JP4706696B2 - 熱延鋼帯の製造方法及び製造設備 - Google Patents
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Description
熱延鋼帯の先端部側において上記のようなバウンド51aや先端折れ52aが発生すると、熱延鋼帯先端部がコイラー手前のピンチロール間に進入できず、コイラーによる熱延鋼帯の巻取りが不可能になるだけでなく、バウンド51aや先端折れ52aを生じた鋼帯部分が衝突した際の衝撃により、ピンチロール及びコイラーを含む周辺の機器類が破損するおそれもある。また、仮にコイラーによる熱延鋼帯の巻取りが行えたとしても、次工程において巻取りに不備を生じた鋼帯部分、すなわち先端折れ52aやきず欠陥部分等を切断除去する必要があるため、製品の歩留りが著しく低下する。
ここで、上記のような鋼帯の非定常的な変位(通板上の不安定現象)はライン速度を小さくすることによりある程度抑えることができるが、ライン速度を低下させることは、熱延鋼帯の生産性の低下を招くとともに、仕上温度を確保できなくなるなど鋼帯の品質確保の面でも支障が生じるため、採用しがたい。
従来、熱延鋼帯のランナウトテーブル上での通板安定性を確保するために、以下のような提案がなされている。
(2)ランナウトテーブルの上流側において、ランナウトテーブル上を通板する熱延鋼帯面に対して、斜め上方からスプレー装置により水を直接噴射し、且つその噴射水の鋼帯通板方向の速度成分を熱延鋼帯の通板速度以上にして熱延鋼帯に推進力を作用させることにより、熱延鋼帯先端部のバウンド(浮き上がり)やループの発生を抑える方法(特許文献2)
(4)ランナウトテーブル上を熱延鋼帯の尾端部が通板する際に、鋼帯通板方向と逆方向に向けて高圧水を鋼帯面に直接噴射することにより、尾端部でのループの発生を抑える方法(特許文献4,5)
(イ)上記従来技術のうち特許文献2,4,5の方法は、ランナウトテーブルのパスライン上を通板する熱延鋼帯面に対して斜め上方から直接水などの流体を吹き付けるものであり、また、特許文献1において鋼帯面に斜向流を吹き付ける場合も同様である。しかし、これら従来技術のように斜め上方からパスライン上の鋼帯面に対して直接流体を吹き付けた場合、流体は鉛直方向の速度成分を有しているため、ランナウトテーブルのパスライン上を正常に通板している熱延鋼帯に対して鉛直方向への衝突力を与えてしまう。この衝突力は図36の(i)に示すように、ランナウトテーブル50の隣接するテーブルロール間に鋼帯を押し込むように作用し、この結果、図36の(ii)に示すような鋼帯先端部の跳ね上がり55(バウンド)が発生し、最終的には図32の(ii)と同様の先端折れ52aに至ることが判った。また、このような跳ね上がり55(バウンド)は鋼帯尾端部においても同様に生じ、最終的には図34の(ii)と同様の尾端折れ52bに至ることが判った。さらには、流体の鉛直方向の速度成分によって鋼帯がテーブルロール間に押し込まれる作用は、鋼帯先端側部分や尾端側部分においてループを生じさせる原因となり、最終的に図33の(ii)や図35の(ii)と同様の腰折れ54a、54bに至る場合があることも判った。
(A)流体噴射を利用してランナウトテーブル上で熱延鋼帯を安定通板させるためには、ビーム状の流体噴流を、パスライン上を正常に通板する熱延鋼帯面と接触させることなく熱延鋼帯の上方を完全に通過するように噴射することが不可欠であり、これにより熱延鋼帯のパスライン上方への過剰な変位(バウンド、ループなど)を効果的に抑制できるとともに、流体噴射そのものによるパスライン上方への鋼帯部分の変位も適切に防止することができる。
[1]熱間圧延機で圧延して得られた熱延鋼帯をランナウトテーブルで搬送した後、コイラーに巻き取る熱延鋼帯の製造方法において、
