JP4714884B2 - 粒子線加速器 - Google Patents

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Description

本発明は、サイクロトロンなどの粒子線加速器に関するものである。
粒子線加速器は、真空中で荷電粒子を加速する装置である。サイクロトロンは、粒子線加速器の1つであり、一定磁場内にある荷電粒子を、1対の電極の間に発生した高周波電場により加速する。イオン源から導入された粒子は、加速されて高周波の周期で渦巻状の軌道を動く。最大半径で円運動をしている粒子を、最後に外部に取り出し、標的と衝突させる。
サイクロトロンなどの粒子線加速器は様々な分野で利用されている。小型サイクロトロンは、病院などで放射性同位元素(RI)利用のために使用されている。例えば14N2ガスに粒子線加速器から得られた重陽子ビームを照射することにより、陽電子放射線源である15O核が生成される。このRIを用いて化学反応を経て薬剤が合成される。そのようなシステムでは、C15Oガスなどの薬剤が生成される。また、例えば18O(p,n)18F反応によって生成された18Fを用いて癌の診断に利用される薬剤を合成している。
サイクロトロンの場合、加速軌道の曲率半径と磁束密度の積が加速されている粒子の運動量に比例するという原理がある。したがって磁束密度が同じならば、取り出されるビームのエネルギーが高くなるほどサイクロトロンが大きくなる。
標的内でビームが止まるような厚い標的にビームを入射すると、エネルギーが高いほど、核反応によって生成される単位電流あたりの同位体は増加する。このため、薬剤合成などで利用されているサイクロトロンは、重陽子で10MeV程度の比較的高いエネルギーまで加速するものが多い。
一方、14Nから15Oを生成する反応などの場合、重陽子の加速エネルギーが3.5MeV程度で、十分な量の薬剤が合成できる。たとえば、加速エネルギーが3.5MeVの場合、50μAの重陽子流があれば、ターゲット内で500mCi程度の量の15O標識が生成できる。したがって、比較的小型なサイクロトロンが開発されている(たとえば、非特許文献1参照)。
酸素生成システム製品説明書(Oxygen Generator System Product Description)(IBA社)
粒子線加速器から得られるエネルギービームが直接または散乱後に物質に入射した場合に放射線が発生する。一般に、加速された粒子は、標的物質のみならず、加速器の電極や加速器内壁、残留ガス、標的容器などとも衝突し、放射線を発生させる。加速された粒子が直接標的などに入射するのみならず、電極などに衝突してから散乱された粒子も十分エネルギーが高ければ散乱後に別の場所に衝突して放射線を発生させる要因となる。たとえば14N核に重陽子ビームを照射し、15O核を生成するという上述の核反応の場合、それに伴って中性子やガンマ線が発生する。また、他の反応過程も起こるため、様々な種類の放射線が発生する。
放射線が身体に影響を与えることから、発生した放射線を減らすことが重要になる。このため粒子線加速器には遮蔽体が備えられる。特に中性子とガンマ線は荷電粒子と異なり、物質に対する透過性が高いので遮蔽しにくく、遮蔽体の量が増加する。そこで、厚いコンクリートを用いた壁や床でできた部屋に加速器を設置している。
しかし、粒子線加速器は広く場所を占め、本体重量も大きいので、設置場所の強度も十分考慮する必要がある。このため、加速器の占める場所を小さくしたり軽量化したりすることが望まれている。そのような要望から、加速器の一つであるサイクロトロンを遮蔽体で覆い加速器本体や標的から発生する放射線を遮蔽するという自己遮蔽が開発されていて、たとえば、約1m厚のコンクリート壁が自己遮蔽壁として用いられている。しかし、IBA社の小型サイクロトロンでは、サイクロトロンの遮蔽材であるコンクリートの外形寸法は、開放状態では約4m×2.8m×3.4mである。したがって、既存の建物にサイクロトロンを新たに設置することは困難である。粒子線加速器をさらに小型化、軽量化することが望まれている。
この発明の目的は、さらに小型化、軽量化された粒子線加速器を提供することである。
