JP4717497B2 - ガスバリアフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ガスバリア性に優れたフィルムに関するものであり、特に各種の有機デバイスの基板や被覆フィルムに好適な積層型のガスバリアフィルムに関する。さらには、前記ガスバリアフィルムを用いた、耐久性およびフレキシブル性に優れた有機デバイス、特に有機EL素子に関するものである。
近年、液晶表示素子や太陽電池、エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の有機デバイスにおいて、重くて割れやすいガラス基板に代わり、薄くて軽く柔軟性に優れた透明なプラスチックフィルムを基板に用いることが検討されている。透明プラスチック基板はまた、大面積化が容易でロールトゥロール(Roll to Roll)の生産方式を適用することも可能であることから、ガラスよりも生産性がよくコストダウンの点でも有利である。
しかし透明プラスチックフィルムは、ガラスと比較してガスバリア性に劣るという問題がある。有機デバイスは、一般に構成材料が水や空気によって劣化や変質を起こしやすい。例えば、液晶表示素子の基板にガスバリア性が劣る基材を用いると、液晶セル内の液晶を劣化させ、劣化部位が表示欠陥となって表示品位を劣化させてしまう。
このような問題を解決するには、上述のようなプラスチックフィルム基板自身にガスバリア機能を付与するか、或いはガスバリア性を持った透明なプラスチックフィルムでデバイス全体を封止すればよい。一般にプラスチックフィルム上に金属酸化物薄膜を形成したものが、ガスバリア性フィルムとして知られている。例えば、液晶表示素子に使用されるガスバリア性フィルムとしては、プラスチックフィルム上に酸化珪素を蒸着したもの(特許文献1参照)や、酸化アルミニウムを蒸着したもの(特許文献2参照)がある。これらは、いずれも1g/m2/day程度の水蒸気バリア性を有する。しかし近年では、より高いバリア性が要求される有機ELディスプレイや高精彩カラー液晶ディスプレイなどの開発が進んでおり、これらに使用可能な透明性を維持し且つ高バリア性、特に水蒸気バリア性で0.1g/m2/day未満の性能をもつ基材が要求されるようになっている。
かかる要求に応えるために、より高いバリア性能が期待できる手段として、低圧条件下におけるグロー放電で生じるプラズマを用いて薄膜を形成するスパッタリング法やCVD法による成膜検討が行われている。また、有機層/無機層の交互積層構造を有するバリア膜を真空蒸着法により作製する技術が提案されている(特許文献3と非特許文献1参照)。
一方、有機デバイスに透明プラスチック基板を用いる場合、各種ガスのバリア機能に加えて紫外線の遮断機能も要求されている。例えば、自発光素子(EL等)から発する紫外線は、プラスチック基板の劣化を引き起こし、素子の劣化を早める。また外光からの紫外線は、プラスチック基板だけでなくデバイス材料の劣化や変質を生じる。このような問題を解決するために、ガスバリア性と紫外線遮断機能を兼ね備えたプラスチックフィルムの開発が検討されている。例えば、ガスバリアフィルムに酸化チタン層をコートしたものが知られているが、この場合の酸化チタン層は紫外線吸収だけでなく光触媒機能もあり、逆にコート層の劣化を早め、安定した紫外線遮断ができない可能性がある(特許文献4)。また、ガスバリア性も十分でない。このため、高いガスバリア性と安定して紫外線を遮断する機能を併せ持ったプラスチックフィルムの開発が望まれていた。
特公昭53−12,953号公報(第1頁〜第3頁) 特開昭58−217,344号公報(第1頁〜第4頁) 米国特許第6,413,645B1号公報(第4頁[2−54]〜第8頁[8−22]) 特開2004−338201号公報(第1頁〜第16頁) Affinitoら著「Thin Solid Films」(1996)、P.290〜291(第63頁〜第67頁)
上述の諸問題を解決すべく、本発明は、高いバリア性と透明性を有し、且つ紫外線の遮断機能を併せ持ったプラスチックフィルムを提供することを目的とし、さらにこのフィルムを用いて、長期間使用しても劣化しにくい有機デバイス(例えば、有機EL素子や色素増感型太陽電池など)を提供することを目的とする。
上記の課題は、以下の手段で解決することができる。
[1] 透明な可撓性支持体基板上に少なくとも1層の無機化合物からなるガスバリア層が形成されたガスバリアフィルムであって、該フィルムの40℃・相対湿度90%における水蒸気透過率が0.005g/m2/day以下であり、且つ波長350nmの紫外線の透過率が10%以下であることを特徴とするガスバリアフィルム。
[2] 前記ガスバリア層を構成する無機化合物が、金属酸化物を主成分とすることを特徴とする[1]に記載のガスバリアフィルム。
[3] 前記ガスバリア層を構成する無機化合物が、Si、Al、In、SnおよびZnからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を主成分とすることを特徴とする[1]または[2]に記載のガスバリアフィルム。
[4] 前記ガスバリアフィルムが、少なくとも1種の有機紫外線吸収剤を含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
[5] 前記有機紫外線吸収剤の一部または全部を含有する少なくとも1層の紫外線遮断層が、該支持体基板上に形成されたことを特徴とする[4]に記載のガスバリアフィルム。
[6] 前記紫外線遮断層を、前記ガスバリアフィルムの少なくとも一方の最外面に有することを特徴とする[5]に記載のガスバリアフィルム。
[7] 前記紫外線遮断層を、前記ガスバリアフィルムの最外面の両面に有することを特徴とする[6]に記載のガスバリアフィルム。
[8] 前記紫外線遮断層を、前記ガスバリア層が形成された面と反対の支持体基板面に有することを特徴とする[6]に記載のガスバリアフィルム。
[9] 前記ガスバリア層と有機化合物からなる層を交互にそれぞれ複数層有することを特徴とする、[1]〜[8]のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
[10] 前記有機化合物からなる層が、紫外線硬化性モノマーを塗布し紫外線で硬化させて形成したポリマー層であることを特徴とする、[9]に記載のガスバリアフィルム。
[11] [1]〜[10]のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを用いた有機デバイス。
[12] [1]〜[10]のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムで封止された有機デバイス。
本発明のガスバリアフィルムは、高いバリア性と透明性を有し、且つ紫外線の遮断機能を併せ持っている。また、本発明の有機デバイスは、長期間使用しても劣化しにくい。
