JP4714207B2 - 光接続部材およびその装着方法 - Google Patents

Description

本発明は、ガラスファイバの外周に被覆を備えた光ファイバに装着される光接続部材およびその装着方法に関する。

光接続部材として、光線路を構築する作業現場において光ファイバに光コネクタを取り付ける作業を容易にし、作業時間を短縮できる光コネクタが知られている（例えば、特許文献１参照）。その光コネクタの一例を図１２に示す。
図１２に示す光コネクタ１００は、ガラスファイバである内蔵光ファイバ１０１ａを内蔵したフェルール１０１を有しており、内蔵光ファイバ１０１ａが、光コネクタ１００の内部で被覆が付いた被覆付き光ファイバ１０２と接続されている。また、光コネクタ１００の後部には、後方へ導出された被覆付き光ファイバ１０２を覆うブーツ１０３が取り付けられている。また、フェルール１０１の中心軸上には、内蔵光ファイバ１０１ａの外径と略同一の内径を有する光ファイバ保持穴１０１ｂが設けられており、その後端部は所定長さだけフェルール１０１から突出している。内蔵光ファイバ１０１ａは、光ファイバ保持穴１０１ｂに挿入されて位置決めされ、接着剤により固定されている。この内蔵光ファイバ１０１ａの後端面は、フェルール１０１の後方に設けられているスプライス部材１０４に後方から挿入される被覆付き光ファイバ１０２のガラスファイバ（図示省略）の前端面と接続されることになる。

スプライス部材１０４は、下側のベース部材１０５とカバー部材１０６とから構成されており、断面コ字状の弾性部材であるクランプ部材１０７によって挟まれて一体化している。ベース部材１０５の上面中央にはＶ溝１０８が設けられており、このＶ溝１０８に内蔵光ファイバ１０１ａを嵌めて、カバー部材１０６によって位置決め及び保持を行っている。スプライス部材１０４の後半部分では、ベース部材１０５の上面中央に、被覆付き光ファイバ１０２を被覆２４の外周面を基準として位置決め固定するためのＶ溝１０９が設けられている。

すなわち、Ｖ溝１０９に被覆付き光ファイバ１０２を嵌めて、カバー部材１０６によって被覆を押圧することにより被覆付き光ファイバ１０２の位置決めとともに保持を行っている。なお、内蔵光ファイバ１０１ａと被覆付き光ファイバ１０２との接合位置には、屈折率整合剤１１０が充填されており、接合面における伝送光の低損失及び低反射を図っている。

特開２００５−３４５７５３号公報

ところで、光ファイバが予めフェルール内部に内蔵されているＱ−ＳＣコネクタ等を用いる場合には、光ファイバの被覆をストリッパ等の工具を用いて除去した後、光ファイバ側面をアルコール等を用いてごみを除去し、カッタ等の工具で切断した後、注意深く光ファイバをコネクタ内に挿入して、内蔵ファイバと付き当てて固定しなければならず、作業が面倒であった。

前述した光コネクタ１００では、フェルール１０１に設けられている内蔵光ファイバ１０１ａと接続する被覆付きファイバ１０２は、被覆付きの状態で接続されるため、被覆除去の工程等を設ける必要がなく、現場における接続作業が簡易であるという利点があるものの、被覆付きファイバ１０２は被覆の外周面を基準として位置決めされるため、被覆の変形によって接続箇所の光軸がずれ、接続ロスが生じる虞があった。

そこで、本発明の目的は、被覆付きファイバを、簡易な接続作業で高精度に位置決めして接続することができる光接続部材およびその装着方法を提供することにある。

前記課題を解決することのできる本発明に係る光接続部材は、ガラスファイバの外周に被覆を備えた光ファイバに装着される光接続部材であって、
ガラスファイバ挿入穴を有する接続部と、
前記ガラスファイバ挿入穴に挿入された前記光ファイバを固定する固定部と、
当該光接続部材の内部への前記光ファイバの挿入力により前記光ファイバの端部から前記被覆を除去する被覆除去部と、
前記固定部と前記被覆除去部との間に設けられ、前記光ファイバを撓ませた状態で収容可能な撓み空間と、を備え、
前記撓み空間における前記光ファイバの挿入方向の一部を遮断して前記光ファイバの撓みを部分的に防止する撓み防止部材が着脱可能であることを特徴とする。

