上述したような、従来の前記現像剤電界搬送装置において、前記現像剤搬送部材にて、前記現像剤が均一に搬送されないことがあり得る。これは、当該現像剤電界搬送装置における前記ケーシング内にて、前記現像剤が劣化したり凝集したりした場合に顕著である。これらの劣化や凝集は、特に、前記現像剤が比較的長時間現像動作に供された場合に顕著に発生する。
例えば、前記現像剤が長時間繰り返し使用されると、当該現像剤の表面性状が初期のものから変化する(荷電制御剤や外添剤の剥がれ等)。このような現像剤の劣化により、当該現像剤において、帯電量が低下したり、所望の帯電極性と反対極性の帯電性を示す部分が生じたり、帯電量が過剰になったりすることがある。
このような劣化が生じた前記現像剤によっては、前記現像剤電界搬送装置による良好な電界搬送が行われ難い。また、このような劣化に伴って、前記現像剤の凝集が生じやすくなる。
上述のように、前記ケーシング内にて前記現像剤の劣化や凝集が発生した場合、前記現像剤搬送部材に対する前記現像剤の供給量にムラが生じる。すると、当該現像剤搬送部材上にて搬送される前記現像剤の量にもムラが生じ、形成された画像にも濃度ムラが生じる。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、進行波状の電界による現像剤の搬送・供給がより均一に行われ得る現像剤供給装置を提供することにある。また、本発明の目的は、このような現像剤供給装置を備えることで、現像剤による静電潜像の現像が良好に行われ得る現像装置を提供することにある。さらに、本発明の目的は、このような現像剤供給装置を備えることで、濃度ムラの発生が効果的に抑制され、良好な画像を形成可能な、画像形成装置を提供することにある。
本発明の現像剤供給装置は、現像剤を帯電した状態で所定の供給対象に供給し得るように構成されている。
本発明の画像形成装置は、前記供給対象としての現像剤担持体と、前記現像剤供給装置と、を備えている。前記現像剤担持体は、現像剤担持面を有していて、当該現像剤担持面が副走査方向に沿って移動し得るように構成されている。ここで、前記現像剤担持面は、前記副走査方向と直交する方向である主走査方向と平行な面であって、帯電した状態の前記現像剤が担持され得るようになっている。前記現像剤供給装置は、前記現像剤を、帯電した状態で前記副走査方向に沿って移動させつつ、前記現像剤担持体に対して供給し得るように構成されている。
本発明の現像装置は、前記現像剤供給装置と、前記現像剤担持体としての静電潜像担持体と、を備えている。この静電潜像担持体は、前記現像剤担持面としての潜像形成面を有している。前記潜像形成面は、電位分布による静電潜像が形成され得るように構成されている。
本発明の特徴は、前記現像剤供給装置が、第一収容部と、第二収容部と、第一搬送部と、第二搬送部と、を備えたことにある。
ここで、前記第一収容部及び前記第二収容部は、前記現像剤を収容するように構成されている。前記第二収容部は、前記第一収容部よりも前記現像剤の移動方向における下流側に設けられている。前記第一搬送部は、進行波状の電界により前記第一収容部から前記第二収容部へ前記現像剤を搬送するように構成されている。前記第二搬送部は、進行波状の電界により前記第二収容部から前記供給対象へ前記現像剤を搬送するように構成されている。
かかる構成においては、帯電した状態の前記現像剤が、前記第一搬送部による進行波状の電界の作用で、前記第一収容部から前記第二収容部へ搬送される。このようにして前記第二収容部に収容された前記現像剤が、前記第二搬送部による進行波状の電界の作用で、さらに前記供給対象へ搬送される。
すなわち、かかる構成においては、前記第一搬送部による進行波状の電界によって良好に搬送され得る前記現像剤が、前記供給対象へ供給される前記現像剤を収容するための前記第二収容部に収容される。よって、この第二収容部に収容された前記現像剤は、静電的画像形成プロセス(電子写真プロセス等)に良好に供され得るものとなる。
したがって、かかる構成によれば、進行波状の電界によって良好に搬送され得る前記現像剤が、良好に前記供給対象に供給される。これにより、進行波状の電界による現像剤の搬送・供給が、より均一に行われ得る。また、形成画像における濃度ムラの発生が効果的に抑制され、良好な画像が形成される。
・前記現像剤供給装置は、前記第一搬送部よりも前記第二搬送部の方が前記現像剤の搬送がより行いやすいように構成されていてもよい。前記第一搬送部と前記第二搬送部との搬送性の違いは、例えば、機械的構成(傾斜等)、及び/又は電気的構成(印加電圧、周波数等)によって設定され得る。
具体的には、前記現像剤供給装置は、以下のように構成され得る:前記第一搬送部は、第一の傾斜面を備えている。この第一の傾斜面は、前記移動方向に向かうにつれて上昇するように形成されている。この第一搬送部は、前記第一の傾斜面に沿って前記現像剤を搬送するように構成されている。前記第二搬送部は、第二の傾斜面を備えている。この第二の傾斜面は、前記移動方向に向かうにつれて上昇するように形成されている。この第二搬送部は、前記第二の傾斜面に沿って前記現像剤を搬送するように構成されている。ここで、前記第一の傾斜面は、前記第二の傾斜面よりも急峻な傾斜に形成されている。
かかる構成においては、進行波状の電界による搬送が前記第二搬送部よりも行われにくい前記第一搬送部によって搬送され得た前記現像剤が、前記第二収容部に収容され、前記第二搬送部によって前記供給対象へ搬送される。
かかる構成によれば、進行波状の電界による搬送が行われにくい前記現像剤(凝集したものや劣化したもの)、すなわち、前記プロセスに不適合な前記現像剤は、前記第一収容部に残留する。一方、前記電界によって良好に搬送され得る前記現像剤(流動性がよく、劣化や凝集が生じていないもの)、すなわち、前記プロセスに良好に供され得る前記現像剤は、前記第二収容部に収容されて、良好に画像形成に供される。
したがって、かかる構成によれば、進行波状の電界による現像剤の搬送・供給が、よりいっそう均一に行われ得る。また、形成画像における濃度ムラの発生がより効果的に抑制され、非常に良好な画像が形成される。
・前記現像剤供給装置には、エンプティセンサが設けられていてもよい。このエンプティセンサは、前記第二収容部内の前記現像剤の量に応じた出力を生じるように構成されている。この場合、前記画像形成装置は、制御装置をさらに備えている。この制御装置は、前記エンプティセンサからの出力に基づいて、前記現像剤供給装置の動作を制御するように構成されている。
かかる構成においては、前記エンプティセンサは、前記第二収容部に収容されている前記現像剤の量に応じた出力を生じる。この出力に基づいて、前記制御装置は、前記現像剤供給装置の動作を制御する。例えば、前記制御装置は、エンプティ出力(前記第二収容部における前記現像剤の収容量が不足している場合の前記エンプティセンサからの出力)に基づいて、前記現像剤を前記第一収容部から前記第二収容部に向けて搬送するように前記第一搬送部を駆動する。また、前記制御装置は、前記エンプティ出力の開始又は前記第一搬送部の駆動開始から所定時間経過後に前記エンプティ出力がある場合に、前記現像剤の追加又は交換が必要であることを判断する。
