JP4715606B2 - 繊維ボード及びその接合方法 - Google Patents

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本発明は、天然繊維と樹脂バインダーとを混合してなる繊維ボード、及びその接合方法に関する。
従来より、天然繊維と樹脂バインダーとを混合してなる繊維ボードが、ドアトリムやインナーパネル等の自動車用内装材、壁材や床材等の建材、及び吸音材やスピーカーボックス等の機器材料として、広い分野で使用されている。この繊維ボードは、一般的には次のような方法で製造される。先ず、天然植物から繊維を採取し、この採取した天然繊維に樹脂バインダーを混合して、解繊等所定の処理を施すことで繊維マットを調製する。次いでこの繊維マットを熱間プレスすることによって、樹脂バインダーを軟化させて繊維マットをボード状に成形して得られる。
このような繊維ボードは、その独特な構成や使用態様などにより、より高い強度や層間剥離の防止が求められることがある。そこで、これらの特性を具備し得る繊維ボードを提供するために特殊な構成とした種々の繊維ボードが、例えば特許文献1乃至4に提供されている。
特許文献1では、繊維ボードの層間剥離の発生を解消するために、繊維ボードを短層構造にして、厚み方向の一側面から他側面又は厚み方向の中央から両側面に漸次硬さを異にしている。特許文献2では、強度と軽量化を両立させた繊維ボードを得るために、高弾性繊維体マットの両面に、低弾性繊維体マットを積層して熱間プレスすることで、低密度の中心層の両面に高密度の表面層が接合された3層構造としている。特許文献3では、軽量かつ高強度でありながらも、層間剥離の発生しにくい繊維ボードを得るために、バインダーとしての熱可塑性樹脂の含有率を厚み方向の中央部から上面及び下面に向かって徐々に高くして、厚み方向の中央部には機能材料を挟み込んでいる。特許文献4では、繊維ボードに低密度層を有することによる層間剥離を解消するために、表裏層部が高密度層で中心部が低密度層である中比重木質繊維ボードを、その中心部の厚さ方向の中央部から上下に2分割して、一方の面側が高密度層で他方の面側が低密度層となる中比重木質繊維ボードを得た後、低密度層を研削除去して高密度層のみからなる木質繊維ボードとして、この木質繊維ボードを合板などの木質基板の表面に積層接着し、さらにその表面に化粧版を接着することで、キャスター付きワゴン等による動的荷重を受けても層間剥離や凹み変形の生じ難い化粧版を得ている。
特開2000−141524号公報 特開2002−371455号公報 特開2006−62239号公報 特開平10−86103号公報
上記特許文献1乃至4では、繊維ボードの各層の密度を適宜調整することにより、厚み方向に加わる力、すなわち圧縮応力や引っ張り応力などに対する強度の向上や層間剥離の防止を発現できる。しかし、これのみでは厚み方向に直行する面方向に加わる力、例えば剪断力に対する強度にまでは対応できない。これは、そもそも繊維ボードに剪断力が作用する場合を想定していなかったからである。ここで、製品の組み立ての効率化や迅速化、新たな部材としての使用可能性等を考慮した場合、繊維ボードの新たな接合方法を開発する必要性が高まってきている。特に、繊維ボードを自動車の内外装材として使用する場合にその要請が強い。
繊維ボードを接合するには、継手、仕口、釘、タッカー、接着など周知の方法が挙げられる。継手や仕口といった方法では、接合のために特殊な形状とする必要があるので、生産性に難がある。釘やタッカーであればこのような問題はなく、かつ比較的容易に繊維ボードを接合できる。しかし、釘やタッカーを使用する場合は、面方向に荷重がかかると釘やステープル部分に応力集中が生じて、ここから繊維ボードが破損し易いし、そもそもステンレスやアルミ合金などの硬い基板には適用できない。そこで、これらの観点から接着することが最適であると考えられるが、現時点では、特に自動車分野において繊維ボードを接着することは殆ど検討採用されていなかった。さらに、繊維ボードを自動車に使用するには比較的複雑な形態に形成することが多く、その場合は複数枚の繊維ボード同士を互いに接合することも望まれていた。
