光ヘッド
  3. 前記第1の電圧印加電極が複数のセグメント電極を含む請求項1ないし2のいずれかに記載の光ヘッド
  4. 前記第2の電圧印加電極および前記第2の対向電極から選ばれる少なくとも1つの電極が曲面に配置されている請求項1ないし3のいずれかに記載の光ヘッド
  5. 前記第2の電圧印加電極が複数のセグメント電極を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の光ヘッド
  6. 前記光学素子と前記対物レンズとの間に配置されたN/4波長板(Nは1以上の奇数)を更に含む請求項に記載の光ヘッド。
  7. 光記録媒体に対して信号の記録または再生を行う光記録再生装置であって、
    請求項1ないし5のいずれかに記載の光ヘッドを備えたことを特徴とする光記録再生装置。
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