また、本発明にかかる光接続部材において、前記撓み防止部材が、前記撓み空間に設けられ前記光ファイバを挿通させるガイド溝を蓋するものであることが好ましい。

また、本発明にかかる光接続部材において、前記撓み防止部材には、前記撓み空間に挿入された前記光ファイバの撓みを許容する解放部が前記光ファイバの挿入方向中間部に設けられていることが好ましい。

前記課題を解決することのできる本発明に係る光接続部材の装着方法は、前述した光接続部材を前記撓み空間を前記撓み防止部材により一部遮蔽した状態で前記光ファイバの挿入路を形成しておき、
前記光ファイバを前記光接続部材の前記挿入路に挿入し、
挿入された前記光ファイバの先端を前記被覆除去部に押し付けて前記光ファイバをさらに押し込み、前記撓み空間における前記光ファイバの挿入方向の一部において前記光ファイバを撓ませるとともに前記被覆除去部において前記光ファイバの先端の被覆を除去して前記ガラスファイバを前記ガラスファイバ挿入穴に挿入し、
前記撓み防止部材を前記撓み空間から脱出させて前記撓み空間における前記光ファイバの挿入方向全域で前記光ファイバを撓ませて、前記固定部により前記光ファイバを固定することを特徴とする。

本発明によれば、ガラスファイバの外周に被覆を備えた光ファイバを光接続部材に挿入する際に、被覆除去部によって光ファイバの端部から被覆が除去され、端部に露出したガラスファイバを接続部のガラスファイバ挿入穴に挿入して、光ファイバを固定部により固定することができる。これにより、光接続部材に挿入する前に被覆除去作業を行う必要がなく、被覆付きの光ファイバを、接続部内でガラスファイバの外周を基準として高精度に位置決めして、他の光ファイバ等に接続することができる。

また、光ファイバを光接続部材に挿入する際に撓み空間の一部を遮蔽する撓み防止部材を挿入しておくことで、撓み空間の一部で光ファイバを撓ませて、光ファイバの先端に強い押圧力を作用させて被覆除去部に押し付けることができ、確実に被覆を除去することができる。

さらに、被覆除去後は、撓み空間において光ファイバを撓ませて、固定部で光ファイバを固定することにより、ガラスファイバの先端を所定の押圧力で内蔵ガラスファイバ等に押圧するので、確実に光ファイバを接続することができる。

以下、本発明に係る光接続部材およびその装着方法の実施形態の例を、図面を参照しつつ説明する。
図１は本実施形態の光接続部材である光コネクタの装着後の断面図、図２は被覆除去時の光コネクタの断面図、図３は図１の光コネクタが備えるベース部材であって、（Ａ）は平面図であり、（Ｂ）は側面図である。

図１および図２に示すように、本実施形態の光接続部材である光コネクタ１は、作業現場において被覆付き光ファイバ２０に装着することのできる光コネクタであり、光コネクタ１の先端側（図１において左端側）にはガラスファイバ挿入穴４２を有する接続部としてのフェルール４０が設けられている。フェルール４０の後端部（図１において右端部）には、光コネクタ１の内部への光ファイバ２０の挿入力により光ファイバ２０の端部から被覆２４を除去する被覆除去部１０が設けられている。また、光コネクタ１の後部には、ガラスファイバ挿入穴４２に挿入された光ファイバ２０を固定する固定部３０が設けられており、この固定部３０と被覆除去部１０との間には、光ファイバ２０を撓ませた状態で収容可能な撓み空間１６が設けられている。そして、撓み空間１６には、撓み空間１６における光ファイバ２０の挿入方向の一部を遮断して光ファイバ２０の撓みを部分的に防止する撓み防止部材７０が挿入されて着脱可能に設けられている。

図３に示すように、光コネクタ１のベース部材６０は例えば全体矩形角柱形状をしており、中央部から後部（図３中右側部）にかけて、上半分（図３（Ｂ）中上半分）が平面状に切り欠かれて中間面６１が形成されている。中間面６１の幅方向中央には、光ファイバ２０の挿入方向に沿って、被覆付きの光ファイバ２０の位置決めを行うガイド溝であるＶ溝６５が形成されている。また、中間面６１には、上方から、固定部３０の蓋３１及び撓み空間１６を形成するための蓋部材５０が取り付けられる。

