JP4732417B2 - 可動保持具 - Google Patents

Description

本発明は、扉の如き可動部材を開口筐体の如き固定部材に対して進退して可動部材を固定部材に接近したり固定部材から離反したりする扉開閉保持具の如き可動保持具に関し、特に可動部材を固定部材に接近する位置と離反する位置との間の中立位置からいずれかの側にずれると、そのずれた側の位置に自動的に付勢されるようにした可動保持具の改良に関するものである。

この種の可動保持具は、例えば、扉が筐体の開口に接近して開口を閉じる閉位置に保持したり、筐体から離反して開口を開く開位置に保持したりする際に、扉を開方向の途中（中立位置より僅かに開方向に変位した一方の中立変位位置）まで手動で開くと、扉が自動的に開き、また扉を閉方向に途中（中立位置より僅かに閉方向に変位した他方の変位位置）まで手動で閉じると、扉が自動的に閉じるように付勢されている。

この可動保持具は、通常、扉と筐体との間にピボット止めされた両端を有するリンクアームを含み、このリンクアームは、扉を筐体に接近する第１の位置（閉位置）と扉を筐体から離反する第２の位置（開位置）との間を可動的に進退するようにするが、リンクアームが第１の位置と第２の位置との間の中間位置から第１の位置か第２の位置かに僅でもずれると、リンクアームを第１の位置か第２の位置かに自動的に枢動するように付勢するばね又はばねと揺動リンクとの組み合わせから成る弾性付勢手段を備えている。

１つの従来技術の可動保持具では、この弾性付勢手段は、リンクアームの自由端に一端がピボット止めされた揺動アームとこの揺動アームの他端に連結された伸縮ばねとから成り、リンクアームと揺動アームとのピボット支持部分が一直線となる中立位置を僅かでもいずれかに変位すると、伸縮ばねがその変位する側に揺動アームを枢動して自動的に開位置又は閉位置に付勢するようになっている（特許文献1参照）。

この構造の可動保持具は、伸縮ばねが、リンクアームの自由端をピボット運動するように配置されるため、リンクアームから露出した状態とならざるを得ないので、扉を開くと、伸縮ばねが露見し、見栄えを悪くする欠点があった。

他の従来技術の可動保持具は、筐体側と扉側との２つのリンクアームを有し、弾性付勢手段は、筐体側のリンクアームと扉との間に設けられた伸縮ばねから成り、両リンクアームの可動端と伸縮ばねとが一直線となる中立位置からいずれかの側に僅かでも変位すると、伸縮ばねがリンクアームを自動的に開位置又は閉位置に付勢するようになっている（特許文献２参照）。

この構造の可動保持具は、扉を開いた状態では、伸縮ばねが扉の裏側に隠れるが、扉の横から伸縮ばねが見えるので、同様に見栄えが悪く、またリンクアームと伸縮ばねとが交差状態となるので、この交差部分に誤って指等を挟み込む虞がある。

更に他の従来技術の可動保持具は、扉と筐体との間に設けられた２つのリンクアームから成り、弾性付勢手段は、一方のリンクアームの筐体側の端部に設けられ筐体側取付け部の円弧溝に摺動自在に係入した可動ピンの変位に応じて伸縮する伸縮ばねから成り、一方のリンクアームが円弧溝の中間位置（中立位置）からいずれかの側に僅かでも変位すると、伸縮ばねがそのリンクアームを円弧溝に沿ってそのいずれかの端部まで揺動して扉を自動的に開位置又は閉位置に付勢するようになっている（特許文献３参照）。

この構造の可動保持具は、伸縮ばねがリンクアーム内に組み込まれているので、見栄えを悪くすることがないが、円弧溝を有する取付け部が筐体に対して適正な取付け位置（垂直位置、水平位置及び角度位置を含む）から僅かでもずれると、閉位置で扉と筐体との閉状態を適切に保持することができなくなり、取付け位置を設定するのに手間がかかり、また、円弧溝付きの取付け部が伸縮ばねを収納しているので、この取付け部が大型となって外観を悪くする欠点があった。

