JP4713027B2 - シートキャリアと該シートキャリアに配置された安全ベルトのバックルとを備えた車両用シート - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートキャリアと、このシートキャリアの上に配された安全ベルトのバックルと、扇形歯車を備えた垂直方向に調節可能な下部フレームと、を備えた車両用シートに関し、さらに詳しくは、シートキャリアが、前記扇形歯車と協働するように、かつ、通常の状況下で当該扇形歯車から離間した静止位置にあるように構成された係合部材を備え、前記バックルが、係合部材と協働するように連結された張力手段の上端に連結され、事故状態の際には係合部材が扇形歯車と係合するようになっているものに関する。
【０００２】
【従来の技術】
この型の車両用シートはＤＥ１９７４００４３Ａを前提とする。
【０００３】
この型の車両用シートの利点は、バックルが直接シートキャリア上に配置されていることにある。車両用シートの高さを調節をした時、このバックルは使用者に対する位置を維持する。従って、使用者は調節に関係なく常に同じ位置にバックルを見出すことができる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
垂直方向に調節可能な車両用シートのシートキャリア上に配置されたバックルには、その車両用シートが設置された車両が事故に巻き込まれると、非常に高い引張荷重がバックルから車両の下部フレームに伝達されるという問題がある。従来技術によると扇形歯車と係合部材とが噛合（mesh）するが、その噛合は事故状況においてのみ起こる。一旦係合すると、バックルは引張りに抵抗するように下部フレームに連結される。その連結は、張力手段、扇形歯車、係合部材と、さらに１組の長手方向調節装置のレールを介し、車両の下部フレームへ至る。通常の運転状況では係合は起こらず、衝突や他の障害がなければ垂直方向に調節できるようになっており、上述のように力をそらす。
【０００５】
このような背景でのこの車両用シートが設置された車両の事故の状況とは、加速が急速であるためエアバッグの制御スイッチが反応する状況をいう。
【０００６】
周知の車両用シートでは、事故状況においてのみ発生する、充分な強さの引張り負荷が積極的にバックルにかかり上述の係合をもたらす。張力手段は係合のために若干の距離の移動を必要とする。この移動距離は乗客を減速及び制止するために費やされる。さらに、通常の状況では、安全ベルトは、事故の際に使用者を制止及び減速するために望ましいきつさで使用者に装着されているわけではない。
【０００７】
駆動シリンダを備えるベルト締め具と呼ばれるものを利用することは周知のことであり、それは事故の際に制御スイッチによりトリガされ、使用者が慣性により実際に安全ベルトに負荷をかける前に反応する。しかし、この周知の解決法には、バックルの位置がシートキャリアではなく下部フレームに関連しているという不都合がある。そのバックルの位置は垂直方向の調節によって変わる。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
ここから本発明を始める。本発明の目的は、事故状況の下で、車両用シートに対して使用者が移動する前にすでに係合が生じて、シートキャリアに対するバックルの位置決めを維持するとともに、安全ベルトの遊びを減ずるためにさらに締めることができるように上述した型の車両用シートを改良することである。
【０００９】
上述した型の車両用シートに鑑み、この目的を解決するため、駆動シリンダを有する締め具を備えたベルトを設け、張力手段の下部が側部材の略長手方向になるように張力手段をその方向の偏向点で偏向し、張力手段の他端を駆動シリンダに配置し、締め具用保持手段を側部材に設ける。
【００１０】
そのため、本発明によると、駆動シリンダを備えた締め具を用い、バックル締め具あるいはベルトバックル締め具としても説明する。他の先行公開による原理において分かるように、事故状況の初期段階で締め具を利用してバックルを即座に下方向に引っぱることにより、安全ベルトを締めて、その後に起こる車両用シートに対する使用者の相対的な動きをより好適に吸収することができるようになっている。
【００１１】
本発明によれば、ここで駆動シリンダの張力を利用して扇形歯車と係合部材を噛合させる。