以下において、本発明の紫外線遮断効果のあるガスバリアフィルムについて詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
《ガスバリアフィルム》
本発明のガスバリアフィルムは、透明な可撓性支持体である基板フィルム上に、少なくとも1層の無機化合物からなるガスバリア層(以下、無機ガスバリア層ということがある)を有する。本発明のフィルムには、無機ガスバリア層と有機化合物からなる層(以下、有機層ということがある)を積層することで、より高いガスバリア能を発揮させることができる。本発明のガスバリアフィルムの40℃・相対湿度90%における水蒸気透過率は0.005g/m2/day以下であり、好ましくは0.001g/m2/day以下である。 また、本発明のガスバリアフィルムは、紫外線化合物からなる遮断層を積層すること等により、高いガスバリア能と高い紫外線遮断能とを両立させている。
本発明のガスバリアフィルムは、透明な可撓性支持体上に無機ガスバリア層と紫外線遮断層に加えて、吸湿性層や帯電防止層、導電層等を設けることができる。
(無機ガスバリア層)
本発明における「無機化合物からなるガスバリア層」とは、無機材料で構成されるガス分子の透過を抑制しうる緻密な構造の薄膜である層を意味し、例えば、金属化合物からなる薄膜(金属化合物薄膜)が挙げられる。前記無機ガスバリア層の形成方法は、目的の薄膜を形成できる方法であればいかなる方法でも用いることができる。前記形成方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などが適しており、具体的には特許登録第3400324号、特開2002−322561号、特開2002−361774号各公報記載の形成方法を採用することができる。
前記無機ガスバリア層に含まれる成分は、上記性能を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、CeおよびTa等からなる群から選ばれる1種以上の金属を含む酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物などを用いることができる。好ましくは、Si、Al、In、SnおよびZnからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の金属から選ばれる。
また、前記無機ガスバリア層の厚みに関しても特に限定されないが、厚みが厚すぎると曲げ応力によるクラックの恐れがあり、薄すぎると膜が島状に分布するため、いずれもガスバリア性が悪くなる傾向がある。このため、各無機ガスバリア層の厚みは、それぞれ5nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは10nm〜1000nmであり、最も好ましくは10nm〜200nmである。
また、2層以上の無機ガスバリア層は、各々が同じ組成であってもよいし、異なる組成であってもよく、特に制限はされない。
本発明において、ガスバリア性と高透明性とを両立させるには前記無機ガスバリア層として、珪素酸化物や珪素窒化物または珪素酸化窒化物を用いるのが好ましい。前記無機ガスバリア層として珪素酸化物であるSiOxを用いる場合、良好なガスバリア性と高い光線透過率とを両立させるためには1.6<x<1.9であることが望ましい。前記無機ガスバリア層として珪素窒化物であるSiNyを用いる場合は、1.2<y<1.3であることが好ましい。y<1.2となると着色が大きくなることがあり、ディスプレイ用途に用いる場合には制約となる。
また、前記無機ガスバリア層として珪素酸化窒化物であるSiOxNyを用いる場合、密着性向上を重視するのであれば、酸素リッチの膜とすることが好ましく、具体的には1<x<2および、0<y<1を満足することが好ましい。一方、ガスバリア性の向上を重視する場合には、窒素リッチの膜とすることが好ましく、具体的には0<x<0.8および0.8<y<1.3を満足することが好ましい。
(有機層)
本発明のガスバリアフィルムは、前記無機ガスバリア層の脆性やバリア性を向上させるために、各層に隣接した有機層を設けることができる。有機層は、紫外線もしくは電子線硬化性モノマー、オリゴマーまたは樹脂を、塗布または蒸着で成膜したのち、紫外線または電子線で硬化させた層であることが好ましい。
前記有機層について、モノマーを架橋させて得られた高分子を主成分として形成した有機層を用いる場合を例に説明する。前記モノマーとしては、紫外線もしくは電子線の照射により架橋できる基を有するモノマーであれば特に限定は無いが、アクリロイル基またはメタクリロイル基、オキセタン基を有するモノマーを用いることが好ましい。
上記有機層は、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどのうち、2官能以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーを架橋させて得られる高分子を主成分とすることが好ましい。これらの2官能以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーは2種類以上を混合して用いてもよいし、また1官能の(メタ)アクリレートを混合して用いてもよい。
また、前記オキセタン基を有するモノマーとしては、例えば、特開2002−356607号公報の一般式(3)〜(6)に記載されている構造を有するモノマーが好適に挙げられる。この場合、これらを任意に混合してもよい。
また、前記有機層は、ディスプレイ用途に要求される耐熱性、耐溶剤性の観点から、特に架橋度が高く、ガラス転移温度が200℃以上である、イソシアヌル酸アクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートを主成分とすることがさらに好ましい。前記有機層の厚みについても特に限定はされないが、前記有機層の厚みが薄すぎると、厚みの均一性を得ることが困難となるため、無機ガスバリア層の構造欠陥を効率よく有機層で埋めることができずに、バリア性の向上は見られない。また、逆に有機層の厚みが厚すぎると、曲げ等の外力により有機層がクラックを発生し易くなるためバリア性が低下してしまう不具合が発生してしまう。かかる観点から、上記有機層の厚みは、10nm〜5000nmが好ましく、10nm〜2000nmがさらに好ましく、50nm〜2000nmが最も好ましい。
本発明の有機層の形成方法としては、まず、架橋性のモノマー等を含む塗膜を形成し、その後、該塗膜に電子線もしくは紫外線を照射して硬化させる方法が挙げられる。前記塗膜を形成する方法としては、例えば、塗布による方法、真空成膜法等を挙げることができる。前記真空成膜法としては、特に制限はないが、蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が好ましく、有機物質モノマーの成膜速度を制御しやすい抵抗加熱蒸着法がより好ましい。前記架橋性モノマー等の架橋方法に関しては特に制限はないが、電子線や紫外線等による架橋が、真空槽内に容易に取り付けられる点や架橋反応による高分子量化が迅速である点で望ましい。
