本発明の粘着テープ又はシートは、支持体の少なくとも一方の面に粘着剤層が形成されており、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層に、部分的に、繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が粘着剤層の表面よりも外側に位置する形態で形成されているとともに、前記繊維凸状構造部における粘着剤層の表面よりも外側(外面側)に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有している。このように、前記粘着テープ又はシートは、繊維凸状構造部における繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有しているので、該繊維凸状構造部の繊維の先端部分が外側に位置している粘着面側の面を、他の粘着面(例えば、両面粘着テープ又はシートである場合における他方の粘着面)と重ね合わせる際の離型面(例えば、自背面など)として利用することができる。従って、粘着テープ又はシートが、両面粘着テープ又はシート(特に、基材付き両面粘着テープ又はシート)であっても、粘着面を保護する剥離ライナーは、1枚であってもよく、コストを低減することができ、さらに、廃棄される剥離ライナーの数も低減することができるので、環境的且つ資源的にも優れている。また、両面粘着テープ又はシートの場合に、1枚の剥離ライナーによりロール状に巻回しても、繊維凸状構造部の繊維が他方の粘着面に貼着されないので、容易に巻き戻すことが可能である。
具体的には、例えば、粘着テープ又はシートが両面粘着テープ又はシート(特に、基材付き両面粘着テープ又はシート)である場合に、一方の粘着面(粘着剤層の表面)の外側のみに繊維の先端部分が位置している繊維凸状構造部が形成された構成を有していても、繊維凸状構造部を形成する際に、孔部を有している剥離ライナーを用いた繊維の植毛による形成方法を利用すると、該孔部を有している剥離ライナーを、そのまま、繊維凸状構造部の繊維の先端部分が外側に位置している粘着面を保護する剥離ライナーとして用いることにより、該繊維凸状構造部の繊維の先端部分が外側に位置している粘着面側の面を、他方の粘着面と重ね合わせる際の離型面(自背面など)として利用することができる。従って、工程用剥離ライナーを、製品用剥離ライナーとして利用することができ、より一層コストの低減を図ることができ、また、より一層、環境的にも資源的にも優れているといえる。しかも、前記孔部を有している剥離ライナーとしては、その厚みが、粘着面よりも外側に位置している繊維の長さよりも薄くても、繊維凸状構造部における繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有しているので、繊維凸状構造部における繊維の先端部分が、他方の粘着面に接着されることがない。そのため、前記剥離ライナーとしては、繊維の長さに応じて厚みが厚いものを用いる必要がないので、一般的に利用されている厚みの剥離ライナーを用いることができ、この観点からもコスト的に有利であり、また、取り扱い性も良好とすることができる。
従って、本発明の粘着テープ又はシートとしては、粘着剤層の表面が、孔部を有している剥離ライナーにより、保護されているとともに、粘着剤層の表面よりも外側に位置している繊維の先端部分が、前記剥離ライナーの孔部を経て、剥離ライナーの外面よりも外側に位置している形態で、繊維凸状構造部が形成されていてもよく、特に、両面粘着テープ又はシートであり、且つ前記孔部を有している剥離ライナーが、両面が離型面となっている剥離ライナーである構成を有していることが好ましい。
(繊維凸状構造部)
前記繊維凸状構造部としては、その繊維の少なくとも一部が粘着剤層の表面よりも外側に位置する形態(構成)で形成され、且つ粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有しており、繊維凸状構造部が形成される面としては、特に制限されず、例えば、粘着剤層の表面や、粘着剤層に部分的に形成された凹部の壁面などが挙げられる。具体的には、繊維凸状構造部の構成としては、例えば、(1)支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層の表面に、部分的に、繊維凸状構造部が形成されている構成、(2)支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層に部分的に凹部が形成されており、この凹部の壁面に、その繊維の少なくとも一部が粘着剤層の表面よりも外側(外部側)に突出している形態で、繊維凸状構造部が形成されている構成などが挙げられる。
このような繊維凸状構造部の構成において、前述の構成(1)では、繊維凸状構造部は、粘着剤層表面に形成されているので、すべての繊維が、粘着剤層の表面よりも外側に位置している構成を有しているといえる。また、前述の構成(2)では、繊維凸状構造部は、粘着剤層における凹部の壁面に形成されているので、少なくとも一部の繊維(しかも、1本の繊維の中でも、その一部分)が、粘着剤層の表面よりも外側に位置している構成を有しているといえる。このように、繊維凸状構造部は、すべての繊維が、必ず、粘着剤層の表面よりも外側(外部側)に位置している必要はなく、少なくとも一部の繊維(例えば、繊維凸状構造部が粘着剤層の凹部の壁面に形成されている場合、粘着剤層の凹部壁面の上部側に形成された繊維)が、粘着剤層の表面よりも外側に位置していればよい。
また、粘着剤層の表面よりも外側に位置している繊維としては、1本の繊維の全長が粘着剤層の表面よりも外側に位置している必要はなく、1本の繊維の少なくとも一部分が粘着剤層の表面よりも外側に位置していればよい。
さらにまた、繊維凸状構造部が粘着剤層における凹部の壁面に形成されている場合、粘着剤層の凹部の壁面の全面に形成されている必要はなく、粘着剤層の凹部の壁面の少なくとも一部分に形成されていればよい。
なお、繊維凸状構造部が粘着剤層における凹部の壁面に形成されており、粘着剤層の凹部が、下記に示されるように、孔部(貫通孔部)であり、且つ粘着テープ又はシートが、下記に示されるように、基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートである場合、粘着剤層の凹部としての孔部は、粘着剤層の両方の表面側とも開放部となっているので、繊維凸状構造部の繊維が、粘着剤層の表面よりも外側に突出して位置している粘着剤層の表面としては、粘着剤層の少なくともいずれか一方の表面とすることができ、好ましくは粘着剤層の片側の表面である。もちろん、粘着剤層の凹部が、下記に示されるように、陥没部である場合や、粘着テープ又はシートが、下記に示されるように、基材付きタイプの粘着テープ又はシートである場合は、凹部(陥没部や孔部など)は、粘着剤層の片面側のみが開放部となっているので、該開放部となっている粘着剤層の表面を、繊維凸状構造部の繊維が、粘着剤層の表面よりも外側に突出して位置している粘着剤層の表面とすることができる。
繊維凸状構造部としては、繊維が粘着剤層表面よりも外側に位置する形状であり、且つ繊維によって凸状形状に形成され、さらに、粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有している構造部であり、例えば、形成されている面から繊維が起立している構造の繊維起毛部や、形成されている面に繊維の固まりが設けられたような構造の繊維凸状構造部などが挙げられる。具体的には、繊維凸状構造部が粘着剤層表面に形成されている場合、繊維が粘着剤層の表面から起立している構造を有している繊維起毛部、繊維の固まりが粘着剤層表面に設けられたような構造の繊維凸状構造部などが挙げられる。また、繊維凸状構造部が粘着剤層における凹部の壁面に形成されている場合、繊維が粘着剤層の凹部の壁面から、粘着剤層表面よりも外側に起立して突出している(特に、繊維の端部が突出している)構造を有している繊維起毛部、繊維の固まりが粘着剤層凹部壁面に設けられ、粘着剤層表面よりも外側に繊維の一部分が突出したような構造の繊維凸状構造部などが挙げられる。繊維凸状構造部は、単一の構造よりなるものであってもよく、複数の構造が組み合わされた構造よりなるものであってもよい。
なお、1つの繊維凸状構造部は、通常、複数の繊維により構成されている。1つの繊維凸状構造部を構成する繊維の数や密度は、特に制限されず、目的とするリワーク性や貼付位置修正作業性、被着体の種類などに応じて適宜選択することができる。
繊維凸状構造部としては、形成されている面から繊維が起立している構造の繊維起毛部(なかでも、繊維が粘着剤層の表面から起立している構造を有している繊維起毛部)が好ましい。
特に、繊維凸状構造部は、粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有していることが重要である。このような離型機能を有している繊維としては、粘着剤層の表面よりも外側に位置している繊維が少なくとも含まれていればよく、例えば、粘着剤層の表面よりも外側に位置している繊維のみであってもよく、粘着剤層の表面よりも外側に位置している繊維および粘着剤層の表面よりも外側に位置していない繊維のうちの一部の繊維であってもよく、すべての繊維であってもよい。
また、離型機能を有している繊維において、繊維における離型機能を有している部分としては、少なくとも先端部分を含んでいれば特に制限されず、例えば、繊維の全長の部分、粘着剤層の表面よりも外側に位置している部分全体や該部分を少なくとも含んでいる部分、繊維の先端部分のみなどが挙げられ、その他、粘着剤層の表面が孔部を有する剥離ライナーにより保護されている場合は、粘着剤層の表面を保護している孔部を有する剥離ライナーの外面よりも外側に位置している部分全体や該部分を少なくとも含んでいる部分であってもよい。なお、粘着剤層の表面が孔部を有する剥離ライナーにより保護されている場合、離型機能を有している繊維における離型機能を有している部分としては、粘着剤層の表面を保護している孔部を有する剥離ライナーの外面よりも外側に位置している部分全体であることが好ましい。
このように、本発明では、離型機能を有している繊維としては、少なくとも、粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維であり、また、繊維における離型機能を有している部分としては、少なくとも、繊維の先端部分である。
本発明の粘着テープ又はシートの具体例を、図1〜2に示す。図1は本発明の粘着テープ又はシートの一例を部分的に示す概略図であり、図1(a)は粘着テープ又はシートの上面から見た概略平面図、図1(b)は図1(a)におけるX−Y線の概略断面図である。図1において、1は粘着テープ又はシート、2は粘着剤層、2aは粘着剤層2の表面、3は粘着テープ又はシート用基材(単に「基材」と称する場合がある)、4は剥離ライナー、4aは剥離ライナー4の孔部、5は繊維起毛部、5aは繊維起毛部5における離型機能を有している部位である。粘着テープ又はシート1は、支持体としての基材3の片面に粘着剤層2が形成され且つ粘着剤層2は剥離ライナー4により保護されている構成を有しており、前記粘着剤層2の表面2aには、剥離ライナー4の孔部4aに対応する部位に、繊維凸状構造部として繊維起毛部5が設けられている。前記繊維起毛部5は、その先端部分側に、離型機能を有している部位5aを有しており、該離型機能を有している部位5aは、剥離処理剤による離型処理により形成されている。該繊維起毛部5における離型機能を有している部位5aは、剥離ライナー4の孔部4aを経て、剥離ライナー4の外面よりも外側に位置している部位である。すなわち、前記繊維起毛部5は、その先端部分が、剥離ライナー4の孔部4aを経て、剥離ライナー4の外面よりも外側に位置している形態で形成されており、剥離ライナー4の外面よりも外側に位置している繊維の先端部分が、剥離処理剤により離型処理された構造を有している。
また、図2は本発明の粘着テープ又はシートの他の例を部分的に示す概略図であり、図2(a)は粘着テープ又はシートの上面から見た概略平面図、図2(b)は図2(a)におけるX´−Y´線の概略断面図である。図2において、11は粘着テープ又はシート、21は粘着剤層、21aは粘着剤層21の凹部、21a1は粘着剤層21の凹部21aの壁面、21bは粘着剤層21の表面、31は粘着テープ又はシート用剥離ライナー(単に「剥離ライナー」と称する場合がある)、41は孔部を有する剥離ライナー、41aは剥離ライナー41の孔部、51は繊維起毛部、51aは繊維起毛部51における離型機能を有している部位である。粘着テープ又はシート11は、支持体としての剥離ライナー31の片面に粘着剤層21が形成され、且つ粘着剤層21は、貫通孔の形態の凹部21aを有している。該凹部21aは、粘着剤層21に部分的に形成されている。すなわち、凹部21aの開口部は、粘着剤層21の表面に部分的に形成されている。また、この粘着剤層21は、その表面21bが、孔部41aを有する剥離ライナー41により保護されている構成を有しており、剥離ライナー41の孔部41aと、粘着剤層21の凹部21aとは、対応した位置関係を有している。具体的には、孔部41aの壁面と、凹部21aの壁面とは連続的に形成された構成を有している。さらに、粘着剤層21の凹部21aの壁面21a1には、繊維凸状構造部として繊維起毛部51が設けられており、この繊維起毛部51は、凹部21aの壁面21a1から、粘着剤層21の表面21bよりも外側(すなわち、孔部41aを有する剥離ライナー41側)に繊維が起立して突出している構造を有している。また、前記繊維起毛部51は、その先端部分側に、離型機能を有している部位51aを有しており、該離型機能を有している部位51aは、剥離処理剤による離型処理により形成されている。該繊維起毛部51における離型機能を有している部位51aは、剥離ライナー41の孔部41aを経て、剥離ライナー41の外面よりも外側に位置している部位である。すなわち、前記繊維起毛部51は、その先端部分が、剥離ライナー41の孔部41aを経て、剥離ライナー41の外面よりも外側に位置している形態で形成されており、剥離ライナー41の外面よりも外側に位置している繊維の先端部分が、剥離処理剤により離型処理された構造を有している。
なお、図1では、前記繊維起毛部5は、全体として、複数のラインを形成するような形状で設けられている。一方、図2では、前記粘着剤層21において、凹部21aは、全体として、複数のラインを形成するような形状で設けられており、従って、繊維起毛部51も、全体として、複数のラインを形成するような形状を有している。このように、本発明の粘着テープ又はシートでは、繊維起毛部等の繊維凸状構造部は、全体として、複数のラインを形成するような形状で設けられていてもよい。
図1に係る粘着テープ又はシート1では、繊維起毛部5における各ラインの間隔(各ラインの中心部の間隔)は10mmとなっており、1つのライン内に含まれる各繊維起毛部間の間隔(各繊維起毛部の中心部の間隔)は10mmとなっている。また、1つの繊維起毛部の粘着剤層表面における形状は、半径が約0.5mmの略円形状(面積は約0.8mm2)となっている。さらにまた、隣り合ったラインでは、一方のラインにおける各繊維起毛部間の中央部に位置する部位に、他方のラインにおける各繊維起毛部が形成された構成となっている。
一方、図2に係る粘着テープ又はシート11では、凹部21aにおける各ラインの間隔(各ラインの中心部の間隔)は10mmとなっており、1つのライン内に含まれる各凹部間の間隔(各凹部の中心部の間隔)は10mmとなっている。また、1つの凹部の粘着剤層表面における開口部の形状は、半径が約0.5mmの略円形状(面積は約0.8mm2)となっている。さらにまた、隣り合ったラインでは、一方のラインにおける各凹部間の中央部に位置する部位に、他方のラインにおける各凹部が形成された構成となっている。このような凹部21aの壁面に、繊維起毛部51が形成されている。
