以下、図面を参照して、本発明の空調システムの一実施形態について説明する。
(システムの階層化)
まず、図2を参照して、本実施形態の空調システムの階層構造について説明する。
図2は、コンバータ30を適用したネットワーク構成概念である。同図において、符号CB0、CB1、CB2・・・は、優位性を持った基幹バスであり、例えばCB0はOA系のバス、CB1は制御系のバスといった位置付けとなる(バス間で優位性を認識するのではなく、空調機のネットワーク制御形態として優位性を持たせる)。優位性については後述する。
具体的には、CB0はEtherバス、CB1はCANといった様に、プロトコルの異なるバスであっても構わない。また、優位性とは支配系と被支配系とを指す。図2では、CB0>CB1>CB2・・・となる。これらの上下関係を決定するのが、C**と記されるコンバータ30であり、各バスCB0、CB1、CB2・・・間には、コンバータ30の入出力関係からレベル(L0、L1、L2・・・)が付けられる。
符号VBL00、VBL01・・・は、各レベルL0、L1、L2・・・内でのコンバータ30の系列を示す。つまり、レベルL0、L1、L2・・・と系列VBL00、VBL01・・・による2次元配列によって、ネットワークシステムの位置(座標)を確定するわけである。図2では、2次元的配置を表しているが、更に多元的に構成することも可能である(但し、本実施形態のシステムとしては2次元的配置で十分である)。
各基幹バス(CB0、CB1・・・)から懸吊されるシステム(S00、S10・・・)40が、被制御機器群(室内外機群)である。システムS00とS10、またはS20は、異なる通信プロトコルで動作する独立した(ローカル的な)ネットワークで構築される。
(制御フロー)
この階層構造を機能させる上で、ネットワークの制御フローを定義する。
多次元的に配置されたコンバータ30は、これらのローカルシステム(S**)40を統合管理するために物理的に配置されている。図3が制御の最小単位である。システム40を運転制御するためのコマンド(運転制御コマンド、制御信号、制御コード、制御フレーム)は、上から下へ(レベルL0からレベルL1の方向)流れる。図3のシステムS**(40)は、直上にあるコンバータC**(30)の運転制御コマンドで動作する。図2で同様の説明をすれば、例えばシステムS00(40)は、直上のコンバータC01(30)の運転制御コマンドに従う。
また、システム40の状態(室内外機の個別データや実際に動作している運転モードなど)を示す状態情報(状態データ、情報コード、情報フレーム)は、下から上(レベルL1からレベルL0の方向)へ流れる。図3によれば、システムS**40が発行する状態情報は、コンバータC**30により、上方向へと送信される。図2で説明すれば、例えばシステムS10(40)が発行した状態情報は、コンバータC11(30)により上位バス(CB1)へ回送されるが、コンバータC10(30)はこの情報を破棄する。コンバータC00(30)は、基幹バスCB1に流れる状態情報を更に上位に流し、最終的に基幹バスCB0へと回送される。
この様なル−ルをコンバータ30に付加することにより、システム40の運転制御コマンドは上位から下位のタ−ゲット(任意のシステム40)に対して流れ、状態情報は下位から上位に向かって分散的に流れていく。よって、制御系コマンドと状態情報とを効率よくネットワーク内に流すことが出来る。何故なら、ネットワークで制御される空調システムは、一般的に、制御系コマンドは任意のローカルシステム40に対して収束し、状態情報は上位の収集装置に対して広く伝播させる様な形態をとるからである。
すなわち、コンバータ30は、プロトコルの異なる上下の基幹バスCB0、CB1・・・を等価的に接続する機能と、運転制御コマンドと状態情報とを相互に効率よく流通させるための整流作用を持つ。
図4−1および図4−2に、レベルL0、L1、L2・・・と系列VBL00、VBL01・・・に関する補足説明図を示す。
図4−1は、レベルL*に於ける系列VBL*0、VBL*1・・・の増設を表しており、コンバータC*0は、レベルL*間の通信等価作用を提供し、コンバータC*1(30)は、ローカルシステムS*0(40)の制御を、同様にコンバータC*2(30)はローカルシステムS*1(40)の制御を担当する。
コンバータ30のアドレッシングは、同レベルL*に対して系列VBL*0、VBL*1・・・を任意に増やすことも可能である。ローカルシステムS*0(40)と、ローカルシステムS*1(40)は、同じ通信形態(プロトコル、データフォーマット、コード(形式)など)を持った室内外機群であっても良いし、全く異なる通信形態であっても構わない。極論すれば、ローカルシステムS*0(40)の室内外機群に擬態したまったく異なる装置であっても良い。例えば、コンピュ−タル−ム内の冷却の様に、コンピュ−タの筐体毎に内部温度を管理するシステムであっても良く、コンバータ30は各制御対象を独立した冷房専用室内機群として上位バスCB*に対してデータ変換することによって、まったく異なるローカルシステム40を、ネットワーク空調システムの一部として管理することが可能となる。
図4−2は、レベルL*の概念について補足するものであり、基幹バスCB1と基幹バスCB2とが無相関で独立したバスの場合である。コンバータC*0(30)は、基幹バスラインCB0とCB1との等価性を提供し、同様にコンバータC*1(30)は、基幹バスCB0と基幹バスCB2とを接続する。この時、ローカルシステムS(*+1)・0(40)は、コンバータC(*+1)・0(30)により、基幹バスCB2の配下として稼働し、レベルは一つ劣位となる。つまり、レベルL*に対して、コンバータC(*+1)・0(30)が付与するレベルは、L(*+1)となる。
(コンバータ30の基本構成)
次に、コンバータ30の基本構成について説明する。
図5にコンバータ30の内部基本構成を示す。コンバータ30の内部は、少なくとも上位レイヤ31、中間レイヤ32、下位レイヤ33の3階層に分かれる。これらのレイヤ31〜33はハードウェア的またはソフトウェア的に分離される。
上位レイヤ31は、上位バスのインタフェースとプロトコル変換を行い、下位レイヤ33は下位バスのインタフェースとプロトコル変換を行う。
中間レイヤ32はコンバータ30に汎用入出力機能を持たせる。図6に示す様に、中間レイヤ32は、外部装置50との双方向インタフェース機能を持つ。中間レイヤ32に接続される外部装置50としては、ユ−ザI/F(室内外機制御機能の提供)や温度センサ、あるいは電力量計などが挙げられる。
(システムの隠蔽)
多元的な要素をコンバータ30に持たせ、ネットワークを汎用化すると、データフレーム(運転制御コマンドや状態情報)内のコード定義が問題となってくる。例えば、図2のシステムS00(40)とシステムS10(40)に於いて、また、図4−1のシステムS*0(40)とシステムS*1(40)に於いて、運転制御コマンドに使用される制御コードが一義的とは限らない。上記のように、ローカルシステム40は、互いに全く異なる通信形態を持つものであっても構わないためである。新たにローカルシステム40を増設する際に、通信形態、データフレームないしコード定義を問題とすることなく、自由に増設することができる。
そこで、コンバータ30は図7に示す構成をとる。上位レイヤ31、中間レイヤ32、下位レイヤ33から入力されたコマンドや状態情報は、一旦、コンバータ30内で統一データ(共通データ)に変換される。この処理を行うのが同図中の中央処理部34である。
また、各レイヤ31〜33からの出力に関しては、コンバータ30内で統一化されたデータ(共通データ)が、各レイヤ31〜33に対応したデータフレームに再構築された後に、各レイヤ31〜33のプロトコルで出力される。
中央処理部34において、共通データに変換されるため、同じバスCB*に接続された複数のコンバータ30の上位レイヤ31は、互いに同じ構成にすることができ、この場合には、そのコンバータ30に接続されるローカルシステム40の通信形態等に応じて、下位レイヤ33を異なる構成にすればよい。この場合、各レイヤをそれぞれ分離可能な基板として構成すれば、上位レイヤ31の基板は共通の基板を用い、下位レイヤ33の基板は異なるものが選択される。
コンバータ30の上記機能により、コンバータ30の入出力間は等価的に共通化され、ローカルシステム40内の被制御機器(室内外機)への指定は、コンバータ30のアドレスと室内外機のノードアドレスで行うことになる。コンバータ30の外部からのシステム40の参照は、コンバータ30によって隠蔽された状態となり、結果として異なるシステム40間であっても通信可能となる。
更に、ローカルシステム40内では、コンバータ30のアドレスを意識することなく、新旧システム40あるいは異システム40を問わず、追加が可能となり、汎用的なネットワーク空調システムを構築することが可能となる。ローカルシステム40が追加された場合、その制御コマンドの発行および状態情報の通信は、制御装置内部のデータベ−スにその追加情報が付加されることで対応可能である。ネットワーク自体を変更することなく、極めて容易にネットワークシステムを構築することが出来る。
(本実施形態の全体構成)
図8に階層化ネットワークシステムの構成例を示す。符号CB0、CB1、CB2はそれぞれ独立したプロトコルのバスを示している。以下、具体例を用いて説明する。
バスCB0は、OA系のバスであり、本実施形態に係る空調システム以外の他のシステムの情報や汎用情報が流れており、BMS(ビルマネジメントシステム)60などの各種システムを管理する管理装置は、このレベルのバスCB0に接続すると極めて有効に動作する。
