JP4700035B2 - 茶抽出液の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、茶抽出液の製造方法、具体的には、濃縮液或いは乾燥エキスに調製して食品添加物として利用することができる、又は、そのまま或いは希釈して飲料として利用することができる茶抽出液の製造方法に関する。
茶抽出液や茶抽出エキスは、水可溶性成分としてタンニン(主にカテキン)、アミノ酸類、カフェイン、糖類、サポニンなどを含んでおり、茶特有の風味を添加するための食品添加物としてばかりか、薬理成分などとしても利用されている。
例えば、茶葉中に多く含まれるカテキン類には、抗酸化作用、抗菌作用、消臭作用、血中コレステロール抑制作用、α−アミラーゼ活性阻害作用、抗う蝕及び抗歯周病作用、下痢症ウイルス感染阻害作用、インフルエンザウイルス感染予防作用、マイコプラズマ感染予防作用、抗動脈硬化作用、解毒作用、活性酸素発生抑制作用、ガストリン分泌抑制作用などの様々な薬理作用が報告されている。
カテキン類を高濃度で含有する茶エキス乃至茶抽出液を得るための方法として、有機溶媒を用いた液液抽出法やクロマト分離法などを利用する技術が知られている。
例えば特許文献1には、クロロホルムでカフェインを除去し、酢酸エチルにより茶タンニン類を抽出することで、天然抗酸化剤を工業的に製造する方法が開示されている。
特許文献2や特許文献3には、クロマト分離を用いて茶カテキン類を選択的に充填剤に吸着させ、吸着成分を親水性有機溶媒により溶出させて茶カテキン類を精製する方法が開示されている。
特許文献4には、陽イオン交換樹脂に茶抽出物を接触させてカフェインを除去した後、エタノールを添加して沈殿物を生じさせ、該沈殿物を濾別除去することで、茶葉タンニン類を精製する方法が開示されている。
また、茶葉から高濃度のカテキン類を抽出する方法として、次のような方法が知られている。
特許文献5には、香気成分保持を目的として、茶原料を、水を加えた後に密封できる柔軟性のある容器に封入し、これに対して低温で超高圧抽出を行い、第1の抽出液とする一方、この抽出残渣を高温で再抽出して高温抽出液を調製し、これを第2の抽出液として、第1抽出液と第2抽出液とを混合して加工する方法が開示されている。
特許文献6には、高濃度のカテキンを含有し、異臭の発生や雑味を低減させた緑茶飲料を提供することを目的として、緑茶葉を10℃未満の水で抽出し(第1工程)、第1工程の抽出残渣を50℃以上の温水で抽出し(第2工程)、第1工程で得られた抽出液(A)と第2工程で得られた抽出液(B)を混合し、次いで殺菌処理を施す緑茶飲料の製造方法が開示されている。
特許文献7には、紅茶や烏龍茶の香りが強く、雑味が低減され、後味が改良された発酵茶飲料又は半発酵茶飲料の提供することを目的として、発酵茶葉又は半発酵茶葉を10℃未満の水で抽出し(第1工程)、第1工程の抽出残渣を50℃以上の温水で抽出し(第2工程)、第1工程で得られた抽出液(A)と第2工程で得られた抽出液(B)を混合し、次いで殺菌処理を施す茶飲料の製造方法が開示されている。
特許1561043号公報 特許2703241号公報 特許3052175号公報 特開平11−228565号公報 特開平6−30703号公報 特開2003−219799号公報 特開2003−230358号公報
カテキン類としては、(−)エピガロカテキンガレ−ト(EGCg)、(−)エピカテキンガレ−ト(ECg)、(−)エピガロカテキン(EGC)、(−)エピカテキン(EC)、(−)ガロカテキンガレ−ト(GCg)、(−)カテキンガレ−ト(Cg)、(−)ガロカテキン(GC)及び(−)カテキン(C)の8種が知られているが、天然物である茶葉中に多く含まれている茶カテキン類は、これらのうちの(−)EGCg、(−)ECg、(−)EGC、(−)ECの4種類であり、残りの4種、すなわち(−)GCg、Cg、(−)GC及び(−)カテキン(C)は、前記4種類のカテキンのエピマー、すなわち一つの不斉炭素原子が反転した立体配置を持つジアステレオマー(鏡像異性体以外のすべての立体異性体)であり、これらは前記4種類のカテキンの熱異性体であることが知られている。
茶葉から得られるカテキン類の中でも、(−)EGCgは、特に薬理効果に優れており、しかも茶特有の苦渋味の主体でもあるため、この(−)EGCgを高濃度で含有する茶抽出液(エキス含む)が多くの分野で望まれている。
ところが、バッチ抽出法によって茶葉を高温で抽出すると、カテキン類の収率は高まるが、熱異性化が進んで(−)EGCgが(−)GCgに変化するため(−)EGCgの含有濃度が低下してしまう。逆に、熱異性化を生じない低温で抽出したのではカテキン類の収率を高めることができないことが明らかになってきた。
他方、カラム抽出法によれば、カテキン類の抽出効率を高めつつ、カテキン類の熱異性化を抑えることは可能であるものの、この抽出法によると抽出液量が大きくなり過ぎてしまうため、経済的に実用的な方法ではない。
そこで本発明は、バッチ抽出法を採用した場合であっても、カテキン類の抽出効率の向上とカテキン類の熱異性化の抑制との両立を図ることができ、カテキン含有率が高く、且つカテキン類の熱異性化率が低い特徴を備えた茶抽出液を製造し得る茶抽出液の製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、茶葉を55℃〜80℃の温水で抽出して抽出液Aと茶殻Bとを得(第1抽出工程)、茶殻Bを、第1抽出工程で用いた温水の温度以上の温水で、且つ第1抽出工程での抽出時間以下の抽出時間で抽出して抽出液Cと茶殻Dを得(第2抽出工程)、抽出液Aと抽出液Cを混合することを特徴とする茶抽出液の製造方法を提案する。
