JP4709615B2 - 熱間圧延鋼板の冷却方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱間圧延後の鋼板を圧延機の後面の冷却装置において冷却する際の冷却方法に関し、特に、鋼板の幅方向端部及び/または長手方向端部にマスキングを施して均一に冷却する方法に関する。
近年、厚鋼板の製造プロセスとして、熱間圧延直後の高温鋼板を圧延機の後面に設けた冷却装置で水冷却するオンライン制御冷却が行われている。この冷却方法によれば、鋼板に高強度や高靱性を付与することができ、合金元素の低減や、熱処理の省略が可能となりコストの低減を図ることが可能である。
しかしながら、鋼板の幅方向の端部や長手方向の端部は、形状的に放熱面が多いことや冷却板上水などの影響を受け、端部以外の部分に比べて冷却されやすいため、熱間圧延後の鋼板を幅方向や長手方向にわたって冷却水量を均一にして冷却すると、鋼板の幅方向及び長手方向に不均一な温度分布が生じる。
このような状態で冷却した後の鋼板では残留応力が発生し、その後、鋼板に切断、曲げなどの加工を施した際に予期しない変形が生じるといった問題がある。
鋼板の幅方向端部の過冷を防止し、温度分布を均一にするために、冷却装置に冷却水を遮蔽するマスキング板を設け、幅方向端部の冷却をマスキングする方法が採用されている。
例えば、特許文献1には、図4(a)に示すように、冷却装置22と鋼板25との間に、幅方向進退する、進退量を制御可能な一対のマスキング板23を有するマスキング装置21で熱間圧延鋼板を幅方向に均一に冷却する際、熱間圧延鋼板の形状に応じて、図4(b)に示すように、マスキング板23を幅方向の所定距離、移動させた後、冷却が終わるまでその位置で停止させて幅方向にわたる冷却水量を調整する方法が開示されている。
また、特許文献2には、図5に示すように、厚鋼板を自動冷却設備で冷却する際に、長手方向の非冷却オフセット部を設定して冷却をマスキングする方法が開示されている。すなわち、これは、図5に示すように、冷却装置を厚鋼板の搬送方向に複数ゾーンに分割し、厚鋼板の先端の非冷却オフセット部lTが順次各ゾーンに装入された時点から当該ゾーンの冷却を開始し、厚鋼板の尾端の非冷却オフセット部lBが順次各ゾーンの出側に到達したときに当該ゾーンの冷却を停止すると共に該各ゾーンにおける冷却開始、停止のタイミングを個々に制御するものである。
特開昭61−86022号公報 特開平3−281011号公報
上述のように、幅方向および/または長手方向の端部をマスキングすることによって、幅方向および長手方向の端部の過冷が抑制され鋼板全体として温度分布の均一化を図ることはできるが、従来のマスキングパターン、すなわちマスキングする冷却ゾーンやマスキング量(例えば、鋼板幅方向のマスク板の進退長さ或いは、鋼板長手方向の先端、尾端の非冷却オフセット部の長さをいうものとする)の設定状態、の決定は、これまでの経験に基づいて作成した熱間圧延鋼板のサイズや圧延温度、或いは要求される材質などの条件とマスキングパターンとの対応テーブルに基づいて経験的に行なわれており、鋼板の冷却プロセスや冷却設備が変更された場合や、新規なサイズの鋼板の場合には、パターン決定が複雑になり、冷却後に均一な形状、均一な材質を確保することは難しいという問題がある。
本発明は、このような現状に鑑み、鋼板の冷却プロセスや冷却設備の変更や鋼板サイズの変動にも的確に対応して、適切なマスキングパターンを設定できる熱間圧延鋼板の冷却方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
本第1発明は、圧延機後面の鋼板幅方向のマスキング装置を備えた冷却装置により、熱間圧延後の鋼板を冷却する方法において、冷却装置への装入前の鋼板幅方向の端部と中央部の温度に基づいて、当該鋼板に対して予め設定した幅方向のマスキングパターンを施して鋼板を冷却した場合の鋼板幅方向の端部と中央部の冷却後の温度を、鋼板幅方向の端部の冷却後の温度については幅方向のマスキングパターンのマスキング量と当該水冷ゾーンの水量密度とに応じてそれぞれ設定された補正係数により補正した熱伝達係数α EM を下記式により求め、それを用いて、計算し、冷却後の鋼板幅方向の端部と中央部との温度差が所定の範囲内となるように、予め設定した幅方向のマスキングパターンを変更して冷却することを特徴とする。