このような繊維起毛部の構造としては、例えば、(1)1本の繊維の一方の端部が粘着剤層の所定の面(表面や凹部壁面など)に接着されて固定され、他方の端部が固定されていない(自由となっている)状態で、粘着剤層表面よりも外側に繊維が略I字型に起立して突出している構造(図1や2で示されている構造)、(2)1本の繊維の中央部が粘着剤層の所定の面(表面や凹部壁面など)に接着され、繊維の両端部が固定されていない(自由となっている)状態で、粘着剤層表面よりも外側に繊維が略V字型に起立して突出している構造、(3)1本の繊維の両端部が粘着剤層の所定の面(表面や凹部壁面など)に接着されて固定され、繊維の中央部が固定されていない(自由となっている)状態で、粘着剤層表面よりも外側に繊維が逆略U字型に起立して突出している構造の他、粘着剤層の所定の面(表面や凹部壁面など)から、粘着剤層表面よりも外側に繊維が略W字型、略M字型、略N字型、略O字型などの形状で起立して突出している構造、さらには、これらの構造が組み合わされた構造などが挙げられる。繊維起毛部の構造としては、前記(1)の構造(粘着剤層の表面又は凹部壁面等の所定の面から粘着剤層表面よりも外側に繊維が略I字型に起立して突出している構造)が好適である。
もちろん、繊維起毛部は、粘着テープ又はシート用粘着剤層の所定の面(表面や凹部壁面など)から繊維が、I字型などのように直線状に起立して、粘着剤層表面よりも外側に突出した状態であってもよく、ギザギザ状、波線状、ループ状などの形態を有する状態で、全体的に起立して、粘着剤層表面よりも外側に突出した状態であってもよい。
繊維凸状構造部は、粘着剤層に部分的に設けられており、その全体としての形状としては、特に制限されず、所定のパターン形状を有していてもよい。なお、繊維凸状構造部が粘着剤層における凹部の壁面に形成されている場合、繊維凸状構造部における全体としての形状は、凹部の全体としての形状に対応することになる。
例えば、繊維凸状構造部が、全体として、図1で示されるようなパターン形状で形成されている場合、すなわち、繊維凸状構造部が、全体として、複数のラインを形成するような形状で設けられている場合、各ラインの間隔は、例えば、1〜100mm(好ましくは3〜50mm、さらに好ましくは5〜40mm)程度の範囲から選択することができる。また、1つのライン内に含まれる各繊維凸状構造部間の間隔は、例えば、1〜100mm(好ましくは3〜50mm、さらに好ましくは5〜40mm)程度の範囲から選択することができる。さらにまた、隣り合ったラインにおける各繊維凸状構造部の位置関係は、特に制限されず、全体として格子状となる位置関係であってもよく、全体として不定形状となる位置関係であってもよい。
なお、1つの繊維凸状構造部について、粘着剤層表面における形状としては、特に制限されず、例えば、略円形状や略多角形状であってもよく、不定形状であってもよい。また、粘着剤層に形成されている繊維凸状構造部の数は、特に制限されない。
粘着剤層表面において、繊維凸状構造部が設けられている部位の全面積(全繊維凸状構造部の面積)としては、特に制限されず、例えば、粘着剤層の全表面積に対して0.001〜20%(好ましくは0.005〜15%、さらに好ましくは0.01〜10%)の割合となる面積であることが望ましい。全繊維凸状構造部の粘着剤層表面における面積が、粘着剤層の全表面積に対して0.001%未満であると、初期接着力の低減効果が低下し、リワーク性や貼付位置修正作業性が低下する。一方、全繊維凸状構造部の粘着剤層表面における面積が、粘着剤層の全表面積に対して20%を越えると、リワーク性や貼付位置修正作業性は向上するが、粘着テープ又はシートの被着体への接着力が低下する。
また、各繊維凸状構造部の粘着剤層表面における面積としては、特に制限されず、例えば、0.1〜10mm2(好ましくは0.3〜5mm2、さらに好ましくは0.5〜3mm2)程度の範囲から選択することが好ましいが、0.1mm2未満であってもよく、10mm2を越えていてもよい。
さらにまた、例えば、各繊維凸状構造部の粘着剤層表面における面積が0.1〜10mm2であるように、繊維凸状構造部が複数設けられている場合、各繊維凸状構造部間の最短の間隔としては、例えば、1〜100mm(好ましくは3〜50mm、さらに好ましくは5〜40mm)程度であってもよい。
なお、繊維凸状構造部の粘着剤層表面における面積としては、繊維凸状構造部により囲まれた部分の面積とすることができる。すなわち、繊維凸状構造部が粘着剤層における凹部の壁面に形成されている場合、繊維凸状構造部の粘着剤層表面における面積は、凹部の粘着剤層表面における開口部の面積に相当している。
このような繊維凸状構造部としては、図1〜2で示されているように、粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有していることが重要である。繊維が離型機能を有しているとは、粘着テープ又はシートにおける繊維凸状構造部の繊維の離型機能を有している先端部分に、粘着剤層の表面が重ね合わせられても、粘着剤層を容易に、繊維の離型機能を有している先端部分から剥離させることができることを意味している。具体的には、粘着テープ又はシートが両面粘着テープ又はシートであり、且つ粘着剤層の一方の面側にのみ、部分的に、繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が粘着剤層の表面よりも外側に位置する形態で形成されているとともに、前記繊維凸状構造部における粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有しており、さらに先端部分が離型機能を有している繊維が粘着剤層表面よりも外側に位置している側の粘着剤層の表面が、孔部を有し且つ両面が剥離面となっている剥離ライナーにより保護されている場合に、同一の粘着テープ又はシートから作製した2つの試験片のうち、一方の試験片における先端部分が離型機能を有している繊維が粘着剤層表面よりも外側に位置している側の面(先端部分が離型機能を有している繊維が形成されていない部分は、剥離ライナーの表面となっている面)に、他方の試験片における粘着剤層の表面を重ね合わせて、2kgのローラー1往復にて貼着させた後、30分経過後の180°ピール粘着力(粘着テープ又はシートの幅:25mm、引張速度:300mm/min、温度:23±2℃、湿度:50±5%RH)を測定した際に、その180°ピール粘着力が3N/25mm未満(好ましくは2N/25mm未満、さらに好ましくは1N/25mm未満)であることを意味している。
このような繊維の少なくとも先端部分における離型機能を有している部分は、剥離処理剤による離型処理(剥離処理)により繊維に離型機能が付加されることにより、離型機能を有している部分であってもよく、また、繊維自体が離型機能を有していることにより、離型機能を有している部分であってもよく、さらには、前記両者の組み合わせであってもよい。なお、繊維に剥離処理剤により離型機能を付加する場合、剥離処理剤による離型処理は、繊維凸状構造部の形成前、形成後のいずれであってもよい。すなわち、繊維凸状構造部を形成する際に、繊維として、予め繊維の所定部分(少なくとも先端部分を含む部分)に、剥離処理剤により離型処理が施された繊維を用いてもよく、または、繊維凸状構造部を形成した後に、繊維の所定部分(少なくとも先端部分を含む部分)に、剥離処理剤により離型処理を施してもよい。
繊維自体が離型機能を有している繊維(「離型繊維」と称する場合がある)としては、繊維自体が離型機能を有している繊維であれば特に制限されない。粘着剤層を形成する粘着剤としては、ゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤(特に、アクリル系粘着剤)が好適に用いられるので、離型繊維としては、ゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤(特に、アクリル系粘着剤)に対して良好な離型性を発揮できるものを好適に用いることができる。このような離型繊維(すなわち、ゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤に対して離型性を発揮でき、且つ繊維自体が離型機能を有している繊維)としては、その溶解度パラメータが、21([MPa]1/2)以下である繊維を好適に用いることができる。離型繊維の溶解度パラメータが21([MPa]1/2)を超えると、ゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤により形成された粘着剤層に対する剥離性が低下して、離型機能が低下する。このような離型繊維の溶解度パラメータとしては、21([MPa]1/2)以下であれば特に制限されず、好ましくは20([MPa]1/2)以下であり、さらに好ましくは18([MPa]1/2)以下である。なお、離型繊維の溶解度パラメータの下限は、特に制限されず、例えば、1([MPa]1/2)以上、好ましくは5([MPa]1/2)以上、さらに好ましくは10([MPa]1/2)以上であってもよい。
離型繊維の溶解度パラメータが21([MPa]1/2)以下の繊維[例えば、下記に示されるように、ポリオレフィン系樹脂による繊維(ポリオレフィン系繊維)、シリコーン系化合物による繊維(シリコーン系繊維)、フッ素系化合物による繊維(フッ素系繊維)など]は、ゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤以外の粘着剤(例えば、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤)により形成された粘着剤層に対しても良好な離型性を発揮することができるが、繊維のポリマーが、粘着剤層を形成する粘着剤のベースポリマーと同種のポリマーである場合は、離型性が有効に発揮されない場合がある。具体的には、離型繊維が、シリコーン系繊維やフッ素系繊維であり、粘着剤層を形成する粘着剤がシリコーン系粘着剤やフッ素系粘着剤である場合などが、これに相当する。そのため、離型繊維としては、粘着剤層を形成する粘着剤の種類に応じて適宜選択することが重要である。
なお、溶解度パラメータ(「SP値」と称する場合がある)は、下記式(1)で表されるように、分子の凝集エネルギー密度の平方根で表され、表面張力とは、下記式(2)で表される関係を有している。
δ=(E/V)1/2 (1)
[式(1)において、δは溶解度パラメータ(cal/cm3)、Eは分子の凝集エネルギー(cal/mol)、Vは分子のモル体積(cm3/mol)を、それぞれ示す]
δ=4.1×([γ/V]1/3)0.43 (2)
[式(2)において、δは溶解度パラメータ(cal/cm3)、γは表面張力(cal/mol)、Vは分子のモル体積(cm3/mol)を、それぞれ示す]
このように、溶解度パラメータは、表面張力と密接な関係を有している。なお、表面張力は、物質の接着しやすさを表す指標であることはよく知られている。従って、溶解度パラメータも、物質の接着しやすさを表す指標として利用することが可能である。
SP値としては、対象物質の構造が分析等により明らかになれば、Fedorsが提案した式(1a)により、計算で容易に求めることができる。
δ=(E/V)1/2=(Σei/Σvi)1/2 (1a)
[式(1a)において、ei、viは、それぞれ、原子団の凝集エネルギー(cal/mol)、原子団のモル体積(cm3/mol)である。δ、E、Vは前記に同じ。なお、ei、viは、それぞれ、凝集エネルギーE、モル体積Vと、次の関係式(1a1)、(1a2)
Σei=E(cal/mol) (1a1)
Σvi=V(cm3/mol) (1a2)
で表される関係を有している。]
具体的には、前記式(1a)により求められるSP値が21([MPa]1/2)以下の高分子物質としては、以下のSP値の算出方法で求められるように、ポリエチレン(SP値:17.6[MPa]1/2)、ポリプロピレン(SP値:16.4[MPa]1/2)、ポリテトラフルオロエチレン(SP値:13.7[MPa]1/2)、ポリジメチルシロキサン(SP値:15.4[MPa]1/2)などが挙げられる。これらの高分子物質は、いずれも、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤が接着し難いもの(低接着性を発揮できるポリマー)として公知の高分子物質である。
なお、前記式(1a)により算出されたSP値は、[cal/cm3]1/2という単位で表される値であり、SI単位系に変換して、単位を[MPa]1/2にする際には2.05倍する必要がある。すなわち、SP値は、前記式(1a)により算出した値を2.05倍することにより、SI単位系である[MPa]1/2の単位で表すことができる。
(SP値の算出方法)
(a)ポリエチレン:構成単位(モノマー単位)「−CH2−CH2−」
原子団は、「CH2」が2個となる。
Σei=1180(CH2)+1180(CH2)=2360(cal/mol)
Σvi=16.1(CH2)+16.1(CH2)=32.2(cm3/mol)
δ=(2360/32.2)1/2=8.6[cal/cm3]1/2=17.6[MPa]1/2
(b)ポリプロピレン:構成単位「−CH2−CH(CH3)−」
原子団は、「CH2」、「CH」、「CH3」となる。
Σei=1180(CH2)+820(CH)+1125(CH3)=3125(cal/mol)
Σvi=16.1(CH2)−1.0(CH)+33.5(CH3)=48.6(cm3/mol)
δ=(3125/48.6)1/2=8.0[cal/cm3]1/2=16.4[MPa]1/2
(c)ポリテトラフルオロエチレン:構成単位「−CF2−CF2−」
原子団は、「CF2」が2個となる。
Σei=1020(CF2)+1020(CF2)=2040(cal/mol)
Σvi=23.0(CF2)+23.0(CF2)=46.0(cm3/mol)
δ=(2040/46.0)1/2=6.7[cal/cm3]1/2=13.7[MPa]1/2
(d)ポリジメチルシロキサン:構成単位「−Si(CH3)2−O−」
原子団は、「CH3」が2個、「Si」、「O」となる。
Σei=1125(CH3)+1125(CH3)+1120(Si)+800(O)=4070(cal/mol)
Σvi=33.5(CH3)+33.5(CH3)+0(Si)+3.8(O)=70.8(cm3/mol)
δ=(4070/70.8)1/2=7.5[cal/cm3]1/2=15.4[MPa]1/2
一方、前記式(1a)により求められるSP値が21([MPa]1/2)を超える高分子物質としては、以下のSP値の算出方法で求められるように、ポリスチレン(SP値:21.7[MPa]1/2)、ポリ塩化ビニル(SP値:22.6[MPa]1/2)などが挙げられる。これらの高分子物質は、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤が良好に接着するものとして公知の高分子物質である。
(SP値の算出方法)
(e)ポリスチレン:構成単位「−CH(C6H5)−CH2−」
原子団は、「C6H5」、「CH」、「CH2」となる。
Σei=7630(C6H5)+820(CH)+1180(CH2)=9630(cal/mol)
Σvi=71.4(C6H5)−1(CH)+16.1(CH2)=86.5(cm3/mol)
δ=(9630/86.5)1/2=10.6[cal/cm3]1/2=21.7[MPa]1/2
(f)ポリ塩化ビニル:構成単位「−CH2−CH(Cl)−」
原子団は、「CH2」、「CH」、「Cl」となる。
Σei=1180(CH2)+820(CH)+2760(Cl)=4760(cal/mol)
Σvi=16.1(CH2)−1(CH)+24.0(Cl)=39.1(cm3/mol)
δ=(4760/39.1)1/2=11.0[cal/cm3]1/2=22.6[MPa]1/2
このように、前記式(1a)により求められるSP値は、粘着剤層の接着し易さの指標となり得る。粘着剤層に対して良好な離型性を発揮することができる高分子物質のSP値は、粘着剤層を形成する粘着剤の種類などに応じて適宜選択することができる。例えば、粘着剤層を形成する粘着剤が、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤等の粘着剤(シリコーン系粘着剤やフッ素系粘着剤を除く)である場合、該粘着剤層に対して良好な離型性を発揮することができる高分子物質のSP値は、前述のように、21([MPa]1/2)以下となる。