本発明はまた、茶葉を55℃〜80℃の温水で抽出して抽出液Aと茶殻Bを得(第1抽出工程)、茶殻Bを、第1抽出工程で用いた温水の温度以上の温水で、且つ第1抽出工程での抽出時間以下の抽出時間で抽出して抽出液Cと茶殻Dを得(第2抽出工程)、茶殻Dを、第1抽出工程で用いた温水の温度以上の温水で、且つ第1抽出工程での抽出時間以下の抽出時間で抽出して抽出液Eを得(第3抽出工程)、抽出液A、抽出液C及び抽出液Eを混合することを特徴とする茶抽出液の製造方法を提案する。
茶葉を熱異性化の生じ難い55℃〜80℃の温水で抽出した後、抽出残渣である茶殻を高温且つ短時間で抽出することにより、カテキン類の熱異性化を抑制しつつカテキン類の抽出率を高めることができる。よって、本発明によれば、従来のように有機溶媒を用いた液液抽出やクロマト分離を行なうことなく、カテキン類の含有率が高く、且つ、カテキン類の熱異性化が抑えられた茶抽出液を得ることができ、カテキン類、特にEGCgを高濃度で含む茶抽出液を提供することができる。
なお、本発明において「カテキン類」とは、(−)−エピガロカテキン(EGC)、(−)−エピガロカテキンガレート(EGCg)、(−)−エピカテキン(EC)、(−)−エピカテキンガレート(ECg)、(−)−ガロカテキン(GC)、(−)−ガロカテキンガレート(GCg)、(−)−カテキン(C)、(−)−カテキンガレート(Cg)のいずれか(これら8種類をまとめて「総カテキン」ともいう)、或いはこれらのうちの二種類以上の組み合わせからなる混合物を包含する意である。
但し、「カテキン類の熱異性化」と表現する場合の「カテキン類」は、「熱異性化カテキン類」ではないカテキン類、すなわち(−)−エピガロカテキン(EGC)、(−)−エピガロカテキンガレート(EGCg)、(−)−エピカテキン(EC)、(−)−エピカテキンガレート(ECg)のいずれか、或いはこれらのうちの二種類以上の組み合わせからなる混合物を包含する意である。
「熱異性化カテキン類」とは、(−)−ガロカテキン(GC)、(−)−ガロカテキンガレート(GCg)、(−)−カテキン(C)、(−)−カテキンガレート(Cg)のいずれか、或いはこれらのうちの二種類以上の組み合わせからなる混合物を包含する意である。
また、本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意を示し、同時に「好ましくはXより大きく、Yより小さい」の意を包含する。
発明を実施するための形態
以下、本発明を実施するための実施形態について説明するが、本発明が以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る茶抽出液の製造方法は、茶葉を温水で抽出して抽出液Aと茶殻Bとを得(第1抽出工程)、茶殻Bを、第1抽出工程での温水温度以上の温度の温水で、且つ第1抽出工程での抽出時間以下の抽出時間で抽出して抽出液Cと茶殻Dを得(第2抽出工程)、抽出液Aと抽出液Cを混合するというものであり、好ましくは、さらに茶殻Dを、第1抽出工程での温水温度以上の温度の温水で、且つ第1抽出工程での抽出時間以下の抽出時間で抽出して抽出液Eを得(第3抽出工程)、抽出液A、抽出液C及び抽出液Eを混合する製法である。以下、詳述する。
(茶葉)
原料とする茶葉としては、茶樹(学名:Camellia sinensis)から摘採した葉や茎であれば、その品種、産地、摘採時期、摘採方法、栽培方法などに限られず、どのような茶も使用することができる。例えば、煎茶、釜炒り茶、かぶせ茶、玉露、てん茶、抹茶、番茶、焙じ茶、蒸製玉緑茶、釜炒製玉緑茶などのいずれか、或いはこれらの二種以上の組み合わせからなる混合物を原料として用いることができる。また、上記の茶に現在公知の仕上加工を施して得られる仕上茶も原料として用いることができる。
さらに、緑茶以外に、烏龍茶などの半発酵茶、紅茶などの発酵茶も原料として用いることができる。
(第1抽出工程における抽出条件)
第1抽出工程において、抽出に用いる温水(以下「抽出温水」という)の温度は、55〜80℃であるのが好ましく、特に60〜80℃、中でも特に70〜80℃であるのが好ましい。55〜80℃で抽出することにより、カテキン類の熱異性化を抑えることができる。なお、90℃で抽出すると、80℃で抽出した場合に比べてGCgの生成率が2倍以上になる場合があることが確認されている。
抽出温水のpHは、特に限定するものではない。例えばpH4〜7、特にpH5〜6の抽出温水を好ましく用いることができる。例えばpH4以下であれば、抽出温度に関係なくカテキン類の熱異性化を抑制することができるが、pH調整剤を後工程で除去する必要があるため、前記pH領域が好ましい。
抽出温水の量は、原料茶葉の10〜30倍量(質量割合)であるのが好ましく、特に10〜25倍量、中でも特に10〜20倍量であるのが好ましい。
抽出時間は、5分〜60分間とするのが好ましく、特に15分〜60分間、中でも特に15分〜20分間とするのが好ましい。
より具体的には、原料茶葉の10〜30倍量の60〜80℃の抽出温水で5分〜60分間抽出するのが好ましく、特に原料茶葉の10〜25倍量の60〜80℃の抽出温水で15分〜60分間抽出するのがより好ましく、中でも特に原料茶葉の10〜20倍量の70〜80℃の抽出温水で15分〜20分間抽出するのがさらに好ましい。
得られた抽出液はすぐに30℃以下に冷却し、30℃以下の環境下で保管するのが好ましい。30℃以下に冷却し保管することで、酸化防止を図ることができるばかりか、難溶性成分を析出させることができるため、遠心分離等により難溶性成分を分離除去することができる。
