JP4730973B2 - 通気性断熱屋根複合パネル、及び該パネルを用いた木造外張り断熱屋根構造 - Google Patents
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図6(A)は、従来例1であって、特許文献1として挙げたものであり、屋根垂木間に、断熱材と、断熱材への熱付加を輻射熱反射作用で軽減するための遮熱材とを重ねて配置するものである。
そして、屋根面からの加熱は、遮熱材が輻射熱を反射して空気層を流れる空気で放出し、断熱材への加熱付加は、遮熱材による輻射熱除去によって抑制するため、断熱材は従来の屋根断熱材より薄く出来、断熱材の蓄熱も軽減出来るようにしたものである。
しかも、遮熱材は、下面シート、中間シート、上面シートから成る、変位し易いハニカム構造であるため、所期の輻射熱反射作用を奏する様に、垂木間に配置することは、注意を要する作業であり、通気性屋根の構築は、人手を要する煩雑な作業である。
しかも、継ぎ材は通気口以外の部位が空気流の障害となること、及び断熱シートの突起群は空気の平滑な流れの障害となることにより、通気屋根パネルのパネル内での空気のスムーズな貫流は期待出来ない。
また、必要厚さの断熱材の上面に断熱シートを載置して通気構造を形成するため、パネル厚が大となり、屋根厚が大となって、建物の高さ制限の下では、階高が小となり、居住空間を圧迫する問題がある。
また、必要厚さの断熱材の上面に通気空間を形成するため、従来例2同様に、パネル厚が大となる。
本発明は、これら従来例1〜3の通気断熱屋根の、施工上、パネル製作上の問題点を、一挙に解決又は改善するものであって、製作が容易で、小屋組み屋根への適用性に優れ、且つ、均質生産品として準備出来る、新規な断熱通気性の屋根複合パネルを採用することにより、木造建物の通気断熱屋根を合理的に構築出来る技術を提供するものである。
この場合、断熱層2Bの全面積に対して、条溝G群の配置面積が1/2となるため、断熱層2Bの層厚に対する断熱欠損は、条溝Gの深さGdの1/2寸法となる。
そのため、所定基準厚の断熱層2Bに対する所定通気機能を奏する深さの条溝Gの配置面積は、断熱欠損抑制の面と、通気冷却作用面とを配慮して決定すれば良い。
また、屋根下地材2Aは、屋根Rの野地板としての最低限の強度、耐衝撃性、加工性を備えた薄剛板であれば良く、典型的には、軽量(10kg/m2)、高強度(240kgf/cm2)で12mm厚の構造用合板(JASS規格品)である。
また、遮熱反射層2Cは、表面が輻射熱反射機能を奏し、断熱層2Bの層着面2Sの肉厚部2T上面から条溝G内周面に亘って屈曲張設出来る遮熱反射シートであれば良い。
この場合、縦桟2W,2W´は、断熱層2Bと一体となっているため、屋根複合パネル1の母屋22Bへの固定は、パネル1の屋根下地材2Aから縦桟2W,2W´部での、母屋22B、棟木22A、軒桁21Eへの長ねじ(図示せず)の打込みで強固に固定出来、各パネル1の並列当接配置により、パネル側縁の縦桟2W´もパネル中央の縦桟2Wと同幅形態となって、屋根面は均斉強度となる。
この場合、遮熱反射シート2Cは、内部が各突起20b群の当接形態となって、空気層を突起20b群内、突起20b間に介在する形態となるものであり、表裏両面にアルミ箔層を備えた酒井化学工業(株)製のラミパックSD−W(商品名)の採用も可能であり、ラミパックSD−W(商品名)は、軽量(335g/m2)、高遮熱性、高強度(引張強度3.9N/mm)で、熱輻射の侵入を阻止し、輻射熱のカット率が高く、耐久性に優れ、カッターや鋏で容易に切断出来る。
板厚T2が8mmの該遮熱反射層2Cは、熱伝導率が0.032kcal/mh℃(0.038w/mk)なので、熱抵抗が0.25kcal/mh℃(0.21w/mk)であり、押出ポリスチレンフォーム(熱伝導率:0.024kcal/mh℃)では6mm厚の断熱効果を有しているため、パネル1の縦桟2W,2W´上面及び肉厚部2T上面では屋根面からの伝導熱を遮断し、条溝G(標準深さ:15mm)内では輻射熱反射と伝導熱遮断を果たす。