離型繊維(すなわち、溶解度パラメータが21([MPa]1/2)以下の繊維)における高分子物質としては、SP値が21([MPa]1/2)以下のものであれば特に制限されず、前記ポリマー以外の高分子物質であっても何ら障害はないが、繊維化が容易である観点などから、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系化合物、フッ素系化合物が好適である。すなわち、離型繊維としては、ポリオレフィン系樹脂による繊維(ポリオレフィン系繊維)、シリコーン系化合物による繊維(シリコーン系繊維)、フッ素系化合物による繊維(フッ素系繊維)を好適に用いることができる。離型繊維は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明では、離型繊維としては、特にポリオレフィン系繊維を好適に用いることができる。ポリオレフィン系繊維を構成するポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒法ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、ポリブテン[例えば、ポリ(1−ブテン)など]、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、α−オレフィン共重合体[例えば、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体(「エチレン−α−オレフィン共重合体」と称する場合がある)、プロピレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(「プロピレン−α−オレフィン共重合体」と称する場合がある)など]、エチレンとα−オレフィン以外の成分との共重合体などが挙げられる。なお、前記エチレン−α−オレフィン共重合体において、炭素数3〜10のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテンからなる群から選択された少なくとも1種のα−オレフィン(コモノマー)を好適に用いることができる。また、プロピレン−α−オレフィン共重合体において、炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテンからなる群から選択された少なくとも1種のα−オレフィン(コモノマー)を好適に用いることができる。従って、エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−(1−ブテン)共重合体などが挙げられる。ポリオレフィン系繊維としては、ポリエチレン(特に、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン)による繊維(ポリエチレン系繊維)が好適である。
なお、離型繊維において、シリコーン系繊維を構成するシリコーン系化合物としては、例えば、ポリシロキサン系ポリマー(例えば、ポリジメチルシロキサンや、下記に示される付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤におけるポリシロキサン系ポリマーなど)等のシリコーン系樹脂などが挙げられる。また、フッ素系繊維を構成するフッ素系化合物としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系樹脂などが挙げられる。
表面の離型処理により離型機能を有している繊維(「離型処理繊維」と称する場合がある)としては、繊維の表面に離型処理が施された繊維であれば特に制限されず、前述のように、繊維凸状構造部の形成前に離型処理が施された繊維、繊維凸状構造部の形成後に離型処理が施された繊維のいずれであってもよい。このような離型処理繊維において、剥離処理剤による離型処理(剥離処理)により繊維に離型機能を付加する際に用いられる剥離処理剤(離型処理剤)としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、剥離処理剤は、溶剤型、無溶剤型、エマルション型などのいずれの形態の剥離処理剤であってもよい。
剥離処理剤としては、剥離性やコストなどの観点より、シリコーン系剥離処理剤が好適である。シリコーン系剥離処理剤は、ポリシロキサン系ポリマーを主成分とする公知のポリシロキサン系剥離処理剤(シリコーン系剥離処理剤)から適宜選択して用いることができる。シリコーン系剥離処理剤としては、なかでも、付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤を好適に用いることができる。付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、付加反応型の架橋(硬化反応)により硬化して剥離性被膜を形成し、有用な剥離特性を発現することができる。このような付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤としては、下記に示されている付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤[すなわち、分子中に、Si−H結合を有する基に対して反応性を有する基を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーと、分子中にケイ素原子に結合している水素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー(特に、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー)とを含有するポリシロキサン系剥離処理剤組成物]を好適に用いることができ、ポリシロキサン系剥離処理剤の中でも、Si−H結合を有する基に対して反応性を有する基(特に、ビニル基)を2個以上有しているポリジメチルシロキサン系ポリマーと、分子中にモノマー単位として「−Si(R)(H)O−」(Rは炭化水素基)を2個以上有しているポリジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマーとによるポリジメチルシロキサン系剥離剤が好適である。なお、ポリシロキサン系剥離処理剤には、公知乃至慣用の添加剤(例えば、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤(染料や顔料等)など)が配合されていてもよい。
剥離処理剤による離型処理方法としては特に制限されないが、例えば、剥離処理剤を塗布し、必要に応じて乾燥や硬化を行うことによる離型処理方法を好適に用いることができる。このような剥離処理剤による離型処理方法において、剥離処理剤の塗布方法としては、特に制限されず、例えば、刷毛塗りによる塗布方法、スプレー塗りによる塗布方法、ディッピングによる塗布方法、ロールコーティングによる塗布方法などが挙げられる。また、乾燥や硬化に際しては、加熱処理を行うことができ、該加熱処理により、付加反応型の硬化反応が生じて、剥離性皮膜が形成され、優れた剥離特性が発揮される。
なお、剥離処理剤による離型処理は、繊維凸状構造部を形成するための繊維(繊維凸状構造部を形成する前の繊維)や、すでに形成されている繊維凸状構造部における繊維(繊維凸状構造部を形成した後の繊維)に対して施すことができる。すなわち、繊維凸状構造部は、例えば、繊維凸状構造部を形成するための繊維として、少なくとも先端部分に剥離処理剤による離型処理が施された繊維を用いることにより形成されていてもよく、剥離処理剤による離型処理が施されていない繊維による凸状構造部を形成した後に、粘着剤層の表面よりも外側に位置している繊維の先端部分に、少なくとも、剥離処理剤による離型処理を施すことにより形成されていてもよい。
また、剥離処理剤の塗布量(固形分)としては、良好な剥離性を発揮できる範囲であれば特に制限されないが、剥離性を損なわない範囲で且つできるだけ少ないことが好ましい。具体的には、剥離処理剤の塗布量(固形分)としては、例えば、0.01〜5g/m2(好ましくは0.05〜3g/m2、さらに好ましくは0.2〜1g/m2)の範囲から適宜選択することができる。なお、離型処理繊維において、剥離処理剤による離型処理層の厚みとしては、特に制限されず、例えば、0.01〜5μm(好ましくは0.05〜3μm、さらに好ましくは0.2〜1μm)の範囲から選択することが望ましい。
一方、剥離処理剤による離型処理が施される前の繊維(繊維素材)としては、特に制限されず、天然繊維、半合成繊維、合成繊維のいずれであってもよい。より具体的には、繊維素材としては、例えば、綿繊維、レーヨン繊維、ポリアミド系繊維[脂肪族ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維(いわゆるアラミド繊維)など]、ポリエステル系繊維(商品名「テトロン」など)、ポリアクリロニトリル系繊維、炭素繊維(炭素系繊維)、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール繊維(いわゆるビニロン繊維)、ポリエチレン系繊維、ポリイミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、シリコーン系繊維、フッ素系繊維などが挙げられる。繊維素材としては、繊維自体が離型機能を有している繊維(離型繊維;例えば、ポリオレフィン系繊維、シリコーン系繊維、フッ素系繊維など)、繊維自体が離型性を有していない繊維のいずれであってもよいが、繊維自体が離型機能を有していない繊維が好適である。具体的には、繊維素材としては、綿繊維、レーヨン繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維を好適に用いることができる。繊維素材は、1種のみが用いられていてもよく、2種以上が組み合わせられて用いられていてもよい。
このような繊維(または繊維素材)としては、短繊維を好適に用いることができる。繊維の長さが長くなると、粘着テープ又はシートの被着体への接着力が低下するため好ましくない。繊維(または繊維素材)としては、その長さが0.1〜5mm(好ましくは0.3〜5mm、さらに好ましくは0.3〜2mm)程度であることが望ましい。なお、繊維の長さが短すぎると、粘着剤層を被着体に接着させる際にかける圧力が低くてもよくなるので、これによりリワーク性や貼付位置修正作業性が低下するため好ましくない。また、繊維の長さが短すぎると、製造が難しく、高価になるため、コスト的な観点からも好ましくない。
また、繊維(または繊維素材)の太さとしては、特に制限されないが、例えば、0.1〜20デニール(好ましくは0.5〜15デニール、さらに好ましくは1〜6デニール)程度の範囲から選択することができる。繊維の太さが太すぎると、柔軟性の低下により、粘着剤層を被着体に接着させる際にかける圧力が高くなるので好ましくない。一方、繊維の太さが細すぎると、初期接着力の低減効果が低下し、リワーク性や貼付位置修正作業性が低下する。
繊維凸状構造部(特に、繊維起毛部)を形成する方法としては、特に制限されないが、下記に示されるように、植毛加工方法(特に、静電植毛加工方法)を好適に利用することができる。前記静電植毛加工方法としては、アップ法、ダウン法、サイド法のいずれであってもよい。なお、植毛加工方法により粘着剤層の表面の所定の部位に繊維凸状構造部を形成させる際には、粘着剤層の表面における繊維凸状構造部を形成する所定の部位に対応した位置に孔部を有している剥離基材(特に剥離フィルム)を用いることが好ましい。また、植毛加工方法により粘着剤層の凹部の壁面に繊維凸状構造部を形成させる際には、粘着剤層の凹部(繊維凸状構造部を形成する凹部)に対応した位置に孔部を有している剥離基材(特に剥離フィルム)を用いることが好ましい。このような剥離基材は、剥離ライナーとしても利用することが可能である。
(粘着剤層)
粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知の粘着剤を用いることができる。また、粘着剤は、ホットメルト型粘着剤であってもよい。粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。粘着剤は、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤、オリゴマー系粘着剤、固系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。
なお、粘着剤は、粘着性成分(ベースポリマー)等のポリマー成分の他に、粘着剤の種類等に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン化合物系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。粘着剤層を形成する際に粘着剤を架橋する場合は、加熱による加熱架橋方法、紫外線照射による紫外線架橋方法(UV架橋方法)、電子線照射による電子線架橋方法(EB架橋方法)、室温等で自然に硬化させる自然硬化方法のいずれであってもよい。
粘着剤としては、天然ゴムや各種の合成ゴム(例えば、ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンなど)をベースポリマーとしたゴム系粘着剤;(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体(単独重合体又は共重合体)をベースポリマーとするアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。
なお、前記アクリル系粘着剤における(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C4-18アルキル(直鎖状又は分岐鎖状のアルキル)エステル]などが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、目的とする粘着性などに応じて適宜選択することができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、前記アクリル系粘着剤において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに、必要に応じて前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のモノマー(共重合性モノマー)が併用されていてもよい。このような共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体などが挙げられる。また、共重合性単量体としては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性の共重合性単量体(多官能モノマー)などが挙げられる。共重合性モノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
粘着剤層の形成方法としては、公知乃至慣用の形成方法を採用することができ、例えば、粘着テープ又はシート用基材を有している基材付き粘着テープ又はシートの場合、支持体としての基材(粘着テープ又はシート用基材)上に、粘着剤を塗布する方法(塗布方法)、剥離ライナーなどの剥離フィルム上に、粘着剤を塗布して粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を基材上に転写する方法(転写方法)などが挙げられる。また、粘着テープ又はシート用基材を有していない基材レス粘着テープ又はシートの場合、粘着剤層の形成方法としては、支持体としての剥離ライナーの剥離面上に、粘着剤を塗布する方法(塗布方法)などが挙げられる。
粘着剤層の厚さとしては、特に制限されず、例えば、1〜1000μm(好ましくは10〜500μm)程度の範囲から選択することができる。
なお、粘着剤層には、部分的に凹部が形成されていてもよい。このような凹部としては、陥没部であってもよいが、孔部(貫通孔部)であることが好ましく、孔部の中でも、特に、穿孔部が好適である。このような凹部において、凹部全体としての形状、各凹部の粘着剤層表面における開口部の形状、凹部の粘着剤層表面における開口部の全面積、各凹部の粘着剤層表面における開口部の面積などとしては、前記繊維凸状構造部に対応したものとすることができる。なお、凹部が陥没部である場合、その深さは、特に制限されず、粘着剤層の厚みの1%以上(例えば、1〜99%、好ましくは30〜90%)に相当する深さの範囲から適宜選択することができる。
また、粘着テープ又はシートが、下記に示されるように、基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートである場合、凹部としての陥没部は、該粘着剤層の少なくともいずれか一方の表面に形成することができ、好ましくは粘着剤層の片側の表面である。さらにまた、粘着テープ又はシートが、下記に示されるように、基材付きタイプの両面粘着テープ又はシートである場合、凹部(陥没部や孔部など)は、少なくともいずれか一方の粘着剤層の表面に形成することができ、好ましくは片側の粘着剤層の表面である。
