JP4707231B2 - マンナン結合レクチンを製造するための精製方法及びmbl医薬品 - Google Patents

マンナン結合レクチンを製造するための精製方法及びmbl医薬品 Download PDF

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、マンナン結合レクチン(MBL)(以前はマンナン結合タンパク質、MBPと命名されていた)を医薬品として用いるためにMBLを好ましくはドナーの血漿から製造するための新規な精製方法に関する。この製品は、機能及び/又は臨床症状、つまり例えば感染の治療又は予防のため患者にはMBLの投与が有用と考えられる症状を伴う遺伝性又は後天性MBL-欠乏患者で置換又は代替治療に用いられる。
【0002】
序 説
先天的(天然又は非先行的とも呼ばれる)な免疫機能は、最近、潜在的に病原性の微生物に対する防御機序での重要な要素として関心をあつめている。このため、レクチン群、広範囲な微生物に対する直接的な防御で重要な役割を果たしていると考えられるコレクチンには、特に注意がはらわれている。血清タンパク質MBLはコレクチン、つまりカルシウム依存性で、コラーゲン杆状体に結合したC型炭水化物認識ドメイン(CRD)によって特徴づけられるオリゴマー構造物として構成されている。循環しているMBLの正確なオリゴマー化は不明である。しかし、オリゴマーのオーダーが高くなるほど、結合部位が多いMBL六量体のようなブーケ様構造体がMBLの機能活性に必須なようである(最近のレビュウとして参考文献1、2参照)(参考文献リストはこの明細書の最後に記載)。
【0003】
MBLについて蓄積されている知識は、重篤な感染に対する介入治療におけるこのタンパク質の将来的な役割を示唆している。MBLは、補体の標準経路の活性化での必須成分である補体成分C1qと構造的に類似している。MBLは、MASP(MBL-関連セリンプロテアーゼ)と命名されているC1qに類似した機序によって、つまり関連セリンプロテアーゼを介して補体系を活性化していると考えられる。この抗体から独立した補体の活性化は、「補体活性化のMB-レクチン経路」と呼ばれている(3、4)。
【0004】
MBLは、細菌、酵母、寄生性原生動物及びウイルスの表面で炭水化物構造物に結合し、補体系の最終的な細胞溶解経路で細菌を死滅させることによって又はオプソニン作用で食作用を促進することによって抗菌活性を示すことが分かっている。血漿中のMBLレベルは、遺伝的に決定される。各個体は、調節領域ならびにコーディング領域のゲノム構造を反映した組織的なMBLレベルを有する。したがって、血漿中のMBL濃度は約10μg/ml〜10ng/ml未満に及ぶ。MBLを欠いているか又はそのレベルが極めて低い幼児や大人は、特に感染に感受性である。最近の情報は、HIV感染での感受性因子としてのMBL欠乏の役割、またAIDSの発症後にかなり迅速な致死を伴うMBL欠乏症を指摘している(1)。MBL欠乏症は、自然流産の再発にも素因を与えている(5)。
マンナン結合レクチンは、Ca-イオンの存在下のマンナン-Sepharose (Sepharoseマトリクスに結合したマンナン)でのアフィニティクロマトグラフィーによって1983年(6)にヒト血清から最初に単離された。アフィニティカラムからのMBLの溶出は、EDTAで行った。
【0005】
その後の文献から、MBLが血清と血漿から本質的に同じ方法で精製されることは明らかである。この一工程法から回収した精製MBL製剤は、炭水化物と血清アミロイドp-成分(SAP)に対し特異性を有する抗体でかなり汚染されていた。高純度のMBLを得るために、別のクロマトグラフィー工程、例えばアフィニティカラムに対するSepharoseプレカラム及びマトリクスに結合するか又は溶出緩衝液に加えられる炭水化物を異にして用いる別のアフィニティ工程が精製処理に含まれた。イオン交換及びゲルろ過クロマトグラフィーのような他のクロマトグラフィーも用いられた(7、8、9、10)。一般に、高純度のMBLを得る方法では、少なくとも2つのアフィニティクロマトグラフィー工程が使用されている。最近では、ヒト血漿のPEG 7%での沈降で得られる血漿タンパク質画分をMBL精製の原材料として使用した方法が記載されている(11)。この方法は、アフィニティクロマトグラフィーを非結合Sepharose (Sepharoseは炭水化物-リガンドを固定していない) で行っており、以前に記載された方法と異なる。まず、可溶化されたPEG沈殿物はSepharoseでバッチ吸着に付され、EDTAでMBLを溶出後、Sepharoseカラムで次のアフィニティクロマトグラフィー工程を行い、マンノースでMBLを溶出する。2つの連続的なアフィニティ工程を用いるこの方法によって、MBLは高純度で得られた。
ヒトマンノース結合タンパク質をエンコードするDNAは、WO 98/01519号に開示されている。
【0006】
発明の詳細な説明
本発明は、好ましくは粗血漿タンパク質画分から、マンナン結合レクチン(MBL)を精製する方法に関する。この発明の方法は、特に少なくとも2つの重要な要素:非結合(non-conjugated)の多糖マトリクスにおける1つのアフィニティクロマトグラフィー工程の実施及び少なくとも1つの有効なウイルス減少工程の実施を含む。
MBLは、MBLを含む広範囲な原材料から精製できる。1つの具体例で、本発明の方法の原材料は、MBLを発現する酵母又は哺乳類の細胞培養物からのMBLを含有する上清又は溶解した細胞懸濁液である。細胞培養物は、哺乳類(例えばヒト)MBLをコードし、任意にMBL関連セリンプロテアーゼ(MASP)をコードする細胞を含む。MBLを発現する細胞培養物は、培養培地に血清が加えられているか又は加えられていない細胞培養液に必要な栄養分を与えた培地で成長する。別の例では、MBLは哺乳類(例えばヒト)のMBL遺伝子を発現する哺乳類からの乳及び/又は初乳から精製される。ある例では、哺乳類はトランスジェニックのヒトでない動物である。本発明の好ましい例では、本発明の方法の原材料は、工業スケールのエタノール分画法で得られる粗血漿タンパク質画分、例えばCohn 画分I、II及びIII;Cohn画分II及びIII;又はCohn画分IIIである。好ましい例では、血漿タンパク質画分はCohn画分II及びIIIであり、ろ過助剤は、Cohn画分の単離に用いられる方法(つまりろ過又は遠心分離)によって存在しても、しなくてもよい。原材料としてのCohn画分II及びIIIの使用には、幾つかの利点がある。これらは、さらなるエタノール分画が不要で、免疫グロブリンは免疫グロブリン生成物について回収でき、MBLは通常捨てられる画分から回収されるが、限定はされない。
【0007】
MBL含有液を得るには、各原材料に二、三の予備処理工程が必要である。予備処理工程を以下に論ずる。
この方法の最初の重要な要素である非結合多糖マトリクスでのアフィニティクロマトグラフィーには、幾つかの利点がある。これらは、事前のタンパク質沈降、機能的に活性なMBLの選択、高度な精製、ウイルスの除去、体積の減少による濃縮を行う必要がないが、これらに限定されない。