一方、ベース部材６０の前端部（図３中左端部）には、ベース部材６０の前端面６０ａから中央に向かってフェルール取り付け穴６２が形成されており、このフェルール取り付け穴６２の上側には、ベース部材６０の上面に開口する切欠き６２ａが設けられている。また、フェルール取り付け穴６２の中央側（図３において右側）には、被覆除去用空間６３を介してガイドキャピラリ１７が内蔵されており、ガイドキャピラリ１７と中間面６１との間には、空間６４が設けられている。

図４はフェルールの斜視図、図５（Ａ）はフェルールの断面図、図５（Ｂ）は（Ａ）中Ｂ−Ｂ位置の断面図、図５（Ｃ）は（Ａ）中Ｃ−Ｃ位置の断面図である。
図４および図５に示すように、フェルール４０は略円柱形状の部材であり、中心に軸方向に沿って、内径Ｄ１（図６参照）がガラスファイバ２１の外径ｄ３より僅かに大きいガラスファイバ挿入穴４２が設けられている。ガラスファイバ挿入穴４２の先端側には、光部材としての短尺光ファイバ４１が設けられている。

また、フェルール４０の後部付近には切欠き４３が設けられており、ガラスファイバ挿入穴４２が露出しているが、切欠き４３におけるガラスファイバ挿入穴４２は、図５（Ｃ）に示すように、短尺光ファイバ４１及びガラスファイバ２１の少なくとも半分を覆う大きさ（断面Ｃ字形状）とする。この切欠き４３は、フェルール４０をベース部材６０のフェルール取り付け穴６２に嵌めた際に、ベース部材６０に設けられている切欠き６２ａの下方に位置するため、ガラスファイバ挿入穴４２は切欠き４３，６２ａを介して外部から視認することができる。また、図５に示すように、光部材である短尺光ファイバ４１は、被覆のないガラスファイバであり、フェルール４０の先端面４０ａに前端面４１ａを合わせるとともに、後端面が切欠き４３において露出するように、ガラスファイバ挿入穴４２に挿入されて、接着剤で固定されている。

すなわち、短尺光ファイバ４１とガラスファイバ２１との突き合わせ接続面が切欠き４３及び切欠き６２ａに露出することになるので、接続面に屈折率整合材４４を容易に入れることができる。これにより、接続面における伝送光の低損失及び低反射を図っている。また、ガラスファイバ２１をガラスファイバ挿入穴４２に挿入して短尺光ファイバ４１に押し付ける際に、切欠き４３，６２ａから空気を逃がすことができるので、空気を圧縮する抵抗を生じず、円滑に接続を行うことができる。なお、図１に示すように、フェルール４０はベース部材６０の前端のフェルール取り付け穴６２に取り付けられており、フェルール４０及びベース部材６０の前部は、前部ハウジング１５ａに収容されることになる。

図６は被覆除去部の拡大断面図である。
図６に示すように、フェルール４０の後端面４０ｂにおけるガラスファイバ挿入穴４２の挿入口４２ａが、被覆除去部１０として構成されている。この被覆除去部１０は、ガラスファイバ２１の外周に被覆２４を有する光ファイバ２０の、端面２０ａにおける被覆２４の端面２４ａを押し付けることにより、ガラスファイバ２１から被覆２４を剥離させて除去するものである。

光ファイバ２０は、例えば、中心に外径ｄ３＝１２５μｍのガラスファイバ２１を有し、その外周を覆うように外径ｄ１＝２５０μｍの被覆２４が設けられている。ガラスファイバ２１は、コアと１層以上のクラッドを有するガラスファイバであり、シングルモードファイバやマルチモードファイバ等、如何なる屈折率分布を有するガラスファイバも適用可能である。

また、図６においては、被覆２４は、その最内層に設けられてガラスファイバ２１に接する外径ｄ２の第１被覆層２２と、第１被覆層２２の外側を覆う外被である第２被覆層２３とを有しているが、これに限らず、１層あるいは２層以上の構成であっても良い。また、その最外層に着色層が設けられていても良い。
なお、被覆２４を構成する樹脂は、ウレタンアクリレート等の紫外線硬化型樹脂であり、添加物により適宜弾性率等の物性が設定されている。例えば、ガラスファイバ２１に接する第１被覆層２２は、第２被覆層２３より低い弾性率（すなわち軟質）とすることが好ましい。

