しかし、このような従来の微小高さ測定装置においては、いずれも光ビームの走査を機械的に行うものであったので、光ビームの走査速度には限界があり、高速測定が困難であった。また、観察領域全体をレーザビームで走査して被測定物の高さを測定するものであったので、被測定物上に測定点を指定して測定することができず、測定点の高さを高速度で測定することができなかった。
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、被測定物上に測定点を指定してその測定点の高さを高速で測定しようとする微小高さ測定装置及び変位計ユニットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1の発明による微小高さ測定装置は、光ビームを放射する光源と、前記光源からの光ビームが被測定物方向に反射するように個別に傾く複数のマイクロミラーをマトリクス状に配列した測定点選択手段と、前記測定点選択手段の前記被測定物側の近傍に配設され、前記測定点選択手段により被測定物方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を処理する高次回折光処理手段と、前記測定点選択手段で反射された光ビームを被測定物上に集光する対物レンズと、前記測定点選択手段の複数のマイクロミラーのうち選択されたマイクロミラーで反射されて前記被測定物上に指定された測定点に集光し、そこで反射されて戻る光ビームを前記選択されたマイクロミラーを介して検出する光検出手段と、前記被測定物を前記対物レンズに対して相対的にその光軸方向に変位させると共にその変位量を検出して出力する変位手段と、前記測定点選択手段の各マイクロミラーを駆動制御し、前記変位手段の変位を制御すると共に、前記光検出手段で検出された光の輝度及び前記変位手段より入力した変位量のデータから最大輝度値を示す変位量を被測定物の前記測定点の高さとして求める制御手段と、を備えたものである。
このような構成により、光源から光ビームを放射し、制御手段で測定点選択手段のマトリクス状に配列された複数のマイクロミラーを個別に駆動制御し、選択されたマイクロミラーを上記光源からの光ビームを被測定物方向に反射するように傾け、測定点選択手段の被測定物側の近傍に配設された高次回折光処理手段で測定点選択手段により被測定物方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を処理し、対物レンズにより上記選択されたマイクロミラーで反射された光ビームを被測定物上に指定された測定点に集光し、そこで反射されて戻る光ビームを光検出手段で上記選択されたマイクロミラーを介して検出し、制御手段で変位手段の変位を制御し、変位手段で被測定物を上記対物レンズに対して相対的にその光軸方向に変位させてその変位量を検出して出力し、制御手段により上記光検出手段で検出された光の輝度及び上記変位手段より入力した変位量のデータから最大輝度値を示す変位量を被測定物の上記測定点の高さとして求める。
また、第2の発明による微小高さ測定装置は、光ビームを放射する光源と、該光源からの光ビームが前記被測定物方向に反射するように個別に傾く複数のマイクロミラーをマトリクス状に配列した測定点選択手段と、前記測定点選択手段の前記被測定物側の近傍に配設され、前記測定点選択手段により被測定物方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を処理する高次回折光処理手段と、前記測定点選択手段の複数のマイクロミラーのうち選択されたマイクロミラーで反射されて前記被測定物上に指定された測定点に照射し、そこで反射されて戻る光ビームを前記選択されたマイクロミラーを介して検出する光検出手段と、前記測定点選択手段を前記高次回折光処理手段と一体的に前記被測定物の法線方向に変位させる変位手段と、該変位手段の変位を制御すると共に前記測定点選択手段の変位量及び前記光検出手段で検出された光の輝度データを互いに関連付けて出力する変位計制御回路とを有する変位計ユニットと、前記変位計ユニットの測定点選択手段で反射され光ビームを前記被測定物上に集光する対物レンズと、前記変位計ユニットの測定点選択手段の各マイクロミラーを駆動制御すると共に、前記変位計ユニットから出力された変位量及び光の輝度データから最大輝度値を示す変位量を被測定物の前記測定点の高さとして求める制御手段と、を備えたものである。
このような構成により、変位計ユニットの光源で光ビームを放射し、制御手段で測定点選択手段のマトリクス状に配列された複数のマイクロミラーを個別に駆動制御し、選択されたマイクロミラーを上記光源からの光ビームを被測定物方向に反射するように傾け、測定点選択手段の被測定物側の近傍に配設された高次回折光処理手段で測定点選択手段により被測定物方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を処理し、上記対物レンズで上記選択されたマイクロミラーにより反射された光ビームを被測定物上に指定された測定点に集光し、変位計制御回路で変位手段の変位を制御し、該変位手段で上記測定点選択手段を高次回折光処理手段と一体的に被測定物の法線方向に変位させ、光検出手段で上記測定点で反射されて戻る光ビームを上記選択されたマイクロミラーを介して検出し、変位計制御回路で上記測定点選択手段の変位量及び上記光検出手段により検出された光の輝度データを互いに関連付けて出力し、制御手段で該データに基づいて最大輝度値を示す変位量を被測定物の上記測定点の高さとして求める。
また、第3の発明による微小高さ測定装置は、光ビームを放射する光源と、前記光源からの光ビームが被測定物方向に反射するように個別に傾く複数のマイクロミラーをマトリクス状に配列した測定点選択手段と、前記測定点選択手段により被測定物方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を処理する高次回折光処理手段と、前記測定点選択手段で反射された光ビームを被測定物上に集光する対物レンズと、前記測定点選択手段の複数のマイクロミラーのうち選択されたマイクロミラーで反射されて前記被測定物上に指定された測定点に集光し、そこで反射されて戻る光ビームを前記選択されたマイクロミラーを介して検出する光検出手段と、前記高次回折光処理手段を前記対物レンズの光軸方向に変位させると共にその変位量を検出して出力する変位手段と、前記測定点選択手段の各マイクロミラーを駆動制御し、前記変位手段の変位を制御すると共に、前記光検出手段で検出された光の輝度及び前記変位手段より入力した変位量のデータから最大輝度値を示す変位量を被測定物の前記測定点の高さとして求める制御手段と、を備えたものである。