MBL含有液は複雑なタンパク質混合物で、MBLは原材料の全タンパク質の0.05%未満であってもよい。アフィニティクロマトグラフィーに代わるクロマトグラフィー法による精製は、MBL含有液の別のタンパク質分画、例えばタンパク質沈降を要する。アフィニティ工程を用いる利点は、沈降及び再懸濁工程のような事前のタンパク質分画工程が不要で、MBL含有液をカラムに直接かけることができる点である。
【0008】
予備処理工程、例えばエタノール分画又は用いるMBL発現系の性質の結果、MBL含有液は本来のMBL、オリゴマータンパク質ならびに変性し構造的に障害のあるタンパク質形態を含むことが考えられる。薬剤に用いるMBL生成物は機能的に活性なMBLで構成されなければならないので、機能性を選択する精製工程の実施は非常に重要である。アフィニティクロマトグラフィーは、機能的に活性なオリゴマーのリガンド-結合MBLについて選択することによってこの要件を充足している。
アフィニティクロマトグラフィーが、複雑なタンパク質混合物からタンパク質を精製する選択方法で、しばしば数千倍に精製をもたらすことは周知である。本発明のアフィニティクロマトグラフィー工程によって、MBLは非常に高度に、つまり2500倍以上に精製される。アフィニティクロマトグラフィーは方法の主要な精製工程であり、最終的なMBLの調製処理で得られる純度を高めるのにほぼ単独で寄与している。わずかな程度の精製でさえ、当該分野で現在知られている程度をはるかに越えている。また、500倍、つまり1000、1500、2000又は2250倍の精製も可能である。わずかな程度の精製は、あまり複雑でないタンパク質混合物を原材料として用いる際に特に認められ得る。つまり、MBLが全タンパク質含量の約0.05%以上を成している場合である。
【0009】
カラムにかけられるMBL含有液は濃縮されていてもよいが、MBL濃度は依然として比較的低く、アフィニティクロマトグラフィーは、用いるMBLを少なくとも3倍に濃縮することによって、例えば用いるMBLを少なくとも4倍に濃縮することによって濃縮工程として役立つ。
アフィニティクロマトグラフィー工程は、非結合多糖ベースのマトリクスで行う。非結合マトリクスによって、炭水化物-リガンドはマトリクスに結合していないものと理解される。利点には、マトリクスとして用いられる媒体の基本構造が多糖鎖の束からなり、これがMBLのリガンドとして作用することが含まれるが、これに限定されない。炭水化物-リガンドの化学的な結合をさすことによるマトリクスを特別に製造する必要はない。不安定なマトリクス及び/又は制御されないリガンド漏出の問題は、回避される。
【0010】
さらに、マトリクスは架橋結合していることが好ましい。架橋結合している多糖材料の利点は剛性と高度な物理学的安定性で、これにより流動特性が良好な大きなカラムを方法に用いることができる。架橋マトリクスはさらに化学安定性が高い利点を有し、このために例えばアルカリ性の強い溶液でカラムを手入れすることができる。アフィニティクロマトグラフィー工程に好ましい材は、アガロース及び/又はデキストラン及び/又はセルロースを含むゲル材、例えばSepharose CL6B (Pharmacia)、Ultrogel (Pharmacia)、Bio-gel A 材、例えば0.5m、1.5m、15m及び50m (全てBio-Rad)、Sephadex ゲル材、例えばG-50、G-75、G-100、G-150及びG-200(全てPharmacia)、Sephacryl HRゲル材、例えばS-300、S-400、S-500(全てPharmacia)、Superdex 200 プレップグレード(Pharmacia)、Superose 6 プレップグレード(Pharmacia)及びWhatmanのセルロースゲル材であり、アフィニティクロマトグラフィー工程に特に好ましい材は、Sepharose CL4B(Pharmacia)である。
無菌の製造条件を確保し、バッチ間の汚染を避けるため、カラムは0.5M NaOHで手入れすることが好ましい。多くのクロマトグラフィーサイクルにおけるこの清掃処理とマトリクス材の使用の利点は、当業者に好まれるであろう。
【0011】
MBL含有液をアフィニティマトリクスにかけた後、カラムを洗浄する。アフィニティマトリクスからタンパク性夾雑物を洗い出すのに用いられる緩衝液は、MBLを実質的に溶出させずに、大部分のタンパク性夾雑物を除く組成、pH及びイオン強度がある非変性性緩衝液である。最初に、平衡化緩衝液が用いられる。この緩衝液は、10〜40mMの範囲、好ましくは10mMのモル濃度と7.0〜8.0、好ましくは7.3のpHを有し、NaCl含量が100〜250mMの範囲、好ましくは145mM;かつCaCl2含量が3〜15mM、好ましくは5mMのトリス緩衝液であってもよい。その後、CaCl2含量が低い緩衝液が用いられる。CaCl2の低含量は0.2〜2.0mM、好ましくは0.3〜1.0mM、例えば0.5mMであってもよい。Ca2+-依存性様式で高いアフィニティでMBLが結合するマトリクスを使用するために、CaCl2濃度は、マトリクスへの安定なMBLの吸着がMBLを実質的に溶出せずに確立された後、洗浄緩衝液中で低下さすことができる。このようにして、低いアフィニティでCa2+に依存してマトリクスに結合している夾雑物、例えば炭水化物の特異的な抗体が洗い出される。
【0012】
カラムの結合能は、マトリクスに吸着し、これから溶出されるMBLの全量(溶出画分の容量×濃度として算出)/ゲル-マトリクス容量として定義される。カラムの結合能は20μg MBL/充填マトリクスmlより高く、例えば25μg MBL/充填マトリクスmlより高く、例えば30μg MBL/充填マトリクスmlより高く、35μg MBL/充填マトリクスmlより高く、40μg MBL/充填マトリクスmlより高く、42μg MBL/充填マトリクスmlより高く、44μg MBL/充填マトリクスml より高く、46μg MBL/充填マトリクスmlより高く、48μg MBL/充填マトリクスmlより高く、又は50μg MBL/充填マトリクスmlより高くさえあることが好ましい。
アフィニティクロマトグラフィーカラムを洗浄後、MBLの溶出は、MBLを有効に溶出できる中性の非変性性緩衝液中で選択的な脱着剤を用いて行う。この緩衝液は、モル濃度が10〜40mM範囲、好ましくは15mM;かつpH7.0〜8.0、好ましくは7.3で、NaCl含量が100〜250mM範囲、好ましくは100mMのトリス緩衝液であってもよい。脱着剤は、糖類、例えばN-アセチルグルコサミン、マンノース、N-アセチルマンノサミン又はフコース及び/又はCa-イオンキレート剤、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)であってもよい。任意に、20〜100mM範囲、好ましくは30mM濃度のマンノースが用いられる。
【0013】
この方法の第二の重要な要素は、少なくとも1つの有効なウイルス減少工程の実施である。
ウイルス減少工程を論じる際に、ウイルス減少工程は、ウイルス除去工程及び/又はウイルス不活化工程のいずれかであってもよいと理解される。1以上(例えば2つの)ウイルス除去工程及び/又はウイルス不活化工程が、この方法に含まれてもよい。