ガラスファイバ挿入穴４２は例えば丸穴、四角穴、正多角形穴の他、Ｖ溝形状の空間とすることが可能であるが、ここでは、丸穴の場合を好適な例として説明する。丸穴であると、光ファイバ２０の周方向に均一に力が作用しやすく、被覆除去性が良好である。ガラスファイバ挿入穴４２の内径Ｄ１は、光ファイバ２０のガラスファイバ２１の外径ｄ３よりも大きく、被覆２４の外径（すなわち光ファイバ２０の外径）ｄ１よりも小さい。これにより、光ファイバ２０の端面２０ａをフェルール４０のガラスファイバ挿入穴４２の周囲に押し付けると、ガラスファイバ挿入穴４２の挿入口４２ａの先端部４２ｂは被覆２４の端面２４ａに当接するとともに、ガラスファイバ２１には当接しないことになる。

また、ガラスファイバ挿入穴４２の先端部４２ｂの内径は、被覆２４を構成する第１被覆層２２の外径ｄ２よりも小さく、ガラスファイバ２１の外径ｄ３よりも大きいことが望ましい。これにより、光ファイバ２０の端面２０ａをガラスファイバ挿入穴４２の周囲に押し付けた際に、先端部４２ｂが第１被覆層２２に当接し、第１被覆層２２に対してガラスファイバ２１から剥離させる力を直接作用させることができ、除去性が良好となる。そして、光ファイバ２０の端面をフェルール４０の挿入口４２ａの周囲に押し付けると、被覆２４の端面２４ａに当接するとともに、ガラスファイバ２１には当接しないことになり、ガラスファイバ２１のみがガラスファイバ挿入穴４２に挿入されることになる。

このような構成により、ガラスファイバ２１をフェルール４０に挿入する際に、同時に被覆２４を除去することができるので、現場での作業が簡易になる。なお、図６に示すフェルール４０の後端面４０ｂは、被覆除去を容易にすると共に剥がされた被覆２４が外側へ移動しやすいように、傾斜させている。

図１に示すように、被覆除去部１０と撓み空間１６との間には、光ファイバ２０の径方向への移動を規制するガイドキャピラリ１７が設けられている。ガイドキャピラリ１７には、被覆２４付の光ファイバ２０の外径よりも僅かに大きい内径を有する位置決め穴１７ａが設けられており、撓んでいる光ファイバ２０をパスライン上に位置決めするとともに、光ファイバ２０の先端を正確に被覆除去部１０に導くことができるようになっている。なお、ガイドキャピラリ１７の先端面１７ｂと被覆除去部１０であるフェルール４０の後端面４０ｂとの距離（すなわち、空間６３の長さ）は、短い（例えば、０．５ｍｍ〜１．０ｍｍ程度）方がガラスファイバ２１を正確にフェルール４０のガラスファイバ挿入穴４２に導くことができるが、空間６３は除去された被覆２４を収容することができる大きさを確保する必要がある。

また、図１〜図３に示すように、固定部３０はベース部材６０の後部に設けられている。固定部３０は蓋３１を有しており、蓋３１を固定部クランパ３２によってベース部材６０の中間面６１に押し付けることにより光ファイバ２０を固定する。ベース部材６０における固定部３０に対応する位置にも、前記Ｖ溝６５が同様に設けられており、光ファイバ２０は蓋３１で押さえられて所定の位置（パスライン）に固定される。光ファイバ２０を挿入する時には、中間面６１と蓋３１との間に板状部材７０ａを挿入しておくことで、中間面６１と蓋３１との間の挿通路のスペースが確保される。なお、固定部３０及びベース部材６０の後部は、後部ハウジング１５ｂに収容される。

図１及び図２に示すように、固定部３０と被覆除去部１０との間には、光ファイバ２０を撓ませた状態で収容可能な撓み空間１６を有する蓋部材５０が設けられている。すなわち、フェルール４０に挿入したガラスファイバ２１の後方で被覆２４を有する部分の光ファイバ２０を撓み空間１６で撓ませた状態で収容するとともに、固定部３０において光ファイバ２０を固定することにより、フェルール４０のガラスファイバ挿入穴４２に挿入されたガラスファイバ２１の先端面に、フェルール４０に内蔵されている短尺光ファイバ４１の接続面に向かう弾性付勢力が付与される。したがって、短尺光ファイバ４１と光ファイバ２０の接続状態が安定して維持される。