従って、条溝G群の配置面積(標準:全面積の1/2)を適切に選定することにより、断熱層2Bの断熱欠損の完全補償が出来、必要通気層を備えた、夏季の外部からの断熱にも、冬季の屋内からの断熱にも好適な屋根パネルが得られる。
現行の、平成11年告示の次世代省エネルギー基準に於ける断熱基準(北海道地区)では、木造の気密住宅の熱抵抗値は4.3m2k/wで、押出法ポリスチレンフォーム板では、必要厚さが125mmであるが、本願の断熱層2Bは、押出法ポリスチレンフォーム板の135mmであり、図1(A)に示す如く、等配分の条溝Gの全面積が、パネル面積の1/2であり、条溝Gの深さGdが15mmであるため、断熱層2Bの断熱欠損は条溝Gの深さ15mm(Gd)の1/2(7.5mm)となる。
そのため、本発明の屋根複合パネル1は、遮熱反射層2Cとして、断熱機能の全く存在しない、輻射熱反射機能のみを備えた慣用のアルミ箔層着フィルムを採用しても、断熱基準を満たし、且つ、通気条溝G群内での遮熱反射層2Cの輻射熱排除を好適に発揮し、冬季にも夏季にも、必要断熱機能を発揮し、冷暖房の省エネルギー化を可能とする。
この場合、各パネル1の固定は、各パネル1の、上下接続は、断熱層2Bの衝合当接形態で、左右接続は、側縁の縦桟2W´の当接形態で、慣用の長ねじ、例えば、径5.5mm、長さ180mmの、サンコーテクノ(株)のコーススレッド(商品名)を、屋根下地材2Aの上面か、野地垂木兼用の縦桟2W,2W´を貫通して軒桁21E、母屋22B、棟木22Aに打込めば良い。
そして、屋根複合パネル1を張設した屋根面に対しては、各パネル1の当接線上に、慣用の気密テープ14Aを張って、屋根複合パネル1の上面に、慣用の防水シート9、屋根仕上材10、を張設すれば良い。
そして、屋根面は、図5に示す如く、軒部8から棟部7へと、空気流aが屋根面全面に均斉に貫流し、条溝G内では、屋根面からの日射熱を遮熱反射層2Cが輻射熱として、空気流aによって棟部7から放出し、屋根面の過加熱による損傷を抑制し、断熱層2Bの蓄熱も軽減する外断熱屋根となる。
従って、各屋根パネル1の上下の衝合接続は、屋根下地材2Aの水平当接界面hf´と断熱層2Bの水平当接界面hfとが相欠け段差d1ずれるため、断熱層2Bの水平当接界面hfは屋根下地材2Aで保護され、各パネル1の水平相欠け接続部では、慣用の気密テープ14Aでの処理が不要となり、各パネル1相互の左右接続部のみに気密テープ14Aを張れば良くなり、パネル張設の作業性が向上する。
そして、屋根パネル1は、断熱層2Bが屋内を外断熱保護し、断熱層表面の通気用条溝G群は、遮熱反射層2Cによって輻射熱量を断熱層2Bに付加することなく屋外へ排出するため、断熱層2Bは、加熱及び蓄熱が抑制出来て、優れた外断熱機能を発揮する。
そのため、本発明の屋根複合パネル1は、屋根厚の増大を招くことなく、通気性外断熱屋根を簡単に、且つ均質に構築出来る。
そして、仕上がった屋根構造は、軒部8から棟部7へと、空気流aが屋根面全面に均斉に貫流し、遮熱反射層2Cを周面に備えた条溝G群内では、屋根面からの侵入日射熱を輻射熱として棟部7から放出し、屋根面の過加熱による損傷を抑制し、断熱層2Bの蓄熱も抑制し、屋根下面を外断熱保護する。
屋根複合パネル1は、野地垂木を含む断熱層2B上に、遮熱反射層2Cを介して屋根下地材2Aを面当接一体化したパネルであって、図1(A)はパネル1の幅方向横断面図であり、図1(B)は図1(A)の一部切欠部分拡大図である。
また、図2は、屋根複合パネル1の全体斜視図であって、図2(A)は棟部用パネル1Aを、図2(B)は中間部用パネル1Bを、図2(C)は軒部用パネルを示すものである。
図3はパネル1の構成部材説明図であって、(A)は屋根下地材2Aの斜視図、(B)は遮熱反射層2Cの斜視図、(C)は断熱層2Bの斜視図、(D)は遮熱反射層2Cの芯材平面図、(E)は遮熱反射層2Cの断面図である。
