JP4728389B2 - 燃料を噴射するための装置 - Google Patents

Description

背景技術
本発明は、請求項１の上位概念部記載の燃料を噴射するための装置から出発する。

ドイツ連邦共和国特許出願公開第１００５０５９９号明細書から、少なくとも１つの燃料噴射弁を備えた燃料を噴射するための装置が既に公知である。この公知の燃料噴射弁には増幅ピストンが設けられていて、この増幅ピストンは、燃料噴射弁に供給される液体の圧力を、液圧式の増幅器によりレール圧を出発してより高い値に高める。この形式の圧力増幅は極めて手間がかかり複雑であるので不都合である。

さらに、規定の圧力を燃料管路内、および燃料管路と流れ接続している燃料噴射弁内で得るために２つの圧送ポンプが直列に並んで配置されているということが公知である。第２圧送ポンプによって形成された圧力増幅は全ての運転状態において必要ではないので、この解決手段は極めて費用がかかる。

発明の利点
請求項１の特徴を有する本発明による燃料を噴射するための装置は、少なくとも１つの燃料噴射弁において電磁式の圧力増幅器が配置されていることによって、燃料噴射弁における圧力増幅が簡略化されて廉価に行われるという利点を有している。

本発明に係る燃料を噴射するための装置は、少なくとも１つの燃料噴射弁を備えた燃料を噴射するための装置において、少なくとも１つの燃料噴射弁に、少なくとも１つの電磁式の圧力増幅器が配置されていることを特徴とする。

従属請求項に記載した手段により、請求項１記載の、燃料を噴射するための装置の有利な構成と改良形とが可能である。

電磁式の圧力増幅器が、少なくとも１つの燃料噴射弁に直接前置されているということは特に有利である。こうして、極めて僅かな容量だけをより高い圧力にすることができるので、圧力増幅のためのエネルギ消費は僅かであり、圧力増幅は極めて短時間で達成可能である。

有利な構成によれば、電磁式の圧力増幅器が、燃料噴射弁の入口通路に差し嵌められているか、またはクリップ留めされているか、または溶接されているか、またはプレス嵌めされている。この結合は特に簡単で廉価である。電磁式の圧力増幅器は、燃料管路と流れ接続されている。

燃料噴射弁として電磁式、またはピエゾ式、または磁歪式の燃料噴射弁を使用することも有利である。

電磁式の圧力増幅器が励磁コイルとプランジャとを備えた電磁石を有していると、さらに有利である。この場合、この種の圧力増幅器は特に簡単に構成されていて、極めて有利に製造可能であるので、プランジャは、電磁式の圧力増幅器の圧力室内で軸線方向に可動に支承されているピストンと作用結合されている。

電磁式の圧力増幅器が、入口開口を介して圧力室に通じている入口通路を有していて、圧力室が、燃料噴射弁の入口通路と流れ接続している出口を有しているということはさらに有利である。

入口通路から圧力室への流れ接続は閉鎖可能であり、圧力室内および圧力室の出口の下流側での圧力増幅は、ピストンの軸線方向のストロークによって達成可能である。

有利な構成によれば、入口通路から圧力室への流れ接続は、入口通路内の別体の弁によってか、またはピストンによってか、またはピストンとプランジャとの協働により閉鎖され、次いでピストンの所定のストロークにより早急に圧力増幅が達成される。

本発明に係る装置は、有利には、少なくとも１つの電磁式の圧力増幅器が、少なくとも１つの燃料噴射弁に直接前置されている。

本発明に係る装置は、有利には、電磁式の圧力増幅器が、燃料噴射弁の入口通路に差し嵌められているか、またはクリップ留めされているか、または溶接されているか、またはプレス嵌めされている。

本発明に係る装置は、有利には、電磁式の圧力増幅器が、燃料管路と流れ接続されている。

本発明に係る装置は、有利には、燃料噴射弁が、電磁式、またはピエゾ式、または磁歪式の燃料噴射弁である。

本発明に係る装置は、有利には、電磁式の圧力増幅器が、励磁コイルと、プランジャとを備えた電磁石を有しており、プランジャが、電磁式の圧力増幅器の圧力室において軸線方向に可動に支承されたピストンと作用結合されている。

本発明に係る装置は、有利には、電磁式の圧力増幅器が、入口開口を介して圧力室に通じている入口通路を有している。

本発明に係る装置は、有利には、圧力室が出口を有しており、該出口が、燃料噴射弁の入口通路と流れ接続されている。

本発明に係る装置は、有利には、入口通路から圧力室への流れ接続が閉鎖可能であり、圧力室内および該圧力室の出口の下流側での圧力増幅が、ピストンの軸線方向のストロークによって達成可能である。