バスCB1は、ローカルシステムS10(40)及びローカルシステムS11(40)を統括制御するためのバスであり、これはFA系、あるいはオリジナルの制御バスである(FA系のバスとしてはCANやLONなどのネットワークがある)。システムS10(40)及びシステムS11(40)のそれぞれには、室内外機が各1台以上懸吊され、室内機を個別に制御するコントローラなども含まれる。尚、同図に示すように、ローカルシステムS10(40)、及びローカルシステムS11(40)は、レベルL1に所属するが、物理的なバス特性は、ローカルシステムS10(40)と、ローカルシステムS11(40)間で互換性がある必要は無い。
バスCB2は、更にレベルL*が下位の位置付けであり(レベルL2)、ローカルシステムS20(40)の統括制御系である。バスCB2のバスプロトコルは特に問わず(上下位のバスと同じプロトコルでも異なるプロトコルでも構わないの意)、物理的に他のバス(CB0、CB1)と隔絶されていれば良い。
基幹バスCB2に懸吊されているローカルシステムS20(40)は、例を挙げればマルチエアコンと称する数台程度の室内外機で構成される小システムであることができ、このオリジナル通信系をコンバータC20(30)でエミュレ−ションすれば、ネットワークシステムの一環として動作させることが出来る。
符号Ctrl0、Ctrl1、Ctrl2は、システムの制御装置51(50)を示し、集中制御装置の役割を持つ。基幹バスCB0上にある制御装置60は、下位すべての被制御系を統括する制御装置で、ここでは仮にビルメンテナンス用PCを仮定しBMSと呼称する。
符号C00、C10、C11、C12、C13、C20、C21は、コンバータ30であり、各コンバータ30内部のT、M、Bの表記はそれぞれ上位レイヤ31、中間レイヤ32、下位レイヤ33を表す。尚、T、M、Bの記述が無い場合は、コンバータ30内部で不必要なため、そのレイヤが存在しないことを示す。ハードウェア的にレイヤが分離されている場合、不必要なレイヤ基板を実装することなしにコンバータ30を組み上げることも特徴の一つである。制御装置Ctrl*(51)は、基本的にはコンバータ30の中間レイヤ32に接続される形態をとる。
説明に先立ち、前提条件として、コンバータ30には、それぞれ固有のアドレス(例えば、00H、10H、11H、12H、13H、20Hなど)が設定されており、また各制御装置(BMS、Ctrl0、Ctrl1:Ctrl2を除く)60,51は、制御に必要なコンバータ30の固有アドレスと、システムS10(40)、システムS11(40)、及びシステムS20(40)内に懸吊される室内機(必要であれば室外機)のアドレス(ノードアドレス)が既に登録されているものとする。
制御フローは、コンバータ30の整流作用に従い、運転制御コマンドはバスCB0→バスCB1→バスCB2の方向に、また状態情報はバスCB2→バスCB1→バスCB0の方向に流れる。
BMS60から発行される運転制御コマンドは、バスCB0上でのプロトコルに準拠したデータフレームとして出力される。例えば、OAバスに代表されるEtherLANであれば、TCP/IPプロトコルなどのアドレスヘッダによって運転制御コマンドが包括された形で出力される。
次に、コンバータC00(30)の動作について説明する。
コンバータC00(30)は、上位レイヤ31にバスCB0と互換性を持ったハードウェアおよびソフトウェアを内蔵し、中間レイヤ32には制御装置Ctrl0(51)をインタフェースするハードウェアおよびソフトウェアが搭載されている。また、下位レイヤ33には基幹バスCB1に準拠したハードウェアおよびソフトウェアを持つ。
まず、図23を参照して、コンバータC00(30)が制御フレームを入力したときの動作について説明する。
図23に示すように、コンバータC00(30)の上位レイヤ31は、基幹バスCB0からデータ(制御フレーム)を受信すると、データチェックを行い(ステップS1)、その結果、正規に受信しているのであれば(ステップS2−OK)、その受信したデータフレームを、複数のコンバータ30に共通の共通データに変換し(ステップS3)、中央処理部34(図8では図示略)に送信する(ステップS4)。
一方、コンバータC00(30)の中間レイヤ32は、制御装置Ctrl0(51)から運転制御コマンド(制御フレーム)を受信すると、データチェックを行い(ステップS5)、その結果、正規に受信しているのであれば(ステップS6−OK)、その受信したデータフレームを共通データに変換し(ステップS7)、中央処理部34に送信する(ステップS8)。
中央処理部34は、上位レイヤ31及び中間レイヤ32のそれぞれから出力された共通データを受信すると(ステップS9)、その共通データのデータフレームのヘッダ(トップデータ)がコンバータC00(30)の階層アドレス(L*)か、又は自己よりも大きな階層アドレスを持っているか否かを判定し(ステップS10)、その判定の結果、ヘッダがいずれかの階層アドレスを持っている場合(ステップS10−Y)には、その共通データのデータフレームを下位レイヤ33に出力する(ステップS11)。
下位レイヤ33では、中央処理部34からその共通データを受信すると(ステップS12)、その共通データについて、バスCB1用のデータ変換及びプロトコル変換を行った後(ステップS13)、下位レイヤ33からバスCB1に出力する。
上位レイヤ31及び中間レイヤ32は、下位レイヤ33よりも順位が高いので、コンバータ30の整流規則に則り、Ctrl0(51)発行の運転制御コマンドは、下位レイヤ33のプロトコルに準拠した運転制御コマンドに再構築されて(ステップS13)、下方の基幹バスCB1へと出力される。
バスCB0には、空調機系の他に照明や電力系のシステムも並列に懸吊されている。BMS60とコンバータC00(30)の上位レイヤ31とは、例えばTCPプロトコルによってコネクトされている(クライアント動作)。
次に、図24を参照して、コンバータC00(30)が状態情報の情報フレームを入力したときの動作について説明する。
図24に示すように、コンバータC00(30)の下位レイヤ33がバスCB1を介して情報フレームを受信すると、データチェックを行い(ステップS1)、その結果、正規に受信していれば(ステップS2−OK)、共通データに変換する(ステップS3)。その共通データは、下位レイヤ33から中央処理部34に送信される(ステップS4)。
コンバータC00(30)の中央処理部34は、下位レイヤ33から情報フレームの共通データを受信すると(ステップS5)、有効データか否かを判定し(ステップS6)、その判定の結果、有効であれば(ステップS6−Y)、その共通データを上位レイヤ31に送信する(ステップS7)と共に、中間レイヤ32に送信する(ステップS8)。
コンバータC00(30)の上位レイヤ31は、中央処理部34から情報フレームの共通データを受信すると(ステップS9)、その共通データについて、バスCB0用のデータ変換及びプロトコル変換を行った後(ステップS10)、上位レイヤ31からバスCB0に出力する。
また、コンバータC00(30)の中間レイヤ32は、中央処理部34から情報フレームの共通データを受信すると、その受信したデータが有効データか否かを判定し(ステップS11)、その判定の結果、有効なデータであれば(ステップS11−Y)、Ctrl0(51)における表示、警報などの処理が行なわれる(ステップS12)。
次に、コンバータC11(30)について説明する。
まず、図25を参照して、コンバータC11(30)が制御フレームを入力したときの動作について説明する。
図25に示すように、コンバータC11(30)の上位レイヤ31は、直上の基幹バスCB1からデータ(制御フレーム)を受信すると、データチェックを行い(ステップS1)、その結果、正規に受信しているのであれば(ステップS2−OK)、その受信したデータフレームを、複数のコンバータ30に共通の共通データに変換し(ステップS3)、中央処理部34(図8では図示略)に送信する(ステップS4)。
一方、コンバータC00(30)の中間レイヤ32は、制御装置Ctrl1(51)から運転制御コマンド(制御フレーム)を受信すると、データチェックを行い(ステップS5)、その結果、正規に受信しているのであれば(ステップS6−OK)、その受信したデータフレームを共通データに変換し(ステップS7)、中央処理部34に送信する(ステップS8)。
中央処理部34は、上位レイヤ31及び中間レイヤ32のそれぞれから出力された共通データを受信すると(ステップS9)、その共通データのデータフレームのヘッダ(トップデータ)がコンバータC11(30)の階層アドレス(L*)か、又は自己よりも大きな階層アドレスを持っているか否かを判定し(ステップS10)、その判定の結果、ヘッダがいずれかの階層アドレスを持っている場合(ステップS10−Y)には、その共通データのデータフレームを下位レイヤ33に出力する(ステップS11)。
下位レイヤ33では、中央処理部34からその共通データを受信すると(ステップS12)、下位レイヤ33が有するシステムS11(40)の各室内機の状態メモリにそのデータを記憶させ(ステップS13)、システムS11(40)用のデータ変換及びプロトコル変換を行った後(ステップS14)、下位レイヤ33から各室内機に出力する。
コンバータC11(30)の下位レイヤ33は、ローカルシステムS11(40)の通信ハードウェアを搭載し、ローカルシステムS11(40)内の室内(外)機群を制御する。下位レイヤ33はローカルシステムS11(40)のローカルネットワークの一部として動作する(ローカルシステムS11がネットワークである必要はない。室内機と下位レイヤ33との1対1制御でも良い)。
次に、図26を参照して、コンバータC11(30)が状態情報の情報フレームを入力したときの動作について説明する。
図26に示すように、コンバータC11(30)の下位レイヤ33がシステムS11の各室内機から情報フレームを受信すると、データチェックを行い(ステップS1)、その結果、正規に受信していれば(ステップS2−OK)、共通データに変換する(ステップS3)。その共通データは、下位レイヤ33の各室内機毎の状態メモリに記憶された後に(ステップS4)、下位レイヤ33から中央処理部34に送信される(ステップS5)。