遮熱反射層2Cは、図3(D),(E)に示す如く、プラスチックシート20aに径10mmの突起20b群を付設した芯材20の2枚を、突起20b群面を対向して層着一体化し、表裏面にアルミ箔を層着した厚さ8mmの遮熱反射シート2Cを採用する。
該シート2Cは、ラミパックSD−W(商品名)として酒井化学工業(株)から入手可能である。
また、幅45.5mm、厚さ135mmの木材の縦桟2Wと、幅22.75mm、厚さ135mmの木材の縦桟2W´を、図1(B)に示す如く、上半側面に、遮熱反射層2C嵌入用の幅8mmの切欠Cwを加工して用意し、広幅の縦桟2Wを挟んで、図1(A)に示す如く、両側に断熱板2Bを接着固定し、断熱層2Bの両側に半幅の縦桟2W´を接着固定して、縦桟2W,2W´を断熱板と一体化し、上面に条溝G用切削を備えた、図3(C)に示す、幅AWが910mm、長さBLが1820mmの断熱層2Bを形成する。
次いで、図1(B)に示す如く、断熱層2Bの、縦桟2W,2W´の上面、条溝G用の、切削側面及び底面に接着剤2Dを塗布し、屈曲賦形した遮熱反射層2Cを断熱層2Bの上面に面当接嵌合接着し、長さBLが1820mm、幅AWが910mmの、遮熱反射層2Cを層着した断熱層2Bを得る。
そして、屋根下地材2Aとしては、軽量(10kg/m2)、高強度(240kgf/cm2)で、12mm厚の構造用合板(JASS規格品)を、断熱層2Bと同幅(910mm)で用意する。
また、同様に、軒部用パネル1Cは、屋根下地材2Aを、断熱層2Bに対し、上端ではd1(20mm)入り込み、下端ではd2(30mm)突出形態で、遮熱反射層2Cを備えた断熱層2Bと一体化固定し、軒部用の屋根複合パネル1Cを得る。
図4(A)は、小屋組み屋根に屋根複合パネル1を張設した屋根構造の、一部切欠斜視図であり、図4(B)は、屋根構造の一部切欠部分拡大斜視図であり、図5は屋根構造の断面説明図である。
小屋組み屋根は、図4(A)に示す如く、慣用の手法によって構築し、柱21A、梁22D、小屋束22C、棟木22A、母屋22B、軒桁21Eを備えている。
該長ねじは、JISA5508の木工事用鉄丸釘(許容剪断耐力:70kgf/本)の5倍の強度を有するので、長ねじの打込み間隔が広く出来、軒桁21E、母屋22B、棟木22Aを割裂することも抑制出来、作業性も良い。
また、各パネルの左右当接部は、側面が面一の各パネルの縦桟2W´の衝合当接であるため、幅a2(22.75mm)の縦桟2W´の当接でパネル中央の幅a1(45.5mm)と同幅となって、屋根面は等幅(45.5mm)の垂木(縦桟)群の配置となり、屋根強度の均斉を保証する。
また、軒部用パネル1Cの下端は、鼻隠し23Aの上面の切欠C23に、屋根下地材2Aの下端突出d2(標準:30mm)の、先端の半寸15mmを載置して釘打ちし、鼻隠し23Aとパネル断熱層下端面Dsとの間に、下端突出d2の半寸(15mm)の通気用の間隔adを形成する。
従って、本実施例で構築した屋根構造は、パネルの縦桟2W,2W´が垂木を兼用するため、小屋組み屋根へのパネル群の張設が、縦桟2W,2W´での長ねじによる固定となり作業性良く実施出来、通気用条溝G内に遮熱反射層2Cを配置したため、屋根厚を大とすることなく、断熱機能の優れた通気構造屋根となった。
遮熱反射層2Cとして、実施例では、ラミパックSD−W(商品名)を採用したが、遮熱反射層2Cは、条溝G内に入り込む熱線を反射すれば良いものであるため、ラミパックSD−W(商品名)用の芯材20の2枚を積層一体化して、表面のみにアルミ箔を貼着したものも、遮熱性及び断熱性で同効機能を奏するシートとして採用出来る。
この場合は、アルミフィルムが可撓性の薄いシートであるため、実施例の如く、断熱層の、条溝用切削幅と、残在肉厚部用幅との配置を異寸法とする必要なく、条溝G用切削幅、肉厚部用幅を同幅で加工出来、且つ、縦桟2W,2W´にも、遮熱反射層用の切欠Cwを配置する必要がない。
