JP4719345B2 - 工作機械における刃具位置制御方法および装置 - Google Patents

工作機械における刃具位置制御方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械における刃具の位置を制御する方法およびその方法の実施に好適な装置に関するものである。なお、むく工具のように刃具自体が切削工具全体を構成する場合と、刃具としての切削チップやブレードが切削工具本体に着脱可能に取り付けられて、その本体と共に切削工具を構成する場合とがある。
【0002】
【従来の技術】
工作機械においては、刃具と被加工物とが相対移動装置によって相対移動させられることにより、被加工物が切削され、所望の形状,寸法の製品(中間製品を含む)に加工される。その際、刃具の被加工物に対する相対位置が適切に制御されないと、所望の製品が得られない。例えば、自動工作機械においては、刃具と被加工物との少なくとも一方を移動させる移動装置が予め定められたプログラムに従って自動で制御されるが、その結果、所望の製品が得られるようにするために、刃具と被加工物との相対位置が精度良く検出される必要がある。そこで、従来から、タッチプローブ(タッチセンサの検出子)あるいは刃具を、標準部材,工作機械の基準部等の被接触物に接触させ、接触の瞬間における移動装置の位置(接触位置と称する)を位置検出装置から読み取り、その読み取った接触位置を基準にして移動装置を制御することが行われている。
【0003】
本発明は、タッチセンサを使用せず、刃具自体を被接触物に接触させて刃具と被加工物との相対位置を検出するタイプの刃具位置制御方法および装置に適用されるものである。例えば、工作機械が自動旋盤であり、被加工物の加工個所が外周面である場合には、刃具を被加工物の半径方向に移動させ、刃具の刃先を被接触物の被接触面に接触させれば、刃具の刃先と被接触物の被接触面との位置が一致する。したがって、被接触面と被加工物との相対位置が既知であれば、刃先の被接触面への接触位置に基づいて刃具の移動を制御することによって、被加工物を正確に所望の形状,寸法を有する製品に加工することができる。
【0004】
工作機械が、切削工具としてエンドミル等の回転切削工具が使用されるマシニングセンタ等である場合にもほぼ同様である。ただし、マシニングセンタにおいては、切削工具が回転させられるとともに加工に必要なあらゆる移動をさせられることもあるが、切削工具と被加工物との両方が移動させられ、その移動の組み合わせによって、加工に必要な相対移動が得られるようにされる場合が多い。後者の場合には、切削工具と被加工物の相対移動の制御は、被加工物を保持する被加工物保持テーブル等の被加工物保持部材を移動させる被加工物移動装置と、切削工具を保持して回転する工具主軸を回転可能に保持する工具主軸台を移動させる工具移動装置との制御により行われる。また、切削工具の回転中心線と刃先との距離の誤差を除去するために、回転工具を回転させつつ回転工具と被接触物とを接近させ、両者が接触する位置が検出される場合と、切削工具を回転させないで接触位置が検出される場合とがある。
【0005】
タッチセンサを使用する場合には、タッチセンサが必要となって装置コストが高くなる上、タッチセンサと刃具との相対位置誤差が刃具の移動制御の誤差に含まれ、その分制御精度が低下する。刃具を被接触物に接触させて接触位置を検出すれば、上記問題は解消できるが、刃具が被接触物に接触したことを確実に検出できないと、刃具,被接触物あるいはそれらを保持する保持装置が破損する恐れがある。刃具と被接触物との接触を検出するために、従来から、刃具と被接触物と電源とを直列に含む電気回路が使用されている。刃具が被接触物から離れている状態では、電気回路が開回路となっているため電流が流れないが、接触すれば電気回路が閉回路となるため、電流が流れる。したがって、電源から流れる電流を電流検出器によって検出するなど、電源の状態を検出器によって検出すれば、刃具が被接触物に接触した瞬間を検出することができ、接触位置を検出し得る。しかし、もし、電源,検出器等が故障し、あるいは電気回路を構成するリード線が外れるなどの事態が発生すれば、刃具が被接触物に接触したにもかかわらず、それが検出されないことになり、刃具と被接触物とがさらに強く押しつけられて、前記破損が発生する恐れがあるのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果】
本発明は、以上の事情を背景とし、刃具を被接触物に接触させることにより、接触位置を検出し、その接触位置に基づいて刃具と被加工物との相対位置を制御する場合に、刃具と被接触物との接触の検出の信頼性を向上させることを課題としてなされたものであり、本発明によって、下記各態様の刃具位置制御方法および刃具位置制御装置が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、一つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではない。一部の事項のみを選択して採用することも可能なのである。
なお、下記の項の中には、補正により特許請求の範囲に記載の発明ではなくなったものもあるが、特許請求の範囲に記載の発明を理解する上で有益な記載を含んでいるため、そのまま残すこととする。
【0007】
(1)工作機械において、移動位置を検出可能な移動装置により刃具と被接触物とを相対的に移動させて両者を接触させ、接触時における移動装置の移動位置に基づいてその後の刃具と被加工物との相対移動を制御する刃具位置制御方法であって、
前記刃具と前記被接触物との接触を検出する接触検出装置が、刃具と被接触物とが接触すればそれを検出し得る状態にあることを確認する正常確認工程と、
その正常確認工程の後にあるいは正常確認工程を実施しつつ前記刃具と前記被接触物とを前記移動装置により互に接近させ、刃具が被接触物に接触したことを検出する接触検出工程と
を含むことを特徴とする刃具位置制御方法。
接触検出装置が、刃具と被接触物とが接触すればそれを検出し得る状態にあることを確認した後に、あるいは確認しつつ刃具と被接触物とを接近させれば、刃具と被接触物とが接触したにもかかわらずそれが検出されず、さらに両者が接近させられて、両者のいずれかあるいはそれらを保持している保持装置が破損することを回避することができる。なお、刃具と被接触物との接触が検出されたならば、直ちに移動装置による刃具と被接触物との接近が停止させられる。この接触検出から接近停止までに要する時間は極めて短くて済み、刃具と被接触物とのうち移動させられるもののオーバシュートにより、刃具または被接触物が損傷することはないことが実験により確認されている。
(2)工作機械において、移動位置を検出可能な移動装置により刃具と被接触物とを相対的に移動させて両者を接触させ、接触時における移動装置の移動位置に基づいてその後の刃具と被加工物との相対移動を制御する刃具位置制御方法であって、
前記刃具と前記被接触物と電源とを直列につなぎ、刃具と被接触物とが接触する状態では閉回路となり、接触しない状態では開回路となる第一回路を準備する第一回路形成工程と、
その第一回路と並列に前記電源に接続され、前記刃具と前記被接触物との接触,非接触にかかわらず少なくとも電気抵抗を直列に含む閉回路を形成する第二回路を準備する第二回路形成工程と、
前記第一回路が開回路となっている状態で前記電源の状態を検出器により検出し、少なくとも電源および検出器が正常であることを確認する正常確認工程と、