このような構成により、光源から光ビームを放射し、制御手段で測定点選択手段のマトリクス状に配列された複数のマイクロミラーを個別に駆動制御して、選択されたマイクロミラーを上記光源からの光ビームを被測定物方向に反射するように傾け、高次回折光処理手段で測定点選択手段により被測定物方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を処理し、対物レンズで上記選択されたマイクロミラーにより反射された光ビームを被測定物上に指定された測定点に集光し、そこで反射されて戻る光ビームを光検出手段で上記選択されたマイクロミラーを介して検出し、制御手段で変位手段の変位を制御し、変位手段で高次回折光処理手段を上記対物レンズの光軸方向に変位させてその変位量を検出して出力し、制御手段により上記光検出手段で検出された光の輝度及び上記変位手段より入力した変位量のデータから最大輝度値を示す変位量を被測定物の上記測定点の高さとして求める。
また、第4の発明よる微小高さ測定装置は、光ビームを放射する光源と、前記光源からの光ビームが被測定物方向に反射するように個別に傾く複数のマイクロミラーをマトリクス状に配列した測定点選択手段と、前記測定点選択手段の前記被測定物側の近傍に配設され、前記測定点選択手段により被測定物方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を処理する高次回折光処理手段と、前記測定点選択手段で反射された光ビームを被測定物上に集光する対物レンズと、前記対物レンズによって被測定物上に集光した光ビームの輝点の像を前記測定点選択手段のマイクロミラー上又は測定点選択手段の被測定物側の所定位置に結像させる結像レンズと、前記測定点選択手段の複数のマイクロミラーのうち選択されたマイクロミラーで反射されて前記被測定物上に指定された測定点に集光し、そこで反射されて戻る光ビームを前記選択されたマイクロミラーを介して検出する光検出手段と、前記結像レンズを前記対物レンズの光軸方向に変位させると共にその変位量を検出して出力する変位手段と、前記測定点選択手段の各マイクロミラーを駆動制御し、前記変位手段の変位を制御すると共に、前記光検出手段で検出された光の輝度及び前記変位手段より入力した変位量のデータから最大輝度値を示す変位量を被測定物の前記測定点の高さとして求める制御手段と、を備えたものである。
このような構成により、光源から光ビームを放射し、制御手段で測定点選択手段のマトリクス状に配列された複数のマイクロミラーを個別に駆動制御し、選択されたマイクロミラーを上記光源からの光ビームを被測定物方向に反射するように傾け、測定点選択手段の被測定物側の近傍に配設された高次回折光処理手段で測定点選択手段により被測定物方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を処理し、対物レンズにより上記選択されたマイクロミラーで反射された光ビームを被測定物上に指定された測定点に集光し、結像レンズで被測定物上の測定点に集光した光ビームの輝点の像を測定点選択手段のマイクロミラー上又は測定点選択手段の被測定物側の所定位置に結像させ、さらにその光ビームを光検出手段で上記選択されたマイクロミラーを介して検出し、制御手段で変位手段の変位を制御し、変位手段で上記結像レンズを対物レンズの光軸方向に変位させてその変位量を検出して出力し、制御手段により上記光検出手段で検出された光の輝度及び上記変位手段より入力した変位量のデータから最大輝度値を示す変位量を被測定物の上記測定点の高さとして求める。
さらに、前記高次回折光処理手段は、所定の開口を有する集光レンズである。これにより、所定の開口を有する集光レンズで測定点選択手段により被測定物方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を除去する。
また、前記光検出手段は、前記光源と前記測定点選択手段との間の光路上に配設されて、前記測定点選択手段からの光路を二つに分岐する光分岐手段により反射された光を受光するものである。これにより、光源と測定点選択手段との間の光路上に配設されて、測定点選択手段からの光路を二つに分岐する光分岐手段で測定点選択手段からの光を反射し、それを光検出手段で受光する。
さらに、前記光検出手段は、光電子増倍管若しくは撮像素子であり、又はその両者を組み合わせてそれぞれ切り換えて光検出可能としたものである。これにより、光電子増倍管若しくは撮像素子で被測定物からの反射光を検出し、又はその両者を組み合わせたものでそれぞれ切り換えて被測定物からの反射光を検出する。
そして、前記光源は、波長の異なるレーザ光源を組み合わせてそれぞれ切り換えて光ビームを放射可能としたものである。これにより、波長の異なるレーザ光源をそれぞれ切り換えて波長の異なる光ビームを放射する。
また、第5の発明による変位計ユニットは、光ビームを放射する光源と、該光源からの光ビームが被測定物方向に反射するように個別に傾く複数のマイクロミラーをマトリクス状に配列した測定点選択手段と、前記測定点選択手段の前記被測定物側の近傍に配設され、前記測定点選択手段により被測定物方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を処理する高次回折光処理手段と、前記測定点選択手段の複数のマイクロミラーのうち選択されたマイクロミラーで反射されて前記被測定物上に指定された測定点に照射し、そこで反射されて戻る光ビームを前記選択されたマイクロミラーを介して検出する光検出手段と、前記測定点選択手段を前記高次回折光処理手段と一体的に前記被測定物の法線方向に変位させる変位手段と、該変位手段の変位を制御すると共に、前記測定点選択手段の変位量及び前記光検出手段で検出された光の輝度データを互いに関連付けて出力する変位計制御回路と、を備えたものである。
このような構成により、光源で光ビームを放射し、測定点選択手段でマトリクス状に配列した複数のマイクロミラーのうち選択されたマイクロミラーを傾けて光源からの光ビームが被測定物方向に反射し、測定点選択手段の被測定物側の近傍に配設された高次回折光処理手段で測定点選択手段により被測定物方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を処理し、被測定物上に指定された測定点に照射し、そこで反射されて戻る光ビームを光検出手段で上記選択されたマイクロミラーを介して検出し、変位手段で測定点選択手段を高次回折光処理手段と一体的に被測定物の法線方向に変位させ、変位計制御回路で上記測定点選択手段の変位量及び前記光検出手段で検出された光の輝度データを互いに関連付けて出力する。