本発明に係る粒子線加速器は、真空室と、真空室に一定磁場を印加する磁石と、真空室内で磁石の発生する磁界の方向に垂直な方向に電場を発生する加速用電極と、真空室で加速された荷電粒子を取り出す取り出し電極と、取り出し電極で取り出された荷電粒子が当る位置に設けられたターゲットセルとからなり、3.5MeV以下のエネルギーの重陽子ビームを生成する粒子線加速器である。ここで、ここで、粒子線加速器を構成する上記の各部(真空室、加速用電極、取り出し電極及び/またはターゲットセル)の、荷電粒子に曝される表面の少なくとも1部が、銅より大きい原子番号の元素を含む材料からなる。たとえば、粒子線加速器を構成する上記の真空室、加速用電極、取り出し電極及び/またはターゲットセルの、荷電粒子に曝される面の少なくとも1部が前記の材料のシートで覆われている。


好ましくは、前記の粒子線加速器において、前記のターゲットセルが、粒子線加速器の他の部分と離れて設置され、さらに、ターゲットセルの周囲に、ターゲットセルで発生される放射線を遮蔽する遮蔽壁を設ける。
好ましくは、前記の粒子線加速器は、さらに、ターゲットセルにおいて生成された物質を原料とした合成を行う合成装置と一体化されている。
粒子線加速器において、低エネルギービームを物質に照射した場合に発生する放射線を効果的に軽減して、粒子線加速器を小型化、軽量化できる。加速器の小型化や軽量化により既存の建物にサイクロトロンを設置することも可能になる。
以下、添付の図面を参照して発明の実施の形態を説明する。
図1は、サイクロトロンの概略の構造を示し、図2は、その側面の概略の構造を示す。サイクロトロンは、一定磁場を発生する電磁軟鋼の主電磁石10及び主コイル12と、その間に設置され、真空に保たれている空洞である真空槽(加速箱)14とを備える。主電磁石10は4つのセクター電磁石を含む。イオン源16から、真空槽14内のほぼ中央に荷電粒子(たとえば重陽子や陽子)を供給する。イオン源16は冷陰極型PIGイオン源である。真空槽14内に、1対のディー電極18を設置し、ディー電極18の間隙(ギャップ)に高周波電源20により発生される高周波電場を印加する。高周波電場を荷電粒子に作用させることにより、荷電粒子の周回運動を加速する。最大の円運動軌道(この半径を引き出し半径という)の外側に、円形運動をしているイオン(ビーム)22を外の方向に偏向させるためのビーム引出し装置であるデフレクタ24を設ける。そして、デフレクタ24の電極により引き出された荷電粒子が衝突する位置にターゲットセル(標的容器)26を設置する。さらに、サイクロトロン本体の側面側に遮蔽部28,30を設ける。
図3と図4は、それぞれデフレクタ24の正面図(ビーム軌道面)と側面図を示す。デフレクタ24は、円形軌道に沿って配置されるデフレクタ電極240と、デフレクタ電極に対向して設けられたセパレータ242と、デフレクタ電極に高電圧を供給する高電圧電極244と、デフレクタ電極を支持する支持棒246とを備える。
図5と図6は、それぞれターゲットセル26の正面図と側面図を示す。ターゲットセル26は、ターゲットガスを収容する円筒状のセル本体260と正面のフランジ262とターゲット窓264とからなる。セル本体260は、ターゲットガスを入れるための入口266と出すための出口268を備える。たとえば15Oガスを調整する場合は、0.5〜2.5%の酸素ガスを含んだ窒素ガスをターゲットセル26に導入する。そこに重陽子を照射し、14N(d,n)15Oの核反応により15Oガスを生成する。
サイクロトロンを小型化するためには、ターゲットセル26である程度のRI生成物が得られる程度に加速エネルギーを低くすることが考えられる。また、加速エネルギーを低くしたとしても、軽量化するためには、加速された粒子が2次的に発生する放射線を遮蔽する遮蔽構造を軽量化する必要がある。軽量化のため、ビームが当る部分を、放射線を発生しにくい材料で構成すればよいと考え、各種材料の遮蔽性能のビームエネルギー依存性について測定した。
一般的に小型サイクロトロンで使用されている加速エネルギーは10MeV,18MeVであるが、この測定では10MeVと、それより低い3.5MeVの加速エネルギーの重陽子を各種材料のターゲットに照射して、発生する中性子の線量当量を測定した。ターゲットの材料は、比較的小さい原子番号である12C、13Al、22Ti、26Fe、29Cuから比較的大きい原子番号の41Nb、42Mo、64Gd、73Ta、74W、82Pbまでである。ビームはターゲットで止めて、電流を測定した。2次電子は磁石でターゲットに戻した。3.5MeVの重陽子ビームについては、0°、45°、90°、135°の角度依存性を測定し、10MeVの重陽子ビームについては、0°、90°、135°の角度依存性を測定した。放射線の検出器としては、中性子サーベイメータと有機液体シンチレータを用いた。