かかる構成によれば、前記第二収容部内の前記現像剤の量に応じた、前記現像剤供給装置の動作の適切な制御が行われ得る。
・前記現像剤供給装置は、流動化部をさらに備えていてもよい。この流動化部は、前記第一収容部及び/又は前記第二収容部に設けられている。また、この流動化部は、前記第一収容部及び/又は前記第二収容部に収容されている前記現像剤を流動化するように構成されている。なお、この流動化部は、前記現像剤を加振する加振部材を備え得る。
かかる構成によれば、前記第一収容部及び/又は前記第二収容部に収容されている前記現像剤が、前記流動化部によって良好に流動化される。したがって、前記現像剤が、前記第一収容部から前記第二収容部へ、あるいは前記第二収容部から前記供給対象へ、良好に搬送され得る。
・前記現像剤供給装置は、第三搬送部をさらに備えていてもよい。この第三搬送部は、進行波状の電界により前記供給対象から前記第一収容部へ前記現像剤を搬送するように構成されている。
かかる構成においては、帯電した状態の前記現像剤が、前記第一搬送部による進行波状の電界の作用で、前記第一収容部から前記第二収容部へ搬送される。このようにして前記第二収容部に収容された前記現像剤が、前記第二搬送部による進行波状の電界の作用で、前記供給対象へ搬送される。そして、前記供給対象に供給されて画像形成に供された前記現像剤のうちの、画像形成のために消費されなかったもの(前記供給対象の側に移動しなかったもの)が、前記第三搬送部による進行波状の電界の作用で、前記第一収容部に還流する。
すなわち、かかる構成においては、前記現像剤が、前記第一収容部、前記第二収容部、及び前記供給対象の間で循環する。このような循環において、劣化したり凝集したりした前記現像剤が生じ得る。
もっとも、このような現像剤は、前記第一収容部に還流した後、前記第一搬送部による進行波状の電界によって良好に前記第二収容部に搬送され難い。したがって、進行波状の電界によって良好に搬送され得る前記現像剤が、前記第二収容部に収容される。
このように、かかる構成によれば、進行波状の電界によって良好に搬送され得る前記現像剤が、前記第二収容部に搬送されて、良好に前記供給対象に供給される。一方、前記プロセスに不適合な前記現像剤(上述したような劣化したものや凝集したもの等)は、前記第一収容部に残留する。
これにより、進行波状の電界による現像剤の搬送・供給が、より均一に行われ得る。また、形成画像における濃度ムラの発生が効果的に抑制され、良好な画像が形成される。
・前記現像剤供給装置は、現像剤収容ケースをさらに備えていてもよい。前記現像剤収容ケースは、前記第一収容部内に配置されている。この現像剤収容ケースは、前記現像剤を収容し、且つ交換可能に構成されている。また、この現像剤収容ケースは、前記現像剤を前記第一搬送部に向けて排出するとともに、前記第三搬送部によって搬送されてきた前記現像剤を回収し得るように構成されている。
具体的には、前記現像剤収容ケースには、排出口と回収口とが形成され得る。前記排出口は、前記現像剤を前記第一搬送部に向けて排出する際に当該現像剤が通過する、開口部又は開口部の一部分である。前記回収口は、前記第三搬送部によって搬送されてきた前記現像剤を回収する際に当該現像剤が通過する、開口部又は開口部の一部分である。
前記排出口は、前記現像剤収容ケースの長手方向(前記主走査方向)における一方の端部に形成され得る。また、前記回収口は、前記現像剤収容ケースの長手方向前記主走査方向における他方の端部に形成され得る。
ここで、前記排出口と前記回収口とは、別々に形成され得る。
あるいは、前記排出口と前記回収口とは、一体に形成され得る。すなわち、前記排出口及び前記回収口は、以下のように構成され得る:前記現像剤収容ケースには、前記移動方向と垂直な幅方向に沿って形成された開口部が形成されている。前記排出口は、前記開口部の前記幅方向における一方の端部によって構成されている。前記回収口は、前記開口部の前記幅方向における他方の端部によって構成されている。
さらに、前記現像剤収容ケースは、第一シャッターと第二シャッターとを備え得る。前記第一シャッターは、前記排出口を開閉するように構成されている。前記第二シャッターは、前記回収口を開閉するように構成されている。ここで、前記第一シャッターと前記第二シャッターとは、一体に形成され得る。
かかる構成においては、前記現像剤収容ケースから、前記現像剤が、前記第一搬送部に向けて排出される。この現像剤のうちの、帯電した状態のものが、前記第一搬送部による進行波状の電界の作用で前記第二収容部へ搬送され、さらに前記第二搬送部による進行波状の電界の作用で前記供給対象へ搬送される。そして、前記供給対象に供給されて画像形成に供された前記現像剤のうちの、画像形成のために消費されなかったものが、前記第三搬送部による進行波状の電界の作用で、前記現像剤収容ケース内に還流する。
すなわち、かかる構成においては、前記現像剤が、前記現像剤収容ケース、前記第二収容部、及び前記供給対象の間で循環する。このような循環において劣化したり凝集したりした前記現像剤は、前記現像剤収容ケース内に残留する。そして、この使用済みの現像剤収容ケースが、新鮮な前記現像剤を収容した新しい前記現像剤収容ケースと交換される際に、上述のような劣化したり凝集したりした前記現像剤が、外部に排出される。
したがって、かかる構成によれば、前記プロセスに不適合な前記現像剤(上述したような劣化したものや凝集したもの等)が、前記現像剤収容ケースの交換によって簡単に外部に排出される。これにより、進行波状の電界による現像剤の搬送・供給が、より均一に行われ得る。また、形成画像における濃度ムラの発生が効果的に抑制され、良好な画像が形成される。
前記現像剤供給装置は、以下のように構成され得る:前記排出口は、前記第一搬送部における前記第二収容部側の端部よりも狭い幅に形成されている。また、前記回収口は、前記第三搬送部における前記供給対象側の端部よりも狭い幅に形成されている。
かかる構成によれば、前記排出口や前記回収口が、画像形成有効幅よりも小さな幅で形成され得る。よって、前記現像剤収容ケースから前記第一搬送部への前記現像剤の排出や、前記第三搬送部から前記現像剤収容ケースへの前記現像剤の還流の際における、前記現像剤の「漏れ」が可及的に抑制され得る。
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について、図面を参照しつつ説明する。
なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件・実施可能要件)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態に対して施され得る各種の変更(modification)は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