凹部が孔部である場合、孔部を形成する方法としては、例えば、公知乃至慣用の孔部形成機[なかでも、各種形状の凸部構造(突起状構造)と、該凸部構造に相対する凹部構造とを有する穿孔形成機]を用いた穿孔加工方法、熱や光線による穿孔加工方法(例えば、サーマルヘッド、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、レーザー光線などにより穿孔する方法)、金型(例えば、凸部を有する金型など)を用いた成型加工方法などが挙げられる。なお、凹部が陥没部である場合、陥没部を形成する方法としては、孔部と同様の形成方法を採用することができる。
なお、粘着剤層の凹部に繊維凸状構造部を形成する際に、前述のように、粘着剤層の表面における繊維凸状構造部を形成する所定の部位に対応した位置に孔部を有している剥離基材(特に剥離フィルム)を用いる場合、粘着剤層の凹部は、前記剥離基材の孔部とともに形成することが好ましい。例えば、凹部が形成されていない粘着剤層表面に、孔部を有していない剥離基材を重ね合わせて積層し、剥離基材側から孔部形成機等を用いて、穿孔等の打抜き加工を行って、粘着剤層の凹部(特に、穿孔による孔部)と、剥離基材の孔部とを同時に作製することができる。このような方法では、粘着剤層の凹部と、剥離基材の孔部とが、対応した位置関係を有するように容易に形成することができる。すなわち、粘着剤層の凹部の壁面と、剥離基材の孔部の壁面とが、連続的に形成された構成で作製することができる。そのため、粘着剤層の凹部の壁面が、剥離基材の孔部を介してオープンになり(開放され)、例えば、剥離基材側から、剥離基材の孔部を介して、粘着剤層の凹部の壁面に、植毛加工を行うことにより、前記粘着剤層の凹部の壁面に、該壁面から粘着剤層の表面(孔部を有する剥離基材側の表面)よりも外側に繊維が突出している構造の繊維凸状構造部を効率よく形成させることができる。
なお、粘着剤層の凹部として孔部を形成する際の打抜き加工に際しては、粘着テープ又はシートが基材レスタイプの粘着テープ又はシートであり、粘着剤層の両面が剥離ライナーにより保護されている場合、基材レスタイプの両面粘着テープ又はシート全体に打抜き加工が施されていてもよいが、一方の剥離ライナーのみに切り込み線が形成されないように、ハーフカットタイプの打抜き加工が施されていることが好ましい。
(支持体)
粘着剤層を支持する支持体としては、粘着テープ又はシートが、基材付きタイプの片面又は両面が粘着剤層となっている粘着テープ又はシートの場合、基材(粘着テープ又はシート用基材)を用いることができ、一方、基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートの場合、剥離ライナー(セパレータ)を用いることができる。なお、粘着テープ又はシートが、基材付きタイプの片面又は両面が粘着剤層となっている粘着テープ又はシートの場合、支持体としての基材の片面又は両面に粘着剤層が形成されているとともに、基材の片面又は両面に形成された粘着剤層の表面や凹部壁面に繊維凸状構造部が形成されており、該粘着剤層の表面は、基材の背面側の剥離面や、剥離ライナーにより保護されていてもよい。一方、粘着テープ又はシートが、基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートの場合、剥離ライナーが粘着剤層の支持体となっているとともに、粘着剤層の表面や凹部壁面に繊維凸状構造部が形成されている。この場合、粘着剤層に形成される凹部が、陥没部である場合は、粘着剤層のいずれか一方の粘着面に、凹部としての陥没部を形成することができる。なお、支持体としての剥離ライナーは、粘着テープ又はシートを使用するまでの間、粘着剤層を支持しているとともに、粘着剤層の表面を保護している。
(基材)
前記基材(粘着テープ又はシート用基材)としては、例えば、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;紙(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙等)などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体等の適宜な薄葉体を用いることができる。基材は、単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。例えば、基材としては、ラミネートや共押し出しなどにより、プラスチック系基材と他の基材(紙系基材など)とを複層化したもの(2〜3層の複合体)などであってもよい。
基材としては、プラスチックのフィルムやシートが好ましい。このようなプラスチックのフィルムやシートの素材(プラスチック材)としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。プラスチック材は単独で用いられていてもよく、2種以上組み合わせられた混合状態で用いられていてもよい。なお、プラスチックのフィルムやシートは、無延伸タイプであってもよく、1軸または2軸の延伸処理が施された延伸タイプであってもよい。
なお、基材には、必要に応じて、無機質充填剤(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛など)、老化防止剤(例えば、アミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ヒドロキノン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、リン系老化防止剤、亜リン酸エステル系老化防止剤など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤(例えば、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤など)、滑剤、可塑剤、着色剤(例えば、顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。
基材の片面または両面には、粘着剤層との密着力の向上等を目的に、コロナ処理やプラズマ処理等の物理的処理、下塗り剤等の化学的処理などの適宜な表面処理が施されていてもよい。
基材の厚さとしては、例えば、10〜300μm、好ましくは30〜200μm程度の範囲から選択することができる。
(剥離ライナー)
前記剥離ライナー(粘着テープ又はシート用剥離ライナー)としては、例えば、剥離処理剤による剥離処理層(離型処理層)を少なくとも一方の表面に有する基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などを用いることができる。
剥離ライナーとしては、例えば、剥離ライナー用基材の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成されている剥離ライナーを好適に用いることができる。このような剥離ライナー用基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や、紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)などが挙げられる。
一方、剥離処理層を構成する剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
剥離処理剤としては、剥離性やコストなどの観点より、シリコーン系剥離処理剤が好適である。シリコーン系剥離処理剤は、ポリシロキサン系ポリマーを主成分とする公知のポリシロキサン系剥離処理剤(シリコーン系剥離処理剤)から適宜選択して用いることができる。シリコーン系剥離処理剤としては、なかでも、付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤を好適に用いることができる。付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、付加反応型の架橋(硬化反応)により硬化して剥離性被膜を形成し、有用な剥離特性を発現することができる。
付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、分子中に、Si−H結合を有する基に対して反応性を有する基(具体的には、ビニル基やヘキセニル基等のアルケニル基が含まれる。;以下、「Si−H結合を有する基に対して反応性を有する基」のことを、単に「アルケニル基」と称する場合がある)を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーと、分子中にケイ素原子に結合している水素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー(特に、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー)とを含有するポリシロキサン系剥離処理剤組成物を用いることができる。
なお、本発明において、「Si−H結合」とは、「ケイ素原子(Si)と水素原子(H)との結合」を意味している。
また、アルケニル基を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーにおいて、主鎖又は骨格を形成しているポリシロキサン系ポリマーとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン系ポリマー、ポリジエチルシロキサン系ポリマー、ポリメチルエチルシロキサン系ポリマー等のポリアルキルアルキルシロキサン系ポリマーや、ポリアルキルアリールシロキサン系ポリマーの他、ケイ素原子含有モノマー成分が複数種用いられている共重合体[例えば、ポリ(ジメチルシロキサン−ジエチルシロキサン)など]などが挙げられ、ポリジメチルシロキサン系ポリマーが好適である。
一方、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーにおいて、Si−H結合を有するケイ素原子としては、主鎖中のケイ素原子、側鎖中のケイ素原子のいずれであってもよく、すなわち、主鎖の構成単位として含まれていてもよく、あるいは、側鎖の構成単位として含まれていてもよい。なお、Si−H結合のケイ素原子(水素原子が結合しているケイ素原子)の数は、2個以上であれば特に制限されない。
分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーとしては、分子中にモノマー単位として「−Si(R)(H)O−」(Rは炭化水素基)を少なくとも2個有しているポリシロキサン系ポリマーが好ましく、なかでも、ポリジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマー[例えば、ポリ(ジメチルシロキサン−メチルシロキサン)等]が好適である。
なお、ポリシロキサン系剥離処理剤において、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーは、架橋剤としての機能を有している。
分子中にSi−H結合のケイ素原子を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーの使用量としては、特に制限されないが、例えば、分子中にSi−H結合のケイ素原子を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーにおけるSi−H結合のケイ素原子のモル数(「モル数(X)」と称する場合がある)と、アルケニル基を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーにおけるアルケニル基のモル数(「モル数(Y)」と称する場合がある)とが、モル数(X)>モル数(Y)となる割合が好ましいが、モル数(X)/モル数(Y)が0.8〜3.0(好ましくは1.1〜1.8)程度となる割合の範囲から選択してもよい。
分子中にアルケニル基を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマーを、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー(架橋剤)により硬化させる際には、触媒を用いることができ、該触媒としては、白金系触媒(例えば、白金微粒子、塩化白金酸又はその誘導体等の白金系化合物など)を好適に用いることができる。触媒の使用量としては、特に制限されないが、例えば、分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン系ポリマーに対して0.1〜1000ppm(好ましくは1〜100ppm)の範囲から選択することができる。
本発明では、ポリシロキサン系剥離処理剤としては、分子中にアルケニル基としてビニル基を2個以上有しているポリジメチルシロキサン系ポリマーと、分子中にモノマー単位として「−Si(R)(H)O−」(Rは炭化水素基)を2個以上有しているポリジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマーとによるポリジメチルシロキサン系剥離剤を好適に用いることができる。
ポリシロキサン系剥離処理剤は、前記構成成分(例えば、分子中にアルケニル基を2個以上有しているポリジメチルシロキサン系ポリマー、分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリシロキサン系ポリマー、必要に応じて触媒や各種添加剤など)を、必要に応じて有機溶剤を用いて混合することにより調製することができる。なお、ポリシロキサン系剥離処理剤は、ポリシロキサン系ポリマー等のポリマー成分が有機溶剤に溶解された状態で用いることができる。なお、ポリシロキサン系剥離処理剤には、公知乃至慣用の添加剤(例えば、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤(染料や顔料等)など)が配合されていてもよい。
このようなポリシロキサン系剥離処理剤としては、例えば、商品名「TPR6600」(GE東芝シリコーン社製)、商品名「KS−778」(信越化学社製)、商品名「KS−837」(信越化学社製)などが市販されている。
剥離処理層は、剥離処理剤を剥離ライナー用基材の所定の面(少なくとも一方の面)に塗布した後、乾燥や硬化反応等ための加熱工程を経て形成することができる。なお、乾燥や硬化反応等ための加熱工程では、公知乃至慣用の加熱方法(例えば、熱風式乾燥機を用いる方法など)を利用することができる。なお、付加反応型のポリシロキサン系剥離処理剤は、剥離ライナー用基材の所定の面に塗布した後、乾燥工程又は硬化反応工程などで、付加反応型の硬化反応を行って剥離性皮膜を形成させることにより、優れた剥離特性を発揮させることができる。
また、剥離処理剤は、適正な塗布量で塗布することが重要である。剥離処理剤の塗布量が、少なすぎると、剥離力(剥離に要する力)が大きくなって実用上問題が生じ、一方、多すぎると、コストが高くなって経済的に不利になる。剥離処理剤の適正な塗布量(固形分)としては、用いる粘着剤の種類などに応じて適宜選択することができるが、例えば、0.01〜5g/m2(好ましくは0.05〜3g/m2、さらに好ましくは0.2〜1g/m2)である。
なお、剥離ライナーの厚み、剥離ライナー用基材の厚みや、剥離処理層の厚みなどは特に制限されず、繊維凸状構造部の形状などに応じて適宜選択することができる。
特に、剥離ライナーが、繊維凸状構造部の繊維の少なくとも一部が粘着剤層表面よりも外側に位置している側の粘着剤層の表面を保護するために用いられる場合、剥離ライナーとしては、粘着剤層の表面には部分的に繊維凸状構造部、または繊維凸状構造部の繊維の少なくとも一部が突出している部分又は部位が形成されているので、粘着剤層の表面に繊維が位置している部位に対応する部位に凹部(孔部や陥没部など)を有している剥離ライナーを好適に用いることができ、なかでも、図1で示されるような粘着剤層の表面の繊維凸状構造部に対応する部位に孔部(特に、穿孔部)を有している剥離ライナーや、図2で示されるような粘着剤層の凹部に対応する部位に孔部(特に、穿孔部)を有している剥離ライナーが好適である。このような孔部を有する剥離ライナーとしては、繊維凸状構造部の繊維が倒れないように保護するため、少なくとも孔部(特に、穿孔部)の外周領域部の厚みが、繊維凸状構造部の繊維が粘着剤層表面から突出している高さと同程度またはそれ以上となっていてもよいが、粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、剥離処理剤により離型処理されているので、粘着剤層の表面よりも外側に位置している繊維の先端部分が、前記剥離ライナーの凹部を経て、剥離ライナーの外面よりも外側に位置している形態となる厚みであってもよい。