(第2抽出工程・第3抽出工程)
第1抽出工程終了後は、より速やかに第2抽出工程を開始するのが好ましい。具体的には、処理する茶葉量にもよるが、目安としては、第1抽出工程の固液分離開始から第2抽出工程の熱水投入までの時間を30秒〜5分以内とするのが好ましい。このように第1抽出工程終了後、より速やかに第2抽出工程を開始するようにすれば、茶殻の温度が冷めないように維持することができ、カテキン類の抽出率向上並びにカテキン類の熱異性化抑制に貢献することができる。第2抽出工程終了後の第3抽出工程の開始においても同様である。
第2乃至第3抽出工程で用いる抽出温水の温度は、第1抽出工程で用いた抽出温水の温度と同じか或いはそれより高温であるのが好ましく、第1抽出工程で用いた抽出温水に比べて5〜20℃高温であるのが好ましい。特に75〜100℃、中でも特に75〜95℃の抽出温水で抽出するのが好ましい。
この際、抽出温水のpHは、特に限定するものではない。例えばpH4〜7、特にpH5〜6の抽出温水を好ましく用いることができる。例えばpH4以下であれば、抽出温度に関係なくカテキン類の熱異性化を抑制することができるが、pH調整剤を後工程で除去する必要があるため、前記pH領域が好ましい。
第2乃至第3抽出工程で用いる抽出温水の量は、第1抽出工程で用いた抽出温水と同じか或いは少ない量であるのが好ましく、第1抽出工程で用いた抽出温水に比べて2〜5倍量(抽出前の茶葉に対する質量割合)だけ少ない量で、且つ5倍量以上であるのが好ましく、特に原料茶葉の5〜25倍量(質量割合)、中でも特に5〜20倍量であるのがさらに好ましい。
第2乃至第3抽出工程における抽出時間は、第1抽出工程と同じか或いはより短時間とするのが好ましく、第1抽出工程に比べて3分〜10分短くするのが好ましい。特に1分〜15分間、中でも特に5分〜15分間とするのが好ましい。
ここで、第2乃至第3抽出工程における好ましい抽出条件としては、第1抽出工程で用いた抽出温水より少ない量で、且つ、第1抽出工程で用いた抽出温水より高温の抽出温水にて、第1抽出工程より短い抽出時間で抽出を行なうのが好ましく、特に原料茶葉の5〜25倍量の75〜100℃の抽出温水で1分〜15分間抽出するのが好ましく、中でも特に原料茶葉の5〜20倍量の75〜95℃の抽出温水で5分〜15分間抽出するのがさらに好ましい。
このような第2乃至第3抽出工程を実施すれば、第1抽出工程では、60〜85℃で抽出することにより、カテキン類の熱異性化を抑えることができるが、それではカテキン抽出率が十分ではないため、茶殻に高温の抽出温水を追加し、1回目の抽出より短時間で抽出を行い、第2及び第3抽出工程で得られた抽出液を混合することにより、カテキン類の熱異性化を抑えつつカテキン抽出率を高めることができる。
(抽出方式)
第1抽出工程から第3抽出工程のいずれにおいても、抽出方式を特に限定するものではないが、バッチ方式を選択するのがより好ましい。カラム抽出法によれば、抽出液量が大きくなるため経済的に実用的な方法ではない。また、本発明は、バッチ抽出法であっても、カテキン類の抽出効率の向上とカテキン類の熱異性化の抑制とを両立することができる点に特徴があるからである。
なお、バッチ方式或いはバッチ抽出法とは、抽出槽内へ原料と抽出溶媒とを投入し、抽出後に溶媒(抽出液)を充分に排出させた後、当該抽出槽内に前記とは別の抽出溶媒を投入する。この操作を1〜3回繰り返し行なう抽出方式(抽出方法)の意である。
また、第1抽出工程から第3抽出工程のいずれにおいても、抽出に用いる装置の種類を特に限定するものではないが、複数の抽出釜とバスケットとを備えた装置を使用するのが好ましい。第2抽出工程以降の抽出工程において、茶殻をバスケットごと別の抽出釜に速やかに移すことができ、茶殻の冷却を抑えることができるからである。
本実施形態の製造方法は、第1抽出工程の後、第2抽出工程、好ましくはさらに第3抽出工程を行い、各工程で得られた抽出液を混合するというものである。この際、第3抽出工程以後、第2若しくは第3抽出工程と同様の抽出工程を繰り返すことも可能である。但し、第3抽出工程以後に抽出を繰り返してもカテキン類の抽出率は顕著に向上せず、抽出液量の増加を考慮すると、かえってカテキン類濃度が低下する可能性があるから、第3抽出工程までに留めるのが好ましい。
第2若しくは第3抽出工程以後、必要に応じて、不溶性物除去或いは清澄性を高めるために、遠心分離、珪藻土濾過などの濾過処理を行ってもよい。
(茶抽出液の利用)
得られた茶抽出液は、例えば必要に応じて精製した後に濃縮乃至乾燥させて濃縮液或いは乾燥エキスに調製して飲食品添加物、薬理成分などとして利用することができる。また、茶抽出液をそのまま或いは希釈して飲料として利用することもできる。
ここで、カテキン高含有組成物に調製する場合の具体的な処理方法を説明すると、例えば、合成樹脂吸着剤や親水性ビニルポリマーなどを充填したカラムに抽出液を通液し、水でカラムを洗浄した後、含水有機溶媒(アルコール類など)を通液して吸着剤に吸着しているカテキン類やカフェインを回収し、カテキン高含有組成物或いはカフェイン高含有組成物を得ることができる。また、強酸性の陽イオン交換樹脂を充填したカラムに抽出液を通液し、カフェインの低減された通過液を得、これよりカテキン高含有組成物を得ることもできる。
さらに、これらの工程の後、さらにクロマト分離を行い、個々のカテキン類を分離してもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
先ず、実施例及び比較例の評価方法について説明する。
<カテキン類の定量方法>