<画像形成装置の概略構成>
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態であるレーザープリンタ1の概略構成を示す側面図(一部断面図)である。
図1を参照すると、このレーザープリンタ1の内部には、用紙搬送機構2と、現像ユニット3と、が設けられている。この現像ユニット3は、潜像形成部4と、トナー供給装置5と、を備えている。また、レーザープリンタ1の内部には、定着装置6が設けられている。
レーザープリンタ1内に備えられた、図示しない給紙トレイには、シート状の用紙Pが積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構2は、複数の用紙搬送ローラ21を備えている。この用紙搬送機構2は、用紙Pを、所定の用紙搬送経路PPに沿って搬送し得るように構成されている。
本発明の現像装置としての現像ユニット3は、レーザープリンタ1の本体フレーム(図示せず)に対して着脱可能に構成されている。
現像ユニット3は、レーザープリンタ1が受領した画像情報に応じて、微粒子状の乾式現像剤としてのトナーを、用紙P上に配列させるように構成されている。なお、本実施形態においては、前記トナーは、正帯電性、非磁性1成分の、黒色のものが用いられているものとする。
現像ユニット3には、転写ローラ31が設けられている。転写ローラ31は、現像ユニット3のフレーム(図示せず)によって、回転可能に支持されている。この転写ローラ31は、潜像形成部4における感光体ドラム41と、用紙搬送経路PPを挟んで対向するように配置されている。
この転写ローラ31は、図示しないバイアス電源回路に接続されている。すなわち、転写ローラ31と感光体ドラム41との間に、正極性に帯電した前記トナーを用紙Pに転写させるための所定の転写バイアス電圧が印加されることで、転写ローラ31と感光体ドラム41とが最近接する位置である転写位置TRPにて、感光体ドラム41上の前記トナーが用紙Pに転写されるようになっている。
本発明の供給対象、現像剤担持体、及び静電潜像担持体としての、上述の感光体ドラム41は、現像ユニット3の図示しない前記フレームによって、回転可能に支持されている。この感光体ドラム41は、ドラムボディ41aと、感光体層41bと、から構成されている。
ドラムボディ41aは、主走査方向(図中z軸方向)と平行な中心軸を有する円筒状の部材であって、アルミニウム等の金属から構成されている。このドラムボディ41aと転写ローラ31との間に、上述の転写バイアス電圧が印加されるように、ドラムボディ41aは上述のバイアス電源回路に接続されている。
感光体層41bは、ドラムボディ41aの外周を覆うように設けられている。この感光体層41bは、所定波長のレーザー光の露光によって電子伝導性を示す、正帯電性の光導電層から構成されている。
感光体層41bの表面である、本発明の現像剤担持面としての潜像形成面41b1は、前記主走査方向と平行な円柱面として形成されている。この潜像形成面41b1は、電位分布による静電潜像が形成され得るように構成されている。また、この潜像形成面41b1は、帯電した状態の前記トナーが、前記静電潜像に対応するパターンで担持され得るように構成されている。
この感光体ドラム41は、前記主走査方向と平行な前記軸を中心として、図中矢印で示されている方向(反時計回り)に回転駆動されるように構成されている。すなわち、潜像形成面41b1が、所定の移動方向、すなわち、前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って、移動し得るように、感光体ドラム41が構成されている。
潜像形成部4は、上述の感光体ドラム41の他に、帯電器42と、スキャナーユニット43と、を備えている。
帯電器42は、転写位置TRPよりも、潜像形成面41b1の移動方向における下流側にて、潜像形成面41b1と対向するように配置されている。この帯電器42は、スコロトロン型の帯電器であって、潜像形成面41b1を一様に正帯電させ得るように構成されている。
スキャナーユニット43は、帯電器42よりも、潜像形成面41b1の移動方向における下流側にて、潜像形成面41b1と対向するように配置されている。
スキャナーユニット43は、画像データに基づいて変調されたレーザービームLBを生成するように構成されている。すなわち、スキャナーユニット43は、画素の有無によって発光のON/OFFが制御された、所定の波長帯域のレーザービームLBを生成するように構成されている。
また、スキャナーユニット43は、生成されたレーザービームLBを潜像形成面41b1上にて結像させるように構成されている。さらに、スキャナーユニット43は、潜像形成面41b1上にてレーザービームLBが結像される位置を、前記主走査方向に沿って等速度にて移動させる(走査する)ように構成されている。
すなわち、スキャナーユニット43は、潜像形成面41b1を露光することで、潜像形成面41b1上に前記静電潜像を形成し得るように構成されている。
本発明の現像剤供給装置としてのトナー供給装置5は、現像位置DPにて感光体ドラム41と対向するように配置されている。このトナー供給装置5は、帯電した前記トナーを前記副走査方向に沿って移動させつつ、当該トナーを現像位置DPにて潜像形成面41b1に供給し得るように構成されている。このトナー供給装置5の詳細な構成については後述する。
定着装置6は、転写位置TRPよりも、用紙搬送方向PFDにおける下流側に設けられている。ここで、用紙搬送方向PFDとは、用紙搬送経路PP上の或る位置における、用紙Pの移動方向に沿った接線方向をいうものとする。この定着装置6は、用紙Pを加熱及び加圧することで、前記トナーによる画像を用紙P上に定着させ得るように構成されている。
さらに、レーザープリンタ1は、制御ユニット7を備えている。この制御ユニット7は、レーザープリンタ1の外部からの信号や、レーザープリンタ1の内部に設けられた各種のセンサ等からの信号に基づいて、上述の用紙搬送機構2、現像ユニット3、等の各部の動作を制御するように構成されている。
<現像剤供給装置の詳細な構成>
図2は、図1に示されているトナー供給装置5を拡大して示す側断面図である。以下、本実施形態のトナー供給装置5の詳細な構成について説明する。
図2を参照すると、ケーシング51は、箱状部材であって、現像ユニット3の図示しない前記フレームに対して着脱自在に構成されている。このケーシング51の内側には、第一収容部51aと、第二収容部51bと、第三収容部51cと、第四収容部51dと、が設けられている。
第一収容部51aは、ケーシング51の幅方向(前記主走査方向と平行な方向、すなわち図中z方向)と垂直な長さ方向(図中x軸方向)における一方の端部であって、感光体ドラム41から最も離隔した位置に設けられている。この第一収容部51aは、前記幅方向と平行な中心軸線を有する円柱状の空間と、これと平行な側断面視における略台形状の空間と、が一体的に接続されたものである。
