JP4733322B2 - 音響振動部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリケトン繊維を用いた音響振動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
導電型スピーカーに代表される電気音響変換器の音響特性は、主として振動系の物理特性に左右される。なかでも、振動板は、スピーカーの性能に大きな影響を与える重要な部材である。
【0003】
このスピーカーに組み込まれる振動板やセンターキャップの材質としては、少なくとも次の基本特性が要求される。すなわち、1)能率を向上させ、過渡特性を良くするために、質量あるいは密度が小さいこと、2)周波数の再生帯域を広げ、過渡特性を良くすると共に、高音域を伸ばすために弾性率が大きいこと、3)分割振動を抑え、高音共振のピークディップを小さくし、音圧周波数特性をフラットにするため、適度な内部損失を有すること、等である。
【0004】
従来から振動板材料として使用されてきた代表的なものとして、木材パルプを主体とした紙がある。紙製の振動板は、設計の自由度が大きく、重宝なものである。しかし、紙製の振動板は、比弾性率(弾性率/密度)がそれほど大きくなく、再生周波数音圧レベルが低いという欠点がある。また、湿度の影響を受け易く、物性が不安定である。
【0005】
これらの欠点を解消するため、チタン,ベリリウム等の金属製の振動板やポリプロピレン等のプラスチックス製の振動板が使用されるようになってきている。ところが、金属製の振動板は、剛性の点で優れているものの、密度が大きく、重いという欠点があり、また、内部損失も小さい。他方、プラスチックス製の振動板は、低密度であるものの、剛性が小さいために厚肉化して使用せざるをえず、結果として質量が増加し、また、耐熱性にも劣る。
【0006】
このようなことから、設計の自由度を考慮して、木材パルプを主体とした紙製の振動板を依然として多用しているのが現状である。そして、この紙製の振動板をベースとして、たとえば炭素繊維、アラミド繊維、芳香族ポリエステル繊維等を木材パルプに混抄すること等によって、紙製振動板の物性を改善することが検討されている(特開昭56−48798号公報、特開昭56−57395号公報、特開昭62−36999号公報等参照)。
【0007】
また、近年、加工コストの低減から、熱可塑性樹脂に木材パルプや炭素繊維、アラミド繊維、芳香族ポリエステル繊維等を混ぜて射出成形により音響振動部材を製造することが行われている。
【0008】
しかしながら、木材パルプは比弾性率が低い、耐熱性が低い、湿度変化による音響変化の程度が大きい、加工性が悪いといった問題がある。また、炭素繊維、アラミド繊維、芳香族ポリエステル繊維は、バインダーや樹脂との接着性が悪い、高価である、密度が大きいといった問題があった。これらの問題は、音響振動部材の耐久性、耐熱性、耐湿性に悪影響を及ぼし、例えば、寒暖に晒される車両内部等の過酷な使用雰囲気においては、長期間にわたって音質の安定した再生音が得られないという問題を引き起こす。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、耐久性、耐熱性、耐湿性が優れ、音響特性に優れた音響振動部材を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、耐久性、耐熱性、耐湿性が優れ、音響特性の良好な音響振動部材を開発するために、様々な素材を検討した結果、オレフィンと一酸化炭素の共重合ポリマーから構成された脂肪族ポリケトン繊維がこれらの課題を解決しうる可能性を見出し、更に検討を重ねた結果、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明は下記の通りである。
【0012】
1.オレフィンと一酸化炭素の共重合ポリマーより構成されたポリケトン繊維を含むことを特徴とする音響振動部材。
【0013】
2.ポリケトン繊維の結晶化度が40%以上であることを特徴とする上記1記載の音響振動部材。
【0014】
3.ポリケトン繊維が、比表面積0.3m2/g以上のフィブリル状物であることを特徴とする上記1又は2記載の音響振動部材。
【0015】
4.ポリケトン繊維の引張弾性率が100cN/dtex以上であることを特徴とする上記1又は2記載の音響振動部材。
【0016】
5.音響振動部材中のポリケトン繊維の割合が5〜100wt%であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の音響振動部材。
【0017】
6.上記1〜5のいずれかに記載の音響振動部材を用いたことを特徴とする音響機器。
【0018】
以下、本発明につき詳述する。
【0019】
本発明において、ポリケトン繊維に用いるポリマーは、オレフィンと一酸化炭素が共重合したポリケトンポリマーである。ポリケトンポリマーの組成としては、強度、弾性率、樹脂との接着性、寸法安定性、耐湿熱性等の観点から、エチレンと一酸化炭素が結合した1−オキソトリメチレンを主たる繰り返し単位とするポリマーが好ましい。繰り返し単位中の1−オキソトリメチレンの割合は、多ければ多いほど高融点、高力学物性、高寸法安定性の繊維が得られるため、ポリケトンポリマー質量の90wt%以上であることが好ましく、さらに好ましくは97wt%以上である。