さらに、前記高次回折光処理手段は、所定の開口を有する集光レンズである。れにより、所定の開口を有する集光レンズで測定点選択手段により被測定物方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を集光し、該集光レンズの光軸上に再結像させる。
また、前記光検出手段は、前記光源と前記測定点選択手段との間の光路上に配設されて、前記測定点選択手段からの光路を二つに分岐する光分岐手段により反射された光を受光するものである。これにより、光源と測定点選択手段との間の光路上に配設された光分岐手段で測定点選択手段からの光路を二つに分岐し、光検出手段で光分岐手段により反射された光を受光する。
さらに、前記光検出手段は、光電子増倍管若しくは撮像素子であり、又はその両者を組み合わせてそれぞれ切り換えて光検出可能としたものである。これにより、光電子増倍管若しくは撮像素子で被測定物からの反射光を検出し、又はその両者を組み合わせたものでそれぞれ切り換えて被測定物からの反射光を検出する。
そして、前記光源は、波長の異なるレーザ光源を組み合わせてそれぞれ切り換えて光ビームを放射可能としたものである。これにより、波長の異なるレーザ光源をそれぞれ切り換えて異なる波長の光ビームを放射する。
なお、上記高次回折光の「処理」とは、0次光と高次回折光とを分離し、高次回折光を除去する処理、又は高次回折光を集光して0次光と一体化させる処理をいい、以下同じである。
請求項1に係る発明によれば、被測定物上に測定点を指定してその測定点の高さを高速で測定することができる。したがって、例えば、液晶表示パネルのセルギャップ中の異物とその周辺の参照点を指定して、該参照点に対する異物の相対高さを高速で検査することができる。また、測定点選択手段で被測定物方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を処理しているので、微小高さの測定精度を向上することができる。
また、請求項2に係る発明によれば、被測定物上に測定点を指定してその測定点の高さを高速で測定することができる。さらに、対物レンズの光軸方向に被測定物を相対的に変位させる場合よりも測定点選択手段の変位量が対物レンズの倍率に応じて拡大されて、微小高さの測定精度を向上することができる。また、測定精度を上記被測定物を相対的に変位させる場合と同じにしたときには、測定点選択手段の変位量の測定をラフに行うことができる。したがって、この場合、変位量を測定するための例えばエンコーダやリニアスケール等の特別なセンサーを必要とせず、変位手段の駆動パルス数をカウントして変位量を測定することができ変位手段の構成が簡単となる。さらに、対物レンズの焦点を被測定物上に合わせた状態で各測定点における微小高さを測定することができるので、測定点を容易に指定することができる。そして、測定点選択手段で被測定物方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を処理しているので、微小高さの測定精度を向上することができる。
さらに、請求項3に係る発明によれば、被測定物上に測定点を指定してその測定点の高さを高速で測定することができる。したがって、例えば、液晶表示パネルのセルギャップ中の異物とその周辺の参照点を指定して、該参照点に対する異物の相対高さを高速で検査することができる。さらに、高次回折光処理手段を変位させるようにしているので、被測定物を対物レンズに対して相対的に変位させる場合よりもイナーシャが小さくなり変位速度を向上することができる。したがって、微小高さの測定をより高速に行なうことができる。
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、被測定物上に測定点を指定してその測定点の高さを高速で測定することができる。したがって、例えば、液晶表示パネルのセルギャップ中の異物とその周辺の参照点を指定して、該参照点に対する異物の相対高さを高速で検査することができる。さらに、結像レンズを変位させるようにしているので、被測定物を対物レンズに対して相対的に変位させる場合よりもイナーシャが小さくなり変位速度を向上することができる。したがって、微小高さの測定をより高速に行なうことができる。
そして、請求項5又は10に係る発明によれば、高次回折光も取り込んで1点に集光することができ、測定点上の輝点の輝度を向上することができる。従って、微小高さの測定精度をより向上することができる。
また、請求項6又は11に係る発明によれば、光源から発射された光と干渉することなく測定点選択手段からの光を受光することができる。
さらに、請求項7又は12に係る発明によれば、光電子増倍管を使用した場合には検出感度が高いため光検出精度が向上し、微小高さの測定精度を向上することができる。また、撮像素子を使用した場合には複数の測定点の高さ測定を同時に行うことができ、微小高さの測定をより高速で行うことができる。さらに、両者を組み合わせてそれぞれ切替可能とすれば、目的に応じて適宜切り換えて使用することができ、利便性が拡大する。
さらにまた、請求項8又は13に係る発明によれば、複数の波長のレーザ光源を使用する場合には、被測定物の測定点の下地の色に応じてレーザ光源の波長を選択することができ、光検出をより高感度で行うことができる。
そして、請求項9に係る発明によれば、既存の顕微鏡に取り付けて微小高さ測定装置を容易に構成することができる。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明による微小高さ測定装置の第1の実施形態を示す概念図である。この微小高さ測定装置は、被測定物1の微小高さを測定するもので、光源2と、測定点選択手段3と、高次回折光処理手段4と、対物レンズ5と、光検出手段6と、変位手段7と、制御手段8とからなり、例えば液晶表示パネルのセルギャップの検査を高速で行おうとするものである。
上記光源2は、所定波長の光ビームを放射するものであり、例えばレーザ発振器である。なお、光源2は、波長の異なる複数のレーザ光源を組み合わせて構成し、被測定物1の測定点の下地の色に応じてスイッチで切り換えて選択可能としてもよい。