本発明に係る装置は、有利には、入口通路から圧力室への流れ接続が、入口通路内の別体の弁によってか、またはピストンによってか、または該ピストンとプランジャとの協働により閉鎖可能である。

図面
本発明の実施例を図面に簡略化して示し、以下に詳しく説明する。

実施例の説明
図１には電磁式の圧力増幅器を備えた燃料噴射弁が示してある。

本発明による装置は、少なくとも１つの燃料噴射弁１を有している。この燃料噴射弁１は燃料を、たとえば直接噴射型の場合には内燃機関の燃焼室に噴射し、吸気管噴射型の場合には内燃機関のいわゆる吸気管に噴射する。少なくとも１つの燃料噴射弁１は、たとえば燃料分配器といった燃料管路２と流れ接続されており、この燃料管路２を介して少なくとも１つの燃料噴射弁１に燃料が供給される。燃料噴射弁１は、たとえば電磁式、またはピエゾ式、または磁歪式の弁として形成されているが、明らかに任意に構成することができる。

たとえば流体ポンプとして構成され、燃料を高圧にして前置タンク４から燃料管路２に圧送する圧送装置３が設けられている。

ますます一層厳しくなる排ガス基準をクリアするために、内燃機関の排気エミッションを、いわゆるコールドスタート時に削減しなければならない。このことは先行技術では、燃料管路２内の圧力を高めることにより達成され、その結果、この燃料噴射弁１により形成された噴霧は、比較的小さな平均的な液滴サイズを有している。しかし燃料管路２内で必要な圧力増幅は、設けられている圧送装置３によって達成できない程に高い。従って、先行技術では、たとえば流体ポンプとして構成されていて、燃料管路２内の圧力を必要な値にまで高める別の第２圧送装置が後置されているか、またはより高出力でひいてはより高価な圧送装置が使用される。

この第２の圧送装置もしくは高価な圧送装置の費用を節約するために、本発明によれば、少なくとも１つの燃料噴射弁１に圧力を高めるために電磁式の圧力増幅器５を配置することが提案されている。たとえば、各燃料噴射弁１に少なくとも１つの圧力増幅器５が設けられている。

少なくとも１つの電磁式の圧力増幅器５は、少なくとも１つの燃料噴射弁１に直接前置されていて、たとえば燃料噴射弁１の入口通路８に差し嵌められているか、クリップ結合されているか、溶接されているか、プレス嵌めされているかまたはこれらと同じように結合されている。こうして電磁式の圧力増幅器５は燃料噴射弁１に固定結合され、燃料噴射弁１に直接配置されている。

本発明によれば、燃料の圧力は先行技術のように燃料管路２内で既に高められるのではく、電磁式の圧力増幅器５によって燃料噴射弁１の直ぐ手前および／または燃料噴射弁１内で始めて高められる。燃料噴射弁１内部の容量は、前置タンク４から燃料噴射弁１までの燃料管路２の容量よりもはるかに小さいので、圧力増幅のために消耗するエネルギは極めて僅かである。さらに、燃料噴射弁１での圧力増幅は、電磁式の圧力増幅器５を使用すると、燃料管路２内に配置されていて流れ接続に関して燃料噴射弁１から離されている圧送装置３を使用するよりも迅速に達成される。

図２には、電磁式の圧力増幅器の第１実施例が示してある。

図２の電磁式の圧力増幅器の、図１の装置と比べて同様の部分または同様に作用する部分に関しては同じ符号で示した。

たとえば、電磁式の圧力増幅器５は改良された電磁式の噴射弁であって、この電磁式の噴射弁は、たとえば以下で説明するように構成されている。電磁式の圧力増幅器５は、ケーシング９を有していて、このケーシング９内には励磁コイル１０と軸線方向で可動のプランジャ１１とを有する電磁石７が配置されている。ケーシング９内には圧力室１４が設けられていて、この圧力室１４では電磁石７によって操作されるピストン１５が、軸線１２に対して軸線方向で可動に配置されている。プランジャ１１および／またはピストン１５および／または励磁コイル１０は、たとえば軸線１２に対して同心的に配置されている。プランジャ１１は、その軸線方向長さの部分にわたって磁石ポット１３内に配置されている励磁コイル１０によって環状に取り囲まれている。入口通路１６は、入口開口１７を介して圧力増幅器５の圧力室１４に、たとえば圧力室１４の周面に通じている。入口通路１６は、上流側で燃料管路２と流れ接続されている。電磁式の圧力増幅器５の圧力室１４は、出口１８を介して燃料噴射弁１と流れ接続されている。

電磁式の圧力増幅器５のピストン１５は、プランジャ１１と機械的に連結されていて、前記プランジャ１１と結合されている。ピストン１５は戻しばね２１によって、ピストン１５は、たとえばストッパ２２に接触して、圧力室１４の入口開口１７が開放された状態にある第１位置に動かされる。励磁コイル１０が通電されていない場合には、ピストン１５はこの第１位置にあり、従ってエマージェンシ走行を可能にする。