第一収容部51aは、その内部にトナーボックス52を収容し得るように構成されている。すなわち、本実施形態においては、第一収容部51aは、トナーボックス52を介して、トナーTを間接的に収容し得るように構成されている。なお、図2においては、トナーボックス52が第一収容部51a内から取り外された状態が示されている。このトナーボックス52が第一収容部51a内に収容されている様子は、図3に示されている。
本実施形態においては、第一収容部51aの底面であって、第二収容部51bに近接する部分は、比較的急峻な傾斜の斜面状に形成されている。
第二収容部51b及び第三収容部51cは、第一収容部51aと第四収容部51dとの間に設けられた空間である。
第二収容部51bは、第一収容部51aに隣接する空間である。第二収容部51bは、その底部にて、トナーTを収容し得る凹部を備えている。この第二収容部51bは、第一収容部51aよりも、トナーTの移動方向における下流側、すなわち感光体ドラム41側に設けられている。そして、この第二収容部51bは、第一収容部51aから送られてきたトナーTを収容し得るように構成されている。
本実施形態においては、第二収容部51bの底面であって、第一収容部51aに近接する部分は、垂直に近い急斜面状に形成されている。また、この底面であって、第三収容部51cに近接する部分は、比較的なだらかな(第一収容部51aの底面における上述の急峻な斜面よりも小さな傾斜の)斜面状に形成されている。さらに、上述の2つの斜面の間には、比較的平坦な部分が設けられている。
第三収容部51cは、第二収容部51bと第四収容部51dとの間に設けられている。第四収容部51dは、ケーシング51の前記幅方向における他方の端部であって、感光体ドラム41と対向(最近接)する位置に設けられている。第三収容部51c及び第四収容部51dは、前記幅方向と平行な中心軸線を有する円柱状の空間である。
第一収容部51aないし第四収容部51d内には、トナーTを循環させつつ現像位置DPに供給するための各種の部材が収容されている。これら各種の部材の構成の詳細について、図2及び図3を参照しつつ、以下に説明する。
<<現像剤収容ケース>>
本発明の現像剤収容ケースとしてのトナーボックス52は、略円筒形状の箱状部材であって、その内部にトナーTを収容し得るように構成されている。このトナーボックス52は、ケーシング51に対して着脱自在に構成されている。すなわち、このトナーボックス52は、交換可能となっている。
トナーボックス52には、トナー排出口52aと、トナー回収口52bと、が形成されている。
トナー排出口52aは、トナーTをトナーボックス52から外部(第一収容部51aの内側且つトナーボックス52の外側の空間)に向けて排出し得るように形成された開口部である。このトナー排出口52aは、トナーボックス52の円筒部分における底部であって、最下端よりもやや上方の位置に設けられている。
トナー回収口52bは、トナーTをトナーボックス52に回収し得るように形成された開口部である。このトナー回収口52bは、トナーボックス52の円筒部分における上部であって、最上端よりもやや下方の位置に設けられている。
トナー排出口52a及びトナー回収口52bは、トナーボックス52の幅(前記幅方向に沿った寸法)よりも狭い幅に形成されている。
トナーボックス52の下部であって、トナー排出口52aに対応する位置には、本発明の第一シャッターとしての排出シャッター52cが装着されている。排出シャッター52cは、側断面視にて円弧状の板状部材であって、トナーボックス52の幅よりも狭くトナー排出口52aよりも広い幅に形成されている。
本実施形態においては、排出シャッター52cは、トナーボックス52の外側表面に設けられたシャッター移動溝52d内に収容されている。
ここで、シャッター移動溝52dは、トナー排出口52aに対応する位置に設けられた凹部であって、排出シャッター52cに対応する幅で且つ排出シャッター52cの厚さに対応する深さで形成されている。また、シャッター移動溝52dは、円周方向(前記主走査方向と垂直な方向)における寸法がトナー排出口52aよりも広くなるように形成されている。そして、排出シャッター52cは、シャッター移動溝52d内を前記円周方向に沿って往復移動することでトナー排出口52aを開閉し得るように構成されている。
トナーボックス52の上部であって、トナー回収口52bに対応する位置には、本発明の第二シャッターとしての回収シャッター52eが装着されている。回収シャッター52eも、排出シャッター52cと同様に、側断面視にて円弧状の板状部材であって、トナーボックス52の幅よりも狭くトナー回収口52bよりも広い幅に形成されている。
本実施形態においては、回収シャッター52eは、トナーボックス52の外側表面に設けられたシャッター移動溝52f内に収容されている。
ここで、シャッター移動溝52fは、トナー回収口52bに対応する位置に設けられた凹部であって、回収シャッター52eに対応する幅で且つ回収シャッター52eの厚さに対応する深さで形成されている。また、シャッター移動溝52fは、前記円周方向における寸法がトナー回収口52bよりも広くなるように形成されている。そして、回収シャッター52eは、シャッター移動溝52f内を前記円周方向に沿って往復移動することでトナー回収口52bを開閉し得るように構成されている。
また、本実施形態においては、排出シャッター52cと、回収シャッター52eとは、図示しないリンク機構によって互いに接続されていて、当該リンク機構を操作することで排出シャッター52cと回収シャッター52eとが連動して開閉するようになっている。
トナーボックス52内には、アジテータ53が収容されている。アジテータ53は、前記幅方向に沿って設けられた回転軸と、その回転軸に装着された回転羽根と、からなり、図中反時計回りに回転駆動され得るように構成されている。すなわち、アジテータ53は、その回転羽根が回転することで、トナーボックス52内のトナーTを流動化させつつ、当該トナーTをトナー排出口52aから少量ずつ外部に排出し得るように構成されている。
<<現像剤搬送のための構成>>
トナー供給装置5には、本発明の第一搬送部としてのピックアップ基板54が備えられている。ピックアップ基板54は、第一収容部51aにおけるトナー排出口52a及び排出シャッター52cに対応する位置から、第三収容部51cの「入口」(第二収容部51b寄りの端部)付近に至るまでの範囲にわたって設けられている。
ピックアップ基板54は、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。このピックアップ基板54は、進行波状の電界を形成することで、その外側表面であるトナー搬送面54a上にて、トナーTを搬送し得るように構成されている。
本実施形態においては、トナー搬送面54aは、前記幅方向及び前記主走査方向(図中z軸方向)と平行に形成されている。すなわち、ピックアップ基板54によってトナーTが搬送される方向(以下、「トナー搬送方向」と称する。これは、本発明の「移動方向」に対応する。)が、前記主走査方向と垂直な方向となるように、ピックアップ基板54が構成されている。