前記検出器が、前記電源の状態が前記第一回路の前記開回路の状態から前記閉回路の状態への移行に対応する状態となったことを検出したときに、前記移動装置の移動位置を前記刃具と前記被接触物との接触位置として読み取る接触位置読取り工程と
を含む工作機械における刃具位置制御方法(請求項)。
刃具と被接触物とが接触していない状態では、第一回路が開回路となっているため、第一回路には電流が流れず、第二回路にのみ電流が流れる。それに対し、刃具と被接触物とが接触すれば、第一回路が閉回路となって、電流が第二回路のみならず第一回路にも流れる。これら両回路は電源に対して並列とされているため、電流量が増大する。第一回路が閉回路となったとき、過大な電流が流れて電源や検出器が破損することを回避するために、電源自体を、最大電流を制限する電流制限装置を有するものとするか、あるいは第一回路にある程度の抵抗を設けることが望ましい。第一回路には、意図的に抵抗を設けることも可能であるが、工作機械の本体部自体の抵抗を第一回路の抵抗として利用することも可能である。いずれにしても、第一回路が閉回路になった状態における電流と、開回路となっている状態における電流との差異が明瞭になるように、第二回路の抵抗は第一回路の抵抗と同程度以上とすること、事情が許せば、第一回路の抵抗に比較して明らかに大きくすることが望ましい。ただし、第二回路のみに電流が流れる状態においても、その事実を検出器により明瞭に検出し得ることが必要である。そのようにしておけば、電源や検出器が故障し、あるいはリード線等の導電部材が外れたり、破損したりすることにより、第二回路に電流が流れなくなれば、その事実が検出器によって確実に検出され、刃具と被接触物との接触が検出され得ない状態となったことが確実に検出されるのである。そのため、接触が検出され得ない状態で刃具と被接触物とが互いに接近させられ、接触後もさらに接近させられて、刃具等が破損させられることが良好に回避される。
(3)前記正常確認工程が、前記電源から流れる電流を検出し、その電流が0より大きい値に予め定められた第一電流とその第一電流より大きい値に予め定められた第二電流との間の大きさである場合に前記正常の確認を行う工程である(2) 項に記載の刃具位置制御方法。
電源の状態の検出は、種々の方法で行い得る。例えば、第一回路が閉回路となり、電流が急増した瞬間に電源の出力端子間の電圧が低下する場合には、その電圧低下を検出することにより、刃具と被接触物との接触を検出することができる。しかし、電源からの電流が急増したことを電流検出器により検出する方が、簡単で確実な方法である。
(4)前記接触位置読取り工程が、前記電源から流れる電流が前記第二電流より大きい値に予め定められた第三電流を超えたときに前記移動装置の移動位置を読み取る工程である(3) 項に記載の刃具位置制御方法。
第三電流は、刃具の刃先と被接触物の表面とが切削液によりつながれたときに第一回路に流れる電流より大きな値に設定されることが望ましい。刃具の刃先と被接触物の表面との少なくとも一方が切削液によって濡れた状態で両者が接近させられれば、両者が直接接触する前に、切削液によって第一回路が半ば閉回路の状態にされ、電流が増大するため、そのような電流増大では、刃具の刃先と被接触物の表面とが接触したと検出されないように、第三電流が設定されることが望ましいのである。
(5)工作機械において、移動位置を検出可能な移動装置により刃具と被接触物とを相対的に移動させて両者を接触させ、接触時における移動装置の移動位置に基づいてその後の刃具と被加工物との相対移動を制御する刃具位置制御方法であって、
前記刃具と前記被接触物との間に、両者を予め定められた大きさの第一電気抵抗を経て接続する抵抗回路を準備する工程と、
前記刃具と前記被接触物とが接触していない状態で、両者の間の電気抵抗がほぼ前記第一電気抵抗に等しいことを確認する正常確認工程と、
その正常確認工程を実施した後、あるいは正常確認工程を実施しつつ、前記刃具と前記被接触物とを前記移動装置により互いに接近させ、両者の間の電気抵抗が前記第一電気抵抗より小さい第二電気抵抗より小さくなったとき、刃具と被接触物との接触を検出する接触検出工程と
を含むことを特徴とする刃具位置制御方法。
(6)前記被接触物が、前記工作機械に取り付けられた被加工物である (1)項ないし(5) 項のいずれか一つに記載の刃具位置制御方法。
(7)前記被接触物が、前記工作機械に取り付けられた標準部材である (1)項ないし(5) 項のいずれか一つに記載の刃具位置制御方法。
標準部材は、現に加工されるべき製品の目標寸法に実質的に等しい寸法を有するものとされても、また、現に加工されるべき製品の目標寸法とは異なる既知の寸法を有し、複数種類の製品に共通のものとされてもよい。
(8)前記被接触物が、前記工作機械に設けられた基準部である (1)項ないし (5)項のいずれか一つに記載の刃具位置制御方法。
(9)前記刃具がバイトのシャンクに固定された切削チップである (1)項ないし(8) 項のいずれか一つに記載の刃具位置制御方法。
(10)前記刃具が前記工作機械の工具主軸に取り付けられた回転切削工具の少なくとも一部である (1)項ないし(8) 項のいずれか一つに記載の刃具位置制御方法。
(11)前記接触位置読取り工程において、前記回転切削工具が回転させられつつ前記被接触物に接触させられる(10)項に記載の刃具位置制御方法。
(12)前記第二回路において前記電気抵抗の両側に位置し、互いに電気的に絶縁されるとともに、前記電気抵抗により接続された2つの部材に跨がって切削液や切屑が付着することにより前記電気抵抗をバイパスする回路が形成され、前記刃具と前記被接触物とが接触していないにもかかわらず、前記第一回路が前記開回路の状態から閉回路の状態に移行したと誤って判定されることを防止するために、前記電気抵抗の両側に位置する部材の少なくとも一方の表面の少なくとも一部を電気絶縁材料の層で覆う工程を含む(2) 項ないし(4) 項のいずれか一つに記載の刃具位置制御方法。
本項に記載の、電気絶縁材料の層により必要な部材の表面を覆う技術は(5) 項ないし(11)項においても採用することが可能である。
(13)前記刃具と前記被接触物とが接触すべき相対位置にあることが明らかであるにもかかわらず、刃具と被接触物との接触が検出されない場合には、刃具に欠損が生じた可能性があると判定する欠損判定工程を含む(1) 項ないし(12)項のいずれか一つに記載の刃具位置制御方法。
例えば、被加工物の切削開始時に、刃具と被加工物とが接近させられる過程において、接触を検出するための作動が継続されており、刃具と被加工物とが接触することが確実である相対位置まで両者が接近させられたにもかかわらず、接触が検出されない場合や、被加工物の切削加工中に接触を検出するための作動が継続されているにもかかわらず、接触が検出されない状態が現出した場合に、刃具の欠損が生じた可能性があると判定されるようにするのである。オペレータはその判定に基づく警報器の作動や、表示器の表示に応じて刃具の状況を調べ、必要な措置を講ずることができる。このように、本態様に従えば、刃具の切刃の欠損を簡単に検出することができる。刃具が欠損した可能性があると判定された場合には、刃具と被接触物との相対移動が自動的に停止させられるようにすることが望ましい。
(14)前記刃具と相対移動不能にタッチプローブを設け、そのタッチプローブと前記被接触物との接触を検出する接触検出工程を実施する(1) 項ないし(13)項のいずれか一つに記載の刃具位置制御方法。