α EM =α×k M ×k W
α;熱伝達係数
k M ;マスキング量による補正係数
kW;各冷却ゾーンの水量密度による補正係数
本第2発明は、本第1発明に記載の冷却方法において、前記補正係数は、鋼板の上面と下面とでそれぞれ設定されることを特徴とする。
本第3発明は、圧延機後面の鋼板長手方向のマスキング装置を備えた冷却装置により、熱間圧延後の鋼板を冷却する方法において、冷却装置への装入前の鋼板長手方向の端部と中央部の温度に基づいて、当該鋼板に対して予め設定した長手方向端部に対するマスキングパターンを施して鋼板を冷却した場合の鋼板長手方向の端部と中央部の冷却後の温度を、鋼板長手方向の端部の冷却後の温度については、当該冷却ゾーンの水量密度に応じて設定された補正係数により補正した熱伝達係数α FTM を下記式により求め、それを用いて、計算し、冷却後の鋼板長手方向の端部と中央部との温度差が所定の範囲内となるように、予め設定した長手方向のマスキングパターンを変更して冷却することを特徴とする。
α FTM =α×k FT
α;熱伝達係数
k FT ;各冷却ゾーンの水量密度による補正係数
本第4発明は、本第3発明に記載の冷却方法において、前記補正係数は、鋼板の上面と下面とでそれぞれ設定されることを特徴とする。
本発明において、マスキングパターンとは、冷却装置において鋼板幅方向に冷却水を遮蔽するマスク板の移動位置、鋼板長手方向(搬送方向)に冷却水の供給を遮断するタイミング及び、それを行う冷却ゾーンの選択などを含むものである。
本第1発明によれば、冷却時の鋼板の幅方向の端部と中央部との温度差を許容範囲内にすることができるため、鋼板の幅方向の端部と中央部とで残留応力差および材質差の少ない鋼板を得ることができる。
本第2発明によれば、より的確に鋼板温度を推定することができ、より適切なマスキングパターンを設定できるので幅方向の温度差の小さい冷却が可能となる。
本第発明によれば、冷却時の鋼板の長手方向の端部と中央部との温度差を許容範囲内にすることができるため、鋼板の長手方向の端部と中央部とで残留応力差および材質差の少ない鋼板を得ることができる。
本第発明によれば、より的確に鋼板温度を推定することができ、より適切なマスキングパターンを設定できるので長手方向の端部と中央部との温度差の小さい冷却が可能となる。
本発明を具体的に説明する。
本発明においては、図1に示すように圧延機12の後面にはオンライン冷却するための冷却装置1が設けられ、この冷却装置1には、鋼板面に冷却水を噴射するためのノズル4とこれに冷却水を供給する冷却水ヘッダー5とから構成された冷却ユニット3が鋼板11の上面、下面に対向して設けられており、複数の冷却ユニットにより冷却ゾーン2が構成されている。冷却装置の鋼板進行方向と直交する方向、すなわち鋼板の幅方向の両側には、冷却ノズルと鋼板との間に、鋼板の幅方向端部の冷却水を遮蔽するマスク板(遮蔽板)6を鋼板幅方向に進退可能に備えたマスキング装置が設けられており、マスク板の鋼板幅方向の進退により冷却時のマスキングがなされる。このマスク板は、制御装置(図示せず)によりその進退量を制御可能となっている(以後、これをエッジマスキングとも記す)。
また、冷却装置の冷却水ヘッダーには、ノズルへの冷却水の供給開閉する開閉弁7が給水管8と冷却水ヘッダー5との間に設けられている。この開閉弁7は、制御装置(図示せず)により、鋼板の先端および尾端の位置検出装置或いはトラッキング装置(いずれも図示せず)と連携して、開閉制御可能であり、マスキング装置を構成している。ヘッダーの開閉弁を、開閉制御することによって、鋼板長手方向(搬送方向)の先端及び尾端の所定長さにわたって冷却水を供給しない非冷却オフセット部を設定すること、すなわちマスキングすることができる。この非冷却オフセット部の長さをマスキング量とする(以後、これをフロント・テールマスキングとも記す)。