図4は、図2及び図3に示されているピックアップ基板54を拡大した側断面図である。図4を参照すると、ピックアップ基板54は、ベース層54bと、搬送電極54cと、コーティング層54dと、を備えている。
ベース層54bは、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂によって形成されている。
搬送電極54cは、厚さが数十μm程度の銅箔からなり、ベース層54bの表面上に形成されている。この搬送電極54cは、前記主走査方向と平行な(前記副走査方向と直交する)長手方向を有する線状の配線パターンとして形成されている。
コーティング層54dは、絶縁性の合成樹脂から構成されている。このコーティング層54dは、ベース層54bにおける搬送電極54cが設けられている表面、及び搬送電極54cを覆うように設けられている。このコーティング層54dの表面である上述のトナー搬送面54aは、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
ここで、搬送電極54cは、トナー搬送面54aに沿って配置されている。すなわち、搬送電極54cは、トナー搬送面54aの近傍に配置されている。
また、複数の搬送電極54cは、互いに平行に配置されている。これら複数の搬送電極54cは、前記副走査方向に沿って配列されている。これら複数の搬送電極54cの各々は、3本置きに同一の電源回路に接続されている。
すなわち、電源回路VAに接続された搬送電極54c,電源回路VBに接続された搬送電極54c,電源回路VCに接続された搬送電極54c,電源回路VDに接続された搬送電極54c,電源回路VAに接続された搬送電極54c,電源回路VBに接続された搬送電極54c,電源回路VCに接続された搬送電極54c・・・が、前記副走査方向に沿って順に配列されている。
図5は、図4に示されている電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形を示したグラフである。図5に示されているように、各電源回路VAないしVDは、ほぼ同一波形の交流電圧(搬送電圧)を出力し得るように構成されている。また、各電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形における位相が、90°ずつ異なるように、各電源回路VAないしVDが構成されている。すなわち、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に、電圧の位相が90°ずつ遅れるようになっている。
再び図3を参照すると、ピックアップ基板54は、第一収容部51aないし第三収容部51cの底面における、上述の範囲に貼り付けられている。
ピックアップ基板54の前記トナー搬送方向における上流側の部分である、上流部αは、本発明の第一搬送部に対応する部分である。この上流部αは、第一収容部51aの底面における上述の急峻な斜面に対応する位置に設けられている。
トナー搬送面54aにおける上流部(上流部αに対応する部分であって、本発明の第一の傾斜面に対応する)は、前記移動方向に向かうにつれて上昇するように形成されている。すなわち、この上流部αは、進行波状の電界により、トナー搬送面54aにおける前記上流部に沿って、トナーTを第一収容部51a(トナーボックス52)から第二収容部51bへ搬送するように構成されている。
ピックアップ基板54の前記トナー搬送方向における上流部αよりも下流側の部分である、中間部βは、第二収容部51bの底面における上述の急斜面及び平坦な部分に対応する位置に設けられている。
ピックアップ基板54の前記トナー搬送方向における中間部βよりも下流側の部分である、下流部γは、本発明の第二搬送部に対応する部分である。この下流部γは、第二収容部51bの底面における上述の比較的なだらかな斜面と、及び第三収容部51cの前記トナー搬送方向における最上流部と、に対応する位置に設けられている。
トナー搬送面54aにおける下流部(下流部γに対応する部分であって、本発明の第二の傾斜面に対応する)は、前記移動方向に向かうにつれて上昇するように形成されている。すなわち、この下流部γは、進行波状の電界により、トナー搬送面54aにおける前記下流部に沿って、トナーTを第二収容部51bから感光体ドラム41に向けて搬送するように構成されている。
上述したように、トナー搬送面54aにおける、上流部αに対応する部分は、下流部γに対応する部分よりも急峻な傾斜に形成されている。すなわち、ピックアップ基板54の上流部αよりも、下流部γの方が、トナーTの搬送がより行いやすいように、ピックアップ基板54が構成されている。
さらに、本実施形態においては、ピックアップ基板54における上流部α、中間部β、及び下流部γは、電気回路的に分割されていて、それぞれが個別に駆動され得るようになっている。
ケーシング51には、本発明の流動化部及び加振部材としての上流側加振部材55が装着されている。上流側加振部材55は、ピックアップ基板54における上流部αを挟んでトナー排出口52aと対向する位置に配置されている。すなわち、上流側加振部材55は、第一収容部51aの底面における、上昇斜面の起点近傍に固定されている。また、この上流側加振部材55は、ピックアップ基板54の「下側」に配置されている。
上流側加振部材55は、板状の圧電振動子からなり、振動することによって第一収容部51aにおけるトナー排出口52aの近傍のトナーTを良好に流動化させるように構成されている。
同様に、ケーシング51には、本発明の流動化部及び加振部材としての下流側加振部材56が装着されている。下流側加振部材56は、第二収容部51bの底部に固定されている。この下流側加振部材56も、ピックアップ基板54の「下側」に配置されている。なお、本実施形態においては、第二収容部51b内のトナーTの収容量が増減しても当該トナーTのほぼ全体が良好に流動化されるように、下流側加振部材56は、第二収容部51bの底面における最低部に対応する位置に設けられている。
下流側加振部材56も、上流側加振部材55と同様に、板状の圧電振動子からなり、振動することによって第二収容部51b内のトナーTを良好に流動化させるように構成されている。
トナー供給装置5には、本発明のエンプティセンサとしてのトナー量センサ57が備えられている。本実施形態においては、トナー量センサ57は、光学センサからなり、トナーボックス52の側面に装着されている。このトナー量センサ57は、第二収容部51b内のトナーTの貯留量に応じた信号を出力するように構成されている。
第一収容部51aないし第三収容部51cをまたがるように、トナー循環部58が設けられている。トナー循環部58は、循環基板58aと、循環基板支持体58bと、を備えている。
循環基板58aは、上述のピックアップ基板54と同様の構成を有している。すなわち、循環基板58aは、進行波状の電界によりトナーTを搬送し得るように構成されている。
