JP4704026B2 - ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、架橋ポリ乳酸と、エポキシ基を有するシランカップリング剤処理を施したガラス繊維とからなる樹脂組成物、およびこれを成形してなる成形体に関するものであり、機械的強度、耐熱性、成形性に優れ、石油系製品への依存が低い樹脂組成物、およびそれを用いて成形した成形体に関するものである。
ポリ乳酸は結晶性を有する樹脂であるが、結晶化速度が遅いため通常の成形体では機械的強度、耐熱性、成形性などが不十分となってしまう場合が多い。ポリ乳酸の結晶化速度を向上させるために、結晶核剤としてタルク、シリカ、乳酸カルシウムなどを添加する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法では、熱処理を施していないために結晶化が不十分である上、ポリマーの結晶化速度が遅いため成形時の生産性に劣るという問題がある。ポリ乳酸に無機フィラーや繊維状強化材の充填によって補強する方法もある(例えば、特許文献2参照)。しかし、常温における剛性はある程度改善されるが、ポリ乳酸自体の結晶性が高くないため、ガラス転移温度を超える温度領域では剛性や靭性が低下し、十分な耐熱性を得ることは困難であった。また、結晶化速度を向上させるため、生分解性ポリエステル樹脂を架橋し、その樹脂組成物の特性を損なわなければ、ガラス繊維を添加する方法も開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、機械的強度、耐熱性、成形性の面では、必ずしも改善効果として十分なものではなかった。
特開平8−193165号公報 特開2002−105298号公報 特開2003−128901号公報
本発明の課題は、前記問題を解決し、ポリ乳酸の結晶化と結晶性の安定化を図ることによって、機械的強度、実使用を含めた耐熱性、成形性に優れ、しかも結晶化速度を速めることにより射出成形時の成形サイクルを短縮し、生産性にも優れた樹脂組成物および実使用成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、架橋ポリ乳酸と、エ
ポキシ基を有するシランカップリング剤により表面処理を施したガラス繊維とからなる樹
脂組成物を用いることにより、ポリ乳酸の結晶化を格段に促進させることができ、また樹
脂組成物の機械的強度や、これを成形してなる成形体の実使用温度を向上させ、さらに成
形性に優れることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)架橋ポリ乳酸(A) 50〜95質量部と、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、またはγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランにより表面処理され、繊維長さが3〜25mmのガラス繊維(B)50 〜5質量部とからなることを特徴とする樹脂組成物。
(2)架橋ポリ乳酸(A)100質量部に対し、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)を0.01〜20質量部配合してなることを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物。
(3)(1)〜(2)のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明によれば、機械的強度の向上だけでなく、優れた耐熱性、成形性を有する石油系製品への依存度の低い樹脂組成物が提供される。特に、エポキシ基を有するシランカップリング剤で表面処理したガラス繊維を配合することにより、結晶化速度の向上により成形サイクルを短縮することができる。この樹脂組成物は各種成形方法により、種々の成形体とすることができるなど、産業上の利用価値は極めて高い。また、天然物由来の生分解性樹脂を利用しているので、石油等の枯渇資源の節約に貢献できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、架橋構造を有するポリ乳酸(A)とエポキシ基を有するシランカップリング剤で表面処理を施したガラス繊維(B)を主成分として含有するものである。その配合比率(A)/(B)は、50〜95/50〜5(質量部)であることが必要であり、70〜90/30〜10(質量部)であることが好ましい。架橋ポリ乳酸(A)の配合量が95質量部を超えると十分な機械的物性や耐熱性を得ることができない。また、ガラス繊維(B)の配合が50質量部を超えると、効果が飽和状態となるばかりか、機械物性のバランスを損ねてしまい好ましくない。すなわち、配合量が50質量部を超えると、混合物の比重が大きくなり過ぎるとともに、流動性が低下するため成形性が悪化する。加えて、成形時に繊維が表面に浮いてくるため外観上も悪くなり好ましくない。また、ガラス繊維(B)の配合量が5質量部未満では、ガラス繊維による補強効果が十分に得られない。