図7と図8は、それぞれ3.5MeVの加速エネルギーの重陽子ビームと10MeVの加速エネルギーの重陽子ビームを照射したときの測定データを示す。角度依存性は、いずれのエネルギーの場合も小さかった。図8の結果によると、10MeVのビームを照射した場合、発生した単位電流あたりの中性子線量当量は原子番号が大きいほど減少するが、図7に示すように、3.5MeVのビームを照射した場合に比べ、同じ原子核から得られた中性子線量当量は小さく、原子番号(Z)の増加に伴い減少する度合いも小さい。3.5MeVのビームの場合、アルミニウム原子核から発生する中性子線量当量は10MeVのビームのときの数10分の1で、原子番号(Z)の増加に伴い、銅で数10分の1程度、タンタルやタングステンでは1000分の1以下の線量当量に大きく減少することがわかった。タンタルやタングステンでの減少の度合いは、10MeVのビームの場合、アルミニウムに比べて数10分の1にとどまっている。
図7のデータより、銅より大きい原子番号の材料(ニオブ、モリブデン、タンタルなど)を用いれば中性子の発生を大幅に減少できることがわかる。たとえば、銅より大きい原子番号の材料では10MeVのビームを照射した場合に比べ、中性子線量当量を約100分の1以下にできる。一般に原子番号が大きいほど原子核の重さが大きいため入射ビームと反応しにくくなり放射線を発生しにくいと考えられるが、ガドリニウムのような例外もあって、中性子線量当量が10MeVのビームを照射した場合に比べて100分の1よりもやや大きい。しかしそのような材料でも、10MeVのビームを照射した場合に比べれば中性子線量当量は大きく減少している。
そこで、低エネルギーの重陽子ビームを生成する上述のサイクロトロンにおいて、低エネルギービームや散乱粒子が当る部分に原子番号の大きい材料を用いて、中性子などの放射線の発生を抑制する。具体的には、放射線発生を抑制する材料(以下では放射線発生抑制材料という)として、銅より大きい原子番号の材料を用いる。放射線発生抑制材料は、上述の銅より原子番号の大きい元素の合金や化合物(非強磁性体)であってもよい。より好ましくは、タンタルやタングステンのように原子番号がさらに大きい物質(原子番号が73以上)を用いる。
中性子線量当量を用いて表現すると、放射線発生抑制材料として、たとえば中性子線量当量が約0.2mSv/h/μA/(検出器立体角)以下の元素を用いればよい。より好ましくは、たとえば中性子線量当量が約0.02mSv/h/μA/(検出器立体角)以下の材料を使用する。
中性子線量当量を全立体角で表現すると、この測定では、検出器の有感部分が直径25.5φ×高さ70mmの円筒形であり、ターゲットから有感部分までの距離がおよそ80cmであったので、検出器の立体角は7.98×10−4srである。したがって、たとえば、上述の0.2mSv/h/μA/(検出器立体角)の中性子線量当量は、0.2/(7.98×10−4)mSv/h/μA/sr=2.5×10-1Sv/h/μA/srに対応し、0.02mSv/h/μA/(検出器立体角)の中性子線量当量は、2.5×10-2Sv/h/μA/srに対応する。したがって、放射線発生抑制材料としては、中性子線量当量が約2.5×10-1Sv/h/μA以下の材料を、より好ましくは、2.5×10-2Sv/h/μA/sr以下の材料を用いればよい。
なお、ターゲットセルで発生する中性子のエネルギーは、ターゲット物質にも依存する。中性子エネルギーが小さい方が遮蔽の量が少なくても済む。したがって、好ましくは、上に述べたように、同じ程度の放射線発生抑制性能でも、発生する中性子エネルギーがより小さい放射線発生抑制材料を用いればよい。たとえば、E=3.5MeVの重陽子ビームを用いた場合、181Taから発生する中性子の最大エネルギーは8.0MeVで、208Pbでは5.1MeVである。中性子遮蔽の観点からは、鉛シートなども部品として有用である。
表1は、小型サイクロトロンの構造の基本数値を示す。この小型サイクロトロンは、従来より低い重陽子エネルギー専用であり、荷電流のエネルギーは3MeV程度とする。高周波電場の周波数は60kHzである。3MeV程度の低エネルギーの重陽子加速で、15Oなどを生成できる。ここで、主電磁石10の発生する磁場を約2テスラとして、ディー電極18の直径(引き出し半径)を30cm程度にできる。したがって、通常用いられている9MeVのものに比べて直径が小さくなる。ここで、放射線発生抑制材料を用いるので、遮蔽材の量が少なくなり、遮蔽が小型化、軽量化できる。