前記ランナウトテーブルにより搬送される熱延鋼帯の上方に、流体噴流をパスライン(但し、ランナウトテーブルの鋼帯搬送面)上を通板する熱延鋼帯面と接することなく熱延鋼帯の上方を通過するように噴射するとともに、熱延鋼帯上方を通過中の前記流体噴流の中心線のパスラインからの高さを50〜250mmとし、このレベルを超えて上方に変位した鋼帯部分を前記流体噴流に衝突させ、当該鋼帯部分の変位を矯正することを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
[3]上記[2]の製造方法において、熱延鋼帯上方を通過中の流体噴流のパスライン長手方向速度成分を、熱延鋼帯の通板速度よりも大きくすることを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
[4]上記[1]の製造方法において、流体噴流を、反鋼帯通板方向に対する角度αが0°≦α<90°となるように噴射することを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの製造方法において、ランナウトテーブル長手方向に沿って適宜間隔をおいた複数箇所で流体噴流の噴射を行うことを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
[7]上記[6]の製造方法において、ランナウトテーブル長手方向における流体噴流の噴射位置の間隔が5〜15mであることを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
FW=[ρA(vsin(π×α/180))2]/9.8 …(2)
但し ρ:流体噴流を構成する流体の密度(kg/m3)
A:流体噴射ノズルのノズル口断面積(m2)
v:流体噴流の速度(m/sec)
α:流体噴流の噴射方向のパスライン長手方向(鋼帯通板方向又は反鋼帯通板方向)に対する角度(°)
流体噴流を、前記ランナウトテーブルにより搬送される熱延鋼帯の上方に、パスライン(但し、ランナウトテーブルの鋼帯搬送面)上を通板する熱延鋼帯面と接することなく熱延鋼帯の上方を通過するように噴射することができる流体噴射ノズルを、ランナウトテーブルの側方又は上方に備え、且つ該流体噴射ノズルのノズル口中心のパスラインからの高さを50〜250mmとしたことを特徴とする熱延鋼帯の製造設備。
[12]上記[10]の製造装置において、流体噴射ノズルの流体噴射方向の反鋼帯通板方向に対する角度αが0°≦α<90°であることを特徴とする熱延鋼帯の製造設備。
[13]上記[10]の製造装置において、流体噴射方向の鋼帯通板方向に対する角度αが0°≦α<90°である流体噴射ノズルと、流体噴射方向の反鋼帯通板方向に対する角度αが0°≦α<90°である流体噴射ノズルを備えること特徴とする熱延鋼帯の製造設備。
[15]上記[14]の製造装置において、ランナウトテーブル長手方向における流体噴射ノズルの設置間隔が5〜15mであることを特徴とする熱延鋼帯の製造設備。
図1〜図3は、本発明の製造方法におけるランナウトテーブル上での流体噴流5の噴射形態の一例を示すもので、図1はランナウトテーブル及びこれに搬送される熱延鋼帯先端部を示す側面図、図2は同じく平面図、図3は同じく正面図である。
本発明における流体噴流5の水平面上での噴射方向は、鋼帯幅方向(鋼帯通板方向に対して直交する方向)を除けば基本的には任意であり、鋼帯通板方向側に向けて流体噴流5を噴射してもよいし、反鋼帯通板方向(鋼帯通板方向と逆方向)側に向けて流体噴流5を噴射してもよい。前者の場合には、流体噴流5を鋼帯通板方向に対する角度αが0°≦α<90°となるように噴射することになり、また、後者の場合には流体噴流5を反鋼帯通板方向に対する角度αが0°≦α<90°となるように噴射することになる。
流体噴流5の噴射には流体噴射ノズルが用いられるが、以上述べたような流体噴流5の噴射位置や噴射方向に応じて、流体噴射ノズルの配置やノズル噴射方向が設定されることになる。