塗布方式で前記塗膜を塗設する場合には、従来用いられる種々の塗布方法、例えば、スプレーコート、スピンコート、バーコート等の方法を用いることができる。
前記塗膜の形成方法としては塗布法、蒸着法のいずれを用いてもよいが、直下の無機ガスバリア層成膜後に機械的な応力がかかりにくく、かつ薄膜形成に有利な真空成膜法を用いることが好ましい。
(紫外線遮断層)
本発明のガスバリアフィルムは、紫外線の遮断機能を有する。該紫外線遮断機能を有するために、外光もしくは自発光素子からの紫外線からガスバリアフィルムの劣化を防ぐことができる。本発明のガスバリアフィルムは、波長350nmの紫外線を透過率10%まで遮断し、好ましくは5%以下にまで遮断する。該紫外線遮断機能は、下記の紫外線吸収剤あるいは紫外線遮断剤を、基板フィルムまたは有機層に含有させる方法や、別の層として挿入する方法などで達成することができる。好ましくは、紫外線遮断層として別層を付加する方法が良い。
前記紫外線遮断機能を達成する化合物としては、特に制限はないが、例えばチアゾリドン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系、ベンゾフェノン系、アミノブタジエン系、トリアジン系などの有機紫外線吸収剤、あるいは酸化セリウム、酸化マグネシウムなどの微粉末系紫外線遮断剤であり、特に有機紫外線吸収剤が好ましい。該有機紫外線吸収剤として、例えば特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号各公報、独国特許第19739797A号、欧州特許第711804A号各公報および特表平8−501291号公報、米国特許第1,023,859号、同第2,685,512号、同第2,739,888号、同第2,784,087号、同第2,748,021号、同第3,004,896号、同第3,052,636号、同第3,215,530号、同第3,253,921号、同第3,533,794号、同第3,692,525号、同第3,705,805号、同第3,707,375号、同第3,738,837号、同第3,754,919号、英国特許第1,321,355号明細書等に記載されている化合物を用いることができる。
紫外線遮断層を付加する場合には、前記紫外線吸収剤あるいは紫外線遮断剤を有機バインダーに分散させて層を形成する。有機バインダーは、特に制限はないが合成樹脂類を用いることができる。前記紫外線遮断層の形成方法としては、例えば塗布による方法等を挙げることができる。塗布方式で前記塗膜を塗設する場合には、従来用いられる種々の塗布方法、例えば、スプレーコート、スピンコート、バーコート等の方法を用いることができる。該塗布液中の前記紫外線吸収剤あるいは紫外線遮断剤は、紫外線透過率を調整するうえで適宜な量が含まれるが、好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは1〜30質量%である。
本発明の紫外線遮断層の厚みは、10nm〜5000nmが好ましく、50nm〜5000nmがさらに好ましく、100nm〜5000nmが最も好ましい。また該紫外線遮断層は、基板フィルム、無機ガスバリア層、および有機層のいずれの間の位置に設置されても良いが、本発明のガスバリアフィルムの少なくとも一方の最外面にあることが好ましく、さらには無機ガスバリア層が形成された支持体基板上の面と反対側の最外面にあることが好ましい。また該紫外線遮断層がガスバリアフィルムの最外面の両面にある態様も好ましい。
(基板フィルム)
本発明のガスバリアフィルムに用いられる基板フィルムは、上記各層を保持できるフィルムであれば特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。前記基板フィルムの基材としては、具体的に、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性カーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂のうち、好ましい例としては、ポリエステル樹脂で特にポリエチルナフタレート樹脂(PEN)、ポリアリレート樹脂(PAr)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、フルオレン環変性カーボネート樹脂(BCF−PC:特開2000−227603号公報の実施例−4の化合物)、脂環変性ポリカーボネート樹脂(IP−PC:特開2000−227603号公報の実施例−5の化合物)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報の実施例−1の化合物)等の化合物からなるフィルムが挙げられる。
本発明に用いる基板フィルムは、有機デバイスの支持体に用いるため可視光に対して透明である。基板フィルムの透明度は、波長500nmの可視光を50%以上透過することが好ましい。基板フィルムの厚みは、透明度を確保するために適宜調整することができる。
(その他の機能層)
本発明のガスバリアフィルムは、基材フィルムと無機ガスバリア層との間に、公知のプライマー層または無機薄膜層を設置することができる。前記プライマー層としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂層、親水性樹脂共存下でゾルーゲル反応により形成する有機無機ハイブリッド層、無機蒸着層またはゾル−ゲル法による緻密な無機層を挙げることができる。前記無機蒸着層としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ等の蒸着層が好ましい。前記無機蒸着層は真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することができる。また、2つの無機ガスバリア層の間に吸湿性層を挿入しても、水蒸気のバリア性能が向上するので好ましい。この場合、吸湿性層は、2つの無機ガスバリア層と隣接する位置、無機ガスバリア層と有機層とに隣接する位置、2つの有機層に隣接する位置のいずれに配置してもよいが、吸湿性層の脆弱性や吸湿後の体積膨張による変形の影響を少なくするという観点からは、2つの有機層に隣接する形で2つの無機ガスバリア層の間に配置されることが最も望ましい。
さらに本発明のガスバリアフィルムは、無機ガスバリア層および有機層以外に、種々の機能層を設置してもよい。該機能層の例としては、反射防止層、偏光層、カラーフィルター、および光取出効率向上層等の光学機能層;ハードコート層や応力緩和層等の力学的機能層;帯電防止層や導電層などの電気的機能層;防曇層;防汚層;被印刷層などが挙げられる。これらの機能層は、基材フィルム、無機ガスバリア層、紫外線遮断層および有機層のいずれの間、または無機ガスバリア層が設置された基板フィルムの反対側の面に設置してもよい。