図７（Ａ）は撓み空間を形成する蓋部材の斜視図、図７（Ｂ）は（Ａ）中Ｂ−Ｂ位置の断面図、図８（Ａ）は撓み防止部材の平面図、図８（Ｂ）は（Ａ）中Ｂ方向から見た側面図である。
撓み空間１６は、ベース部材６０を切り欠いて形成された中間面６１に、図７（Ａ）に示すような蓋部材５０を取り付けて形成することができる。蓋部材５０は全体略直方体形状のブロック部材であり、下面中央部から上方へ向かう凹部５１がベース部材６０の長手方向に沿って形成されており、挿通されている光ファイバ２０が上方へ撓むことができるように山型の撓み空間１６を形成している。図７（Ｂ）に示すように、撓み空間１６を形成する凹部５１は、前後両端部では高さが低く、中央部で高くなっている。蓋部材５０は、装着完了時には、クランパ５３によってベース部材６０と共に挟まれて固定される。

なお、図２に示すように、被覆除去時には、蓋部材５０とベース部材６０の中間面６１との間には、撓み空間１６における光ファイバ２０の挿入方向の一部を遮断して光ファイバ２０の撓みを部分的に防止する撓み防止部材７０が挿入されている。図８に示すように、撓み防止部材７０は、全体コ字状をした板状部材であり、中央部に解放部７１が切り欠かれている。また、撓み防止部材７０の挿入方向先端には傾斜面７２が設けられており、蓋部材５０と中間面６１との間に挿入しやすくなっている。

図２に示すように、撓み防止部材７０を蓋部材５０と中間面６１との間に挿入すると、蓋部材５０の光ファイバ挿入方向前部および後部においてはＶ溝６５の上を蓋した状態となり、光ファイバ２０が上方に撓むのを防止することになる。また、図２に示すように、撓み防止部材７０の光ファイバ挿入方向中間部においては、Ｖ溝６５の上に長さＬ１の解放部７１が位置するため、光ファイバ２０は上方へ所定量撓んで予備撓み２０ｂが形成され得るようになっている。また、光ファイバ２０の挿入時には光ファイバ２０はホルダ６６により保持されており、ホルダ６６とベース部材６０との間隔Ｌ２が、被覆除去時に光ファイバ２０を押し込む長さとなっている。なお、Ｌ１＞Ｌ２となるようにＬ１およびＬ２を設定することが望ましい。

光ファイバ２０の先端が被覆除去部１０に当接した状態で被覆除去前の光ファイバ２０の余裕長さ（撓み長）Ｌを、Ｌ＝Ｌ１＋Ｌ２とすると、撓み空間１６においてＶ溝６５を完全に蓋して、ホルダ６６の移動量（すなわち屈曲長）をＬとした場合には、光コネクタ１の後端で長さＬの光ファイバ２０が屈曲する。一方、光ファイバ２０を撓み空間１６において長さＬ１の予備撓みを予め設定して、ホルダ６６の移動量Ｌ２を被覆除去に必要な長さに設定することにより、被覆除去時に押し込む際の光ファイバ２０の長さはＬ２となる。このため、図９に示すように、光ファイバ２０の撓み長が小さくなる（Ｌ→Ｌ１）と、屈曲強度が大きくなって被覆除去のために光ファイバ２０の先端を挿入する力が大きくなるため、被覆２４の除去をより確実に行うことができる。

次に、被覆付きの光ファイバ２０に光コネクタ１を装着する光接続部材の装着方法について説明する。
図１０（Ａ）〜（Ｃ）は光ファイバに光コネクタを装着する工程を示す説明図であり、側面から見た断面図および上方から見た平面図を示している。
図１０（Ａ）に示すように、まず、蓋部材５０をクランパ５３でクランプした後、蓋部材５０とベース部材６０の中間面６１との間に撓み防止部材７０を挿入する。これにより、蓋部材５０の前後部においては、凹部５１とＶ溝６５との間が遮断される（すなわち、Ｖ溝６５の一部が蓋される）ことになり、光ファイバ２０を挿入する挿入路７３（図２参照）が形成されることになる。また、固定部３０においても同様に、板状部材７０ａを蓋３１と中間面６１との間に挿入して、光ファイバ２０の挿入路を確保する。