図において、2は熱間圧延機群を構成する仕上圧延機の最終スタンド、3は熱間圧延機群の出側に設置される熱延鋼帯搬送用のランナウトテーブル、4はこのランナウトテーブル3で搬送された熱延鋼帯1を巻き取るコイラー4である。
前記ランナウトテーブル3は多数のテーブルロールから構成されている。また、このランナウトテーブル3の上方及び下方には、搬送される熱延鋼帯に冷却水などの冷却用流体を供給するための冷却装置(図示せず)が設けられている。前記コイラー4の入側には、ランナウトテーブル3上を搬送されてきた熱延鋼帯1をピンチしてコイラー4に導くためのピンチロール16が設けられている。
各流体噴射ノズル6は流体供給系7に接続され、この流体供給系7を制御する制御装置8により各流体噴射ノズル6から噴射される流体噴流5の流量や噴射タイミング等が制御される。前記流体供給系7は、流体圧送用のポンプ11と、このポンプ11から吐出される流体の流量を調整する流量調整弁12と、開放時に流体噴射ノズル6に流体を供給する開閉弁13と、流体噴射ノズル6の角度を調整するアクチュエータなどからなる角度調整機構14等によって構成されている。
このような熱延鋼帯の製造設備では、熱間仕上圧延機の最終スタンド2から出た熱延鋼帯1はランナウトテーブル3上に導かれ、ランナウトテーブル3で搬送されつつ所定温度まで冷却され、その後コイラー4によりコイル状に巻き取られるが、ランナウトテーブル3を通板する熱延鋼帯1の上方に、流体噴射ノズル6から図1〜図3に示すような形態で流体噴流5が噴射される。
図10は、流体噴流5により鋼帯先端部のバウンドが解消される過程を示している。ここでは、バウンド101aが大きく成長する前に本発明条件に従い流体噴射ノズル6から流体噴流5が鋼帯通板方向側(流体噴流5の鋼帯通板方向に対する角度α:0°≦α<90°)に噴射されている。この状態でバウンド101aが成長すると流体噴流5と衝突し(図10の(i)参照)、流体噴流5によりバウンド101aの頂点近くの衝突点31aに略水平方向の衝突力が作用する。この衝突力は、パスライン長手方向成分(バウンド101aを鋼帯通板方向に押す成分)と、鉛直方向成分(バウンド101aをパスライン側に押す成分)として作用する。その結果、図10の(ii)に示すように、バウンド101aは鋼帯通板方向に押し出されるとともに、パスライン側(鉛直方向)に押し戻され、これにより図10の(iii)に示すようにバウンド101aが解消されて安定通板状態に至る。ここで、流体噴流5は熱延鋼帯5の上方を所定の高さで完全に通過するように流れているため、それよりも下方を通板している鋼帯部分には接することがなく、正常に通板している鋼帯部分をランナウトテーブル3のテーブルロール間に押し込むこともない。このため確実且つ効果的にバウンドを抑制・解消することが可能となる。
本発明において、鋼帯の変位を特に効果的に矯正するには、熱延鋼帯上方を通過中の流体噴流5の中心線のパスラインからの高さ(図1、図3、図7に示す高さh)を50〜450mm、好ましくは50mm以上200mm未満とすることが望ましい。
また、同様の観点から、熱延鋼帯上方を通過中の流体噴流5の下記(1)式で定義されるライン方向推進力FLを10〜50kgfとすることが好ましい。
FL=[ρA(vcos(π×α/180)−u)2]/9.8 …(1)
但し ρ:流体噴流を構成する流体の密度(kg/m3)
A:流体噴射ノズルのノズル口断面積(m2)
v:流体噴流の速度(m/sec)
u:熱延鋼帯の通板速度(m/sec)
α:流体噴流の噴射方向の鋼帯通板方向に対する角度(°)
なお、このライン方向推進力FLは、鋼帯通板方向側(0°≦α<90°)に向けて噴射された流体噴流5がパスライン上方に変位した鋼帯部分に衝突した際に、流体噴流5によってその鋼帯部分に付与されるパスライン長手方向の推進力(衝突力)であり、この推進力に起因する鉛直方向の力によってパスラインの上方に変位した鋼帯部分が鉛直方向(パスライン側)に押し戻されることになる。