繊維ボードを接着する場合、容易に繊維ボードが接合対象物から剥離しないように、接着強度の大きい接着剤を使用することが当然に望まれるが、このとき、何かしらの外部衝撃が作用した際の剥離機構が問題となる。繊維ボードが外部衝撃などにより接合対象物から剥離する機構としては、大きく分けて繊維ボード自体が破壊して剥離する母材破壊機構と、接着剤の凝集破壊により剥離する凝集破壊機構とがある。強い接着強度を有する接着剤を使用すれば、接着剤の接着強度が繊維ボードの破壊強度より大きくなって、母材破壊機構となり、逆に、比較的弱い接着強度の接着剤を使用すれば、接着剤の接着強度が繊維ボードの破壊強度より小さくなって、凝集破壊機構となることは明らかである。
しかし、接着剤の接着強度は、温度、湿度、母材の平滑性など種々の外部環境によって必ずしも一定ではない。これでは、繊維ボードの破壊形態の予測が困難となるので好ましくない。また、繊維ボードの強度が低く、少しの外部衝撃で容易に母材破壊して接合対象物から剥離してしまうのでは意味が無い。これを防ぐためには、繊維ボードの密度を上げて強度を増すことが考えられるが、単に繊維ボード全体の密度を上げるのみでは、繊維ボード本来のしなやかさなどが損なわれる、全体の重量が重くなる、コスト高となるなどの不都合が生じる。
このように、繊維ボードを接着する場合には、従来には無かった新たな課題が生じてくる。そこで、本発明者らが鋭意検討の結果、繊維ボード本来の特性を維持し、且つ全体の重量を抑えながら、容易に母材が破壊することのない繊維ボードを得るためには、従来のように繊維ボードの厚み方向において各層の密度を調整するだけでなく、各層を一体に考えて厚み方向に直行する面方向においても繊維ボードの密度を調整すればよいことを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明が解決しようとする課題は、他の部材と接合する繊維ボードに対して面方向の外部衝撃が作用しても、容易に剥離することがないように繊維ボードの密度を面方向で調整することにある。
上記課題を解決するための手段として、本発明は、天然繊維と樹脂バインダーとを混合してなる繊維ボードであって、前記繊維ボードの面方向の一部に、これを接合対象物に接合するための接合代を有し、該接合代は、前記繊維ボードにおける他の部位よりも密度が高密度に形成されていることを特徴とする。
このとき、変化させる密度としては、繊維ボードの主素材である繊維密度とし、前記繊維ボードは自動車の内外装材用とすることが好ましい。
また、この繊維ボードを接合する方法としては、上記の繊維ボード、すなわち面方向の一部に接合対象物に接合するための接合代を有しており、該接合代は前記繊維ボードにおける他の部位よりも密度が高密度に形成されている繊維ボードを使用し、当該繊維ボードの前記接合代部分を接合対象物に接着することで、接合対象物と前記繊維ボードとを接合することができる。
このとき、前記接合対象物のうちの少なくも1つを、上記の他の繊維ボード(同じ繊維ボード)として、複数枚の繊維ボードの各接合代同士を互いに重ね合わせ、その接合面を接着することもできる。ここでの接着には、常温において流動性を有する液状ないしゾル状の一般的な接着剤を塗布したり、フィルムの両面に接着剤を塗布した両面テープを使用したりできる。
本発明に係る繊維ボードによれば、繊維ボードの面方向の一部に、これを接合対象物に接合するための接合代を有し、当該接合代は繊維ボードにおける他の部位よりも密度が高密度に形成されている。すなわち、本発明に係る繊維ボードは、その厚み方向に直行する面方向において密度を調整し、接合代の強度を他の部位よりも高くしている。したがって、繊維ボードの接合箇所に面方向の力が作用しても、釘、ステープルを使用した場合の応力集中や接着した場合の剪断力などによって、当該接合面において繊維ボードが容易に破損することを有効に防止できる。