本発明に使用されるポリ乳酸としては、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)が挙げられ、生分解の観点からは、ポリ(L−乳酸)を主体とすることが好ましい。また、少量であれば、ポリグルコール酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートなどの他のポリエステルとの混合物や共重合体を用いることもできるが、生分解性の観点からポリ(L−乳酸)を主体とすることが望ましい。
また、ポリ(L−乳酸)を主体とするポリ乳酸の融点は、光学純度によってその融点が異なるが、本発明においては、成形体の機械的強度や耐熱性を考慮すると、融点を160℃以上とすることが望ましい。ポリ(L−乳酸)を主体とするポリ乳酸において融点を160℃以上とするためには、D−乳酸成分の割合を約3モル%未満とすればよい。
ポリ乳酸の190℃、荷重21.2Nにおけるメルトフローレートは、0.1〜50g/10分、好ましくは0.2〜20g/10分、最適には0.5〜10g/10分である。メルトフローレートが50g/10分を超える場合には、溶融粘度が低すぎて成形物の機械的強度や耐熱性が劣る場合がある。一方、メルトフローレートが0.1g/10分未満の場合は成形加工時の負荷が高くなりすぎ、操業性が低下する場合がある。
ポリ乳酸は通常公知の溶融重合法によって、あるいは固相重合法を併用して製造される。上記メルトフローレートを所定の範囲に調節する方法として、メルトフローレートが大きすぎる場合は、少量の鎖長延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ビスオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを用いて樹脂の分子量を増大させる方法が挙げられる。逆に、メルトフローレートが小さすぎる場合はメルトフローレートの大きなポリエステル樹脂や低分子量化合物と混合する方法が挙げられる。
本発明において架橋ポリ乳酸(A)とは、ポリ乳酸に架橋構造を導入したものである。架橋の形態としては、特に限定されるものではないが、ポリ乳酸単独で架橋したものや、架橋助剤を介して間接的に架橋したもの、またはその両方を併用してもよい。
ポリ乳酸に架橋構造を導入する方法は、電子線照射や多価イソシアネート化合物等の多官能性化合物を使用など公知の方法を適用できるが、架橋効率の点で過酸化物の使用によるラジカル架橋が望ましい。
過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。過酸化物の配合量は、ポリ乳酸100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。20質量部を超えても使用できるが、コスト面では不利となる。なお、このような過酸化物は、樹脂との混合の際に分解するため、たとえ配合時に使用されても、得られた樹脂組成物中には含まれていない場合がある。
さらに架橋効率をあげるために過酸化物とともに架橋助剤として(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)を使用するのが望ましい。この成分を介して、ポリ乳酸成分が架橋され、機械的強度、耐熱性、寸法安定性および結晶化速度が向上する。(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)としては、ポリ乳酸との反応性が高く、モノマーが残りにくく、また、樹脂の着色も少ないことから、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、または1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物が好ましい。具体的な化合物としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、また、これらのアルキレングリコール構造が炭素原子数の異なるアルキレンの共重合体でもよく、さらに、ブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレート等が挙げられ、中でも反応性の高い理由からポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート等が好ましい。
架橋助剤として(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)を配合する場合、その量は、ポリ乳酸100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、さらに0.05〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。操業性に特に支障が出なければ、20質量部を超えて使用することもできる。