タッチプローブを設ければ、刃具の接触によっては不可能もしくは不適切な位置の検出を行うことが可能になる。例えば、旋盤において、球形の接触端を有するタッチプローブを使用すれば、そのタッチプローブの接触端を、チャックに保持されている被加工物や標準部材の外周面の直径方向に隔たった2個所に接触させ、被加工物や標準部材の回転中心線の位置を検出することができるが、バイトをそのように使用することは不可能または不適切なのである。被加工物や標準部材の回転中心線の位置が検出され、かつ、タッチプローブと刃具との相対位置が既知であれば、タッチプローブの接触位置に基づいて刃具の移動制御を行うことができる。
なお、タッチプローブに関しては、前記正常確認工程を実施することは望ましいことであるが不可欠ではない。逆に、刃具についての正常確認工程を行わず、タッチプローブについての正常確認工程のみを単独で行うことも可能である。
(15)前記接触検出工程において、前記刃具と前記被接触物との接触を、刃具と被接触物とが離間しているにもかかわらず切削液によりつながれた状態と判別可能な条件で検出する(1) 項ないし(14)項のいずれかに記載の刃具位置制御方法。
例えば、前記(2) 項の態様において、第一回路の閉回路の状態への移行を検出するためのしきい値を、刃具と被接触物とが切削液によりつながれた状態における検出器の検出値とは異なる大きさ(電流値であれば、切削液によりつながれた状態における電流値より大きい電流値)に設定するのである。
(16)工作機械において、移動位置を検出可能な移動装置により刃具と被接触物とを相対的に移動させて両者を接触させ、接触時における移動装置の移動位置に基づいてその後の刃具と被加工物との相対移動を制御する刃具位置制御方法であって、
前記刃具と、前記被接触物としての被加工物とを接触させ、刃具と被加工物とが丁度接触したときの前記移動装置の移動位置に基づいて被加工物の寸法を測定する寸法測定工程と、
その寸法測定工程において測定した被加工物の寸法に基づいてその後の刃具と被加工物との相対移動を制御する制御工程と
を含むことを特徴とする刃具位置制御方法。
工作機械に被加工物の寸法を測定する寸法測定専用の装置を設けて、被加工物の寸法を機上で測定し、その測定結果に基づいてその後の刃具と被加工物との相対移動を制御することが行われており、寸法の要求精度が高い場合に有効である。しかし、そのために使用される寸法測定装置の測定可能範囲はごく狭いのが普通である。それに対し、刃具を接触子、刃具の移動装置を接触子の移動装置、刃具移動装置の移動位置を検出する移動位置検出装置をスケールとしてそれぞれ利用することにより、広い範囲の寸法を精度良く検出することが可能となる。したがって、本発明に従えば、寸法が大きく異なる複数の部分を有する被加工物の加工や、寸法が互に大きく異なる複数の被加工物の加工を高精度で行うことが可能となる。
なお、本発明は前記(1) 項ないし(15)項のいずれか一つと組み合わせて採用することも可能である。
(17)工作機械において、移動位置を検出可能な移動装置により刃具と被接触物とを相対的に移動させて両者を接触させ、接触時における移動装置の移動位置に基づいてその後の刃具と被加工物との相対移動を制御する刃具位置制御装置であって、
前記刃具と前記被接触物との接触を検出する接触検出装置が、刃具と被接触物とが接触すればそれを検出し得る状態にあることを確認する確認部と、
その確認部による確認の後にあるいは確認し続けられている状態で、前記移動装置に前記刃具と前記被接触物とを接近させ、刃具と被接触物とが接触したことを検出する接触検出部と
を含むことを特徴とする刃具位置制御装置。
本刃具位置制御装置を使用すれば前記(1) 項の刃具位置制御方法を良好に実施し得る。
(18)工作機械において、移動位置を検出可能な移動装置により刃具と被接触物とを相対的に移動させて両者を接触させ、接触時における移動装置の移動位置に基づいてその後の刃具と被加工物との相対移動を制御する刃具位置制御装置であって、
前記刃具と前記被接触物と電源とを直列につなぎ、刃具と被接触物とが接触する状態では閉回路となり、接触しない状態では開回路となる第一回路と、
その第一回路と並列に前記電源に接続され、前記刃具と前記被接触物との接触,非接触にかかわらず少なくとも電気抵抗を直列に含む閉回路を形成する第二回路と、
前記電源の状態を検出する検出器と、
前記第一回路が開回路となっている状態で前記検出器の検出結果が少なくともその検出器と前記電源とが正常であることを示す場合に、前記移動装置に前記刃具と前記被接触物とを接近させ、前記検出器の検出結果が刃具と被接触物との接触を示す結果となった時点の前記移動装置の移動位置に基づいて以後の移動装置の制御を行う制御装置と
を含む工作機械における刃具位置制御装置(請求項)。
本刃具位置制御装置を使用すれば前記(2) 項の刃具位置制御方法を良好に実施し得る。
(19)前記刃具またはそれと電気的に導通状態にある部分である刃具側部分と、工作機械の本体部との間を電気的に絶縁する絶縁装置を含み、前記電気抵抗が刃具側部分と工作機械の本体部との間に配設された(18)項に記載の刃具位置制御装置。
「工作機械の本体部」は、本体フレームは勿論、本体フレームと電気的に導通状態にあるすべての部材を包含する部分とする。すなわち、絶縁装置より本体フレーム側の部分が本体部なのである。この点は、次項においても同様とする。
(20)工作機械の被加工物を保持する被加工物保持部材自体またはその被加工物保持部材と電気的に導通状態にある部分である被加工物保持部材側部分と、工作機械の本体部との間を電気的に絶縁する絶縁装置を含み、前記電気抵抗が被加工物保持部材側部分と工作機械の本体部との間に配設された(18)項に記載の刃具位置制御装置。
(21)前記電気抵抗が、導体と導体との間に挟まれた抵抗層から成る(18)項ないし(20)項のいずれか一つに記載の刃具位置制御装置。
工作機械の刃具保持部材,切削工具保持部材,被加工物保持部材,本体部の各構成要素等は鋼,真鍮等の電気良導体によって構成されるのが普通であり、したがって、抵抗層をそれら部材同士の間に挟まれた状態で設ければ、第二回路を容易に構成することができる。ただし、抵抗層の両側の部材を互いに固定する固定装置が、両側の部材の電気的導通を防止しつつ両者を固定し得るものであることが必要である。抵抗層を、両側の部材を互いに固着する機能をも合わせ持つものとすれば、固定装置は不要となる。
(22)前記電気抵抗が、電気抵抗体の両端に一対の端子が設けられた固定抵抗器である(18)項ないし(20)項のいずれか一つに記載の刃具位置制御装置。
前項の抵抗層は広い面積で両側の部材に接触し、抵抗値が接触面積によって変わるため、正確に所望の抵抗値とすることが比較的難しいのに対し、固定抵抗器を使用すれば、正確に所望の抵抗値を得るのが容易となる。
(23)前記電気抵抗が、少なくとも前記刃具を備えた切削工具と、その工具を保持する工具保持部材とのいずれか一方に内蔵された(18)項,(19)項または(22)項に記載の刃具位置制御装置。