1A 棟部用パネル(屋根パネル、パネル)
1B 中間部用パネル(屋根パネル、パネル)
1C 軒部用パネル(屋根パネル、パネル)
2A 屋根下地材
2B 断熱層(断熱板)
2C 遮熱反射層(遮熱反射シート)
2D 接着剤
2S 層着面
2T 肉厚部
2W,2W´ 縦桟
7 棟部
8 軒部
9 防水シート
10 屋根仕上材
14A 気密テープ
20 芯材
20a プラスチック樹脂シート(シート)
20b 突起
20c アルミ箔
20A 棟材
20B 棟換気材
20C 棟下地材
21A 柱
21E 軒桁
22A 棟木
22B 母屋
22C 小屋束
22D 梁
22E 転び止め
23A 鼻隠し
a 空気流(空気)
ad 間隔
Cw,C23 切欠
DS 断熱層下端面
G 条溝(通気用条溝)
Gd 条溝深さ
hf,hf´ 水平当接界面(横方向当接界面)
n 釘
R 屋根
vf 縦方向当接界面
wf 木造躯体
Claims (7)
- 断熱層(2B)と屋根下地材(2A)とを遮熱反射層を介して層着一体化した屋根複合パネル(1)であって、断熱層(2B)は、層着面(2S)に、通気用条溝(G)と、肉厚部(2T)とを、交互に、平行に備えると共に、幅中央部及び両側縁部に、断熱層(2B)と同厚の縦桟(2W,2W´)を一体化し、断熱層(2B)の層着面(2S)には、縦桟(2W,2W´)面から条溝(G)面、及び肉厚部(2T)面に亘って、パネル全幅(AW)に遮熱反射層(2C)を被覆配置し、遮熱反射層(2C)の上面から、パネル全幅に亘る屋根下地材(2A)を面当接一体化した通気性屋根複合パネル。
- 条溝(G)の幅と、肉厚部(2T)の幅と、断熱層(2B)中央部の縦桟(2W)の幅とが等幅であり、断熱層側縁の縦桟(2W´)の幅が、中央部の縦桟(2W)の幅の1/2である、請求項1に記載の屋根複合パネル。
- 遮熱反射層(2C)がプラスチック樹脂シート(20a)上に突起(20b)群を付設した芯材(20)の2枚を、突起(20b)群面を対向して層着し、表側のシート(20a)面にアルミ箔(20c)を層着した遮熱反射シート(2C)である、請求項1又は2に記載の屋根複合パネル。
- 遮熱反射シート(2C)は、厚さ(T2)が8mmで、断熱層(2B)の5〜7mm厚に相当する断熱効果を有する、請求項3に記載の屋根複合パネル。
- 断熱層(2B)は、厚さ(T3)が135mmの押出法ポリスチレンフォーム板であり、条溝(G)の深さ(Gd)が15mmであり、条溝(G)の全面積がパネル面積の1/2である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の屋根複合パネル。
- 請求項1に記載の屋根複合パネル(1)を張設した木造外張り断熱屋根構造であって、屋根複合パネル(1)を、軒部(8)から棟部(7)へ条溝(G)群による通気可能に、小屋組みの屋根面に配置し、各パネル(1)の縦桟(2W,2W´)を軒桁(21E)、母屋(22B)、棟木(22A)に固定した木造外張り断熱屋根構造。
- 棟部用パネル(1A)は、屋根下地材(2A)を下端部で相欠け段差(d1)突出させて準備し、中間部用パネル(1B)は、屋根下地材(2A)を、上端部で相欠け段差(d1)入り込ませ、下端部で相欠け段差(d1)突出させて準備し、軒部用パネル(1C)は、屋根下地材(2A)を、上端部で相欠け段差(d1)入り込ませ、下端部で大段差(d2)突出させて準備し、棟部用パネル(1A)、中間部用パネル(1B)及び軒部用パネル(1C)を、上下に相欠け接合すると共に、軒部用パネル(1C)の屋根下地材(2A)の下端を鼻隠し(23A)上に固定して、鼻隠し(23A)とパネル断熱層端面(Ds)との間に空気流入間隔(ad)を配置した、請求項6に記載の木造外張り断熱屋根構造。
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