【００１２】
従って、特に本発明の利点は、バックル締め具をトリガすることにより、ベルトを締めるだけでなく扇形歯車と係合部材との確実な係合をももたらすことである。たとえこの係合のために、ベルトバックルの狭い範囲の移動あるいはベルトバックル締め具の若干の枢動（pivoting movement）が必要であっても、それぞれ、ベルトは締まるために充分な移動距離を有し、またバックル締め具はその長さ分移動できるようになっている。
【００１３】
偏向のために、張力手段は、具体的にはスチールケーブルとして作られ、バックルと偏向点との間に延びる上部と、偏向点と駆動シリンダとの間に延びる下部とを有する。これらの２つの部分は相対的に角度をなし、一般的にはＶ字型に配置されている。駆動シリンダをトリガすると、張力手段が偏向点に対して移動する。バックルは下方に引っ張られる。これらの動き、あるいはこれらの動きを生じさせる力あるいは反力をここで利用して係合部材と扇形歯車とを係合させる。本発明の範囲においていくつかの可能性があり、以下にその一部について説明するが、それで全てを含むという主張にはあたらない。
【００１４】
第１に、スイベルジョイントを中心に所定の傾斜動作が可能であるように、バックル締め具を側部材上のスイベルジョイント内で駆動シリンダと一体に固定することが可能である。好ましい偏向の角度範囲は、６０°から１８０°、さらに具体的には９０°から１３５°である。そのバックル締め具はボルトにより固定されている。張力手段の偏向はこのボルトにおいて生じる。通常の運転では、バックル締め具はボルトを中心に枢動することができないように固定されている。駆動シリンダをトリガすると、発生する力が強いため、バックル締め具がボルトを中心に枢動する。この枢動を利用して係合部材と扇形歯車とを噛合させる。このため、係合部材は、例えばバックル締め具自体に取り付けられて一体に枢動するようになっている。この枢動を係合に利用する。
【００１５】
第２に、駆動シリンダはバックル締め具の他の部分、具体的には変形可能な保持装置としての偏向筐体に連結することが可能である。作動に先立って、まず駆動シリンダがより長い距離偏向筐体から離間され、保持装置としてのその筐体に支持される。保持装置は反力を伝える。駆動シリンダをトリガするとともに、張力手段内で従ってベルト内で、充分かつ乗客に対してベルトが締まる場合のみ感じる張力に対して抵抗がかかる際のみ、駆動シリンダがバックル締め具の筐体に近づくように保持装置が変形する。この動きを利用して係合部材と扇形歯車を移動させて噛合させる。
【００１６】
第３に、係合部材上で偏向を生じさせることも可能である。駆動シリンダが始動すると、その結果張力手段内で牽引が生じ、ここで係合部材がなす偏向点において強い力が生じる。それで係合部材が動き、例えば、枢動して扇形歯車が係合する。
【００１７】
第４に、下部あるいは上部を少なくとも若干偏向する箇所の偏向点の近くに係合部材を設けることが可能である。駆動シリンダの作動により張力手段に張力が発生すると、係合部材に力がかかる。
【００１８】
第５に、偏向点において駆動シリンダの作動により発生する回転を利用して係合部材を移動させ、扇形歯車と噛合させることができる。張力手段は、例えば偏向点において回転可能なボルトを取り囲んでいる。その回転可能なボルトは係合部材に回転可能に連結されている。他の形状では、回転可能なボルトは係合部材の止め部に当接（abut）する突出部を有する。回転可能なボルトが回転すると同時に、係合部材が枢動して係合位置になる。
【００１９】
これまでに取り上げた選択肢は全て、扇形歯車を、ほぼ静止状態の係合部材に対して移動させることにより、機械的に逆転した状態で実施することもできる。
【００２０】
好ましい開発において、扇形歯車は下部フレームのシートレールにヒンジ結合されている(hinged)湾曲した刀部に設けられている。そのヒンジにより扇形歯車は、シートキャリアの高さを調節する際に、通常の状況では係合部材と噛合する動きはしないような位置を取る。
【００２１】
他の好適な実施形態において、下部フレームが後部旋回支柱（rear swivelling prop）を有し、そこにシートキャリアが軸を中心に枢動するようにヒンジ結合されている。扇形歯車はその軸を中心に同心状の軌道を描くとともに、旋回支柱に回転不能に連結されている。この実施形態の利点は、扇形歯車が、シートキャリア上に配置された係合部材と常に同じ間隔を保っていることである。その結果、扇形歯車は正常位置を探して位置する、という必要がない。