刃具が切削工具本体に固定される場合には、切削工具は刃具と切削工具本体とを備えることになるが、例えば、切削工具全体が一体で、全体が刃具であると考える方が自然であるむく工具と称されるものは、切削工具は刃具のみを備えることとなる。刃具が切削工具本体に着脱不能に固着された溶接工具,ろう付工具等の付刃工具は、刃具と切削工具本体とを備える切削工具であると考えることも可能であるが、本明細書では便宜上、むく工具と同様に、切削工具全体が刃具であると考えることとする。したがって、刃具と切削工具本体とを備える切削工具とは、切削チップやブレードが、クランプ装置により切削工具本体に着脱可能に固定され、切削工具本体と共同して切削工具を構成するものを意味することになる。
(24)前記電気抵抗が、被加工物を保持する被加工物保持部材と、工作機械の本体部の一構成部材の一つとのいずれか一方に内蔵された固定抵抗器である(20)項に記載の刃具位置制御装置。
(25)前記刃具を工作機械の本体部から電気的に絶縁する絶縁装置と、
その絶縁装置より刃具側に一端が接続され、他端が前記電源に接続された第一導電路と、
前記電源を工作機械の本体部に接続する第二導電路と、
それら第一導電路および第二導電路を含む前記第一回路を流れる電流を検出する前記検出器としての電流検出器と、
前記絶縁装置より刃具側と工作機械の本体部とを前記電気抵抗を経て接続する前記第二回路としての第三導電路と
を含み、第三導電路が少なくとも第一導電路より短い(18)項ないし(23)項のいずれか一つに記載の刃具位置制御装置。
電源を刃具の近傍に配設すれば、第一導電部材を短くすることができ、第一導電部材が外れたり、破損したりする可能性を低くすることができるが、電源や検出器を刃具の近傍に配設することが困難であったり、電源や検出器が切削液や切屑の影響を受けて破損し易かったりするため、電源は刃具から隔たった位置に設けざるを得ない場合が多く、その場合には第一導電路を長くせざるを得ない。一方、電気抵抗は比較的切削液や切屑の影響を受け難いため、第三導電路は短くすることが容易である。そして、第三導電路が破損したり、外れたりすれば、電源,検出器,第一導電路等が正常であるにもかかわらず、制御装置が電源等が正常ではなくなったとして、移動装置に刃具と被接触物とを接近させなくなるため、第三導電路はでき限り短くし、破損したり、外れたりする可能性を小さくすることが望ましい。
(26)前記電気抵抗が電気抵抗体の両端に一対の端子が設けられた固定抵抗器であり、前記第三導電路がその固定抵抗器と共に前記刃具を備えた切削工具とその工具を保持する工具保持部材とのいずれか一方に内蔵された(25)項に記載の刃具位置制御装置。
電気抵抗のみならず第三導電路も切削工具と工具保持部材とのいずれか一方に内蔵させれば、第三導電路もその一方によって保護された状態となるため、破損したり外れたりすることを良好に回避し得る。次項に関しても同様である。
(27)前記電気抵抗が電気抵抗体の両端に一対の端子が設けられた固定抵抗器であり、前記第三導電路がその固定抵抗器と共に前記被加工物保持部材と工作機械の本体部の一構成部材の一つとのいずれか一方に内蔵された(25)項に記載の刃具位置制御装置。
(28)前記第二回路において前記電気抵抗の両側に位置する部材の少なくとも一方の部材の表面の、少なくとも他方の部材の表面に隣接する部分が電気絶縁材料の層で覆われた(18)項ないし(27)項のいずれか一つに記載の刃具位置制御装置。
(29)前記刃具と相対移動不能なタッチプローブと、
そのタッチプローブと被接触物と電源とを直列につなぎ、タッチブローブと被接触物とが接触する状態では閉回路となり、接触しない状態では開回路となる開閉回路と
を含む(18)項ないし(28)項のいずれか一つに記載の刃具位置制御装置。
上記被接触物および電源の少なくとも一つを、前記第一回路の被接触物および電源とは別個のものとすることも、共通のものとすることも可能である。
また、本項の構成を(18)項に記載の構成とは別個に採用することも可能である。ただし、「タッチプローブおよび刃具と、被接触物とを相対移動させる移動装置」、「上記開閉回路としての第一回路と並列に電源に接続され、タッチプローブと被接触物との接触,非接触にかかわらず少なくとも電気抵抗を直列に含む閉回路を形成する第二回路」、「電源の状態を検出する検出器」および「第一回路が開回路となっている状態で検出器の検出結果が少なくともその検出器と電源とが正常であることを示す場合に、移動装置にタッチプローブと被接触物とを接近させ、検出器の検出結果がタッチプローブと被接触物との接触を示す結果となった時点の移動装置の移動位置に基づいて、以後の移動装置の制御を行う制御装置」等を設けることは有効である。
(30)前記制御装置が、前記刃具と前記被接触物との接触を、刃具と被接触物とが離間しているにもかかわらず切削液によりつながれた状態における前記検出器の検出結果と判別可能な検出結果に応じて検出するものである(18)項ないし(29)項のいずれか一つに記載の刃具位置制御装置。
(31)前記制御装置が、前記刃具と前記被接触物とが接触すべき相対位置にあることが明らかであるにもかかわらず、刃具と被接触物との接触が検出されない場合には、刃具に欠損が生じた可能性があると判定する欠損判定部を含む(18)項ないし(30)項のいずれか一つに記載の刃具位置制御装置。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を自動旋盤の刃具位置制御装置に適用した場合を例として、本発明の一実施形態を説明する。
図1において、10は自動旋盤の装置本体としての本体フレームである。本体フレーム10は、ベース12と、そのベース12から上方へ立ち上がったコラム14と、そのコラム14の中間部に固定されたベッド16および主軸台18とを備えている。主軸台18は主軸22を水平な回転中心線まわりに回転可能および軸方向に移動不能に保持しており、ベッド16上には、心押台24が主軸台18に接近,離間可能に設けられている。心押台24はセンタ26を主軸22と同軸に対向する状態で保持している。主軸22には被加工物保持具としての三つ爪チャック28(以下、単にチャック28と称する)が取り付けられており、被加工物32は、このチャック28に保持されるか、あるいはチャック28またはその代わりに取り付けられる図示しないセンタと心押台24のセンタ26とにより両端を保持されて、回転させられる。
【0009】
コラム14の上部には、Xガイド36が、主軸22の回転中心線に平行なX軸方向に延びる姿勢で固定されており、そのXガイド36にXスライド38が、X軸方向に移動可能に保持されている。Xスライド38には、Yガイド42が、主軸22の回転中心線に直角なY軸方向に延びる姿勢で設けられており、そのYガイド42にYスライド44がY軸方向に移動可能に保持されている。Yスライド44には工具保持部材の一種である刃物台46が固定され、その刃物台46に切削工具の一種であるバイト48が取り付けられている。Xスライド38は、X駆動モータ52および送りねじ54を備えたX移動装置56により移動させられ、そのXスライド38上においてYスライド44が、Y駆動モータ62および送りねじ64を備えたY移動装置66により移動させられることにより、刃物台46およびそれに取り付けられたバイト48がX軸およびY軸の両軸方向に移動させられる。
【0010】