実施例及び比較例で得られた茶抽出液のカテキン類の定量はHPLC法により行い、その定量条件は「Journal of Food Composition and Analysis、Vol.17、p.675〜685、2004年」に従った。詳しくは以下のとおりである。
(HPLC条件)
HPLC装置:島津LC−10AD二液高圧グラジエントシステム
カラム:Wakosil−II 5C18HG(3.0mm I.D.×150mm)
カラム温度:40℃
移動相A:水−メタノール−りん酸(85:15:0.1)
移動相B:水−メタノール−酢酸エチル−りん酸(85:15:1:0.1)
検出:UV 280nm
試料注入量:5μL
グラジエントプログラム:移動相Aを100%、流速を0.3mL/分で分析開始から12分まで流し、その後1分間で流速を0.45mL/分にリニアに上昇させた。以降19分まで流速を保持し、その後1分間で流速を1.0mL/分に、移動相Bを0%から100%にリニアに上昇させた。以降40分まで流速を保持した。
(標準液の調製)
EGC,EGCg,EC,ECg,GC,GCg,C及びCgの各10mgを100mLのメスフラスコに秤取し、0.5%アスコルビン酸−0.01%EDTA二ナトリウム水溶液に溶解し、定容した。この溶液を2倍または5倍に希釈した。分析前に0.45μLバーサポアフィルタを通過させた。
(分析試料の調製)
実施例及び比較例で得られた茶抽出液を水で1Lに定容した後に10倍に希釈し、各溶液を0.45μLバーサポアフィルタを通過させて分析試料とした。
但し、比較例6で得られた茶抽出液は水で2Lに定容した後に5倍に希釈した。また、実施例5の茶抽出物は、水に溶解して500ppmに調整した。
(測定方法)
未希釈、2倍希釈、5倍希釈の標準液を用いてHPLC分析を行い、得られたクロマトグラムの各成分のピーク面積と成分濃度で検量線を作成し、その検量線を用いて分析試料用液中の各成分の濃度を求めた。
なお、「総カテキン含有量」は、(−)EGC、(−)EGCg、(−)EC、(−)ECg、(−)GC、(−)GCg、(−)C、(−)Cgの8種の合計含有量として求めた。
また、「熱異性化カテキン含有量」は、(−)GC、(−)GCg、(−)C、(−)Cgの4種類の合計含有量として求めた。
「熱異性化率」は、総カテキン含有量における熱異性化カテキン含有量の割合の意であり、以下の式(A)により求めた。
(熱異性化カテキン含有量)÷(総カテキン含有量)×100(%)・・・(A)
「抽出率」は、茶葉に含まれているカテキン類が抽出により回収される割合の意であり、以下の式(B)により求めた。
((抽出液質量或いは容量)×(抽出液の成分濃度(ppm))÷1000)÷((抽出に使用した茶葉質量)×(茶葉の成分含有量(%))÷100)×100 ・・・・・・・・・・(B)
なお、茶葉の成分含量(表1)は以下の方法により測定した。
茶葉はミルで粉砕し、目開き500μmの篩を通過させた。粉砕した茶葉100mgを100mLのメスフラスコへ秤量し、80℃の温水を約80mL注いで、80℃の湯浴中で30分間抽出した。抽出後冷水で冷却を行い、水で100mLに定容し、濾紙(JIS No.2)で濾過して、濾液を0.45μLバーサポアフィルタに通過させ、HPLCで定量分析を行った。
Figure 0004700035
(実施例1)
1L容量のガラスビーカー(内径105mm、深さ150mm)に円筒形のステンレス製の籠(内径93mm、深さ77mm、目開き1mm)を入れた後、温水300mLを入れて70℃に加温した。次いで、前記籠の中に中国産緑茶葉30gを入れ、70℃の湯浴上で適宜攪拌しながら10分間抽出を行った。抽出後、茶殻の入った籠をビーカーから引き上げて固液分離し、抽出液を目開き180μmの金属メッシュでろ過した後、速やかに30℃以下に冷却し保管した。
前記抽出の固液分離の開始から2分以内に、70℃の温水300mLを入れた1L容量のガラスビーカーに、茶殻の入った籠を入れて沈め、70℃の湯浴上で適宜攪拌しながら10分間の再抽出を行なった。再抽出後、1回目と同様に固液分離及びろ過を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却した後、先に得られた抽出液と混合し、合計482gの抽出液(pH5.5)を得た。
なお、抽出に用いた温水は、全てイオン交換水(pH6.5)であり、以下の実施例及び比較例においても同様である。
(実施例2)
1L容量のガラスビーカー(内径105mm、深さ150mm)に円筒形のステンレス製の籠(内径93mm、深さ77mm、目開き1mm)を入れた後、温水300mLを入れて70℃に加温した。次いで、前記籠の中に中国産緑茶葉30gを入れ、70℃の湯浴上で適宜攪拌しながら10分間抽出を行った。抽出後、茶殻の入った籠をビーカーから引き上げて固液分離し、抽出液を目開き180μmの金属メッシュでろ過した後、速やかに30℃以下に冷却し保管した。
前記抽出の固液分離の開始から2分以内に、90℃の温水300mLを入れた1L容量のガラスビーカーに、茶殻の入った籠を入れて沈め、90℃の湯浴上で適宜攪拌しながら10分間の再抽出を行なった。再抽出後、1回目と同様に固液分離及びろ過を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却した後、先に得られた抽出液と混合し、合計498gの抽出液(pH5.5)を得た。
(実施例3)