図１０（Ｂ）に示すように、この状態でホルダ６６に保持された光ファイバ２０を後端面からＶ溝６５に挿入し、光ファイバ２０をガイドキャピラリ１７に挿入して径方向の位置決めをすると共に、光ファイバ２０の先端面を、フェルール４０の後端面４０ｂの被覆除去部１０に押し付ける。このとき、光ファイバ２０は撓み防止部材７０の中央に設けられている解放部７１においてのみ撓むことができるので、光ファイバ２０は解放部７１において上方へ撓んで予備撓み２０ｂを形成しながら先端面が被覆除去部１０に押し付けられることになる。光ファイバ２０を被覆除去部１０に押し付けると、被覆２４が剥がされて、ガラスファイバ２１のみがフェルール４０のガラスファイバ挿入穴４２に挿入されると共に、剥がされた被覆２４は空間６３に収容される。これにより、光ファイバ２０の先端から被覆２４を除去しながら、ガラスファイバ２１をフェルール４０のガラスファイバ挿入穴４２に挿入して、ガラスファイバ２１の先端面をフェルール４０に内蔵されている短尺光ファイバ４１の後端面に押し付ける。

その後、図１０（Ｃ）に示すように、撓み防止部材７０を引き抜いて蓋部材５０の凹部５１を解放し、光ファイバ２０を撓み空間１６における光ファイバ２０の挿入方向全域にわたって撓ませて本撓み２０ｃを形成する。この状態で、固定部３０の板状部材７０ａを引き抜いて蓋３１とベース部材６０とを固定部クランパ３２でクランプして固定する。

なお、蓋部材５０と固定部３０の蓋３１が一体の構成であると、撓み空間１６内に撓み部２０ｃが形成されるのと同時に、固定部３０において光ファイバ２０を固定することができる。その場合、撓み防止部材７０が板状部材７０ａを一体的に形成されていると良い。

以上説明した光接続部材およびその装着方法によれば、ガラスファイバ２１の外周に被覆２４を備えた光ファイバ２０に光コネクタ１を装着する際に、光ファイバ２０をベース部材６０に挿入して、光ファイバ２０の端面を被覆除去部１０に押し付けることにより、光ファイバ２０の挿入力により容易に被覆２４を除去してガラスファイバ２１をフェルール４０のガラスファイバ挿入穴４２に挿入することができる。このため、被覆付きの光ファイバ２０を、特に光コネクタ１への挿入前に被覆除去作業を行うことなく、フェルール４０に内蔵されている短尺光ファイバ４１に容易に接続することができる。また、被覆付きの光ファイバ２０をガラスファイバ２１の外周面を基準として位置決めすることができるので、高精度の位置決めを容易に行うことができる。

また、光ファイバ２０を挿入する際に撓み空間１６に撓み防止部材７０を挿入しておき撓み空間１６の一部を遮蔽することで、被覆除去時に形成される予備撓み２０ｂが形成される長さを短くしている。すなわち、撓み空間１６内に長さＬ１の予備撓み２０ｂを形成して光コネクタ１の後端部に被覆除去の際に必要な移動量である被覆除去長さＬ２を設けることで、被覆除去時の光ファイバ２０の大きな屈曲を防止しながら強い押圧力で光ファイバ２０の端部を被覆除去部１０に押し付けることができ、確実に被覆２４を除去することができる。

なお、被覆除去後は、撓み防止部材７０を除去して撓み空間１６において光ファイバ２０を撓ませ（本撓み２０ｃ）、固定部で光ファイバ２０を固定することにより、ガラスファイバ２１の先端を所定の押圧力で内蔵されている短尺ファイバ４１等に押圧するので、確実に光ファイバ２０を接続することができる。

次に、本発明に係る光接続部材である光コネクタの他の形態例について説明する。
図１１は光コネクタの他の実施形態例を示す断面図である。なお、前述した実施形態にかかる光コネクタ１と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。