さらに、前記吸湿性層の基材フィルムとは反対側に、少なくとも無機ガスバリア層と有機層と無機ガスバリア層とがこの順に積層されたガスバリア性ラミネート層を設けることもできる。ガスバリア性ラミネート層は、フィルム反対面からの水分子の侵入を防ぐことでフィルム基板の寸法変化を抑制することでガスバリア層への応力集中や破壊を防止し、結果として耐久性の高いディスプレイを供給しうるという特徴を有する。
(各層の構成)
本発明のガスバリアフィルムは、基板フィルム上に少なくとも1層の無機ガスバリア層を有し、好ましくは少なくとも1層の無機ガスバリア層と有機層を積層することで構成される。無機ガスバリア層と有機層を基板フィルムの両面に積層する態様も好適である。
《有機デバイス》
本発明における有機デバイスとは、例えば画像表示素子(円偏光板・液晶表示素子、電子ペーパーや有機EL素子)および色素増感型太陽電池、タッチパネルなどを指す。本発明のガスバリアフィルムの用途は特に限定されないが、該有機デバイスの基板や封止フィルムとして好適に用いることができる。
(円偏光板)
前記円偏光板は、本発明のガスバリアフィルム上に、λ/4板と偏光板とを積層することで作製することができる。この場合、λ/4の遅相軸と偏光板の吸収軸とが45°になるように積層する。このような偏光板は、長手方向(MD)に対し45°方向に延伸されているものを用いることが好ましく、例えば、特開2002−865554号公報に記載のものを好適に用いることができる。
(液晶表示素子)
前記液晶表示装置は、反射型液晶表示装置と透過型液晶表示装置とに大別することができる。前記反射型液晶表示装置は、下方から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる構成を有する。本発明のガスバリアフィルムは、前記透明電極および上基板として使用することができる。前記反射型液晶表示装置にカラー表示機能をもたせる場合には、さらにカラーフィルター層を前記反射電極と前記下配向膜との間、または、前記上配向膜と前記透明電極との間に設けることが好ましい。
また、前記透過型液晶表示装置は、下方から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板および偏光膜からなる構成を有する。このうち本発明のガスバリアフィルムは、前記上透明電極および上基板として使用することができる。また、前記透過型液晶表示装置にカラー表示機能をもたせる場合には、さらにカラーフィルター層を前記下透明電極と前記下配向膜との間、または、前記上配向膜と前記透明電極との間に設けることが好ましい。
前記液晶層の構造は特に限定されないが、例えば、TN(Twisted Nematic)型、STN(Supper Twisted Nematic)型またはHAN(Hybrid Aligned Nematic)型、VA(Vertically Alignment)型、ECB(Electrically Controlled Birefringence)型、OCB(Optically Compensatory Bend)型、または、CPA(Continuous Pinwheel Alignment)型であることが好ましい。
(タッチパネル)
前記タッチパネルとしては、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されたものの基板に本発明のガスバリアフィルムを適用したものを用いることができる。
(有機EL素子)
以下、本発明での有機デバイスの代表例として「有機EL素子」(以下、単に「発光素子」と称する場合がある)について詳細に説明する。該有機EL素子は、基板上に陰極と陽極を有し、両電極の間に有機発光層(以下、単に「発光層」と称する場合がある。)を含む有機化合物層を有する。発光素子の性質上、陽極および陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明であることが好ましい。
前記有機化合物層の積層の態様としては、陽極側から、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。さらに、正孔輸送層と発光層との間、または、発光層と電子輸送層との間には、電荷ブロック層等を有していてもよい。陽極と正孔輸送層との間に、正孔注入層を有してもよく、陰極と電子輸送層との間には、電子注入層を有してもよい。また、発光層としては一層だけでも良く、また、第一発光層、第二発光層、第三発光層等に発光層を分割しても良い。さらに、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
次に、発光材料を構成する要素について、詳細に説明する。
(陽極)
陽極は、通常、有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、またはこれらの混合物が好適に挙げられる。陽極材料の具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
陽極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、陽極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って、前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、陽極の形成は、直流または高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。
前記発光素子において、陽極の形成位置としては特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができる。が、前記基板上に形成されるのが好ましい。この場合、陽極は、基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
なお、陽極を形成する際のパターニングとしては、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
陽極の厚みとしては、陽極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常、10nm〜50μm程度であり、50nm〜20μmが好ましい。
陽極の抵抗値としては、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。陽極が透明である場合は、無色透明であっても、有色透明であってもよい。透明陽極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