また、密度を上げるとその分繊維ボードの重量が大きくなったり、使用量の増大によるコスト高となったりするが、本発明ではボードとしての本来の機能を果たす主要部分は従来どおりの密度に抑え、高い強度が必要となる接合代のみに限った狭い範囲の密度を高くしているだけなので、全体重量の増加やコストが嵩むことを極力抑えることができる。このとき、変化させる密度を繊維ボードの主素材である繊維密度とすれば、樹脂バインダーの添加密度を変える場合に比して重量増加を抑えることができる。また、繊維密度を高くすれば繊維同士の絡みつき具合が高くなるので、繊維ボードの層間剥離の恐れをより軽減できる。
本発明に係る繊維ボードによれば、適宜必要な箇所に接合代を形成できるので、建材として使用する場合などと比べて比較的複雑な形態とすることの多い自動車の内外装材として使用しても接合が容易である。また、繊維ボードを自動車の内外装材として使用した場合は、衝突事故などにより建材などとして使用した場合に比べて繊維ボードの破壊が生じ易いが、本発明に係る繊維ボードによれば、自動車の設計時に破壊形態を予測できるので安全性を高めることができる。
さらに、本発明によれば、今までに無かった繊維ボードの効率的な接合方法を提供できるので、自動車や建材などの広い分野において繊維ボードの新たな使用の可能性を飛躍的に向上させることができる。このとき、本発明に係る繊維ボードの接合方法によれば、高い強度を有する接合代のみを接着するので、繊維ボード同士を接合するにも好適である。接合方法を接着としているので、釘やタッカーを打ち付け難い部分の接合も容易であり、見栄えも良く接合できる。
以下に、本発明に係る繊維ボードの具体的な実施の形態を図面を用いて説明するが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。図1は、本発明に係る繊維ボードの一例を示している。図2は、本発明に係る繊維ボードを接合する方法の一例を示している。
図1において本実施形態の繊維ボードは、天然繊維と樹脂バインダーとを混合してなる。そして、ボード本体1の面方向の一部に、これを接合対象物に接合するための接合代2を有し、当該接合代2は、ボード本体1における他の部位(主板部3)よりも繊維密度が高密度に形成されている。つまり、本実施形態の繊維ボードは、厚み方向に直行する面方向において繊維密度を異ならしている。このとき、ボード本体1は単層構造でも複数積層構造でもよく、撓みなどに対する強度(剛性)や層間剥離防止のために各層における厚み方向での密度を変化させておいてもよい。なお、本明細書において、厚み方向とは図1における上下方向に対応し、面方向とは図1における前後左右方向に対応する。
本実施形態のボード本体1の主要素材となる天然繊維としては、特に限定されないが、例えばケナフ、ヤシ、パーム、サイザル麻、マニラ麻、コウゾ、ヘンプ、ワラ、バガスなどを原料とする非木材繊維や、針葉樹、広葉樹などを原料とする木材繊維、機械パルプ、化学パルプ、セミケミカルパルプ、これらのパルプを原料として合成される人工の各種セルロース系繊維を挙げられる。これらの中でも、ケナフが用いて好適である。ケナフはアオイ科フヨウ属の一年草であって、僅か5ヵ月ほどで成木する著しい成長力と、木材繊維を上回る強靭な長繊維が得られる。したがって、ケナフを使用すれば成木となるのに長年を要する森林資源の保護を図ることができる。また、その旺盛な成長力に伴い、短い期間で多量の空気中の二酸化炭素を吸収分解して炭素として固定するので、温暖化などの地球環境の改善に寄与できる利点がある。仮に繊維ボードを廃材として燃やした場合でも、もともと空気中から取り込んだ二酸化炭素が再度大気中に戻るだけなので、大気中の二酸化炭素量が増えることにはならず、この点、使用することによって大気中に二酸化炭素が一方的に蓄積される石油などの化石資源を使用する場合と比べて地球環境に優しい利点もある。