【００２２】
好適な一実施形態において、係合部材はさらに、例えば弾性手段あるいは破壊可能手段として作られた位置決め手段を介してシートキャリアに連結されている。この位置決め手段は事故の際に打ち負かされる。位置決め手段は静止位置にある係合部材を維持する役目をする。事故の状況では、位置決め手段が打ち負かされるため係合部材は動くことが可能で、例えばヒンジジョイントを中心に枢動して扇形歯車に確実に係合するようになっている。位置決め手段は、例えば剪断ピンであってもよく、バックル締め具をトリガし、その結果係合部材に働く力を放つと破壊される。位置決め手段は止め具に対抗して係合部材を引っ張るバネでもよく、係合部材を通常の位置に維持するが、バックル締め具をトリガすると打ち負かされる。また他の形状も可能である。
【００２３】
特に好適な一実施形態において、車両用シートはシートの一方側に、そのシートの同側の旋回支柱の角度調節用ロック装置を有し、シートの反対側に上述の係合部材と扇形歯車とを配列している。つまり、これまで説明した旋回支柱はシートの一方側に配置され、さらに具体的にはシートのトンネル側に配置されている。シートの他方側にもう１つの旋回支柱が設けられている。この２つの旋回支柱は横棒により回転不能に互いに連結されている。この２つの旋回支柱の角度調節用ロック装置はシートの他方側のみに設けられている。そのため、シートの一方側から他方側にそのロックを伝える必要がなくなる一方、他方では係合部材と扇形歯車とからなる上述の安全装置に対して充分な空間が得られる。
【００２４】
バックル締め具をトリガした際生じる反力を吸収するために、シートキャリアにバックル締め具の筐体をしっかり固定できることは利点である。バックル締め具の筐体は、係合部材の動きを妨げることなく好適にヒンジジョイントに支持されている。しかし、ヒンジジョイントを中心に一定の範囲は動いてもよい。締め具用保持手段がその締め具の枢動を限定する。
【００２５】
本発明のさらなる利点と特徴とは、他の請求項及び本発明の具体的な各実施形態に関する下記の説明の中で明らかにされるが、本発明の範囲を限定するものではない。説明は図面に基づいて行う。
【００２６】
図１は、車両用シートのシートキャリアを備えたシート下部フレームの斜視図である。図２は、図１に示す車両用シートの下部フレームの一方側とシートキャリアの対応側のみを図示する斜視図である。図３は、図１に示す車両用シートの後部ヘッジの斜視図である。図４は、図３に示す車両用シートのバックルを含む締め具を省略した斜視図である。図５は、シートキャリアの対応部分を伴う下部フレームの右側斜め後方からの斜視図である。図６は、係合部材と偏向状態の扇形歯車との間の係合領域の正面図である。図７は、図６と同様に，係合部材の枢動により係合がなされた正面図である。
【００２７】
図１及び図２は第１の具体的な実施形態を構成している。これらの２つの図の各実施形態は構造上の細部では相違しているが、発明上の特徴はある程度一致しており、共に説明し論じるに適切である。
【００２８】
図１に示した車両用シートの下部フレームは、高さ調節が可能である。それぞれ１つのシートレール２２を備える２対の長手方向調節装置２０は、横棒２７（訂正しました）により連結されている前部旋回支柱２４及び、回転管２８により回転不能に互いに連結されている後部旋回支柱２６を介してシートキャリアにヒンジ結合されている。前記シートキャリアは、２つの側部材３０とシートの前縁部材３４をも限定する１つのＵ字型接続部材３２とを有する。高さ調節は、小歯車を駆動する歯車を有する電気モータ３６により周知の方法でなされる。該小歯車は、さらに説明するシート右側の扇形歯車３８と同様な形状の扇形歯車と係合する。
【００２９】
この扇形歯車３８は回転管２８の軸４０と同心に配置されている。その扇形歯車３８は後部右手側旋回支柱２６の長孔の縁部に設けられ、その縁部は軸４０に向いている。その結果、扇形歯車３８が環状に囲繞されうるとともに、図２により詳細に示される係合部材４２で取り囲んで示されている。係合部材は２つの側部材から概ね構成され、それらは同じ設計原理に基づく略長円形である。２つの側部材の間隔があいているため、扇形歯車３８はその間で枢動自在である。その２つの側部材は、後部右手側旋回支柱の長孔の領域において、右側部材３０の長孔４４から突出するボルト４６により連結されているので、右側部材３０の外側から接近可能である。図３乃至図５による実施形態のように、ボルト４６は、例えば後述する図３乃至図５の例に見られるように、締め具に連結されている。