循環基板支持体58bは、循環基板58aを支持する板状部材であって、円筒部58b1及び平板部58b2を備えている。円筒部58b1は、側断面視にて略C字状に形成されている。平板部58b2は、円筒部58b1の側断面視における略C字形状の一方の端部(ピックアップ基板54の下流部γと近接する側と反対側の端部)と接続するように設けられている。
トナー循環部58は、供給位置FPにて現像部59と対向するように配置されている。このトナー循環部58は、トナー排出口52aからトナーボックス52の外部に排出されてピックアップ基板54によって搬送されてきたトナーTを、現像部59に(供給位置FPに)供給し得るように構成されている。また、このトナー循環部58は、供給位置FPにて現像部59側に移行しなかったトナーTを、トナー回収口52bに還流させ得るように構成されている。
ここで、循環基板58aにおける前記トナー搬送方向における最上流部である供給部δは、ピックアップ基板54の下流部γと近接する端部から供給位置FPと対向する部分に至るまでの範囲に設けられている。また、循環基板58aにおけるそれ以外の部分である、還流部εが、本発明の第三搬送部に対応する部分である。
現像部59は、第四収容部51d内に収容されている。この現像部59は、現像位置DPにて、感光体ドラム41と対向するように設けられている。この現像部59は、現像基板59aと、現像基板支持体59bと、を備えている。
現像基板59aは、上述のピックアップ基板54と同様の構成を備えている。この現像基板59aは、円筒形状の現像基板支持体59bの周面上にて支持されている。
<画像形成装置の動作>
次に、上述のように構成されたレーザープリンタ1の動作について、図面を適宜参照しつつ説明する。以下のレーザープリンタ1の動作は、制御ユニット7の制御下で行われる。
<<画像形成動作の概要>>
まず図1を参照すると、図示しない給紙トレイ上に積載された用紙Pが、用紙搬送ローラ21によって、用紙搬送経路PPに沿って転写位置TRPまで給送される。この間に、感光体ドラム41の周面である潜像形成面41b1上に、以下のようにしてトナーTによる像が担持される。
<<<潜像形成>>>
潜像形成面41b1は、まず、帯電器42によって、正極性に一様に帯電される。
帯電器42によって一様に帯電された潜像形成面41b1は、感光体ドラム41の図中矢印で示されている方向(反時計回り)の回転により、スキャナーユニット43と対向する位置まで、前記副走査方向に沿って移動する。この位置にて、画像情報に基づいて変調されたレーザービームLBが、前記主走査方向に沿って走査されつつ、潜像形成面41b1に照射される。このレーザービームLBの変調状態に応じて、潜像形成面41b1上の正電荷が消失する部分が生じる。これにより、潜像形成面41b1上に、正電荷のパターン(画像状分布)による前記静電潜像が形成される。
潜像形成面41b1に形成された前記静電潜像は、感光体ドラム41の図中矢印で示されている方向(反時計回り)の回転により、現像位置DPに向かって移動する。
<<<静電潜像の現像>>>
図4を参照すると、複数の搬送電極54cに対して、図5に示されているような進行波状の電圧が印加される。これにより、トナー搬送面54a上には、所定の進行波状の電界が形成される。この進行波状の電界により、正帯電のトナーTが、トナー搬送面54a上にて、前記トナー搬送方向(図4における矢印TTD参照)に沿って、以下のようにして搬送される。
図6Aないし図6Cは、図4に示されているトナー搬送面54aの周辺を拡大して示す側断面図である。なお、図4において、電源回路VAと接続されている搬送電極54cは、図6Aないし図6Cにおいて、搬送電極54cAと示されている。搬送電極54cBないし搬送電極54cDも同様である。
以下、正帯電のトナーTが、トナー搬送面54a上にて、前記トナー搬送方向に搬送される様子について、図4、図5、及び図6Aないし図6Cを参照しつつ説明する。
図5に示されているように、各電源回路VAないしVDから、ほぼ同一波形の交流電圧が、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に位相が90°ずつ遅れるように出力される。
図5における時点t1においては、図6Aに示されているように、搬送電極54cAと搬送電極54cBとの間の位置であるAB間位置にて、前記トナー搬送方向と逆向きの電界EF1が形成される。
一方、搬送電極54cCと搬送電極54cDとの間の位置であるCD間位置には、前記トナー搬送方向と同じ向きの電界EF2が形成される。
また、搬送電極54cBと搬送電極54cCとの間の位置であるBC間位置、及び搬送電極54cDと搬送電極54cAとの間の位置であるDA間位置には、前記トナー搬送方向に沿った方向の電界が形成されない。
すなわち、時点t1においては、前記AB間位置にて、正帯電のトナーTは、前記トナー搬送方向と逆向きの静電力を受ける。
また、前記BC間位置及び前記DA間位置にて、正帯電のトナーTは、前記トナー搬送方向に沿った方向の静電力をほとんど受けない。
また、前記CD間位置にて、正帯電のトナーTは、前記トナー搬送方向と同じ向きの静電力を受ける。
よって、時点t1においては、正帯電のトナーTは、前記DA間位置に集められる。同様に、時点t2においては、正帯電のトナーTは、前記AB間位置に集められる。次いで、時点t3になると、正帯電のトナーTは、前記BC間位置に集められる。
すなわち、トナーTが集められる領域が、時間の経過に伴い、トナー搬送面54a上を、前記トナー搬送方向に沿って移動していく。
このように、各搬送電極54cに対して、図5に示されているような電圧が印加されることで、トナー搬送面54a上にて、進行波状の電界が形成される。これにより、正帯電したトナーTが、図中上下方向にホッピングしつつ、前記トナー搬送方向に沿って搬送される。
図7ないし図10は、図3に示されているトナー供給装置5の動作状態を示す側断面図である。
図7を参照すると、画像形成動作中は、排出シャッター52cは、トナー排出口52aを開放する位置まで移動している。
ここで、アジテータ53及び上流側加振部材55が動作していると、トナー排出口52aの近傍のトナーTは、良好に流動化される。このようにして良好に流動化されたトナーTは、ピックアップ基板54における上流部αの動作により、第一収容部51aから第二収容部51bへ搬送される。
このとき、当該上流部αの傾斜は、比較的急峻である。このため、劣化したり凝集したりして良好に電界搬送され難いトナーTは、このような急峻な斜面を駆け上り難い。よって、劣化や凝集が生じておらず良好な流動性が保たれているトナーT、すなわち、良好に電界搬送され得るトナーTが、上流部αの動作によって第一収容部51aから第二収容部51bへ搬送され、第二収容部51b内に所定量貯留される。
第二収容部51b内に貯留されているトナーTは、下流側加振部材56の振動により、液体の如く振る舞うように、良好に流動化される。これにより、第二収容部51b内における、トナーTの量は、前記幅方向(前記主走査方向)について均一化される。