また、本実施形態における樹脂バインダーは、天然繊維の接着剤として機能するものであれば特に限定されることはなく、各種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を使用することができる。熱可塑性樹脂としては、代表的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、塩化ビニルなど周知の合成樹脂をあげることができる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを挙げることができ、さらに高等植物から得られるリグニンを使用することもできる。このリグニンとは、高等植物の木化に関与する高分子のフェノール性化合物で木質素とも呼ばれており、光合成(一次代謝)により同化された炭素化合物が、更なる代謝(二次代謝)を受けることで合成されるフェニルプロパノイドのうち、p−クマリルアルコール、コニフェニルアルコール及びシナピルアルコールのリグニンモノマーが、ラッカーゼ及びペルオキシダーゼ2種類の酵素の働きで高度に重合することで三次元網目構造を形成した巨大な生体高分子であり、木材中の20〜30%程度を占めている。これら樹脂バインダーは、粉末状、繊維状、溶媒溶液の状態など各種の形態で使用することができる。
そして、上記天然繊維と樹脂バインダーとを混合して得られる本実施形態の繊維ボードは、例えば自動車のドアトリム基材、インナーパネル、ピラーガーニッシュ、リヤパッケージ、天井基材、衝撃吸収材、吸音材などの内装材や外板基材などの外装材として、壁材、床材、床下衝撃吸収材、断熱材などの建材として、及びスピーカーボックス、吸音材などの機器材料として広く適用できるが、これらの中でも、特に繊維ボード同士を接合して使用することの要請が強い分野である、自動車の内外装材として使用することが好ましい。自動車の内外装材として使用しても、本発明に係る繊維ボードは破壊形態が一定しているので、自動車の設計時に破壊形態を予測し易く、安全性を高めるに有利である。
ボード本体1の面積の大半を占める主板部3は、本来的な部材としての機能を果たす部位であるので、従来から使用されていた繊維ボードと同等の密度であればよく、0.5〜1.0g/cm2の範囲でその使用目的に応じて適宜設定できる。例えば、本実施形態の繊維ボードを自動車の外装材として使用する場合は、0.8〜0.9g/cm2の範囲が好ましい。主板部3の密度が0.5g/cm2より小さいと、十分な強度を確保できず、僅かな衝撃で破損したり変形してしまうからであり、主板部3の密度が1.0g/cm2 より大きいと、高い強度は確保できるが重量が大きくなり過ぎたりコスト高となるからである。なお、ボード本体1は、各層における厚み方向での密度を異ならしている場合もあるが、この場合の主板部3の密度とは、ボード本体1の上面から下面にわたって均一な密度のボードであると仮定し、全体の平均値として換算した概念である。
これに対して、接合代2は主板部3よりも密度を大きく設定してある。その具体的数値は特に限定されないが、主板部3の密度よりも大きくて使用する接着剤の接着強度よりも小さい範囲とし、さらに予想される外部衝撃や繊維ボードの層構造などにより適宜設定すればよい。一般的に想定される範囲としては、1.0〜2.0g/cm2 程度である。接合代2の密度が1.0g/cm2 より小さいと、剪断力や応力集中に対する十分な強度が確保できず、2.0g/cm2 より大きいと、求められる強度よりも大きくなり過ぎて接着剤が凝集破壊してしまうからである。例えば、本実施形態の繊維ボード同士をウレタン系接着剤で接合した場合は、1.05〜1.5g/cm2が好ましく、1.1〜1.4g/cm2がより好ましい。このような範囲に設定することで、繊維ボードの剥離機構は母材破壊となるが容易に母材が破壊することもない繊維ボードとすることができ、製品の安全性の設計が容易となる。なお、ボード本体1の厚み方向の密度を異ならしている場合は、上記主板部3と同様に考えればよい。