上記光源2から放射される光ビームの放射方向前方には、測定点選択手段3が配置されている。この測定点選択手段3は、被測定物1上に指定された側定点に光ビームを照射するものであり、光源2からの光ビームが被測定物1方向に反射するように個別に傾く複数のマイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)をマトリクス状に配列したものである。このマイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)のサイズは、例えば16μm角程度に形成することが可能であり、該マイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)でそれと略同サイズのスポット光を生成することができる。
上記測定点選択手段3の被測定物1側の近傍には、高次回折光処理手段4が配設されている。この高次回折光処理手段4は、測定点選択手段3のマイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)により被測定物1方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を処理するものであり、測定点選択手段3の各マイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)の像を後述の対物レンズ5の焦点と光学的に共役の関係をなす図1に破線で示す結像位置Fに結像する所定の開口を有する集光レンズであり、例えば複数のレンズを組み合わせたリレーレンズである。これにより、マイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)により被測定物1方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光は、光軸に沿って直進する0次光と共に集光レンズによって1点に集光される。従って、被測定物1上の測定点の輝度が向上して測定精度をより向上することができる。
上記被測定物1と対向して対物レンズ5が設けられている。この対物レンズ5は、上記測定点選択手段3で反射され、高次回折光の処理された光ビームを被測定物1上に集光するものである。
なお、上記対物レンズ5と高次回折光処理手段4との間には、結像レンズ9が対物レンズ5の光軸に一致させて設けられており、対物レンズ5の焦点位置の像を図1に破線で示す結像位置Fに結像するようになっている。そして、上記測定点選択手段3と、高次回折光処理手段4と、結像レンズ9と、対物レンズ5とは、図示省略の光学系機構内に組み込まれている。
上記光源2と測定点選択手段3との間には、光検出手段6が設けられている。この光検出手段6は、上記複数のマイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)のうち選択されたマイクロミラーで反射されて上記被測定物1上に指定された測定点に集光し、そこで反射されて戻る光ビームを上記選択されたマイクロミラーを介して検出するものであり、光の強度を電気信号の振幅に光電変換する例えば光電子増倍管(Photo Multiplier Tube:PMT)である。そして、光検出手段6は、上記光源2と測定点選択手段3との間の光路上に配設されて、上記測定点選択手段3からの光路を二つに分岐する光分岐手段11例えばハーフミラー等により反射された測定点選択手段3からの光を、光源2から発射される光ビームと干渉することなく受光できるようになっている。なお、上記光検出手段6は、光電変換機能を有するものであれば上記PMTに限られない。
上記光学系機構には、変位手段7が設けられている。この変位手段7は、光学系機構をその光軸方向に変位させるものであり、図示省略のモータと位置検出センサーとを備え、後述の制御手段8からの制御信号に基づいて上記モータを駆動して光学系機構をその光軸方向(図1において矢印A,Bで示す方向)に変位させ、予め設定した基準位置からの変位量を上記位置検出センサーで検出してその検出信号を制御手段8に送るようになっている。
上記測定点選択手段3、光検出手段6及び変位手段7に接続して制御手段8が設けられている。この制御手段8は、図2に示すように、上記測定点選択手段3の複数のマイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)のうちから選択されたマイクロミラーを駆動すると共に、上記光検出手段6で検出された光の輝度及び上記光学系機構の変位量のデータから最大輝度値を示す変位量を被測定物1の測定点における高さとして求めるものであり、制御及び処理部12と、A/D変換部13と、メモリ14と、ホームコンピュータ(以下、「制御用PC」と記載する)15とを備えている。
上記制御及び処理部12は、外部に接続して備えた制御用PC15により、予め指定された各測定点に対応するマイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)のアドレス情報を測定点選択手段3に送って、該アドレス情報により指定されたアドレスのマイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)を選択して駆動する。また、上記制御用PC15により予め設定されたサンプリング間隔及びサンプリング回数並びに変位速度に関する指令信号を変位手段7に送り、上記光学系機構を該指令信号で定められる最大変位量だけ所定の速度で変位させる。さらに、上記サンプリング間隔のタイミングで上記サンプリング回数だけA/D変換部13を起動する変換タイミング信号を上記A/D変換部13に出力すると共に、上記A/D変換部13から上記タイミングで取得する輝度データと上記変位手段7から上記タイミングで入力する位置検出センサーの検出信号に基づいて生成される変位量データとを関連付けて上記メモリ14に書き込む。そして、上記メモリ14から読み出した各測定点の全ての輝度データとそれに関連付けられた変位量データとを制御用PC15に出力する。