第二収容部51b内のトナーTは、ピックアップ基板54における中間部β及び下流部γの動作によって、当該下流部γと循環基板58aにおける供給部δとが近接する位置まで搬送される。このとき、下流部γにおいては、上流部αよりは小さいものの、所定の傾斜が設けられている。よって、この比較的緩やかな傾斜面を上り得るトナーTが、下流部γによって第二収容部51bから第三収容部51cに向けて搬送され、下流部γから供給部δに受け渡される。
ピックアップ基板54における下流部γからトナーTを受け取った、循環基板58aにおける供給部δは、このトナーTを供給位置FPまで搬送する。この供給位置FPにて、トナーTの一部が、現像基板59aに受け渡される。現像基板59aに移行したトナーTは、現像基板59aによって現像位置DPに供給される。
そして、現像位置DPの近傍にて、トナーTによって、潜像形成面41b1上の前記静電潜像が現像される。すなわち、潜像形成面41b1上であって、前記静電潜像における正電荷が消失した部分に、トナーTが付着する。これにより、トナーTによる画像(以下、「トナー像」と称する。)が、潜像形成面41b1上に担持される。
供給位置FPまで搬送されたトナーTのうち、現像基板59a側に移行しなかったものは、循環基板58aにおける還流部εによって、第一収容部51aへ搬送される。ここで、画像形成動作中は、回収シャッター52eは、トナー回収口52bを開放する位置まで移動している。よって、循環基板58aによってトナー回収口52bまで搬送されたトナーTは、トナーボックス52内に還流する。
このようにして、トナーボックス52内のトナーTは、トナー排出口52aを出て第二収容部51bに至り、さらに第三収容部51cを経てトナー回収口52bからトナーボックス52内に還流する。すなわち、トナーTは、第一収容部51a、第二収容部51b、及び第三収容部51c内を循環する。
再び図1を参照すると、上述のようにして潜像形成面41b1上に担持されたトナー像は、当該潜像形成面41b1が図中矢印で示されている方向(反時計回り)に回転することにより、転写位置TRPに向けて搬送される。そして、この転写位置TRPにて、トナー像が、潜像形成面41b1から用紙P上に転写される。用紙P上に転写されたトナー像は、定着装置6によって、用紙Pの表面上に定着される。
<<第二収容部への現像剤補充動作>>
第二収容部51b内に或る程度の量のトナーTが貯留されると、アジテータ53、ピックアップ基板54における上流部α、及び上流側加振部材55の動作が停止する。
一方、図8に示されているように、画像形成動作に伴って、第二収容部51b内のトナーTの収容量が減少する。この場合、トナー量センサ57にて、トナーエンプティ出力が発生する。
このトナーエンプティ出力が所定時間継続した場合、制御ユニット7は、アジテータ53、ピックアップ基板54、及び上流側加振部材55を動作させる。これにより、トナーボックス52内からトナーTが第二収容部51bに供給され、第二収容部51bにトナーTが補充される。
<<現像剤劣化時の交換動作>>
上述のようにして、トナーTが、第一収容部51a、第二収容部51b、及び第三収容部51c内を循環する間に、トナーTが劣化したり凝集したりすることがある。このような不良なトナーTは、進行波電界によって良好に搬送され難く、また前記静電潜像の現像に不適である。
図9に示されているように、良好なトナーTがほとんど使い切られ、不良なトナーTがトナーボックス52に残留することがある。このような場合、図10に示されているように、排出シャッター52c及び回収シャッター52eが操作されて、トナー排出口52a及びトナー回収口52bが閉じられる。
その後、この使用済みのトナーボックス52は、第一収容部51aから取り外される。これにより、上述のような不良のトナーTが、トナー供給装置5から排出される。そして、図2及び図3に示されているように、新鮮なトナーTを収容した新規のトナーボックス52が、第一収容部51aに装着される。
<実施形態の構成による作用・効果>
以上に説明したように、本実施形態の構成においては、ピックアップ基板54における上流部αが下流部γよりも、進行波状の電界によるトナーTの搬送が行われにくい。また、循環基板58aによって、トナーTがトナーボックス52に還流される。
よって、かかる構成においては、画像形成プロセスに不適合な不良なトナーTが第一収容部51aに残留しやすくなる。一方、前記電界によって良好に搬送され得るトナーTは、第二収容部51bに収容されて、良好に画像形成に供される。
かかる構成によれば、進行波状の電界によるトナーTの搬送・供給が、より良好に行われ得る。
また、本実施形態においては、不良でないトナーTが、第一収容部51aから第二収容部51bへ電界搬送され、一旦第二収容部51bに貯留される。そして、第二収容部51bにて、下流側加振部材56による作用で、トナーTが流動化されつつ、その前記幅方向における量が均される。その後、第二収容部51bからトナーTが供給位置FP及び現像位置DPに向けて搬送される。
かかる構成によれば、供給位置FP及び現像位置DPへのトナーTの供給量の、前記主走査方向におけるばらつきが、可及的に抑制される。したがって、かかる構成によれば、進行波状の電界によるトナーTの搬送・供給が、従来よりもいっそう均一に行われ得る。これにより、用紙P上に形成される画像における濃度ムラの発生が効果的に抑制され、良好な画像が形成され得る。
また、本実施形態においては、トナー量センサ57からの、第二収容部51b内のトナーTの量に応じた出力に基づいて、制御ユニット7により、アジテータ53、ピックアップ基板54、及び上流側加振部材55の動作が制御される。具体的には、第二収容部51b内のトナーTの量が不足した場合にのみ、これらが動作される。
かかる構成によれば、第二収容部51b内のトナーTの量に応じた、トナー供給装置5の動作の適切な制御が行われ得る。
特に、トナーTに対する機械的なストレスを与え得るアジテータ53や上流側加振部材55の動作が、必要な範囲に制限される。よって、トナーTに対する機械的なストレスが可及的に軽減される。これにより、トナーTの劣化が可及的に抑制される。
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の実施形態等を単に例示したものにすぎないのであって、本発明はもとより上述の実施形態によって何ら限定されるべきものではない。よって、当然に、上述の実施形態に示された具体的構成に対しては、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、種々の変形が施され得る。
以下、変形例について幾つか例示する。ここで、以下の変形例の説明において、上述の実施形態における各構成要素と同様の構成・機能を有する構成要素については、当該変形例においても同一の名称及び同一の符号が付されているものとする。そして、当該構成要素の説明については、上述の実施形態における説明が、矛盾しない範囲で適宜援用され得るものとする。