コンバータC11(30)の中央処理部34は、下位レイヤ33から情報フレームの共通データを受信すると(ステップS6)、有効データか否かを判定し(ステップS7)、その判定の結果、有効であれば(ステップS7−Y)、その共通データを上位レイヤ31に送信する(ステップS8)と共に、中間レイヤ32に送信する(ステップS9)。
コンバータC11(30)の上位レイヤ31は、中央処理部34から情報フレームの共通データを受信すると(ステップS10)、その共通データについて、バスCB1用のデータ変換及びプロトコル変換を行った後(ステップS11)、上位レイヤ31からバスCB1に出力する。
また、コンバータC11(30)の中間レイヤ32は、中央処理部34から情報フレームの共通データを受信すると、その受信したデータが有効データか否かを判定し(ステップS12)、その判定の結果、有効なデータであれば(ステップS12−Y)、Ctrl1(51)における表示、警報などの処理が行なわれる(ステップS13)。
次に、コンバータC10(30)について説明する。
コンバータC10(30)もコンバータC11(30)と同様に、ローカルシステムS10を包括している。但し、制御装置(51)が接続されていないので、中間レイヤ32は存在しない。
コンバータC10(30)およびコンバータC11(30)の上位レイヤ31は、基幹バスCB1上でネットワークを構成する。しかしながら、コンバータC10(30)とコンバータC11(30)とは並列接続なので制御上の相関はなく、各コンバータC10(30),C11(30)は、独立してローカルシステムS10(40),S11(40)を自律的に監視している。
これらのコンバータ(C10、C11)(30)は、コンバータC00(30)により統括制御される。基幹バスCB1から見れば、ローカルシステムS10(40)とS11(40)の構成はコンバータ(C10、C11)(30)により隠蔽されて直視出来ないが、コンバータ(C10、C11)(30)のデータ変換により、あたかもネット上に2つのグループが共存しているごとく制御が行える。
次に、コンバータC12(30)について説明する。
コンバータC12(30)は、基幹バスCB1と基幹バスCB2とのブリッジ機能を提供する。コンバータC12(30)の上位レイヤ31には、基幹バスCB1と通信を行うためのハードウェアおよびソフトウェアが搭載され、これはコンバータC10(30)、C11(30)の上位レイヤ31と同じものである。また、コンバータC12(30)の下位レイヤ33には基幹バスCB2とインタフェースするハードウェアおよびソフトウェアが搭載されている。
図9を参照して、ローカルシステムS10またはローカルシステムS11の具体的構成例について説明する。
符号Ctrl10は、ローカルシステムS11のローカルシステムバスLB10上に懸吊される集中制御装置(LB10内での集中制御装置の意)61であり、同バスLB10上には他に室外機0、室内機0〜が接続される構成を取る。
コンバータC11(図8のコンバータC11と同じ)(30)の下位レイヤ33には、ローカルシステムバスLB10で行なわれる通信のプロトコルに対応したハードウェアおよびソフトウェアが搭載される。同レイヤ33と集中制御装置Ctrl10(61)には、重複しない制御装置アドレスが設定される。具体的には、図9に示す様に、集中制御装置Ctrl10(61)のアドレスはC8H−00Hとされ、コンバータC11(30)の下位レイヤ33のアドレスはC8H−01Hとされる。つまり、コンバータC11(30)の下位レイヤ33をバスLB10に接続することにより、等価的に2台の制御装置51,61が懸吊されたことになる。
なお、室内外機のアドレス例として、室外機アドレスを00H−41H、室内機群を00H−00H、00H−01H〜とする。
図8及び図10に示すように、コンバータC20は、基幹バスCB2とローカルシステムS20とをインタフェースする。図8の例は、ローカルシステムS20がワイヤードリモコンで制御されるシステムであり、具体例として図10の構成とする。
図10に示されるコンバータC20(30)は、図8のコンバータC20(30)と同じものである。コンバータC20(30)の上位レイヤ31は、基幹バスCB2のプロトコルに対応し、下位レイヤ33は図10に示すリモコン系の通信バス方式をエミュレ−トするためのインタフェース装置を備える。符号WRCがワイヤードリモコン62であり、このリモコン63と室内機群とはバスLB20でデイジーチェーン接続されている。
コンバータC20(30)の下位レイヤ33は、上記デイジーチェーン接続内の固有アドレスを持つ。例えば、図10の例では、ワイヤードリモコンWRC(62)のアドレスは00H、コンバータC20(30)の下位レイヤ33のアドレスは01H、室内機0のアドレスは10H、室内機1のアドレスは11H・・・となる。
コンバータC20(30)の中間レイヤ32には、赤外線受光部を備えたハードウェアが搭載され、ワイヤレスリモコン(RC:Ctrl2)51のIR信号を受信する。コンバータC20(30)の上位レイヤ31は、基幹バスCB2に流れる運転制御コマンドを受信し、一旦、共通データに変換する。一方、ワイヤレスリモコンRC(51)から送られてくる中間レイヤ32の運転制御コマンドも共通データに変換され、コンバータC20(30)内で混成される。この混成データは、下位レイヤ33にてワイヤードリモコンWRC系(バスLB20系)のコマンド体系に再構築され、第二のワイヤードリモコンWRCとしてバスLB20上のローカルシステム40を制御する。
つまり、コンバータC20(30)は、本来ワイヤードリモコンWRC(62)の通信機能しか持たないローカルシステムS20(40)に、赤外線制御機能を提供したことになる。同時に、コンバータC20(30)は、上位レイヤ31を搭載することにより、上位レベルL0、L1からの集中制御も可能になる。
この様に、コンバータC20(30)では、中間レイヤ32のハードウェアが換装されていることにより、新たな制御経路を提供できる。例えば、モデムのデバイスを搭載すれば、電話回線からも制御を行うことが出来る。
制御装置(Ctrl*)51の制御管理規則について補足する。
制御装置(Ctrl*)51は、コンバータ(C**)(30)のレイヤ31〜33によって、その管理範囲が決まる。以下に具体的に説明する。
制御装置Ctrl0(51)から発行される運転制御コマンドは、基幹バスCB1に懸吊される被制御装置群および該被制御装置群の配下に階層的に接続されるすべての被制御装置群に対して有効とされる。
制御装置Ctrl1(51)から発行される運転制御コマンドは、コンバータC11(30)の下位レイヤ33以下に存在するすべての被制御装置群に対して有効とされる(ローカルシステムS11(40)に対してのみ有効)。
制御装置Ctrl2(51)から発行される運転制御コマンドは、ローカルシステムS20(40)に対してのみ有効で、他のローカルシステム(40)には干渉しない。
つまり、運転制御コマンドは上位レベルL*から下位レベルL*に向かって収束的に機能し、全ネットワークシステム内で運転制御コマンドが発散してデータフレームの衝突による損失やトラフィックの増加などが回避されることが出来る。
図8及び図10を参照して、例として、BMS60からローカルシステムS20(40)内の室内機1(アドレス11H)に対して行なわれる制御の制御フローを説明する。
BMS60内のメモリ装置には、対象となる被制御装置(ローカルシステムS20(40)内の室内機1)のアドレスが3個の複合アドレスとして格納されている。
その複合アドレス値は20H−00H−11Hであり、左から第一アドレス、第二アドレス、第三アドレスとする。第一アドレスはコンバータ30を指定するアドレスであり、ネットワークのブリッジで適用される。第二アドレスは被制御系を示すサブネットであり、第三アドレスは各ノードの固有アドレスとなる。
第二アドレス(サブネットアドレス)は特殊な働きをする。図9に例示したローカルシステムS11(40)の様に、ネットワークエアコンシステムは、冷媒回路で区切られることが多い。図9中の符号G0、G1がそれであり、冷媒配管で接続された室外機と室内機群とが一塊として扱われる。その中で更に室内外機群に固有のノードアドレス(第三アドレス)が割り振られる。
しかしながら、図10に例示した様に、小型の空調システム(ローカルシステムS20)ではノードアドレスのみで構成されているものも少なくない。つまり、空調システムには第二と第三アドレス(サブネットアドレス+ノードアドレス)とで構成されるシステム(例えばローカルシステムS11(40))と、第三アドレス(ノードアドレス)のみで構成されるシステム(例えばローカルシステムS20(40))とがある。但し、空調システムの共通化を図る上では、被制御系のアドレス体系を区別することは好ましくない。そこで、第二アドレスにはダミー的な意味を定義する。
図9のコンバータC11(30)の上位レイヤ31は3つの複合アドレスを認識する。11H−00H−00H、11H−00H−01H・・・11H−00H−41Hがそれである。ここで、第一アドレスの11Hは、コンバータC11(30)を意味している。第二アドレスの00Hは、サブネットアドレスとして、図9中のG0、G1に示すように、同じ冷媒配管で接続された室内外機群を意味している。第三アドレスは、サブネット内で重複しないノードアドレスである。
また、コンバータC11(30)の下位レイヤ33は、第一アドレスを破棄し(第一アドレスはコンバータC11を意味しており、ここでは不要なので破棄)、第二アドレスと第三アドレスでノードの特定を行う。同図中の00H−00H、00H−01H・・・00H−41Hが下位レイヤ33で扱うアドレス群である。