【0014】
製造工程をウイルス減少工程として評価する目的は、製造方法が、原材料を汚染することが知られており、又はそうするものと考えられているウイルスを有効に不活化/除去することを明らかにするためである。評価研究は、製造工程前に評価すべきウイルスを意図的に添加し、製造工程後にその除去/不活化の程度を測定することからなる。GMP拘束は、製造設備へのあらゆるウイルスの意図的な導入を妨げる。したがって、評価は、製造工程のスケールを小さくしたウイルス学的研究設備を備えた別の研究室で実施され、かつ製造技術者とともにウイルス学を専門とするスタッフによって行われるべきである。製造工程用の原材料に加えられた評価すべきウイルス量は、十分にウイルスを不活化/除去する製造工程の能力を測定するために、できるだけ大量であるべきである。しかし、ウイルスのスパイクは、製造材料の組成があまり変わらないように加えるべきである。ウイルスのスパイク量は10%に等しいか、それ未満であることが好ましい。
【0015】
伝染力の定量アッセイは、GLP原理にしたがって行うべきであり、プラーク形成、合胞体や病巣の形成のような他の細胞障害作用の検出、エンドポイント滴定(例えばTCID50アッセイ)、ウイルス抗原合成の検出又は他の方法が含まれる。この方法は、十分に感受性かつ再現性であるべきであり、結果の統計学上十分な正確性を確保するために、かなり繰り返しかつ制御して行われる。
一般的に、処理工程は、6logのウイルスを用いて試みられている。4logオーダーかそれ以上の減少が生ずる場合には、研究中の特定の試験ウイルスが有する明らかな効果が示される。同様に、4.5log、5log又は5.5logオーダーの減少は、研究中の特定の試験ウイルスが有する明らかな効果を示し、その工程を有効なウイルス減少工程として分類することができる。
ウイルスの有効性研究は、一般的にウイルスを除く系の能力を試験するために、生成物を汚染するウイルスにできるだけ似ており、次いでできるだけ広範囲な物理化学特性を示すウイルスを用いて行うべきである。
【0016】
有効研究は、このアフィニティクロマトグラフィー工程が非包膜ウイルスの除去工程として機能し、分画処理によって包膜ウイルスも除くことが期待されることを示している。これにより、アフィニティクロマトグラフィーは、この方法で最初のウイルス除去工程である(実施例4参照)。
好ましい具体例では、有効なウイルス除去工程はウイルス不活化工程である。感染性の包膜ウイルスは、アフィニティクロマトグラフィー工程から回収したMBL含有溶出物に殺ウイルス量のウイルス不活化剤を加えて不活化することが好ましい。ウイルス不活化剤の「殺ウイルス量」は、ウイルス粒子が実質的に非感染性となる溶液を生じるような量を意味し、これによりウイルスの危険がないMBL含有液が得られる。かかる「殺ウイルス量」は、用いられるウイルス不活化剤ならびに培養時間、pH、温度、脂質含量及びタンパク質濃度のような条件によるであろう。
用語「ウイルス不活化剤」は、包膜ウイルスならびに非包膜ウイルスを不活化するために使用できる剤又は方法を意味する。用語「ウイルス不活化剤」は、適当な時はいつでも、剤及び/又は方法の組合わせならびにかかる剤又は方法のある1タイプのみの双方を含むものとして理解すべきである。
【0017】
好ましいウイルス不活化剤は、洗剤及び/又は溶媒、もっとも好ましくは洗剤と溶媒の混合物である。ウイルス不活化剤は、任意の1以上の溶媒と1以上の洗剤との混合物であると理解してもよい。溶媒/洗剤(S/D)処理は、血漿由来生成物中の包膜ウイルス(例えばHIV1及びHIV2、C型及び非A-B-C型肝炎、HTLV1ならびにHTLV2、CMV及びエプスタイン・バー・ウイルスを含むヘルペスウイルス群)を不活化するのに広く用いられている工程である。広範囲に及ぶ種々の洗剤及び溶媒は、ウイルスの不活化に用いることができる。洗剤は、非イオン性及びイオン性の洗剤からなる群から選択してもよく、実質的に非変性性の洗剤に選択される。後の工程でMBL調製物から洗剤を除くのを容易にするので、非イオン性洗剤を用いるのが好ましい。適当な洗剤は、例えばShanbromらによって、米国特許第4,314,997号及び米国特許第4,315,919号に記載されている。好ましい洗剤は、商標Triton X-100及びTween 80で市販されているもので、これらは単独又は組合わせて用いることができる。ウイルス不活化剤での使用に好ましい溶媒は、例えばNeurath及びHorowitzによって米国特許第4,764,369号に記載されているジ-またはトリ-アルキルホスフェートである。好ましい溶媒は、トリ(n-ブチル)ホスフェート(TNBP)である。本発明の実際に特に好ましいウイルス不活化剤はTNBPとTween 80の混合物であるが、他の組合わせを用いてもよい。好ましい混合物は、溶液中のTNBP濃度が0.2〜1.0重量%の範囲、好ましくは約0.3重量%濃度になるような量で加えられる。溶液中のTween 80の濃度は0.8〜1.5重量%の範囲、好ましくは約1重量%濃度である。
【0018】
ウイルス不活化工程は包膜ウイルスを不活化する条件で行われ、これにより実質的にウイルスの危険がないMBL含有液が生ずる。一般に、このような条件は、評価研究により有効なことが認められた4〜30℃、例えば19〜28℃、23〜27℃、好ましくは約25℃の温度及び培養時間を含む。一般的に、1〜24時間、好ましくは4〜12時間、例えば約6時間の培養時間は、十分なウイルスの不活化を確保するのに十分である。しかし、適当な条件(温度及び培養時間)は、用いられるウイルス不活化剤、溶液のpH及びタンパク質濃度及び脂質含量に依存する。
このS/D処理の有効研究は、実施例4に示す。
ウイルスの除去又は不活化のための他の方法、例えばメチレンブルーを添加し、その後紫外線光の照射で不活化するような方法も、ウイルスの危険がないMBL生成物の製造に使用できると考えられる。
本発明の一つの態様において、アフィニティクロマトグラフィーは、2つの重要な要素が一体となって行われるような有効なウイルス減少工程である。
【0019】
粗MBL含有血漿タンパク質画分からMBLを製造する好ましい方法は、以下に概略する工程を含む:
工程a) 酸性pHかつ実質的に変性しない温度で、粗MBL含有タンパク質画分の水性懸濁液を調製し;
工程b) 工程a)の懸濁液から大部分の免疫グロブリンを除き、かつMBL含有タンパク質画分を回収し;
工程c) 工程bのMBL含有画分を可溶化し、中性pHでMBLを抽出し、かつMBL含有液を回収し、
工程d) 工程c)のMBL含有液に溶媒と洗剤の混合物を加え、
工程e) マトリクスへのMBLの結合を促進する条件で、非結合多糖ベースのマトリクスに工程d)のMBL含有液をかけ、
工程f) 実質的にMBLを溶出させずに大部分のタンパク性夾雑物を除く組成、pH及びイオン強度を有する非変性性の緩衝液及び/又は緩衝液類を用いて、工程e)の多糖ベースのマトリクスからタンパク質夾雑物を洗い出し、
工程g) MBLを有効に溶出する中性の非変性性緩衝液中で選択的な脱着剤を用いて工程f)の多糖ベースのマトリクスからMBLを溶出し、MBL含有溶出物を得て、