【0020】
このオレフィンと一酸化炭素が結合した繰り返し単位同士は、部分的にケトン基同士、エチレン同士が連結していてもよいが、90wt%以上がオレフィンと一酸化炭素が交互に配列したポリケトンポリマーであることが望ましい。オレフィンと一酸化炭素が交互に配列した部分の含有率は、多ければ多いほど耐熱性、高温時の物性保持が良好であることから、好ましくは97wt%以上、最も好ましくは100wt%である。
【0021】
また、必要に応じて、プロペン、ブテン、ヘキセン、シクロヘキセン、ペンテン、シクロペンテン、オクテン、ノネン等のエチレン以外のオレフィンや、メチルメタクリレート、酢酸ビニル、アクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、スチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルピロリドン、塩化ビニル等の不飽和炭化水素を有する化合物を共重合してもよい。
【0022】
本発明の音響振動部材に含まれるポリケトン繊維の形態としては、特に制限はないが、マルチフィラメント、短繊維、フィブリル状物が好ましい。
【0023】
ここで、フィブリル状物とは、(1)大きさが異なる繊維状、薄膜状又はリボン状、あるいはこれらの形状が合わさった不定形の微小な粒子からなり、(2)大抵の粒子の三次元の寸法の最大のものは他の2つの寸法よりはるかに大きく、かつ好ましくは小さい2つの寸法は10μmを越えず、(3)好ましくは他の粒子と機械的にもつれ合うことのできる多数の触手状突起を有する繊維状、薄膜状又はリボン状構造に形づくられ、かつ(4)普通の紡糸法によって同じ重合体から作られた普通の繊維より遥かに大きい水保有能力を有することを特徴とするパルプ状の粒子である。このフィブリル状物は、比表面積が大きく、堆積させたとき絡み合って紙に似た構造物を生じる能力を有し、このときの絡み合いは、得られた紙様の構造物が脱水後の湿潤時及び乾燥後においてその形態を保ち、その自重を支えるに十分な紙力を与える。
【0024】
本発明に用いるポリケトン繊維は、音響特性の良さ、耐熱性、寸法安定性、耐湿熱性の観点から、結晶化度が40%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上であり、更に好ましくは60%以上である。上限は特に制限はないが、通常は80%以下である。結晶化度をこの範囲にすると、ポリケトン繊維、特にフィブリル状物を用いることによる補強効果が十分発揮され、得られた紙や複合材料は優れた力学的強度を発現する。
【0025】
本発明においては、特にフィブリル状物として用いる場合、フィブリル状物の比表面積は0.3m2/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.7m2/g以上であり、更に好ましくは2m2/g以上、最も好ましくは5m2/g以上である。比表面積がこの範囲であると、分散性が良好で、強度が高く、優れた音響特性が得られる。フィブリル状物の比表面積の上限は特に制限はないが、比表面積が高くなりすぎると凝集が激しく取り扱いが困難になるので、通常は100m2/g以下、好ましくは50m2/g以下である。
【0026】
また、繊維の形態で使用する時は、音響特性の観点から、引張弾性率が100cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは200cN/dtex以上、特に好ましくは300cN/dtex以上である。引張弾性率の上限は特に制限はないが、通常は600cN/dtex以下である。
【0027】
繊維の熱や湿度に対する安定性としては、乾熱及び湿熱処理下での収縮率が低いほど形状変化や残留応力が少なく寸法安定性が優れるため、これらの値は小さいほど耐熱性に優れた材料といえる。乾熱収縮率としては、150℃、30分処理における収縮率が4%以下であることが好ましく、さらには3%以下であることがより好ましい。湿熱収縮率としては、100%湿度下、120℃、30分処理による収縮率が3%以下であることが好ましく、さらには2%以下であることがより好ましい。
【0028】
本発明の音響振動部材に含まれる繊維中のポリケトン繊維の割合は、特に制限はなく、上限は100wt%でもよい。優れた接着性、可撓性、取り扱い性を達成するという観点から、音響振動部材に含まれる繊維中のポリケトン繊維の割合は5〜95wt%が好ましく、より好ましくは50〜95wt%、さらに好ましくは70〜95wt%である。
【0029】
本発明の音響振動部材は、上述のポリケトン繊維を含んでいればよく、さらに、本発明の目的を阻害しない範囲でその他の物質や繊維を含んでいてもよい。ポリケトン繊維と混用可能な繊維としては、例えば、パルプ、炭素繊維、芳香族ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリベンザゾール繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリアセタール繊維等が挙げられる。これらの繊維は、長繊維、短繊維、フィブリル状物等、任意の形態をとりうる。