剥離ライナーの凹部(特に、穿孔部)を形成する方法としては、例えば、公知乃至慣用の凹部形成機[なかでも、各種形状の凸部構造(突起状構造)と、該凸部構造に相対する凹部構造とを有する穿孔形成機]を用いる方法、熱や光線による方法(例えば、サーマルヘッド、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、レーザー光線などにより穿孔する方法)、金型(特に、凸部を有する金型)を用いた成型加工による方法などが挙げられる。
(粘着テープ又はシート)
粘着テープ又はシートとしては、粘着剤層の表面に繊維凸状構造部が形成されている場合、(1a)粘着剤層が、支持体としての基材の両面に形成されており、前記基材の少なくとも一方の面の粘着剤層の表面に、部分的に繊維凸状構造部を有し、且つ前記繊維凸状構造部における粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有している構成の基材付きタイプの両面粘着テープ又はシート、(1b)粘着剤層が、支持体としての基材の片面に形成されており、前記粘着剤層の表面に、部分的に繊維凸状構造部を有し、且つ前記繊維凸状構造部における粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有している構成の基材付きタイプの粘着テープ又はシート(片面粘着テープ又はシート)、(1c)粘着剤層が、少なくとも一方の表面に、部分的に繊維凸状構造部を有し、且つ前記繊維凸状構造部における粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有しており、さらに粘着剤層の両面が1つ又は2つの剥離ライナーで保護されている構成の基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートなどを例示できる。
また、粘着テープ又はシートとしては、粘着剤層の凹部壁面(粘着剤層の凹部側側面)に繊維凸状構造部が形成されている場合、(2a)粘着剤層が、支持体としての基材の両面に形成されており、前記基材の少なくとも一方の面の粘着剤層に部分的に凹部が形成され、且つ該凹部の壁面に、粘着剤層の表面よりも外側に繊維が突出している構造(形態)の繊維凸状構造部を有し、且つ前記繊維凸状構造部における粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有している構成の基材付きタイプの両面粘着テープ又はシート、(2b)粘着剤層が、支持体としての基材の片面に形成されており、前記粘着剤層に部分的に凹部が形成され、且つ該凹部の壁面に、粘着剤層の表面よりも外側に繊維が突出している構造(形態)の繊維凸状構造部を有し、且つ前記繊維凸状構造部における粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有している構成の基材付きタイプの粘着テープ又はシート(片面粘着テープ又はシート)、(2c)粘着剤層に部分的に凹部が形成され、且つ該凹部の壁面に、粘着剤層の表面よりも外側に繊維が突出している構造(形態)の繊維凸状構造部を有し、且つ前記繊維凸状構造部における粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有しており、さらに粘着剤層の両面が1つ又は2つの剥離ライナーで保護されている構成の基材レスタイプの両面粘着テープ又はシートなどを例示できる。
このように、粘着テープ又はシートは、片面のみが粘着面となっている粘着テープ又はシートの形態を有していてもよく、両面が粘着面となっている粘着テープ又はシートの形態を有していてもよい。また、両面粘着テープ又はシートの場合、前述のように、片側の粘着面のみに外側に、繊維の少なくとも一部が位置し且つ粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有している形態の繊維凸状構造部が、粘着剤層の表面や凹部壁面に形成されていてもよく、両方の粘着面の外側に、繊維の少なくとも一部が位置し且つ粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有している形態の繊維凸状構造部が、粘着剤層の表面や凹部壁面に形成されていてもよい。
本発明の粘着テープ又はシートとしては、両面粘着テープ又はシートであることが好ましく、特に、図3〜4で示されるように、支持体が基材である基材付き両面粘着テープ又はシートであることが好適である。図3〜4は、それぞれ、本発明の粘着テープ又はシートの他の例を部分的に示す概略断面図である。図3において、12は粘着テープ又はシート、22は粘着剤層、22aは粘着剤層22の表面、32は粘着テープ又はシート用基材(基材)、42は剥離ライナー、42aは剥離ライナー42の孔部、52は繊維起毛部、52aは繊維起毛部52における離型機能を有している部位、62は粘着剤層である。図3に示される粘着テープ又はシート12は、支持体としての基材32の両面に、それぞれ、粘着剤層22、粘着剤層62が形成され、且つ粘着剤層22は剥離ライナー42により保護されている構成を有しており、前記粘着剤層22の表面22aには、剥離ライナー42の孔部42aに対応する部位に、繊維凸状構造部として繊維起毛部52が設けられている。前記繊維起毛部52は、その先端部分側に、離型機能を有している部位52aを有しており、該離型機能を有している部位52aは、剥離処理剤による離型処理により形成されている。該繊維起毛部52における離型機能を有している部位52aは、剥離ライナー42の孔部42aを経て、剥離ライナー42の外面よりも外側に位置している部位である。すなわち、前記繊維起毛部52は、その先端部分が、剥離ライナー42の孔部42aを経て、剥離ライナー42の外面よりも外側に位置している形態で形成されており、剥離ライナー42の外面よりも外側に位置している繊維の先端部分が、剥離処理剤により離型処理された構造を有している。
また、図4において、13は粘着テープ又はシート、23は粘着剤層、23aは粘着剤層23の凹部、23a1は粘着剤層23の凹部23aの壁面、23bは粘着剤層23の表面、33は粘着テープ又はシート用基材(基材)、43は孔部を有する剥離ライナー、43aは剥離ライナー43の孔部、53は繊維起毛部、53aは繊維起毛部53における離型機能を有している部位、63は粘着剤層である。図4に示される粘着テープ又はシート13は、支持体としての基材33の両面に、それぞれ、粘着剤層23、粘着剤層63が形成され、且つ粘着剤層23は、貫通孔の形態の凹部23aを有している(ただし、基材側の開口部は基材33により塞がれている)。該凹部23aは、粘着剤層23に部分的に形成されている。すなわち、凹部23aの開口部は、粘着剤層23の表面に部分的に形成されている。また、この粘着剤層23は、その表面23bが、孔部43aを有する剥離ライナー43により保護されている構成を有しており、剥離ライナー43の孔部43aと、粘着剤層23の凹部23aとは、対応した位置関係を有している。具体的には、孔部43aの壁面と、凹部23aの壁面とは連続的に形成された構成を有している。さらに、粘着剤層23の凹部23aの壁面23a1には、繊維凸状構造部として繊維起毛部53が設けられており、この繊維起毛部53は、凹部23aの壁面23a1から、粘着剤層23の表面23bよりも外側(すなわち、孔部43aを有する剥離ライナー43側)に繊維が起立して突出している構造を有している。また、前記繊維起毛部53は、その先端部分側に、離型機能を有している部位53aを有しており、該離型機能を有している部位53aは、剥離処理剤による離型処理により形成されている。該繊維起毛部53における離型機能を有している部位53aは、剥離ライナー43の孔部43aを経て、剥離ライナー43の外面よりも外側に位置している部位である。すなわち、前記繊維起毛部53は、その先端部分が、剥離ライナー43の孔部43aを経て、剥離ライナー43の外面よりも外側に位置している形態で形成されており、剥離ライナー43の外面よりも外側に位置している繊維の先端部分が、剥離処理剤により離型処理された構造を有している。
なお、粘着テープ又はシートは、ロール状に巻回した形態の粘着テープ(巻回体又は巻重体)であってもよく、単層又はシートを積層した形態の粘着シートであってもよい。本発明では、特に、繊維凸状構造部における粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有しているので、例えば、図3〜4で示されるように、粘着面を保護する剥離ライナーが1枚であっても、ロール状に巻回した形態の粘着テープとすることができ、その巻戻し性は良好である。この際、自背面は、繊維凸状構造部の繊維の先端部分が外側に位置している粘着面側の粘着剤層表面上に積層された剥離ライナー側の面である。
このように、粘着テープ又はシートは、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層に、その繊維の少なくとも一部が粘着剤層表面よりも外側に位置する形態で繊維凸状構造部が形成されている構成を有しているので、表面よりも外側に繊維の少なくとも一部が位置している側の粘着剤層表面(粘着面)を、被着体に、小さな荷重をかけて貼り合わせた際には、仮接着をすることができ、貼り直しや貼付位置を修正した後、大きな荷重をかけることにより、強固に接着させることができる。なお、仮接着の際にかける荷重の大きさとしては、特に制限されず、粘着剤層表面よりも外側に位置している繊維の高さ(粘着剤層表面から先端までの長さ)、繊維凸状構造部の繊維の太さや素材の種類などによりコントロールすることができる。すなわち、繊維凸状構造部により、粘着テープ又はシートの貼り付け直後の接着力を所望の大きさにコントロールすることができる。
本発明の粘着テープ又はシートは、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層における所定の部位に(粘着剤層の表面の所定の部位や、粘着剤層の所定の部位に形成された凹部の壁面など)に、前記繊維凸状構造部を形成することにより製造することができる。具体的には、植毛加工方法を利用して、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層における所定の部位に、植毛加工を施すことにより、前記粘着剤層の所定の部位に、繊維の少なくとも一部が粘着剤層の表面よりも外側に位置し、且つ粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有している形態の繊維凸状構造部を形成して、粘着剤層に部分的に繊維凸状構造部を有する粘着テープ又はシートを製造することができる。この植毛加工に際しては、繊維として、予め、所定の部分(例えば、全長、先端部分、少なくとも先端部分など)が剥離処理剤により離型処理が施された繊維や、繊維自体が離型機能を有している繊維を用いて植毛加工を施すことにより、繊維凸状構造部が、粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有していてもよいが、剥離処理剤により離型処理が施されていない繊維を用いて、植毛加工を施すことにより、粘着剤層に、部分的に、繊維凸状構造部を形成した後、さらに、前記繊維凸状構造部における所定の繊維の所定の部分(少なくとも先端部分など)に、剥離処理剤により離型処理を施すことにより、繊維凸状構造部が、粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有している(剥離処理剤により離型処理された構造を有している)ことが好ましい。すなわち、本発明の粘着テープ又はシートの製造方法としては、植毛加工方法を利用して、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層の表面に植毛加工を施すことにより、前記粘着剤層に、部分的に、繊維凸状構造部が、その繊維の少なくとも一部が粘着剤層の表面よりも外側に位置する形態で形成した後、さらに、前記繊維凸状構造部における粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分を、少なくとも、剥離処理剤により離型処理する粘着テープ又はシートの製造方法が好適である。もちろん、繊維として、予め所定の部位に離型機能を有している繊維を用いて、植毛加工方法を利用して、支持体の少なくとも一方の面の粘着剤層の表面に植毛加工を施すことにより、前記粘着剤層に、部分的に、繊維凸状構造部を、その繊維の少なくとも一部が粘着剤層の表面よりも外側に位置する形態で形成する粘着テープ又はシートの製造方法であってもよい。
このような植毛加工方法としては、特に静電植毛加工方法が好適である。なお、静電植毛加工方法としては、例えば、1つの電極に対し、粘着剤層を有する被植毛物を対電極となるようにセットして、これに直流高電圧を印加し、この電極間にフロック(繊維)を供給して、クーロン力によって、フロックを電気力線に沿って飛翔させて、被植毛物の表面(粘着剤層の表面や、粘着剤層の凹部の壁面など)に突きさせることにより、植毛を行う加工方法などが挙げられる。このような静電植毛加工方法としては、公知の静電植毛方法であれば特に制限されず、例えば、「繊維」第34巻 第6号(1982−6)において「静電植毛の原理と実際」などで記載されているようなアップ法、ダウン法、サイド法のいずれであってもよい。
粘着剤層の所定の部位(表面の所定の部位や、凹部の壁面など)に、植毛加工方法(特に、静電植毛加工方法)により繊維凸状構造部を形成させる際には、前述のように、少なくとも一方の面が剥離面であり且つ孔部を有する剥離基材(「孔部を有する剥離基材」と称する場合がある)を用いることが好ましい。孔部を有する剥離基材を用いると、粘着剤層の表面や凹部の壁面等の所定の部位に、繊維凸状構造部を、効率よく且つ容易に形成することができる。具体的には、粘着剤層における繊維凸状構造部を形成する所定の部位に対応した位置に孔部を有している剥離基材を、粘着剤層の表面に重ね合わせた状態で、粘着剤層の所定の部位に植毛加工(特に、静電植毛加工)を施すことにより、剥離基材の孔部に対応した粘着剤層の所定の部位に、繊維凸状構造部を形成することができる。
なお、孔部を有する剥離基材としては、前述のような孔部(特に、穿孔部)を有する剥離ライナーを用いることができ、なかでも、剥離ライナー用基材がプラスチック系基材である孔部(特に、穿孔部)を有する剥離フィルムが好適である。また、孔部を有する剥離基材の厚みは、粘着剤層の表面よりも外側に位置している繊維の先端部分が、孔部を有する剥離基材の外面よりも外側に位置する長さや、位置しない長さのいずれであってもよいが、前記と同様に、粘着剤層の表面よりも外側に位置している繊維の先端部分が、孔部を有する剥離基材の孔部を経て、孔部を有する剥離基材の外面よりも外側に位置している形態となる厚みであることが好ましい。
このように、孔部を有する剥離基材を用いて、粘着剤層の所定の部位(特に、表面)に部分的に繊維凸状構造部を有する粘着テープ又はシートを製造する方法では、剥離基材の孔部を形成する位置や、剥離基材の孔部の大きさ及び数などによって、粘着剤層表面における繊維凸状構造部を形成する位置や、繊維凸状構造部の大きさや数、繊維凸状構造部を形成するための凹部などをコントロールすることができる。
なお、粘着剤層がすでに孔部を有していない剥離ライナーにより保護されている場合、該剥離ライナーを剥がした後、孔部を有する剥離基材を粘着剤層表面に貼り合わせ、植毛加工を施すことができる。
前記孔部を有する剥離基材は、繊維凸状構造部を形成した後は、剥離させてもよいが、そのまま、剥離ライナーとして用いることが好ましい。このように、本発明では、工程用剥離ライナー(粘着テープ又はシートを作製する際に用いられる剥離ライナー)を、製品用剥離ライナー(製品としての粘着テープ又はシートで用いられる剥離ライナー)として好適に利用することができる。すなわち、粘着剤層の所定の部位に、繊維凸状構造部を有する粘着テープ又はシートを製造する方法としては、例えば、孔部(特に穿孔部)を有する剥離ライナーを粘着剤層の表面に重ね合わせた状態で、粘着剤層に植毛加工を施す方法が好適である。