Figure 0004714884
表1 サイクロトロン基本数値
表2は、サイクロトロンの各部の材質の例を示す。この例では、デフレクタ24の膜などに、タングステン、タンタル、モリブデンなどの原子番号の大きい材料を採用している。
Figure 0004714884
表2 サイクロトロンの主な材質
放射線発生を抑制するため、具体的には放射線発生抑制材料のシート(板)を作製して、サイクロトロン内の荷電粒子の低エネルギービームや散乱粒子に曝されている部分を作製する。たとえば、デフレクタ24のセパレータ部品242などの荷電粒子や散乱粒子に曝される部分を、タンタルやタングステンの薄い板で構成すればよい。使用される放射線発生抑制材料の厚さは、加速された荷電粒子ビームがその内部で止まる厚さとする。たとえば、3.5MeVの重陽子ビームが止まる厚さは0.03mm程度であるので、放射線発生抑制材料のシート(板)の厚さは、それよりも厚く、たとえば1mmより薄い程度とする。
なお、サイクロトロン内の、低エネルギービームに曝されている内面全体に放射線発生抑制材料のシートを配置してもよい。しかし、実際にはサイクロトロンの側面以外の部分は厚い電磁軟鉄があり、通常はビーム付近の電極は銅で被覆されている。一部のビームがこれらの銅に当って突き抜けて電磁軟鉄に当ることもあるが、電磁軟鉄は厚く、また、ビームエネルギーが低いため、電磁軟鉄からの漏洩線量は少ない。また、磁極にタンタルなどの放射線発生抑制材料のシートをたくさん配置すると高周波電場を乱すという悪影響も生じる。したがって、サイクロトロンの内面全体に放射線発生抑制材料のシートを配置する必要はなく、荷電粒子に曝される表面の少なくとも1部の必要箇所だけでも、高周波電場を乱さない程度にシートを配置することにより、放射線発生量を抑制できる。小型サイクロトロンのような低エネルギービームを出す粒子線加速器の主な放射線発生源は、ターゲット、ターゲット窓264、デフレクタ24、ディー電極18のギャップ付近、真空槽14などである。そこで、それらの各部の粒子線や散乱粒子が当る面を放射線発生抑制材料のシートを用いて構成すればよい。
より実際的には、放射線発生抑制材料のシートを、上述の粒子線や散乱粒子が当たる領域に貼り付けた構造にする。すなわち、従来の構造のデフレクタ24、ディー電極18、真空槽14などの表面に放射線発生抑制材料のシートを貼り付ける。
また、窒素ガスなどのターゲットの場合、かなりの中性子などの放射線が発生すると予想され、中性子、ガンマ線などの遮蔽が必要になる。ターゲットがサイクロトロン本体に近いと、自己遮蔽タイプの場合、遮蔽体が本体と重なり大きくなる。これに対し、この小型サイクロトロンでは、サイクロトロン本体から離した位置にターゲットセル26を独立して設置し、ターゲットセル26の周囲に遮蔽壁(図示しない)を配置して、発生する中性子などを遮蔽する。また、サイクロトロン本体は、遮蔽材である鉄や鉛混入のパラフィンで囲む。放射線発生抑制材料を用いているので、放射線が発生するとしても発生量は少ないので、遮蔽体の量は大幅に少なくできる。
また、小型サイクロトロンを、そのターゲットセルにおいて生成された物質を原料とした合成を行う合成装置と一体化できる。15O−ポジトロン放出断層法(PET)検査を用いる脳血流酸素代謝画像診断システムでは、サイクロトロンを用いて製造した15Oを用いて放射性薬剤(C15O、C15O2など)を合成装置により合成し、その放射性薬剤(トレーサー)を用いて脳血流酸素代謝をPET検査装置で診断する。放射性薬剤の合成については、近年、15Oを用いて常温でC15OやC15O2を作成する小型の合成装置が開発された(特開2003−167096号公報、図1参照)。この合成装置では、C15Oは、ターゲットセル26に、一酸化炭素(担体ガス)を含む窒素ガス(ターゲットガス)を供給し、ターゲットセル26内のガスを重陽子ビームで照射することにより作成する。さらに、C15O2は、作成したC15Oの一部を常温で乾燥酸素の存在下で酸化触媒(二酸化マンガン−酸化銅(II))に接触させて作成する。こうして、サイクロトロンのターゲットセル26から15Oが供給されると、ポジトロン放出断層法に基づく脳の酸素代謝検査に必要な3種類のトレーサーガス(15O、C15O、C15O2)の全てを直ちに作成し、供給できる。