1L容量のガラスビーカー(内径105mm、深さ150mm)に円筒形のステンレス製の籠(内径93mm、深さ77mm、目開き1mm)を入れた後、温水300mLを入れて70℃に加温した。次いで、籠の中に中国産緑茶葉30gを入れ、70℃の湯浴上で適宜攪拌しながら15分間抽出を行った。抽出後、茶殻の入った籠をビーカーから引き上げて固液分離し、抽出液を目開き180μmの金属メッシュでろ過した後、速やかに30℃以下に冷却し保管した。
前記抽出の固液分離の開始から2分以内に、90℃の温水300mLを入れた1L容量のガラスビーカーに、茶殻の入った籠を入れて沈め、90℃の湯浴上で適宜攪拌しながら5分間の再抽出を行なった。再抽出後、1回目と同様に固液分離及びろ過を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却した後、先に得られた抽出液と混合し、合計485gの抽出液(pH5.5)を得た。
(実施例4)
1L容量のガラスビーカー(内径105mm、深さ150mm)に円筒形のステンレス製の籠(内径93mm、深さ77mm、目開き1mm)を入れた後、温水300mLを入れて70℃に加温した。次いで、籠の中に中国産緑茶葉30gを入れ、70℃の湯浴上で適宜攪拌しながら10分間抽出を行った。抽出後、茶殻の入った籠をビーカーから引き上げて固液分離し、抽出液を目開き180μmの金属メッシュでろ過した後、速やかに30℃以下に冷却し保管した。
前記抽出の固液分離の開始から2分以内に、90℃の温水300mLを入れた1L容量のガラスビーカーに、茶殻の入った籠を入れて沈め、90℃の湯浴上で適宜攪拌しながら5分間の再抽出を行なった。再抽出後、1回目と同様に固液分離及びろ過を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却し保管した。
前記再抽出の固液分離の開始から2分以内に、90℃の温水200mLを入れた1L容量のガラスビーカーに、前工程の抽出残渣である茶殻の入った籠を入れて沈め、90℃の湯浴上で適宜攪拌しながら5分間の再々抽出を行なった。再々抽出後、1回目と同様に固液分離及びろ過を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却し、以上3回の抽出液を混合し、686gの抽出液(pH5.5)を得た。
Figure 0004700035
(比較例1)
1L容量のガラスビーカー(内径105mm、深さ150mm)に円筒形のステンレス製の籠(内径93mm、深さ77mm、目開き1mm)を入れた後、温水600mLを入れて70℃に加温した。次いで、籠の中に中国産緑茶葉30gを入れ、70℃の湯浴上で適宜攪拌しながら20分間抽出を行った。抽出後、茶殻の入った籠をビーカーから引き上げて固液分離し、抽出液を目開き180μmの金属メッシュでろ過した後、速やかに30℃以下に冷却し保管し、479gの抽出液(pH5.5)を得た。
(比較例2)
1L容量のガラスビーカー(内径105mm、深さ150mm)に円筒形のステンレス製の籠(内径93mm、深さ77mm、目開き1mm)を入れた後、温水300mLを入れて50℃に加温した。次いで、籠の中に中国産緑茶葉30gを入れ、50℃の湯浴上で適宜攪拌しながら10分間抽出を行った。抽出後、茶殻の入った籠をビーカーから引き上げて固液分離し、抽出液を目開き180μmの金属メッシュでろ過した後、速やかに30℃以下に冷却し保管した。
前記抽出の固液分離の開始から2分以内に、50℃の温水300mLを入れた1L容量のガラスビーカーに、茶殻の入った籠を入れて沈め、50℃の湯浴上で適宜攪拌しながら10分間の再抽出を行なった。再抽出後、1回目と同様に固液分離及びろ過を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却した後、先に得られた抽出液と混合し、合計486gの抽出液(pH5.5)を得た。
(比較例3)
1L容量のガラスビーカー(内径105mm、深さ150mm)に円筒形のステンレス製の籠(内径93mm、深さ77mm、目開き1mm)を入れた後、温水600mLを入れて90℃に加温した。次いで、籠の中に中国産緑茶葉30gを入れ、90℃の湯浴上で適宜攪拌しながら20分間抽出を行った。抽出後、茶殻の入った籠をビーカーから引き上げて固液分離し、抽出液を目開き180μmの金属メッシュでろ過した後、速やかに30℃以下に冷却し保管し、469gの抽出液(pH5.5)を得た。
(比較例4)
1L容量のガラスビーカー(内径105mm、深さ150mm)に円筒形のステンレス製の籠(内径93mm、深さ77mm、目開き1mm)を入れた後、温水300mLを入れて90℃に加温した。次いで、籠の中に中国産緑茶葉30gを入れ、90℃の湯浴上で適宜攪拌しながら10分間抽出を行った。抽出後、茶殻の入った籠をビーカーから引き上げて固液分離し、抽出液を目開き180μmの金属メッシュでろ過した後、速やかに30℃以下に冷却し保管した。
前記抽出の固液分離の開始から2分以内に、90℃の温水300mLを入れた1L容量のガラスビーカーに、茶殻の入った籠を入れて沈め、90℃の湯浴上で10分間の再抽出を行なった。抽出後、1回目と同様に固液分離及びろ過を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却した後、先に得られた抽出液と混合し、合計453gの抽出液(pH5.5)を得た。
(比較例5)
1L容量のガラスビーカー(内径105mm、深さ150mm)に円筒形のステンレス製の籠(内径93mm、深さ77mm、目開き1mm)を入れ、ガラスビーカーに温水300mLを入れて90℃に加温した。次いで、籠の中に中国産緑茶葉30gを入れ、90℃の湯浴上で適宜攪拌しながら10分間抽出を行った。抽出後、茶殻の入った籠をビーカーから引き上げて固液分離し、抽出液を目開き180μmの金属メッシュでろ過した後、速やかに30℃以下に冷却し保管した。