一方、図10のローカルシステムS20(40)では第二アドレスが存在しない。そこで、ネットワークシステム上は仮想の第二アドレス(00H)をダミ−として付加する。コンバータC20(30)の上位レイヤ31は、20H−00H−10H、20H−00H−11H・・・を認識し、下位レイヤ33は10H、11Hのみを認識する。コンバータC20(30)の下位レイヤ33は、第二アドレスを仮想値として破棄するわけである。
図8において、BMS60は、20H−00H−11Hをヘッダとして運転制御コマンドを作成し、更にこれらのデータを基幹バスCB0のデータフレームの部分要素(TCPフレームのデータ部)として基幹バスCB0に発行する。
コンバータC00(30)の上位レイヤ31は、基幹バスCB0から受信したデータを解析(パケット処理やデータ部の抜き出しなど)し、第一アドレスを参照する。このアドレスからレベル判定を行い、自己レベル(レベルL0)より劣位(レベルL1以上)であれば運転制御コマンドを共通データに変換して、コンバータC00の中央処理部34(図8では図示せず)へ回送する。
コンバータC00(30)の下位レイヤ33は、中央処理部34からアドレスヘッダと共通データとを受け取り、基幹バスCB1に準拠したデータフレームを再構築する。
レベルL1では、コンバータC10、C11、C12、C13(30)の上位レイヤ31が上記データフレームを受信するが、ここで第一アドレスが有効になるのはコンバータC12(30)のみである。他のコンバータ30の下位レイヤ33は、自己が最下層に位置しているので、上記データフレームを破棄する。
運転制御コマンドは、同様にコンバータC20(30)の上位レイヤ31を経由し、最終的にコンバータC20(30)の下位レイヤ33まで伝達される。コンバータC20(30)の下位レイヤ33は、第二アドレスを無視し室内機1のアドレス(第三アドレス)をヘッダとした運転制御コマンドのフレームを再構築し、ローカルバスLB20(図10参照)へ送出する。室内機0はフレームを破棄し、室内機1のみが運転制御コマンドを受理する。
次に、状態情報のフローについて説明する。
状態情報は、モニタ系の信号であり、運転制御コマンドとは逆の経路を辿る。すなわち、下位レベルL*から上位レベルL*に向かって発散的に流れる。
図8に於いて、ローカルシステムS20(40)からローカルバスLB20へ出力される個体情報(室内外機の実動作状態や設定値など)は、コンバータC20(30)の下位レイヤ33で受信され、一旦、下位レイヤ33で共通データに変換された後、上位レイヤ31で基幹バスCB2に準拠する状態情報フレームに再構築されて出力される。
また、コンバータ30が提供するもう一つの機能として、センサ情報の収集がある。コンバータC21は、下位レイヤ33を持たない構成であり、中間レイヤ32にセンサM2(50)を接続可能なハードウェアおよびソフトウェアを搭載している。
センサM2(50)から入力されたセンサ情報は、中間レイヤ32で一旦、共通データに分解された後、上位レイヤ31で基幹バスCB2に準拠するデータフレームに再構築され、センサ情報フレームとして出力される。
情報フレームは、アドレスヘッダとして少なくとも第一アドレスのみが書き込まれている。制御フレームが宛先のアドレスヘッダを記述するのに対し、状態情報フレームは送信元が書き込まれる。
基幹バスCB2上の状態情報フレームおよびセンサ情報フレーム(以下、共通フレームとして情報フレームと記述)は、コンバータC12(30)の下位レイヤ33が受信し、同様の内部変換を行った後、基幹バスCB1に送出される。
基幹バスCB1上の情報フレームは、コンバータC00(30)の下位レイヤ31が受信する。また、情報フレームは、コンバータC10、C11(30)の上位レイヤ31では受信されるが、第一アドレスを判定し自己レベルより劣位の場合は、コンバータの整流定義に則り破棄される。
コンバータC00(30)では、情報フレームが中間レイヤ32と上位レイヤ31に回送され、制御装置Ctrl0(51)で状態表示を行う。もし、制御装置Ctrl0(51)が該データフレームを必要としなければ、制御装置Ctrl0(51)の内部で該フレームデータを破棄する。
コンバータC00(30)の上位レイヤ31から、基幹バスCB0に出力された情報フレームは、BMS60で受信され必要な情報が表示される。BMS60は、ローカルシステムS20(40)内の被制御機器の個体アドレスが既知であることはもちろんのこと、センサM2(50)に関してもプロパティを知っている。例えば、センサM2(50)が室外の温度センサであれば、BMS60内では第一アドレス21Hの状態フレームを受信した場合、温度情報として画面に表示する。また、ローカルシステムS20(30)内の室内機情報であれば、第二アドレスがダミ−であり、どの室内機の運転状態なのかも既に登録されている。BMS60は、しかるべき形でこれらの情報を表示することが可能である。
図8のコンバータC13(30)とセンサM1(50)も同様である。レベルL1の状態フレームは、劣位であるレベルL2には反映されない。コンバータC10、C11、C12の上位レイヤ31は、この情報フレームを破棄する。
センサ例として、センサM1(50)は電力量計でも良い。例えば、ローカルシステムS20(40)の電力供給系統のみを電力量計M1を経由して接続すれば、電力量計M1はローカルシステムS20(40)の消費電力量を優位レベル(最大でレベルL0)に伝えることが出来る。また、BMS60はOAバス(CB0)に接続されているので、これらの電力量を遙か遠方の表示端末(図示せず)へ送出することも可能であろう。
次に、図11−1及び図11−2を参照して、コンバータ(C**)30におけるデータの変換処理について説明する。図11−1は、制御フレームの変換処理を示し、図11−2は、情報フレームの変換処理を示している。
上位レイヤ31は、制御コード変換テーブル31ta(図11−3)と、情報コード変換テーブル31tb(図11−4)を有している。中間レイヤ32は、制御コード変換テーブル32ta(図11−5)と、情報コード変換テーブル32tb(図11−6)を有している。下位レイヤ33は、制御コード変換テーブル33ta(図11−7)と、情報コード変換テーブル33tb(図11−8)を有している。
まず、図11−1を参照して、制御コードについて説明する。
図11−1の例では、図11−3、図11−5及び図11−7に示すように、データの意味付けとして、データ(制御コード)Bu=データ(制御コード)Cm=データ(制御コード)Ab=データ(制御コード)Cとする。
コンバータ30の上位レイヤ31にBuなるデータの入力があった場合、上位レイヤ31では、制御コード変換テーブル31taが参照されて、データBuに対応する共通データとしてデータCに変換される。そのデータCは、上位レイヤ31から中央処理部34に出力される。
同様に、中間レイヤ32にデータCmが入力された場合、中間レイヤ32では、制御コード変換テーブル32taが参照されて、データCmがデータCに変換される。そのデータCは、中間レイヤ32から中央処理部34に出力される。
中央処理部34は、送信先のアドレスを含めて、上位レイヤ31又は中間レイヤ32から入力したデータCをバッファする。中央処理部34は、データCを下位レイヤ33に出力する。
下位レイヤ33は、中央処理部34からデータCを受け取ると、制御コード変換テーブル33taを参照して、データCを制御コードAbに再変換して、直下の基幹バスまたは被制御装置群に送出する。
次に、図11−2を参照して、情報コードについて説明する。
図11−2の例では、図11−4、図11−6及び図11−8に示すように、データ互換定義がデータ(情報コード)3b=データ(情報コード)2m=データ(情報コード)1u=データ(情報コード)2として説明する。
下位レイヤ33に入力された情報フレーム3bは、下位レイヤ33において、情報コード変換テーブル33tbが参照されて、共通データとして2に変換される。下位レイヤ33は、その変換後の共通データ2を中央処理部34に出力する。中央処理部34は、入力した共通データ2を上位レイヤ31及び中間レイヤ32のそれぞれに出力する。
中央処理部34から2のデータを受け取った上位レイヤ31では、情報コード変換テーブル31tbが参照されて、共通データ2が情報コード1uに再変換され、直上の基幹バスへ送出される。また、同様に、中央処理部34から2の共通データを受け取った中間レイヤ32では、情報コード変換テーブル32tbが参照されて、共通データ2がデータ2mに変換され、中間レイヤ32に接続されている表示装置に送出される(不必要なデータは各レイヤで破棄される)。
上記のように、本実施形態の空調システムでは、中央制御装置などのような空調ブロックを制御する側は、ある空調ブロックの空調機器の制御コード(上記例では、制御コードAb、Bb・・・*b)を把握していなくても、結果として、その空調ブロックに対して適切な制御コード(上記例では、制御コードAb、Bb・・・*b)が送信されて、その空調機器を制御することができる。即ち、空調ブロックが増設される際には、制御装置などのようなその空調ブロックを制御する側から出力される制御コード(上記例では、制御コードAu、Bu・・・*uや、制御コードAm、Bm・・・*m)を、その空調ブロックの制御コード(上記例では、制御コードAb、Bb・・・*b)に変換するためのコンバータ30と共に、その空調ブロックが増設されれば、その空調ブロックを制御する側は、その空調ブロックの制御コードを把握(登録)している必要はない。情報コードについても同様である。
このように、本実施形態の空調システムでは、空調ブロックの増設に際しては、空調機器の制御コードに変換する機能を有するコンバータとともに空調ブロックの増設を行うだけで済み、増設した空調ブロックの制御コードを中央制御装置に登録する作業が不要であるため、機器増設の柔軟性が向上する。このことは、情報コードについても同様である。
