JP4705753B2 - 搬送システム - Google Patents

Description

この発明はポート間で、天井走行車、有軌道台車、無人搬送車などにより物品を搬送する搬送システムに関する。

搬送システムで、ポートから搬送機器で物品を搬出することを考える。また搬送する物品には搬送指令の優先度が付されているものとする。優先度の高い搬送指令が割り付けられた際に、搬出ポートが他の物品で占められていると搬送が遅れる。特に搬出ポートを占有している物品の搬送指令の優先度が低い場合、搬送指令の優先度が低い物品の搬出が遅れると、後続の搬送指令の優先度が高い物品の搬送も遅れることになる。このように搬送における優先度は、当該物品の搬送指令の優先度のみでなく、先行する物品の搬送指令の優先度にも関係する現象であるが、従来技術でこの点を考慮したものは見あたらなかった。

この発明の課題は、搬送指令の優先度が低い搬送物品が搬出用のポートを占有するために、搬送指令の優先度の高い物品の搬送が遅れるのを防止することにある。
請求項２の発明での追加の課題は、搬送指令の優先度が低い搬送物品が搬入用のポートを占めるために、搬送指令の優先度が高い物品の搬入が遅れるのを防止することにある。
請求項３の発明での追加の課題は、搬出ポートから搬入ポートまでの間の走行ルートが待機中の搬送機器で塞がり、搬送指令の優先度が高い物品の搬送が遅れるのを防止することにある。

この発明の搬送システムは、走行方向が決まった周回軌道から成る走行レールに沿って複数の搬送機器が走行し、前記走行レールに沿って、搬入ポートと搬出ポートとを備えたストッカと、各々搬入ポートと搬出ポートとを備えた複数の処理装置とが設けられ、前記のいずれかの搬出ポートから前記のいずれかの搬入ポートへ搬送機器により物品を搬送するようにした搬送システムにおいて、前記ストッカ内の第１の物品を、前記ストッカの搬出ポートを経由して、処理装置の搬入ポートへ搬送する優先度の高い第１の搬送指令を割り付ける際に、前記第１の搬送指令と同じ前記ストッカの搬出ポートを経由し、かつ搬送指令の優先度が第１の搬送指令の優先度よりも低く、さらに前記搬出ポートに搬出済み及び前記搬出ポートへ搬送中の、第２の物品に対する第２の搬送指令を検索するための手段と、前記第２の搬送指令の搬出ポート以降の搬送指令の優先度を増すための優先度変更手段とを設けることにより、第２の搬送指令を中止することなく、第２の物品の搬出ポートからの搬出を急ぐようにすると共に、前記第１の搬送指令を割り付ける際に、前記第１の搬送指令と同じ処理装置の搬入ポートを経由し、かつ搬送指令の優先度が第１の搬送指令の優先度よりも低く、さらに前記搬入ポートに搬入済みの、第３の物品に対する第３の搬送指令を検索するための手段と、前記第３の搬送指令の前記搬入ポート以降の優先度を増すための手段とを設けることにより、第３の搬送指令を中止することなく、第３の物品が前記搬入ポート以降へ優先的に搬送されるようにしたことを特徴とする。

ここに搬出ポートや搬入ポートは、ストッカなどの保管設備のポートでも、半導体処理装置などの処理装置のポートでも良く、バッファを備えたポートでも備えないポートでも良い。搬送指令の割り付けは、搬送機器に搬送指令を割り当てることである。また搬送機器には、ストッカや処理装置間で物品を搬送する天井走行車、有軌道台車、無人搬送車や、ストッカ内のスタッカークレーンや処理装置内の搬送機器などを用いる。さらに優先度を増すのは例えば第１の搬送指令と干渉する範囲で、例えば搬出ポートからの搬出の優先度を第２の搬送指令に対して増す場合、例えば搬出ポートからその搬入ポートまでの搬送指令の優先度を増せばよく、それ以降の搬送指令の優先度を増す必要はない。

優先度の高低は、例えば３ランクあるいは５ランクなどに搬送指令を分類することにより設ける。例えば５ランク設ける場合で、ランクが高いほど優先度が高いものとして、ランク３の第１の搬送指令を促進するために、ランク２の第２や第３の搬送指令に対しては優先度を変更せず、ランク１の搬送指令に対して優先度をランク２もしくは３に増すようにしても良い。言い換えると、第１の搬送指令の優先度よりも規定以上優先度が低い第２及び第３の搬送指令に対して優先度を増しても良い。

また好ましくは、前記優先度の高い第１の搬送指令を割り付ける際に、第１の搬送指令での搬出ポートと搬入ポート間の走行ルートで待機中の搬送機器を、前記第１の搬送指令での搬入ポート以遠へ退避させるための退避手段とを設ける。

この発明では、優先度の低い第２の搬送指令の搬送物品で搬出ポートが占有されていると、その物品の搬送指令への優先度を高めて搬出を急ぐので、後続の優先度の高い第１の搬送指令での物品の搬送も促進できる。