マスク板の進退量を制御し、及び/または、ヘッダーの開閉弁の開閉、すなわち非冷却オフセット部の長さ、を制御することによって、鋼板の幅方向及び/または長手方向(搬送方向)端部の過冷を抑制するのである。マスク板の進退量及び/または非冷却オフセット部の長さ(以下、これらをマスキング量とも記す)を冷却ゾーン毎に設定することによってマスキングパターンが形成される。
以下、1)鋼板の幅方向のマスキングパターン(エッジマスキングパターン)の設定方法及び、2)鋼板の長手方向(搬送方向)のマスキングパターン(フロント・テールマスキングパターン)の設定方法についてそれぞれ説明する。
これらは、単独或いは双方を組み合わせて設定しうることは言うまでもない。
ここで、図3は、鋼板の1/4を示す模式図である。本発明における幅方向の端部および中央部の温度は、図3に示すように、板端から幅方向中央側の1000mm以内の範囲を幅方向端部とし、幅方向および長手方向とも50mmピッチで、また、板端から1000mm超中央までを中央部(定常部)とし、幅方向および長手方向とも500mmピッチで、かつ板厚方向にはいずれの部分も1mmピッチとしたセグメントで計算した温度とする。
同様に、長手方向(搬送方向)の端部(先端、尾端)及び中央部の温度は、長手方向端部から長手方向に1000mm以内の範囲を長手方向端部とし、幅方向および長手方向とも50mmピッチで、端部から1000mm超中央部までを中央部(定常部)とし、幅方向、長手方向とも500mmピッチで、かつ板厚方向にはいずれの部分も1mmピッチとしたセグメントで計算した温度とする。
後述するように、本発明においては、マスキングパターンをした場合の端部と中央部の温度差を許容範囲となるよう、マスキングパターンを修正するが、この温度差の比較は、上述の各セグメントについて計算した温度の各部の平均値によって行うものとする。
1)エッジマスキングパターン
先ず、i)冷却対象とする鋼板の冷却装置装入前、すなわち冷却開始前の、鋼板幅方向端部及び中央部温度を計算する。この温度は、圧延終了後、搬送テーブルを経て冷却装置に入るまでの空冷を考慮する。なお、圧延終了温度は、実測値或いは予測値のいずれでもよい。
次に、ii)当該鋼板に対して予めエッジマスキングパターンを設定する。
この予め設定するエッジマスキングパターンは、最前段から最後段の全冷却ゾーンにおいてマスキング量を鋼板のサイズごとに経験則により設定されているパターンでもよい。
なお、本発明においては、このマスキングパターンを設定する場合は、マスキング効果に対する冷却ゾーンの水量密度の影響を考慮して、上下のマスキング量の関係が鋼板幅方向中心部と端部との温度差が小さくなるように、例えば、当該冷却ゾーンが上下にマスキング有りとし、当該次の冷却ゾーンが上下にマスキングなしの場合、当該冷却ゾーンを上面をマスキングあり、下面をマスキングなしと、当該次の冷却ゾーンを上面をマスキングなし、下面をマスキングありと設定するのが好ましい。
次に、iii )上記のi)の温度に基づき、上記(ii)を考慮して予め設定したマスキングパターンにより鋼板を冷却した場合の鋼板幅方向の中央部と端部の冷却後の温度を計算する。なお、温度計算のメッシュは、上述のとおりである。
本発明では、この温度計算において、マスキングを施した部分の熱伝達係数は、エッジマスキング量に応じて定められた補正係数および水量密度に応じて定められた補正係数により補正した熱伝達係数αEMを使用する。
すなわち、補正係数kMは、上面と下面のそれぞれにおけるエッジマスキング量(マスク板の幅方向の進退量、或いは開度)に応じて設定され、この補正係数kWは各冷却ゾーンの水量密度に応じて設定される。
言い換えれば、αEM=α×マスキング量による補正係数kM×水量密度による補正係数KWとなる。
は、エッジマスキング量と補正係数kMの関係、および水冷ゾーンの水量密度に応じて補正する補正係数kWの例を示している。
において(a)は上面におけるマスキング量(mm)と補正係数kMとの関係、(b)は下面におけるマスキング量(開度mm)と補正係数kMとの関係、(c)は上面の水量密度と補正係数KWとの関係、(d)は下面の水量密度と補正係数KWとの関係、をそれぞれ示している。