次に、図12〜図22を参照して、コンバータ(C**)(30)内部でのデータ変換例についてより具体的に説明する。ここでは、制御フレーム(制御情報)の処理(図11−1参照)について説明する。但し、コンバータ(C**)(30)内部でのデータ変換の方法は、状態フレームの処理(図11−2参照)についても同様である。
図12に示すように、制御フレーム(CF0)によって、コンバータ2(コンバータアドレス:(L)/(N))(30c)に接続された室内機4(ノードアドレス:00−01)を制御する場合を説明する。
(1)制御フレーム(CF0)の構成
上位バス201(CB*)を流れる制御フレーム(CF0)のデータ構成を図14の様に定義する。図14に示すように、制御フレーム(CF0)のデータフォーマットは、先頭から、ヘッダ101、宛先フィールド102(以下、宛先102)、内機宛先フィールド103(内機宛先103)、運転/停止フィールド104(以下、運転/停止104)、設定温度フィールド105(以下、設定温度105)、運転モードフィールド106(以下、運転モード106)の順に構成される。
ヘッダ(HCF0)101は、上位バス201においてデータフレームが識別されるためのヘッダである。宛先((L)/(N))102は、送信先のコンバータ2(30c)のアドレスである。内機宛先(00−01)103は、対象のコンバータ2(30c)に接続された室内機4のアドレスを表す。
また、制御フレーム(CF0)において、V*0(104〜106)は、上位バス201を流れる制御フレーム(CF0)のコード形式(データ形式)において、室内機4の運転状態を制御するための具体的なコードを示している。図14に示すように、上位バス201を流れる制御フレーム(CF0)において、運転/停止104の具体的コードはVa0であり、設定温度105の具体的コードはVc0であり、運転モード106の具体的コードはVb0であるとする。
(2)コンバータ0(30)のトップレイヤ31動作
上位バス201において伝送される制御フレーム(CF0)は、まずコンバータ0(30a)のトップレイヤ(上位レイヤ,図13の符号31参照)で受信される。図12に示すように、コンバータ30には、それぞれ個別のアドレス(コンバータアドレス)が割り当てられている。コンバータ0(30a)のアドレス(L−1)/(N)は、階層アドレス(縦方向)が(L−1)で、ノード(横方向)が(N)であることを示している。同様に、コンバータ1(30b)のアドレス(L)/(N−1)は、階層アドレス(縦方向)が(L)で、ノード(横方向)が(N−1)であることを示し、コンバータ2(30c)のアドレス(L)/(N)は、階層アドレス(縦方向)が(L)で、ノード(横方向)が(N)であることを示している。
コンバータ0(30a)のトップレイヤ31では、受信した制御フレーム(CF0)を共通データに変換する。ここで、共通データとは、予め設定された所定のデータフォーマット及びコード形式を有するデータを意味する。共通データは、各コンバータ30ともに既知であり、全てのコンバータ30に共通である。
共通データのデータフォーマットを図15に示すように定義する(データ部のみ)。共通データフォーマットは、先頭から、運転/停止フィールド111(以下、運転/停止111)、運転モードフィールド112(以下、運転モード112)、設定温度フィールド113(以下、設定温度113)、風量フィールド114(以下、風量114)の順に構成される。図15において、Va〜Vdは、それぞれ、共通データのコード形式に変換された後の、運転/停止111、運転モード112、設定温度113、風量114の具体的コード例を示している。
コンバータ0(30a)のトップレイヤ31において、制御フレーム(CF0)が受信されると、トップレイヤ31内で図16に示すようなデータ変換(コード変換及びフォーマット変換)が行われて、共通データが生成される。図16において、図14に示した、ヘッダ101、宛先102、内機宛先103、運転/停止104、設定温度105、及び運転モード106から構成される制御フレーム(CF0)は、トップレイヤ31において、データ変換が行われた結果、宛先102、内機宛先103、運転/停止111、運転モード112、設定温度113、及び風量114から構成される共通データに変換される。
図16に示すように、共通データでは、まず、ヘッダ(HCF0)101(図14参照)は、コンバータ0(30a)に受信された後は不要となるため、削除される。宛先((L)/(N))102及び内機宛先(00−01)103は、制御フレーム(CF0)から、そのコード及びフィールドの位置がそのままとされる。
制御フレーム(CF0)が共通データにデータ変換されると、制御フレーム(CF0)の運転/停止104のコード:Va0(図14参照)は、共通データのデータ部の先頭の位置において、運転/停止111のコード:Vaに変換される。同様に、設定温度105のコード:Vc0は、データ部の後ろから2番目において、設定温度113のコード:Vcに変換される。運転モード106のコード:Vb0は、データ部の先頭から2番目において、運転モード112のコード:Vbに変換される。
トップレイヤ31における上記データ変換は、トップレイヤ31に記憶されたテーブル(例えば図11−3の上記レイヤ制御コード変換テーブル31taのようなもの)が参照されることにより行われることができる(後述するボトムレイヤ33及びミドルレイヤ32のそれぞれにおけるデータ変換に際しても、同様に、それぞれボトムレイヤ33、ミドルレイヤ32に記憶されたテーブルが参照されることにより行われることができる)。これらのテーブルにおいては、いずれも共通データに紐付けされている。
ここでは、上位バス201において伝送される制御フレーム(CF0)には、風量を示すコードが含まれていないので、データ変換の後の共通データでは、データ部の最後において、風量114として、未設定コード(NuLL)が設定される。
コンバータ0(30a)のトップレイヤ31において、図16に示すようなデータ変換がなされて、共通化コード(共通データ)に変換された制御フレームは、コンバータ0(30a)の中央処理部34へ送られ、自己階層アドレスか或いは自己より大きな階層アドレスを持っているかをチェックし、該当する場合は中央処理部34のバッファにスタックされてタイミング調整が図られるとともに、ミドルレイヤ32またはボトムレイヤ33、或いはミドルレイヤ32とボトムレイヤ33の両方への回送が決められる。フレームの破棄処理もこの中央処理部34において行なわれる。共通データにおいて、宛先102の(L)/(N)の(L)は、自己の階層(レベル)である(L−1)よりも大きな階層アドレスであることを示している。この例では、共通データは、中央処理部34からボトムレイヤ33に回送される。
(3)コンバータ0(30a)のボトムレイヤ33の動作
コンバータ0(30a)のボトムレイヤ33では、中央処理部34から回送されてきた共通データを、図17に示すように、下位バス202のコードセットに変換し、制御フレームCF1(図12参照)を生成する。この制御フレームCF1は、下位バス202での通信で用いられる所定のデータフォーマットを有する信号である。
制御フレーム(CF1)の生成に際しては、まず、下位バス202において、データフレームCF1が識別されるためのヘッダ(HCF1)120が付加され、宛先((L)/(N))102及び内機宛先(00−01)103は、共通データからそのままとされる。
共通データが制御フレーム(CF1)にデータ変換されると、共通データの運転/停止111のコード:Vaは、制御フレーム(CF1)のデータ部の先頭の位置において、運転/停止121のコード:Va1に変換される。同様に、運転モード112のコード:Vbは、データ部の最後において、運転モード123のコード:Vb1に変換される。設定温度113のコード:Vcは、データ部の後ろから2番目において、設定温度122のコード:Vc1に変換される。風量114のコード:Nullは、削除される。
コンバータ0(30a)のボトムレイヤ33にて生成された制御フレーム(CF1)は、下位バス202に送出される。そのコンバータ0(30a)のボトムレイヤ33から出力された制御フレーム(CF1)は、コンバータ1(30b)とコンバータ2(30c)の両方のトップレイヤ31で受信される。コンバータ1(30b)では、コンバータ1(30b)のアドレス(コンバータ1アドレス:(L)/(N−1))と、制御フレーム(CF1)の宛先((L)/(N))102とが一致しない。制御フレーム(CF1)の宛先((L)/(N))102の階層もL宛なので、この制御フレーム(CF1)は破棄扱いとなる。よって、以下は、コンバータ2(30c)の動作についてのみ説明する。
(4)コンバータ2(30c)のトップレイヤ31の動作
図18に示すように、コンバータ2(30c)のトップレイヤ31では、再度、共通データへのデータ変換が行われる。図18において、図17に示した、ヘッダ120、宛先102、内機宛先103、運転/停止121、設定温度122、及び運転モード123から構成される制御フレーム(CF1)は、コンバータ2(30c)のトップレイヤ31において、データ変換が行われた結果、宛先102、内機宛先103、運転/停止111、運転モード112、設定温度113、及び風量114から構成される共通データに変換される。
図18に示すように、共通データでは、まず、ヘッダ(HCF0)120(図17参照)は、コンバータ2(30c)に受信された後は不要となるため、削除される。宛先((L)/(N))102及び内機宛先(00−01)103は、制御フレーム(CF1)から、そのコード及びフィールドの位置がそのままとされる。
制御フレーム(CF1)が共通データにデータ変換されると、制御フレーム(CF1)の運転/停止121のコード:Va1(図17参照)は、共通データのデータ部の先頭の位置において、運転/停止111のコード:Vaに変換される。同様に、設定温度122のコード:Vc1は、データ部の後ろから2番目において、設定温度113のコード:Vcに変換される。運転モード123のコード:Vb1は、データ部の先頭から2番目において、運転モード112のコード:Vbに変換される。