なお、透明陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、ここに記載される事項を本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITOまたはIZOを使用し、150℃以下の低温で成膜した透明陽極が好ましい。
(陰極)
陰極は、通常、有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
陰極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、2属金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、陰極を構成する材料としては、電子注入性の点で、アルカリ金属や2属金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属または2属金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されており、これらの広報に記載の材料は、本発明においても適用することができる。
陰極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前記した陰極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。例えば、陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種または2種以上を同時または順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
陰極を形成するに際してのパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
前記発光素子において、陰極形成位置は特に制限はなく、有機化合物層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と前記有機化合物層との間に、アルカリ金属または2属金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
陰極の厚みは、陰極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜1μmが好ましい。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1〜10nmの厚さに薄く成膜し、さらにITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
(有機化合物層)
前記発光素子における有機化合物層について説明する。
該発光素子は、発光層を含む少なくとも一層の有機化合物層を有しており、有機発光層以外の他の有機化合物層としては、前述したごとく、正孔輸送層、電子輸送層、電荷ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
−有機化合物層の形成−
前記発光素子において、有機化合物層を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に形成することができる。
−有機発光層−
有機発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、または正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、または電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。前記発光層は、発光材料のみで構成されていても良く、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でも良い。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であっても良く、ドーパントは1種であっても2種以上であっても良い。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であっても良く、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。さらに、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいても良い。また、発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
前記発光素子においては、相異なる二種類あるいは三種類以上の発光材料を用いることにより、任意の色の発光素子を得ることができる。中でも、発光材料を適切に選ぶことにより、高発光効率および高発光輝度である白色発光素子を得ることができる。例えば、青色発光/黄色発光や水色発光/橙色発光、緑色発光/紫色発光のように、補色関係にある色を発光する発光材料を用いて白色を発光させることができる。また、青色発光/緑色発光/赤色発光の発光材料を用いて白色発光させることもできる。なお、ホスト材料が発光材料の機能を兼ねて発光してもよい。例えば、ホスト材料の発光と発光材料の発光によって、素子を白色発光させてもよい。
前記発光素子においては、相異なる二種類以上の発光材料を同一発光層に含んでいても良く、また、例えば、青色発光層/緑色発光層/赤色発光層、あるいは青色発光層/黄色発光層のようにそれぞれの発光材料を含む層を積層した構造であっても良い。
発光層の発光色の調整手法には以下のような手法もある。これらの一または複数の手法を用いて発光色を調整することができる。
1)発光層よりも光取り出し側にカラーフィルタを設けて調整する手法。
カラーフィルタは、透過する波長を限定することで発光色を調整する。カラーフィルタとしては、例えば青色のフィルターとしては酸化コバルト、緑色のフィルターとしては酸化コバルトと酸化クロムの混合系、赤色のフィルターとしては酸化鉄などの公知の材料を用い、例えば真空蒸着法などの公知の薄膜成膜法を用いて透明基板上に形成してもよい。
2)発光を促進したり阻害したりする材料を添加して発光色を調整する手法。
例えば、ホスト材料からエネルギーを受け取り、このエネルギーを発光材料へ移す、いわゆるアシストドーパントを添加し、ホスト材料から発光材料へのエネルギー移動を容易にすることができる。アシストドーパントとしては、公知の材料から適宜選択され、例えば後述する発光材料やホスト材料として利用できる材料から選択されることがある。
3)発光層よりも光取り出し側にある層(透明基板を含む)に、波長を変換する材料を添加して発光色を調整する手法。