本発明者らは、マルチボディダイナミクス(Multibody−Dynamics:多体系の動力学)を用いて、熱延鋼帯のランナウトテーブル上での通板状況のシミュレーション試験を行った。このシミュレーションでは、熱延鋼帯上方を通過中の流体噴流の中心線のパスラインからの高さ(以下、「流体噴流高さh」という)と、上記ライン方向推進力FLを種々変化させ、鋼帯の通板状況(鋼帯の変位の状況)を再現した。
・ランナウトテーブルの設備仕様:
テーブルロールピッチ:420mm
テーブルロール径:375nm
・流体噴流の噴射形態:図21(a)に示すように、流体噴流が鋼帯上方を通過している領域が鋼帯長手方向で連続するように流体噴流を噴射
・鋼帯通板速度(仕上圧延機最終スタンドの圧延速度):690m/分
・熱延鋼帯板幅:650mm
・熱延鋼帯板厚:1.2mm
・熱延鋼帯長:1000mm(先端1mの通板解析を想定)
・シミュレーション区間:最終スタンド通過後35mまで
図14によれば、まず、流体噴流高さhが500mmでは張り付きは全く生じていないが、これは鋼帯のバウンドは500mm以上の高さには成長しないため、流体噴流高さhを500mm以上に設定してもその流体噴流にバウンドが衝突することはなく、したがって、流体噴流5はバウンドの抑制には無効であることを示している。
以上の理由から、パスライン上方への鋼帯の変位を適切に抑制して鋼帯を安定通板させるには、流体噴流高さhは50〜450mm、好ましくは50mm以上200mm未満とすることが適当である。また、流体噴射ノズル6から流体噴流5を略水平に噴射する場合には、流体噴射ノズル6のノズル口中心のパスラインからの高さを50〜450mm、好ましくは50mm以上200mm未満とすることが適当である。
したがって、パスライン上方への鋼帯の変位を適切に抑制して鋼帯を安定通板させるには、ライン方向推進力FLは10〜50kgとすることが適当である。
そして、ライン方向推進力FLをこのような範囲とし、且つ流体噴流高さhを上述した範囲とすることにより、鋼帯の変位を最も効果的に抑制し、熱延鋼帯の最適な安定通板状態を実現することができる。
したがって、例えば、熱延鋼帯1にバウンドやループの発生しやすい位置が明確である場合には、流体噴射ノズル6は1箇所だけ設けることもできる。
流体噴射ノズル6を複数箇所に配置する場合には、例えば、以下のような配置形態を採ることができる。
(イ)ランナウトテーブル3の幅方向両側(ランナウトテーブル3の側端部近傍を含む両側位置)に、ランナウトテーブル長手方向に沿って適宜間隔をおいて複数の流体噴射ノズル6を設けるとともに、ランナウトテーブル両側の流体噴射ノズル6をランナウトテーブル3を中心に対称に配置する。
(ハ)ランナウトテーブル3幅方向片側(ランナウトテーブルの側端部近傍を含む片側の位置)のみに、ランナウトテーブル長手方向に沿って適宜間隔をおいて複数の流体噴射ノズル6を設ける。
(ニ)ランナウトテーブル3上の鋼帯パスラインの上方位置に、ランナウトテーブル長手方向に沿って適宜間隔をおいて複数の流体噴射ノズル6を設ける。
言うまでもなく、1つのランナウトテーブル3において、上記(イ)〜(ニ)の配置形態を組み合わせてもよい。
図19(a)は上記(イ)の形態を示すもので、ランナウトテーブル3(図示せず。以下同様)の幅方向両側に、ランナウトテーブル長手方向に沿って適宜間隔をおいて複数の流体噴射ノズル6を設けるとともに、ランナウトテーブル両側の流体噴射ノズル6をランナウトテーブルを中心に対称に配置してある。そして、流体噴流5が熱延鋼帯1の全幅の上方を通過するよう、流体噴流5の噴射方向のパスライン長手方向(鋼帯通板方向又は反鋼帯通板方向)に対する角度αが設定される。流体噴射ノズル6を設けるランナウトテーブル幅方向両側位置は、ランナウトテーブル3の側端部近傍を含む側方であって、ランナウトテーブル面よりも高い位置であれば、いずれでもよい。