ポリ乳酸に、過酸化物、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)を配合する手段としては、一般的な押出機を用いて溶融混練する方法を挙げることができる。混練状態をよくする意味で二軸の押出機を使用することが好ましい。混練温度は(ポリ乳酸の融点+5℃)〜(ポリ乳酸の融点+100℃)の範囲が、また、混練時間は20秒〜30分が好ましい。この範囲より低温や短時間であると、混練や反応が不充分となり、また高温や長時間であると樹脂の分解や着色が起きることがある。配合に際しては、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)や、固体状であればドライブレンドや粉体フィーダーを用いて供給する方法が好ましく、液体状の場合は、加圧ポンプを用いて、押出機の途中から注入する方法が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)と過酸化物を併用する場合の好ましい方法として、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)および/または過酸化物を媒体に溶解または分散して混練機に注入する方法が挙げられ、操業性を格段に改良することができる。すなわち、ポリ乳酸と過酸化物とを溶融混練中に、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)の溶解液、または分散液を注入したり、前記ポリ乳酸を溶融混練中に、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)と過酸化物の溶解液、または分散液を注入して溶融混練することできる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)および/または過酸化物を溶解または分散させる媒体としては、従来公知のものが用いられ、特に限定されないが、本発明のポリ乳酸との相溶性に優れた可塑剤が好ましい。例えば、脂肪族多価カルボン酸エステル誘導体、脂肪族多価アルコールエステル誘導体、脂肪族オキシエステル誘導体、脂肪族ポリエーテル誘導体、脂肪族ポリエーテル多価カルボン酸エステル誘導体などから選ばれた1種以上の可塑剤などが例示される。具体的な化合物としては、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルトリブチルクエン酸、ポリエチレングリコール、ジブチルジグリコールサクシネートなどが挙げられる。可塑剤の使用量としては、架橋ポリ乳酸(A)とガラス繊維(B)の合計100質量部に対し30質量部以下が好ましく、0.1〜20質量部がさらに好ましい。架橋剤の反応性が低い場合、可塑剤を使用量しなくてもよいが、反応性が高い場合には0.1質量部以上用いることが好ましい。なお、この媒体は、樹脂との混合時に揮発することがあるため、たとえ製造時に使用しても、得られた樹脂組成物中にはこの媒体が含まれていない場合がある。
本発明に用いるガラス繊維(B)は、エポキシ基を有するシラン系カップリング剤により表面処理されていることが必要である。エポキシ基を有するシラン系カップリング剤としては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどを挙げることができる。これらのシラン系カップリング剤の中から1種以上の化合物を任意に選択して用いればよい。反応性とコストの点から、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが好ましい。
カップリング剤によりガラス繊維の表面を処理する方法としては、例えば下記のような方法が挙げられる。水、または水とメチルアルコール、エチルアルコールなどの有機溶剤とを含む混合溶液に、必要であれば、酢酸、蟻酸などの有機酸を添加してpHを調整し、これに上記シランカップリング剤を溶解または分散させて処理液を調製する。この処理液にガラス繊維を浸漬するか、または処理液をスプレーなどによりガラス繊維に噴霧するかして、ガラス繊維表面に処理液を付着させる。次いで、余分な処理液を絞りとった後、ガラス繊維を加熱または常温によって乾燥させる方法が挙げられる。なお、シランカップリング剤の添加量は、ポリ乳酸100質量部に対して、0.1〜2.0質量部が好ましく、0.5〜1.5質量部がより好ましい。
本発明に用いるガラス繊維(B)の長さは、3〜25mmであることが好ましく、5〜15mmであることがさらに好ましい。繊維長さが長いほど補強効果が大きく、曲げ弾性率が向上する。つまり、剛性がより大きくなる。繊維長さが3mm未満では、繊維長さによる十分な補強効果が得られず、繊維長さが25mmを超えると流動性の低下が大きく、成形性などの点で好ましくない。
本発明に用いるガラス繊維(B)の添加方法としては、押出し機において、ホッパーから、あるいは、サイドフィーダーを用いて添加することができる。また、ガラス繊維をマスターバッチ加工することで、成形時にベース樹脂で希釈し、使用することもできる。