特米国特許第２７１７１０６号明細書 特開２００５−２６４７１９号公報 特開平２−１７６０８６号公報

本発明が解決しようとする課題は、見栄えの低下と指の挟み込み等を生ずることがないようにし、また取付けが容易であり、且つ伸縮ばねの保持部分の構造が簡単で大型化することがない可動保持具を提供することにある。

本発明の課題解決手段は、可動部材と固定部材とにそれぞれ取付けられるべき第１と第２の取付け部材とこれらの第１と第２の取付け部材の間にピボット止めされた両端を有する２つのリンクアームとを含み、可動部材を固定部材に接近する第１の位置と可動部材を固定部材から離反する第２の位置との間を可動的に進退するように保持する可動保持具であって、これらの２つのリンクアームが第１の位置と第２の位置との間の中間位置から第１の位置か第２の位置かに僅でもずれると平行リンクアームを第１の位置か第２の位置かに自動的に枢動するように付勢する伸縮ばねを含む弾性付勢手段を備えている可動保持具において、弾性付勢手段は、第１の取付け部材で一方のリンクアームの一方の端部のピボット止め付近にピボット止めされた一端とこの一方のリンクアームに設けられた直線ガイドに沿ってスライドする他端とを有する揺動アームを更に含み、伸縮ばねは、直線ガイドに沿って揺動アームをリンクアームの第１の位置か第２の位置に付勢するように一方のリンクアームと前記揺動アームとの間に配置されていることを特徴とする可動保持具を提供することにある。

本発明の課題解決手段において、伸縮ばねは、一方のリンクアーム内に配置されているのが好ましい。また、直線ガイドは、この一方のリンクアームに設けられた長溝から成り、揺動アームの他端は、この長溝内に摺動自在に係入されたピボットピンを有する形態とすることができる。この場合、伸縮ばねの可動端は、このピボットピンに連結されているのが好ましい。

本発明によると、伸縮ばねは、一方のリンクアームに設けられた直線ガイドに沿って揺動アームの他端を付勢するようにこの一方のリンクアームと揺動アームとの間に配置されるので、伸縮ばねが一方のリンクアームから大きくはみ出すことがないため、見栄えの低下や指の挟み込み等を生じることがなく、また伸縮ばねに応動する揺動アームは、直線ガイドに沿って変位するので、円弧溝に沿って変位するものに比べて揺動アームの変位が円滑に行われる上にガイド部分の構造が簡単で小型化し、また、取付け位置を留意しなければならない部品が不要となって取り付けが容易となる。

本発明の好ましい実施の形態による可動保持具１０を用いたキャビネット１が図１及び図２に示され、キャビネット１は、筐体（固定部材）２と扉（可動部材）３とから成っており、可動保持具１０は、キャビネット１の天板４Ｕと床板４Ｆの空間内に配置されて、扉３を筐体２に開閉自在に可動的に保持している。

本発明の可動保持具１０は、図２に示すように、扉（可動部材）３と筐体（固定部材）２とにそれぞれ取付けられるべき第１と第２の取付け部材２０、２２と、これらの第１と第２の取付け部材２０、２２の間にピボット止めされた両端を有する２つの平行リンクアーム３０、３２とを含み、扉（可動部材）３を筐体（固定部材）２に接近する第１の位置（図示の形態では図２（Ａ）の扉閉位置）と扉（可動部材）３を筐体（固定部材）２から離反する第２の位置（図示の形態では図２（Ｃ）の扉開位置）との間を進退するように扉３を筐体２に可動的に保持している。

また、可動保持具１０は、図２乃至図６に示すように、２つの平行リンクアーム３０、３２が第１の位置と第２の位置との間の中間位置（図２（Ｂ）及び図５参照）から第１の位置か第２の位置かに僅でもずれると、平行リンクアーム３０、３２を第１の位置か第２の位置かに自動的に枢動するように付勢する伸縮ばね４２を含む弾性付勢手段４０を更に備えている。