この材料としては公知の波長変換材料を用いることができ、例えば、発光層から発せられた光を他の低エネルギー波長の光に変換する蛍光変換物質を採用することができる。蛍光変換物質の種類は目的とする有機EL装置から出射させようとする光の波長と発光層から発せられる光の波長とに応じて適宜選択される。また、蛍光変換物質の使用量は濃度消光を起さない範囲内でその種類に応じて適宜選択可能である。蛍光変換物質は1種のみを用いてもよいし、複数種を併用してもよい。複数種を併用する場合には、その組合せにより青色光、緑色光および赤色光以外に、白色光や中間色の光を放出することができる。
前記発光素子に使用できる蛍光発光材料の例としては、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体やピロメテン誘導体の金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体などの化合物等が挙げられる。
また、前記発光素子に使用できる燐光発光材料は、例えば、遷移金属原子またはランタノイド原子を含む錯体が挙げられる。
遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、および白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、および白金である。
ランタノイド原子としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、およびガドリニウムが好ましい。
錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer-Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
燐光発光材料は、発光層中に、0.1〜40質量%含有されることが好ましく、0.5〜20質量%含有されることがより好ましい。
また、前記発光素子における発光層に含有されるホスト材料としては、例えば、カルバゾール骨格を有するもの、ジアリールアミン骨格を有するもの、ピリジン骨格を有するもの、ピラジン骨格を有するもの、トリアジン骨格を有するものおよびアリールシラン骨格を有するものや、後述の正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層の項で例示されている材料が挙げられる。
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのがさらに好ましい。
−正孔注入層、正孔輸送層−
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極または陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。正孔注入層、正孔輸送層は、具体的には、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン、等を含有する層であることが好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
正孔輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのがさらに好ましい。また、正孔注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.5nm〜100nmであるのがより好ましく、1nm〜100nmであるのがさらに好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
−電子注入層、電子輸送層−
電子注入層、電子輸送層は、陰極または陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。電子注入層、電子輸送層は、具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのがさらに好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのがさらに好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
また、陰極と発光層との間のエネルギー障壁を緩和するために、陰極に隣接する層へアルカリ金属やアルカリ金属化合物をドーピングしてもよい。添加した金属や金属化合物により有機層が還元されてアニオンが生成するため、電子注入性が高まり、印加電圧が低くなる。アルカリ金属化合物としては、例えば酸化物、フッ化物、リチウムキレートなどが挙げられる。
−正孔ブロック層−
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として、正孔ブロック層を設けることができる。また、電子輸送層・電子注入層が正孔ブロック層の機能を兼ねていてもよい。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのがさらに好ましい。正孔ブロック層は、上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
また、陰極側から発光層に輸送された電子が陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層を、発光層と陽極側で隣接する位置に設けることもできる。正孔輸送層・正孔注入層がこの機能を兼ねていてもよい。
(保護層)
前記発光素子においては、素子全体を保護層によって保護されていてもよい。保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxOy等の金属窒化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。
さらに、前記発光素子は、本発明のバリアフィルムと封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤または不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
(素子の駆動)
前記の発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、または直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。該発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許登録第2784615号公報、米国特許第5,828,429号、同6,023,308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
基材フィルム上に無機ガスバリア層、有機層および紫外線遮断層を設けたガスバリアフィルム(試料No.1〜5)を下記の手順にしたがって作製した。各ガスバリアフィルムの構造の詳細は表1に記載されるとおりである。
1.無機ガスバリア層の形成
図1に示すロールトゥーロール方式のスパッタリング装置(1)を用いて、厚み100μmのPET(東レ(株)製、ルミラーT60)フィルム上に無機ガスバリア層を形成した。