iv)次に、上記のように設定したエッジマスキングパターンで冷却し、上述の補正された熱伝達係を用いて計算した端部と中央部(定常部)との温度を比較し、端部と中央部との温度差が許容範囲内であるかどうかを判断する。
許容範囲内であればこの設定したエッジマスキングパターンで冷却を行う。
なお、鋼板の端部と中央部との温度差の許容範囲は、鋼板の変形および材質への影響などを考慮して決めることができる。鋼板の材質、形状にもよるが、通常20℃以下とすることが好ましい。
v)もし、鋼板の端部と中央部との温度差がこの許容範囲を超える場合は、予め設定したエッジマスキングパターンのマスキング量を、例えば、300mmを150mmに、変更して、最前段の冷却ゾーンから計算を繰り返し、幅方向端部と中央部との温度差が許容範囲内となるようエッジマスキングパターンを変更し、設定する。
このようにしてエッジマスキングパターンを設定することにより、幅方向の温度差を許容範囲に抑制することができ、また鋼板のサイズや、冷却設備の変更などがあって、安定して均一な冷却が可能となる。
2)フロント・テールマスキング
次に、鋼板の長手方向(搬送方向)端部、すなわちフロント(前端)及びテール(尾端)に対するフロント・テールマスキングパターンの設定について説明する。
先ず、i)冷却対象とする鋼板の冷却装置装入前、すなわち冷却開始前の、鋼板幅方向端部及び中央部温度を計算する。この温度は、圧延終了後、搬送テーブルを経て冷却装置に入るまでの空冷を考慮する。なお、圧延終了温度は、実測値或いは予測値のいずれでもよい。
次に、ii)当該鋼板に対して、予めフロント・テールマスキングパターンを設定する。
この予め設定するフロント・テールマスキングパターンは、マスキング量、すなわち、鋼板長手方向(搬送方向)の端部(先端及び尾端)の非冷却オフセット部の長さを、0から最大Dまでとするように、マスキング量の刻み長さをdとしてマスキング量を段階的に増減させて設定する。この刻み長さd、マスキング最大長さDは、鋼板の形状、要求される形状などを勘案して決めればよいが、例えば、dをロールピッチ、Dを被冷却鋼板長さの10%程度とすることも好ましい。
本発明では、このマスキング量の設定には、冷却ゾーン水量密度のマスキング効果に対する影響を考慮したものとする。
すなわち、各冷却ゾーンの水量密度は、鋼板の圧延後の温度、形状および所要材質などに基づいて冷却条件として設定されているが、この設定された冷却水量密度Qが所定の値を超えている場合は、その冷却ゾーン(N番目のゾーンとする)以降の冷却ゾーン、すなわちN+1、N+2、N+3、N+4,N+5・・・N+n番目までの各冷却ゾーンのマスキング量を、上記刻み長さdにそれぞれ定めたマスキング量調整係数kLMを乗じた長さ、マスキング量として設定する。
なお、このマスキング量調整係数は、マスキングの効果が上面と下面とで異なるため、上面と下面とでそれぞれ設けることが好ましく、板上水の影響を勘案して設定する。
また、調整係数を適用するゾーン数、すなわちN+n番目とする冷却ゾーンは冷却前の鋼板長手方向の温度プロフィールを勘案して決めればよい。
表1は、その一例を示すものであるが、マスキング量は、たとえば刻み長さdを800mmとして、冷却ゾーンの先頭からN番目の冷却ゾーンの水量密度Qが所定値、例えば0.3m3/m2/minを超える場合は、N番目の冷却ゾーンマスキング量調整係数は、上面が1.5、下面が1.00であり、N+1番目の冷却ゾーンでは、上面が1.2、下面は0.80・・・・N+5番目の冷却ゾーンは、上面が0.15、下面は0.10というように、所定値を超えるN番目の冷却ゾーンでのマスキング量を大きくし、以後漸減するように調整係数を設定している。
Figure 0004709615
次に、iii )上記のi)の温度に基づいて、上記(ii)を考慮して予め設定したフロント・テールマスキングパターンにより鋼板を冷却した場合の鋼板幅方向の中央部と端部の冷却後の温度を計算する。なお、温度計算のメッシュは、上述のとおりである。