上記のように、コンバータ2(30c)のトップレイヤ31において、共通コードに変換された制御フレームは、コンバータ2(30c)の中央処理部34へ送られる。コンバータ2(30c)の中央処理部34は、宛先102のコード((L)/(N))と自己コンバータアドレスとが一致するので、この制御フレームをボトムレイヤ33へ回送する。
(5)コンバータ2(30c)のミドルレイヤ32の動作
図12に示すように、コンバータ2(30c)のミドルレイヤ32には、リモコン50が接続されている。このリモコン50からユーザが操作を行うと、その操作に対応する制御内容を示す制御フレーム(CF2)がコンバータ2(30c)のミドルレイヤ32に入力される。コンバータ2(30c)のミドルレイヤ32では、図19に示される様に、制御フレーム(CF2)が共通データに変換される。
図19において、リモコン50からミドルレイヤ32に入力された制御フレーム(CF2)は、宛先102、内機宛先103、運転/停止131、運転モード132、設定温度133及び風量134から構成されている。この制御フレーム(CF2)は、コンバータ2(30c)のミドルレイヤ32において、データ変換が行われた結果、宛先102、内機宛先103、運転/停止111、運転モード112、設定温度113、及び風量114から構成される共通データに変換される。
図19に示すように、共通データでは、宛先((L)/(N))102及び内機宛先(00−01)103は、制御フレーム(CF2)から、そのコード及びフィールドの位置がそのままとされる。
制御フレーム(CF2)が共通データにデータ変換されると、制御フレーム(CF2)の運転/停止131のコード:Va2は、共通データのデータ部の先頭の位置において、運転/停止111のコード:Vaに変換される。同様に、運転モード131のコード:Vb2は、データ部の先頭から2番目において、運転モード112のコード:Vbに変換される。設定温度133のコード:Vc2は、データ部の後ろから2番目において、設定温度113のコード:Vcに変換される。風量134のコード:Vd2は、データ部の最後において、風量114のコード:Vdに変換される。
上記のように、コンバータ2(30c)のミドルレイヤ32において、共通コードに変換された制御フレームは、コンバータ2(30c)の中央処理部34へ送られる。コンバータ2(30c)の中央処理部34は、リモコン50から送信されたデータフレームの宛先102のコード((L)/(N))と自己コンバータアドレスとが一致するので、この制御フレームをボトムレイヤ33へ回送する。
(6)コンバータ2(30c)のボトムレイヤ33の動作
図12に示すように、コンバータ2(30c)のボトムレイヤ33は、室内機3〜5で構成されたネットワーク空調システムに直結している。空調システムに直近のコンバータ2(30c)(そのボトムレイヤ33)は、空調システムに直結されていない中間動作のコンバータ0(30a)と比較して、より室内機3〜5の制御動作に近い機能を持つ。コンバータ2(30c)(そのボトムレイヤ33)は、室内機3〜5に対して、仮想的なリモコン動作を行うこともある。
このことから、図20に示すように、コンバータ2(30c)のボトムレイヤ33は、室内機3〜5のそれぞれに対する運転制御コマンドを保存しておく状態メモリ35を各室内機3〜5の台数分(3つ)有している。状態メモリ35は、制御フレームのデータ部に対応して、運転/停止メモリエリア35aと、運転モードメモリエリア35bと、設定温度メモリエリア35cと、風量メモリエリア35dとを有している。
上記(4)及び(5)でそれぞれ生成された共通データは、室内機4用の状態メモリ35に書き込まれる。以下、図21を参照して説明する。
コンバータ2(30c)のボトムレイヤ33では、中央処理部34から回送されてきた共通データを、図21に示すように、室内機3〜5で構成されたネットワーク空調システム用の制御データ(コードセット)に変換する。この変換後のデータは、室内機3〜5で構成されたネットワーク空調システムの制御に直接用いられる所定のコード(形式)及びデータフォーマットを有する制御フレーム(CF3)に対応するデータである。
図21に示すように、コンバータ2(30c)のボトムレイヤ33におけるデータ変換に際しては、下位バス202から回送されたデータと、リモコン50から回送されたデータのいずれに対しても、コンバータ2(30d)のコンバータアドレスを示す宛先((L)/(N))102及び制御対象の室内機4のノードアドレスを示す内機宛先(00−01)103は、削除される。
中央処理部34からボトムレイヤ33に送られたデータ(下位バス202から回送されたデータと、リモコン50から回送されたデータのいずれをも含む)が、室内機3〜5の制御フレーム(CF3)に対応するデータにデータ変換されると、共通データの運転/停止111のコード:Vaは、制御データの先頭の位置において、運転/停止141のコード:Va3に変換される。同様に、運転モード112のコード:Vbは、制御データの2番目の位置において、運転モード142のコード:Vb3に変換される。設定温度113のコード:Vcは、データ部の後ろから2番目において、設定温度143のコード:Vc3に変換される。風量114のコードは、下位バス202から回送されたデータでは、Nullであり、リモコン50から回送されたデータでは、Vdであるため、そのコードVdが設定温度144のコード:Vd3に変換される。
コンバータ2(30c)のボトムレイヤ33に対しては、中央処理部34から、下位バス202から回送されたデータ(図18参照)と、リモコン50から回送されたデータ(図19参照)とが送られる。それらのデータのうちいずれが優先されるかについては、状態メモリ35では、基本的にオーバーライト扱いとされる。即ち、時間的に後から送信されたデータが優先される(上書きされる)。中央処理部34に対して、下位バス202から回送されたデータ(図18参照)と、リモコン50から回送されたデータ(図19参照)とが同時に入力された場合には、中央処理部34は、リモコン50から回送されたデータから先にボトムレイヤ33に出力し、その後で、下位バス202から回送されたデータをボトムレイヤ33に出力する。但し、図21に示すように、下位バス202から回送されたデータには、風量データが含まれていないため、制御フレーム(CF3)に対応するデータにおいて、風量データは、リモコン50から回送されたデータに含まれる風量データの値が採用される。
次に、図22に示すように、コンバータ2(30c)のボトムレイヤ33は、図21の状態メモリ35に書き込まれた制御フレーム(CF3)に対応するデータに基づいて、制御フレーム(CF3)を生成して室内機4を制御する。ボトムレイヤ33では、状態メモリ35のデータに対して、伝送路203でデータフレーム(CF3)が識別されるためのヘッダ(HCF3)151と、内機宛先(00−01)103が付加されて、制御フレーム(CF3)が生成される。その制御フレーム(CF3)は、コンバータ2(30c)のボトムレイヤ33から室内機4に送られて、室内機4が制御される。
コンバータ2(30c)のボトムレイヤ33は、状態メモリ35に記憶された制御フレーム(CF3)に対応するデータと、室内機4に送られた制御フレーム(CF3)のデータが一致しているか否かをチェックする。
上記の第1実施形態によれば、以下の項が開示される。
(1)ネットワークで複数の空調装置を集中管理するネットワーク空調システムに於いて、マトリクス状に配置およびアドレッシングされたコンバータによって、空調システムを物理的および論理的に分割することにより、空調システムの拡張や縮小を柔軟に行うことを特徴とする。
(2)コンバータの入出力関係から異なるネットワークバス間の上下レベルを、また同一レベル上に懸吊されるコンバータを横系列と定義し、レベルと系列によってコンバータの固有アドレスを成すことにより、マトリクス状に配置されたコンバータによって、空調システムネットワーク上の座標指定を行うことを特徴とし、上記(1)の機能を実現する。
(3)コンバータに1台以上の室内機および室外機の通信系統が懸吊された形態を最小単位として、これを各レベルのネットワークバスに懸吊し、コンバータの入出力間でデータ変換することにより、室内外機群が独立したシステムであっても、上位レベルからは同一のシステムと認識可能な構成を特徴とする。
(4)コンバータの入出力関係による上下レベルに優位性を定義し、室内外機などの運転制御系のコマンドは上位から下位に、また状態情報などは下位から上位に流れる様にすることにより、マトリクス状の複雑なネットワーク構成であっても、データフレームが発散することなく、効率的に情報伝達を可能とすることを特徴とする。
(5)コンバータの内部構成を、物理的あるいは論理的に、少なくとも上位と下位のレイヤに分断し、各レイヤではそれぞれのプロトコル専用インタフェースを提供し、一方、内部でコンバータに共通したデータに変換することによって、各レベル間を等価的に結合することが可能となり、コンバータの汎用性の高めることを特徴とする。
(6)コンバータに中間レイヤを設け、このレイヤに専用のインタフェース機能を持たせ、ここに制御装置やセンサ類を接続することにより、ネットワーク空調システムに任意の制御機能と情報収集機能とを提供することを特徴とする。
(7)中間レイヤに制御装置を取り付けたコンバータに於いて、この制御装置からは、該コンバータより下位レベルのみを制御対象とすることにより、制御装置の増加に伴いネットワーク内の制御信号が煩雑化することを抑えることを特徴とする。
(8)中間レイヤにセンサ装置を取り付けたコンバータに於いて、このセンサ装置からは、該コンバータより上位レベルのみにセンサ情報を回送することにより、センサデータによるネットワーク内の信号が煩雑化することを抑えることを特徴とする。