図1に示すように、スパッタリング装置(1)は、真空槽(2)を有しており、その中央部にはプラスチックフィルム(6)を表面に接触させて冷却するためのドラム(3)が配置されている。また、上記真空槽(2)にはプラスチックフィルム(6)を巻くための送り出しロール(4)および巻き取りロール(5)が配置されている。送り出しロール(4)に巻かれたプラスチックフィルム(6)はガイドロール(7)を介してドラム(3)に巻かれ、さらにプラスチックフィルム(6)はガイドロール(8)を介して巻き取りロール(5)に巻かれる。真空排気系としては排気口(9)から真空ポンプ(10)によって真空槽(2)内の排気が常に行われている。成膜系としてはパルス電力を印加できる直流方式の放電電源(11)に接続されたカソード(12)上にターゲット(図示せず)が装着されている。この放電電源(11)は制御器(13)に接続されており、さらに制御器(13)は真空槽(2)へ配管(15)を介して反応ガス導入量を調整しながら供給するガス流量調整ユニット(14)に接続されている。また、真空槽(2)には一定流量の放電ガスが供給されるよう構成されている(図示せず)。
以下、無機ガスバリア層の形成時における具体的な条件を示す。
ターゲットとしてSiをセットし、放電電源(11)としてパルス印加方式の直流電源を用意した。また、プラスチックフィルム(6)として厚み100μmのPETフィルムを用意し、これを送り出しロール(4)に掛け、巻き取りロール(5)まで通した。スパッタリング装置(1)への基材の準備が終了した後、真空槽(2)の扉を閉めて真空ポンプ(10)を起動し、真空引きとドラムとの冷却を開始した。到達圧力が4×10-4Pa、ドラム温度が5℃になったところで、プラスチックフィルム(6)の走行を開始した。放電ガスとしてアルゴンを導入して放電電源(11)をONし、放電電力5kW、成膜圧力0.3PaでSiターゲット上にプラズマを発生させ、3分間プレスパッタを行った。この後、反応ガスとして酸素を導入し、放電が安定してからアルゴンおよび酸素ガス量を徐々に減らして成膜圧力を0.1Paまで下げた。0.1Paでの放電の安定を確認してから、一定時間酸化ケイ素の成膜を行った。成膜終了後、真空槽(2)を大気圧に戻して酸化ケイ素(無機ガスバリア層)を成膜したフィルムを取り出した。無機ガスバリア層の膜厚は約50nmであった。尚、下記表1における各構造内容に従って、有機層上に無機ガスバリア層を形成する場合においても同様の方法によって無機ガスバリア層を形成した。
2.有機層の形成
50.75mLのテトラエチレングリコール・ジアクリレートと14.5mLのトリプロピレングリコールモノアクリレートと7.25mLのカプロラクトンアクリレートと10.15mLのアクリル酸と10.15mLの「EZACURE」(Sartomer社製、ベンゾフェノン混合物光重合開始剤)とのアクリルモノマー混合物を、固体物であるN、N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ジフェニルベンジジン粒子36.25gmと混合し、20kHz超音波ティッシュミンサーで約1時間撹拌した。約45℃に加熱し、沈降を防ぐために撹拌した混合物を内径2.0mm、長さ61mmの毛管を通して1.3mmのスプレーノズルにポンプで送り込んだ。そこで25kHzの超音波噴霧器によって小滴噴霧し、前記PETフィルム(基板フィルム)、前記無機ガスバリア層または後記紫外線遮断層表面に落とした。次いで、ドラム表面温度約13℃の低温ドラムに接触させた基板フィルムの無機ガスバリア層または後記紫外線遮断層上に蒸気をクライオ凝結させた後、高圧水銀灯ランプによりUV硬化させ(積算照射量約2000mJ/cm2)、有機層を形成した。膜厚は約500nmであった。
3.紫外線遮断層の形成
ウレタン変性ポリエステル(東洋紡製、バイロンUR−1200、固形分比20%、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン混合溶液)にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバガイギー製、チヌビンP、固形分比2%)を添加した塗布液を調製した。この塗布液を表1に従って、指定した位置に約3μm塗布し乾燥・硬化して紫外線遮断層を得た。
4.ガスバリアフィルムの物性評価
下記装置を用いてガスバリアフィルムの諸物性を評価した。結果を表1にまとめて示した。
・層構成(膜厚):日立(株)製、走査型電子顕微鏡「S−900型」
・水蒸気透過率(g/m2/day):MOCON社製、「PERMATRAN−W3/31」(条件:40℃・相対湿度90%)
・ガスバリアフィルムの光線透過率(%):島津製作所(株)製、分光光度計「UV3100PC」
5.有機EL素子の作製
上記のガスバリアフィルムを真空チャンバー内に導入し、IZOターゲット(出光興産(株)製)を用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、厚み0.2μmのIZO薄膜からなる透明電極を無機ガスバリア層が積層された面に形成した。透明電極(IZO)より、アルミニウムのリ−ド線を結線し、積層構造体を形成した。
前記透明電極の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚み100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Xとした。
一方、厚み188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製、スミライトFS−1300)からなる仮支持体の片面上に、
下記組成を有する発光性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚み13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した。これを転写材料Yとした。
〔組成〕
・ポリビニルカルバゾール: 40質量部
(Mw=63000、アルドリッチ社製)
・トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体: 1質量部
(オルトメタル化錯体)(ケミプロ化成(株)製)
・ジクロロエタン: 3200質量部
前記基板Xのホール輸送性有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層側を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成した。これを基板XYとする。