なお、このようにランナウトテーブル幅方向両側の流体噴射ノズル6をランナウトテーブル3を中心に対称に配置する場合には、両流体噴射ノズル6から噴射される流体噴流が交差して互いに干渉(衝突)しないようにする必要があり、このため両流体噴射ノズル6から噴射される流体噴流の高さや水平面に対する角度βに差を設けるなどの調整を行う。
この形態では、ランナウトテーブル単位長あたりの流体噴射ノズル6の設置個数を上記(イ)の形態と同じにした場合には、流体噴射ノズル6のランナウトテーブル長手方向での配置間隔を1/2とすることができるので、熱延鋼帯1の上方を通過する流体噴流5の存在密度を高めることができる。
また、ランナウトテーブル幅方向両側にランナウトテーブル長手方向に沿って適宜間隔をおいて多数の流体噴射ノズル6を設け、それらを制御装置8によって適宜使い分けることにより、上記(イ)〜(ニ)の形態を選択的に実施してもよい。
FW=[ρA(vsin(π×α/180))2]/9.8 …(2)
但し ρ:流体噴流を構成する流体の密度(kg/m3)
A:流体噴射ノズルのノズル口断面積(m2)
v:流体噴流の速度(m/sec)
α:流体噴流の噴射方向のパスライン長手方向(鋼帯通板方向又は反鋼帯通板方向)に対する角度(°)
なお、図20は上記(イ)の形態(図19(a)の形態)を例に説明したが、上記(ロ)の形態(図19の(b)の形態)のようにランナウトテーブルを中心として非対称に対向した位置から噴射される流体噴流5どうしについても同様である。
また、図21(b)は、熱延鋼帯1の全幅の上方を通過する流体噴流5の軌跡を熱延鋼帯面上に平面投影した仮想の噴流通過線xのうち、パスライン長手方向で隣接する噴流通過線x,xの端部どうし(すなわち、x1とx2の端部どうし、x2とx3の端部どうし・・・)をパスライン長手方向位置で一致若しくは重複させないようにした実施形態であるが、この場合には、噴流通過線x,xの端部どうしの間隔zを5m以下とすることが好ましい。これは、一般に、バウンドなどの鋼帯部分の変位は、流体噴流5との衝突により一旦矯正(解消)された後、5m以上通板した後に再び発生することが多いためである。
上記のような流体噴流5のパスライン方向速度成分VFFl及びVFRlの調整は、例えば、図8に示す流量調整弁12の開度を変更して噴流速度VFF及びVFRを調整することによって行うことができる。また、角度調整機構14で流体噴流5の噴射角度αを変更することによっても調整可能である。
本発明法により流体噴流5を熱延鋼帯1の上方に噴射するタイミングや期間に特別な制限はないが、先に述べたように熱延鋼帯1が無張力の状態でランナウトテーブル上を通板している期間は、常にバウンドやループなどの非定常的な鋼帯の変位が生じるおそれがある。したがって、熱延鋼帯1が無張力でランナウトテーブル上を通板している期間、換言すれば、熱延鋼帯の先端部と尾端部がランアウトテーブル上を通過している期間は流体噴流5の噴射を行うことが好ましい。
一方、流体供給量に制限がある場合や、例えばバウンドの抑制・解消のみを目的とする場合には、熱延鋼帯1の先端部又は尾端部の通過に合わせて仕上圧延機最終スタンド2に一番近い噴射位置から順次流体噴流5の噴射を行い、且つその通過直後に流体噴流5の噴射を順次停止させるようにしてもよい。
流体噴流5はできるだけ遠距離まで拡散せずに同一の断面形状のまま到達することが望ましく、この点から流体噴流5のノズル先端の流速は30m/sec以上とすることが好ましい。ここで、一般的な熱延ラインにおける鋼帯通板速度は10m/sec程度であるので、この流体噴流5の流速は、鋼帯通板速度の約3倍以上ということになる。
この遮蔽体としては、例えば、(a)流体噴流5の上方に配置される遮蔽部材、(b)流体噴流5の上方を流体噴流5と略平行に流れる遮蔽用流体噴流、により構成することができる。後者の場合、遮蔽用流体噴流を流体噴流5の上方に略平行に噴射するための遮蔽用流体噴射ノズルが用いられる。
図28および図29は、上記(b)の場合の一実施形態を示すもので、図28は側面図、図29は平面図である。