【００３０】
さらに、係合部材４２の２つの側部材はヒンジボルト４９により側部材３０にヒンジ結合されている。そのため、係合部材４２は上記ボルトの軸を中心に枢動可能である。ロック手段４８が、この２つの側部材の間であって扇形歯車３８の近くに設けられている。このロック手段は扇形歯車３８の歯と噛合するようになっている。係合部材４２がボルト４６を中心にあるいはヒンジボルト４９を中心に枢動するとともに、その枢動角度がロック手段４８を扇形歯車３８と係合させるのに充分である場合に係合が起こる。
【００３１】
実際には、さらに説明する締め具を作動させると、その締め具が、そこに固定され一体に回転するようになっている係合部材４２と共にボルト４６を中心に回転することにより、係合部材４２及び扇形歯車３８が移動して噛合し、係合が起こる。これを図３乃至図５を参照しながら、さら詳しく説明する。
【００３２】
図３乃至図５による第２の具体的な実施形態において、扇形歯車３８は円弧状に湾曲した刀部に設けられ、内側の曲線上に配置されている。前記刀部はブラケットを介して右シートレール２２にヒンジ結合されており、その接合軸は軸４０に並行である。刀部はその自由端に突出部を有する。
【００３３】
上記刀部は、第１の具体的実施形態における係合部材と類似する形状である係合部材４２に完全に囲まれている。また、係合部材はボルト４６を中心に回転可能に側部材３０に支持されている。前記ボルト４６は締め具も支持している。ロック手段４８は、扇形歯車３８の近くに配置されたピンにより実現されている。係合部材４２がボルト４６の軸を中心に枢動すると、刀部の背面に圧力が加わるため、ロック手段４８が扇形歯車３８の歯と係合する。張力との関係はこのようになっている。
【００３４】
上記締め具について以下にさらに詳しく説明する。図３乃至図５に示した形状において、締め具は当該技術の状態に関する。この締め具は、電気的にトリガされた時に、ロープ状の張力手段５２（図３、６、７参照）に高い引張荷重を加える駆動シリンダ５０を有する。この引張りによりバックル５４が側部材３０に向かって下方に引っ張られる。駆動シリンダは、反力を伝える筐体５６に取り付けられている。前記筐体５６にはボルト４６用の穴が設けられ、張力手段５２はボルト４６回りに巻きつけられている。その巻きつけ角度はおよそ１２０°にまでなる。張力手段５２は筐体５６とバックル５４との間の可撓性鞘部５８内に収容されている。駆動シリンダ５０がトリガされると、この可撓性鞘部５８は変形して縮小する。
【００３５】
駆動シリンダ５０は、シートの前縁部材３４に向いている自由端が支持されている。前記端は側部材３０によって形成される静止領域６０の近くに位置している。他の実施形態では、前端の下方に止め具が設けられている。
【００３６】
駆動シリンダ５０がトリガされると、張力手段５２をボルト４６を中心にして駆動シリンダ５０に向けて引張り、その結果バックル５４が下方に移動する。バックル５４を備える締め具全体はボルト４６に取り付けられているだけなので、ボルト４６を中心に枢動可能である。しかし、通常の車両の運転ではそのような枢動は不可能であり、枢動が起こらないようにボルトがきつく締められている。他の実施形態では、通常位置に筐体５６を固定するとともに、事故の際には他の方法により剪断あるいは破壊される安全ピン６２が設けられている。
【００３７】
駆動シリンダ５０がトリガされると、締め具全体がボルト４６を中心に枢動し、図３乃至図５による図において時計回りに枢動する。この動きは、上記引張りがボルトの外側領域に作用しつつ締め具がボルト４６の軸を中心に枢動したためである。実際には、その引張りは回転軸の幾分下側に働くため上記の時計回りの旋回が発生する。
【００３８】
この枢動により係合部材４２及び扇形歯車３８が移動して互いに噛合する。その枢動を限定するために、側部材３０に支持領域６０あるいは適当な止め具が設けられている。その適当な止め具を筐体５６に配置することも可能である。重要な点は、締め具全体がボルト４６を中心に枢動できる最大角度が限定されていることである。