なお、孔部を有する剥離基材を、繊維凸状構造部を形成した後に剥離させて除去する場合は、粘着剤層における繊維凸状構造部の繊維が突出している表面は、凹部を有する剥離ライナー(特に、粘着剤層における繊維凸状構造部の繊維が突出している部分又は部位に凹部を有する剥離ライナー)により保護することができる。
本発明の粘着テープ又はシートは、粘着剤層の所定の部位(表面の所定の部位や、凹部の壁面など)に繊維凸状構造部が形成されているので、前述のように、被着体に重ね合わせた後、小さな荷重をかけて仮接着を行うことができ、しかも、仮接着後に、貼り直しや、貼り付け位置の修正を十分に且つ容易に行うことができる。すなわち、本発明の粘着テープ又はシートは、被着体を接着させる際のリワーク性や貼付位置修正作業性が優れている。
従って、本発明の粘着テープ又はシートは、仮接着後に、貼り直しや、貼り付け位置の修正を行うことが求められる用途の粘着テープ又はシートとして好適に用いることができ、なかでも、フローリング材を床に貼り合わせる際に用いられる粘着テープ又はシート(フローリング材貼付用粘着テープ又はシート)として有用である。なお、フローリング材貼付用粘着テープ又はシートとして用いる場合、粘着テープ又はシートとしては、基材の両面に粘着剤層を有し、且つ基材の一方の面の粘着剤層の所定の部位(表面や凹部壁面など)に繊維凸状構造部を有し、さらに前記繊維凸状構造部における粘着剤層の表面よりも外側に位置する繊維の先端部分が、少なくとも、離型機能を有している基材付きタイプの両面粘着テープ又はシート[すなわち、基材の一方の面に、所定の部位(表面や凹部壁面など)に繊維凸状構造部を有する粘着剤層(繊維凸状構造部形成粘着剤層)が形成され、基材の他方の面に、繊維凸状構造部を有していない粘着剤層(繊維凸状構造部非形成粘着剤層)が形成された基材付きタイプの両面粘着テープ又はシート]を好適に用いることができる。
本発明の粘着テープ又はシートを用いて、フローリング材を床に貼り合わせる方法としては、粘着テープ又はシートを介してフローリング材を床に貼り合わせる方法であれば特に制限されないが、例えば、次のような貼り合わせ方法が好適である。
[フローリング材の床への貼り合わせ方法]
粘着テープ又はシートとして、例えば、基材の一方の面に繊維凸状構造部形成粘着剤層を有し、且つ基材の他方の面に繊維凸状構造部非形成粘着剤層を有している基材付きタイプの両面粘着テープ又はシートを用い、該粘着テープ又はシートにおける繊維凸状構造部非形成粘着剤層側の粘着面をフローリング材に貼り合わせた後、フローリング材を所定の場所に差し込み、繊維凸状構造部形成粘着剤層の粘着面を床に貼り合わせて仮接着させ、さらに、フローリング材を床に沿って所定の場所まで移動させた後、強い圧着により、粘着テープ又はシートを介してフローリング材を床に強固に貼り合わせる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下の実施例や比較例では、繊維を正の電荷に帯電させた状態で噴霧することができ、且つ一方の側から他方の側に長尺帯状のシートを負の電荷に帯電させた状態で流すことができるラインが設けられたボックス(サイズ:ラインの流れ方向の長さ:2.5m×幅:1.3m×高さ:1.4m)を用いて、静電植毛加工を施した。具体的には、繊維を前記ボックス内の上部(1カ所)より噴霧し、印加電圧:30kVで噴霧した状態で、該ボックス内に、長尺帯状のシートを、植毛する面が上面となる形態で、ライン速度:5m/分で導入してライン上を移動させることにより、静電植毛加工を施した。
(実施例1)
長尺帯状のポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の両面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーA1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーA1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.05g/m2であった。
前記剥離ライナーA1に、1個の穿孔部の面積が0.8mm2であり、且つ10mm間隔で穿孔を行うことができるように設計された凸部構造および凹部構造を有する穿孔形成機(300Wテストエンボス機、由利ロール社製)を用いて、穿孔加工を行い、図5に示されるような穿孔部のパターン形状を有する剥離ライナーA1(「穿孔部を有する剥離ライナーA1」と称する場合がある)を作製した。なお、この穿孔部を有する剥離ライナーA1において、各穿孔部の平均穿孔面積は0.8mm2であり、穿孔部の総穿孔面積は剥離ライナーの全表面積に対して0.8%であった。図5は、穿孔部を有する剥離ライナーを示す概略図である。図5において、7は穿孔部を有する剥離ライナー、7aは穿孔部である。
一方、ポリエチレンをラミネートしたクラフト紙の上に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「TPR6600」GE東芝シリコーン社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工して剥離ライナー(「剥離ライナーA2」と称する場合がある)を作製した後、該剥離ライナーA2の離型処理面(剥離処理面)に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層A1」と称する場合がある)を形成した。この粘着剤層A1の表面に、ポリエステル系の不織布(「基材A」と称する場合がある)を貼り合わせた後、基材A(ポリエステル系不織布)の表面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層A2」)を作製した。その後、この粘着剤層A2の表面に、前記穿孔部を有する剥離ライナーA1を貼り合わせた。次いで、ポリアミド系繊維(繊維太さ3.0デニール、繊維長さ0.3mm)を用いて、穿孔部を有する剥離ライナーA1側の面より静電植毛加工を施し、粘着剤層A2における穿孔部を有する剥離ライナーA1の穿孔部に位置している表面に前記ポリアミド系繊維を植毛させた。さらに、穿孔部を有する剥離ライナーA1の穿孔部を経て、該穿孔部を有する剥離ライナーA1の表面よりも外側に位置しているポリアミド系繊維の部分に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−837」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、ポリアミド系繊維の先端部分に離型処理(剥離性の処理)を行って、図6に示されるような、一方の粘着剤層の表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の先端部分が離型処理されている両面粘着シート(「両面粘着シートA」と称する場合がある)を作製した。すなわち、該両面粘着シートAは、「剥離ライナーA2/粘着剤層A1/基材A/表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の先端部分が離型処理されている粘着剤層A2/穿孔部を有する剥離ライナーA1」の層構成を有している。
なお、ポリアミド系繊維の先端部分に対する離型処理において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、植毛した面積に対して、平均0.05g/m2であった。
図6は先端部分が離型処理されている繊維起毛部を、一方の粘着剤層の表面に部分的に有する両面粘着シートを示す概略断面図である。図6において、8は両面粘着シート、8aは剥離ライナー、8bは粘着剤層、8cは基材、8dは先端部分が離型処理されている繊維起毛部を、表面に部分的に有している粘着剤層、8eは穿孔部を有する剥離ライナー、8fは剥離ライナー8eの穿孔部、8gは粘着剤層8dの表面に形成され且つ先端部分が離型処理されている繊維起毛部、8hは繊維起毛部8gの離型処理されている先端部分である。
(実施例2)
長尺帯状のポリエチレンフィルム(商品名「NSO」大倉工業社製;厚み60μm)の両面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−837」(信越化学社製)の8.0重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーB1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーB1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.6g/m2であった。
前記剥離ライナーB1に、1個の穿孔部の面積が1.0mm2であり、且つ5mm間隔で穿孔を行うことができるように設計された、実施例1と同様の凸部構造および凹部構造を有する穿孔形成機を用いて、穿孔加工を行い、実施例1と同様のパターン形状の穿孔部を有する剥離ライナーB1(「穿孔部を有する剥離ライナーB1」と称する場合がある)を作製した。なお、この穿孔部を有する剥離ライナーB1において、各穿孔部の平均穿孔面積は1.0mm2であり、穿孔部の総穿孔面積は剥離ライナーの全表面積に対して4%であった。
一方、ポリエチレンをラミネートしたクラフト紙の上に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「TPR6600」GE東芝シリコーン社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工して剥離ライナー(「剥離ライナーB2」と称する場合がある)を作製した後、該剥離ライナーB2の離型処理面に、ゴム系粘着剤(天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴムとが、天然ゴム/スチレン−ブタジエンゴム=50/50(重量比)の割合で配合されているゴム系粘着剤)を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層B1」と称する場合がある)を形成した。この粘着剤層B1の表面に、ポリエステル系の不織布(「基材B」と称する場合がある)を貼り合わせた後、基材B(ポリエステル系不織布)の表面に、ゴム系粘着剤(天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴムとが、天然ゴム/スチレン−ブタジエンゴム=50/50(重量比)の割合で配合されているゴム系粘着剤)を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層B2」)を作製した。その後、この粘着剤層B2の表面に、前記穿孔部を有する剥離ライナーB1を貼り合わせた。次いで、綿繊維(繊維太さ3.0デニール、繊維長さ1.0mm)を用いて、穿孔部を有する剥離ライナーB1側の面より静電植毛加工を施し、粘着剤層B2における穿孔部を有する剥離ライナーB1の穿孔部に位置している表面に前記綿繊維を植毛させた。さらに、穿孔部を有する剥離ライナーB1の穿孔部を経て、該穿孔部を有する剥離ライナーB1の表面よりも外側に位置している綿繊維の部分に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−837」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、綿繊維の先端部分に離型処理(剥離性の処理)を行って、図6に示されるような、一方の粘着剤層の表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の先端部分が離型処理されている両面粘着シート(「両面粘着シートB」と称する場合がある)を作製した。すなわち、該両面粘着シートBは、「剥離ライナーB2/粘着剤層B1/基材B/表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の先端部分が離型処理されている粘着剤層B2/穿孔部を有する剥離ライナーB1」の層構成を有している。
両面粘着シートBに関する写真を、図7〜8に示す。図7は、実施例2における両面粘着シートBに形成されている繊維起毛部の形状に関する写真を示す図であり、表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の先端部分が離型処理されている粘着剤層B2の上面から見た図である。図8は、実施例2における両面粘着シートBに形成されている繊維起毛部の形状に関する写真を示す図であり、図7に係る繊維起毛部を示す要部拡大側面図である。この図7〜8で示されている写真は、デジタルマイクロスコープとして商品名「VH−6200」(KEYENCE社製)を用い、倍率:10〜175倍の条件で撮影した写真である。
なお、綿繊維の先端部分に対する離型処理において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、植毛した面積に対して、平均0.05g/m2であった。
(実施例3)
長尺帯状のポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の両面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーC1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーC1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.1g/m2であった。
前記剥離ライナーC1に、1個の穿孔部の面積が1.5mm2であり、且つ20mm間隔で穿孔を行うことができるように設計された、実施例1と同様の凸部構造および凹部構造を有する穿孔形成機を用いて、穿孔加工を行い、実施例1と同様のパターン形状の穿孔部を有する剥離ライナーC1(「穿孔部を有する剥離ライナーC1」と称する場合がある)を作製した。なお、この穿孔部を有する剥離ライナーC1において、各穿孔部の平均穿孔面積は1.5mm2であり、穿孔部の総穿孔面積は剥離ライナーの全表面積に対して0.4%であった。
一方、ポリエチレンをラミネートしたクラフト紙の上に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「TPR6600」GE東芝シリコーン社製)の2重量%ヘプタン溶液を、塗工して剥離ライナー(「剥離ライナーC2」と称する場合がある)を作製した後、該剥離ライナーC2の離型処理面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層C1」と称する場合がある)を形成した。この粘着剤層C1の表面に、ポリエステル系の不織布(「基材C」と称する場合がある)を貼り合わせた後、基材C(ポリエステル系不織布)の表面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層C2」)を作製した。その後、この粘着剤層C2の表面に、前記穿孔部を有する剥離ライナーC1を貼り合わせた。次いで、ポリアミド系繊維(繊維太さ3.0デニール、繊維長さ1.0mm)を用いて、穿孔部を有する剥離ライナーC1側の面より静電植毛加工を施し、粘着剤層C2における穿孔部を有する剥離ライナーC1の穿孔部に位置している表面に前記ポリアミド系繊維を植毛させた。さらに、穿孔部を有する剥離ライナーC1の穿孔部を経て、該穿孔部を有する剥離ライナーC1の表面よりも外側に位置しているポリアミド系繊維の部分に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−837」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、ポリアミド系繊維の先端部分に離型処理(剥離性の処理)を行って、図6に示されるような、一方の粘着剤層の表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の先端部分が離型処理されている両面粘着シート(「両面粘着シートC」と称する場合がある)を作製した。すなわち、該両面粘着シートCは、「剥離ライナーC2/粘着剤層C1/基材C/表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の先端部分が離型処理されている粘着剤層C2/穿孔部を有する剥離ライナーC1」の層構成を有している。