工程h) 工程g)のMBL含有溶出物に殺ウイルス量の非変性性のウイルス不活化剤を加え、実質的にウイルスの危険がないMBL含有液を得て、
工程i) MBLがマトリクスに結合する条件で、アニオン交換マトリクスに工程h)のMBL含有液をかけ、
工程j) MBLを実質的に溶出させずにマトリクスからウイルス不活化剤を洗い出すのに十分なイオン強度とpHを有する緩衝液を用いて、工程i)のアニオン交換マトリクスを洗浄し、
工程k) MBLを有効に溶出させるのに十分なイオン強度とpHを有する実質的に非変性性の緩衝液を用いて、工程j)のアニオン交換マトリクスからMBLを溶出し、MBL含有濃縮物を得て、
工程l) 工程k)のMBL含有溶出画分を限外ろ過に付して、これによりMBL含有濃縮物を回収し、
工程m) 工程l)のMBL含有濃縮物をゲルろ過クロマトグラフィーにかけて、これにより機能的に活性なオリゴマーMBLタンパク質のMBL含有液を非変性性の生理緩衝液中で回収する。
【0020】
工程a)〜c)は、粗血漿タンパク質画分からMBLを精製する方法の予備処理工程である。
工程e)〜g)及び工程h)は、上記の通りこの発明の方法の重要な要素である。
工程a) つまり、血漿からMBLを製造するこの方法の最初の工程は、沈降したCohn画分の水性懸濁液を調製し、次いでその懸濁液から大多数の免疫グロブリンを除き、それによって実質的に免疫グロブリンのないMBL含有タンパク質画分を回収することである。沈降したCohn画分は、実質的に非変性の温度とpHで水及び/又は緩衝液中に懸濁することが好ましい。用語「実質的に非変性」は、MBLや存在する免疫グロブリンの機能活性の実質的に不可逆的な損失を引起こさない条件を意味する。血漿タンパク質画分は、血漿タンパク質画分の6〜9倍、好ましくは7〜8倍容量の少なくとも1つの非変性性の緩衝系で酸性化された水中に懸濁することが有利である。懸濁液のpHは、6未満、例えば4.0〜6.0、好ましくは5.1〜5.7の範囲、もっとも好ましくは約5.4のpHに維持することが好ましい。あらゆる適当な酸性の緩衝液を使用できるが、緩衝系は、以下の緩衝液と酸:リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸、HClの少なくとも1つを含むことが好ましい。多くの他の緩衝液を用いることもできる。タンパク質懸濁液は、特に実質的なタンパク質の変性を妨げ、プロテアーゼ活性を最小限にするために冷温で維持することが好ましい。血漿タンパク質懸濁液及び水ならびに加えられた緩衝系は、0〜12℃、好ましくは0〜8℃、もっとも好ましくは1〜4℃の範囲で同温であることが好ましい。
【0021】
工程b) 「残留ペースト」と呼ばれるMBL含有の非可溶化タンパク質は、デプスフィルターにかけるか又は遠心分離によって単離する。好ましくは、本発明の懸濁液はろ過される。ろ過は、デプスフィルター、例えばC150AF、AF2000又はAF1000 (Schenk)又は同様のろ紙によって行うことが好ましい。懸濁液中の大多数の免疫グロブリンは、このろ過で除かれる。
工程c) MBLは、本質的に非変性性の緩衝液を加えた後、中性条件、好ましくは1〜8℃の温度で残留ペーストからその後抽出する。抽出用緩衝液は、トリス濃度が10〜40mM、好ましくは10mMで、pHが7.5〜9.0、好ましくは8.5かつNaCl濃度が100〜200mM、好ましくは140mMのトリス緩衝サリン(TRIS)が好ましい。他の非変性性緩衝液もMBLの抽出に使用できる。抽出で得られたMBL含有液は、好ましくは実施例1で記載しているような孔度が徐々に縮小している一連のデプスフィルターと、脱脂フィルター(delipid filter)でろ過して回収される。このMBL含有液は、アフィニティクロマトグラフィー工程の前に限外ろ過で濃縮するのが有利である。
【0022】
工程d) MBL含有液をアフィニティカラムにかける前に、溶媒と洗剤の混合物、例えばTween 80 0.8〜1.5%及び/又はTriton X-100及びTNBP 0.2〜1.0%、もっとも好ましくはTNBP 0.3%とTween 80 1.0%を溶液に加え、後のアフィニティクロマトグラフィー工程で溶出されるMBL含有液中のリポタンパク質の含量を減じることが好ましい。溶液中の脂質及びリポタンパク質の含量が高いために、この溶媒/洗剤処理は、当該分野のウイルス不活化工程とはならない。しかし、高割合の包膜ウイルスがこの処理で不活化されると予想される。
工程i) MBLを精製するためにイオン交換クロマトグラフィー工程を行う際に、条件、例えばpH及びイオン強度は、アニオン交換マトリクスにかけられる溶液中に存在する実質的に全てのMBLがマトリクスに結合するように選択することが好ましい。ウイルス不活化剤は、後のアニオン交換マトリクスの洗浄で除く。
【0023】
当業者に公知であるように、イオン交換体は、マトリクスならびに接着している帯電した基に対して種々の物質をベースにしていてもよい。例えば、以下のマトリクスを用いることができ、挙げた物質は多少、架橋結合していてもよい:アガロースベース(例えばSepharose CL-6B(登録商標)、Sepharose Fast Flow(登録商標)及びSepharose High Performance(登録商標))、セルロースベース(例えばDEAE Sephacel(登録商標))、デキストランベース(例えばSephadex(登録商標))、シリカベース及び合成ポリマーベース。アニオン交換マトリクスについては、マトリクスに共有結合している帯電した基は、例えばジエチルアミノエチル(DEAE)、第四級アミノエチル(QAE)及び/又は第四級アンモニウム(Q)であってもよい。他のアニオン交換体を用いてもよい。
例えば選択したアニオン交換マトリクスがQ Sepharose FF(登録商標)であれば、カラムは、かけられるMBL溶液とほぼ同じpHとイオン強度を有する非変性性のアルカリ緩衝液で平衡化することが有利である。イオン交換カラムの平衡化には、あらゆる種類の緩衝液、例えばリン酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノ-メタンが適している。用いられるMBL溶液とpH及び伝導性がほぼ同じである限り、平衡化には多くの他の緩衝液も用いることができる。アニオン交換カラムの平衡化に好ましい緩衝液は、トリス濃度が10〜40mM、例えば20〜30mMの範囲、好ましくは約15mMのトリス緩衝液である。平衡化に用いられるトリス緩衝液のpHは7.0〜9.0、例えば7.5〜8.5の範囲、好ましくは約8.0であることが好ましい。用いた緩衝液は、NaClが10〜40mM、例えば20〜30mMの範囲、好ましくは25mMのNaCl濃度を含むことが好ましい。
【0024】
工程j) 濃度とpH値が類似している他の緩衝液を洗浄に用いるとしても、最初の洗浄は平衡化緩衝液を用いて行うことが有利である。洗浄は、カラム量の10〜20倍量で行われる。