第１の取付け部材２０は、図２、図３及び図４乃至図６に示すように、扉３の背面にねじ又はその他の適宜の手段で取り付けられる帯板２０Ｂから成っており、一方のリンクアーム３０の一端３０ＥＡは、この帯板２０Ｂにピボットピン３０ＰＡによってピボット止めされ、他方のリンクアーム３２の一端３２ＥＡは、帯板２０Ｂから延びる湾曲延長部２０ＥＡにピボットピン３２ＰＡによってピボット止めされている。

第２の取付け部材２２は、同じく、図２、図３及び図４乃至図６に示すように、筐体２の内面にねじ又はその他の適宜の手段で取り付けられる矩形板２２Ｂから成っており、一方のリンクアーム３０の他端３０ＥＢは、この矩形板２２Ｂにピボットピン３０ＰＢによってピボット止めされ、他方のリンクアーム３２の他端３２ＥＢは、矩形板２２Ｂにピボットピン３２ＰＢによってピボット止めされている。なお、後に述べるように、リンクアーム３０は、弾性付勢手段４０の一部が収納されるため、図３に示すように、平板状ではなく、角筒状となっているので、ピボットピン３０ＰＢの支持を補強するために、矩形板２２Ｂに一体でリンクアーム３０の端部３０ＥＢを挟み込むように支持する補助支持部２２ＢＳを有する。

弾性付勢手段４０は、一方のリンクアーム、図示の形態では、リンクアーム３０と第１の取付け部材２０である帯板２０Ｂであってリンクアーム３０のピボット止め付近との間にピボット止めされた揺動アーム４４を含み、伸縮ばね４２は、この揺動アーム４４を平行リンクアーム３０、３２に応動して弾性的に変位するように一方のリンクアーム３０と揺動アーム４４との間に配置されている。

特に、図３に詳細に示すように、揺動アーム４４の固定端４４Ｓは、帯板２０Ｂの第２の延長部２０ＥＢにピボットピン４４ＰＡによってピボット止めされ、可動端４４Ｍは、リンクアーム３０に設けられた直線ガイド４８に沿って摺動するピボットピン４４ＰＢよってリンクアーム３０にピボット止めされている。

図示の形態では、伸縮ばね４２は、シリンダ状のガススプリング４２Ｇから成っており、その固定端４２ＧＳは、リンクアーム３０に固定ピン４６Ｓによって固定され、可動端４２ＧＭは、揺動アーム４４の可動端４４Ｍをピボット止めするピボットピン４４ＰＢに連結されている。

図示の形態では、直線ガイド４８は、リンクアーム３０に設けられた長溝４８Ｇから成り、揺動アーム４４の可動端４４Ｍをピボット止めし、ガススプリング４２Ｇの可動端４２ＧMを連結するするピボットピン４４ＰＢは、この長溝４８Ｇに摺動自在に係入されている。

上記実施の形態の可動保持具１０の動作を図２及び図４乃至図６を参照して詳細に述べると、まず、扉３が筐体２の開口を閉じている状態では、図２（Ａ）及び図４に示すように、平行リンアーム３０、３２は、筐体２の天板４Ｕ及び床板４Ｆの空間内に折り畳まれた状態で収納されて弾性付勢手段４０の伸縮ばね４２の伸長力で揺動アーム４４が図２（Ａ）及び図４の左側（図５の矢印Ｙ方向に相応する側）に引っ張られるので、扉３が筐体１の開口を閉じる位置（第１の位置）に保持される。

次に、図２（Ｂ）及び図５に示すように、扉３を閉位置から手で開くと、平行リンクアーム３０、３２は、第２の取付け部材２２のピボットピン３０ＰＢ、３２ＰＢを中心にピボット運動するが、この際、弾性付勢手段４０の揺動アーム４４は、伸縮ばね４２を圧縮しながら、第１の取付け部材２０の延長部２０ＥＢをリンクアーム３０のピボットピン３０ＰＡを中心にピボット運動して扉３を傾けつつ第２の取付け部材２２側に移動する。そして、リンクアーム３０のピボットピン３０ＰＡと揺動アーム４４のピボットピン４４ＰＡと４４ＰＢとが一直線に整列した扉半開きの中間位置（中立位置）に達する（図２（Ｂ）、図５の位置）。この位置では、伸縮ばね４２に伸長力Ｍが作用して揺動アーム４４は、Ｘ方向に押されるが、リンクアーム３０のピボットピン３０ＰＡに邪魔されて揺動アーム４４は動くことができない。しかし、この中間位置を僅かでも扉３の開方向に変位すると、伸縮ばね４２の伸長力Ｍで揺動アーム４４にＺ方向の作用力が働くため、第１の取付け部材２０を矢印Ａ方向（反時計方向）に揺動するので、平行リンクの原理でリンクアーム３０及び３２を図２（Ｃ）及び図６の位置である扉３の開位置（第２の位置）まで自動的にピボット運動する。従って、扉３が半開き中間位置を越えた後、手を離しても、扉３は、自動的に開くことになる。