【0030】
本発明に用いるポリケトン繊維の製造法については、特に制約はなく、例えば、特開平1−124617号公報、特開平2−112413号公報、特開平4−228613号公報、特表平4−505344号公報、特開平4−228613号公報、特表平7−508317号公報、特表平8−507328号公報、WO9918143号公開パンフレット等に開示されている、従来公知の溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸法をそのまま、あるいは修正して適用することができる。これらの方法の中でも、とりわけ濃厚塩溶剤を用いる湿式紡糸法は、高弾性率、耐熱性、寸法安定性に優れたポリケトン繊維を製造出来るので、好ましい。
【0031】
以下、ポリケトン繊維の製造法の一例として、ハロゲン化亜鉛水溶液を溶剤とした湿式紡糸法について説明する。
【0032】
溶剤に用いるハロゲン化亜鉛化合物としては、溶解性、溶媒のコスト、水溶液の安定性等の点から、塩化亜鉛、よう化亜鉛が好ましい。また、必要に応じて、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属のハロゲン化物を60wt%以下の範囲で含んでいてもよい。ドープの溶解性、熱安定性、紡糸性の観点から、塩化ナトリウムや塩化カルシウムなどの金属塩を5〜30wt%含有したドープが好ましい。
【0033】
このポリケトンドープを紡糸口金より吐出し、必要に応じて、エアーギャップ部を経て凝固浴を通して糸状物とする。凝固浴の組成は、メタノール、アセトン等の有機溶剤、水、有機物水溶液、無機物水溶液等どのようなものであってもよいが、水を含んだ溶液が好ましい。このようにして得た糸状物を、必要に応じて、金属塩を洗浄して除去し、乾燥、延伸を行う。延伸は、通常、融点以下の温度で行われ、延伸倍率はトータルで10倍以上、特に15倍以上の熱延伸を行うことが好ましく、延伸温度を徐々に高くしていく多段延伸法が好適に用いられる。
【0034】
こうして得られたポリケトン繊維は、長繊維の形態で織編物としたり、あるいは、カットファイバーとした後、フィブリル化させたフィブリドとして、本発明の音響振動部材の製造に用いることができる。
【0035】
長繊維として用いる場合は、公知の方法により一旦織編物とした後、樹脂を含浸し、成型することができる。また、フィブリル状物を用いる場合は、公知の方法によって抄造し、加熱成型或いは加熱乾燥する。
【0036】
加熱成型或いは加熱乾燥後に他の樹脂と混合することも可能である。使用可能な樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン6・6等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、アクリル樹脂,ニトロセルロース、シリコーン樹脂,ブチルゴム,クロロプレン系ゴム、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂等を用いることができ、樹脂を適宜選択することにより、音響振動部材の密度、剛性等を調整することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、それらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0038】
なお、各測定値の測定方法は次の通りである。
【0039】
(1)極限粘度[η]
極限粘度(g/dl)は、次の定義式に基づいて求められる値である。
【0040】
【数1】
【0041】
式中、t及びTは、ヘキサフルオロイソプロパノール、及びヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間である。Cは、上記溶液100ml中のグラム単位による溶質の質量値である。
【0042】
(2)結晶化度
DSC(示差走査型熱分析装置)を用いた融点測定で、200〜300℃の範囲で得られる最大の吸熱ピーク面積から計算される熱量△H(J/g)より、下記式を用いて算出した(昇温速度は20℃/分)。ここで、225J/gは、完全結晶の融解熱である。
【0043】
結晶化度(%)=(△H/225)×100
(3)比表面積
マイクロメリテックス社製のフローソープ2300型を用いて、BET比表面積法により、窒素の吸収量から比表面積を求めた。試料が含水状態にある場合は、70℃、真空下で水分を除去してから測定した。
【0044】
(4)強度、伸度、引張弾性率
JIS−L−1013に準じて測定した。
【0045】
(5)乾熱収縮率
JIS−L−1013に準じて、150℃、30分処理前後の値を計測して求めた。
【0046】
(6)振動板の密度
3mm×30mmの大きさの試験片を10枚重ねて質量を測り、JIS−K−7112(A法)に準拠して求めた。
【0047】
(7)振動板の弾性率、内部損失
粘弾性測定器(オリエンテック社製:レオバイブロンDDV−II−EA)を用いて、振動板から切り出した3mm×30mmの試料片の弾性率及び内部損失を、周波数110Hz、測定温度23℃の条件下で測定した。