接合代2を設ける部位は、ボード本体1の外周縁の一部であれば特に限定されることはなく、繊維ボードの形態や接合箇所に合わせて適宜設計される。したがって、図1に示すボード本体1の短手方向の一側端のみに設ける場合に限られず、短手方向又は長手方向の両側端に相対向して設けてもよく、1つの角を挟んでL字状に設けたり、隣り合う2つの角を囲んでコ字状に設けたりしてもよい。もちろん、ボード本体1の形態が複雑な形状であれば、それによって接合代2の形成形状も複雑になる。接合代2は、ボード本体1の側端から内方向に5〜30mmの幅で形成し、繊維ボードの接合に接着剤を用いる場合は10〜30mmが好ましく、10〜25mmがより好ましい。接合代2の形成幅が5mm(接着剤の場合は10mm)よりも狭いと、面方向の荷重に対する強度が確保できず、かつ接合代2の接合面積が小さくなり過ぎて釘やタッカーの打ち付けが困難となったり、接着剤の接着強度を有効に担保できないからである。逆に、接合代2の形成幅が30mmよりも大きいと高い強度を得られるが、接合代2の接合面積が大き過ぎて、その分主板部3の面積が小さくなってしまい、ボードとしての本来の機能を損ねてしまうからである。
次に、本実施形態の繊維ボードの製造方法について、ケナフを原料とし、樹脂バインダーに熱可塑性樹脂を使用した場合を例として説明する。繊維ボードを製造するには、大きく分けて解繊工程、積層工程、熱間プレス(加熱加圧)工程を経て得られる。但し、繊維ボードを単層構造とする場合は、積層処理工程は不要である。解繊処理工程として、先ずケナフの靭皮から繊維を採取する。その採取方法としては、ケナフの茎部分を水中に放置し、水中の微生物によって接着成分であるリグニンなどを分解する生分解(レッティング)、高温の水蒸気に曝露して接着成分を分解する蒸煮、高気圧条件で蒸煮し、一気に大気圧まで気圧開放することで原料に浸透した水分を一気に膨張させて原料を細分化する爆砕法などを使用できる。これらにより得られたケナフ繊維をカード機やエアレイ機などで解繊する。次に、得られた解繊繊維でウェブを形成し、バインダーとしての熱可塑性樹脂を混合する。繊維状の熱可塑性樹脂を混合する場合は、遠心法やメルトブロー法などの周知の方法で紡糸した熱可塑性樹脂を、混綿機などでケナフ繊維と混綿すればよい。粒状の熱可塑性樹脂を使用する場合は、ケナフ繊維ウェブに散布若しくはエアー吹付けしたり、ローラーに付着させた熱可塑性樹脂粉体を電気印加によってケナフ繊維ウェブに塗布する方法などがある。熱可塑性樹脂を溶媒溶液として混合する場合は、ケナフ繊維ウェブに溶媒溶液を噴霧する方法などがある。最後にケナフ繊維ウェブをフリースなどでマット状に形成する。
この解繊工程で重要となるのが、面方向における密度の調整である。その調整方法としては、例えばウェブをカード機やエアレイ機からベルトコンベア上に供給する際に、接合代2を形成する部位はベルトコンベアの搬送速度を落として解繊繊維の供給量を主板部3よりも多くしたり、一旦密度の均一なウェブを形成した後、手作業により接合代2とする部位に解繊繊維を追加して密度を増したりすることができる。
そして、必要に応じて繊維ボードを積層構造とする場合は、積層工程として、解繊工程で得られた繊維マットを所定枚数積層する。そして最後に、上記のようにして得られた単層又は積層の繊維マットを、プレス機などで熱間プレスすることでバインダーとしての熱可塑性樹脂を溶融させてケナフ繊維を接着することで、硬質の繊維ボードとして得ることができる。
この天然繊維と樹脂バインダーとを混合してなる繊維ボードを接合するには、接合代2に接着剤を塗布したり、接合代2に両面テープを貼り付けて接合対象物に接着すればよい。図2は、接合対象物を同じ繊維ボードとし、複数枚の繊維ボード同士を接合した場合を示している。つまり、各繊維ボードを接合代2において互いに重ね合わせ、その当接面を接着することで、繊維ボード同士を接合している。このとき、接着力を向上させるため、接着する前に繊維ボードを脱脂洗浄処理しておくことが好ましい。図示していないが、繊維ボードを自動車の基材フレームなどに直接接着してもよいことはもちろんである。また、図2のように繊維ボード同士を接合代2部位で重ね合わせたうえで、その接合部分を釘やステープルを打ち込んで接合してもよい。この場合でも、外部衝撃によって接合部分に応力手中が生じても、接合代2の強度は高くなっているので、容易に繊維ボードが破損することを回避できる。