前記抽出の固液分離の開始から2分以内に、70℃の温水300mLを入れた1L容量のガラスビーカーに、茶殻の入った籠を入れて沈め、70℃の湯浴上で適宜攪拌しながら10分間の再抽出を行なった。再抽出後、1回目と同様に固液分離及びろ過を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却した後、先に得られた抽出液と混合し、合計478gの抽出液(pH5.5)を得た。
(比較例6)
中国産緑茶葉30gを、内径50mm、高さ350mmの70℃に保温したガラスカラムに充填し、70℃の温水を上方から下方に100mL/分の速度で通液して抽出液を得た。得られた抽出液は速やかに30℃以下に冷却し、抽出液が1200mLになった段階で回収を終了した。
Figure 0004700035
(実施例5)
1L容量のガラスビーカー(内径105mm、深さ150mm)に円筒形のステンレス製の籠(内径93mm、深さ77mm、目開き1mm)を入れた後、温水300mLを入れて75℃に加温した。次いで、前記籠の中に中国産緑茶葉30gを入れ、75℃の湯浴上で適宜攪拌しながら15分間抽出を行った。抽出後、茶殻の入った籠をビーカーから引き上げて固液分離し、抽出液を目開き180μmの金属メッシュでろ過した後、速やかに30℃以下に冷却し保管した。
前記抽出の固液分離の開始から2分以内に、80℃の温水300mLを入れた1L容量のガラスビーカーに、茶殻の入った籠を入れて沈め、80℃の湯浴上で適宜攪拌しながら10分間の再抽出を行なった。再抽出後、1回目と同様に固液分離・濾過を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却した後、先に得られた抽出液と混合し、合計480gの抽出液(pH5.5)を得た。この抽出液を、3000rpm×10分で遠心分離し、得られた上清を減圧濃縮し、次いで凍結乾燥を行い、茶抽出物7.1gを得た。
Figure 0004700035
(実施例6)
中国産緑茶葉10gを75℃の温水100mLに浸漬し、75℃の湯浴上で適宜攪拌しながら15分間の抽出を行った。抽出後、目開き180μmの金属メッシュで固液分離を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却し保管した。
前記抽出の固液分離の開始から2分以内に、前記抽出後の茶殻を80℃の温水80mL中に投入し、80℃の湯浴上で適宜攪拌しながら10分間の再抽出を行った。
再抽出後、1回目と同様に固液分離を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却した後、1回目の抽出液と混合して抽出液を得た。この抽出液を、3000rpm×10分で遠心分離し、得られた上清を水でBrix0.3となるように希釈してPETボトルに充填してPETボトル詰茶飲料を得た。
Figure 0004700035
Figure 0004700035
以上の実施例及び比較例の結果をまとめて表5に示した。これより、次の点が明らかとなった。
・実施例1と比較例1は同じ温度で、総加水量と総抽出時間が等しい条件での抽出であるが、カテキン類の抽出率は10%以上の差が見られた。
・実施例1と比較例2では、温度以外の条件は同じであるが、比較例2ではカテキン抽出率が低く、特にEGCgの抽出率に約10%の差が見られた。
・比較例3及び4では90℃で抽出を行い、特に比較例3では高いカテキン回収率が得られたが、カテキン類の熱異性化率が10%以上と高くなっていた。実施例2及び3では二段階目を90℃で抽出しているが、カテキン類の熱異性化率は実施例1とほとんど変わっていなかった。
・比較例5では、実施例1と二段階の抽出での温度を逆にしたが、カテキン類の熱異性化率が高く、一段階目を低温で抽出することが重要であることが示された。
・比較例6は、カラム抽出法であり、カテキン類の熱異性化率は低いが、高いカテキン抽出率を得ようとすると、得られる抽出液のカテキン濃度が低下することが見て取れる。
・実施例4の三段階抽出は比較例6よりもカテキン抽出率と得られる抽出液のカテキン濃度の面で効率的といえる。
・実施例5では、75℃と80℃の二段階抽出を行い、凍結乾燥により粉末エキスを製造した。得られた粉末エキスは、カテキンの異性化率が6.2%であり、原料茶葉の異性化率と大差ないものであった。
・実施例6では、実施例5と同様の抽出液をBrix0.3に調製してPET詰茶飲料を製造した。得られた飲料は、一般的な茶飲料よりも高濃度のカテキンを含有しており、カテキンの異性化率が低く、EGCg含量が高いものであった。
(試験例1〜8)
1L容量のガラスビーカー(内径105mm、深さ150mm)に温水400mLを入れて指定水温I+5℃に調整した後、中国産緑茶葉40gを投入し、指定水温Iの湯浴上で15分間の1回目の抽出を行なった。抽出後、ビーカー内容物を目開き106μmの金属メッシュでろ過し、濾液(抽出液)は速やかに30℃以下に冷却した。
茶殻は、固液分離後速やかにビーカーに戻し、指定水温II+5℃の温水320mLを注ぎ、指定水温IIの湯浴上で10分間の2回目の抽出を行ない、抽出後、1回目と同様に固液分離および濾過を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却した。
そして、2回目の抽出で得られた抽出液を1回目の抽出で得られた抽出液に混合して混合抽出液(表7の抽出液回収量)を得た。なお、指定水温IIは指定水温I+10℃に設定した。