図において、20はランナウトテーブル3の上方から通板中の熱延鋼帯1に冷却水21を供給するラミナヘッドである。流体噴射ノズル6の上方には、流体噴流5をラミナヘッド20から供給される冷却水21から遮蔽するために、流体噴流5の直上に遮蔽用流体噴流18を略平行に噴射するための第2の流体噴射ノズル17が設けられている。
なお、遮蔽用流体噴流18は、流体噴流5の上方で複数本を多段に噴射したり、或いは流体噴流5の噴流幅に合わせて複数本を並列的に噴射してもよい。
また、流体噴流5とその直上の遮蔽用流体噴流18は噴流としては略同じものであるから、遮蔽用流体噴流11を本発明条件に従って噴射することにより、流体噴流5と同様に通板安定化にも寄与させることができる。
図において、流体噴射ノズル6から噴射される流体噴流5をラミナヘッド20から供給される冷却水21から遮蔽するために、流体噴流5の直上に遮蔽板19が設置されている。このような遮蔽板19を設置することによって、ラミナヘッド20から噴射される冷却水21は遮蔽板19に遮られるため、直接的に流体噴流5に衝突することはない。このため流体噴流5の流速が減衰することが防止される。
また、遮蔽板19を水平方向に可動式とし、流体噴流5を使用しない板厚が比較的厚い熱延鋼帯を製造する場合には、遮蔽板19をランナウトテーブル3の上側から移動させるようにしてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、ランナウトテーブル上で鋼帯にバウンドやループなど非定常的な変位が生じるのは、特に板厚2.0mm以下の薄物の熱延鋼帯において顕著であり、したがって、本発明はそのような薄物の熱延鋼帯の製造に特に好適なものである。
2…仕上圧延機最終スタンド
3…ランナウトテーブル
4…コイラー
5…流体噴流
6…流体噴射ノズル
7…流体供給系
8…制御装置
11…ポンプ
12…流量調整弁
13…開閉弁
14…角度調整機構
15…回収手段
16…ピンチロール
17…第2の流体噴射ノズル
18…遮蔽用流体噴流
19…遮蔽板
20…ラミナヘッド
21…冷却水
Claims (16)
- 熱間圧延機で圧延して得られた熱延鋼帯をランナウトテーブルで搬送した後、コイラーに巻き取る熱延鋼帯の製造方法において、
前記ランナウトテーブルにより搬送される熱延鋼帯の上方に、流体噴流をパスライン(但し、ランナウトテーブルの鋼帯搬送面)上を通板する熱延鋼帯面と接することなく熱延鋼帯の上方を通過するように噴射するとともに、熱延鋼帯上方を通過中の前記流体噴流の中心線のパスラインからの高さを50〜250mmとし、このレベルを超えて上方に変位した鋼帯部分を前記流体噴流に衝突させ、当該鋼帯部分の変位を矯正することを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。 - 流体噴流を、鋼帯通板方向に対する角度αが0°≦α<90°となるように噴射することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼帯の製造方法。
- 熱延鋼帯上方を通過中の流体噴流のパスライン長手方向速度成分を、熱延鋼帯の通板速度よりも大きくすることを特徴とする請求項2に記載の熱延鋼帯の製造方法。
- 流体噴流を、反鋼帯通板方向に対する角度αが0°≦α<90°となるように噴射することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼帯の製造方法。
- 熱延鋼帯の先端側部分に対しては、流体噴流を鋼帯通板方向に対する角度αが0°≦α<90°となるように噴射し、熱延鋼帯の尾端側部分に対しては、流体噴流を反鋼帯通板方向に対する角度αが0°≦α<90°となるように噴射することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼帯の製造方法。