そこで、上述の小型サイクロトロンを小型の合成装置と一体化して、システム全体を縮小する。図9は、サイクロトロンと合成装置との一体化システムにおけるガスの流路を示す。合成装置は、具体的には、サイクロトロンのターゲットセル26の入口266にターゲットガスを供給し、ターゲットセル26の出口268から、生成された15OとC15Oを取り出す。また、取り出したCOを分岐して、その一部に乾燥酸素、または乾燥酸素と乾燥二酸化炭素の混合ガスを混合して酸化触媒に導き、C15O2を得る。得られたトレーサーガスは、PET検査装置の吸入装置に供給する。放射性薬剤の合成は、ガスの経路に流量制御器や電磁弁を設置することにより自動化できる。この一体化された装置を用いることにより、システムをさらに小型化でき、図10に模式的に示すように、サイクロトロンと合成装置とからなる一体化装置300とPET検査装置302を含む画像診断システム全体を1つの室内に配置できる。
なお、この低エネルギー用小型サイクロトロンは、15Oの他、18F、13N、11Cなどの同位体の作成にも適用できる。たとえば、FDG(F-tagged de-oxyglucose)の生成にも利用できる。
なお、上述の実施の形態では、サイクロトロンについて説明したが、他の粒子線加速器についても上述の放射線発生抑制材料を用いて小型化、軽量化が図れる。
サイクロトロンの概略図 サイクロトロンの側面の概略図 デフレクタ−の正面図 デフレクタ−の側面図 ターゲットセルの正面図 ターゲットセルの側面図 3.5MeVのエネルギーの重陽子ビームを用いたときの測定データ 10MeVのエネルギーの重陽子ビームを用いたときの測定データ 合成装置とサイクロトロンとを一体化したシステムにおけるガスの流路を示す図 合成装置とサイクロトロンとからなる一体化装置とPET検査装置を含み1つの室内に配置される画像診断システムの図
符号の説明
10 主電磁石、 12 主コイル、 14 真空槽(加速箱)、 16 イオン源、 18 ディー電極、 24 デフレクタ、 26 ターゲットセル、 240 デフレクタ電極、 242 セパレータ、 260 セル本体、 264 ターゲット窓。

Claims (9)

  1. 真空室と、
    真空室に一定磁場を印加する磁石と、
    真空室内で磁石の発生する磁界の方向に垂直な方向に電場を発生する加速用電極と、
    真空室で加速された荷電粒子を取り出す取り出し電極と
    からなり、3MeVのエネルギーの重陽子ビームを生成するための専用の粒子線加速器であって、
    真空室、加速用電極および取り出し電極の、重陽子に曝される表面が、上記の磁石の近傍を除いて、銅より大きい原子番号の元素を含む材料からなり、上記の材料の厚さは中性子の発生を抑制する厚さであることを特徴とする粒子線加速器。
  2. 粒子線加速器を構成する上記の真空室、加速用電極および取り出し電極の、重陽子に曝される表面が前記の材料のシートで構成されていることを特徴とする請求項1に記載された粒子線加速器。
  3. 前記の材料のシートは、中性子の発生を抑制する前記の厚さを備えることを特徴とする請求項2に記載された粒子線加速器。
  4. さらに、取り出し電極で取り出された重陽子が当たる位置に設けられたターゲットセルを備える請求項1〜3のいずれかに記載された粒子線加速器。
  5. 前記ターゲットセルのターゲット窓は銅より大きい原子番号の元素を含む材料からなることを特徴とする請求項4に記載された粒子線加速器。
  6. 前記の材料は、3MeVのエネルギーの重陽子ビームの中性子発生量が2.5×10−1 Sv/h/μA/sr以下の材料であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載された粒子線加速器。
  7. 前記の材料は、3MeVのエネルギーの重陽子ビームの中性子発生量が2.5×10−2 Sv/h/μA/sr以下の材料であることを特徴とする請求項6に記載された粒子線加速器。
  8. 前記のターゲットセルが、粒子線加速器の他の部分と離れて設置され、さらに、ターゲットセルの周囲に、ターゲットセルで発生される放射線を遮蔽する遮蔽壁を設けたことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか1項に記載された粒子線加速器。
  9. さらに、前記のターゲットセルにおいて生成された物質を原料として受け取って合成を行う合成装置と一体化されている請求項4から請求項8のいずれか1項に記載された粒子線加速器。
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