【００３９】
図６は係合部材４２と扇形歯車３８とを噛合させる他の実施形態を示す。また、側部材３０を示しており、回転管２８の軸を中心に枢動する後部旋回支柱２６を支持している。第１の具体的な実施形態と同様に、旋回支柱２６は湾曲した長孔の内側に設けられた扇形歯車３８を有する。また、扇形歯車３８は、断面図では複数部分で示される係合部材４２により囲まれている。その係合部材４２は、扇形歯車３８の歯に宛がわれるが通常は歯車と噛合していないロック手段４８を有する。係合部材４２は、ヒンジボルト４９を中心に枢動するように旋回支柱２６に支持されている。前述の具体的実施形態と同様に、張力手段５２は、図示しないバックル５４に続く上部と図示しない駆動シリンダ５０に続く下部とを有する。上部は、旋回支柱２６の外側に位置する対応包囲領域を有する係合部材４２に囲まれている。その領域において、上部は若干左側に偏向している。ここで張力手段４２（５２の間違い）において引張りが生じると、この偏向が補正され、係合部材４２は時計回りに枢動する。これにより係合が起こる。ヒンジボルト４９は張力手段５２の偏向点を構成している。なお、好ましい偏向の角度範囲は、６０°から１８０°、さらに具体的には９０°から１３５°である。
【００４０】
図７による実施形態はまた、図６に対応する部分を示しているが、ここでは扇形歯車３８が旋回支柱２６の外側縁に設けられている。係合部材４２はＵ字型に扇形歯車３８にまたがっている。また、係合部材４２はボルトを中心に枢動するように支持されているが、ここでは張力手段がボルトの周囲に直接ではなく、軸鞘の周囲に巻かれている。その軸鞘は回転不能に係合部材４２と連結されているとともに、ボルトに対して回転できるようになっている。
【００４１】
張力手段５２が引っ張られる時、張力手段は軸鞘を反時計回りに回転させるとともに係合部材４２が係合するまでその係合部材４２を引きずる。そして、張力手段５２が軸鞘上を移動する。これは前述の各実施形態においても起こるが、その場合、張力手段５２はボルト上を移動する。
【００４２】
図７は、係合部材４２を図示の位置に維持する安全ピン６２を示している。安全ピン６２は事故による引張りが生じた際に剪断されるように作られているため、係合部材４２は旋回して所定の位置につくことができる。
【００４３】
係合部材４２を通常位置に固定する他の可能性も考えられる。事故により負荷が発生する際に打ち負かされるバネによって固定してもよい。
【００４４】
本発明によれば、事故状況の下で、車両用シートに対して使用者が移動する前にすでに係合が生じて、シートキャリアに対するバックルの位置決めを維持するとともに、安全ベルトの遊びを減ずるためにさらに締めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 車両用シートのシートキャリアを備えたシート下部フレームの斜視図である。
【図２】 図１に示す車両用シートの下部フレームの一方側とシートキャリアの対応側のみを図示する斜視図である。
【図３】 図１に示す車両用シートの後部ヘッジの斜視図である。
【図４】 図３に示す車両用シートのバックルを含む締め具を省略した斜視図である。
【図５】 シートキャリアの対応部分を伴う下部フレームの右側斜め後方からの斜視図である。
【図６】 係合部材と偏向状態の扇形歯車との間の係合領域の正面図である。
【図７】 図６と同様に，係合部材の枢動により係合がなされた正面図である。
【符号の説明】
２０ 長手方向調節装置
２２ シートレール
２４ 旋回支柱
２６ 旋回支柱
２７ 横棒
２８ 回転管
３０ 側部材
３２ 接続部材
３４ 前縁部材
３６ 電気モータ
３８ 扇型歯車
４０ 軸
４２ 係合子
４４ 長孔
４６ ボルト
４８ ロック手段
４９ ヒンジボルト
５０ 駆動シリンダ
５２ 張力手段
５４ バックル
５６ 筐体
５８ 鞘
６０ 静止領域
６２ 安全ピン
７６ 加速検出器

Claims (15)

1. シートキャリアと、
   前記シートキャリアの上に配された安全ベルトのバックル（５４）と、
   扇形歯車（３８）を備えた垂直方向に調節可能な下部フレームと、を備え、