励磁コイル１０に通電していると、プランジャ１１はピストン１５と共に軸線方向のストロークを、たとえば燃料噴射弁１の方向で行う。第１実施例によれば、ピストン１５は第１部分ストロークの後で入口開口１７を覆い、こうして入口通路１６への流れ接続を閉鎖する。しかし入口開口１７は、別の任意の形式では、たとえば入口通路１６の別体の弁により閉鎖することもできる。入口開口１７の閉鎖後に、ピストン１５の別の部分ストロークが、圧力室１４内および電磁式の圧力増幅器５の出口１８と流れ接続している燃料噴射弁１の部分に圧力増幅をもたらす。なぜならば、燃料噴射弁１はこの時点では閉じられていて、従って、ピストン１５が閉じられた液体容量に作用するからである。圧力増幅器５はこうして燃料噴射弁１の開放の直前に燃料の圧力増幅をもたらす。規定の圧力増幅を達成した後に燃料噴射弁１が開放すると、電磁式の圧力増幅器５により高圧にされた燃料の少なくとも一部分が、内燃機関の燃焼室もしくは吸気管に噴射される。規定の圧力増幅は、内燃機関のその都度の運転状態に関連していて、それぞれエンジン制御のパラメータから算出され、これにより燃料噴射弁は最適な時点で開放される。

たとえば、ケーシング９は、圧力補償を保証するためにコイル１０の領域に通気孔３０を有している。

燃料噴射弁１の閉鎖の後または直前または閉鎖と同時に励磁コイル１０は無通電状態に切り換えられ、これによって電磁式の圧力増幅器５のピストン１５は、戻しばね２１によるピストン１５への力作用により、第２位置から出発して第１位置に戻される。第１位置で入口開口１７は再び開放されているので、液体は入口通路１６から圧力室１４内および電磁式の圧力増幅器５の出口１８の下流側の燃料噴射弁１内に流れ、その際、最後の噴射時に噴射された燃料量を補てんする。

図３には電磁式の圧力増幅器の第２実施例が示してある。

図３の電磁式の圧力増幅器の、図１の装置および図２の電磁式の圧力増幅器と比べて同様の部分または同様に作用する部分に関しては同じ符号で表した。

電磁式の圧力増幅器の第２実施例は第１実施例とは、入口通路１６がピストン１５によってではなく、ピストン１５とプランジャ１１との協働により閉鎖され、軸線方向で見てコイル１０と圧力室１４との間に前室２３が設けられているという点で異なる。入口通路１６は、第１実施例のように圧力室１４に通じているのではなく、前室２３に通じている。プランジャ１１とピストン１５とは、第２実施例においてはワンピースに互いに結合されてはおらず、別体の部分として構成されている。これらの別体の部分は、軸線方向で少なくとも部分的に互いに相対的に可動に配置されている。

前室２３には、第１戻しばね２１．１が設けられている。この第１戻しばね２１．１の一方の端部はピストン１５に支持されていて、第１戻しばね２１．１の他方の端部はプランジャ１１を戻すように作用する。圧力室１４には第２戻しばね２１．２が配置されていて、この第２戻しばね２１．２の一方の端部はケーシング９に支持されていて、第２戻しばね２１．２の他方の端部はピストン１５を戻すように作用する。第１戻しばね２１．１は第２戻しばね２１．２よりも比較的軟質に構成されている。

たとえば入口通路１６は部分的にプランジャ１１内に形成されていて、プランジャ１１に設けられている少なくとも１つの入口開口１７を介して、軸線１２に対して同心的に前室２３に通じている。しかし入口開口１７は前室２３に設けることもでき、入口通路１６はプランジャ１１ではなく、別体にまたはケーシング９に設けることができる。

プランジャ１１および／またはピストン１５および／またはコイル１０は、たとえば軸線１２に対して同心的に配置されている。プランジャ１１の、ピストン１５寄りの端部は閉鎖区分２４を有していて、この閉鎖区分２４は、たとえば球状に形成されている。前室２３は、接続開口２５を介して圧力室１４と接続されている。ピストン１５は、軸線１２に対して同心的に配置されている圧力室入口２８を有している。この圧力室入口２８は、前室２３寄りの端部に、たとえば円錐形の弁座２９を有している。ピストン１５の弁座２９は、プランジャ１１の所定の軸線方向のストロークに応じて、プランジャ１１の閉鎖区分２４と協働し、前室２３と圧力室１４との間の流れ接続を開放するかもしくは閉鎖する。