本発明の樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、および、シート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の成形方法により、各種成形体とすることができる。とりわけ、射出成形法とすることが好ましく、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等も採用できる。本発明の樹脂組成物に適した射出成形条件の一例を挙げれば、シリンダ温度をポリ乳酸のTmまたは流動開始温度以上、好ましくは190〜280℃、より好ましくは210〜270℃の範囲とし、また、金型温度は樹脂組成物の(Tm−20℃)以下とするのが適当である。成形温度が低すぎると成形品にショートが発生するなど操業性が不安定になったり、過負荷に陥りやすく、逆に成形温度が高すぎると樹脂組成物が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、着色する等の問題が発生しやすい。
本発明のポリ乳酸は、結晶化を促進させることにより、その耐熱性を高めることができる。このための方法としては、例えば、射出成形時に金型内での冷却にて結晶化を促進させる方法があり、その場合には、金型温度をポリ乳酸の(Tg+20℃)以上、(Tm−20℃)以下で所定時間保った後、Tg以下に冷却することが好ましい。また、成形後に結晶化を促進させる方法としては、直接Tg以下に冷却した後、再度Tg以上、(Tm−20℃)以下で熱処理することが好ましい。
成形体の具体例としては、各種筐体等の電化製品用樹脂部品、コンテナーや栽培容器等の農業資材や農業機械用樹脂部品、浮きや水産加工品容器等の水産業務用樹脂部品、皿、コップ、スプーン等の食器や食品容器、注射器や点滴容器等の医療用樹脂部品、ドレーン材、フェンス、収納箱、工事用配電盤等の住宅・土木・建築材用樹脂部品、クーラーボックス、団扇、玩具等のレジャー、雑貨用樹脂部品、バンパー、インスツルメントパネル、ドアトリム等の自動車用樹脂部品等が挙げられる。また、フィルム、シート、パイプ等の押出成形品、中空成形品等とすることもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが。実施例および比較例の樹脂組成物の評価に用いた測定法は次のとおりである。
(1)メルトフローレート(MFR):
JIS規格K−7210(試験条件4)に従い、190℃、荷重21.2Nで測定した。
(2)成形サイクル:
実施例、比較例で得られた樹脂組成物A〜Oを、射出成形機(東芝機械製IS−80G型)を用いて成形し、試験片を得た。このとき、樹脂組成物A〜Lについては、シリンダ設定温度190〜170℃で溶融して射出圧力100MPa、射出時間30秒で105℃の金型に充填した。樹脂組成物N、Nについては、射出圧力100MPa、射出時間15秒で金型に充填した。成形サイクルは、樹脂組成物が金型内に射出(充填、保圧)されてから、冷却され、成形体が金型に固着することなく、抵抗無く取り出せるまでの時間とした。
(3)離型性:
金型から成形体を取り出す際に金型へ固着する度合いを下記に示す基準で3段階の評価をおこなった。成形サイクルにおける冷却時間は、70秒で評価し、○を合格とした。
○:成形体が金型に固着することなく、抵抗なく取り出せ、変形も無かった。△:成形体が金型にわずかに固着し、取り出す際にわずかに変形を生じ、実用上問題のあるものもあった。×:成形体が金型へ固着し、取り出しに強い負荷をかける必要があり、その負荷により成形体に変形が生じた。
(4)曲げ強さ、曲げ弾性率、曲げ破断歪:
ISO 178に準拠して測定した。
(5)シャルピー衝撃強さ:
ISO 179に準拠して測定した。
(6)熱変形温度:
ISO 75に準拠し、荷重0.45MPaで熱変形温度を測定した。
本発明の実施例と比較例で用いた原料を以下に示す。
ポリ乳酸:カーギルダウ社製、NatureWorks4030D;MFR=3.0,融点166℃(以下「PLA」と略記する。)。
ガラス繊維(カップリング剤処理無し):ユニチカグラスファイバー社製:繊維径φ10μm、繊維長5mm
シランカップリング剤:
A:日本ユニカー社製、A−187、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
B:GE東芝シリコーン社製、TSL−8350、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン
C:日本ユニカー社製、A−189、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
D:日本ユニカー社製、A−1100、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
過酸化物:日本油脂社製、ジ−t−ブチルパーオキサイド