上記A/D変換部13は、上記光検出手段6から入力したアナログ信号をデジタルデータに変換するものであり、上記制御及び処理部12から入力する変換タイミング信号に基づいて所定のタイミングでデジタル変換するようになっている。また、上記メモリ14は、輝度データと変位量データとを関連付けて記憶するものであり、例えばRAMである。そして、制御用PC15は、オペレータが各測定点に対応するマイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)のアドレス情報や、光学系機構の変位速度及びサンプリング間隔並びにサンプリング回数等の各種パラメータを入力することを可能とすると共に、制御及び処理部12から互いに関連付けて出力された光の輝度及び変位量のデータから最大輝度値を示す変位量を各測定点における被測定物1の高さとして求めるものであり、その結果を表示部15aに表示させるようになっている。
次に、このように構成された微小高さ測定装置の動作及びそれを用いて行なう微小高さ測定について図3を参照して説明する。
先ず、ステップS1においては、制御手段8の制御及び処理部12は、オペレータが予め入力して指定した各測定点に対応するマイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)のアドレス情報や、光学系機構の変位速度及び変位量データを取得するためのサンプリング間隔並びにそのサンプリング回数等の各種パラメータを制御用PC15から入力する。なお、上記各測定点の座標位置が予め測定されている場合には、そのデータを保存したファイルから制御用PC15に取り込んで自動的に設定してもよい。
ステップS2においては、制御手段8の制御及び処理部12は、上記入力した各種パラメータを処理して各マイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)の駆動順番K=1〜kを設定し、該設定された順番Kに従って駆動するマイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)のアドレス情報を測定点選択手段3に順次送る。
ステップS3においては、上記測定点選択手段3は、先ずK=1番に設定されたマイクロミラー10(1,i)(図1参照)を駆動して光源2から発射された光ビームを被測定物1側に反射する。上記マイクロミラー10(1,i)で反射された光ビームは、それに含まれる高次回折光が0次光と共に高次回折光処理手段4により取り込まれて結像位置Fの面内の1点に集光して一体化された後、結像レンズ9及び対物レンズ5を通って被測定物1上の選択された第1の測定点に集光する。なお、この場合、他のマイクロミラーで反射される光ビームは、被測定物1とは異なる方向に向くようにされているので、これらの光ビームが被測定物1に集光することはない。
上記被測定物1上の第1の測定点で反射した光ビームは、対物レンズ5及び結像レンズ9により一旦結像位置Fに集光した後、高次回折光処理手段4を通って上記マイクロミラー10(1,i)に集光する。そして、上記光ビームは、該マイクロミラー10(1,i)で光源2側に反射されて光分岐手段11に入射し、該光分岐手段11で光源2とは異なる方向に反射されて光検出手段6に入射する。
ステップS4においては、上記光検出手段6で受光した光強度のアナログ信号を制御手段8のA/D変換部13でデジタルの輝度データに変換する。この場合、A/D変換部13では、上記制御用PC15から入力した各種パラメータのうちサンプリング間隔及びサンプリング回数のデータに基づいて制御及び処理部12で生成された変換タイミング信号により所定のタイミングで所定回数だけデジタル変換が行われる。
同時に、制御及び処理部12は、制御用PC15から入力したサンプリング間隔及びサンプリング回数並びに変位速度に関する指令信号を変位手段7に送り、変位手段7のモータを駆動して光学系機構を該指令信号で定められる変位量だけ所定の速度で図1に示す矢印A又はB方向に変位させる。
ステップS5においては、制御及び処理部12は、A/D変換部13から所定のタイミングでデジタル変換された輝度データを順次入力する。また、同時に、変位手段7の位置検出センサーから上記タイミングに同期して順次入力される検出信号に基づいて光学系機構の変位量データを生成する。
この場合、被測定物1の測定点の位置が対物レンズ5の焦点位置と一致しているときには、上記焦点位置から反射される光ビームは、図1に示す結像位置Fに集光した後、その略全てが高次回折光処理手段4の集光レンズによってマイクロミラー10(1,i)の反射面に集光されて反射する。その結果、光検出手段6で検出される輝度値(光強度)は高くなる。一方、被測定物1の測定点の位置が上記対物レンズ5の焦点位置からずれているときには、測定点におけるビームスポットの結像位置は上記結像位置Fからずれる。したがって、マイクロミラー10(1,i)上に結像されるビームスポットの像はボケて、マイクロミラー10(1,i)のサイズよりも大きくなる。これにより、マイクロミラー10(1,i)の反射面で反射される光量が減って光検出手段6で検出される輝度値(光強度)は低下する。この場合、測定点の上記対物レンズ5の焦点位置からのずれ量が大きくなるほど輝度値(光強度)はより低下する。
ステップS6においては、制御及び処理部12は、各タイミング毎に得られた上記輝度データと変位量データとを第1の測定点の情報として互に関連付けてメモリ14に書き込む。
ステップS7においては、K=kか否かを制御及び処理部12で判定する。ここで、“NO”判定となるとステップS3に戻ってK=2番に設定された例えばマイクロミラー10(1,i+1)の駆動に切り換え、上記ステップS4〜S6を実行する。そして、被測定物1の第2の測定点における輝度データと変位量データとを得て、それらを互いに関連付けてメモリ14に書き込む。
一方、ステップS7において、“YES”判定となると全ての測定点に対する測定データの取り込みが終了し、ステップS8に進んで制御及び処理部12は、メモリ14から各測定点の輝度データと変位量データとを順次読み出す。そして、この各データに基づいて制御用PCは、各測定点における輝度値が最大となる変位量を被測定物1上の各測定点の高さとして定め、その結果を表示部15aに表示する。
なお、上記実施形態においては、光学系機構を変位させる場合について説明したが、これに限られず、被測定物1側を対物レンズ5の光軸方向に変位させてもよい。又は、被測定物1と対物レンズ5との間の距離は一定に保って、結像レンズ9を変位させてもよい。この場合も、上述と同様に光検出手段6による検出輝度と結像レンズ9の変位量の関係から、最大輝度値を示す結像レンズ9の変位量を測定点の微小高さとして求めることができる。