逆に、扉３を閉じる際には、図２（Ｃ）及び図６の位置から扉３を図２（Ｂ）及び図５の半開き中間位置を僅かに越える位置まで伸縮ばね４２の伸長力に抗して手で閉方向に操作すると、弾性付勢手段４０の揺動アーム４４が伸縮ばね４２の伸長力Ｍによって揺動アーム４４にＹ方向の作用力が働いて第１の取付け部材２０を矢印Ｂ方向（時計方向）に揺動し、同様に平行リンクの原理でリンクアーム３０、３２を扉３を閉じる方向に付勢するので、手を離しても扉３が自動的に閉じて図２（Ａ）及び図４の閉位置（第１の位置）に戻る。

なお、上記実施の形態では、伸縮ばね４２は、リンクアーム３０内に配置されているが、リンクアーム３０が角筒状ではなく、扁平状にしてこの扁平なリンクアーム３０と揺動アーム４４の可動端４４Ｍとの間に配置されていてもよい。

上記のように、リンクアーム３０、３２を扉閉位置や扉開位置に付勢する伸縮ばね４２は、リンクアーム３０とその直線ガイド４８に沿って変位する揺動アーム４４との間に配置されているので、伸縮ばね４２がリンクアーム３０から大きくはみ出すことがないため、伸縮ばねが露見することがなく、見栄えの低下や指の挟み込み等を生じることがない。また、伸縮ばね４２に応動する揺動アーム４４は、直線ガイド４８である長溝４８Ｇに沿って変位するので、円弧溝に沿って変位する従来技術のものに比べて揺動アーム４４の変位が円滑に行われる上にガイド部分の構造が簡単で小型化し、また、第１と第２の取付け部材２０、２２の取付け位置の設定及び取付け作業が容易となる。

また、扉３の開閉運動に際して、揺動アーム４４の可動端に取り付けられたピボットピン４４ＰＢは、直線ガイド４８である長溝４８Ｇ内を直線運動するので、揺動アーム４４の伸縮ばね４２の伸縮を伴う運動は、従来技術の円弧溝内の円弧運動に比べて少ない抵抗で円滑に行うことができる。

なお、上記の実施の形態では、伸縮ばね４２は、ガススプリング４２Ｇを用いたが、ガススプリング以外のものであってもよく、また伸縮ばね４２は、押しばねの形態であったが、引きばねの形態であってもよく、後者の場合には伸縮ばね４２の位置が直線ガイド４８に対して反対側に配置されることになる。更に、図示の形態では、伸縮ばね４２は、揺動アーム４４のピボットピン４４ＰＢに接続されているが、ピボットピン４４ＰＢを直線ガイド４８に沿って変位するように付勢することができれば、ピボットピン４４ＰＢに接続していなくてもよい。

本発明によれば、リンクアームを第１の位置又は第２の位置に付勢する伸縮ばねは、リンクアームとその直線ガイドに沿って変位する揺動アームとの間に配置されているので、伸縮ばねがリンクアームから大きくはみ出すことがないため、見栄えの低下や指の挟み込み等を生じることがなく、また伸縮ばねに応動する揺動アームは、直線ガイドに沿って変位するので、円弧溝に沿って変位するものに比べて揺動アームの変位が円滑に行われる上にガイド部分の構造が簡単で小型化し、また、取付け位置を留意しなければならない部品が不要となって取り付けが容易となり、高い産業上の利用性を有する。