本発明においては、この温度計算において、マスキングを施した部分の熱伝達係数は、フロント・テールマスキングを施した冷却ゾーンの水量密度を勘案して設定した補正係数により補正した熱伝達係数αFTM(=α×フロント・テールマスキング補正係数kFT)を用いて計算する。
この補正係数kFTは、上面では板上水の影響があるため、下面に比べてマスキングの効果が小さいことを考慮するためのものであり、下面の水量密度を基準として設定する。
表2は、フロント・テールマスキングの熱伝達率の補正係数kFTの一例を示すものである。
下面の冷却水量を基準として、マスキング部の熱伝達係数を補正する補正係数が設定されており、これによって、フロント・テールマスキングにおける板上水の影響を考慮できる。この例では、上面の補正係数は、下部の1/2としている。
Figure 0004709615
iv)次に、上記のように設定したフロント・テールマスキングパターンで冷却し、上述の補正された熱伝達係を用いて鋼板長手方向端部(フロント部、テール部)および中央部の温度を計算し、その温度差が許容範囲内であるかどうかを確認する。なお、温度計算のメッシュは、上述のとおりである。
なお、鋼板の端部と中央部との温度差の許容範囲は、鋼板の変形および材質への影響などを考慮して決めることができる。鋼板の材質、形状にもよるが、通常の20℃以下とすることが好ましい。
鋼板の端部と中央部(定常部)との温度差が許容範囲内であるかどうかを判断し、この温度差が許容範囲内であれば上記予め設定した上記フロント・テールマスキングパターンにより冷却を行なう。
v)もし、端部と中央部との温度差がこの許容範囲を超える場合は、上記の予め設定したフロント・テールマスキングパターンのマスキング量を、例えば、上記のマスキング量の刻み長さd単位で変更し、この差が許容範囲となるまで設定と温度計算を繰り返し、鋼板端部と中央部との温度差が許容範囲となる最適なフロント・テールマスキングパターンを設定する。
このようにしてフロント・テールマスキングパターンを設定することにより、鋼板の長手方向(搬送方向)の温度差を許容範囲に抑制することができ、また鋼板のサイズや、冷却設備の変更などがあって、安定して均一な冷却が可能となる。
上述のように、1)、2)において、鋼板幅方向及び長手方向の端部のマスキングパターンの設定についてそれぞれ説明したが、この双方を同時に設定することも好ましく、四周において均一な冷却が可能となる。
なお、本発明における上記の温度計算は、公知の方法(例えば差分計算など)を利用して行うことができる。
本発明においてマスキング量はmmで例示したが、これを鋼板の幅あるいは長さに対する比率として設定し、適切なマスキングパターンとしうることは言うまでもない。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
図1に示すような冷却装置を有する圧延・冷却設備において、熱間圧延後の鋼板を冷却した。このとき冷却対象鋼板は、鋼板の板厚が27.4mm、圧延仕上げ温度が720〜740℃、冷却条件は、冷却開始温度が700〜760℃、冷却停止温度が380〜480℃とし、冷却設備の水量密度は1.3m3/m2・minとした。
従来の方法として、鋼板形状、圧延仕上げ温度、冷却条件などに応じて、従来から設定されているマスキングパターンのテーブルから、上記のような鋼板、圧延条件および冷却条件に基づいて、適用すべきエッジマスキングパターン、およびフロントテールマスキングパターンを選定し、このパターンによって冷却した。
一方、本発明の方法に従って、上記のエッジマスキングパターンで冷却した場合の鋼板端部と中央部の温度差が所定の範囲、本実施例では37℃以下、となるように上記のエッジマスキングパターンを変更する一方、上記のフロントテールマスキングパターンで冷却した場合の鋼板先端部と中央部の温度差が所定の範囲、本実施例では25℃以下、となるように上記のフロントテールマスキングパターンを変更し、これらの変更したマスキングパターンを設定して冷却した。
なお、本発明の方法における温度差の計算は、エッジマスキングパターンでは上面と下面のそれぞれにおいて、水量密度、マスキングパターン量に関して設定された補正係数で補正した熱伝達係数を、フロントテールマスキングパターンでは上面と下面とでそれぞれにおいて水量密度に関して設定された補正係数で補正した熱伝達係数を用いた。