励磁コイル１０が通電されていない場合、ピストン１５はストッパ２２に設けられている第１位置に位置する。この場合、プランジャ１１とピストン１５とは、軸線方向で互いに離間されている。これにより、励磁コイル１０が通電されていない場合には、前室２３から圧力室１４への、接続開口２５とピストン１５の圧力室入口２８とを介した流れ接続が形成される。この流れ接続は圧力室１４と燃料噴射弁１との液体の充填のために働く。

励磁コイル１０が通電されていると、まずプランジャ１１だけが軸線方向のストロークを、たとえば燃料噴射弁１の方向で行う。プランジャ１１の第１部分ストローク後に、プランジャ１１の閉鎖区分２４は、ピストン１５の弁座２９に衝突し、こうして圧力室入口２８を閉鎖する。プランジャ１１のこの第１部分ストローク後に、プランジャ１１はピストン１５と共に運動するので、プランジャ１１とピストン１５とは、プランジャ１１が後続の部分ストロークを行う際に、共通のストロークを行う。圧力室入口２８の閉鎖後に、プランジャ１１とピストン１５との共通のストロークが、圧力室１４内および燃料噴射弁１の、電磁式の圧力増幅器５の出口１８と流れ接続している部分とに圧力上昇がもたらされる。なぜならば燃料噴射弁１はこの時点では閉鎖されていて、従って、ピストン１５は閉鎖された液体容量に作用するからである。燃料噴射弁１が規定の圧力増幅に達した後に開放すると、電磁式の圧力増幅器５により圧力増幅された燃料の少なくとも一部分が、内燃機関の燃焼室もしくは吸気管に噴射される。

燃料噴射弁１の閉鎖の後または直前または閉鎖と同時に励磁コイル１０は無通電状態に切り換えられ、これによってピストン１５とプランジャ１１とは、第２戻しばね２１．２の力作用により、ストッパ２２の方向に戻るように共通の戻りストロークを行う。ピストン１５がストッパ２２に到達してから、プランジャ１１は第１戻しばね２１．１の力作用により単独で別の戻りストロークを行う。プランジャ１１のピストン１５へのこの相対運動により圧力室入口２８は再び開放され、これによって液体は入口通路１６および／または前室２３から圧力室１４内、および電磁式の圧力増幅器５の出口１８の下流側の燃料噴射弁１内に流れ、その際、最後の噴射の際に噴射された燃料量を補てんする。

電磁式の圧力増幅器を備えた燃料噴射弁を示した図である。 電磁式の圧力増幅器の第１実施例を示した図である。 電磁式の圧力増幅器の第２実施例を示した図である。

Claims (8)

1. 少なくとも１つの燃料噴射弁（１）を備えた燃料を噴射するための装置において、少なくとも１つの燃料噴射弁（１）に、少なくとも１つの電磁式の圧力増幅器（５）が配置されており、該少なくとも１つの電磁式の圧力増幅器（５）は少なくとも１つの燃料噴射弁（１）に直接前置されている形式のものにおいて、
   電磁式の圧力増幅器（５）は独立した構成群であり、燃料噴射弁（１）の入口通路（８）に差し嵌められているか、またはクリップ留めされているか、または溶接されているか、またはプレス嵌めされており、燃料噴射弁（１）の入口通路（８）と、該入口通路（８）側の圧力増幅器（５）の端部の内壁との間において、リング状の部材が前記入口通路（８）と前記内壁とに接触するように設けられていることを特徴とする、燃料を噴射するための装置。
2. 電磁式の圧力増幅器（５）が、燃料管路（２）と流れ接続されている、請求項１記載の装置。
3. 燃料噴射弁（１）が、電磁式、またはピエゾ式、または磁歪式の燃料噴射弁である、請求項１記載の装置。
4. 電磁式の圧力増幅器（５）が、励磁コイル（１０）と、プランジャ（１１）とを備えた電磁石（７）を有しており、プランジャ（１１）が、電磁式の圧力増幅器（５）の圧力室（１４）において軸線方向に可動に支承されたピストン（１５）と作用結合されている、請求項１記載の装置。
5. 電磁式の圧力増幅器（５）が、入口開口（１７）を介して圧力室（１４）に通じている入口通路（１６）を有している、請求項４記載の装置。
6. 圧力室（１４）が出口（１８）を有しており、該出口（１８）が、燃料噴射弁（１）の入口通路（８）と流れ接続されている、請求項５記載の装置。
7. 入口通路（１６）から圧力室（１４）への流れ接続が閉鎖可能であり、圧力室（１４）内および該圧力室（１４）の出口（１８）の下流側での圧力増幅が、ピストン（１５）の軸線方向のストロークによって達成可能である、請求項６記載の装置。
8. 入口通路（１６）から圧力室（１４）への流れ接続が、前記入口通路（１６）内の別体の弁によってか、またはピストン（１５）によってか、または該ピストン（１５）とプランジャ（１１）との協働により閉鎖可能である、請求項７記載の装置。

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