本発明の可動保持具を用いたキャビネットの概略図である。 本発明の１つの実施の形態による可動保持具を用いたキャビネットの動作の推移を示すため、筐体を断面にして示す図であり、同図（Ａ）は扉閉位置にあるキャビネットの断面図、同図（Ｂ）は、扉半開き位置にあるキャビネットの断面図、同図（Ｃ）は、扉開位置にあるキャビネットの断面図である。 図２の可動保持具に用いられる弾性付与手段が関連する一方のリンクアームのアーム本体のみを断面にして扉の裏側から見た拡大背断面図である。 扉閉位置にある時の可動保持具の状態を示し、同図（Ａ）は、そのキャビネットの断面図、同図（Ｂ）は、弾性付与手段を有するリンクアームの断面図である。 扉半開き位置にある時の可動保持具の状態を示し、同図（Ａ）は、そのキャビネットの断面図、同図（Ｂ）は、弾性付与手段を有するリンクアームの断面図である。 扉開位置にある時の可動保持具の状態を示し、同図（Ａ）は、そのキャビネットの断面図、同図（Ｂ）は、弾性付与手段を有するリンクアームの断面図である。

符号の説明

１ キャビネット
２ 開口付き筐体
３ 扉
４Ｕ 天板
４Ｆ 床板
１０ 可動保持具
２０、２２ 第１と第２の取付け部材
２０Ｂ 帯板
２０ＥＡ、２０ＥＢ 延長部
２２Ｂ 矩形板
２２ＢＳ 補助支持部
３０、３２ ２つの平行リンクアーム
３０ＥＡ、３０ＥＢ リンクアーム３０の一端及び他端
３０ＰＡ、３０ＰＢ ピボットピン
３２ＥＡ、３２ＥＢ リンクアーム３２の一端及び他端
３２ＰＡ、３２ＰＢ ピボットピン
４０ 弾性付勢手段
４２ 伸縮ばね
４２Ｇ ガススプリング
４２ＧＳ 固定端
４２ＧＭ 可動端
４４ 揺動アーム
４４Ｓ 固定端
４４Ｍ 可動端
４４ＰＡ、４４ＰＢ ピボットピン
４６Ｓ 固定ピン
４８ 直線ガイド
４８Ｇ 長溝

Claims (4)

1. 可動部材と固定部材とにそれぞれ取付けられるべき第１と第２の取付け部材と前記第１と第２の取付け部材の間にピボット止めされた両端を有する２つのリンクアームとを含み、前記可動部材を前記固定部材に接近する第１の位置と前記可動部材を前記固定部材から離反する第２の位置との間を可動的に進退するように前記可動部材を前記固定部材に保持する可動保持具であって、前記２つのリンクアームが前記第１の位置と前記第２の位置との間の中間位置から前記第１の位置か第２の位置かに僅でもずれると前記２つのリンクアームを前記第１の位置か第２の位置かに自動的に枢動するように付勢する伸縮ばねを含む弾性付勢手段を備えている可動保持具において、前記弾性付勢手段は、前記第１の取付け部材で一方のリンクアームの一方の端部のピボット止め付近にピボット止めされた一端と前記一方のリンクアームに設けられた直線ガイドに沿ってスライドする他端とを有する揺動アームを更に含み、前記伸縮ばねは、前記直線ガイドに沿って前記揺動アームを前記２つのリンクアームの前記第１の位置か第２の位置に付勢するように前記一方のリンクアームと前記揺動アームとの間に配置されていることを特徴とする可動保持具。
2. 請求項１に記載の可動保持具であって、前記伸縮ばねは、前記一方のリンクアーム内に配置されていることを特徴とする可動保保持具。
3. 請求項１又は２に記載の可動保持具であって、前記直線ガイドは、前記一方のリンクアームに設けられた長溝から成り、前記揺動アームの前記他端は、前記長溝内に摺動自在に係入されたピボットピンを有することを特徴とする可動保持具。
4. 請求項３に記載の可動保持具であって、前記伸縮ばねの可動端は、前記ピボットピンに連結されていることを特徴とする可動保持具。
   

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