本発明の方法及び従来の方法による冷却の結果として、冷却後の鋼板の温度差(温度差の平均及び偏差)、及び板内偏差を表3に示す。
Figure 0004709615
本発明の方法によれば、板内偏差(℃)=|ΔL|+|ΔW|+((σL/2)2 +σw21/2+σL/2 の値は、83℃と、従来に比べて大幅に減少しており、均一な冷却がなされていることがわかる。但し、ΔL:長手方向温度偏差(平均値)、σL:長手方向温度偏差(標準偏差)、ΔW:幅方向温度偏差(平均値)、σw:幅方向温度偏差(標準偏差)である。
熱間圧延鋼板の冷却装置の一例を示す模式図である。 本発明の幅方向のマスキングパターンにおける温度分布を計算する際の熱伝達係数の補正係数を示す図であり、(a)は、上面におけるマスキング量と補正係数との関係、(b)は下面におけるマスキング量と補正係数との関係、(c)は、上面の補正係数を補正する補正係数と水量密度との関係、(d)は下面の補正係数を補正する補正係数と水量密度との関係、をそれぞれ示す。 本発明における温度計算メッシュを示す模式図である。 幅方向のマスキングを行う冷却方法を示す模式図であり、(a)は正面断面を、(b)はマスク板の進退量の説明を示す。 長手方向のマスキングを行う冷却方法を示す図である。
符号の説明
1 冷却装置
2 冷却ゾーン
3 冷却ユニット
4 ノズル
5 冷却水ヘッダー
6 マスク板(遮蔽板)
7 開閉弁
8 給水管
9 搬送ロール
10 水切りロール
11 鋼板
12 熱間圧延機
21 マスキング装置
22 冷却装置
23 マスキング板
25 鋼板

Claims (4)

  1. 圧延機後面の鋼板幅方向のマスキング装置を備えた冷却装置により、熱間圧延後の鋼板を冷却する方法において、冷却装置への装入前の鋼板幅方向の端部と中央部の温度に基づいて、当該鋼板に対して予め設定した幅方向のマスキングパターンを施して鋼板を冷却した場合の鋼板幅方向の端部と中央部の冷却後の温度を、鋼板幅方向の端部の冷却後の温度については幅方向のマスキングパターンのマスキング量と当該水冷ゾーンの水量密度とに応じてそれぞれ設定された補正係数により補正した熱伝達係数α EM を下記式により求め、それを用いて、計算し、冷却後の鋼板幅方向の端部と中央部との温度差が所定の範囲内となるように、予め設定した幅方向のマスキングパターンを変更して冷却することを特徴とする熱間圧延鋼板の冷却方法。
    α EM =α×k M ×k W
    α;熱伝達係数
    k M ;マスキング量による補正係数
    k W ;各冷却ゾーンの水量密度による補正係数
  2. 前記補正係数は、鋼板の上面と下面とでそれぞれ設定されることを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延鋼板の冷却方法。
  3. 圧延機後面の鋼板長手方向のマスキング装置を備えた冷却装置により、熱間圧延後の鋼板を冷却する方法において、冷却装置への装入前の鋼板長手方向の端部と中央部の温度に基づいて、当該鋼板に対して予め設定した長手方向端部に対するマスキングパターンを施して鋼板を冷却した場合の鋼板長手方向の端部と中央部の冷却後の温度を、鋼板長手方向の端部の冷却後の温度については、当該冷却ゾーンの水量密度に応じて設定された補正係数により補正した熱伝達係数α FTM を下記式により求め、それを用いて、計算し、冷却後の鋼板長手方向の端部と中央部との温度差が所定の範囲内となるように、予め設定した長手方向のマスキングパターンを変更して冷却することを特徴とする熱間圧延鋼板の冷却方法。
    α FTM =α×k FT
    α;熱伝達係数
    k FT ;各冷却ゾーンの水量密度による補正係数
  4. 前記補正係数は、鋼板の上面と下面とでそれぞれ設定されることを特徴とする請求項3に記載の熱間圧延鋼板の冷却方法。
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