図4は、本発明による微小高さ測定装置の第2の実施形態を示す正面図である。この微小高さ測定装置は、被測定物1と対向して配設された対物レンズ5と、該対物レンズ5に対して上記被測定物1と反対側に配設された変位計ユニット17と、装置全体を制御する制御手段18と、を備えたものである。
ここで、上記対物レンズ5は、光ビームを被測定物1上に集光するものである。また、上記変形ユニット17は、図5に示すように光ビームを放射する光源2と、該光源2からの光ビームが被測定物1方向に反射するように個別に傾く複数のマイクロミラーをマトリクス状に配列した測定点選択手段3と、該記測定点選択手段3の被測定物1側の近傍に配設され、測定点選択手段3により被測定物1方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を処理する高次回折光処理手段4と、上記測定点選択手段3の複数のマイクロミラーのうち選択されたマイクロミラーで反射されて被測定物1上に指定された測定点に照射し、そこで反射されて戻る光ビームを上記選択されたマイクロミラーを介して検出する光検出手段(例えば、PMT)6と、上記測定点選択手段3を上記高次回折光処理手段4と一体的に被測定物1の法線方向に変位させる変位手段7と、該変位手段7の変位を制御すると共に上記測定点選択手段3の変位量及び上記光検出手段6で検出された光の輝度データを互いに関連付けて出力する変位計制御回路16とを有している。
さらに、上記制御手段18は、上記変位計ユニット17の測定点選択手段3の各マイクロミラーを個別に駆動制御し、上記変位手段7の変位を制御すると共に、上記変位計ユニット17から出力された変位量及び光の輝度データから最大輝度値を示す変位量を被測定物の測定点の高さとして求める例えばホストコンピュータである。
また、対物レンズ5と変位計ユニット17との間には、結像レンズ9が対物レンズ5の光軸に一致させて設けられており、対物レンズ5の焦点位置の像を図4に破線で示す結像位置Fに結像するようになっている。そして、上記対物レンズ5と結像レンズ9とは鏡筒19内に組み込まれて顕微鏡を構成している。さらに、上記高次回折光処理手段4は、測定点選択手段3の像を所定位置に結像する所定の開口を有する集光レンズであり、例えば複数のレンズを組み合わせたリレーレンズである。
なお、図5において、符号19は変位手段7を駆動するモータドライバであり、符号20はモータドライバ19を制御するモータコントローラであり、符号21は、光ビームを反射する反射ミラーであり、符号22は測定点選択手段3で反射される不要光を吸収する光吸収器であり、光源2と、測定点選択手段3と、高次回折光処理手段4と、光検出手段6と、変位計制御回路16と共に変位計ユニット本体17A内に収納されている。また、本第2の実施形態においては、図4に示すように、変位手段7によって変位計ユニット本体17Aを矢印C,D方向に変位させるようになっている。
このように構成することにより、本第2の実施形態は、測定点の像が高次回折光処理手段4で測定点選択手段3上に再結像されるように変位計ユニット本体17Aを図4に示す矢印C,D方向に変位させ、上記測定点からの戻り光を測定点選択手段3の選択されたマイクロミラー介して光検出手段6で検出し、光検出手段6において最大輝度が得られたときの上記変位計ユニット本体17Aの変位量を上記測定点の基準位置に対する微小高さとして求める。
上記本第2の実施形態によれば、変位計ユニット本体17Aを変位させるようにしているので、対物レンズの焦点を被測定物上に合わせた状態で各測定点における微小高さを測定することができ、測定点を容易に指定することができる。また、上記第1の実施形態よりも、変位計ユニット本体17Aの変位量が対物レンズ5の倍率に応じて拡大され、微小高さの測定精度を向上することができる。
以下、上記第2の実施形態の動作及びそれを用いて行う微小高さ測定について図6を参照して詳細に説明する。なお、図6は、測定点をマニュアルにより指定して行う場合について示している。
先ず、図6に示すステップS11において、対物レンズ5を介して取得した被測定物1上の像を上記顕微鏡の鏡筒19に取り付けられた図示省略のオートフォーカス用カメラで撮像して対物レンズ5の焦点を被測定物1上に合わせる。
ステップS12においては、オペレータがホストコンピュータからなる制御手段18に予め入力して設定した変位計ユニット本体17Aの変位速度及び変位量データを取得するためのサンプリング間隔並びにそのサンプリング回数等の各種パラメータを変位計ユニット17に入力してメモリ11に保存する。
ステップS13においては、予め測定して制御手段18に保存された測定点の座標位置のうち、第1番目の測定点の座標データに基づいて例えば顕微鏡をXY軸方向に移動し、第1番目の測定点を上記対物レンズ5の視野内に設定する。この場合、対物レンズ5を介して取得した被測定物1上の像を上記顕微鏡の鏡筒19に取り付けられた図示省略の観察用カメラで撮像してこれを上記制御手段18の表示部に表示する。なお、顕微鏡の移動は、オペレータが表示部に表示された像を観察しながら手動で行ってもよい。また、移動するのは顕微鏡側ではなくて被測定物1側であってもよい。
ここで、先ず、オペレータが表示部の画面上で制御手段18に備えるマウスを使用して図7に示すカーソル23を移動し、上記測定点の近傍部の平坦面を参照点として選択してマウスをクリックして指定する。次に、上記測定点にカーソル23を合わせてマウスをクリックして測定点を指定する。これにより、制御手段18から測定点選択手段3の上記参照点と測定点に対応するマイクロミラーを駆動するためのフレーム情報が作成されて変位計ユニット17に出力される。なお、測定点が接近していて、例えば図7(a)に示すように同一視野内に複数点、例えば二つの測定点が観察されたときには、マウスで先ず参照点として任意に選択した平坦な面上の点Rをクリックし、次に測定点の点P1をクリックし、さらに点P2をクリックする。これにより、マウスのクリック指定により例えば点R,点P1,点P2のように測定順番が設定される。そして、上記フレーム情報は、制御及び処理部12を介して測定点選択手段3に送られ、そこに備える図示省略のメモリに一旦保存される。
ステップS14において、変位計ユニット17の制御及び処理部12は、オートフォーカスや被測定面を観察するために点灯していた図示省略の照明用光源をOFFすると共に測定用の光源2であるレーザ光源をONする。