- ランナウトテーブル長手方向に沿って適宜間隔をおいた複数箇所で流体噴流の噴射を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱延鋼帯の製造方法。
- ランナウトテーブル長手方向における流体噴流の噴射位置の間隔が5〜15mであることを特徴とする請求項6に記載の熱延鋼帯の製造方法。
- ランナウトテーブル幅方向両側から流体噴流の噴射を行うとともに、ランナウトテーブルを挟んで対向した位置(但し、ランナウトテーブルを中心として非対称の位置を含む)から噴射され、熱延鋼帯上方を通過中の流体噴流の下記(2)式で定義される幅方向推進力FWが略等しくなるよう、流体噴流の噴射を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱延鋼帯の製造方法。
FW=[ρA(vsin(π×α/180))2]/9.8 …(2)
但し ρ:流体噴流を構成する流体の密度(kg/m3)
A:流体噴射ノズルのノズル口断面積(m2)
v:流体噴流の速度(m/sec)
α:流体噴流の噴射方向のパスライン長手方向(鋼帯通板方向又は反鋼帯通板方向)に対する角度(°) - 流体噴流の噴射方向が水平面に対して上方側又は下方側に傾きを有し、該流体噴流の噴射方向の水平面に対する傾き角βが10°以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の熱延鋼帯の製造方法。
- 熱間圧延機群と、該熱間圧延機群の出側に設けられる熱延鋼帯搬送用のランナウトテーブルと、該ランナウトテーブルで搬送された熱延鋼帯を巻き取るコイラーとを備えた熱延鋼帯の製造設備において、
流体噴流を、前記ランナウトテーブルにより搬送される熱延鋼帯の上方に、パスライン(但し、ランナウトテーブルの鋼帯搬送面)上を通板する熱延鋼帯面と接することなく熱延鋼帯の上方を通過するように噴射することができる流体噴射ノズルを、ランナウトテーブルの側方又は上方に備え、且つ該流体噴射ノズルのノズル口中心のパスラインからの高さを50〜250mmとしたことを特徴とする熱延鋼帯の製造設備。 - 流体噴射ノズルの流体噴射方向の鋼帯通板方向に対する角度αが0°≦α<90°であることを特徴とする請求項10に記載の熱延鋼帯の製造設備。
- 流体噴射ノズルの流体噴射方向の反鋼帯通板方向に対する角度αが0°≦α<90°であることを特徴とする請求項10に記載の熱延鋼帯の製造設備。
- 流体噴射方向の鋼帯通板方向に対する角度αが0°≦α<90°である流体噴射ノズルと、流体噴射方向の反鋼帯通板方向に対する角度αが0°≦α<90°である流体噴射ノズルを備えること特徴とする請求項10に記載の熱延鋼帯の製造設備。
- ランナウトテーブル長手方向に沿って適宜間隔をおいて複数の流体噴射ノズルを設けることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の熱延鋼帯の製造設備。
- ランナウトテーブル長手方向における流体噴射ノズルの設置間隔が5〜15mであることを特徴とする請求項14に記載の熱延鋼帯の製造設備。
- 流体噴流ノズルの流体噴射方向が水平面に対して上方側又は下方側に傾きを有し、該流体噴射方向の水平面に対する傾き角βが10°以下であることを特徴とする請求項10〜15のいずれかに記載の熱延鋼帯の製造設備。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007317783A JP4706696B2 (ja) | 2002-08-27 | 2007-12-08 | 熱延鋼帯の製造方法及び製造設備 |
Applications Claiming Priority (9)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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