X駆動モータ52およびY駆動モータ62は共に数値制御が可能なサーボモータであり、各駆動モータ52,62にはそれぞれエンコーダ72,74が設けられている。それらエンコーダ72,74は図2に示すように制御装置78に接続されており、制御装置78はエンコーダ72,74の出力信号に基づいて、X移動装置56およびY移動装置66の移動位置、すなわち、刃物台46またはバイト48の位置を演算する。本自動旋盤は、スケールを有する制御軸を備えた工作機械の一例なのである。制御装置78は、コンピュータ80を主体とし、X駆動モータ52,Y駆動モータ62等を駆動するための駆動回路や、外部から供給される検出信号をコンピュータ80に入力可能なデジタルデータに変換する変換回路等を備えている。コンピュータ80は、ROM(リードオンリメモリ)82,RAM(ランダムアクセスメモリ)84,PU(プロセシングユニット)86およびI/Oポート88を備え、ROM82には被加工物32を加工するためのプログラムが格納されている。
【0011】
上記制御装置78には、バイト48の標準部材92への接触を検出する接触検出回路94が接続されている。接触検出回路94は、第一回路96,第二回路98および電流検出器100を備えている。第一回路96は、切削工具としてのバイト48と、被接触物としての標準部材92と、電源としての直流電源104とを直列につなぎ、バイト48と標準部材92とが接触する状態では閉回路となり、接触しない状態では開回路となる回路である。標準部材92は、被加工物32から加工される製品の目標寸法(具体的には目標直径)に実質的に等しい寸法を有する部材であり、被加工物32の代わりにチャック28に取り付けられる。第二回路98は、第一回路96と並列に直流電源104に接続され、バイト48の標準部材92との接触,非接触にかかわらず少なくとも抵抗器106を直列に含む閉回路を形成する回路である。電流検出器100は、直流電源104の状態を検出する検出器の一種であり、直流電源104から第一回路96および第二回路98へ流れる電流を検出する。
【0012】
前記バイト48は、図2に示すように、切削工具本体としてのシャンク110に切削チップ112が図示を省略する固定装置により固定されたもので、上記抵抗器106は、切削チップ112と自動旋盤の本体部との間に配設されている。具体的には、図3に示すように、シャンク110と刃物台46との間に配設されているのである。抵抗器106は、電気抵抗体114の両端に一対の端子116,118が設けられた固定抵抗器であり、刃物台46に形成された収容凹部122内に弾性部材の一種である圧縮コイルスプリング124(以下、単にスプリング124と称する)と共に配設されている。
【0013】
抵抗器106とスプリング124とは、電気絶縁材料製のハウジング128内に軸方向に移動可能に収容されており、ハウジング128が上記収容凹部122に圧入されることにより、収容凹部122内に保たれている。図示の例では、収容凹部122が有底穴とされており、ハウジング128は、概して両端が開口した筒状の部材とされている。その筒状の部材の一方の開口端部に半径方向内向きのフランジ130が設けられ、そのフランジ130が設けられた側の開口端部が、収容凹部122の開口端側となる向きで収容凹部122に嵌合されている。その状態ではスプリング124が圧縮され、抵抗器106をフランジ130に向かって付勢する。抵抗器106の一方の端子116の中央部から突起132が突出させられており、この突起132は、抵抗器106がフランジ130に当接した状態で、フランジ130より外方へ突出する長さを有している。
【0014】
バイト48のシャンク110および切削チップ112も、刃物台46も電気良導体製であるが、シャンク110と刃物台46とは電気絶縁体により絶縁されている。図示の例では、刃物台46のシャンク110と接触する面に絶縁層138が形成されるとともに、シャンク110を刃物台46に固定する固定装置としてのボルト140とシャンク110との間に、一面に絶縁層142が形成された当て金144が配設されているのである。そして、バイト48が刃物台46に固定された状態においては、シャンク110が抵抗器106の突起132に当接し、抵抗器106をスプリング124の付勢力に抗して収容凹部122内へ押し込んだ状態となり、シャンク110,抵抗器106,スプリング124および刃物台46が互に押し付けられた状態となる。したがって、バイト48が刃物台46に固定された状態においては、バイト48と刃物台46とが抵抗器106とスプリング124との直列回路によって電気的に接続されることとなる。なお、絶縁層138の形成は、例えば、セラミックス等の電気絶縁材料の溶射,PVD(物理蒸着)法,CVD(化学蒸着)法等によって実施することができる。
【0015】
刃物台46にはさらに、バイト48を刃物台46から電気的に絶縁しつつ前記直流電源104に接続するための接続部150が設けられている。接続部150は、刃物台46に電気絶縁体152により絶縁された状態で固定された端子154と、その端子154とバイト48のシャンク110との導通を確保する導通確保部156とを備えている。導通確保部156は、電気絶縁材料製のハウジング160,接触子162およびスプリング164を備え、スプリング164の弾性力により、シャンク110,接触子162,スプリング164および端子154を互に押し付けられた状態に保ち、導通を確保する。端子154にはリード線166が接続され、このリード線166が図2に示すように、電流検出器100を経て直流電源104の一端子に接続される。直流電源104の別の端子は別のリード線168により、自動旋盤の本体部の一構成要素、例えば本体フレーム10に接続される。
【0016】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、前記絶縁層138,142により、刃具としての切削チップ112を自動旋盤の本体部から電気的に絶縁する絶縁装置が構成されている。また、前記接触子162,スプリング164,リード線166等により、絶縁装置より刃具側に一端が接続され、他端が直流電源に接続された第一導電路が構成され、リード線168により、直流電源104を自動旋盤の本体部に接続する第二導電路が構成されている。そして、前記スプリング124によって、絶縁装置より刃具側と自動旋盤の本体部とを抵抗器106を経て接続する第三導電路が構成されている。第三導電路たるスプリング124は、接触子162,スプリング164,リード線166等から成る第一導電路に比較して非常に短く、かつ、抵抗器106と共に工具保持部材としての刃物台46に内蔵されており、かつ、自身の弾性力によって両端が抵抗器106および刃物台46に弾性的に押し付けられているため、電気的導通が損なわれる恐れは殆どない。
【0017】
以上のように構成された接触検出回路94を備えた自動旋盤においては、被加工物32の加工が次のようにして行われる。
まず、刃物台46にバイト48が、また、チャック28に標準部材92がそれぞれ取り付けられる。それにより、バイト48,電流検出器100,直流電源104,自動旋盤の本体部および標準部材92を直列につなぐ第一回路96と、バイト48,直流電源104,自動旋盤の本体部および抵抗器106を直列につなぐ第二回路98とが形成される。図2に符号R1 で表される抵抗は、抵抗器106と、自動旋盤の本体部の刃物台46を含む部分の抵抗とを表すが、本体部の抵抗は小さいため、実質的には抵抗器106を表すと考えて差し支えない。抵抗器106の抵抗値は、後述の切削液の抵抗値および自動旋盤の本体部の抵抗値との関係で、50Ω以上500Ω未満の範囲から選定されることが望ましく、本実施形態においては250Ωに設定されている。また、符号R2 で表される抵抗は、自動旋盤の本体部の主軸22を含む部分の抵抗を表し、本実施形態では1Ω以下となっている。両抵抗の抵抗値R1 ,R2 の間には、R1 ≫R2 の関係が成り立っているのである。