接合に使用する接着剤としては、ウレタン系、エポキシ系、クロロプレン系、シリコーン系、シアノアクリレート系、オレフィン系などの接着剤を挙げることができるが、繊維ボードを自動車の外装材として使用する場合は、これらの中でもエポキシ系又はウレタン系の接着剤が好ましい。クロロプレン系、シリコーン系、シアノアクリレート系、オレフィン系の接着剤は、比較的接着強度が低いからである。なお、これらの接着剤は、フィルムの両面に塗布して両面テープとして使用してもよい。
以下に、本発明に係る繊維ボードの実施例及び比較例をそれぞれ接合代で2枚重ねて接着剤により接合し、そのときの剪断強度を測定した剪断強度試験について説明する。
各実施例及び比較例には天然繊維としてケナフ繊維を使用し、バインダーとしてリグニンを使用した。このケナフ繊維ボードを左右長さ100mm×前後幅25mmに形成し、左右長さ100mmのうち、一側端から25mmの範囲を接合代とした。それぞれのケナフ繊維ボード(母材)の層構造、接合代の密度、及び板厚は表1に示す通りである。得られたケナフ繊維ボードをIPA(イソプロピルアルコール)にて脱脂洗浄してから、接合代の全面にウレタン系接着剤(横浜ゴム社製;WS−202)を塗布し、接着剤を養生、完全硬化して各実施例及び比較例を用意した。そして、オートグラフ(島津製作所製;オートグラフAG−1)にて、接合面とは逆方向に5mm/minの引張速度で剪断力を作用させることで、繊維ボードが剥離した際の剪断力の測定を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0004715606

表1において実施例1と比較例1とを対比すると、接合代の密度を高めた実施例1の方が、接合代の密度が従来の繊維ボードと同等の比較例1よりも剪断強度が向上していることがわかる。同じ母材構造の実施例1と実施例2とを対比すると、実施例1よりも密度を高めた実施例2はより強い剪断力にも耐え、剪断強度は密度に比例して高くなることがわかる。また、母材構造が5層の実施例3でも、母材構造が4層の実施例2と同程度の密度で同程度の剪断強度を発現することがわかる。
以上、本発明に係る繊維ボード及びその接合方法の実施の形態について説明したが、本発明に係る繊維ボードは接合代のみの密度を高めるのみならず、接合代を含んだ若干広い範囲の密度を高めた形態としてもよい。また、接合代の密度は、樹脂バインダーの混合量を多くすることで高めることもできる。
繊維ボードの一例を示す斜視図である。 繊維ボードの接合方法の一例を示す斜視図である。
符号の説明
1 ボード本体
2 接合代
3 主板部

Claims (5)

  1. 天然繊維と樹脂バインダーとを混合してなる繊維ボードであって、
    前記繊維ボードの面方向の一部に、これを接合対象物に接合するための接合代を有し、
    該接合代は、前記繊維ボードにおける他の部位よりも密度が高密度に形成されていることを特徴とする繊維ボード。
  2. 前記密度は、繊維密度である請求項1記載の繊維ボード。
  3. 前記繊維ボードは、自動車の内外装材用である請求項1又は2記載の繊維ボード。
  4. 繊維ボードを接合する方法であって、
    繊維ボードは、これの面方向の一部に、接合対象物に接合するための接合代を有しており、
    該接合代は、前記繊維ボードにおける他の部位よりも密度が高密度に形成されており、
    前記繊維ボードの接合代部分を接合対象物に接着することで、接合対象物と前記繊維ボードとを接合することを特徴とする繊維ボードの接合方法。
  5. 前記接合対象物のうちの少なくも1つが同じ繊維ボードであり、
    複数枚の繊維ボードの各接合代同士を互いに重ね合わせ、その接合面を接着する請求項4記載の繊維ボードの接合方法。


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