なお、ポリアミド系繊維の先端部分に対する離型処理において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、植毛した面積に対して、平均0.05g/m2であった。
(実施例4)
長尺帯状のポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の両面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーD1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーD1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.1g/m2であった。
前記剥離ライナーD1の一方の剥離処理面上に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層D」と称する場合がある)を形成し、さらに、前記粘着剤層Dの表面に、前記剥離ライナーD1と同様の構成の剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーD2」と称する場合がある)を、その一方の離型処理面が粘着剤層Dの表面に接触するように重ね合わせて、粘着シート(「粘着シートD」と称する場合がある)を得た。すなわち、該粘着シートDは、「剥離ライナーD1/粘着剤層D/剥離ライナーD2」の層構成を有している。
さらに、1mmφ(直径が1mm)の形状の打抜き刃を、10mm間隔に有する金型により、前記粘着シートDをハーフカットによるカッティング処理して(剥離ライナーD2と、粘着剤層Dとに打抜き加工を施して)、「剥離ライナーD1/部分的に穿孔部が形成された粘着剤層D/部分的に穿孔部が形成された剥離ライナーD2」の層構成を有している粘着シートDを得た。
この打抜き加工を行った粘着シートDに、ポリアミド系繊維(繊維太さ3.0デニール、繊維長さ0.3mm)を用いて、穿孔部が形成されている剥離ライナーD2側から、静電植毛加工を施し、粘着剤層Dの穿孔部の壁面に、前記ポリアミド系繊維を植毛させた。さらに、穿孔部が形成されている剥離ライナーD2の穿孔部を経て、該穿孔部を有する剥離ライナーD2の表面よりも外側に位置しているポリアミド系繊維の部分に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−837」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、ポリアミド系繊維の先端部分に離型処理(剥離性の処理)を行って、図2(b)に示されるような、一方の粘着剤層に部分的に形成された穿孔部の壁面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の先端部分が離型処理されている両面粘着シート(「両面粘着シートD」と称する場合がある)を作製した。すなわち、該両面粘着シートDは、「剥離ライナーD1/部分的に形成された穿孔部の壁面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の先端部分が離型処理されている粘着剤層D/穿孔部を有する剥離ライナーD2」の層構成を有している。
なお、ポリアミド系繊維の先端部分に対する離型処理において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、植毛した面積に対して、平均0.05g/m2であった。
(実施例5)
長尺帯状のポリエチレンフィルム(商品名「NSO」大倉工業社製;厚み60μm)の両面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−837」(信越化学社製)の8.0重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーE1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーE1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.6g/m2であった。
前記剥離ライナーE1の一方の剥離処理面上に、ゴム系粘着剤(天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴムとが、天然ゴム/スチレン−ブタジエンゴム=50/50(重量比)の割合で配合されているゴム系粘着剤)を、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層E」と称する場合がある)を形成し、さらに、前記粘着剤層Eの表面に、前記剥離ライナーE1と同様の構成の剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーE2」と称する場合がある)を、その一方の離型処理面が粘着剤層Eの表面に接触するように重ね合わせて、粘着シート(「粘着シートE」と称する場合がある)を得た。すなわち、該粘着シートEは、「剥離ライナーE1/粘着剤層E/剥離ライナーE2」の層構成を有している。
さらに、1.5mmφ(直径が1.5mm)の形状の打抜き刃を、5mm間隔に有する金型により、前記粘着シートEをハーフカットによるカッティング処理して(剥離ライナーE2と、粘着剤層Eとに打抜き加工を施して)、実施例4と同様に、「剥離ライナーE1/部分的に穿孔部が形成された粘着剤層E/部分的に穿孔部が形成された剥離ライナーE2」の層構成を有している粘着シートEを得た。
この打抜き加工を行った粘着シートEに、綿繊維(繊維太さ3.0デニール、繊維長さ1.0mm)を用いて、穿孔部が形成されている剥離ライナーE2側から、静電植毛加工を施し、粘着剤層Eの穿孔部の壁面に、前記綿繊維を植毛させた。さらに、穿孔部が形成されている剥離ライナーE2の穿孔部を経て、該穿孔部を有する剥離ライナーE2の表面よりも外側に位置している綿繊維の部分に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−837」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、綿繊維の先端部分に離型処理(剥離性の処理)を行って、図2(b)に示されるような、一方の粘着剤層に部分的に形成された穿孔部の壁面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の先端部分が離型処理されている両面粘着シート(「両面粘着シートE」と称する場合がある)を作製した。すなわち、該両面粘着シートEは、「剥離ライナーE1/部分的に形成された穿孔部の壁面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の先端部分が離型処理されている粘着剤層E/穿孔部を有する剥離ライナーE2」の層構成を有している。
なお、綿繊維の先端部分に対する離型処理において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、植毛した面積に対して、平均0.05g/m2であった。
(実施例6)
長尺帯状のポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の両面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーF1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーF1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.1g/m2であった。
前記剥離ライナーF1の一方の剥離処理面上に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層F」と称する場合がある)を形成し、さらに、前記粘着剤層Fの表面に、前記剥離ライナーF1と同様の構成の剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーF2」と称する場合がある)を、その一方の離型処理面が粘着剤層Fの表面に接触するように重ね合わせて、粘着シート(「粘着シートF」と称する場合がある)を得た。すなわち、該粘着シートFは、「剥離ライナーF1/粘着剤層F/剥離ライナーF2」の層構成を有している。
さらに、1mmφ(直径が1mm)の形状の打抜き刃を、20mm間隔に有する金型により、前記粘着シートFをハーフカットによるカッティング処理して(剥離ライナーF2と、粘着剤層Fとに打抜き加工を施して)、実施例4と同様に、「剥離ライナーF1/部分的に穿孔部が形成された粘着剤層F/部分的に穿孔部が形成された剥離ライナーF2」の層構成を有している粘着シートFを得た。
この打抜き加工を行った粘着シートFに、ポリアミド系繊維(繊維太さ3.0デニール、繊維長さ1.0mm)を用いて、穿孔部が形成されている剥離ライナーF2側から、静電植毛加工を施し、粘着剤層Fの穿孔部の壁面に、前記ポリアミド系繊維を植毛させた。さらに、穿孔部が形成されている剥離ライナーF2の穿孔部を経て、該穿孔部を有する剥離ライナーF2の表面よりも外側に位置しているポリアミド系繊維の部分に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−837」(信越化学社製)の1重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、ポリアミド系繊維の先端部分に離型処理(剥離性の処理)を行って、図2(b)に示されるような、一方の粘着剤層に部分的に形成された穿孔部の壁面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の先端部分が離型処理されている両面粘着シート(「両面粘着シートF」と称する場合がある)を作製した。すなわち、該両面粘着シートFは、「剥離ライナーF1/部分的に形成された穿孔部の壁面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の先端部分が離型処理されている粘着剤層F/穿孔部を有する剥離ライナーF2」の層構成を有している。
なお、ポリアミド系繊維の先端部分に対する離型処理において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、植毛した面積に対して、平均0.05g/m2であった。
(実施例7)
長尺帯状のポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の両面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の0.5重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーG1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーG1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.05g/m2であった。
前記剥離ライナーG1に、1個の穿孔部の面積が0.8mm2であり、且つ10mm間隔で穿孔を行うことができるように設計された、実施例1と同様の凸部構造および凹部構造を有する穿孔形成機を用いて、穿孔加工を行い、実施例1と同様のパターン形状の穿孔部を有する剥離ライナーG1(「穿孔部を有する剥離ライナーG1」と称する場合がある)を作製した。なお、この穿孔部を有する剥離ライナーG1において、各穿孔部の平均穿孔面積は0.8mm2であり、穿孔部の総穿孔面積は剥離ライナーの全表面積に対して0.8%であった。
一方、ポリエチレンをラミネートしたクラフト紙の上に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「TPR6600」GE東芝シリコーン社製)の0.5重量%ヘプタン溶液を、塗工して剥離ライナー(「剥離ライナーG2」と称する場合がある)を作製した後、該剥離ライナーG2の離型処理面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層G1」と称する場合がある)を形成した。この粘着剤層G1の表面に、ポリエステル系の不織布(「基材G」と称する場合がある)を貼り合わせた後、基材G(ポリエステル系不織布)の表面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層G2」)を作製した。その後、この粘着剤層G2の表面に、前記穿孔部を有する剥離ライナーG1を貼り合わせた。
また、ポリアミド系繊維(繊維太さ1.5デニール、繊維長さ0.3mm)を、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の0.5重量%ヘプタン溶液中にディッピングさせた後、120℃で2分間乾燥を行って、ポリアミド系繊維の全体に離型処理(剥離性の処理)を行い、繊維全体に離型処理が施されたポリアミド系繊維を得た。なお、ポリアミド系繊維の繊維全体に対する離型処理において、シリコーン系剥離処理剤による離型処理の厚みは0.05μmであった。
次いで、前述の離型処理が繊維全体に施されたポリアミド系繊維を用いて、穿孔部を有する剥離ライナーG1側の面より静電植毛加工を施し、粘着剤層G2における穿孔部を有する剥離ライナーG1の穿孔部に位置している表面に前記の離型処理が繊維全体に施されたポリアミド系繊維を植毛させて、図6に示されるような、一方の粘着剤層の表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の繊維全体が離型処理されている両面粘着シート(「両面粘着シートG」と称する場合がある)を作製した。すなわち、該両面粘着シートGは、「剥離ライナーG2/粘着剤層G1/基材G/表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の繊維全体が離型処理されている粘着剤層G2/穿孔部を有する剥離ライナーG1」の層構成を有している。
(実施例8)
長尺帯状のポリエチレンフィルム(商品名「NSO」大倉工業社製;厚み60μm)の両面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−837」(信越化学社製)の8.0重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーH1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーH1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.6g/m2であった。
前記剥離ライナーH1に、1個の穿孔部の面積が1.0mm2であり、且つ5mm間隔で穿孔を行うことができるように設計された、実施例1と同様の凸部構造および凹部構造を有する穿孔形成機を用いて、穿孔加工を行い、実施例1と同様のパターン形状の穿孔部を有する剥離ライナーH1(「穿孔部を有する剥離ライナーH1」と称する場合がある)を作製した。なお、この穿孔部を有する剥離ライナーH1において、各穿孔部の平均穿孔面積は1.0mm2であり、穿孔部の総穿孔面積は剥離ライナーの全表面積に対して4%であった。
一方、ポリエチレンをラミネートしたクラフト紙の上に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「TPR6600」GE東芝シリコーン社製)の0.5重量%ヘプタン溶液を、塗工して剥離ライナー(「剥離ライナーH2」と称する場合がある)を作製した後、該剥離ライナーH2の離型処理面に、ゴム系粘着剤(天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴムとが、天然ゴム/スチレン−ブタジエンゴム=50/50(重量比)の割合で配合されているゴム系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層H1」と称する場合がある)を形成した。この粘着剤層H1の表面に、ポリエステル系の不織布(「基材Hと称する場合がある)を貼り合わせた後、基材H(ポリエステル系不織布)の表面に、ゴム系粘着剤(天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴムとが、天然ゴム/スチレン−ブタジエンゴム=50/50(重量比)の割合で配合されているゴム系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層H2」)を作製した。その後、この粘着剤層H2の表面に、前記穿孔部を有する剥離ライナーH1を貼り合わせた。