【0018】
当初は、バイト48の刃先、すなわち切削チップ112の先端が標準部材92から離れた位置にあり、その状態では第一回路96は開回路の状態にある。したがって、従来であれば直流電源104から電流が流れなかったのであるが、本実施形態においては、バイト48の刃先が標準部材92から離れていても、第二回路98は閉回路の状態にあるため、微弱な電流が流れる。この電流は電流検出器100によって検出されるが、抵抗R1 の抵抗値が大きいため電流の検出値は小さい。ただし、0よりは明らかに大きく、予め定められた第一電流とその第一電流より大きい第二電流との間の大きさとなる。制御装置78のコンピュータ80は、この電流の検出値を、プログラムの実行によって読み取り、その読み取った検出値が第一電流と第二電流との間の大きさである場合には、接触検出回路94が、バイト48の刃先と標準部材92との間に電圧が印加され、両者が接触すれば、それを検出し得る正常な状態にあると判定する。この工程が、正常確認工程なのであり、コンピュータ80はこの工程において正常確認ができない場合には、バイト48を標準部材92に接近させる移動制御を実施しないようにされている。したがって、バイト48の刃先が標準部材92に接触したにもかかわらず、その事実が検出されず、バイト48の移動が継続されて、バイト48,標準部材92やそれらの保持装置が破損する事態の発生が良好に回避され、信頼性の高い接触検出回路94が得られることとなる。
【0019】
正常確認工程で正常が確認されたならば、コンピュータ80はプログラムの実行により、X移動装置56およびY移動装置66の駆動モータ52,62を制御し、バイト48を標準部材92の外周面に、その標準部材92の半径方向から接近させる。バイト48は、標準部材92から遠い間は高速で移動させられるが、標準部材92の近くに予め設定されている減速位置に達すれば減速され、以後は低速で標準部材92に接近させられる。この接近は、バイト48の、標準部材92の半径方向のみの移動、すなわち、Y軸方向のみの移動により行われることが望ましい。
【0020】
やがて、バイト48の刃先が標準部材92の外周面に接触するのであるが、その接触に先立って、バイト48の刃先と標準部材92とが切削液によりつながれることがある。例えば、刃先が切削液により濡れている状態でバイト48が標準部材92に接近させられれば、刃先が標準部材92に接触する前に切削液が接触するのであり、切削液は導電性を有するのが普通であるため、バイト48の刃先と標準部材92とが切削液により電気的に接続されることになるのである。そのため、第一回路96が半ば閉回路の状態となり、直流電源100から電流が第一回路96と第二回路98との両方を通って流れることとなり、電流検出器100による電流の検出値が増大する。しかし、切削液の電気抵抗は、含有成分によって変わるが、本実施形態においては500Ωより小さくなることはなく、電流検出器100による電流の検出値の増大は比較的小さい。したがって、電流の検出値が、前記第二電流より大きい値に設定されている第三電流を超えることはなく、コンピュータ80がバイト48の刃先が標準部材92の外周面に接触したと検出することはない。
【0021】
それに対し、バイト48の刃先が標準部材92の外周面に直接接触するに到れば、第一回路96が閉回路の状態になる。その結果、直流電源100から電流が第一回路96と第二回路98との両方を通って流れることとなり、電流検出器100による電流の検出値が増加する。特に、本実施形態においては、抵抗R2 の抵抗値は抵抗R1 の抵抗値に比較して非常に小さくされているため、電流の検出値は急激に大きくなる。コンピュータ80はこの電流の急増に伴って検出値が前記第三電流を超えたことを検出したならば、バイト48の刃先が標準部材92の外周面に接触したと判定する。
【0022】
コンピュータ80は、上記バイト48と標準部材92との接触検出に基づいてY移動装置66(X移動装置56も移動させられている場合にはそれも)を停止させるとともに、その時点におけるエンコーダ74(72)の出力信号に基づいて、バイト48の刃先の位置(Y軸方向の位置)を演算し、接触位置としてRAM84の接触位置メモリに格納する。この工程が、接触位置読取工程なのであり、この工程は、作業者の交代時期,朝一番の自動旋盤の稼働開始時期等、予め定められた時期や、バイト48や、切削チップ112の交換後の最初の被加工物32の加工開始前等に実行される。切削チップ112の摩耗や自動旋盤の本体部の温度変化に起因する伸縮等の影響を排除するために、予め定められた時間毎や、加工個数毎に実行されるようにしてもよい。
【0023】
上記バイト48の刃先が標準部材92に接触した接触位置と、標準部材92の既知の半径とに基づいて、主軸22の回転中心線の位置が演算され、その回転中心線の位置がY軸方向の基準位置としてRAM84の基準位置メモリに格納されるようにしてもよい。また、必要に応じて、バイト48が標準部材92の軸方向に移動させられ、標準部材92の端面への接触位置が、X軸方向の基準位置として検出されるようにしてもよい。
【0024】
コンピュータ80はその後、ROM82に格納されているプログラムのバイト48の移動制御に関する部分を、上記接触位置のデータに基づいて修正する。したがって、標準部材92に代えて被加工物32がチャック28に取り付けられ、上記修正後のプログラムに従ってバイト48の移動が制御されれば、被加工物32は寸法精度の高い製品に加工される。バイト48の刃先の芯高に多少の誤差があっても、同じバイト48が標準部材92に接触させられて移動制御のデータが修正されるため、芯高の誤差が製品の寸法精度を低下させることはない。移動制御のデータの修正にタッチセンサが使用される場合には、タッチセンサとバイト48の刃先との芯高に差があれば、その差が製品の寸法誤差の一因となるのに対して、本実施形態によればその不都合が回避できるのである。
【0025】
コンピュータ80は、被加工物32の切削開始時に、バイト48が被加工物32に接近させられる過程において、電流検出器100の検出値の読込みを継続し、バイト48が被加工物32に接触することが確実である位置まで移動させられたにもかかわらず、電流の検出値が第三電流を超えない場合には、バイト48の切削チップ112に欠損が生じた可能性があると判定し、X移動装置56,Y移動装置66によるバイト48の被加工物32への接近を停止させるとともに、ブザー,警報ランプ等の警報器を作動させる。また、被加工物32の切削加工が開始された後も電流検出器100の検出値の読込みを継続し、切削加工中にもし検出値が第四電流以下に低下した場合には、バイト48の切削チップ112に欠損が生じた可能性があると判定し、X移動装置56とY移動装置66とにバイト48を被加工物32から離間させて切削加工を中断させるとともに、ブザーや警報ランプを作動させる。第四電流は、バイト48と被加工物32とが切削液によりつながれている状態において流れる電流の大きさより大きく設定される。
上記いずれの場合も、オペレータは警報器の警報に応じて、バイト48等の状況を調べ、必要な措置を講ずる。このように、本実施形態においては、バイト48の切刃の欠損を簡単に検出することができる。
【0026】
以上の説明から明らかなように、制御装置78の、バイト48の刃先の標準部材92への接触位置を検出する部分が、請求項6における「第一回路が開回路となっている状態で検出器の検出結果が少なくともその検出器と電源とが正常であることを示す場合に、移動装置に刃具と被接触物とを接近させ、検出器の検出結果が刃具と被接触物との接触を示す結果となった時点の移動装置の移動位置に基づいて以後の移動装置の制御を行う制御装置」を構成していることが明らかである。