工程k) アニオン交換マトリクスからのMBLの溶出は、MBLを有効に溶出するのに十分なpHとイオン強度を有する実質的に非変性性の緩衝液を用いて行い、これによりMBL含有溶出物を回収することが好ましい。この明細書において、有効な溶出は、MBLタンパク質の少なくとも80%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%がアニオン交換マトリクスにかけられることを意味する。溶出は、5〜25mM、例えば10〜30mM、好ましくは15mMのトリスと0.1〜1.0M、例えば0.3〜0.7M、好ましくは0.5MのNaClを含み、pHが6.0〜9.0、例えば7.0〜8.0、好ましくは7.4のトリス緩衝液で行うことが有利である。
溶出緩衝液の塩濃度は、マトリクスからMBLがはずれるように十分高度であることが好ましい。しかし、pHの低下と低い塩濃度は、マトリクスからMBLを溶出するのに使用できると考えられる。
【0025】
工程l) アニオン交換カラムからの溶出後、溶出物は濃縮することが好ましい。限外ろ過に用いられる膜は、公称10,000〜100,000Daのカットオフ重量を有することが有利である。この方法に好ましい膜タイプは、Sartoriusから得られる公称100,000Daのカットオフ重量を有する膜である。匹敵する孔度を有する他の限外ろ過膜も使用できる。
工程m) 方法の最後のクロマトグラフィー工程であるゲルろ過工程は、精錬工程とみなすことができ、これによりアフィニティクロマトグラフィーに続く工程中に生じ得るSAP、IgG、タンパク性凝集物及び構造的に欠陥のあるMBLが除かれる。
MBLを含有する溶解した細胞懸濁液又は上清からMBLを製造するのに好ましい方法は、MBLを含有する溶解した細胞懸濁液又は上清をろ過して溶液を透明にし、例えば細胞片を除く予備処理工程を少なくとも一つ含む。
【0026】
この予備処理工程の後にMBL含有液が得られ、工程d)〜m)が上記のように実施される。別の例では、MBLを含有する溶解した細胞懸濁液又は上清からMBLを製造する方法は、予備処理工程と工程e)〜m)を含む。
MBLを含有する乳生成物又は初乳からMBLを製造する好ましい方法は、以下の予備処理工程を含む:
工程1) MBLを実質的に沈降させずに高割合の非MBL成分を沈降させるか、又は非MBL成分を実質的に沈降せずに大多数のMBLを沈降させるのに十分な量で、MBLを含有する乳生成物又は初乳に、実質的にタンパク質非変性性の水溶性沈降剤を加え、それにより固体の沈降物と液体上清の混合物を生じ、
工程2) 工程1)の混合物から透明なMBL含有上清を回収するか、又は工程1)の混合物から透明な再懸濁されたMBL含有沈降物を回収する。
【0027】
工程1) 実質的にタンパク質非変性性の水溶性沈降剤は、タンパク質精製の分野で周知である。このような沈降剤はタンパク質の分画に用いられ、懸濁液からタンパク質を部分的に精製する。本発明の方法での使用に適当なタンパク質沈降剤は、種々の分子量形態のPEG、カプリル酸及び硫酸アンモニウムを含む。沈降の代替手段として、幾つかの他の非変性性の水溶性沈降剤を使用することもできる。用語「タンパク質沈降剤の添加」とこの用語の変形は、1以上の型のタンパク質沈降剤の添加を意味する。
工程2) タンパク質沈降を終えた後、MBLを含有する上清又は再懸濁した沈降物の溶液を回収する。回収の最初の部分は、遠心分離及び/又はろ過のような固相から液体を分離する従来技術で行われる。1000〜5000gの力(force)でフロー-スルー遠心分離が用いられる。別の例では、回収の最初の部分は、フィルタープレスでのデプスフィルターによって行われる。ここで、MBL含有上清が回収される。
回収の最初の部分で得られるMBLを多く含有する沈降物は、非変性性の中性緩衝液を加えて再懸濁する。
【0028】
任意に、回収したMBL含有上清又は再懸濁した沈降物をデプスフィルターにかけ、大きな粒子と凝集物を除く。この後、任意に、例えば溶液から細菌を除く従来の滅菌ろ紙(例えばMillipore又はSartoriusの0.22μmろ紙)を用いて滅菌ろ過を行ってもよい。
予備処理工程1)と2)の後、MBL含有液が得られ、MBLを含有する乳生成物又は初乳からMBLを製造する好ましい処理が、上記のとおり工程d)〜m)に続く。
本発明の方法は、高純度のMBLを高収率で得るのに最適化されている(実施例3参照)。この発明の方法の収率は、アフィニティクロマトグラフィーカラムにかけられるMBL含有液中の平均的なMBL量に対する最終生成物中のMBL量の割合として算出される。MBLが全タンパク質の約60%を成している場合、この収率は40%より高く、特に製剤化前の最終的なMBL調製物に付随する純度に十分であると考えられる。他の原材料でも、より低い収率が認められる。好ましくは、収率は少なくとも20%、例えば25%、30%、35%、40%又は40%より高い。
【0029】
概説の項に記載した従来技術の手法は、全て分析研究用のMBLを得る目的で小さな研究室規模で、つまり原材料として約1リットルまでの血漿を用いて行われている。本発明は、大きな製造規模でマンナン結合レクチンを製造することを目的としている。粗血漿タンパク質画分が原材料である場合に、「大きな製造規模」では、原材料が1000人より多いドナーからの血漿プールであると理解される。さらに、より一般的には、「大きな製造規模」の概念は最初の重要な工程でのカラムの結合能で、20μg MBL/充填したマトリクスmlより高く、例えば25μg MBL/充填したマトリクスmlより高く、例えば30μg MBL/充填したマトリクスmlより高く、35μg MBL/充填したマトリクスmlより高く、40μg MBL/充填したマトリクスmlより高く、42μg MBL/充填したマトリクスmlより高く、44μg MBL/充填したマトリクスmlより高く、46μg MBL/充填したマトリクスmlより高く、48μg MBL/充填したマトリクスmlより高く、又は50μg MBL/充填したマトリクスmlよりさえ高い。
【0030】
さらに、本発明の方法は、細胞培養上清、溶解した細胞懸濁液、乳生成物又は初乳からMBLを精製し、その後ヒトの医薬製品としてMBL生成物を用いることを目的としている。したがって、製造法は、ヒト血漿由来のバイオテクノロジー/バイオロジー製品のような医薬品に対するEECの指示書とガイドラインに記載されている要件、例えば血漿由来の医薬品についてのガイドラインの注意書きCPMP/BWP/269/95又は同様のガイドラインにしたがっていなければならない。
これらの要件は、精製方法ならびに最終製品に薬品を使用するが、限定されない。この方法において、MBLは、プロテアーゼ阻害剤、例えばPMSF又はアザイド及びメルチオレートのような静菌剤を加えずに精製される。したがって、生成物はプロテアーゼ阻害剤や静菌剤が全く加えられていない。
MBL生成物は、分類された場所で無菌条件でGMPにしたがって製造される。製造中のタンパク質のタンパク質分解変性を避けるために、方法は主に冷蔵室で行われる。本発明の方法は、したがって医薬に用いるMBL生成物を製造することを目的としている。
【0031】