また、25mm角に裁断した厚み50μmのポリイミドフィルム(UPILEX−50S、宇部興産(株)製)片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの電極を形成した。Al23ターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリング法により、Al23をAl層と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。得られた積層構造体の上に下記組成を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液をスピンコーター塗布機で塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚み15nmの電子輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Zとする。
〔組成〕
・ポリビニルブチラール2000L: 10質量部
(Mw=2000、電気化学工業(株)製)
・1−ブタノール: 3500質量部
・下記構造を有する電子輸送性化合物: 20質量部
(特開2001−335776号公報に記載の方法にて合成)
Figure 0004717497
電子輸送性化合物
前記基板XYと前記基板Zとを用い、電極同士が発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、市販の有機EL用封止材(ナガセケムテックス(株)製 XNR5516)で封止した。
得られた有機EL素子にソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電流を印加し発光させたところ、いずれの素子試料も良好に発光した。
次に、表1のガスバリアフィルムを用いた有機EL素子を、60℃・相対湿度90%下にキセノンランプ(約30万ルックス)で50時間照射後、同様にして発光させて輝度の相対減少率を測定した。結果を表1にまとめて現す。表1が示すように、紫外線の透過率が10%以下である本発明の試料は紫外線による素子の劣化を抑制することができる(試料No.1〜4)。さらに紫外線遮断層がガスバリア層が形成された面と反対側の最外面に有することが効果的である(試料No.1および4)。特に、紫外線遮断層を両面に有する場合は、さらに素子劣化の抑制に効果的であった(試料No.4)。
本実施例からもわかるように、本発明により形成された試料は良好な透明性とガスバリア性、紫外線遮断性を有することが認められた。
Figure 0004717497
本発明のガスバリアフィルムは、優れた透明性とバリア性を有するため、各種有機デバイスの基板やデバイスの被覆フィルムとして好適に用いられる。また、本発明の画像表示素子用基板および有機EL素子などの有機デバイスは、高い耐久性およびフレキシブル性を有する。このため、本発明は産業上の利用可能性が高い。
実施例において用いたスパッタリング装置を示す説明図である。
符号の説明
1 スパッタリング装置
2 真空槽
3 ドラム
4 送り出しロール
5 巻き取りロール
6 プラスチックフィルム
7 ガイドロール
8 ガイドロール
9 排気口
10 真空ポンプ
11 放電電源
12 カソード
13 制御器
14 ガス流量調整ユニット
15 配管

Claims (13)

  1. 透明な可撓性支持体基板上に無機化合物からなるガスバリア層と有機化合物からなる層が交互にそれぞれ複数層形成されたガスバリアフィルムであって、前記ガスバリアフィルムには有機紫外線吸収剤を含有する少なくとも1層の紫外線遮断層が下記(1)〜(3)のいずれかの条件を満たすように形成されており、前記ガスバリアフィルムの40℃・相対湿度90%における水蒸気透過率が0.005g/m2/day以下であり、且つ波長350nmの紫外線の透過率が10%以下であり、前記ガスバリア層を構成する無機化合物を構成する金属が、Si、Al、In、SnおよびZnからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属からなることを特徴とするガスバリアフィルム。
    (1) 前記紫外線遮断層が前記有機化合物からなる層にのみ接する。
    (2) 前記紫外線遮断層が、その一面を前記可撓性支持基板に接し、その反対面を前記有機化合物からなる層に接する。
    (3) 前記紫外線遮断層が、前記可撓性支持基板にのみ接する。
  2. 前記ガスバリア層を構成する無機化合物が、金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記ガスバリア層を構成する無機化合物が、Siの酸化物、Alの酸化物、またはSiとAlの酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリアフィルム。
  4. 前記有機化合物からなる層が、紫外線硬化性モノマーを塗布し紫外線で硬化させて形成したポリマー層であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  5. 前記紫外線遮断層を、前記ガスバリアフィルムの少なくとも一方の最外面に有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  6. 前記紫外線遮断層を、前記ガスバリア層が形成された面と反対の支持体基板面に有することを特徴とする請求項に記載のガスバリアフィルム。
  7. 前記紫外線遮断層を、前記ガスバリアフィルムの最外面の両面に有することを特徴とする請求項に記載のガスバリアフィルム。
  8. 前記(1)の条件を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  9. 前記(2)の条件を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  10. 前記(3)の条件を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  11. 下記のいずれかの層構成を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
    D/C/A/B
    C/D/A/B
    C/A/B/D
    D/C/A/B/D
    (ここにおいて、Aは有機化合物からなる層と無機化合物からなるガスバリア層からなるユニットを1つ以上積層したものを表し、Bは有機化合物からなる層を表し、Cは透明な可撓性支持基板を表し、Dは有機紫外線吸収剤の一部または全部を含有する紫外線遮断層を表す。)
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを用いた有機デバイス。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムで封止された有機デバイス。
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