この発明では、搬入ポートが搬送指令の優先度の低い先行物品で占有されているために、後続の優先度の高い搬送指令での物品が搬入できなくなることを防止できる。

以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。

図１〜図３に実施例を示す。図１において、２は全体としての搬送システムで、４はストッカで、自動倉庫その他の保管設備でも良く、搬入ポート５と搬出ポート６とを備え、これらはバッファ付きのポートでもバッファ無しのポートでもよい。ストッカ４には、ポート５,６の他に、ストッカ内搬送用のスタッカークレーンと棚とを備え、８はストッカコントローラである。

実施例では、ストッカ４の外部での搬送機器として天井走行車を用い、１０,１４は天井走行車の走行レールで、１２,１６は天井走行車である。走行レール１０は、工程間搬送用の走行レールで、走行レール１４は工程内搬送用の走行レールで、これらは共に走行方向が決まった周回軌道である。走行レール１４に沿って多数の処理装置１８が設けられ、各々搬入ポート５と搬出ポート６とが設けてある。なおストッカ４や処理装置１８のポートは入出庫兼用等でもよい。

処理装置１８に搬入ポート５から、半導体カセット等の搬送物品を引き込み、カセットを開けて基板を取り出し、基板を処理装置内で搬送する。また処理装置１８で処理済みの基板を搬出ポート６側へ搬送してカセット内にセットし、搬出ポート６へと送り出す。ポートコントローラ２０は、搬入ポート５から処理装置１８内への物品の搬送と、処理装置１８内から搬出ポート６への物品の搬送を制御する。２２,２４は天井走行車のコントローラで、コントローラ２２は走行レール１０に沿って走行する天井走行車１２を制御し、コントローラ２４は、走行レール１４に沿って走行する天井走行車１６を制御する。

物流コントローラ３０は、コントローラ８,２０,２２,２４と通信しながらこれらを管理し、また図示しない上位コントローラや生産コントローラ等と通信して搬送の依頼を受け、搬送結果を上位コントローラや生産コントローラ等に報告する。物流コントローラ３０には搬送指令リスト３２を設けて、搬送機器に割り付け済の搬送指令を記憶させる。搬送指令には、搬送の出発点(FROM位置)と行き先(TO位置)と搬送する物品のＩＤならびに搬送指令の優先度を記述する。

例えばストッカ４内から処理装置１８へ物品を搬送する場合、搬送指令はストッカ４内の棚から搬出ポート６へのストッカ内搬送と、処理装置１８の搬入ポート５へのストッカ外搬送、ならびに搬入ポート５から処理装置１８内への搬送の３つのサブ搬送に分割することができる。そして搬送指令では、複数のサブ搬送を伴う場合、それぞれのサブ搬送毎にFROM位置とTO位置、物品のＩＤ、ならびに優先度を記憶する。また優先度はここでは例えば３ランクとし、値が高いほど優先度が高いものとする。

検索手段３４は、優先度が２以上または３以上等の優先度が規定値以上の搬送指令を割り付けた際に、これと干渉する先行の搬送指令を検索する。優先度が高いため搬送を急ぐ搬送指令を第１の搬送指令とする。この検索では、ストッカ４や処理装置１８において、搬出ポート６から物品を搬出するまでの過程で干渉する搬送指令で、第１の搬送指令よりも規定値以上優先度が低いものを第２の搬送指令とする。また搬入先のストッカや処理装置１８において、搬入ポート５からストッカ内や処理装置１８内へ搬入する過程で干渉する搬送指令で、第１の搬送指令よりも規定値以上優先度が低いものを第３の搬送指令とする。これ以外に、第１の搬送指令での、搬出ポートから搬入ポートまでの間、より好ましくは第１の搬送指令を割り付けた天井走行車の現在位置から搬入ポートまでの間で待機中の天井走行車を検索する。

第２の搬送指令や第３の搬送指令を発見すると、優先度変更手段３６は第２の搬送指令や第３の搬送指令の優先度を所定値分増加させる。なお第２の搬送指令に対して優先度を増す搬送区間は、搬出ポートからその目的の搬入ポートまでであり、第３の搬送指令の優先度を増す区間は、搬入ポート５からストッカ内や処理装置１８内までである。さらに第１の搬送指令での、搬出ポートなどから搬入ポートまでの区間で待機中の天井走行車を発見すると、これを搬入ポート以遠の区間へと退避させる。

３８は搬送ルートリストで、走行レール１０,１４に沿ったポート５,６の配置を記憶している。また搬送機器リスト４０には、天井走行車１２,１６やスタッカークレーンなどの搬送機器がリストされ、これ以外に天井走行車１２,１６の現在位置を記憶している。