【0048】
(8)比弾性率
弾性率を密度で除して求めた。
【0049】
(9)音響振動部材の吸湿率
振動部材の紙様構造物を3cm角に切り取り、真空状態にて乾燥(120℃、6時間)した後、20℃、95%RHに調湿されたデシケーター内に1週間放置した。調湿前後の質量変化を電子天秤で測定し、下記式から吸湿率を求めた。なお、W0は乾燥後の質量であり、Wは調湿後の質量である。
【0050】
吸湿率(%)={(W−W0)/W0}×100
〔実施例1〕
エチレン/一酸化炭素の交互共重合ポリマー([η]=5.3dl/g)を8wt%、塩化亜鉛60wt%、塩化ナトリウム10wt%、純水22wt%の組成のポリマー溶液を調整し、80℃に保ちながら、直径0.1mm、50穴の紡口から吐出量20g/分、エアギャップ長10mmで押し出し、ポリマーに対し非溶媒である水で凝固させることにより繊維化した。
【0051】
次いで、2wt%硫酸水浴に繊維を通して塩化亜鉛を完全に除去し、水洗ロールにて硫酸を除去して巻き取った。巻き取り速度は6m/分で行った。続いて、200℃で乾燥後、非加熱ロールの間にあるホットプレート上で、延伸温度240℃、6倍延伸後、更に268℃、2倍延伸して75dtex/50fのポリケトン繊維を得た。得られた繊維の強度は14.8cN/dtex、伸度は5%、引張弾性率は350cN/dtex、乾熱収縮率は0.7%、結晶化度は75%、融点は270℃であった。
【0052】
得られたポリケトン繊維を5mmで定尺切断し、熊谷理機工業製のPF1ミルで粉砕して比表面積が6.3m2/gのフィブリル状物を得た。
【0053】
このフィブリル状物を水中に投入して撹拌分散させた後、コーン型をした抄網ですくい上げ、熱プレスで乾燥、成型し(200℃、6kg/cm2、5分間)、直径16cmのスピーカーコーンを作成した。得られたスピーカーコーンは、耐久性、耐熱性、耐湿性に優れ、音響特性が良好であった。
【0054】
〔実施例2〕
常法により、エチレン/一酸化炭素ユニットを94wt%、プロピレン/一酸化炭素ユニットを6wt%含有する、極限粘度1.5dl/gのポリケトンターポリマーを調製した。得られたポリマーにカルシウムヒドロキシアパタイトを0.3wt%添加し、235℃で溶融後、直径0.23mm、250穴の紡口から吐出し、速度400m/分で巻き取った。
【0055】
得られた未延伸糸を200℃で1段目の延伸を行った後、225℃で2段目の延伸を行い、トータル10倍の延伸を行い繊維を得た。延伸時に毛羽・糸切れ等のトラブルは発生しなかった。
【0056】
この繊維を用い、実施例1と同様にスピーカーコーンを作成した。得られたスピーカーコーンは、実施例1のものよりも若干性能は劣るが、耐久性、耐熱性、耐湿性に優れ、音響特性が良好であった。
【0057】
〔参考例3〕
実施例1で得たポリケトン繊維を3mmにカットしたものを10wt%及びアクリル樹脂を90wt%混合した混合物を成型してスピーカーコーンを作成した。得られたスピーカーコーンは、実施例1のものよりも若干性能は劣るが、耐久性、耐熱性、耐湿性に優れ、音響特性が良好であった。
【0058】
〔実施例4〕
実施例1と同様にして、167dtex/50fのポリケトンマルチフィラメントを製造し、その平織物(経・緯の密度10本/cm)を作成した。この織物に、実施例1で用いたフィブリル状物を抄造法により積層し、フィブリル状物67wt%、織物33wt%の複合体を得た。次いでこの複合体を成型してスピーカーコーンを作成した。得られたスピーカーコーンは、実施例1のものよりも若干性能は劣るが、耐久性、耐熱性、耐湿性に優れ、音響特性が良好であった。
【0059】
〔比較例1〕
アラミドフィブリッド70wt%にメタ系アラミド短繊維(長さ5mm)30wt%を配合して抄紙した以外は、実施例1と同様に行った。得られたスピーカーコーンは、吸湿性が低く、湿度によって性能に差異が生じるために、音響安定性に問題のあるものであった。また、接着性が悪く、形態が悪かった。
【0060】
以上の実施例、比較例の結果を表1、2にまとめて示す。表1は用いたポリケトン繊維の形態と物性を示し、表2は、ポリケトン繊維の含有量と得られたスピーカーコーンの特性を示すものである。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【発明の効果】
本発明の音響振動部材は、音響特性が良好であり、耐久性、耐熱性、耐湿性等においても優れているため、寒暖に晒される車両内部等の過酷な使用雰囲気においても、長期間にわたって音質の安定した再生音が得られる。もちろん、家庭用、業務用スピーカーとしても有用である。
Claims (3)
- オレフィンと一酸化炭素の共重合ポリマーより構成されたポリケトン繊維を含み、かつ、該ポリケトン繊維が、比表面積0.3m 2 /g以上のフィブリル状物であることを特徴とする音響振動部材。
- 前記音響振動部材中のポリケトン繊維の割合が5〜100wt%である、請求項1に記載の音響振動部材。
- 請求項1又は2に記載の音響振動部材を用いた音響機器。
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