ステップS15においては、上記フレーム情報に基づいて測定点選択手段3が駆動されて、上記参照点R及び測定点P1,P2に対応する選択されたマイクロミラーが上記指定順番に従って光源2からの光ビームを被測定物1方向に反射するように傾けられる。これにより、光ビームは、上記参照点R及び測定点P1,P2に対応する各マイクロミラーで被測定物1方向に反射される。そして、その反射光は、それに含まれる高次回折光も高次回折光処理手段4に取り込まれて1点に集光して一体化され、その後、結像レンズ9及び対物レンズ5を介して上記各点R,P1,P2に順次照射する。
ステップS16においては、制御及び処理部12は、変位計制御回路16のメモリ11に保存された各種パラメータから、変位計ユニット本体17Aを変位させるための速度データとサンプリング間隔のデータを読み出してモータコントローラ20に送る。モータコントローラ20は、上記各データに基づいてモータドライバ19をパルス制御して変位手段7を駆動し、変位計ユニット本体17Aを所定量だけ変位させる。
変位計ユニット本体17Aが変位されると、制御及び処理部12で生成された変換タイミング信号がA/D変換部13に出力され、該A/D変換部13が所定時間だけ駆動される。このとき、制御及び処理部12は、被測定物1の上記参照点R及び測定点P1,P2で反射されて戻る光ビームであって、上記選択されたマイクロミラーを介して光検出手段6で検出された光の各点R,P1,P2の輝度データを順次取り込む。そして、この時の変位計ユニット本体17Aの変位量のデータ及び光検出手段6で検出された上記各点R,P1,P2の輝度データを互いに関連付けてメモリ11に保存する。
ステップS17においては、予め設定されたサンプリング回数の測定が全て終了したか否かを制御及び処理部12で判定する。ここで、未だ終了していないときには、“NO”判定となってステップS16に戻り、変位計ユニット本体17Aをさらに所定量変位して上記各点における新たな変位量及び輝度データを順次取得する。一方、設定されたサンプリング回数の測定を全て終了すると、“YES”判定となってステップS18に進む。なお、トータル変位量は、モータコントローラ20の1パルス当りの変位計ユニット本体17Aの移動量が予め分かっている場合にはパルス数をカウントして検出することができる。
ステップS18においては、被測定物1上に設定された全ての測定点に対する高さ測定が終了したか否かを制御及び処理部12で判定する。ここで、未だ測定が終了していないときには、“NO”判定となってステップS19に進み、光源2をOFFすると共に照明用光源をONする。そして、ステップS16に戻り、顕微鏡を次の測定点に設定して上述と同様にして上記測定点の高さ測定を行う。一方、全ての測定点に対する測定が終了したときには、“YES”判定となってステップS20に進む。
ステップS20においては、参照点及び各測定点における測定データをメモリ11から読み出して制御手段18に送る。制御手段18は、入力した参照点及び各測定点における測定データに基づいて各点の最大輝度値を示す変位量を各点における高さとして定める。そして、上記各測定点、例えば点P1,P2の高さを参照点Rの高さと比較して相対高さを算出し、図7(b)に示すように表示部に各測定点に対応してその高さの値(例えば、+0.3μm,+0.1μm)を表示する。なお、表示方法は、上記方法に限られず、リスト表示等いかなる方法であってもよい。
なお、上述したような測定点をマニュアルにより指定して測定するものに限らず、測定点を自動的に指定して測定するようにしてもよい。この場合、図6のステップS13において、制御手段18で各測定点の測定順番を予め自動設定して保存しておく。次に、図8に示すように、例えば顕微鏡を移動して対物レンズ5の視野内に第1番目の測定点P1を引き込む。さらに、図示省力の観察用カメラによる取得画像を画像処理して画面中央と測定点P1との距離を測定し、同図(b)に示すように同寸法だけ顕微鏡を微動して上記測定点P1を対物レンズ5の光軸に合致させて測定点を指定する。また、同図(c)に示すように、測定点P1の近傍にて所定距離はなれた点を参照点として指定する。この場合、例えば予め測定して制御手段18に保存されている測定点P1の測定データのうちからそのサイズ情報を得て、所定方向にそのサイズの何倍かはなれた点を参照点Rとして指定するようにしてもよい。このようにして、測定点P1と参照点Rが指定されると、測定点P1に対応した測定点選択手段3のマイクロミラーであって、上記対物レンズ5の光軸と合致したマイクロミラー及び上記参照点Rに対応したマイクロミラーを駆動するためのフレーム情報を制御手段18で作成して変位計ユニット17に出力する。以下、ステップ14〜20を実行すれば、被測定物1上の各測定点の微小高さを測定することができる。
また、上記第2の実施形態によれば、測定位置におけるプロファイルを測定することができる。その測定は、例えば図9(a)に示すように、先ず観察用カメラの取得画像により測定点P1の位置を確認し、マウスでプロファイルを測定する位置を指定してそれを画面上に表示する。次に、同図(b)に示すようにプロファイル測定位置に対応する測定点選択手段3のマイクロミラーを傾けて光ビームをプロファイル測定位置に照射して測定位置を確認した後、観察用の照明光源をOFFして変位計ユニット17を所定のステップで変位させながら上記測定位置上の各測定点おける反射光の輝度を測定する。そして、各点における最大輝度値及び変位量データに基づいて各点の高さを算出する。これにより、同図(c)に示すように指定された測定位置におけるプロファイルが測定され、その結果が表示画面上に表示される。
なお、以上の説明においては、光源2が一つのレーザ光源の場合について述べたが、これに限られず、光源2は波長の異なる複数のレーザ光源であってもよく、それらを切換スイッチで切り換えて使用してもよい。被測定物の測定点における下地の色に応じてレーザ光源の波長を選択するとよい。
また、光検出手段6はPMTに限らず、CCDやCMOSの撮像素子であってもよく、それらを切換スイッチで切り換えて使用してもよい。この場合、PMTは、一点ずつの測定に限られるが、光の検出感度が高いため測定精度を向上することができる。一方、撮像素子は検出感度が低いものの同時に多点の測定が可能であるため測定速度を向上することができる。