もっとも、変形例とて、下記のものに限定されるものではないことは、いうまでもない。本願発明を、上述の実施形態や下記変形例の記載に基づいて限定解釈することは、(特に先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない。
また、上述の実施形態の構成、及び下記の各変形例に記載された構成は、技術的に矛盾しない範囲において、適宜複合して適用され得ることも、いうまでもない。
(1)本発明の適用対象は、単色の画像を形成可能な、いわゆるモノクロレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、多色(フルカラー)の画像形成が可能なレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。
あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式の画像形成装置(例えば、感光体を用いないトナージェット方式及びイオンフロー方式の画像形成装置等)に対しても、好適に適用され得る。
(2)図1を参照すると、転写ローラ31は、現像ユニット3の外部に設けられていてもよい。
(3)潜像形成部4の構成も、上述の実施形態に開示されているものに限定されない。例えば、感光体ドラム41に代えて、感光体ベルトが用いられ得る。
(4)図2を参照すると、第四収容部51d及び現像部59は、省略され得る。すなわち、図2における循環基板58aは、感光体ドラム41と対向するように配置され得る。
(5)トナーTは、直接的に第一収容部51a内に収容されていてもよい。すなわち、トナーボックス52は省略され得る。
(6)排出シャッター52cと、回収シャッター52eとは、連動していなくてもよい。
(7)アジテータ53は省略され得る。この場合、アジテータ53に代えて、加振部材が用いられ得る。この加振部材は、トナーボックス52に設けられ得る。あるいは、この加振部材は、第一収容部51aの底部にて、トナーボックス52と接触するように設けられ得る。
(8)ピックアップ基板54における上流部α、中間部β、及び下流部γは、電気回路的に直結されていて常に同時に駆動されるようになっていてもよい。
(9)本発明の第一搬送部を構成する上流部αと、本発明の第二搬送部を構成する下流部γとの、トナーTの搬送性の違いは、傾斜以外の機械的構成、及び/又は電気的構成(印加電圧、周波数等)によっても設定され得る。
(10)ピックアップ基板54、循環基板58a、及び現像基板59aの構成も、上述の実施形態にて示されているものに全く限定されない。例えば、コーティング層54dは省略され得る。
(11)上流側加振部材55及び下流側加振部材56の少なくともいずれか一方は、省略され得る。
(12)トナー量センサ57は、レーザープリンタ1における上述の図示しない本体フレームに装着されていてもよい。
(13)トナー排出口52aは、ピックアップ基板54の幅と同等の幅に形成されていてもよいし、これより狭い幅に形成されていてもよい。同様に、トナー回収口52bは、循環基板58aの幅と同等の幅に形成されていてもよいし、これより狭い幅に形成されていてもよい。
図11は、図3に示されている実施形態のトナー供給装置5の平面的構成の一例を示す概略図である。
図11を参照すると、トナー排出口52a及びトナー回収口52bの幅は、トナーボックス52の幅よりも非常に小さく(例えば半分以下あるいは4分の1以下に)設定されている。
トナー排出口52aは、トナーボックス52の長手方向(前記幅方向)における一方の端部に形成されている。また、トナー回収口52bは、トナーボックス52の前記長手方向における他方の端部に形成されている。
トナー排出口52aは、ピックアップ基板54の上流部αにおける、第二収容部51b側の端部よりも狭い幅に形成されている。また、ピックアップ基板54における上流部αの、トナー排出口52a側の端部は、当該トナー排出口52aと同等の幅に形成されている。そして、上流部αは、トナー排出口52aから第二収容部51bに向かうにつれて幅が広がるように形成されている。
トナー回収口52bは、循環基板58aの還流部εにおける、供給位置FP側の端部よりも狭い幅に形成されている。また、循環基板58aにおける還流部εの、トナー回収口52b側の端部は、当該トナー回収口52bと同等の幅に形成されている。そして、還流部εは、供給位置FPからトナー回収口52bに向かうにつれて幅が狭まるように形成されている。
かかる構成によれば、トナー排出口52aやトナー回収口52bが、画像形成有効幅よりも小さな幅で形成され得る。よって、トナーボックス52からピックアップ基板54へのトナーTの排出や、循環基板58aからトナーボックス52へのトナーTの回収の際における、トナーTのトナーボックス52の外部への「漏れ」が、可及的に抑制され得る。
(14)図3を参照すると、排出シャッター52cと回収シャッター52eとは、一体に形成され得る。すなわち、図11に示されているように、トナー排出口52a及びトナー回収口52bを同時に開閉し得る長尺シャッター52gが設けられ得る。
(15)図3を参照すると、トナー排出口52aとトナー回収口52bとは、一体に形成され得る。
図12は、図3に示されている実施形態のトナー供給装置5の平面的構成の他の一例を示す概略図である。
図12を参照すると、トナーボックス52には、前記幅方向に沿って形成された長尺開口部52hが形成されている。この長尺開口部52hは、ピックアップ基板54及び循環基板58aの幅と同等の幅に形成されている。
そして、トナー排出口52aは、長尺開口部52hの下端部であって、前記幅方向における一方の端部によって構成されている。また、トナー回収口52bは、長尺開口部52hの上端部であって、前記幅方向における他方の端部によって構成されている。
(16)下流側加振部材56が配置されている位置も、上述の実施形態及び対応する図面に記載されているものに限定されない。
図13は、図2に示されているトナー供給装置5の一変形例を示す側断面図である。
図13に示されているように、下流側加振部材56は、第二収容部51bの底面における最低部から第三収容部51cに向かう、上述のなだらかな斜面に対応する位置(ピックアップ基板54の下流部γに対応する位置)に設けられていてもよい。
また、下流側加振部材56は、上述の実施形態と同様の、第二収容部51bの底面における最低部に対応する位置と、図13に示されているような、ピックアップ基板54の下流部γに対応する位置と、の双方に跨るように設けられていてもよい。
(17)その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の範囲内に含まれることは当然である。
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。