得られた混合抽出液のEGCg濃度、総カテキン濃度、異性化率、EGCg抽出率、総カテキン抽出率を測定し、各項目について各基準に基づいて(表8の備考参照)判定を行なうとともに総合的な判定も行ない、結果を表8に示した。
なお、カテキン類の定量方法は、前述の実施例と同様に行なった(後述する試験例でも同様である)。
Figure 0004700035
Figure 0004700035
1回目の抽出の温度は抽出効率に影響することを確認した。試験例1(50℃)は、試験例2〜8と比較して明確に抽出率が低下することが確認された。
また、1回目の抽出の温度が高いと、抽出効率の向上が見られる一方で、カテキンの異性化が進み易いことを確認した。特に試験例8の90℃では異性化率が6.0%を超え、試験例1〜7と明確な差が確認された。
このことより、1回目の抽出の抽出温度は55〜80℃が好ましく、60〜80℃が特に好ましいと考えられる。
(試験例9〜14)
1L容量のガラスビーカー(内径105mm、深さ150mm)に温水400mLを入れて80℃に調整した後、中国産緑茶葉40gを投入し、75℃の湯浴上で15分間の1回目の抽出を行なった。抽出後、ビーカー内容物を目開き106μmの金属メッシュでろ過し、濾液(抽出液)は速やかに30℃以下に冷却した。
茶殻は、固液分離後速やかにビーカーに戻し、指定水温III+5℃の温水320mLを注ぎ、指定水温IIIの湯浴上で10分間の2回目の抽出を行ない、抽出後、1回目と同様に固液分離および濾過を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却した。
そして、2回目の抽出で得られた抽出液を1回目の抽出で得られた抽出液に混合して混合抽出液(表9の抽出液回収量)を得た。
得られた混合抽出液のEGCg濃度、総カテキン濃度、異性化率、EGCg抽出率、総カテキン抽出率を測定し、各項目について各基準に基づいて(表10の備考参照)判定を行なうとともに総合的な判定も行ない、結果を表10に示した。
Figure 0004700035
Figure 0004700035
2回目の抽出の水温(抽出温度)も、1回目の抽出と同じく抽出率に影響するが、一度抽出が行なわれた後であるため、高温で抽出した場合のカテキン異性化率への影響は少ないことが確認された。1回目の抽出と同じ温度である試験例9では十分な抽出が行なわれており、加えて試験例10〜14でも抽出率は十分に高く、且つ異性化率は6.0%未満であることから、2回目の抽出の抽出温度は、1回目の抽出の抽出温度以上であるのが好ましいことが確認された。
(試験例15〜19)
1L容量のガラスビーカー(内径105mm、深さ150mm)に温水400mLを入れて80℃に調整した後、中国産緑茶葉40gを投入し、75℃の湯浴上で15分間の1回目の抽出を行なった。抽出後、ビーカー内容物を目開き106μmの金属メッシュでろ過し、濾液(抽出液)は速やかに30℃以下に冷却した。
茶殻は、固液分離後速やかにビーカーに戻し、95℃の熱水320mLを注ぎ、90℃の湯浴上で指定時間Iの2回目の抽出を行ない、抽出後、1回目と同様に固液分離および濾過を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却した。
そして、2回目の抽出で得られた抽出液を1回目の抽出で得られた抽出液に混合して混合抽出液(表11の抽出液回収量)を得た。
得られた混合抽出液のEGCg濃度、総カテキン濃度、異性化率、EGCg抽出率、総カテキン抽出率を測定し、各項目について各基準に基づいて(表12の備考参照)判定を行なうとともに総合的な判定も行ない、結果を表12に示した。
Figure 0004700035
Figure 0004700035
2回目の抽出の抽出時間は、短時間、具体的には1分以下でもカテキンを充分に抽出できる。その一方、長時間になるとカテキンの異性化等に影響を及ぼすことが確認された。特に2回目の抽出を30分行なった試験例19ではカテキンの異性化率が顕著に上昇した。このことより、2回目の抽出の抽出時間は、1回目の抽出の抽出時間以下であるのが好ましく、1回目の抽出の抽出時間が15分以上である場合でも、2回目の抽出の抽出時間は15分以内とするのが好ましく、カテキンの抽出率と異性化率の両方を考慮すると5分〜15分が特に好ましいと考えられる。
(試験例20〜26)
1L容量のガラスビーカー(内径105mm、深さ150mm)に温水400mLを入れて80℃に調整した後、中国産緑茶葉40gを投入し、75℃の湯浴上で指定時間IIの1回目の抽出を行なった。抽出後、ビーカー内容物を目開き106μmの金属メッシュでろ過し、濾液(抽出液)は速やかに30℃以下に冷却した。
茶殻は、固液分離後速やかにビーカーに戻し、85℃の温水320mLを注ぎ、80℃の湯浴上で指定時間IIIの2回目の抽出を行ない、抽出後、1回目と同様に固液分離および濾過を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却した。
そして、2回目の抽出で得られた抽出液を1回目の抽出で得られた抽出液に混合して混合抽出液(表13の抽出液回収量)を得た。
得られた混合抽出液のEGCg濃度、総カテキン濃度、異性化率、EGCg抽出率、総カテキン抽出率を測定し、各項目について各基準に基づいて(表14の備考参照)判定を行なうとともに総合的な判定も行ない、結果を表14に示した。
Figure 0004700035
Figure 0004700035