本発明の精製方法のMBL生成物は、あらゆる努力にもかかわらず、MBL以外のタンパク質を含む。原材料としてヒト血漿を用いると、IgMのような血漿タンパク質が存在するであろう。
MBLの機能活性が維持され、つまり生成物が機能的に活性なオリゴマーMBLで構成されていることは、MBL生成物の臨床効果に非常に重要である。この明細書で、機能的に活性なMBLは、a)微生物(例えば酵母マンナン)表面の炭水化物に結合でき、b)その能力によって、食細胞のコレクチンレセプターとの相互作用によってMBL結合微生物の食作用を容易にし、かつc)その能力によって例えば微生物表面に結合した結果として補体を活性化できるMBLとして定義される。この補体の活性化は、MBL関連セリンプロテアーゼMASP1及び2を介して生じるようであり、炎症反応、オプソニン作用及び細胞溶解反応のような補体のエフェクター機能を引き出す。
MBL機能活性は、マンナンでコートしたELISAプレートでのマンナンへのMBLの結合、MBLでコートしたザイモザン粒子が末梢血液から食細胞によって摂取される食作用アッセイ、及びにELISA型アッセイで炭水化物へのMBLの結合後、補体因子(例えばC3又はC4)の沈着によって可視化される補体活性化によって、インビトロで測定できる。
【0032】
貯蔵中のMBLタンパク質を安定化するために、生成物は、少なくとも1つのタンパク質安定剤を加えて製剤化する。タンパク質安定剤は当業者に公知であり、例えば種々の糖アルコール及び糖類(例えばソルビトール、グルコース、シクロース、トレハロース、マルトース)、タンパク質(例えばアルブミン)及びアミノ酸(例えばリジン、グリシン)を含む。この発明において、アルブミンがタンパク質安定剤として好ましく、0.1〜1重量%、例えば0.5重量%の濃度が好ましい。
MBL生成物は、静脈投与用の液体製品として製剤化する。本発明の方法の重要な態様は、精製されたMBLが高度に濃縮されていることである。したがって、少なくとも250μg MBL/ml濃度の生成物を得ることができる。高濃度のMBLは、液体製品の安定性を増す。MBL生成物は、時間中、安定性を増すために凍結乾燥してもよい。凍結乾燥生成物の濃度は、凍結乾燥生成物の再構成用の製造によって定められているガイドラインにしたがって算出する。
【0033】
MBL生成物の主たる適応症は、先天性及び後天性のMBL欠乏症である。さらに、MBL生成物には、幾つかの適応症がある:
神経:慢性炎症性脱髄多発性神経障害(CIDP)、多病巣性運動神経障害、多発性硬化症、重症筋無力症、イートン-ランバート症候群、視神経炎、癲癇;
婦人科:流産体質、原発性抗リン脂質症候群;
リウマチ:関節リウマチ、全身性エリトマトーデス、全身性強皮症、脈管炎、ベーゲナー肉芽腫、シェーゲレン症候群、小児関節リウマチ;
血液:自己免疫好中球減少症、自己免疫溶血性貧血、好中球減少症;
胃腸:クローン疾患、潰瘍性大腸炎、腹腔疾患;
その他:喘息、敗血性ショック症、慢性疲労症候群、乾癬、毒性ショック症候群、糖尿病、副鼻腔炎、膨張性心筋症、心内膜炎、アテローム性動脈硬化症、成人AIDS及び細菌感染、一般的に可変性の免疫欠乏症、ウィスコット-アルドリッチ症候群及び重篤複合免疫不全(SCID)を含む原発性の低/無ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)及び多発性骨髄腫患者における二次的な低/無ガンマグロブリン血症、小児AIDS及び細菌感染、急性及び慢性の特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、同種異系骨髄移植(BMT)、川崎病及びギリアン-バレー症候群。
【0034】
実施例
以下に記載する実施例はこの方法の具体例を示すが、本発明がこのように限定されるものでないことは、理解されるべきである。
実施例1:医薬品として用いられる血漿由来MBLの精製における処理工程
第5工程を25℃で行い、第7及び8工程を室温で行うほかは、全ての工程は5±3℃で行う。
工程1: Cohn 画分 II III ペーストの製造
Cohn画分II+IIIペーストは、Kistler-Nitschmann (13)によって本質的に変えられたような標準的なCohn分画法(12)によってヒト血漿から調製する。寒冷沈殿物を除いてから、所望ならば、ある種の血漿タンパク質(例えばIX因子及び抗トロンビン)を例えばイオン交換材及び/又はヘパリンSepharoseマトリクスに吸着後、エタノール沈澱を開始する。画分II+IIIペーストを得る厳密な条件(pH、エタノール濃度、温度、タンパク質濃度)は、Harns JR(編集), Blood Separation and Plasma Fractionation, Wiley-Liss, New-York, 1991の266頁の図から明らかである。ペーストは、ろ過前にろ過助剤を加えてフィルタープレスで単離する。
【0035】
工程2: Cohn 画分 II III ペーストからの免疫グロブリンの抽出
ろ過助剤(Schenk, Germany)30kgを含む画分II+IIIペースト140kg(約1150kgの原料の血漿量に相当)から、最初に525kgの2.3mMリン酸ナトリウム/酢酸緩衝液(pH4.0)を約1.5時間ゆっくり攪拌しながら加え、次いで注射用の水(WFI)350kgを各添加後に約1.5時間攪拌しながら2回連続して加え、抽出を行う。最後に、21.5mMのリン酸ナトリウム/酢酸(pH7.0)を約280kg加え、それにより、最終pH5.4に懸濁液を調整する。懸濁液は、デプスフィルター(C-150AF、Schenk, Germany)でろ過する。ろ液は、特にタンパク質、免疫グロブリンを含有するが、MBLは依然として回収された残留ペーストに残存する。
【0036】
工程3: MBL 含有液の調製
MBL含有残留ペースト(ろ過助剤を含む約80kg)に、3kg/残留ペーストkg に等価な量で、トリス緩衝サリンTBS(10mMトリス、140mM NaCl)(pH8.4)を加える。懸濁液を約16時間攪拌して、MBLを抽出する。孔度が徐々に縮小している一連のデプスフィルターと、脱脂フィルター:C-150-AF及びAF-1000フィルタープレート[Schenk, Germany]と50LA及び90LAならびに脱脂フィルター[Cuno, France] のカートリッジで、懸濁液をろ過する。ろ過したMBLを含有する液体は、カットオフ値が公称300kDaの膜[Sartorius, Germany]を用いる系で限外ろ過し、これにより液体を約10倍に濃縮する。濃縮したMBL含有液は、0.45μmのフィルターカートリッジ[Pall SLK 7002 NLZP, UK]で最終的にろ過する。最終的な溶液に、トリ-n-ブチルホスフェート(TNBP)とTween 80を、それぞれ0.3重量%及び1.0重量%になるよう加える。この混合物を3.5時間攪拌する。次いで、CaCl2を5mMの濃度になるよう加え、その後、5mM CaCl2を含有する等量のTBS(pH7.3)を加える。
孔度が徐々に縮小している一連のデプスフィルターと、脱脂フィルター(delipid filter)
【0037】
工程4: Sepharose CL4B でのアフィニティクロマトグラフィー:
カラムは、10LのSepharose CL4B(登録商標) (Pharmacia Biotech, Sweden)で充填し、5mM CaCl2を含有するTBS (トリス10mM、NaCl 145mM、CaCl2 5mM)(pH7.3)で平衡化する。MBL含有液を、カラムにかける。かけた後、カラムを、3カラム量の平衡化緩衝液と6カラム量のCaCl2 0.5mM含有TBS(トリス10mM、NaCl 200mM、CaCl2 0.5mM)(pH7.3)で連続的に洗浄する。マンノース含有TBS(トリス15mM、NaCl 100mM、マンノース 30mM)でMBLをアフィニティカラムから溶出し、溶出したMBL画分を回収する。
工程5: S/D 処理
溶出したMBL画分のマンノース濃度を、4.6gマンノース/溶出物kgを加えて約10g/kgに調整し、次いで0.45及び0.2μmの複合ろ紙[Sartobran P Capsule, Sartorius, Germany]でろ過する。次いで、Tween 80とTNBPをそれぞれ1.0重量%及び0.3重量%の最終濃度まで加えて、ろ液をS/D処理する。S/D処理は、少なくとも6時間25℃で行う。
【0038】
工程6:アニオン交換クロマトグラフィーによる S/D の除去
カラムは、Q Sepharose FF(登録商標) (Pharmacia Biotech, Sweden) 600mlを充填し、NaCl 25mM含有トリス(pH8.0) 15mMで平衡化する。S/D処理したMBL液は、液体の3倍量のトリス15mM (pH8.0)で希釈する。希釈したMBL液はアニオン交換カラムにかけ、10カラム量の平衡化緩衝液でカラムをその後洗浄し、NaCl 0.5M含有トリス15mM (pH7.4)でMBLを溶出する。
工程7:限外ろ過による濃縮
溶出したMBL画分は、2倍量のトリス15mM (pH7.1)で希釈し、カットオフ重量が公称100kDaの膜でSartocon Micro UFシステム(Sartorius, Germany)を用いる限外ろ過で濃縮に付す。MBL 5〜7mg/mlを含有する濃縮液は、0.45及び0.2μmの複合ろ紙(Sartobran 300, Sartorius, Germany)でろ過し、固体EDTA を加えてEDTA 3mMに調製する。
【0039】
工程8: Superose 6 におけるゲルろ過
カラムは、Superose 6プレップグレード(Pharmacia Biotech, Sweden)4Lで充填し、PBS (Na2HPO4 8mM、NaH2PO4 1.4mM、NaCl 145mM)(pH7.3)で平衡化する。EDTAで調製しろ過したMBL濃縮物はカラムにかけ、緩衝液としてPBSを用いてゲルろ過を行う。最終的なMBL画分が、カラムから最初の主要なピークとして溶出し、回収される。
工程9:液体医薬品としての MBL の製剤化
最終的なMBL画分は、MBL 300〜400μg/mlの範囲の濃度を有する生理緩衝液(PBS、pH7.3)中のMBL溶液である。このMBL溶液に、濃度0.5%(w/v)にナノろ過した(15nmのろ紙による)溶液としてタンパク質安定剤アルブミンを加える。最終的なアルブミンで安定化したMBL調製物を滅菌ろ過し(Sartobran 300, Sartorius)、わずか10ml量にMBL 3mg/部として無菌的に充填する。
【0040】
実施例2:方法中のMBLを定量するための分析的手法
特異的な ELISA による MBL の定量測定:
MBLは、MBLに特異的なサンドイッチELISAで定量する。マウスのモノクローナル抗MBL抗体は、MBLを補足し、かつ検出するのに用いる。このアッセイで、検出抗体はビオチニル化されている。ビオチニル化抗体に結合した後、ストレプトアビジン結合HRPは、濃度依存様式で色素試薬OPDを転化する。分析した試料濃度は、MBL血清標準を用いて測定する。
【0041】
実施例3:精製方法からの収率
残留ペースト80kgから調製されるMBL含有液量は全体で約360kgで、約1.7mg MBL/リットルの濃度である。MBL含有液は、後の精製処理で扱いやすい量にし、かつMBL含有液から低分子量のタンパク質部分を除くために、カットオフ値が300kDaの膜を用いる限外ろ過で約10倍に濃縮する。平均38kg容量の最終的に濃縮されたMBL含有液は約68gの全タンパク質を含み、平均濃度14.6mg MBL/リットル(p = 1.011kg/l)である。抽出処理からの全体的な回収により約550mgのMBLが生じ、これは0.48mg/原料の血漿kg、3.9mg/ペーストII及びIII kgかつ6.9mg/残留ペーストkgのMBLに等しい。
濃縮されたMBL含有液は、アフィニティクロマトグラフィー工程を始めとするその後の方法の精製工程用の材料である。精製方法(実施例1)の収率は約235mg MBLで、溶液中に存在するMBLの約43%の回収に相当する。製剤化前の最終的なMBL調製物の純度は高く、MBLは全タンパク質含量の約60%である。
【0042】
実施例4:ウイルス減少工程の有効性
ウイルス減少工程は、ウイルス有効性研究のガイダンス:The Design, Contribution and Interpretation of Studies Validating the Inactivation and Removal of Viruses (CPMP/BWP/268/95)のCPMPノート及びガイダンスPlasma Derived Medicinal Products (CPMP/BWP/269/95)のノートにしたがって確認した。
S/D 処理工程の有効性
精製方法のためのS/D処理工程は、ウイルスの不活化のために確認した。この研究用に、3つの包膜ウイルス:ウシのウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)及びブタ仮性狂犬病ウイルス(PRV)を選択した。ウイルスの選択は、ヒト血液及び/又は血漿を汚染し得るウイルスを反映し、かつ/又はこれらのウイルスのモデルウイルスを含む。
製造方法の関連した段階からの試料は、選択したウイルスでスパイクし、S/D処理を行った。試料を回収し、細胞培養物中でのアッセイでウイルス量を定量した。次いで、ウイルスのクリアランスと減少因子を算出した。研究結果を、以下に要約する。
【0043】
Figure 0004707231
【0044】
ウイルス除去工程としてのアフィニティクロマトグラフィー工程の有効性
この研究の目的は、それぞれ物理化学特性が高い2つの小さな非包膜ウイルスであるCPV(イヌパルボウイルス)及びHAV(A型肝炎ウイルス)の除去として測定される製造方法のアフィニティクロマトグラフィー工程の有効性(減少因子として示す)を測定することであった。
この工程の有効性は、原材料に接種したウイルスの測定量とカラムから溶出された材料中のウイルスの収率を比較して算出し、減少因子として示している。減少因子は、以下のように要約される。
【0045】
Figure 0004707231
【0046】
参考文献
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Claims (31)