図１１に示すように、この光コネクタ１Ｂは、光部材である薄膜１８を、少なくともガラスファイバ挿入穴４２の端部を覆うように、フェルール４０の先端面に設けたものである。薄膜１８は、光ファイバ２０のコアと同等の屈折率で光を透過する略シート状の保護状部材であり、ガラスファイバ挿入穴４２を覆って貼着されている。また、薄膜１８は、例えば厚さが５〜３０μｍのシート状で、外側面１８ａは粘着性がなく、ゴミ等が付着し難くなっている。
したがって、フェルール４０のガラスファイバ挿入穴４２に、予めガラスファイバ（短尺光ファイバ４１）を設ける必要がない。また、フェルール４０に切欠き４３を設ける必要もない。
このような構成によっても、前述した実施形態の光コネクタ１と同様の効果を得ることができる。

本発明の実施形態にかかる光接続部材であるコネクタの装着後の断面図である。 被覆除去時の光コネクタの断面図である。 図１の光コネクタが備えるベース部材であって、（Ａ）は平面図であり、（Ｂ）は側面図である。 フェルールの斜視図である。 （Ａ）はフェルールの断面図、（Ｂ）は（Ａ）中Ｂ−Ｂ位置の断面図、（Ｃ）は（Ａ）中Ｃ−Ｃ位置の断面図である。 被覆除去部の拡大断面図である。 （Ａ）は撓み空間を形成する蓋部材の斜視図、（Ｂ）は（Ａ）中Ｂ−Ｂ位置の断面図である。 （Ａ）は撓み防止部材の平面図、（Ｂ）は（Ａ）中Ｂ方向から見た側面図である。 屈曲長と屈曲荷重との関係を示す表である。 （Ａ）〜（Ｃ）は本発明にかかる光接続部材の装着方法を示す工程図である。 本発明に係る光接続部材の別の実施形態を示す断面図である。 従来の光コネクタの例を示す断面図である。

符号の説明

１ 光接続部材
１０ 被覆除去部
１６ 撓み空間
２０ 光ファイバ
２１ ガラスファイバ
２４ 被覆
３０ 固定部
４０ フェルール（接続部）
４２ ガラスファイバ挿入穴
６５ Ｖ溝（ガイド溝）
７０ 撓み防止部材
７１ 解放部
７３ 挿入路

Claims (4)

1. ガラスファイバの外周に被覆を備えた光ファイバに装着される光接続部材であって、
   ガラスファイバ挿入穴を有する接続部と、
   前記ガラスファイバ挿入穴に挿入された前記光ファイバを固定する固定部と、
   当該光接続部材の内部への前記光ファイバの挿入力により前記光ファイバの端部から前記被覆を除去する被覆除去部と、
   前記固定部と前記被覆除去部との間に設けられ、前記光ファイバを撓ませた状態で収容可能な撓み空間と、を備え、
   前記撓み空間における前記光ファイバの挿入方向の一部を遮断して前記光ファイバの撓みを部分的に防止する撓み防止部材が着脱可能であることを特徴とする光接続部材。
2. 請求項１に記載の光接続部材であって、
   前記撓み防止部材が、前記撓み空間に設けられ前記光ファイバを挿通させるガイド溝を蓋するものであることを特徴とする光接続部材。
3. 請求項２に記載の光接続部材であって、
   前記撓み防止部材には、前記撓み空間に挿入された前記光ファイバの撓みを許容する解放部が前記光ファイバの挿入方向中間部に設けられていることを特徴とする光接続部材。
4. 請求項１〜３の何れか一項に記載の光接続部材を光ファイバに装着する光接続部材の装着方法であって、
   前記撓み空間を前記撓み防止部材により一部遮蔽した状態で前記光ファイバの挿入路を形成しておき、
   前記光ファイバを前記光接続部材の前記挿入路に挿入し、
   挿入された前記光ファイバの先端を前記被覆除去部に押し付けて前記光ファイバをさらに押し込み、前記撓み空間における前記光ファイバの挿入方向の一部において前記光ファイバを撓ませるとともに前記被覆除去部において前記光ファイバの先端の被覆を除去して前記ガラスファイバを前記ガラスファイバ挿入穴に挿入し、
   前記撓み防止部材を前記撓み空間から脱出させて前記撓み空間における前記光ファイバの挿入方向全域で前記光ファイバを撓ませて、前記固定部により前記光ファイバを固定することを特徴とする光接続部材の装着方法。

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