メタアクリル酸エステル:日本油脂社製、ポリエチレングリコールジメタクリレート
実施例1(樹脂組成物A)
二軸押出機(東芝機械社製TEM−37BS)を使用し、そのトップフィーダ口にはPLA95質量部を、サイドフィーダ口には、シランカップリング剤A0.3質量部を含有する処理液(酸性水溶液)をスプレー噴霧して表面処理したガラス繊維5質量部を、また、混練機途中からポンプを用いてジ−t−ブチルパーオキサイド3質量部とポリエチレングリコールジメタクリレート1.5質量部を供給した。加工温度170〜190℃で溶融混練押出しをおこない、吐出された樹脂をペレット状にカッティングして樹脂組成物Aとした。
実施例2〜4(樹脂組成物B〜D)、比較例1、2(樹脂組成物I、J)
PLAとシランカップリング剤Aで表面処理したガラス繊維の質量比を変えた以外は、実施例1と同様の装置・条件で溶融混練押出しをおこない、樹脂組成物B〜D、I、Jを得た。
実施例5(樹脂組成物E)、比較例3〜5(樹脂組成物K〜M)
原料を、PLA70質量部、シランカップリング剤B、C、Dでそれぞれ表面処理したガラス繊維または未処理のガラス繊維30質量部とした以外は、実施例1と同様の装置・条件で溶融混練押出しをおこない、樹脂組成物E、K〜Mを得た。
実施例6(樹脂組成物F)
原料を、PLA70質量部、シランカップリング剤Aで表面処理したガラス繊維30質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド5質量部とした以外は、実施例1と同様の装置・条件で溶融混練押出しをおこない、樹脂組成物Fを得た。
実施例7(樹脂組成物G)
原料を、PLA70質量部、シランカップリング剤Aで表面処理したガラス繊維30質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド10質量部とした以外は、実施例1と同様の装置・条件で溶融混練押出しをおこない、樹脂組成物Gを得た。
実施例8(樹脂組成物H)
原料を、PLA70質量部、シランカップリング剤Aで表面処理したガラス繊維30質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド3質量部とし、ポリエチレングリコールジメタクリレートを供給せずに、実施例1と同様の装置・条件で溶融混練押出しをおこない、樹脂組成物Hを得た。
比較例6(樹脂組成物N)
原料を、PLA100質量部のみとした以外は、実施例1と同様の装置・条件で溶融混練押出しをおこない、樹脂組成物Mを得た。
比較例7(樹脂組成物O)
原料を、PLA70質量部と、シランカップリング剤Aで表面処理したガラス繊維30質量部とし、ジ−t−ブチルパーオキサイドとポリエチレングリコールジメタクリレートを供給せずに、実施例1と同様の装置・条件で溶融混練押出しをおこない、樹脂組成物Pを得た。
各種物性評価を行った結果をまとめて表1に示した。
実施例1〜8で得られた樹脂組成物A〜Hについては、成形サイクル、耐熱性や他の機械特性に優れる結果となった。
比較例1は、ガラス繊維が使用されていなかったため、成形サイクル、離型性、耐衝撃性、機械的強度および耐熱性で劣る結果となった。
比較例2は、ガラス繊維の配合が少なかったため、成形サイクル、離型性、耐衝撃性、機械的強度および耐熱性に劣っていた。
比較例3と4は、エポキシ基を有しないシランカップリング剤で表面処理したガラス繊維を使用したため、成形サイクル、離型性に劣る結果となった。
比較例5は、未処理のガラス繊維を使用したため、成形サイクル、離型性に劣る結果となった。
比較例6は、架橋構造を有しないPLAを使用し、ガラス繊維を使用しなかったため、機械的強度性、耐熱性、耐衝撃性に劣る結果となった。
比較例7は、架橋構造を有しないPLAを使用したため、機械的強度、耐熱性に劣る結果となった。

Claims (3)

  1. 架橋ポリ乳酸(A) 50〜95質量部と、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、またはγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランにより表面処理され、繊維長さが3〜25mmのガラス繊維(B)50 〜5質量部とからなることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 架橋ポリ乳酸(A)100質量部に対し、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)を0.01〜20質量部配合してなることを特徴とする請求項に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1〜2のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
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