   前記シートキャリアが、前記扇形歯車（３８）と協働するように、かつ、通常の状況下で当該扇形歯車（３８）から離間した静止位置にあるように構成された係合部材（４２）を備え、
   前記バックル（５４）が、係合部材（４２）と協働するように連結された張力手段（５２）の上端に連結され、事故状況の下では係合部材（４２）が扇形歯車（３８）と係合するようになっている車両用シートにおいて、
   駆動シリンダ（５０）を有するベルト用締め具が設けられ、
   前記張力手段（５２）の下部が側部材（３０）の略長手方向に作用するように当該張力手段（５２）が、その方向の偏向点で偏向され、
   前記張力手段（５２）の他端が、前記駆動シリンダ（５０）に配され、
   締め具用保持手段が側部材（３０）上に設けられていることを特徴とする車両用シート。
2. 請求項１に記載の車両用シートにおいて、前記係合部材（４２）がさらに位置決め手段によりシートキャリアに連結されているとともに、位置決め手段が事故の際に打ち負かされることを特徴とする車両用シート。
3. 請求項１に記載の車両用シートにおいて、前記張力手段（５２）の下端から向きが変わる駆動シリンダ（５０）の後端が、前記側部材（３０）上の保持装置内に保持されていることを特徴とする車両用シート。
4. 請求項１に記載の車両用シートにおいて、前記締め具が、加速検出器（７６）を有する制御装置に連結されていることを特徴とする車両用シート。
5. 請求項１に記載の車両用シートにおいて、前記下部フレームがシートキャリアにヒンジ結合された旋回支柱（２４、２６）を有し、当該旋回支柱（２４、２６）がシートの一方側、さらに具体的にはシートのトンネル側に配置され、さらに当該旋回支柱（２４、２６）が車両用シートの他方側にも備えられ、当該２つの旋回支柱（２４、２６）が横棒（回転管２８）により回転不能に互いに連結され、シートの他方側のみに当該旋回支柱（２４、２６）の角度調節用にロック装置が設けられていることを特徴とする車両用シート。
6. 請求項１に記載の車両用シートにおいて、前記張力手段（５２）の作用方向の偏向が、係合部材（４２）のボルト（４６）あるいはヒンジボルト（４９）において生じることを特徴とする車両用シート。
7. 請求項１に記載の車両用シートにおいて、前記締め具が側部材（３０）に対して、軸支されるとともに前記締め具に連結されたボルト（４６）を中心にヒンジ結合されている筐体（５６）を有することを特徴とする車両用シート。
8. 請求項１に記載の車両用シートにおいて、締め具が係合部材（４２）に回転不能に連結されていることを特徴とする車両用シート。
9. 請求項１に記載の車両用シートにおいて、前記扇形歯車（３８）が、下部フレームに支持されている刀部に、刀部の軸を中心に枢動自在になっていることを特徴とする車両用シート。
10. 請求項１に記載の車両用シートにおいて、前記下部フレームが旋回支柱（２６）を有し、前記扇形歯車（３８）が軸（４０）と同心軌道を描き、その軸を中心に当該下部フレームの旋回支柱（２６）がシートキャリアに連結されていることを特徴とする車両用シート。
11. 請求項１に記載の車両用シートにおいて、前記係合部材（４２）がさらに弾性手段あるいは破壊可能手段（６２）によりシートキャリアに連結されているとともに、位置決め手段が事故の際に打ち負かされることを特徴とする車両用シート。
12. 請求項１に記載の車両用シートにおいて、前記張力手段（５２）の作用方向の偏向が、６０°から１８０°の角度範囲で、係合部材（４２）のボルト（４６）あるいはヒンジボルト（４９）において生じることを特徴とする車両用シート。
13. 請求項１に記載の車両用シートにおいて、前記張力手段（５２）の作用方向の偏向が、９０°から１３５°の角度範囲で、係合部材（４２）のボルト（４６）あるいはヒンジボルト（４９）において生じることを特徴とする車両用シート。
14. 請求項１に記載の車両用シートにおいて、前記扇形歯車（３８）が、下部フレームのシートレール（２２）に支持されている刀部に、刀部の軸を中心に枢動自在になっていることを特徴とする車両用シート。
15. 請求項１に記載の車両用シートにおいて、前記下部フレームが旋回支柱（２６）を有し、前記扇形歯車（３８）が当該旋回支柱（２６）と一体に構成されていることを特徴とする車両用シート。

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