1回目の抽出の抽出時間に依存してカテキンの抽出率が向上する一方、カテキンの異性化率も向上することが確認された。1回目の抽出を2分間行なった試験例20ではカテキン抽出率が40%以下と低い一方、90分間行なった試験例26ではカテキンの異性化率が6.0%以上と高かった。この結果より、1回目の抽出の抽出時間は5分〜60分が好ましく、15分〜60分がより好ましく、中でも15分〜20分がさらに好ましいと考えられる。
(試験例27〜33)
試験例27〜30では1L容量のガラスビーカーに、試験例31〜33では2L容量のステンレスビーカーに、指定容量Iの温水を入れて80℃に調整した後、中国産緑茶葉40gを投入し、75℃の湯浴上で15分間の1回目の抽出を行なった。抽出後、ビーカー内容物を目開き106μmの金属メッシュでろ過し、濾液(抽出液)は速やかに30℃以下に冷却した。
茶殻は、固液分離後速やかにビーカーに戻し、指定容量IIの85℃の温水を注ぎ、80℃の湯浴上で10分間の2回目の抽出を行ない、抽出後、1回目と同様に固液分離および濾過を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却した。
そして、2回目の抽出で得られた抽出液を1回目の抽出で得られた抽出液に混合して混合抽出液(表15の抽出液回収量)を得た。
得られた混合抽出液のEGCg濃度、総カテキン濃度、異性化率、EGCg抽出率、総カテキン抽出率を測定し、各項目について各基準に基づいて(表16の備考参照)判定を行なうとともに総合的な判定も行ない、結果を表16に示した。
Figure 0004700035
Figure 0004700035
抽出時の加水倍率は、抽出槽内での茶葉の運動性に影響するために、多いほど抽出率が向上するが、得られる抽出液量が多くなることによるカテキン濃度の低下が同時に生じる。試験例27の5倍水量では、液量が不十分であり、カテキン抽出率が40%以下にとどまってしまっている。他方、試験例33では、カテキン抽出率が変らずに液量だけが増えたことにより、カテキン濃度が低くなってしまっている。このことより、1回目の抽出の加水倍率は10〜30倍が好ましく、抽出効率とカテキン濃度とを考慮すると10〜25倍がより好ましく、特に10〜20倍がさらに好ましいと考えれる。
(試験例34〜37)
1L容量のガラスビーカー(内径105mm、深さ150mm)に温水400mLを入れて80℃に調整した後、中国産緑茶葉40gを投入し、75℃の湯浴上で15分間の1回目の抽出を行なった。抽出後、ビーカー内容物を目開き106μmの金属メッシュでろ過し、濾液(抽出液)は速やかに30℃以下に冷却した。
茶殻は、固液分離後速やかにビーカーに戻し、指定容量IIIの85℃の温水を注ぎ、80℃の湯浴上で10分間の2回目の抽出を行ない、抽出後、1回目と同様に固液分離および濾過を行い、得られた抽出液を30℃以下に冷却した。
そして、2回目の抽出で得られた抽出液を1回目の抽出で得られた抽出液に混合して混合抽出液(表17の抽出液回収量)を得た。
得られた混合抽出液のEGCg濃度、総カテキン濃度、異性化率、EGCg抽出率、総カテキン抽出率を測定し、各項目について各基準に基づいて(表18の備考参照)判定を行なうとともに総合的な判定も行ない、結果を表18に示した。
Figure 0004700035
Figure 0004700035
2回目の抽出の加水倍率は、1回目の抽出と同様に、多いほど抽出率は向上するが、カテキン濃度の低下を生じる。2回目の抽出は、1回目の抽出の抽出不足を補うためのものであるため、2回目の抽出の加水倍率は少量でも構わないが、試験例34の2倍量のように少ない場合は、抽出率が低めになってしまうことがあり、試験例35のように少なくとも5倍量の加水倍率であることが好ましいといえる。試験例34〜37において、2回目の抽出の加水倍率の増加に伴い、混合抽出液のカテキン濃度が低下する傾向が見られていることから、2回目の抽出の加水倍率は、1回目の抽出の加水倍率以下に留める方が好ましいと予想される。

Claims (5)

  1. 茶葉を、60℃〜80℃の温水を用いて15分〜60分の抽出時間、緑茶葉の質量の10〜20倍の温水量でバッチ抽出して抽出液Aと茶殻Bとを得(第1抽出工程)、茶殻Bを、第1抽出工程で用いた温水の温度以上の温水を用いて第1抽出工程での抽出時間以下の抽出時間、第1抽出工程での温水量以下の温水量でバッチ抽出して抽出液Cと茶殻Dを得(第2抽出工程)、抽出液Aと抽出液Cを混合することを特徴とする茶抽出液の製造方法。
  2. 茶葉を、60℃〜80℃の温水を用いて15分〜60分の抽出時間、緑茶葉の質量の10〜20倍の温水量でバッチ抽出して抽出液Aと茶殻Bとを得(第1抽出工程)、茶殻Bを、第1抽出工程で用いた温水の温度以上の温水を用いて第1抽出工程での抽出時間以下の抽出時間、第1抽出工程での温水量以下の温水量でバッチ抽出して抽出液Cと茶殻Dを得(第2抽出工程)、茶殻Dを、第1抽出工程で用いた温水の温度以上の温水を用いて第1抽出工程での抽出時間以下の抽出時間、第1抽出工程での温水量以下の温水量でバッチ抽出して抽出液Eを得(第3抽出工程)、抽出液A、抽出液C及び抽出液Eを混合することを特徴とする茶抽出液の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法によって得られる茶抽出液を乾燥することを特徴とする茶抽出物の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の製造方法によって得られる茶抽出液。
  5. 請求項4に記載の製造方法によって得られる茶抽出液を乾燥して得られる茶抽出物。
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