(9)中間レイヤに電力量計を取り付け、任意の電力線を該電力量計を経由して接続することにより、上位レベルで電力量を計測することを特徴とする。
(10)中間レイヤに2次的な通信機能(赤外線受光装置やモデム機能など)を持たせることにより、下位レイヤの空調機システムに本来は持ち合わせていなかった制御機能を追加することが可能となることを特徴とする。
(11)上位レイヤ、中間レイヤ、下位レイヤを別個のハードウェア基板として、必要な基板のみを組み合わせてコンバータを構築することにより、汎用性と廉価性とを兼ね備えたコンバータを提供することを特徴とする。
(12)空調ネットワークシステム内の個体識別アドレスを、第一アドレス、第二アドレス、第三アドレスの3要素で構成し、第一アドレスをコンバータの固有アドレス(上記(1)〜(3))とし、第二アドレスを冷媒回路などを単位とする中間アドレス、第三アドレスを室内外機などの固有ノードアドレスとすることを特徴とする。
第一アドレスはコンバータで構成される空調ネットワークの特定座標を示し、冷媒系アドレスとノードアドレスとで構成される室内外機群を制御対象とする時は、第二アドレスと第三アドレスとを使用し、ノードアドレスしか使用しない室内外機群の制御には第三アドレスのみを使用して、汎用性を高めることを特徴とする。
(13)空調ネットワークの上位レベルからのコマンドには、第一アドレス、第二アドレス、第三アドレスすべてを指定し、被制御機器群が第二アドレスを必要としない場合は、被制御機器群の直上のコンバータ下位レイヤで第二アドレスをダミ−アドレスとして破棄する機能を持たせることにより、第二アドレスの有無に関わらず汎用的な制御システムを構築することを特徴とする。
(14)本実施形態の空調システムは、図1−1に示すように、第1バス205に接続され、第1バス205を流れる第1信号をコード変換して、第1被制御機器40を制御するための第1制御信号を生成し、第1制御信号を第1被制御機器40に提供する第1コンバータ30と、第1バス205に接続され、第1バス205を流れる第1信号をコード変換して、第2被制御機器40を制御するための上記第1制御信号とはコードが異なる第2制御信号を生成し、第2制御信号を第2被制御機器40に提供する第2コンバータ30とを備えている。
(15)本実施形態の空調システムは、図1−2に示すように、上記(14)において、更に、第1バス205及び第1バス205に対して上位に階層的に設けられた第2バス206に接続され、第2バス206を流れる第2信号を第1バス205を流れる第1信号に変換する第3コンバータ30を備えている。第3コンバータ30は、第2バス206と第1バス205の伝送路間においてコード変換を行なう。
(16)本実施形態の空調システムは、図1−3に示すように、上記(14)又は(15)において、更に、第1バス205及び第1バス205に対して下位に階層的に設けられた第3バス207に接続され、第1バス205を流れる第1信号を第3バス207で通信されるための第3信号に変換し、又は、第3バス207を流れる第3信号を第1バスで通信されるための第1信号に変換する第4コンバータ30を備えている。第4コンバータ30は、第3バス207と第1バス205の伝送路間においてコード変換を行なう。
(17)本実施形態の空調システムは、上記(15)において、第3コンバータ30に接続された外部装置50を備え、第3コンバータ30は、外部装置50から入力された外部入力信号に基づいて、第1バス205を流れる第1信号を生成し、その第1信号を第1バス205に提供する。
(18)本実施形態の空調システムは、上記(15)において、第3コンバータ30に接続された外部装置50を備え、第3コンバータ30は、第1バス205を流れる第1信号を外部装置50と通信されるための外部設定信号に変換する。
上記事項により以下の効果が得られる。
上記(1)〜(3)によれば、コンバータでマトリクス状に構築されたネットワークを一義的にアドレッシングすることが出来、ネットワークシステム内の位置を特定することが可能となり、また物理的にも論理的には分割することが出来るため、空調ネットワークシステム内で、空調機を増設あるいは移動する様な場合に柔軟に対応できる。
上記(4)によれば、上下レベルを設け、制御系のコマンドは上位から下位に向かって収束的に流し、情報系のフレームは下位から上位に向かって拡散的に流れることになり、マトリクス状に配置された空調ネットワークシステム内の整流作用が提供される。よって、無秩序にネットワーク内でデータが発散することを抑止し、トラフィックの無意味な増加やフレーム衝突によるデータ消失のリスクを軽減することが可能となる。
上記(5)によれば、コンバータの構成を上位レイヤと下位レイヤに分けることにより、それぞれの各基幹バスに対応して独立した設計が可能となり、コンバータの汎用性が極めて高くなる。
上記(6)によれば、コンバータに中間レイヤを設けることによって、汎用的な入出力手段を提供できる。
上記(7)、(8)によれば、コンバータの信号整流作用により、フレーム衝突によるデータ消失やトラフィックを無意味に増加することなく、空調ネットワークシステム内に制御手段と情報収集手段とを設けることが可能となる。
上記(9)によれば、例えば部分的な課金情報が必要な場合、コンバータ経由で電力量を検出し、任意の基幹バスから該情報を引き出すことにより、空調ネットワークシステムに大規模な変更を伴うこともなく、かつ簡単に課金情報のための電力量を得ることが出来、電気代の案分計算などのユーザサービスが可能となる。
上記(10)によれば、コンバータの中間レイヤ機能に2次的な通信手段を設けることが可能となる。ワイヤード系のシステムに赤外線制御機能を付加したり、電話回線を経由して遠方のシステム制御や故障情報の早急な警報通知などに利用可能となる。
上記(11)によれば、上位レイヤ、中間レイヤ、下位レイヤを別基板のハードウェアにすることにより、その組合せで任意のコンバータを提供することが出来る。汎用性が向上するだけでなく、コンバータにかかるコストも新規にコンバータを設計する場合と比べて遙かに軽減できる。
上記(12)、(13)によれば、ネットワークシステムの汎用性を更に高めることが出来る。空調機のネットワーク制御には大別して二つの方式がある。一つは、冷媒回路を一区切りとして、これをサブネットアドレスとし、更にこの冷媒回路内に懸吊される室内外機群等に個別のノードアドレスを付与するものである。もう一つは、家庭用のマルチエアコンなどに代表され、冷媒回路を一つしか定義していない(冷媒回路を示すアドレスがない)システムである。このシステムは室内(外)機とリモコンしかアドレスを持ち合わせない。
空調ネットワークシステム内に上記二つのシステムを混在させたい場合、ネットワークのアドレス体系内でサブネットアドレスの有無を判別することは汎用性を著しく欠くことになり、上位の制御装置と、ローカルシステム直上のコンバータ下位レイヤだけで処理する方が望ましい。アドレスを3要素化し第二アドレスにダミーの意味付けを定義することで、空調ネットワークシステムの汎用性を極めて向上させることが可能となる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、上記第1実施形態のコンバータ(C**)30とローカルシステム(S**)40とのネットワークの詳細に関するものである。
図27は、上記第1実施形態のローカルシステム(S**)40の構成を示す図である。
図27に示すように、ローカルシステム(S**)40は、1台の室外機401と、この室外機401に接続された少なくとも1台の室内機402により構成されている。ローカルシステム(S**)40では、室外機401と室内機402は、ローカルバス403により接続され、ローカルバス403内でのみ運転設定、運転状態データが送受信されている。
次に、第2実施形態の具体的構成について説明する。
以下に述べるように、第2実施形態は、第1〜第8構成例を備えている。
(第1構成例)
上記第1実施形態で述べたように、図27に示した様なローカルシステム(S**)40に対し、図28に示すように、各ローカルシステム(S**)40a〜40dのローカル通信方式を上位バスCB0の通信方式に変換する機能を持つコンバータ30が接続されている。上記第1実施形態で述べたように、コンバータ30は、上記機能の他、上位バス通信方式をローカルバス通信方式に変換する機能を持つ。
各ローカルシステム(S**)40a〜40dに対してコンバータ30を接続し,上位バスCB0に対して各ローカルシステム(S**)40a〜40dを接続可能とする。上位バスCB0からは、集中管理を行うBMS60等により各ローカルシステム(S**)40a〜40dの運転制御を行い、また各空調機の運転状態をモニターする。
図29に示すように、コンバータ30は、上位バスCB0上の上位バスアドレス312を持ち、コンバータ30に接続されている室内外機401,402〜701,702に設定されているアドレス405を取り込み、記憶する機能をもつ。
例えば、図28及び図29に示すように、コントローラ60から室内機1−1(符号502b)に運転開始が命令される場合について説明する。この場合、コントローラ60から送信される運転開始命令は、コンバータ1(符号30b)の上位バスアドレスであるアドレスB(符号312b)と、下の階層に当たる室内機1−1(符号502b)のローカルアドレスであるアドレス2(符号405b)とを宛先とする。
コントローラ60から送信された運転開始命令をコンバータ1(30b)が受信すると、コンバータ1(30b)内で、その宛先がローカルアドレス2(405b)であることを認識し、ローカルアドレス2(405b)に対して、運転開始命令を送信する。