図２,図３により実施例の動作を示す。ここでは図２のストッカ４aからストッカ４bまで、後行の天井走行車１６sで物品を搬送することを考える。またストッカ４a,４b間の走行ルート１４には、先行の天井走行車１６fが待機しているものとする。物流コントローラは、出発点と行き先の２つのストッカコントローラ並びに天井走行車コントローラに、サブ搬送指令を送信する。

物品の搬出には搬出ポート６aを経由する必要がある。ここで搬出ポート６aやその手前のバッファが他の物品で占有されている、あるいはスタッカークレーン４２が搬出ポート６aに向けて物品を搬送中の場合、搬送指令の優先度が高い物品の搬送が遅れる。そこで検索手段は、搬出ポート６aやそのバッファ、並びに搬出ポート６aへ搬送中の物品の搬送指令（干渉する搬送指令）の優先度をチェックする。そしてこれらの優先度が、第１の搬送指令よりも規定値以上低い場合、その優先度を所定値だけ増加させる。

ストッカ４a,４b間などで先行の天井走行車１６fが待機している場合、これを検索して目的の搬入ポート５b以遠の区間へ退避させる。なお搬出ポート６aと天井走行車１６sの現在位置との間に別の天井走行車が待機している場合、このような天井走行車も搬入ポート５b以遠の区間へ退避させる。

搬入ポート５bが搬送指令の優先度が規定値以上低い物品で占有されている場合、搬入ポート５bからストッカ４b内への搬送指令の優先度を高める。なお搬入ポート５bにバッファが存在する場合、バッファの物品の搬送指令の優先度が規定値以上低ければ、この物品も搬送指令の優先度を高める。これらにより、天井走行車１６sから搬入ポート５bに物品を荷下ろしすると、速やかにスタッカークレーン４２によりストッカの棚などに格納することができる。

実施例ではストッカ４a,４b間の搬送について説明したが、ストッカと処理装置間や、処理装置と処理装置との間の搬送でも同様である。また搬送機器には天井走行車やスタッカークレーンの他に、有軌道台車や無人搬送車等を用いてもよい。

実施例では以下の効果が得られる。
(1) 搬送指令の優先度が低い物品に搬出ポートが占有されるために、搬送指令の優先度が高い物品の搬送が遅れることを防止できる。
(2) 搬送指令の優先度が低い物品が搬入ポートを占有するために、搬送指令の優先度が高い物品の搬入が遅れることを防止できる。
(3) 待機中の搬送機器により、搬送指令の優先度が高い物品の搬送が妨げられることがない。

実施例の搬送システムのレイアウトを示す図 実施例での搬入ポートや搬出ポートと天井走行車との配置を模式的に示す図 実施例での高優先度搬送のアルゴリズムを示す図

２ 搬送システム
４ ストッカ
５ 搬入ポート
６ 搬出ポート
８ ストッカコントローラ
１０，１４ 走行レール
１２ 天井走行車
１６ 天井走行車
１８ 処理装置
２０ ポートコントローラ
２２，２４ 天井走行車のコントローラ
３０ 物流コントローラ
３２ 搬送指令リスト
３４ 検索手段
３６ 優先度変更手段
３８ 搬送ルートリスト
４０ 搬送機器リスト
４２ スタッカークレーン

Claims (1)

1. 走行方向が決まった周回軌道から成る走行レールに沿って複数の搬送機器が走行し、前記走行レールに沿って、搬入ポートと搬出ポートとを備えたストッカと、各々搬入ポートと搬出ポートとを備えた複数の処理装置とが設けられ、前記のいずれかの搬出ポートから前記のいずれかの搬入ポートへ搬送機器により物品を搬送するようにした搬送システムにおいて、
   前記ストッカ内の第１の物品を、前記ストッカの搬出ポートを経由して、処理装置の搬入ポートへ搬送する優先度の高い第１の搬送指令を割り付ける際に、前記第１の搬送指令と同じ前記ストッカの搬出ポートを経由し、かつ搬送指令の優先度が第１の搬送指令の優先度よりも低く、さらに前記搬出ポートに搬出済み及び前記搬出ポートへ搬送中の、第２の物品に対する第２の搬送指令を検索するための手段と、
   前記第２の搬送指令の搬出ポート以降の搬送指令の優先度を増すための優先度変更手段とを設けることにより、第２の搬送指令を中止することなく、第２の物品の搬出ポートからの搬出を急ぐようにすると共に、
   前記第１の搬送指令を割り付ける際に、前記第１の搬送指令と同じ処理装置の搬入ポートを経由し、かつ搬送指令の優先度が第１の搬送指令の優先度よりも低く、さらに前記搬入ポートに搬入済みの、第３の物品に対する第３の搬送指令を検索するための手段と、
   前記第３の搬送指令の前記搬入ポート以降の優先度を増すための手段とを設けることにより、第３の搬送指令を中止することなく、第３の物品が前記搬入ポート以降へ優先的に搬送されるようにしたことを特徴とする、搬送システム。

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