  1. 合成プロテアーゼ阻害剤及び/又は静菌剤を含まない機能的に活性なオリゴマーのマンナン結合レクチン生成物の医薬製剤を得るための、
    少なくとも以下の要素:
    - 原材料としてのマンナン結合レクチン(MBL)含有液中のMBLを、非複合の架橋結合した多糖マトリクスに吸着し、これから溶出する1回のアフィニティクロマトグラフィー工程を行うこと、
    - 少なくとも1つの有効なウイルス減少工程を行うこと
    からなるマンナン結合レクチンを精製する方法。
  2. 原材料が、MBLを含有する上清、懸濁液、乳生成物、初乳又は粗血漿タンパク質画分である請求項1に記載の方法。
  3. 原材料が、MBLを含有する乳生成物である請求項2に記載の方法。
  4. 原材料が、MBLを含有する上清である請求項2に記載の方法。
  5. 原材料が、粗血漿タンパク質画分である請求項2に記載の方法。
  6. 粗血漿タンパク質画分が、Cohn画分I、II及びIII;Cohn画分II及びIII;又はCohn画分IIIのようなCohn画分である請求項5に記載の方法。
  7. MBLを含有する懸濁液から大部分の免疫グロブリンを除くための予備処理工程を含み、
    前記予備処理工程が
    - 沈降したCohn画分の水性懸濁液を調製すること、
    - デプスフィルターろ過又は遠心分離により前記水性懸濁液からMBL含有の非可溶化タンパク質を単離すること、
    - 中性条件で前記MBL含有の非可溶化タンパク質からMBLを抽出すること
    を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
  8. MBL含有液を通した後にアフィニティクロマトグラフィーマトリクスからタンパク性夾雑物を洗い出すのに用いられる緩衝液又は緩衝液類が、MBL又は免疫グロブリンの機能活性の不可逆的な損失を引起こさず、MBLを溶出せずに大部分のタンパク性夾雑物を除く組成、pH及びイオン強度を有する、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
  9. 緩衝液の1つがCa-イオン含量0.2〜2.0mMのトリス緩衝液である請求項8に記載の方法。
  10. アフィニティクロマトグラフィーマトリクスからの溶出が、MBLの機能活性の不可逆的な損失を引起こさずにMBLを有効に溶出できる中性の緩衝液中で選択的な脱着剤を用いて行われる請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
  11. 脱着剤が糖類である請求項10に記載の方法。
  12. 脱着剤がCa-イオンキレート剤である請求項10に記載の方法。
  13. アフィニティクロマトグラフィー工程がウイルス除去工程として役立つ請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
  14. ウイルス除去工程が、殺ウイルス量のウイルス不活化剤をMBL含有液に加えて行われ、MBLの機能活性の不可逆的な損失を引起こさずにウイルスの危険がないMBL含有液が得られる請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
  15. ウイルス不活化剤が、MBLの機能活性の不可逆的な損失を引起こさない少なくとも1つの洗剤と少なくとも1つの溶媒との混合物である請求項14に記載の方法。
  16. MBLの機能活性の不可逆的な損失を引起こさない洗剤と溶媒との混合物が、Tween 80及び/又はTriton X-100 0.8〜1.5%及びTNBP 0.2〜1.0%である請求項15に記載の方法。
  17. MBLの最終収率が、アフィニティカラムにかけられるMBL含有液中のMBL 40%量より多い請求項1〜16のいずれか1つに記載の方法。
  18. 最終的なMBL生成物が少なくとも1つのタンパク質安定剤を加えて製剤化される請求項1〜17のいずれか1つに記載の方法。
  19. 全ての工程が無菌条件下で行なわれる請求項1〜18のいずれか1つに記載の方法。
  20. 合成プロテアーゼ阻害剤及び静菌剤を含まない機能的に活性なオリゴマーのマンナン結合レクチン血漿由来生成物である、請求項1〜19のいずれか1つに記載の方法で得られるマンナン結合レクチン生成物。
  21. MBLが生成物中の全タンパク質の60%を成している、請求項20に記載のマンナン結合レクチン生成物。
  22. 液体のMBL生成物である請求項20又は21に記載のマンナン結合レクチン生成物。
  23. 凍結乾燥されたMBL生成物である請求項2022のいずれか1つに記載のマンナン結合レクチン生成物。
  24. ml当たり少なくとも250μgのMBL濃度を有する請求項2023のいずれか1つに記載のマンナン結合レクチン生成物。
  25. ウイルスが存在しないか又は非感染性にされている、請求項2024のいずれか1つに記載のマンナン結合レクチン生成物。
  26. 請求項20〜25のいずれか1つに記載のマンナン結合レクチン生成物の医薬製剤。
  27. 医薬として用いられる請求項2025のいずれか1つに記載のマンナン結合レクチン生成物。
  28. 哺乳類における先天的、遺伝的又は後天的なMBL欠乏症に関連した疾患を治療又は予防する薬剤を製造するための請求項2025のいずれか1つに記載のマンナン結合レクチン生成物の使用。
  29. 感染を治療又は予防する薬剤を製造するための請求項28に記載の使用。
  30. 慢性炎症性脱髄多発性神経障害(CIDP)、多病巣性運動神経障害、多発性硬化症、重症筋無力症、イートン-ランバート症候群、視神経炎、癲癇、流産体質、原発性抗リン脂質症候群、関節リウマチ、全身性エリトマトーデス、全身性強皮症、脈管炎、ベーゲナー肉芽腫、シェーゲレン症候群、小児関節リウマチ、自己免疫好中球減少症、自己免疫溶血性貧血、好中球減少症、クローン疾患、潰瘍性大腸炎、腹腔疾患、並びに喘息、敗血性ショック症、慢性疲労症候群、乾癬、毒性ショック症候群、肥満、副鼻腔炎、膨張性心筋症、心内膜炎、アテローム性動脈硬化症、成人AIDS及び細菌感染、一般的に可変性の免疫欠乏症、ウィスコット-アルドリッチ症候群及び重篤複合免疫不全(SCID)を含む原発性の低/無ガンマグロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)及び多発性骨髄腫患者における二次的な低/無ガンマグロブリン血症、小児AIDS及び細菌感染、急性及び慢性の特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、同種異系骨髄移植(BMT)、川崎病及びギリアン-バレー症候群からなる群より選択される疾患を治療又は予防する薬剤を製造するための請求項2025のいずれか1つに記載のマンナン結合レクチン生成物の使用。
  31. 哺乳類がヒトである請求項2830のいずれか1つに記載の使用。
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