【0027】
さらに、前記第一回路96および電流検出器100が接触検出装置を構成し、制御装置78の前記正常確認工程を実施する部分が前記第二回路98と共同して「接触検出装置が、刃具が被接触物に接触すればそれを検出し得る状態にあることを確認する確認部」を構成している。また、制御装置78の前記接触検出工程を実施する部分が「移動装置に刃具と被接触物とを接近させ、刃具が被接触物に接触したことを検出する接触検出部を構成している。
【0028】
上記実施形態においては、電気抵抗体114の両端に端子116が設けられた抵抗器106が使用されているが、この抵抗器106に代えて、図5に概念的に示す抵抗層170を使用することも可能である。図示の例では、抵抗層170は共に導体(電気良導体)である切削工具172と刃物台174との間に挟まれている。抵抗層170は、切削工具172と刃物台174とのいずれか一方の一面に固着されて形成されても、独立に形成されたシートが切削工具172と刃物台174との間に挟まれてもよい。いずれにしても、切削工具172と刃物台174とは抵抗層170を間に挟んだ状態で互に固定されることが必要であり、そのための固定装置は切削工具172と刃物台174とを電気的に導通させないものであることが必要である。
【0029】
上記抵抗層170としては、例えば、合成樹脂,セラミックス等の電気絶縁材料に金属粉末等の良導体粉末を混入したものを採用可能である。また、導体の表面への抵抗層170の形成は、例えば、溶射,コーティング,PVD法,CVD法等によって実施することができる。PVD法はCVD法に比較して、実施時における導体の温度が低くて済むため、切削工具や工具ホルダを保持する部材等、硬度が高いことが望ましい導体の表面に抵抗層を形成する場合にはPVD法が望ましい。
【0030】
前記実施形態においては、チャック28に保持される標準部材92の外周面にバイト48の刃先が接触させられるようになっていたが、図6に示すように、チャック28に保持された被加工物32自体の外周面に切削工具172の刃先が接触させられるようにすることも可能である。例えば、被加工物32の直径が予め測定される等により既知の場合には、その被加工物32の外周面にバイト48の刃先を接触させて接触位置を検出した後、その接触位置から、被加工物32の直径と目標とする製品の直径とに基づいて決まる量だけバイト48を切り込ませた状態で切削加工を行えば、所望寸法の製品が得られる。
【0031】
また、複数の被加工物32を加工する場合には、上記のようにして取得した接触位置に基づいてバイト48の制御データを修正し、その修正した制御データによって切削加工を行うのであるが、得られた製品を測定した結果、製品の寸法が修正不要の範囲内にあれば、同じ制御データによる切削加工を継続する。それに対し、製品の寸法が修正要の範囲内にある場合は目標寸法からの外れ量に基づいて制御データを修正し、その修正した制御データによって以後の切削加工を行う。
【0032】
さらに、図7に示すように、刃物台46に、バイト48と共にタッチプローブ180を取り付け、そのタッチプローブ180に対しても接触位置検出回路94を設ければ、タッチプローブ180を標準部材92(あるいは被加工物32)の外周面の直径方向に隔たった2個所に接触させて接触位置を求め、2つの接触位置の平均値として標準部材92の回転中心線位置、すなわち、主軸22の回転中心線位置を演算することができる。この回転中心線位置のデータをバイト48の移動制御に使用するためには、タッチプローブ180とバイト48の刃先との相対位置を求めることが必要である。この相対位置は、例えば、タッチプローブ180とバイト48の刃先とを標準部材92の同じ個所に接触させ、その間における刃物台46の移動距離に基づいて演算により取得することができる。
【0033】
さらに、刃具,切削工具,切削工具保持部材等の表面を絶縁膜によって覆うことも可能である。例えば、図8に示すように、バイト48のシャンク110の表面を絶縁膜181で覆うのである。ただし、シャンク110の切削チップ112と接触する面、ならびに前記抵抗器106の端子116および前記接触子162と接触すべき部分には、絶縁膜181が形成されないようにすることが必要である。このように、シャンク110の表面を絶縁膜181で覆えば、シャンク110と刃物台46との表面に付着した切削液や切屑によって、バイト48(厳密にはシャンク110)と刃物台46との互に近接した部分が抵抗器106をバイパスして電気的につながれ、第一回路96が閉じたに近い状態となって、バイト48(厳密には切削チップ112)が標準部材92(あるいは被加工物32)に接触したとの誤検出が発生することを良好に回避することができる。
【0034】
また、前記接触検出工程の実施前に、刃具,切削工具,切削工具保持部材,被加工物,標準部材,被加工物保持部材,基準部等の表面に付着している切削液や切屑をエアブロー等により除去する清掃工程を設けることが望ましい。この清掃工程の実施によっても、切削チップ112が標準部材92(あるいは被加工物32)に接触したとの誤検出が発生することを回避することができるのである。清掃工程の実施と、前記絶縁膜の形成とを共に行うことも勿論可能であり、誤検出を一層良好に回避することができる。
【0035】
前記実施形態においては、チャック28に保持される標準部材92にバイト48の刃先が接触させられるようになっていたが、図5に示すように、チャック28の本体178の外周面に接触させられるようにしてもよい。この場合には、本体178が被接触物としての基準部を構成することになる。また、図9に示すように、マシニングセンタ,フライス盤,中ぐり盤等の本体フレーム182に固定的に設けられた基準部184を被接触物とすることも可能である。基準部184は、X軸,Y軸およびZ軸の3軸にそれぞれ直角に形成された3つの基準面186,188,190を有するものとすることが望ましい。それら基準面のいずれかに切削工具の一種としての回転切削工具192の刃先を接触させ、その接触位置をX軸,Y軸,Z軸のの各軸方向における回転切削工具192の基準位置として利用することが有効である。
【0036】
回転切削工具192は、回転していない状態で基準面186,188,190に接触させても、回転させつつ接触させてもよい。後者の場合には、回転切削工具192の刃先が複数あり、回転中心線からそれら複数の刃先までの距離が互いに僅かずつ異なる場合に、距離が最大の刃先が基準面186,188,190に接触する位置を、回転切削工具192と基準面186,188,190との接触位置とすることができる。193は被加工物である。
【0037】
図9はさらに、切削工具と工作機械の本体部との間に抵抗を設ける場合の別の一例を示している。図示の例では、切削工具としての回転切削工具192を保持する工具保持部材としての工具ホルダ194と、それが取り付けられる工具主軸196との間に抵抗層198が配設されている。具体的には、工具主軸196の工具保持穴であるテーパ穴200の内周面に抵抗層198がコーティングされているのである。この場合も、工具ホルダ194を回転主軸196に着脱可能に固定する固定装置は、工具ホルダ194と回転主軸196とを電気的に導通させないものであることが必要である。