また、綿繊維(繊維太さ1.5デニール、繊維長さ1.0mm)を、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−837」(信越化学社製)の0.5重量%ヘプタン溶液中にディッピングさせた後、120℃で2分間乾燥を行って、綿繊維の全体に離型処理(剥離性の処理)を行い、繊維全体に離型処理が施された綿繊維を得た。なお、綿繊維の繊維全体に対する離型処理において、シリコーン系剥離処理剤による離型処理の厚みは0.05μmであった。
次いで、前述の離型処理が繊維全体に施された綿繊維を用いて、穿孔部を有する剥離ライナーH1側の面より静電植毛加工を施し、粘着剤層H2における穿孔部を有する剥離ライナーH1の穿孔部に位置している表面に前記の離型処理が繊維全体に施された綿繊維を植毛させて、図6に示されるような、一方の粘着剤層の表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の繊維全体が離型処理されている両面粘着シート(「両面粘着シートH」と称する場合がある)を作製した。すなわち、該両面粘着シートHは、「剥離ライナーH2/粘着剤層H1/基材H/表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の繊維全体が離型処理されている粘着剤層H2/穿孔部を有する剥離ライナーH1」の層構成を有している。
(実施例9)
長尺帯状のポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の両面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の1.0重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーI1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーI1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.1g/m2であった。
前記剥離ライナーI1に、1個の穿孔部の面積が1.5mm2であり、且つ20mm間隔で穿孔を行うことができるように設計された、実施例1と同様の凸部構造および凹部構造を有する穿孔形成機を用いて、穿孔加工を行い、実施例1と同様のパターン形状の穿孔部を有する剥離ライナーI1(「穿孔部を有する剥離ライナーI1」と称する場合がある)を作製した。なお、この穿孔部を有する剥離ライナーI1において、各穿孔部の平均穿孔面積は1.5mm2であり、穿孔部の総穿孔面積は剥離ライナーの全表面積に対して0.4%であった。
一方、ポリエチレンをラミネートしたクラフト紙の上に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「TPR6600」GE東芝シリコーン社製)の2.0重量%ヘプタン溶液を、塗工して剥離ライナー(「剥離ライナーI2」と称する場合がある)を作製した後、該剥離ライナーI2の離型処理面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層I1」と称する場合がある)を形成した。この粘着剤層I1の表面に、ポリエステル系の不織布(「基材I」と称する場合がある)を貼り合わせた後、基材I(ポリエステル系不織布)の表面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層I2」)を作製した。その後、この粘着剤層I2の表面に、前記穿孔部を有する剥離ライナーI1を貼り合わせた。
また、ポリアミド系繊維(繊維太さ1.5デニール、繊維長さ1.0mm)を、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の0.5重量%ヘプタン溶液中にディッピングさせた後、120℃で2分間乾燥を行って、ポリアミド系繊維の全体に離型処理(剥離性の処理)を行い、繊維全体に離型処理が施されたポリアミド系繊維を得た。なお、ポリアミド系繊維の繊維全体に対する離型処理において、シリコーン系剥離処理剤による離型処理の厚みは0.05μmであった。
次いで、前述の離型処理が繊維全体に施されたポリアミド系繊維を用いて、穿孔部を有する剥離ライナーI1側の面より静電植毛加工を施し、粘着剤層I2における穿孔部を有する剥離ライナーI1の穿孔部に位置している表面に前記の離型処理が繊維全体に施されたポリアミド系繊維を植毛させて、図6に示されるような、一方の粘着剤層の表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の繊維全体が離型処理されている両面粘着シート(「両面粘着シートI」と称する場合がある)を作製した。すなわち、該両面粘着シートIは、「剥離ライナーI2/粘着剤層I1/基材I/表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の繊維全体が離型処理されている粘着剤層I2/穿孔部を有する剥離ライナーI1」の層構成を有している。
(実施例10)
長尺帯状のポリエステルフィルム(商品名「ルミラー#38」東レ社製;厚み38μm)の両面に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−778」(信越化学社製)の0.5重量%ヘプタン溶液を、塗工した後、120℃で2分間乾燥を行って、剥離ライナー(剥離紙;「剥離ライナーJ1」と称する場合がある)を作製した。なお、この剥離ライナーJ1において、シリコーン系剥離処理剤の塗布量は、0.05g/m2であった。
前記剥離ライナーJ1に、1個の穿孔部の面積が1.5mm2であり、且つ20mm間隔で穿孔を行うことができるように設計された、実施例1と同様の凸部構造および凹部構造を有する穿孔形成機を用いて、穿孔加工を行い、実施例1と同様のパターン形状の穿孔部を有する剥離ライナーJ1(「穿孔部を有する剥離ライナーJ1」と称する場合がある)を作製した。なお、この穿孔部を有する剥離ライナーJ1において、各穿孔部の平均穿孔面積は1.5mm2であり、穿孔部の総穿孔面積は剥離ライナーの全表面積に対して0.4%であった。
一方、ポリエチレンをラミネートしたクラフト紙の上に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤(商品名「TPR6600」GE東芝シリコーン社製)の0.5重量%ヘプタン溶液を、塗工して剥離ライナー(「剥離ライナーJ2」と称する場合がある)を作製した後、該剥離ライナーJ2の離型処理面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層J1」と称する場合がある)を形成した。この粘着剤層J1の表面に、ポリエステル系の不織布(「基材J」と称する場合がある)を貼り合わせた後、基材J(ポリエステル系不織布)の表面に、アクリル系粘着剤(ベースポリマーがアクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体であるアクリル系粘着剤)を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗工して、粘着剤層(「粘着剤層J2」)を作製した。その後、この粘着剤層J2の表面に、前記穿孔部を有する剥離ライナーJ1を貼り合わせた。
次いで、ポリエチレン系繊維(繊維太さ3.0デニール、繊維長さ1.5mm)を用いて、穿孔部を有する剥離ライナーJ1側の面より静電植毛加工を施し、粘着剤層J2における穿孔部を有する剥離ライナーJ1の穿孔部に位置している表面に前記のポリエチレン系繊維を植毛させて、図6に示されるような、一方の粘着剤層の表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の繊維自体が離型機能を有している両面粘着シート(「両面粘着シートJ」と称する場合がある)を作製した。すなわち、該両面粘着シートJは、「剥離ライナーJ2/粘着剤層J1/基材J/表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の繊維自体が離型機能を有している粘着剤層J2/穿孔部を有する剥離ライナーJ1」の層構成を有している。
なお、植毛したポリエチレン系繊維は、溶解度パラメータ(SP値)が17.6[MPa]1/2のポリエチレンにより形成されている。
(比較例1)
剥離ライナーへの穿孔と、粘着剤層への植毛加工を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、両面粘着シート(「両面粘着シートK」と称する場合がある)を作製した。すなわち、該両面粘着シートKは、「剥離ライナーA2/粘着剤層A1/基材A/粘着剤層A2(表面に繊維起毛部を有していない)/剥離ライナーA1(穿孔部を有していない)」の層構成を有している。
(比較例2)
穿孔部を有する剥離ライナーA1の穿孔部を経て、該穿孔部を有する剥離ライナーA1の表面よりも外側に位置しているポリアミド系繊維の部分に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤を用いた離型処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、両面粘着シート(「両面粘着シートL」と称する場合がある)を作製した。すなわち、該両面粘着シートLは、「剥離ライナーA2/粘着剤層A1/基材A/表面に繊維起毛部を有する粘着剤層A2/穿孔部を有する剥離ライナーA1」の層構成を有している。また、粘着剤層A2に形成された繊維起毛部の先端は、穿孔部を有する剥離ライナーA1の穿孔部を経て、該穿孔部を有する剥離ライナーA1の表面よりも外側に位置しており、該先端部分には、離型処理が施されていない。
(比較例3)
穿孔部を有する剥離ライナーD2の穿孔部を経て、該穿孔部を有する剥離ライナーD2の表面よりも外側に位置しているポリアミド系繊維の部分に、ポリジメチルシロキサン系のシリコーン系剥離処理剤を用いた離型処理を行わなかったこと以外は実施例4と同様にして、両面粘着シート(「両面粘着シートM」と称する場合がある)を作製した。すなわち、該両面粘着シートMは、「剥離ライナーD1/部分的に形成された穿孔部の壁面に繊維起毛部を有する粘着剤層D/穿孔部を有する剥離ライナーD2」の層構成を有している。また、粘着剤層Dに形成された繊維起毛部の先端は、穿孔部を有する剥離ライナーD2の穿孔部を経て、該穿孔部を有する剥離ライナーD2の表面よりも外側に位置しており、該先端部分には、離型処理が施されていない。
(比較例4)
植毛する繊維として、ポリエチレン系繊維(繊維太さ3.0デニール、繊維長さ1.5mm)に代えて、ポリスチレン系繊維(繊維太さ3.0デニール、繊維長さ1.5mm)を用いたこと以外は実施例10と同様にして、両面粘着シート(「両面粘着シートN」と称する場合がある)を作製した。すなわち、該両面粘着シートNは、「剥離ライナーJ2/粘着剤層J1/基材J/表面に繊維起毛部を有し且つ該繊維起毛部の繊維がポリスチレン系繊維である(離型機能を有していない)粘着剤層J2/穿孔部を有する剥離ライナーJ1」の層構成を有している。
なお、植毛したポリスチレン系繊維は、溶解度パラメータ(SP値)が21.7[MPa]1/2のポリスチレンにより形成されている。
(評価)
実施例、比較例により得られた両面粘着シート(両面粘着シートA〜両面粘着シートN)から、穿孔部を有する剥離ライナーA1〜C1(実施例1〜3)、穿孔部を有する剥離ライナーD2〜F2(実施例4〜6)、穿孔部を有する剥離ライナーG1〜J1(実施例7〜10)、剥離ライナーA1(比較例1)、穿孔部を有する剥離ライナーA1(比較例2)、穿孔部を有する剥離ライナーD2(比較例3)、または穿孔部を有する剥離ライナーJ1(比較例4)を、それぞれ、剥がした後、アクリル板に、もう一方の剥離ライナー側から、25g/22.5cm2の荷重をかけて仮接着させた後、両面粘着シートを貼り付けた位置より6mm移動させてから、強く圧着させ、この時の移動が容易であるかどうかによって、貼付位置修正作業性を評価した。
また、貼り付けた後、24時間、室温(23℃)で放置した後、テンシロン引張試験機を用いて、アクリル板に対する接着力(180°ピール接着力;引張速度300mm/min、23℃×55%RH)を測定し、比較例1の両面粘着シートの接着力に対する割合により、表面に繊維起毛部を有する粘着剤層による接着力を接着力回復率(%)として評価した。なお、接着力回復率(%)は下記式で表される。
接着力回復率(%)=[(各実施例又は各比較例の両面粘着シートの接着力)/(比較例1の両面粘着シートの接着力)]×100
さらにまた、実施例、比較例により得られた両面粘着シート(両面粘着シートA〜両面粘着シートN)から、実施例1〜3では穿孔部を有していない剥離ライナー(剥離ライナーA2〜C2)、実施例4〜6では穿孔部を有していない剥離ライナー(剥離ライナーD1〜F1)、実施例7〜10では穿孔部を有していない剥離ライナー(剥離ライナーG2〜J2)、比較例1では剥離ライナーA2、比較例2では穿孔部を有していない剥離ライナーA2、比較例3では穿孔部を有していない剥離ライナーD1、比較例4では穿孔部を有していない剥離ライナー(剥離ライナーJ2)を、それぞれ、剥がして、他方の面[それぞれ、実施例1〜3では穿孔部を有する剥離ライナー(穿孔部を有する剥離ライナーA1〜C1)側の面、実施例4〜6では穿孔部を有する剥離ライナー(穿孔部を有する剥離ライナーD2〜F2)側の面、実施例7〜10では穿孔部を有する剥離ライナー(穿孔部を有する剥離ライナーG1〜J1)側の面、比較例1では剥離ライナーA1側の面、比較例2では穿孔部を有する剥離ライナーA1側の面、比較例3では穿孔部を有する剥離ライナーD2側の面、比較例4では剥離ライナーJ1側の面を自背面として、ロール状に巻回して、ロール状に巻回された形態の粘着テープ(巻重体)を作製した。すなわち、剥離ライナーの剥離により露出した粘着剤層の表面[実施例1〜3では粘着剤層A1〜C1の表面、実施例4〜6では粘着剤層D〜Fにおける剥離ライナーD1〜F1側の表面(繊維起毛部の繊維の先端が表面よりも外側に位置していない側の表面、実施例7〜10では粘着剤層G1〜J1の表面、比較例1では粘着剤層A1の表面、比較例2では粘着剤層A1の表面、比較例3では粘着剤層Dにおける剥離ライナーD1側の表面(繊維起毛部の繊維の先端が表面よりも外側に位置していない側の表面)、比較例4では粘着剤層J1の表面]と、その背面側の面(他方の面)[実施例1〜3では穿孔部を有する剥離ライナー(穿孔部を有する剥離ライナーA1〜C1)側の面、実施例4〜6では穿孔部を有する剥離ライナー(穿孔部を有する剥離ライナーD2〜F2)側の面、実施例7〜10では穿孔部を有する剥離ライナー(穿孔部を有する剥離ライナーG1〜J1)側の面、比較例1では剥離ライナーA1側の面、比較例2では穿孔部を有する剥離ライナーA1側の面、比較例3では穿孔部を有する剥離ライナーD2側の面、比較例4では穿孔部を有する剥離ライナー(穿孔部を有する剥離ライナーJ1)側の面]とが接触するように重ね合わせて、ロール状に巻回して巻重体を作製した。
さらに、この巻重体を50℃で1日保存した後、巻き戻し、この際、容易に巻き戻せるかどうかを官能的に確認して、巻戻し性を、容易に巻き戻せる場合は「良好」、容易に巻き戻せない場合は「不良」として評価した。
これらの評価結果は、それぞれ、表1又は表2の「貼付位置修正作業性」、「接着力回復率(%)」、「巻戻し性」の欄に示した。
表1より明らかなように、実施例に係る粘着シート(粘着剤層の表面に繊維起毛部の繊維が突出し且つ繊維の先端部分に離型処理が施されている粘着シート)は、初期貼り付け後の位置修正が容易であり、強く貼り付けた後の接着力は良好であることが確認された。しかも、繊維凸状構造部の繊維の先端部分が外側に位置している粘着面側の粘着剤層表面にのみ、剥離ライナーを積層し、該剥離ライナー側の表面を自背面として、ロール状に巻回して巻重体を作製しても、巻戻し性は良好であり、容易に巻き戻すことができることが確認された。
また、繊維凸状構造部を、溶解度パラメータが21([MPa]1/2)以下である材料又は素材(高分子物質)による繊維により形成すると、該繊維凸状構造部が形成されている粘着剤層表面を自背面として利用することができることが確認された。