さらに、光検出手段6としてCCDやCMOS等の二次元撮像素子を使用した場合には、被測定物の三次元形状を測定することができる。その測定は、図10(a)に示すような観察用カメラの観察範囲に対応して同図(b)に示すように測定点選択手段3のマイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)が設けられているとき、図11(a)に黒く塗りつぶして示すようにマイクロミラーを例えば二枚おきに傾けて光源2からの光ビームを図5に実線で示すように被測定物1に向けて反射し、被測定物1からの反射光を同じマイクロミラーで同図に破線で示すように反射し、二次元撮像素子からなる光検出手段6でその反射光を検出して二次元画像の輝度データを取得する。以下、図11(b)に拡大して示すようにマイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)を、例えば同図に数字を付して示す順番に傾けて九枚の二次元画像を取得し、各二次元画像の輝度データを取得する。なお、他の部分のマイクロミラーも図11(b)に示す順番で傾けられる。
次に、変位計ユニット本体17Aを所定方向に所定量変位させて、上述と同様にして九枚の二次元画像を取得して各二次元画像の輝度データを取得する。以下、これを繰り返して被測定物1の高さ方向の二次元画像の輝度データを全て取り終えると、各マイクロミラーに対応する被測定物1上の各測定点の最大輝度値を示す変位量を制御手段18で算出してそれを各測定点の高さとして求める。そして、その結果を制御手段18の表示部に表示させることにより、被測定物1の三次元形状を表すことができる。なお、被測定物1上の隣接する測定点からの反射光がマイクロミラー上で干渉するのを避けるためには、同時に傾けるマイクロミラー10(1,1)〜10(m,n)は少なくとも一枚おきとするのがよく、好ましくはマイクロミラーが15μm×15μmの場合には、15μm×4(枚)=60μm以上離れているのがよい。これにより、光の干渉を回避して高さ測定を高精度に行うことができる。
図12は、本発明による微小高さ測定装置の第3の実施形態を示す正面図である。この微小高さ測定装置は、光ビームを放射する光源2と、該光源2からの光ビームが被測定物1方向に反射するように個別に傾く複数のマイクロミラーをマトリクス状に配列した測定点選択手段3と、該測定点選択手段3により被測定物1方向に反射された光ビームに含まれる高次回折光を処理する高次回折光処理手段4と、上記測定点選択手段3で反射され、高次回折光が除去された光ビームを被測定物1上に集光する対物レンズ5と、上記測定点選択手段3の複数のマイクロミラーのうち選択されたマイクロミラーで反射されて被測定物1上に指定された測定点Pに集光し、そこで反射されて戻る光ビームを上記選択されたマイクロミラーを介して検出する光検出手段6と、上記高次回折光処理手段4を同図に矢印A,Bで示すように上記対物レンズ5の光軸方向に変位させると共にその変位量を検出して出力する変位手段7と、上記測定点選択手段3の各マイクロミラーを駆動制御し、上記変位手段7の変位を制御すると共に、上記光検出手段6で検出された光の輝度及び上記変位手段より入力した変位量のデータから最大輝度値を示す変位量を被測定物1の測定点Pの高さとして求める制御手段8と、を備えたものである。また、高次回折光処理手段4と対物レンズ5との間には結像レンズ9が配設され、対物レンズ5の焦点位置の像を高次回折光処理手段4の被測定物1側の結像位置Fに結像させるようになっている。
この場合、上記高次回折光処理手段4は、対物レンズ5の焦点位置と共役の関係にある結像位置Fに測定点選択手段3の像を結像する所定の開口を有する集光レンズであり、例えば複数のレンズを組み合わせて構成したリレーレンズである。
このような構成により、先ず被測定物1の任意の測定点が図示省略の観察用カメラで撮像されて対物レンズ5の焦点位置に位置付けられ、そのまま保持される。次に、被測定物1上に指定された測定点Pに対応する測定点選択手段3のマイクロミラーが傾けられて、光源2から放射された光ビームを被測定物1方向に反射する。そして、高次回折光処理手段4で、測定点選択手段3のマイクロミラーで反射された光ビームに含まれる高次回折光をも取り込んで1点に集光して一体化し、その後、結像レンズ9及び対物レンズ5を介して被測定物1の上記測定点Pに照射する。
上記測定点Pで反射されて戻る光ビームは、結像レンズ9によって結像位置F近傍に集光する。このとき、高次回折光処理手段4を図12に示す矢印A又はB方向に変位させ、測定点選択手段3を介して受光される光の最大輝度値を光検出手段6で検出する。そして、光検出手段6が最大輝度値を示す高次回折光処理手段4の変位量を上記測定点Pの所定の基準位置からの高さとして求める。
この場合、上記最大輝度値が得られる高次回折光処理手段4の位置は、結像レンズ9によって結像された測定点Pの像が高次回折光処理手段4によって測定点選択手段3上に再結像される位置である。従って、測定点Pが対物レンズ5の焦点位置に対してその光軸方向にずれている場合には、結像レンズ9による測定点Pの結像位置も図12に示す結像位置Fに対して光軸方向にずれる。その結果、測定点Pの像を測定点選択手段3上に再結像させる高次回折光処理手段4の位置が測定点Pの位置によって光軸方向に変位することとなる。
次に、被測定物1は、前述の状態に保持したまま測定点選択手段3のマイクロミラーを切り換えて駆動し、参照点を選択する。そして、上述と同様にして、高次回折光処理手段4を図12に示す矢印A又はB方向に移動し、光検出手段6が最大輝度値を示す高次回折光処理手段4の変位量を検出する。そして、この変位量を上記参照点の所定の基準位置からの高さとして求める。この場合、上記測定点Pと参照点との各高さを比較すれば、参照点に対する測定点Pの相対高さを求めることができる。
なお、上記各実施形態において、高次回折光処理手段4が集光レンズの場合について説明したが、これに限られず、高次回折光処理手段4は所定の開口部を有する遮光板であってもよい。これにより、測定点選択手段3で反射された光ビームに含まれる高次回折光が上記遮光板によって除去され、上記開口部を通過した0次光のみが被測定物1に集光することとなる。従って、被測定物1上に高次回折光による複数の輝点が発生するのを防止することができる。この場合、上記第1及び第2の実施形態においては、結像レンズ9は、対物レンズ5の焦点位置の像を測定点選択手段3のマイクロミラー上に結像するように配置するとよい。また、上記第3の実施形態においては、上記遮光板は、測定点選択手段3の複数のマイクロミラーに対応して所定の開口を有する複数のピンホールをマトリクス状に形成したものとし、図12に示す結像位置F近傍に配設して矢印A,B方向に変位できるようにするとよい。