【0038】
前記実施形態においては、切削工具と工作機械の本体部との間に抵抗が設けられていたが、図10に示すように、被加工物を保持する被加工物保持部材と本体部との間に設けてもよい。図示の例では、被加工物210が取り付けられる治具212と本体フレーム214との間に挟まれた抵抗層216が抵抗とされている。また、図11に示すように、本体フレームに対して移動装置により移動させられるワークテーブル220と、被加工物222が取り付けられる治具224との間に抵抗器226を設けることも可能である。抵抗器226の設け方は、例えば図3の実施形態と同様とすることができる。
【0039】
以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である刃具位置制御装置を備えた自動旋盤を示す正面図である。
【図2】上記刃具位置制御装置を示すブロック図である。
【図3】上記刃具位置制御装置の一部を示す断面図である。
【図4】上記刃具位置制御装置の別の一部を示す断面図である。
【図5】本発明の別の実施形態である刃具位置制御装置を示すブロック図である。
【図6】本発明のさらに別の実施形態である刃具位置制御装置を示すブロック図である。
【図7】本発明のさらに別の実施形態である刃具位置制御装置を示すブロック図である。
【図8】本発明のさらに別の実施形態である刃具位置制御装置を示すブロック図である。
【図9】本発明のさらに別の実施形態である刃具位置制御装置を示すブロック図である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態である刃具位置制御装置を示すブロック図である。
【図11】本発明のさらに別の実施形態である刃具位置制御装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
10:本体フレーム 52:X移動装置 66:Y移動装置 72,74:エンコーダ 78:制御装置 92:標準部材92 92:接触検出回路 96:第一回路 98:第二回路 100:電流検出器 104:直流電源 106:抵抗器 110:シャンク 112:切削チップ
124:圧縮コイルスプリング 138,142:絶縁層 150:接続部
166:リード線 170:抵抗層 172:切削工具 174:刃物台 178:チャックの本体 184:基準部 192:回転切削工具
194:工具ホルダ 196:工具主軸 198:抵抗層 212:治具 214:本体フレーム 216:抵抗層 220:ワークテーブル
224:治具 226:抵抗器

Claims (10)

  1. 工作機械において、移動位置を検出可能な移動装置により刃具と被接触物とを相対的に移動させて両者を接触させ、接触時における移動装置の移動位置に基づいてその後の刃具と被加工物との相対移動を制御する刃具位置制御方法であって、
    前記刃具と前記被接触物と電源とを直列につなぎ、刃具と被接触物とが接触する状態では閉回路となり、接触しない状態では開回路となる第一回路を準備する第一回路形成工程と、
    その第一回路と並列に前記電源に接続され、前記刃具と前記被接触物との接触,非接触にかかわらず少なくとも電気抵抗を直列に含む閉回路を形成する第二回路を準備する第二回路形成工程と、
    前記第一回路が開回路となっている状態で前記電源の状態を検出器により検出し、少なくとも電源および検出器が正常であることを確認する正常確認工程と、
    前記検出器が、前記電源の状態が前記第一回路の前記開回路の状態から前記閉回路の状態への移行に対応する状態となったことを検出したときに、前記移動装置の移動位置を前記刃具と前記被接触物との接触位置として読み取る接触位置読取り工程と
    を含むことを特徴とする刃具位置制御方法。
  2. 前記正常確認工程が、前記電源の電流を検出し、その電流が0より大きい値に予め定められた第一電流とその第一電流より大きい値に予め定められた第二電流との間の大きさである場合に前記正常の確認を行う工程である請求項に記載の刃具位置制御方法。
  3. 前記接触位置読取り工程が、前記電源の電流が前記第二電流より大きく、かつ、前記刃具の刃先と前記被接触物の表面とが切削液によりつながれたときに前記第一回路に流れる電流より大きい値に予め定められた第三電流を超えたときに前記移動装置の移動位置を読み取る工程である請求項2に記載の刃具位置制御方法。
  4. 前記被接触物が、前記工作機械に取り付けられた被加工物または寸法が既知の標準部材である請求項1ないし3のいずれかに記載の刃具位置制御方法。
  5. 工作機械において、移動位置を検出可能な移動装置により刃具と被接触物とを相対的に移動させて両者を接触させ、接触時における移動装置の移動位置に基づいてその後の刃具と被加工物との相対移動を制御する刃具位置制御装置であって、
    前記刃具と前記被接触物と電源とを直列につなぎ、刃具と被接触物とが接触する状態では閉回路となり、接触しない状態では開回路となる第一回路と、
    その第一回路と並列に前記電源に接続され、前記刃具と前記被接触物との接触,非接触にかかわらず少なくとも電気抵抗を直列に含む閉回路を形成する第二回路と、
    前記電源の状態を検出する検出器と、
    前記第一回路が開回路となっている状態で前記検出器の検出結果が少なくともその検出器と前記電源とが正常であることを示す場合に、前記移動装置に前記刃具と前記被接触物とを接近させ、前記検出器の検出結果が前記刃具と前記被接触物との接触を示す結果となった時点の前記移動装置の移動位置に基づいて以後の移動装置の制御を行う制御装置と
    を含むことを特徴とする刃具位置制御装置。
  6. 前記検出器が、前記電源の状態として、前記電源の電流を検出する電流検出器であり、前記制御装置が、その電流検出器により検出された電流が、0より大きい値に予め定められた第一電流とその第一電流より大きい値に予め定められた第二電流との間の大きさである場合に、前記検出器と前記電源とが正常であることを検出する手段を含む請求項5に記載の刃具位置制御装置。
  7. 前記制御装置が、前記電流検出器により検出された電流が前記第二電流より大きく、かつ、前記刃具の刃先と前記被接触物の表面とが切削液によりつながれたときに前記第一回路に流れる電流より大きい値に予め定められた第三電流を超えた時点の前記移動装置の移動位置に基づいて以後の移動装置の制御を行う請求項6に記載の刃具位置制御装置。
  8. 前記刃具またはそれと電気的に導通状態にある部分である刃具側部分と、工作機械の本体部との間を電気的に絶縁する絶縁装置を含み、前記電気抵抗が刃具側部分と工作機械の本体部との間に配設された請求項5ないし7のいずれかに記載の刃具位置制御装置。
  9. 工作機械の被加工物を保持する被加工物保持部材自体またはその被加工物保持部材と電気的に導通状態にある部分である被加工物保持部材側部分と、工作機械の本体部との間を電気的に絶縁する絶縁装置を含み、前記電気抵抗が被加工物保持部材側部分と工作機械の本体部との間に配設された請求項5ないし7のいずれかに記載の刃具位置制御装置。
  10. 前記第二回路において前記電気抵抗の両側に位置する部材の少なくとも一方の部材の表面の、少なくとも他方の部材の表面に隣接する部分が電気絶縁材料の層で覆われた請求項5ないし9のいずれかに記載の刃具位置制御装置。
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