室内機1−1(502b)の運転状態を上位バスCB0に送信する場合、コンバータ30bが室内外機501、502間の通信データ(又はローカルエアコン500の構成にローカル内をモニターする装置がある場合はモニターデータも可)の中から、送信元がローカルアドレス2(405b)の運転データを上記状態データとしてフックし、ローカルアドレス2(405b)と上位バスアドレスB(312b)を送信元として、上位バスCB0に送信する。その送信は、定期送信とする。定期送信に代えて、運転状態が変更した際に送信する構成でもよい(コンバータ30は前回の運転状態を記憶する機能を持つ)。
(第2構成例)
第1構成例と同様に、コンバータ30は、上位バスCB0上の上位バスアドレス312(図29参照)を持ち、そのアドレス312をローカルエアコン400〜700の1システムのアドレスとして、一括して運転設定を行う。
例えば、図28において、コントローラ60からコンバータ1(30b)に接続されるローカルシステム(S**)40bに対し、運転開始が命令される場合について説明する。この場合、コントローラ60は、コンバータ1(30b)の上位アドレスであるアドレスB(312b)を宛先として運転開始命令を送信する。その運転開始命令を受信したコンバータ1(30b)は、コンバータ1(30b)に接続されているローカルシステム(S**)40bを構成する各室内機502に対して、その運転開始命令を送信する。
コンバータ1(30b)に接続されているローカルシステム(S**)40bの運転状態を上位バスCB0に送信する場合について説明する。この場合、コンバータ1(30b)は、コンバータ1(30b)がローカルシステム(S**)40bの室内外機501,502間の通信データ(又はローカルシステム(S**)40bの構成にローカル内をモニターする装置がある場合はモニターデータも可)の中から運転データを上記状態データとしてフックし、コンバータ1(30b)の上位バスアドレスB(312b)を送信元としてバスCB0に送信する。その送信は定期送信とする。定期送信に代えて、運転状態が変更した際に送信する構成でもよい(コンバータ30は前回の運転状態を保持する機能を持つ)。データはローカル1システムを1システム単位として送信される。
(第3構成例)
第2構成例において、室内機1−1(502b)の運転状態をバスCB0に送信する場合について説明する。この場合、コンバータ1(30b)は、室内外機501,502間の通信データ(又はローカルエアコン500の構成にローカル内をモニターする装置がある場合はモニターデータも可)の中から、送信元がローカルアドレス2(405b)の運転データを上記状態データとしてフックし、ローカルアドレス2(405b)と上位バスアドレスB(312b)を送信元として送信する。その送信は定期送信とする。定期送信に代えて、運転状態が変更した際に送信する構成でもよい(コンバータ30は前回の運転状態を保持する機能を持つ)。
(第4構成例)
図33に示すように、第1構成例において、コンバータ30は、コンバータ30に接続されている各室内外機401,402、501,502‥に対するバスCB0上の上位バスアドレス313を持ち、また各室外機401,501‥に設定されているローカルアドレス405を取り込み、関係付けて記録する機能をもつ。
例えば、図28において、コントローラ60から室内機1−1(502b)に運転開始が命令される場合について説明する。この場合、コントローラ60から、室内機1−1(502b)の上位バスアドレスであるアドレスG(313G)を宛先として(図33参照)、運転開始命令が送信される。そのコントローラ60から送信された運転開始命令を受信したアドレスG(313G)を持つコンバータ1(30b)は、コンバータ1(30b)内でその宛先がローカルアドレス2(405b)であることを認識し、ローカルアドレス2に対し、運転開始命令を送信する。
次に、室内機1−1(502b)の運転状態を上位バスCB0に送信する場合について説明する。この場合、コンバータ1(30b)は、室内外機501,502間の通信データ(又はローカルエアコン500の構成にローカル内をモニターする装置がある場合はモニターデータも可)の中から、送信元がローカルアドレス2(405b)の運転データを上記状態データとしてフックし、上位バスアドレスG(313G)を送信元としてバスCB0に送信する。送信は定期送信とする。定期送信に代えて、運転状態が変更した際に送信する構成でもよい(コンバータ30は前回の運転状態を記憶する機能を持つ)。
(第5構成例)
図30に示すように、図27のようなローカルシステム(S**)40に対し、ローカルシステム(S**)40のローカル通信方式を上位バス通信方式に変換する機能を持つコンバータ30を接続する。バスCB0は、バスCB0を通信ラインとする室内外機(以下、ネットワーク対応エアコン)601N、602N、701N、702Nと混在(共有)する(但し、ローカルの通信ラインを上位バスとした場合は、ローカルシステム(S**)40もネットワーク対応エアコンとなりうる)。
各ローカルシステム(S**)40に対しコンバータ30を接続し、バスCB0にて各ローカルシステム(S**)40とネットワーク対応エアコン601N,602N,701N,702Nとを接続可能とする。バスCB0からは、運転制御、運転監視を行うコントローラ60により各ローカルシステム(S**)40とネットワーク対応エアコン601N,602N,701N,702Nの運転制御を行い、バスCB0上の運転状態をモニターし監視する。
図31に示すように、コンバータ30は、ネットワーク対応エアコン601N,602N,701N,702Nのアドレス406が冷媒系統毎に割り当てられている場合に、ネットワーク対応エアコン601N,602N,701N,702Nに対応するバスCB0上の冷媒系統のアドレス314を持ち、コンバータ30に接続されている各室内外機401、402、501、502に設定されているアドレス405を取り込み、記憶する機能を持つ。
例えば、コントローラ60から室内機0−0(402a)に運転開始が命令される場合、コントローラ60は、コンバータ0(30a)の上位バスアドレスA(312a)と、下の階層に当たるローカルアドレス1(405b)を宛先として、運転開始命令を出力する。その運転開始命令を受信したコンバータ0(30a)は、コンバータ0(30a)内でローカルアドレス1(405b)を宛先とする運転開始命令を生成して、ローカルアドレス1(405b)に対して送信する。
室内機0−0(402a)の運転状態をバスCB0に送信する場合について説明する。この場合、コンバータ0(30a)は、室内外機401,402間の通信データ(又はローカルエアコン400の構成にローカル内をモニターする装置がある場合はモニターデータも可)の中から、送信元がローカルアドレス1(405b)の運転データを上記状態データとしてフックし、ローカルアドレス1(405b)とコンバータ0(30a)の上位アドレスA(312a)を送信元として、バスCB0に送信する。その送信は定期送信とする。定期送信に代えて、運転状態が変更した際に送信する構成でもよい(コンバータ30は前回の運転状態を記憶する機能を持つ)。
(第6構成例)
図32に示すように、第5構成例(図30)において、ネットワーク対応エアコンの室内外機601N,602N,701N,702N毎にアドレス315が割り当てられている場合、コンバータ30は、バスCB0上のアドレス312を、接続されているローカルシステム(S**)40の構成台数分だけ持ち、コンバータ30に接続される各室内外機401,402,501,502に設定されているアドレス405を取り込み、上位バスアドレスとローカルアドレスを関係付けて記録する機能をもつ。
例えば、コントローラ60から室内機1−1(502b)に運転開始が命令される場合について説明する。この場合、コンバータ1(30b)のアドレス312gを宛先として、運転開始命令を出力する。その運転開始命令を受信したコンバータ1(30b)は、コンバータ1(30b)内でアドレス2(405c)に対する運転開始命令を生成して、送信する。
次に、室内機1−1(502b)の運転状態をバスCB0に送信する場合について説明する。この場合、コンバータ1(30b)は、室内外機501,502間の通信データ(又はローカルエアコン500の構成にローカル内をモニターする装置がある場合はモニターデータも可)の中から、発信元がローカルアドレス2(405c)の運転データを上記状態データとしてフックし、アドレス2(405c)に対応する上位バスアドレス312gを送信元としてバスCB0に送信する。その送信は定期送信とする。定期送信に代えて運転状態が変更した際に送信する構成でもよい(コンバータ30は前回の運転状態を記憶する機能を持つ)。
(第7構成例)
図34に示すように、コンバータ0(30a)、コンバータ1(30b)は、ローカルシステム(S**)40を上位バスに当たるLAN(CB0)に接続を可能にする。コンバータ2(30c)は、LON(CB1)で構成されているネットワーク対応エアコン601N、602N、701N、702Nを上位バスに当たるLAN(CB0)に接続を可能にする。バスCB0を共通にすることで、各空調機をLAN経由でコントローラ等60の装置にて運転制御、監視を可能にする。
(第8構成例)
図35に示すように、コンバータ0(30a),コンバータ1(30b)は、ローカルシステム(S**)40を上位バスに当たるLONバスCB1に接続を可能にし、上位バスを共通にすることで各空調機をLONバスCB1経由でコントローラ2(60a)の装置にて運転制御を可能にする。
コンバータ2(30c)は、LONで構成されているネットワーク対応エアコン601N,602N,701N,702N(コンバータ0,1で接続されているローカルエアコン401,402,501,502も含む)を上位バスに当たるLANCB0に接続を可能にする。上位バスを共通にすることで各空調機をLAN経由でコントローラ1(60)等の装置にて運転制御、監視を可能にする。
上記第2実施形態の各構成例のように、コンバータ30、ローカルシステム(S**)40の室内外機401,402・・・に割り当てるアドレスに多様性を持たせることが可能である。